JP2022135273A - 微小凹凸表面形状保護方法、耐摩耗性改善部材、機械器具、理容、美容、或いは医療用の器具若しくはハサミ、カッター及び機械の摺動部品 - Google Patents

微小凹凸表面形状保護方法、耐摩耗性改善部材、機械器具、理容、美容、或いは医療用の器具若しくはハサミ、カッター及び機械の摺動部品 Download PDF

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Abstract

【課題】 微粒子投射処理に基づいて形成された微小凹凸の形状保護方法を提供する。【解決手段】 本発明は、微粒子投射処理に基づいて無数にランダムに形成された微小凹凸を有する表面にDLCコーティングを施すことで当該表面の微小凹凸形状を保護する微小凹凸表面形状保護方法であって、DLCコーティングの膜厚が1μmより薄く、DLCコーティング後の微小凹凸の凹凸ピッチが2.4~30μmの範囲であり、当該凹凸ピッチに関連する凹部深さが0.2~3μmの範囲であることを特徴とする。または、DLCコーティングの膜厚が0.3μm以下であり、DLCコーティング後の微小凹凸の凹凸ピッチが0.4~7.3μmの範囲であり、当該凹凸ピッチに関連する凹部深さが0.04~1.0μmの範囲であることを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、微粒子投射処理により形成した微小凹凸の形状を保護する技術に関する。
これまで、本出願人等は、特許文献1において、ショット材を投射するショット材投射処理の一つである微粒子投射処理(例えば、微粒子ピーニング処理など)を施し、粉体、粒状或いはペースト状の物質(以下、これらを単に粉体とも称する)と接触する部材(以下、粉体接触部材とも称する)の表面に微小(微細)凹凸を無数に不規則(ランダム)に形成することで、粉体の付着を抑制する技術を提案している。
また、本出願人等は、ディンプル状の微小凹凸を形成することによる表面改質技術の様々な分野への適用の可能性を探るべく、処理対象と接触する部材(処理対象接触部材)の表面に微小凹凸を無数に形成することによる作用効果を様々な分野で確認するといったアプローチを種々行っているが、その過程において、本出願人等は、特許文献2において述べたように、微粒子投射処理によって部材の表面に形成される微小凹凸が、抗菌効果を発揮することを見い出した。
特許第6416151号 特許第6695558号
ここで、その付着抑制能や抗菌性能などを発揮する微小凹凸は、例えば、粉体や細菌などが付着する金属部材に形成されるが、その金属部材として、例えばステンレス製の食品粉体用ホッパーや篩網、機械摺動部、ドアノブや手すり、スプーンなどのカトラリー類、金属アクセサリー、理容ハサミなどの理美容用道具などは、人の手が触れることや、洗浄作業などによって徐々に摩耗し、微小凹凸による所期の作用効果を発揮できなくなるおそれがある。
このため、微小凹凸が形成されている表面に硬度の高いコーティングなどを施して保護することが考えられるが、微小凹凸の入口径(凹凸ピッチ)が数μm以下、凹部の深さは数μm以下であるため、コーティングの方法によって微小凹凸が均されてしまい、微小凹凸による所期の作用効果が発揮できなくなるおそれがある。
微小凹凸が形成されている表面に硬度の高いコーティングなどを施して保護することが考えられるが、微小凹凸の入口径(凹凸ピッチ)が数μm以下、凹部の深さは数μm以下であるため、コーティングの方法によって微小凹凸が均されてしまい、微小凹凸による所期の作用効果が発揮できなくなるおそれがある。
本発明者等は、種々の研究・実験を行い、その結果、本発明に係るサイズの微小凹凸の保護に適した表面処理方法を今般見い出した。
本発明は、上述したような実情に鑑みなされたもので、微粒子投射処理に基づいて形成された微小凹凸の形状保護方法、微粒子投射処理に基づいて形成された微小凹凸を有する耐摩耗性改善部材、機械器具、理容、美容、或いは医療用の器具若しくはハサミ、カッター及び機械の摺動部品を提供することを目的とする。
本発明は、
微粒子投射処理に基づいて無数にランダムに形成された微小凹凸を有する表面にDLCコーティングを施すことで当該表面の微小凹凸形状を保護する微小凹凸表面形状保護方法であって、
DLCコーティングの膜厚が1μmより薄く、DLCコーティング後の微小凹凸の凹凸ピッチが2.4~30μmの範囲であり、当該凹凸ピッチに関連する凹部深さが0.2~3μmの範囲であることを特徴とする。
本発明は、
微粒子投射処理に基づいて無数にランダムに形成された微小凹凸を有する表面にDLCコーティングを施すことで当該表面の微小凹凸形状を保護する微小凹凸表面形状保護方法であって、
DLCコーティングの膜厚が0.3μm以下であり、DLCコーティング後の微小凹凸の凹凸ピッチが0.4~7.3μmの範囲であり、当該凹凸ピッチに関連する凹部深さが0.04~1.0μmの範囲であることを特徴とする。
本発明において、前記微小凹凸を有する表面が形成された基材が、金属部材であることを特徴とすることができる。
本発明において、前記DLCコーティングは、プラズマ励起化学気相成膜法により施されることを特徴とすることができる。
また、本発明は、
微粒子投射処理に基づいて無数にランダムに微小凹凸が形成された表面の上にDLCコーティング層を有する耐摩耗性改善部材であって、
DLCコーティングの膜厚が1μmより薄く、そのDLCコーティング層の表面の微小凹凸の凹凸ピッチが2.4~30μmの範囲であり、当該凹凸ピッチに関連する凹部深さが0.2~3μmの範囲であることを特徴とする。
また、本発明は、
微粒子投射処理に基づいて無数にランダムに微小凹凸が形成された表面の上にDLCコーティング層を有する耐摩耗性改善部材であって、
DLCコーティングの膜厚が0.3μm以下であり、そのDLCコーティング層の表面の微小凹凸の凹凸ピッチが0.4~7.3μmの範囲であり、当該凹凸ピッチに関連する凹部深さが0.04~1.0μmの範囲であることを特徴とする。
本発明に係る耐摩耗性改善部材は、粉状、粒状或いはペースト状の物質の付着抑制部材として用いることを特徴とすることができる。
本発明に係る耐摩耗性改善部材は、抗菌部材として用いることを特徴とすることができる。
本発明に係る耐摩耗性改善部材において、前記微小凹凸を有する表面が形成された基材が、金属部材であることを特徴とすることできる。
また、本発明に係る機械器具は、上記耐摩耗性改善部材を食品、薬品、医薬品、化粧品、包装フィルム、樹脂製包装体、或いは樹脂製容器と接触する部分の少なくとも一部に用いたことを特徴とする。
また、本発明に係る理容、美容、或いは医療用の器具は、上記耐摩耗性改善部材を用いたことを特徴とする。
また、本発明に係る理容、美容、或いは医療用のハサミは、上記耐摩耗性改善部材を少なくともその刃部分に用いたことを特徴とする。
また、本発明に係るカッターは、ギザ刃、丸刃或いは平刃を有するカッターであって、上記耐摩耗性改善部材を少なくともその刃部分に用いたことを特徴とする。
また、本発明に係る機械の摺動部品は、上記耐摩耗性改善部材を用いたことを特徴とする。
本発明によれば、微粒子投射処理に基づいて形成された微小凹凸の形状保護方法、微粒子投射処理に基づいて形成された微小凹凸を有する耐摩耗性改善部材、機械器具、理容、美容、或いは医療用の器具若しくはハサミ、カッター及び機械の摺動部品を提供することができる。
本発明の一実施の形態に係る粉体付着抑制効果の確認試験の結果を示す図である。 同上実施の形態に係る抗菌力評価試験(抗菌試験)の結果を示す図である。 (A)は同上実施の形態に係る試験片「微粒子投射処理面」の表面の3D画像を示す図であり、(B)は試験片「微粒子投射処理面」をスポンジ研磨した表面の3D画像を示す図であり、(C)は試験片「微粒子投射処理面+DLC」をスポンジ研磨した表面の3D画像を示す図ある。 (A)は図3(A)の拡大図であり、(B)は図3(B)の拡大図であり、(C)は図3(C)の拡大図である。 同上実施の形態に係る試験片「微粒子投射処理面」の表面の微小凹凸の凹凸ピッチを観察した表面形状データを示す図である。 同上実施の形態に係る試験片「微粒子投射処理面+DLC」(DLC成膜時間200分)の表面の微小凹凸の凹凸ピッチを観察した表面形状データを示す図である。 同上実施の形態に係る試験片「微粒子投射処理面+DLC」(DLC成膜時間200分×2回)の表面の微小凹凸の凹凸ピッチを観察した表面形状データを示す図である。 同上実施の形態に係る試験片「微粒子投射処理面+DLC」(DLC成膜時間20分)の微小凹凸の凹凸ピッチを観察した表面形状データを示す図である。 同上実施の形態に係るDLCコーティングのDLC成膜条件を示す表である。 ボールオンディスク試験(摩擦摩耗試験)の結果及び試験条件を示す図である。 同上実施の形態に係るDLCコーティングの成膜時間と膜厚の関係についてのデータ及びDLCの膜厚の画像を示す図である。 TiN膜(断面)、DLC膜(断面)、DLC膜(表面)を拡大して撮影した画像を示す図である。 ショット材投射処理の一例である微粒子ピーニング処理に用いるメディアをワンショットすることにより実験的に形成した単一の微小凹部の断面SEM像である。 レーザ加工による凹部断面SEM像である。
以下、本発明に係る一実施の形態を、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
上述したように、部材の表面に微小凹凸を形成しても使用によって表面が摩耗すると、粉体付着抑制能や抗菌性能などを発揮する微小凹凸形状が減少してしまい、それらの効果が発揮されなくなるおそれがある。なお、ここでの粉体は、粉体、粒状或いはペースト状の物質を代表しているものとする。
しかし、一般的に高い硬度を有するセラミックコーティングでは、微小凹凸のサイズが小さいため、その形状を維持して摩耗低減効果を発揮させると同時に所望の硬度を有する成膜を行なえないという問題がある。
そこで、本発明者等は、微小凹凸形状を保護するための表面処理としてDLCコーティングを有効な表面処理として利用できないか否かについて、各種の研究・実験を行った。
なお、DLCコーティングとは、Diamond-Like Carbon コーティング(皮膜)のことである。DLCコーティング(皮膜)は、イオンを利用した気相合成法により合成されるダイヤモンドに類似した高硬度・電気絶縁性・赤外線透過性などを持つ炭化物系皮膜で、主として炭化水素、あるいは、炭素の同素体から成る非晶質(アモルファス)の硬質膜である。DLC皮膜は、薄膜にもかかわらず、非常に固い膜を作ることができ、一般的に、窒化処理の3~7倍、TiNに対しても同等若しくは2倍以上の硬度を有する(但し、硬度は、DLCの成膜法によって変化する)。
DLCコーティングは高硬度で生体親和性が良いため、食品や人の皮膚(例えば手など)が触れる箇所に対して安全な保護膜として有効であるという利点もある。
<DLCコーティングによる粉体付着抑制効果の維持確認試験>
まず、本実施の形態では、表面に粉体付着抑制効果のある微粒子投射処理を施した試験片(SUS304のプレート)と、同じ微粒子投射処理を施した表面に対してその上からDLCコーティングを施した試験片について、小麦粉の付着試験を行った。なお、試験片は本発明に係る部材の一例である。
具体的には、粉体付着抑制効果の確認試験として、次のような試験を行った。
水平面に対して25°傾けた各試験片の上方から、大さじ1杯(約5g)の小麦粉を10回振り撒いた。その後、その試験片を逆さまにし、試験片上に残った小麦粉を自然落下させた。この操作を3回繰り返した後の試験片の画像を、図1に示す。
図1から、「SUS304 #700鏡面」、及びそれにDLCコーティングを施した試験片「SUS304 #700鏡面+DLC」では、表面に粉体付着抑制効果を奏する微小凹凸が形成されていないため、凝集した小麦粉が付着していることがわかる。
一方、試験片「微粒子投射処理面」(=「SUS304 #700鏡面+微粒子投射処理」)の表面には、小麦粉の付着が抑制できていることがわかる。
また、微粒子投射処理面にDLCコーティングを施した試験片(「微粒子投射処理面+DLC)では、成膜回数1回(成膜時間200分の成膜を1回)の場合は、DLCコーティングなしと同等の付着抑制効果があることが確認できた一方、成膜回数2回(成膜時間200分の成膜を2回)ではやや粉残りが多いことがわかった。
すなわち、DLCコーティングの回数(時間)(=膜厚)が増すことで、徐々に粉体付着抑制に効果のある微小凹凸が減ることで、付着抑制効果が小さくなるものと考えられる。
以上より、微粒子投射処理により微小凹凸を無数にランダムに形成した表面の上にDLCコーティングを施した場合において、DLCコーティングの膜厚を調整することで、粉体付着抑制効果を良好に維持できることが確認できた。
なお、試験片「SUS304 ♯700鏡面」は、SUS304からなるステンレス製の板材の表面をP700番バフにより研磨仕上げしたものである(以下、同様)。
また、試験片「微粒子投射処理面」は、「SUS304 ♯700鏡面」の表面の上に微粒子投射処理を施した試験片である(以下、同様)。
また、試験片「微粒子投射処理面+DLC」は、「SUS304 ♯700鏡面」の表面の上に微粒子投射処理を施した試験片の表面にDLCコーティング(成膜時間200分)を施した試験片であり、DLC1回成膜はDLCコーティングを1回施し、DLC2回成膜はDLCコーティング(成膜時間200分)を2回施した試験片である(以下、同様)。
また、試験片「SUS304 ♯700鏡面+DLC」は、SUS304からなるステンレス製の板材の表面をP700番バフにより研磨仕上げしたものの表面にDLCコーティングを施した試験片である(以下、同様)。
試験片に施した微粒子投射処理やDLCコーティングの各処理の詳細については後述する。
<DLCコーティングによる抗菌効果の維持確認試験>
また、試験片「未処理+DLC」(=「SUS304 ♯700鏡面+DLC」)と、表面に抗菌効果のある微粒子投射処理を施した試験片「微粒子投射処理面」の表面に対してその上からDLCコーティングを施した試験片「抗菌処理+DLC」(=「微粒子投射処理+DLC」)について、抗菌力評価試験を行った。なお、本試験に供した試験片のDLCは、20分成膜を1回施したものである。
その結果、図2の8時間後の培地シートの画像から、微粒子投射処理による微小凹凸のない試験片「未処理+DLC」(=「SUS304 ♯700鏡面+DLC」)には8時間経過後の培地シートに生菌が無数に確認されることから抗菌効果がなく、試験片「抗菌処理+DLC」(=「微粒子投射処理+DLC」」には8時間経過後の培地シートに生菌がわずかに点在するのみで抗菌性能がある(維持されている)ことが確認できた。
ここでの抗菌力評価試験は、ディンプル状の微小凹部を表面に無数に形成した板材(試験片)を、抗菌力評価試験(日本工業規格JIS Z 2801:2010)に供した。
なお、 試験は外部機関にて実施した。
具体的な試験方法は、表面処理の異なる試験片について、フィルム密着法による抗菌力評価試験を行った。
試験条件は、以下に示す通りである。
試験菌株:Escherichia coli NBRC3972株
接種菌液濃度:3.3×105 CFU/mL
菌液接種量:0.4mL
試験面積:40×40mm角
被覆フィルム:エスクリニカパックL、積水化学工業(株)製
試験温度:35°C
試験時間:8時間
生菌数測定には大腸菌群用微生物培地シート(JNC(株)製)を用いた。
生菌数測定は、試料を滅菌生理食塩水9.6mLで洗い、この洗い出した液中の生菌数濃度を測定することで行った。
その結果、図2に示すように、試験片「未処理+DLC」(=「SUS304 ♯700鏡面+DLC」)は、No.1~No.3のロットにおいて、大腸菌の生菌数濃度(CFU/mL)が、1.34E+04~8.5E+04の範囲にあり、平均値は2.7E+04であった。
そして、試料「抗菌処理+DLC」(=「微粒子投射処理面+DLC」)は、No.4~No.6のロットにおいて、大腸菌の生菌数濃度(CFU/mL)が、5.9E+01~2.3E+02の範囲にあり、平均値は1.2E+02であった。また、抗菌活性値(R)は、2.29であった。
ここで、抗菌活性値(R)は、以下の計算式にて得られる(JISにて規定されている)。
R=(Ut-U0)-(At-U0)=Ut-At
R:抗菌活性値
U0:無加工試験片の接種直後の生菌数(生きている菌の数)の対数値
Ut:無加工試験片の24時間後の生菌数の対数値の平均値(但し、今回は24時間後ではなく8時間後で計算)
At:表面処理加工済み試験片の24時間後の生菌数の対数値の平均値(但し、今回は24時間後ではなく8時間後で計算)
なお、無加工試験片は試験片「SUS304 ♯700鏡面」に相当し、表面処理加工済み試験片は「微粒子投射処理面+DLC」に相当する。
JISでは「抗菌活性値(R)が2.0以上(99%以上の死滅率)で抗菌効果があると規定」されており、上述した試験結果により、試験片「抗菌処理+DLC」(=「微粒子投射処理面+DLC)」)には抗菌効果があることが確認できた。
すなわち、抗菌活性値(R)という判断基準からも、微小凹凸が無数にランダムに形成された抗菌効果のある表面の上にDLCコーティングを施した場合であっても、その表面の抗菌効果を維持できることを確認することができた。
なお、本発明において抗菌効果の対象となる菌は、特許第6695558号における抗菌と同様である。
すなわち、東京都健康安全研究センターの提供データによると、大腸菌(O157、O111など)の細菌の大きさは、1.1~1.5μm(よこ寸法)×2.0~6.0μm(長さ)程度であり、大腸菌が、微粒子投射処理により形成される微小凹凸の凹部にはまってしまったり、凸部に乗り上げてしまうことで、大腸菌が移動・運動を自由に行えなくなって死滅したり、自己損傷して死滅してしまうことなどにより、抗菌効果(作用が)生じるなどと予測することができる。
なお、サルモネラ菌は、その大きさは0.7~1.5μm(よこ寸法)×2.0~5. 0μm(長さ)であり、このような似たようなサイズの細菌に対しても、大腸菌と同様に、本実施の形態に係る微粒子投射処理によりその表面に微小凹凸を無数に形成した部材には抗菌或いは滅菌、殺菌効果があるものと考えられる。
すなわち、本実施の形態に係るマイクロディンプル処理によりその表面にディンプル状の微小凹部を無数に形成した抗菌部材は、一般細菌に適用可能であると考えられる。
ここで、上記の各試験に供した試験片は、「SUS304 ♯700鏡面」を基材(ベース)として、この基材の表面に微粒子投射処理やDLCコーティング処理を施したものを用いた。
試験片「微粒子投射処理面」は、「SUS304 ♯700鏡面」の表面に対して微粒子投射処理を施した試験片であるが、ここでの微粒子投射処理は、SUS304からなるステンレス製の板材の表面を♯700番バフにより研磨仕上げしたものに対してディンプル状の微小凹部を無数にランダムに形成する表面処理(微粒子投射処理、マイクロディンプル処理などと称される)を施す処理であり、本実施の形態での微粒子投射処理は、P43と称される微粒子投射処理を施した。
このP43と称される微粒子投射処理の具体的な内容は、まず最初に、例えば、1種類目のメディア(商品名「フジランダム(カーボランダム)」、粒番号C♯400(最大粒子径75μm以下、累積高さ50%点の粒子径30.0±2.0μm)のSiC(炭化珪素))を1/数(例えば0.3)MPa程度の圧縮空気と共に噴射ノズルから噴射し、被加工面(試験片の表面、部材の表面)に投射処理(以下、投射加工とも称する)を施す。
次に、例えば、2種類目のメディア(商品名「フジランダム(カーボランダム)」、粒番号C♯3000(最大粒子径13μm以下、累積高さ50%点の粒子径4.0±0.5μm)のSiC(炭化珪素))を、1/数(例えば0.4)MPa程度の圧縮空気と共に被加工面に投射処理(投射加工)を施すといった処理である。
なお、試験片「微粒子投射処理面」(=「SUS304 ♯700鏡面+微粒子投射処理」)は、図3(A)に示すように、表面に、微小凹凸(ディンプル状の微小凹部)が無数にランダムに形成されている。なお、図4(A)に、図3(A)の拡大図を示す。
また、試験片「微粒子投射処理面」の微小凹凸の凹凸ピッチを観察した表面形状データを図5に示す。図5示したように、当該試験片の凹凸ピッチ(凸部の間隔)範囲(μm)は、約1.6~6.9μm程度であり,その平均凹凸ピッチ(凸部の間隔)は4.33μm程度であった。また、前記凹凸ピッチに関連する凹部の深さの範囲は約0.3~1.0μm程度であり、その平均凹部深さは0.564μm程度であった。当該微小凹凸の凹凸ピッチ、凹部深さは、特許第6695558号の抗菌効果のある範囲(凹凸ピッチの範囲が0.4~7.3μm、その凹部の深さの範囲が0.04~1.0μm)に含まれている。
なお、特許第6695558号において抗菌効果のある部材は、ショット材を投射する投射処理により無数に形成されるディンプル状の微小凹部であって、その凹凸ピッチの最大値が7.3μm以下であり最小値が0.4μm以上であり、その凹部の深さの最大値が1.0μm以下であり最小値が0.04μm以上である微小凹部を有する部材であり、本発明においても、このような微小凹凸のサイズの範囲を抗菌効果のある範囲とすることができる。
また、当該微小凹凸の凹凸ピッチ、凹部深さを有する表面(P43処理を施した表面)には、既述したように、粉体付着効果があることも今回確認された。
なお、後述するものを含めて、本実施の形態における3D画像、表面形状、表面形状データは、KEYENCE社製の形状測定レーザーマイクロスコープVK-X1000を用いて取得した。
また、試験片「微粒子投射処理面+DLC」は、SUS304からなるステンレス製の板材の表面を♯700番バフにより研磨仕上げしたもの(=「SUS304 ♯700鏡面」)に対してディンプル状の微小凹凸を無数にランダムに形成する微粒子投射処理(P43処理)をした後に、その上からDLCコーティング(DLC成膜)を施した試験片である。
なお、試験片「微粒子投射処理面+DLC」は、図3(C)に示すように、DLCコーティングを施した表面に、基材の表面に形成した微小凹凸(ディンプル状の微小凹部)が無数にランダムに残存していることが確認できる。図3(C)は、成膜時間200分のDLCコーティングを施した例である。
そして、小麦粉付着抑制試験に供した試験片「微粒子投射処理面+DLC」(DLC成膜時間200分)の微小凹凸の凹凸ピッチを観察した表面形状データを図6に示す。
図6に示したように、当該試験片の凹凸ピッチ(凸部の間隔)範囲(μm)は、約2.4~17.6μm程度であり,その平均凹凸ピッチ(凸部の間隔)は7.25μm程度であった。また、前記凹凸ピッチに関連する凹部の深さの範囲は約0.21~1.1μm程度であり、その平均凹部深さは0.483μm程度であった。DLCコーティングを施さない図4の場合に比べて、凹凸ピッチは大きくなると共に、凹部深さは浅くなっている。
なお、当該微小凹凸の凹凸ピッチ、凹部深さは、特許第6416151号における粉体付着抑制効果のある範囲(凹部の入口径(凹凸ピッチ)の範囲が10~30μm、深さの範囲が0.5~3μm)より小さい。
すなわち、本実施の形態において、特許第6416151号にて開示した範囲とは異なる凹凸ピッチ(凸部の間隔)の範囲(μm)が最小値2.4以上で、最大値10μmより小さい範囲で、その凹凸ピッチに関連する凹部の深さが、最小値0.21以上、最大値1.1μm以下である範囲において、粉体付着抑制効果があることを確認した。
これは、従来は、微粒子状のメディア(ショット材)を投射してディンプル状の微小凹部を形成する投射加工では、微小凹凸の凹凸ピッチ(隣接する凸部の間隔、或いは凹部の入口径)が10μmより小さいものを形成することは難しかったが、本発明者等の実験、研究等を通じて、P43処理(仕様の異なるメディア(ショット材)を二段階に分けて投射加工を行うことで、ステンレス材などであっても非常に小さなディンプル状の微小凹部を無数にランダムに形成することができるようになったものであり、今回の試験により、特許第6416151号の凹凸ピッチや深さより小さいサイズの凹凸ピッチや深さの微小凹凸を無数にランダムに形成した表面にも粉体付着抑制効果があることが確認されたものである。
また、小麦粉付着抑制試験に供した試験片「微粒子投射処理面+DLC」(DLC成膜時間200分×2回)の微小凹凸の凹凸ピッチを観察した表面形状データを図7に示す。
図7に示したように、当該試験片の凹凸ピッチ(凸部の間隔)範囲(μm)は、約3.1~11.2μm程度であり,その平均凹凸ピッチ(凸部の間隔)は5.9μm程度であった。また、前記凹凸ピッチに関連する凹部の深さの範囲は約0.09~0.65μm程度であり、その平均凹部深さは0.38μm程度であった。図6のDLC成膜200分の場合に比べて、凹凸ピッチは若干小さくなると共に、凹部深さは若干浅くなっている。このため、粉体付着抑制効果が、図6のDLC成膜200分の試験片に比べてやや劣ったものと考えられる。
なお、当該微小凹凸の凹凸ピッチ、凹部深さも、図6のDLC成膜200分の試験片と同様、特許第6416151号における粉体付着抑制効果のある範囲(凹部の入口径(凹凸ピッチ)の範囲が10~30μm)より小さいが、当該微小凹凸を無数にランダムに形成した表面にも粉体付着抑制効果があることが確認されたものである。
また、抗菌試験に供した試験片「微粒子投射処理面+DLC(DLC成膜時間20分)」の微小凹凸の凹凸ピッチを観察した表面形状データを図8に示す。
図8に示したように、当該試験片の凹凸ピッチ(凸部の間隔)範囲(μm)は、約2.5~7.1μm程度であり、その平均凹凸ピッチ(凸部の間隔)は4.91μm程度であった。また、前記凹凸ピッチに関連する凹部の深さの範囲は約0.16~0.9μm程度であり、その平均凹部深さは0.430μm程度であった。DLCコーティングを施さない図4の場合に比べて、凹凸ピッチは若干小さくなると共に、凹部深さは若干浅くなっている。
なお、当該微小凹凸の凹凸ピッチ、凹部深さは、特許第6695558号の抗菌効果のある範囲(凹凸ピッチの範囲が0.4~7.3μm、前記凹凸ピッチに関連する凹部の深さの範囲が0.04~1.0μm)に含まれている。
ここで、本実施の形態においては、DLCコーティング(DLC成膜)処理は、プラズマCVD(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition プラズマ励起化学気相成膜)法を利用して行った。プラズマCVD法は、反応性気体をプラズマ化することで、活性ラジカルやイオンを生成し、そのラジカルやイオンが成膜対象物の表面で化学反応を起こすことで、薄膜を積層、形成する方法である。但し、DLCコーティング(DLC成膜)処理の方法はこれに限らず、例えば、PVD法や、大気圧プラズマCVD法とすることも可能である。
なお、本実施の形態において、より具体的には、SUS304や超硬などの金属板(試験片)を装置チャンバー内にセットし、純度91%のアルゴンガスを導入し、0.3Paで30分間、基板表面のアルゴンボンバードメント処理を実施した。その後、アルゴンガスを止め、99.95%のTMS(テトラメチルシラン)を導入し、0.1Paで20分間の処理時間で、試験片の表面に中間層(Si化合物)を析出させた。この中間層はDLCと試験片の表面の密着性を向上させるためのものである。その後、図9に示すDLC成膜条件において、DLCを成膜した。
上述した確認試験によって、微粒子投射処理により微小凹凸を形成した表面にDLCコーティングを施した場合であっても、その膜厚を調整することで、粉体付着抑制効果、抗菌効果を維持することができることがわかった。
そこで、本実施の形態では、粉体付着抑制効果、抗菌効果を維持しているDLCコーティング表面に、実際に、摩耗低減効果があるか否かの確認実験を行った。
まず、図3(B)は、試験片「微粒子投射処理」(=「SUS304 ♯700鏡面+微粒子投射処理」)の表面を、市販のスポンジタワシのタワシ(ナイロン不織布)側で研磨した後の表面の様子を示しているが、線状のこすりキズが複数形成されていることが確認できる。なお、図3(B)の拡大図を、図4(B)に示す。
これに対して、図3(C)に示したように、試験片「微粒子投射処理面+DLC」(=「SUS304 ♯700鏡面+微粒子投射処理+DLCコーティング」)(DLC成膜時間200分)の表面に同様のスポンジタワシ研磨処理を行った場合には、線状のこすりキズは確認できない。図3(C)の拡大図を、図4(C)に示す。
従って、微粒子投射処理により形成された微小凹凸を有する表面にDLCコーティングを施すことで、粉体付着抑制効果、抗菌効果を維持しつつ、摩耗を改善することができることがわかった。
更に、本実施の形態では、以下の摩擦摩耗試験も行った。
<摩擦摩耗試験>
微粒子投射処理により微小凹凸を無数にランダムに形成した表面(微粒子投射処理面)に対してDLCコーティングを施しても抗菌効果(及び粉体付着抑制効果)のある試験片「微粒子投射処理面+DLC」(=「SUS304 ♯700鏡面+微粒子投射処理+DLC」(DLC成膜時間200分)と、抗菌効果(及び粉体付着抑制効果)のある微粒子投射処理のみを施した試験片「微粒子投射処理面」(=「SUS304 ♯700鏡面+微粒子投射処理」)と、に対してボールオンディスク試験(摩擦摩耗試験)を行った。また、比較のために、試験片「SUS304 ♯700鏡面」、試験片「SUS304 ♯700鏡面+DLC」(DLC成膜時間200分)についても同試験を行った。
その結果を、図10に示す。図10は、横軸をLap数(周回数)、縦軸を摩擦係数(μ)とし、摩擦係数(μ)が急激に立ち上がったところが摩擦摩耗限界(焼き付きなど)を表している。ボールオンディスク試験は、ここでは、試験片とボール(相手材)を負荷(荷重(7N))をかけて接触させた状態とし、潤滑油の存在下で、試験片とボールを所定回転速度で相対的に回転(周回)させて行った(図10参照)。
図10から、試験片「SUS304 ♯700鏡面」(基材(鏡面))と比較して、試験片「微粒子投射処理面」は耐摩耗性が6倍程度以上まで上がっていることがわかる。
また、微粒子投射処理面にDLCコーティングを施した試験片「微粒子投射処理面+DLC」(DLC成膜時間200分)は、本試験においては、摩耗限界まで至らず、摩耗・摩擦低減効果がより顕著であることがわかる。
このことより、前述したスポンジタワシのような比較的軽負荷での摺動(摩擦)に対して摩耗低減効果があるだけでなく、DLCコーティングを施した場合には荷重のかかる場合においても摩耗低減効果があることがわかった。
ここで、抗菌効果や粉体付着効果のある微小凹凸のその効果を維持しつつ摩耗を低減することができるDLCコーティングの膜厚について検討する。
成膜時間と膜厚の関係についてのデータを、図11に示す。
例えば、今回の確認試験により得られた粉体付着抑制効果のある微小凹凸を無数にランダムに形成した試験片「SUS304 ♯700鏡面+DLC」(DLC成膜時間200分)については、微小凹凸の凹凸ピッチ(凹部の入口径、凸部ピッチ)2.4~17.6μm程度、それらに関連する凹部の深さ0.2~1.1μm程度であり、この点を考慮すると、数値的にはより長時間の成膜時間(より厚い膜厚)でも粉体付着抑制効果は残るものと考えられる。
なお、特許第6416151号における粉体付着抑制効果のある範囲(凹部の入口径(凹凸ピッチ)の範囲が10~30μm、凹部深さ0.5~3μm)である。
しかし、図1の小麦粉の粉体付着試験の結果を見ると、200分の成膜時間で成膜した試験片(DLCの膜厚が0.99μm)(すなわち、1μmより薄い膜厚)では粉体付着抑制効果が良好に維持できている一方で、200分×2回の成膜時間で成膜した試験片では、粉体付着抑制効果が薄れていることが確認された。200分×2回の成膜時間の膜厚としては、図11から1.77μm≒1.8μm以上程度の膜厚である。
このことから、粉体付着抑制効果と摩耗改善効果の両立を実効的なものとするためには、200分(膜厚1μm)程度までとすることが望ましいものと考えられる。
また、抗菌効果については、微粒子投射処理(P43処理)の上にDLCコーティングを施した試験片で抗菌効果があるとの結果がある(図2参照)。
抗菌効果のある微小凹凸の凹凸ピッチ、凹部深さは、特許第6695558号の抗菌効果のある範囲(凹凸ピッチの範囲が0.4~7.3μm、その凹部の深さの範囲が0.04~1.0μm)である。
本実施の形態において、微粒子投射処理(P43処理)により無数にランダムに形成された微小凹凸の凹凸ピッチ(凸部ピッチ)範囲(μm)は、図5に示した通り、約1.6~6.9μm程度であり、当該凹凸ピッチに関連する凹部の深さの範囲は約0.3~1.0μm程度であった。
この試験片に、DLCコーティング(成膜時間20分)を施した試験片の凹凸ピッチ(凸部の間隔)範囲(μm)は、約2.5~7.1μm程度であり、当該凹凸ピッチに関連する凹部の深さの範囲は約0.16~0.9μm程度であった。
従って、成膜時間20分(膜厚0.28μm(約0.3μm))のDLCコーティングを施した場合は、施さない場合に比べて、凹凸ピッチは0.2~0.9μm程度大きくなり、凹部深さは0.1~0.14μm程度浅くなっている。
すなわち、微粒子投射処理により微小凹凸を無数にランダムに形成した表面の上にDLCコーティングを施す場合、粉体付着抑制効果の維持と摩耗改善(形状保護)の両立を図るためには、膜厚1μmより薄膜として、DLCコーティング後の微小凹凸の凹凸ピッチ(凹部の入口径、凸部ピッチ)2.4~30μmの範囲、当該凹凸ピッチに関連する凹部深さを、0.2~3μmの範囲とすることが有効である。
また、同様に、微粒子投射処理により微小凹凸を無数にランダムに形成した表面の上にDLCコーティングを施す場合において、抗菌効果の維持と摩耗改善(形状保護)の両立を図るためには、膜厚0.3μm以下の薄膜として、DLCコーティング後の微小凹凸の凹凸ピッチ(凹部の入口径、凸部ピッチ)0.4~7.3μmの範囲、当該凹凸ピッチに関連する凹部深さを、0.04~1.0μmの範囲にすることが有効である。
ここで、本発明に係るDLCコーティングが、他のコーティングに比べて、微小凹凸が形成されている表面の形状保護コーティングに適したコーティングである点について考察する。
既述したように、微小凹凸が形成されている表面に硬度の高いコーティングなどを施してその形状を保護しようとする場合、微小凹凸の入口径(凹凸ピッチ)が数μm以下、凹部の深さは数μm以下である場合においては、コーティングによって微小凹凸が埋められて均されてしまい、有効なサイズの微小凹凸が消失し、微小凹凸による所期の作用効果が発揮できなくなるおそれが考えられる。
例えば、硬度の高い被膜として知られるTiN膜などのセラミックス被膜(コーティング)では、基材(部材)の表面で原子(イオン)が動いて結晶成長により膜成長が起きるため、基材の表面にある結晶の面方位や組織によって成長速度が異なる場合がある。
また、膜種によっては島状に成長するため、均一な状態での薄膜化が難しいといった実情がある。そして、そもそも、結晶なので、表面に結晶による構造ができてしまうなど、成膜後に表面(下地)形状(例えば微小凹凸形状)を忠実に反映できないといった実情がある。
このような点を踏まえ、本発明者等は、上述してきたような種々の検討、研究、実験を行い、その結果、本発明に係るサイズの微小凹凸の保護には、DLCコーティング処理が有効であることを見い出した。
なお、DLCコーティング処理は、コーティングによって微小凹凸が消失してしまうことを抑制でき、微小凹凸が無数にランダムに形成された表面形状の保護と、微小凹凸による所期の作用効果と、の両立を図ることができるのは、以下の理由からであると推測する。
DLCコーティング(被膜)は、上述したセラミックスコーティング(被膜)とは異なり、アモルファス構造で共有結合のため、成膜時に表面の原子(イオン)の移動はほとんどなく、構造を持たないため、均質な薄膜化が可能で、表面(下地)形状(例えば微小凹凸形状)を忠実に反映することができるものと考えられる。図12に各処理での被膜の違いを示しておく。
そして、微粒子投射処理により形成される微小凹凸は、凹部の開口部(径)と深さの比が小さいので、プラズマを用いたDLC被膜によれば、十分に表面(下地)形状を維持したまま被覆が可能であると考えられる。
なお、微粒子投射処理を施したステンレス材の表面の上にDLCコーティング処理を施すことで、粉体付着抑制効果と、摩耗低減効果と、の両立を図ることができることから、本発明に係る耐摩耗性改善部材(上述した試験片の一部が相当)は、例えば、特許第6416151号と同様、粉状、粒状或いはペースト状の物質(薬品、食品、インスタントコーヒーなどの嗜好品など)を扱う分野(例えば、食品、医薬、化粧品などを生産などする分野)において利用される機械器具(処理器具、機械部品など)に適用可能である。このような機械器具(処理器具、機械部品など)は、特に限定されるものではなく、例えば、スクリュウコンベア、シュート、フライパン、鍋等、計量カップ、ホッパーを含む各種収容容器、シャッター、搬送コンベア、運搬用コンテナ、運搬用バケット等の他、収容、加工、搬送、滑落、調理、計量等の各種の処理を行う際に、被処理物が接触するすべての機械器具(処理器具、機械部品など)に本発明は適用できるものである。
また、本発明によれば、摩耗低減効果と、抗菌効果と、の両立を図ることができることから、本発明に係る耐摩耗性改善部材(上述した試験片の一部が相当)を、食品、薬品、医薬品、化粧品などを収容するホッパーや、これらを投下するシューターなどの各種の機械器具の「食品、薬品、医薬品、化粧品などと接触する部分」に用いることは、衛生面や耐摩耗性の改善延いては交換サイクルも長期化などの観点から有益である。
更に、本発明に係る耐摩耗性改善部材を、食品、薬品、医薬品、化粧品などを包装する包装フィルム(例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)などの樹脂製包装フィルム)、或いは樹脂製材料などから造られた樹脂製包装体(個別包装袋なども含む)や樹脂製容器(トレイなども含む)などと接触する部分に用いる機械器具に適用した場合にも耐摩耗性の改善及び衛生面などの観点から有益である。
また、本発明に係る耐摩耗性改善部材は、抗菌効果を有することから、理容、美容、或いは医療用の器具などに用いることは耐摩耗性の改善及び衛生面などの観点から有益である。
また、本発明に係る耐摩耗性改善部材を理容、美容、或いは医療用のハサミの少なくともその刃部分に用いることは、耐摩耗性の改善及び衛生面などの観点から有益である。
また、本発明に係る耐摩耗性改善部材を、例えば、食品、薬品、医薬品、化粧品などを包装する包装フィルムをカットするギザ刃(ギザギザ形状の刃)を有するカッター、精肉などをカットする丸刃或いは平刃を有するカッターのその刃部分に少なくとも用いることができ、耐摩耗性の改善や衛生面などの観点から有益である。なお、カッターとしては、包丁などを含む手動式のもの、或いは電動工具用のもの、機械装置に組み込まれたものなどを含むことができる。
また、本発明に係る耐摩耗性改善部材を機械の摺動部品に用いることは、耐摩耗性の改善の観点から有益である。
また、本発明は、微粒子投射処理前のベース材の表面の仕上げ仕様(♯400、♯700、2B等の研磨の有無や処理内容の違いなど)に限定されるものではなく、特に非磁性のオーステナイト系のステンレス(SUS303、304、316など)、どれでも同等の効果が得られると考えられる。また、ステンレス材以外の金属材料(例えば、鉄の場合には、例えばスチール(SS400など)、アルミニウム、チタン等の金属製或いは合金製など)であっても本発明は適用可能である。
また、本発明に係る耐摩耗性改善部材は、樹脂製部材とすることも可能であり、その材料は特に限定されるものではない。また、例えば、セラミックスとすることも可能である。
また、本発明に係る耐摩耗性改善部材は、ブロック状、プレート状、シート状などあらゆる形が想定され、その形状・サイズなどは特に限定されるものではない。
ここで、本実施の形態に係る微粒子投射処理(ショット材投射処理、微小凹凸形成処理、マイクロディンプル処理などとも称される)は、既知の噴射装置により、上述したようなメディア(ショット材、研磨材粒子)を噴射して部材の表面に衝突させることで行うことができる。
例えば、噴射装置としては、ブラスト装置を用いることができ、ブラスト装置の一例としては、例えば、株式会社不二製作所製の「PNEUMA BLASTER」(型式:SCシリーズ、SGシリーズなど)などを用いることができる。また、例えば、特開2019-25584号公報などに記載されているものを用いることができる。
より具体的には、噴射粒体を部材の表面に向けて噴射する噴射装置としては、圧縮気体(空気、アルゴン、窒素等)と共に研磨材(微粒子)の噴射を行う既知のブラスト加工装置(ブラスト処理装置)を使用することができる。
そして、ブラスト加工装置(ブラスト処理装置)としては、圧縮気体の噴射により生じた負圧を利用して研磨材を噴射するサクション式のブラスト加工装置,研磨材タンクから落下した研磨材を圧 縮気体に乗せて噴射する重力式のブラスト加工装置,研磨材が投入されたタンク内に圧縮気体を導入し、別途与えられた圧縮気体供給源からの圧縮気体流に研磨材タンクからの研磨材流を合流させて噴射する直圧式のブラスト加工装置、及び、上記直圧式の圧縮気体流を、ブロワーユニットで発生させた気体流に乗せて噴射するブロワー式ブラスト加工装置等が市販されているが,これらはいずれも前述した噴射粒体の噴射に使用可能である。
また、水などの液体と共にショットを高圧で噴射するウォータージェットも使用することができる。
ところで、本実施の形態では、微粒子投射処理(ショット材投射処理)により、ディンプル状の微小凹部を無数にランダムに形成したが、本発明はこれに限定されるもではなく、部材の表面に化学研磨(化学エッチング)を施すことで、微小凹部をランダムに複数(多数)形成することができる。なお、化学研磨(化学エッチング)としては、例えば、塩酸・硝酸・硫酸・リン酸などの酸性薬剤や塩化鉄(III)などを任意の割合で水溶液に調製し使用することが想定される。
また、部材の表面に、アルゴンボンバード処理を施すことで、接触面にサブミクロン以下の凹凸をランダムに複数(多数、無数)形成することもできる。
また、部材の表面に微小凹凸を形成することには、化学エッチング、プラズマ処理、ショット材投射処理などに基づいて(利用して)形成した微小凹凸をその表面に有する型を用いて、例えば転写等により、部材の表面に凹凸形状を形成する場合なども含まれるものである。
なお、本発明に係る抗菌部材は、例えば、処理対象が接触する処理対象接触部材に適用でき、その場合において、例えば、保管、収容、運搬、滑落、ふるい、撹拌器具、調理用ボール、調理用器具、手術用器具、医療用器具などを含む各種の処理に用いられる部材に適用可能である。
また、本発明に係る抗菌部材は、上述したような処理対象接触部材に限定されるものではなく、車両用の吊手(つり革のグリップ部分)、その他の取っ手或いは持ち手(グリップ)、ドアノブ、ハンドル、便座など人や動物が触れる部材など、抗菌(或いは菌増殖抑制)等の目的のために、ディンプル状の微小凹凸を無数にランダムに形成する部材であれば適用可能である。
以上説明したように、本実施の形態によれば、微粒子投射処理に基づいて形成された微小凹凸の形状保護方法、微粒子投射処理に基づいて形成された微小凹凸を有する耐摩耗性改善部材、機械器具、理容、美容、或いは医療用の器具若しくはハサミ、カッター及び機械の摺動部品を提供することができる。
ここで、本発明に係る物の発明では、微粒子投射処理、微小凹凸形成処理、マイクロディンプル処理などと称されるショット材投射処理により(或いは基づいて)形成された凹凸表面は、レーザ加工等で予め設計された図面に従って形成される幾何学的かつ規則的な凹凸形状とは全く異なることから、微粒子投射処理に基づいて無数にランダムに形成された微小凹凸が形成された表面などと特定している。
従って、微粒子投射処理に基づいて無数にランダムに形成された微小凹凸を形状、構造、特性等により特定することには、本願出願時において不可能・非現実的事情が存在しており、「微粒子投射処理により(或いは基づいて(転写などの場合を考慮))微小凹凸を無数にランダムに形成した表面を有する」などという表現を用いざるを得ないことについて、以下に説明しておく。なお、以下に述べる内容は、特許第6416151号の異議申立事件の審理において認められたものであります。
微粒子投射処理(ショット材投射処理)は、投射粒(メディア)を、圧縮空気を介し秒速数十から百m以上の速度で加工対象表面に衝突させ、有意な寸法変化を伴わずに、その縁に凸部を有する略球面状のミクロンサイズの微小凹凸(微小凹部)を不規則に加工面の略全面に形成するものであり、微粒子投射処理においてメディアが衝突して微小凹部が形成される際には、クレーター状に、その周囲が隆起して凸部が形成され(図13参照)、この隆起した凸部は、他のメディアが衝突することで、凹まされるため凸部の高さは不規則となる。
これに対して、レーザ加工や切削加工等の機械的加工は規則正しい凹部が形成されると共に、除去加工であるため凸部は形成されない(凹部の形成に伴って凸部が隆起されることはない)。このため、レーザ加工や切削加工等の機械的加工における微小凹部の周囲の凸部の高さは被加工材(レーザ加工されている部材)の表面(元々の素材表面)の高さに一致している(図14参照)。
また、微粒子投射処理により形成される微小凹凸は無数に不規則に(ランダムに)形成されるため、当該微粒子投射処理により形成される表面テクスチャ(形状)は、研磨や研削処理などの表面を削って傷(すじ状などの溝)を付与する処理により形成される表面形状(テクスチャ)とは異なるが、表面粗さ計などにより測定すると、両者は数値的には似た値となってしまうため、表面粗さなどにより両者を区別することはできない。
しかし、微粒子投射処理により形成される表面テクスチャ(形状)によって得られる効果(粉体付着抑制効果や抗菌効果など)は、研磨や研削処理などの表面を削って傷を付与する処理により形成される表面形状(テクスチャ)からは予想できない格別なものである。
また、数ミリオーダーのメディアを衝突させて残留応力を付与して疲労限を改善するショットピーニング処理からは、微粒子投射処理を施した表面が粉体付着抑制効果や抗菌効果を有するといったことは到底予測できないものである。
このように、微粒子投射処理により形成される微小凹凸は無数に不規則に(ランダムに)形成され、微小凹部及びその周囲の凸部の形状は不規則であり、その不規則性が本発明により奏される作用効果の源になっていることに鑑みれば、微粒子投射処理により形成された表面テクスチャ(形状)を特定するための用語として、「微粒子投射処理により(或いは基づいて)形成された」という表現を用いる以外には、微粒子投射処理により(或いは基づいて)形成された表面を特定することはできない。
以上のように、微粒子投射処理により(或いは基づいて)形成された微小凹凸を形状、構造、特性等により特定することには、本願出願時において不可能・非現実的事情が存在している。
ところで、本発明は、上述した発明の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは可能である。

Claims (14)

  1. 微粒子投射処理に基づいて無数にランダムに形成された微小凹凸を有する表面にDLCコーティングを施すことで当該表面の微小凹凸形状を保護する微小凹凸表面形状保護方法であって、
    DLCコーティングの膜厚が1μmより薄く、DLCコーティング後の微小凹凸の凹凸ピッチが2.4~30μmの範囲であり、当該凹凸ピッチに関連する凹部深さが0.2~3μmの範囲であることを特徴とする微小凹凸表面形状保護方法。
  2. 微粒子投射処理に基づいて無数にランダムに形成された微小凹凸を有する表面にDLCコーティングを施すことで当該表面の微小凹凸形状を保護する微小凹凸表面形状保護方法であって、
    DLCコーティングの膜厚が0.3μm以下であり、DLCコーティング後の微小凹凸の凹凸ピッチが0.4~7.3μmの範囲であり、当該凹凸ピッチに関連する凹部深さが0.04~1.0μmの範囲であることを特徴とする微小凹凸表面形状保護方法。
  3. 前記微小凹凸を有する表面が形成された基材が、金属部材であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の微小凹凸表面形状保護方法。
  4. 前記DLCコーティングは、プラズマ励起化学気相成膜法により施されることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか一つに記載の微小凹凸表面形状保護方法。
  5. 微粒子投射処理に基づいて無数にランダムに微小凹凸が形成された表面の上にDLCコーティング層を有する耐摩耗性改善部材であって、
    DLCコーティングの膜厚が1μmより薄く、そのDLCコーティング層の表面の微小凹凸の凹凸ピッチが2.4~30μmの範囲であり、当該凹凸ピッチに関連する凹部深さが0.2~3μmの範囲であることを特徴とする耐摩耗性改善部材。
  6. 微粒子投射処理に基づいて無数にランダムに微小凹凸が形成された表面の上にDLCコーティング層を有する耐摩耗性改善部材であって、
    DLCコーティングの膜厚が0.3μm以下であり、そのDLCコーティング層の表面の微小凹凸の凹凸ピッチが0.4~7.3μmの範囲であり、当該凹凸ピッチに関連する凹部深さが0.04~1.0μmの範囲であることを特徴とする耐摩耗性改善部材。
  7. 粉状、粒状或いはペースト状の物質の付着抑制部材として用いることを特徴とする請求項5に記載の耐摩耗性改善部材。
  8. 抗菌部材として用いることを特徴とする請求項6に記載の耐摩耗性改善部材。
  9. 前記微小凹凸を有する表面が形成された基材が、金属部材であることを特徴とする請求項5~請求項8の何れか一つに記載の耐摩耗性改善部材。
  10. 請求項5~請求項8の何れか一つに記載の耐摩耗性改善部材を食品、薬品、医薬品、化粧品、包装フィルム、樹脂製包装体、或いは樹脂製容器と接触する部分の少なくとも一部に用いたことを特徴とする機械器具。
  11. 請求項6又は請求項8に記載の耐摩耗性改善部材を用いたことを特徴とする理容、美容、或いは医療用の器具。
  12. 請求項6又は請求項8に記載の耐摩耗性改善部材を少なくともその刃部分に用いたことを特徴とする理容、美容、或いは医療用のハサミ。
  13. ギザ刃、丸刃或いは平刃を有するカッターであって、請求項5~請求項8の何れか一つに記載の耐摩耗性改善部材を少なくともその刃部分に用いたことを特徴とするカッター。
  14. 請求項5~請求項8の何れか一つに記載の耐摩耗性改善部材を用いたことを特徴とする機械の摺動部品。
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