JP2022134100A - 車載レーダー装置用レドーム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒーター線の設置状態において必要とされる防水性、耐候性、耐食性、耐傷性を確保することができると共に、製造効率の向上、製品品質の安定化及び歩留まりの向上を図ることができる車載レーダー装置用レドームを提供する。【解決手段】電磁波透過性の基体の面方向に配線されるヒーター線5を備え、第1の基材3と第2の基材4を積層配置して固着されることにより基体2が構成され、第1の基材3の第2の基材4との固着面側に凹溝31が形成され、ヒーター線5が凹溝31に嵌められて凹溝31に沿って配線されている車載レーダー装置用レドーム1。【選択図】図2

Description

本発明は、車載レーダー装置の前側に設けられる車載レーダー装置用レドームに係り、特に融雪機能を有する車載レーダー装置用レドーム及びその製造方法に関する。
従来、融雪機能を有する車載レーダー装置用レドームとして、ミリ波の透過性能低下を抑制するようにヒーター線が配置されるレドームが知られており、このようなレドームとして特許文献1に開示されているレドームがある。
このレドームは、前基材と後基材とから構成され、前基材の表面に凹溝が形成され、この凹溝にヒーター線が嵌めこまれてヒーター線の全体が凹溝に収納されるように配線されているものである。そして、凹溝に収納されたヒーター線を覆うようにして前基材の表面に透明フィルムが設けられ、前基材に圧着されており、この透明フィルムでヒーター線を覆うことにより、ヒーター線の耐候性、耐食性、耐傷性が高められている(特許文献1の図6、段落[0042]、[0044]~[0046]参照)。
特開2020-139860号公報
ところで、特許文献1の凹溝にヒーター線が嵌め込まれるレドームは、ヒーター線の耐候性、耐食性、耐傷性を確保するために、透明保護フィルムを前基材に貼り付けるものであるが、透明保護フィルムを前基材に位置合わせして貼り付ける作業工程がレドーム毎に必要となるため、製造効率に劣るという問題がある。更に、透明保護フィルムを前基材に位置合わせして貼り付ける作業は、高精度で繰り返し行うことが難しく、製品品質にバラツキが生じやすく、歩留まりが低下するという問題もある。
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、ヒーター線の設置状態において必要とされる防水性、耐候性、耐食性、耐傷性を確保することができると共に、製造効率の向上、製品品質の安定化及び歩留まりの向上を図ることができる車載レーダー装置用レドーム及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の車載レーダー装置用レドームは、電磁波透過性の基体の面方向に配線されるヒーター線を備え、第1の基材と第2の基材を積層配置して固着されることにより前記基体が構成され、前記第1の基材の前記第2の基材との固着面側に凹溝が形成され、前記ヒーター線が前記凹溝に嵌められて前記凹溝に沿って配線されていることを特徴とする。
これによれば、第1の基材の第2の基材との固着により、凹溝に嵌められたヒーター線が第1の基材と第2の基材で構成される基体の内部に封止されることになるから、ヒーター線の設置状態において必要とされる防水性、耐候性、耐食性、耐傷性を確保することができる。また、ヒーター線を覆う保護フィルムを貼り付ける作業を行わずにレドームを形成できることから、製造効率の向上、製品品質の安定化及び歩留まりの向上を図ることができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームは、前記ヒーター線に電気的に接続されるワイヤーハーネス接続部の少なくとも一部が収容される位置決め凹部が前記第1の基材の前記固着面側に形成されていることを特徴とする。
これによれば、位置決め凹部でワイヤーハーネス接続部を位置決めすることにより、第1の基材と第2の基材で構成される基体の内部で、ワイヤーハーネス接続部を所定位置で確実に固定し、ヒーター線とワイヤーハーネス接続部との電気的な接続状態の安定性を高めることができる。また、ワイヤーハーネス接続部を第1の基材と第2の基材で構成される基体の内部に封止することが可能となり、ワイヤーハーネス接続部の設置状態において必要とされる防水性、耐候性、耐食性、耐傷性を確保することができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームは、前記ヒーター線が、前記第1の基材の前記凹溝と前記第2の基材の別の凹溝とに嵌められて前記凹溝及び前記別の凹溝に沿って配線されていると共に、射出成形材の前記第2の基材が前記第1の基材に成形溶着で固着されていることを特徴とする。
これによれば、射出成形材の第2の基材を第1の基材に成形溶着で固着することにより、ヒーター線の設置状態における防水性、耐候性を一層高め、且つこれらの安定性をより高めることができる。また、ヒーター線の直径に対する第1の基材の凹溝の幅や深さの寸法誤差の許容範囲を広げ、歩留まりをより一層高めることができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームは、前記ヒーター線の全体が、前記第1の基材の前記凹溝に埋設され、前記第2の基材の凸条が、前記第1の基材の前記凹溝に嵌められるように形成され、射出成形材の前記第2の基材が前記第1の基材に成形溶着で固着されていることを特徴とする。
これによれば、射出成形材の第2の基材を第1の基材に成形溶着で固着することにより、ヒーター線の設置状態における防水性、耐候性を一層高め、且つこれらの安定性をより高めることができる。また、射出成形材の第2の基材の凸条を第1の基材の凹溝に嵌めることにより、凹溝を凸条で塞いでヒーター線の設置状態における防水性、耐候性をより一層高めることができると共に、第1の基材と第2の基材の固着強度をアンカー効果でより高めることができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームは、前記ヒーター線が、前記第1の基材の前記凹溝と前記第2の基材の別の凹溝とに嵌められて前記凹溝及び前記別の凹溝に沿って配線されていると共に、前記第2の基材が前記第1の基材に溶着若しくは接着で貼り合わされていることを特徴とする。
これによれば、第1の基材の凹溝から外に突出するヒーター線の部分と、第2の基材の別の凹溝との嵌め合わせで位置決めすることができ、第1の基材と第2の基材の貼り合わせの位置精度を高めることができると共に、第1の基材と第2の基材の位置決めを容易化して製造効率を向上することができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームは、前記ヒーター線の全体が、前記第1の基材の前記凹溝に埋設され、前記第2の基材の凸条が、前記第1の基材の前記凹溝に嵌められるように形成され、前記第2の基材が前記第1の基材に溶着若しくは接着で貼り合わされていることを特徴とする。
これによれば、第1の基材の凹溝のヒーター線より外側の部分と、第2の基材の凸条との嵌め合わせで位置決めすることができ、第1の基材と第2の基材の貼り合わせの位置精度を高めることができると共に、第1の基材と第2の基材の位置決めを容易化して製造効率を向上することができる。また、第2の基材の凸条を第1の基材の凹溝に嵌めることにより、凹溝を凸条で塞いでヒーター線の設置状態における防水性、耐候性をより一層高めることができると共に、第1の基材と第2の基材の固着強度をより高めることができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームは、前記第1の基材と前記第2の基材のいずれか一方が発泡樹脂で形成されていることを特徴とする。
これによれば、発泡樹脂の断熱性によって、レドームを加温するヒーター消費電力を大幅に削減することができると共に、レドームの温度ムラを抑制し、より均一にレドームを温めることができ、電磁波照射領域でより均一性の高い融雪を行うことができる。更に、発泡樹脂の誘電正接と非誘電率実部は、非発泡性のソリッドの合成樹脂の誘電正接と非誘電率実部よりも空気の誘電正接と非誘電率実部に近くなるため、ミリ波のような電磁波の減衰を減らし、より高い電磁波透過性能を得ることができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームは、視認側に配置される前記第1の基材と前記第2の基材の双方が発泡樹脂で形成されていることを特徴とする。
これによれば、第1の基材と第2の基材の双方の発泡樹脂の断熱性によって、レドームを加温するヒーター消費電力をさらに大幅に削減することができると共に、レドームの温度ムラを一層抑制し、より均一にレドームを温めることができる。更に、電磁波の減衰を減らし、より一層高い電磁波透過性能を得ることができる。また、例えば視認側に配置される第1の基材の外表面に有色塗装層等の非透光性の塗装層を設ける構成とする場合に、ヒーター加熱でレドームの局所的な領域がかなり高温化して塗装層が劣化する事態を確実に防止することができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームは、視認側に配置される前記第1の基材が発泡樹脂で形成され、前記第1の基材の後側に配置される前記第2の基材が非発泡性の合成樹脂で形成されていることを特徴とする。
これによれば、例えば視認側に配置される第1の基材の外表面に有色塗装層等の非透光性の塗装層を設ける構成とする場合に、ヒーター加熱でレドームの局所的な領域がかなり高温化して塗装層が劣化する事態を確実に防止することができる。また、後側に配置される第2の基材を非発泡性の合成樹脂で形成することにより、車両の内側でより高い耐熱性が要求される車両実装部品に適用することができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームは、視認側に配置される前記第1の基材が非発砲性の合成樹脂で形成され、前記第1の基材の後側に配置される前記第2の基材が発泡樹脂で形成されていることを特徴とする。
これによれば、レドームの視認側に付着した雪や氷を確実に融雪することができる。また、視認側に配置される第1の基材を防水性と耐久性に優れる非発泡性のソリッドの合成樹脂とすることにより、レドームの防水性を高め、且つレドームの防水性の長期間の維持を図ることができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法は、本発明の車載レーダー装置用レドームを製造する方法であって、前記第1の基材の前記凹溝にヒーター線を嵌めるようにして固着すると共に、前記第1の基材の前記位置決め凹部にワイヤーハーネス接続部の少なくとも一部を収容し、前記ヒーター線の端部と前記ワイヤーハーネス接続部の接続端子を接触させた状態で、前記第1の基材、前記ヒーター線及び前記ワイヤーハーネス接続部を金型の内部に配置する第1工程と、前記金型の内部に溶融樹脂を流し込んで射出成形を行い、前記溶融樹脂で第2の基材を形成して、前記第2の基材の別の凹溝を前記ヒーター線に嵌めると共に、前記第2の基材を前記第1の基材に成形溶着する第2工程を備えることを特徴とする。
これによれば、射出成形する第2の基材を第1の基材に成形溶着することにより、ヒーター線の設置状態における防水性、耐候性を一層高め、且つこれらの安定性をより高めることができる。また、第2の基材の別の凹溝をヒーター線に嵌めることにより、ヒーター線の直径に対する第1の基材の凹溝の幅や深さの寸法誤差の許容範囲を広げ、歩留まりをより一層高めることができる。また、位置決め凹部でワイヤーハーネス接続部を位置決めすることにより、第1の基材と第2の基材で構成される基体の内部で、ワイヤーハーネス接続部を所定位置で確実に固定し、ヒーター線とワイヤーハーネス接続部との電気的な接続状態の安定性を高めることができる。また、ワイヤーハーネス接続部を第1の基材と第2の基材で構成される基体の内部に封止することが可能となり、ワイヤーハーネス接続部の設置状態において必要とされる防水性、耐候性、耐食性、耐傷性を確保することができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法は、本発明の車載レーダー装置用レドームを製造する方法であって、前記第1の基材の前記凹溝にヒーター線を嵌めるようにして固着すると共に、前記第1の基材の前記位置決め凹部にワイヤーハーネス接続部の少なくとも一部を収容し、前記ヒーター線の端部と前記ワイヤーハーネス接続部の接続端子を接触させた状態で、前記第1の基材、前記ヒーター線及び前記ワイヤーハーネス接続部を金型の内部に配置する第1工程と、前記金型の内部に溶融樹脂を流し込んで射出成形を行い、前記溶融樹脂で第2の基材を形成して、前記第2の基材の凸条を前記第1の基材の前記凹溝に嵌めると共に、前記第2の基材を前記第1の基材に成形溶着する第2工程を備えることを特徴とする。
これによれば、射出成形する第2の基材を第1の基材に成形溶着することにより、ヒーター線の設置状態における防水性、耐候性を一層高め、且つこれらの安定性をより高めることができる。また、第2の基材の凸条を第1の基材の凹溝に嵌めることにより、凹溝を凸条で塞いでヒーター線の設置状態における防水性、耐候性をより一層高めることができると共に、第1の基材と第2の基材の固着強度をより高めることができる。また、位置決め凹部でワイヤーハーネス接続部を位置決めすることにより、第1の基材と第2の基材で構成される基体の内部で、ワイヤーハーネス接続部を所定位置で確実に固定し、ヒーター線とワイヤーハーネス接続部との電気的な接続状態の安定性を高めることができる。また、ワイヤーハーネス接続部を第1の基材と第2の基材で構成される基体の内部に封止することが可能となり、ワイヤーハーネス接続部の設置状態において必要とされる防水性、耐候性、耐食性、耐傷性を確保することができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法は、前記第1の基材と前記第2の基材の少なくとも一方が透明基材若しくは透光性基材で形成されている本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法であって、透明基材若しくは透光性基材である前記第1の基材若しくは前記第2の基材の側から前記基体を撮像部で撮像し、撮像画像と基準画像を対比して不適正なヒーター線の配線状態若しくは不適正なヒーター線の接続状態を有する不適正な基体を判別し、不適正な基体を除去する工程を備えることを特徴とする。
これによれば、透明基材若しくは透光性基材の基材を活用して内部状態を認識し、不適正なヒーター線の配線状態や接続状態を有する不適正な基体を確実に除去することができる。また、不適正なヒーター線の配線状態や接続状態を有する不適正な基体を自動的に除去し、製造工程を効率化することができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法は、前記第1の基材と前記第2の基材の少なくとも一方が透明基材若しくは透光性基材で形成されている本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法であって、透明基材若しくは透光性基材である前記第1の基材若しくは前記第2の基材の側から前記基体を目視確認し、不適正なヒーター線の配線状態若しくは不適正なヒーター線の接続状態を有する不適正な基体を判別して除去する工程を備えることを特徴とする。
これによれば、透明基材若しくは透光性基材の基材を活用して内部状態を認識し、不適正なヒーター線の配線状態や接続状態を有する不適正な基体を確実に除去することができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームの製造方法は、視認側に配置される前記第1の基材が非透光性基材、視認側と逆側に配置される前記第2の基材が透明基材若しくは透光性基材であることを特徴とする。
これによれば、通常は内部が視認されないバンパーカバー等のレドームについて、透明基材若しくは透光性基材を活用した検査が可能な状態を確保しつつ、視認側の別途の塗装工程を不要にして製造工程の効率化を図ることができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームによれば、ヒーター線の設置状態において必要とされる防水性、耐候性、耐食性、耐傷性を確保することができると共に、製造効率の向上、製品品質の安定化及び歩留まりの向上を図ることができる。
本発明による第1実施形態の車載レーダー装置用レドームの正面図。 図1のA-A拡大断面図。 (a)~(d)は第1実施形態の車載レーダー装置用レドームの製造工程を説明する工程説明図。 第1実施形態の車載レーダー装置用レドームにおける第1の基材、ヒーター線、ワイヤーハーネス接続部を金型の内部に配置した状態を示す説明図。 本発明による第2実施形態の車載レーダー装置用レドームの図2に相当する拡大断面図。 (a)~(d)は第2実施形態の車載レーダー装置用レドームの製造工程を説明する工程説明図。 本発明による第3実施形態の車載レーダー装置用レドームの図2に相当する拡大断面図。 本発明による第4実施形態の車載レーダー装置用レドームの図2に相当する拡大断面図。 本発明の車載レーダー装置用レドームの検査システムの構成を示す模式説明図。 不良箇所が発生している第1実施形態の車載レーダー装置用レドームを示す正面図。 第1実施形態の車載レーダー装置用レドームの変形例の図2に相当する拡大断面図。
〔第1実施形態の車載レーダー装置用レドーム〕
本発明による第1実施形態の車載レーダー装置用レドーム1は、例えば車両のバンパーに取り付けられるバンパーカバー等として用いられるものであり、図1及び図2に示すように、電磁波透過性の基体2を備える。基体2は、視認側に配置される第1の基材3と、第1の基材3の後側に配置される第2の基材4とから構成され、第1の基材3と第2の基材4は積層配置して固着されている。第1の基材3と第2の基材4はそれぞれ絶縁性で電磁波透過性の合成樹脂で形成されている。
第1の基材3と、第2の基材4には、異種の合成樹脂又は同種の合成樹脂を用いることができ、複素誘電率に基づき定義される屈折率nが相互に整合する、又は、屈折率nが略同一或いは近接する材料で第1の基材3と第2の基材4を形成すると、電磁波の透過性能向上の観点から好適である。第1の基材3と第2の基材4の近接する屈折率の数値範囲としては、第1の基材3と第2の基材4の屈折率の相違が0~10%の範囲内とすると良好である。
ここでの屈折率nは比誘電率実数部εr'と比誘電率虚数部εr"から数式1として定義される量である。 透過性の観点から適用周波数における虚数部と実数部の比から数式2として定義される誘電正接(ロスタンジェント)tanδの大きさは0.1以下とすると好適である。また比誘電率実部の大きさは3以下とすると好適である。誘電正接と非誘電率実部の大きさをこれらの数値以下とすることにより、レドームに必要とされる反射率と内部損失の低減を確実にすることが可能となる。
Figure 2022134100000002
Figure 2022134100000003
第1の基材3の合成樹脂と、第2の基材4の合成樹脂には、本発明の趣旨の範囲内で適宜の合成樹脂を用いることが可能であり、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート共重合(ASA)、アクリロニトリル-エチレンプロピルラバー-スチレン共重合体(AES)、ポリプロピレン(PP)等の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いると良好であり、又、添加剤を含有させてもよい。又、これらの合成樹脂には発泡体を用いても良い。
合成樹脂に発泡樹脂を用いる場合、視認側に配置される第1の基材3を発砲樹脂で形成し、第1の基材3の後側に配置される第2の基材4を非発泡性のソリッドの合成樹脂で形成する構成とすると好適であり、又、視認側に配置される第1の基材3を非発砲性のソリッドの合成樹脂で形成し、第1の基材3の後側に配置される第2の基材4を発泡樹脂で形成する構成としても好適であり、又、視認側に配置される第1の基材3と第2の基材4の双方を発砲樹脂で形成しても好適である。
第1の基材3と第2の基材4の双方、或いはいずれか一方を発砲樹脂で形成することにより、発泡樹脂の断熱性によって、レドーム1を加温するヒーター消費電力を大幅に削減することができると共に、レドーム1の温度ムラを抑制し、より均一にレドーム1を温めることができ、電磁波照射領域Rでより均一性の高い融雪を行うことができる。更に、発泡樹脂の誘電正接と非誘電率実部は、非発泡性のソリッドの合成樹脂の誘電正接と非誘電率実部よりも空気の誘電正接と非誘電率実部に近くなるため、ミリ波のような電磁波の減衰を減らし、より高い電磁波透過性能を得ることができる。
また、後述する第1の基材3等の外表面に有色塗装層等の非透光性の塗装層7を設ける構成では、視認側に配置される第1の基材3、又は第1の基材3と第2の基材4の双方等を発砲樹脂で形成することにより、ヒーター加熱でレドーム1の局所的な領域がかなり高温化して塗装層7が劣化する事態をより確実に防止することができる。また、視認側に配置される第1の基材3を発砲樹脂で形成し、後側に配置される第2の基材4を非発泡性の合成樹脂で形成することにより、車両の内側でより高い耐熱性が要求される車両実装部品にも適用することができる。また、視認側に配置される第1の基材3を非発砲性のソリッドの合成樹脂で形成し、第1の基材3の後側に配置される第2の基材4を発泡樹脂で形成する構成では、レドーム1の視認側に断熱性の発泡樹脂が存在しないことにより、レドーム1の視認側に付着した雪や氷を確実に融雪することができると共に、レドーム1の防水性を高め、且つレドーム1の防水性の長期間の維持を図ることができる。
また、第1の基材3と第2の基材4の電磁波透過方向における厚さに関し、第1の基材3の厚さと第2の基材4の厚さの比や、第1の基材3の厚さや、第2の基材4の厚さや、第1の基材3と第2の基材4で構成される基体2の総厚は、車載レーダー装置用レドーム1として所要の電磁波透過性を確保できる範囲で適宜である。
車載レーダー装置用レドーム1には、ヒーター線5が電磁波透過性の基体2の面方向に配線されている。ヒーター線3を構成する導電性材料には、本発明の趣旨の範囲内で適宜の導電性材料を用いることが可能であり、例えば銅、銀、銀メッキ銅、銅銀合金、銅ニッケル合金、ニッケルクロム合金、鉄クロム合金、ITO膜のような透明導電膜、又はカーボン繊維等とすると良好である。又、ヒーター線の形態は問わず、線材、導電インク、導電フィラー等を利用することができる。
図示例のヒーター線5は、板状の基体2が拡がる方向に沿って蛇行し、折り返すように配線されて一連で延びて形成されており、基体2の車載レーダー装置による電磁波照射領域Rとその外側においてヒーター線5の直線部が基体2の面方向に沿って間隔を開けて並設されていると共に、隣り合うヒーター線5の直線部に流れる電流の方向が互いに略反平行或いは反平行となるように設定されている。ここで、ヒーター線5の直線部が、車載レーダー装置が照射する直線偏波の電磁波の偏波面に対して略垂直或いは垂直に延びるようにして並設される車載レーダー構造の場合、電磁波照射領域Rにおけるヒーター線5の直線部の面占有率は1%以上24%以下に設定して設けると好適である。
また、ヒーター線5は、第1の基材3と第2の基材4との間に埋設されており、第1の基材3と第2の基材4とで挟持されるようにして、第1の基材3と第2の基材4とで構成される基体2に内設されて封止されている。本実施形態では、第1の基材3の第2の基材4との固着面側に凹溝31が形成されていると共に、第2の基材4の第1の基材3との固着面側に凹溝31と対向するように別の凹溝41が形成されており、ヒーター線5は、第1の基材3の凹溝31と第2の基材4の別の凹溝41とに嵌められて凹溝31及び別の凹溝41に沿って配線されている(図2~図4参照)。
更に、第1の基材3の固着面側には凹溝31と連設されるようにして位置決め凹部32が形成されており、位置決め凹部32には、ヒーター線5に電気的に接続されるワイヤーハーネス接続部6の少なくとも一部が収容されている。ワイヤーハーネス接続部6の接続端子61と、ヒーター線5の端部51は、例えば凹溝31に対応する位置でワイヤーハーネス接続部の接続端子61が第2の基材4側となるように重ねて配置され、電気的に接続されている。
そして、本実施形態における第2の基材4は、第1の基材3に重なるように射出成形された射出成形材で構成されており、射出成形材の第2の基材4が第1の基材3に成形溶着で固着されている。射出成形材の第2の基材4と第1の基材3の内部には、ヒーター線5が埋設されて封止されていると共に、ワイヤーハーネス接続部6が埋設されて封止されている。第1の基材3と第2の基材4から構成される基体2からはワイヤーハーネス接続部6から延びる電気ケーブル62が導出されている。
第1実施形態の車載レーダー装置用レドーム1を製造する際には、図3(a)に示すように、凹溝31と位置決め凹部32が設けられるようにして第1の基材3を形成する。第1の基材3の形成では、例えば凹溝31と位置決め凹部32に対応する突部を有する金型を用いて射出成形する等により、全体形状の形成と同時に凹溝31と位置決め凹部32が形成するようにしても良く、又、全体形状を形成した後に、切削加工等で一部の部材を除去して凹溝31と位置決め凹部32を形成するようにしても良い。
そして、図3(b)に示すように、第1の基材3の凹溝31にヒーター線5を嵌めるようにして固着する。凹溝31へのヒーター線5の固着は、例えばヒーター線5に振動を印加しながら第1の基材3の凹溝31の箇所に加圧する振動溶着とすると好適であるが、ヒーター線5を発熱させながら凹溝31の箇所に加圧する熱溶着や、接着剤による接着等とすることも可能である。本実施形態におけるヒーター線5は、凹溝31の外側に一部が突出するようにして凹溝31に嵌められ、固着される。
更に、図3(c)及び図4に示すように、第1の基材3の位置決め凹部32にワイヤーハーネス接続部6の少なくとも一部を収容し、ヒーター線5の端部51とワイヤーハーネス接続部6の接続端子61を接触させた状態にし、この状態で、第1の基材3、ヒーター線5及びワイヤーハーネス接続部6を割型で構成される金型10の内部に配置する。ワイヤーハーネス接続部6の電気ケーブル62は金型10の一部に形成された導出口12から金型10の外部に導出される。
この際、ワイヤーハーネス接続部6は、例えばワイヤーハーネス接続部6に振動を印加しながら第1の基材3の位置決め凹部32の箇所に加圧する振動溶着、又は接着剤による接着等で、収容される位置決め凹部32に固着すると好適である。また、ヒーター線5の端部51とワイヤーハーネス接続部6の接続端子61とは、例えば撚り合わせによる接続、半田付けによる接続、ワイヤーボンディングによる接続、別体の金属接続部材を用いてかしめ固定する等により、電気的接続をより確実に行うため、第2の基材4の形成前に予め電気的接続が確保されるように接触させても良いが、製造工程の効率化の観点から、単に重ねて接触させた状態とし、後述する射出成形される第2の基材4の押圧で電気的接続を確保しても良い。
その後、図3(d)及び図4に示すように、金型10の注入口11から金型10の内部に溶融樹脂MRを流し込んで射出成形を行い、溶融樹脂MRで第2の基材4を形成する。第2の基材4は、ヒーター線5の凹溝31の外側に突出する部分を覆うように形成され、ヒーター線5の凹溝31の外側に突出する部分が第2の基材4にインサート成形されるようにして成形固着されて、第2の基材4の別の凹溝41にヒーター線5或いはその一部が嵌まった状態となる。また、第2の基材4は第1の基材3に射出成形によって積層される界面が成形溶着される。第2の基材4の形成後には、金型10を脱型して第1実施形態の車載レーダー装置用レドーム1が得られる。
第1実施形態によれば、第1の基材3の第2の基材4との固着により、凹溝31に嵌められたヒーター線5が第1の基材3と第2の基材4で構成される基体2の内部に封止されることになるから、ヒーター線5の設置状態において必要とされる防水性、耐候性、耐食性、耐傷性を確保することができる。また、ヒーター線5を覆う保護フィルムを貼り付ける作業を行わずにレドーム1を形成できることから、製造効率の向上、製品品質の安定化及び歩留まりの向上を図ることができる。
また、位置決め凹部32でワイヤーハーネス接続部6を位置決めすることにより、第1の基材3と第2の基材4で構成される基体2の内部で、ワイヤーハーネス接続部6を所定位置で確実に固定し、ヒーター線5とワイヤーハーネス接続部6との電気的な接続状態の安定性を高めることができる。また、ワイヤーハーネス接続部6を第1の基材3と第2の基材4で構成される基体2の内部に封止することが可能となり、ワイヤーハーネス接続部6の設置状態において必要とされる防水性、耐候性、耐食性、耐傷性を確保することができる。
また、射出成形材の第2の基材4を第1の基材3に成形溶着で固着することにより、ヒーター線5の設置状態における防水性、耐候性を一層高め、且つこれらの安定性をより高めることができる。また、ヒーター線5を第1の基材3の凹溝31と第2の基材4の別の凹溝41とに嵌めて凹溝31及び別の凹溝41に沿って配線する構成により、ヒーター線5の直径に対する第1の基材3の凹溝31の幅や深さの寸法誤差の許容範囲を広げ、歩留まりをより一層高めることができる。
〔第2実施形態の車載レーダー装置用レドーム〕
本発明による第2実施形態の車載レーダー装置用レドーム1aは、図5に示すように、ヒーター5線の全体が、第1の基材3aの凹溝31aに埋設されていると共に、第2の基材4aの凸条42aが第1の基材3aの凹溝31aに嵌められるように形成され、凸条42aがヒーター線5に当接して固着するように形成されているものである。即ち、第2の基材4aには、第1実施形態における別の凹溝41に代えて、別の凹溝41に対応する箇所に凸条42aが形成されており、ヒーター線5は凹溝31a及び凸条42aに沿って配線されている。
第2実施形態における第2の基材4aも、第1の基材3aに重なるように射出成形された射出成形材で構成されており、射出成形材の第2の基材4aが第1の基材3aに成形溶着で固着されている。射出成形材の第2の基材4aと第1の基材3aの内部には、ヒーター線5が埋設されて封止されていると共に、ワイヤーハーネス接続部6が埋設されて封止されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
第2実施形態の車載レーダー装置用レドーム1を製造する際には、第1実施形態における第1の基材3を形成するのと同様の手順で、凹溝31aと位置決め凹部32が設けられるようにして第1の基材3aを形成する(図6(a)参照)。そして、図6(b)に示すように、第1の基材3aの凹溝31aにヒーター線5を嵌めるようにして固着すると共に、第1の基材3aの凹溝31aにヒーター5線の全体を埋設する。凹溝31aへのヒーター線5の固着は、第1実施形態における凹溝31へのヒーター線5の固着と同様の手順で行う。
更に、第1の基材3aの位置決め凹部32にワイヤーハーネス接続部6の少なくとも一部を収容し、ヒーター線5の端部51とワイヤーハーネス接続部6の接続端子61を接触させた状態にし、この状態で、第1実施形態と同様に、第1の基材3a、ヒーター線5及びワイヤーハーネス接続部6を割型で構成される金型10の内部に配置する。ワイヤーハーネス接続部6の電気ケーブル62は金型10の一部に形成された導出口12から金型10の外部に導出される(図6(c)、図4参照)。第2実施形態においても、ワイヤーハーネス接続部6は収容される位置決め凹部32に固着すると好適であり、又、ヒーター線5の端部51とワイヤーハーネス接続部6の接続端子61は、第2の基材4aの形成前に予め電気的接続が確保されるように接触させても良く、単に重ねて接触させた状態として射出成形される第2の基材4aの押圧で電気的接続を確保するようにしても良い。
その後、金型10の注入口11から金型10の内部に溶融樹脂MRを流し込んで射出成形を行い、溶融樹脂MRで第2の基材4aを形成する(図6(d)、図4参照)。溶融樹脂MRは、凹溝31a内に入り込んでヒーター線5に当接するように流れ込み、第2の基材4aは凸条42aが第1の基材3aの凹溝31aに嵌めるように形成され、ヒーター線5が凹溝31aと凸条42aに成形固着するようにインサート成形される。また、第2の基材4aは第1の基材3aに射出成形によって積層される界面が成形溶着される。第2の基材4aの形成後には、金型10を脱型して第2実施形態の車載レーダー装置用レドーム1aが得られる。
第2実施形態によれば、射出成形材の第2の基材4aを第1の基材3aに成形溶着で固着することにより、ヒーター線5の設置状態における防水性、耐候性を一層高め、且つこれらの安定性をより高めることができる。また、射出成形材の第2の基材4aの凸条42aを第1の基材3aの凹溝31aに嵌めることにより、凹溝31aを凸条42aで塞いでヒーター線5の設置状態における防水性、耐候性をより一層高めることができると共に、第1の基材3aと第2の基材4aの固着強度をアンカー効果でより高めることができる。その他、第1実施形態と対応する構成から対応する効果を得ることができる。
〔第3実施形態の車載レーダー装置用レドーム〕
本発明による第3実施形態の車載レーダー装置用レドーム1bは、第1実施形態で第1の基材3に第2の基材4が重なるように射出成形される構成に代え、第2の基材4bが第1の基材3に溶着若しくは接着で貼り合わされた構成になっており(図7参照)、ヒーター線5は、第1の基材3の凹溝31と第2の基材4bの別の凹溝41bとに嵌められて凹溝31及び別の凹溝41bに沿って配線されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
第3実施形態によれば、第1の基材3の凹溝31から外に突出するヒーター線5の部分と、第2の基材4bの別の凹溝41bとの嵌め合わせで位置決めすることができ、第1の基材3と第2の基材4bの貼り合わせの位置精度を高めることができると共に、第1の基材3と第2の基材4bの位置決めを容易化して製造効率を向上することができる。その他、第1実施形態と対応する構成から対応する効果を得ることができる。
〔第4実施形態の車載レーダー装置用レドーム〕
本発明による第4実施形態の車載レーダー装置用レドーム1cは、第2実施形態で第1の基材3aに第2の基材4aが重なるように射出成形される構成に代え、第2の基材4cが第1の基材3aに溶着若しくは接着で貼り合わされた構成になっている(図8参照)。そして、ヒーター線5の全体が、第1の基材3aの凹溝31aに埋設され、第2の基材4cの凸条42cが第1の基材3aの凹溝31aに嵌められるように形成されている。その他の構成は第2実施形態と同様である。
第4実施形態によれば、第1の基材3aの凹溝31aのヒーター線5より外側の部分と、第2の基材4cの凸条42cとの嵌め合わせで位置決めすることができ、第1の基材3aと第2の基材4cの貼り合わせの位置精度を高めることができると共に、第1の基材3aと第2の基材4cの位置決めを容易化して製造効率を向上することができる。また、第2の基材4cの凸条42cを第1の基材3aの凹溝31aに嵌めることにより、凹溝31aを凸条42cで塞いでヒーター線5の設置状態における防水性、耐候性をより一層高めることができると共に、第1の基材3aと第2の基材4cの固着強度をより高めることができる。その他、第2実施形態と対応する構成から対応する効果を得ることができる。
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、各実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記変形例や追記した内容も含まれる。
例えば上記実施形態ではバンパーカバーの車載レーダー装置用レドーム1等の例を示したが、本発明の車載レーダー装置用レドームは適宜種別の車両実装部品とすることが可能であり、例えばエンブレム形状のレドーム等としても好適である。また、ヒーター線5の電磁波透過性の基体2の面方向における配線の仕方は、蛇行配線以外に、同心円状に配線するなど適宜である。
また、本発明の車載レーダー装置用レドームにおける第1の基材と第2の基材は、それぞれ透明基材としてもよく、透光性基材としてもよく、或いは非透光性基材としてもよい。第1の基材、若しくは第2の基材、若しくは第1の基材と第2の基材の双方を、外側の表面から第1の基材と第2の基材との固着面を視認可能な透明基材或いは透光性基材とする場合、製造工程の一環として、図9に例示するような検査システムでヒーター線の配線状態を検査するようにすると良好である。
図9の検査システムは、視認側と逆側の第2の基材4、又は第1の基材3と第2の基材4の双方が、外側表面から第1の基材3と第2の基材4との固着面を視認可能な透明基材或いは透光性基材である第1実施形態の車載レーダー装置用レドーム1等を検査する際に用いられ、コン例えばコンベア101で間隔を開けて順次搬送される車載レーダー装置用レドーム1を、透明基材或いは透光性基材の第2の基材4側から所定位置でカメラ等の撮像部105で撮像する(図9の1点鎖線参照)。
撮像部105で撮像された画像と撮像時刻は検査装置110に取り込まれ、検査装置110において、撮像した車載レーダー装置用レドーム1のヒーター線5の配線状態や接続状態が適正であるかが判別される。ここで検査装置110は、CPU、MPU等の演算処理部と、ROM、RAM、フラッシュメモリ、HDD、SSD等で構成される記憶部を備え、記憶部には、適正判別処理を実行させる制御プログラムを格納する制御プログラム格納部112、撮像画像と対比する適正状態の全体画像若しくは局所的な適正状態を示す複数の部分画像等の基準画像を格納する適正画格納部113と、ヒーター線5の配線状態や接続状態が不適正である車載レーダー装置用レドーム1の撮像画像の撮像時刻から、所定位置で不適正な車載レーダー装置用レドーム1を除去するロボットアーム等の除去処理部120を動作させる時刻までに設定時間を格納する除去時間格納部114が設けられる。
検査装置110の適正判別部111は、制御プログラム格納部112の制御プログラムと協働する演算処理部で構成され、撮像画像と基準画像を対比し、例えば既存のテンプレートマッチング、特徴となるエッジを検出して類似度を算出するパターンマッチング、或いは人工知能プログラムの機械学習された基準等により、不適正なヒーター線5の配線状態や接続状態である撮像画像を判別して、不適正な基体、車載レーダー装置用レドーム1を判別する。例として、図10のように、ヒーター線5に線よれ部52がある場合や、ヒーター線5の端部51とワイヤーハーネス接続部6の接続端子61が接続されていない場合等が、不適正な撮像画像、不適正な車載レーダー装置用レドーム1として判別する。
そして、検査装置110の適正判別部111は、不適正な車載レーダー装置用レドーム1の撮像画像を判別、認識した場合に、除去時間格納部114の設定時間を用い、不適正な車載レーダー装置用レドーム1の撮像画像の撮像時刻に設定時間を加えた除去時刻と除去指令を通信インターフェイス等の除去指令出力部115を介してロボットアーム等の除去処理部120に出力し、除去処理部120は該当する除去時刻に生産ラインから不適正な車載レーダー装置用レドーム1を除去する。この検査システムによれば、透明基材若しくは透光性基材の基材を活用して内部状態を認識し、不適正なヒーター線の配線状態や接続状態を有する不適正な基体を確実に除去することができる。また、不適正なヒーター線の配線状態や接続状態を有する不適正な基体を自動的に除去し、製造工程を効率化することができる。
尚、図9のような自動化された検査システムに代え、図9の1点鎖線の方向に目視検査し、不適正なヒーター線5の配線状態や接続状態を有する不適正な基体、不適正な車載レーダー装置用レドーム1を人為的に除去する工程を用いても良好であり、これにより、透明基材若しくは透光性基材の基材を活用して内部状態を認識し、不適正なヒーター線の配線状態や接続状態を有する不適正な基体を確実に除去することができる。また、これらの検査システムは、透明基材或いは透光性基材を有する第1~第4実施形態の車載レーダー装置用レドーム1、1a、1b、1cなど、透明基材或いは透光性基材を有する本発明の車載レーダー装置用レドームに適宜用いると良好である。
上述の検査システムを用いる場合、バンパーカバー等の通常は内部が視認されない車載レーダー装置用レドームでは視認側の第1の基材3、3a等を有色基材のような非透光性基材とすると塗装工程を省略できて好適であるが、第1の基材3、3a等を透明基材或いは透光性基材とする場合には、第1の基材3、3a等の外表面に有色塗装層等の非透光性の塗装層7を設けると好適である(図11参照)。
本発明は、車載レーダー装置用レドームに利用することができる。
1、1a、1b、1c…車載レーダー装置用レドーム 2…基体 3、3a…第1の基材 31、31a…凹溝 32…位置決め凹部 4、4a、4b、4c…第2の基材 41、41b…別の凹溝 42a、42c…凸条 5…ヒーター線 51…端部 52…線よれ部 6…ワイヤーハーネス接続部 61…接続端子 62…電気ケーブル 7…塗装層 10…金型 11…注入口 12…導出口 R…電磁波照射領域 MR…溶融樹脂 101…コンベア 105…撮像部 110…検査装置 111…適正判別部 112…制御プログラム格納部 113…適正画像格納部 114…除去時間格納部 115…除去指令出力部 120…除去処理部

Claims (15)

  1. 電磁波透過性の基体の面方向に配線されるヒーター線を備え、
    第1の基材と第2の基材を積層配置して固着されることにより前記基体が構成され、
    前記第1の基材の前記第2の基材との固着面側に凹溝が形成され、
    前記ヒーター線が前記凹溝に嵌められて前記凹溝に沿って配線されていることを特徴とする車載レーダー装置用レドーム。
  2. 前記ヒーター線に電気的に接続されるワイヤーハーネス接続部の少なくとも一部が収容される位置決め凹部が前記第1の基材の前記固着面側に形成されていることを特徴とする請求項1記載の車載レーダー装置用レドーム。
  3. 前記ヒーター線が、前記第1の基材の前記凹溝と前記第2の基材の別の凹溝とに嵌められて前記凹溝及び前記別の凹溝に沿って配線されていると共に、
    射出成形材の前記第2の基材が前記第1の基材に成形溶着で固着されていることを特徴とする請求項1又は2記載の車載レーダー装置用レドーム。
  4. 前記ヒーター線の全体が、前記第1の基材の前記凹溝に埋設され、
    前記第2の基材の凸条が、前記第1の基材の前記凹溝に嵌められるように形成され、
    射出成形材の前記第2の基材が前記第1の基材に成形溶着で固着されていることを特徴とする請求項1又は2記載の車載レーダー装置用レドーム。
  5. 前記ヒーター線が、前記第1の基材の前記凹溝と前記第2の基材の別の凹溝とに嵌められて前記凹溝及び前記別の凹溝に沿って配線されていると共に、
    前記第2の基材が前記第1の基材に溶着若しくは接着で貼り合わされていることを特徴とする請求項1又は2記載の車載レーダー装置用レドーム。
  6. 前記ヒーター線の全体が、前記第1の基材の前記凹溝に埋設され、
    前記第2の基材の凸条が、前記第1の基材の前記凹溝に嵌められるように形成され、
    前記第2の基材が前記第1の基材に溶着若しくは接着で貼り合わされていることを特徴とする請求項1又は2記載の車載レーダー装置用レドーム。
  7. 前記第1の基材と前記第2の基材のいずれか一方が発泡樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の車載レーダー装置用レドーム。
  8. 視認側に配置される前記第1の基材と前記第2の基材の双方が発泡樹脂で形成されていることを特徴とする請求項7記載の車載レーダー装置用レドーム。
  9. 視認側に配置される前記第1の基材が発泡樹脂で形成され、前記第1の基材の後側に配置される前記第2の基材が非発泡性の合成樹脂で形成されていることを特徴とする請求項7記載の車載レーダー装置用レドーム。
  10. 視認側に配置される前記第1の基材が非発砲性の合成樹脂で形成され、前記第1の基材の後側に配置される前記第2の基材が発泡樹脂で形成されていることを特徴とする請求項7記載の車載レーダー装置用レドーム。
  11. 請求項3記載の車載レーダー装置用レドームを製造する方法であって、
    前記第1の基材の前記凹溝にヒーター線を嵌めるようにして固着すると共に、前記第1の基材の前記位置決め凹部にワイヤーハーネス接続部の少なくとも一部を収容し、前記ヒーター線の端部と前記ワイヤーハーネス接続部の接続端子を接触させた状態で、前記第1の基材、前記ヒーター線及び前記ワイヤーハーネス接続部を金型の内部に配置する第1工程と、
    前記金型の内部に溶融樹脂を流し込んで射出成形を行い、前記溶融樹脂で第2の基材を形成して、前記第2の基材の別の凹溝を前記ヒーター線に嵌めると共に、前記第2の基材を前記第1の基材に成形溶着する第2工程
    を備えることを特徴とする車載レーダー装置用レドームの製造方法。
  12. 請求項4記載の車載レーダー装置用レドームを製造する方法であって、
    前記第1の基材の前記凹溝にヒーター線を嵌めるようにして固着すると共に、前記第1の基材の前記位置決め凹部にワイヤーハーネス接続部の少なくとも一部を収容し、前記ヒーター線の端部と前記ワイヤーハーネス接続部の接続端子を接触させた状態で、前記第1の基材、前記ヒーター線及び前記ワイヤーハーネス接続部を金型の内部に配置する第1工程と、
    前記金型の内部に溶融樹脂を流し込んで射出成形を行い、前記溶融樹脂で第2の基材を形成して、前記第2の基材の凸条を前記第1の基材の前記凹溝に嵌めると共に、前記第2の基材を前記第1の基材に成形溶着する第2工程
    を備えることを特徴とする車載レーダー装置用レドームの製造方法。
  13. 前記第1の基材と前記第2の基材の少なくとも一方が透明基材若しくは透光性基材で形成されている請求項1~7の何れかに記載の車載レーダー装置用レドームの製造方法であって、
    透明基材若しくは透光性基材である前記第1の基材若しくは前記第2の基材の側から前記基体を撮像部で撮像し、撮像画像と基準画像を対比して不適正なヒーター線の配線状態若しくは不適正なヒーター線の接続状態を有する不適正な基体を判別し、不適正な基体を除去する工程を備えることを特徴とする車載レーダー装置用レドームの製造方法。
  14. 前記第1の基材と前記第2の基材の少なくとも一方が透明基材若しくは透光性基材で形成されている請求項1~7の何れかに記載の車載レーダー装置用レドームの製造方法であって、
    透明基材若しくは透光性基材である前記第1の基材若しくは前記第2の基材の側から前記基体を目視確認し、不適正なヒーター線の配線状態若しくは不適正なヒーター線の接続状態を有する不適正な基体を判別して除去する工程を備えることを特徴とする車載レーダー装置用レドームの製造方法。
  15. 視認側に配置される前記第1の基材が非透光性基材、視認側と逆側に配置される前記第2の基材が透明基材若しくは透光性基材であることを特徴とする請求項13又は14記載の車載レーダー装置用レドームの製造方法。
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