JP2022125923A - 油性固形物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022125923000001
【課題】第1油性固形物の一端が第2油性固形物で覆われている油性固形物を効率よく製造する。
【解決手段】第1油性固形物21の一端が第2油性固形物22に覆われている油性固形物2の製造方法であって、中空の筒状体3内に中子4を設置する中子設置工程と、溶融した第2油性固形物22を筒状体3の内部に充填する第1充填工程と、中子4を筒状体3内から引抜く中子引抜き工程と、筒状体3の鉛直方向Zにおける上下が逆転するように該筒状体3を回転させる回転工程と、第1油性固形物21を充填する第2充填工程とを有し、中子設置工程において、筒状体3の鉛直方向Zにおける上端から中子4が延出しないように該中子4を設置し、第1充填工程において、中子4の鉛直方向Zにおける上端を越えるまで第2油性固形物22を充填し、第2充填工程において、開口部22dを有する第2油性固形物22の凹部22c内に第1油性固形物を充填する。
【選択図】図1

Description

本発明は、油性固形物の製造方法に関する。
従来、多層構造の油性固形物が知られている。油性固形物としては、例えば、口紅の紅身等の油性固形化粧料が挙げられ、特許文献1には、内層部の少なくとも一部が外層部に覆われている油性固形化粧料が記載されている。
特開2017-95452号公報
特許文献1には、同文献の油性固形化粧料は、内側に配された内層部と、外側に配された外層部との境界が明瞭であることが記載されている。しかしながら、同文献の油性固形化粧料において、該油性固形化粧料の軸方向における内層部の一端は、外層部に覆われておらず、露出している。したがって、特許文献1の油性固形化粧料においては、高い意匠性や使用時の意外性を実現することが困難である。
本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る油性固形物を効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明は、第1油性固形物の一端が第2油性固形物に覆われている油性固形物の製造方法であって、
軸方向の両端に開口部を有する中空の筒状体内に中子を設置する中子設置工程と、
前記筒状体の前記軸方向における一端側の前記開口部を鉛直方向下側に向けた状態で、溶融した第2油性固形物を、前記筒状体の該軸方向の他端側の前記開口部から該筒状体の内部に充填する第1充填工程と、
前記中子を前記筒状体内から、該筒状体の前記軸方向の前記一端側の前記開口部側に引抜く中子引抜き工程と、
前記筒状体の前記軸方向の前記一端側の前記開口部が前記鉛直方向上側を向き、該筒状体の該軸方向の前記他端側の前記開口部が該鉛直方向下側を向くように該筒状体を回転させる回転工程と、
前記筒状体の前記軸方向の前記一端側の前記開口部から溶融した第1油性固形物を充填する第2充填工程とを有し、
前記中子設置工程において、前記筒状体の前記軸方向の一端側の開口部を閉塞するように且つ前記筒状体の前記軸方向の他端側の開口部から前記中子が延出しないように、該中子を設置し、
前記第1充填工程において、前記中子の前記鉛直方向における上端を越えるまで溶融した第2油性固形物を充填し、
前記第2充填工程において、前記中子引抜き工程で前記中子を引抜くことで得られた第2油性固形物の凹部であって前記回転工程で前記鉛直方向における上側に開口部を位置させた該凹部内に第1油性固形物を充填する、油性固形物の製造方法を提供するものである。
また本発明は、第1油性固形物の一端が第2油性固形物に覆われている油性固形物の製造方法であって、
軸方向の両端に開口部を有する中空の筒状体内に中子を設置する中子設置工程と、
前記筒状体の前記軸方向の一端側の前記開口部を鉛直方向下側に向けた状態で、溶融した第1油性固形物を、前記筒状体の前記軸方向の他端側の前記開口部から前記中子の内部に充填する第1充填工程と、
前記中子を前記筒状体内から、該筒状体の前記軸方向の前記一端側の前記開口部側に引抜く中子引抜き工程と、
前記筒状体の前記軸方向の前記一端側の前記開口部が前記鉛直方向上側を向き、該筒状体の該軸方向の前記他端側の前記開口部が該鉛直方向下側を向くように該筒状体を回転させる回転工程と、
前記筒状体の前記軸方向の前記一端側の前記開口部から溶融した第2油性固形物を該筒状体の内部に充填する第2充填工程とを有し、
前記中子は、該中子の軸方向における一端に開口部を有する中空の有底筒状形状を有し、
前記中子設置工程において、前記中子の前記開口部を、前記筒状体の前記軸方向における前記他端側の前記開口部側に向けて該中子を設置し、
前記第1充填工程において、前記中子の前記開口部から該中子の内部に第1油性固形物を充填し、
前記第2充填工程において、前記中子を引抜くことで得られた固化した第1油性固形物の前記鉛直方向における上端を超えるまで第2油性固形物を充填する、油性固形物の製造方法を提供するものである。
本発明の油性固形物の製造方法によれば、第1油性固形物の一端が第2油性固形物で覆われている油性固形物を効率よく製造することができる。
図1は、本発明の油性固形物の製造方法によって製造される油性固形物の一例である棒状化粧料及びその棒状化粧料を備えた化粧料製品を模式的に示す斜視図である。 図2(a)~(e)は、本発明の第1実施態様の製造方法を説明するための模式断面図である。 図3は、本発明の別の実施態様の製造方法を説明するための模式断面図であり、図2(a)相当図である。 図4(a)~(e)は、本発明の更に別の実施態様の製造方法を説明するための模式断面図であり、図2(a)~(e)相当図である。 図5(a)及び(b)は、本発明の更に別の実施態様の製造方法を説明するための模式断面図であり、図5(a)は図2(a)相当図であり、図5(b)は図2(c)相当図である。 図6は、図1に示す化粧料容器の軸方向に沿う断面図である。
以下、本発明をその好ましい実施態様に基づき説明する。
図1には、本発明の油性固形物の製造方法によって製造される油性固形物の一例である化粧料(以下、「棒状化粧料」とも言う。)2が示されている。本発明によって製造される油性固形物は、好ましくは、図1に示す化粧料である棒状化粧料2のように、化粧料容器3に取り付けられて化粧料製品1の一部として使用される。
棒状化粧料2としては、例えば口紅、リップクリーム、リップグロス、スティックアイ
シャドウ、アイブロー、アイライナー、スティックファンデーション、コンシーラー、美
白スティック等の、棒状の形状を有する油性固形化粧料、特にメイクアップ化粧料が挙げ
られる。
本発明の油性固形物の製造方法で製造される棒状化粧料2は、図1に示すように、該棒状化粧料2の軸方向Zの一端に位置する先端部2aと、該先端部2aとは反対側に位置する基端部2bとを有する。棒状化粧料2の先端部2aは、該棒状化粧料2の使用時に使用者側に向けられる側の端部である。棒状化粧料2の基端部2bは、該棒状化粧料2を化粧料容器3に取り付けるときに、化粧料容器3に取り付けられる側の端部である。本明細書においては、化粧料製品1及びその構成部材において、該化粧料製品1の使用時に使用者側に向けられる側を先端側と言い、該先端側と反対側を基端側と言う。
棒状化粧料2は、第1油性固形物21及び第2油性固形物22を有する。第1油性固形物21の一端21aは、第2油性固形物22に覆われている。第1油性固形物21の一端21aとは、第1油性固形物21の軸方向Zの両端のうち、棒状化粧料2の先端部2a側に位置する端である。第1油性固形物21の軸方向Zとは、第1油性固形物21が棒状の場合は、その長手方向であり、ブロック状の場合は、その高さ方向等である。図1に、第1油性固形物21の仮想的な軸(線)Yを示す。軸方向Zは、軸Yが伸びる方向である。図1において、第1油性固形物21の軸方向は棒状化粧料2の軸方向Zと一致しているが、一致していなくてもよい。第1油性固形物21の軸方向Zの他端21bは、第2油性固形物22に覆われていてもよいし、覆われていなくてもよい。図1に示す棒状化粧料2においては、第1油性固形物21の軸方向Zの他端21bは、第2油性固形物22に覆われておらず、棒状化粧料2の表面に露出している。
以下、本発明の油性固形物の製造方法の好ましい第1実施態様について、図1に示す棒状化粧料2を製造する場合を例に、図2を参照しながら説明する。図2においては、棒状化粧料2及びそれを製造するための各部材を簡略化して示してある。具体的には、図1においては、棒状化粧料2の先端部2aが、棒状化粧料2の軸方向Zに対して傾斜した傾斜面を有するのに対して、図2においては、便宜上、傾斜面を、棒状化粧料2の軸方向Zに対して垂直な面として示してある。
第1実施態様の油性固形物の製造方法は、(1)中子設置工程、(2)第1充填工程、(3)中子引抜き工程、(4)回転工程、及び(5)第2充填工程をこの順に備える。
(1)中子設置工程
中子設置工程においては、図2(a)に示すように、中空の筒状体3内に、中子4を設置する。筒状体3は、該筒状体3の軸方向Zの両端に開口部3a,3bを有する。図2(a)において、筒状体3の軸方向は第1油性固形物21の軸方向Zと一致しているが、一致していなくてもよい。中子設置工程に後続する第1充填工程において第2油性固形物22を充填しやすくする観点から、中子4が筒状体3内に設置された状態において、筒状体3の軸方向の一端側の開口部3bを鉛直方向下側に向けた状態であることが好ましい。このとき、筒状体3の軸方向と鉛直方向とのなす角が45度以内であることがより好ましく、筒状体3の軸方向と鉛直方向とが一致していることが更に好ましい。図2(a)において、鉛直方向は筒状体3の軸方向Zと一致しているが、一致していなくてもよい。筒状体3の軸方向と鉛直方向とが一致している態様には、筒状体3の軸方向と鉛直方向とが完全に一致している場合のみならず、筒状体3の軸方向と鉛直方向とが略一致している場合も含まれる。筒状体3の開口部3bを鉛直方向下側に向けてから、中子4を該筒状体3内に設置してもよいし、中子4を筒状体3内に挿入した後に、筒状体3の開口部3bを鉛直方向下側に向けてもよい。第1実施態様において、筒状体3の軸方向Zの一端側は、製造される化粧料製品1における基端側である。
また中子設置工程において、中子4は、筒状体3の軸方向Zの一端側の開口部3bを閉塞するように設置する。図2(a)において、筒状体3の軸方向Zの一端側の開口部3bは鉛直方向下側を向いており、該筒状体3の軸方向Zの他端側の開口部3aは鉛直方向上側を向いている。
また中子設置工程においては、筒状体3の軸方向Zの他端側の開口部3aから中子4が延出しないように該中子4を設置する。図2(a)のように、筒状体3の軸方向Zの他端側の開口部3aが鉛直方向上側を向いている場合は、筒状体3の鉛直方向Zにおける上端から中子4が延出しないように該中子4を設置する。具体的には、中子4の鉛直方向Zにおける上端が、筒状体3の鉛直方向Zにおける上端よりも、鉛直方向Zにおける下側に位置するように中子4を設置する。ここで、筒状体3の鉛直方向Zにおける上端とは、該筒状体3内に中子4が設置されている場合であっても、該筒状体3自体の鉛直方向Zにおける上端を意味する。図2(a)においては、筒状体3のうち開口部3aを形成している部分の鉛直方向Zの上端が、筒状体3の鉛直方向Zにおける上端である。
中子4を筒状体3内に設置することにより、中子4と筒状体3との間に空間が形成される。
筒状体3は、棒状化粧料2が取り付けられる化粧料容器3であってもよいし、該化粧料容器3とは別の型であってもよい。第1実施態様においては、筒状体3として、化粧料容器3を用いる。
(2)第1充填工程
第1充填工程においては、図2(b)に示すように、筒状体3の軸方向の一端側の開口部3bを鉛直方向下側に向けた状態で、溶融した第2油性固形物22を、筒状体3の鉛直方向における上側の開口部3aから該筒状体3の内部に充填する。第1充填工程においても、筒状体3の軸方向と鉛直方向とのなす角が45度以内であることがより好ましく、筒状体3の軸方向と鉛直方向とが一致していることが更に好ましい。第1実施態様においては、中子設置工程後に、筒状体3の開口部3bは鉛直方向下側を向いているので、第1充填工程に先立って、筒状体3の開口部3bを鉛直方向下側に向ける工程を行う必要はない。中子設置工程後に、筒状体3の開口部3bが鉛直方向下側を向いていない場合、第1充填工程に先立って、筒状体3の開口部3bを鉛直方向下側に向ける工程を行う。
また第1充填工程においては、溶融した第2油性固形物22が、中子4の鉛直方向Zにおける上端を越えるまで、該第2油性固形物22を筒状体3の内部に充填する。第1実施態様において、中子4の鉛直方向Zにおける上端は、該中子4の先端である。充填された第2油性固形物22の鉛直方向Zにおける上端は、製造される棒状化粧料2の第2油性固形物22における先端側に位置する部位22aとなる。
第1実施態様において、中子4は中空の筒状形状を有する。また中子4は、該中子4の軸方向の両端に開口部4a,4bを有する。また中子4は、開口部4a,4bどうしを連通する連通路41を有する。連通路41は、中子4を引抜くときに生じる該中子4と第2油性固形物22との間の空間Aと、筒状体3の軸方向において該中子を挟んで前記空間Aとは反対側に位置する空間Dとを連通する連通路である(図2(c)参照)。図2(c)において、前記空間Dは、中子4よりも鉛直方向下側に位置している。第1充填工程においては、中子4の連通路41の少なくとも一部を閉塞しておくことが好ましい。こうすることにより、第2油性固形物22を筒状体3内に充填するときに、第2油性固形物22が中子4の連通路41内に入り込むことを防ぐことができる。第1実施態様において、連通路41の閉塞は、該連通路41の少なくとも一部を栓部材5により閉塞することにより、具体的には該連通路41のうち空間Aに面する開口部4aを栓部材5により閉塞することにより行う。なお、連通路41の開口部4aに代えて、又は開口部4aとともに、開口部4b及び/又は該連通路41の途中を栓部材5により閉塞してもよい。
第1実施態様においては、溶融した第2油性固形物22を充填するのに先立ち、筒状体3の内に、棒状化粧料2を固定するための中皿32を設置する中皿設置工程を有することが好ましい。例えば、中子4を筒状体3内に設置するのに先立ち、又は中子4を筒状体3内に設置するのと同時に、筒状体3の内に中皿32を設置する。こうすることにより、充填された第2油性固形物22が固化したときに、該第2油性固形物22が中皿32に固定されることになるので、中皿32を介して化粧料容器3に固定された棒状化粧料2を製造することが容易となる。本実施態様において、中皿32は、筒状体3の軸方向Zの一端側の開口部3b付近に設置されている。中子4は、中皿32の内側に設置される。
(3)中子引抜き工程
中子引抜き工程においては、図2(c)に示すように、中子4を、筒状体3内から引抜く。具体的には、中子4を、筒状体3の軸方向Zの一端側の開口部3b側に引抜く。開口部3bは、中子設置工程において中子4により閉塞された開口部である。中子4を引き抜くことにより、該中子4の形状と相補形状をなす空間が第2油性固形物22内に形成される。
第1実施態様においては、中子4を引抜くのに先立ち、該中子4の連通路41の閉塞状態を解除することが好ましい。こうすることにより、中子4を引抜くときに、該中子4と第2油性固形物22とで囲まれる空間A内に連通路41を介して空間Dから空気が流入するようになるので、該空間Aが減圧されることを防ぐことができる。前記空間Aが減圧され難くなることにより、中子4の引き抜きが容易になるとともに、該空間Aを囲む第2油性固形物22が該空間A側に引っ張られ、第2油性固形物22が崩れたり陥没したりすることを防ぐことができる。第1実施態様においては、溶融した第2油性固形物22を充填する前のうち、筒状体3内に中子4を設置するときに、栓部材5で連通路41の少なくとも一部を閉塞しているが、連通路41の閉塞は、中子4を筒状体3内に設置する前、中子4を筒状体3内に設置した後、中子4を筒状体3内に設置する途中のいずれの段階で行っても良い。第1実施態様においては、栓部材5を連通路41から完全に引抜くことにより連通路41の閉塞状態を解除しているが、栓部材5を連通路41から部分的に引抜くことにより連通路41の閉塞状態を解除してもよい。
連通路41は、該連通路41の閉塞状態が解除される際、より具体的には栓部材5が引き抜かれる際に、栓部材5と第2油性固形物22との間で閉塞されていた空間と空間Dとを連通する部分を有していることが好ましい。このような部分を有していることにより、連通路41の閉塞状態が解除される際、前記閉塞されていた空間が減圧されることに起因して第2油性固形物22が崩れたり陥没したりすることを防ぐことができる。第1実施態様では、第2油性固形物22に面する中子4の連通路41の開口部4aを栓部材5が閉塞した状態で、連通路41内の一部に、空間Dと連通する空間が設けられている。この空間が、栓部材5が引き抜かれる際、栓部材5と第2油性固形物22との間で閉塞されていた空間(開口部4a)と空間Dとを連通する。
第1実施態様で用いる栓部材5は、連通路41内に挿入される連通路内挿入部51を備えている。連通路内挿入部51は、連通路41内に配されて該連通路41内の容積を減少させる。これにより、第2油性固形物22の充填時に熱せられる連通路41内の空気の量が減少するため、この空気の、開口部4aを介した排出による第2油性固形物22の変形や気泡混入を防止することができる。また、第1実施態様の栓部材5は、連通路内挿入部51の先端に、連通路41の開口部41aを閉塞する先端側閉塞部51aを有する。これにより、前記空気の、開口部4aを介した排出を抑制できる。
(4)回転工程
回転工程においては、図2(d)に示すように、筒状体3の軸方向Zの一端側の開口部3bが鉛直方向上側を向き、該筒状体3の軸方向Zの他端側の開口部3aが鉛直方向下側を向くように該筒状体3を回転させる。換言すれば、鉛直方向Zにおける上下が逆転するように筒状体3を回転させる。回転工程に後続する第2充填工程において第1油性固形物21を充填しやすくする観点から、回転後の筒状体3の軸方向と鉛直方向とのなす角が45度以内であることが好ましく、筒状体3の軸方向と鉛直方向とが一致していることがより好ましい。図2(d)において、鉛直方向は筒状体3の軸方向Zと一致しているが、一致していなくてもよい。筒状体3の軸方向と鉛直方向とが一致している態様には、筒状体3の軸方向と鉛直方向とが完全に一致している場合のみならず、筒状体3の軸方向と鉛直方向とが略一致している場合も含まれる。
(4)第2充填工程
第2充填工程においては、図2(e)に示すように、筒状体3の軸方向Zの一端側の開口部3bから、溶融した第1油性固形物21を充填する。筒状体3の軸方向Zの一端側の開口部3bは、鉛直方向Zにおける上側を向いている。溶融した第1油性固形物21は、中子4を引抜くことで生じた第2油性固形物22の凹部22c内に充填する。第2油性固形物22の前記凹部22cは、中子引抜き工程において中子4を引き抜くことにより形成された、該中子4の形状と相補形状をなす空間である。第2充填工程において、第2油性固形物22の凹部22cは、鉛直方向Zにおける上側に開口部22dを有する。充填された第1油性固形物21における鉛直方向Zの下側の端部は、棒状化粧料2における第1油性固形物21の一端21aとなる。また充填された第1油性固形物21における鉛直方向Zの上側の端部は、棒状化粧料2における第1油性固形物21の他端21bとなる。第1実施態様においては、第1油性固形物21が第2油性固形物22の鉛直方向Zにおける上側の端部を覆うように、第1油性固形物21を充填する。その後、第1油性固形物21及び第2油性固形物22が固化することにより、棒状化粧料2が完成する。本実施態様においては、筒状体3として化粧料容器を使用しているので、棒状化粧料2の完成とともに、化粧料製品1が完成する。
第1実施態様の製造方法によれば、第2油性固形物22を充填する際の充填口として、筒状体3の広い開口部3aを用いているので、該第2油性固形物22を容易に充填することができる。また、溶融した第2油性固形物22を、中子4の鉛直方向Zにおける上端を越えるまで筒状体3の内部に充填することで、第2油性固形物22の先端側となる部位22aを容易に形成することができる。第2油性固形物22の先端側となる部位22aは、第2油性固形物22における第1油性固形物21の一端21aを覆う部位である。また、本実施態様の製造方法によれば、第2油性固形物22が柔らかいものであったり、薄いものであったりしても容易に成形することができ、第2油性固形物22の硬さや厚みに関わらず、設計通りの層構造を有する棒状化粧料2を製造することも容易である。また、例えば第2油性固形物22の先端部に加飾のあるようなデザインの棒状化粧料であっても設計どおりの表面形状の棒状化粧料を製造することもできる。また、本実施態様の製造方法においては、筒状体3として化粧料容器を用いているので、製造された棒状化粧料2を化粧料容器3に取り付ける工程を行う必要がない。したがって、第1油性固形物21及び第2油性固形物22として、固化した後の硬さが柔らかいものを用いた場合であっても、第1油性固形物21及び第2油性固形物22の形状が崩れにくい。
このように、本実施態様の製造方法によれば、第1油性固形物21と第2油性固形物22とからなり、第1油性固形物21の一端21aが第2油性固形物22に覆われた形状の棒状化粧料2を効率的に製造することができる。
第1実施態様において、中子4の連通路41は、第1充填工程において、溶融した第2油性固形物22が充填されたときに、該第2油性固形物22における該中子4と対向する面のうち筒状体3の軸方向における他端側に位置する面22eに対向する開口部4aを有することが好ましい。この面22eは、第2油性固形物22の凹部22cの底面であり、製造された棒状化粧料2の第2油性固形物22における、第1油性固形物21の一端21aを覆う部位22aの内面である。この面22eを有する第2油性固形物22の部位22aは、第1充填工程において中子4の鉛直方向の上端を覆う、比較的薄い部位である。前記面22eを有する第2油性固形物22の部位22aは、中子4を引抜くときに生じる、該中子4と第2油性固形物22とで囲まれる空間Aの減圧による影響を受けやすい。中子4の連通路41の開口部4aが前記面22eと対向することにより、前記空間Aの壁面を構成する第2油性固形物22の部位のうち、比較的薄い前記部位22aが崩れたり陥没したりすることを効果的に防ぐことができる。なお、開口部4aの径や第2油性固形物22の組成を調整することにより、中子4を引抜く際に、第2油性固形物22の外面の形状に影響を与えない範囲で、第2油性固形物22の部位22a、即ち凹部22cの底面の一部が、開口部4aを介して連通路41内に脱落するようにしてもよい。
第1実施態様においては、筒状体3として化粧料容器を用いていたが、筒状体3としては、図3に示すように、成形型を用いることもできる。図3に示す成形型3は、合体及び分離可能な二個の割型を含んで構成されており、型閉した状態で軸方向Zの両端に開口部3a,3bが形成される筒状を成している。筒状体3として成形型を用いることにより、製造される棒状化粧料2の形状の自由度を向上させることができる。
図3に示す中子4は、基端側に、連通路41とは別の連通路の開口部として貫通孔4dを有する。また、図3に示す栓部材5は、先端側閉塞部51aとは反対側に基端側閉塞部51bを有する。図3に示す中子4及び栓部材5を用いる場合、栓部材5の先端側閉塞部51aにより中子4の連通路41の開口部4aを閉塞し、基端側閉塞部51bにより中子4の貫通孔4dを閉塞することが好ましい。そして、中子4の連通路41の閉塞状態を解除するときに、貫通孔4dから栓部材5の基端側閉塞部51bを外し、該貫通孔4dを含む連通路の閉塞状態も解除することが好ましい。こうすることにより、中子4を一層容易に引き抜くことができ、第2油性固形物22が崩れたり陥没したりすることを防ぐことができる。両連通路の閉塞とその解除を同一の栓部材5により行うことで、作業を効率化できる。
次に、本発明の油性固形物の製造方法の第2実施態様について、図4を参照しながら説明する。第2実施態様については、第1実施態様と異なる点について説明する。特に説明しない点については、第1実施態様と同様であり、第1実施態様についての説明が適宜適用される。
第2実施態様の製造方法も、第1実施態様の製造方法と同様に、中子設置工程、第1充填工程、中子引抜き工程、回転工程、及び第2充填工程をこの順に備える。第2実施態様においては、第1油性固形物21及び第2油性固形物22を筒状体3内に充填する順番が第1実施態様と異なる。具体的には、第1充填工程において第1油性固形物21を充填し、第2充填工程において第2油性固形物22を充填する。
第2実施態様で用いる中子4は、図4(a)に示すように、該中子4の軸方向の一端に開口部4bを有する中空の有底筒状形状を有する。また中子4は、筒状の本体部42と、底部43とに分離することが可能となっている。
中子設置工程においては、中子4の開口部4b側を、筒状体3の軸方向Zにおける他端側の開口部3b側に向けて該中子4を筒状体3内に設置する。第2実施態様において、筒状体3の軸方向Zの他端側は、製造される化粧料製品1における基端側である。中子設置工程に後続する第1充填工程において第1油性固形物21を充填しやすくする観点から、中子4が筒状体3内に設置された状態において、筒状体3の軸方向の一端側の開口部3aを鉛直方向下側に向けた状態であることが好ましい。このとき、筒状体3の軸方向と鉛直方向とのなす角が45度以内であることがより好ましく、筒状体3の軸方向と鉛直方向とが一致していることが更に好ましい。筒状体3の前記開口部3aを鉛直方向下側に向けてから、中子4を該筒状体3内に設置してもよいし、中子4を筒状体3内に挿入した後に、筒状体3の前記開口部3aを鉛直方向下側に向けてもよい。
第2実施態様においては、中子4の内側の底面部41cが、鉛直方向Zにおいて、筒状体3の下端よりも上側に位置していてもよいし、筒状体3の下端よりも下側に位置していてもよい。
第1充填工程においては、図4(b)に示すように、第1油性固形物21を、筒状体3の軸方向の一端側の開口部3aを鉛直方向下側に向けた状態で、該筒状体3の軸方向の他端側の開口部3bから中子4の内部に充填する。第1充填工程においても、筒状体3の軸方向と鉛直方向とのなす角が45度以内であることがより好ましく、筒状体3の軸方向と鉛直方向とが一致していることが更に好ましい。第2実施態様においては、中子設置工程後に、筒状体3の開口部3aは鉛直方向下側を向いているので、第1充填工程に先立って、筒状体3の開口部3aを鉛直方向下側に向ける工程を行う必要はない。中子設置工程後に、筒状体3の前記開口部3aが鉛直方向下側を向いていない場合、第1充填工程に先立って、筒状体3の前記開口部3aを鉛直方向下側に向ける工程を行う。
また第1充填工程においては、中子4の開口部4bから、該中子4の内部に第1油性固形物21を充填する。第1充填工程においては、充填された第1油性固形物21の鉛直方向上端が、筒状体3の開口部3bまで達するよう第1油性固形物21を充填することが好ましい。こうすることにより、第1油性固形物21が固化したときに、第1油性固形物21の鉛直方向上端である他端21bが筒状体3の開口部3bに固定され、中子引抜き工程において中子4を引抜いたときに、第1油性固形物21を筒状体3内に残すことができる。第1充填工程における第1油性固形物21の鉛直方向上端、即ち第1油性固形物21の他端21bは、製造される棒状化粧料2における基端側となる。
中子引抜き工程においては、図4(c)に示すように、中子4を、筒状体3の軸方向の一端側の開口部3a側に引抜く。筒状体3の開口部3aは、中子4の底部が向けられた側の開口部である。第2実施態様に係る中子引抜き工程においては、まず中子4の底部43を取り外し、その後、中子4の本体部42を、筒状体3の開口部3a側に引抜くことが好ましい。こうすることにより、中子4と第1油性固形物21との間の空間が負圧になりにくく、第1油性固形物21が崩れたり陥没したりすることを防ぐことができる。なお、中子設置工程において、中子4の内側の底面部41cが、鉛直方向Zにおいて、筒状体3の下端よりも下側に位置するように中子4を設置した場合、固化した第1油性固形物21における鉛直方向Zの下側の端部が、筒状体3の開口部3aから突出することになる。この場合、例えば第1油性固形物21の前記下側の端部を削り、第1油性固形物21の一端21aが筒状体3の開口部3aから突出しないようにする。
回転工程は、第1実施態様と同様にして行う。第2実施態様に係る回転工程においては、筒状体3の軸方向の一端側の開口部3aが鉛直方向Zの上側を向き、該筒状体3の軸方向の他端側の開口部3bが鉛直方向Zの下側を向くように該筒状体3を回転させる(図4(d)参照)。換言すれば、鉛直方向Zにおける上下が逆転するように筒状体3を回転させる。
第2充填工程においては、中子4を引抜くことで得られた固化した第1油性固形物21と筒状体3との間の空間に、第1油性固形物21の鉛直方向Zにおける上端、即ち第1油性固形物21の一端21aを越えるまで第2油性固形物22を充填する。第2充填工程における第1油性固形物21の鉛直方向上端、即ち第1油性固形物21の一端21aは、製造される棒状化粧料2における先端側に位置する。第2油性固形物22をこのように充填することにより、第1油性固形物21の一端21aが、第2油性固形物22により覆われる。その後、第1油性固形物21及び第2油性固形物22が固化することにより、棒状化粧料2が完成する。第2実施態様においても、筒状体3として化粧料容器を使用しているので、棒状化粧料2の完成とともに、化粧料製品1が完成する。
第2実施態様の製造方法によれば、第1実施態様の製造方法と同様に、第1油性固形物21と第2油性固形物22とからなり、第1油性固形物21の一端21aが第2油性固形物22に覆われた形状の棒状化粧料2を効率的に製造することができる。また、第2実施態様の製造方法においては、第2充填工程から棒状化粧料2の完成までの間に第2油性固形物22の内面(第1油性固形物21と接している面)に負圧がかからないので、第2油性固形物22の形状が一層崩れにくい。また内側に位置する第1油性固形物21を成形した後に、外側に位置する第2油性固形物22を成形するので、第1油性固形物21の融点が第2油性固形物22の融点よりも高い場合であっても、第1油性固形物21と第2油性固形物22との境界を明瞭にすることができる。固化したときの第1油性固形物21を相対的に硬くし、固化したときの第2油性固形物22を相対的に柔らかくすることで、棒状化粧料2を使用するときには折れにくく且つ使用者の皮膚に触れたときには感触に優れる棒状化粧料2を製造することもできる。
第2実施態様に係る中子設置工程においては、筒状体3の内側面と、中子4の外面との間に隙間Bが形成されるように、該中子4を設置することが好ましい(図4(a)参照)。こうすることにより、中子4を引抜くときに、中子4と筒状体3との間の摩擦を低減させることができるので、中子4を容易に引抜くことができる。例えば、筒状体3と中子4との間にスペーサーを配することにより、前記隙間Bを形成してもよいし、中子4の外周面に凹凸を設けることにより、前記隙間Bを形成してもよい。前記摩擦を低減させるという観点からは、中子4の軸周り方向における隙間Bの範囲の合計は、25%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、75%以上がさらに好ましい。同じ観点から、中子4の軸方向における隙間Bの範囲の合計は、25%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、75%以上がさらに好ましい。
第2実施態様においては、中子4を筒状体3内に設置するのに先立ち、又は中子4を筒状体3内に設置するのと同時に、筒状体3内に、棒状化粧料2を固定するための中皿32を設置する中皿設置工程を有することが好ましい。中皿設置工程を有する場合、中子設置工程においては、中子4を中皿32の内側に設置することが好ましい。こうすることにより、中子4と筒状体3との間に隙間Bが形成されるので、中子4を容易に引抜くことができる。第2実施態様において、中皿32は、筒状体3の基端側の開口部3b付近に設置されている。
第2実施態様においては、筒状体3として化粧料容器を用いているが、筒状体3としては、図5に示すように、成形型を用いることもできる。図5に示す成形型3は、型閉及び型開が可能な二個の割型を含んで構成されており、型閉状態で軸方向Zの両端に開口部3a,3bが形成される筒状を成している。筒状体3として成形型を用いることにより、製造される棒状化粧料2の形状の自由度を向上させることができる。
図5に示す中子4は、基端側及び先端側にそれぞれ、連通路の開口部として貫通孔4c,4dを有する。図5に示す中子4を用いる場合、第1充填工程においては、中子4の貫通孔4c,4dを閉塞しておくことが好ましい(図5(a)参照)。こうすることにより、第2油性固形物22を筒状体3内に充填するときに、第2油性固形物22が中子4の貫通孔4c,4dから漏れ出ることを防ぐことができる。図5には、栓部材5の先端側閉塞部51aにより中子4の貫通孔4dを閉塞し、基端側閉塞部51bにより中子4の貫通孔4cを閉塞する様子が示されている。貫通孔4c,4dの閉塞は、溶融した第1油性固形物21を充填する前であれば、中子4を筒状体3内に設置する前、後、途中のいずれの段階で行っても良い。
図5に示す中子4を用いる場合、中子4を引抜くのに先立ち、該中子4の貫通孔4c,4dの閉塞状態を解除することが好ましい。こうすることにより、中子4を引抜くときに、該中子4と第1油性固形物21とで囲まれる空間C内に貫通孔4c,4dを介して空気が流入するようになるので、該空間Cが減圧されることを防ぐことができる(図5(b)参照)。前記空間Cが減圧され難くなることにより、該空間Cに囲まれた第1油性固形物21が該空間C側に引っ張られ、第1油性固形物21が崩れたり陥没したりすることを防ぐことができる。貫通孔4cは、第1充填工程において、溶融した第1油性固形物21が充填されたときに、該第1油性固形物21における該中子4と対向する面のうち筒状体3の軸方向における他端側(開口部3bの側)に位置する面に対向する連通路の開口部である。貫通孔4cが前記(開口部3bの側の)面と対向することにより、前記空間Cの壁面を構成する第1油性固形物21の部位のうち、比較的薄い前記部位が崩れたり陥没したりすることを効果的に防ぐことができる。
次に、第1及び第2実施態様に共通する好ましい構成について説明する。
第1及び第2実施態様の製造方法は、冷却工程を有していてもよい。冷却工程には、第1充填工程後に、第1油性固形物21又は第2油性固形物22を強制的に冷却して、第1油性固形物21又は第2油性固形物22の固化を促進させる冷却工程と、第2充填工程後に、第1油性固形物21又は第2油性固形物22を強制的に冷却して、第1油性固形物21又は第2油性固形物22の固化を促進させる冷却工程とが含まれる。冷却工程を有することにより、第1又は第2油性固形物21,22の固化を促進させ、第1又は第2油性固形物21,22が崩れたり陥没したりして第1又は第2油性固形物21,22に欠陥が生じることを防ぎ、欠陥の無い棒状化粧料2を容易に製造することができる。第1及び第2実施態様の製造方法は、上述の二つの冷却工程のうちいずれか一方又は両方の冷却工程を有していてもよい。冷却工程において、第1又は第2油性固形物21,22を強制的に冷却する手段としては、第1又は第2油性固形物21,22が充填された筒状体3を低温の空間に配置する、第1又は第2油性固形物21,22に冷風を当てる、第1又は第2油性固形物21,22が充填された筒状体3自体を冷風、冷水又は冷却板を当てて冷やす等が挙げられる。
筒状体3として型を用いる場合、型の材質としては、金属、合成樹脂、セラミック、木材、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム等のエラストマー、及びこれらの同種又は異種の2以上の組み合わせ等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、耐久性、油性固形物の剥離性、及び加工性の観点から、金属、合成樹脂、合成ゴム、シリコーンゴム等のエラストマーを用いることが好ましい。エラストマーからなる型を用いた場合、型を取り外すときに、型の周囲を陰圧にすることにより型を開き、第1油性固形物21及び第2油性固形物22の固化体から型を取り外すこともできる。
中子4を構成する材料としては金属、合成樹脂、セラミック、木材、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム等のエラストマー、及びこれらの同種又は異種の2以上の組み合わせ等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、耐久性、油性固形物の剥離性、及び加工性の観点から、金属、合成樹脂、合成ゴム、シリコーンゴム等のエラストマーを用いることが好ましい。
栓部材5を構成する材料としては、金属、合成樹脂、セラミック、木材、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム等のエラストマー、及びこれらの同種又は異種の2以上の組み合わせ等が挙げられる。これらの中でも、密閉性、耐熱性、耐久性、油性固形物の剥離性、及び加工性の観点から、金属、合成樹脂、合成ゴム、シリコーンゴム等のエラストマーを用いることが好ましい。
第1及び第2油性固形物21,22の構成材料について説明する。
第1及び第2油性固形物21,22それぞれの構成材料としては、油性固形物の用途に応じて、従来使用されている各種のものを特に制限なく用いることができる。第1油性固形物21と第2油性固形物22とは、性質の異なる油性固形組成物であることが好ましい。ここで、性質の異なる油性固形組成物とは、色調、味、香り、硬さ、揮発性、紫外線防御効果、潤い効果、塗布膜の持続効果等の諸性状及び効果の少なくとも一以上を異ならせることを意味し、中でも色調、硬さの異なる油性固形組成物であることが好ましい。
第1油性固形物21と第2油性固形物22とは、色調が同一であってもよいし、異なっていてもよいが、棒状化粧料2の意匠性を向上させる観点から、色調が異なっていることが好ましい。色調が異なるとは、色相、明度、彩度及び透明性のいずれか一つ又は複数が異なることを意味する。色調を異ならせる方法としては、第1油性固形物21と第2油性固形物22とに異なる種類の顔料や染料、油剤を配合する方法や、第1油性固形物21及び第2油性固形物22のいずれか一方のみに顔料や染料を配合する方法等があるが、これらに限定されず多様な方法を用いることができる。
第1油性固形物21と第2油性固形物22とで色調以外を異ならせる態様としては、例えば、(1)第1油性固形物21の香料を、第2油性固形物22の香料とは異なる香料とする態様、(2)第1油性固形物21の硬さを、第2油性固形物22の硬さより硬くするとする態様、(3)第1油性固形物21の溶媒を、第2油性固形物22の溶媒より揮発性の高い溶媒とする態様等が挙げられる。
前記(1)の態様によれば、例えば、使用に伴い香りの変化を楽しめるといった効果が得られる。前記(2)の態様によれば、例えば、単独では成型困難な柔らかさの第2油性固形物22であっても、それよりも硬い第1油性固形物21を芯材とすることで成型可能となるといった効果が得られる。前記(3)の態様によれば、例えば、使用するまで揮発性の高い第1油性固形物の溶媒の揮発を抑制することができるといった効果が得られる。
第1及び第2油性固形物21,22を構成する油性組成物の一例を示すと、好ましくは、連続層が油剤である化粧料中に、顔料等の粉体が分散しており、25℃にて固体又はペースト状であり、好ましくは50℃~150℃で液状の組成物である。
また、第1及び第2油性固形物21,22は、好ましくは、第1及び第2油性固形物21,22の全量中に油剤を10質量%以上100質量%以下、より好ましくは25質量%以上96質量%以下含有するものである。
油剤としては、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ライスワックス、サンフラワーワックス、水添ホホバ油、モクロウ等の植物系ワックス;ミツロウ、鯨ロウ等の動物性ワックス;シリコーンワックス、合成ミツロウ、合成モクロウ等の合成ワックス等のワックス;パルミチン酸デキストリン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸イヌリン、12-ヒドロキシステアリン酸、ジブチルラウロイルグルタミド、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド、ポリアミド樹脂等の油性ゲル化剤;ワセリン、ビニルレザーワックス、ヘキサ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ジペンタエリスリチル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、水添パーム油、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、オレイン酸フィトステリル、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、硬質ラノリン、還元ラノリン、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2等のペースト油;流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ミネラルオイル、スクワラン、α-オレフィンオリゴマー、ポリイソブチレン、ポリブテン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン等の直鎖又は分岐の炭化水素油;イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸トリシクロデカンメチル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソブチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、コハク酸ジ2-へチルヘキシル、コハク酸ビスエトキシジグリコール、ラウリン酸ヘキシル、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロパンジオール、ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸プロパンジオール、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、リンゴ酸オクチルドデシル、グリセリン脂肪酸エステル、ホホバ油、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ2-ヘチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、2-エチルヘキサン酸2-ヘキシルデシル、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリメリト酸トリトリデシル、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、メトキシケイヒ酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ダイマー酸ジイソプロピル、炭酸プロピレン等のエステル油;ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン、フッ素変性シリコーン等のフッ素油;フェノキシエタノール等が挙げられる。前述した各種の油剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
粉体としては、化粧料に従来用いられている各種のもの等を特に制限なく用いることができ、無機粉体でも有機粉体でも良く、無機粉体と有機粉体とを併用しても良い。また粉体は、板状の粉体でも粒状の粉体でも良い。
第1及び第2油性固形物21,22が含有する粉体としては、色彩を付与するための着色顔料、光輝性顔料、体質顔料等の顔料、油溶性染料等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて配合することができる。第1油性固形物21と第2油性固形物52とで、組成が異なっていても良いことは当然である。
第1及び第2油性固形物21,22は、第1及び第2油性固形物21,22の全量中に粉体を0.001質量%以上90質量%以下含有することが好ましく、より好ましくは0.2質量%以上45質量%以下である。
本発明の製造方法により製造される棒状化粧料2は、上述したように化粧料容器3に取り付けられて使用することができる。図1及び図6に示す化粧料容器3について説明すると、化粧料容器3は、棒状化粧料2の基端部2bを収容する収容空間を有する筒状の中皿32及び中皿32を収容する外筒31を具備している。中皿32の内周面には、棒状化粧料2の基端部2bを固定するための突起32aが設けられている。中皿32は、本体基部33を片手に持って、外筒31を他方の手で回転させることにより、外筒31内を上下方向に移動可能となっている。
以上、本発明の油性固形物の製造方法を、その好ましい実施態様に基づいて説明してきたが、本発明の油性固形物の製造方法は、上述した各実施態様に限定されるものではない。
第1及び第2実施態様においては、棒状化粧料2を製造しているが、本発明の製造方法により製造される油性固形物はこれに限られず、例えば、チョコレート、制汗剤、石鹸、ロウソク、医薬品、インテリア、玩具等であってもよい。第1及び第2油性固形物21,22としては、製造される油性固形物に応じて適宜適切なものを使用することができる。
また第1及び第2実施態様においては、中子4の軸方向は筒状体3の軸方向と一致しているが、中子4の軸方向は筒状体3の軸方向に対して傾いてもよい。
1 化粧料製品
2 油性固形物
21 第1油性固形物
22 第2油性固形物
3 化粧料容器(筒状体)
4 中子
5 栓部材
Z 軸方向

Claims (11)

  1. 第1油性固形物の一端が第2油性固形物に覆われている油性固形物の製造方法であって、
    軸方向の両端に開口部を有する中空の筒状体内に中子を設置する中子設置工程と、
    前記筒状体の前記軸方向における一端側の前記開口部を鉛直方向下側に向けた状態で、溶融した第2油性固形物を、前記筒状体の該軸方向の他端側の前記開口部から該筒状体の内部に充填する第1充填工程と、
    前記中子を前記筒状体内から、該筒状体の前記軸方向の前記一端側の前記開口部側に引抜く中子引抜き工程と、
    前記筒状体の前記軸方向の前記一端側の前記開口部が前記鉛直方向上側を向き、該筒状体の該軸方向の前記他端側の前記開口部が該鉛直方向下側を向くように該筒状体を回転させる回転工程と、
    前記筒状体の前記軸方向の前記一端側の前記開口部から溶融した第1油性固形物を充填する第2充填工程とを有し、
    前記中子設置工程において、前記筒状体の前記軸方向の一端側の開口部を閉塞するように且つ該筒状体の前記軸方向の他端側の開口部から前記中子が延出しないように、該中子を設置し、
    前記第1充填工程において、前記中子の前記鉛直方向における上端を越えるまで溶融した第2油性固形物を充填し、
    前記第2充填工程において、前記中子引抜き工程で前記中子を引抜くことで得られた第2油性固形物の凹部であって前記回転工程で前記鉛直方向における上側に開口部を位置させた該凹部内に、第1油性固形物を充填する、油性固形物の製造方法。
  2. 第1油性固形物の一端が第2油性固形物に覆われている油性固形物の製造方法であって、
    軸方向の両端に開口部を有する中空の筒状体内に中子を設置する中子設置工程と、
    前記筒状体の前記軸方向の一端側の前記開口部を鉛直方向下側に向けた状態で、溶融した第1油性固形物を、前記筒状体の前記軸方向の他端側の前記開口部から前記中子の内部に充填する第1充填工程と、
    前記中子を前記筒状体内から、該筒状体の前記軸方向の前記一端側の前記開口部側に引抜く中子引抜き工程と、
    前記筒状体の前記軸方向の前記一端側の前記開口部が前記鉛直方向上側を向き、該筒状体の該軸方向の前記他端側の前記開口部が該鉛直方向下側を向くように該筒状体を回転させる回転工程と、
    前記筒状体の前記軸方向の前記一端側の前記開口部から溶融した第2油性固形物を該筒状体の内部に充填する第2充填工程とを有し、
    前記中子は、該中子の軸方向における一端に開口部を有する中空の有底筒状形状を有し、
    前記中子設置工程において、前記中子の前記開口部を、前記筒状体の前記軸方向における前記他端側の前記開口部側に向けて該中子を設置し、
    前記第1充填工程において、前記中子の前記開口部から該中子の内部に第1油性固形物を充填し、
    前記第2充填工程において、前記中子を引抜くことで得られた固化した第1油性固形物の前記鉛直方向における上端を超えるまで第2油性固形物を充填する、油性固形物の製造方法。
  3. 前記中子設置工程において、前記筒状体の内側面と前記中子の外面との間に隙間が形成されるように、該中子を設置する、請求項2に記載の油性固形物の製造方法。
  4. 前記中子の底部は、該中子の本体部から分離可能となっており、
    前記中子引抜き工程において、前記底部を前記本体部から分離した後に該本体部を引抜く、請求項2又は3に記載の油性固形物の製造方法。
  5. 前記筒状体が、前記油性固形物を収容するための容器である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の油性固形物の製造方法。
  6. 前記中子を前記筒状体内に設置するのに先立ち、又は前記中子を前記筒状体内に設置するのと同時に、該筒状体内に、前記油性固形物を固定するための中皿を設置する中皿設置工程を有し、
    前記中子設置工程において、前記中子を前記中皿の内側に設置する、請求項5に記載の油性固形物の製造方法。
  7. 前記中子は、前記中子を引抜くときに生じる該中子と第1又は第2油性固形物との間の空間と、前記筒状体の前記軸方向において該中子を挟んで該空間とは反対側に位置する空間とを連通する連通路を備える、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の油性固形物の製造方法。
  8. 前記連通路は、前記第1充填工程で充填される第1又は第2油性固形物における前記中子と対向する面のうち前記筒状体の前記軸方向における前記他端側に位置する面に対向する開口部を有する、請求項7に記載の油性固形物の製造方法。
  9. 前記第1充填工程において、前記連通路の少なくとも一部を閉塞しておき、
    前記中子を引抜くのに先立ち、前記連通路の閉塞を解除する、請求項7又は8に記載の油性固形物の製造方法。
  10. 前記連通路の閉塞は、該連通路の少なくとも一部を栓部材により閉塞して行う、請求項9に記載の油性固形物の製造方法。
  11. 製造される前記油性固形物が、化粧料である、請求項1~10のいずれか一項に記載の油性固形物の製造方法。
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