JP2022132194A - 複合粉末およびその製造方法、二次電池用負極並びに二次電池 - Google Patents

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裕樹 坂口
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稔季 小林
Toshiki Kobayashi
吉豊 王
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Abstract

【課題】さらなる容量およびサイクル特性の向上の可能な二次電池を提供する。【解決手段】Sn4P3からなる第1成分と、Sb、SnまたはFeからなる第2成分とを含む複合粉末を負極活物質として用いることで、二次電池の容量およびサイクル特性をさらに向上させることが可能となる。【選択図】図1

Description

新規性喪失の例外適用申請有り
本発明は、複合粉末およびその製造方法、二次電池用負極並びに二次電池に関する。
代表的な非水系二次電池であるリチウムイオン二次電池は高電圧、高容量を有することから、携帯電話やノートパソコン等の小型電子機器だけでなく、電気自動車やハイブリッド自動車等の自動車用電源や電力貯蔵用の定置用大型電源として広く使用されている。
しかし、リチウムはその産地が偏在する稀少金属元素であり、リチウムに代わる、より安価で入手の容易な材料が求められている。これに対し、同じアルカリ金属元素であるナトリウムを用いたナトリウムイオン二次電池やカリウムを用いたカリウムイオン二次電池に対する期待が高まっている。ナトリウムイオン二次電池やカリウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池と同様に、一価のアルカリ金属イオンが電荷移動担体となり電解質中を移動して正極・負極に吸蔵されることで充放電を行うことが可能な二次電池である。ナトリウムやカリウムは、リチウムに比し、産地が偏在せず、また資源量が豊富である。そのため、ナトリウムイオン二次電池やカリウムイオン二次電池は、低コストで大型化が可能な二次電池として期待されている。
ナトリウムイオン二次電池では、正極活物質には、例えばナトリウムイオンの挿入・脱離が可能なナトリウム含有無機化合物を用いられている。一方、負極活物質には、ナトリウム単体を用いた場合、デンドライトの生成により内部短絡が発生し安全確保が困難であるという問題があることから、カーボン系材料やSn単体を用いることが検討されている。カーボン系材料では、理論容量が250~350mAh/g程度であるのに対し、Sn単体では、847mAh/gというカーボン系材料に比べて大きな容量が期待できる。
負極活物質にSn単体を用いる方法が提案されているが(例えば、特許文献1,2)、この方法では、充放電時のSnの体積変化が大きく、充放電の繰り返しに伴い、Snが集電体から剥離し、サイクル特性が低下するという問題がある。これに対し、本発明者らの一部は、容量およびサイクル特性を向上させる観点から、負極活物質にスズリン化合物であるSnを用いる方法を提案している(特許文献3)。
特開2006-216508号公報 特開2012-212648号公報 特開2015-028922号公報
しかしながら、低コストで大型化が可能な二次電池を開発するためには、さらに容量およびサイクル特性を向上させることの可能な負極活物質およびそれを用いた負極が必要とされている。
そこで、本発明は、さらに容量およびサイクル特性を向上させることの可能な新たな負極活物質を見出すことで、さらなる容量およびサイクル特性の向上の可能な二次電池を提供することを目的とした。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、Snからなる第1成分と、Sb、SnまたはFeからなる第2成分とを含む複合粉末を負極活物質として用いることで、さらなる容量およびサイクル特性の向上が可能なことを見出して本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の一態様に係る複合粉末は、Snからなる第1成分と、Sb、SnまたはFeからなる第2成分とを含むことを特徴とする。
また、本発明の別の態様に係る複合粉末の製造方法は、Snからなる第1成分と、Sb、SnまたはFeからなる第2成分とを含む複合粉末をメカニカルアロイング法もしくはメカニカルミリング法により混合して、または第1成分と第2成分とを含む複合粉末を水熱合成法により反応させて、製造することを特徴とする。
また、本発明の別の態様に係る二次電池用負極は、Snからなる第1成分と、Sb、SnまたはFeからなる第2成分とを含む複合粉末を負極活物質として含むことを特徴とする。
また、本発明の別の態様に係る二次電池は、正極と負極と電解液とを有する二次電池であって、負極がSnからなる第1成分と、Sb、SnまたはFeからなる第2成分とを含む複合粉末を負極活物質として含むことを特徴とする。
本発明によれば、高容量を有し、サイクル特性に優れた二次電池を提供することが可能となる。
本発明の実験例1に用いたSn/Sb系複合粉末のXRDパターンを示す図である。 本発明の実験例1における充放電曲線を示す図である。 本発明の実験例1におけるサイクル数と放電容量の関係を示す図である。 本発明の実験例1におけるサイクリックボルタンメトリーの結果を示すボルタモグラムである。 本発明の実験例1におけるSn電極の充放電曲線を示す図である。 本発明の実験例1におけるSn/Sb系電極の充放電曲線を示す図である。 本発明の実験例1における1サイクル後のSn電極のTEM写真である。 本発明の実験例1における1サイクル後のSn/Sb系電極のTEM写真である。 本発明の実験例2におけるSn/Sb系電極の充放電曲線を示す図である。 本発明の実験例1(Sn/Sb系電極(第2成分濃度:30重量%))ならびに実験例3(Sn/Sb系電極(第2成分濃度:10重量%および50重量%))におけるサイクル数と放電容量の関係を示す図である。 本発明の実験例3におけるSn/Sb系電極(第2成分濃度:10重量%)の充放電曲線を示す図である。 本発明の実験例4(Sn/Sn系電極(第2成分濃度:16重量%および37重量%))におけるサイクル数と放電容量の関係を示す図である。
以下、図面等を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明において、二次電池とは、非水系二次電池を指す。また、非水系二次電池には、一価のアルカリ金属イオンが電荷移動担体となる、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、およびカリウムイオン二次電池が含まれる。
(複合粉末)
本発明の複合粉末は、Snからなる第1成分と、Sb、SnまたはFeからなる第2成分とを含むことを特徴とするものである。SnはBiSe型結晶構造を有し、SbはAs型結晶構造を有し、Feは体心立方構造を有する。
本発明の複合粉末は、その粒子形状は特に限定されない。粒子径は、0.1~30μm、好ましくは0.7~10μmである。なお、平均粒径はD50であり、例えばレーザ回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
また、本発明の複合粉末は、Sn粉末と、Sb粉末またはFe粉末とが微細混合された構造を有する。例えば、Sn粉末とSb粉末とを含む複合粉末の場合、Snの結晶子サイズは1nm~100nm、好ましくは1nm~50nm、より好ましくは4nm~12nmである。また、Sbの結晶子サイズは1nm~50nm、好ましくは1nm~20nm、より好ましくは4nm~8nmである。なお、結晶子サイズは、XRD測定の結果から算出した。
また、本発明の複合粉末は、電池の放電容量およびクーロン効率を向上させる観点から、例えば、第2成分を1~50重量%、好ましくは1~40重量%、より好ましくは10~40重量%、さらに好ましくは10~30重量%含み、残部はSnと不可避の不純物である。第2成分が1重量%以上であると、サイクル特性向上の効果が十分となり、40重量%以下であると、容量およびサイクル特性が低下しにくくなるからである。
本発明の複合粉末は、機械的粉砕法、水熱合成法、ソルボサーマル法、加熱合成法、等を使用して製造することができるが、機械的粉砕法もしくは水熱合成法を用いることが望ましい。機械的粉砕方法としては、微粉砕の可能な、メカニカルアロイング法やメカニカルミリング法を用いることが好ましい。メカニカルアロイング法及びメカニカルミリング法は、公知の条件に基づいて実施することができる。例えば、所定の粉末原料となるように調合された出発原料をボールミルに投入し、ミリングを実行すれば良い。ボールミルとしては、遊星型ボールミル等の公知の装置を使用することができる。また、ミリングは、乾式又は湿式のいずれであっても良いが、特に乾式であることが望ましい。ミリングの条件は、所望の粉末原料の性状等に応じて適宜設定することができる。一般的には室温(特に0~50℃)で回転数100~500rpm程度とすればよい。ミリングの雰囲気は、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気とすることが望ましい。
具体的には、2段階の粉砕により、複合粉末を製造することができる。第1段階では、Sn粉末とリン粉末(赤リンまたは黒リン粉末)を所定のモル比で微細混合することにより、Sn粉末を合成する。第2段階では、Sn粉末と第2成分の粉末を所定の重量比で微細混合することにより、複合粉末を製造する。より具体的には、Sn粉末は、Sn粉末とP粉末とをメカニカルアロイング法またはメカニカルミリング法により混合して製造する。なお、Sn粉末は、SnとPとを水熱合成法により反応させて製造することもできる。
本発明の複合粉末は、二次電池用負極の負極活物質として用いると、高容量を有し、サイクル特性に優れた二次電池を提供することが可能となる。
(負極)
本発明の二次電池用負極は、集電体と、集電体上に形成された負極活物質層とを有する。負極活物質には、上記の、Snからなる第1成分と、Sb、SnまたはFeからなる第2成分とを含む複合粉末を用いる。
本発明の負極の構造について、充電前には、Sn化合物相と第2成分の単体相とを含んでいる。そして、後述するように、少なくとも1回の充電後には、Sn化合物相がSn相とP相に分相することで、Sn相と、P相と、第2成分の単体相との3相を含み、非晶質のP相からなるマトリックスに微結晶のSn粒子と微結晶のSb粒子またはFe粒子が分散した構造を有する。例えば、Sn粉末とSb粉末とを含む複合粉末の場合、3相を構成するSn相の結晶子サイズは1nm~20nm、好ましくは1nm~10nm、より好ましくは4nm~7nmである。また、Sb相の結晶子サイズは1nm~50nm、好ましくは5nm~30nm、より好ましくは10nm~20nmである。負極活物質としてSnのみを含む負極を用いた場合、分相で生成したSn粒子が凝集することでサイクル特性が低下するが、上記のような微結晶のSb粒子が分散した構造をとることで、Sn粒子の凝集を抑制し、それによりサイクル特性を向上させることが可能となる。
負極の作製方法は特に限定されない。例えばスラリー法を用いることができる。この場合、上記の負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて炭素材等の導電材を添加して混練して電極スラリーを調製し、それを集電体上に塗布し、その後乾燥することにより負極を作製することができる。電極スラリー中の負極活物質は40重量%以上とすることが好ましい。バインダーには、フッ化ビニリデン重合体やその共重合体等の公知のフッ素含有重合体、ポリアクリル酸およびそのNa塩並びにその共重合体等のアクリル酸系重合体、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体を用いることができる。
また、ガスデポジション法を用いて負極を作製することもできる。ガスデポジション法では、バインダーが不要であることから負極中の活物質濃度を大きくすることができるのでエネルギー密度を向上させることが可能である。また、負極活物質層と集電体間との密着性が向上し、負極活物質の剥離が抑制されてサイクル特性の向上が期待でき、さらに接触抵抗の低下により、電池の内部抵抗の低減も可能となる。
ガスデポジション法は、公知であり、粉末原料とキャリアガスとを用いることによりエアロゾルを発生させ、これを基材上に噴射することにより膜を形成する方法である。例えば、所定の初期圧力を有するキャリアガスを粉末原料とともに導管中でエアロゾル化した後、このエアロゾルを、減圧装置によって真空状態に保持されたチャンバ内に設置された基材の表面へ向けて、導管の先端に取り付けたノズルから噴出させることで負極を作製することができる。本発明では、上記の複合粉末を粉末原料として用いることで、ガスデポジション法により負極を作製することができる。
(正極)
正極は、正極活物質、集電体、および電極活物質を集電体に結着させるバインダー、および必要に応じて導電材とから構成される。以下、正極活物質については、ナトリウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池、およびカリウムイオン二次電池についてそれぞれ説明する。
A.ナトリウムイオン二次電池
正極活物質は、ナトリウムイオンの挿入・脱離が可能であれば特に限定されないが、ナトリウム含有遷移金属複合酸化物が好ましい。例えば、ナトリウムマンガン複合酸化物、ナトリウム鉄複合酸化物、ナトリウムニッケル複合酸化物、ナトリウムコバルト複合酸化物、ナトリウムマンガンチタン複合酸化物、ナトリウムニッケルチタン複合酸化物、ナトリウムニッケルマンガン複合酸化物、ナトリウム鉄マンガン複合酸化物、等を挙げることができる。また、ナトリウム鉄リン酸化合物、ナトリウムマンガンリン酸化合物、ナトリウムコバルトリン酸化合物等も挙げることができる。
B.リチウムイオン二次電池
正極活物質は、リチウムイオンの挿入・脱離が可能であれば特に限定されないが、リチウム含有遷移金属複合酸化物が好ましい。例えば、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム鉄複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムマンガンチタン複合酸化物、リチウムニッケルチタン複合酸化物、リチウムニッケルマンガン複合酸化物、リチウム鉄マンガン複合酸化物、等を挙げることができる。
C.カリウムイオン二次電池
正極活物質は、カリウムイオンの挿入・脱離が可能であれば特に限定されないが、カリウム含有酸化物やカリウム含有遷移金属複合酸化物が好ましい。例えば、カリウムクロム酸化物、カリウムコバルト酸化物、カリウムマグネシウムテルル複合酸化物、等を挙げることができる。
正極は、例えば、正極活物質と導電剤とバインダーとを溶剤を用いて混練分散して電極スラリーを得、該スラリーを集電体に塗布することによって作製できる。バインダーには、フッ化ビニリデン重合体やその共重合体等の公知のフッ素含有重合体、ポリアクリル酸およびそのNa塩並びにその共重合体等のアクリル酸系重合体、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体を用いることができる。
(電解液)
電解液には、電解質を有機溶媒に溶解した非水電解液を用いることができる。有機溶媒には、環状カーボネート、環状エステルおよび鎖状カーボネートから選択される1種の溶媒または2種以上の混合溶媒を用いることができる。環状カーボネートとしては、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネートを挙げることができる。また、環状エステルとしては、γ-ブチロラクトンを挙げることができる。また、鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネートやジエチルカーボネートを挙げることができる。また、電解質には、NaPF、NaBF、NaClO、NaAsF、NaCFSO、Na(CFSON、Na(CSON、およびNa(CFSOCならびにそれらのLi置換化合物等から選択される1種以上の電解質を用いることができる。また、非水電解液に代えて、その非水電解液を含有する高分子ゲル電解質や、ナトリウムイオン導電性またはリチウムイオン導電性を有する高分子固体電解質に上記の電解質を含有させた高分子固体電解質を用いることもできる。
また、本発明においては、電解液にフルオロ基を有する飽和環状カーボネートを添加してもよい。サイクル特性を向上させることが可能となる。フルオロ基を有する飽和環状カーボネートとしては、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート等を挙げることができる。フルオロ基を有する飽和環状カーボネートの割合は、電解液の少なくとも1体積%、好ましく5~30体積%である。
また、本発明においては、上記の有機溶媒に代えて、イオン液体を用いてもよい。イオン液体は、カチオンとアニオンからなる塩であり、一般的に100℃以下の温度で液体であり、イオン導電性を有している。イオン液体は、難燃性、不揮発性であり、さらに上記の有機溶媒に比べ、熱安定性が高く、電気化学的に安定であるという特性を有している。
本発明に用いるイオン液体のアニオン成分としては、PF やBF 、CFSO 、(FSO、(CFSO、(CSO等の含フッ素アニオンを挙げることができる。好ましくは、(FSO(ビスフルオロスルホニルアミド)、(CFSO(ビストリフルオロメタンスルホニルアミド)である。
また、カチオン成分としては、イミダゾリウム類、ピリジニウム類、アンモニウム類、ピペリジニウム類、ピロリジニウム類、ピラゾリウム類、ホスホニウム類およびグアニジニウム類を挙げることができる。
イミダゾリウム類としては、例えば、以下のカチオンを挙げることができる。
Figure 2022132194000002
(1)
式(1)中、Xは、炭素数2~16のアルキル基またはアリル基である。具体例としては、1-メチル-3-エチルイミダゾリウム、1-メチル-3-プロピルイミダゾリウム、1-メチル-3-イソプロピルイミダゾリウム、1-メチル-3-ブチルイミザゾリウム、1-メチル-3-イソブチルイミダゾリウム、1-メチル-3-tert-ブチルイミダゾリウム、1-メチル-3-ペンチルイミダゾリウム、1-メチル-3-ヘキシルイミダゾリウム、1-メチル-3-ヘプチルイミダゾリウム、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム、1-メチル-3-ヘキサデシルイミダゾリウム、1-メチル-3-アリルイミダゾリウム等を挙げることができる。
Figure 2022132194000003
(2)
式(2)中、Xは炭素数2~8のアルキル基である。具体例としては、3-エチル-1,2-ジメチルイミダゾリウム、3-プロピル-1,2-ジメチルイミダゾリウム、3-ブチル-1,2-ジメチルイミダゾリウム、3-ペンチル-1,2-ジメチルイミダゾリウム、3-ヘキシル-1,2-ジメチルイミダゾリウム、3-オクチル-1,2-ジメチルイミダゾリウムを挙げることができる。
ピリジニウム類としては、例えば、以下のカチオンを挙げることができる。
Figure 2022132194000004
(3)
式(3)中、Xは炭素数4~6のアルキル基である。具体例としては、1-ブチルピリジニウム、1-ペンチルピリジニウム、1-ヘキシルピリジニウム等を挙げることができる。
アンモニウム類としては、例えば、以下のN,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムや、N,N-ジメチル-N-プロピル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム、N,N-ジメチル-N-ブチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムを挙げることができる。
Figure 2022132194000005
(4)
ピペリジニウム類としては、例えば、以下のカチオンを挙げることができる。
Figure 2022132194000006
(5)
式(5)中、Xは、炭素数2~8のアルキル基である。具体例としては、N-エチル-N-メチルピペリジニウム、N-プロピル-N-メチルピペリジニウム、N-ブチル-N-メチルピペリジニウム、N-ペンチル-N-メチルピペリジニウム、N-ヘキシル-N-メチルピペリジニウム、N-オクチル-N-メチルピペリジニウム等を挙げることができる。
ピロリジニウム類としては、例えば、以下のカチオンを挙げることができる。
Figure 2022132194000007
(6)
式(6)中、Xは、炭素数3~8のアルキル基、またはCHCHOCHCHOCHである。具体例としては、N-プロピル-N-メチルピロリジニウム、N-ブチル-N-メチルピロリジニウム、N-ペンチル-N-メチルピロリジニウム、N-ヘキシル-N-メチルピロリジニウム、N-オクチル-N-メチルピロリジニウム、N-(2-メトキシエトキシ)-エチル-N-メチルピロリジニウムを挙げることができる。
ホスホニウム類としては、例えば、以下のカチオンを挙げることができる。
Figure 2022132194000008
(7)
式(7)中、Xは、炭素数4~6のアルキル基である。具体例としては、トリブチルメチルホスホニウム、トリペンチルメチルホスホニウム、トリヘキシルメチルホスホニウムを挙げることができる。
ピラゾリウム類の具体例としては、例えば、1-エチル-2,3,5-トリメチルピラゾリウム、1-プロピル-2,3,5-トリメチルピラゾリウム、1-ブチル-2,3,5-トリメチルピラゾリウム、1,2,3,5-テトラメチルピラゾリウムを挙げることができる。
グアニジニウム類の具体例としては、例えば、1,1,3,3-テトラメチルグアニジニウムを挙げることができる。
好ましいカチオン成分としては、イミダゾリウム類、ピロリジニウム類、およびアンモニウム類である。具体例としては、N-プロピル-N-メチルピロリジニウム、1-メチル-3-エチルイミダゾリウムを挙げることができる。
イオン液体は、使用温度、例えば、-10℃~150℃で液体であり、融点は100℃以下、好ましくは50℃以下である。融点が100℃を越えると粘度が上昇するので好ましくない。
イオン液体の熱分解温度は、電池の安全性を確保するために、200℃以上、好ましくは250℃以上である。熱分解温度は、例えば熱重量分析(TGA)により測定することができる。
本発明に用いるイオン液体の好ましいアニオン成分とカチオン成分の組み合わせとしては、N-メチル-N-プロピルピロリジニウム/ビスフルオロスルホニルアミド、N-プロピル-N-メチルピロリジニウム/ビスフルオロスルホニルアミド、1-メチル-3-エチルイミダゾリウム/ビスフルオロスルホニルアミド、N-プロピル-N-メチルピロリジニウム/ビストリフルオロメタンスルホニルアミド、1-メチル-3-エチルイミダゾリウム/ビストリフルオロメタンスルホニルアミド等を挙げることができる。
また、有機溶媒に代えて、イオン液体を用いる場合、電解質に、上記の電解質、すなわち、NaPF、NaBF、NaClO、NaAsF、NaCFSO、Na(CFSON、Na(CSON、およびNa(CFSOCならびにそれらのLi置換化合物等から選択される1種以上の電解質を用いることができる。好ましくは、NaCFSO、Na(CFSON、Na(CSON、またはNa(CFSOC、より好ましくは、NaCFSOおよび/またはNa(CFSONである。
(セパレータ)
セパレータには、微多孔膜や不織布を用いることができ、組成としてはポリエステル系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、エーテル系ポリマー、ガラス繊維等を挙げることができる。
(二次電池の製造方法)
本発明の負極を用いて二次電池を作製することができる。二次電池は、少なくとも、正極と負極、正極と負極を隔離するセパレータ、電解液、および電池容器で構成される。
二次電池の製造は公知の方法を用いて行うことができる。例えば、正極と負極をセパレータを介して積層し、平面状の積層体あるいは巻き取って巻回体とする。その積層体または巻回体を金属製または樹脂製の電池容器に収容し、密封する。密封時に開口部を設けて、電解液を注入してその開口部を封止して二次電池を得る。
実験例1(ナトリウムイオン二次電池への適用例)
(複合粉末の製造)
Sn粉末(高純度化学研究所製)と赤リン粉末(和光純薬工業製)を所定のモル比で、メカニカルアロイング法により粉砕混合し、Sn粉末を製造した。メカニカルアロイング法の条件は、以下の通りである。
粉砕容器 :ステンレス製
粉砕ボール :ステンレス製
粉砕ボール/粉末原料(重量比):30/1
粉砕ボール直径 :15mm
粉砕容器回転速度 :380rpm
回転時間 :10時間
次に、Sn粉末に対し第3元素M(Sb、Fe、Bi、In、またはSi)を、Sn:Mが重量比で70:30となるように添加し、メカニカルアロイング法により粉砕混合して、複合粉末を得た。メカニカルアロイング法の条件は、回転時間を2時間とした以外は、Sn粉末の場合と同様である。以下、製造した複合粉末を、Sn/Sb系、Sn/Fe系、Sn/Bi系、Sn/In系、Sn/Si系と略す。なお、第3元素は、硬度、導電性、Naとの反応性を考慮して選定した。
(電極の製造)
全重量が1gとなるように、複合粉末:導電助剤:結着剤の重量比が70:15:15となるように混合したものと、溶媒として約100℃に加熱した純水3mLとをボールミル粉砕容器に封入し、30分間混合処理をしてスラリーを作製した。このスラリーを厚さ20μmのアルミ箔に塗布し、120℃で乾燥させることで電極を製造した。負極活物質層の厚さは15μm、塗工量は約1.0mg/cmである。ここで、導電助剤にはアセチレンブラック、結着剤には、カルボキシメチルセルロース(CMCと略す)とスチレンブタジエンゴム(SBRと略す)を用いた。また、比較のため、複合粉末に代えてSn粉末またはSb粉末を用いた電極も製造した。以下、Sn粉末を用いた電極はSn電極、複合粉末を用いた電極は、例えば、Sn/Sb系複合粉末を用いた電極は、Sn/Sb系電極という。
(試験用半電池の作製)
上記の製造した電極を作用極、対極にナトリウム箔、セパレータにプロピレン系セパレータ、電解液にイオン液体電解液を用い、2032コイン型セルをアルゴングローブボックス中で作製した。グローブボックス内は、露点-100℃以下、酸素濃度1ppm以下である。ここで、イオン液体電解液には、溶媒に、N-プロピル-N-メチルピロリジニウム(Py13と略す)/ビスフルオロスルホニルアミド(FSAと略す)(関東化学製)を用い、電解質には1M ビスフルオロスルホニルアミドナトリウム(NaFSAと略す)(三菱マテリアル電子化成製)を用いた。
(電気化学的測定)
北斗電工製の電池充放電装置(HJ-1001 SM8A)を用い、温度303Kで定電流充放電測定を行って各充放電サイクルにおける放電容量を算出した。充放電測定の電流密度は100mA/g、電位範囲は0.005~2.000V vs.Na/Na+とした。また、サイクリックボルタンメトリーも行った。
(電子顕微鏡観察)
充放電前後の作用極の表面形態を、電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子製:FE-SEM、JSM-6701F)を用いて観察した。
(XRD測定)
複合粉末の構造を、X線回折装置(リガク製:UltimaIV)を用いて調べた。
(結果)
図1は製造したSn/Sb系複合粉末のXRDパターンである。このXRDパターンより、Sn/Sb系複合粉末が、BiSe型結晶構造を有するSn化合物相と、As型結晶構造を有するSb相を含むことを確認した。また、図示しないが、Sn/Fe系、Sn/Bi系、Sn/In系、およびSn/Si系の複合粉末も、Sn化合物相と、各元素相を含むことを確認した。
図2は1回目の充放電曲線を示し、図3はサイクル数と放電容量の関係を示す。また、表1に放電容量と容量保持率を示す。ここで、容量保持率は1回目の放電容量に対する所定サイクル後の放電容量の割合(%)を示す。1回目の充電容量は、Sn電極が685mAh/gと最も高い容量を有していた。しかし、100サイクルを超えるころから、Sn電極の放電容量は低下した。これに対し、Sn/Sb系電極の場合、200サイクルを超えても高い放電容量を維持しており、300サイクル後でも、容量保持率が91%と、Sn電極や他の複合粉末系電極に比べても非常に高い容量保持率を維持していた。他の複合粉末系電極の場合、Sn/Si系電極とSn/In系電極では、初期30サイクルの間に急激に容量が低下した。また、Sn/Bi系電極では、150サイクル程度までにSn電極と同程度まで容量が低下した。また、Sn/Fe系電極は、150サイクル後でも、Sn電極よりも高い容量を維持しており、優れたサイクル特性を有していた。
Figure 2022132194000009
図4は、サイクリックボルタンメトリーの結果を示すボルタモグラムであり、1回目から3回目の電位掃引時の結果を示している。電位はvs.Na/Na+である。Sbの場合、1回目の電位掃引時に、0.75V付近と0.35V付近に2つの還元波のピークが認められ、0.9V付近に酸化波のピークが認められた。これより、この酸化波と還元波のピークは、以下の反応によるものと考えられる。すなわち、還元波のピークは、Sbが段階的にNaを吸蔵してNaSbを形成する反応によるものであり、酸化波のピークはNaSbがNaを放出する反応によるものと考えられる。
Figure 2022132194000010
一方、Snの場合、1回目の電位掃引時に、0.1V付近に還元波のピークが認められ、これは以下の反応によるものと考えられる。すなわち、Snは、Naを吸蔵してNaPとNa15Snとに変化すると考えられる。
Figure 2022132194000011
そして、0.7V付近の酸化波のピーク、および2回目以降の0.45V付近の還元波のピークは、以下の反応によるものと考えられる。
Figure 2022132194000012
そして、2回目以降の0~0.2V付近の還元波と、0.1~0.5V付近の酸化波のブロードなピークは、以下の反応によるものと考えられる。すなわち、還元波のピークは、Snが段階的にNaを吸蔵してNa15Snを形成する反応によるものであり、酸化波のピークはNa15SnがNaを放出する反応によるものと考えられる。
Figure 2022132194000013
以上のことから、Sn電極の場合、Sn化合物相は、1回目の充電で、Sn相とP相に分相し、SnとPが、それぞれNaの吸蔵・放出反応(Naとの合金化-脱合金化反応ともいう)を行うものと考えられる。
一方、Sn/Sb系電極の場合、Snの酸化波および還元波のピークに加え、Sb単体の酸化波および還元波のピークが認められた。これより、Sn/Sb系の場合、Sn化合物相は、1回目の充電で、Sn相とP相に分相し、それ以降は、SnとPとSbが、それぞれNaの吸蔵・放出反応を行うものと考えられる。
次に、図5にSn電極の充放電曲線を示す。また、図6に、Sn/Sb系電極の充放電曲線を示す。Sn電極の場合、初期のサイクルでは、放電曲線の0.5V付近にNaPのNa放出に伴うプラトーが認められる。このプラトーはサイクル数の増加に伴い、図中の矢印で示すように顕著に立ち上がり、過電圧が増加する傾向を示す。これに対し、Sn/Sb系電極の場合、サイクル数が増加してもこの立ち上がりは緩やかであり、過電圧の増加は抑制されている。
ここで、1サイクル後のSn電極のTEM写真を図7に示す。1サイクル後では、分散したSn粒子が認められるが、280サイクル後の容量衰退後では、Sn粒子が凝集していることが認められた。これより、上記の放電曲線における過電圧の増加は、Sn粒子が凝集することで、電子伝導パスが減少して集電性が低下することで電極の抵抗が増加したことによると考えられる。これに対し、1サイクル後のSn/Sb系電極のTEM写真を図8に示す。非晶質的なP相のマトリックス中に微結晶が分散した組織が認められた。TEM写真から算出した平均結晶子サイズは、Sn粒子では4nm、Sb粒子では12nmであった。また、確認された格子縞の間隔を解析したところ、単体のSnとSbのものと一致した。これより、Sn/Sb系電極が、P相に微結晶のSn粒子と微結晶のSb粒子が分散した構造を有することを確認した。このようにSb粒子が分散した構造をとることで、Sn粒子の凝集を抑制し、それによりサイクル特性が向上したものと考えられる。
なお、第3元素の影響について説明する。選定した第3元素の、硬さ、導電性、Naとの反応性を表2に示す。ここで、表2中、Naとの反応性とは、Naと合金化するか否かを示し、〇とはその元素が電気化学的にNaと合金を形成することを示し、×とは、その元素が電気化学的にNaと合金を形成しないことを指す。Siを用いた場合、導電率が低いこと、そしてNaと反応しないことにより、電子やNa+の伝導パスの形成が不十分なためと考えられる。また、導電率が高く、Naとも反応するBiまたはInを用いた場合、Snに比べれば硬度が低いことから、電子やNa+の伝導パスは形成されるものの、Sn粒子の凝集を抑制する効果が十分でないことが考えられる。また、Sbに次いで優れたサイクル特性を示したFeの場合、その硬さによりSn粒子の凝集を抑制する効果はあるものの、Naと反応性がないため、Na+の伝導パスの形成が不十分なため、Sb程のサイクル特性は得られなかったものと考えられる。このことから、Sbがこれらの第3元素の中で優れた効果を有していたのは、高い導電率と、Snに比し高い硬度と、Naとの反応性を有することで、電子やNa+の伝導パスの形成を可能とする一方、Sn粒子の凝集を抑制することが可能なことによるものと考えられる。
Figure 2022132194000014
実験例2(リチウムイオン二次電池への適用例)
対極にリチウム箔を用い、イオン液体電解液の電解質に1M ビストリフルメタンスルホニルアミドリチウム(LiTFSAと略す)を用いた以外は、実験例1の場合と同様の方法により、2032コイン型セルを作製し、充放電測定を行った。
図9に、Sn/Sb系電極についてサイクル数と放電容量の関係を示す。Sn系電極が5サイクル程度から急激に容量が低下するのに対し、Sn/Sb系電極は高い容量を維持し、優れたサイクル特性を有することを確認した。
実験例3(ナトリウムイオン二次電池への適用例)
複合粉末の調製において、Snと第3元素M(Sb)との比(重量比)を70:30(第2成分の濃度:30重量%)から90:10(第2成分の濃度:10重量%)、または50:50(第2成分の濃度:50重量%)に変更した以外は、実験例1と同様にして電極および試験用半電池を作製し、電気化学的測定および電子顕微鏡観察を実施した。
(結果)
測定したSn/Sb系複合粉末のXRDパターン(不図示)より、Sn/Sb系複合粉末が、BiSe型結晶構造を有するSn化合物相と、As型結晶構造を有するSb相を含むことを確認した。
図10にサイクル数と放電容量の関係を示す。図10は、Sn/Sb系電極(第2成分濃度:10重量%および50重量%)に関する。なお、図10では、実験例3のSn/Sb系(第2成分濃度:10重量%および50重量%)に加え、実験例1のSn/Sb系(第2成分濃度:30重量%)も記載している。図10に示すように、Sn/Sb系(第2成分濃度10重量%)では、実験例1のSn/Sb系(第2成分濃度30重量%)と同様に、初期サイクルにおいて400mAh/gより大きい放電容量を示した。それらの結果から、Sbの添加量(第2成分の濃度)を10~30wt%とする場合に、より高い放電容量が得られることが分かった。
Sn電極では、上述の実験例1における図5に示すように、100サイクル後の充放電曲線に注目すると、充電電位が低下し、放電電位は上昇している。これは、充放電が進むとSn粒子が凝集することで、電極の集電性が低下したことを示している。
これに対し、Sn/Sb系電極では、図11に記載の充放電曲線を示すように、100サイクル後の充放電曲線において、Sn電極で見られた充電電位の低下および放電電位の上昇は確認されなかった。それらの結果は、SbがSn粒子の間に介在することでSn粒子の凝集を抑制していることに起因するものと推測される。
さらに、表3にSn/Sb系電極(第2成分濃度:10重量%)のサイクル数と、充電電位、放電電位およびクーロン効率との関係を示す。
Figure 2022132194000015
表3に示すように、Sn/Sb系電極(第2成分濃度:10重量%)では、サイクル数1~10において、サイクル数の増加と共にクーロン効率が79.2%から徐々に増加して100%に近い値をとることが分かった。
実験例4(ナトリウムイオン二次電池への適用例)
複合粉末の調製において、メカニカルアロイング法(機械的粉砕法)を水熱合成法に変更し、第2成分の元素(第3元素M)をSbからSnへ変更し、Snと第3元素Mとの比(重量比)を70:30(第2成分の濃度:30重量%)から84:16(第2成分濃度:16重量%)、または63:37(第2成分濃度:37重量%)に変更し、かつ電気化学的測定における充放電測定の電流密度を100mA/gから200mA/gに変更した以外は、実験例1と同様にして電極および試験用半電池を作製し、電気化学的測定および電子顕微鏡観察を実施した。
(結果)
測定したSn/Sn系複合粉末のXRDパターン(不図示)より、Sn/Sn系複合粉末が、BiSe型結晶構造を有するSn化合物相と、As型結晶構造を有するSn相を含むことを確認した。
図12にサイクル数と放電容量の関係を示す。図12は、Sn/Sn系電極(第2成分濃度:16重量%および37重量%)に関する。図12に示すように、Sn/Sn系(第2成分濃度:16重量%)では、500Ah/gの放電容量を480サイクルにわたり維持する高性能を示した。
また、Sn/Sn系電極(第2成分濃度:16重量%および37重量%)においてもSn/Sb系電極(第2成分濃度:10重量%)と同等のクーロン効率を示すことが確認された。これらの結果から、Sn/第3元素M(第2成分元素:Sb、Sn)系電極(第2成分濃度:10重量%、16重量%または37重量%)を備えると、充電で蓄えた容量を少ない損失で効率よく放電に使用できることが分かった。
図10のSn/Sb系電極(第2成分濃度:10重量%、30重量%および50重量%)におけるサイクル数と放電容量の関係を示す図、ならびに図12のSn/Sn系電極(第2成分濃度:16重量%および37重量%)におけるサイクル数と放電容量の関係を示す図から、サイクル数に対してほぼ一定の放電容量を長く維持することに着目すると、Sn/第2成分(SbまたはSn)系電極では、第2成分の濃度が10重量%、16重量%、30重量%および37重量%である場合が第2成分の濃度が50重量%である場合に比べ、優れた評価結果を示していた。さらに、第2成分の濃度が10重量%、16重量%、30重量%である場合が第2成分の濃度が37重量%である場合に比べ、優れた評価結果を示していた。つまり、Sn/第2成分(SbまたはSn)系電極では、放電容量を向上させる観点(より具体的には、放電容量を維持する性能を向上させる観点)から、第2成分の濃度は、好ましくは1~40重量%であり、より好ましくは10~40重量%であり、さらに好ましくは10~30重量%であることが確認された。
Snからなる第1成分と、Sb、SnまたはFeからなる第2成分とを含む複合粉末を負極活物質として用いることで、高容量でサイクル特性に優れた、リチウムイオン二次電池やナトリウムイオン二次電池やカリウムイオン二次電池の実用化に大きく寄与することができる。

Claims (20)

  1. Snからなる第1成分と、Sb、SnまたはFeからなる第2成分とを含む複合粉末。
  2. 前記第2成分がSbであり、前記Snの結晶子サイズが1nm~100nmであり、前記Sbの結晶子サイズが1nm~50nmである、請求項1に記載の複合粉末。
  3. 前記複合粉末の平均粒径が、0.1~30μmである、請求項1または2に記載の複合粉末。
  4. 前記第2成分の濃度が1~50重量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の複合粉末。
  5. 前記第2成分の濃度が1~40重量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の複合粉末。
  6. Snからなる第1成分と、Sb、SnまたはFeからなる第2成分とをメカニカルアロイング法もしくはメカニカルミリング法により混合して、または前記第1成分と前記第2成分とを水熱合成法により反応させて、前記第1成分と前記第2成分とを含む複合粉末を製造する複合粉末の製造方法。
  7. 前記第2成分の濃度が1~50重量%である、請求項6に記載の複合粉末の製造方法。
  8. 前記第2成分の濃度が1~40重量%である、請求項6または7に記載の複合粉末の製造方法。
  9. 前記Sn粉末は、Sn粉末とP粉末とをメカニカルアロイング法もしくはメカニカルミリング法により混合して、またはSnとPとを水熱合成法により反応させて製造する、請求項6~8のいずれか1項に記載の複合粉末の製造方法。
  10. Snからなる第1成分と、Sb、SnまたはFeからなる第2成分とを含む複合粉末を負極活物質として含む二次電池用負極。
  11. 前記複合粉末に含まれる前記第2成分の濃度が1~50重量%である、請求項10に記載の二次電池用負極。
  12. 前記複合粉末に含まれる前記第2成分の濃度が1~40重量%である、請求項10または11に記載の二次電池用負極。
  13. 前記複合粉末は、充電前には、Sn化合物相と前記第2成分の単体相とを含む請求項10~12のいずれか1項に記載の二次電池用負極。
  14. 少なくとも1回の充電後には、Sn相とP相と前記第2成分の単体相とを含む、請求項10に記載の二次電池用負極。
  15. 前記Sn相の結晶子サイズが1nm~20nmであり、前記Sb相の結晶子サイズが1nm~50nmである、請求項14に記載の二次電池用負極。
  16. 正極と負極と電解液とを有する二次電池であって、
    前記負極がSnからなる第1成分と、Sb、SnまたはFeからなる第2成分とを含む複合粉末を負極活物質として含む二次電池。
  17. 前記複合粉末に含まれる前記第2成分の濃度が1~50重量%である、請求項16に記載の二次電池。
  18. 前記複合粉末に含まれる前記第2成分の濃度が1~40重量%である、請求項16または17に記載の二次電池。
  19. 前記二次電池は、ナトリウムイオン二次電池またはリチウムイオン二次電池である、請求項16~18のいずれか1項に記載の二次電池。
  20. 前記電解液はイオン液体電解液であり、前記イオン液体電解液は、溶質としてナトリウム塩を溶解させたイオン液体を含み、前記イオン液体のアニオンが、ビスフルオロスルホニルアミドアニオンである請求項19に記載の二次電池。
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