JP2022135918A - 硬化性樹脂組成物および物品の製造方法 - Google Patents

硬化性樹脂組成物および物品の製造方法 Download PDF

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一帆 佐伯
Kazuho SAEKI
卓之 平谷
Takuyuki Hiratani
涼 小川
Ryo Ogawa
恭平 和田
Kyohei Wada
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Abstract

【課題】耐衝撃性と高い弾性率をもつ硬化物を形成可能であり、かつ低粘度で立体造形に好適な硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】成分(A):α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリル酸またはそのエステルと、成分(B):2官能ラジカル重合性オリゴマーと、成分(D):ゴム粒子と、成分(E):ラジカル重合性開始剤と、を含有し、さらに、成分(C):前記成分(A)および前記(B)以外のラジカル重合性化合物を含有してもよく、成分(A)は下記一般式(1)で示され、TIFF2022135918000010.tif27113[R1は水素原子または有機基である。R2はメチレン基である。R3、R4は、いずれか一方がメチレン基、他方が酸素原子である。R5は水素原子、アルキル基またはエステル基である。]成分(B)はモノマーユニットが、カーボネート基、エステル基、エーテル基のいずれかによって二つ以上連結されるオリゴマー部位と、二つの重合性官能基とからなる。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物とその硬化物、および物品の製造方法に関する。
光硬化性樹脂組成物に、三次元モデルの立体形状に基づいて選択的に光照射して硬化樹脂層を形成する工程を繰り返すことにより、当該硬化樹脂層が一体的に積層されてなる造形物を作製する光学的立体造形法(以下、光造形法と記述する)が知られている。
具体的には、作製する三次元モデルの形状データから生成したスライスデータに従って、容器内に収容された液状の光硬化性樹脂組成物の液面に紫外線レーザーやUV-LED等の光を照射し、所定の厚みで所望のパターンを有する硬化樹脂層を形成する。次いで、この硬化樹脂層の上に、一層分の光硬化性樹脂組成物を供給し、同様に光を照射することにより、先に形成された硬化樹脂層と連続した新しい硬化樹脂層を積層形成する。このように、スライスデータに基づいたパターンで硬化樹脂層を積層していくことで、所望の造形物を得ることができる。このような光造形法によれば、三次元モデルの形状データがあれば、複雑な形状の物品でも容易に作製することが可能となる。
光造形法は、形状確認のための試作品の造形(ラピッドプロトタイピング)や、機能性検証のためのワーキングモデルの造形や型の造形(ラピッドツーリング)への応用が進んでいる。さらに、近年は、光造形法の用途は実製品の造形(ラピッドマニュファクチャリング)にも広がり始めている。
光造形に使用される樹脂組成物の特性としては、造形時の取り扱い性、および造形精度の観点から低粘度であることが求められる。さらに、上記のような応用範囲の拡大を背景として、その硬化物が汎用のエンジニアリングプラスチックに匹敵するような耐衝撃性、高弾性率を持つことが求められている。
特許文献1には、特定の構造を有するウレタン(メタ)アクリレートと、ラジカル重合性化合物と、エラストマー粒子と、ラジカル重合開始剤と、を含有する硬化性樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2には、アクリレート部分及びエテニル又はエチニル部分を有し、アクリレート部分のα-炭素とエテニル又はエチニル部分のα-炭素は、1,5-、1,6-、1,7-、又は1,8-の関係を有する環化重合性モノマーを含有する硬化性樹脂組成物が開示されている。
特開2004-051665号公報 特表2020-505255号公報
しかしながら、特許文献1で開示される硬化性樹脂組成物は、粘度および硬化物の耐衝撃性の観点で十分な特性が得られていない。また、特許文献2で開示される硬化性樹脂組成物は低粘度であるが、その硬化物は高い弾性率を有しているものの、十分な耐衝撃性を有していないという問題があった。このように、低い粘度と硬化物の高弾性率および耐衝撃性とを同時に満たす硬化性樹脂組成物は実現できていない。
本発明は、耐衝撃性と高い弾性率をもつ硬化物が得られ、かつ低粘度で造形時の取り扱い性に優れた硬化性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、
成分(A):α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリル酸またはそのエステルと、
成分(B):2官能ラジカル重合性オリゴマーと、
成分(D):ゴム粒子と、
成分(E):ラジカル重合性開始剤と、
を含有し、
さらに、
成分(C):前記成分(A)および前記(B)以外のラジカル重合性化合物、
を含有してもよく、
前記成分(A)は、下記一般式(1)で示されるα-(不飽和アルコキシアルキル)アクリル酸またはそのエステルであり、
Figure 2022135918000001
[式中、R1は、水素原子または炭素数1以上30以下の有機基である。
2は、炭素数1以上4以下のアルキル基を有していてもよいメチレン基である。
3、R4は、いずれか一方が炭素数1以上4以下のアルキル基を有していてもよいメチレン基、他方が酸素原子である。
5は、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、エステル基のいずれかである。]
前記成分(B)は、モノマーユニットが、カーボネート基、エステル基、エーテル基のいずれかによって二つ以上連結されるオリゴマー部位と、二つの重合性官能基とからなる2官能ラジカル重合性オリゴマーであり、
前記成分(C)を含有する場合は、前記成分(C)に含まれる単官能ラジカル重合性化合物の含有量が、成分(C)の合計100質量部に対して75質量部よりも多いことを特徴とする。
本発明によれば、耐衝撃性と高い弾性率をもつ硬化物を形成可能であり、かつ低粘度で立体造形に好適な硬化性樹脂組成物を提供することができる。
光造形装置の構成例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、あくまでも本発明の実施形態の一つであり、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
<成分(A):α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリル酸またはそのエステル>
成分(A)は、下記一般式(1)で示されるα-(不飽和アルコキシアルキル)アクリル酸またはそのエステルである。
Figure 2022135918000002
上記一般式(1)において、R1は、水素原子または炭素数1以上30以下の有機基である。R1で示される有機基は、炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基は、炭化水素で構成され、エーテル構造を有していてもよく、炭化水素の水素原子は置換基で置換されていても良い。また、有機基は直鎖上であってもよく、分岐鎖状であってもよく、また、環状構造を有していても良い。
炭化水素基としては、例えば、炭素数1以上の鎖状飽和炭化水素、炭素数3以上の鎖状不飽和炭化水素、炭素数3以上の脂環式炭化水素基、炭素数6以上の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
これらの中でも、好ましくは、炭素数1以上20以下の鎖状飽和炭化水素基、炭素数3以上20以下の鎖状不飽和炭化水素、炭素数3以上20以下の脂環式炭化水素基、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1以上10以下の鎖状飽和炭化水素である。
例えば、鎖状飽和炭化水素基としては、直鎖状、或いは分岐状の炭化水素基であればよく、特に限定されないが、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、n-アミル、s-アミル、t-アミル、ネオペンチル、n-ヘキシル、s-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、s-オクチル、t-オクチル、2-エチルヘキシル、カプリル、ノニル、デシル、ウンデシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、セチル、ヘプタデシル、ステアリル、ノナデシル、エイコシル、セリル、メリシル等の基が好適なものとして挙げられる。また、鎖状飽和炭化水素基を構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部をハロゲン原子やシアノ基やトリメチルシリル基等で置換したものであってもよい。
鎖状不飽和炭化水素基としては、芳香属性でない炭素-炭素不飽和結合を少なくとも1つ含む直鎖状、或いは分岐状の炭化水素基であればよく、特に限定されないが、例えば、クロチル、1,1-ジメチル-2-プロペニル、2-メチル-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、3-メチル-3-ブテニル、2-メチル-3-ブテニル、オレイル、リノール、リノレン、等の基が好適なものとして挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、3員環以上の飽和環状構造、あるいは芳香属性でない不飽和環状構造を含む炭化水素基であればよく、特に限定されないが、例えばシクロペンチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、4-メチルシクロヘキシル、4-t-ブチルシクロヘキシル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル等の基が好適なものとして挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、6員環以上の芳香属性の環状構造を含む炭化水素基であればよく、特に限定されないが、例えばフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、4-t-ブチルフェニル、ベンジル、ジフェニルメチル、ジフェニルエチル、トリフェニルメチル、シンナミル、ナフチル、アントラニル等の基が好適なものとして挙げられる。
エーテル結合を含む炭化水素骨格からなる1価の有機基としては、鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基を構成する少なくとも1つの炭素-炭素結合に酸素原子が挿入した構造のものであればよく、特に限定されないが、例えば、メトキシエチル、メトキシエトキシエチル、メトキシエトシキエトキシエチル、3-メトキシブチル、エトキシエチル、エトキシエトキシエチル等の鎖状エーテル基:シクロペントキシエチル、シクロヘキシルオキシエチル、シクロペントキシエトキシエチル、シクロヘキシルオキシエトキシエチル、ジシクロペンテニルオキシエチル等の脂環式炭化水素基と鎖状エーテル基を併せ持つ基:フェノキシエチル、フェノキシエトキシエチル等の芳香族炭化水素基と鎖状エーテル基を併せ持つ基:グリシジル、β-メチルグリシジル、β-エチルグリシジル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、2-オキセタンメチル、3-メチル-3-オキセタンメチル、3-エチル-3-オキタンメチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロフルフリル、テトラヒドロピラニル、ジオキサゾラニル、ジオキサニル等の環状エーテル基が好適なものとして挙げられる。
2は、炭素数1以上4以下のアルキル基を有していてもよいメチレン基である。R3、R4は、いずれか一方が炭素数1以上4以下のアルキル基を有していてもよいメチレン基、他方が酸素原子である。ここで、R4が炭素数1以上4以下のアルキル基を有していてもよいメチレン基であり、R3が酸素原子であることが好ましい。より好ましくは、R2とR4がメチレン基であり、R3が酸素原子である。この場合、重合により両側にメチレン基を配したエーテル含有環構造が形成され、弾性率と耐衝撃性が両立した硬化物を得られやすい。
5は、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、エステル基のいずれかである。このうち、硬化物の耐衝撃性の観点からは、当該部位が嵩高くなく、主鎖の屈曲性を妨げないことが好ましく、この理由から水素原子、メチル基、メチルエステル基、エチルエステル基であることが好ましい。より好ましくは、R5は水素原子である。
成分(A)として適した化合物名を例示すると、α-アリルオキシメチルアクリル酸、α-アリルオキシメチルアクリル酸メチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-プロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸i-プロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ネオペンチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-ヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ヘプチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸2-エチルヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸カプリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ノニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸デシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ウンデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ラウリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ミリスチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ペンタデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸セチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ヘプタデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ステアリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ノナデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エイコシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸セリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メリシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸クロチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸1,1-ジメチル-2-プロペニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸2-メチルブテニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸3-メチル-2-ブテニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸3-メチル-3-ブテニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸2-メチル-3-ブテニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸オレイル、α-アリルオキシメチルアクリル酸リノール、α-アリルオキシメチルアクリル酸リノレン、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロペンチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロペンチルメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシルメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸4-メチルシクロヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸4-t-ブチルシクロヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリシクロデカニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸イソボルニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸アダマンチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジシクロペンタニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジシクロペンテニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジメチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリメチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸4-t-ブチルフェニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ベンジル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジフェニルメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジフェニルエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリフェニルメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シンナミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ナフチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸アントラニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエトシキエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸3-メトキシブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エトキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロペントキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシルオキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロペントキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシルオキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フェノキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸フェノキシエトキシエチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸グリシジル、α-アリルオキシメチルアクリル酸β-メチルグリシジル、α-アリルオキシメチルアクリル酸β-エチルグリシジル、α-アリルオキシメチルアクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸2-オキセタンメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸3-メチル-3-オキセタンメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸3-エチル-3-オキセタンメチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸テトラヒドロフラニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸テトラヒドロフルフリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸テトラヒドロピラニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジオキサゾラニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ジオキサニル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸、α-メタリルオキシメチルアクリル酸メチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸エチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸n-プロピル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸i-プロピル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸n-ブチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸n-アミル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸s-アミル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸t-アミル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸ネオペンチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸n-ヘキシル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸s-ヘキシル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸n-ヘプチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸n-オクチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸s-オクチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸t-オクチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸2-エチルヘキシル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸カプリル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸ノニル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸デシル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸ウンデシル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸ラウリル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸トリデシル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸ミリスチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸ペンタデシル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸セチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸ヘプタデシル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸ステアリル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸ノナデシル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸エイコシル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸セリル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸メリシル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸クロチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸1,1-ジメチル-2-プロペニル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸2-メチルブテニル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸3-メチル-2-ブテニル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸3-メチル-3-ブテニル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸2-メチル-3-ブテニル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸オレイル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸リノール、α-メタリルオキシメチルアクリル酸リノレン、α-メタリルオキシメチルアクリル酸シクロペンチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸シクロペンチルメチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシルメチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸4-メチルシクロヘキシル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸4-t-ブチルシクロヘキシル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸トリシクロデカニル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸イソボルニル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸アダマンチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸ジシクロペンタニル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸ジシクロペンテニル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸フェニル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸メチルフェニル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸ジメチルフェニル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸トリメチルフェニル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸4-t-ブチルフェニル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸ベンジル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸ジフェニルメチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸ジフェニルエチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸トリフェニルメチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸シンナミル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸ナフチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸アントラニル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸メトキシエチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸メトキシエトキシエチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸メトキシエトシキエトキシエチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸3-メトキシブチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸エトキシエチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸エトキシエトキシエチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸シクロペントキシエチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシルオキシエチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸シクロペントキシエトキシエチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシルオキシエトキシエチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸フェノキシエチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸フェノキシエトキシエチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸グリシジル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸β-メチルグリシジル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸β-エチルグリシジル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸2-オキセタンメチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸3-メチル-3-オキセタンメチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸3-エチル-3-オキセタンメチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸テトラヒドロフラニル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸テトラヒドロフルフリル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸テトラヒドロピラニル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸ジオキサニル、ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジエチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-プロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(イソプロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-ブチル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(イソブチル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(t-ブチル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(t-アミル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(ステアリル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(ラウリル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(2-エチルヘキシル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(1-メトキシエチル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(1-エトキシエチル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジベンジル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジフェニル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジシクロヘキシル-2,2’-[オキシビス
(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(t-ブチルシクロヘキシル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(イソボルニル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジアダマンチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(2-メチル-2-アダマンチル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート等が挙げられる。
この中でも主鎖中にエーテル構造を含み、5員環または6員環を形成しながら重合する化合物であることが好ましく、α-アリルオキシメチルアクリル酸メチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エチル、α-メタリルオキシメチルアクリル酸メチル、ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエートがより好適に使用されうる。この中でも重合時において下記構造式(2)のような環構造を形成するα-アリルオキシメチルアクリル酸メチルが硬化物の耐衝撃性・弾性率の観点から最も好適に使用されうる。
Figure 2022135918000003
このような構造において特に高い耐衝撃性が得られる理由としては、テトラヒドロフラン環のエーテル結合とテトラヒドロフラン環に隣接するメチレン基が、主鎖の屈曲性向上に寄与していることが挙げられる。一方、主鎖に環構造が組み込まれていることにより、その耐衝撃性に加えて、高い弾性率をも有する。なお、α-アリルオキシメチルアクリル酸メチルは市販品のものを用いることができ、例えばAOMAの名称で株式会社日本触媒から入手可能である。
成分(A)の含有量は、特に制限されるものではないが、硬化物の耐衝撃性の観点からは、成分(A)と成分(C)の合計100質量部に対して、70質量部より多く100質量部以下が好ましく、75質量部以上100質量部以下がより好ましい。さらに、成分(A)と成分(C)の合計含有量は、成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計100質量部に対して、70質量部よりも多く90質量部未満であることが好ましい。含有量を上述のような範囲にすることによって、成分(A)による耐衝撃性向上効果が明確に表れる。
<成分(B):2官能ラジカル重合性オリゴマー>
成分(B)は、モノマーユニットが、カーボネート基、エステル基、エーテル基のいずれかによって二つ以上連結されるオリゴマー部位と、二つの重合性官能基とからなる2官能ラジカル重合性オリゴマーである。重合性官能基としては、エチレン性不飽和基が挙げられる。具体的に、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、などが挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を意味する。
成分(B)としては、例えば、ポリカーボネートジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。この中でも、成分(A)と組み合わせた時に得られる耐衝撃性の観点から、モノマーユニットが炭化水素基からなることが好ましい。ここでモノマーユニットとは当該オリゴマーからエーテル基、エステル基、カーボネート基を除いたものを指す。炭化水素基の例としては鎖状飽和炭化水素、鎖状不飽和炭化水素、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられ、その具体例としては成分(A)で説明したものと同様のものが挙げられる。この中でも、モノマーユニットが炭化水素基からなるポリカーボネートジ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジ(メタ)アクリレートが好ましく、特に、モノマーユニットが鎖状飽和炭化水素か脂環式炭化水素であるポリカーボネートジ(メタ)アクリレートがより好ましい。
ポリカーボネートジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)ジアクリレートはそれぞれ、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオールを原料として、両末端に(メタ)アクリル基を付与することにより得ることができる。
ポリカーボネートジオールは下記一般式(3)で表すことができる。
Figure 2022135918000004
(式中、nは2以上の数を表す。Rは任意の基であり、R同士は同一であっても異なっていてもよい)
一般式(3)に示すポリカーボネートジオールはどのような方法で製造されたものであってもよいが、例えばジオール化合物と炭酸エステルとのエステル交換反応によって得ることができる。
ポリカーボネートジオールの原料となるジオール化合物としては、特に限定されず、例えばエチレングリコール、1,3プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナノジオール、1,10-ドデカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール等の側鎖を持たないジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールなどの側鎖を持ったジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパンなどの環状ジオール、ヒドロキノン、1,4-ベンゼンジメタノール、3,6-ビス(ヒドロキシメチル)ジュレン、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、ビスフェノールAF、ビスフェノールB、ビスフェノールBP、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールG、ビスフェノールM、ビスフェノールP、ビスフェノールPH、ビスフェノールTMC、ビスフェノールZ、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4‘-ビフェニルジメタノールなどの芳香環を有するジオールなどが挙げられる。さらに、これらのジオールから一種類又は二種類以上のジオールを組み合わせたものを用いることができる。
ポリカーボネートジオールの原料となる炭酸エステルとして、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネート、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,2-プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、1,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネートなどのアルキレンカーボネートが挙げられる。これらのうちから1種又は2種以上の炭酸エステルを原料として用いることができる。ジアルキルカーボネート及び/又はジアリールカーボネートを用いた場合、ジオールとカーボネートとの仕込み比などの条件を調節することにより、特定の1級末端OH比率を満たすポリカーボネートジオールを容易に得ることができるので好ましい。また、入手のしやすさや重合反応の条件設定のしやすさの観点より、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジブチルカーボネートを用いることがさらに好ましい。
ポリカーボネートジオールとしては、市販品も好適に選択しうる。デュラノール(R)(旭化成株式会社製)、ベネビオール(R)(三菱ケミカル株式会社製)、エターナコール(R)(宇部興産株式会社製)、ニッポラン(R)981,980R,982R,976,965,963,964,968(東ソー株式会社製)、クラレポリオール(R)C-2090(株式会社クラレ製)等から、本発明に合致するものを適宜選択できる。
ポリエステルジオールは下記一般式(4)で表すことができる。
Figure 2022135918000005
(式中、nは2以上の数を表す。Rは任意の基であり、R同士は同一であっても異なっていてもよい)
一般式(4)に示すポリエステルジオールはどのような方法で製造されたものであってもよいが、例えばジオール化合物とジカルボン酸との脱水縮合反応によって得ることができる。
ポリエステルジオールの原料となるジオール化合物としては、ポリカーボネートジオールの原料となるジオール化合物と同様のものを用いることができる。
ポリエステルジオールの原料となるジカルボン酸としては、特に限定されず、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロルフタル酸、p-カルボキシフェニル酢酸、p-フェニレン二酢酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル-p,p’-ジカルボン酸、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられる。これらのうちから1種又は2種以上のジカルボン酸を原料として用いることができる。また、上述のジカルボン酸は酸無水物の形態で反応に供することもでき、その場合には反応系内の水と反応してジカルボン酸が生成される。
ポリエステルジオールとしては、市販品も好適に選択しうる。ポリライト(R)(DIC株式会社製)のジオール類、マキシモール(R)RDK-133,RDK-142(川崎化成工業株式会社製)、ニッポラン(R)4002,4040,4009,4010,3027,164,4073,136,1004,141,4042,5018,5035(東ソー株式会社製)、アデカニューエース(R)(株式会社ADEKA製)のジオール類、クラレポリオール(R)P-5010,P-2050,P-2010,P-2020,P-2030,P-1010,P-2011(株式会社クラレ製)、アロニックス(R)M-6000シリーズ、M-7000シリーズ、M-9000シリーズ(東亜合成株式会社製)、SATOMER社製CN2203、CN2254、CN2270、CN2271、CN2273、CN2274等から、本発明に合致するものを適宜選択できる。
ポリエーテルジオールは下記一般式(5)で表すことができる。
Figure 2022135918000006
(式中、nは2以上の数を表す。Rは任意の基であり、R同士は同一であっても異なっていてもよい)
一般式(5)に示すポリエーテルジオールはどのような方法で製造されたものであってもよいが、例えば環状エーテルの開環重合を付加重合することによって得ることができる。また、ジオール化合物、アルキレンオキシド、オキセタン、環状アセタール、3-メチルテトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフランから選ばれる一種以上の化合物を原料の環状エーテルとランダム共重合させて得られた共重合ポリエーテルジオールを開環重合の反応開始材として使用することもできる。
ポリエーテルジオールの原料となるジオール化合物としては、ポリカーボネートジオールの原料となるジオール化合物と同様のものを用いることができる。
ポリエーテルジオールの原料となる環状エーテルとしては、特に限定されず、テトラヒドロフラン(THF)、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキセタン、テトラヒドロピラン、オキセパン等の環状エーテルや、環状エーテルの炭化水素の一部がアルキル基で置換された環状エーテル誘導体を用いることが出来る。また、これらのうちから1種又は2種以上の環状エーテルを原料として用いることができる。
ポリエーテルジオールとしては、市販品も好適に選択しうる。エクセノール(R)(旭硝子株式会社製)、アデカポリエーテル(R)P,BPX,CM,PR(株式会社ADEKA製)、サンニックス(R)PL-2100,PP(三洋化成工業株式会社製)、トーホーポリオール(東邦化学工業株式会社製)等から、本発明に合致するものを適宜選択できる。
成分(B)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは400以上5,000以下、より好ましくは400以上4,000以下である。重量平均分子量が400以上である場合、架橋密度の低減に伴い硬化物の耐衝撃性が増大する傾向になるため好ましい。また重量平均分子量が5,000以下であると、耐衝撃性に加えて高い機械的強度が得られやすい。また、硬化性樹脂組成物の粘度の観点においても重量平均分子量が5,000以下であることが好ましい。なお、成分(B)の重量平均分子量(Mw)は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(東ソー社製、高速GPC装置「HLC-8220GPC」)に、カラム:Shodex GPCLF-804(排除限界分子量:2×106、分離範囲:300から2×106)の2本直列を用いることにより測定される。
成分(B)の含有量は、特に制限されるものではないが、成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計100質量部に対して、10質量部よりも多いことが望ましい。より好ましくは10質量部よりも多く、30質量部未満である。成分(B)が10質量部よりも多いと、硬化物物性として良好な耐衝撃性が得られやすい。さらに30質量部未満であると、耐衝撃性に加えて高い機械的強度が得られやすい。
本発明者らは成分(A)と後述する成分(D)の混合系と組み合わせた場合に、耐衝撃性と高い弾性率を両立しうるオリゴマーの条件について鋭意研究を行った。その結果、上述したようにモノマーユニットがカーボネート基、エステル基、エーテル基のいずれかによって2つ以上連結して成る2官能ラジカル重合性オリゴマーである場合に予想を超えて優れた耐衝撃性・高弾性率が発現することを確認した。この理由を説明するために、本発明外となる多官能ウレタンオリゴマーについて考える。一般に、多官能ウレタンオリゴマーはハードセグメントとソフトセグメントからなる構造を有しており、またウレタン結合同士が水素結合を介して相互作用をしていることから、硬化物に耐衝撃性・高弾性率を付与するために架橋剤として好適に使用される。一方、成分(A)と成分(D)の混合系にて得られる特異な耐衝撃性は、その特異な分子構造による主鎖の柔軟性によって、外部応力がポリマーネットワークを経由して成分(D)に効果的に伝達し、応力緩和が起こることがその一要因と考えられる。その効果を最大限に生かすためには、架橋ネットワーク間にウレタン結合間の水素結合のような相互作用がないことが望ましい。このウレタン結合に起因するポリマーネットワークの柔軟性低下を解消するために、ソフトセグメントを長くしたウレタンオリゴマーを使用することも考えられるが、その場合は架橋密度低下に伴い弾性率が低下することが問題となる。一方、モノマーユニットがカーボネート基、エステル基、エーテル基のいずれかによって2つ以上連結して成る2官能ラジカル重合性オリゴマーである場合には、架橋ネットワーク間の相互作用が弱い。そのためく、成分(A)に起因する主鎖の柔軟性を保持したうえで、架橋による弾性率向上が可能になる。さらにモノマーユニットがヘテロ原子を持たない炭化水素基である場合には、より架橋ネットワーク間の相互作用が低くなり、より高度な耐衝撃性を実現できる。また特筆すべき事として、成分(A)と本発明のオリゴマーの混合系においては、オリゴマーが低分子量で比較的架橋密度が高い場合であっても、具体的には重量平均分子量が400以上5,000以下であっても、高度な耐衝撃性を保持しうる事が見出された。なお、オリゴマーの官能基数が3以上である場合には、本発明と同等な耐衝撃性は発現しない。この理由としては、過剰な架橋によりポリマーネットワークの柔軟性が大きく低下し、外力に対してポリマーネットワークの一部に応力集中が発生していることが考えられる。
<成分(C):成分(A)及び成分(B)以外のラジカル重合性化合物>
本発明の硬化性樹脂組成物は、成分(C)として、成分(A)及び成分(B)以外のラジカル重合性化合物を含有していても良い。成分(C)を含有する場合、成分(C)の合計100質量部に対して75質量部より多くが単官能ラジカル重合性化合物である。単官能ラジカル重合性化合物の含有量は、成分(C)の合計100質量部に対して80質量部以上が好ましく、90質量部以上がより好ましい。成分(C)の合計100質量部に対して25質量部以上の多官能ラジカル重合性化合物を含んでいると、耐衝撃性を十分に発現することができなくなってしまう。ラジカル重合性官能基としては、エチレン性不飽和基が挙げられる。具体的に、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、などが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有する単官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、単官能アクリルアミド系化合物や単官能(メタ)アクリレート系化合物が挙げられる。
単官能アクリルアミド系化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチル(メタ)アクリルアミド、N-(メタ)アクリロイルモルフォリン、N-(メタ)アクリロイルピペリジン、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドなどが挙げられる。
また、単官能(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、i-オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシー1-アタマンチル(メタ)アクリレート、3,5-ジヒドロキシー1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチルー2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチルー2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-イソプロピルー2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3-メチル-3-オキセタニル-メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェニルグリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、フェニルセロソルブ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H,オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートエピクロロヒドリン変性ブチル(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性フタル酸(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸(メタ)アクリレート、イミド基を有する(メタ)アクリレート類(製品名:M-140、東亞合成社製)、シロキサン構造を有する単官能(メタ)アクリレート類、などが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基以外のエチレン性不飽和基を有する単官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩、などのスチレン誘導体、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、などのマレイミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどのビニルエステル類、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルモルフォリン、N-ビニルアセトアミドなどのN-ビニル系化合物などが挙げられる。
これらの単官能ラジカル重合性化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合せて用いてもよい。
硬化速度を速める観点から、本発明に用いる単官能ラジカル重合性化合物は、少なくとも単官能アクリルアミド系化合物、単官能N-ビニル系化合物、または単官能(メタ)アクリレート系化合物を含有することが好ましい。特に、単官能アクリルアミド系化合物を含有することが好ましい。
成分(C)として含まれる、分子内にラジカル重合性官能基を2個以上有する多官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、多官能(メタ)アクリレート系化合物、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物、多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート系化合物、多官能(メタ)アクリルアミド系化合物、多官能マレイミド系化合物、多官能ビニルエーテル系化合物、多官能芳香族ビニル系化合物などが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサメチレンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、フッ素原子を有する多官能(メタ)アクリレート、シロキサン構造を有する多官能(メタ)アクリレート、などを挙げることができる。
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、2-ビニロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ビニロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ビニロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート系化合物としては、例えば、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
多官能(メタ)アクリルアミド系化合物としては、例えば、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、N,N’-エチレンビスアクリルアミド、N,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、N,N’-メチレンビスメタクリルアミド、N,N’,N’’-トリアクリロイルジエチレントリアミンなどが挙げられる。
多官能マレイミド系化合物としては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサンなどが挙げられる。
多官能ビニルエーテル系化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどが挙げられる。
多官能芳香族ビニル系化合物としては、例えば、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
なお、これらの多官能ラジカル重合性化合物は、単独でも2種以上を組み合せて用いてもよい。
成分(C)の含有量は、特に制限されるものではないが、成分(A)と成分(C)の合計100質量部に対して、0質量部以上30質量部未満が好ましく、0質量部以上25質量部以下がより好ましく、0質量部であってもよい。すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物は成分(C)を含有しなくてもよい。成分(C)の含有量を当該範囲にすると、硬化物に成分(A)に起因する耐衝撃性向上効果が明確に表れる。
<成分(D):ゴム粒子>
成分(D)はゴム粒子である。本発明の硬化性樹脂組成物は、ゴム粒子を添加することで、硬化物の耐衝撃性を向上させることができる。本発明において用いるゴム粒子は特に限定されるものではないが、一例としてブタジエンゴム粒子、チレン/ブタジエン共重合ゴム粒子、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム粒子等を用いることができる。また、これらのジエンゴムを水素添加又は部分水素添加した飽和ゴム粒子、架橋ブタジエンゴム粒子、イソプレンゴム粒子、クロロプレンゴム粒子、天然ゴム粒子、シリコンゴム粒子、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー三元共重合ゴム粒子、アクリルゴム粒子、シリコーン/アクリル複合ゴム粒子などが挙げられる。なお、これらのゴム粒子は、単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。中でも、柔軟性の観点から、ブタジエンゴム粒子、架橋ブタジエンゴム粒子、スチレン/ブタジエン共重合ゴム粒子、アクリルゴム粒子及びシリコーン/アクリル複合ゴム粒子から選択される少なくとも1種の粒子であることが好ましい。
ゴム粒子としては、ゴム弾性を有するコア部分と該コア部分を被覆する少なくとも一層のシェル部分とから成る多層構造(コアシェル構造)を有するゴム粒子が好ましい。
ゴム粒子のコア部分を構成するポリマーのガラス転移温度は特に限定されないが、0℃以下が好ましく、より好ましくは-10℃未満、さらに好ましくは-40℃以下である。ポリマーのガラス転移温度を0℃以下とすることで硬化物の耐衝撃性が良好に向上する傾向にある。尚、コア部分を構成するポリマーのガラス転移温度は、下記Foxの式により算出される値を意味する。下記Foxの式は、コアを構成するポリマーが単量体1、単量体2、・・・・、及び単量体nの共重合体である場合を示す。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn
Tg:コア部分を構成するポリマーのガラス転移温度(単位:K)
i:コア部分を構成するポリマーを構成する単量体全量に対する単量体iの重量分率
Tgi:単量体iの単独重合体のガラス転移温度(単位:K)
単独重合体のガラス転移温度Tgiは、文献に記載の値を採用することができる。なお、文献に記載のないものについては、単量体を常法により重合して得られる単独重合体の、示差走査熱量測定により測定されるガラス転移温度の値を採用することができる。
コア部分を構成するポリマーは特に限定されないが、ブタジエンゴム、架橋ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム及びシリコーン/アクリル複合ゴムのいずれかからなることが好ましい。
ゴム粒子のシェル層を構成するポリマーは、コア部分を構成するポリマーとは異種のポリマーであることが好ましい。
シェル層を構成するポリマーは(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド、スチレン、α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリル酸またはそのエステル(成分(A))等を用いることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
シェル層を構成するポリマーは、その他のモノマー成分として、コア部分と同様に、上記モノマーの他にジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ブチレングリコールジアクリレート等の分子内に2個以上の反応性官能基を有する反応性架橋モノマーを含有していてもよい。
ゴム粒子のシェル層を構成するポリマーのガラス転移温度は特に限定されないが、0℃以上が好ましく、より好ましくは15℃以上であり、さらに好ましくは30℃以上である。シェル層のガラス転移温度が0℃を下回ると、組成物の粘度が顕著に上昇する傾向にある。シェル層のガラス転移温度が0℃以上の場合は粘度の上昇が起こらず、また組成物中で良好に分散する傾向にある。尚、シェル層のガラス転移温度は上記Foxの式により算出される計算値である。
ゴム粒子は、コア部分をシェル層で被覆することで得られる。コア部位をシェル層で被覆する方法としては、一例として、コア部位にシェル層を塗布する方法、コア部位の表面にシェル層をグラフトする方法が挙げられるが、好ましくはコア部位の表面にシェル層をグラフトする方法である。
ゴム粒子の平均粒径は特に限定されないが、20nm以上2,000nm以下が好ましく、より好ましくは20nm以上900nm以下であり、さらに好ましくは30nm以上800nm以下である。ゴム粒子の平均粒径が20nm以上である場合、ゴム粒子添加による耐衝撃性改善効果が明確に表れる。また、平均粒径が2,000nm以下であると、耐衝撃性に加えて弾性率・耐熱性の観点でバランスに優れた硬化物が得られやすい。
成分(D)の含有量は特に限定されるものではないが、成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計100質量部に対して、5質量部以上60質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、10質量部以上40質量部以下である。成分(D)の含有量を上述の範囲にすることによって、耐衝撃性と弾性率のバランスに優れた硬化物が得られやすい。
<成分(E):ラジカル重合性開始剤>
成分(E)はラジカル重合性開始剤である。ラジカル重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤や熱ラジカル重合開始剤を用いることができる。
光ラジカル重合開始剤は、主に分子内開裂型と水素引抜き型に分類される。分子内開裂型の光ラジカル重合開始剤では、特定波長の光を吸収することで、特定の部位の結合が切断され、その切断された部位にラジカルが発生し、それが重合開始剤となり(メタ)アクリロイル基を含有するエチレン性不飽和化合物の重合が始まる。一方、水素引き抜き型の場合は、特定波長の光を吸収し励起状態になり、その励起種が周囲にある水素供与体から水素引き抜き反応を起こし、ラジカルが発生し、それが重合開始剤となりラジカル重合性化合物の重合が始まる。
分子内開裂型光ラジカル重合開始剤としては、アルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤、オキシムエステル系光ラジカル重合開始剤が知られている。これらはカルボニル基に隣接した結合がα開裂して、ラジカル種を生成するタイプのものである。アルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤としては、ベンジルメチルケタール系光ラジカル重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤、アミノアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤等がある。具体的な化合物としては、例えば、ベンジルメチルケタール系光ラジカル重合開始剤としては、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(OMNIRAD(登録商標)651、IGM RESINS B.V.社製 )等があり、α-ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤としては2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(OMNIRAD(登録商標)1173、IGM RESINS B.V.社製)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(OMNIRAD(登録商標)184、IGM RESINS B.V.社製)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(OMNIRAD(登録商標)2959、IGM RESINS B.V.社製)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン(OMNIRAD(登録商標)127、IGM RESINS B.V.社製)等があり、アミノアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤としては、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(OMNIRAD(登録商標)907、IGM RESINS B.V.社製)あるいは2-ベンジルメチル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン(OMNIRAD(登録商標)369、IGM RESINS B.V.社製)等があるが、これに限定されることはない。アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(ルシリンTPO、BASF社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド(OMNIRAD(登録商標)TPO H、IGM RESINS B.V.社製)等があるが、これに限定されることはない。オキシムエステル系光ラジカル重合開始剤としては、(2E)-2-(ベンゾイルオキシイミノ)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]オクタン-1-オン(イルガキュアOXE-01、BASF社製)等が挙げられるが、これに限定されることはない。括弧内に商品名の一例を併記しておく。
水素引き抜き型ラジカル重合開始剤としては、2-エチル-9,10-アントラキノン、2-t-ブチル-9,10-アントラキノン等のアントラキノン誘導体、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体が挙げられるが、これに限定されることはない。
これらの光ラジカル重合開始剤は、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、後述する熱ラジカル重合開始剤と併用していてもよい。
光ラジカル重合開始剤の添加量としては、成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計100質量部に対して、0.1質量部以上15質量部以下であることが好ましい。より好ましくは0.1質量部以上10質量部以下である。光ラジカル重合開始剤量が0.1質量部以上であれば、重合が十分に進行する。重合開始剤が15質量部以下であれば、分子量が適度に増大し、耐熱性、耐衝撃性を十分に得られる。
また、熱ラジカル重合開始剤としては、加熱によりラジカルを発生するものであれば特に制限されず従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、アゾ系化合物、過酸化物及び過硫酸塩等を好ましいものとして例示することができる。アゾ系化合物としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(メチルイソブチレ-ト)、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)等が挙げられる。過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート及びジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。
熱ラジカル重合開始剤の添加量としては、成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上15質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上10質量部以下である。重合開始剤が15質量部以下であれば、分子量が適度に増大し、耐熱性、耐衝撃性を十分に得られる。
<その他の非ラジカル重合性成分(添加剤)>
本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明の目的、効果を損なわない範囲において、その他の任意成分として各種の添加剤が含有されていてもよい。
例えば、硬化物に所望の物性を付与するための物性改質剤として、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリクロロプレン、ポリエステル、ポリシロキサン、石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、セルロース樹脂などの樹脂、あるいはポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリフェニルスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、液晶ポリマー、ポリトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのエンジニアリングプラスチック、フッ素系オリゴマー、シリコーン系オリゴマー、ポリスルフィド系オリゴマー、金、銀、鉛などの軟質金属、黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化リチウム、窒化ケイ素、セレン化モリブデンなどの層状結晶構造物質を添加しても良い。
また、光増感剤として、フェノチアジン、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール等の重合禁止剤、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、及びキサントン化合物などを添加しても良い。
他の添加剤としては、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、無機充填剤、顔料、染料、酸化防止剤、難燃剤、増粘剤、消泡剤等を挙げることができる。
<硬化性樹脂組成物>
本発明の組成物は、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)および成分(E)、成分(C)を含まない場合は、成分(A)、成分(B)、成分(D)および成分(E)、並びに、必要に応じてその他の任意成分の適量を攪拌容器に仕込んで、通常、20℃以上120℃以下、好ましくは40℃以上100℃以下で攪拌する。そして、必要に応じて超音波を利用した分散処理、揮発性の溶剤除去などを行い製造することができる。
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、光造形法に用いる造形材料として好適に用いることができる。すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物に対して、紫外・可視光線、電子線、X線、放射線などの活性エネルギー線を選択的に照射して硬化に必要なエネルギーを供給することにより、所望の形状の造形物を製造することができる。本発明の硬化性樹脂組成物を光造形法の造形材料として用いる場合、25℃における粘度が10mPa・s以上10,000mPa・s以下であるのが好ましく、より好ましくは10mPa・s以上5,000mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以上1,000mPa・s以下、最も好ましくは10mPa・s以上200mPa・s以下である。
<硬化物>
本発明の硬化物は、前述の硬化性樹脂組成物を、活性エネルギー線照射や熱照射といった公知の方法を用いて硬化せしめることで得ることができる。活性エネルギー線としては、紫外・可視光線、電子線、X線、放射線などを挙げることができる。なかでも、入手が容易な点と、光ラジカル重合開始剤との相性の点で、300nm以上450nm以下の波長を有する紫外・可視光線を好ましく用いることができる。紫外・可視光線の光源としては、紫外・可視光線レーザー(例えばArレーザー、He-Cdレーザーなど)、水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯などを使用することができる。なかでも、レーザー光源が、エネルギーレベルを高めて造形時間を短縮でき、しかも集光性に優れていて高い造形精度を得ることができる点から、好ましく採用される。硬化方法は、硬化性樹脂組成物が含有するラジカル重合開始剤の種類に合わせて適宜選択することができる。また、硬化方法は単独でも、複数組み合わせて用いてもよい。
<物品の造形方法>
本実施形態に係る硬化性樹脂組成物は、光学的立体造形法(光造形法)による物品の製造方法に好適に用いることができる。以下、本実施形態に係る硬化性樹脂組成物を用いた物品の製造方法について説明する。
光造形法としては、従来公知の方法を用いることができる。即ち、本実施形態の物品の製造方法は、本実施形態の硬化性樹脂組成物に選択的に光等の活性エネルギー線を照射して硬化性樹脂組成物を所定の厚さで硬化をさせる工程を含んでいる。そして、硬化性樹脂組成物を所定の厚さに硬化をさせる工程を複数回行い、所定の厚さで硬化した硬化性樹脂組成物の硬化層を積層することによって物品を製造する。
図1に光造形法を用いた造形装置の構成例を示す。光造形装置100は、液状の光硬化性樹脂組成物10を満たした槽11を有している。槽11の内側には、造形ステージ12が、駆動軸13によって鉛直方向に駆動可能に設けられている。光源14から射出された、光硬化性樹脂組成物10を硬化するための活性エネルギー線15は、作製する三次元モデルのスライスデータに従って制御部18によって制御されるガルバノミラー16で照射位置が変更され、槽11の表面に走査される。図1では、走査範囲を太い破線で示している。
硬化性樹脂組成物に照射する活性エネルギー線15としては、本実施形態に係る硬化性樹脂組成物を硬化させることができる活性エネルギー線であれば特に制限はない。活性エネルギー線15の具体例としては、紫外線、可視光線、赤外線、X線、ガンマー線、レーザー光線等の電磁波、アルファー線、ベータ線、電子線等の粒子線等が挙げられる。これらのうち、使用する硬化剤の吸収波長や設備導入のコストの点から、紫外線が最も好ましい。露光量としては、特に限定されないが、好ましくは0.001J/cm2以上10J/cm2以下である。0.001J/cm2以上であると、硬化性樹脂組成物が十分に硬化し、10J/cm2以下であると照射時間が適度で生産性の観点で好ましい。
硬化性樹脂組成物に対して活性エネルギー線を照射する方法は図1の構成に限定されない。活性エネルギー線として光エネルギーを照射する場合には、例えば以下の方法を採用することができる。第1の方法としては、図1のように、レーザー光のように点状に集光した光を使用して、この光を硬化性樹脂組成物に対して二次元的に走査する方法である。このとき、二次元的な走査は点描方式でもよいし、線描方式でもよい。第2の方法としては、プロジェクターなどを用いて断面データの形状に光を照射する面露光方式が挙げられる。この場合、液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッターなどのような微小光シャッターを複数配列して形成した面状描画マスクを通して、活性エネルギー線を面状に照射してもよい。
活性エネルギー線15によって硬化される光硬化性樹脂組成物10の厚さdは、スライスデータの生成時の設定に基づいて決まる値で、得られる造形物17の精度(造形する物品の形状データの再現性)に影響を与える。厚さdは、制御部18が駆動軸13の駆動量を制御することによって達成される。
まず、制御部18が設定に基づいて駆動軸13を制御し、造形ステージ12の上に厚さdで光硬化性樹脂組成物が供給される。造形ステージ12上の液状の硬化性樹脂組成物に、所望のパターンを有する硬化層が得られるように、スライスデータに基づいて活性エネルギー線が選択的に照射され、硬化層が形成される。次いで、造形ステージ12を白抜きの矢印の方向に移動させることによって、硬化層の表面に厚さdで未硬化の硬化性樹脂組成物が供給される。そして、スライスデータに基づいて活性エネルギー線15が照射され、先に形成した硬化層と一体化した硬化物が形成される。この層状に硬化させる工程を繰り返すことによって目的とする立体的な造形物17を得ることができる。
上述の光造形法によって得られた造形物に、必要に応じて後加工が施され、物品が得られる。後加工は、例えば、得られた造形物の表面を有機溶剤などの洗浄剤による洗浄であってもよい。また、得られた造形物に対してさらに光照射や熱処理を施すことで、造形物の表面や内部に残存することのある未反応の残存成分を硬化させるポストキュアーであってもよい。さらに、表面の凹凸を整えるために表面研磨をしたり、ねじ穴を設けたりするなどの機械加工であっても良い。これの加工を複数組み合わせて施しても良い。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<材料>
以下、実施例及び比較例にて使用した材料を列記する。
[成分(A)]
A-1:α-アリルオキシメチルアクリル酸メチル(株式会社日本触媒製、AOMA)
[成分(B)]
B-1:ポリカーボネートジアクリレート;「UH-100DA」(重量平均分子量:約3,000,宇部興産社製)
B-2:ポリカーボネートジメタクリレート;「UM-90(1/3)DM」(重量平均分子量:約2,800,宇部興産社製)
B-3:ポリエーテルジアクリレート;「BPEM-4」(重量平均分子量:約600,第一工業製薬社製)
B-4:ポリエーテルジアクリレート;「ABE-300」(重量平均分子量:約500,新中村工業社製)
B-5:ポリエステルジアクリレート;「M-6100」(重量平均分子量:約760,東亜合成社製)
B-6:ポリエステルジアクリレート;「M-6250」(重量平均分子量:約660,東亜合成社製)
B-7:ポリエステルジアクリレート;「M-6500」(重量平均分子量:約740,東亜合成社製)
B-8:ポリエステルジアクリレート;「CN2254-NS」(重量平均分子量:約3800,SARTOMER社製)
[成分(B’):成分(B)以外の2官能ラジカル重合性オリゴマー]
B’-1:二官能ウレタンアクリレート;「CN9001NS」(SARTOMER社製、重量平均分子量:約5,400)
B’-2:二官能ウレタンアクリレート;「KUA-PC2T」(ケーエスエム社製、重量平均分子量:約10,000)
[成分(C)]
(1)単官能ラジカル重合性化合物
C1-1:アクリロイルモルフォリン;「ACMO」(KJケミカルズ社製)
C1-2:4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート;「TBCHA」(KJケミカルズ社製)
(2)多官能ラジカル重合性化合物
C2-1:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート
C2-2:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
C2-3:トリメチロールプロパントリアクリレート
[成分(D)]
D-1:コアシェル型ゴム粒子;「カネエース(R)M-511」(カネカ社製,平均粒径200nm,コア部:架橋ブタジエンゴム,シェル部:アクリル系共重合体)
[成分(E)]
E-1:光ラジカル発生剤;「Omnirad819」(IGM RESINS B.V.社製)
<硬化性樹脂組成物の製造>
表1,2に示す配合比にて成分(A)乃至(C)を配合し、均一に混合した。この配合物中に、成分(D)の二次粒子状粉体を表1,2に示す配合比にて添加した。その後、混合物中に撹拌子を入れマグネティックスターラーで750rpmの条件で1時間攪拌を行い、ゲル状の混合物を得た。その後、トミー精工社製超音波ホモジナイザー「UD-200」にて出力60Wの条件で2分の間隔をあけながら10分間×2回分散処理をおこない、均一な混合物を得た。その後、成分(E)を表1,2に示す配合比にて添加し、均一に混合することで表1,2に示す硬化性樹脂組成物を得た。
<試験片の作成>
調製した硬化性樹脂組成物から、下記の方法で硬化物を作成した。まず、二枚の石英ガラスの間に長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの金型を挟み、ここに硬化性樹脂組成物を流し込んだ。流し込んだ硬化性樹脂組成物に対して紫外線照射機(HOYA CANDEO OPTRONICS社製、商品名「LIGHT SOURCE EXECURE3000」)で5mW/cm2の紫外線を照射した。得られた硬化物に対して、試験片の形状を損なわない範囲で、必要に応じて追加の紫外線照射や加熱等のポストキュアーを行い、長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの試験片を得た。
<評価>
[重量平均分子量]
ゲルパーミエションクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)装置(東ソー社製、HLC-8220GPC)に、Shodex GPC LF-804カラム(昭和電工社製、排除限界分子量:2×106、分離範囲:300~2×106)を2本直列に配置し、40℃、展開溶媒としてTHFを用い、RI(Refractive Index、示差屈折率)検出器により測定した。得られた重量平均分子量は標準ポリスチレン換算値である。
[シャルピー衝撃強さ]
JIS K 7111に準じて、切欠き形成機(東洋精機製作所製、商品名「ノッチングツール A-4」)にて試験片中央部に深さ2mm、45°の切欠き(ノッチ)を入れた。衝撃試験機(東洋精機製作所製、商品名「IMPACT TESTER IT」)を用い、試験片の切欠きの背面から2Jのエネルギーで破壊する。150°まで振り上げたハンマーが試験片破壊後に振りあがる角度から破壊に要したエネルギーを算出し、それをシャルピー衝撃強さとし、耐衝撃性の指標とした。耐衝撃性の評価は以下の通りとした。
A(非常に良好):15kJ/m2以上。
B(良好):10kJ/m2以上15kJ/m2未満。
C(不良):10kJ/m2未満。
[曲げ弾性率]
JIS K 7171に準じて、試験片を引張・圧縮試験機(エー・アンド・デイ製、商品名「テンシロン万能材料試験機RTF-1250C」)によって、三点曲げ試験(条件:試験速度2mm/分、支点間距離64mm、圧子の半径5mm、支持台の半径5mm)を行い、測定された歪み区間0.05%から0.25%の応力勾配より曲げ弾性率を算出した。曲げ弾性率の評価は以下の通りとした。
A(非常に良好):2.4GPa以上。
B(良好):2GPa以上2.4GPa未満。
C(不良):2GPa未満。
[粘度]
得られた硬化性樹脂組成物について、粘弾性測定装置(MCR302 アントンパール社製)を用いて、以下のように測定した。コーンプレート型測定治具(25mm径、2°)を取り付けた測定装置に試料約0.5mLを充填し、20℃に調整した。せん断速度5s-1の条件で得られる値を粘度とした。粘度の評価は以下の通りとした。
A(非常に良好):200mPa・s未満。
B(良好):200mPa・s以上1000mPa・s未満。
C(不良):1000mPa・s以上。
Figure 2022135918000007
Figure 2022135918000008
表1,2において、各質量部はラジカル重合性化合物の合計100質量部に対して算出したものである。表1,2に記載した混合比で作製した樹脂組成物の硬化物の耐衝撃性評価としてシャルピー衝撃試験の結果を、弾性率評価として曲げ弾性率測定の結果を、造形性の評価として粘度測定の結果をそれぞれ記載した。表1,2を用いて、本発明の有効性を実施例と比較例を参照しながら説明する。
[成分(A)の有効性]
実施例1と比較例9を比べることで、成分(A)の存在が硬化物の耐衝撃性、および低粘度化に大きく寄与していることが確認できる。
[成分(B)の有効性]
実施例1から8と比較例1、2、11を比べることで、成分(B)の存在が硬化物の耐衝撃性に大きく寄与していること、および成分(B)がモノマーユニットがエーテル基、エステル基、カーボネート基のいずれかによって二つ以上連結されるオリゴマー部位と、二つの重合性官能基とからなる2官能ラジカル重合性オリゴマーであることにより、さらに高い弾性率をも示しており、本発明外となるウレタンオリゴマーでは弾性率に関して同等の性能を発現しえないことが確認できる。
[成分(C)の有効性]
実施例9から11と比較例3から8を比べることで、成分(C)が単官能重合性化合物を成分(C)の合計100質量部に対して、75質量部より多く含有する場合に硬化物の耐衝撃性は良好であった。一方、成分(C)が多官能重合性化合物を成分(C)の合計100質量部に対して25質量部以上含む場合は、耐衝撃性に関して同等の性能を発現しえないことが確認できる。
[成分(D)の有効性]
実施例1と比較例10を比べることで、成分(D)の存在が硬化物の耐衝撃性に大きく寄与していることが確認できる。
以上の結果から、本発明の組成物である場合に、その組成物が低粘度で光学的立体造形に好適に使用でき、さらにその硬化物が耐衝撃性と高弾性率を両立しうることが明らかとなった。
10:光硬化性樹脂組成物、11:槽、12:造形ステージ、13:駆動軸、14:光源、15:活性エネルギー線、16:ガルバノミラー、17:造形物、18:制御部、100:光造形装置

Claims (19)

  1. 成分(A):α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリル酸またはそのエステルと、
    成分(B):2官能ラジカル重合性オリゴマーと、
    成分(D):ゴム粒子と、
    成分(E):ラジカル重合性開始剤と、
    を含有し、
    さらに、
    成分(C):前記成分(A)および前記(B)以外のラジカル重合性化合物、
    を含有してもよく、
    前記成分(A)は、下記一般式(1)で示されるα-(不飽和アルコキシアルキル)アクリル酸またはそのエステルであり、
    Figure 2022135918000009
    [式中、R1は、水素原子または炭素数1以上30以下の有機基である。
    2は、炭素数1以上4以下のアルキル基を有していてもよいメチレン基である。
    3、R4は、いずれか一方が炭素数1以上4以下のアルキル基を有していてもよいメチレン基、他方が酸素原子である。
    5は、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、エステル基のいずれかである。]
    前記成分(B)は、モノマーユニットが、カーボネート基、エステル基、エーテル基のいずれかによって二つ以上連結されるオリゴマー部位と、二つの重合性官能基とからなる2官能ラジカル重合性オリゴマーであり、
    前記成分(C)を含有する場合は、前記成分(C)に含まれる単官能ラジカル重合性化合物の含有量が、成分(C)の合計100質量部に対して75質量部よりも多いことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 前記成分(A)は、α-アリルオキシメチルアクリル酸メチルまたはα-アリルオキシメチルアクリル酸エチルであることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記成分(A)の含有量は、前記成分(A)と前記成分(C)の合計100質量部に対して70質量部より多く100質量部以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記(A)成分の含有量は、前記(A)成分と前記(C)成分の合計100質量部に対して75質量部以上100質量部以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記(A)成分と前記成分(C)の合計含有量は、前記成分(A)と前記成分(B)と前記成分(C)との合計100質量部に対して70質量部よりも多く90質量部未満であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 前記成分(B)の含有量は、前記成分(A)と前記成分(B)と前記成分(C)との合計100質量部に対して10質量部よりも多いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 前記成分(B)の重量平均分子量は、400以上5,000以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 前記成分(B)の前記モノマーユニットは、炭化水素基であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 前記成分(B)は、ポリエーテルジ(メタ)アクリレートまたはポリカーボネートジ(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  10. 前記成分(C)は、少なくとも単官能アクリルアミド系化合物、単官能N-ビニル系化合物、単官能(メタ)アクリレート系化合物のいずれかを含有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  11. 前記成分(C)の含有量は、前記成分(A)と前記成分(C)の合計100質量部に対して0質量部であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  12. 前記成分(C)がすべて単官能ラジカル重合性化合物であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  13. 前記成分(D)の含有量は、前記成分(A)と前記成分(B)と前記成分(C)との合計100質量部に対して5質量部以上60質量部以下であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  14. 前記成分(D)の平均粒径は、20nm以上2,000nm以下であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  15. 前記成分(D)は、コアシェル構造を有するゴム粒子であり、前記コアシェル構造のコアが、ブタジエンゴム、架橋ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム及びシリコーン/アクリル複合ゴムのいずれかからなることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  16. 請求項1乃至15のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなることを特徴とする硬化物。
  17. 光造形法を用いた物品の製造方法であって、
    光硬化性樹脂組成物を層状に配置する工程と、
    造形モデルのスライスデータに基づいて、層状の前記光硬化性樹脂組成物に光エネルギーを照射して硬化させて造形物を造形する工程と、
    を含み、
    前記光硬化性樹脂組成物が、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物であることを特徴とする物品の製造方法。
  18. さらに、前記造形物に加工を施す工程を有することを特徴とする請求項17に記載の物品の製造方法。
  19. 前記造形物に加工を施す工程において、洗浄、ポストキュアー、機械加工から選択される少なくともいずれか1つの加工を行うことを特徴とする請求項18に記載の物品の製造方法。
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