JP2022126909A - 穿孔部閉鎖材、及び、穿孔部閉鎖材の製造方法 - Google Patents

穿孔部閉鎖材、及び、穿孔部閉鎖材の製造方法 Download PDF

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Tetsushi Taguchi
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Abstract

【課題】 周辺組織への負担の少ない穿孔部閉鎖材の提供。【解決手段】 架橋されたゼラチン誘導体を含有する粒子を含む穿孔部閉鎖材であって、ゼラチン誘導体は、下記式(1):Gtln-NH-L-CHR1R2・・・(1)[式(1)中、「Gltn」はゼラチンの残基を表し、Lは単結合、又は2価の連結基を表し、R1は炭素数1~20個の炭化水素基を表し、R2は水素原子又は炭素数1~20個の炭化水素基を表す]で表される構造を有する、穿孔部閉鎖材。【選択図】なし

Description

本発明は、穿孔部閉鎖材、及び、穿孔部閉鎖材の製造方法に関する。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、食道、胃、十二指腸、及び、大腸の早期消化管癌の低侵襲治療法として開発されてきた。ESDでは、粘膜下組織や筋組織への影響を抑えながら、表在性の新生物を切除することができるため、普及が進んでいる。
しかし、ESD時に穿孔が生じたり、ESD後一定期間経過後に、穿孔が生じたり(遅発性穿孔)して、消化管の内容物が腹腔内に漏れることで、腹膜炎などの二次的・重篤な疾患を引き起こす場合があることが知られている。特に十二指腸は、壁が薄く、内腔が狭く、粘膜の膨らみが不十分であるため、手術時に穿孔率が高いことから、十二指腸に対するESDの適用範囲を狭めている一因となっている。
このような穿孔部を閉鎖するための器具として、特許文献1には「患者の体管内壁の患部組織を切除した後に前記体管内壁に形成された穿孔部及び人工潰瘍を、前記穿孔部及び人工潰瘍の周囲の正常粘膜組織を使って被覆し縫合する治療に使用される医療用リングであって、体管内に留置されるクリップとそれぞれ係合する少なくとも一対のリング部分を備えている、医療用リング。」が記載されている。
特開2007-282841号公報
内視鏡クリップを使用して穿孔部の閉鎖を行うと、ESDによって既に脆弱となっている筋層を更に傷つけて追加の穿孔を生じさせたりする場合があった。また、十二指腸はとくに脆弱であるため、十二指腸に生じた穿孔部に、内視鏡クリップを適用するのは困難だった。
そこで、本発明は、周辺組織への負担の少ない穿孔部閉鎖材を提供することを課題とする。また、本発明は、穿孔部閉鎖材の製造方法を提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] 架橋されたゼラチン誘導体を含有する粒子を含む穿孔部閉鎖材であって、 上記ゼラチン誘導体は、下記式(1):Gtln-NH-L-CHR・・・(1)[式(1)中、「Gltn」はゼラチンの残基を表し、Lは単結合、又は、2価の連結基を表し、Rは炭素数1~20個の炭化水素基を表し、Rは水素原子、又は、炭素数1~20個の炭化水素基を表す]で表される構造を有する、穿孔部閉鎖材。
[2] 内視鏡的粘膜下層剥離術により生ずる穿孔の閉鎖用である[1]に記載の穿孔部閉鎖材。
[3] 上記穿孔が、消化管に生じた穿孔である、[2]に記載の穿孔部閉鎖材。
[4] 上記消化管が十二指腸である、[3]に記載の穿孔部閉鎖材。
[5] 上記粒子の真球度の平均値が、1.45以下であり、上記粒子の真球度の標準偏差が、0.25以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の穿孔部閉鎖材。
[6] 上記式1中、*-L-CHRで表される疎水性基[*は結合位置を表す]が有する炭素数の合計が、4~16個である、[1]~[5]のいずれかに記載の穿孔部閉鎖材。
[7] 上記疎水性基が有する炭素数の合計が、6~12個である、[6]に記載の穿孔部閉鎖材。
[8] 上記疎水性基が有する炭素数の合計が、6~10個である、[6]に記載の穿孔部閉鎖材。
[9] 上記疎水性基の導入率が、5~60モル%である、[6]~[8]のいずれかに記載の穿孔部閉鎖材。
[10] 上記疎水性基の導入率が、25~60モル%である、[6]~[8]のいずれかに記載の穿孔部閉鎖材。
[11] 下記式(1):Gtln-NH-L-CHR ・・・(1)[式(1)中、「Gltn」はゼラチンの残基を表し、Lは単結合、又は、2価の連結基を表し、Rは炭素数1~20個の炭化水素基を表し、Rは水素原子、又は、炭素数1~20個の炭化水素基を表す]で表される構造を有するゼラチン誘導体を良溶媒に溶解させ、上記ゼラチン誘導体と上記良溶媒とを含有するゼラチン溶液を得ることと、上記ゼラチン溶液に貧溶媒を加え、上記ゼラチン誘導体を含有する中間体粒子を上記ゼラチン溶液中に析出させることと、上記析出後の上記ゼラチン溶液を凍結乾燥させ、上記中間体粒子を含む中間粉体を得ることと、上記中間体粒子の上記ゼラチン誘導体を架橋させて、架橋された上記ゼラチン誘導体を含有する粒子を含む穿孔部閉鎖材を得ることと、を含む、穿孔部閉鎖材の製造方法。
[12] 上記中間粉体を加熱し、上記ゼラチン誘導体を架橋させる、[11]に記載の穿孔部閉鎖材の製造方法。
[13] 上記中間粉体を、100~200℃で2.5~5時間加熱し、上記中間体粒子中の上記ゼラチン誘導体を架橋させる、[12]に記載の穿孔部閉鎖材の製造方法。
[14] 更に、上記架橋されたゼラチン誘導体を含有する粒子を含む穿孔部閉鎖材に、紫外線を照射し、上記粒子の表面を親水性化する、[11]~[13]のいずれかに記載の穿孔部閉鎖材の製造方法。
本発明によれば、周辺組織への負担の少ない穿孔部閉鎖材が提供できる。また、本発明によれば、穿孔部閉鎖材の製造方法も提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値、及び、上限値として含む範囲を意味する。
[穿孔部閉鎖材]
本発明の実施形態に係る穿孔部閉鎖材は、架橋されたゼラチン誘導体を含有する粒子を含む穿孔部閉鎖材であって、上記ゼラチン誘導体は後述する式1で表される構造を有する。以下では、穿孔部閉鎖材の成分について詳述する。
(ゼラチン誘導体)
本穿孔部閉鎖材は架橋されたゼラチン誘導体を含有する粒子を含む。このゼラチン誘導体は、下記式(1)で表される構造を有する。
Gtln-NH-L-CHR ・・・(1)
式(1)中、Gltnはゼラチンの残基を表し、Lは単結合、又は、2価の連結基を表し、Rは炭素数1~20個の炭化水素基を表し、Rは水素原子、又は、炭素数1~20個の炭化水素基を表す。なお、以下の説明において、*-L-CHRを「疎水性基」ということがある。
Lの2価の連結基としては特に制限されないが、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-N(R)-(Rは水素原子、又は、1価の有機基(好ましくは炭素数1~20個の炭化水素基)を表す)、アルキレン基(好ましくは炭素数2~10のアルキレン基)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2~10のアルケニレン基)、及び、これらの組み合わせ等が挙げられ、なかでも-C(O)-が好ましい。従って、Lは、単結合、又は、-C(O)-が好ましい。
疎水性基は、原料となるゼラチンが有するε-アミノ基に結合していることが好ましく、ゼラチン中のリジン(Lys)のε-アミノ基に結合していることがより好ましい。アミノ基、好ましくはリジンのアミノ基に連結基を介して、又は、介さずに(言い換えれば直接)、疎水性基を結合させる方法としては、例えば、いわゆる還元(的)アミノ化反応(アルデヒド、又は、ケトンを用いる方法)、及び、ショッテン・バウマン(Schotten-Baumann)反応(酸クロライドを用いる方法)等を利用する方法が挙げられる。
なお、式(1)の-NH-構造は、例えばFT-IR(フーリエ変換赤外吸収)スペクトルにおいて3300cm-1付近のバンドにより検出することができる。
炭素数1~20個の炭化水素基としては特に制限されず、例えば、炭素数1~20個の鎖状炭化水素基、炭素数3~20個の脂環式炭化水素基、炭素数6~14個の芳香族炭化水素基、及び、これらを組み合わせた基が挙げられる。
が1~20個の炭化水素基である場合、Rは、Rと同一でも異なってもよい。また、R、及び、Rのアルキル基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
炭素数1~20個の鎖状炭化水素基としては、特に制限されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基(又はカプリル基)、ノニル基(又はペラルゴルニル基)、デシル基、ドデジシル基(又はラウリル基)、及び、テトラデシル基(又はミリスチル基)等が挙げられる。なかでもより優れた接着性を有する粉体が得られ易い点で、Rが炭素数1~13のアルキル基であることが好ましく、炭素数7~12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数8~11のアルキル基であることが更に好ましく、炭素数9~11のアルキル基であることが特に好ましい。Rとしては特に制限されないが、水素原子であることが好ましい。
炭素数3~20個の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、及び、ノルボルニル基等が挙げられる。
炭素数6~14個の芳香族炭化水素基としては、特に制限されないが、フェニル基、トリル基、及び、ナフチル基等が挙げられる。
上記を組み合わせた基としては、特に制限されないが、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、及び、ナフチルエチル基等の炭素数6~12個のアラルキル基等が挙げられる。
*-L-CHRで表される疎水性基の全体の炭素数としては特に制限されないが、より優れた本発明の効果を有する穿孔部閉鎖材が得られる観点から、3~20個が好ましく、4~16個がより好ましく、6~12個が更に好ましく、8~10個が特に好ましい。
なお、*-L-CHRは、Lが単結合であり、Rが水素原子であるアルキル基が好ましく、この場合、疎水性基の炭素数は、アルキル鎖の炭素数と同義である。
式(1)で表されるゼラチン誘導体としては、以下の式(2)、及び、式(3)からなる群より選択される少なくとも1種のゼラチン誘導体が好ましく、式(2)で表されるゼラチン誘導体がより好ましい。
Gltn-NH-CHR ・・・(2)
Figure 2022126909000001
式(2)、及び、式(3)中、各記号の意味はすでに説明した式(1)と同様であり、好適形態も同様である。
ゼラチン誘導体中における疎水性基の導入率は特に制限されないが、一般に、1モル%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、10モル%以上が更に好ましく、15モル%以上が特に好ましく、30モル%以上が最も好ましい。なお、上限は特に制限されないが、80モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましい。
本願明細書において、疎水性基の「導入率」は、原料ゼラチン中のアミノ基の含有量に対する、ゼラチン誘導体中における疎水性基が結合されたイミノ基(*-NH-CHR)の含有量の含有モル比と定義される。
なお、導入率は、原料ゼラチンのアミノ基数と、ゼラチン誘導体のアミノ基数を、2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸法(TNBS法)によって定量し、得られた値から、以下の式により算出される。
導入率(モル%)=[原料ゼラチンのアミノ基数-ゼラチン誘導体のアミノ基数]/[原料ゼラチンのアミノ基数]×100
ゼラチン誘導体の原料となるゼラチン(以下「原料ゼラチン」ともいう。)は、天然由来であってもよいし、合成されたもの(発酵、及び、遺伝子組換え等を含む)であってもよいし、又は、天然由来の若しくは合成されたゼラチンに何らかの処理をしたものでもよい。
より具体的には、例えば、ほ乳類、鳥類、及び、魚類等の皮、骨、及び、腱等から取得された天然由来のゼラチン、及び、天然由来のゼラチンを酸、又は、アルカリで処理した(必要に応じて加熱抽出された)処理済みゼラチン等が挙げられる。
なかでも、より優れた本発明の効果を有する粉体が得られる点で、アルカリ処理済みゼラチンが好ましい。
また、上記粉体を生体内に投与して用いる場合、例えば、創傷被覆材等として用いる場合、エンドトキシンの含有量が低減された低エンドトキシン化処理済みゼラチンを用いることが好ましい。このような低エンドトキシン化処理済みゼラチンとしては特に制限されず、公知のものが使用できるが、例えば、特開2007-231225号公報に記載のものが挙げられ、この内容は参照により本明細書に組み込まれる。
ほ乳類由来のゼラチンとしては、ブタ、及び、ウシ由来のゼラチンが挙げられる。魚類由来のゼラチンとしては、特に制限されないが、なかでも、サケ、マス、タラ、タイ、ティラピア、及び、マグロ等の冷水魚(冷水性魚類)由来のゼラチン(以下「冷水魚由来ゼラチン」ともいう。)が好ましい。
冷水魚由来ゼラチンは、2個以上のアミノ酸が直鎖状に連結された高分子であり、構成アミノ酸1000個当たり、190個以下のイミノ酸、より具体的には、80個以下のヒドロキシプロリン(Hydroxyproline)と、110個以下のプロリンを有している。冷水魚由来ゼラチンの常温流動性は、ヒドロキシプロリン(Hydroxyproline)の数が80個以下であること、又は、プロリンの数が110個以下であることに起因すると考えられる。いずれかの条件を満たせば、変性温度がほぼ室温以下となり、常温流動性が生じると考えられる。
タイゼラチンのヒドロキシプロリン数は73、プロリン数は108で変性温度(Denaturation temperature)は302.5Kである。ティラピアゼラチンのヒドロキシプロリン数は82、プロリン数は110で変性温度(Denaturation temperature)は309Kである。これらに対して、ブタゼラチンのヒドロキシプロリン数は95、プロリン数は121で変性温度(Denaturation tenperature)は316Kである。
なお、冷水魚由来ゼラチンは、動物由来のゼラチンのアミノ酸配列と類似しており、酵素により容易に分解され、また生体親和性も高い。
原料ゼラチンの分子量としては特に制限されないが、重量平均分子量(Mw)として、5,000~100,000が好ましく、10,000~50,000がより好ましく、20,000~40,000が更に好ましい。なお、本明細書において重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量を意味する。
(粒子)
本穿孔部閉鎖材は、架橋されたゼラチン誘導体の粒子を含む。
本願明細書において「架橋された」とは、可逆的な物理架橋構造は含まず、不可逆的な架橋反応により得られる架橋構造を意味する。したがって、「架橋されたゼラチン誘導体」は、ゼラチン誘導体に熱、光、エネルギー線などでエネルギーを付与して、及び/又は、架橋剤により生じる、架橋反応により得られる不可逆的な架橋構造を有するゼラチン誘導体である。典型的には、ゼラチンの側鎖の官能基(-NH、-OH、-SH、-COOH等)間の反応を通じて生じる。
架橋されたゼラチン誘導体を含有する粒子は、表面が親水性化されていてもよい。
粒子は、架橋されたゼラチン誘導体を含有していればよく、本発明の効果を奏する範囲内においてその他の成分を含有していてもよい。粒子の架橋されたゼラチン誘導体の含有量としては、特に制限されないが、より優れた本発明の効果を有する粉体が得られ易い点で、粒子の全質量に対して、架橋されたゼラチン誘導体を90質量%以上含有していることが好ましく、99質量%以上含有していることがより好ましい。
粒子が含有してもよいその他の成分としては特に制限されないが、例えば、非架橋のゼラチン誘導体、溶媒、緩衝化剤、着色料、保存料、賦形剤、及び、薬剤(抗血栓薬、抗菌剤、及び、成長因子等)等が挙げられる。
粒子の真球度は、1.45以下であるが、より優れた生体組織への接着力が得られる点で、1.20以下が好ましく、1.10以下がより好ましい。なお、本明細書において、真球度とは以下の試験方法により求められる値を意味する。
・試験方法
測定対象とする粉体を、カーボンテープを貼った走査型電子顕微鏡ステージに振りかけ、その後、エアースプレーの噴霧によりカーボンテープに接着していない粉体を除いて作成した試料を走査型電子顕微鏡で観察し、1視野から無作為に抽出した20個の粒子について「ImageJ(v1.51)」を用いて横軸、及び、縦軸の長さを計測する。次に、各粒子について「横軸/縦軸」を計算し、これを算術平均し、得られた値について小数第3位を四捨五入して小数第2位まで求め、これを真球度とする。なお、上記計測、及び、計算においては、(縦軸)≦(横軸)と定義する。すなわち、計測された1つの粒子に係る粒子径のうち、最も大きい粒子径を横軸と定義する。また、縦軸は、横軸から90度回転した位置の径とする。
また、粉体中における上記粒子の真球度の標準偏差(standard deviation、SD)は、0.25以下であるが、生体組織へのより優れた接着力が得られる点で、0.20以下が好ましく、0.15以下がより好ましい。
なお、粉体中における粒子の真球度の標準偏差は、上記20個の粒子の真球度から計算され、得られた計算値の小数第3位を四捨五入して、小数第2位まで求め標準偏差とする。
粒子の平均粒子径は、通常0.5~50μmであり、好ましくは1~40μmである。本願明細書における「平均粒子径」は、電子顕微鏡によってランダムに100個の粒子の粒子径(長径)を測定して平均することによって求められた値である。
〔穿孔部閉鎖材の製造方法〕
穿孔部閉鎖材の製造方法は、ゼラチン誘導体を粒子化し、粒子化したゼラチン誘導体を架橋させる方法が適用可能である。ゼラチン誘導体の粒子化には、スプレードライ、粉砕、及び、コアセルベーション等公知の方法が適用可能である。
より具体的には、まず、ゼラチン誘導体溶液をスプレードライヤーで乾燥させ、分級して、粒子の真球度を必要に応じて調製し、そのうえで加熱してゼラチン誘導体を架橋させて粒子を得る方法が挙げられる。また、固形のゼラチン誘導体を粉砕して、その後、分級して粒子の真球度を必要に応じて調製し、加熱架橋させて粒子を得る方法も使用できる。なかでも、粒子の形状の制御がより容易である観点で、以下の各工程を含む方法が好ましい。
・工程1:ゼラチン誘導体を良溶媒に溶解させ、ゼラチン誘導体と良溶媒とを含有するゼラチン溶液を得る工程
・工程2:ゼラチン溶液に貧溶媒を加え、ゼラチン誘導体を含有する中間体粒子をゼラチン溶液中に析出させる工程
・工程3:析出後のゼラチン溶液を凍結乾燥させ、中間体粒子を含む中間粉体を得る工程
・工程4:中間体粒子のゼラチン誘導体を架橋させて、架橋されたゼラチン誘導体を含有する粒子を含む穿孔部閉鎖材を得る工程
・工程5:任意選択で、更に、架橋されたゼラチン誘導体を含有する粒子を含む穿孔部閉鎖材に、紫外線を照射し、粒子の表面を親水性化する工程
以下では、上記各工程について詳述する。
・工程1(溶解工程)
工程1は、すでに説明したゼラチン誘導体を良溶媒に溶解させ、ゼラチン溶液を得る工程である。本明細書において、良溶媒とは、ゼラチン誘導体を溶解させやすい溶媒を意味し、特に制限されないが、水、グリセリン、酢酸、及び、これらの混合物等が挙げられ、なかでも水を含有することが好ましい。また、上記良溶媒は加温されてもよい。加温の際の温度としては特に制限されないが、50~70℃が好ましい。
ゼラチン誘導体を良溶媒に溶解させる方法としては、特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、ゼラチン誘導体に低温(例えば室温)の良溶媒を加えてゼラチン誘導体を膨潤させ、得られた膨潤体を加熱して、ゼラチン溶液を得る方法(膨潤溶解法)、及び、予め加熱した上記良溶媒にゼラチン誘導体を投入し、ゼラチン溶液を得る方法(直接溶解法)を使用できる。
ゼラチン溶液中のゼラチン誘導体の含有量としては特に制限されないが、ゼラチン溶液の全体積に対して、ゼラチン誘導体の含有量(終濃度)が0.01~30質量/体積%が好ましく、1~25質量/体積%がより好ましく、5~20質量/体積%が更に好ましく、5~15質量/体積%が特に好ましい。
ゼラチン溶液中におけるゼラチンの含有量が上記範囲内であると得られる粒子の真球度の標準偏差がより小さくなり易い。
・工程2(析出工程)
工程2はゼラチン溶液に貧溶媒を加え、ゼラチン誘導体を含有する中間体粒子をゼラチン溶液中に析出させる工程である。
本明細書において、貧溶媒とは、工程1で使用した良溶媒と比較した場合に、ゼラチン誘導体をより溶解させ難い溶媒を意味する。すなわち、本明細書において、良溶媒、及び、貧溶媒とは、ゼラチン誘導体の溶解度の絶対量により定義されるのではなく、それぞれ貧溶媒、及び、良溶媒との関係で相対的に定義される。
貧溶媒としては、特に制限されないが、例えば、有機溶媒が挙げられ、中でも、水溶性の有機溶媒が好ましく、アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及び、t-ブチルアルコール等がより好ましい。
ゼラチン溶液に貧溶媒を加えると、ゼラチン溶液中に中間体粒子が析出する。この中間体粒子は、上記ゼラチン誘導体を含有する粒子状物である。本工程において析出する中間体粒子の粒子径としては特に制限されないが、0.1~100μmが好ましく、1~50μmがより好ましく、1~10μmが更に好ましい。
粒子径が上記範囲内であると、ゼラチン溶液中で析出した中間体粒子がより沈降しにくく、後述する工程3において上記中間体粒子を含むゼラチン溶液ごと凍結させ、更に凍結乾燥させた場合に中間体粒子同士が凝集するのがより抑制されやすい。その結果、工程4において得られる粒子の真球度等が所望の範囲内になり易い。
貧溶媒を加える際の温度としては特に制限されないが、一般に10~30℃が好ましく、15~25℃がより好ましい。工程1において、溶媒を加熱してゼラチン誘導体を溶解させた場合には、工程1、及び、工程2の間に、ゼラチン溶液を冷却する工程を更に有することが好ましい。
貧溶媒を滴下する際、ゼラチン溶液を撹拌することが好ましい。撹拌の方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。ゼラチン溶液を撹拌しながら貧溶媒を加えることにより、析出する粒子がより凝集しにくく、かつ、より沈降しにくい。その結果として、所望の特性を有する粒子を含有する穿孔部閉鎖材がより簡便に得られやすい。
・工程3(乾燥工程)
工程3は、上記コアセルベーションにより析出後の未架橋ゼラチン粒子の分散溶液を凍結乾燥させ、未架橋ゼラチン誘導体を含有する中間体粒子を含む中間粉体を得る工程である。
ゼラチン溶液の凍結の方法としては特に制限されないが、凍結させる際に未架橋ゼラチン誘導体を含有する粒子の凝集をより発生し難くする観点から、より急速に凍結させることが好ましい。この際、凍結させる際の雰囲気温度としては特に制限されないが、-20℃以下が好ましく、-30℃以下がより好ましい。
また、凍結乾燥の方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。
中間粉体は、中間体粒子を含む粉体である。中間粉体は中間体粒子以外の成分を含んでもよい。このような成分としては、例えば、上記良溶媒、及び、貧溶媒等が挙げられる。
・工程4(架橋工程)
工程4は、中間体粒子のゼラチン誘導体を架橋させて、架橋されたゼラチン誘導体を含有する粉体を得る工程である。本工程を経て、粒子のゼラチン誘導体が不可逆的に分子間、及び/又は、分子内で架橋する。その結果、架橋されたゼラチン誘導体を含有する粒子を含む穿孔部閉鎖材が得られる。
架橋の方法としては特に制限されないが、例えば、ゼラチン誘導体に、熱エネルギーを付与し、又は、活性光線若しくは放射線(例えば、電子線等)等を照射する方法が挙げられる。
なかでも、より容易にゼラチン誘導体の架橋物が得られ、架橋剤に由来する不純物の発生が無く安全な点で、熱エネルギーを付与する(言い換えれば加熱する)方法が好ましい(熱架橋)。この方法では、例えば、ゼラチン誘導体中のアミノ基とその他の反応性基(例えば、カルボキシ基、及び、メルカプト基等)が反応し、架橋構造が形成される。
熱架橋の方法としては特に制限されず公知の方法が使用できる。熱架橋の方法としては、例えば、粉体前駆体が収容された容器を、容器ごと加熱雰囲気(例えば、オーブン内)に配置し、所定の時間維持する方法が挙げられる。
熱架橋の際の加熱温度としては特に制限されないが、一般に、80~200℃が好ましく、100~200℃がより好ましい。
熱架橋の際の加熱時間としては特に制限されないが、一般に、0.1~20時間が好ましく、0.5~10時間がより好ましく、1~6時間が更に好ましく、2~5時間がより更に好ましく、2.5~4時間が特に好ましい。
加熱時間が上記数値範囲内であると、得られる穿孔部閉鎖材は、より優れた接着性を有する。
また、ゼラチン誘導体の架橋物は、ゼラチン誘導体と、架橋剤とを反応させて得られたものであってもよい。架橋剤としては特に制限されないが、ゲニピン、N-ヒドロキシスクシンイミド、N-スルホキシスクシンイミドで活性化された多塩基酸、アルデヒド化合物、酸無水物、ジチオカーボネート、及び、ジイソチオシアネート等が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、国際公開第2018/079538号の0021~0024段落に記載された化合物も使用でき、上記内容は本明細書に組み込まれる。
・工程5(粒子表面の親水性化工程)
工程5は、架橋されたゼラチン誘導体を含有する粒子に、更に、紫外線を照射し、粒子の表面を親水性化する工程である。この紫外線照射による表面処理により、粒子と水滴との接触角が小さく成り、水分の存在下でより膨潤し易くなる。他方、乾燥状態で組織と接触させれば、紫外線照射後の粒子は、依然優れた接着性を有する。
紫外線照射の条件については、特に制限は無いが、通常、1時間~10時間の間で照射し、より好ましくは2時間~8時間の間で照射し、更に好ましくは3時間~6時間の間で照射する。紫外線強度は0.05~50mW/cmが好ましく、0.5~10mW/cmがより好ましい。また、紫外線積算光量は、1~100J/cmが好ましく、5~100J/cmがより好ましい。
紫外線照射装置については特に制限はなく、市販の紫外線照射装置を用いてもよい。
なお、照射中は、粒子にむらなく紫外線が照射されるように、一定時間で(例えば、30分毎に)粒子を混ぜることが好ましい。また、紫外線照射後は、粒子表面が親水性になっているので、保存する際は、除湿剤の存在下など、乾燥した雰囲気で保存することが好ましい。
<穿孔部閉鎖材の使用方法>
本穿孔部閉鎖材は、穿孔部に噴霧することにより、周辺に存在する水分を吸収してハイドロゲルを形成し、このハイドロゲルが周辺組織に強く接着するとともに、穿孔に充填され、穿孔部を閉鎖する。
本穿孔部閉鎖材は粉体であり、内視鏡からドライ状態で噴霧できるため、特にESDにより生ずる穿孔の閉鎖用であることが好ましい。ESDは、食道、胃、十二指腸、及び、大腸に適用されるが、特に、脆弱な組織である十二指腸については、クリップによる穿孔閉鎖の難しかったところ、本穿孔部閉鎖材を用いれば、周辺組織への負担なく穿孔部を閉鎖できる。
適用量は適用部位、創傷に依存して適宜調整することができるが、一態様として、1~3mmの穿孔に対して、10~200mg噴霧することで、ハイドロゲルが穿孔部に密着し、十分な穿孔閉鎖効果が得られる。
また、本穿孔部閉鎖材は、穿孔の大きさが小さい等の理由によって穿孔の存在を目視等で確認できない場合に、穿孔の拡大を防いだり、穿孔の形成を予防する目的で対象部位に噴霧するという使い方も可能である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(材料)
スケソウダラゼラチン(Mw=38,000Da、アミノ基含有量303μmol/g、以下「ApGltn」又は「Org」ともいう。)を新田ゼラチンから入手した。脂肪族アルデヒド(ヘキサナール、オクタナール、デカナール、ドデカナール)、2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)は東京化成工業(日本)から購入した。エタノール、及び、2-ピコリンボランは純正化学から購入した。新鮮なブタの十二指腸は東京芝浦臓器から購入した。
(ゼラチン誘導体の調製)
ゼラチン誘導体は、ゼラチンとアルデヒドの還元的アミノ化によって調製した。まず、ApGltn(10g)と、12.5mLのエタノールを50℃で攪拌しながら35mLの超純水に溶解した。
同温度で連続攪拌下、エタノール1mLに溶解したデカナール6.1mmol(ゼラチン中の全アミン残基303μmol/gの2当量に相当する)を溶液に加え、1時間後に、アルデヒドのモル数に対して1.5当量の2-ピコリンボランをエタノール1.5mLに溶解した溶液を添加し、混合物の最終濃度を20w/v%(水/エタノール=7:3)とした。
得られた溶液を500mLの冷エタノール中に注意深く滴下し、ゼラチンを沈殿させた。エタノールで3回洗浄した後、沈殿物を3日間真空乾燥し、ゼラチン誘導体「hm-ApGltn」を得た。この方法によって、疎水性基の導入率が9モル%~62モル%の範囲で、導入されたアルキル鎖の鎖長が異なる(C6~C12)複数のゼラチン誘導体を合成した。
なお、ゼラチン中の疎水性基の導入率は、TNBSを用いた残留アミノ基の定量により決定した。hm-ApGltnへの脂肪族アルデヒドの導入は、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)(ALPHA II; Bruker Corp.社、米国)、及び、H核磁気共鳴(1H-NMR、JNM-AL300;日本電子)によって決定された。
(ゼラチン誘導体粒子の調製)
ゼラチン誘導体粒子は、貧溶媒としてエタノールを用いたコアセルベーション法により調製した。まず、hm-ApGltn(5g)を50℃の超純水100mL (ゼラチンの5w/v%)に溶解した後、25℃で激しく攪拌しながらエタノール100mLを滴下添加した。濁ったゼラチン溶液を凍結(-30℃)し、乾燥させゼラチン誘導体粒子を得た。
得られたゼラチン誘導体粒子の粉末を150℃のオーブンで減圧下(<3mbar)で3時間熱架橋した。得られたゼラチン誘導体粒子の形態は、走査型電子顕微鏡(SEM、S-4800超高分解能、HITACHI、日本)を用いて観察した。表1は、得られたゼラチン誘導体粒子の組成と、走査型電子顕微鏡観察によって計算された粒子の真球度と標準偏差をまとめたものである。
Figure 2022126909000002
[十二指腸の穿孔閉鎖時の耐圧強度評価]
耐圧強度評価は、ASTM-F2392-04Rに修正を加えて実施した。まず、新鮮なブタ十二指腸組織を円板状(直径=30mm)に切断した。ESD手術後の状態を模倣するために、組織片の中心部の粘膜を、円板状(直径5mm)に除去し、粘膜下組織を露出させ、粘膜下層剥離組織を作成した。
次に、生検用パンチで、組織の中心に穿孔としてピンホール(直径=1mm)を作製した。余分な水分をペーパーで除去した後、ピンホール部と潰瘍部に50mgの各粒子を散布し10分静置した。次に、生理食塩水を300μL滴下し、37℃で30分間静置し膨潤させ、組織上にハイドロゲルを形成させた。次に、ハイドロゲルを下側にしてステージにセットし、生理食塩水の5mLをチャンバーの上部空間に加えた。シリンジポンプ(SPS-1、ASONE、日本)を用いて、組織の底部から2mL/分の速度で空気を印加した。圧力は、Kroneデジタルマノメーター(Krone CORPORATION、日本)でモニターした。表2は耐圧強度試験の結果である。
Figure 2022126909000003
表2の記載から、例1~例7の穿孔部閉鎖材は、優れた耐圧強度を有しており、穿孔を閉鎖可能であることが示された。
また、疎水性基の導入率が10モル%以上である例4の穿孔部閉鎖材は、例1穿孔部閉鎖材と比較して、より優れた耐圧強度を有していた。
また、疎水性基の導入率が15モル%以上である例4の穿孔部閉鎖材は、例2の穿孔部閉鎖材と比較して、より優れた耐圧強度を有していた。
また、疎水性基の導入率が30モル%以上である例4の穿孔部閉鎖材は、例2の穿孔部閉鎖材と比較して、より優れた耐圧強度を有していた。
また、表2の記載から、いずれも疎水性基の導入率が45モル%以上である、例4~例7の穿孔部被覆材を比較すると、疎水性基が有する炭素数が10以下である例4の穿孔部閉鎖材は、例7の穿孔部閉鎖材と比較してより優れた耐圧強度を有していた。
(耐圧強度のピンホール径、粒子噴霧量依存性)
ピンホール径をそれぞれ1mm、2mm、及び、3mmとしたこと、並びに、粒子の噴霧量を50mg、75mg、及び、100mgとしたことを除いては、上記と同様にして、耐圧強度を測定した。なお、粒子は「47C10」を用いた。表3はその結果である。
Figure 2022126909000004
表3の結果から、ピンホールのサイズに応じて噴霧量を適宜変更することで、いずれも所望の効果が得られることが確かめられた。
(ゼラチン誘導体粒子の調製2)
ポリテトラフルオロエチレン製のトレイに60%EtOHに溶解させた45C10(導入率45モル%、疎水性基の炭素数10個)を流し、室温で風乾し、45C10の膜を得た。次に、上記の膜を「wonder crusher(WC-3C)」で、回転数を28000rpmとし、時間は1分として粉砕し、これを3回繰り返した。得られた粉体を篩掛けし、~250μmの粒子を回収した。次に、得られた粉体を更に篩掛けし、~53μmの粒子を回収した。次に、得られた粉体を更に篩掛けし、~32μmを回収した。これらの各粒子について、150℃、3時間の条件で熱架橋してゼラチン誘導体粒子を得た。表4は、各条件で得られた粒子の真球度と平均粒子径である。
Figure 2022126909000005
[十二指腸に対する耐圧試験測定方法]
欠損1mm径の十二指腸に穿孔閉鎖材の50mgを1cm径の穴の開いたシリコーン2枚に乗せ、スパーテルで表面を平らにした。次に、円形のシリコーン(<1cm)、及び、分銅(50g)を乗せ、10分間静置した。1cm径のシリコーンをはずして1.5cm径のシリコーンに変え、生理食塩水(300μL×2)を加えた。30分後、耐圧試験を実施した。表5はその結果である。なお、表5の結果は、表2の結果と数値の大きさの比較はできない。試験方法が異なるためである。
Figure 2022126909000006
表5の結果から、分級を伴う粉砕法により得られた粒子を含む穿孔閉鎖材も優れた本発明の効果を有していることが確認された。
本穿孔部閉鎖材は、穿孔部に噴霧することにより、周辺に存在する水分を吸収してハイドロゲルを形成し、このハイドロゲルが周辺組織に強く接着するとともに、穿孔に充填され、穿孔部を閉鎖する。
本穿孔部閉鎖材は粉体であり、内視鏡からドライ状態で噴霧できるため、特にESDにより生ずる穿孔の閉鎖に用いることができる。ESDは、食道、胃、十二指腸、及び、大腸に適用されるが、特に、脆弱な組織である十二指腸については、クリップによる穿孔閉鎖の難しかったところ、本穿孔部閉鎖材を用いれば、周辺組織への負担なく穿孔部を閉鎖できる。
また、本穿孔部閉鎖材は、穿孔の大きさが小さい等の理由によって穿孔の存在を目視等で確認できない場合に、穿孔の拡大を防いだり、穿孔の形成を予防する目的で対象部位に噴霧するという使い方も可能である。

Claims (14)

  1. 架橋されたゼラチン誘導体を含有する粒子を含む穿孔部閉鎖材であって、
    前記ゼラチン誘導体は、下記式(1):
    Gtln-NH-L-CHR ・・・(1)
    [式(1)中、「Gltn」はゼラチンの残基を表し、Lは単結合、又は、2価の連結基を表し、Rは炭素数1~20個の炭化水素基を表し、Rは水素原子、又は、炭素数1~20個の炭化水素基を表す]
    で表される構造を有する、穿孔部閉鎖材。
  2. 内視鏡的粘膜下層剥離術により生ずる穿孔の閉鎖用である、請求項1に記載の穿孔部閉鎖材。
  3. 前記穿孔が、消化管に生じた穿孔である、請求項2に記載の穿孔部閉鎖材。
  4. 前記消化管が十二指腸である、請求項3に記載の穿孔部閉鎖材。
  5. 前記粒子の真球度の平均値が、1.45以下であり、前記粒子の真球度の標準偏差が、0.25以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の穿孔部閉鎖材。
  6. 前記式(1)中、*-L-CHRで表される疎水性基[*は結合位置を表す]が有する炭素数の合計が、4~16個である、請求項1~5のいずれか1項に記載の穿孔部閉鎖材。
  7. 前記疎水性基が有する炭素数の合計が、6~12個である、請求項6に記載の穿孔部閉鎖材。
  8. 前記疎水性基が有する炭素数の合計が、6~10個である、請求項6に記載の穿孔部閉鎖材。
  9. 前記疎水性基の導入率が、5~60モル%である、請求項6~8のいずれか1項に記載の穿孔部閉鎖材。
  10. 前記疎水性基の導入率が、25~60モル%である、請求項6~8のいずれか1項に記載の穿孔部閉鎖材。
  11. 下記式(1):
    Gtln-NH-L-CHR ・・・(1)
    [式(1)中、「Gltn」はゼラチンの残基を表し、Lは単結合、又は、2価の連結基を表し、R1は炭素数1~20個の炭化水素基を表し、R2は水素原子、又は、炭素数1~20個の炭化水素基を表す]
    で表される構造を有するゼラチン誘導体を良溶媒に溶解させ、前記ゼラチン誘導体と前記良溶媒とを含有するゼラチン溶液を得ることと、
    前記ゼラチン溶液に貧溶媒を加え、前記ゼラチン誘導体を含有する中間体粒子を前記ゼラチン溶液中に析出させることと、
    前記析出後の前記ゼラチン溶液を凍結乾燥させ、前記中間体粒子を含む中間粉体を得ることと、
    前記中間体粒子の前記ゼラチン誘導体を架橋させて、架橋された前記ゼラチン誘導体を含有する粒子を含む穿孔部閉鎖材を得ることと、を含む、穿孔部閉鎖材の製造方法。
  12. 前記中間粉体を加熱し、前記ゼラチン誘導体を架橋させる、請求項11に記載の穿孔部閉鎖材の製造方法。
  13. 前記中間粉体を、100~200℃で2.5~5時間加熱し、前記中間体粒子中の前記ゼラチン誘導体を架橋させる、請求項12に記載の穿孔部閉鎖材の製造方法。
  14. 更に、前記架橋されたゼラチン誘導体を含有する粒子を含む穿孔部閉鎖材に、紫外線を照射し、前記粒子の表面を親水性化する、請求項11~13のいずれか1項に記載の穿孔部閉鎖材の製造方法。
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