JP2016092380A - 電磁波遮蔽用樹脂組成物、及び、ケーブル - Google Patents
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Abstract
Description
A=前記炭素粒子の吸油量[ml/100g]×前記ベース樹脂100質量部に対する前記炭素粒子の配合量/前記電磁波遮蔽用樹脂組成物を構成する各成分の合計配合量・・・(1)
で算出されるAが5〜41[ml/100g]であり、下記式(2):
B=前記ベース樹脂100質量部に対する前記磁性層被覆炭素繊維の配合量/A・・・(2)
で算出されるBが1.5〜15[100g/ml]であり、前記酸変性POの酸変性率が3質量%以上である電磁波遮蔽用樹脂組成物である。
酸変性率(%)=1.06×A1850/[試料の厚さ(mm)]
ここで、酸変性POが酸変性率の異なる複数種類(n種類)の酸変性POの混合物で構成される場合には、各酸変性POの酸変性率の加重平均により算出される平均酸変性率を意味するものとする。すなわち、平均酸変性率は下記式に基づいて算出される。
ここで、通常は複数の酸変性POの全部の酸変性率が3質量%以上であるが、複数の酸変性POのうちの一部の酸変性POについては、平均酸変性率が3質量%以上にさえなれば、その酸変性率が3質量%未満であってもよい。
まず本発明のケーブルの第1実施形態について図1を用いて説明する。図1は本発明のケーブルの第1実施形態としての電力ケーブルの断面図である。
A=炭素粒子の吸油量[ml/100g]×ベース樹脂100質量部に対する炭素粒子の配合量/電磁波遮蔽用樹脂組成物を構成する各成分の合計配合量・・・(1)
で算出されるAが5〜41[ml/100g]であり、下記式(2):
B=ベース樹脂100質量部に対する磁性層被覆炭素繊維の配合量/A・・・(2)
で算出されるBが1.5〜15[100g/ml]である。上記式(1)において、炭素粒子の配合量及び電磁波遮蔽用樹脂組成物を構成する各成分の合計配合量の単位は「質量部」である。また電磁波遮蔽用樹脂組成物を構成する各成分の合計配合量は、ベース樹脂を100質量部とし、その他の成分の配合量については、ベース樹脂100質量部を基準とした配合量とする。また上記式(2)において、ベース樹脂100質量部に対する磁性層被覆炭素繊維の配合量の単位は「質量部」である。上記電磁波遮蔽用樹脂組成物は、優れた電磁波遮蔽特性、耐屈曲性及び低温脆化特性を有することが可能である。
まず導線4を準備する。導線4は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、導線4は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。
次に、内部半導電層5及び外部半導電層2を準備する。このとき、外部半導電層2を構成する材料としては、上述した電磁波遮蔽用樹脂組成物を準備する。この電磁波遮蔽用樹脂組成物は、上述したように、ベース樹脂と、磁性金属からなる磁性層で炭素繊維を被覆してなる磁性層被覆炭素繊維と、炭素粒子とを含む。
ベース樹脂はPVC及び酸変性POを含む。
PVCの平均重合度は特に制限されるものではないが、900〜5000であることが好ましい。この場合、PVCの平均重合度が900未満である場合に比べて、低温脆化特性および耐屈曲性がより向上する。また、平均重合度が5000を超える場合に比べて、PVCの溶融粘度が低くなり、溶融混練が容易になる。したがってこの場合、電磁波遮蔽用樹脂組成物の製造が容易になる。
酸変性POは、ポリオレフィンを酸で変性することにより得ることができる。酸としては、例えばメタクリル酸、マレイン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸などの酸のみならず、無水マレイン酸、 無水酢酸、無水プロピオン酸、無水コハク酸、無水フタル酸などの酸無水物が挙げられる。これらは1種類単独で又は2種以上を組み合せて使用されてもよい。
磁性層被覆炭素繊維は、炭素繊維に、磁性金属からなる磁性層を被覆してなるものである。磁性金属は、磁性を有する金属であればいかなるものでもよい。このような磁性金属としては、例えばニッケル、鉄、コバルト、クロム、マンガンなどが挙げられる。これらは1種類単独で又は2種類以上の合金として使用することも可能である。中でも磁性金属はニッケルであることが好ましい。
炭素繊維の平均長さ= n本分の繊維長さの合計/n
で定義される炭素繊維の長さの平均値を言う。ここで、炭素繊維の長さは、電子顕微鏡の観察モニターに映った炭素繊維に対し、オペレーションソフトが備えるスケール機能を適用することで計測できる。ここで、炭素繊維の長さは、電子顕微鏡(SEM)で観察した際に、観察モニターに映った炭素繊維の長軸方向の最大値を言う。なお、炭素繊維の長さの測定は、電磁遮蔽波用樹脂組成物を溶剤で溶解し、濾過、乾燥させることで得られる炭素繊維に対して行うことができる。ここで、PVCを溶解する場合、溶媒としてはTHF(テトラヒドロフラン)が好適であり、酸変性POを溶解する場合、溶媒としてはトルエンが好適である。
上記電磁波遮蔽用樹脂組成物に含まれる炭素粒子としては、例えばカーボンブラック、木炭、活性炭、グラファイト、コークスなどが挙げられる。これらは1種類単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中ではカーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックとしては、例えばケッチェンブラック及びアセチレンブラックなどが挙げられる。
炭素粒子の平均一次粒子径=n個分の一次粒子径の合計/n
上記式(1)で算出されるAは5〜41[ml/100g]である。Aがこの範囲内にあると、5[ml/100g]未満である場合に比べて、耐屈曲性に優れるという利点が得られる。Aがこの範囲内にあると、41[ml/100g]を超える場合に比べて、電磁波遮蔽特性に優れるという利点が得られる。
Bは好ましくは1.6〜14[100g/ml]であり、より好ましくは2〜12[100g/ml]である。
電磁波遮蔽用樹脂組成物は、ベース樹脂がPVCを含む場合には可塑剤を含むことが好ましい。この場合、電磁波遮蔽用樹脂組成物はより優れた低温脆化特性を確保することができる。可塑剤としては、例えばフタル酸ジイソノニル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)などのフタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、低分子ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ系可塑剤、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステルなどが挙げられる。これらは1種類が単独で含まれていても又は2種以上が組み合わせて含まれていてもよい。
磁性層被覆炭素繊維の配向度=外部半導電層2の厚さ方向の体積抵抗率/外部半導電層2の長手方向の体積抵抗率
で定義される磁性層被覆炭素繊維の配向度は、特に制限されるものではないが、電磁波遮蔽特性をより向上させる観点からは、好ましくは5000以上であり、より好ましくは8000以上である。
電磁波遮蔽用樹脂組成物は、カップリング剤をさらに含むことが好ましい。この場合、カップリング剤は加水分解性基と反応性基とを有しており、加水分解性基が加水分解して磁性層被覆炭素繊維に化学結合し、反応性基がベース樹脂に化学結合する。このため、カップリング剤によって、ベース樹脂と無機物である磁性層被覆炭素繊維との相溶性が改善され、磁性層被覆炭素繊維の分散性を向上させることが可能となる。カップリング剤の加水分解性基としては、例えばアルコキシ基、環状ジアルコキシ基などが挙げられる。反応性基としては、例えばアミノ基、エポキシ基、メタクリル基、ビニル基、メルカプト基、アルキル基、スルフィド基、スチリル基、イソシアヌレート基、アクリル基、ウレイド基、イソシアネート基などが挙げられる。具体的なカップリング剤としては、例えばビニルトリアルコキシシラン、メタクリロキシアルキルトリアルコキシシラン、アミノアルキルトリアルコキシシラン、メルカプトアルキルトリアルコキシシラン、長鎖ビニルシランカップリング剤、二官能性シランカップリング剤、アルキルトリアルコキシシラン等のシランカップリング剤;チタンアルキレングリコレート、アルキルベンゼンスルホン酸チタン化合物、チタンアミノアルキルアミノエタノレート等のチタン系カップリング剤;アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどのアルミニウム系カップリング剤などが挙げられる。これらは1種類が単独で含まれていても又は2種以上が組み合わせて含まれていてもよい。
電磁波遮蔽用樹脂組成物はカップリング剤に代えて、又はカップリング剤とともに分散剤をさらに含むことが好ましい。この場合、分散剤によって、ベース樹脂と無機物である磁性層被覆炭素繊維との相溶性が改善され、磁性層被覆炭素繊維の分散性を向上させることが可能となる。具体的な分散剤としては、例えば塩基性高分子分散剤、中性高分子分散剤及び酸性高分子分散剤などが挙げられる。これらは1種類が単独で含まれていても又は2種以上が組み合わせて含まれていてもよい。
電磁波遮蔽用樹脂組成物は、安定剤、難燃剤、充填材、表面処理剤、ドリップ防止剤、加工助剤、活剤、老化防止剤、架橋剤、架橋助剤、スコーチ防止剤などの添加剤を必要に応じてさらに含んでもよい。
次に、絶縁層6及びシース3を形成するための絶縁材料を用意する。この絶縁材料は絶縁性を示すものであればよい。このような絶縁材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ブタジエン−ジエンゴム(EPDM)、PVC、塩素化PE樹脂(CPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート(EEA)、クロロプレンゴム(CR)、ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)及び天然ゴム(NR)などを用いることができる。これらは1種類単独で又は2種以上を組み合せて用いることが可能である。なお、外部半導電層2が可塑剤を含む場合には、絶縁層6及びシース3を形成するための絶縁材料中にも可塑剤を配合し、外部半導電層2中の可塑剤の含有率と絶縁材料中の可塑剤の含有率との差を小さくすることが好ましい。この場合、可塑剤が外部半導電層2から絶縁層6やシース3中に移行して外部半導電層2の低温脆化特性及び耐屈曲性が低下することが十分に抑制される。ここで、外部半導電層2中の可塑剤の含有率と絶縁材料中の可塑剤の含有率との差は例えば0〜10質量%とすればよい。但し、酸変性POの酸変性率が3質量%以上である場合には、外部半導電層2中の可塑剤が絶縁層6やシース3に移行することが十分に抑制されるので、必ずしも絶縁層6やシース3中に可塑剤を配合する必要はない。
次に、本発明のケーブルの第2実施形態について図2を用いて説明する。図2は本発明のケーブルの第2実施形態としての電気自動車の急速充電器に接続されるケーブルの断面図である。
電磁波遮蔽用樹脂組成物の原料としては、以下のものを使用した。
(1)ベース樹脂
(1−1)PVC
PVC−1
平均重合度1100(大洋塩ビ社製、商品名「TH−1000」)
PVC−2
平均重合度1350(大洋塩ビ社製、商品名「TH−1400」)
PVC−3
平均重合度2000(大洋塩ビ社製、商品名「TH−2000」)
PVC−4
平均重合度2800(大洋塩ビ社製、商品名「TH−2800」)
(1−2)酸変性PO
酸変性PO−1
酸変性率4質量%(三井化学株式会社製、商品名「タフマーMA8510」)
酸変性PO−2
酸変性率9質量%(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製、商品名「ニュクレルN0903HC」)
酸変性PO−3
酸変性率12質量%(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製、商品名「ニュクレルN1207C」)
酸変性PO−4
酸変性率15質量%(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製、商品名「ニュクレルN1525」)
酸変性PO−5
酸変性率2質量%(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製、商品名「ニュクレルN0200H」)
酸変性PO−6
酸変性率3質量%(タフマーMA8510とニュクレルN0200Hとの混合物、タフマーMA8510:ニュクレルN0200H=40質量%:40質量%)
可塑剤−1
フタル酸ジイソノニル(ジェイ・プラス社製、商品名「DINP」)
可塑剤−2
フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(ジェイ・プラス社製、商品名「DOP」)
炭素繊維−1
東邦テナックス社製HT M100(ミルド)、平均長さ40μm、アスペクト比5.7
炭素繊維−2
東邦テナックス社製HT M100(ミルド)、平均長さ160μm、アスペクト比23
炭素繊維−3
東邦テナックス社製HT C503(チョップド)、平均長さ6000μm、アスペクト比857
炭素繊維−4
東邦テナックス社製HT C903(Niメッキチョップド)、平均長さ6000μm、アスペクト比800
炭素繊維−5
東邦テナックス社製HT C923(Niメッキチョップド)、平均長さ6000μm、アスペクト比800
炭素粒子−1
アセチレンブラック、吸油量(DBP吸油量)175mL/100g、アスペクト比3未満、平均一次粒径35nm(電気化学工業社製、商品名「デンカブラック(粒状)」)
炭素粒子−2
ケッチェンブラック、吸油量(DBP吸油量)495mL/100g、アスペクト比3未満、平均一次粒径34nm(ライオン社製、商品名「EC600JD」)
炭素粒子−3
ファーネスブラック、吸油量(DBP吸油量)50mL/100g、アスペクト比3未満、平均一次粒径78nm(旭カーボン株式会社製、商品名「旭♯35」)
炭素粒子−4
ファーネスブラック、吸油量(DBP吸油量)63mL/100g、アスペクト比3未満、平均一次粒径80nm(旭カーボン株式会社製、商品名「旭♯50」)
炭素粒子−5
ファーネスブラック、吸油量(DBP吸油量)101mL/100g、アスペクト比3未満、平均一次粒径28nm(旭カーボン株式会社製、商品名「旭♯70」)
シリカ−1
湿式シリカ(東新化成株式会社製、商品名「アエロジル200」)
シリカ−2
乾式シリカ(東新化成株式会社製、商品名「アエロジルR−974」)
カップリング剤−1
商品名「KBM−1003」(信越化学工業社製、ビニルトリメトキシシラン)
カップリング剤−2
商品名「KBM−503」(信越化学工業社製、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)
カップリング剤−3
商品名「KBM−903」(信越化学工業社製、3−アミノプロピルトリメトキシシラン)
カップリング剤−4
商品名「KBE−903」(信越化学工業社製、3−アミノプロピルトリエトキシシラン)
カップリング剤−5
商品名「KBM−803」(信越化学工業社製、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)
カップリング剤−6
商品名「KBM−1083」(信越化学工業社製、長鎖ビニルシランカップリング剤)
カップリング剤−7
商品名「KBM−3066」)(信越化学工業社製、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン)
カップリング剤−8
商品名「ブレンアクト38S」(味の素ファインテクノ社製、イソプロピオキシチタンリン酸化合物)
カップリング剤−9
商品名「ブレンアクト138S」(味の素ファインテクノ社製、環状ジアルコキシチタンリン酸化合物)
カップリング剤−10
商品名「ブレンアクト41B」(味の素ファインテクノ社製、イソプロピオキシチタンリン酸化合物)
カップリング剤−11
商品名「ブレンアクト9SA」(味の素ファインテクノ社製、イソプロピオキシチタンスルホン酸化合物)
カップリング剤−12
商品名「ブレンアクトAL−M」(味の素ファインテクノ社製、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート)
カップリング剤−13
商品名「オルガチックスTC−1040」(マツモトファインケミカル社製、チタンオクチレングリコレート)
カップリング剤−14
商品名「オルガチックスTC−810」(マツモトファインケミカル社製、ドデシルベンゼンスルホン酸チタン化合物)
カップリング剤−15
商品名「オルガチックスTC−510」(マツモトファインケミカル社製、チタンアミノエチルアミノエタノレート)
カップリング剤−16
商品名「KBM−3063」(信越化学工業社製、ヘキシルトリメトキシシラン)
カップリング剤−17
商品名「KBM−3103」(信越化学工業社製、デシルトリメトキシシラン)
分散剤−1
商品名「アジスパーPN411」(味の素テクノファイン社製、中性高分子系顔料分散剤)
分散剤−2
商品名「アジスパーPA111」(味の素テクノファイン社製、酸性高分子系顔料分散剤)
Ni粉末
JFEミネラル社製、商品名「NST201」
Fe粉末
JFEスチール社製、商品名「JIP 270MS」
Cu繊維
虹技社製、商品名「C1100」
Ca/Zn系安定剤(水澤化学工業社製、商品名「スタビネックスNL221−5」、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイトなど、多種を配合したもの)
上記の電磁波遮蔽用樹脂組成物の原料のうち炭素繊維以外のベース樹脂、可塑剤、炭素粒子、シリカ、カップリング剤、分散剤及び安定剤を表1〜7に示す割合で配合し、バンバリーミキサを用いて165℃で20分間混練した後、炭素繊維を入れ4分間混練することにより、実施例1〜61及び比較例1〜22の電磁波遮蔽用樹脂組成物を得た。なお、表1〜7において、ベース樹脂、可塑剤、炭素繊維、炭素粒子、シリカ、カップリング剤、分散剤及び安定剤の配合量の単位は質量部である。
上記の電磁波遮蔽用樹脂組成物の原料のうち炭素繊維以外のベース樹脂、可塑剤、炭素粒子、シリカ、カップリング剤、金属及び安定剤を表8に示す割合で配合し、バンバリーミキサを用いて165℃で20分間混練することにより、比較例23〜33の電磁波遮蔽用樹脂組成物を得た。なお、表8において、ベース樹脂、可塑剤、炭素繊維、炭素粒子、シリカ、カップリング剤、金属及び安定剤の配合量の単位は質量部である。
(1)電磁波遮蔽特性
上記実施例1〜61及び比較例1〜33で得られた電磁波遮蔽用樹脂組成物を160℃のオープンロールでシート型に成形し、電熱プレス(160℃/10分間(5分予熱、5分150MPaで加圧))後、冷却プレス(10分間150MPa加圧)することで、20cm×20cm×1mm、20cm×20cm×2mmの電磁波遮蔽評価用試験シートを得た。
(合格基準)電界遮蔽能が60dB以上で且つ磁界遮蔽能が20dB以上
上記実施例1〜61及び比較例1〜33で得られた電磁波遮蔽用樹脂組成物を上記と同様にして押出加工し、100mm×20mm×1mmの試験シートを作製した。ここで、試験シートの長手方向と試験シートの押出方向とは一致している。そして、これらの試験シートについて、その長手方向及び厚さ方向の体積抵抗率ρ(Ω・cm)を、30℃の条件下にてJIS K6271に準拠して測定した。試験シートの長手方向の体積抵抗率に対する厚さ方向の体積抵抗率の比を表1〜8に示す。この体積抵抗率の比は、炭素繊維の配向度を示すものである。具体的には炭素繊維が押出方向にどの程度配向しているかを示すものである。
上記実施例1〜61及び比較例1〜33で得られた電磁波遮蔽用樹脂組成物を、打抜き型で打抜いて38mm×6mm×2mmの試験片を作製し、JIS K 7216に準拠した脆化試験を行い、脆化温度(℃)を測定した。結果を表1〜8に示す。なお、表1〜8において、脆化温度が−60℃未満のものは、「−60↓」と記載した。また低温脆化特性の合格基準は下記の通りとした。
(合格基準)脆化温度が−50℃以下
上記実施例1〜61及び比較例1〜33で得られた電磁波遮蔽用樹脂組成物についてJIS K 7216に準拠した引張試験を行い、初期引張伸び、引張伸び残率(熱老化)、引張伸び残率(耐油)を測定した。これらを耐屈曲性の指標とした。引張試験は、3号試験片を作製し、この試験片について引張速度200mm/minの条件下にて行った。結果を表1〜8に示す。なお、引張伸び残率(熱老化)は、ギアオーブン(大気中)で100℃、48時間放置した後の3号試験片の引張伸び残率であり、引張伸び残率(耐油)は、非極性油(IRM−2)中に70℃で4時間浸漬した後の3号試験片の引張伸び残率である。また表1〜8において、引張伸び残率(熱老化)及び引張伸び残率(耐油)を測定する際に3号試験片が溶解した場合には、「溶解」と表示した。耐屈曲性の合格基準は下記の通りとした。
(合格基準)以下の要件を全て満たすこと。
・初期引張伸びが200%以上
・引張伸び残率(熱老化)が80%以上
・引張伸び残率(耐油)が70%以上
・試験片が溶解していないこと
電磁波遮蔽特性は以下のようにして測定した。
まず以下のようにしてケーブルAの電磁波遮蔽特性を測定する準備を行った。
・シグナルジェネレータ(SG):E8257D(Agilent Technologies社製)
・パワーアンプ:A00110−4040−R(R&K社製)
・変換コネクタ:KBL−602(協立電子工業社製)
・終端抵抗:50Ω(日本抵抗器製作所社製)
・ハイブリッドアンテナ:3143B(ETS-LINDGREN社製)
・スペクトラムアナライザ:N9020A(Agilent Technologies社製)
上記のようにして測定の準備が完了した後、SGによってケーブルA,Bに30MHzの信号を流し、ケーブルA,Bからそれぞれ放射される電磁波をハイブリッドアンテナで受信し、スペクトラムアナライザで測定した。そして、ケーブルBからの放射電磁波と、ケーブルAからの放射電磁波との差に基づいて電磁波遮蔽能を求めた。結果を表9に示す。表9において、電磁波遮蔽特性の合格基準は下記の通りとした。
(合格基準)電磁波遮蔽能が20dB以上
上記ケーブルAについて、JIS C 3005、4.20.1のA法に準拠した低温巻き付けを行い、ケーブルAの表面に破損又はひび割れが生じるかどうかを調べた。このとき、低温槽の温度は−30℃とし、巻き付けた円筒の直径は314mmとし、円筒への巻付けは0.5周とした。結果を表9に示す。表9に示すように、ケーブルAにおいて、破損又はひび割れが生じなければ「合格」と判断し、破損又はひび割れが生じていれば「不合格」と判断した。
上記ケーブルAについて、巻付加熱及び曲げを行って耐屈曲性を評価した。
4…外部半導電層(電磁遮蔽層)
100,200…ケーブル
220…導電層(電磁遮蔽層)
Claims (7)
- ポリ塩化ビニル樹脂及び酸変性ポリオレフィンを含むベース樹脂と、
磁性金属からなる磁性層で炭素繊維を被覆してなる磁性層被覆炭素繊維と、
炭素粒子とを含む電磁波遮蔽用樹脂組成物であって、
下記式(1):
A=前記炭素粒子の吸油量[ml/100g]×前記ベース樹脂100質量部に対する前記炭素粒子の配合量/前記電磁波遮蔽用樹脂組成物を構成する各成分の合計配合量・・・(1)
で算出されるAが5〜41[ml/100g]であり、
下記式(2):
B=前記ベース樹脂100質量部に対する前記磁性層被覆炭素繊維の配合量/A・・・(2)
で算出されるBが1.5〜15[100g/ml]であり、
前記酸変性ポリオレフィンの酸変性率が3質量%以上である電磁波遮蔽用樹脂組成物。 - 前記酸変性ポリオレフィンの酸変性率が10質量%以下である、請求項1に記載の電磁波遮蔽用樹脂組成物。
- 前記ポリ塩化ビニル樹脂と前記酸変性ポリオレフィンの合計100質量%中における前記ポリ塩化ビニル樹脂の含有率が5〜40質量%である、請求項1又は2に記載の電磁波遮蔽用樹脂組成物。
- カップリング剤をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電磁波遮蔽用樹脂組成物。
- 分散剤をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電磁波遮蔽用樹脂組成物。
- 前記磁性層を構成する前記磁性金属がニッケルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電磁波遮蔽用樹脂組成物。
- 少なくとも1本の電線と、
前記少なくとも1本の電線を包囲するように設けられる電磁波遮蔽層とを備え、
前記電磁波遮蔽層が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電磁波遮蔽用樹脂組成物からなるケーブル。
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