JP2022125396A - クリンカーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鉄鋼ダストを原材料として用いる酸化亜鉛の製造等において、製造設備の稼働率を維持しながら、低コストで、低塩素品位のクリンカー得ることができるクリンカーの製造方法を提供すること。【解決手段】鉄鋼ダスト及び炭素質還元剤を含有する還元剤内装ペレットと、無機酸化物であるフラックスと、を含んでなる被焙焼物を、還元焙焼することによって、被焙焼物から粗酸化亜鉛を分離回収して、残滓である未処理クリンカーを排出する、還元焙焼工程S20と、未処理クリンカーを淡水で洗浄する淡水洗浄工程S30と、を備え、被焙焼物の融点を、還元焙焼工程S20を実施する還元焙焼炉内の最高温度以上に維持する、クリンカーの製造方法とする。【選択図】図1
Description
本発明は、鉄鋼ダストからクリンカーを製造するクリンカーの製造方法に関する。更に詳しくは、酸化亜鉛の製造等において原料鉱として用いられる鉄鋼ダスト由来のクリンカーであって、低塩素品位であり、鉄源として好ましく用いることができるクリンカーを得ることができるクリンカーの製造方法に関する。
従来、亜鉛製錬所における亜鉛地金の原料として、粗酸化亜鉛等の亜鉛含有原料から、不純物を分離除去して得た酸化亜鉛鉱が広く用いられている。粗酸化亜鉛は、例えば、鉄鋼業における高炉や電気炉等から発生する鉄鋼ダストに還元焙焼処理を施すことによって得ることができる。
鉄鋼ダストの還元焙焼処理は、一般に、還元焙焼ロータリーキルン(RRK)によって行われる。そして、このRRKからは、亜鉛回収後の残滓として、鉄成分を主体としたクリンカーが排出される。このクリンカーは、電炉への再利用、セメント用途向け鉄源として利用されている。そして、セメント用途向け鉄源とする場合には、塩素含有量が0.02%程度以下であることが求められる。
鉄源製品として出荷されるクリンカー(本明細書において「製品クリンカー」とも言う)の製造において、塩素の除去率を高める手段としては、RRK内の焙焼温度を高めるか、或いは、RRK内における被焙焼物の滞留時間を長くすることが考えられる。しかしながら、これらの何れの手段も、被焙焼物の熔融が過剰に進行して、熔融物がロータリーキルン内壁に付着することによる還元焙焼処理の稼働率を低下させてしまうリスクを伴う。又、燃料や還元剤の使用量が増加するので、省エネルギーとCO2排出量抑制の観点からも好ましい手段ではなかった。
鉄を含有する「クリンカー」からの塩素除去率を高めるための他の手段としては、例えば、クリンカーを、大粒径側の粗クリンカーと、小粒径側の細クリンカーとに分級する工程を経た後に、大粒径側に分級された粗クリンカーを水洗するクリンカーの製造方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に開示されている製造方法を実施するためには、還元鉄ペレットを粉砕するための大規模な粉砕設備等の設備投資費用、工程の追加に伴う運転費用の増加が必須である。このことから、酸化亜鉛鉱の製造プロセス等、鉄鋼ダストの還元焙焼処理を行っている一般的な工業設備において、このような費用の嵩むプロセスを採用することは困難であった。
本発明は、鉄鋼ダストを原材料として用いる酸化亜鉛の製造等において、製造設備の稼働率を維持しながら、低コストで、低塩素品位のクリンカー得ることができるクリンカーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、還元焙焼工程に投入する被焙焼物の融点を、還元焙焼工程の実施中における還元焙焼炉内の最高温度以上に維持できるように調整することによって、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。より、具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 鉄鋼ダスト及び炭素質還元剤を含有する還元剤内装ペレットと、無機酸化物であるフラックスと、を含んでなる被焙焼物を、還元焙焼することによって、前記被焙焼物から粗酸化亜鉛を分離回収して、残滓である未処理クリンカーを排出する、還元焙焼工程と、前記未処理クリンカーを淡水で洗浄する淡水洗浄工程と、を備え、前記被焙焼物の融点を、前記還元焙焼工程を実施する還元焙焼炉内の最高温度以上に維持する、クリンカーの製造方法。
(1)のクリンカーの製造方法によれば、鉄鋼ダストを原材料として用いる還元焙焼処理を行う酸化亜鉛鉱の製造等において、製造設備の稼働率を維持しながら、低コストで、低塩素品位の鉄含有クリンカーを得ることができる。
(2) 前記フラックスの組成及び/又は添加量の調整によって、前記被焙焼物の融点を、前記最高温度以上に維持する、(1)に記載のクリンカーの製造方法。
(2)のクリンカーの製造方法によれば、鉄鋼ダストの組成及び融点にばらつきがある場合であっても、(1)の発明の効果を安定的に発現させて、製造設備の稼働率を維持しながら、低コストで、低塩素品位の鉄含有クリンカーを得ることができる。
(3) 前記未処理クリンカーの温度を、空冷処理によって800℃以下に低下させた後に、前記淡水洗浄工程を行う、(1)又は(2)に記載のクリンカーの製造方法。
(3)のクリンカーの製造方法によれば、未処理クリンカーが急激に冷却されることによる崩壊を防いで、クリンカーの再酸化に伴うFe2O3、即ち、赤錆による発塵を抑えることができる。このようにして得られたクリンカーは、セメント用途向け鉄源に留まらず、製鋼用途向け鉄源にまで用途を拡大していく場合にも、極めて好ましく用いることができる。
(4) 前記淡水洗浄工程における洗浄後のクリンカーの塩素含有量が0.02%以下である、(1)から(3)の何れかに記載のクリンカーの製造方法。
(4)のクリンカーの製造方法によって、クリンカーの塩素含有量を0.02%以下に低減させることによって、鉄分を含有するクリンカーの再利用の用途を大幅に拡大することができる。例えば、セメント用途向け鉄源として、JIS R 5210:2009「ポルトランドセメント」の「普通」に規定されている塩化物イオン0.035%以下、或いは、「早強」、「超早強」に規定されている塩化物イオン0.020%以下という各規準を十分に満たすクリンカーを、大規模な追加設備投資を要せずに得ることができる。
本発明によれば、鉄鋼ダストを原材料として用いる酸化亜鉛鉱の製造において、製造設備の稼働率を維持しながら、より低コストで、低塩素品位のクリンカー得ることができるクリンカーの製造方法を提供することができる。
以下、本発明のクリンカーの製造方法と、同製造方法を含む態様で実施される酸化亜鉛鉱の製造の全体プロセスについて説明する。但し、本発明は、以下の実施態様に限定されるものではない。
<酸化亜鉛鉱製造の全体プロセス>
本発明によって得ることができる「クリンカー」は、鉄成分を主体としたクリンカーである。そして、このクリンカーは、図1に全体の流れを示す酸化亜鉛鉱製造の全体プロセスにおいて最終製品である酸化亜鉛鉱とともに副産物として産出され、各種の鉄源用途として用いられる工業製品である。
本発明によって得ることができる「クリンカー」は、鉄成分を主体としたクリンカーである。そして、このクリンカーは、図1に全体の流れを示す酸化亜鉛鉱製造の全体プロセスにおいて最終製品である酸化亜鉛鉱とともに副産物として産出され、各種の鉄源用途として用いられる工業製品である。
酸化亜鉛鉱製造の全体プロセスの流れは、図1に示す通りである。この全体プロセスにおいては、酸化亜鉛鉱を製造するための流れとして、鉄鋼ダストと炭素質還元剤を含む還元剤内装ペレットと得る予備混合工程S10、還元剤内装ペレットを、高融点のフラックスとともに、還元焙焼処理に投入する還元焙焼工程S20、還元焙焼工程S20において鉄鋼ダストから分離回収した粗酸化亜鉛から湿式処理によってハロゲン成分を除去する湿式工程S40、及び、湿式工程S40において得た粗酸化亜鉛ケーキを乾燥加熱して最終製品である酸化亜鉛鉱(酸化亜鉛焼鉱)を得る乾燥加熱工程S50が順次行われる。
そして、本発明の「クリンカーの製造方法」は、図1に示す酸化亜鉛鉱製造の全体プロセスの流れの中で、還元焙焼工程S20と、亜鉛成分回収後の残滓として還元焙焼工程S20から排出される「未処理のクリンカー」を洗浄する淡水洗浄工程S30とからなる部分プロセスであり、上記の酸化亜鉛鉱の製造に並行して行われる。
<クリンカーの製造方法>
本発明の「クリンカーの製造方法」(以下、単に「クリンカーの製造方法」とも言う)は、上述した通り、酸化亜鉛鉱を製造する全体プロセスの中で、酸化亜鉛鉱を製造する流れと並行して行われる部分プロセスである。この「クリンカーの製造方法」は、少なくとも、還元焙焼工程S20、及び、淡水洗浄工程S30を備えてなるプロセスである。そして、これらの各工程を、本発明独自の所定の実施条件の下で行うことによって、従来よりも低コストで、鉄源製品として出荷する低塩素品位の「製品クリンカー」を得ることができるプロセスである。
本発明の「クリンカーの製造方法」(以下、単に「クリンカーの製造方法」とも言う)は、上述した通り、酸化亜鉛鉱を製造する全体プロセスの中で、酸化亜鉛鉱を製造する流れと並行して行われる部分プロセスである。この「クリンカーの製造方法」は、少なくとも、還元焙焼工程S20、及び、淡水洗浄工程S30を備えてなるプロセスである。そして、これらの各工程を、本発明独自の所定の実施条件の下で行うことによって、従来よりも低コストで、鉄源製品として出荷する低塩素品位の「製品クリンカー」を得ることができるプロセスである。
「クリンカーの製造方法」においては、還元焙焼工程S20を実施するRRK等の炉内温度を十分に高めて好ましい亜鉛成分の回収率を維持したまま、一方で、被焙焼物の熔融を抑制するために、その融点が炉内温度以上となるように被焙焼物の組成を調整する。これにより、RRKの内壁への熔融物の付着を防ぐことができる。そして、これに止まらず、更に、RRKから排出される「未処理のクリンカー」を、多数の微細な空隙が形成されているポーラスな形状のクリンカーとして、引き続き行われる淡水洗浄工程S30における洗浄効果を高めることができる。
[予備混合工程]
「酸化亜鉛鉱を製造する全体プロセス」の中で、還元焙焼工程S20に先行して、鉄鋼ダスト等の亜鉛を含有する原料鉱とリサイクルカーボン等の炭素質還元剤を主体とする粉体とを混合造粒して還元剤内装ペレットとする工程である。
「酸化亜鉛鉱を製造する全体プロセス」の中で、還元焙焼工程S20に先行して、鉄鋼ダスト等の亜鉛を含有する原料鉱とリサイクルカーボン等の炭素質還元剤を主体とする粉体とを混合造粒して還元剤内装ペレットとする工程である。
還元剤内装ペレットの混合造粒の作業、所謂、ペレタイズは、一般的に用いられるペレタイジング装置を用いて行うことができる。例えば、回転式のパン型ペレタイザー又は2軸不等速ピン式造粒機ダウ・ペレタイザーを用いて、鉄鋼ダストとリサイクルカーボンとを、所定のペレット組成となるように連続的に供給し、ミスト状の水分を添加しながらペレタイジングすることによって、還元焙焼工程S20に投入する還元剤内装ペレットと得ることができる。
尚、予備混合工程S10は、本発明の「クリンカーの製造方法」における、必須の工程ではない。例えば、別の工場等で予め適切なサイズに加工成形済の還元剤内装ペレットを、予備混合工程S10を経ずに、直接、還元焙焼工程S20に投入する態様によっても「クリンカーの製造方法」を実施することもできる。
(還元剤内装ペレット)
「クリンカーの製造方法」に用いる還元剤内装ペレットのサイズは、1mm以上20mm以下程度であることが好ましく、5mm以上10mm以下程度であることがより好ましい。還元剤内装ペレットのサイズを1mm程度以上とすることで、ロータリーキルンへの挿入時のキャリーオーバーを抑制することができる。又、同サイズを20mm程度以下とすることによって、亜鉛回収率の悪化を回避することができることに加えて、「クリンカーの製造方法」の流れの中で行われる淡水洗浄工程S30において、効率良く塩素を除去することができる。
「クリンカーの製造方法」に用いる還元剤内装ペレットのサイズは、1mm以上20mm以下程度であることが好ましく、5mm以上10mm以下程度であることがより好ましい。還元剤内装ペレットのサイズを1mm程度以上とすることで、ロータリーキルンへの挿入時のキャリーオーバーを抑制することができる。又、同サイズを20mm程度以下とすることによって、亜鉛回収率の悪化を回避することができることに加えて、「クリンカーの製造方法」の流れの中で行われる淡水洗浄工程S30において、効率良く塩素を除去することができる。
(炭素質還元剤)
炭素質還元剤としては、PCカーボンやリサイクルカーボン等であって、ペレット化可能な粉体又はスラリー状のものを適宜選択して用いることができる。中でも、資源リサイクルの促進、コスト削減の観点から、リサイクルカーボンを好ましく用いることができる。
炭素質還元剤としては、PCカーボンやリサイクルカーボン等であって、ペレット化可能な粉体又はスラリー状のものを適宜選択して用いることができる。中でも、資源リサイクルの促進、コスト削減の観点から、リサイクルカーボンを好ましく用いることができる。
リサイクルカーボンは、炭素以外に水素も可燃性分として含む。このため、炭素品位の高い還元剤よりも可燃成分の内、未燃となる割合が比較的少ない。そのため、炭素質還元剤としてリサイクルカーボンを選択することにより、還元焙焼工程S20における焙焼時にペレット内に、微細な空隙をより多く生成させることができる。従って、還元焙焼工程S20から排出される「未処理のクリンカー」を、淡水洗浄工程S30における洗浄効果が高まる、よりポーラスな形状とする上でも、炭素質還元剤としてリサイクルカーボンを選択することが有利である。
[還元焙焼工程]
還元焙焼工程S20は、還元剤内装ペレットと、フラックスとを含んでなる被焙焼物を、還元焙焼ロータリーキルン(RRK)等の還元焙焼炉に投入して、還元焙焼処理を行う工程である。
還元焙焼工程S20は、還元剤内装ペレットと、フラックスとを含んでなる被焙焼物を、還元焙焼ロータリーキルン(RRK)等の還元焙焼炉に投入して、還元焙焼処理を行う工程である。
還元焙焼工程S20は、「酸化亜鉛鉱を製造する全体プロセス」の中では、被焙焼物中の亜鉛成分を分離回収する役割を果たす工程である。そして、同時に、「クリンカーの製造方法」においては、亜鉛成分が分離回収された残滓であって鉄を主成分とする「未処理のクリンカー」を得る工程でもある。
尚、還元焙焼工程S20において、RRKに投入する被焙焼物には、還元剤内装ペレットとフラックスの他に、ペレット化する処理が行われていない未処理の鉄鋼ダストやコークスが更に含まれていてもよい。
還元焙焼工程S20においては、被焙焼物から金属亜鉛を効率良く還元揮発させるために、RRKの内部の炉内の最高温度は、1050℃以上1200℃以下程度にまで達する。還元揮発した金属亜鉛は炉内で再酸化されて粉状の酸化亜鉛となり、粗酸化亜鉛として回収される。同時に塩素についても金属亜鉛等との塩化揮発等により除去され、除去されなかった塩素は、亜鉛回収後の残滓である「未処理のクリンカー」内に残留する。
上述した通り、本発明の「クリンカーの製造方法」は、還元焙焼工程S20に投入する被焙焼物の融点を、還元焙焼工程S20を行う還元焙焼炉内の最高温度以上に制御することを必須の要件とする。この最高温度は、厳密には、「クリンカーの製造方法」が実施される工業設備毎、又、実際に行われる各操業毎に異なるが、上述の通り、酸化亜鉛鉱の製造の全体プロセスにおいて、還元焙焼工程S20を行うRRK内の最高温度は、通常1050℃以上1200℃程度以下である。従って、被焙焼物の融点をこの最高温度以上とすることで、一般的な粗酸化亜鉛の製造を行なう全体プロセスの中で本発明の「クリンカーの製造方法」を実施して、その効果を享受することができる。
還元焙焼工程S20に投入する被焙焼物の融点の制御は、具体的には、被焙焼物の平均組成に応じた融点が、上記の所定温度以上となるようすればよい。具体的な融点の調整手段として、被焙焼物の融点は、高融点の無機酸化物をフラックスとして適量添加することによって行うことができる。一般的な酸化亜鉛鉱の製造の全体プロセスの中で「クリンカーの製造方法」を実施する場合であれば、被焙焼物の融点が、上記の最高温度(還元焙焼工程S20を行うRRK内の最高温度)以上となるように、上記の高融点のフラックスを適切な割合で添加すればよい。
「クリンカーの製造方法」において、フラックスとして用いる高融点の無機酸化物は、石灰(CaO)であることが好ましい。石灰(CaO)を含む、又は生成する石灰石等をフラックスとして被焙焼物に適量添加することで、被焙焼物の融点を、上記の最高温度(還元焙焼工程S20を行うRRK内の最高温度)以上に維持することができる。尚、酸化亜鉛鉱の製造においては、石灰(CaO)源として投入するフラックスとして、コストが安価であることから、石灰石(CaCO3)が広く用いられている。
又、被焙焼物の融点を、酸化亜鉛鉱の製造プロセスの操業中に迅速に制御するための、他の実践的な制御手段として、還元焙焼工程S20を行うRRK等の還元焙焼炉内の最高温度が1050℃以上1200℃程度以下の範囲にあって、尚且つ、使用する鉄鋼ダストの組成が、下記の表1に示すような一般的な範囲にある場合であれば、被焙焼物において、被焙焼物中における石灰(CaO)とシリカ(SiO2)の含有量比(CaO/SiO2)(重量比)が、1.8以上2.5以下の範囲となるように、フラックスとしての石灰(CaO)の添加量を決定する方法が有用である。この方法による場合、上記比(CaO/SiO2)の値が、1.8以上となるようにフラックスの添加量を調整することで、クリンカーの熔融を防いで、ポーラスな形状のクリンカーを得ることができる。一方、上記比(CaO/SiO2)の値が、2.5よりも大きくなると、フラックスのコストが過剰に嵩むこととなるため、この比は2.5以下とすることが好ましい。尚、被焙焼物中におけるシリカ(SiO2)の含有量の測定は、蛍光X線分析法によって行うことができる。フラックスの添加量を決定するために上記方法を実施する場合には、蛍光X線分析法による被焙焼物中のシリカ含有量の測定値に応じて、被焙焼物中における石灰(CaO)とシリカ(SiO2)の含有量比(CaO/SiO2)(重量比)が、上述の適量比の範囲となるように、石灰(CaO)源とするフラックスの添加量を適宜調整すればよい。
「クリンカーの製造方法」においては、還元焙焼工程S20に投入される被焙焼物の融点がRRK内の炉内の最高温度以上に調整されていることにより、炉内での熔融が制限され、亜鉛、或いはカーボンの揮発により被焙焼物(クリンカー)内に多数の微細な空隙が生じる。この空隙が、引き続き行われる淡水洗浄工程S30において、クリンカー内への水分の浸透を促進し、クリンカーに含まれる塩素の除去率を向上させることに寄与する。
一方で、還元焙焼工程S20を行うRRK内での塩素の除去効率を高めるためには、被焙焼物の炉内滞留時間をできるだけ長くすることが好ましい。そのために、操業中のRRKの回転数については、一例として内径が3.5m程度の一般的なサイズのロータリーキルンにおける回転数であれば、0.9rpm以上1.1rpm以下とすることが好ましい。0.9rpmよりも回転数が下がると、被焙焼物のRRK内での動きが小さくなるため、キルン内壁への付着のリスクが高くなる。又、1.1rpmを超えると、被焙焼物の炉内での動きが過剰に激しくなり、キャリーオーバーの急増を招くリスクがある。
[淡水洗浄工程]
淡水洗浄工程S30は、還元焙焼工程S20から排出された未処理クリンカーを、淡水にて洗浄処理する工程である。淡水による未処理クリンカーの洗浄は、ベルトコンベアやパンコンベア等の搬送設備で搬送中のクリンカーに淡水のスプレーの噴射、搬送設備自体の淡水への浸漬、或いは、搬送後のクリンカーの淡水槽への浸漬等、クリンカーと淡水が何らかの態様で接触する方法で行えばよい。このように、淡水洗浄工程S30は、特段の追加的洗浄専用の設備を別途新設することなく十分に実施が可能な工程である。
淡水洗浄工程S30は、還元焙焼工程S20から排出された未処理クリンカーを、淡水にて洗浄処理する工程である。淡水による未処理クリンカーの洗浄は、ベルトコンベアやパンコンベア等の搬送設備で搬送中のクリンカーに淡水のスプレーの噴射、搬送設備自体の淡水への浸漬、或いは、搬送後のクリンカーの淡水槽への浸漬等、クリンカーと淡水が何らかの態様で接触する方法で行えばよい。このように、淡水洗浄工程S30は、特段の追加的洗浄専用の設備を別途新設することなく十分に実施が可能な工程である。
上述の通り、「クリンカーの製造方法」においては、還元焙焼工程S20から排出される「未処理のクリンカー」には多数の空隙が形成されている。このように多数の空隙が形成されているポーラスな形状のクリンカーを淡水で洗浄することにより、極めて高い除去率でクリンカー内の塩素を除去することができる。
尚、淡水による未処理クリンカーの洗浄は、RRKから排出された直後に行うよりも、空冷処理によって、クリンカーの温度を800℃以下に低下させた後に、行うことがより好ましい。これにより、1000℃前後の熱を持つポーラスな形状のクリンカーの急激な温度低下を抑制して、クリンカーがひび割れや破損を起こして、再酸化しやすい粉状の状態になることを防ぐことができる。
「未処理のクリンカー」に上記態様の空冷処理を施すための手段として、例えば、RRKから排出された「未処理のクリンカー」を、即坐に洗浄水と接触させずに、一旦、コンベヤー等で搬送し、所定の置き場に積み立てられた後に、洗浄を行うようにすることで、クリンカーの温度を800℃以下に低下させる方法によることができる。「クリンカーの製造方法」においては、このように、特段の追加的空冷専用の設備を別途新設することなく、クリンカーの再酸化抑制効果を享受することができる。
[塩素除去率測定工程]
「クリンカーの製造方法」は、還元焙焼工程S20及び淡水洗浄工程S30における塩素の除去率を測定する塩素除去率測定工程(図示せず)を、更に行うプロセスとすることがより好ましい。塩素除去率測定工程を、淡水洗浄工程S30の下流工程として設け、塩素の除去率を、常時、或いは、随時適当な間隔で測定確認することによって、「製品クリンカー」の塩素の除去率を、より高い精度で制御することができる。尚、本明細書において「鉄鋼ダストからの塩素の除去率」とは、還元焙焼工程S20に投入する還元剤内装ペレットと鉄鋼ダストに含有される塩素成分量に対する、RRK内で揮発して除去された塩素成分量と淡水洗浄工程で除去された塩素成分量との合計の割合のことを言う。又、この「鉄鋼ダストからの塩素の除去率」は、原材料である鉄鋼ダスト中の塩素含有率と、RRKから産出された含鉄クリンカー中の塩素含有率とを、それぞれ蛍光X線分析装置により測定して得た値から算出することができる。
「クリンカーの製造方法」は、還元焙焼工程S20及び淡水洗浄工程S30における塩素の除去率を測定する塩素除去率測定工程(図示せず)を、更に行うプロセスとすることがより好ましい。塩素除去率測定工程を、淡水洗浄工程S30の下流工程として設け、塩素の除去率を、常時、或いは、随時適当な間隔で測定確認することによって、「製品クリンカー」の塩素の除去率を、より高い精度で制御することができる。尚、本明細書において「鉄鋼ダストからの塩素の除去率」とは、還元焙焼工程S20に投入する還元剤内装ペレットと鉄鋼ダストに含有される塩素成分量に対する、RRK内で揮発して除去された塩素成分量と淡水洗浄工程で除去された塩素成分量との合計の割合のことを言う。又、この「鉄鋼ダストからの塩素の除去率」は、原材料である鉄鋼ダスト中の塩素含有率と、RRKから産出された含鉄クリンカー中の塩素含有率とを、それぞれ蛍光X線分析装置により測定して得た値から算出することができる。
<酸化亜鉛鉱の製造の全体プロセスに係るその他の工程>
[湿式工程]
湿式工程S40は、還元焙焼工程において回収された粗酸化亜鉛ダストから、湿式処理によって水溶性不純物を除去して、粗酸化亜鉛ケーキを得る工程である。
[湿式工程]
湿式工程S40は、還元焙焼工程において回収された粗酸化亜鉛ダストから、湿式処理によって水溶性不純物を除去して、粗酸化亜鉛ケーキを得る工程である。
[乾燥加熱工程]
乾燥加熱工程S50は、粗酸化亜鉛ケーキを焼成して乾燥加熱処理を施すことによって、酸化亜鉛鉱(酸化亜鉛焼鉱)を得る工程である。焼成処理は、乾燥加熱ロータリーキルン(DRK)によって行われる。
乾燥加熱工程S50は、粗酸化亜鉛ケーキを焼成して乾燥加熱処理を施すことによって、酸化亜鉛鉱(酸化亜鉛焼鉱)を得る工程である。焼成処理は、乾燥加熱ロータリーキルン(DRK)によって行われる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
本発明の「クリンカーの製造方法」による塩素の除去率向上の効果を確認するために以下の試験を行った。
試験は、以下に示す炭素質還元剤内装ペレット、追加の炭素質還元剤(リサイクルカーボン)、及び、フラックスの混合物からなる被焙焼物試料を、還元焙焼キルンでの反応を模した電気マッフル炉を用いた下記条件での還元焙焼処理に付し、更に、この還元焙焼処理で得られたクリンカーに、下記の淡水洗浄処理を施す手順により行った。還元焙焼処理は、石英坩堝に上記の被焙焼物試料を40g入れ、電気マッフル炉で1100℃に昇温した状態で、3時間、還元焙焼処理を実施することにより行った。淡水洗浄処理は、上記の還元焙焼処理によって得られたクリンカーを淡水に1時間浸漬することにより行った。
(試験用の炭素質還元剤内装ペレット)
鉄鋼ダストと炭素質還元剤と、をダウ・ペレタイザーによって混合造粒し、粒径が5.0~10.0mmの炭素質還元剤内装ペレットを作製し、試験用の炭素質還元剤内装ペレットとした。鉄鋼ダストと炭素質還元剤との配合比については、ペレット中の炭素含有量が、8.0%となるように、上記の鉄鋼ダストの総量に対する炭素質還元剤の添加量を調整した。鉄鋼ダストとしては、含有成分の組成が、上記表1に示した範囲にある鉄鋼ダストを用いた。又、炭素質還元剤としては、リサイクルカーボンを用いた。
鉄鋼ダストと炭素質還元剤と、をダウ・ペレタイザーによって混合造粒し、粒径が5.0~10.0mmの炭素質還元剤内装ペレットを作製し、試験用の炭素質還元剤内装ペレットとした。鉄鋼ダストと炭素質還元剤との配合比については、ペレット中の炭素含有量が、8.0%となるように、上記の鉄鋼ダストの総量に対する炭素質還元剤の添加量を調整した。鉄鋼ダストとしては、含有成分の組成が、上記表1に示した範囲にある鉄鋼ダストを用いた。又、炭素質還元剤としては、リサイクルカーボンを用いた。
(試験用のフラックス)
試験用のフラックスとしては、石灰石を用い、その添加量は、被焙焼物試料のCaO/SiO2が、実施例1~3については2.3、比較例1については1.7となるように適宜調整した。
試験用のフラックスとしては、石灰石を用い、その添加量は、被焙焼物試料のCaO/SiO2が、実施例1~3については2.3、比較例1については1.7となるように適宜調整した。
(試験用の追加の炭素質還元剤)
追加の炭素質還元剤は、鉄鋼ダストの総量に対して内装分を含めて炭素含有量が18.0%となるように調整した。
(塩素除去率の測定)
試験は4回行い、それぞれの試験で原料とした鉄鋼ダスト、還元焙焼処理後の「未処理のクリンカー」、及び、淡水洗浄処理後におけるクリンカーについて、蛍光X線分析装置により塩素含有率を測定した。結果を表2に示す。
追加の炭素質還元剤は、鉄鋼ダストの総量に対して内装分を含めて炭素含有量が18.0%となるように調整した。
(塩素除去率の測定)
試験は4回行い、それぞれの試験で原料とした鉄鋼ダスト、還元焙焼処理後の「未処理のクリンカー」、及び、淡水洗浄処理後におけるクリンカーについて、蛍光X線分析装置により塩素含有率を測定した。結果を表2に示す。
表2に示す実施例1~3の試験結果より、本発明の「クリンカーの製造方法」によれば、クリンカー中の塩素含有量を0.02%以下にすることができることが確認された。このような低塩素品位のクリンカーは、セメント用途向け鉄源としても好適に用いることができる。尚、実施例1~3においては、「還元焙焼処理後の未処理のクリンカー」の表面に微細な凹凸が認められ、ポーラスな形状となっていることが確認されている。
一方で、比較例1の試験結果より、被焙焼物の融点を、還元焙焼工程を実施する還元焙焼炉内の最高温度以上に維持しなかった場合には、淡水洗浄工程において、十分な洗浄効果が得られず、クリンカー中の塩素含有量を0.02%以下にすることができないことが確認された。又、比較例1においては、「還元焙焼処理後の未処理のクリンカー」の表面にメタルが熔融した後に固化した滑らかな面が認められ、特に表面については十分にポーラスな形状となっていないことが確認されている。
以上より、本発明の「クリンカーの製造方法」は、鉄鋼ダストを原材料として用いる酸化亜鉛の製造等において、低コストで、低塩素品位のクリンカー得ることができる製造方法であることが分かる。
S10 予備混合工程
S20 還元焙焼工程
S30 淡水洗浄工程
S40 湿式工程
S50 乾燥加熱工程
S20 還元焙焼工程
S30 淡水洗浄工程
S40 湿式工程
S50 乾燥加熱工程
Claims (4)
- 鉄鋼ダスト及び炭素質還元剤を含有する還元剤内装ペレットと、無機酸化物であるフラックスと、を含んでなる被焙焼物を、還元焙焼することによって、前記被焙焼物から粗酸化亜鉛を分離回収して、残滓である未処理クリンカーを排出する、還元焙焼工程と、
前記未処理クリンカーを淡水で洗浄する淡水洗浄工程と、を備え、
前記被焙焼物の融点を、前記還元焙焼工程を実施する還元焙焼炉内の最高温度以上に維持する、クリンカーの製造方法。 - 前記フラックスの組成及び/又は添加量の調整によって、前記被焙焼物の融点を、前記最高温度以上に維持する、
請求項1に記載のクリンカーの製造方法。 - 前記未処理クリンカーの温度を、空冷処理によって800℃以下に低下させた後に、前記淡水洗浄工程を行う、
請求項1又は2に記載のクリンカーの製造方法。 - 前記淡水洗浄工程における洗浄後のクリンカーの塩素含有量が0.02%以下である、
請求項1から3の何れかに記載のクリンカーの製造方法。
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