JP2022135107A - スチレン系樹脂発泡体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、耐油性、耐熱性及び圧縮強度に優れたスチレン系樹脂発泡体を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、スチレン系樹脂(A)45.0~97.0質量%と、短軸d1或いは長軸d2の平均長さの少なくとも一方は、10~80μmのセルロース系多糖類(B)3~55質量%と、を含有するスチレン系樹脂発泡体である。【選択図】なし

Description

本発明は、スチレン系樹脂発泡体に関する。
スチレン系樹脂は、発泡特性に優れており、軽量化、断熱性、及び衝撃吸収性を付与できることから包材や断熱材などの発泡体材料として使用されている。このような発泡体材料は、未発泡の状態よりも同体積で軽量であり、断熱性及び衝撃吸収性において優れている。しかし、その反面、発泡倍率を増やすほど圧縮強度等の機械的物性が低下するという問題点がある。スチレン系樹脂は、発泡容器などでは耐油性向上の要望も高い。このような発泡体材料の機械的物性を向上させるために、セルロースファイバーを配合させる試みが行われている。例えば、特許文献1にはスチレン系樹脂と変性セルロースファイバーからなる発泡体、特許文献2にはスチレン系樹脂と変性されたセルロースナノファイバー(以下、CNFとも称する。)からなる発泡体が開示されている。
国際公開2018/110566号公報 特開2013-185085号公報
しかしながら、特許文献1,2には、ポリスチレン及びセルロースファイバーが開示されているものの、実際に実施例において検討されている材料は耐熱性の低いポリエチレン(以下、PEとも称する。)を用いた例のみであり、加工温度が高いポリスチレンに関して一切検討していない。また、当該特許文献1,2で開示された技術では、セルロースファイバーの平均径がナノオーダーで極めて細いものであり、さらには、当該文献の明細書に記載のスチレン系樹脂では圧縮強度等の機械的物性が不十分であり、耐油性の向上が見込めない。そのため、特許文献1、2の技術では、未反応の変性剤残留物、あるいは変性されたCNFの耐熱性が不十分であることから、加工温度が高くなると発泡成形に不具合を生じ、発泡体の圧縮強度又は耐熱性などの特性を低下させてしまうという新たな問題点が生じる。
そこで、本発明の目的は、耐油性、圧縮強度及び耐熱性に優れたスチレン系樹脂発泡体を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、スチレン樹脂に対して、特定セルロース系多糖類(B)を特定の割合で添加した発泡体とすることで、耐油性、圧縮強度、耐熱性に優れたスチレン系樹脂発泡体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]本発明は、スチレン系樹脂(A)45.0~97.0質量%と、短軸d或いは長軸dの平均長さの少なくとも一方が10~80μmであるセルロース系多糖類(B)3~55質量%と、を含有するスチレン系樹脂発泡体である。
[2]本発明において、スチレン系樹脂(A)65.0~93.0質量%と、短軸d或いは長軸dの平均長さの少なくとも一方が10~80μmであるセルロース系多糖類(B)7~35質量%と、を含有するスチレン系樹脂発泡体が好ましい。
[3]本発明において、前記セルロース系多糖類(B)のヘミセルロース量が1%以上であることを特徴とすることが好ましい。
[4]本発明において、前記スチレン系樹脂発泡体は、前記スチレン系樹脂(A)及び前記セルロース系多糖類(B)を含有するスチレン系樹脂組成物から形成され、前記スチレン系樹脂組成物のメルトフローレートが2~10であることを特徴とすることが好ましい。
[5]本発明において、前記スチレン系樹脂発泡体が押出発泡体であることが好ましい。
本発明によれば、耐油性、圧縮強度、耐熱性に優れたスチレン系樹脂発泡体を提供することである。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[スチレン系樹脂発泡体]
本実施形態のスチレン系樹脂発泡体は、スチレン系樹脂(A)45.0~97.0質量%と、平均粒径10~60μmのセルロース系多糖類(B)3~55質量%とを含む。また、本実施形態のスチレン系樹脂発泡体は、発泡剤(C)を含んでもよく、必要によりさらに任意添加成分を含んでもよい。
このようなスチレン系樹脂発泡体は、スチレン系樹脂(A)及びセルロース系多糖類(B)を含有するスチレン系樹脂組成物より得られることが好ましく、発泡剤(C)を前記スチレン系樹脂組成物に添加して発泡させることにより形成されることがより好ましい。このように構成成分を含む発泡体は、セルロース系多糖類(B)が発泡核剤になり均等に微細な発泡構造となるほか、発泡壁にセルロース系多糖類(B)が含まれることにより、耐油性、耐熱性、剛性に優れる。
より詳細には、本発明に係るスチレン系樹脂発泡体は、発泡壁にセルロース系多糖類(B)が含まれることにより、圧縮強度、断熱特性に優れる。
なお、本明細書において、スチレン系樹脂(A)、平均粒径10~60μmのセルロース系多糖類(B)、発泡剤(C)を、それぞれ、(A)成分、(B)成分、(C)成分とも称す。
<スチレン系樹脂(A)>
本実施形態におけるスチレン系樹脂発泡体又は当該スチレン系樹脂発泡体を形成するスチレン系樹脂組成物は、スチレン系樹脂(A)を含有する。
本実施形態において、スチレン系樹脂(A)の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量%に対して、45~97質量%であり、好ましくは50~95質量%、より好ましくは65~93質量%である。当該含有量を45質量%以上とすることにより、発泡押出成形性が可能であり、当該含有量を97質量%以下とすることにより、耐油性、圧縮強度を向上させることができる。
本実施形態で用いることができるスチレン系樹脂(A)は、スチレン系単量体単位を有する重合体であることが好ましく、スチレン系単量体単位を有する共重合体であることがより好ましい。また、スチレン系樹脂(A)は、スチレン系単量体と、当該スチレン系単量体と共重合可能な他のビニル単量体及びゴム状重合体より選ばれる1種以上の単量体を重合して得られる共重合樹脂であることがさらに好ましい。スチレン系樹脂(A)は、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン、マトリクス中にゴム状重合体(a)の粒子が分散されたゴム変性スチレン系樹脂、又はスチレン系単量体単位を有するスチレン系共重合樹脂が挙げられる。
<<ポリスチレン>>
本実施形態において、ポリスチレンとはスチレン系単量体を重合した単独重合体であり、一般的に入手できるものを適宜選択して用いることができる。ポリスチレンを構成するスチレン系単量体としては、スチレンの他に、α-メチルスチレン、α-メチル-p-メチルスチレン、ο-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、及びt-ブチルスチレン又はブロモスチレン及びインデン等のスチレン誘導体が挙げられる。特に工業的観点からスチレンが好ましい。これらのスチレン系単量体は、1種又は2種以上使用することができる。ポリスチレンは本発明の効果を損なわない範囲で、上記のスチレン系単量体単位以外の単量体単位を更に含有することを排除しないが、典型的にはスチレン系単量体単位からなる。
<<ゴム変性スチレン系樹脂>>
本実施形態において、ゴム変性スチレン系樹脂とは、マトリクスとしてのスチレン樹脂中にゴム状重合体(a)の粒子が分散したものであり、ゴム状重合体(a)の存在下でスチレン系単量体を重合させることにより製造することができる。
本実施形態のゴム変性スチレン系樹脂を構成するスチレン系単量体としては、スチレンの他に、例えば、α-メチルスチレン、α-メチルp-メチルスチレン、ο-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、及びt-ブチルスチレン又はブロモスチレン及びインデン等のスチレン誘導体が挙げられる。特に、スチレンが好ましい。これらのスチレン系単量体は、1種又は2種以上使用することができる。
本実施形態のゴム変性スチレン系樹脂に含まれるゴム状重合体(a)は、例えば、内側に上記のスチレン系単量体より得られるスチレン単量体単位含有樹脂を内包してもよく、及び/又は、外側にスチレン単量体単位含有樹脂がグラフトされてもよい。
前記ゴム状重合体(a)としては、例えば、ポリブタジエン、ポリスチレンを内包するポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、ポリクロロプレン、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体等を使用できるが、ポリブタジエン又はスチレン-ブタジエン共重合体が好ましい。ポリブタジエンには、シス含有率の高いハイシスポリブタジエン及びシス含有率の低いローシスポリブタジエンの双方を用いることができる。また、スチレン-ブタジエン共重合体の構造としては、ランダム構造及びブロック構造の双方を用いることができる。これらのゴム状重合体(a)は1種若しくは2種以上使用することができる。また、ブタジエン系ゴムを水素添加した飽和ゴムを使用することもできる。
このようなゴム変性スチレン系樹脂の例としては、HIPS(高衝撃ポリスチレン)、ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル-エチレンプロピレンゴム-スチレン共重合体)等が挙げられる。
ゴム変性スチレン系樹脂がHIPS系樹脂である場合、これらのゴム状重合体(a)の中で特に好ましいのは、シス1,4結合が90モル%以上で構成されるハイシスポリブタジエンである。該ハイシスポリブタジエンにおいては、ビニル1,2結合が6モル%以下で構成されることが好ましく、3モル%以下で構成されることが特に好ましい。
なお、該ハイシスポリブタジエンの構成単位に関する異性体としてシス1,4、トランス1,4、又はビニル1,2構造を有するものの含有率は、赤外分光光度計を用いて測定し、モレロ法によりデータ処理することにより算出できる。
また、該ハイシスポリブタジエンは、公知の製造法、例えば有機アルミニウム化合物とコバルト又はニッケル化合物を含んだ触媒を用いて、1,3ブタジエンを重合して容易に得ることができる。
ゴム変性スチレン系樹脂中に含まれるゴム状重合体(a)の含有量は、ゴム変性スチレン系樹脂100質量%に対して、3~20質量%が好ましく、更に好ましくは5~15質量%である。ゴム状重合体(a)の含有量が3質量%より少ないとスチレン系樹脂の耐衝撃性が低下する虞がある。また、ゴム状重合体(a)の含有量が20質量%を超えると難燃性が低下する虞がある。
なお本開示で、ゴム変性スチレン系樹脂中に含まれるゴム状重合体(a)の含有量は、熱分解ガスクロマトグラフイーを用いて算出される値である。
ゴム変性スチレン系樹脂中に含まれるゴム状重合体(a)の平均粒子径は、耐衝撃性や難燃性の観点から、0.5~4.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.8~3.5μmである。
なお本開示で、ゴム変性スチレン系樹脂中に含まれるゴム状重合体(a)の平均粒子径は、以下の方法により測定することができる。
四酸化オスミウムで染色したゴム変性スチレン系樹脂から厚さ75nmの超薄切片を作製し、電子顕微鏡を用いて倍率10000倍の写真を撮影する。写真中、黒く染色された粒子がゴム状重合体である。写真から、下記数式(N1):
平均粒子径=ΣniDri /ΣniDri (N1)
(上記数式(N1)中、niは、粒子径Driのゴム状重合体(a)粒子の個数であり、粒子径Driは、写真中の粒子の面積から円相当径として算出した粒子径である。)
により面積平均粒子径を算出し、ゴム状重合体(a)の平均粒子径とする。本測定は、写真を200dpiの解像度でスキャナーに取り込み、画像解析装置IP-1000(旭化成社製)の粒子解析ソフトを用いて測定する。
ゴム変性スチレン系樹脂の還元粘度(これは、ゴム変性スチレン系樹脂の分子量の指標となる)は、0.50~0.85dL/gの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.55~0.80dL/gの範囲である。0.50dL/gより小さいと衝撃強度が低下する虞があり、0.85dL/gを超えると流動性の低下により成形性が低下する虞がある。
なお本開示で、ゴム変性スチレン系樹脂の還元粘度は、トルエン溶液中で30℃、濃度0.5g/dLの条件で測定される値である。
ゴム変性スチレン系樹脂の製造方法は、特に制限されるものではないが、ゴム状重合体(a)の存在下、スチレン系単量体(及び溶媒)を重合する塊状重合(若しくは溶液重合)、又は反応途中で懸濁重合に移行する塊状-懸濁重合、又はゴム状重合体(a)ラテックスの存在下、スチレン系単量体を重合する乳化グラフト重合にて製造することができる。塊状重合においては、ゴム状重合体(a)とスチレン系単量体、並びに必要に応じて有機溶媒、有機過酸化物、及び/又は連鎖移動剤を添加した混合溶液を、完全混合型反応器又は槽型反応器と複数の槽型反応器とを直列に連結し構成される重合装置に連続的に供給することにより製造することができる。
<<スチレン系共重合樹脂>>
本実施形態において、スチレン系共重合樹脂とは、スチレン系単量体単位及び不飽和カルボン酸系単量体単位を必須に含み、さらに不飽和カルボン酸エステル系単量体単位を任意に含む樹脂である。本発明におけるスチレン系共重合樹脂は、スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位の合計含有量を100質量%としたとき、スチレン系単量体単位の含有量は69~98質量%であることが好ましく、より好ましくは74~96質量%であり、さらに好ましくは77~92質量%の範囲である。当該含有量を69質量%以上とすることにより、樹脂の流動性を向上させることができる。一方、当該含有量を98質量%以下とすることにより、後述の不飽和カルボン酸系単量体単位及び任意成分である不飽和カルボン酸エステル系単量体単位を所望量存在させにくくなり、これらの単量体単位による後述の効果を得にくくなる。
スチレン系共重合樹脂において、不飽和カルボン酸系単量体単位は耐熱性を向上させる役割を果たす。スチレン系共重合樹脂中のスチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位の合計含有量を100質量%としたとき、不飽和カルボン酸系単量体単位の含有量は2~16質量%であることが好ましく、より好ましくは4~14質量%であり、さらに好ましくは8~13質量%である。当該含有量を2質量%以上とすることにより、耐熱性をより向上させることができる。一方、当該含有量を16質量%以下とすることにより、樹脂中のゲル化物の発生を抑制し、外観を向上させることができるとともに、また樹脂の流動性と機械的物性を向上させることができる。
一般に、スチレン-メタクリル酸-メタクリル酸メチル共重合樹脂を含むスチレン-メタクリル酸系樹脂は、工業的規模ではほとんどの場合、ラジカル重合で生産されているが、本実施形態において、脱揮工程のゲル化反応を抑制するために、種々のアルコールを重合系中に添加して重合を行なうことができる。
不飽和カルボン酸エステル系単量体は、不飽和カルボン酸系単量体との分子間相互作用によって不飽和カルボン酸系単量体の脱水反応を抑制するために、及び、樹脂の機械的強度を向上させるために用いることができる。更には、不飽和カルボン酸エステル系単量体は、耐候性、表面硬度等の樹脂特性の向上にも寄与する。
スチレン系共重合樹脂において、スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位の合計含有量を100質量%としたとき、不飽和カルボン酸エステル系単量体単位の含有量は0~15質量%であることが好ましく、より好ましくは1~12質量%、さらに好ましくは2~10質量%である。当該含有量を15質量%以下とすることにより、樹脂の流動性を向上させ、且つ吸水性を抑制することができる。また、不飽和カルボン酸エステル系単量体単位の含有量を0質量%とすることにより、耐熱性の向上やコスト削減をすることができるが、上記の観点から不飽和カルボン酸エステル系単量体単位の含有量を0質量%超とすることもできる。
なお、不飽和カルボン酸系単量体と不飽和カルボン酸エステル系単量体単位とが隣り合わせで結合した場合、高温、高真空の脱揮装置を用いると、条件によっては脱アルコール反応が起こり、六員環酸無水物が形成される場合がある。本実施形態のスチレン系共重合樹脂は、この六員環酸無水物を含んでいてもよいが、流動性を低下させることから、生成される六員環酸無水物の量はより少ない方が好ましい。
本実施形態において、スチレン系共重合樹脂中の、スチレン単量体単位(例えば、スチレン単量体単位)、不飽和カルボン酸系単量体単位(例えば、メタクリル酸単量体単位)及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位(例えば、メタクリル酸メチル単量体単位)の含有量は、それぞれ、プロトン核磁気共鳴(H-NMR)測定機で測定したスペクトルの積分比から求めることができる。
本実施形態において、スチレン系共重合樹脂は、スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び任意成分である不飽和カルボン酸エステル系単量体単位以外の単量体単位を、本発明の効果を損なわない範囲で更に含有することを排除しない。しかし、本発明におけるスチレン系共重合樹脂は、典型的には、スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位から構成されることが好ましい。
本実施形態のスチレン系共重合樹脂を構成するスチレン系単量体としては、スチレン系単量体としては、特に限定されないが例えば、スチレン、α-メチルスチレン、α-メチル-p-メチルスチレン、ο-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、t-ブチルスチレン、ブロモスチレン、インデン等のスチレン誘導体が挙げられる。スチレン系単量体としては、工業的観点からスチレンが好ましい。これらのスチレン系単量体は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態のスチレン系共重合樹脂を構成する不飽和カルボン酸系単量体としては、特に限定されないが例えば、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸系単量体としては、耐熱性の向上効果が大きく、常温にて液状でハンドリング性に優れることからメタクリル酸が好ましい。これらの不飽和カルボン酸系単量体は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態のスチレン系共重合樹脂を構成する不飽和カルボン酸エステル系単量体としては、特に限定されないが例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、耐熱性低下に対する影響が小さいことから(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。これらの不飽和カルボン酸エステル系単量体は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態において、スチレン系共重合樹脂の重量平均分子量(Mw)は100,000~350,000であることが好ましく、より好ましくは120,000~300,000、さらに好ましくは140,000~240,000である。重量平均分子量(Mw)が100,000~350,000である場合、機械的強度と流動性とのバランスにより優れる樹脂が得られ、またゲル物の混入も少ない。なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用い、標準ポリスレン換算で得られる値である。
本実施形態において、スチレン系共重合樹脂の重合方法は、特に制限はないが例えば、ラジカル重合法として、塊状重合法又は溶液重合法を好適に採用できる。重合方法は、主に、重合原料(単量体成分)を重合させる重合工程と、重合生成物から未反応モノマー、重合溶媒等の揮発分を除去する脱揮工程とを備える。
以下、本実施形態に用いることができるスチレン系共重合樹脂の重合方法の一例について説明する。
スチレン系共重合樹脂を得るために重合原料を重合させる際には、重合原料組成物中に、典型的には重合開始剤及び連鎖移動剤を含有させる。
スチレン系共重合樹脂の重合に用いられる重合開始剤としては、有機過酸化物、例えば、2,2-ビス(t-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレート等のペルオキシケタール類、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド等のジアルキルペルオキシド類、アセチルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド等のジアシルペルオキシド類、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート等のペルオキシジカーボネート類、t-ブチルペルオキシアセテート等のペルオキシエステル類、アセチルアセトンペルオキシド等のケトンペルオキシド類、t-ブチルヒドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド類等を挙げることができる。分解速度と重合速度との観点から、なかでも、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサンが好ましい。
スチレン系共重合樹脂の重合に用いられる連鎖移動剤としては、例えば、α-メチルスチレンリニアダイマー、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン等を挙げることができる。
スチレン系共重合樹脂の重合方法としては、必要に応じて、重合溶媒を用いた溶液重合を採用できる。用いられる重合溶媒としては、芳香族炭化水素類、例えば、エチルベンゼン、ジアルキルケトン類、例えば、メチルエチルケトン等が挙げられ、それぞれ、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合生成物の溶解性を低下させない範囲で、他の重合溶媒、例えば脂肪族炭化水素類等を、芳香族炭化水素類に更に混合することができる。これらの重合溶媒は、全単量体100質量部に対して、25質量部を超えない範囲で使用するのが好ましい。全単量体100質量部に対して重合溶媒が25質量部を超えると、重合速度が著しく低下し、且つ得られる樹脂の機械的強度の低下が大きくなる傾向がある。重合前に、全単量体100質量部に対して5~20質量部の割合で添加しておくことが、品質が均一化し易く、重合温度制御の点でも好ましい。
本実施形態において、スチレン系共重合樹脂を得るための重合工程で用いる装置は、特に制限はなく、スチレン系共重合樹脂の重合方法に従って適宜選択すればよい。例えば、塊状重合を採用する場合には、完全混合型反応器を1基、又は複数基連結した重合装置を用いることができる。また脱揮工程についても特に制限はない。例えば、塊状重合を採用する場合、最終的に未反応モノマーが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下になるまで重合を進め、かかる未反応モノマー等の揮発分を除去するために、既知の方法にて脱揮処理する。より詳細には、例えば、フラッシュドラム、二軸脱揮器、薄膜蒸発器、押出機等の通常の脱揮装置を用いることができるが、滞留部の少ない脱揮装置が好ましい。なお、脱揮処理の温度は、通常、190~280℃程度であり、メタクリル酸とメタクリル酸メチルとの隣接による六員環酸無水物の形成を抑制する観点から、190~260℃がより好ましい。また脱揮処理の圧力は、通常0.13~4.0kPa程度であり、好ましくは0.13~3.0kPaであり、より好ましくは0.13~2.0kPaである。脱揮方法としては、例えば加熱下で減圧して揮発分を除去する方法、及び揮発分除去の目的に設計された押出機等を通して除去する方法が望ましい。
本実施形態におけるスチレン系樹脂発泡体は、上述した通り、スチレン系樹脂(A)及び前記セルロース系多糖類(B)を含有するスチレン系樹脂組成物から形成されることが好ましく、当該スチレン系樹脂組成物の流動性は、ISO1133に従って測定したメルトフローレイト(MFR)が、1.5~10g/10minの範囲にあることが好ましく、2~10g/10minの範囲にあることがより好ましく、さらに好ましくは3~8g/10minの範囲である。当該スチレン系組成物の流動性が上記範囲を下回ると、組成物の発泡押出成形性が低下する虞があり好ましくない。一方、当該スチレン系組成物の流動性が上記範囲を上回ると、発泡押出成形性での厚み均一性が低下する虞があり、圧縮強度や耐油性が低下してしまう傾向がある。
<セルロース系多糖類類(B)(以下、(B)成分とも称する。)>
本実施形態におけるスチレン系樹脂発泡体又は当該スチレン系樹脂発泡体を形成するスチレン系樹脂組成物は、セルロース系多糖類(B)を含有する。当該スチレン系樹脂組成物中のセルロース系多糖類(B)の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量%に対して、3~55質量%であり、好ましくは10~50質量%、より好ましくは7~35質量%である。セルロース系多糖類(B)の含有量を3質量%以上とすることにより、熱型保持性や耐油性を向上させることができる。一方、当該含有量が多すぎると、流動性低下により成形性を著しく低下させる。スチレン系樹脂組成物、スチレン系樹脂発泡体又は当該スチレン系樹脂発泡体から成形された食品容器中のセルロース系多糖類(B)の含有量は、前記組成物又は前記スチレン系樹脂発泡体などの断片をスチレン系樹脂(A)が溶解する溶媒に溶かし、未溶物を取出し、120℃、4時間の条件で乾燥させたものの質量を測ることでわかる。
本実施形態におけるセルロース系多糖類(B)の形状は特に制限されることはなく、例えば、球状、不規則形状、粉体状、鱗片状、繊維状、棒状等の形状が挙げられる。当該セルロース系多糖類(B)の短軸d或いは長軸dの平均長さの少なくとも一方は、10~80μmであり、好ましくは15~70μmであり、好ましくは20~60μm、さらに好ましくは30~50μmである。短軸及び長軸の平均長さが上記範囲外であると、熱型保持性が十分に発揮されない、あるいは成形性が低下してしまうことがある。一方、短軸及び長軸の平均長さが上記範囲内であると、セルロース系多糖類(B)同士の凝集を低減でき、かつスチレン系樹脂(a)に対する分散性が良好になり耐油性や成型性が向上する。
本実施形態のセルロース系多糖類(B)において、短軸の平均長さdは、長軸dの平均長さ以下であり、当該短軸の平均長さdは、長軸dの平均長さ未満であることが好ましい。尚、本発明において、セルロース系多糖類(B)の短軸の平均長さdは、透過型電子顕微鏡観察(5000倍に拡大)により100個のセルロース系多糖類(B)の短軸長(最小長さ)を測定し、その算術平均をとることにより求められる。一方、セルロース系多糖類(B)の長軸の平均長さは、透過型電子顕微鏡観察(5000倍)により100個のセルロース系多糖類(B)の長軸長(最大長さ)を測定し、その算術平均をとることにより求められる。また、セルロース系多糖類(B)の短軸の平均長さは、セルロース系多糖類(B)の短軸長(最小長さ)を測定し、上記長軸の平均長さと同様の手法により求められる。セルロース系多糖類(B)の短軸長(最小長さ)は、画像上の最も細い(又は短い)箇所の長さをいい、セルロース系多糖類(B)の長軸長(最大長さ)は、画像上の最も長い箇所の長さをいう。熱型保持性はセルロース系多糖類(B)の形状に影響され、ファイバーの場合は短軸、鱗片状又は粒状のものは長軸の平均径に影響を受ける。
本発明におけるセルロース系多糖類(B)の短軸の平均長さd1と長軸の平均長さd2のアスペクト比(d/d)は、1~500であることが好ましく、1.2~300であることがより好ましく、1.5~200であることがさらに好ましく、2~100であることが特に好ましい。
本発明におけるセルロース系多糖類(B)は、β-1,4-グルカン構造を有する多糖類をいい、セルロース及びヘミセルロースを含む。また、セルロース系多糖類(B)は、それ構成する繊維が、β-1,4-グルカン構造を有する多糖類で形成されている限り、セルロース系多糖類(B)の材質は特に制限されず、例えば、高等植物由来のセルロース繊維[例えば、木材繊維(針葉樹、広葉樹等の木材パルプ等)、竹繊維、サトウキビ繊維、種子毛繊維(コットンリンター、ボンバックス綿、カポック等)、ジン皮繊維(例えば、麻、コウゾ、ミツマタ等)、葉繊維(例えば、マニラ麻、ニュージーランド麻等)等の天然セルロース繊維(パルプ繊維)等、動物由来のセルロース繊維(ホヤセルロース等)、バクテリア由来のセルロース繊維、化学的に合成されたセルロース繊維[セルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の有機酸エステル;硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロース等の無機酸エステル;硝酸酢酸セルロース等の混酸エステル;ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース等);カルボキシアルキルセルロース(カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシエチルセルロース等);アルキルセルロース(メチルセルロース、エチルセルロース等);再生セルロース(レーヨン、セロファン等)等のセルロース誘導体繊維等]等が挙げられる。これらのセルロース系多糖類(B)を構成する繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
上記セルロース系多糖類(B)を構成する繊維のうち、セルロース系多糖類(B)を製造したときの分散性、剛性、耐衝撃性の観点で製造効率が高く、適度な繊維径及び繊維長を有する点から、植物由来のセルロース繊維、例えば、木材繊維(針葉樹、広葉樹、竹等の木材パルプ等)や種子毛繊維(コットンリンターパルプ等)等のパルプ由来のセルロース繊維が好ましい。
本実施形態において、セルロース系多糖類(B)100質量%中リグニンの含有量が10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。セルロース系多糖類(B)におけるリグニンの含有量が10質量%より多いと、熱加工時、臭気・着色が大きくなるほか、リグニン劣化物が炭状の黒点となり製品価値が低下するほか、食品容器の場合、電子レンジ加熱時の穴あきの原因となる。
さらに、本実施形態において、ヘミセルロースがセルロース系多糖類(B)100質量%に対し、1質量%以上含まれるものが好ましい。ヘミセルロースが含まれることにより、スチレン系樹脂(A)との分散性が向上し、剛性、成形外観を向上させることができる。本発明においては、セルロース系多糖類(B)の製造工程でこれらの成分を完全に除去するのではなく、好適な範囲内の含有量で残存させることが好ましい。ヘミセルロースは、マンナンやキシランなどの糖で構成される多糖類であり、セルロースと水素結合して、ミクロフィブリル間を結びつける役割を果たしている。また、ヘミセルロースの溶解度パラメータ(SP値)は、セルロースよりも疎水性側にあることから、ヘミセルロースは、スチレン系樹脂(A)とセルロース系多糖類(B)とのSP値差を緩和する効果を有すると考えられる。また、ヘミセルロースを1%以上含有させることにより、気泡径が小さくなり、圧縮強度や耐熱性が向上する。セルロース系多糖類(B)中のヘミセルロースの量は、ヘミセルロースの含有率が高い天然木材原料に対して、精製処理を施すことで所望の量に減らして調整することもできる。例えば、ヘミセルロースの含有率が低い原料を用いた場合は、別の原料から抽出処理して得られたヘミセルロースを添加することにより所望の量に調整することができる。このときヘミセルロースの末端などの構造が、精製や抽出処理によって部分的に天然物と異なる形になっていても構わない。
本実施形態において、スチレン系樹脂(A)とセルロース系多糖類(B)とのSP値差を緩和する目的で、へミセルロースがセルロース系多糖類(B)(100質量%)に対し、1質量%以上25質量%以下含まれることがより好ましく、2質量%以上20質量以下含まれることがさらに好ましく、3質量%以上20質量以下含まれることがよりさらに好ましく、5質量%以上19.5質量以下含まれることがさらにより好ましく、7質量%以上19.3質量以下含まれることが得に好ましい。
<発泡体>
本実施形態のスチレン系樹脂発泡体は、断熱性発泡体であることが好ましい。以下、本発明に係るスチレン系樹脂発泡体の特性(密度、気泡径(セルサイズ)、独立気泡率、圧縮強度について説明する。
<<発泡倍率>>
本実施形態のスチレン系樹脂発泡体の発泡倍率は、好ましくは1.5~60倍、さらに好ましくは2~30倍である。1.5倍より低いと発泡体としての特徴である衝撃吸収や断熱効果が不十分になる。また、60倍より高いと発泡体の圧縮強度が低下し施工時や使用時に破損する虞がある。
<<発泡体の密度>>
本実施形態のスチレン系樹脂発泡体の密度は、スキン層を除いて計算され、発泡体の重量(kg)を発泡体の体積(m)で割ることで算出できる。スチレン系樹脂発泡体の密度は、20~750kg/mであることが好ましく、より好ましくは25~500kg/mであり、さらに好ましくは30~350kg/mである。
<<発泡体の気泡径>>
本実施形態のスチレン系樹脂発泡体の平均気泡径は、ASTM・D3576-77に準拠する方法で測定され、0.01~0.4mmであることが好ましく、より好ましくは0.02~0.3mmであり、さらに好ましくは0.03~0.15mmである。
<<独立気泡率>>
本実施形態のスチレン系樹脂発泡体の独立気泡率は、ASTM・D2856-Aに準拠する方法で測定され、優れた断熱性や機械的強度等の物性を得る観点から70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上100%以下である。
<<圧縮強度>>
本実施形態のスチレン系樹脂発泡体の圧縮強度は、JIS・K7220に準拠する方法で測定され、製品用途にも異なるが、建材に使用するXPS用途では30N/cm以上であることが好ましく、35N/cm以上であることがより好ましい。圧縮強度が低いと、施工時の破壊が多くなり、床下に施工する場合には使用時の破壊も多くなる。
<<発泡剤(C)>>
本実施形態のスチレン系樹脂発泡体として、上記の好適な特性(密度、気泡径(セルサイズ)、独立気泡率、圧縮強度を備えるためには、スチレン系樹脂(A)及びセルロース系多糖類(B)を含有するスチレン系樹脂組成物に発泡剤(C)を添加して発泡させることが好ましい。したがって、本実施形態のスチレン系樹脂発泡体は、その総量100質量%に対して、発泡剤(C)を0.3~10質量%含有することが好ましく、2~8質量%含有することがより好ましい。
本実施形態で用いることができる発泡剤(C)としては、炭素数3~5の飽和炭化水素を1種又は2種以上であることが好ましく、また、必要に応じて他の発泡剤を使用することができる。前記炭素数3~5の飽和炭化水素としては、プロパン、n-ブタン、i-ブタン、n-ペンタン、i-ペンタン、ネオペンタンなどが挙げられる。炭素数3~5の飽和炭化水素の好ましい形態としては、発泡性と発泡体の断熱性能の点からn-ブタン、i-ブタンが好ましく、特にi-ブタンが好ましい。また、前記炭素数3~5の飽和炭化水素1種又は2種以上の含有量が、本実施形態のスチレン系樹脂発泡体100重量部に対して、2~10重量部であることが好ましく、さらに好ましい含有量の態様は、飽和炭化水素化合物の種類によっても異なるが、前記飽和炭化水素として選択されるプロパンでは3~9重量部、特に好ましくは4~8重量部であり、前記飽和炭化水素として選択されるn-ブタン又はi-ブタンでは2.5~9重量部、特に好ましくは3~8重量部であり、前記飽和炭化水素として選択されるn-ペンタン、i-ペンタン又はネオペンタンでは3~9重量部が断熱性能と難燃性の点から好ましい。
他の発泡剤としては、特に限定されるものではないが、有機発泡剤として、例えば、塩化メチル、塩化エチルなどの塩化アルキル類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2-メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどのエーテル類、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn-プロピルケトン、メチルn-ブチルケトン、メチルi-ブチルケトン、メチルn-アミルケトン、メチルn-ヘキシルケトン、エチルn-プロピルケトン、エチルn-ブチルケトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、ブチルアルコール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコールなどのアルコール類、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルなどのカルボン酸エステル類などを用いることができる。また、無機発泡剤として例えば二酸化炭素、窒素、水など、化学発泡剤として例えばアゾ化合物などを用いることができる。これらは単独又は2種以上を混合して使用することができる。これらの他の発泡剤を用いることで、良好な可塑化効果や発泡助剤効果が得られ、押出圧力を低減し、安定に発泡体の製造が可能となる。
特に、他の発泡剤としては、発泡性、発泡体成形性などの点から、塩化メチル、塩化エチル、ジメチルエーテルが好ましい。なお、他の発泡剤は、炭素数3~5である飽和炭化水素以外の化合物であるが、炭素数3~5である飽和炭化水素を含まないだけでなく、炭素数2以下の飽和炭化水素や炭素数6以上の飽和炭化水素、さらには炭素数を問わず不飽和炭化水素を含まないことが好ましい。
また、発泡剤(C)として、複数種の発泡剤を添加する場合の各発泡剤の比率については、発泡剤(C)の全重量に対して、炭素数3~5の飽和炭化水素が20~100重量%、好ましくは25~100重量%、さらに好ましくは30~100重量%である。また、他の発泡剤は、0~80重量%、好ましくは0~75重量%、さらに好ましくは0~70重量%である。他の発泡剤は、発泡体の断熱性能を良好なものにするために、80重量%以下にすることが好ましい。
本実施形態のスチレン系樹脂発泡体を製造する際にスチレン系樹脂(A)に添加する発泡剤(C)の量としては、スチレン系樹脂組成物100重量部に対して6~10重量部、好ましくは7~9重量部、さらに好ましくは7~8重量部である。
<分散剤>
セルロース系多糖類(B)の分散性を向上する目的でスチレン系樹脂組成物又はスチレン系樹脂発泡体に分散剤を含有してもよい。当該分散剤は、(A)成分+(B)成分の合計100質量部に対して0.5~20重量部添加してもよい。分散剤を添加することにより、セルロース系多糖類(B)をスチレン系樹脂(A)に複合化する際に押出機のヤケや目やにを防止し、成形外観を向上させることができる。分散剤が所定量より少ないとそのような効果がなく、所定量より多いと耐熱性が低下する。スチレン系樹脂(A)との親和性に優れる分散剤のほうが効果は、大きくなる。
上記分散剤としては、脂肪酸エステル系化合物、ポリエチレングリコール系化合物、テルペン系化合物、ロジン系化合物、脂肪酸アミド、脂肪酸、脂肪酸金属塩系等を用いることができる。とくに脂肪酸エステル系化合物、ポリエチレングリコール系化合物、テルペン系化合物、ロジン系化合物、が好ましい。
脂肪族エステル系滑剤としては、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、ベヘニン酸メチル、ラウリル酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ヤシ脂肪酸オクチルエステル、ステアリン酸オクチル、牛脂脂肪酸オクチルエステル、ラウリル酸ラウリル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、ミリスチン酸セチル、炭素数28~30の直鎖状で分岐がない飽和モノカルボン酸(以下モンタン酸と略記する)とエチレングリコールのエステル、モンタン酸とグリセリンのエステル、モンタン酸とブチレングリコールのエステル、モンタン酸とトリメチロールエタンのエステル、モンタン酸とトリメチロールプロパンのエステル、モンタン酸とペンタエリスリトールのエステル、グリセリンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンセスクイオレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等が挙げられる。これらは2種以上を混合して使用してもよい。
テルペン系樹脂としては、通常、有機溶媒中でフリーデルクラフツ型触媒存在下、テルペン単量体単独、もしくはテルペン単量体と芳香族単量体、又はテルペン単量体とフェノール類を共重合して得られたものをいうが、これらに限定されない。また、得られたテルペン系樹脂を水素添加処理して得られた水素添加テルペン系樹脂であってもよい。例えば、α-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペン樹脂等のテルペン系樹脂が挙げられる。テルペン単量体としては、イソプレンなどの炭素数5のヘミテルペン類、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、d-リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノーレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオール、サビネン、パラメンタジエン類、カレン類などの炭素数10のモノテルペン類、カリオフィレン、ロンギフォレンなどの炭素数15のセスキテルペン類、炭素数20のジテルペン類等が挙げられるがこれらに限定されない。これらの化合物の中で、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、d-リモネンが特に好ましく用いられる。
芳香族単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、イソプロペニルトルエン等が挙げられるが、これらに限定されない。また、フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、ビスフェノールA等が挙げられるが、これらに限定されない。
ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等のロジンの他、前記ロジンを不均化もしくは水素添加処理した安定化ロジン、前記ロジンの多量体である重合ロジン(典型的には二量体)、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和酸により変性された変性ロジン等が挙げられる。また、ロジン誘導体樹脂としては、前記ロジン系樹脂のエステル化物、フェノール変性物及びそのエステル化物等が挙げられる。本発明で使用されるロジン系樹脂又はロジン誘導体樹脂は、これらの樹脂に限定されるものではない。
脂肪族アミド系滑剤としては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミド等が挙げられる。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
脂肪酸系のうち飽和脂肪酸としては、具体的には、ラウリン酸(ドデカン酸)、イソデカン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、ペンタデシル酸、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、イソステアリン酸、ツベルクロステアリン酸(ノナデカン酸)、2-ヒドロキシステアリン酸、アラキジン酸(イコサン酸)、ベヘン酸(ドコサン酸)、リグノセリン酸(テトラドコサン酸)、セロチン酸(ヘキサドコサン酸)、モンタン酸(オクタドコサン酸)、メリシン酸等が挙げられ、特に、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、12-ヒドロキシステアリン酸及びモンタン酸等が挙げられる。
脂肪酸系のうち不飽和脂肪酸としては、具体的には、ミリストレイン酸(テトラデセン酸)、パルミトレイン酸(ヘキサデセン酸)、オレイン酸(cis-9-オクタデセン酸)、エライジン酸(trans-9-オクタデセン酸)、リシノール酸(オクタデカジエン酸)、バクセン酸(cis-11-オクタデセン酸)、リノール酸(オクタデカジエン酸)、リノレン酸(9,11,13-オクタデカトリエン酸)、エレステアリン酸(9,11,13-オクタデカトリエン酸)、ガドレイン酸(イコサン酸)、エルカ酸(ドコサン酸)、ネルボン酸(テトラドコサン酸)等が挙げられる。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
脂肪酸金属塩系滑剤としては、上記脂肪酸系滑剤の脂肪酸のリチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、及びアルミニウム塩等が挙げられる。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
<任意添加成分>
本実施形態において、スチレン系樹脂発泡体は、上記(A)~(C)成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて従来公知の添加剤、加工助剤等の任意添加成分を含有してもよい。これら任意添加成分としては、酸化防止剤、耐候剤、帯電防止剤、充填剤等が挙げられる。
上記酸化防止剤としては、フェノール系化合物、リン系化合物、チオエーテル系化合物等が挙げられる。
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジフェニル-4-オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6-ヘキサメチレンビス〔(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、2,2’-エチリデンビス(4,6―ジ-t-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4-第2ブチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-t-ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、2-t-ブチル-4-メチル-6-(2-アクリロイルオキシ-3-t-ブチル-5-メチルベンジル)フェノール、ステアリル〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、テトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6-ヘキサメチレンビス〔(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2--t-ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5-トリス〔(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2-t-ブチル-4-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニルチオ)-5-メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4’-n-ブチリデンビス(2--t-ブチル-5-メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10-ジハイドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、2,2’-メチレンビス(4,6-t-ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-t-ブチルフェニル)-オクタデシルホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2-〔(2,4,8,10-テトラキス-t-ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ〕エチル)アミン、2-エチル-2-ブチルプロピレングリコールと2,4,6-トリ-t-ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。
これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
上記チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及びペンタエリスリトールテトラ(β-アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
上記耐候剤としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤等を用いることができる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、5,5’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)等の2-ヒドロキシベンゾフェノン類;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2,2’-メチレンビス(4-t-オクチル-6-(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ-t-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2,4-ジ-t-アミルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2-エチル-2’-エトキシオキザニリド、2-エトキシ-4’-ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル-α-シアノ-β、β-ジフェニルアクリレート、メチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシ-5-メチルフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-s-トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。
これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルステアレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-オクトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)・ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)・ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-ブチル-2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノ-ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-モルホリノ-s-トリアジン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-t-オクチルアミノ-s-トリアジン重縮合物、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8-12-テトラアザドデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕アミノウンデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。
これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
上記帯電防止剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系、グリセリン脂肪酸モノエステル等の脂肪酸部分エステル類等を用いることができる。
具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-(3-ドデシルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)メチルアンモニウムメソスルフェート、(3-ラウリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ステアロアミドプロピルジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム硝酸塩、ステアロアミドプロピルジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムリン酸塩、カチオン性ポリマー、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキル硝酸エステル塩、リン酸アルキルエステル塩、アルキルホスフェートアミン塩、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ジグリセリン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミン脂肪酸モノエステル、アルキルジエタノールアミド、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリエーテルブロックコポリマー、セチルベタイン、ヒドロキシエチルイミダゾリン硫酸エステル等が挙げられる。
これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
上記充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭素繊維、マイカ、ワラストナイト、ウィスカ等を用いることができる。
本実施形態において、スチレン系樹脂発泡体は、上記の任意添加成分の他、ブロッキング防止剤、着色剤、ブルーミング防止剤、表面処理剤、抗菌剤、目ヤニ防止剤(特開2009-120717号公報に記載のシリコーンオイル、高級脂肪族カルボン酸のモノアミド化合物、及び高級脂肪族カルボン酸と1価~3価のアルコール化合物とを反応させてなるモノエステル化合物等の目ヤニ防止剤)等の任意添加成分を含有してもよい。
本実施形態において、上記任意添加成分の合計含有量は、スチレン系樹脂発泡体中、0.05~5質量%としてよい。
本実施形態のスチレン系樹脂発泡体は、実質的に(A)成分、(B)成分、(C)成分、分散剤及び任意添加成分のみからなっていてもよい。
「実質的に(A)成分、(B)成分、(C)成分、分散剤及び任意添加成分のみからなる」とは、スチレン系樹脂発泡体の95~100質量%(好ましくは98~100質量%)が(A)成分、(B)成分、(C)成分、分散剤及び任意添加成分に占められていることを意味する。
尚、本実施形態のスチレン系樹脂発泡体は、本発明の効果を損なわない範囲で(A)成分、(B)成分、(C)成分、分散剤及び任意添加成分の他に不可避不純物を含んでいてもよい。
本実施形態のスチレン系樹脂発泡体は、スチレン系樹脂(A)と、短軸d或いは長軸dの平均長さの少なくとも一方が10~80μmであるセルロース系多糖類(B)と、必要により添加される、発泡剤(C)、分散剤及び/又は任意添加成分と、をそれぞれ所定量含有する、スチレン系樹脂組成物から形成される。当該スチレン系樹脂組成物に添加された、スチレン系樹脂(A)、セルロース系多糖類(B)、並びに、必要により添加される、発泡剤(C)、分散剤及び/又は任意添加成分の材料又はその特性等は上述した通りである。またこれら(A)成分、(B)成分、発泡剤(C)、分散剤及び任意添加成分の添加量は、スチレン系樹脂発泡体中の含有量が上記の範囲になるように適宜調整されて添加することができる。
以下、スチレン系樹脂組成物を用いたスチレン系樹脂発泡体の製造方法の一例について説明する。
[スチレン系樹脂発泡体の製造方法]
<スチレン系樹脂組成物の製造方法>
本実施形態において、スチレン系樹脂発泡体は、スチレン系樹脂組成物から形成される。本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、各成分を任意の方法で溶融混練することによって製造することができる。例えば、ヘンシェルミキサーに代表される高速撹拌機、バンバリーミキサーに代表されるバッチ式混練機、単軸又は二軸の連続混練機、ロールミキサー等を単独で、又は組み合わせて用いる方法が挙げられる。混練の際の加熱温度は、通常、180~260℃の範囲で選択される。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、実質的に(A)成分、(B)成分、及び任意成分(発泡剤(C)、分散剤及び任意添加成分を含む)のみからなっていてもよい。
「実質的に(A)成分、(B)成分、及び任意成分のみからなる」とは、スチレン系樹脂組成物の95~100質量%(好ましくは98~100質量%)が(A)成分、(B)成分、及び任意成分に占められていることを意味する。
尚、本実施形態のスチレン系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で(A)成分、(B)成分、及び任意成分の他に不可避不純物を含んでいてもよい。
<スチレン系樹脂組成物の特性>
<<メルトフローレート(MFR)>>
本実施形態において、スチレン系樹脂(A)の流動性の指標としてメルトフローレート(MFR)で表されることが好ましい。そして、当該メルトフローレート(MFR)は、ISO1133に従って測定し、かつスチレン系樹脂(A)のメルトフローレートの値が0.5g/10min以上であることが好ましく、より好ましくは0.8g/10min以上である。0.5g/10min未満では、流動性が低く、加工温度を上げる必要があり、セルロース系多糖類(B)が劣化による物性低下や成形品が変色してしまう恐れがある。
さらに本実施形態において、スチレン系樹脂組成物の流動性も同様にISO1133に従って測定したメルトフローレート(MFR)で表されることが好ましく、スチレン系樹脂組成物のメルトフローレートは2~10g/10minの範囲にあることが好ましい。
その流動性が上記範囲を下回ると、スチレン系樹脂組成物の発泡成形性が低下する虞があり好ましくない。一方、その流動性が上記範囲を上回ると、発泡形状が不均一になるほか、発泡特性や圧縮強度が低下する虞がある。
<<スチレン系樹脂組成物の発泡処理>>
本実施形態のスチレン系樹脂発泡体は、上記のスチレン系樹脂組成物を加熱溶融し、これに発泡剤(C)、必要に応じて放射低減剤を添加し、これを押出発泡させることにより、スチレン系樹脂押出発泡体を製造することができる。例えば、主原料の(A)成分、(B)成分及び任意成分である発泡剤(C)、その他種々の添加物を押出機のホッパーに投入し、発泡剤を圧入して混練した後、冷却機でゲルを均一に冷却して、ダイから大気圧下に押出発泡することで製造することができる。
スチレン系樹脂組成物を加熱溶融する際の溶融温度は、好ましくは160~240℃、より好ましくは170~230℃、さらに好ましくは180~220℃で、押出機によって固形原料を溶融混練する。また、発泡剤(C)を圧入する際の圧力は、好ましくは110~200kg/cm、より好ましくは120~185kg/cmである。押出機によって溶融された固形原料と発泡剤(C)はミキサー(回転数:20~40rpm、より好ましくは25~35rpm)によって混練され、クーラーによってゆっくりと冷却される。また、ゲルを冷却し発泡するときの最適温度は、好ましくは100~130℃、より好ましくは110~127℃である。
なお、気泡径を調整する方法としては、一般に発泡核剤としてポリエチレン、タルクなどの添加、又は発泡剤(C)の添加量の増減(溶解度の影響)により調整する方法があげられる。また、スチレン系樹脂発泡体の密度を調整する方法としては、一般に発泡剤(C)の添加量又は発泡温度を調整することによって行う方法があげられる。
<<発泡剤>>
本製造方法で用いることができる発泡剤(C)としては、上述した発泡剤(C)と同一であるためここでは省略する。
<<用途>>〉
本実施形態の発泡体(C)は、特に制限されないが、発泡押出シート(XPS,PSP)や発泡性スチレンポリマー(EPS)、発泡射出成形品として用いることが好ましく、特に発泡押出シート(XPS)がより好ましい。
本実施形態の発泡体は、建材や自動車・航空機などの断熱材、吸音材、制振材や電子・電機の各種部品、食品容器等に好適に用いられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明の実施形態を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
<測定及び評価方法>
本実施例及び比較例で得られた、スチレン系樹脂(A)及びスチレン系樹脂発泡成形体の物性の測定及び評価は、次の方法に基づいて行った。
各実施例及び比較例で得られた食品容器の評価は、次の方法に基づいて行った。
(1)メルトフローレート(MFR)
スチレン系樹脂組成物のメルトマスフローレート(g/10min)は、ISO 1133に準拠して測定した(200℃、荷重49N)。
(2)スチレン系樹脂発泡体の平均気泡径
ASTM・D3576-77に準じて、板状のスチレン系樹脂発泡体の押出断面の平均気泡径(mm)を測定した。
具体的には、本発明に係るスチレン系樹脂発泡体の平均気泡径は、以下の測定方法から算出できる。スチレン系樹脂発泡体をMD方向及びTD方向に沿って厚み方向に切断し、MD方向の断面及びTD方向の断面を作製する。次いで、その断面に存在する各気泡の気泡径をデジタルマイクスコープにより観察して、MD方向の気泡径の数平均値と、TD方向の気泡径の数平均値とをそれぞれ算出する。この数平均値をスチレン系樹脂発泡体の平均気泡径とする。
なお、上記測定方法において、各断面に存在する各気泡の気泡径は、気泡の断面形状における最も長い径を意味し、例えば、断面形状が真円状であれ直径を表し、断面形状が楕円状であれば長径を表す。
また、上記測定方法において、MD方向、又はTD方向が定まらない場合は、以下の方法により、スチレン系樹脂発泡体の平均気泡径を測定できる。スチレン系樹脂発泡体の厚み方向の任意の断面と、該断面と直交する方向のもう一つの厚み方向の断面を作製する。そして、それぞれをMD方向の断面、TD方向の断面として、上記と同様にして発泡体シートの平均気泡径を求めることができる。
(3)耐熱性
後述の方法で作製した、厚さ2mmの板状のスチレン系樹脂発泡体から100mm(TD方向)×100mm(MD方向)の発泡シートを3枚切り出し、105℃のシリコーンオイルのバス中に30分間浸漬させた。浸漬後の3枚の発泡シートについて、縦方向の収縮率、横方向の収縮率を測定し、全ての収縮率から数平均収縮率を算出し、以下の評価基準で判定した。収縮率3%未満が実用上好ましい。◎:収縮率1%未満○:収縮率1%以上3%未満×:収縮率3%以上
なお、縦方向の収縮率及び横方向の収縮率は、以下の式から算出した。
縦方向の収縮率=(シリコーンオイルのバスに浸漬前の発泡シートにおけるTD方向の長さ-シリコーンオイルのバスに浸漬後の発泡シートにおけるTD方向の長さ)/シリコーンオイルのバスに浸漬前の発泡シートにおけるTD方向の長さ
横方向の収縮率=(シリコーンオイルのバスに浸漬前の発泡シートにおけるMD方向の長さ-シリコーンオイルのバスに浸漬後の発泡シートにおけるMD方向の長さ)/シリコーンオイルのバスに浸漬前の発泡シートにおけるMD方向の長さ
(4)耐油性
後述の方法で作製した、厚さ2mmの板状のスチレン系樹脂発泡体から100mm(長手方向)×30mmの発泡シートを切り出し、当該発泡シートの片端を長手方向に20mm固定し、固定位置から長手方向に10mm空け、さらに10mmの位置(すなわち、前記発泡シート片端から40mmの位置)から、幅30mm、長手方向に20mmの範囲にサラダ油を浸した布を貼り付け、もう一方の前記発泡シートの片端に250gの加重を吊り下げて、25℃の温度で発泡シートの破断時間を測定した(発泡シートはサラダ油を浸した布の位置で破断した)。なお、サラダ油は日清オイリオグループ株式会社製を使用した。
(5)圧縮強度
JIS K7220に準じた方法で圧縮強度を測定した。
(6)スチレン系樹脂(a)中のスチレン単量体単位、メタクリル酸単量体単位、及びメタクリル酸メチル単量体単位の含有量
プロトン核磁気共鳴(H-NMR)測定機で測定したスペクトルの積分比から、樹脂組成を定量した。
・試料調製:樹脂ペレット30mgをd-DMSO 0.75mLに60℃で4~6時間加熱溶解した。
・測定機器:日本電子(株)製 JNM ECA-500
・測定条件:測定温度25℃、観測核H、積算回数64回、繰り返し時間11秒。
(スペクトルの帰属)
ジメチルスルホキシド重溶媒中で測定されたスペクトルの帰属について、0.5~1.5ppmのピークは、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、及び六員環酸無水物のα-メチル基の水素由来のピーク、1.6~2.1ppmのピークはポリマー主鎖のメチレン基の水素由来のピーク、3.5ppmのピークはメタクリル酸メチルのカルボン酸エステル(-COOCH)の水素由来のピーク、12.4ppmのピークはメタクリル酸のカルボン酸の水素由来のピークである。また、6.5~7.5ppmのピークはスチレンの芳香族環の水素由来のピークである。なお、本実施例及び比較例の樹脂では六員環酸無水物の含有量が少ないため、本測定方法では通常定量化は難しい。
(7)セルロース系多糖類の平均長さの測定
混練物から得られたペレットから厚さ75nmの超薄切片を作製し、電子顕微鏡を用いて倍率50000倍の写真を撮影した。そして、写真を200dpiの解像度でスキャナーに取り込み、画像解析装置IP-1000(旭化成社製)の粒子解析ソフトを用いて、100個のセルロース系多糖類(B)の最小長さ及び最大長さをそれぞれ測定し、それぞれの算術平均を短軸の平均長さd、長軸の平均長さdとした。また、上記と同様に、セルロース系多糖類(B)単体も電子顕微鏡を用いて倍率50000倍の写真を撮影して、それぞれの算術平均を短軸の平均長さd、長軸の平均長さdを測定する。
(8)リグニン量の定量
セルロース系多糖類(B)におけるリグニンの定量分析は、廃棄物資源循環学会論文誌 Vol22,N0.5,P293,2011に記載されているTGA法を参考とした。
熱重量解析装置は(株)島津製作所製のDTG-60型を使用し,空気雰囲気下で昇温速度10℃/minの条件にて室温から900℃まで昇温した。分析する試料は,70℃で2時間乾燥したものを3~5mg精秤し,熱分解による重量変化を測定した。なお試料容器は内径が5mmで高さ2mmの円盤状白金皿を使用し,すべての実験は一定条件の下で測定を行った。
(9)ヘミセルロース量の測定
セルロース系多糖類(B)におけるヘミセルロースの定量分析は、次の通りである。
セルロース系多糖類(B)の分散液、又はスチレン系樹脂組成物から樹脂分を溶解除去して得たセルロース系多糖類(B)の再分散液から分散媒を除去し、セルロース残渣を回収して、105℃で乾燥して得た乾燥試料の質量を、以下の方法で測定した。
乾燥したセルロース残渣を粉砕して得た粉砕試料をソックスレー抽出器でアルコール(エタノール)/ベンゼン混合溶媒)で6時間抽出した。その後、アルコール(エタノール)/ベンゼン混合溶媒)でさらに4時間抽出を行って脱脂試料を得た。当該脱脂試料2.5gに蒸留水150mL、亜塩素酸ナトリウム1.0g、酢酸0.2mLを加えて、70~80℃で1時間加熱処理を行い、再び亜塩素酸ナトリウム1.0g、酢酸0.2mLを加えて、70~80℃で1時間加熱する操作を、試料が白く脱色するまで3~4回繰り返した。得られた試料をろ過して、水及びアセトンで洗浄し、105℃で乾燥してホロセルロース画分(α-セルロースとヘミセルロースとの合計量)を得た。このホロセルロース画分の質量を測定した。
続いて、ホロセルロース画分1.0gに17.5質量%水酸化ナトリウム水溶液25mLを加え、3分後、膨潤状態になるまでガラス棒で軽く潰した。その後、20℃で静置し、上記水酸化ナトリウム水溶液を加えてから30分後に、蒸留水25mLを加え、正確に1分間かき混ぜて、20℃で5分静置し、ガラスフィルターでろ過してろ液が中性になるまで洗浄した。さらに10質量%酢酸40mLを吸引ろ過し、次に沸騰水1Lを吸引ろ過して洗浄した試料を105℃で質量が一定になるまで乾燥して、α-セルロース画分を得た。このα-セルロース画分の質量を測定した。
上記のように求めたホロセルロース画分とα-セルロース画分との質量から、次式によってヘミセルロースの含有率を求めた。
ホロセルロース(%)=ホロセルロース画分(g)/試料(無水ベース)(g)×100
α-セルロース(%)=α-セルロース画分(g)/試料(無水ベース)(g)×100
ヘミセルロース(%)=ホロセルロース(%)-(α-セルロース(%))
実施例及び比較例で用いた各材料は下記の通りである。
[スチレン系樹脂(A)]
[GPPS-1]
・MFR7.8のポリスチレン(GPPS、PSジャパン社製、HF77)を用いた。
[HIPS-1]
・MFR3.0のゴム変性ポリスチレン系樹脂(HIPS、PSジャパン社製、HT478)を用いた。
[共重合樹脂-1]
スチレン(ST)70.0質量部、メタクリル酸ブチル(BA)15.0質量部、エチルベンゼン15.0質量部、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.025質量部からなる重合原料組成液を、1.1リットル/時の速度で、容量が4リットルの完全混合型反応器に、次いで、容量が2リットルの層流型反応器から成る重合装置に、さらに、未反応モノマー、重合溶媒等の揮発分を除去する単軸押出機を連結した脱揮装置に、連続的に順次供給し、スチレン系共重合樹脂である共重合樹脂―1を調製した。
重合工程における重合反応条件は、完全混合反応器は重合温度122℃、層流型反応器は重合温度120~142℃とした。脱揮された未反応ガスは、-5℃の冷媒を通した凝縮器で凝縮し、未反応液として回収した。
最終重合液中のポリマー分は、重合液を215℃、2.5kPaの減圧下で30分間乾燥後、式[(乾燥後の試料質量/乾燥前の試料質量)×100%]により測定したところ、65.6質量%であり、MFRは4.6であった。
[ブレンド―1]
・上記HIPS-1にスチレン無水マレイン酸共重合体(POLYSCOPE社製、XIBOND250)を5質量%配合させたものであり、MFRは3.2であった。
[セルロース系多糖類(B)]
・セルロースファイバー-1(セライト社製、SW-10、d:20μm、d:700μm、リグニン量0.5%、ヘミセルロース量11質量%)
・セルロースファイバー-2(旭化成株式会社製、ST-02、d:50μm、d:100μm、リグニン量0%、ヘミセルロース量0質量%)
・CNF:セルロースナノファイバー(中越パルプ工業株式会社製、CNF-10、d:35nm、d:約1μm、リグニン量0%、ヘミセルロース量15質量%)
・ヘミセルロース(和光純薬製、キシラン)
[分散剤]
・テルペン:芳香族変性テルペン樹脂(ヤスハラケミカル社製:YSレジンTO-105)
[実施例1~9]
下記表1に示す組成比のスチレン系樹脂(A)と、セルロース系多糖類(B)との総量100質量部に対して、Irganox1076とIrgafos168とを0.2質量部ずつ添加後、予備混合した。得られた予備混合物を一括混合し、二軸押出機(東芝機械社製、TEM-26SS)を用い、180℃~220℃の範囲で溶融押出を行い、混練物としてスチレン系樹脂組成物のペレットを得た。この際、スクリュー回転数は150rpm、吐出量は10kg/hrであった。
下記の表1に示す組成比を有する各スチレン系樹脂組成物を原料とし、単軸押出機、ミキサー、ロータリークーラー、及びダイからなる押出発泡機を用いて、厚さ2mmの板状のスチレン系樹脂発泡体を製造した。発泡剤(C)としてはLPG(ノルマルブタン/イソブタン=70/30<体積分率>)を5重量部添加した。得られた発泡体は、発泡倍率約30倍であった。耐熱性、耐油性及び圧縮強度の評価を行った。結果を以下の表1に示す。
[比較例1~6]
比較例1~6は、表2に示すように組成を変更したこと以外は実施例と同様にして、発泡押出シートを得た。各物性の測定及び評価の結果を表2に示す。
Figure 2022135107000001
Figure 2022135107000002
上記表1に示すように、実施例1~9で得られたスチレン系樹脂発泡体は、平均気泡径も細かく、耐熱性、耐油性及び圧縮強度に優れる発泡体となった。特にセルロース系多糖類(B)中のヘミセルロース量が1質量%以上であると平均気泡径が細かくなり耐熱性、耐油性が高くなることが確認された。また、スチレン系樹脂発泡体を構成するスチレン系樹脂組成物のMFRが2より大きいことにより平均気泡径が細かくなり耐熱性、耐油性が高くなることが確認された。
表2に示すように、セルロース系多糖類(B)が所定量より少ないと平均気泡径が大きくなり、耐熱性、耐油性、圧縮強度に劣る発泡体となった。特に比較例6のようにセルロースの大きさが小さすぎると耐熱性、耐油性の向上はあまり見られない。
本発明のスチレン系樹脂発泡体は、建材、電子・電気部品、自動車、食品容器の発泡体等に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. スチレン系樹脂(A)45~97質量%と、
    短軸d或いは長軸dの平均長さの少なくとも一方が10~80μmであるセルロース系多糖類(B)3~55質量%と、
    を含有する、スチレン系樹脂発泡体。
  2. スチレン系樹脂(A)65~93質量%と、
    短軸d或いは長軸dの平均長さの少なくとも一方が10~80μmであるセルロース系多糖類(B)7~35質量%と、
    を含有する、スチレン系樹脂発泡体。
  3. 前記セルロース系多糖類(B)のヘミセルロース量が1%以上であることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載のスチレン系樹脂発泡体。
  4. 請求項1~3に記載のスチレン系樹脂発泡体は、前記スチレン系樹脂(A)及び前記セルロース系多糖類(B)を含有するスチレン系樹脂組成物から形成され、かつ前記スチレン系樹脂組成物のメルトフローレートが1.5~10であることを特徴とする、スチレン系樹脂発泡体。
  5. 前記スチレン系樹脂発泡体が押出発泡である、請求項1~4のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂発泡体。
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