JP2022128096A - 積層体、チューブ容器本体およびチューブ容器 - Google Patents

積層体、チューブ容器本体およびチューブ容器 Download PDF

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Abstract

【課題】高いリサイクル性と高い耐擦傷性とを有するチューブ容器本体を作製することのできる積層体を提供する。【解決手段】積層体であって、積層体が、ヒートシール性を有する第1の樹脂層と、ガスバリア性樹脂層と、基材と、ヒートシール性を有する第2の樹脂層と、印刷層と、印刷保護層とを積層体の厚さ方向にこの順に備え、積層体が、基材の少なくとも一方の面上に蒸着膜を備え、第1の樹脂層、基材および第2の樹脂層が、それぞれ、ポリエチレンにより構成される、積層体。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体、チューブ容器本体およびチューブ容器に関する。
歯磨ペーストおよび洗顔クリーム等のペースト状の半流動体物を充填しておき、搾り出して使用するための包装容器として、チューブ容器が知られている。チューブ容器は、通常、チューブ容器本体とキャップとを備える。チューブ容器本体は、一般的に、一端が閉塞し、かつ他端が開口した胴部と、その胴部の開口他端に連接する、注出口を有する頭部とを備える。胴部の一端の閉塞前に胴部内に内容物を充填して、次いで胴部の一端を閉塞することで、内容物を収容したチューブ容器が製造される。
チューブ容器本体の胴部を構成する部材として、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ガスバリア層およびアルミニウム箔などを積層して得られる積層体が広く使用されている(例えば、特許文献1および2参照)。
特開2006-282184号公報 特開2014-231372号公報
近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、包装容器には高いリサイクル性が求められている。しかしながら、従来のチューブ容器本体を構成する胴部は、上記したように、複数の異種材料からなる層を備える積層体により構成される。積層体において材料の異なる層ごとに分離することは困難であることから、現状ではチューブ容器本体をリサイクルすることは困難である。また、上記胴部の形成材としてリサイクル性の高い積層体を用いると、該積層体は耐擦傷性が低いことからチューブ容器本体に傷が付きやすく、意匠性が低下しえることが判明した。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、高いリサイクル性と高い耐擦傷性とを有するチューブ容器本体を作製することのできる積層体を提供することである。
本発明の解決課題は、上記積層体を備える、チューブ容器本体およびチューブ容器を提供することである。
本発明の積層体は、ヒートシール性を有する第1の樹脂層と、ガスバリア性樹脂層と、基材と、ヒートシール性を有する第2の樹脂層と、印刷層と、印刷保護層とを積層体の厚さ方向にこの順に備え、積層体が、基材の少なくとも一方の面上に蒸着膜を備え、第1の樹脂層、基材および第2の樹脂層が、それぞれ、ポリエチレンにより構成される。
本発明によれば、高いリサイクル性と高い耐擦傷性とを有するチューブ容器本体を作製可能な積層体を提供できる。本発明によれば、上記積層体を備え、高いリサイクル性と高い耐擦傷性とを有する、チューブ容器本体およびチューブ容器を提供できる。
図1は、本発明の積層体の一実施形態を示す断面概略図である。 図2は、本発明の積層体の一実施形態を示す断面概略図である。 図3は、チューブ容器本体の筒状胴部の原反の上視図である。 図4は、本発明の積層体を含むチューブ容器本体と、キャップとを備えるチューブ容器の一実施形態を示す斜視図である。 図5は、図4のA-A断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、適宜図面を用いながら説明する。なお、以下の説明において、記載した成分(例えばポリエチレン、添加剤)は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
[積層体]
本発明の積層体は、ヒートシール性を有する第1の樹脂層と、ガスバリア性樹脂層と、基材と、ヒートシール性を有する第2の樹脂層と、印刷層と、印刷保護層とを積層体の厚さ方向にこの順に備え、さらに、基材の少なくとも一方の面上に蒸着膜を備える。
本発明の積層体の一実施形態を図1に示す。積層体1は、ヒートシール性を有する第1の樹脂層2と、ガスバリア性樹脂層4と、基材6と、ヒートシール性を有する第2の樹脂層8と、印刷層10と、印刷保護層12とを積層体の厚さ方向にこの順に備え、さらに、基材6の印刷層10側の面上に蒸着膜7を備える。蒸着膜7は、積層体1を用いて作製されるチューブ容器本体の意匠性を向上できることから、基材6の第2の樹脂層8側の面上に設けられていることが好ましい。
本発明の積層体が備える第1の樹脂層、基材および第2の樹脂層は、それぞれ、同種の材料であるポリエチレンにより構成される。したがって、本発明の積層体は、高いリサイクル性を有する。この積層体を備えるチューブ容器本体も、同様に高いリサイクル性を有する。
本発明の積層体全体におけるポリエチレンの含有量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは92質量%以上である。これにより、本発明の積層体および該積層体を備えるチューブ容器本体のリサイクル性を向上できる。
本発明の積層体は、印刷層および印刷保護層を第2の樹脂層よりも外側に備える。したがって、積層体から印刷層および印刷保護層を分離・除去しやすいことから、本発明の積層体は、高いリサイクル性を有する。この積層体を備えるチューブ容器本体も、同様に高いリサイクル性を有する。
本発明の積層体は、印刷層上に印刷保護層を備える。これにより、積層体の耐擦傷性および滑り性を向上できる。したがって、積層体およびチューブ容器本体の製造過程における搬送ラインでの、チューブ容器内への内容物充填時の搬送ラインでの、またチューブ容器の輸送中での、傷付きを抑制できる。また、印刷層上に印刷保護層を設けることにより、独特の触感や高い意匠性を積層体に付与できる。
本発明の積層体の他の実施形態を図2に示す。積層体1’は、ヒートシール性を有する第2の樹脂層8と基材6との間に接着剤層16を備え、基材6とガスバリア性樹脂層4との間に溶融押出ポリエチレン層14を備え、ガスバリア性樹脂層4とヒートシール性を有する第1の樹脂層2との間に溶融押出ポリエチレン層14を備える。第2の樹脂層8は、多層構造(例えば3層の樹脂層)を有していてもよい。第1の樹脂層2は、多層構造(例えば3層の樹脂層)を有していてもよい。基材6は、多層構造(例えば3層の樹脂層)を有していてもよい。
積層体1’は、多層構造のガスバリア性樹脂層4を備える。多層構造のガスバリア性樹脂層4は、第1のポリエチレン樹脂層4Aと、第1の接着剤層4Bと、ガスバリア性樹脂を含む層4Cと、第2の接着剤層4Dと、第2のポリエチレン樹脂層4Eとを備える。
本明細書において「積層体」とは、上述した層構成を備える、製造ラインで製造された原反そのものを指すこともあり、また、該原反を切断して得られる積層体個片それぞれを指すこともあり、上記層構成を備えていれば特に限定されない。積層体個片は、例えば、チューブ容器本体の胴部を形成するために用いられる。
図3に、切断線Lに沿って切断される前の、本発明の積層体としての原反の上視図を示す。この原反には、連続する複数の、チューブ容器本体の胴部を形成するための積層体(個片)が含まれる。この原反を切断線Lに沿って切断することにより、チューブ容器本体の胴部を形成するための積層体個片を複数得ることができる。この積層体個片の、原反流れ方向に対して垂直方向の両端部には、ヒートシール性という観点から、印刷層および印刷保護層が形成されていないことが好ましい。
<第1の樹脂層および第2の樹脂層>
本発明の積層体を構成する第1の樹脂層および第2の樹脂層は、それぞれ、ポリエチレンにより構成され、共に、ヒートシール性を有する。第1の樹脂層および第2の樹脂層は、それぞれ加熱によって溶融し、相互に融着し得る。
本発明の積層体を、チューブ容器本体の胴部を形成するために用いる場合、第1の樹脂層は胴部内面側のシーラント層となり、第2の樹脂層は胴部外面側のシーラント層となる。すなわち、上記胴部は、胴部の内側から外側に向かって、ヒートシール性を有する第1の樹脂層と、ガスバリア性樹脂層と、基材と、ヒートシール性を有する第2の樹脂層と、印刷層と、印刷保護層とをこの順に備える。
第2の樹脂層において、チューブ容器本体の胴部を形成する際にヒートシールが予定される領域には、印刷層および印刷保護層が形成されていないことが好ましい。一実施形態において、第1の樹脂層が積層体の一方の表層であり、印刷保護層が積層体の他方の表層であり、ただし、ヒートシールが予定される領域では第2の樹脂層が露出している。
ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンが挙げられる。これらの中でも、ヒートシール性という観点から、低密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
本発明において、高密度ポリエチレンとしては、密度が0.945g/cm3超のポリエチレンを使用することができ、中密度ポリエチレンとしては、密度が0.926g/cm3超0.945g/cm3以下のポリエチレンを使用することができ、低密度ポリエチレンとしては、密度が0.900g/cm3超0.926g/cm3以下のポリエチレンを使用することができ、直鎖状低密度ポリエチレンとしては、密度が0.900g/cm3超0.926g/cm3以下のポリエチレンを使用することができ、超低密度ポリエチレンとしては、密度が0.900g/cm3以下のポリエチレンを使用することができる。
本発明において、ポリエチレンには、エチレンと他のモノマーとの共重合体(以下「エチレン共重合体」ともいう)が包含される。本発明において、ポリエチレンにおけるエチレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、60質量%以上または70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。上記含有割合は、例えば核磁気共鳴法(NMR)により測定できる。
エチレン共重合体としては、例えば、エチレンと炭素数3以上20以下のα-オレフィンとの共重合体が挙げられる。炭素数3以上20以下のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンおよび6-メチル-1-ヘプテンが挙げられる。ポリエチレンは、エチレンと、酢酸ビニルまたはアクリル酸エステルなどとの共重合体であってもよい。
第1の樹脂層および第2の樹脂層は、それぞれ独立に、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含むことができる。このようなバイオマス由来のポリエチレンはカーボニュートラルな材料であるため、本発明の積層体作製における環境負荷を低減できる。原料モノマーとしてバイオマス由来のエチレンを用いているため、該モノマーが重合されてなるポリエチレンは、バイオマス由来となる。ポリエチレンの原料モノマーは、バイオマス由来のエチレンを100質量%含むものでなくてもよい。
バイオマス由来のポリエチレンの原料モノマーは、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα-オレフィンをさらに含んでいてもよく、バイオマス由来のα-オレフィンをさらに含んでいてもよい。
第1の樹脂層および第2の樹脂層に含まれるポリエチレン中のバイオマス由来のエチレン濃度(以下「バイオマス度」ともいう)は、好ましくは10%以上である。
「バイオマス度」とは、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値である。大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物(例えばトウモロコシ)中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中には、C14が殆ど含まれていないことも知られている。
したがって、ポリエチレン中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出できる。本発明において、ポリエチレン中のC14の含有量をPC14とした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioは、以下のようにして求めることができる。
bio(%)=PC14/105.5×100
本発明において、理論上、ポリエチレンの原料として、全てバイオマス由来のエチレンを用いれば、バイオマス由来のエチレン濃度は100%であり、バイオマス由来のポリエチレンのバイオマス度は100%となる。また、化石燃料由来の原料のみで製造された化石燃料由来のポリエチレン中のバイオマス由来のエチレン濃度は0%であり、化石燃料由来のポリエチレンのバイオマス度は0%となる。
バイオマス由来のエチレンは、バイオマス由来のエタノールを原料として製造できる。特に、植物原料から得られるバイオマス由来の発酵エタノールを用いることが好ましい。植物原料としては、従来公知の植物を用いることができ、例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビートおよびマニオクが挙げられる。
本発明において、バイオマス由来の発酵エタノールとは、植物原料より得られる炭素源を含む培養液にエタノールを生産する微生物またはその破砕物由来産物を接触させ、生産した後、精製されたエタノールを指す。培養液からのエタノールの精製は、蒸留、膜分離および抽出などの従来公知の方法が適用可能である。例えば、ベンゼン、シクロヘキサンなどを添加し、共沸させるか、または膜分離などにより水分を除去するなどの方法が挙げられる。
エタノールの脱水反応によりエチレンを得る際には、通常は触媒が用いられる。触媒としては、従来公知の触媒を用いることができる。プロセス上有利な反応形態は、触媒と生成物との分離が容易な固定床流通反応であり、例えば、γ-アルミナなどが好ましい。
この脱水反応は吸熱反応であるため、通常は加熱条件で行う。商業的に有用な反応速度で反応が進行すれば、加熱温度は特に限定されないが、好ましくは100℃以上、より好ましくは250℃以上、さらに好ましくは300℃以上の温度が適当である。上限も特に限定されないが、エネルギー収支および設備の観点から、好ましくは500℃以下、より好ましくは400℃以下である。
反応圧力も特に限定されないが、後続の気液分離を容易にするため常圧以上の圧力が好ましい。工業的には触媒の分離の容易な固定床流通反応が好適であるが、液相懸濁床、流動床などでもよい。
エタノールの脱水反応において、原料として供給されるエタノール中に含まれる水分量によって反応の収率が左右される。一般的に、脱水反応を行う場合、水の除去効率を考えると水が無いほうが好ましい。しかしながら、固体触媒を用いたエタノールの脱水反応の場合、水が存在しないと他のオレフィン、特にブテンの生成量が増加する傾向にあることが判明した。恐らく、少量の水が存在しないと脱水後のエチレン二量化を押さえることができないためと推察される。許容される水の含有量の下限は、好ましくは0.1質量%、より好ましくは0.5質量%である。許容される水の含有量の上限は、特に限定されないが、物質収支上および熱収支の観点から、好ましくは50質量%、より好ましくは30質量%、さらに好ましくは20質量%である。
このようにしてエタノールの脱水反応を行うことによりエチレン、水および少量の未反応エタノールの混合物が得られる。常温において約5MPa以下ではエチレンは気体であるため、これらの混合物から気液分離により水およびエタノールを除きエチレンを得ることができる。この方法は公知の方法で行えばよい。
気液分離により得られたエチレンは、さらに蒸留され、このときの操作圧力が常圧以上であること以外は、蒸留方法、操作温度および滞留時間などは特に制約されない。
原料がバイオマス由来のエタノールの場合、得られるエチレンには、エタノール発酵工程で混入した不純物であるケトン、アルデヒドおよびエステルなどのカルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガスや、酵素の分解物・夾雑物であるアミンおよびアミノ酸などの含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアなどが極微量含まれる。エチレンの用途によっては、これらの極微量の不純物が問題となるおそれがあるので、該不純物を精製により除去してもよい。精製は、従来公知の方法により行うことができる。好適な精製操作としては、例えば、吸着精製法が挙げられる。この方法で用いる吸着剤としては、従来公知の吸着剤を用いることができる。例えば、高表面積の材料が好ましく、吸着剤の種類としては、バイオマス由来のエタノールの脱水反応により得られるエチレン中の不純物の種類・量に応じて選択される。
エチレン中の不純物の精製方法として、苛性水処理を併用してもよい。苛性水処理をする場合、吸着精製前に行うことが好ましい。その場合、苛性処理後、吸着精製前に水分除去処理を施す必要がある。
第1の樹脂層および第2の樹脂層は、それぞれ独立に、メカニカルリサイクルによりリサイクルされたポリエチレンを含むこともできる。メカニカルリサイクルとは、一般に、回収されたポリエチレンフィルムなどを粉砕し、アルカリ洗浄してフィルム表面の汚れ、異物を除去した後、高温・減圧下で一定時間乾燥してフィルム内部に留まっている汚染物質を拡散させ除染を行い、ポリエチレンからなるフィルムの汚れを取り除き、再びポリエチレンに戻す方法である。
第1の樹脂層および第2の樹脂層は、それぞれ独立に、添加剤を含むことができる。添加剤としては、例えば、架橋剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、滑(スリップ)剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料および改質用樹脂が挙げられる。
一実施形態において、第1の樹脂層および第2の樹脂層は、それぞれ独立に、多層構造を有する。多層構造としては、例えば、中密度ポリエチレンを含む層、中密度ポリエチレンを含む層、および中密度ポリエチレンを含む層を備える構造が挙げられる。
一実施形態において、第1の樹脂層および第2の樹脂層は、それぞれ独立に、ポリエチレンにより構成されるフィルムである。該フィルムは、延伸フィルムであってもよく、未延伸フィルムであってもよい。該フィルムは、ヒートシール性という観点から、未延伸フィルムであることが好ましい。
第1の樹脂層および第2の樹脂層は、それぞれ独立に、その表面に表面処理が施されていてもよい。これにより、隣接する層との密着性を向上できる。表面処理の方法としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスおよび/または窒素ガスなどを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的処理、ならびに化学薬品を用いた酸化処理などの化学的処理が挙げられる。
第1の樹脂層および第2の樹脂層表面に、それぞれ独立に、従来公知のアンカーコート剤を用いて、アンカーコート層を形成してもよい。
第1の樹脂層および第2の樹脂層の厚さは、それぞれ独立に、好ましくは30μm以上150μm以下、より好ましくは50μm以上120μm以下である。上記厚さが30μm以上であると、そのヒートシール性をより向上できる。上記厚さが150μm以下であると、積層体の加工適性を向上できる。
一実施形態において、第1の樹脂層および第2の樹脂層は、それぞれ独立に、ポリエチレンを少なくとも含む樹脂組成物を、Tダイ法またはインフレーション法などを利用してフィルム化することにより作製できる。第1の樹脂層および第2の樹脂層は、それぞれ、例えば、後述する溶融押出ポリエチレン層または接着剤層を介して積層できる。
<基材>
基材は、ポリエチレンにより構成される。
ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンが挙げられる。これらの中でも、基材の強度および耐熱性という観点から、高密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンが好ましく、基材の延伸適性という観点から、中密度ポリエチレンがより好ましい。
基材は、バイオマス由来のポリエチレンを含むことができる。基材に含まれるポリエチレン中のバイオマス由来のエチレン濃度(バイオマス度)は、好ましくは10%以上である。基材は、メカニカルリサイクルによりリサイクルされたポリエチレンを含むこともできる。
基材は、上記添加剤を含むことができる。
一実施形態において、基材は、多層構造を有する。多層構造としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンにより構成される層、高密度ポリエチレンにより構成される層、および直鎖状低密度ポリエチレンにより構成される層を備える構造が挙げられる。
一実施形態において、基材は、ポリエチレンにより構成されるフィルムである。該フィルムは、延伸フィルムであってもよく、未延伸フィルムであってもよい。
一実施形態において、基材は、その表面に上記表面処理が施されていてもよい。これにより、隣接する層との密着性を向上できる。一実施形態において、基材表面に、従来公知のアンカーコート剤を用いて、アンカーコート層を形成してもよい。
基材の厚さは、好ましくは10μm以上100μm以下、より好ましくは20μm以上70μm以下である。基材の厚さが10μm以上であると、その強度および耐熱性をより向上できる。基材の厚さが100μm以下であると、積層体の加工適性を向上できる。
一実施形態において、基材は、ポリエチレンを少なくとも含む樹脂組成物を、Tダイ法またはインフレーション法などを利用してフィルム化することにより作製できる。
<蒸着膜>
本発明の積層体は、基材の少なくとも一方の面上に蒸着膜を備える。これにより、積層体のガスバリア性、具体的には、酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上できる。蒸着膜は、本発明の積層体を用いて作製されるチューブ容器本体の意匠性を向上できることから、基材の第2の樹脂層側の面上に設けられていることが好ましい。
蒸着膜は、金属により構成される蒸着膜であってもよく、無機酸化物により構成される蒸着膜であってもよい。本発明の積層体を用いて作製されるチューブ容器本体などに光沢感を付与でき、その意匠性を向上できることから、金属により構成される蒸着膜(以下「金属蒸着膜」ともいう)が好ましい。
金属としては、例えば、アルミニウム、クロム、スズ、ニッケル、銅、銀、金およびプラチナが挙げられる。無機酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウムおよび酸化バリウムが挙げられる。
蒸着膜は、その表面に上記表面処理が施されていることが好ましい。これにより、隣接する層との密着性を向上できる。
蒸着膜の厚さは、好ましくは1nm以上150nm以下、より好ましくは5nm以上60nm以下である。上記厚さが1nm以上であると、積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上でき、金属蒸着膜の場合には、より高い光沢感を付与できる。上記厚さが150nm以下であると、蒸着膜におけるクラックの発生を抑制でき、また、積層体のリサイクル性を維持できる。
基材上への蒸着膜の形成は、従来公知の方法を用いて行うことができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法およびイオンプレーティング法などの物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、ならびにプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法および光化学気相成長法などの化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)が挙げられる。例えば、物理気相成長法および化学気相成長法の両者を併用して、異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる複合膜を形成して使用することもできる。
蒸着チャンバーの真空度としては、酸素導入前においては、10-2~10-8mbar程度が好ましく、酸素導入後においては、10-1~10-6mbar程度が好ましい。酸素導入量などは、蒸着機の大きさなどによって異なる。導入する酸素には、キャリヤーガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガスおよび窒素ガスなどの不活性ガスを支障のない範囲で使用してもよい。基材の搬送速度は、例えば、10m/min以上800m/min以下である。
<バリアコート層>
一実施形態において、本発明の積層体は、基材上であって、蒸着膜下または蒸着膜上にバリアコート層を備える。これにより、積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上できる。
一実施形態において、バリアコート層は、ガスバリア性樹脂を含む。ガスバリア性樹脂としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル;ナイロン6、ナイロン6,6およびポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などのポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ならびに(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。これらの中でも、酸素バリア性および水蒸気バリア性という観点から、ポリビニルアルコールが好ましい。蒸着膜が無機酸化物により構成される場合、上記実施形態のバリアコート層にポリビニルアルコールを含有させることにより、蒸着膜におけるクラックの発生を効果的に抑制できる。
バリアコート層におけるガスバリア性樹脂の含有量は、好ましくは50質量%以上95質量%以下、より好ましくは75質量%以上90質量%以下である。上記含有量が50質量%以上であると、積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上できる。
バリアコート層は、上記添加剤を含むことができる。
バリアコート層の厚さは、好ましくは0.01μm以上10μm以下、より好ましくは0.1μm以上5μm以下である。上記厚さが0.01μm以上であると、積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上できる。上記厚さが10μm以下であると、積層体のリサイクル性を維持できる。
バリアコート層は、例えば、上記材料を水または適当な有機溶剤に溶解または分散させ、得られた塗工液を塗布、乾燥することにより形成できる。バリアコート層は、例えば、市販のバリアコート剤を塗布、乾燥することによっても形成できる。
他の実施形態において、バリアコート層は、金属アルコキシドと水溶性高分子とを含む組成物を、ゾルゲル法触媒、水および有機溶剤などの存在下で、ゾルゲル法によって重縮合処理して形成されたガスバリア性塗布膜である。蒸着膜が無機酸化物により構成される場合、上記実施形態のバリアコート層を蒸着膜と隣接するように設けることにより、蒸着膜におけるクラックの発生を効果的に抑制できる。
一実施形態において、金属アルコキシドは、下記一般式で表される。
1 nM(OR2m
式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、炭素数1以上8以下の有機基であり、Mは金属原子であり、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mはMの原子価を表す。
1およびR2で表される有機基としては、例えば、炭素数1以上8以下のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基およびイソブチル基が挙げられる。金属原子Mとしては、例えば、珪素、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムが挙げられる。
上記一般式を満たす金属アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン(Si(OCH34)、テトラエトキシシラン(Si(OC254)、テトラプロポキシシラン(Si(OC374)およびテトラブトキシシラン(Si(OC494)が挙げられる。
上記金属アルコキシドと共に、シランカップリング剤を使用することが好ましい。シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができ、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好ましい。エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランとしては、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランおよびβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。シランカップリング剤は、金属アルコキシド100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下で使用することが好ましい。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコールおよびエチレン-ビニルアルコール共重合体が好ましく、酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐水性および耐候性という観点から、これらを併用することが好ましい。
上記組成物における水溶性高分子の含有量は、金属アルコキシド100質量部に対して、好ましくは5質量部以上500質量部以下である。上記含有量が5質量部以上であると、積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上できる。上記含有量が500質量部以下であると、上記組成物の製膜性をより向上できる。
ゾルゲル法触媒としては、酸またはアミン系化合物が好ましい。
アミン系化合物としては、水に実質的に不溶であり、且つ有機溶剤に可溶な第3級アミンが好ましく、例えば、N,N-ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンおよびトリペンチルアミンが挙げられる。これらの中でも、N,N-ジメチルベンジルアミンが好ましい。
アミン系化合物の使用量は、金属アルコキシド100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上1.0質量部以下、より好ましくは0.03質量部以上0.3質量部以下である。上記使用量が0.01質量部以上であると、その触媒効果を向上できる。上記使用量が1.0質量部以下であると、ガスバリア性塗布膜の厚さを均一にできる。
酸は、ゾルゲル法触媒、主として金属アルコキシドやシランカップリング剤などの加水分解のための触媒として好適に用いられる。酸としては、例えば、硫酸、塩酸および硝酸などの鉱酸、ならびに酢酸および酒石酸などの有機酸が挙げられる。
酸の使用量は、金属アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総量1モルに対して、好ましくは0.001モル以上0.05モル以下である。酸の使用量が上記総量1モルに対して0.001モル以上であると、その触媒効果を向上できる。酸の使用量が上記総量1モルに対して0.05モル以下であると、ガスバリア性塗布膜の厚さを均一にできる。
上記組成物は、アルコキシドの総量1モルに対して、好ましくは0.1モル以上100モル以下、より好ましくは0.8モル以上2モル以下の量の水を含んでなることが好ましい。水の含有量が上記総量1モルに対して0.1モル以上であると、積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上できる。水の含有量が上記総量1モルに対して100モル以下であると、加水分解反応を速やかに行うことができる。
上記組成物は、有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコールおよびn-ブタノールが挙げられる。
ガスバリア性塗布膜の厚さは、好ましくは0.01μm以上100μm以下、より好ましくは0.1μm以上50μm以下である。これにより、積層体のリサイクル性を維持しつつ、酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上できる。また、無機酸化物により構成される蒸着膜と隣接するようにガスバリア性塗布膜を設けた場合、蒸着膜におけるクラックの発生を抑制できる。
ガスバリア性塗布膜は、例えば、上記材料を含む組成物を、グラビアロールコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコードおよびアプリケータなどの従来公知の方法により塗布し、該組成物をゾルゲル法により重縮合処理することにより形成できる。
以下、ガスバリア性塗布膜の形成方法の一実施形態について説明する。
まず、金属アルコキシド、水溶性高分子、ゾルゲル法触媒、水、有機溶剤および必要に応じてシランカップリング剤などを混合し、組成物を調製する。該組成物中では次第に重縮合反応が進行する。
次いで、例えば、基材上に、上記従来公知の方法により、上記組成物を塗布、乾燥する。この乾燥により、金属アルコキシドおよび水溶性高分子(上記組成物がシランカップリング剤を含む場合は、シランカップリング剤も)の重縮合反応がさらに進行し、複合ポリマーの層が形成される。
最後に、上記組成物を好ましくは20℃以上250℃以下、より好ましくは50℃以上220℃以下の温度で、好ましくは1秒以上10分以下で加熱する。これにより、ガスバリア性塗布膜を形成できる。
<ガスバリア性樹脂層>
本発明の積層体は、ガスバリア性樹脂層を備える。ガスバリア性樹脂層は、ガスバリア性樹脂を含む。これにより、積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上できる。
ガスバリア性樹脂層は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。ガスバリア性樹脂層が多層構造を有する場合、その少なくとも一層がガスバリア性樹脂を含む。一実施形態において、多層構造のガスバリア性樹脂層は、第1のポリエチレン樹脂層と、第1の接着剤層と、ガスバリア性樹脂を含む層と、第2の接着剤層と、第2のポリエチレン樹脂層とを備える。
接着剤層については後述する。
第1のポリエチレン樹脂層および第2のポリエチレン樹脂層に含まれるポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンが挙げられる。
第1のポリエチレン樹脂層および第2のポリエチレン樹脂層は、それぞれ独立に、バイオマス由来のポリエチレンを含むことができる。ポリエチレン中のバイオマス由来のエチレン濃度(バイオマス度)は、好ましくは10%以上である。第1のポリエチレン樹脂層および第2のポリエチレン樹脂層は、それぞれ独立に、メカニカルリサイクルによりリサイクルされたポリエチレンを含むこともできる。
第1のポリエチレン樹脂層および第2のポリエチレン樹脂層は、それぞれ独立に、上記添加剤を含むことができる。
ガスバリア性樹脂としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル;ナイロン6、ナイロン6,6およびポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などのポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ならびに(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
ガスバリア性樹脂層は、相溶化剤を含むことが好ましい。ガスバリア性樹脂層が多層構造を有する場合、2層以上の層が相溶化剤を含んでいてもよい。ガスバリア性樹脂層が相溶化剤を含むことにより、本発明の積層体を用いて作製したチューブ容器本体を加熱溶融し、リサイクルする際において、ガスバリア性樹脂層に含まれるガスバリア性樹脂と、基材等に含まれるポリエチレンとが、均一に混ざり合う。これにより、その物性が低下してしまうことを効果的に抑制できる。また、その透明性が低下してしまうことを効果的に抑制できる。
相溶化剤は、従来公知のものを適宜選択し、使用できるが、リサイクル性の観点から、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィンが好ましく、無水マレイン酸変性ポリエチレンがより好ましい。
ガスバリア性樹脂層全体における相溶化剤の含有量は、好ましくは5質量%以上20質量%以下である。上記含有量が5質量%以上であると、上述の物性低下および透明性低下をより効果的に抑制できる。上記含有量が20質量%以下であると、ガスバリア性樹脂層の成形性を向上でき、また、本発明の積層体をリサイクルして得られる樹脂を用いて作製されるフィルムの強度低下を抑制できる。
ガスバリア性樹脂層は、ガスバリア性樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。このような樹脂としては、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;(メタ)アクリル樹脂;ビニル樹脂;ならびにセルロール樹脂が挙げられる。これらの中でも、基材等との密着性および積層体のリサイクル性という観点から、ポリエチレンが好ましい。
ガスバリア性樹脂層は、上記添加剤を含むことができる。
一実施形態において、ガスバリア性樹脂層は、フィルムである。該フィルムは、延伸フィルムであってもよく、未延伸フィルムであってもよい。該フィルムは、積層体の強度という観点から、好ましくは延伸フィルムである。延伸フィルムは、一軸延伸フィルムであってもよく、二軸延伸フィルムであってもよい。
ガスバリア性樹脂層は、その表面に上記表面処理が施されていることが好ましい。これにより、隣接する層との密着性を向上できる。
ガスバリア性樹脂層が単層構造を有する場合、その厚さは、好ましくは10μm以上30μm以下、より好ましくは15μm以上20μm以下である。上記厚さが10μm以上であると、積層体のガスバリア性をより向上できる。上記厚さが30μm以下であると、積層体のリサイクル性を向上できる。
ガスバリア性樹脂層が多層構造を有する場合、ガスバリア性樹脂を含む層の厚さは、好ましくは10μm以上100μm以下、より好ましくは10μm以上80μm以下である。上記厚さが10μm以上であると、積層体のガスバリア性をより向上できる。上記厚さが100μm以下であると、積層体のリサイクル性をより向上できる。
一実施形態において、ガスバリア性樹脂層は、ガスバリア性樹脂を少なくとも含む樹脂組成物を、Tダイ法またはインフレーション法などを利用してフィルム化することにより作製できる。ガスバリア性樹脂層と基材等との積層は、後述する溶融押出ポリエチレン層または接着剤層などを介して行うことができる。
<溶融押出ポリエチレン層>
一実施形態において、本発明の積層体は、任意の層間、例えば、第2の樹脂層と基材との間、基材とガスバリア性樹脂層との間、およびガスバリア性樹脂層と第1の樹脂層との間から選ばれる1つ以上に、溶融押出ポリエチレン層を備えることができる。
溶融押出ポリエチレン層に含まれるポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンが挙げられる。これらの中でも、層間密着性という観点から、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンが好ましい。
溶融押出ポリエチレン層は、バイオマス由来のポリエチレンを含むことができる。溶融押出ポリエチレン層に含まれるポリエチレン中のバイオマス由来のエチレン濃度(バイオマス度)は、好ましくは10%以上である。溶融押出ポリエチレン層は、メカニカルリサイクルによりリサイクルされたポリエチレンを含むこともできる。
溶融押出ポリエチレン層は、上記添加剤を含むことができる。
溶融押出ポリエチレン層の厚さは、好ましくは5μm以上30μm以下、より好ましくは10μm以上20μm以下である。上記厚さが5μm以上であると、層間密着性をより向上できる。上記厚さが30μm以下であると、積層体の生産コストを低減できると共に、その生産性を向上できる。
溶融押出ポリエチレン層は、例えば、ポリエチレンを少なくとも含む樹脂組成物を、基材等の上に溶融押出することにより形成できる。
<接着剤層>
一実施形態において、本発明の積層体は、任意の層間、例えば、第2の樹脂層と基材との間、基材とガスバリア性樹脂層との間、およびガスバリア性樹脂層と第1の樹脂層との間から選ばれる1つ以上に、接着剤層を備えることができる。
本発明の積層体は、ガスバリア性樹脂層が多層構造を有する場合、該多層構造を構成する層として、上述したように、接着剤層を備えることができる。
接着剤層は、例えば、従来公知の接着剤により形成できる。接着剤は、1液硬化型もしくは2液硬化型、または非硬化型のいずれの接着剤であってもよい。
接着剤は、無溶剤型の接着剤であってもよく、溶剤型の接着剤であってもよいが、環境負荷の観点から、無溶剤型の接着剤が好ましい。
無溶剤型の接着剤としては、例えば、ポリエーテル系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤およびウレタン系接着剤が挙げられる。これらの中でも、2液硬化型のウレタン系接着剤を好ましい。
溶剤型の接着剤としては、例えば、ゴム系接着剤、ビニル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤、フェノール系接着剤およびオレフィン系接着剤が挙げられる。
接着剤層をアルミニウム蒸着膜に隣接して設ける場合、より具体的には、積層体が基材上にアルミニウム蒸着膜を備える場合であって、アルミニウム蒸着膜と第2の樹脂層との間に接着剤層を設ける場合、接着剤層は、ポリエステルポリオールとイソシアネート化合物とを含む樹脂組成物の硬化物からなることが好ましい。
蒸着膜を備える積層体を形成する際には、成形機などにより積層体に屈曲負荷がかかるため、アルミニウム蒸着膜に亀裂などが生じる恐れがある。接着剤層を上記した構成とすることにより、アルミニウム蒸着膜における亀裂の発生を抑制できると共に、亀裂が生じた場合であっても、酸素バリア性および水蒸気バリア性の低下を抑制できる(耐屈曲負荷性)。
ポリエステルポリオールは、官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する。ポリエステルポリオールは、主骨格として、例えば、ポリエステル構造またはポリエステルポリウレタン構造を有する。イソシアネート化合物は、官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有する。
ポリエステルポリオールとイソシアネート化合物とを含む樹脂組成物(接着剤)の具体例としては、例えば、DIC株式会社から販売されている、パスリム(PASLIM)のシリーズが使用できる。
上記樹脂組成物は、リン酸変性化合物、板状無機化合物、カップリング剤、シクロデキストリン、およびシクロデキストリンの誘導体から選ばれる少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
接着剤層は、酸化チタン、亜鉛華およびカーボンブラックなどの顔料;分散染料、酸性染料およびカチオン染料などの染料;酸化防止剤、滑剤、着色剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、凝固剤、ゲル化剤、沈降防止剤、軟化剤、硬化剤、可塑剤、レベリング剤、紫外線吸収剤ならびに難燃剤などの添加剤を含むことができる。
接着剤層の厚さは、例えば、1μm以上5μm以下である。
<印刷層>
本発明の積層体は、印刷層を備える。印刷層は、画像により構成される。
画像としては、例えば、文字、図形、記号、模様およびこれらの組合せが挙げられる。
一実施形態において、印刷層は、それぞれ着色剤を含む、熱可塑性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物およびエネルギー線硬化性樹脂組成物などの印刷層用組成物を用いて形成される。具体的には、印刷層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の硬化物またはエネルギー線硬化性樹脂の硬化物と、着色剤とを含む。
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂および着色剤を含む。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、アセタール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロース樹脂、石油樹脂およびフッ素樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物は、上記添加剤を含むことができる。
熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂および着色剤、必要に応じて硬化剤を含み、加熱により硬化する組成物である。一実施形態において、熱硬化性樹脂組成物は、いわゆる熱硬化型インキである。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、熱硬化性ポリウレタンおよびシリコーン樹脂;ならびにポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレートおよびトリアジン系(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル系熱硬化性樹脂が挙げられる。硬化剤としては、例えば、エポキシ系硬化剤およびイソシアネート系硬化剤が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物は、上記添加剤を含むことができる。
エネルギー線硬化性樹脂組成物は、エネルギー線硬化性官能基を有する化合物(以下「エネルギー線硬化性化合物」ともいう)および着色剤を含み、エネルギー線照射により硬化する組成物である。一実施形態において、エネルギー線硬化性樹脂組成物は、いわゆる紫外線硬化型インキであり、好ましくは(メタ)アクリル系紫外線硬化型インキである。
エネルギー線としては、例えば、紫外線、赤外線、X線およびγ線等の電磁波;ならびに電子線、プロトン線および中性子線等の荷電粒子線が挙げられる。これらの中でも、硬化速度、照射源の入手のし易さおよび価格という観点から、紫外線が好ましい。紫外線照射源としては、例えば、水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライド、LEDが挙げられる。紫外線の照射量は、例えば、5mJ/cm2以上5,000mJ/cm2以下である。
エネルギー線硬化性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基およびアリル基等のエチレン性不飽和基;ならびにエポキシ基およびオキセタニル基が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、エチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられ、エチレン性不飽和基を2つ以上有する化合物が好ましく、多官能性(メタ)アクリレート化合物が好ましい。多官能性(メタ)アクリレート化合物としては、モノマーおよびオリゴマーのいずれも用いることができる。
多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジ(メタ)アクリレートおよび1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどの2官能(メタ)アクリレートモノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートおよびイソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレートなどの3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。多官能性(メタ)アクリレートモノマーのエネルギー線硬化性官能基数は、好ましくは2以上6以下、より好ましくは2以上3以下である。
多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、分子骨格の一部が変性されていてもよく、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトンおよびイソシアヌル酸等による変性がなされたモノマーを使用することができる。
多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートおよびポリエーテル(メタ)アクリレートが挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合、エネルギー線硬化性組成物(紫外線硬化性樹脂組成物)は、光重合開始剤および光重合促進剤から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエートおよびα-アシルオキシムエステルが挙げられる。
光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができる成分であり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステルおよびp-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルが挙げられる。
エネルギー線硬化性樹脂組成物は、上記添加剤を含むことができる。
着色剤としては、例えば、顔料および染料が挙げられる。顔料としては、具体的には、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、酸化鉄、鉄黄、群青、メタリック顔料、パール顔料および蛍光顔料が挙げられる。印刷層は、高い金属光沢感を有する高輝度層であってもよい。
印刷層用組成物は、塗布性等を向上させるという観点から、有機溶剤または水を含むことができる。有機溶剤としては、例えば、トルエンおよびキシレン等の炭化水素類;アセトンおよびメチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、セロソルブアセテートおよびブチルセロソルブアセテート等のエステル類;プロパノール等のアルコール類が挙げられる。
例えば、印刷層用組成物を、第2の樹脂層上に塗布および乾燥し、続いて、熱硬化性樹脂組成物の場合は硬化に必要な温度で加熱し、エネルギー線硬化性樹脂組成物の場合はエネルギー線を照射することにより、印刷層を形成できる。印刷層用組成物が有機溶剤または水を含まない場合は、乾燥は不要である。
印刷層の印刷方法としては、例えば、活版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷および熱転写印刷が挙げられる。印刷層を活版印刷またはフレキソ印刷により形成する場合、エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましく、紫外線硬化性樹脂組成物を用いることがより好ましい。
一実施形態において、印刷層は、昇華性染料を含む。この実施形態の印刷層は、例えば、熱転写シートを用いた昇華転写印刷により形成できる。
印刷層の厚さは、例えば、0.01μm以上30μm以下、好ましくは0.5μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上5μm以下である。
<印刷保護層>
本発明の積層体は、例えば、印刷層の耐擦傷性および耐候性を良好にするために、印刷層上に印刷保護層を備える。本発明の積層体は、印刷層の全領域を覆う印刷保護層を備えることが好ましい。印刷層の視認性という観点から、印刷保護層は、可視光領域において透明性を有することが好ましく、無色透明であることがより好ましい。
一実施形態において、印刷保護層は、熱可塑性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物およびエネルギー線硬化性樹脂組成物などの印刷保護層用組成物を用いて形成される。具体的には、印刷層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の硬化物またはエネルギー線硬化性樹脂の硬化物を含む。これらの中でも、耐擦傷性および耐候性を向上できるという観点から、印刷保護層は、熱硬化性樹脂の硬化物またはエネルギー線硬化性樹脂の硬化物を含むことが好ましく、エネルギー線硬化性樹脂の硬化物を含むことがより好ましい。印刷保護層の全樹脂成分における上記硬化物の割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂の具体例は、上述したとおりである。熱可塑性樹脂組成物は、上記添加剤を含むことができる。
熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂、必要に応じて硬化剤を含み、加熱により硬化する組成物である。一実施形態において、熱硬化性樹脂組成物は、いわゆる熱硬化型ニスである。熱硬化性樹脂および硬化剤の具体例は、上述したとおりである。熱硬化性樹脂組成物は、上記添加剤を含むことができる。
エネルギー線硬化性樹脂組成物は、エネルギー線硬化性化合物、必要に応じて光重合開始剤および光重合促進剤から選ばれる少なくとも1種を含み、エネルギー線照射により硬化する組成物である。一実施形態において、エネルギー線硬化性樹脂組成物は、いわゆる紫外線硬化型ニスであり、好ましくは(メタ)アクリル系紫外線硬化型ニスである。エネルギー線硬化性化合物、光重合開始剤および光重合促進剤の具体例は、上述したとおりである。エネルギー線硬化性樹脂組成物は、上記添加剤を含むことができる。
印刷保護層用組成物は、塗布性等を向上させるという観点から、有機溶剤または水を含むことができる。有機溶剤の具体例は、上述したとおりである。
例えば、印刷保護層用組成物を、積層体前駆体の印刷層面上に塗布および乾燥し、続いて、熱硬化性樹脂組成物の場合は硬化に必要な温度で加熱し、エネルギー線硬化性樹脂組成物の場合はエネルギー線を照射することにより、印刷保護層を形成できる。印刷保護層用組成物が有機溶剤または水を含まない場合は、乾燥は不要である。
印刷保護層の印刷方法としては、例えば、活版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷および熱転写印刷が挙げられる。印刷保護層を活版印刷またはフレキソ印刷により形成する場合、エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましく、紫外線硬化性樹脂組成物を用いることがより好ましい。
印刷保護層の厚さは、好ましくは0.5μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上10μm以下である。これにより、例えば、積層体の耐擦傷性および耐候性を向上できる。
一実施形態において、本発明では、ヒートシール性を有する第1の樹脂層と、ガスバリア性樹脂層と、基材と、ヒートシール性を有する第2の樹脂層とを備え、基材の少なくとも一方の面上に蒸着膜を備える積層物を製造したのち、所定の間隔をあけて、積層物の流れ方向に積層物を切断する。これにより、長尺の積層物が複数得られる。次いで、切断された各々の積層物上に印刷層および印刷保護層を形成する。印刷層および印刷保護層が積層体の最外層側に形成されることから、このような方法が可能である。上記方法によれば、様々な流れ寸法・巾寸法で対応可能であり、また印刷層を備える積層体をそれぞれ小ロットで生産できる。また、積層物を高速で製造できることから、積層体の生産性を向上できる。
[チューブ容器本体]
本発明のチューブ容器本体は、上記積層体を備える。
以下、本発明のチューブ容器本体について図面を参照しながら説明する。図4は、チューブ容器20の構成を簡略的に示す図であり、図5は、図4のA-A断面図である。図4に示すように、チューブ容器本体21は、頭部22と、胴部23とを備え、該胴部23が本発明の積層体により構成される。
<頭部>
頭部22は、胴部23の一端に連接した肩部24と、肩部24に連接した抽出口部25とを備える。一実施形態において、注出口部25は、キャップ26を螺合するための螺条27を備える。
一実施形態において、頭部は、ポリエチレンを含む樹脂組成物により構成される。これにより、チューブ容器本体のリサイクル性を向上できる。ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンが挙げられる。これらの中でも、保型性、成型性という観点から、高密度ポリエチレンが好ましい。
上記樹脂組成物は、バイオマス由来のポリエチレンおよびメカニカルリサイクルによりリサイクルされたポリエチレンから選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
上記樹脂組成物は、上記添加剤を含むことができる。
頭部は、従来公知の方法により製造できる。例えば、圧縮成形法(コンプレッション成形法)や射出成形法(インジェクション成形法)により頭部を製造すると共に、胴部と接合させることができる。
圧縮成形法(コンプレッション成形法)を用いてチューブ容器本体を製造する場合、上部に凸部を有する雄型に胴部を装着した後、雄型と雌型とを対向させ、溶融した樹脂組成物を雌雄内に供給し、圧縮成形して頭部を成形すると共に、頭部を胴部の一方の開口に接合させることにより、頭部と胴部とを備えるチューブ容器本体を製造できる。
射出成形法(インジェクション成形法)を用いてチューブ容器本体を製造する場合、上部に凸部を有する雄型に胴部を装着した後、雄型と雌型とを対向させ、ゲートから溶融した樹脂組成物を供給し、射出成形して頭部を成形すると共に、頭部を胴部の一方の開口に接合させることにより、頭部と胴部とを備えるチューブ容器本体を製造できる。
<胴部>
本発明のチューブ容器本体21において、胴部23は、頭部22の肩部24に連接されている。胴部23は、例えば、本発明の積層体の一方の端部の第1の樹脂層側表面と、他方の端部の第2の樹脂層側表面とが接するように重ね合わせて筒状に丸め、重ね合わされた部分をヒートシールすることにより形成された溶着部28を備える。胴部23は、例えば、筒状に丸めた積層体の開口部をヒートシールすることにより形成された底シール部29を備える。
ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シールおよび火炎シールなどの従来公知の方法が挙げられる。
一実施形態において、本発明の積層体の一方の端部の第1の樹脂層側表面と、他方の端部の第2の樹脂層側表面とが接するように重ね合わせて筒状に丸め、重ね合わされた部分をヒートシールすることにより、筒状の胴部を製造する。ヒートシール性という観点から、重ね合わせた一方の端部が第1の樹脂層であり、他方の端部が第2の樹脂層であることが好ましい。この場合、第1の樹脂層と第2の樹脂層とが溶融して接合され、溶着部が形成される。
したがって、第2の樹脂層において、チューブ容器本体の胴部を形成する際にヒートシールが予定される領域には、印刷層および印刷保護層が形成されていないことが好ましい。これにより、本発明の積層体を用いて筒状の胴部を形成する際に、上記領域において良好にヒートシールできる。
なお、上記では溶着部は、重ね合わせにより形成されるが、積層体の両端部の同一表面を突き合わせて、第1の樹脂層同士をヒートシールして接合してもよい。この場合は、積層体の両端部において、第2の樹脂層上に、印刷層および印刷保護層が形成されていてもよい。またこの場合は、胴部の外面側に、当該接合部を覆うようにして接合用テープが貼付されていてもよい。積層体において接合用テープを貼り合わせる箇所には、印刷層および印刷保護層を設けないことが好ましい。接合用テープは、上記胴部の内面および外面の両方に設けられていてもよい。
[チューブ容器]
以下、本発明のチューブ容器について図面を参照しながら説明する。図4に示すように、本発明のチューブ容器20は、チューブ容器本体21と、頭部22に装着されるキャップ26とを備える。
<チューブ容器本体>
チューブ容器本体については上述したため、ここでは記載を省略する。
<キャップ>
キャップは、頭部の抽出口部に着脱可能に装着され、抽出口部を閉鎖する役割を担う。
一実施形態において、キャップは、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物により構成される。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリエステル;セルロース樹脂;ビニル樹脂が挙げられる。リサイクル性という観点から、ポリエチレンが特に好ましい。ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンが挙げられる。これらの中でも、保型性および開封性という観点から、高密度ポリエチレンが好ましい。
上記樹脂組成物は、バイオマス由来のポリエチレンおよびメカニカルリサイクルによりリサイクルされたポリエチレンから選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
上記樹脂組成物は、上記添加剤を含むことができる。
キャップは、図4に示すように、抽出口部25が有する螺条27に螺合するように、キャップ内面に凹溝を有するスクリュータイプのものであってもよく、また、抽出口部25に打栓することにより嵌合される打栓タイプであってもよい。
本発明は、例えば以下の[1]~[17]に関する。
[1]積層体であって、積層体が、ヒートシール性を有する第1の樹脂層と、ガスバリア性樹脂層と、基材と、ヒートシール性を有する第2の樹脂層と、印刷層と、印刷保護層とを積層体の厚さ方向にこの順に備え、積層体が、基材の少なくとも一方の面上に蒸着膜を備え、第1の樹脂層、基材および第2の樹脂層が、それぞれ、ポリエチレンにより構成される、積層体。
[2]印刷保護層が、エネルギー線硬化性樹脂の硬化物または熱硬化性樹脂の硬化物を含む、上記[1]に記載の積層体。
[3]第2の樹脂層と基材との間、基材とガスバリア性樹脂層との間、およびガスバリア性樹脂層と第1の樹脂層との間から選ばれる1つ以上に、溶融押出ポリエチレン層または接着剤層を備える、上記[1]または[2]に記載の積層体。
[4]第1の樹脂層および第2の樹脂層を構成するポリエチレンが、それぞれ独立に、低密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンから選ばれる少なくとも1種である、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の積層体。
[5]蒸着膜が、金属蒸着膜である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の積層体。
[6]第1の樹脂層および第2の樹脂層の厚さが、それぞれ独立に、30μm以上150μm以下である、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の積層体。
[7]基材の厚さが、10μm以上100μm以下である、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の積層体。
[8]蒸着膜の厚さが、1nm以上150nm以下である、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の積層体。
[9]ガスバリア性樹脂層が、第1のポリエチレン樹脂層と、第1の接着剤層と、ガスバリア性樹脂を含む層と、第2の接着剤層と、第2のポリエチレン樹脂層とを備える、上記[1]~[8]のいずれか一項に記載の積層体。
[10]ガスバリア性樹脂を含む層の厚さが、10μm以上100μm以下である、上記[9]に記載の積層体。
[11]積層体全体におけるポリエチレンの含有量が、90質量%以上である、上記[1]~[10]のいずれか一項に記載の積層体。
[12]チューブ容器本体の胴部を形成するための積層体であって、第1の樹脂層が胴部内面側のシーラント層であり、第2の樹脂層が胴部外面側のシーラント層である、上記[1]~[11]のいずれか一項に記載の積層体。
[13]第2の樹脂層において、チューブ容器本体の胴部を形成するためのヒートシールの予定領域に、印刷層および印刷保護層が形成されていない、上記[12]に記載の積層体。
[14]頭部と胴部とを備えるチューブ容器本体であって、頭部が、胴部の一端に連接した肩部と、肩部に連接した抽出口部とを備え、胴部が、上記[1]~[13]のいずれか一項に記載の積層体により構成される、チューブ容器本体。
[15]頭部が、ポリエチレンを含む樹脂組成物により構成される、上記[14]に記載のチューブ容器本体。
[16]上記[14]または[15]に記載のチューブ容器本体と、キャップとを備えるチューブ容器。
[17]キャップが、ポリエチレンを含む樹脂組成物により構成される、上記[16]に記載のチューブ容器。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
直鎖状低密度ポリエチレン1(ダウケミカル製、DOWLEX2098G、密度0.926g/cm3)と、高密度ポリエチレン(エクソンモービル製、HTA108、密度0.961g/cm3)と、直鎖状低密度ポリエチレン2(エクソンモービル製、Exceed2018HA、密度0.918g/cm3)とを、インフレーション法により共押出成膜し、基材を得た。
上記基材は、直鎖状低密度ポリエチレン1により構成される厚さ12.5μmの層と、高密度ポリエチレンにより構成される厚さ25μmの層と、直鎖状低密度ポリエチレン2により構成される厚さ12.5μmの層とを備える、総厚さ50μmの3層構造を有する(直鎖状低密度ポリエチレン1層/高密度ポリエチレン層/直鎖状低密度ポリエチレン2層)。
上記基材における直鎖状低密度ポリエチレン2により構成される層の表面に、PVD法により、厚さ20nmのアルミニウム蒸着膜を形成した。
直鎖状低密度ポリエチレン(ダウケミカル製、DOWLEX2045G、密度0.920g/cm3)と、接着性樹脂(三井化学製、アドマーNF557)と、エチレン-ビニルアルコール共重合体(クラレ製、エバールH171B、密度1.17g/cm3、エチレン含有率38mol%)と、接着性樹脂(三井化学製、アドマーNF557)と、直鎖状低密度ポリエチレン(ダウケミカル製、DOWLEX2045G、密度0.920g/cm3)とを、インフレーション法により5層共押出成膜し、ガスバリアフィルムを得た。
上記のようにして得られたガスバリアフィルムは、直鎖状低密度ポリエチレンにより構成される厚さ21.9μmの層と、接着性樹脂により構成される厚さ6.25μmの層と、エチレン-ビニルアルコール共重合体により構成される厚さ18.75μmの層と、接着性樹脂により構成される厚さ6.25μmの層と、直鎖状低密度ポリエチレンにより構成される厚さ21.9μmの層とを備える、総厚さ75μmの5層構成を有するものであった(直鎖状低密度ポリエチレン層/接着性樹脂層/エチレン-ビニルアルコール共重合体層/接着性樹脂層/直鎖状低密度ポリエチレン層)。
基材の非蒸着膜形成面(直鎖状低密度ポリエチレン層)上に、低密度ポリエチレン(住友化学製、スミカセンL705、密度:0.919g/cm3)を溶融押出し、厚さ15μmの溶融押出ポリエチレン層を形成すると共に、この溶融押出ポリエチレン層を介して、ガスバリアフィルムを積層した。
積層されたガスバリアフィルム上に、低密度ポリエチレン(住友化学製、スミカセンL705、密度:0.919g/cm3)を溶融押出し、厚さ15μmの溶融押出ポリエチレン層を形成すると共に、この溶融押出ポリエチレン層を介して、第1の樹脂層(最内層)として、3層共押で、最内層側としてダウケミカル製DOWLEX 2038.68G、及びPTT CHEMICAL製LDPE LD2420Hの混合物を、中間層としてダウケミカル製ELITE 5538G、及びPTT CHEMICAL製LDPE LD2420Fの混合物を、最外層側としてダウケミカル製DOWLEX 2038.68G、AB-MB 101820-K(合成シリカ系アンチブロッキング剤を20質量%含むマスターバッチ)を製膜し、厚さ120μmのポリエチレンフィルムを積層した。
アルミニウム蒸着膜上に、ウレタン系2液硬化型接着剤(ロックペイント製、主剤:RU-004、硬化剤:H-1)を塗布、乾燥し、厚さ3μmの接着剤層を形成すると共に、この接着剤層を介して、第2の樹脂層として、3層共押でインフレーション法により、最内層側としてEXXON CHEMICAL製ENABLE 2705MC、EXXON CHEMICAL製EXCEED 1327MA及びPTT CHEMICAL製LDPE LD2420Fの混合物を、中間層としてEXXON CHEMICAL製ENABLE 3505MC、ダウケミカル製ELITE 5860G1及びPTT CHEMICAL製LDPE LD2420Fの混合物を、最外層側としてEXXON CHEMICAL製ENABLE 2705MC、EXXON CHEMICAL製EXCEED 1327MA及びPTT CHEMICAL製LDPE LD2420Fの混合物を製膜し、厚さ75μmのポリエチレンフィルムを積層した。
第2の樹脂層上に、紫外線硬化型インキ(T&K TOKA製、UV161)を乾燥後の厚さが2μmとなるように活版印刷により塗布、乾燥した後、紫外線を照射して硬化させて、印刷層を形成した。この印刷層面に、紫外線硬化型印刷用ニス(T&K TOKA製、ベストキュア UV LTP FL OPニス)を乾燥後の厚さが3μmとなるように塗布、乾燥した後、紫外線を照射して硬化させて、印刷保護層(最外層)を形成した。ただし、後述するスリット加工により得られる積層体個片の幅方向(原反の流れ方向に対して垂直な方向)において一方の端部4.0mmの領域および他方の端部2.0mmの領域に対応する箇所には、印刷層および印刷保護層は形成しなかった。
以上のようにして、積層体を得た。
この積層体におけるポリエチレンの含有量は、92.4質量%であった。
[実施例2]
第2の樹脂層上に、紫外線硬化型インキ(T&K TOKA製、UV フレキソ CF)を乾燥後の厚さが2μmとなるようにフレキソ印刷により塗布、乾燥した後、紫外線を照射して硬化させて、印刷層を形成し、この印刷層面に、紫外線硬化型印刷用ニス(東洋インキ製、FD FL OPニス AQF4)を乾燥後の厚さが3μmとなるように塗布、乾燥した後、紫外線を照射して硬化させて、印刷保護層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、積層体を得た。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、92.4質量%であった。
[比較例1]
基材として、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡製、E5200)を用いた。基材上に、ウレタン系グラビアインキ(東洋インキ製、NEW-LPスーパー)を乾燥後の厚さが1μmとなるようにグラビア印刷により塗布、乾燥して、印刷層を形成した。
基材の印刷層面に、ウレタン系2液硬化型接着剤(ロックペイント製、主剤:RU-80、硬化剤:H-5)を塗布、乾燥し、厚さ3μmの接着剤層を形成すると共に、この接着剤層を介して、バリアフィルムとして、厚さ12μmのアルミニウム蒸着PETフィルム(東レフィルム加工製、BR-PET 1312)を積層した。ここで、アルミニウム蒸着面が最表面側を向くように、アルミニウム蒸着PETフィルムを配置した。
アルミニウム蒸着PETフィルム上に、ウレタン系2液硬化型接着剤(ロックペイント製、主剤:RU-80、硬化剤:H-5)を塗布、乾燥し、厚さ3μmの接着剤層を形成すると共に、この接着剤層を介して、第1の樹脂層として、厚さ180μmの直鎖状密度ポリエチレンフィルム(プライムポリマー製、商品名:エボリューSP2320を使用して製膜したフィルム)を積層した。
基材の非印刷層面に、ウレタン系2液硬化型接着剤(ロックペイント製、主剤:RU-80、硬化剤:H-5)を塗布、乾燥し、厚さ3μmの接着剤層を形成すると共に、この接着剤層を介して、第2の樹脂層として、厚さ130μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(プライムポリマー製、商品名:エボリューSP2320を使用して製膜したフィルム)を積層した。
以上のようにして、積層体を得た。積層体の層構成は、最内層から最外層に向けて、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム180μm/接着剤層/バリアフィルム12μm/接着剤層/印刷層/二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム12μm/接着剤層/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム130μmである。
この積層体におけるポリエチレンの含有量は、86.8質量%であった。
[比較例2]
基材として、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡製、E5200)を用いた。基材上に、ウレタン系グラビアインキ(東洋インキ製、NEW-LPスーパー)を乾燥後の厚さが1μmとなるようにグラビア印刷により塗布、乾燥して、印刷層を形成した。
基材の印刷層面に、ウレタン系2液硬化型接着剤(ロックペイント製、主剤:RU-80、硬化剤:H-5)を塗布、乾燥し、厚さ3μmの接着剤層を形成すると共に、この接着剤層を介して、バリアフィルムとして、厚さ12μmのアルミニウム蒸着PETフィルム(東レフィルム加工製、VM1310)を積層した。ここで、アルミニウム蒸着面が最表面側を向くように、アルミニウム蒸着PETフィルムを配置した。
アルミニウム蒸着PETフィルム上に、アンカーコート剤(三井化学ポリウレタン製、主剤:タケラックA3210、硬化剤:タケネートA3075、希釈溶剤:酢酸エチル)を塗布、乾燥し、アンカーコート層を形成し、該アンカーコート層上に、低密度ポリエチレン(ダウケミカル製、AGILITY EC7000)を押し出し、厚さ20μmのポリエチレン層を形成すると共に、このポリエチレン層を介して、厚さ130μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(プライムポリマー製、エボリューSP2320を使用して製膜した乳白フィルム)を積層した。低密度ポリエチレンフィルム上に、アンカーコート剤(DICG製、AC-Q.ET)を塗布、乾燥し、アンカーコート層を形成し、該アンカーコート層上に、エチレン-メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル製、ニュクレルN0908C)を押し出し、厚さ20μmの接着層を形成すると共に、この接着層を介して、厚さ10μmのアルミ箔(東洋アルミニウム製)を積層し、該バリア層上にエチレン-メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル製、ニュクレルN0908C)を押し出し、厚さ35μmの接着層を形成し、該接着層上に低密度ポリエチレン(ダウケミカル製、AGILITY EC7000)を押し出し、厚さ25μmのポリエチレン層を形成すると共に、このポリエチレン層を介して、厚さ25μmの低密度ポリエチレンフィルム(日本ポリエチレン製、ノバテックLD LC602Aを使用して製膜したフィルム)を積層した。
基材の非印刷層面に、アンカーコート剤(東洋モートン製、EL510/CAT-RT80、希釈溶剤:酢酸エチル)を塗布、乾燥して、アンカーコート層を形成し、該アンカーコート層上に低密度ポリエチレン(ダウケミカル製、AGILITY EC7000)を押し出し、厚さ25μmのポリエチレン層を形成すると共に、このポリエチレン層を介して、厚さ35μmの低密度ポリエチレンフィルム(日本ポリエチレン製、ノバテックLD LC602Aを使用して製膜したフィルム)を積層した。低密度ポリエチレンフィルム上に、実施例1と同様にして印刷層および印刷保護層を形成した。
この積層体におけるポリエチレンの含有量は、67.8質量%であった。
[比較例3]
印刷層および印刷保護層を実施例2と同様にして形成したこと以外は比較例2と同様にして、積層体を得た。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、67.8質量%であった。
[チューブ容器の作製]
上記のようにして得られた積層体を、ボビンカッターを用いて幅157.3mmのスリットに加工し、幅方向の両端を、重ね幅が約1.2mmとなるようにして重ね合わせた後に、重ね合わせた両端どうしをヒートシールすることにより、筒貼りした円筒状の原反を得た。得られた原反を長さ方向184.2mmとなるように切断してチューブ容器の胴部となる筒状胴部を作製した。
筒状胴部をチューブ容器成形用のマンドレルに装着し、筒状胴部の一方の端部に、円錐台形状の肩部とそれに連続する筒上の抽出口部とからなる頭部を、高密度ポリエチレン(旭化成製 サンテック J345、密度0.956g/cm3)を用いて圧縮成形法により成形し、図4に示すようなチューブ容器本体を作製した。得られたチューブ容器本体の頭部の注出口部は、外径を30.4mm、高さを9.5mmとし、注出口部の側面には螺条を設けた。また、肩部の外径は50mmとした。
次いで、上記高密度ポリエチレンをキャップ成形用の金型内に射出すると共に、成形し、キャップを作製し、チューブ容器を得た。
[学振試験]
実施例および比較例で得られた積層体の最外層面を、学振試験機「FR-2」(スガ試験機製)にセットし、JIS L-0849に準拠して、金属板(ステンレス)およびフィルムに対する、試験荷重:200gf、往復速度:30cpm、ストローク:120mm、往復回数:300回の学振試験を行った。対金属に関しては、印刷保護層(比較例1ではポリエチレンフィルム)を上にした状態で、積層体に金属をこすり合わせた。対フィルムに関しては、印刷保護層(比較例1ではポリエチレンフィルム)を上にした状態で金属に積層体を巻き付け、印刷保護層同士をこすり合わせた。試験後、積層体の最外層面の状態を目視により確認し、以下の評価基準で積層体の最外層面の耐擦傷性を評価した。評価結果を表1に示す。
AA:著しく良好
BB:良好
CC:劣る
[滑り性試験]
実施例および比較例で得られた積層体の最外層面について、滑り試験機「TR-2」(東洋精機製)を用い、JIS K7125に準拠して、試験速度:100mm/minの条件で、金属板およびフィルム(学振試験と同様の意味)に対する静止摩擦係数および動摩擦係数を測定した。測定結果を表1に示す。
[小ロット対応]
157.3mm幅の積層体を用いて得られたチューブ容器を小ロット(10,000本~30,000本/ロット)で検討したときの積層体の加工適性を、以下の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
AA:良好(ロス率が低い、または加工性が良い)
BB:若干劣る(ロス率が高い、または加工性が悪い)
CC:かなり劣る(ロス率がかなり高い、または加工性がかなり悪い)
[リサイクル性評価]
実施例および比較例において得られた積層体のリサイクル性を下記評価基準に基づいて評価した。評価結果を表1に示す。
AA:積層体における同一ポリオレフィンの含有量が90質量%以上で、かつ、印刷層および印刷保護層が積層体の最外層側にあるため、これらを剥離しやすい。
BB:積層体における同一ポリオレフィンの含有量が90質量%以上。
CC:積層体における同一ポリオレフィンの含有量が90質量%未満。
[意匠性]
実施例および比較例で得られた積層体から100mm角のサンプルを切り出し、該サンプルを机の上に置き、照度400ルクス(明るいオフィス相当)の試験環境下で、500mm上方位置から、方向と角度を変えて、該サンプルの意匠性を観察し、以下の基準で評価した。観察者10名の観察結果を集計して平均し、表1に記載した。
AA:著しく良好
BB:良好
CC:劣る
[触感]
実施例および比較例で得られた積層体から100mm角のサンプルを切り出し、該サンプルについて試験者10名の触感を集計して平均し、表1に記載した。
AA:著しく良好
BB:良好
CC:劣る
Figure 2022128096000002
実施例1および2の積層体は、比較例1の積層体と比較して、耐傷性が良好であり、また、滑り性が良好であることが判明した。また、比較例2および3の積層体は、ポリエチレン以外の成分を多く含むことから、リサイクル性が低いと考えられる。
[ガス透過性試験]
実施例および比較例で得られた積層体について、温度23℃、湿度90%RHの条件で、酸素透過度測定機(OXTRAN、MOCON社製)を用いて、酸素透過度(cc/m2/day/atm)を測定した。
実施例および比較例で得られた積層体について、温度40℃、湿度90%RHの条件で、水蒸気透過度測定機(PERMATRAN、MOCON社製)を用いて、水蒸気透過度(g/m2/day/atm)を測定した。
測定はそれぞれ積層体2枚について行い、得られた値の平均値を算出した。
Figure 2022128096000003
実施例1では、比較例1よりも積層体のガスバリア性に優れている。また、実施例で得られたチューブ容器本体は、肩部接着強度およびサイドシーム強度が良好であった。
1、1’:積層体
2:ヒートシール性を有する第1の樹脂層
4:ガスバリア性樹脂層
4A:第1のポリエチレン樹脂層
4B:第1の接着剤層
4C:ガスバリア性樹脂を含む層
4D:第2の接着剤層
4E:第2のポリエチレン樹脂層
6:基材
7:蒸着膜
8:ヒートシール性を有する第2の樹脂層
10:印刷層
12:印刷保護層
14:溶融押出ポリエチレン層
16:接着剤層
20:チューブ容器
21:チューブ容器本体
22:頭部
23:胴部
24:肩部
25:抽出口部
26:キャップ
27:螺条
28:溶着部
29:底シール部

Claims (17)

  1. 積層体であって、
    前記積層体が、ヒートシール性を有する第1の樹脂層と、ガスバリア性樹脂層と、基材と、ヒートシール性を有する第2の樹脂層と、印刷層と、印刷保護層とを積層体の厚さ方向にこの順に備え、
    前記積層体が、前記基材の少なくとも一方の面上に蒸着膜を備え、
    前記第1の樹脂層、前記基材および前記第2の樹脂層が、それぞれ、ポリエチレンにより構成される、
    積層体。
  2. 前記印刷保護層が、エネルギー線硬化性樹脂の硬化物または熱硬化性樹脂の硬化物を含む、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記第2の樹脂層と前記基材との間、前記基材と前記ガスバリア性樹脂層との間、および前記ガスバリア性樹脂層と前記第1の樹脂層との間から選ばれる1つ以上に、溶融押出ポリエチレン層または接着剤層を備える、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記第1の樹脂層および前記第2の樹脂層を構成するポリエチレンが、それぞれ独立に、低密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンから選ばれる少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 前記蒸着膜が、金属蒸着膜である、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 前記第1の樹脂層および前記第2の樹脂層の厚さが、それぞれ独立に、30μm以上150μm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 前記基材の厚さが、10μm以上100μm以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層体。
  8. 前記蒸着膜の厚さが、1nm以上150nm以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体。
  9. 前記ガスバリア性樹脂層が、第1のポリエチレン樹脂層と、第1の接着剤層と、ガスバリア性樹脂を含む層と、第2の接着剤層と、第2のポリエチレン樹脂層とを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の積層体。
  10. 前記ガスバリア性樹脂を含む層の厚さが、10μm以上100μm以下である、請求項9に記載の積層体。
  11. 前記積層体全体におけるポリエチレンの含有量が、90質量%以上である、請求項1~10のいずれか一項に記載の積層体。
  12. チューブ容器本体の胴部を形成するための積層体であって、前記第1の樹脂層が胴部内面側のシーラント層であり、前記第2の樹脂層が胴部外面側のシーラント層である、請求項1~11のいずれか一項に記載の積層体。
  13. 前記第2の樹脂層において、前記チューブ容器本体の胴部を形成するためのヒートシールの予定領域に、前記印刷層および前記印刷保護層が形成されていない、請求項12に記載の積層体。
  14. 頭部と胴部とを備えるチューブ容器本体であって、
    前記頭部が、前記胴部の一端に連接した肩部と、前記肩部に連接した抽出口部とを備え、前記胴部が、請求項1~13のいずれか一項に記載の積層体により構成される、
    チューブ容器本体。
  15. 前記頭部が、ポリエチレンを含む樹脂組成物により構成される、請求項14に記載のチューブ容器本体。
  16. 請求項14または15に記載のチューブ容器本体と、
    キャップと
    を備えるチューブ容器。
  17. 前記キャップが、ポリエチレンを含む樹脂組成物により構成される、請求項16に記載のチューブ容器。
JP2021026434A 2021-02-22 2021-02-22 積層体、チューブ容器本体およびチューブ容器 Pending JP2022128096A (ja)

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JP7535253B1 (ja) 2023-03-30 2024-08-16 大日本印刷株式会社 積層体、チューブ容器本体およびチューブ容器

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