JP2020026821A - ハブユニット軸受 - Google Patents

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良雄 神谷
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Abstract

【課題】スリンガとシールリングとが軸方向に分離することを防止でき、かつ、外輪に対するシールリングの円周方向の位相合わせを行わなくても、スリンガとシールリングとの間に侵入した泥水などの異物を外部空間に排出しやすくできる構造を実現する。【解決手段】シールリング11aは、補助リップ19aを備える。補助リップ19aは、円周方向等間隔複数箇所に、径方向の全幅にわたって径方向に伸長するように形成された、軸方向両側及び径方向内側に開口するスリット44を有し、円周方向に隣り合うスリット44同士の間部分をリップ片45としている。リップ片45の径方向内側部は、スリンガ10aの傾斜板部36よりも軸方向に関してハブユニット軸受の内部空間と反対側に配置され、かつ、該径方向外側部と軸方向に重畳している。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するためのハブユニット軸受に関する。
図6〜図9は、特開2012−087901号公報に記載されたハブユニット軸受1を示している。ハブユニット軸受1は、外輪2と、外輪2の内径側に外輪2と同軸に配置されたハブ3と、外輪2とハブ3との間に存在する内部空間5に配置された複数個の転動体4と、内部空間5の軸方向外側の端部開口を塞ぐシールリング6と、内部空間5の軸方向内側の端部開口を塞ぐ組み合わせシールリング7とを備える。外輪2は、図示しない懸架装置を構成するナックルに結合固定される静止輪である。ハブ3は、車輪を構成するホイール8及びブレーキディスクやブレーキドラムなどの制動用回転部材9が支持固定される回転輪である。
なお、ハブユニット軸受に関して、軸方向内側は、車両への組み付け状態で車両の幅方向中央側となる、図4及び図7を除く各図の右側であり、軸方向外側は、車両への組み付け状態で車両の幅方向外側となる、図4及び図7を除く各図の左側である。
内部空間5の軸方向内側の端部開口を塞ぐ組み合わせシールリング7は、図7〜図9に示すように、スリンガ10と、シールリング11とを組み合わせることにより構成されている。なお、図7は、組み合わせシールリング7を軸方向内側(図6の右側)から見た図であり、図8は、図7のC−C断面図であり、図9は、図7のD−D断面図である。
スリンガ10は、L字形の断面形状を有し、かつ、全体が円環状に構成されている。スリンガ10は、ハブ3の軸方向内側部に外嵌固定されたスリンガ筒部12と、スリンガ筒部12の軸方向内側端部から径方向外側に折れ曲がったスリンガ立板部13とを備える。
シールリング11は、芯金14と、芯金14に固定されたシール材15とを備える。芯金14は、L字形の断面形状を有し、かつ、全体を円環状に構成されている。芯金14は、外輪2の軸方向内側部に内嵌固定されている。シール材15は、径方向内側部から突出する3本のシールリップ16、17、18を有し、該シールリップ16、17、18のそれぞれの先端縁をスリンガ10に摺接させている。
シール材15は、径方向外側部の軸方向内側部から径方向内側に突出した補助リップ(ばらけ防止部)19を有する。補助リップ19は、全周がつながった円環状のリップであり、スリンガ立板部13の径方向外側部よりも、軸方向内側に配置されている。補助リップ19は、径方向幅寸法が大きい複数の幅広部20と、径方向幅寸法が幅広部20よりも小さい複数の幅狭部21とを有し、かつ、幅広部20と幅狭部21とを円周方向に関して交互に配置している。
補助リップ19のうち幅広部20のそれぞれに対応する部分の内径寸法は、スリンガ立板部13の外径寸法よりも小さくなっている。これにより、補助リップ19の幅広部20のそれぞれの径方向内側部は、スリンガ立板部13の径方向外側部に対し、軸方向に重畳して非接触に配置されている。また、補助リップ19のうち幅狭部21のそれぞれに対応する部分の内径寸法は、スリンガ立板部13の外径寸法よりも若干大きくなっている。すなわち、幅狭部21のそれぞれとスリンガ立板部13との間には、径方向の僅かな隙間が設けられている。
上述のような構成を有するハブユニット軸受1によれば、外輪2とハブ3との間に組み合わせシールリング7が組み付けられる前の状態で、スリンガ10とシールリング11とが軸方向に分離することを、補助リップ19の幅広部20とスリンガ立板部13の径方向外側部との係合に基づいて防止することができる。このため、組み合わせシールリング7の搬送時や組付け作業時の取り扱い性を良好にできる。
また、ハブユニット軸受1の使用時には、補助リップ19の存在に基づいて、外部空間に存在する泥水などの異物が、スリンガ立板部13の径方向外端部とシールリング11の径方向外側部の内周面との間部分を通じて、組み合わせシールリング7の内部に侵入しにくくすることができる。
また、組み合わせシールリング7の内部に泥水などの異物が侵入した場合には、遠心力や重力の作用によって該内部の径方向外側に移動してきた異物を、幅狭部21とスリンガ立板部13との間に存在する隙間を通じて、外部空間に排出することができる。
特開2012−087901号公報
しかしながら、上述した従来のハブユニット軸受1においては、ハブユニット軸受1を車両に組み付けた状態での下端部に補助リップ19の幅狭部21が配置されていないと、組み合わせシールリング7の内部に入り込み、重力の作用によって該内部の下端部に集まってきた泥水を、幅狭部21とスリンガ立板部13との間に存在する隙間を通じて外部空間に排出することができなくなる。換言すれば、組み合わせシールリング7の内部に泥水を溜め込みやすくなる。この結果、該泥水によりシールリップ16、17、18の先端縁の摩耗が増大しやすくなるなどの不都合を生じる。このような不都合を防止するためには、ハブユニット軸受1を車両に組み付けた状態での下端部に補助リップ19の幅狭部21が配置されるように、外輪2とハブ3との間に組み合わせシールリング7を組み付ける際に、外輪2に対するシールリング11の円周方向の位相合わせを行う必要がある。したがって、その分、外輪2に対してシールリング11を内嵌固定する作業が面倒になる。
本発明の目的は、外輪とハブとの間に組み合わせシールリングを組み付ける前にスリンガとシールリングとが軸方向に分離することを防止でき、かつ、外輪に対するシールリングの円周方向の位相合わせを行わなくても、組み合わせシールリングの内部に侵入した泥水などの異物を外部空間に排出しやすくすることができるハブユニット軸受の構造を実現することにある。
本発明のハブユニット軸受は、外輪と、前記外輪の内径側に前記外輪と同軸に配置されたハブと、前記外輪と前記ハブとの間に存在する内部空間に配置された複数個の転動体と、前記内部空間の軸方向端部開口を塞ぐ組み合わせシールリングとを備える。
前記組み合わせシールリングは、スリンガと、シールリングとを有する。
前記スリンガは、前記ハブに外嵌固定されたスリンガ筒部と、前記スリンガ筒部の前記内部空間と反対側の軸方向端部から径方向外側に折れ曲がったスリンガ立板部とを有する。
前記スリンガ立板部は、径方向内側部に円輪板部を有し、かつ、前記円輪板部に連続する径方向外側部に、径方向外側に向かうほど軸方向に関して前記内部空間側に向かう方向に傾斜した傾斜板部を有する。
前記シールリングは、芯金と、前記芯金に固定されたシール材とを有する。
前記芯金は、前記外輪に内嵌固定されている。
前記シール材は、前記スリンガ筒部の外周面又は前記スリンガ立板部の前記内部空間側の軸方向側面に摺接したシールリップと、径方向外側部に位置するシール筒部と、前記シール筒部の内周面から径方向内側に突出した補助リップとを有する。
前記補助リップは、円周方向等間隔となる複数箇所に、径方向の全幅にわたって径方向に伸長するように形成された、軸方向両側及び径方向内側に開口したスリットを有し、かつ、円周方向に隣り合う前記スリット同士の間部分をそれぞれリップ片としている。
前記リップ片のそれぞれの径方向内側部は、前記傾斜板部よりも軸方向に関して前記内部空間と反対側に配置され、かつ、前記傾斜板部と軸方向に重畳している。
前記シール筒部の内周面は、軸方向に関して前記内部空間と反対側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜させることができる。
前記リップ片のそれぞれの径方向内側部を、前記傾斜板部に摺接させることができる。
本発明のハブユニット軸受によれば、外輪とハブとの間に組み合わせシールリングを組み付ける前にスリンガとシールリングとが軸方向に分離することを防止でき、かつ、外輪に対するシールリングの円周方向の位相合わせを行わなくても、スリンガとシールリングとの間に侵入した泥水などの異物を外部空間に排出しやすくすることができる。
図1は、実施の形態の第1例に係るハブユニット軸受の断面図である。 図2は、組み合わせシールリングに関する、図1のA部拡大図である。 図3は、組み合わせシールリングに関する、図1のB部拡大図である。 図4は、実施の形態の第1例に関して、組み合わせシールリングを構成する補助リップの周方向一部を軸方向から見た図である。 図5は、実施の形態の第2例に関する、図2に相当する図である。 図6は、ハブユニット軸受の従来構造の1例を示す断面図である。 図7は、ハブユニット軸受の従来構造の1例に組み込まれる組み合わせシールリングを図6の右方から見た図である。 図8は、図7のC−C断面図である。 図9は、図7のD−D断面図である。
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、図1〜図4を用いて説明する。本例のハブユニット軸受1aは、駆動輪用のものであり、静止輪である外輪2aと、回転輪であるハブ3aと、複数個の転動体4aとを備える。
外輪2aは、複列の外輪軌道22と、外輪2aを懸架装置に支持固定するための静止フランジ23とを備える。複列の外輪軌道22は、外輪2aの内周面に設けられている。静止フランジ23は、外輪2aの軸方向中間部に径方向外側に突出するように設けられている。静止フランジ23は、径方向中間部の円周方向複数箇所に取付孔24を有する。外輪2aは、取付孔24のそれぞれに螺合あるいは挿通されたボルトなどの結合部材により、懸架装置を構成するナックルに支持固定される。
ハブ3aは、外輪2aの内径側に外輪2aと同軸に配置されており、複列の内輪軌道25と、車輪を構成するホイール8及び制動用回転部材9(図6参照)を支持固定するための回転フランジ26と、駆動軸をスプライン係合させるためのスプライン孔27とを備える。複列の内輪軌道25は、ハブ3aの外周面のうちで、複列の外輪軌道22に対向する部分に設けられている。回転フランジ26は、外輪2aよりも軸方向外側に存在するハブ3aの軸方向外側部に、径方向外側に突出するように設けられている。回転フランジ26は、径方向外側部の円周方向複数箇所に結合孔28を有する。車輪を構成するホイール8及び制動用回転部材9は、結合孔28のそれぞれに圧入されたハブボルト29に、結合部材を螺合することにより、回転フランジ26に支持固定される。なお、結合孔28のそれぞれにハブボルトを螺合させて、車輪を構成するホイール8及び制動用回転部材9を、回転フランジ26に支持固定することもできる。スプライン孔27は、ハブ3aの径方向中心部を、軸方向に貫通する状態で設けられている。
転動体4aは、複列の外輪軌道22と複列の内輪軌道25との間に、それぞれの列ごとに複数個ずつ、転動自在に配置されている。なお、図示の例では、転動体4aとして、玉を使用しているが、円すいころを使用することもできる。
本例では、ハブ3aは、ハブ輪30と、内輪31とを組み合わせることにより構成されている。すなわち、ハブ輪30は、軸方向内側端部に小径段部32を有しており、内輪31は、小径段部32に圧入により外嵌されている。軸方向外側の内輪軌道25は、ハブ輪30の軸方向中間部外周面に設けられている。軸方向内側の内輪軌道25は、内輪31の外周面に設けられている。回転フランジ26は、ハブ輪30の軸方向外側部に設けられている。スプライン孔27は、ハブ輪30の径方向中央部に設けられている。
外輪2aの内周面とハブ3aの外周面との間に存在する、複数個の転動体4aが配置された内部空間5aは、軸方向外側の端部開口がシールリング6aにより塞がれており、軸方向内側の端部開口が組み合わせシールリング7aにより塞がれている。これにより、内部空間5aに泥水などの異物が侵入することを防止するとともに、内部空間5aに封入したグリースが外部に漏洩することを防止している。
シールリング6aは、円環状の芯金33と、芯金33に固定されたシール材34とを備える。シールリング6aは、芯金33を外輪2aの軸方向外側端部に締り嵌めで内嵌固定することにより、外輪2aに固定されている。この状態で、シールリング6aは、シール材34を構成する複数本のシールリップの先端縁を、ハブ輪30の表面に全周にわたり摺接させている。
組み合わせシールリング7aは、図2及び図3に示すように、スリンガ10aと、シールリング11aとを組わせることにより構成されている。
スリンガ10aは、鋼板などの金属板製で、L字形の断面形状を有し、かつ、全体が円環状に構成されている。スリンガ10aは、円筒状のスリンガ筒部12aと、スリンガ筒部12aの軸方向内側端部から径方向外側に折れ曲がった略円輪状のスリンガ立板部13aとを備える。スリンガ立板部13aは、径方向内側部に円輪板部35を有し、かつ、円輪板部35に連続する径方向外側部に、径方向外側に向かうほど軸方向外側に向かう方向に傾斜した傾斜板部36を有する。すなわち、スリンガ立板部13aは、径方向外側部(傾斜板部36)を径方向内側部(円輪板部35)に対して軸方向外側に傾斜させることにより、径方向外側部(傾斜板部36)を径方向内側部(円輪板部35)に対して軸方向外側に退避させている。
本例では、スリンガ立板部13aの円輪板部35の軸方向内側面に、円輪状のエンコーダ37が全周にわたり添着固定されている。エンコーダ37は、ゴム磁石、プラスチック磁石などの永久磁石製で、被検出面である軸方向内側面にS極とN極とが円周方向に関して交互にかつ等間隔に配置されている。エンコーダ37の被検出面には、図示しない回転速度センサの検出部を対向させて、ハブ3aとともに回転する車輪の回転速度を検出可能としている。そして、検出した車輪の回転速度を表す信号を、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)など、車両の走行安定化装置の制御に利用する。なお、本発明を実施する場合には、エンコーダ37を省略することもできる。
スリンガ10aは、スリンガ筒部12aをハブ3aを構成する内輪31の軸方向内側端部に締り嵌めで外嵌固定することにより、ハブ3aに固定されている。
シールリング11aは、芯金14aと、芯金14aに固定されたシール材15aとを備える。芯金14aは、鋼板などの金属板製で、L字形の断面形状を有し、かつ、全体が円環状に構成されている。芯金14aは、円筒状の芯金筒部38と、芯金筒部38の軸方向外側端部から径方向内側に折れ曲がった略円輪状の芯金立板部39とを備える。芯金14aは、芯金筒部38を外輪2aの軸方向内側端部に締り嵌めで内嵌固定することにより、外輪2aに固定されている。
シール材15aは、ゴムの如きエラストマーなどの弾性材製であり、芯金14aに固定されたシール基部40と、シール基部40から突出した3本のシールリップ16a、17a、18a及び補助リップ19aとを備える。
シール基部40は、芯金筒部38に固定されたシール筒部41と、シール筒部41に連続しかつ芯金立板部39に固定されたシール立板部42とを有する。シール筒部41は、芯金筒部38の外周面の軸方向内側部と、芯金筒部38の軸方向内側の端面と、芯金筒部38の内周面との連続した範囲を覆っている。シール立板部42は、芯金立板部39の軸方向内側面と、芯金立板部39の径方向内側の端面と、芯金立板部39の軸方向外側面の径方向内側部との連続した範囲を覆っている。また、シール筒部41の内周面は、軸方向内側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜した(内径が大きくなった)シール傾斜面43である。
シールリップ16a、17a、18aのそれぞれは、シール立板部42の径方向内側部から突出している。内部空間5aに一番近いシールリップ16aは、径方向内側に向かうほど軸方向外側に向かう方向に傾斜し、かつ、その先端縁をスリンガ筒部12aの外周面に全周にわたり摺接させている。内部空間5aに対して二番目に近いシールリップ17aは、径方向内側に向かうほど軸方向内側に向かう方向に傾斜し、かつ、その先端縁をスリンガ筒部12aの外周面に全周にわたり摺接させている。内部空間5aから最も遠い(外部空間に最も近い)シールリップ18aは、軸方向内側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜し、かつ、その先端縁を、スリンガ立板部13aの径方向内側部を構成する円輪板部35の軸方向外側面に全周にわたり摺接させている。
補助リップ19aは、シール筒部41の内周面であるシール傾斜面43の軸方向内側部から径方向内側に突出しており、スリンガ立板部13aの径方向外側部である傾斜板部36よりも軸方向内側に配置されている。なお、補助リップ19aと傾斜板部36との、より具体的な位置関係や寸法関係については、後述する。補助リップ19aは、全周にわたり、図4に示すような、径方向内向きの櫛歯形状を有する。すなわち、補助リップ19aは、円周方向等間隔となる複数箇所に、径方向の全幅にわたって径方向に伸長するように形成された、軸方向両側及び径方向内側に開口したスリット(切り欠き)44を有し、かつ、円周方向に隣り合うスリット44同士の間部分をリップ片45としている。スリット44は、径方向に関して変化しない一定の周方向幅寸法Wを有する。スリット44の周方向幅寸法Wは、それぞれのスリット44で同一である。また、補助リップ19aのうち、円周方向に関してリップ片45に対応する部分の径方向幅寸法は、全周にわたり略均一である。
スリット44のそれぞれは、補助リップ19aの径方向の全幅に亙って形成されている。したがって、スリット44のそれぞれの径方向外端部である底部(底面)46は、シール筒部41の内周面であり、部分円すい面形状を有するシール傾斜面43と同一の曲面上となる部分に設けられている。換言すれば、スリット44の底部46は、シール傾斜面43の一部である。すなわち、シール傾斜面43のうち、底部46に対応する部分と該部分の軸方向両側に隣接する部分とは、互いに連続しており(段部などを介することなく直接つながっており)、互いに同方向に同角度傾斜した面になっている。なお、本発明を実施する場合、シール筒部の内周面は、該シール筒部の中心軸に対して傾斜していない単なる円筒面とすることもできる。
本例では、スリット44のそれぞれは、円周方向に関して中心角ピッチPθで配置されている。具体的には、中心角ピッチPθは、20゜以下であり、好ましくは15゜以下である。
本例では、スリット44の円周方向幅寸法Wは、補助リップ19a(リップ片45)の基端部(底部46)における軸方向の厚さ寸法Tよりも大きい(W>T)。具体的には、補助リップ19aの厚さ寸法Tは、0.2mm〜0.4mm程度である。また、スリット44の円周方向幅寸法Wは、補助リップ19aの厚さ寸法Tに対して、2.5倍〜10倍、好ましくは4倍〜7倍程度である。
リップ片45のそれぞれの径方向内側部は、スリンガ立板部13aの径方向外側部である傾斜板部36よりも軸方向内側に配置され、かつ、傾斜板部36と軸方向に重畳している。本例では、リップ片45のそれぞれの径方向内側部と傾斜板部36とを軸方向に近接対向させている。これにより、リップ片45のそれぞれの径方向内側部と傾斜板部36との間にラビリンスシール47を形成している。また、本例では、傾斜板部36とリップ片45とが軸方向に重畳している部分の径方向幅寸法Yが、傾斜板部36の先端稜部とリップ片45の軸方向外側面との軸方向距離X以下(Y≦X、図2参照)となっている。このような構成により、シールリング11aとスリンガ10aとを組み合わせるときに、補助リップ19a(リップ片45)が反転して、補助リップ19aの軸方向内側面が傾斜板部36の先端稜部に乗り上がったままの状態となることを防止している。
上述のように、本例のハブユニット軸受1aでは、補助リップ19aのリップ片45のそれぞれの径方向内側部は、スリンガ立板部13aの径方向外側部である傾斜板部36よりも軸方向内側に配置され、かつ、傾斜板部36と軸方向に重畳している。このため、外輪2aとハブ3aとの間に組み合わせシールリング7aが組み付けられる前の状態で、スリンガ10aとシールリング11aとが軸方向に分離することを、補助リップ19aのリップ片45のそれぞれとスリンガ立板部13aの傾斜板部36との係合に基づいて防止することができる。このため、組み合わせシールリング7aの搬送時や組付け作業時の取り扱い性を良好にできる。
また、本例では、スリンガ立板部13aの径方向外側部(傾斜板部36)を径方向内側部(円輪板部35)に対して軸方向外側に傾斜させることにより、スリンガ立板部13aの径方向外側部(傾斜板部36)を径方向内側部(円輪板部35)に対して軸方向外側に退避させている。したがって、その分だけ、スリンガ立板部13aの径方向外側部(傾斜板部36)に対して軸方向に重畳させる補助リップ19a(リップ片45)を、軸方向外側に位置させることができる。この結果、補助リップ19a(リップ片45)の軸方向内側への張り出し量を抑えて、組み合わせシールリング7aを小型化することができる。
なお、スリンガ立板部の断面形状については、図8に示した従来構造におけるスリンガ立板部13のように、径方向外側部が径方向内側部に対して軸方向外側にオフセットしたクランク形状を採用することも考えられる。そして、このような構成を採用する場合も、本例と同様、補助リップ(リップ片)の軸方向内側への張り出し量を抑えて、組み合わせシールリングを小型化することができる。ただし、スリンガ立板部の断面形状をクランク形状とする加工は困難でコストが高くなる。これに対して、本例のように、スリンガ立板部13aの径方向外側部(傾斜板部36)を径方向内側部(円輪板部35)に対して軸方向外側に傾斜させる構成であれば、加工が容易でコストを抑えることができる。
また、ハブユニット軸受1aの使用時には、補助リップ19aの存在に基づいて、外部空間に存在する泥水などの異物が、スリンガ立板部13aの径方向外端部とシール傾斜面43との間に存在する、補助リップ19aの厚さ寸法Tよりも大きな径方向幅寸法を有する隙間49を通じて、組み合わせシールリング7aの内部である、シールリップ18aの外径側に存在する外径側空間48に侵入しにくくすることができる。具体的には、外径側空間48の入口である隙間49の軸方向内側には、円周方向に関して等間隔に多数のリップ片45が配置されている。このため、これらのリップ片45の存在に基づいて、泥水などの異物が隙間49に、軸方向内側から到達しにくくすることができる。また、リップ片45のそれぞれの径方向内側部と傾斜板部36との間には、ラビリンスシール47が形成されている。このため、泥水などの異物が隙間49に、ラビリンスシール47を通じて到達しにくくすることができる。したがって、泥水などの異物が隙間49を通じて外径側空間48に侵入しにくくすることができる。
また、本例では、外部空間の泥水が、補助リップ19aのスリット44やラビリンスシール47を通じて隙間49に到達し、該隙間49を通じて外径側空間48に侵入した場合でも、該泥水を外径側空間48から外部空間に効率良く排出することができる。
具体的には、外径側空間48に侵入した泥水を、遠心力や重力の作用によって外径側空間48の径方向外側に移動させ、隙間49及び補助リップ19aのスリット44を通じて外部空間に排出することができる。
また、本例では、補助リップ19aは、円周方向に関して小さい中心角ピッチPθで配置された複数のスリット44を有している。このため、外輪2aとハブ3aとの間に組み合わせシールリング7aを組み付ける際に、外輪2aに対するシールリング11aの円周方向の位相合わせを行わなくても、すなわち、外輪2aに対してシールリング11aを任意の円周方向の位相で固定した場合でも、ハブユニット軸受1aを車両に組み付けた状態での下端部に、必ず幾つかのスリット44が配置される。このため、外径側空間48に入り込み、重力の作用によって外径側空間48の下端部に集まってきた泥水を、隙間49及び前記幾つかのスリット44を通じて、外部空間に排出することができる。
また、前述したように、図6〜図9に示した従来構造においては、組み合わせシールリング7の内部に入り込み、重力の作用によって該内部の下端部に集まってきた泥水を、幅狭部21とスリンガ立板部13との間に存在する隙間を通じて外部空間に排出することができる。しかしながら、従来構造では、幅狭部21が所定の径方向幅寸法を有しているため、幅狭部21の径方向幅寸法の分だけ、前記内部の下端部に泥水が溜まったままの状態になる。これに対して、本例では、補助リップ19aのスリット44のそれぞれは、補助リップ19aの径方向の全幅に亙って形成されており、スリット44のそれぞれの底部46は、シール筒部41の内周面になっている。このため、外径側空間48に入り込み、重力の作用によって外径側空間48の下端部に集まってきた泥水のほぼ全部を、隙間49及び前記幾つかのスリット44を通じて、外部空間に排出することができる。
特に、本例では、シール筒部41の内周面は、軸方向内側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜したシール傾斜面43であり、又、スリット44のそれぞれの底部46は、シール傾斜面43の一部である。このため、重力の作用によって外径側空間48の下端部に集まってきた泥水を、図3に矢印αで示すように、シール傾斜面43及び前記幾つかのスリット44のそれぞれの底部46に沿って、外部空間に効率良く排出することができる。
このため、泥水によってシールリップ16a、17a、18aの摩耗が進行したりスリンガ10aに対する追従性が低下したりすることを抑えられ、シールリップ16a、17a、18aの寿命を長くすることができる。
また、本例では、内部空間5aに封入したグリースが、シールリップ16a、17a、18aとスリンガ10aとの摺接部を通じて外径側空間48に漏れ出したとしても、該グリースが外部空間に飛散することを、補助リップ19aによって防止することができる。特に、本例では、スリット44の円周方向幅寸法Wは、十分に小さい。換言すれば、スリット44は、粘度が低い泥水は排出(通過)しやすいが、粘度が高く塊(ダマ)になりやすいグリースは排出しにくくなるような、小さい円周方向幅寸法Wを有している。このため、スリット44を通じてグリースが外部空間に漏洩するのを十分に抑えることができる。
なお、本発明を実施する場合には、内部空間5aの軸方向外側の端部開口を塞ぐ密封装置として、組み合わせシールリング7aを用いることもできる。この場合、内部空間5aの軸方向外側の端部開口を塞ぐ組み合わせシールリング7aは、内部空間5aの軸方向内側の端部開口を塞ぐ組み合わせシールリング7aに対し、軸方向に関して逆向きに組み付ける。
[実施の形態の第2例]
実施の形態の第2例について、図5を用いて説明する。
本例のハブユニット軸受に組み込まれる組み合わせシールリング7bでは、実施の形態の第1例よりも、補助リップ19bを軸方向外側に位置させることによって、補助リップ19bを構成するリップ片45aのそれぞれの径方向内端縁を、スリンガ立板部13aの傾斜板部36の軸方向外側面に摺接させている。これにより、補助リップ19bのシール性能を向上させている。なお、リップ片45aのそれぞれは、円周方向に離隔して設けられているため、リップ片45aのそれぞれの径方向内端縁を傾斜板部36の軸方向外側面に摺接させても、それによって生じる回転抵抗を小さく抑えることができる。なお、本例の場合、傾斜板部36とリップ片45aとが軸方向に重畳した部分の径方向幅寸法以上に傾斜板部36の先端稜部とリップ片45aとが軸方向に離れた状態(Y≦X、図2参照)とはしていないが、補助リップ19bは自由状態で径方向内側に向かうほど軸方向内側に向かう方向に傾斜しており、又、スリット44も設けられている。このため、シールリング11aとスリンガ10aとを組み合わせるときに、補助リップ19bが反転して、補助リップ19bの軸方向内側面が傾斜板部36の先端稜部に乗り上がったままの状態となることを防止できる。
その他の構成及び作用は、実施の形態の第1例と同様である。
本発明は、駆動輪用のハブユニット軸受に限らず、従動輪用のハブユニット軸受にも適用可能である。
1、1a ハブユニット軸受
2、2a 外輪
3、3a ハブ
4、4a 転動体
5、5a 内部空間
6、6a シールリング
7、7a、7b 組み合わせシールリング
8 ホイール
9 制動用回転部材
10、10a スリンガ
11、11a シールリング
12、12a スリンガ筒部
13、13a スリンガ立板部
14、14a 芯金
15、15a シール材
16、16a シールリップ
17、17a シールリップ
18、18a シールリップ
19、19a 補助リップ
20 幅広部
21 幅狭部
22 外輪軌道
23 静止フランジ
24 取付孔
25 内輪軌道
26 回転フランジ
27 スプライン孔
28 結合孔
29 ハブボルト
30 ハブ輪
31 内輪
32 小径段部
33 芯金
34 シール材
35 円輪板部
36 傾斜板部
37 エンコーダ
38 芯金筒部
39 芯金立板部
40 シール基部
41 シール筒部
42 シール立板部
43 シール傾斜面
44 スリット
45、45a リップ片
46 底部
47 ラビリンスシール
48 外径側空間
49 隙間

Claims (3)

  1. 外輪と、前記外輪の内径側に前記外輪と同軸に配置されたハブと、前記外輪と前記ハブとの間に存在する内部空間に配置された複数個の転動体と、前記内部空間の軸方向端部開口を塞ぐ組み合わせシールリングとを備え、
    前記組み合わせシールリングは、スリンガと、シールリングとを有し、
    前記スリンガは、前記ハブに外嵌固定されたスリンガ筒部と、前記スリンガ筒部の前記内部空間と反対側の軸方向端部から径方向外側に折れ曲がったスリンガ立板部とを有し、
    前記スリンガ立板部は、径方向内側部に円輪板部を有し、かつ、前記円輪板部に連続する径方向外側部に、径方向外側に向かうほど軸方向に関して前記内部空間側に向かう方向に傾斜した傾斜板部を有し、
    前記シールリングは、芯金と、前記芯金に固定されたシール材とを有し、
    前記芯金は、前記外輪に内嵌固定されており、
    前記シール材は、前記スリンガ筒部の外周面又は前記スリンガ立板部の前記内部空間側の軸方向側面に摺接したシールリップと、径方向外側部に位置するシール筒部と、前記シール筒部の内周面から径方向内側に突出した補助リップとを有し、
    前記補助リップは、円周方向等間隔となる複数箇所に、径方向の全幅にわたって径方向に伸長するように形成された、軸方向両側及び径方向内側に開口したスリットを有し、かつ、円周方向に隣り合う前記スリット同士の間部分をそれぞれリップ片としており、
    前記リップ片のそれぞれの径方向内側部は、前記傾斜板部よりも軸方向に関して前記内部空間と反対側に配置され、かつ、前記傾斜板部と軸方向に重畳している、
    ハブユニット軸受。
  2. 前記シール筒部の内周面は、軸方向に関して前記内部空間と反対側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜している、
    請求項1に記載のハブユニット軸受。
  3. 前記リップ片のそれぞれの径方向内側部は、前記傾斜板部に摺接している、
    請求項1又は2に記載のハブユニット軸受。
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