JP2022128125A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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JP2022128125A JP2021026487A JP2021026487A JP2022128125A JP 2022128125 A JP2022128125 A JP 2022128125A JP 2021026487 A JP2021026487 A JP 2021026487A JP 2021026487 A JP2021026487 A JP 2021026487A JP 2022128125 A JP2022128125 A JP 2022128125A
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洋斗 須間
Hiroto Suma
暁菲 楊
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Abstract

【課題】転動体の設置空間への異物侵入防止効果を向上させるとともに、安定したシール性能を維持することができる車輪用軸受装置を提供する。【解決手段】ハブ輪3における車輪取り付けフランジ3bのインナー側の側面には、ハブ輪3と同軸上の円環状溝部3eが設けられ、アウター側シール部材8は、弾性体からなり、且つ前記車輪取り付けフランジ3bに向かって軸方向に延びるとともに、円環状溝部3eに先端部を非接触の状態で挿入することによりラビリンスシールを構成するラビリンスリップ82dを有し、ハブ輪3は、円環状溝部3eより径方向外側に向かって形成され、外部に開口する切欠き部3fを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、車輪用軸受装置に関する。
従来より、自動車等の懸架装置において、車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置が知られている。
前記車輪用軸受装置は、例えば、車輪に接続されるハブ輪(内方部材)が、転動体を介して外方部材に回転自在に支持された構成からなる。
また、車輪用軸受装置は、主に上記懸架装置、車輪のタイヤホール、及びブレーキロータ等によって囲まれた空間内にて、外部に露出した状態で配置されることが多い。
このため、車輪用軸受装置には、泥水等の異物が、外部から転動体の設置空間内に侵入するのを防止するために、外方部材と内方部材との間に形成される環状空間において、そのインナー側及びアウター側のそれぞれの開口端に、シール部材が設けられている。
ところで、近年、車輪用軸受装置においては、シール部材に対して、従来以上のさらなる異物の侵入防止効果が求められている。
このようなことを踏まえ、例えば特許文献1においては、ハブ輪の回転フランジ(車輪取り付けフランジ)におけるインナー側の側面に、当該ハブ輪と同軸上の、円環状の凹部(円環状溝部)を設け、アウター側に配置されたシールリング(アウター側シール部材)における、最も径方向外側に位置するサイドリップ(外側アキシアルリップ)の先端部を、当該円環状溝部に非接触の状態で挿入してラビリンスシールを構成する技術が開示されている。
特開2013-61048号公報
上述した特許文献1における車輪用軸受装置によれば、ハブ輪の車輪取り付けフランジに設けられた円環状溝部と、当該円環状溝部に挿入された外側アキシアルリップの先端部とにより構成されるラビリンシールによって、泥水等の異物が、外部から転動体の設置空間内に侵入するのを抑制し、異物の侵入防止効果を向上させることができる。
しかしながら、その一方において、ひとたび円環状溝部内に異物が侵入してしまうと、当該異物を円環状溝部の外部に排出するのが非常に困難である。
従って、円環状溝部内に異物が徐々に堆積し、堆積した異物によってアウター側シール部材のリップ部(本例では、外側アキシアルリップ)の摩耗が促進されて、当該アウター側シール部材によるシール性能(異物の侵入を防止する性能)を、所定の使用期間に亘って維持できなくなる虞がある。
本発明は、以上に示した現状の問題点に鑑みてなされたものであり、転動体の設置空間への異物侵入防止効果を向上させるとともに、安定したシール性能を維持することができる車輪用軸受装置を提供することを課題とする。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、本発明に係る車輪用軸受装置は、内周に複列の外側軌道面を有する外方部材と、外周において軸方向に延びる小径段部、及び前記小径段部よりもアウター側に配置される車輪取り付けフランジを有するハブ輪、並びに当該ハブ輪の前記小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側軌道面と対向する複列の内側軌道面を有する内方部材と、前記外方部材及び前記内方部材の各々の軌道面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材及び前記内方部材によって形成された環状空間のアウター側開口端を塞ぐアウター側シール部材とを備える車輪用軸受装置において、前記ハブ輪における前記車輪取り付けフランジのインナー側の側面には、前記ハブ輪と同軸上の円環状溝部が設けられ、前記アウター側シール部材は、弾性体からなり、且つ前記車輪取り付けフランジに向かって軸方向に延びるとともに、前記円環状溝部に先端部を非接触の状態で挿入することによりラビリンスシールを構成するラビリンスリップを有し、前記ハブ輪は、前記円環状溝部より径方向外側に向かって形成され、外部に開口する切欠き部を有することを特徴とする。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係る車輪用軸受装置によれば、転動体の設置空間への異物侵入防止効果を向上させるとともに、安定したシール性能を維持することができる。
本発明の第1実施形態に係る車輪用軸受装置の全体的な構成を示した断面図である。 ハブ輪の具体的な構成を示した図であって、軸方向のインナー側から見た正面図である。 第2実施形態に係る車輪用軸受装置に備えられる、ハブ輪の具体的な構成を示した図であって、軸方向のインナー側から見た正面図である。 第3実施形態に係る車輪用軸受装置に備えられる、ハブ輪の具体的な構成を示した図であって、(a)は複数のハブボルトが配置された位置の位相とずらした位置に複数の切欠き部を設けた場合における、軸方向のインナー側から見た正面図であり、(b)は複数のハブボルトが配置された位置と同位相の位置に複数の切欠き部を設けた場合における、軸方向のインナー側から見た正面図である。
次に、本発明を具現化する一実施形態について、図1乃至図4を用いて説明する。
なお、本明細書においては便宜上、図1中の矢印の方向によって規定された、インナー側及びアウター側に基づき記述する。
ここで、「インナー側」とは、自動車等の車体に取り付けられた状態における車輪用軸受装置1(101、201)に対して、当該車体の内側の方向を意味する。
また、「アウター側」とは、自動車等の車体に取り付けられた状態における車輪用軸受装置1(101、201)に対して、上記インナー側との反対側、即ち、当該車輪用軸受装置1(101、201)によって、回転自在に支持された車輪側の方向を意味する。
また、本明細書においては、車輪用軸受装置1(101、201)の回転軸G(図1を参照)と平行な方向を「軸方向」、当該車輪用軸受装置1(101、201)の回転軸Gと直交する方向を「径方向」、当該車輪用軸受装置1(101、201)の回転軸Gを中心とする円弧に沿う方向を「周方向」と規定して記述する。
[車輪用軸受装置1(第1実施形態)の構成]
先ず、第1実施形態における車輪用軸受装置1の構成について、図1及び図2を用いて説明する。
車輪用軸受装置1は、自動車等の車両の懸架装置において、車輪を回転自在に支持するものである。
車輪用軸受装置1は、図1に示すように、主に外輪2、ハブ輪3、内輪4、複列(本実施形態においては二列)の転動体であるボール列5・5、パルサリング6、軸受キャップ7、及びアウター側シール部材8等を備える。
外輪2は、外方部材の一例であって、ハブ輪3及び内輪4を支持するものである。
外輪2は、略中空円筒状の部材からなり、そのインナー側の端部には、軸受キャップ7を嵌合可能なインナー側開口部2aが設けられ、且つそのアウター側の端部には、アウター側シール部材8を嵌合可能なアウター側開口部2bが設けられている。
そして、外輪2の内周には、周方向に環状の複列(本実施形態においては二列)の外側軌道面2c・2cが、軸方向に離間して同軸上に設けられるとともに、外輪2の外周には、懸架装置のナックル(図示せず)に取付可能なフランジ(同じく、図示せず)が、一体に設けられている。
ハブ輪3は、内輪4とともに内方部材を構成する部材であって、車両の車輪(図示せず)を回転自在に支持するものである。
ハブ輪3は、S53C等の炭素0.40~0.80wt%を含む、略中実円柱状の中高炭素鋼からなり、そのインナー側の外周には、軸方向に延びる縮径された小径段部3aが設けられている。
また、ハブ輪3のアウター側の端部には、上記車輪を取付可能な車輪取り付けフランジ3bが、径方向断面視にて円弧状に拡径するように一体的に設けられている。
そして、車輪取り付けフランジ3bには、上記車輪をハブ輪3に締結するための、複数本のハブボルト3c・3c・・・が圧入されている。
また、ハブ輪3のアウター側の外周には、周方向に環状の内側軌道面3dが、上述したアウター側の外側軌道面2cと対向して設けられている。
なお、ハブ輪3は、小径段部3aから、内側軌道面3dを経て後述する段差部31までの領域に亘り、高周波焼入れが施され、表面硬さが58~64HRCの範囲となるように硬化処理されている。
ハブ輪3の小径段部3aには、内輪4が圧入されている。
内輪4は、ハブ輪3とともに内方部材を構成する部材であって、略中空円筒状の部材からなり、その外周には、周方向に環状の内側軌道面4aが、上述したインナー側の外側軌道面2cと対向して設けられている。
そして、内輪4は、ハブ輪3のインナー側の端部が、径方向外側に向かって塑性変形(加締め)されることにより、当該ハブ輪3に固定される。
なお、ハブ輪3との内輪4の固定方法については、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、ハブ輪3のインナー側の端部において、ナット等の締結部材を螺合固定することとしてもよい。
このように、ハブ輪3及び内輪4によって構成される内方部材において、そのインナー側の端部には、内輪4に設けられる内側軌道面4aが配置され、且つそのアウター側の端部には、ハブ輪3に設けられる内側軌道面3dが配置されるとともに、これら複列(本実施形態においては二列)の内側軌道面3d・4aは、上述した外輪2に設けられる二列の外側軌道面2c・2cと、互いに対向して配置されている。
二列のボール列5・5は、外輪2に対して相対的に、ハブ輪3及び内輪4からなる内方部材を回転自在に支持するものである。
各列におけるボール列5は、環状に配置された複数のボール5a・5a・・・、及びこれらのボール5a・5a・・・を転動自在に保持する保持器5bによって構成されている。
そして、これら二列のボール列5・5は、外輪2のインナー側及びアウター側の端部に各々設けられる二列の外側軌道面2c・2cと、内方部材(ハブ輪3及び内輪4)のインナー側及びアウター側の端部に各々設けられる二列の内側軌道面3d・4aとの間に形成された、二列の設置空間Q1・Q1内において、各々転動自在に収容されている。
このように、本実施形態における車輪用軸受装置1は、外輪2、ハブ輪3、内輪4、及び二列のボール列5・5からなる複列アンギュラ玉軸受として構成されている。
なお、車輪用軸受装置1の構成については、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、ボール列5に代替して円錐ころ列を用いた、複列円錐ころ軸受として構成されていてもよい。
パルサリング6は、軸受キャップ7に設けられる磁気センサ(図示せず)とともに、上記車輪の回転速度を検出するものである。
パルサリング6は、円環状に形成された支持環61、及び支持環61に接合された磁気エンコーダ62等により構成される。
支持環61は、例えば強磁性体の鋼板をプレス加工することにより、周方向視にて略L字状の断面を有するように形成され、内輪4に嵌合される円筒状の嵌合部61a、及び嵌合部61aのインナー側端部から径方向外側に延びる立板部61bを有している。
一方、磁気エンコーダ62は、ゴム等のエラストマにフェライト等の磁性体粉が混入されることにより、周方向に交互、且つ等間隔に磁極N、Sが着磁されて磁気特性が変化する、車輪の回転速度検出用のロータリエンコーダとして構成される。
そして、支持環61における立板部61bのインナー側の側面において、磁気エンコーダ62は、加硫接着により当該支持環61に接合されている。
軸受キャップ7は、外輪2及び内方部材(ハブ輪3及び内輪4)によって形成された環状空間Q2において、そのインナー側の開口端を塞ぐものである。
軸受キャップ7は、例えば有底円筒状の合成樹脂からなり、外輪2のインナー側開口部2aに内嵌固定され、当該外輪2におけるインナー側の内周を閉塞する。
そして、軸受キャップ7には、図示せぬ磁気センサが、パルサリング6の磁気エンコーダ62と所定のエアギャップを介して対向するように装着されており、当該磁気センサによって磁気エンコーダ62の磁気特性の変化を検知することにより、車輪の回転速度が検出される。
なお、本実施形態においては、環状空間Q2のインナー側の開口端を塞ぐために軸受キャップ7を設けることとしているが、これに限定されるものではない。
例えば、周方向視にて略L字状の断面を有するように屈曲形成された環状の鋼板からなり、複数のシールリップが加硫接着されたシール板と、同じく周方向視にて略L字状の断面を有するように屈曲形成された環状の鋼板からなり、磁気エンコーダが加硫接着されたスリンガとにより構成されたパックシールからなるインナー側シール部材を、本実施形態におけるパルサリング6及び軸受キャップ7に代替して設けることとしてもよい。
アウター側シール部材8は、外輪2及び内方部材(ハブ輪3及び内輪4)によって形成された環状空間Q2において、そのアウター側の開口端(より具体的には、外輪2のアウター側開口部2b)を塞ぐものである。
アウター側シール部材8は、外輪2に嵌合される芯金81、及び当該芯金81に接合された弾性体からなるシール体82等を有する。
芯金81は、例えば、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)、オーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、または防塵処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)等からなる円環状の鋼板を、プレス加工することによって形成される。
また、芯金81は、主に円筒部81a、屈曲部81b、円板部81c、及び鍔部81d等により構成される。
円筒部81aは、外輪2のアウター側の端部からインナー側に向かって延出し、その外径は、外輪2のアウター側開口部2bの内径と略同等に設定されている。
また、屈曲部81bは、円筒部81aのインナー側の端部より、径方向内側に向かって一旦屈曲するとともに、アウター側に向かって上記円筒部81aの軸方向中途部にまで延出している。
さらに、円板部81cは、屈曲部81bのアウター側の端部より、径方向内側に向かってハブ輪3の外周(より具体的には、後述する軸周面部31c)近傍にまで延出している。
また、鍔部81dは、円筒部81aのアウター側の端部より、径方向外側に向かって延出している。
なお、鍔部81dの径方向外側の端部は、外輪2のアウター側の端部における外周面2eに比べて径方向外側に位置し、当該鍔部81dの径方向外側の端部には、上記外周面2eに対して所定の隙間を有しつつ、インナー側に向かって延出する外縁部81eが設けられている。
そして、芯金81は、円筒部81aを介して、外輪2のアウター側開口部2b(即ち、前述した環状空間Q2のアウター側の端部であって、外輪2の内周)に嵌合される。
シール体82は、例えば、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、耐熱性及び耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、またはシリコンゴム等の合成ゴムからなる弾性体によって形成され、加硫接着により芯金81と一体的に接合されている。
また、シール体82は、芯金81の円板部81cに設けられるラジアルリップ82a、内側アキシアルリップ82b、及び外側アキシアルリップ82c、芯金81の鍔部81dに設けられるラビリンスリップ82d、並びに芯金81の外縁部81eに設けられる堰部82eなどにより構成される。
ラジアルリップ82aは、円板部81cの径方向内側の端部に設けられ、インナー側且つ径方向内側に向かって延出するように形成されている。
また、内側アキシアルリップ82bは、ラジアルリップ82aに対して径方向外側に設けられ、アウター側且つ径方向外側に向かって延出するように形成されている。
さらに、外側アキシアルリップ82cは、ラジアルリップ82a及び内側アキシアルリップ82bに対して径方向外側に設けられ、アウター側且つ径方向外側に向かって延出するように形成されている。
そして、これらのラジアルリップ82a、内側アキシアルリップ82b、及び外側アキシアルリップ82cは、互いに同軸上に配置され、ハブ輪3の段差部31に摺接されている。
ここで、上記段差部31は、ハブ輪3における車輪取り付けフランジ3bの基端部において、インナー側へ突出して設けられた部位を指す。
具体的には、段差部31は、回転軸Gに対して垂直な平面からなる第1平面部31a、同じく回転軸Gに対して垂直な平面からなり、第1平面部31aに対してアウター側、且つ径方向外側に連続して設けられる第2平面部31b、回転軸Gと同軸上に延出し、第1平面部31aに対してインナー側、且つ径方向内側に位置する軸周面部31c、並びに、第1平面部31a及び軸周面部31cを滑らかに繋げる円弧面部31dなどにより構成されている。
また、段差部31の外周面部31eは、所定の曲率にて傾斜しており、第2平面部31bの外縁からハブボルト3cの座面31fまで、滑らかに繋がっている。
そして、ラジアルリップ82aの先端部は、潤滑材であるグリースの油膜を介して、段差部31の軸周面部31cと接触し、また、内側アキシアルリップ82bの先端部は、当該油膜を介して、段差部31の円弧面部31dと接触し、さらに、外側アキシアルリップ82cの先端部は、当該油膜を介して、段差部31の第1平面部31aと接触するようになっている。
このように、アウター側シール部材8は、これらのラジアルリップ82a、内側アキシアルリップ82b、及び外側アキシアルリップ82cが、グリースの油膜を介して段差部31に接触することで、ハブ輪3に対して摺動可能に構成されている。
ラビリンスリップ82dは、外側アキシアルリップ82cの径方向外側に位置し、アウター側、即ちハブ輪3の車輪取り付けフランジ3bに向かって、軸方向に延出するように形成されている。
具体的には、ラビリンスリップ82dは、回転軸Gに対して径方向外側にやや傾斜するようにして、アウター側に向かって延出するように形成されている。
一方、ハブ輪3における車輪取り付けフランジ3bのインナー側の側面(より具体的には、段差部31の第2平面部31b)には、アウター側に窪んだ円環状溝部3eが、当該ハブ輪3と同軸上(即ち、回転軸Gと同軸上)に設けられている。
そして、ラビリンスリップ82dは、円環状溝部3eに先端部を非接触にて挿入させた状態で配置される。
即ち、ラビリンスリップ82dは、上記円環状溝部3eとともにラビリンスシールを構成し、上述したラジアルリップ82a、内側アキシアルリップ82b、及び外側アキシアルリップ82cを径方向内側に内包しつつ、外輪2のアウター側の端面と、ハブ輪3における段差部31の第2平面部31bとの隙間を塞ぐように配置されている。
これにより、例えば、外部から外側アキシアルリップ82cへと向かう異物(泥水や砂塵等)は、ラビリンスリップ82dによって受け止められ、当該ラビリンスリップ82dの外周に沿って周方向に導かれた後、そのまま落下することとなり、回転抵抗を増加させることなく、車輪用軸受装置1における環状空間Q2への異物の侵入防止効果の向上を図ることができる。
ところで、本実施形態においては、ハブ輪3の円環状溝部3eより径方向外側に向かって形成され、外部に開口する切欠き部3fが設けられている。
切欠き部3fは、例えば、径方向視にて略矩形状の断面を有するとともに、インナー側の側面が開口された溝部からなり、図2に示すように、円環状溝部3eを構成する外縁壁3gの下端を切り欠くように、当該円環状溝部3eから直下に向かって延出するように形成されている。
つまり、円環状溝部3eの内部は、切欠き部3fを介して、ハブ輪3の外部と連通されている。
そして、例えば不意に、泥水等の異物が外部から円環状溝部3eに進入し、その結果、図1に示すように、当該円環状溝部3e内において、ラビリンスリップ82dの先端部に対して径方向外側に位置する空間部Q3(図1において、網掛けによって示された領域)内に、上記異物が堆積したとしても、外輪2に対して相対的にハブ輪3(より具体的には、アウター側シール部材8)が回転することで、切欠き部3fを介して、上記異物を遠心力によって外部に排出させる構成となっている。
このように、本実施形態における車輪用軸受装置1において、ハブ輪3には、円環状溝部3eと、当該ハブ輪3の外部とを連通する切欠き部3fが設けられているため、たとえ円環状溝部3e内に異物が侵入したとしても、当該切欠き部3fを介して、ハブ輪3の外部に異物を容易に排出することができる。
従って、例えば、円環状溝部3e内に異物が徐々に堆積し、堆積した異物によってアウター側シール部材8のリップ部(本実施形態では、ラビリンスリップ82d)の摩耗が促進されるのを抑制することが可能であり、安定したシール性能を維持することができる。
堰部82eは、周方向断面視にて略矩形状に設けられ、外輪2のアウター側の端部において、外周面2eと接触しつつ、径方向外側に突出するように配置されている。
また、堰部82eは、芯金81において、鍔部81dの径方向外側の端部とともに、外縁部81eを覆うようにして設けられている。
これにより、例えば、外輪2の外周面2eを伝ってラビリンスリップ82dへと流れてくる、泥水等の異物は、堰部82eによって堰き止められることとなり、車輪用軸受装置1における環状空間Q2への異物の侵入防止効果の向上を、より効果的に図ることができる。
以上のように、本実施形態における車輪用軸受装置1は、ハブ輪3の外周に、アウター側のボール列5が転動可能な内側軌道面3dが、直接形成されている第3世代構造の車輪用軸受装置として構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、一対の内輪が、ハブ輪の外周に互いに同軸上に圧入固定されるとともに、各々の内輪の外周に、ボール列が転動可能な内側軌道面が、直接形成されている第2世代構造の車輪用軸受装置として構成されていてもよい。
[車輪用軸受装置101(第2実施形態)の構成]
次に、第2実施形態における車輪用軸受装置101の構成について、図1及び図3を用いて説明する。
図1において、第2実施形態における車輪用軸受装置101は、前述した第1実施形態における車輪用軸受装置1と略同等な構成を有する一方、主に、ハブ輪103に設けられる円環状溝部103eの切欠き部103fの構成について、車輪用軸受装置1と相違する。
よって、以下の説明においては、主に前述した車輪用軸受装置1との相違点について記載し、当該車輪用軸受装置1と同等な構成についての記載は省略する。
図3において、ハブ輪103における車輪取り付けフランジ103bのインナー側の側面には、アウター側に窪んだ円環状溝部103eが、当該ハブ輪103と同軸上(即ち、回転軸G(図1を参照)と同軸上)に設けられている。
また、本実施形態においては、ハブ輪103の円環状溝部103eより径方向外側に向かって形成され、外部に開口する切欠き部103fが設けられている。
なお、円環状溝部103eの構成については、前述した車輪用軸受装置1の円環状溝部3eと略同等な構成を有するため、説明を省略する。
切欠き部103fは、例えば、径方向視にて略矩形状の断面を有するとともに、インナー側の側面が開口された溝部からなり、円環状溝部103eを構成する外縁壁103gの下端を切り欠くように、当該円環状溝部103eから直下に向かって延出するように形成されている。
つまり、円環状溝部103eの内部は、切欠き部103fを介して、ハブ輪103の外部と連通されている。
また、切欠き部103fは、軸方向視において、径方向外側に向かって断面形状が徐々に縮小する台形状に形成されており、円環状溝部103e側の端部の断面積S1に比べて、ハブ輪103の外部側の端部の断面積S2が小さくなるように設定されている(S1>S2)。
そして、例えば不意に、泥水等の異物が外部から円環状溝部103eに進入し、その結果、図1に示すように、当該円環状溝部103e内において、前述した空間部Q3内に、上記異物が堆積したとしても、外輪2(より具体的には、アウター側シール部材8)に対して相対的にハブ輪103が回転することで、切欠き部103fを介して、上記異物を遠心力によって外部に排出させる構成となっている。
このような、軸方向視において台形状に形成された切欠き部103fを設けることにより、外輪2(アウター側シール部材8)に対して相対的にハブ輪103が回転することで、円環状溝部103e内に残留する気体は、径方向外側に向かって掻き出されるところ、当該気体の流速は、切欠き部103fを通過する際、ベンチュリ―効果によって増速されることとなり、切欠き部103fを介して、円環状溝部103eの内部に堆積した異物を、より確実に外部に排出することができる。
また、切欠き部103fは径方向外側に向かって断面形状が縮小しているので、外部から切欠き部103fを通じて円環状溝部103e内に泥水等の異物が侵入することを抑制できる。
[車輪用軸受装置201(第3実施形態)の構成]
次に、第3実施形態における車輪用軸受装置201の構成について、図1及び図4を用いて説明する。
図1において、第3実施形態における車輪用軸受装置201は、前述した第1実施形態における車輪用軸受装置1と略同等な構成を有する一方、主に、ハブ輪203に設けられる円環状溝部203eの切欠き部203fの構成について、車輪用軸受装置1と相違する。
よって、以下の説明においては、主に前述した車輪用軸受装置1との相違点について記載し、当該車輪用軸受装置1と同等な構成についての記載は省略する。
図4(a)において、ハブ輪203における車輪取り付けフランジ203bのインナー側の側面には、アウター側に窪んだ円環状溝部203eが、当該ハブ輪203と同軸上(即ち、回転軸G(図1を参照)と同軸上)に設けられている。
また、本実施形態においては、ハブ輪203の円環状溝部203eより径方向外側に向かって形成され、外部に開口する、複数(本実施形態においては、5箇所)の切欠き部203f・203f・203f・・・が設けられている。
なお、円環状溝部203eの構成については、前述した車輪用軸受装置1の円環状溝部3eと略同等な構成を有するため、説明を省略する。
各切欠き部203fは、径方向視にて略矩形状の断面を有するとともに、インナー側の側面が開口された溝部からなり、円環状溝部203eを構成する外縁壁203gを切り欠くように、当該円環状溝部203eから径方向外側に向かって延出するように形成されている。
つまり、円環状溝部203eの内部は、各切欠き部203fを介して、ハブ輪203の外部と連通されている。
また、各切欠き部203fは、例えば、前述した第2実施形態における車輪用軸受装置101の切欠き部103f(図3を参照)と同等の構成からなり、軸方向視において、径方向外側に向かって断面形状が徐々に縮小する台形状に形成されている。
なお、各切欠き部203fの形状については、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、前述した第1実施形態における車輪用軸受装置1の切欠き部3f(図2を参照)のように、軸方向視において、径方向外側に向かって延出する矩形状に形成されていてもよい。
そして、このような形状からなる複数の切欠き部203f・203f・・・は、回転軸G(図1を参照)を中心にして同一円周上に複数箇所(本実施形態においては、5箇所)に設けられ、円環状溝部203eに沿って等間隔に配置される。
つまり、円環状溝部203eの内部は、複数の切欠き部203f・203f・・・を介して、ハブ輪203の外部と連通されている。
なお、本実施形態においては、少なくとも1箇所の切欠き部203fが、円環状溝部203eから直下に向かって延出するように、複数の切欠き部203f・203f・・・を、円環状溝部203eに沿って等間隔に配置することとしており、切欠き部203fを介して、当該円環状溝部203eより異物を外部に排出する際、重力等の影響によって、より容易に排出させ易い構成となっているが、これに限定されるものではない。
即ち、図4(b)に示すように、車輪取り付けフランジ203bに設けられる複数のハブボルト203c・203c・・・の配置位置と同位相の配置位置に、複数の切欠き部203f・203f・・・を配置することとし、これら複数のハブボルト203c・203c・・・によって、当該切欠き部203fを介して、円環状溝部203e内に異物が侵入するのを、なるべく防止することができる構成としてもよい。
なお、ハブボルト203cの構成については、前述した車輪用軸受装置1のハブボルト3cと略同等な構成を有するため、説明を省略する。
このような、円環状溝部203eに沿って複数の切欠き部203f・203f・・・が等間隔に配置された構成とすることにより、これらの切欠き部203f・203f・・・を介して、円環状溝部203eの内部に堆積した異物を、より確実に外部に排出することができる。
また、外輪2(より具体的には、アウター側シール部材8)に対して相対的にハブ輪203が回転することで、円環状溝部203e内の空気は、遠心力によって外部に排出され、その結果、当該円環状溝部203e内の気圧が負圧となり、泥水等の異物が円環状溝部203e内に吸引され易くなる懸念もあるが、本実施形態のように、複数の切欠き部203f・203f・・・を設けることとすれば、このような負圧による影響についても低減することができ、円環状溝部203eの内部に堆積した異物を、より安定して外部に排出することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1、101、201 車輪用軸受装置
2 外輪(外方部材)
2b アウター側開口部
2c 外側軌道面
3、103、203 ハブ輪
3a 小径段部
3b、103b、203b 車輪取り付けフランジ
3d 内側軌道面(内方部材)
3e、103e、203e 円環状溝部
3f、103f、203f 切欠き部
4 内輪
4a 内側軌道面(内方部材)
5 ボール列(転動体)
8 アウター側シール部材
82d ラビリンスリップ
Q2 環状空間

Claims (3)

  1. 内周に複列の外側軌道面を有する外方部材と、
    外周において軸方向に延びる小径段部、及び前記小径段部よりもアウター側に配置される車輪取り付けフランジを有するハブ輪、並びに当該ハブ輪の前記小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側軌道面と対向する複列の内側軌道面を有する内方部材と、
    前記外方部材及び前記内方部材の各々の軌道面間に転動自在に収容された複列の転動体と、
    前記外方部材及び前記内方部材によって形成された環状空間のアウター側開口端を塞ぐアウター側シール部材とを備える車輪用軸受装置において、
    前記ハブ輪における前記車輪取り付けフランジのインナー側の側面には、前記ハブ輪と同軸上の円環状溝部が設けられ、
    前記アウター側シール部材は、
    弾性体からなり、且つ前記車輪取り付けフランジに向かって軸方向に延びるとともに、
    前記円環状溝部に先端部を非接触の状態で挿入することによりラビリンスシールを構成するラビリンスリップを有し、
    前記ハブ輪は、前記円環状溝部より径方向外側に向かって形成され、外部に開口する切欠き部を有する、
    ことを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 前記切欠き部は、
    軸方向視において、
    径方向外側に向かって断面形状が徐々に縮小する台形状に形成される、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記切欠き部は、
    複数箇所に設けられ、
    前記円環状溝部に沿って等間隔に配置される、
    ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の車輪用軸受装置。
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