JP2022136010A - 被覆農薬組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】農薬活性成分の初期の溶出が抑制されており所定の期間が経過した後は溶出に優れることから、所望のタイミングにおける農薬活性成分の溶出量をコントロールすることができ、農薬活性成分による薬害の発生を軽減するとともに、農薬活性成分の効果発現に優れた被覆農薬組成物を提供する。【解決手段】本発明の被覆農薬組成物は、農薬活性成分(a)を含む固形粒状組成物と、前記固形粒状組成物の表面を被覆する、樹脂(i)および多価金属化合物(ii)を含む被覆層と、を備え、多価金属化合物(ii)が、アルミニウム化合物、チタン化合物、亜鉛化合物、およびジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種である。【選択図】なし

Description

本発明は被覆された固形農薬組成物に関する。
近年、農業分野においては、低コスト化及び省力化を指向した農薬製剤の開発が求められている。低コスト化に関しては、優れた性能を持つ製剤を高い生産性で製造することが求められている。また省力化に関しては、農薬の施用量及び施用回数を削減するような製剤が望まれている。かかる状況下、水稲用農薬としては田植え前の育苗箱に農薬を処理する育苗箱施用法の普及が進んできている。このような施用法では、これまで環境中に流亡する等して有効に植物体へ吸収されなかった農薬活性成分を効率よく植物体へ吸収させることができ、少量の有効成分で長期間の植物体内濃度の維持が可能となり、低コスト化及び環境負荷の低減につながる。更には、従来行っていたような、水田中に作業者が踏み入り、かつ重い散布機等を背負って農薬を散布する必要がなく省力的であり、理想的な施用方法と言える。
しかし、このような施用方法においては、農薬活性成分が短期間に放出するような製剤では、効力の持続期間が短くなったり、薬害が発生したりする等、問題が発生する場合があった。一般的に水田の病害虫は田植え後から長期間発生するため、農薬製剤からの農薬活性成分の放出を長期的にわたって制御する必要がある。
このため、農薬活性成分を徐々に溶出させる徐放化に関する製剤又はその製造方法に関しては、これまでに種々の試みが検討されているが、農薬活性成分の徐放性の面では必ずしも満足ではないことがあった。
これを解決するため、吸水時の膨潤力が1~30mL/2gである農薬粒剤を、熱可塑性樹脂を有効成分とする被膜材料で被覆した時限放出制御型被覆農薬組成物が提案されている(特許文献1)。しかしながら、被覆農薬組成物を水田等に散布した後、農薬粒剤が急に膨潤して被膜が破壊される場合があり、初期の溶出制御が十分ではなく薬害が発生したり、効果が十分でない場合があった。また、当該被覆農薬組成物は、農薬活性成分と水膨潤性物質とからなる農薬粒剤の表面を、熱可塑性樹脂を主成分とする被膜で被覆して製造する方法が例示されている。しかしながら、揮発性有機化合物を使用しているため、これらは環境中へ放出されると、公害などの健康被害を引き起こす原因となる。そのため該農薬粒剤表面の溶剤を除去乾燥した際の溶剤を回収するための製造設備が必要となることから、農薬製造業者にとっては好ましいものではなかった。
また、可塑剤として揮発性有機化合物を使用しない例としては、農薬活性成分を含有する核粒剤に、熱可塑性樹脂と鉄粉または銅粉からなる被膜物質が被覆されてなる徐放性農薬粒剤が提案されている(特許文献2)。この技術によると、処理後5日間ほどは溶出を抑え、鉄粉もしくは銅粉は、水分子の存在により酸化が促進され、体積が大きくなり、被膜を破壊することにより溶出が開始されると記載されている。しかしながら、鉄粉もしくは銅粉表面の錆が皮膜となって酸化進行せず、被膜を破壊するほどまで体積が大きくならない場合があり、一方、溶出が抑制された期間を伸ばすために被膜を厚くすると、溶出開始後の溶出速度が非常に遅くなり、生育期間内に溶出が完了しない場合があり、溶出の制御が困難であった。
特開平11-322503号公報 特開2002-363004号公報
以上のように、これらの特許文献に記載の技術においては、溶出制御が十分でなく、農薬活性成分による薬害の発生や農薬活性成分の効果発現に課題を有していた。
このような課題を解決すべく本発明者は鋭意検討を行い、固形粒状組成物(農薬粒剤)の被膜層にある特定の成分を添加したところ、上記の課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 農薬活性成分(a)を含む固形粒状組成物と、
前記固形粒状組成物の表面を被覆する、樹脂(i)および多価金属化合物(ii)を含む被覆層と、
を備え、
多価金属化合物(ii)が、アルミニウム化合物、チタン化合物、亜鉛化合物、およびジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種である、被覆農薬組成物。
[2] 多価金属化合物(ii)がジルコニウム化合物である[1]に記載の被覆農薬組成物。
[3] 前記固形粒状組成物は、さらに膨潤剤(b)を含む[1]または[2]に記載の被覆農薬組成物。
[4] 膨潤剤(b)が、ベントナイト、デンプン、およびセルロース誘導体から選択される少なくとも1種である[3]に記載の被覆農薬組成物。
[5] 樹脂(i)が、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸およびメタクリル酸エステルから選ばれる1種以上の単量体の共重合体である、[1]~[4]のいずれかに記載の被覆農薬組成物。
本発明の被覆農薬組成物は、農薬活性成分の初期の溶出が抑制されており所定の期間が経過した後は溶出に優れることから、所望のタイミングにおける農薬活性成分の溶出量をコントロールすることができ、農薬活性成分による薬害の発生を軽減するとともに、農薬活性成分の効果発現に優れる。また、本実施形態の被覆農薬組成物は経時的な安定性に優れており、経時後においても溶出開始タイミングや溶出速度の変化が少なく、製品の品質安定性に優れる。
以下、本発明の被覆農薬組成物を実施の形態に基づいて説明する。なお、「~」は特に断りがなければ「以上」から「以下」を表す。
本実施形態の被覆農薬組成物は、
農薬活性成分(a)を含む固形粒状組成物と、
前記固形粒状組成物の表面を被覆する、樹脂(i)および多価金属化合物(ii)を含む被覆層と、を備える。そして、多価金属化合物(ii)は、アルミニウム化合物、チタン化合物、亜鉛化合物、およびジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種である。
本実施形態の被覆農薬組成物は、溶出が制御されており、農薬活性成分の初期の溶出が抑制されており、所定の期間が経過した後は農薬活性成分の溶出に優れており溶出速度が速い(時限放出型)ことから、所望のタイミングにおける農薬活性成分の溶出量をコントロールすることができる。これにより、農薬活性成分による薬害の発生を軽減するとともに、農薬活性成分の効果発現に優れる。また、本実施形態の被覆農薬組成物は経時的な安定性に優れており、経時後においても溶出開始タイミングや溶出速度の変化が少なく、製品の品質安定性に優れる。
[固形粒状組成物]
本実施形態において、固形粒状組成物は農薬活性成分(a)を含む。農薬活性成分(a)としては、有害生物に効果がある成分であればその種類を問わない。
農薬活性成分(a)の配合割合は特に限定されないが、効果を発現するための農薬処理量が増加する。従って固形粒状組成物100重量%に対して、通常0.1~80重量%、より好適には0.5~70重量%が好適である。
例えば、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤及び殺バクテリア剤等を配合することもでき、それ自体の物理的性状に特に限定はない。本実施形態の組成物は、これらの一種または農薬活性成分の種類を越えて二種以上の農薬活性成分を含有することができる。以下に、農薬活性成分を具体的に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前記の除草剤としては、例えば、ブトロキシジム、プロフォキシジム、クレトジム、テプラロキシジム、トラルコキシジム、セトキシジム、シクロキシジム、プロパキザホップ、キザロホップ、ハロキシホップ、フルアジホップブチル、フルアジホップ-P-ブチル、シハロホップブチル、クロジナホッププロパルギル、ジクロホップメチル、フェノキサプロップ-P-エチル、アミドスルフロン、アジムスルフロン、トリフロキシスルフロン、ベンスルフロンメチル、シクロスルファムロン、フルピルスルフロンメチル、フォーラムスルフロン、クロリムロンエチル、エタメトスルフロンメチル、ハロスルフロンメチル、ニコスルフロン、クロルスルフロン、エトキシスルフロン、イマゾスルフロン、オキサスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、トリトスルフロン、シノスルフロン、フラザスルフロン、ヨードスルフロンメチル、プリミスルフロンメチル、リムスルフロン、チフェンスルフロンメチル、メソスルフロンメチル、メトスルフロンメチル、プロスルフロン、トリアスルフロン、トリフルスルフロンメチル、スルホスルフロン、トリベヌロンメチル、トリフロキシスルフロン、フルカルバゾン、プロポキシカルバゾン、ビスピリバック、ピリベンゾキシム、ピリチオバック、ピリフタリド、ピリミノバックメチル、クロランスラムメチル、ジクロスラム、フロラスラム、フルメトスラム、メトスラム、ペノキススラム、イマザピック、イマザピル、イマザメタベンズメチル、イマザキン、イマザモックス、イマゼタピル、デスメディファム、フェンメディファム、ブロマシル、レナシル、ターバシル、メタベンチアズロン、クロロトルロン、フルオメツロン、イソプロツロン、イソウロン、ジウロン、リニュロン、テブチウロン、ヘキサジノン、メタミトロン、メトリブジン、アメトリン、アトラジン、ジメタメトリン、シアナジン、プロメトリン、シマジン、シメトリン、パラコート、ジクワット、アシフルオフェン、ビフェノックス、ホメサフェン、ラクトフェン、オキシフルオルフェン、カルフェントラゾンエチル、スルフェントラゾン、オキサジアルギル、オキサジアゾン、ブタフェナシル、サフルフェナシル、ピラゾレート、ピラゾキシフェン、ベンゾフェナップ、トプラメゾン、ピラスルフォトール、トルピラレート、メソトリオン、スルコトリオン、ベンゾビシクロン、テフリルトリオン、テンボトリオン、ビシクロピロン、フェンキノトリオン、ランコトリオン、グリホサート、グルホシネート、ビアラホス、ベンフルラリン、エタルフルラリン、ペンディメタリン、ブトラリン、オリザリン、トリフルラリン、アセトクロール、ブタクロール、アラクロール、ジメタクロール、ジメテナミド、プロパクロール、テニルクロール、メタザクロール、メトラクロール、S-メトラクロール、プレチラクロール、ペトキサミド、ベンチオカーブ、ブチレート、エスプロカルブ、モリネート、ジメピペレート、オルベンカルブ、プロスルホカルブ、トリアレート、トリクロピル、クロピラリド、フルロキシピル、ピクロラム、キンクロラック、キンメラック、クロメプロップ、MCPA、MCPB、2,4-D、アイオキシニル、ブロモキシニル、ジクロベニル、アミカルバゾン、クロリダゾン、ベンタゾン、カルブチレート、プロパニル、ピリデート、ピラフルフェンエチル、シニドンエチル、フルミクロラックペンチル、フルミオキサジン、ピコリナフェン、アクロニフェン、フルリドン、ノルフルラゾン、ジフルフェニカン、ベフルブタミド、フルロクロリドン、フルルタモン、イソキサフルトール、クロマゾン、アシュラム、ジチオピル、チアゾピル、ジカンバ、ベナゾリン、ジフルフェンゾピル、ナプタラム、ナプロパミド、テトラピオン、ピノキサデン、ピロキサスルホン、フェノキサスルホン、イプフェンカルバゾン、インダジフラム、アミノシクロピラクロール、ハラウキシフェンメチル、フロルピラウキシフェンベンジル、チアフェナシル、トリフルジモキサジン、シクロピリモレート等を挙げることができる。
前記の殺虫剤、殺ダニ剤及び殺線虫剤としては、例えば、ホスホカルブ、アラニカルブ、ブトカルボキシム、ブトキシカルボキシム、チオジカルブ、チオファノックス、アルジカルブ、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、エチオフェンカルブ、フェノブカルブ、ホルメタネート、フラチオカルブ、イソプロカルブ、メチオカルブ、メソミル、オキサミル、ピリミカルブ、プロポキスル、トリメタカルブ、XMC、アリキシカルブ、アルドキシカルブ、ブフェンカルブ、ブタカルブ、カーバノレート、メトルカルブ、キシルイルカルブ、フェノチオカルブ、キシリルカルブ、ベンダイオカルブ、アセフェート、アザメチホス、アジンホス-メチル、アジンホス-エチル、エセフォン、カズサホス、クロルエトキシホス、クロルフェンビンホス、クロルメホス、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、クマホス、シアノホス、デメトン-S-メチル、ダイアジノン、ジクロフェンチオン、ジクロルボス、ジクロトホス、ジメトエート、ジメチルビンホス、ジスルホトン、O-エチル O-4-ニトロフェニル フェニルホスホノチオアート、エチオン、エトプロホス、ファムフール、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンチオン、ホスチアゼート、ヘプテノホス、イソフェンホス-メチル、イソカルボホス、イソキサチオン、マラチオン、メカルバム、メタミドホス、メチダチオン、メビンホス、モノクロトホス、ナレッド、オメトエート、オキシデメトン-メチル、パラチオン、パラチオン-メチル、フェントエート、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホキシム、ピリミホス-メチル、プロフェノホス、プロペタンホス、プロチオホス、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、キナルホス、スルホテップ、テブピリムホス、テメホス、テルブホス、チオメトン、トリアゾホス、トリクロルホン、バミドチオン、クロルチオン、ブロムフェンビンホス、ブロモホス、ブロモホス-エチル、ブタチオホス、カルボフェノチオン、クロルホキシム、スルプロホス、ジアミダホス、テトラクロルビンホス、プロパホス、メスルフェンホス、ジオキサベンゾホス、エトリムホス、オキシデプロホス、ホルモチオン、フェンスルホチオン、イサゾホス、イミシアホス、イサミドホス、チオナジン、ホスチエタン、クロルデン、エンドスルファン、リンデン、ジエノクロル、エチプロール、フィプロニル、アセトプロール、アレスリン[(1R)-アイソマー]、ビオアレスリン、ビオアレスリン S-シクロペンテニル アイソマー、ビオレスメトリン、ベータ-シフルトリン、ガンマ-シハロトリン、ラムダ-シハロトリン、アルファ-シペルメトリン、ベータ-シペルメトリン、セタ-シペルメトリン、ゼダ-シペルメトリン、シフェノトリン[(1R)-トランス-アイソマー]、デルタメトリン、エンペントリン[(EZ)-(1R)-アイソマー]、エスフェンバレレート、フルメトリン、タウ-フルバリネート、ハルフェンプロックス、イミプロトリン、メトトリン、メトフルトリン、イプシロン-メトフルトリン、モンフルオロトリン、イプシロン-モンフルオロトリン、フェノトリン[(1R)-トランス-アイソマー]、プラレトリン、レスメトリン、カデトリン、テフルトリン、テトラメトリン、テトラメトリン[(1R)-アイソマー]、トランスフルトリン、エトフェンプロックス、ZXI8901、バイオペルメトリン、フラメトリン、プロフルトリン、フルブロシトリネート、ジメフルトリン、DDT、メトキシクロル、フェノトリン、クロチアニジン、イミダクロプリド、チアクロプリド、ジノテフラン、ニコチン、硫酸ニコチン、スルホキサフロル、フルピラジフロン、トリフルメゾピリム、スピノサド、スピネトラム、アバメクチン、エマメクチン安息香酸塩、レピメクチン、ミルベメクチン、ヒドロプレン、キノプレン、メトプレン、フェノキシカルブ、ピリプロキシフェン、臭化メチル、クロルピクリン、クリオライト、フッ化スルフリル、ホウ砂、ホウ酸、オクタホウ酸ニナトリウム塩、メタホウ酸ナトリウム塩、吐酒石、ダゾメット、メタム、カーバムナトリウム塩、ピメトロジン、ピリフルキナゾン、クロフェンテジン、ジフロビダジン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール、ジアフェンチウロン、アゾシクロチン、シヘキサチン、フェンブタチンオキシド、「c-12.5」プロパルギット、「c-12.6」テトラジホン、クロルフェナピル、DNOC、ビナパクリル、スルフルラミド、ベンスルタップ、カルタップ塩酸塩、チオシクラム、モノスルタップ、ビストリフルロン、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、ブプロフェジン、シロマジン、クロマフェノジド、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジド、アミトラズ、ヒドラメチルノン、アセキノシル、フルアクリピリム、ビフェナゼート、フェナザキン、フェンピロキシメート、ピリダベン、ピリミジフェン、テブフェンピラド、トルフェンピラド、ロテノン、インドキサカルブ、メタフルミゾン、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト、リン化アルミニウム、リン化カルシウム、リン化水素、リン化亜鉛、シアン化カルシウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シエノピラフェン、シフルメトフェン、ピフルブミド、クロラントラニリプロール、シアントラニリプロール、フルベンジアミド、フロニカミド、アザジラクチン、ベンゾキシメート、フェニソブロモレート、キノメチオナート、ジコホル、ピリダリル、ブロモプロピレート、トリアザメート、ジシクラニル、ジノブトン、ジノカップ、シアン化水素、ヨウ化メチル、カランジン、塩化水銀、メチルイソチオシアネート、ペンタクロロフェノール、ホスフィン、ピペロニル ブトキシド、ポリナクチン複合体、サバディラ、スルコフロン塩(スルコフロン-ナトリウム)、トリブホス、アルドリン、アミジチオオン、アミドチオエート、アミノカルブ、アミトン、アラマイト、アチダチオン、アゾトエート、ポリスルフィドバリウム、ベンクロチアズ、5-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-3-ヘキシルシクロヘキサ-2-エノン、1,1-ビス(4-クロロフェニル)-2-エトキシエタノール、ブトネート、ブトピロノキシル、2-(2-ブトキシエトキシ)エチル チオシアナート、カンフェクロル、クロルベンシド、クロルデコン、クロルジメホルム、クロルフェネトール、クロルフェンソン、フルアズロン、メタアルデヒド、ビアラホス、塩酸レバミゾール、アミドフルメト、ピラフルプロール、ピリプロール、トラロピリル、フルピラゾフォス、ジオフェノラン、クロルベンジレート、フルフェンジン、ベンゾメート、フルフェネリム、アルベンダゾール、オキシベンダゾール、フェンベンダゾール、メタム・ナトリウム、1,3-ジクロロプロペン、フロメトキン、シクラニリプロール、テトラトラニリプロール、ブロフラニリド、ジクロロメゾチアズ、エチレンジブロマイド、アクリロニトリル、ビス(2-クロロエチル)エーテル、1-ブロモ-2-クロロエタン、3-ブロモ-1-クロロプロパ-1-エン、ブロモシクレン、二硫化炭素、四塩化炭素、ネマデクチン、シミアゾール、カルシウム ポリスルフィド、サイトカイニン、2-(オクチルチオ)エタノール、オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、マシン油、タール油、アナバシン、酒石酸モランテル、除虫菊(ピレトリン)、ナタネ油、ダイズレチシン、デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、脂肪酸グリセリド、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ケイソウ土、アフォキソラネル、フルアザインドリジン、アフィドピロペン、シハロジアミド、チオキサザフェン、フルヘキサフォン、フルララネル、フルキサメタミド、テトラクロラントラニリプロール、サロラネル、ロチラネル、シクロキサプリド、フルエンスルホン、TPIC、D-D、ペルオキソカルボナート、MB-599、ビス(2,3,3,3-テトラクロロプロピル)エーテル、DCIP、ENT-8184、Bayer 22408、Bayer 32394、BAI-1602、BAI-1603、オキサゾスルフィル、クロロプラレスリン、ベンズピリモキサン、アシノナピル、スピロピジオン、フルピリミン、チクロピラゾフロル等を挙げることができる。
前記の殺菌剤及び殺バクテリア剤としては、例えば、ベナラキシル、ベナラキシルMまたはキララキシル、オキサジキシル、フララキシル、メタラキシル、メタラキシルMまたはメフェノキサム、オフラセ、ベノミル、カルベンダジム、フベリダゾール、チアベンダゾール、チオファネート、チオファネートメチル、ジエトフェンカルブ、ゾキサミド、エタボキサム、ペンシクロン、フルオピコリド、フェナマクリル、ベノダニル、ベンゾビンジフルピル、ビキサフェン、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フルオピラム、フルトラニル、フルキサピロキサド、フラメトピル、イソフェタミド、イソピラザム、メプロニル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、ペンフルフェン、ピジフルメトフェン、セダキサン、チフルザミド、ピラジフルミド、アゾキシストロビン、クモキシストロビン、ジモキシストロビン、エノキサストロビン、ファモキサドン、フェンアミドン、フェナミンストロビン、フルフェノキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、マンデストロビン、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、ピラオキシストロビン、ピリベンカルブ、トリクロピリカルブ、トリフロキシストロビン、シアゾファミド、アミスルブロム、ビナパクリル、メプチルジノカップ、ジノカップ、フルアジナム、アメトクトラジン、シプロジニル、メパニピリム、ピリメタニル、ストレプトマイシン、ブラストサイジンS、カスガマイシン、オキシテトラサイクリン、フェンピクロニル、フルジオキソニル、キノキシフェン、プロキナジド、クロゾリネート、ジメタクロン、イプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン、エジフェンホス、イプロベンホス、ピラゾホス、イソプロチオラン、ビフェニル、クロロネブ、ジクロラン、キントゼン、テクナゼン、トルクロホスメチル、エトリジアゾール、ヨードカルブ、プロパモカルブ、プロチオカルブ、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾールM、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェナリモル、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、キンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ヌアリモール、オキスポコナゾール、オキスポコナゾールフマル酸塩、ペフラゾエート、ペンコナゾール、プロクロラズ、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、ピリフェノックス、ピリソキサゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリフルミゾール、トリホリン、トリチコナゾール、メフェントリフルコナゾール、イプフェントリフルコナゾール、アルジモルフ、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、トリデモルフ、フェンプロピジン、ピペラリン、スピロキサミン、フェンヘキサミド、フェンピラザミン、ピリブチカルブ、ナフチフィン、テルビナフィン、ポリオキシン類、ジメトモルフ、フルモルフ、ピリモルフ、ベンチアバリカルブ、ベンチアバリカルブイソプロピル、イプロバリカルブ、マンジプロパミド、バリフェナレート、フサライド、ピロキロン、トリシクラゾール、カルプロパミド、ジクロシメット、フェノキサニル、トルプロカルブ、アシベンゾラルSメチル、プロベナゾール、チアジニル、イソチアニル、ラミナリン、マンコゼブまたはマンゼブ、マンネブ、メチラム、プロピネブ、チウラム、ジネブ、ジラム、フェルバム、キャプタン、キャプタホール、ホルペット、フルオロホルペット、グアザチン、イミノクタジン、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン三酢酸塩、塩基性塩化銅、水酸化第二銅、塩基性硫酸銅、有機銅化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ビスエチレンジアミン銅錯塩[II]、硫黄、フルオルイミド、クロロタロニル、ジクロフルアニド、トリルフルアニド、アニラジン、ジチアノン、キノメチオナート、ハウチワマメ苗木の子葉からの抽出物(BLAD)、ジクロベンチアゾクス、フェンピコキサミド、ジピメチトロン、ブピリメート、ジメチリモール、エチリモール、酢酸トリフェニルスズ、塩化トリフェニルスズ、水酸化トリフェニルスズ、オキソリニック酸、ヒメキサゾール、オクチリノン、ホセチル、亜リン酸、亜リン酸のナトリウム塩、亜リン酸のアンモニウム塩、亜リン酸のカリウム塩、テクロフタラム、トリアゾキシド、フルスルファミド、ジクロメジン、シルチオファム、ジフルメトリム、メタスルホカルブ、シフルフェナミド、メトラフェノン、ピリオフェノン、ドジン、フルチアニル、フェリムゾン、オキサチアピプロリン、テブフロキン、ピカルブトラゾクス、バリダマイシン類、シモキサニル、キノフメリン、NC-241、NF-180、S-2190、S-2367、インピルフルキサム、フルインダピル、イソフルシプラム、アミノピリフェン等を挙げることができる。
本実施形態の固形粒状組成物は、さらに膨潤剤(b)を含むことができる。膨潤剤(b)の種類および量を調整することにより、有効成分の溶出開始後の溶出速度を調整することができる。
膨潤剤(b)としては水を含んだ際に体積が増加するものであれば良く、例えばベントナイト、澱粉および誘導体、セルロースおよび誘導体、ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲンやその他タンパク質、合成高分子としてはポリビニルアルコ- ル系重合体、アクリル系重合体、その他の無水マレイン酸系重合体、ビニルピロリドン系重合体、ポリエーテル系重合体、縮合系ポリマー等が挙げられ、中でもコスト面からベントナイト、澱粉および誘導体、セルロ-スおよび誘導体が好ましい。
本実施形態の固形粒状組成物には、その効果を妨げない範囲内において、任意の成分を添加しても良い。任意の成分としては、例えば、界面活性剤、着色剤、溶剤類・オイル類、糖類、水溶性高分子類、無機塩類、紫外線遮蔽剤、香料類等を挙げることができる。
界面活性剤としては、通常農薬に使用される非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤から選ばれる1つ以上を組み合わせて用いることができる。
非イオン界面活性剤としてはエーテル型、エステル型、エステルエーテル型、含窒素型などが挙げられる。エーテル型非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテルなどを挙げることができる。エステル型非イオン界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸部分エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
エステルエーテル型非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン化ひまし油などを挙げることができる。
含窒素型非イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸ジエタノールアミド、N,N-ビス-2-ヒドロキシアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどを挙げることができる。
陰イオン性界面活性剤としてはカルボン酸塩型、スルホン酸塩型、硫酸エステル塩型、リン酸エステル塩型、重合型高分子型、重縮合型高分子型などがある。カルボン酸塩型アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪族モノカルボン酸塩、N-アシロイルサルコシン塩、N-アシロイル-β-アラニン塩、N-アシロイルグルタミン酸塩、アビエチン酸塩などが挙げられる。
スルホン酸塩型アニオン界面活性剤としては、ジアルキルスルホこはく酸塩、アルカンスルホン酸塩、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル(分岐鎖)ベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェノールスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩-ホルムアルデヒド縮合物、N-メチル-N-オレイルタウリンナトリウム、N-アルキルスルホこはく酸塩モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩などが挙げられる。
硫酸エステル塩型アニオン界面活性剤としては、例えば、硫酸化ひまし油、硫酸化牛脚油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキロイルアミド硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテル硫酸エステル塩などが挙げられる。
リン酸エステル塩型アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルりん酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルりん酸エステル塩などが挙げられる。重合型高分子型および重縮合型高分子型アニオン界面活性剤としてはスチレン-無水マレイン酸共重合物の部分けん化物、オレフィン-無水マレイン酸共重合物の部分けん化物、ナフタレンスルホン酸塩-ホルマリン縮合物などが挙げられる。
陽イオン界面活性剤としてはアミン塩型、第四級アンモニウム塩型、ポリエチレンポリアミン誘導体型などがある。アミン塩型陽イオン界面活性剤としては、例えばアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩などがある。
第四級アンモニウム塩型陽イオン界面活性剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2-アルキル-1-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N-ジアルキルモルホリニウム塩などが挙げられる。
ポリエチレンポリアミン誘導体型陽イオン界面活性剤としては、例えば、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物の塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド尿素縮合物の第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸型、スルホベタイン型、アミノ硫酸エステル型、イミダゾリン型などがある。カルボキシベタイン型両イオン界面活性剤としては、例えば、N,N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシアルキレンアンモニウムベタインなどが挙げられる。アミノカルボン酸型両イオン界面活性剤としては、例えば、N,N-ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸塩などが挙げられる。アミノカルボン酸型両イオン界面活性剤としては、例えば、N,N,N-トリアルキル-N-スルホアルキレンアンモニウムベタインなどが挙げられる。
スルホベタイン型両イオン界面活性剤としては、例えば、N-アルキル-N,N-ビスポリオキシエチレン硫酸エステル塩などが挙げられる。イミダゾリン型両イオン界面活性剤としては、例えば、2-アルキル-1-ヒドロキシエチル-1-カルボキシメチルイミダゾリニウム塩などが挙げられる。
前記の溶剤類・オイル類としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、1-ブタノール、酢酸、無水酢酸、アセトフェノン、オレイン酸メチル、ヤシ油、ナタネ油、大豆油、ひまし油、アマニ油、パラフィン油、ケロシン、高級アルコール、シクロヘキサノール、γ-ブチロラクトン、脂肪酸メチルエステル、メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、クロロベンゼン、クロロトルエン、ジクロロアニリン、ノルマルパラフィン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、シクロヘキサノン、アセトニトリル、灯油、マシン油等を挙げることができる。
前記の糖類としては、例えば、α-含水乳糖、α-無水乳糖、β-無水乳糖、ジオール化合物、グリセリンとその誘導体、ペンタエリスリトール、ソルビトール、キシリトール、ショ糖、ブドウ糖、果糖等を挙げることができる。
前記の無機塩類としては、例えば、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、塩化カリウム等を挙げることができる。
前記の香料類としては、例えば、ラベンダー油、ジャスミン油、ローズ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、タイム油、ショウブ油、ウイキョウ油、スギ油、ヒバ油、ヒノキ油、ユーカリ油、カンファー、ペパーミント油、スペアミント油、ゲラニオール、シトロネラール、オイゲノール、リモネン、ミカン油、トウヒ、シトロネロール等を挙げることができる。
本実施形態の固形粒状組成物は、従来公知の方法により、得ることができ、例えば、慣用の造粒法を用いて製造することができる。この製造方法によれば、例えば、農薬活性成分、鉱物物質微粉、並びに、必要であれば、界面活性剤、その他の任意の添加物を加えることにより、本発明の粒状の農薬組成物を製造するための混合物を得ることができる。得られた混合物は、水、及び、必要であればその他の任意の添加物を加えることにより、混錬物とすることができる。
得られた混合物または混錬物を、混練機を用いて混練し、次いで押出造粒器を用いて押出造粒物とすることができる。得られた押出造粒物を、乾燥、整粒することにより、本発明の粒状の農薬組成物を得ることができる。本製造方法において使用される原料の混合方法と混合順序は、本発明の効果が得られる限り、特に制約はなく、混合条件、混練条件、造粒条件、乾燥・整粒条件を適宜選択して行うことができる。本発明の粒状の農薬組成物の製造方法の代表的な条件としては、混合、混錬及び造粒工程は、通常、常温ないし必要に応じて冷却することができる。乾燥工程は、通常、50℃~90℃の温度で行うことができる。各工程で使用する機器としては、以下を例示できる。
混練機としては、例えば、双腕ニーダー、ナウターミキサー、万能混合ミキサー、レディゲミキサー等を挙げることができる。
押出造粒機としては、例えば、スクリュー型押出造粒機、ロール型押出造粒機、ディスクペレッター型押出造粒機、ペレットミル型押出造粒機、バスケット型押出造粒機、プレード型押出造粒機、オシレーティング型押出造粒機、ギア式押出造粒機、リングダイス式押出造粒機等を挙げることができる。
前記製造方法において、液状または固体の農薬有効成分を、予め増量剤、必要であれば任意の添加物と混ぜ合わせ、必要であれば粉砕して使用してもよく、液状または固体の農薬有効成分を、粘土鉱物類・充填剤もしくは水溶性高分子類等に吸着もしくは包接して使用してもよく、また、ラテックス類・エマルジョン類等を用いてマイクロカプセル化して使用してもよい。さらに、液状または固体の農薬有効成分を、水、溶剤類もしくはオイル類に、溶解もしくは懸濁分散して使用してもよい。
[被覆層]
本実施形態の被覆農薬組成物は、上述の固形粒状組成物の表面に、樹脂(i)および多価金属化合物(ii)を含む被覆層を備える。被覆層の層厚は、固形粒状組成物の比表面積により変化するが、10μm~200μm程度である。
被覆層は、本発明の効果を奏することができれば固形粒状組成物の表面の少なくとも一部を覆っていればよいが、農薬活性成分の初期の溶出を抑制し、所定の期間が経過した後は溶出に優れる観点からは表面全体を覆っていることが好ましい。
また、本実施形態の被覆農薬組成物は経時的な安定性に優れており、経時後の被覆農薬組成物は、経時前と比べ溶出開始タイミングや溶出速度がほとんど変化しない。
樹脂(i)としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の差を問わないが、揮発性溶剤の配合の必要が無く、安価なものが望ましい。例えばスチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-アクリル共重合体、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル共重合体、シリコーン-アクリル共重合体、ポリウレタン、ポリウレア等のラテックス類やエマルジョン類等を挙げることができる。中でもコスト面からアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸およびメタクリル酸エステルから選ばれる1種以上の単量体の共重合体が好ましい。
このような樹脂(i)の商品名としてはモビニールシリーズ(ジャパンコーティングレジン(株))、サイビノールシリーズ(サイデン化学(株))、アクリセットシリーズ((株)日本触媒)、ボンコートシリーズ(DIC(株))、アルマテックスシリーズ(三井化学(株))などが挙げられ、カタログやSDS等から組成やガラス転移温度を知ることができる。ガラス転移温度については、温度が低いと粒剤表面がべた付き生産時に粒同士がくっつき易くなるため、被覆農薬組成物の歩留まりが低下する。一方、ガラス転移温度が高いとコーティング時にヒビ割れを防ぐために高い品温を維持する必要があることから、結果的に高い熱風乾燥温度が必要になったり、コーティング時間が長くなりコスト高になるなど、被覆農薬組成物の生産性が低下する。従って、これらの観点から、樹脂(i)のガラス転移温度としては0~50℃が好ましく、10~40℃がより好ましい。
多価金属化合物(ii)は、アルミニウム化合物、チタン化合物、亜鉛化合物、およびジルコニウム化合物から選択された少なくとも1種である。該化合物としては、配合時の均一性の観点から水に溶解もしくは均一分散するものが好ましい。
例としてはアルミニウムアルコキシド、アルミン酸塩、チタンラクテートおよび塩、チタントリエタノールアミネート、酸化亜鉛、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウムが挙げられ、中でも炭酸ジルコニウムアンモニウムが好ましい。
多価金属化合物(ii)は、本発明の効果の観点から、固形粒状組成物100重量部に対して、通常0.01~20重量部、より好適には0.1~10重量部、中でも0.2~5重量部が好適である。
本発明の効果の観点から、多価金属化合物(ii)に対する樹脂(i)の重量比(i/ii)は、通常1~1000、より好適には3~500、中でも5~100が好適である。
本実施形態の被覆農薬組成物は、固形粒状組成物に含まれる農薬活性成分(a)の水溶解度や、対象作物の種類や生育段階に合わせて溶出量や溶出のタイミングを調整することができ、初期の溶出を抑制する期間、溶出開始後の溶出速度を調整することができる。具体的には、農薬活性成分(a)の種類や水溶解度に合わせ、被覆層に含まれる樹脂(i)や多価金属化合物(ii)の種類やその添加量、さらに固形粒状組成物の大きさや被覆層の層厚、固形粒状組成物に含まれる膨潤剤(b)の添加量等を調整することにより、農薬活性成分(a)の溶出量や溶出のタイミングをより調整することができる。
本実施形態の被覆農薬組成物は時限放出型の農薬製剤であり、農薬活性成分(a)の初期の溶出が抑制されており、所定の期間が経過した後は農薬活性成分(a)の溶出に優れており溶出速度が速い。本実施形態の被覆農薬組成物の溶出プロファイルは、農薬活性成分(a)の種類や対象作物等の条件によって異なるものの、一例として、溶出を抑制する期間(例えば、溶出率が1%となる期間)を7日間以上、溶出が開始されてから所定の溶出率となるまでの期間(例えば、溶出率が50%となる期間)を60日以下の範囲で任意に調整することができ、さらに溶出率が1%となってから溶出率が50%となる期間を30日以下の範囲で任意に調整することができる。
[被覆農薬組成物の製造方法]
本実施形態の被覆農薬組成物は、上述の方法で得られた固形粒状組成物の表面を、被覆層で被覆することにより得ることができる。
当該被覆方法としては、従来公知の方法で実施できる。すなわち、樹脂(i)と多価金属化合物(ii)とをミキサー等で混合しておき、粘度調整のために適宜水で希釈してコーティング液を得る。
次に、固形粒状組成物を糖衣パン、コンクリートミキサー、通気ドラム式コーティング機、流動層式コーティング機等に入れ、コーティング液を添加しながら通風乾燥させることで本発明の被覆農薬組成物を得ることができる。
本実施形態の被覆農薬組成物は、被覆時に揮発性有機化合物を使用しない。そのため、被膜層に、揮発性有機化合物が急に蒸散した際に発生する細孔が存在せず溶出がコントロールされていることから、所望の期間の有効成分の溶出を抑制することができ薬害等を軽減できるとともに、溶出開始後の溶出速度が速いことから有効成分の効果を効果的に発現することができる。
[被覆農薬組成物の使用方法]
本実施形態の被覆農薬組成物は、通常の被覆農薬組成物(農薬粒剤)が施用される方法に準じて使用することができる。そのような方法としては、稲の育苗箱施用または水田施用において被覆農薬粒剤を種子と同時に施用する方法、またはあらかじめ育苗培土に被覆農薬組成物を混和する方法、水田施用において農薬粒剤を田植えと同時に水面施用する方法、水田施用において農薬粒剤を田植え後に水面施用する方法等が挙げられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
以下に実施例、比較例及び試験例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。尚ここで示す配合割合はすべて重量部とする。
[実施例1]
トルプロカルブ11.2%、ニューカルゲンTG-100(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、竹本油脂製)0.3%、セロゲン5A(カルボキシメチルセルロースナトリウム、第一工業製薬製)1%、ベントナイト穂高(ホージュン製)30.0%、NS#100(炭酸カルシウム、日東粉化工業製)57.5%を袋に入れて混合し、水を加えた後にニーダーを用いて混練した。得られた混練物をバスケット型押出造粒機(型番BR-150、ダルトン製)で目開き1.2mmのスクリーンを用いて造粒した。得られた造粒物を、流動層乾燥機を用いて70℃にて乾燥後、ニュースピードミルにて解砕、篩分(篩目開き1000~1700μm)して固形粒状組成物を得た。
次に、アクリル共重合体エマルション(固形分50%、ガラス転移温度25℃)30%、オルフィンEXP4001(アセチレン系界面活性剤、日信化学工業製)0.2%、エチレングリコールモノフェニルエーテル 2%、ジルコゾールAC-7(炭酸ジルコニウムアンモニウム30%液、第一稀元素化学工業製)1.5%、水66.3%を混合し、コーティング液を得た。
固形粒状組成物を通気ドラム式コーティング機(型番PRC-GTXmini、パウレック製)に入れ、コーティング液にて被覆後、乾燥して実施例1の組成物を得た。被覆割合は固形粒状組成物80部に対し、コーティング液133部とした。
[実施例2]
トルプロカルブ11.2%、ニューカルゲンTG-100 0.3%、セロゲンBSH-6(カルボキシメチルセルロースナトリウム、第一工業製薬製)6%、タルクGTA(タルク、セイコー産業製)28.7%、ワンドークレー(クレー、昭和KDE製)53.8%を袋に入れて混合し、水を加えた後にニーダーを用いて混練した。得られた混練物をバスケット型押出造粒機(型番BR-150、ダルトン製)で目開き1.2mmのスクリーンを用いて造粒した。得られた造粒物を、流動層乾燥機を用いて70℃にて乾燥後、ニュースピードミルにて解砕、篩分(篩目開き1000~1700μm)して固形粒状組成物を得た。
次に、アクリル共重合体エマルション(固形分50%、ガラス転移温度25℃) 30%、オルフィンEXP4001 0.2%、エチレングリコールモノフェニルエーテル 2%、ベイコート20(炭酸ジルコニウムアンモニウム50%液、日本軽金属製)1%、水66.8%を混合し、コーティング液を得た。
固形粒状組成物を通気ドラム式コーティング機(型番PRC-GTXmini、パウレック製)に入れ、コーティング液にて被覆後、乾燥して実施例2の組成物を得た。被覆割合は固形粒状組成物80部に対し、コーティング液133部とした。
[実施例3]
トルプロカルブ11.2%、ニューカルゲンTG-100 0.3%、セロゲンHE-1500F(カルボキシメチルセルロースナトリウム、第一工業製薬製)6%、タルクGTA 18.7%、ワンドークレー 63.8%を袋に入れて混合し、水を加えた後にニーダーを用いて混練した。得られた混練物をバスケット型押出造粒機(型番BR-150、ダルトン製)で目開き1.2mmのスクリーンを用いて造粒した。得られた造粒物を、流動層乾燥機を用いて70℃にて乾燥後、ニュースピードミルにて解砕、篩分(篩目開き1000~1700μm)して固形粒状組成物を得た。
次に、アクリル共重合体エマルション(固形分50%、ガラス転移温度30℃) 30%、オルフィンEXP4001 0.2%、エチレングリコールモノフェニルエーテル 2%、AZコート5800MT(炭酸ジルコニウムアンモニウム45%液、サンノプコ製)1%、水66.8%を混合し、コーティング液を得た。
固形粒状組成物を通気ドラム式コーティング機(型番PRC-GTXmini、パウレック製)に入れ、コーティング液にて被覆後、乾燥して実施例3の組成物を得た。被覆割合は固形粒状組成物80部に対し、コーティング液133部とした。
[比較例1]
実施例1において、ジルコゾールAC-7を全量水に置き換えたほかは実施例1の記載の組成、方法にて固形粒状組成物、コーティング液を調製し、同様の方法で被覆後、乾燥して比較例1の組成物を得た。
[比較例2]
実施例3において、AZコート5800MTを全量水に置き換えたほかは実施例3の記載の組成、方法にて固形粒状組成物、コーティング液を調製し、同様の方法で被覆後、乾燥して比較例2の組成物を得た。
[試験例1(容器内溶出試験)]
実施例1から3、比較例1から2に記載の組成物85mgを、イオン交換水1Lを満たしたガラス瓶に入れ、25℃の恒温機に静置した。その後所定期間ごとに上澄み液をサンプリングしフィルターろ過し試料溶液とした。 試料溶液を高速液体クロマトグラフに注入し、有効成分のピーク面積から溶液中の濃度を求め、次式により水中溶出率を算出した。
Figure 2022136010000001
結果を表1に示す。表1に示す通り、実施例は最初の14日間は溶出せず、その後溶出が開始され42日目には溶出量が50%に達しており、急速に溶出量が増加している。それに対し、比較例は最初の14日間は溶出しないのは実施例同様であるが、その後の溶出速度が遅いことが分かる。
Figure 2022136010000002
[試験例2(加速経時処理後の溶出試験)]
実施例1および比較例1の組成物を40℃の恒温機に90日間保存(加速経時処理)し、取り出して室温に戻した後に、試験例1と同様の方法にて容器内溶出試験を行った。
結果を表2に示す。実施例1の組成物は加速経時処理前後で溶出量変化はわずかなのに対し、比較例1の組成物は加速経時処理前後で溶出量が大きく変化していることが分かる。
Figure 2022136010000003
本発明の被覆農薬組成物は、水中に投入後、一定期間は溶出が抑制されていることから農薬活性成分による薬害の発生を回避することができ、当該期間経過後においては溶出に優れることから効果の発現が速やかであると推察された。さらに、製造直後と日数が経過した場合で溶出変化が小さいことから、実質的に倉庫の保管中や流通段階での製品の品質変動が無いという特長を有する。

Claims (5)

  1. 農薬活性成分(a)を含む固形粒状組成物と、
    前記固形粒状組成物の表面を被覆する、樹脂(i)および多価金属化合物(ii)を含む被覆層と、
    を備え、
    多価金属化合物(ii)が、アルミニウム化合物、チタン化合物、亜鉛化合物、およびジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種である、被覆農薬組成物。
  2. 多価金属化合物(ii)がジルコニウム化合物である請求項1に記載の被覆農薬組成物。
  3. 前記固形粒状組成物は、さらに膨潤剤(b)を含む請求項1または2に記載の被覆農薬組成物。
  4. 膨潤剤(b)が、ベントナイト、デンプン、およびセルロース誘導体から選択される少なくとも1種である請求項3に記載の被覆農薬組成物。
  5. 樹脂(i)が、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸およびメタクリル酸エステルから選ばれる1種以上の単量体の共重合体である、請求項1~4のいずれかに記載の被覆農薬組成物。
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