JP2022127158A - 銅合金板の接合方法及び銅合金板の接合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の銅合金板11,13同士をレーザ溶接して接合させる銅合金板の接合方法であって、銅の融点より低い沸点を有する少なくとも一つの成分を含む複数の銅合金板11,13同士を重ねて配置させる配置工程と、銅合金板11,13同士を重ね合わせた被照射部15に対して溶接方向Aに沿ってレーザ光Lを照射し、複数の銅合金板11,13を接合させるレーザ溶接工程と、を含み、レーザ溶接工程において、レーザ光Lを溶接方向Aと交差する幅方向へ複数回移動させながら溶接方向Aへ走査させる。
【選択図】図3
Description
(1) 複数の銅合金板同士をレーザ溶接して接合させる銅合金板の接合方法であって、
銅の融点より低い沸点を有する少なくとも一つの成分を含む複数の前記銅合金板同士を重ねて配置させる配置工程と、
前記銅合金板同士を重ね合わせた被照射部に対して溶接方向に沿ってレーザ光を照射し、複数の前記銅合金板を接合させるレーザ溶接工程と、
を含み、
前記レーザ溶接工程において、
前記レーザ光を前記溶接方向と交差する幅方向へ複数回移動させながら前記溶接方向へ走査させる、
銅合金板の接合方法。
(2) 複数の銅合金板が重ね合わされ、重ね合わせ部分が溶接されて接合された銅合金板の接合体であって、
前記重ね合わせ部分には、溶融金属が凝固した溶接部が表裏に貫通して設けられ、
前記溶接部は、表面側の幅寸法に対して、裏面側の幅寸法が80%以上である、
銅合金板の接合体。
図1は、銅合金板11,13同士をレーザ溶接する様子を示す斜視図である。
図2に示すように、被照射部15にレーザ光Lを照射するレーザ照射装置100は、ガルバノスキャナユニットを備えたもので、ガルバノミラー101と、fθレンズ103とを有している。このレーザ照射装置100は、ファイバレーザ発振器(図示略)から出力されたファイバレーザをガルバノミラー101で反射させ、fθレンズ103を通して集光させて被照射部15へ照射する。このレーザ照射装置100によれば、回転軸に取り付けられたガルバノミラー101の角度を制御することにより、レーザ光Lを高速かつ高精度に走査させることができる。
図3は、レーザ溶接の様子を示す縁部を重ね合わせた銅合金板11,13の概略平面図である。図4は、銅合金板11,13同士を接合させた接合体25における接合箇所の断面図である。図5は、銅合金板11,13同士を接合させた接合体25の接合箇所の状態を示す図である。
図3に示すように、互いに接合させる銅合金板11,13を重ね合わせて配置させる。本例では、銅合金板11,13の縁部同士を重ね合わせる。これにより、銅合金板11,13に、互いに重ね合わせた部分からなる被照射部15を設ける。
次に、銅合金板11,13の被照射部15に対してレーザ照射装置100からレーザ光Lを照射し、被照射部15の一端15aから他端15bへ向かう溶接方向Aに沿って走査させる。
(実施例1)
レーザ出力3.8kW、走査速度10m/minでウォブリング動作させながら一方向の溶接方向に沿ってレーザ溶接した。ウォブリング動作は、旋回径0.6mm、旋回周期250Hzとした。
(比較例1)
レーザ出力4.7kW、走査速度20m/minで一方向の溶接方向に沿って直線的にレーザ溶接した。
(比較例2)
レーザ出力4.5kW、走査速度20m/minで一方向の溶接方向に沿って直線的にレーザ溶接した。
図8~図10は、実施例1、比較例1及び比較例2の評価結果を示す画像であり、それぞれの図において、(A)はレーザ光の照射側の画像、(B)はレーザ光の照射側と反対側の画像、(C)は接合箇所における断面の画像である。
実施例1では、図8の(A)に示すように、レーザ光の照射側の銅合金板11の表面にビードBaが形成され、このビードBaには、レーザ光を旋回させたことにより複数の環状溶接痕MRaが形成された。また、図8の(B)に示すように、レーザ光の照射側と反対側の銅合金板13の表面にもビードBbが形成され、このビードBbにも、レーザ光を旋回させたことにより複数の環状溶接痕MRbが形成された。また、ビードBa,Bbには、溶け落ちが生じた形跡がなかった。
比較例1では、図9の(A)に示すように、レーザ光の照射側の銅合金板11の表面に、レーザ光の走査方向に沿う線状のビードBaが形成された。また、図9の(B)に示すように、レーザ光の照射側と反対側の銅合金板13の表面にも、レーザ光の走査方向に沿う線状のビードBbが形成された。しかし、これらのビードBa及びビードBbには、レーザ光によって急激に入熱されたためか、溶け落ちが生じていた(図9の(A)及び図9(B)におけるF部分)。
比較例2では、図10の(A)に示すように、レーザ光の照射側の銅合金板11の表面に、レーザ光の走査方向に沿う線状のビードBaが形成された。しかし、図10の(B)に示すように、レーザ光の照射側と反対側の銅合金板13の表面には、ビードBbが形成されなかった。
(1) 複数の銅合金板同士をレーザ溶接して接合させる銅合金板の接合方法であって、
銅の融点より低い沸点を有する少なくとも一つの成分を含む複数の前記銅合金板同士を重ねて配置させる配置工程と、
前記銅合金板同士を重ね合わせた被照射部に対して溶接方向に沿ってレーザ光を照射し、複数の前記銅合金板を接合させるレーザ溶接工程と、
を含み、
前記レーザ溶接工程において、
前記レーザ光を前記溶接方向と交差する幅方向へ複数回移動させながら前記溶接方向へ走査させる、銅合金板の接合方法。
この構成の銅合金板の接合方法によれば、銅合金板の重なり部分に対して溶接方向に沿ってレーザ光を照射する際に、レーザ光を溶接方向と交差する幅方向へ複数回移動させながら溶接方向へ走査させる。これにより、銅合金板の重ね合わせた部分をレーザ光によって段階的に加熱して溶接できる。つまり、細かく入熱を制御できるので、反射等による溶け込み不良を抑えつつ、合金組成の急激な蒸発によるブローホール、割れあるいは溶け落ちなどの溶接欠陥の発生を抑制できる。また、急熱急冷を抑えることにより、クラックの発生を低減させることができる。つまり、熱伝導率が高く、しかも、レーザ光の吸収率が低いために安定した入熱を与えるのが難しい銅合金板同士を、高い信頼性でレーザ溶接して接合させることができる。
この構成の銅合金板の接合方法によれば、亜鉛、マグネシウムあるいはリンなどの合金組成の急激な蒸発による溶接欠陥の発生を抑制し、銅合金板同士を、高い信頼性でレーザ溶接して接合させることができる。
この構成の銅合金板の接合方法によれば、レーザ光を溶接方向に対して交差する幅方向へ周期的に移動させながら溶接方向へ走査させることにより、溶融金属が凝固するまでの時間を確保し、溶融金属中に生じた気泡の抜けを促進できる。
この構成の銅合金板の接合方法によれば、レーザ光をウォブリングさせて照射位置を旋回させながら溶接方向へ走査させることにより、溶接個所への入熱をより細かく制御し、合金組成の急激な蒸発を抑制しつつ十分な入熱量を確保できる。
この構成の銅合金板の接合方法によれば、ウィービングさせて照射位置を溶接方向と交差する幅方向へ周期的に移動させながら溶接方向へ走査させることにより、溶接個所への入熱をより細かく制御し、合金組成の急激な蒸発を抑制しつつ十分な入熱量を確保できる。
この構成の銅合金板の接合方法によれば、互いに接合させる銅合金板が厚さ0.1mm~1.0mmの薄板であっても、高い信頼性でレーザ溶接して接合させることができる。
前記重ね合わせ部分には、溶融金属が凝固した溶接部が表裏に貫通して設けられ、
前記溶接部は、表面側の幅寸法に対して、裏面側の幅寸法が80%以上である、銅合金板の接合体。
この構成の銅合金板の接合体によれば、複数の銅合金板の重ね合わせ部分に、表裏に貫通する溶接部を有している。そして、この溶接部は、表面側の幅寸法に対して、裏面側の幅寸法が80%以上である。したがって、複数の銅合金板の重ね合わせ部分が溶接部でバランスよく高強度に接合された接合体が得られる。
それぞれの前記ビードには、複数の環状溶接痕が溶接方向に連なるように形成されている、(7)に記載の銅合金板の接合体。
この構成の銅合金板の接合体によれば、溶接部の表裏のビードにおいて、溶接方向に連なる複数の環状溶接痕を有することから、例えば、レーザ光をウォブリングさせて照射させたことにより、バランスよく高強度に溶接されて接合された接合体であることを確認でき、品質の管理が容易になる。
それぞれの前記ビードには、溶接方向に沿って波状溶接痕が形成されている、(7)に記載の銅合金板の接合体。
この構成の銅合金板の接合体によれば、溶接部の表裏のビードにおいて、溶接方向に沿う波状溶接痕を有することから、例えば、レーザ光をウィービングさせて照射させたことにより、バランスよく高強度に溶接されて接合された接合体であることを確認でき、品質の管理が容易になる。
15 被照射部
21 溶接部
25 接合体
A 溶接方向
Ba,Bb ビード
L レーザ光
WBa,WBb 幅寸法
MRa,MRb 環状溶接痕
MWa,MWb 波状溶接痕
Claims (9)
- 複数の銅合金板同士をレーザ溶接して接合させる銅合金板の接合方法であって、
銅の融点より低い沸点を有する少なくとも一つの成分を含む複数の前記銅合金板同士を重ねて配置させる配置工程と、
前記銅合金板同士を重ね合わせた被照射部に対して溶接方向に沿ってレーザ光を照射し、複数の前記銅合金板を接合させるレーザ溶接工程と、
を含み、
前記レーザ溶接工程において、
前記レーザ光を前記溶接方向と交差する幅方向へ複数回移動させながら前記溶接方向へ走査させる、
銅合金板の接合方法。 - 前記銅合金板に含まれる銅の融点より低い沸点を有する成分が、亜鉛、マグネシウムあるいはリンである、
請求項1に記載の銅合金板の接合方法。 - 前記レーザ溶接工程において、前記レーザ光を前記溶接方向に対して交差する幅方向へ周期的に移動させながら前記溶接方向へ走査させる、
請求項1または請求項2に記載の銅合金板の接合方法。 - 前記レーザ溶接工程において、前記レーザ光をウォブリングさせて照射位置を旋回させながら前記溶接方向へ走査させる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の銅合金板の接合方法。 - 前記レーザ溶接工程において、前記レーザ光をウィービングさせて照射位置を前記溶接方向と交差する幅方向へ周期的に移動させながら前記溶接方向へ走査させる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の銅合金板の接合方法。 - 互いに接合させる前記銅合金板が厚さ0.1mm~1.0mmの薄板である、
請求項1~5のいずれか一項に記載の銅合金板の接合方法。 - 複数の銅合金板が重ね合わされ、重ね合わせ部分が溶接されて接合された銅合金板の接合体であって、
前記重ね合わせ部分には、溶融金属が凝固した溶接部が表裏に貫通して設けられ、
前記溶接部は、表面側の幅寸法に対して、裏面側の幅寸法が80%以上である、
銅合金板の接合体。 - 前記溶接部の表裏には、溶接方向に沿うビードが形成され、
それぞれの前記ビードには、複数の環状溶接痕が溶接方向に連なるように形成されている、
請求項7に記載の銅合金板の接合体。 - 前記溶接部の表裏には、溶接方向に沿うビードが形成され、
それぞれの前記ビードには、溶接方向に沿って波状溶接痕が形成されている、
請求項7に記載の銅合金板の接合体。
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