JP2022125002A - 半導体チップの製造方法、及び保護膜形成剤 - Google Patents

半導体チップの製造方法、及び保護膜形成剤 Download PDF

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【課題】半導体ウエハーを切断する半導体チップの製造方法であって、半導体ウエハー上に形成する保護膜及び半導体ウエハーに、レーザー光の照射によって高い加工精度で加工溝を形成できる半導体チップの製造方法と、当該半導体チップの製造方法に使用できる保護膜形成剤とを提供すること。【解決手段】半導体ウエハー2を切断することで行われる、半導体チップの製造方法であって、半導体ウエハー2上に、水溶性樹脂(A)と、吸光剤(B)と、溶媒(S)とを含む保護膜形成剤を塗布して保護膜24を形成することと、半導体ウエハー2上における保護膜24を含む1以上の層の所定の位置に波長515nmの光を含むレーザー光を照射し、半導体ウエハーの表面が露出し、且つ半導体チップの形状に応じたパターンの加工溝を形成することと、を含み、保護膜の波長515nmにおける厚さ1μmあたりの吸光度が0.05以上である。【選択図】図5

Description

本発明は、半導体チップの製造方法、及び保護膜形成剤に関する。
半導体デバイス製造工程において形成されるウエハーは、シリコン等の半導体基板の表面に絶縁膜と機能膜が積層された積層体を、ストリートと呼ばれる格子状の分割予定ラインによって区画したものであり、ストリートで区画されている各領域が、IC、LSI等の半導体チップとなっている。
このストリートに沿ってウエハーを切断することによって複数の半導体チップが得られる。また、光デバイスウエハーでは、窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された積層体がストリートによって複数の領域に区画される。このストリートに沿っての切断により、光デバイスウエハーは、発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割される。これらの光デバイスは、電気機器に広く利用されている。
このようなウエハーのストリートに沿った切断は、過去は、ダイサーと称されている切削装置によって行われていた。しかし、この方法では、積層構造を有するウエハーが高脆性材料であるため、ウエハーを切削ブレード(切れ刃)によって半導体チップ等に裁断分割する際に、傷や欠け等が発生したり、チップ表面に形成されている回路素子として必要な絶縁膜が剥離したりする問題があった。
このような不具合を解消するために、半導体ウエハーの表面に、水溶性樹脂と吸光剤と溶媒とを含む保護膜形成剤を塗布して保護膜を形成し、保護膜に対してレーザーを照射し、保護膜の一部を分解除去することにより半導体ウエハーの表面を露出させ加工溝を形成した後、プラズマエッチングにより半導体ウエハーを切断して、半導体ウエハーを半導体チップ(IC)に分割する半導体チップの製造方法が提案されている(特許文献1を参照。)。
国際公開第2020/100403号公報 特表2014-523112号公報
特許文献1の技術によれば、保護膜の所望する位置にレーザー光の照射によって所望する形状の開口(加工溝)を形成できる。保護膜の所望する位置に所望する形状の開口(加工溝)を形成することにより、半導体ウエハーを切断して所望の形状の半導体チップを製造することができる。
一方、半導体基板をダイシングする技術としては、特許文献2に記載されているような技術も知られている。すなわち、特許文献2に記載のダイシング方法にあっては、530ナノメートル以下の波長と500フェムト秒以下のレーザーパルス幅を有するレーザーを用いてマスクをパターニングする手法が採用されている。
また、かかる方法によればチッピングや、微小亀裂、及び剥離が抑制されることが提言されている。
しかしながら、特許文献1等に開示された従来技術により半導体チップを製造すると、レーザー照射により、半導体ウエハーや保護膜に由来するデブリが保護膜の開口部付近(例えば加工溝の端部近傍)等に堆積する等するため、保護膜及び半導体ウエハーに形成される加工溝を所望の形状にし難い場合がある。
このため、レーザー光の照射による加工精度をより高くし、保護膜及び半導体ウエハーに形成される加工溝をより所望の形状にすることが望まれる。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、半導体ウエハーを切断する半導体チップの製造方法であって、半導体ウエハー上に形成される保護膜及び半導体ウエハーに、レーザー光の照射によって高い加工精度で加工溝を形成できる半導体チップの製造方法と、当該半導体チップの製造方法に使用できる保護膜形成剤とを提供することを目的とする。
本発明者らは、半導体ウエハーを切断する半導体チップの製造方法において、半導体ウエハー上に水溶性樹脂(A)と吸光剤(B)と溶媒(S)とを含む保護膜形成剤を塗布して保護膜を形成することと、半導体ウエハー上における保護膜を含む1以上の層の所定の位置に波長515nmの光を含むレーザー光を照射し、半導体ウエハーの表面が露出し、且つ半導体チップの形状に応じたパターンの加工溝を形成することと、を含み、保護膜の波長515nmにおける厚さ1μmあたりの吸光度を0.05以上とすることによって、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
本発明の第1の態様は、半導体ウエハーを切断することで行われる、半導体チップの製造方法であって、
半導体ウエハー上に、水溶性樹脂(A)と、吸光剤(B)と、溶媒(S)とを含む保護膜形成剤を塗布して保護膜を形成することと、
半導体ウエハー上における保護膜を含む1以上の層の所定の位置に波長515nmの光を含むレーザー光を照射し、半導体ウエハーの表面が露出し、且つ半導体チップの形状に応じたパターンの加工溝を形成することと、
を含み、
保護膜の波長515nmにおける厚さ1μmあたりの吸光度が0.05以上である、半導体チップの製造方法である。
本発明の第2の態様は、半導体ウエハーのダイシングにおいて、半導体ウエハーの表面に保護膜を形成するために用いられる保護膜形成剤であって、
水溶性樹脂(A)と、吸光剤(B)と、溶媒(S)とを含み、
保護膜の波長515nmにおける厚さ1μmあたりの吸光度が0.05以上である、保護膜形成剤である。
本発明の第3の態様は、半導体ウエハーを切断することで行われる、半導体チップの製造方法であって、
半導体ウエハー上に、水溶性樹脂(A)と、吸光剤(B)と、溶媒(S)とを含む保護膜形成剤を塗布して保護膜を形成することと、
半導体ウエハー上における保護膜を含む1以上の層の所定の位置に緑色レーザー光を照射し、半導体ウエハーの表面が露出し、且つ半導体チップの形状に応じたパターンの加工溝を形成することと、
保護膜を除去することと、
を含み、
保護膜の波長515nmにおける厚さ1μmあたりの吸光度が0.05以上である、半導体チップの製造方法である。
本発明によれば、半導体ウエハーを切断する半導体チップの製造方法であって、半導体ウエハー上に形成する保護膜及び半導体ウエハーに、レーザー光の照射によって高い加工精度で加工溝を形成できる半導体チップの製造方法と、当該半導体チップの製造方法に使用できる保護膜形成剤とを提供することができる。
本発明の半導体チップの製造方法によって加工される半導体ウエハーを示す斜視図。 図1に示される半導体ウエハーの断面拡大図。 保護膜が形成された半導体ウエハーの要部拡大断面図。 保護膜が形成された半導体ウエハーが環状のフレームに保護テープを介して支持された状態を示す斜視図。 レーザー光照射を実施するレーザー加工装置の要部斜視図。 保護膜と、レーザー光照射によって形成された加工溝とを備える半導体ウエハーの断面拡大図。 図6に示される半導体ウエハーに対するプラズマ照射を示す説明図。 プラズマ照射により、半導体ウエハーが半導体チップに分割された状態を示す断面拡大図。 半導体チップ上の保護膜が除去された状態を示す断面拡大図。 加工溝の評価(レーザー加工性の評価)方法を説明する平面図。
≪半導体チップの製造方法及び保護膜形成剤≫
半導体チップの製造方法は、半導体ウエハーを切断することで行われる。
そして、半導体チップの製造方法は、
半導体ウエハー上に、水溶性樹脂(A)と、吸光剤(B)と、溶媒(S)とを含む保護膜形成剤を塗布して保護膜を形成することと、
半導体ウエハー上における保護膜を含む1以上の層の所定の位置に波長515nmの光を含むレーザー光又は緑色レーザー光を照射し、半導体ウエハーの表面が露出し、且つ半導体チップの形状に応じたパターンの加工溝を形成することと、
を含み、
保護膜の波長515nmにおける厚さ1μmあたりの吸光度が0.05以上である方法である。
以下、保護膜を形成することについて「保護膜形成工程」とも記し、加工溝を形成することについて「加工溝形成工程」とも記し、半導体ウエハーにおけるストリートの位置を切断することを「切断工程」とも記す。
半導体チップの製造方法における各工程、及び当該製造方法において使用し得る保護膜形成剤について、以下に具体的に説明する。
<<保護膜形成工程>>
保護膜形成工程では、半導体ウエハー上に、保護膜形成剤を塗布して保護膜が形成される。
半導体ウエハーの加工面の形状は、半導体ウエハーに対して所望する加工を施すことができる限りにおいて特に限定されない。典型的には、半導体ウエハーの加工面は、多数の凹凸を有している。そして、ストリートに相当する領域に凹部が形成されている。
半導体ウエハーの加工面では、半導体チップに相当する複数の領域が、ストリートによって区画される。
作製される半導体チップの大きさや性能等にもよるが、保護膜の膜厚は、典型的には、0.1μm以上100μm以下が好ましく、0.5μm以上10μm以下がより好ましい。
以下に、図面を参照しつつ、格子状のストリートで区画された複数の半導体チップを備える半導体ウエハーに対して、保護膜形成剤を用いてダイシング加工(切断)を行う半導体チップの製造方法について、半導体チップの製造方法の好ましい一態様として説明する。
図1には、加工対象の半導体ウエハーの斜視図が示される。図2には、図1に示される半導体ウエハーの要部拡大断面図が示される。図1及び図2に示される半導体ウエハー2では、シリコン等の半導体基板20の表面20a上に、絶縁膜と回路とを形成する機能膜が積層された積層体21が設けられている。積層体21においては、複数のIC、LSI等の半導体チップ22がマトリックス状に形成されている。
ここで、半導体チップ22の、形状、及びサイズは特に限定されず、半導体チップ22の設計に応じて、適宜設定され得る。
各半導体チップ22は、格子状に形成されたストリート23によって区画されている。なお、図示される実施形態においては、積層体21として使用される絶縁膜は、SiO膜、又はSiOF、BSG(SiOB)等の無機物系の膜や、ポリイミド系、パリレン系等のポリマー膜である有機物系の膜からなる低誘電率絶縁体被膜(Low-k膜)からなる。
上記の積層体21の表面が、加工面である表面2aに該当する。上記の表面2a上に、保護膜形成剤を用いて、保護膜が形成される。
保護膜形成工程では、例えば、スピンコーターによって半導体ウエハー2の表面2aに保護膜形成剤を塗布して保護膜が形成される。なお、保護膜形成剤の塗布方法は、所望する膜厚の保護膜を形成できる限り特に限定されない。
保護膜形成工程で形成される保護膜は、波長515nmにおける厚さ1μmあたりの吸光度が0.05以上である。このような吸光度を有する保護膜を形成することにより、詳しくは後述するが、高い加工精度で加工溝を形成することができる。
保護膜の波長515nmにおける厚さ1μmあたりの吸光度は、0.10以上であることが好ましく、0.20以上であることがより好ましく、0.40以上であることがさらに好ましい。
また、保護膜は、495nm以上566nm以下の波長領域内に、吸収極大波長を有することが好ましい。吸収極大波長とは、吸収スペクトルで、最大の吸光度を示す波長である。
保護膜形成工程で保護膜を形成し得る保護膜形成剤は、水溶性樹脂(A)と、吸光剤(B)と、溶媒(S)とを含む。
以下、保護膜形成剤が含む、必須、又は任意の成分について、説明する。保護膜形成剤が含む各成分の種類や量を調整することにより、保護膜の吸光度を所望の値にすることができる。
<水溶性樹脂(A)>
水溶性樹脂(A)は、保護膜形成剤を用いて形成される保護膜の基材である。水溶性樹脂の種類は、水等の溶剤に溶解させて塗布・乾燥して膜を形成し得る樹脂であれば特に制限されない。
本明細書において、水溶性樹脂(A)の水溶性とは、25℃の水100gに対して、溶質(水溶性樹脂)が0.5g以上溶解することをいう。
水溶性樹脂(A)の種類の具体例としては、ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリグリセリン、及び水溶性ナイロン等を挙げることができる。
ビニル系樹脂としては、ビニル基を有する単量体の単独重合体、又は共重合体であって、水溶性の樹脂であれば特に限定されない。ビニル系樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール(酢酸ビニル共重合体も含む)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(N-アルキルアクリルアミド)、ポリアリルアミン、ポリ(N-アルキルアリルアミン)、部分アミド化ポリアリルアミン、ポリ(ジアリルアミン)、アリルアミン・ジアリルアミン共重合体、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコールポリアクリル酸ブロック共重合体、及びポリビニルアルコールポリアクリル酸エステルブロック共重合体が挙げられる。
セルロース系樹脂としては、水溶性のセルロース誘導体であれば特に限定されない。セルロース系樹脂としては、メチルセルロース、エチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記の水溶性樹脂(A)の具体例の中では、保護膜の熱ダレによる加工溝の形状悪化等が生じにくいことから、ビニル系樹脂、及びセルロース系樹脂が好ましく、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、及びヒドロキシプロピルセルロースがより好ましい。
水溶性樹脂(A)は、熱重量測定において、500℃まで昇温した場合に70重量%以上の重量減少率を示す樹脂であるのが好ましい。熱重量測定において、500℃まで昇温した場合に70重量%以上の重量減少率を示す樹脂は、500℃程度に加熱される際に、その大部分が分解し、消失される樹脂である。500℃まで昇温した場合の重量減少率は、80質量%以上がより好ましく、90重量%以上や95重量%以上がさらに好ましい。
500℃まで昇温した場合の重量減少率が上記の範囲内である水溶性樹脂(A)を含む保護膜形成剤を用いる場合、保護膜中でレーザー光のエネルギーによる水溶性樹脂(A)の分解が良好に進行することから、レーザー光の照射により保護膜においてより良好に開口した加工溝を形成しやすい。
水溶性樹脂(A)について、熱重量測定において、350℃まで昇温した場合の重量減少率は、10重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましい。
かかる水溶性樹脂(A)を用いる場合、レーザー光により与えられるエネルギー量が少なくとも、水溶性樹脂(A)が良好に分解しやすく、低出力のレーザーを照射する場合であっても、保護膜においてより良好に開口した加工溝を形成しやすい。
重量減少率を求めるための熱重量測定は、一般的な熱重量測定方法に従って行うことができる。
水溶性樹脂(A)について、重量減少率を調整する方法は特に限定されない。一般的には、同種の樹脂であれば、平均分子量が小さい程、水溶性樹脂(A)の重量減少率が高い。
レーザー光を照射された際の分解性と、成膜性との両立の観点から、水溶性樹脂(A)の重量平均分子量は、15,000以上300,000以下が好ましく、20,000以上200,000以下がより好ましい。
半導体ウエハー表面に形成される保護膜は、通常、保護膜と加工溝とを備える半導体ウエハーを半導体チップに切断する方法に応じた、加工溝の形成後の適切な時点において、半導体ウエハー又は半導体チップの表面から、例えば水洗によって除去される。このため、保護膜の水洗性の点から、半導体ウエハー表面との親和性の低い水溶性樹脂が好ましい。半導体ウエハー表面との親和性の低い水溶性樹脂としては、極性基としてエーテル結合、水酸基、アミド結合のみを有する樹脂、例えばポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、及びヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
保護膜に対してレーザー光を照射して加工溝を形成する際の開口不良や、保護膜の熱ダレによる加工溝の形状悪化等が生じにくいことから、保護膜形成剤における、水溶性樹脂(A)の質量と、吸光剤(B)の質量との総量に対する、水溶性樹脂(A)の質量の比率は、60質量%以上99質量%以下が好ましく、80質量%以上95質量%以下がより好ましい。
<吸光剤(B)>
保護膜形成剤は、保護膜にレーザー光のエネルギーを効率よく吸収させ、保護膜の熱分解を促進させる目的で、吸光剤(B)を含む。
そして、吸光剤(B)は、波長515nmの光の吸収能を有する吸収剤を含む。
波長515nmの光の吸収能を有する吸収剤としては、有機化合物が好ましい。また、波長515nmの光の吸収能を有する吸収剤としては、例えば、水溶性染料、水溶性色素、及び水溶性紫外線吸収剤等を使用することができる。これらはいずれも水溶性であり、保護膜中に均一に存在させる上で有利である。また、これらは、半導体ウエハー表面に対して高い親和性を示す。このため、これらの吸光剤(B)を含む保護膜形成剤を用いると、半導体ウエハー表面に対して接着性の高い保護膜を形成しやすい。
水溶性の吸光剤(B)を用いる場合、保護膜形成剤の保存安定性が高く、保護膜形成剤の保存中に、保護膜形成剤の相分離や吸光剤(B)の沈降等の不都合を生じることがないため、保護膜形成剤の良好な塗布性を長期間維持しやすい点でも有利である。
なお、顔料等の水不溶性の吸光剤を用いることもできる。水不溶性の吸光剤を用いる場合、保護膜形成剤の使用に致命的な支障が生じるわけではないが、保護膜のレーザー吸収能にばらつきが生じたり、保存安定性や塗布性に優れる保護膜形成剤を得にくかったり、均一な厚みの保護膜を形成しにくかったりする場合がある。
波長515nmの光の吸収能を有する吸収剤(B)の具体例としては、ベーシックレッド2、ベーシックレッド5、ローダミン6G、アシッドレッド1、アシッドレッド18、アシッドレッド27、アシッドレッド114、アゾルビン、テトラブロモフルオレセインが挙げられる。吸収剤(B)として、ローダミン、フルオレセイン及びこれらの誘導体から選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、水溶性が高く、波長515nmにおける光の吸収能に優れることから、ローダミン6Gやテトラブロモフルオレセインを含むことがとりわけ好ましい。
また、吸光剤(B)としては、波長515nmにおける光の吸収能を向上させやすい観点から、三以上の芳香環が互いに共役しあう母核(化学構造)を有することが好ましい。
なお、吸光剤(B)は、波長515nmの光の吸収能を有する吸収剤と、波長515nmの光の吸収能を有さない吸収剤とを含んでいてもよい。
吸光剤(B)の質量に対する、波長515nmの光の吸収能を有する吸収剤の質量の割合は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。
保護膜に対してレーザー光を照射して加工溝を形成する際の開口不良や、保護膜の熱ダレによる加工溝の形状悪化等が生じにくいことから、保護膜形成剤における、水溶性樹脂(A)の質量と、吸光剤(B)の質量との総量に対する、吸光剤(B)の質量の比率は、1質量%以上40質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
<塩基性化合物(C)>
保護膜形成剤は、塩基性化合物(C)を含まなくてもよいが含んでいてもよい。塩基性化合物(C)としては、無機化合物、及び有機化合物のいずれも使用できる。塩基性化合(C)としては、有機化合物が好ましい。
塩基性化合物(C)の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、及びアンモニア等の塩基性無機化合物や、エチルアミン、n-プロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、及び1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-5-ノナン等の塩基性有機化合物が挙げられる。
塩基性化合物(C)の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。塩基性化合物(C)の使用量は、吸光剤(B)1モルに対して、1モル以上が好ましく、1モル以上20モル以下がより好ましい。塩基性化合物(C)の使用量の下限は、吸光剤(B)1モルに対して、1.5モル以上であってよく、2モル以上であってよく、3モル以上であってもよい。塩基性化合物(C)の使用量の上限は、吸光剤(B)に対して、15モル以下であってよく、10モル以下であってよく、5モル以下であってもよい。
<その他の添加剤>
保護膜形成剤は、水溶性樹脂(A)、及び吸光剤(B)以外にも、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、他の配合剤を含んでいてもよい。他の配合剤としては、例えば、防腐剤、及び界面活性剤等を用いることができる。
防腐剤としては、安息香酸、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、2-フェノキシエタノール、硝酸フェニル第二水銀、チメロサール、メタクレゾール、ラウリルジメチルアミンオキサイド又はそれらの組み合わせを使用することができる。
保護膜形成剤の防腐の点だけでなく、半導体ウエハー洗浄後の廃液の処理の負荷低減の点からも、防腐剤を使用することが好ましい。半導体ウエハーの洗浄のために大量の洗浄水が使用されるのが一般的である。しかし、前述の保護膜形成剤を用いるプロセスでは、保護膜形成剤に含まれる水溶性樹脂(A)に起因する、廃液中での雑菌の繁殖が懸念される。そのため、前述の保護膜形成剤を用いるプロセスに由来する廃液は、保護膜形成剤を使用しないプロセスに由来する廃液とは別に処理されることが望ましい。しかし、保護膜形成剤に防腐剤を含有させる場合、水溶性樹脂(A)に起因する雑菌の繁殖が抑制されるので、保護膜形成剤を使用するプロセスに由来する廃液と、保護膜形成剤を使用しないプロセスに由来する廃液とを、同様に処理し得る。このため、廃水処理工程の負荷を減らすことができる。
界面活性剤は、例えば、保護膜形成剤製造時の消泡性、保護膜形成剤の安定性、及び保護膜形成剤の塗布性等を高めるために使用される。特に保護膜形成剤製造時の消泡性の点で界面活性剤を使用することが好ましい。
一般に保護膜は保護膜形成剤をスピンコートすることにより形成される。しかし、保護膜を形成する際に気泡に起因する凹凸が発生する場合がある。このような凹凸の発生を抑制するために、界面活性剤等の消泡剤を使用することが好ましい。
界面活性剤としては、水溶性の界面活性剤が好ましく使用できる。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、及び両性界面活性剤のいずれも使用することができる。界面活性剤は、シリコーン系であってもよい。洗浄性の点からノニオン系界面活性剤が好ましい。
<溶媒(S)>
保護膜形成剤は、通常、水溶性樹脂(A)や吸光剤(B)を溶解させるために、溶媒(S)を含む。溶媒(S)としては、水、有機溶剤、及び有機溶剤の水溶液のいずれも用いることができる。使用時の引火等の危険が少ないことや、コストの点等で、溶媒(S)として、水、及び有機溶剤の水溶液が好ましい。
保護膜形成剤が含み得る有機溶剤の例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等が挙げられる。
アルキレングリコールとしては、エチレングリコール、及びプロピレングリコール等が挙げられる。アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートとしては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が挙げられる。
保護膜形成剤は、2種以上の有機溶剤を組み合わせて含んでいてもよい。
保護膜形成剤が、溶媒(S)として、水と、有機溶剤とを含む場合、溶媒(S)における有機溶媒の濃度は、例えば、50質量%以下であってよく、30質量%以下であってよく、20質量%以下であってよい。
保護膜形成剤の固形分濃度は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。固形分濃度は、例えば、5質量%以上60質量%以下が好ましく、5質量%以上50質量%以下がより好ましく、10質量%以上40質量%以下がさらに好ましい。本明細書において、固形分とは、溶媒(S)以外の成分である。
次いで、表面2aを被覆する液状の保護膜形成剤を、必要に応じて乾燥させる。これによって、図3に示されるように半導体ウエハー2上の表面2aに、保護膜24が形成される。
このようにして半導体ウエハー2の表面2aに保護膜24が形成された後、半導体ウエハー2の裏面に、図4に示されるように、環状のフレーム5に装着された保護テープ6が貼着される。
<加工溝形成工程>
加工溝形成工程では、半導体ウエハー2上における保護膜24を含む1以上の層の所定の位置にレーザー光を照射し、半導体基板20の表面20aが露出し、且つ半導体チップ22の形状に応じたパターンの加工溝が形成される。
具体的には、半導体ウエハー2上の表面2a(ストリート23)に、保護膜24を通してレーザー光が照射される。このレーザー光の照射は、図5に示されるようにレーザー光照射手段72を用いて実施される。
そして、本実施形態においては、照射するレーザー光は、波長515nmの光を含むレーザー光、又は、緑色レーザー光である。
なお、このレーザー光はいわゆるフェムト秒レーザー光であることが好ましい。
本明細書において、フェムト秒レーザー光とは、パルスレーザー光が1フェムト秒(fs)以上300フェムト秒(fs)以下のパルス幅を有する極短パルスレーザー光である。
また、緑色レーザー光は、波長500nm以上560nm以下の光を含むレーザー光であり、例えば、グリーンレーザー(波長532nm)や、SHG(Second Harmonic Generation)レーザー(基本波(1064nm)の半分にあたる532nmの波長)等がある。
半導体ウエハー2上に形成された上述の保護膜24に、波長515nmの光を含むレーザー光や緑色レーザー光を照射することにより、保護膜24及び半導体ウエハー2に対して、短波長でパルス幅が狭く熱影響が抑制されたレーザー加工が施される。また、保護膜24は、上述のとおり波長515nmにおける厚さ1μmあたりの吸光度が0.05以上と高いため、波長515nmの光を含むレーザー光や緑色レーザー光が基板に到達した際の反射光を吸収し、良好な加工形状を保つ。
したがって、良好に保護膜24や半導体ウエハー2に加工溝25を形成しつつ、半導体ウエハー2や保護膜24に由来するデブリが抑制され、高い精度で保護膜24及び半導体ウエハー2に加工溝25を形成することができる。このため、保護膜24及び半導体ウエハー2に形成される加工溝25を所望の形状にすることができ、その後の切断工程により、所望の形状の半導体チップを製造することができる。
加工溝形成工程における上記レーザー光照射は、例えば以下の加工条件で行われる。なお、集光スポット径は加工溝25の幅を勘案して、適宜選択される。
レーザー光 :波長515nmの光を含むレーザー又は緑色レーザー
パルス幅 :100フェムト秒以上300フェムト秒以下
繰り返し周波数:50kHz以上400kHz以下
出力 :0.1W以上10.0W以下
加工送り速度 :1mm/秒以上800mm/秒以下
上述した加工溝形成工程を実施することにより、図6に示されるように、半導体ウエハー2におけるストリート23を備える積層体21において、ストリート23に沿って加工溝25が形成される。
上述したように所定のストリート23に沿ってレーザー光の照射を実行したら、チャックテーブル71に保持されている半導体ウエハー2を矢印Yで示す方向にストリートの間隔だけ割り出し移動し、再びレーザー光の照射を遂行する。
このようにして所定方向に延在する全てのストリート23についてレーザー光の照射と割り出し移動とを遂行した後、チャックテーブル71に保持されている半導体ウエハー2を90度回動させて、上記所定方向に対して直角に延びる各ストリート23に沿って、上記と同様にレーザー光の照射と割り出し移動とを実行する。このようにして、半導体ウエハー2上の積層体21に形成されている全てのストリート23に沿って、加工溝25を形成することができる。
<切断工程>
切断工程では、ストリート23の位置に対応する位置に加工溝25を備える半導体ウエハー2を切断する。
切断する方法としては、保護膜24を備える半導体ウエハー2、又は保護膜24が剥離された半導体ウエハー2をブレードにより切断する方法や、保護膜24と加工溝25とを備える半導体ウエハー2にレーザー又はプラズマを照射することにより半導体ウエハー2を切断する方法が挙げられる。
ブレードにより切断を行う場合、例えば、切断箇所に純水を供給しながら、加工溝25の位置に沿って、ブレードにより半導体ウエハー2が切断される。
レーザーを照射する場合、半導体ウエハー2を切断すべく、加工溝25に対してレーザーが照射される。切断工程において照射するレーザーは、加工溝形成工程において照射するレーザー光と同じでも異なっていてもよい。
プラズマを照射する場合、加工溝25の表面にプラズマが暴露されるように、半導体ウエハー2の保護膜を備える面の一部又は全面にプラズマが照射される。
プラズマ照射による切断の場合、図7に示されるように、保護膜24と、加工溝25とを備える半導体ウエハー2にプラズマを照射する。そうすることにより、図8に示されるように半導体ウエハー2における加工溝25の位置が切断される。
具体的には、保護膜24で被覆された半導体ウエハー2において、上記の通り、加工溝25を形成した後、保護膜24と、加工溝25から露出する半導体基板20の表面20aとに対して、プラズマ照射を行うことにより、半導体ウエハー2が、半導体チップ22の形状に従って切断され、半導体ウエハー2が半導体チップ22に分割される。
プラズマ照射条件については、加工溝25の位置における半導体ウエハー2の切断を良好に行うことができれば特に限定されない。プラズマ照射条件は、半導体ウエハー2の材質やプラズマ種等を勘案して、半導体基板に対するプラズマエッチングの一般的な条件の範囲内で適宜設定される
プラズマ照射においてプラズマを生成させるために用いられるガスとしては、半導体ウエハー2の材質に応じて適宜選択される。典型的には、プラズマの生成にはSFガスが使用される。
また、所謂BOSCHプロセスに従い、C又はCガス等の供給による側壁保護と、プラズマ照射による半導体ウエハー2のエッチングとを交互に行うことにより、半導体ウエハー2の切断を行ってもよい。BOSCHプロセスによれば、高アスペクト比でのエッチングが可能であり、半導体ウエハー2が厚い場合でも、半導体ウエハー2の切断が容易である。
次に、図9に示されるように、半導体チップ22の表面を被覆する保護膜24が除去される。上述したように保護膜24は、水溶性樹脂(A)を含む保護膜形成剤を用いて形成されているので、水(或いは温水)によって保護膜24を洗い流すことができる。
以上、半導体ウエハーのダイシング加工による半導体チップの製造方法を実施形態に基づいて説明した。本発明にかかる保護膜形成剤と、半導体チップの製造方法とは、半導体ウエハー表面に保護膜を形成し、半導体ウエハーの保護膜を備える面においてストリートに相当する位置に加工溝を形成することを含む方法であれば、種々の半導体チップの製造方法に対して適用することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<水溶性樹脂(A)>
実施例、及び比較例において、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-SSL(日本曹達製))、ポリビニルピロリドン(ピッツコール K-90(第一工業製薬社製))、ポリビニルアルコール(PVA-505C(クラレ社製))を水溶性樹脂(A)として用いた。
用いた各水溶性樹脂(A)について、下記の方法で熱重量測定を行ったところ、ヒドロキシプロピルセルロースの重量減少率は、500℃まで昇温した場合は99重量%、350℃まで昇温した場合は50質量%であり、ポリビニルピロリドンの重量減少率は、500℃まで昇温した場合は70重量%、350℃まで昇温した場合は25質量%であり、ポリビニルアルコールの重量減少率は、500℃まで昇温した場合は90重量%、350℃まで昇温した場合は50質量%であった。
熱重量測定は、TG/DTA装置(示差熱-熱重量同時測定装置、(株)日立ハイテクサイエンス製、TG/DTA6200R)を用いて、以下の条件で行った。
測定温度:40℃~500℃
昇温速度:10℃/分
雰囲気:空気(流量200NmL/分)
<吸光剤(B)>
実施例、及び比較例において、ベーシックレッド2、ベーシックレッド5、ローダミン6G、アシッドレッド1、アシッドレッド18、アシッドレッド27、アシッドレッド114、アゾルビン、テトラブロモフルオレセイン、フェルラ酸(いずれも東京化成工業株式会社製)を吸光剤(B)として用いた。
<塩基性化合物(C)>
一部の実施例において、モノエタノールアミンを塩基性化合物(C)として用いた。
<有機溶剤>
実施例及び比較例において、溶媒(S)として、イオン交換水と有機溶剤との混合溶媒を用いた。溶媒(S)中の有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を用いた。
〔実施例1~11、及び比較例1〕
表1に記載の種類及び質量部の水溶性樹脂(A)と、表1に記載の種類及び質量部の吸光剤(B)と、表1に記載の質量部の塩基性化合物(C)とを、固形分濃度10質量%となるように、溶媒(S)に均一に溶解させて、各実施例、及び各比較例の保護膜形成剤を得た。
[保護膜の波長515nmでの膜厚1μmあたりの吸光度の測定]
得られた保護膜形成剤を、透明なガラス基板上にスピンコート法によって塗布した。塗布後に塗布膜を70℃で5分間乾燥させて、表2に記載の膜厚(厚さ)の保護膜を形成した。
形成された保護膜について、分光光度計(MCPD-3000(大塚電子製))を用いて透過率を測定した。波長515nmでの透過率の測定結果から、下記式を用い、保護膜の波長515nmでの膜厚1μmあたりの吸光度を測定した。結果を表2に記す。
吸光度=-Log10(透過率/100)
厚さ1μmあたりの吸光度=吸光度/膜厚(Å)×10000
上記の試験の結果、表2に示すように、実施例の保護膜形成剤を用いて形成した保護膜の515nmにおける厚さ1μmあたりの吸光度は、0.05以上と高かった。このため、実施例の保護膜を半導体ウエハー上に設け、波長515nmの光を含むレーザー光や緑色レーザー光を照射することにより、保護膜の加工溝の端部付近のレーザー光を吸収し散乱を抑えることから、加工溝の形状が良好になる。また、そのレーザー光が基板から反射し加工溝近傍の保護膜に予期せぬ加工不良を起こすことを抑制し、保護膜及び半導体ウエハーにデラミネーションの発生を抑制し、高い加工精度で加工溝を形成できる。
[吸光剤(B)の溶媒溶解性の評価)]
実施例1~11、及び比較例1の保護膜形成剤において、実施例3,9,10及び11では、速やかに吸光剤(B)が溶解した。
[加工溝の評価(レーザー加工性の評価)]
<レーザー照射による加工溝の形成>
得られた実施例3及び9~11並びに比較例1の保護膜形成剤を、8インチのシリコン基板上にスピンコート法により塗布して、表3に記載の膜厚(厚さ)の保護膜を形成した。
保護膜を備えるシリコン基板の保護膜側の面に対して、以下の条件で直線状にレーザー照射を行って加工溝を形成した後、水洗(シャワー:3分間)して保護膜を除去した。
<レーザー照射条件>
レーザー光:ピーク波長514.355nm(波長515nmを含むフェムト秒レーザー光)
周波数:100kHz
送り速度:100mm/sec
加工回数(Pass数):1回
加工強度:100%
加工強度について、実施例3の保護膜形成剤を用いて形成され表3に示す膜厚の保護膜に対して、周波数:100kHz、送り速度:100mm/sec、加工回数:1回で、シリコン基板がレーザー照射方向に2μm削られる条件での加工強度を、100%と設定した。
また、比較例1では、照射するレーザー光を、ピーク波長355nmのナノ秒レーザー光とした。
<評価>
保護膜を除去したシリコン基板について、レーザー照射された箇所を、光学顕微鏡(オリンパス社製MX-50、倍率:100倍)により観察したところ、比較例1では加工溝近傍(加工溝の幅方向の両端部近傍)にデブリが多く付着していた。一方、実施例3及び9~11では、比較例1よりも顕著にデブリが少なかった。
付着したデブリに関して、加工溝の評価(レーザー加工性の評価)方法を説明する平面図である図10に示すように、シリコン基板80をレーザー照射された側(保護膜が形成された側)から見た時の、加工溝81の幅(加工幅x)と、デブリ82及び加工溝81全体の幅(デラミ幅y)とを測定し、デラミ幅yと加工幅xとの差y-xを求めた。デブリの付着が広いほど、y-xは大きな値となる。結果を表3に示す。
これらの結果から、実施例の保護膜形成剤を用いて形成した特定の保護膜を基板上に設け、波長515nmの光を含むレーザー光や緑色レーザー光を照射することにより、良好に加工溝を形成しつつ、デブリが抑制され、高い精度で加工溝を形成できることが分かる。なお、比較例1においてデブリが多く広範囲に付着した原因は、基板に達したレーザー光の反射を保護膜が吸収できず、保護膜が押し上げられ基板から剥離した(デラミネーション)ためと推測できる。
Figure 2022125002000002
Figure 2022125002000003
Figure 2022125002000004
2 :半導体ウエハー
20 :基板
21 :積層体
22 :半導体チップ
23 :ストリート
24 :保護膜
25 :レーザー加工溝
26 :切削溝
5 :環状のフレーム
6 :保護テープ
7 :レーザー加工装置
71 :レーザー加工装置のチャックテーブル
72 :レーザー光照射手段

Claims (8)

  1. 半導体ウエハーを切断することで行われる、半導体チップの製造方法であって、
    前記半導体ウエハー上に、水溶性樹脂(A)と、吸光剤(B)と、溶媒(S)とを含む保護膜形成剤を塗布して保護膜を形成することと、
    前記半導体ウエハー上における前記保護膜を含む1以上の層の所定の位置に波長515nmの光を含むレーザー光を照射し、前記半導体ウエハーの表面が露出し、且つ半導体チップの形状に応じたパターンの加工溝を形成することと、
    を含み、
    前記保護膜の波長515nmにおける厚さ1μmあたりの吸光度が0.05以上である、半導体チップの製造方法。
  2. 前記吸光剤(B)が、ローダミン、フルオレセイン及びこれらの誘導体から選択される少なくとも一種を含む、請求項1に記載の半導体チップの製造方法。
  3. 前記水溶性樹脂(A)の熱重量測定において、500℃まで昇温した場合の重量減少率が70重量%以上である、請求項1又は2に記載の半導体チップの製造方法。
  4. 前記半導体ウエハーにおける前記加工溝の位置をブレードにより切断することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体チップの製造方法。
  5. 半導体ウエハーのダイシングにおいて、半導体ウエハーの表面に保護膜を形成するために用いられる保護膜形成剤であって、
    水溶性樹脂(A)と、吸光剤(B)と、溶媒(S)とを含み、
    前記保護膜の波長515nmにおける厚さ1μmあたりの吸光度が0.05以上である、保護膜形成剤。
  6. 前記吸光剤(B)が、ローダミン、フルオレセイン及びこれらの誘導体から選択される少なくとも一種を含む、請求項5に記載の保護膜形成剤。
  7. 前記水溶性樹脂(A)の熱重量測定において、500℃まで昇温した場合の重量減少率が70重量%以上である、請求項5又は6に記載の保護膜形成剤。
  8. 半導体ウエハーを切断することで行われる、半導体チップの製造方法であって、
    前記半導体ウエハー上に、水溶性樹脂(A)と、吸光剤(B)と、溶媒(S)とを含む保護膜形成剤を塗布して保護膜を形成することと、
    前記半導体ウエハー上における前記保護膜を含む1以上の層の所定の位置に緑色レーザー光を照射し、前記半導体ウエハーの表面が露出し、且つ半導体チップの形状に応じたパターンの加工溝を形成することと、
    前記保護膜を除去することと、
    を含み、
    前記保護膜の波長515nmにおける厚さ1μmあたりの吸光度が0.05以上である、半導体チップの製造方法。
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