JP2022133372A - 中性子捕捉療法システム - Google Patents

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Weilin Chen
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Abstract

【課題】環境及び放射安全性を改善した中性子捕捉療法システムを提供する。【解決手段】中性子捕捉療法システム100は、中性子生成装置10とビーム整形体20を収容すると共に、前記中性子生成装置10とビーム整形体20により生成された放射線を遮蔽するコンクリート壁Wを含み、前記コンクリート壁Wと、少なくとも一部が前記コンクリート壁W内に設けられた補強部とは、前記ビーム整形体20を支持し、前記補強部の材料の90%(重量パーセント)以上がC、H、O、N、Si、Al、Mg、Li、B、Mn、Cu、Zn、S、Ca、Tiのうちの少なくとも1種の元素からなる。コンクリート壁W内に設けられた補強部は、活性化耐性に優れて、従来の鉄筋コンクリート構造に比べて、さらに放射線を減衰させる。【選択図】図1

Description

本発明は、放射線照射システムに関し、特に中性子捕捉療法システムに関する。
原子科学の発展に従って、コバルト60、線形加速器、電子ビーム等の放射線療法は、
すでにがん治療の主な手段の一つとなった。しかし、従来の光子又は電子療法は、放射線
そのものの物理的条件の制限で腫瘍細胞を殺すとともに、ビーム経路上の数多くの正常組
織に損傷を与える。また、腫瘍細胞により放射線に対する感受性の度合いが異なっており
、従来の放射線療法では、放射線耐性の高い悪性腫瘍(例、多形神経膠芽腫(gLiob
lastoma multiforme)、黒色腫(melanoma))に対する治療
効果が良くない。
腫瘍の周囲の正常組織の放射線損傷を軽減するすために、化学療法(cHemotHe
rapy)における標的療法が、放射線療法に用いられている。また、放射線耐性の高い
腫瘍細胞に対し、現在では生物学的効果比(relative biological
effectiveness、RBE)の高い放射線源が積極的に開発されている(例え
ば、陽子線治療、重粒子治療、中性子捕捉療法等)。このうち、中性子捕捉療法は、上記
の2つの構想を結びつけたものである。例えば、ホウ素中性子捕捉療法では、ホウ素含有
薬物が腫瘍細胞に特異的に集まり、高精度な中性子ビームの制御と合わせることで、従来
の放射線と比べて、より良いがん治療オプションを提供する。
放射線治療過程中に各種の放射線を生成することがあり、例えば硼素中性子捕獲治療過
程には低エネルギーから高エネルギーまでの中性子、光子を生成し、これらの放射線は人
体の正常組織に異なる程度の傷害を引き起こす可能性がある。そのため放射線治療領域に
おいて、効果的な治療に達すると同時に外部環境、医員または被照射体の正常組織に対す
る放射汚染をどのように減らすことは非常に重要なテーマとなっている。放射線治療装置
は、一般的にはコンクリート構造の建築物に配置され、装置が生成するおそれがある放射
を遮蔽し、一般的な鉄筋コンクリート構造では、鉄筋が中性子によって活性化された後、
半減期が長い放射性同位体を生成し、例えば、コバルト60の半減期が5.27年であり
、減期が長い放射性廃棄物を形成し、環境及び放射安全性に悪影響をもたらす。
したがって、上記課題を解決するために、新規な技術手段を提供する必要がある。
上記問題を解決するために、本願の一態様に係る中性子捕捉療法システムは、中性子生
成装置とビーム整形体を含み、前記中性子生成装置は加速器とターゲットを含み、前記加
速器によって加速して生成された帯電粒子線は前記ターゲットと作用して中性子線を生成
し、前記ビーム整形体は、反射体、減速体、熱中性子吸収体、放射シールド体及びビーム
出口を含み、前記減速体は前記ターゲットにより生成された中性子を、熱外中性子エネル
ギー領域に減速させ、前記反射体は前記減速体を囲み、かつ逸脱した中性子を前記減速体
に導いて熱外中性子ビーム強度を向上させ、前記熱中性子吸収体は、治療時に浅層正常組
織に対する余計な用量となることを避けるために、熱中性子を吸収し、前記放射シールド
体は、前記ビーム出口を囲んで前記反射体の後部に設けられ、非照射領域の正常な組織線
量を減らすために、しみ出る中性子及び光子をシールドし、さらに、中性子生成装置とビ
ーム整形体を収容するコンクリート壁を含み、前記コンクリート壁と、少なくとも一部が
前記コンクリート壁内に設けられた補強部とは、前記ビーム整形体を支持し、前記補強部
の材料の90%(重量パーセント)以上がC、H、O、N、Si、Al、Mg、Li、B
、Mn、Cu、Zn、S、Ca、Tiのうちの少なくとも1種の元素からなる。コンクリ
ート構造は、中性子捕捉療法システムの動作過程において漏洩する中性子及び他の放射線
を遮蔽することができ、補強部はコンクリートの剛性を向上させ、引張強さを向上させ、
耐荷力を向上させることができ、補強部の材料は、中性子との作用断面が小さいか、又は
中性子によって活性化された後に生成した放射性同位体の半減期が短い元素からなり、中
性子の活性化により誘導された放射性が小さいため、2次放射による用量を合理的に抑制
する以外に、将来の装置の解体に一層有利となる。
さらに、前記補強部は、材料の弾性率が40GPa以上、降伏強度が100MPa以上
、極限強度が200MPa以上である。
さらに、前記補強部が中性子によって活性化された後に生成した放射性同位体の半減期
は、1年未満である。
さらに、前記補強部の材料の少なくとも一部は、アルミニウム合金又は炭素繊維複合材
又はガラス繊維複合材である。アルミニウムは中性子によって活性化された後に、半減期
が短く、炭素繊維複合材又はガラス繊維複合材の活性化耐性が高く、従来の鉄筋コンクリ
ート構造と比べて、限られた時間内に中性子の活性化により誘導された放射性が大幅に低
下する。
さらに、前記中性子捕捉療法システムは、治療台とコリメータを含み、前記コリメータ
は前記ビーム出口の後部に設けられて中性子線を集め、前記中性子生成装置が生成した中
性子線は前記ビーム整形体とコリメータを経過して前記治療台上の被照射体に照射し、前
記被照射体とビーム出口の間に放射線遮蔽装置が設置され、前記ビーム出口から出たビー
ムが被照射体の正常組織への放射を遮蔽する。ターゲットは1つ又は複数であってよく、
帯電粒子線は、選択的に、そのうちの1つ又は幾つかのターゲットと作用するか又は同時
に複数のターゲットと作用することで、1つ又は複数の治療用中性子ビームを生成し、タ
ーゲットの数量に応じて、ビーム整形体、コリメータ、治療台も1つ又は複数であってよ
い。
さらに、前記中性子捕捉療法システムは、さらに帯電粒子ビーム生成室と照射室を含み
、前記治療台上の被照射体が前記照射室において中性子線照射による治療を受け、前記帯
電粒子ビーム生成室には前記加速器が収容され、前記コンクリート壁は前記帯電粒子ビー
ム生成室と照射室の間の隔壁を含む。隔壁は、照射室と帯電粒子ビーム生成室を完全に隔
てるものであってもよく、照射室と帯電粒子ビーム生成室を部分的に隔てるものであって
もよく、照射室と帯電粒子ビーム生成室は連通する。複数の治療台は、同一の照射室内に
設けられてもよく、治療台ごとに個別の照射室が設けられてもよい。
好ましくは、前記ビーム整形体は前記隔壁内に設けられると共に、前記隔壁によって支
持され、前記隔壁に収容キャビティが設けられ、前記ビーム整形体が前記収容キャビティ
内に取り付けられ、前記収容キャビティが前記隔壁の厚さ方向に沿って貫通する。
また、好ましくは、前記中性子生成装置は、さらに加速器により生成された帯電粒子線
を前記ターゲットに転送するビーム転送部を含み、前記隔壁に貫通孔が設けられ、前記ビ
ーム転送部は前記貫通孔を通過し、前記補強部の少なくとも一部が前記隔壁内に設けられ
、前記ビーム整形体が前記補強部に支持される。
本発明の別の態様に係る、中性子生成装置が生成した中性子線のビーム品質を調整する
ビーム整形体を支持する支持装置は、前記ビーム整形体が内部に取り付けられた収容キャ
ビティと、コンクリート壁と、少なくとも一部が前記コンクリート壁内に設けられた補強
部とを含む。コンクリート構造は、動作過程において漏洩する中性子及び他の放射線を遮
蔽することができ、ビーム整形体は、変形に対する感受性が高く、支持構造が十分な剛性
を有することを要求し、コンクリート内に設けられた補強部は、コンクリートの剛性を向
上させ、引張強さを向上させ、耐荷力を向上させることができる。
さらに、前記補強部は、材料の弾性率が40GPa以上、降伏強度が100MPa以上
、極限強度が200MPa以上である。
さらに、前記補強部の材料の90%(重量パーセント)以上がC、H、O、N、Si、
Al、Mg、Li、B、Mn、Cu、Zn、S、Ca、Tiのうちの少なくとも1種の元
素からなる。補強部の材料は、中性子との作用断面が小さいか、又は中性子によって活性
化された後に生成した放射性同位体の半減期が短い元素からなり、中性子の活性化により
誘導された放射性が小さいため、2次放射による用量を合理的に抑制する以外に、将来の
装置の解体に一層有利となる。
さらに、前記補強部が中性子によって活性化された後に生成した放射性同位体の半減期
は、1年未満である。
さらに、前記収容キャビティは、前記コンクリート壁に形成された貫通孔であり、前記
補強部は、円環、枠組み及び配力筋を含み、前記円環は前記ビーム整形体を囲んで設けら
れ、前記枠組みは前記円環を囲んで設けられ、前記配力筋は、水平、垂直及びコンクリー
トの厚さ方向に沿って所定の間隔でコンクリート内に分布し、前記配力筋は少なくとも一
部が前記枠組みを通過するか又は前記枠組みに当接し、前記配力筋は少なくとも一部が前
記円環に当接し、前記円環と枠組みの材料はアルミニウム合金又は炭素繊維複合材又はガ
ラス繊維複合材であり、前記配力筋の材料は鋼又はアルミニウム合金又は炭素繊維複合材
又はガラス繊維複合材である。円環と枠組みは、コンクリートの剛性を向上させ、引張強
さを向上させ、配力筋はコンクリートの割れを防止し、壁体の全体性能を向上させること
ができる。
さらに、前記アルミニウム合金は、アルミニウムマグネシウム合金であり、前記炭素繊
維複合材は炭素繊維樹脂複合材であり、前記ガラス繊維複合材はガラス繊維樹脂複合材で
あり、前記円環は形材であるか又は筋からなり、前記枠組みは形材であるか又は筋からな
る。前記枠組みは、形材であるときに、水平枠組み形材梁と垂直枠組み形材柱を含み、前
記水平枠組み形材梁と垂直枠組み形材柱がボルトにより接続されるか又は溶接される。コ
ンクリートの圧縮強度が高いが、その引張強さが低く、通常の応力の作用下でひずみが時
間と共にゆっくりして増加し、アルミニウムマグネシウム合金形材の引張強さ及びせん断
強さが高く、剛性が高く、かつ通常の応力の作用下でひずみが時間と共にゆっくりして増
加せず、炭素繊維樹脂複合材又はガラス繊維樹脂複合材の引張強さが高く、コンクリート
力学的性質と材料特性の不足を補うことができる。前記枠組みは、筋からなるときに、水
平骨組みと垂直骨組みを含み、前記水平骨組みは、水平縦筋と肋筋を含み、前記垂直骨組
みは、垂直縦筋と肋筋を含む。コンクリートの圧縮耐荷力が高く、アルミニウムマグネシ
ウム合金筋の引張耐荷力が高く、張力を受ける部位にアルミニウムマグネシウム合金筋を
配置すると、コンクリートの引張強さの不足を補うことができ、炭素繊維樹脂複合材又は
ガラス繊維樹脂複合材の引張強さが高いため、肋筋を配置すると、壁体のせん断性能を向
上させることができる。
また、好ましくは、前記補強部は、前記コンクリート壁内に設けられた第1の補強部と
、少なくとも一部が前記コンクリート壁から延出する第2の補強部とを含む。
さらに、前記第1の補強部は、円環、枠組み及び配力筋を含み、前記円環は前記ビーム
整形体を囲んで設けられ、前記枠組みは前記円環を囲んで設けられ、前記配力筋は、水平
及びコンクリートの厚さ方向に沿って所定の間隔でコンクリート内に分布し、前記配力筋
は少なくとも一部が前記枠組みを通過するか又は前記枠組みに当接し、前記配力筋は少な
くとも一部が前記円環に当接し、前記円環と枠組みの材料はアルミニウム合金又は炭素繊
維複合材又はガラス繊維複合材であり、前記配力筋の材料は鋼又はアルミニウム合金又は
炭素繊維複合材又はガラス繊維複合材である。円環と枠組みは、コンクリートの剛性を向
上させ、引張強さを向上させ、配力筋はコンクリートの割れを防止し、壁体の全体性能を
向上させることができる。
さらに、前記アルミニウム合金は、アルミニウムマグネシウム合金であり、前記炭素繊
維複合材は炭素繊維樹脂複合材であり、前記ガラス繊維複合材はガラス繊維樹脂複合材で
あり、前記円環は形材であるか又は筋からなり、前記枠組みは水平枠組み形材梁又は水平
骨組みからなり、前記水平骨組みは、水平縦筋と肋筋を含む。コンクリートの圧縮強度が
高いが、その引張強さが低く、通常の応力の作用下でひずみが時間と共にゆっくりして増
加し、アルミニウムマグネシウム合金形材の引張強さ及びせん断強さが高く、剛性が高く
、かつ通常の応力の作用下でひずみが時間と共にゆっくりして増加せず、アルミニウムマ
グネシウム合金筋の引張耐荷力が高く、炭素繊維樹脂複合材又はガラス繊維樹脂複合材の
引張強さが高く、コンクリート力学的性質と材料特性の不足を補うことができ、肋筋を配
置すると、壁体のせん断性能を向上させることができる。
さらに、前記第2の補強部は、水平な支持板と、前記支持板と第1の補強部を接続する
側板とを含み、前記収容キャビティは前記支持板に形成される。
さらに、前記支持板の、前記第1の補強部に面する側にフランジが設けられ、前記フラ
ンジは前記収容キャビティを形成すると共に、ビーム整形体を水平方向に位置規制し、前
記支持板に貫通孔が形成され、前記中性子線が前記ビーム整形体を経過して前記貫通孔か
ら出る。
本発明の更なる態様に係る中性子照射システム用建築物は、前記中性子照射システムを
収容するコンクリート構造であり、前記コンクリート構造内に補強部が設けられ、前記補
強部の材料の90%(重量パーセント)以上がC、H、O、N、Si、Al、Mg、Li
、B、Mn、Cu、Zn、S、Ca、Tiのうちの少なくとも1種の元素からなる。コン
クリート構造は、中性子照射システムの動作過程において漏洩する中性子及び他の放射線
を遮蔽することができ、補強部はコンクリートの剛性を向上させ、引張強さを向上させ、
耐荷力を向上させることができ、補強部の材料は、中性子との作用断面が小さいか、又は
中性子によって活性化された後に生成した放射性同位体の半減期が短い元素からなり、中
性子の活性化により誘導された放射性が小さいため、2次放射による用量を合理的に抑制
する以外に、将来の装置の解体に一層有利となる。
さらに、前記補強部は、水平及び/又は垂直配力筋を含み、前記水平及び/又は垂直配
力筋は、水平、垂直及び前記コンクリート構造の厚さ方向に沿って所定の間隔で前記コン
クリート構造内に分布し、配力筋はコンクリートの割れを防止し、壁体の全体性能を向上
させることができる。
さらに、前記補強部は、材料の弾性率が40GPa以上、降伏強度が100MPa以上
、極限強度が200MPa以上である。
さらに、前記補強部が中性子によって活性化された後に生成した放射性同位体の半減期
は、1年未満である。
さらに、前記補強部の材料の少なくとも一部は、アルミニウム合金又は炭素繊維複合材
又はガラス繊維複合材である。アルミニウムは中性子によって活性化された後に、半減期
が短く、炭素繊維複合材又はガラス繊維複合材の活性化耐性が高く、従来の鉄筋コンクリ
ート構造と比べて、限られた時間内に中性子の活性化により誘導された放射性が大幅に低
下する。
さらに、前記アルミニウム合金は、アルミニウムマグネシウム合金であり、前記炭素繊
維複合材は炭素繊維樹脂複合材であり、前記ガラス繊維複合材はガラス繊維樹脂複合材で
あり、前記コンクリート構造のコンクリートはホウ素含有重晶石コンクリートである。ア
ルミニウムマグネシウム合金、炭素繊維複合材又はガラス繊維複合材は、優れた力学的性
質を持ち、ホウ素含有のコンクリートは、より優れた中性子吸収性能を持ち、コンクリー
トの放射線遮蔽効果を向上させる以外に、コンクリート中の金属材料が受ける中性子曝露
量を低減することができる。
本発明の実施例における中性子捕捉療法システムの構造概略図である。 本発明の実施例1における中性子捕捉療法システムのビーム整形体の支持構造の概略図である。 図2のA-A断面概略図である。 図2のB-B断面概略図である。 図2のC-C断面概略図である。 本発明の実施例2における中性子捕捉療法システムのビーム整形体の支持構造の概略図である。 図6のD-D断面概略図である。 図6のE-E断面概略図である。 図6のF-F断面概略図である。 本発明の実施例3における中性子捕捉療法システムのビーム整形体の支持構造の概略図である。 図10のG-G断面概略図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施例をさらに詳細に説明することにより、当業者
は明細書の文字を参照して実施することができる。
図1に示すように、好ましくは、本実施例における中性子照射システムはホウ素中性子
捕捉療法システム100、中性子生成装置10、ビーム整形体20、コリメータ30、治
療台40を含む。中性子生成装置10は加速器11とターゲットTを含み、加速器11は
帯電粒子(例えば陽子、デューテリウム核など)に対して加速し、陽子線のような帯電粒
子線Pを生成し、帯電粒子線PはターゲットTに照射しかつターゲットTと作用して中性
子線(中性子ビーム)Nを生成し、ターゲットTは好ましく金属ターゲットである。必要
な中性子生成率とエネルギー、提供可能な加速した帯電粒子エネルギーと電流の大きさ、
金属ターゲットの物理化学的性質などの特性に従って適切な核反応を選択し、常に討論さ
れる核反応はLi(p,n)Be及Be(p,n)Bがあり、この2種類の反応
はいずれも吸熱反応である。2種類の核反応のエネルギー閾値はそれぞれ1.881Me
Vと2.055MeVであり、硼素中性子捕獲治療の理想的な中性子源はkeVエネルギ
ーランクの熱外中性子であるため、理論上にエネルギーが閾値よりただ少し高い陽子を使
用してリチウム金属ターゲットを砲撃すれば、相対的な低エネルギーの中性子を生成する
ことができ、余計な減速処理を必要とせずに臨床に使うことができるが、リチウム金属(
Li)とベリリウム金属(Be)の2種類のターゲットと閾値エネルギーの陽子作用断面
が高くなく、十分に大きな中性子磁束を生成するために、一般的には高エネルギーの陽子
を選択して核反応を誘発する。理想的なターゲットは高い中性子生成率、生成した中性子
エネルギーの分布が熱外中性子エネルギー領域に近接し(以下に詳細に描述される)、余
計な強い透過性のある放射を生成せず、安全で安くて操作しやすくかつ耐高温などの特性
を備えるべきであるが、実際にはすべての要求に合致する核反応を見つけることができず
、本発明の実施例にはリチウム金属で作製されたターゲットを採用する。しかし当業者が
熟知するように、ターゲットTの材料はリチウム、ベリリウム以外の金属材料で作製され
てもよく、例えばタンタル(Ta)またはタングステン(W)などから形成される;ター
ゲットTは円板状であってもよく、また他の固体形状であってもよく、また液体材料(液
体金属)を使用してもよい。加速器11は線形加速器、サイクロトロン、シンクロトロン
、シンクロサイクロトロンであってもよく、中性子生成装置10は原子炉であってもよく
加速器とターゲットを採用しない。硼素中性子捕獲治療の中性子源の由来は原子炉または
加速器帯電粒子とターゲットの核反応にもかかわらず、生成したのは実際にいずれも混合
放射場であり、即ちビームは低エネルギーから高エネルギーまでの中性子、光子を含む。
深部腫瘤に対する硼素中性子捕獲治療は、熱外中性子を除き、他の放射線含有量は多けれ
ば多いほど、正常組織の非選択的な用量沈殿を引き起こす比率が大きく、そのためこれら
の不必要な用量を引き起こす放射を可能な限り下げるべきである。また、被照射体の正常
組織について、各種の放射線が多すぎ、同様に不必要な用量沈殿を引き起こすことを避け
るべきである。
中性子生成装置10が生成した中性子Nは順次ビーム整形体20とコリメータ30を経
過して治療台40上の被照射体200に照射する。ビーム整形体20は中性子生成装置1
0が生成した中性子ビームNのビーム品質を調整することができ、コリメータ30は中性
子ビームNを集め、中性子ビームNに治療過程中に高い標的性を備えさせるために用いら
れ、コリメータ30を調整することによってビームの方向およびビームと治療台40上の
被照射体200との位置関係を調整することができ、治療台40および被照射体200の
位置はまた調整することができ、ビームを被照射体200体内の腫瘤細胞Mに狙いをつけ
させる。これらの調整は人工手動で操作してもよく、また一連の制御機構によって自動で
実現してもよい。理解できるように、本発明はさらにコリメータがなくてもよく、ビーム
がビーム整形体20から出た後に治療台40上の被照射体200に照射する。
ビーム整形体20はさらに反射体21、減速体22、熱中性子吸収体23、放射シール
ド体24およびビーム出口25を含み、中性子生成装置10が生成した中性子はエネルギ
ースペクトルが広いため、熱外中性子が治療ニーズを満たす以外、他の種類の中性子およ
び光子含有量を可能な限り減らして操作者または被照射体に傷害を引き起こすことを避け
、それで、中性子生成装置10から出た中性子は、減速体22を通してその中の高速中性
子エネルギー(>40keV)を熱外中性子エネルギー領域(0.5eV-40keV)
に調整して、かつできるだけ熱中性子(<0.5eV)を減らす必要がある。減速体22
は速い中性子との作用断面が大きく、熱外中性子との作用断面が小さい材料で作製され、
好ましい実施例として、減速体13はDO、AlF、Fluental、CaF
LiCO、MgF、Al中の少なくとも1種で作製される;反射体21は減
速体22を囲み、かつ減速体22を通過して周辺へ拡散した中性子を中性子ビームNに反
射して中性子の利用率を向上させ、中性子反射能力が高い材料で作製され、好ましい実施
例として、反射体21はPbまたはNi中の少なくとも1種で作製される;減速体22の
後部には熱中性子吸収体を有し、熱中性子との作用断面が大きい材料で作製され、好まし
い実施例として、熱中性子吸収体23はLi-6で作製され、熱中性子吸収体23は減速
体22を通過する熱中性子を吸収して中性子ビームN中の熱中性子の含有量を減少し、治
療時に浅層正常組織に対する余計な用量となることを避ける;放射シールド体24はビー
ム出口を囲んで反射体の後部に設けられ、ビーム出口25以外の部分からしみ出る中性子
と光子をシールドするために用いられ、放射シールド体24の材料は光子シールド材料と
中性子シールド材料中の少なくとも1種を含み、好ましい実施例として、放射シールド体
24の材料は光子シールド材料鉛(Pb)と中性子シールド材料ポリエチレン(PE)を
含む。コリメータ30がビーム出口25の後部に設けられ、コリメータ30から出た熱外
中性子ビームは被照射体200に照射し、浅層正常組織を経過した後に熱中性子に減速さ
れて腫瘤細胞Mに到着する。理解できるように、ビーム整形体20はさらにその他の構造
があってもよく、治療に必要な熱外中性子ビームを取得すればよい。
被照射体200は硼素(B-10)薬物を服用または注射した後、硼素薬物は選択的に
腫瘤細胞M中に集中し、続いて硼素(B-10)薬物が熱中性子に対して高い捕獲断面を
有するという特性を利用し、10B(n、α)Li中性子捕獲および核分裂反応により
HeとLiの2個の重い荷電粒子を生成する。2個の荷電粒子の平均エネルギーは約
2.33MeVであり、高い線形転移(Linear Energy Transfer
、LET)、短い射程の特徴を有し、α短い粒子の線形エネルギー転移と射程はそれぞれ
150keV/μm、8μmであり、Li重い荷電粒子は175keV/μm、5μm
であり、2個の粒子の総射程は約1個の細胞の大きさに相当し、そのため生物体に与える
放射傷害は細胞階層に限定することができ、正常組織に大きい傷害を引き起こすことなく
、腫瘤細胞を局所的に殺すという目的を達成する。
本実施例において、被照射体200とビーム出口25の間にさらに放射線遮蔽装置50
が設置され、ビーム出口25から出たビームが被照射体の正常組織への放射を遮蔽して、
放射線遮蔽装置50を設置しなくてもよいことを理解すべきである。
ホウ素中性子捕捉療法システム100は、コンクリート構造の建築物内に全体的に収容
され、具体的には、ホウ素中性子捕捉療法システム100は、さらに照射室101と帯電
粒子ビーム生成室102を含み、治療台40上の被照射体200が照射室101において
中性子ビームN照射による治療を受け、帯電粒子ビーム生成室102は加速器11を収容
し、ビーム整形体20は照射室101と帯電粒子ビーム生成室102の隔壁103によっ
て支持される。理解できるように、隔壁103は、照射室101と帯電粒子ビーム生成室
102を完全に隔てるものであってもよく、照射室101と帯電粒子ビーム生成室102
を部分的に隔てるものであってもよく、照射室101と帯電粒子ビーム生成室102は連
通する。ターゲットTは1つ又は複数であってよく、帯電粒子線Pは、選択的に、そのう
ちの1つ又は幾つかのターゲットTと作用するか又は同時に複数のターゲットTと作用す
ることで、1つ又は複数の治療用中性子ビームNを生成することができる。ターゲットT
の数量に応じて、ビーム整形体20、コリメータ30、治療台40も1つ又は複数であっ
てよい。複数の治療台は、同一の照射室内に設けられてもよく、治療台ごとに個別の照射
室が設けられてもよい。
照射室101と帯電粒子ビーム生成室102は、コンクリート壁W(隔壁103を含む
)で囲まれて形成された空間であり、コンクリート構造は、ホウ素中性子捕捉療法システ
ム100の動作過程において漏洩する中性子及び他の放射線を遮蔽することができる。コ
ンクリート壁Wは、少なくとも一部がコンクリート内に設けられた補強部(以下、詳細に
紹介する)を含むことにより、剛性を向上させ、引張強さを向上させ、耐荷力を向上させ
、補強部は、材料の弾性率が40GPa以上、降伏強度が100MPa以上、極限強度が
200MPa以上である。同時に、補強部の材料は、中性子との作用断面が小さいか、又
は中性子によって活性化された後に生成した放射性同位体の半減期が短い(1年未満)元
素からなり、具体的には、補強部の材料の90%(重量パーセント)以上は、C、H、O
、N、Si、Al、Mg、Li、B、Mn、Cu、Zn、S、Ca、Tiのうちの少なく
とも1つからなる。本実施例において、補強部の材料の少なくとも一部は、アルミニウム
合金、炭素繊維複合材、ガラス繊維複合材又はそれらの組み合わせである。アルミニウム
合金を選択すると、少なくとも一部をアルミニウムマグネシウム合金にしてよく、アルミ
ニウムは、中性子によって活性化された後に半減期が短く、2.2分間だけであり、従来
の鉄筋コンクリート構造では、鉄筋に富んだ鉄、コバルト、ニッケル等の元素は、中性子
によって活性化された後に半減期が長く、例えば、コバルト60の半減期が5.27年で
あり、アルミニウムマグネシウム合金を用いると、限られた時間内に中性子の活性化によ
り誘導された放射性が大幅に低下し、2次放射による用量を合理的に抑制する以外に、将
来の装置の解体に一層有利となる。アルミニウムマグネシウム合金は、優れた力学的性質
を持ち、理解できるように、他のアルミニウム合金を選択することができる。炭素繊維複
合材又はガラス繊維複合材を選択すると、炭素繊維又はガラス繊維と樹脂との複合材であ
ってよく、炭素繊維又はガラス繊維と樹脂との複合材の強度が高く、活性化耐性に優れて
、理解できるように、他の複合材を選択してもよい。以下、隔壁103のコンクリート構
造を詳細に紹介し、ビーム整形体20は隔壁103と、少なくとも一部が隔壁103内に
設けられた補強部とによって支持される。
引き続き図2~図5を参照すると、隔壁103の実施例1であり、隔壁103は側壁で
あり、即ち、照射室101と帯電粒子ビーム生成室102は水平に配置され、隔壁103
に収容キャビティ1031が設けられ、ビーム整形体20が収容キャビティ1031内に
取り付けられ、収容キャビティ1031が隔壁103の厚さ方向に沿って貫通し、本実施
例において、ビーム整形体20全体は円筒状であり、それに応じて収容キャビティ103
1は円形貫通孔である。ビーム整形体は、変形に対する感受性が高く、支持構造が十分な
剛性を有することを要求するため、隔壁103には、コンクリート内に補強部1032が
設けられる。補強部1032は、ビーム整形体20を囲む円環筋aと、円環筋aを囲む枠
組み筋bを含み、枠組み筋bは、水平骨組みb1と垂直骨組みb2を含み、水平骨組みb
1は水平縦筋b11と肋筋b12を含み、垂直骨組みb2は、垂直縦筋b21と肋筋b2
2を含み、水平/垂直縦筋と肋筋の数量は、実際の状況に応じて決定される。補強部10
32は、さらに水平、垂直配力筋cを含み、水平、垂直配力筋cは、水平、垂直及びコン
クリートの厚さ方向に沿って所定の間隔でコンクリート壁全体内に分布し、間隔は具体的
な状況に応じて決定され、図中には模式的に描かれているものに過ぎない。水平、垂直配
力筋cは、枠組み筋bを通過し、円環筋aと交差する水平、垂直配力筋cはそれに当接し
てアンカー性能を向上させ、かつ施工時にそれを位置決めしやすく、水平縦筋b11と垂
直縦筋b21の先端にアンカー板dが設けられて、水平縦筋b11と垂直縦筋b21の接
着強度を向上させる。円環筋と当接する配力筋以外に、枠組み筋以外の領域のみに配力筋
を設けてよく、このときに、配力筋と枠組み筋は一定の当接長さを保証すると、アンカー
板を設けなくてもよい。円環筋aと枠組み筋bの材料は、アルミニウムマグネシウム合金
又は炭素繊維樹脂複合材又はガラス繊維樹脂複合材であり、配力筋の材料も、アルミニウ
ムマグネシウム合金又は炭素繊維樹脂複合材又はガラス繊維樹脂複合材であり、中性子が
ビーム整形体において生成されるため、周囲の材料の活性化が最も重要であり、理解でき
るように、コストを低減するために、配力筋は、少なくとも一部(例えば、枠組み筋以外
の部分)が鉄筋であってもよく、同時に配力筋の数量は、建築構造の要件を満たせばよく
、放射性核種の生成を減少させる。当業者が熟知するように、施工過程において、配力筋
には、コンクリートの厚さ方向に沿って幅止め筋(未図示)が設けられてよく、幅止め筋
の数量は実際の状況に応じて決定され、交差する筋は、鋼線等の固定部品により結束して
接続され、例えば、水平、垂直配力筋、水平/垂直配力筋と幅止め筋、水平/垂直縦筋と
肋筋、円環筋及び水平/垂直配力筋の間である。理解できるように、他のコンクリート壁
Wにビーム整形体等が取り付けられないときに、配力筋のみが設けられてよい。施工時に
、まず、他のコンクリート壁の配力筋と隔壁103の配力筋、円環筋及び枠組み筋等を結
束してアンカーし、その後に、壁の縁部(収容キャビティ内壁を含む)の型枠を組んでコ
ンクリート打設を行い、打設完了後にビーム整形体を隔壁の収容キャビティ内に取り付け
る。理解できるように、施工過程は、当業者が熟知する他の方式で行われてよい。コンク
リートの圧縮耐荷力が高く、アルミニウムマグネシウム合金筋と鉄筋の引張耐荷力が高く
、張力を受ける部位にアルミニウムマグネシウム合金筋と鉄筋を配置すると、コンクリー
トの引張強さの不足を補うことができ、肋筋を配置すると、壁体のせん断性能を向上させ
ることができる。分布鉄筋はコンクリートの割れを防止し、壁体の全体性能を向上させる
ことができる。
図6~図9に示すように、隔壁103’の実施例2であり、以下、実施例1と異なる箇
所のみを説明し、隔壁103’の補強部1032’は、ビーム整形体を囲む円環形材a’
と、円環形材a’を囲む枠組み形材b’とを含み、枠組み形材b’は水平枠組み形材梁b
1’と垂直枠組み形材柱b2’を含む。補強部1032’は、さらに水平、垂直配力筋c
’を含み、水平、垂直配力筋c’は、水平、垂直及びコンクリートの厚さ方向に沿って所
定の間隔でコンクリート壁全体内に分布し、間隔は具体的な状況に応じて決定される。水
平枠組み形材梁b1’と垂直枠組み形材柱b2’はボルトにより接続され、溶接等の接続
方式を用いてもよく、継手の接続強度を保証すればよく、水平、垂直配力筋c’は、アル
ミニウムマグネシウム合金製の枠組み形材b’に予め設けられた孔を通過し、壁体のアン
カー性能と延性を向上させ、円環形材a’と交差する水平、垂直配力筋c’はそれに当接
してアンカー性能を向上させ、かつ施工時にそれを位置決めしやすい。円環形材と交差す
る配力筋以外に、枠組み形材以外の領域のみに配力筋を設けてよく、配力筋と枠組み形材
は当接する。円環形材a’と枠組み形材b’の材料は、アルミニウムマグネシウム合金又
は炭素繊維樹脂複合材又はガラス繊維樹脂複合材であり、配力筋の材料も、アルミニウム
マグネシウム合金又は炭素繊維樹脂複合材又はガラス繊維樹脂複合材であり、中性子がビ
ーム整形体において生成されるため、周囲の材料の活性化が最も重要であり、理解できる
ように、コストを低減するために、配力筋は、少なくとも一部(例えば、枠組み形材以外
の部分)が鉄筋であってもよく、同時に配力筋の数量は、建築構造の要件を満たせばよく
、放射性核種の生成を減少させる。当業者が熟知するように、施工過程において、配力筋
には、コンクリートの厚さ方向に沿って幅止め筋(未図示)が設けられてよく、幅止め筋
の数量は実際の状況に応じて決定され、交差する筋は、鋼線等の固定部品により結束して
接続され、例えば、水平、垂直配力筋、水平/垂直配力筋と幅止め筋、円環形材及び水平
/垂直配力筋の間である。本実施例において、アルミニウムマグネシウム合金形材の断面
形状はH状であり、理解できるように、断面は他の形状であってよい。施工時に、まず、
他のコンクリート壁の配力筋と隔壁103’の配力筋、円環形材及び枠組み形材等を結束
してアンカーし、その後に、壁の縁部(収容キャビティ内壁を含む)の型枠を組んでコン
クリート打設を行い、打設完了後にビーム整形体を隔壁の収容キャビティ内に取り付ける
。理解できるように、施工過程は、当業者が熟知する他の方式で行われてよい。コンクリ
ートの圧縮強度が高いが、その引張強さが低く、通常の応力の作用下でひずみが時間と共
にゆっくりして増加し、アルミニウムマグネシウム合金形材の引張強さ及びせん断強さが
高く、剛性が高く、かつ通常の応力の作用下でひずみが時間と共にゆっくりして増加せず
、コンクリート力学的性質と材料特性の不足を補うことができる。分布鉄筋はコンクリー
トの割れを防止し、壁体の全体性能を向上させることができる。
理解できるように、隔壁の補強部は、以上の2つ実施例の組み合わせであってよく、例
えば、補強部は、ビーム整形体を囲む円環筋と、円環筋を囲む枠組み形材とを含むか、或
いは、ビーム整形体を囲む円環形材と、円環形材を囲む枠組み筋とを含む。
図10~11に示すように、隔壁103’’の実施例3であり、該実施例において、照
射室と帯電粒子ビーム生成室は垂直に配置され、即ち、隔壁103’’は床スラブ(床板
又は天井板)であり、中性子生成装置10’’は、さらに加速器11’’により生成され
た帯電粒子線をターゲットに転送するビーム転送部12’’を含み、隔壁103’’に貫
通孔1031’’が設けられ、ビーム転送部12’’は貫通孔1031’’を通過する。
隔壁103’’の補強部1032’’は、第1の補強部dと第2の補強部eを含み、第1
の補強部dは隔壁103’’のコンクリート内に設けられ、第2の補強部eは少なくとも
一部が隔壁103’’のコンクリートから延出し、第2の補強部eは、水平な支持板e1
と、支持板e1と第1の補強部dを接続する側板e2とを含み、ビーム整形体20’’は
、水平な支持板e1に支持される。本実施例において、第2の補強部eは、コの字状の溝
形構造であり、側板e2は、対向する2つあり、材料はアルミニウムマグネシウム合金又
は炭素繊維樹脂複合材又はガラス繊維樹脂複合材であり、放射性核種の生成を減少させ、
構造用鋼材の強度が高く、塑性及び靱性に優れて、材質が均一で溶接性に優れていること
を考慮すると、鋼材を用いてよく、理解できるように、他の材料又は他の形式の構造を用
いてもよい。支持板e1の、第1の補強部dに面する側にフランジe11が設けられ、ビ
ーム整形体20’’は、フランジe11内に位置し、フランジe11はビーム整形体20
’’を水平方向に位置規制する。本実施例において、ビーム整形体全体は円柱形であり、
それに応じてフランジは円環状の補強筋である。支持板e1に貫通孔e12がさらに形成
され、中性子生成装置10により生成された中性子ビームNは、ビーム整形体20’’を
経過して貫通孔e12から出て、本実施例において、貫通孔e12は支持板e1を切断し
て形成される。
第1の補強部は、床スラブ穴(貫通孔)の縁部の強度を向上させる一方では、ビーム整
形体を支持する。第1の補強部は、上記実施例における補強部の構造に基づいて、枠組み
筋/形材と、円環筋/形材とを含み、ここでは、床スラブであるため、枠組み筋又は枠組
み形材は、水平骨組み又は水平枠組み形材梁のみを含み、垂直骨組み又は垂直枠組み形材
柱の代わりに水平骨組み又は水平枠組み形材梁を用い、具体的な構造を詳細に説明せず、
図中に2つの形材梁のみが示される。第1の補強部が枠組み形材として構成されるときに
、側板e2は枠組み形材と溶接されるか又はボルトにより接続され、理解できるように、
他の接続方式を用いてよく、接続強度を保証すればよく、第1の補強部が枠組み筋として
構成されるときに、側板e2の先端にアンカー板が設けられて、枠組み筋とアンカーされ
る。床スラブ及び第1の補強部の垂直方向で受ける力を考慮すると、側板に接続された水
平骨組み又は水平枠組み形材梁は、床スラブの全長に延在する。上記実施例と同様に、補
強部1032’’は、さらに(水平)配力筋c’’及び幅止め筋(未図示)等を含み、配
力筋c’’は、水平及びコンクリートの厚さ方向に沿って所定の間隔でコンクリート内に
分布し、施工時に、まず、他のコンクリート壁の配力筋と隔壁103’’の配力筋、枠組
み筋/形材と、円環筋/形材等を結束してアンカーし、第2の補強部を第1の補強部に溶
接するか又はアンカーし、その後に、壁の縁部(貫通孔の内壁を含む)の型枠を組んでコ
ンクリート打設を行い、打設完了後にビーム整形体を第2の補強部の側板がない側からフ
ランジ内に入れ、ビーム転送部を、貫通孔を通過させて取り付ける。理解できるように、
施工過程は、当業者が熟知する他の方式で行われてよい。
ホウ素中性子捕捉療法システム100は、さらに準備室と、制御室と、他の治療を補助
するための空間とを含んで、照射室ごとに準備室を配置できて、準備室は照射治療の前に
被照射体を治療台に固定して、ホウ素薬を注射して、治療計画をシミュレーションするな
どの準備仕事を行うものである。準備室と照射室の間に連絡通路が設置され、準備仕事が
完成した後で被照射体を直接に照射室に押し込むか、また軌道を介して自動的に照射室に
入るように制御機構によって制御する。制御室は加速器、ビーム転送部、治療台等を制御
して、照射する全過程を制御管理して、管理人が制御室内で同時に複数の照射室を監視す
ることができる。
本実施例におけるコンクリート壁は、厚さが1m以上、密度が3g/c.c.のホウ素
含有重晶石コンクリート壁であり、ホウ素含有のコンクリートは、より優れた中性子吸収
性能を持ち、コンクリートの放射線遮蔽効果を向上させる以外に、コンクリート中の金属
材料が受ける中性子曝露量を低減することができる。理解できるように、他の厚さ又は密
度を有するか、又は他の材料に置換されてもよく、異なる部分のコンクリート壁の厚さ、
密度又は材料は異なってもよい。理解できるように、本発明は、さらに他のタイプの中性
子照射システムに適用されてよい。
以上に本発明の例示的な具体的な実施形態について説明して、当業者が本発明を理解す
ることを容易にするが、明らかに、本発明は具体的な実施形態の範囲に限定されず、当業
者にとって、様々な変化が添付の特許請求の範囲で限定かつ決定される本発明の精神及び
範囲内にあれば、これらの変化が明らかであるため、いずれも本発明の特許請求の範囲内
にある。

Claims (15)

  1. 中性子生成装置とビーム整形体を含み、前記中性子生成装置は加速器とターゲットを含
    み、前記加速器によって加速して生成された帯電粒子線は前記ターゲットと作用して中性
    子線を生成し、前記ビーム整形体は、反射体、減速体、熱中性子吸収体、放射シールド体
    及びビーム出口を含み、前記減速体は前記ターゲットにより生成された中性子を、熱外中
    性子エネルギー領域に減速させ、前記反射体は前記減速体を囲み、かつ逸脱した中性子を
    前記減速体に導いて熱外中性子ビーム強度を向上させ、前記熱中性子吸収体は、治療時に
    浅層正常組織に対する余計な用量となることを避けるために、熱中性子を吸収し、前記放
    射シールド体は、前記ビーム出口を囲んで前記反射体の後部に設けられ、非照射領域の正
    常な組織線量を減らすために、しみ出る中性子及び光子をシールドし、さらに、中性子生
    成装置とビーム整形体を収容するコンクリート壁を含み、前記コンクリート壁と、少なく
    とも一部が前記コンクリート壁内に設けられた補強部とは、前記ビーム整形体を支持し、
    前記補強部の材料の90%(重量パーセント)以上がC、H、O、N、Si、Al、Mg
    、Li、B、Mn、Cu、Zn、S、Ca、Tiのうちの少なくとも1種の元素からなる
    ことを特徴とする、中性子捕捉療法システム。
  2. 前記補強部は、材料の弾性率が40GPa以上、降伏強度が100MPa以上、極限強
    度が200MPa以上であり、前記補強部が中性子によって活性化された後に生成した放
    射性同位体の半減期が1年未満であり、前記補強部の材料の少なくとも一部がアルミニウ
    ム合金又は炭素繊維複合材又はガラス繊維複合材であることを特徴とする、請求項1に記
    載の中性子捕捉療法システム。
  3. さらに、治療台とコリメータを含み、前記コリメータは前記ビーム出口の後部に設けら
    れて中性子線を集め、前記中性子生成装置が生成した中性子線は前記ビーム整形体とコリ
    メータを経過して前記治療台上の被照射体に照射し、前記被照射体とビーム出口の間に放
    射線遮蔽装置が設置され、前記ビーム出口から出たビームが被照射体の正常組織への放射
    を遮蔽することを特徴とする、請求項1に記載の中性子捕捉療法システム。
  4. さらに、帯電粒子ビーム生成室と照射室を含み、前記治療台上の被照射体が前記照射室
    において中性子線照射による治療を受け、前記帯電粒子ビーム生成室には前記加速器が収
    容され、前記コンクリート壁は前記帯電粒子ビーム生成室と照射室の間の隔壁を含むこと
    を特徴とする、請求項3に記載の中性子捕捉療法システム。
  5. 前記ビーム整形体は前記隔壁内に設けられると共に、前記隔壁によって支持され、前記
    隔壁に収容キャビティが設けられ、前記ビーム整形体が前記収容キャビティ内に取り付け
    られ、前記収容キャビティが前記隔壁の厚さ方向に沿って貫通することを特徴とする、請
    求項4に記載の中性子捕捉療法システム。
  6. 前記中性子生成装置は、さらに加速器により生成された帯電粒子線を前記ターゲットに
    転送するビーム転送部を含み、前記隔壁に貫通孔が設けられ、前記ビーム転送部は前記貫
    通孔を通過し、前記補強部の少なくとも一部が前記隔壁内に設けられ、前記ビーム整形体
    が前記補強部に支持されることを特徴とする、請求項4に記載の中性子捕捉療法システム
  7. 中性子生成装置が生成した中性子線のビーム品質を調整するビーム整形体を支持する支
    持装置であって、前記ビーム整形体が内部に取り付けられた収容キャビティと、コンクリ
    ート壁と、少なくとも一部が前記コンクリート壁内に設けられた補強部とを含むことを特
    徴する、ビーム整形体を支持する支持装置。
  8. 前記補強部は、材料の弾性率が40GPa以上、降伏強度が100MPa以上、極限強
    度が200MPa以上であり、前記補強部の材料の90%(重量パーセント)以上がC、
    H、O、N、Si、Al、Mg、Li、B、Mn、Cu、Zn、S、Ca、Tiのうちの
    少なくとも1種の元素からなり、前記補強部が中性子によって活性化された後に生成した
    放射性同位体の半減期が1年未満であることを特徴とする、請求項7に記載のビーム整形
    体を支持する支持装置。
  9. 前記収容キャビティは、前記コンクリート壁に形成された貫通孔であり、前記補強部は
    、円環、枠組み及び配力筋を含み、前記円環は前記ビーム整形体を囲んで設けられ、前記
    枠組みは前記円環を囲んで設けられ、前記配力筋は、水平、垂直及びコンクリートの厚さ
    方向に沿って所定の間隔でコンクリート内に分布し、前記配力筋は少なくとも一部が前記
    枠組みを通過するか又は前記枠組みに当接し、前記配力筋は少なくとも一部が前記円環に
    当接し、前記円環と枠組みの材料はアルミニウム合金又は炭素繊維複合材又はガラス繊維
    複合材であり、前記配力筋の材料は鋼又はアルミニウム合金又は炭素繊維複合材又はガラ
    ス繊維複合材であることを特徴とする、請求項7に記載のビーム整形体を支持する支持装
    置。
  10. 前記円環は形材であるか又は筋からなり、前記枠組みは形材であり、前記枠組みは水平
    枠組み形材梁と垂直枠組み形材柱を含み、前記水平枠組み形材梁と垂直枠組み形材柱がボ
    ルトにより接続されるか又は溶接されることを特徴とする、請求項9に記載のビーム整形
    体を支持する支持装置。
  11. 前記円環は形材であるか又は筋からなり、前記枠組みは筋からなり、前記枠組みは水平
    骨組みと垂直骨組みを含み、前記水平骨組みは、水平縦筋と肋筋を含み、前記垂直骨組み
    は、垂直縦筋と肋筋を含むことを特徴とする、請求項9に記載のビーム整形体を支持する
    支持装置。
  12. 前記補強部は、前記コンクリート壁内に設けられた第1の補強部と、少なくとも一部が
    前記コンクリート壁から延出する第2の補強部とを含むことを特徴とする、請求項7に記
    載のビーム整形体を支持する支持装置。
  13. 前記第1の補強部は、円環、枠組み及び配力筋を含み、前記円環は前記ビーム整形体を
    囲んで設けられ、前記枠組みは前記円環を囲んで設けられ、前記配力筋は、水平及びコン
    クリートの厚さ方向に沿って所定の間隔でコンクリート内に分布し、前記配力筋は少なく
    とも一部が前記枠組みを通過するか又は前記枠組みに当接し、前記配力筋は少なくとも一
    部が前記円環に当接し、前記円環と枠組みの材料はアルミニウム合金又は炭素繊維複合材
    又はガラス繊維複合材であり、前記配力筋の材料は鋼又はアルミニウム合金又は炭素繊維
    複合材又はガラス繊維複合材であり、前記円環は形材であるか又は筋からなり、前記枠組
    みは水平枠組み形材梁又は水平骨組みからなり、前記水平骨組みは、水平縦筋と肋筋を含
    むことを特徴とする、請求項12に記載のビーム整形体を支持する支持装置。
  14. 前記第2の補強部は、水平な支持板と、前記支持板と第1の補強部を接続する側板とを
    含み、前記収容キャビティは前記支持板に形成され、前記支持板の、前記第1の補強部に
    面する側にフランジが設けられ、前記フランジは前記収容キャビティを形成すると共に、
    ビーム整形体を水平方向に位置規制し、前記支持板に貫通孔が形成され、前記中性子線が
    前記ビーム整形体を経過して前記貫通孔から出ることを特徴とする、請求項12に記載の
    ビーム整形体を支持する支持装置。
  15. 前記アルミニウム合金は、アルミニウムマグネシウム合金であり、前記炭素繊維複合材
    は炭素繊維樹脂複合材であり、前記ガラス繊維複合材はガラス繊維樹脂複合材であること
    を特徴とする、請求項9又は13に記載のビーム整形体を支持する支持装置。
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