JP2022136496A - ニトリルゴム組成物、架橋ニトリルゴム部材、及びシール部材 - Google Patents

ニトリルゴム組成物、架橋ニトリルゴム部材、及びシール部材 Download PDF

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Abstract

【課題】 密封性能を維持しつつ、低トルク性に優れたシール部材を提供するのに適したニトリルゴム組成物、このニトリルゴム組成物の架橋物からなる架橋ニトリルゴム部材、及び、この架橋ニトリルゴム部材からなるリップ部を備えたシール部材を提供すること。【解決手段】 ニトリルゴムと、人造黒鉛とを含み、前記人造黒鉛の含有量が、前記ニトリルゴム100質量部に対して30~100質量部である、ニトリルゴム組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、ニトリルゴム組成物、架橋ニトリルゴム部材、及びシール部材に関する。
近年、省エネルギー化の要求に伴い、オイルシールの低トルク化が望まれている。
低トルク化の望まれているオイルシールの1つに自動車のハブユニットに用いられるオイルシール(本明細書では、ハブシールともいう)がある。
オイルシールの低トルク化を図る手法としては、種々の方法が検討されている。
例えば、シール形状を低トルク化に適した形状にする手法が検討されている。また、グリースの組成を低トルク化に適した配合にする手法も検討されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2014-088527号公報
一方、シール形状を低トルク化に適した形状にする手法や、グリースの組成を低トルク化に適した配合にする手法によって、オイルシールの低トルク化を図った場合には、オイルシールの密封性能が低下する場合があった。
本発明者らはこのような課題を解決すべく鋭意検討を行い、密封性能を維持しつつ、低トルク性に優れたシール部材を提供するのに適したニトリルゴム組成物を見出し、本発明を完成した。
(1)本発明のニトリルゴム組成物は、ニトリルゴムと、人造黒鉛とを含み、
上記人造黒鉛の含有量が、上記ニトリルゴム100質量部に対して30~100質量部である。
上記ニトリルゴム組成物によれば、切断時引張強さを大きく損なうことなく、摩擦係数の低い架橋ニトリルゴム部材を提供することができる。この架橋ニトリルゴム部材を用いれば、低トルク化に適したシール部材を提供することができる。
(2)上記ニトリルゴム組成物において、上記人造黒鉛の平均粒子径は、1~10μmであることが好ましい。
この場合は、上記ニトリルゴム組成物の架橋物である架橋ニトリルゴム部材は、体積抵抗率が低く、良好な通電性を呈する。そのため、上記ニトリルゴム組成物を用いれば、低トルク性能と、通電性とが要求されるシール部材を提供することができる。
(3)本発明の架橋ニトリルゴム部材は、上記(1)又は(2)に記載のニトリルゴム組成物の架橋物からなる。
上記架橋ニトリルゴム部材は、摩擦係数が低く、シール部材のリップ部に用いるゴム部材として好適である。
(4)本発明のシール部材は、上記(3)に記載の架橋ニトリルゴム部材からなるリップ部を備える。
上記シール部材は、上記架橋ニトリルゴム部材からなるリップ部を備えるため、密封性能を維持しつつ、低トルク性能に優れたシール部材である。
本発明によれば、低トルク性能に優れたシール部材を提供すること、及び、このシール部材を提供するのに適した、ニトリルゴム組成物及び架橋ニトリルゴム部材を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
[ニトリルゴム組成物]
本発明の実施形態に係るニトリルゴム組成物は、未架橋のニトリルゴムと、人造黒鉛とを含む。
上記ニトリルゴム(NBR)は、アクリロニトリル・ブタジエンゴムとも呼ばれ、アクリロニトリル及びブタジエンをモノマー成分とする共重合体である。
本発明において、上記ニトリルゴムは、アクリロニトリル及びブタジエンに加えて、これら以外の単量体もモノマー成分とする共重合体であってよい。また、上記ニトリルゴムは、主鎖の残存二重結合が水素化された、水素化ニトリルゴム(HNBR)であってもよい。
上記ニトリルゴムの結合アクリロニトリル量(以下、AN量ともいう)は特に限定されない。上記ニトリルゴムとしては、AN量が24質量%以下の低ニトリルタイプのものから、AN量が35質量%を超える高ニトリルタイプのものまで、幅広く用いることができる。
上記ニトリルゴム組成物が、例えば、シール部材としてハブシールを提供するためのものである場合は、上記ニトリルゴムは、AN量が25~30質量%の中ニトリルタイプのものが好ましい。ハブシールに求められる特性をバランスよく確保するのに適しているからである。
上記ニトリルゴムは、ムーニー粘度「ML(1+4)100℃」が35~65のものが好ましい。上記ムーニー粘度は、JIS K6300-1(2013)に準拠して測定すればよい。
この場合、シール部材に適した常態物性を有する架橋物を成形しやすいからである。
上記ニトリルゴムとしては、市販品を使用することもできる。
上記ニトリルゴムは、1種類のみを用いてもよいし、AN量やムーニー粘度、水素化の有無、モノマー成分の種類等が異なる2種以上併用してもよい。
上記人造黒鉛は、例えば、石油、石炭等を原料とするコークスを焼成し、さらに高温で黒鉛化して製造されたものである。
上記ニトリルゴム組成物は、黒鉛の粒子として人造黒鉛を含有することが重要である。所定量の人造黒鉛を含有するニトリルゴム組成物をシール部材の原料として用いることにより、所望の常態物性が確保され、低トルク化を図ることができるシール部材を得ることができる。
例えば、ニトリルゴム組成物に配合させる黒鉛として天然黒鉛を用いた場合、当該天然黒鉛は、人造黒鉛に比べて硬度が低いためシール部材の低トルク化に寄与する効果が乏しくなる。また、天然黒鉛を用いた場合は、天然黒鉛の形状が主に鱗片状、薄片状等の球状以外の形状であることに起因して切断時引張強さ(Tb)や、切断時伸び(Eb)が小さくなる。
上記人造黒鉛の形状は、球状や、球状に近い形状が好ましい。一方、形状が天然黒鉛によく見られる鱗片状や薄片状のものは避けることが好ましい。上記ニトリルゴム組成物に黒鉛を含有させた場合、その架橋物は切断時引張強さが低下する傾向にある。このとき、人造黒鉛として、球状のものを含有させた場合は切断時引張強さの低下の度合いを小さくすることができる。従って、球状の人造黒鉛を含むニトリルゴム組成物の架橋物は、人造黒鉛を含有させることによる切断時引張強さの低下を抑制しつつ、低摩擦係数化(低μ化)が達成されたものとなる。
上記人造黒鉛の平均粒子径は1~10μmが好ましい。
平均粒子径が1μm未満の人造黒鉛は、実質的に入手が困難であり、入手できても非常に高価である。一方、上記人造黒鉛の平均粒子径が10μmを超えると、得られた架橋物や、この架橋物を用いたシール部材は体積抵抗率が大きく、通電性能が劣ることになる。
上記人造黒鉛の平均粒子径のより好ましい下限は2μmであり、更に好ましい下限は4μmである。一方、人造黒鉛の平均粒子径のより好ましい上限は、8μmである。
上記人造黒鉛の平均粒子径は、レーザー回折/散乱法を用いて測定した体積基準の粒度分布におけるメジアン径(D50)である。
上記人造黒鉛は、1次粒子であってもよいし、2次粒子であってもよい。
上記人造黒鉛としては、市販品を使用することもできる。
上記市販品としては、例えば、PAG-1500(日本黒鉛工業製)が挙げられる。
上記人造黒鉛の含有量は、ニトリルゴム100質量部に対して30~100質量部である。この場合、摩擦係数が低く、かつシール部材に適した物性を有するニトリルゴム組成物の架橋物を提供することができる。
一方、上記人造黒鉛の含有量が30質量部未満では、上記ニトリルゴム組成物の架橋物である架橋ニトリルゴム部材の摩擦係数が充分に低くならない。また、上記人造黒鉛の含有量が100質量部を超えると、上記ニトリルゴム組成物の架橋物である架橋ニトリルゴム部材の切断時引張強さや切断時伸びが低下し、その物性がシール部材に適さなくなる。
上記人造黒鉛の含有量の好ましい下限は45質量部であり、より好ましい下限は60質量部である。上記人造黒鉛の含有量の好ましい上限は90質量部であり、より好ましい上限は80質量部である。
上記ニトリルゴム組成物は、更に、カーボンブラックを含有してもよい。
特に、上記ニトリルゴム組成物をハブシールの原料として用いる場合は、当該ハブシールは導電性が要求されることから、カーボンブラックを含有することが好ましい。
上記カーボンブラックとしては、例えば、SRF、GPF、FEF、HAF、MAF、ISAF、SAF、FT、MT等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記カーボンブラックとしては、導電性に優れたケッチェンブラックやアセチレンブラックを用いることもできる。
上記ニトリルゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、上記カーボンブラックの含有量は、ニトリルゴム100質量部に対して、20~70質量部が好ましい。
上記カーボンブラックの含有量が20質量部未満では、架橋ニトリルゴム部材の導電性を充分に確保できないことがある。一方、カーボンブラックの含有量が70質量部を超えると、架橋ニトリルゴム部材が硬くなりすぎたり、切断時引張強さが低くなりすぎたりすることがある。
本実施形態のニトリルゴム組成物は、加硫成形されて架橋ニトリルゴム部材となる。そのため、上記ニトリルゴム組成物は、加硫剤(架橋剤)を含有していてもよい。
上記加硫剤としては従来公知の加硫剤を用いることができる。上記加硫剤の具体例としては、例えば、粉末硫黄、微粉硫黄、沈降性硫黄、高分散性硫黄、硫黄華などの硫黄、硫黄を放出可能な硫黄含有化合物、過酸化物等が挙げられる。これらのなかでは、取り扱いが容易であることから、硫黄又は硫黄含有化合物が好ましい。
上記ニトリルゴム組成物は、加硫剤ともに、更に加硫助剤や加硫促進剤を含有していてもよい。
上記加硫助剤としては従来公知の加硫助剤を用いることができる。上記加硫助剤の具体例としては、例えば、酸化亜鉛等の金属酸化物、金属炭酸塩、金属水酸化物、ステアリン酸等の有機酸及びその誘導体、アミン類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記加硫促進剤としては従来公知の加硫促進剤を用いることができる。上記加硫促進剤は、上記加硫剤の種類に応じて適宜選択すればよい。上記加硫促進剤の具体例としては、例えば、グアニジン系化合物、アルデヒド-アンモニア系化合物、チアゾール系化合物、チオウレア系化合物、スルフェンアミド系化合物、チウラム系化合物、ジチオカルバメート系化合物、キサンテート系化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記加硫剤、上記加硫助剤及び上記加硫促進剤のそれぞれの配合量は、いずれも上記ニトリルゴム100質量部に対して、0.1~10質量部程度とすればよい。
上記ニトリルゴム組成物は、可塑剤を含有してもよい。上記可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ化植物油、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、マレイン酸エステル、及び安息香酸エステルが挙げられる。
これらのなかでは、アジピン酸エステルが好ましく、アジピン酸ビス[2-(2-ブトキシエトキシ)エチル](DBEEA)がより好ましい。
上記可塑剤の配合量は、上記ニトリルゴム100質量部に対して、5~20質量部程度とすればよい。
上記ニトリルゴム組成物は、更に、酸化防止剤、老化防止剤、高級脂肪酸エステルやその金属塩等の加工助剤、光安定剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤、シリカなど補強剤等の添加剤をニトリルゴム組成物の架橋物(架橋ニトリルゴム部材)が常態物性を損なわない範囲で含有してもよい。
上記ニトリルゴム組成物を調製する方法は特に限定されず、従来公知の手法で調製すればよい。例えば、未架橋の上記ニトリルゴム及び上記人造黒鉛と、必要に応じて配合するカーボンブラック、加硫剤及び各種添加剤等を、ゴム混練ロールやバンバリーミキサー等の従来公知のゴム用混練り装置を用いて均一に混練することによって調製すればよい。
このとき、混練条件は特に限定されないが、例えば、30~80℃の温度で、5~60分間混練りすればよい。
[架橋ニトリルゴム部材]
本発明の実施形態に係る架橋ニトリルゴム部材は、本発明の実施形態に係るニトリルゴム組成物の架橋物である。
上記架橋ニトリルゴム部材の製造は金型を用いて行えばよく、当該架橋ニトリルゴム部材は、例えば、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形等の公知のゴム成形方法により製造することができる。
このときの成形条件は、ニトリルゴム組成物の組成に応じて適宜選択すればよく、例えば、120~200℃で、30秒間~30分間程度の条件で加圧加硫すればよい。更に、必要に応じて、例えば120~200℃で、10分間~10時間程度の条件で2次加硫を行ってもよい。
上記架橋ニトリルゴム部材は、上記ニトリルゴム組成物の架橋物であり、摩擦係数の低い部材である。そのため、上記架橋ニトリルゴム部材はシール部材に好適に用いることができる。
上記架橋ニトリルゴム部材をシール部材に用いる場合、上記架橋ニトリルゴム部材の好ましい常態物性は、下記の通りである。
JIS K 6253-3:2012に準拠して測定したデュロメータA硬さが、好ましくは70A~80Aである。
摩擦摩耗試験機を用いて測定した動摩擦係数が、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.0以下、更に好ましくは0.8以下である。
上記動摩擦係数の下限は、通常、0.1程度である。
JIS K 6251:2017に準拠し、引張り速度500mm/minで測定した切断時引張強さ(Tb)が、好ましくは10MPa以上、より好ましくは12MPa以上である。
JIS K 6251:2017に準拠し、引張り速度500mm/minで測定した切断時伸び(Eb)が、好ましくは300%以上、より好ましくは400%以上である。
抗張積(MPa・%)は、3000MPa・%以上が好ましく、4000MPa・%以上がより好ましく、5000MPa・%以上が更に好ましい。一方、抗張積(MPa・%)の好ましい上限は、7000MPa・%である。
上記抗張積(MPa・%)は、切断時引張強さ(Tb)と切断時伸び(Eb)との積であり、上記抗張積(MPa・%)の値は、架橋ニトリルゴム部材の耐摩耗性の指標となる。
上記架橋ニトリルゴム部材をハブシールに用いる場合、上記架橋ニトリルゴム部材は、更に下記の常態物性を備えることが好ましい。
JIS K6271-2:2015に準拠して測定した(但し、温度は23℃、湿度は65%とした)体積抵抗率(Ω・cm)が、好ましくは700Ω・cm以下、より好ましくは350Ω・cm以下である。
ハブシールは通電性が求められるため、上記範囲の体積抵抗率を有する架橋ニトリルゴム部材がハブシールを構成する弾性部材として好適に用いられる。
上記架橋ニトリルゴム部材は、シール部材以外にも種々の用途に用いることができ、従来、架橋ニトリルゴムが用いられていた部材に使用することができる。
上記架橋ニトリルゴム部材は摩擦係数が低いため、相手材と摺接する部材に好適に採用される。
[シール部材]
上記架橋ニトリルゴム部材は、シール部材の相手材と摺接するリップ部を構成する弾性部材として好適である。上記架橋ニトリルゴム部材からなるリップ部を備えたシール部材は、低トルク化に適したシール部材である。
上記シール部材は、オイルシールとして好適であり、特に、上記体積抵抗率が低い場合は、ハブシールとして好適である。
上記ハブシールは、自動車の車輪を回転自在に支持するハブユニットに用いられるオイルシールとして良く知られている。上記ハブユニットは、例えば、ハブ軸と外輪と転動体と保持器と、上記ハブ軸と上記外輪との間に形成され、上記保持器及び上記転動体が配設された環状空間を密封するシール部材とで構成されており、このシール部材がハブシールである。上記ハブシールは、例えば、金属製の環状の芯金に、相手材と摺接するリップ部を有する環状の弾性部材が加硫接着されたものである。本発明の実施形態に係るハブシールは、上記弾性部材として、上記架橋ニトリルゴム部材を用いたものである。
上記ハブシールの製造は、例えば、金型内に芯金を構成する金属環と、未架橋の上記ニトリルゴム組成物とを投入し、その後、上述した条件で上記ニトリルゴム組成物を加硫する一次加硫工程を行い、更に、金型から脱型し、必要に応じて二次加硫を行うことにより製造することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例のそれぞれでは、常態物性を測定するためにシートを作製した。
実施例及び比較例で、ニトリルゴム組成物の調製に用いた配合薬品は以下の通りである。
<ニトリルゴム>
・クライナック2865(ランクセス社製):AN量28%
<人造黒鉛>
・人造黒鉛A(SECカーボン社製):平均粒子径6μm
・人造黒鉛B(SECカーボン社製):平均粒子径35μm
<カーボンブラック>
・HAF-HSカーボン(東海カーボン社製、シースト3H)
<加硫剤>
・微粉硫黄(細井化学社製):325メッシュ
<その他>
・ステアリン酸:TST(ミヨシ油脂社製)
・老化防止剤:TMDQ(大内新興化学工業社製、ノクラック224)
・可塑剤:DBEEA(アデカ社製、アデカサイザー RS-107)
・加硫助剤:酸化亜鉛2種(堺化学工業社製)
・加硫促進剤:TMTD(大内新興化学工業社製、ノクセラーTT-P)
・加硫促進剤:TETD(大内新興化学工業社製、ノクセラーTET-G)
(実施例1~3、及び比較例1~2)
(1)表1に示した配合量(質量部)の上述した配合薬品をロールで混練し、ニトリルゴム組成物を得た。
(2)金型内に上記(1)で得たゴム組成物を注型した後、170℃、3分間の条件で一次加硫を行い、厚さ2±0.2mmの架橋ニトリルゴム部材(ゴムシート)を作製した。なお、二次加硫は行わなかった。
Figure 2022136496000001
実施例1~3、及び比較例1、2で作製したゴムシートを使って下記の評価を行った。結果を表2に示した。
(1)硬さ:
タイプAデュロメータを使用して「JIS K 6253-3:2012」に準拠した方法でデュロメータA硬さを測定した。ここで、測定は、2±0.2mmのゴムシートを3枚重ねて行った。
(2)切断時引張強さ(Tb)及び切断時伸び(Eb):
シートを切り出し、ダンベル状3号形の試験片を作製した。
作製した試験片を使用して「JIS K 6251:2017」に準拠した引張試験を行った。このとき、引張り速度は、500mm/minとし、試験片の数は3個とした。
(3)抗張積:
上記(2)で測定した切断時引張強さ(Tb)及び切断時伸び(Eb)から算出した。
(4)動摩擦係数:
シートを円板状に切り出した、直径46mm、厚さ2±0.2mmの試験片を作製した。この試験片を用いて、下記の試験条件で摩擦摩耗試験を行った。
試験条件
試験装置:摩擦摩耗試験機EFM-III-F(株式会社オリエンテック社製)
測定治具:外径25.6mm、内径20.0mm、厚さ15.0mm、材質S45C、表面粗さRa0.5μm
垂直荷重:5kg
面圧 :2.49kg/cm
回転速度:500rpm
周速 :0.6m/s
試験時間:10min
室温 :25℃
(5)体積抵抗率:
JIS K 6271-2:2015に 準拠して手法で測定した。このとき、シートを幅20mm、長さ80mm、厚さ1.0mmに切り出したものを試験片とした。測定温度は23℃とし、測定湿度は65%とした。
Figure 2022136496000002
表2に示した通り、本発明の実施形態に係る架橋ニトリルゴム部材は、摩擦係数が低く、低トルクのシール部材のリップ部を構成する弾性素材として適している。
更に、実施例1、2の架橋ニトリルゴム部材は、人造黒鉛として平均粒子径の小さい人造黒鉛を含有しているため、通電性に優れ、ハブシールを構成する弾性部材として好適に用いることができる。特に、実施例1の架橋ニトリルゴム部材は、通電性に優れ、ハブシールのリップ部を構成する弾性部材として極めて好適である。

Claims (4)

  1. ニトリルゴムと、人造黒鉛とを含み、
    前記人造黒鉛の含有量が、前記ニトリルゴム100質量部に対して30~100質量部である、ニトリルゴム組成物。
  2. 前記人造黒鉛の平均粒子径は、1~10μmである請求項1に記載のニトリルゴム組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のニトリルゴム組成物の架橋物からなる架橋ニトリルゴム部材。
  4. 請求項3に記載の架橋ニトリルゴム部材からなるリップ部を備えたシール部材。
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