JP2022136444A5 - - Google Patents

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この場合に、前記絶縁外層は、中空構造をとっているとよい。絶縁外層が中空構造をとり、信号線の外周に空気の層が設けられることで、通信用電線が良好な通信特性を示すものとなる。一方で、絶縁外層が中空構造をとることで、絶縁外層に囲まれた空間において燃焼が進行しやすくなるが、絶縁外層のみならず、絶縁被覆も難燃性樹脂組成物で構成されていることにより、通信用電線全体として高い難燃性を確保することができる。
前記絶縁被覆の構成材料は、前記絶縁外層の構成材料よりも高い曲げ弾性率と、前記絶縁外層の構成材料よりも低い比誘電率を有しているとよい。絶縁外層の構成材料として、曲げ弾性率の低いものを用いることで、信号線に対する保護効果や難燃効果を高める等の目的で、絶縁外層を厚く形成しても、通信用電線全体として、高い曲げ柔軟性を確保することができる。一方で、絶縁被覆の構成材料が、低い比誘電率を有していることで、通信用電線において、高い通信特性が得られやすい。絶縁外層については、信号線を構成する導体から遠い位置に配置されるため、比較的多量の難燃剤や難燃助剤を添加して、比誘電率が高くなったとしても、通信特性に与える影響は小さくて済む。
(2-3)難燃助剤
難燃助剤は、三酸化アンチモンを含むものであり、臭素系難燃剤による難燃作用を促進する役割を果たす。難燃助剤は、三酸化アンチモンを主成分とするものであることが好ましい。さらには、難燃剤は、99質量%以上が三酸化アンチモンより構成されていることが好ましく、この場合に、例えば、鉱物として産出される三酸化アンチモンを粉砕処理し、微粒子化したものを、難燃助剤として好適に用いることができる。難燃助剤としては、平均粒子径が3μm以下、さらには1μm以下のものを用いることが好ましい。すると、難燃助剤と高分子成分との界面における接着強度を高めることができる。難燃助剤は、粒径の制御や、高分子成分との界面における接着強度の向上等を目的として、シランカップリング剤、高級脂肪酸、ポリオレフィンワックスなどの表面処理剤により処理されていてもよい。
さらに、臭素系難燃剤と難燃助剤との含有量比は、質量比で、臭素系難燃剤の含有量を1として、難燃助剤の含有量は、1/4以上、さらには1/3.5以上であることが好ましい。これにより、難燃助剤による難燃性補助効果が高くなる。一方、難燃助剤の含有量は、1/2以下、さらには1/2.5以下であるとよい。つまり、高分子成分100質量部に対して、臭素系難燃剤を20質量部以上50質量部以下の量で添加する場合、難燃剤の好ましい含有量は、5質量部25質量部以下の範囲となる。最も好ましいのは、臭素系難燃剤と難燃助剤との含有量比が、臭素系難燃剤の含有量1に対して、難燃助剤の含有量が1/3となる形態である。臭素系難燃剤と三酸化アンチモンが量で反する場合のモル質量比が、おおむね臭素系難燃剤:三酸化アンチモン=3:1となるからである。
絶縁被覆13を構成する樹脂組成物の場合には、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系酸化防止剤を単独で用いることが好ましい。一方、絶縁外層20を構成する樹脂組成物の場合には、酸化防止剤として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、チオール系酸化防止剤を併用し、さらに酸化亜鉛も添加することが好ましい。絶縁外層20においては、周囲の環境との調和性老化、つまり隣り合う材質との間の成分の移行による酸化劣化を抑制することが好ましく、その手段として、複数の酸化防止効果のある添加剤を組み合わせることが有効である。酸化劣化反応のサイクルにおいて、一部の種類の酸化防止剤が移行しても、別の種類の酸化劣化反応を抑制する酸化防止剤が絶縁外層20に残ることで、劣化反応のサイクルが進行するのを抑制できるからである。
(耐摩耗性)
各試料の通信用電線に対して、ISO6722に準じた耐摩耗試験を行った。つまり、通信用電線に対して外径0.45mmの鉄線を荷重7Nで押し当て、55回/分の速さで往復動させ、鉄線と通信用電線の導体が導通するまでの回数を測定した。往復回数300回以上の場合を、耐摩耗性が特に高い「A+」と評価した。また、往復回数が100回以上300回未満の場合を、耐摩摩耗性が高い「A」と評価した。往復回数が100回未満の場合を、耐摩摩耗性が低い「B」と評価した。
試料C1~C9はいずれにおいても、絶縁被覆および/または絶縁外層で、臭素系難燃剤と併用する難燃助としての三酸化アンチモンを、粉体の状態ではなく、あらかじめ高濃度のマスターバッチとしてから、樹脂組成物に添加している。それに対応して、いずれの試料においても、凝集物サイズが50μm以下となっている。このように、難燃助剤が樹脂組成物中に微細に分散されることで、良好な電線外観が得られている。難燃性も高くなっている。さらに、特性インピーダンスおよび透過モード変換の安定性も高くなっており、難燃助剤が微細に分散することで、樹脂組成物の材料特性が高い均一性を備えるものとなることが示唆される。耐熱性も高くなっており、それら樹脂組成物の材料特性は、高温環境を経ても安定に維持されていると言える。
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