JP2022124055A - 電極埋設部材及び半導体製造装置部品 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、電極埋設部材及び半導体製造装置部品に関する。
半導体製造装置部品は、半導体製造装置の一部を構成する部品であり、板状のセラミックス部材の内部に電極(以下、内部電極)が埋設されてなる電極埋設部材を備えている。この種の電極埋設部材は、例えば、表面側で対象物(ウェハ等)を保持する機能を備えた保持装置、表面側に載せられた対象物を加熱する機能を備えた加熱装置、表面側に設けられた複数の噴射口から離間配置された対象物に対してプロセスガスを噴射するシャワーヘッド等の様々な半導体製造装置部品に使用されている。
このような電極埋設部材の裏面側には、通常、セラミックス部材の外部に露出する形で、外部電極が設けられている。外部電極は、セラミックス部材の内部に埋設されている内部電極に対して電気的に接続されると共に、セラミックス部材の外部に配置された給電用の電極端子に対して、ろう材からなる接合部を介して電気的に接続されている。
例えば、特許文献1には、対象物を表面側で保持しつつ、内部に埋設されたヒータ電極(内部電極)によって対象物を加熱する電極埋設部材を備えた加熱装置が示されている。この装置が備える電極埋設部材の裏面側には、外部電極としてパッド状の受電電極が形成されており、その受電電極に対して、棒状の電極端子が電気的に接続されている。具体的には、受電電極と電極端子との間に、それらの熱膨張差を緩和させるための緩衝部材が配され、かつその緩衝部材と受電電極との間、及び緩衝部材と電極端子との間にそれぞれろう材からなる接合部を介在させることで、受電電極及び電極端子が互いに電気的に接続されている。
半導体製造装置部品は、使用時に高温環境下(例えば、加熱装置の場合、750℃以上)に晒されるため、使用時と非使用時との間における温度差が激しい。そのため、電極埋設部材における外部電極と電極端子との間の接続箇所が熱の影響で破損(例えば、クラックの発生)し、導通不良となることがあった。
例えば、外部電極と電極端子とが直接、接合部で接続されている場合や、外部電極と電極端子との間に緩衝部材を介在させつつ、外部電極と緩衝部材との間及び電極端子と緩衝部材との間がそれぞれ接合部で接続されている場合に、接合部に隣接する部材間の熱膨張差の影響により、各接合部が破損してしまうことがあった。
本発明の目的は、外部電極と電極端子との間の接続箇所が熱の影響で破損することが抑制された電極埋設部材及び前記電極埋設部材を備える半導体製造装置部品を提供することである。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 表面と、前記表面の反対側に配される裏面とを含む板状のセラミックス部材と、
前記セラミックス部材の内部に設けられる内部電極と、前記内部電極と電気的に接続され、前記セラミックス部材の前記裏面側に露出する外部電極と、前記外部電極に、金属材料を介して接続される電極端子とを備える電極埋設部材であって、前記セラミックス部材の内部に形成され、前記外部電極を冷却する冷媒通路を備える電極埋設部材。
<1> 表面と、前記表面の反対側に配される裏面とを含む板状のセラミックス部材と、
前記セラミックス部材の内部に設けられる内部電極と、前記内部電極と電気的に接続され、前記セラミックス部材の前記裏面側に露出する外部電極と、前記外部電極に、金属材料を介して接続される電極端子とを備える電極埋設部材であって、前記セラミックス部材の内部に形成され、前記外部電極を冷却する冷媒通路を備える電極埋設部材。
<2> 前記冷媒通路は、前記表面側から平面視した際に、環状である環状通路部を有する前記<1>に記載の電極埋設部材。
<3> 前記冷媒通路は、前記外部電極よりも前記表面側に配され、かつ前記表面側から平面視した際に、前記外部電極と重なるように配される重畳通路部を有する前記<1>又は<2>に記載の電極埋設部材。
<4> 前記冷媒通路は、前記セラミックス部材の前記裏面側に開口する形で設けられ、前記セラミックス部材の外部から前記冷媒通路に冷媒を供給する供給口と、前記セラミックス部材の前記裏面側に開口する形で設けられ、前記冷媒通路から前記セラミックス部材の外部へ前記冷媒を排出させる排出口とを含む前記<1>から<3>の何れか1つに記載の電極埋設部材。
<5> 前記内部電極は、前記冷媒通路よりも前記表面側に配され、かつ前記表面を加熱するメインヒータ電極からなり、前記メインヒータ電極よりも前記表面側に配され、かつ前記表面のうち前記冷媒通路の影響で温度が相対的に低下した範囲を加熱できるように、前記セラミックス部材の内部に設けられるサブヒータ電極とを備える前記<1>から<4>の何れか1つに記載の電極埋設部材。
<6> 前記セラミックス部材は、窒化アルミニウムを主成分とする前記<1>から<5>の何れか1つに記載の電極埋設部材。
<7> 前記<1>から<6>の何れか1つに記載の電極埋設部材と、一端が前記裏面と対向する形で前記セラミックス部材を支持する筒状の周壁部を有する支持体を備え、 前記支持体は、前記供給口と接続するように前記周壁部の内部に形成され、かつ外部より前記冷媒通路に前記冷媒を供給する壁内供給路と、前記排出口と接続するように前記周壁部の内部に形成され、かつ前記冷媒通路から外部へ前記冷媒を排出させる壁内排出路とを有する半導体製造装置部品。
本発明によれば、外部電極と電極端子との間の接続箇所が熱の影響で破損することが抑制された電極埋設部材及び前記電極埋設部材を備える半導体製造装置部品を提供することができる。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を、図1~図4を参照しつつ説明する。図1は、実施形態1に係る加熱装置100の断面構成を模式的に表した説明図である。説明の便宜上、図1の上側を、加熱装置100の上側とし、図1の下側を、加熱装置100の下側とする。図1には、加熱装置100を上下方向に切断した断面が模式的に示されている。
本発明の実施形態1を、図1~図4を参照しつつ説明する。図1は、実施形態1に係る加熱装置100の断面構成を模式的に表した説明図である。説明の便宜上、図1の上側を、加熱装置100の上側とし、図1の下側を、加熱装置100の下側とする。図1には、加熱装置100を上下方向に切断した断面が模式的に示されている。
加熱装置100(半導体製造装置部品の一例)は、対象物(例えば、半導体ウェハ)Wを真空吸着して保持しつつ、所定の処理温度(例えば、400℃~800℃程度)に加熱する装置である。このような加熱装置100は、例えば、成膜装置(CVD成膜装置、スパッタリング成膜装置等)、エッチング装置(プラズマエッチング装置)等として使用される。
加熱装置100は、図1に示されるように、上側に配される保持体(電極埋設部材の一例)10と、下側に配される支持体20とを備える。
保持体10は、上側から平面視した際に、略円形をなす板状の部材(つまり、略円板状の部材)である。保持体10は、主として、セラミックス部材11、メインヒータ電極(内部電極)12、受電電極(外部電極)13、冷媒通路14を備えている。保持体10は、その他に、RF電極15、サブヒータ電極16、電極端子31等を備えている。
セラミックス部材11は、主に、保持体10の外観形状を構成する部材であり、略円形の板状をなしている。セラミックス部材11は、対象物Wが載せられる表面11aと、表面11aの反対側に配される裏面11bとを備えている。なお、保持体10の表面は、セラミックス部材11の表面11aにより構成され、保持体10の裏面は、セラミックス部材11の裏面11bにより構成される。そのため、保持体10の表面を、「表面11a」と表し、保持体10の裏面を、「裏面11b」と表す。
セラミックス部材11は、例えば、窒化アルミニウム(AlN)を主成分とするセラミックスにより形成される。なお、ここでいう主成分とは、セラミックス部材11を構成するセラミックスのうち、含有割合の最も多い成分を意味する。セラミックス部材11の直径(最大部分の直径)は、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、100mm以上500mm以下程度に設定される。また、セラミックス部材11の厚み(表面11aから裏面11bまでの距離)は、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、3mm以上30mm以下程度に設定される。
なお、セラミックス部材11の上側には、複数の凸部11cと、複数の凸部11cの周りを取り囲む円環状の枠部11dとが設けられている。複数の凸部11cは、互いに間隔を保ちつつ、面状に分布する形で設けられている。凸部11cは、表面(頂面)が平坦な柱状(円柱状等)をなしている。枠部11dは、全体的には、円環状をなしており、その円環状の表面(頂面)は、平坦である。セラミックス部材11の表面11aは、複数の凸部11cの各表面と、枠部11dの表面とからなる。
また、セラミックス部材11の内部には、図示されない真空流路が形成されており、その端部に位置する開口状の吸着孔(不図示)が、セラミックス部材11の表面11a側に複数個形成されている。そして、外部に設置された負圧供給装置(真空ポンプ)によって真空流路に負圧が供給されると、セラミックス部材の表面11a上に載せられた対象物Wが、吸着孔から供給される負圧により、吸着固定(真空吸着)される。
セラミックス部材11の内部には、保持体10の表面11aを全体的に加熱可能なメインヒータ電極(内部電極の一例)12が設けられている。メインヒータ電極12は、抵抗発熱体であり、導電性材料(タングステン、モリブデン等)により形成される。メインヒータ電極12は、上側から平面視した際に、略同心円状に延びる線状のパターンを構成している。メインヒータ電極12は、セラミックス部材11(保持体10)の表面11aを万遍なく加熱できるように、全体的に水平方向(表面11aが広がる方向)に広がった形となっている。
メインヒータ電極12の線状パターンの両端部は、保持体10(セラミックス部材11)の中心近傍に配置されている。一方の端部は、後述する受電電極13及び給電用(プラス側)の電極端子31に、電気的に接続されている。また、他方の端部も、図示されない他の受電電極及び他の給電用(マイナス側)の電極端子に電気的に接続されている。メインヒータ電極12は、電圧が印加されて電流が流れると発熱し、セラミックス部材11(保持体10)の表面11aを全体的に加熱する。そして、表面11aに載せられた対象物Wが全体的に加熱される。
メインヒータ電極12は、セラミックス部材11の内部(厚み方向)において、後述するRF電極15やサブヒータ電極16よりも、裏面11b側に配置されている。メインヒータ電極12は、導体ペーストを印刷した導体層を焼結してメタライズしたものからなる。
また、セラミックス部材11の内部には、プラズマを発生させるRF(高周波)電極15が設けられている。RF電極15は、導電性材料(タングステン、モリブデン、白金等)により形成される。RF電極15は、上側から平面視した際、略円形状をなしている。RF電極15は、導体ペーストを印刷した導体層を焼結してメタライズしたものからなる。RF電極15は、セラミックス部材11の内部(厚み方向)において、表面11a側に配置されている。なお、RF電極15に電力を供給するための受電電極は、図示されないがセラミックス部材11の裏面11b側(具体的には、後述する収容部11eの天井面11f)に形成されている。また、RF電極15用の受電電極は、RF電極15に対して、セラミックス部材11内に設けられたビア導体(不図示)を介して電気的に接続されている。また、RF電極15用の受電電極に接続される給電用の電極端子は、図示されないが、後述するメインヒータ電極12用の電極端子31と同様、支持体20の周壁部21内(中空部)に配置されている。
このようなRF電極15に電源(不図示)から直流高電圧が印加されると、RF電極15からプラズマが発生する。
また、セラミックス部材11の内部には、保持体10の表面を部分的に加熱可能なサブヒータ電極16が設けられている。サブヒータ電極16は、メインヒータ電極12と同様、抵抗発熱体であり、導電性材料(タングステン、モリブデン等)により形成される。サブヒータ電極16は、上側から平面視した際に、表面11aの中心側に配され、かつメインヒータ電極12よりも小さな略同心円状に延びる線状のパターンを構成している。
サブヒータ電極16は、上側から平面視した際に、メインヒータ電極12よりも直径が小さく、主に、セラミックス部材11(保持体10)の中心側の部分を加熱するように構成されている。なお、セラミックス部材11の中心側の部分は、後述するように冷媒通路14を流れる冷媒の影響で温度が周囲側の部分と比べて相対的に低下し易い。サブヒータ電極16は、メインヒータ電極12と同様、導体ペーストを印刷した導体層を焼結してメタライズしたものからなる。
サブヒータ電極16は、セラミックス部材11の内部(厚み方向)において、メインヒータ電極12よりも上側に配され、かつRF電極15よりも下側に配されている。つまり、サブヒータ電極16は、セラミックス部材11の内部において、RF電極15とメインヒータ電極12との間に配されている。なお、サブヒータ電極16も、メインヒータ電極と同様、プラス側及びマイナス側のそれぞれにおいて、受電電極を介して給電用の電極端子が接続されている。
サブヒータ電極16は、電圧が印加されて電流が流れると発熱し、セラミックス部材11(保持体10)の表面11aのうち、冷媒通路14を流れる冷媒の影響で温度が相対的に低下した範囲(セラミックス部材11の中心側の部分)を加熱できるように、セラミックス部材11の内部に設けられている。冷媒通路14等の詳細は後述する。
セラミックス部材11の裏面11b側には、凹状に窪んだ収容部11eが設けられている。収容部11eは、裏面11bの略中央に設けられている。この収容部11eの内側に、受電電極(外部電極の一例)13が設けられている。
図2は、図1の収容部11e付近の断面構成を拡大した説明図である。収容部11eは、図2に示されるように、上側に配される平坦な天井面11fと、天井面11fの周りを取り囲む周面11gとを備えている。受電電極13は、導電性の電極パッドであり、天井面11fに設けられている。受電電極13は、このような収容部11eに収容されつつ、セラミックス部材11の裏面11b側に露出した状態となっている。天井面11fは、下側から平面視した際に、略円形状をなしており、また、受電電極13も略円形状をなしている。本実施形態の場合、収容部11eの内径は、後述する支持体20の周壁部21の内径と略同じとなるように設定されている。
なお、図2等では、説明の便宜上、収容部11e内に1つの受電電極13が示されている。実際には、収容部11e内に受電電極13以外の複数の受電電極が形成されている。ここでは、メインヒータ電極12の一方の端部に接続する受電電極13を、例に挙げて説明する。
受電電極13は、略円板状をなしており、タングステン、モリブデン等の導電性材料から形成される。受電電極13は、セラミックス部材11の内部で上下方向に延びたビア導体17を介して、メインヒータ電極(内部電極)12と電気的に接続されている。受電電極13には、ビア導体17の下端部が接続され、ビア導体17の上端部には、上述したメインヒータ電極12の線状パターンの一方の端部が接続されている。
支持体20は、図1に示されるように、上下方向に延びる略円筒状の部材である。このような支持体20は、一端(上端)21aが裏面11bと対向する形でセラミックス部材11を支持する筒状の周壁部21を備えている。支持体20は、セラミックス部材11と同様、窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスにより形成される。支持体20の外径は、例えば50mm以上150mm以下程度であり、支持体20の高さ(上下方向の長さ)は、例えば100mm以上300mm以下程度である。
支持体20の周壁部21の上端21aは、セラミックス部材11の裏面11bの中心部付近に、公知の接合材料により形成された接合部30(図2参照)を介して接合されている。なお、接合部30は、冷媒通路14の供給口14aや排出口14b等を塞がないように、周壁部21とセラミックス部材11との間に形成される。
支持体20の中央には、上下方向に延びつつ、上端21a側が開口した貫通孔状の中空部22を備えている。中空部22は、上下方向に延びた周壁部21の内周面21bによって囲まれた空間である。本実施形態の場合、周壁部21の内径は、上下方向で略同一に設定されている。このような中空部22に、受電電極13に電気的に接続される給電用の電極端子31が収容されている。なお、実際には、周壁部21の内側(中空部22)に、電極端子31以外に複数の電極端子が収容されており、それらが対応する受電電極に対して電気的に接続されている。ここでは、受電電極13に接続される電極端子31を例に挙げて説明する。
電極端子31は、一方向に延びた略円柱状の部材であり、ニッケル等の導電性材料により形成される。電極端子31の直径は、例えば2mm以上10mm以下程度に設定される。電極端子31は、中空部22において、上下方向に沿って配置される。
電極端子31の上端部31aと、受電電極13との間には、緩衝部材(金属材料の一例)32が配置されている。緩衝部材32は、略円形の板状部材であり、電極端子31と受電電極13との間の熱膨張差を緩和する機能を備えている。緩衝部材32は、タングステン、モリブデン、コバール等の金属材料により形成されている。なお、緩衝部材32を構成する材料としては、電極端子31の熱膨張係数と受電電極13の熱膨張係数との間の熱膨張係数を有するものが使用される。緩衝部材32の直径は、例えば3mm以上15mm以下程度であり、緩衝部材32の厚みは、例えば1mm以上6mm以下程度に設定される。
緩衝部材32は、収容部11eに収容された状態で、受電電極13に対してろう付けされている。具体的には、緩衝部材32の上面32aと、受電電極13の下面13aとの間に、非活性ろう材により形成された第1接合部(金属材料の一例)33が介在され、その第1接合部33により、受電電極13と緩衝部材32とが接続されている。なお、非活性ろう材は、セラミックスに対して実質的に化学的結合しないろう材を意味し、例えば、Ni系(Ni-Cr系合金等)、Au系(純Au系、Au-Ni系合金等)、Ag系(純Ag等)のろう材である。加熱装置100は、後述するように、400~800℃程度の高温環境下で使用される。ろう材にCu等の酸化され易い成分が含まれていると、ろう材が劣化する虞があるため、ろう材はCu等の酸化され易い成分を含まないことが好ましい。
また、緩衝部材32は、電極端子31の上端部31aに対してろう付けされている。具体的には、緩衝部材32の下面32bと、電極端子31の上端部31aとの間に、ろう材(Au系のろう材)により形成された第2接合部(金属材料の一例)34が介在され、その第2接合部34により、緩衝部材32と電極端子31とが接続されている。
図示されない電源から、電極端子31、緩衝部材32、受電電極13及びビア導体17を介して、抵抗発熱体であるメインヒータ電極12に電圧が印加されると、メインヒータ電極12が発熱し、保持体10の表面11a上に保持された対象物Wが所定の温度(例えば、400~800℃)に加熱される。
このように保持体10が加熱されると、受電電極13等も加熱されることになり、受電電極13と電極端子31との間の接続箇所が熱の影響を受けて破損する虞がある。具体的には、受電電極13と緩衝部材32との間に介在される第1接合部33や、緩衝部材32と電極端子31との間に介在される第2接合部34が熱の影響で剥離等して破損する虞がある。そこで、本実施形態の保持体10は、熱の影響を受け易い受電電極13と電極端子31との間の接続箇所を保護するべく、受電電極(外部電極)13付近を、冷却するための冷却機構を備えている。受電電極13は、電極端子31等と比べて、熱の影響を受けて熱膨張及び熱収縮し易いため、受電電極(外部電極)13付近が冷却機構(冷媒通路14)によって冷却される。
冷却機構は、冷媒が加熱装置100の支持体20と保持体10との間を循環できるように構成されている。本実施形態では、冷媒として希ガス(アルゴンガス、ヘリウムガス等)が使用される。冷媒機構は、保持体10(セラミックス部材11)内に形成される冷媒通路14と、支持体20の周壁部21の内部に形成される壁内通路23とを備えている。また、冷却機構は、図示されない公知の放熱手段を備えており、その放熱手段によって、冷媒の温度を、保持体10に供給する前に、所定の温度以下に保つことができる。
壁内通路23は、外部よりセラミックス部材11内の冷媒通路14に冷媒を供給する壁内供給路23aと、冷媒通路14から外部へ冷媒を排出させる壁内排出路23bとを有する。壁内供給路23a及び壁内排出路23bは、支持体20の周壁部21に対して、ドリル等を利用して長手方向(上下方向)に沿って穴加工を施すことにより形成される。周壁部21の上端21aには、壁内供給路23aの下流側の端部に位置する開口部23a1と、壁内排出路23bの上流側の端部に位置する開口部23b1とがある。
冷媒通路14は、セラミックス部材11内に形成される冷媒用の通路であり、その上流側が壁内供給路23aと接続し、その下流側が壁内排出路23bと接続する。冷媒通路14の上流側の端部は、セラミックス部材11の裏面11b側に開口する形で設けられた供給口14aからなり、冷媒通路14の下流側の端部は、セラミックス部材11の裏面11b側に開口する形で設けられた排出口14bからなる。
供給口14aは、壁内供給路23aの開口部23a1と上下方向で対向しつつ接続し、セラミックス部材11の外部から冷媒通路14に冷媒を供給するために利用される。排出口14bは、壁内排出路23bの開口部23b1と上下方向で対向しつつ接続し、冷媒通路14からセラミックス部材11の外部へ冷媒を排出させるために利用される。なお、図2において、冷媒通路14内に示される矢印の向きは、冷媒の流れる向きを表す。
図3は、図2のA-A線断面図であり、図4は、図2のB-B線断面図である。図3には、保持体10の厚み方向(上下方向)において、緩衝部材32と共にセラミックス部材11が水平方向(上下方向に対して垂直に交わる方向)に切断された断面構成が模式的に示されている。また、図4には、保持体10の厚み方向(上下方向)において、冷媒通路14の一部と、ビア導体17等が水平方向(上下方向に対して垂直に交わる方向)に切断された断面構成が模式的に示されている。
冷媒通路14は、説明の便宜上、上下方向に延びる上流側の縦冷媒通路14cと、上下方向に延びる下流側の縦冷媒通路14dと、水平方向に延びつつ縦冷媒通路14cと縦冷媒通路14dとの間を繋ぐ横冷媒通路14eとに分けられる。なお、縦冷媒通路14cの上流側の端部が供給口14aとなり、縦冷媒通路14dの下流側の端部が排出口14bとなる。
縦冷媒通路14cは、壁内供給路23a側から供給口14aを介して供給された冷媒を横冷媒通路14eへ供給する通路であり、上下方向に延びつつ、受電電極13と電極端子31との間の接続箇所の近傍(特に受電電極13の近傍)に配置されている。また、縦冷媒通路14dは、横冷媒通路14e側から供給された冷媒を、壁内排出路23b側へ排出口14bを介して排出する通路であり、上下方向に延びつつ、受電電極13と電極端子31との間の接続箇所の近傍(特に受電電極13の近傍)に配置されている。
本実施形態の場合、縦冷媒通路14c及び縦冷媒通路14dは、互いに平行に並ぶように配されている。縦冷媒通路14c及び縦冷媒通路14dは、受電電極13からの距離L(図2参照)が、例えば、2mm以上15mm以下の範囲に設定される。
横冷媒通路14eは、セラミックス部材11の内部(厚み方向)において、受電電極13よりも表面11a側に配置されている。本実施形態の場合、横冷媒通路14eは、収容部11eよりも表面11a側に配置されている。このような横冷媒通路14eは、主に受電電極13を冷却できるように、受電電極(外部電極)13の近傍に配置される。横冷媒通路14eと受電電極13との間の距離M(上下方向における距離)(図2参照)は、例えば1mm以上5mm以下の範囲に設定される。
横冷媒通路14eは、図4に示されるように、縦冷媒通路14cから受電電極13側へ延びる第1横通路部14e1と、受電電極13側から縦冷媒通路14dへ延びる第2横通路部14e2と、第1横通路部14e1と第2横通路部14e2との間に配される第3横通路部14e3とを備えている。なお、図4において、冷媒通路14(横冷媒通路14e)内に示される矢印の向きは、冷媒が流れる向きを表す。
第3横通路部14e3は、環状であり、表面11a側から平面視した際に、受電電極13の中心位置Xを取り囲むような形をなしている。このような環状の冷媒通路14(第3横通路部14e3)を、特に「環状通路部14e3」と称する。環状通路部14e3は、受電電極13を平面視した状態で万遍なく均等に冷却し易い構造となっている。
また、本実施形態の第3横通路部14e3は、図4に示されるように、表面11a側から平面視した際に、受電電極13と重なるように配されている。このように第3横通路部14e3は、受電電極13と重なるため、特に「重畳通路部14f」とも称する。重畳通路部14fは、平面視で受電電極13と重なるように配置されることで、受電電極13をより確実に冷却することができる。
第1横通路部14e1は、一方向に延びた形をなし、その下流側の端部が環状をなした第3横通路部(環状通路部)14e3に接続されている。第3横通路部14e3に第1横通路部14e1側から冷媒が供給されると、冷媒の流れは、環状の第3横通路部14e3で二手に分かれ、その後、再び合流して、第2横通路部14e2へ移動する。なお、第2横通路部14e2も、第1横通路部14e1と同様、一方向に延びた形をなし、その上流側の端部が環状をなした第3横通路部(環状通路部)14e3に接続されている。
なお、冷媒通路14(縦冷媒通路14c、縦冷媒通路14d及び横冷媒通路14e)の断面形状は、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、正方形等の四角形状に設定される。また、冷媒通路14の断面積は、0.1mm2以上150mm2以下が好ましい。冷媒通路14の断面積が0.1mm2未満であると、圧力損失が増加し、冷媒通路14内を冷媒が流れ難くなる。また、冷媒通路14の断面積が150mm2を超えると、冷媒通路14の周囲を構成する部材(未焼成のグリーンシート)が、冷媒通路14内の空間に向かって撓む等の不具合が生じ、冷媒通路14を所望の形状に作製することが難しくなる。なお、冷媒通路14の断面とは、冷媒通路14の長手方向に対して垂直に交わる方向で切断した断面である。
冷媒は、外部に設置された圧送装置(不図示)から、支持体20の壁内供給路23aに供給され、更に壁内供給路23aを通って供給口14aから冷媒通路14に供給される。冷媒通路14に供給された冷媒は、縦冷媒通路14c、横冷媒通路14e及び縦冷媒通路14dの順に流れる。冷媒は、冷媒通路14(縦冷媒通路14c、横冷媒通路14e及び縦冷媒通路14d)を流れる際に、冷媒通路14の周囲から熱を受け取って温められる。その後、冷媒は、排出口14bから排出されて壁内排出路23bに移動される。壁内排出路23bに移動した冷媒は、放熱手段(不図示)で所定の温度以下に冷却された後、再び圧送装置へ戻される。このようにして、冷媒は、支持体20及び保持体10の各内部を循環しつつ、セラミックス部材11内の受電電極13等を冷却することができる。
ここで、加熱装置100の製造方法を説明する。本実施形態の加熱装置100の製造方法は、例えば以下の通りであり、初めに、保持体(電極埋設部材)10と、支持体20とを作製する。
保持体10の作製方法は、シート積層法を利用したものであり、例えば以下の通りである。先ず、窒化アルミニウム粉末100質量部に、酸化イットリウム(Y2O3)粉末1質量部と、バインダ20質量部と、適量の分散剤及び可塑剤とを加えた混合物に、有機溶剤を加え、ボールミルを用いて20時間混合し、グリーンシート用スラリーを作製する。
得られたグリーンシート用スラリーをキャスティング装置でシート状に成形し、その後、シート状の成形物を乾燥させることでグリーンシートが得られる。このようにしてグリーンシートを複数枚作製する。
また、窒化アルミニウム粉末、バインダ、有機溶剤の混合物に、タングステンやモリブデン等の金属粉末を添加して混練することにより、メタライズペースト(導体ペースト)を作製する。このメタライズペーストを例えばスクリーン印刷装置を用いて印刷することにより、特定の各グリーンシートに、後にメインヒータ電極12、サブヒータ電極16、RF電極15、受電電極13等となる未焼結導体層を形成する。また、グリーンシートに予めビア孔を設けた状態で印刷することにより、後にビア導体17等となる未焼結導体部を形成する。
また、特定の各グリーンシートに対して、マシニングにより、後に冷媒通路14や収容部11e等となる溝部や孔部を形成する。
次に、これらのグリーンシートを複数枚(例えば20枚)重ねて熱圧着し、必要に応じて外周を切断して、グリーンシート積層体(例えば厚み8mm)を作製する。このグリーンシート積層体をマシニングによって切削加工して円板状の成形体を作製する。
得られた成形体を例えば300~600℃の温度条件下で脱脂し、更に脱脂後の成形体(脱脂体)を焼成して焼成体を作製する。この焼成体の表面を研磨加工することで、本実施形態の保持体(電極埋設部材)10が得られる。
また、支持体20の作製方法は、例えば以下の通りである。先ず、窒化アルミニウム粉末100質量部に、酸化イットリウム粉末1質量部と、バインダ3質量部と、適量の分散剤及び可塑剤とを加えた混合物に、有機溶剤を加え、ボールミルを用いて混合することで、スラリーを得る。このスラリーを、スプレードライヤーを用いて顆粒化し、得られた顆粒を原料粉末とする。次に、中空部22に対応する中子が配置されたゴム型に原料粉末を充填し、ゴム型内の原料粉末を冷間静水圧プレスすることで成形体を得る。得られた成形体を脱脂し、更に脱脂後の成形体(脱脂体)を焼成して筒状体を得る。得られた筒状体の周壁部に、ドリル等で穴加工を施して、壁内供給路23aと壁内排出路23bとを形成する。このようにして、支持体20が得られる。
次に、保持体10と支持体20とを接合する。保持体10の裏面11b及び支持体20(周壁部21)の上端21aに対して、必要によりラッピング加工を行った後、保持体10の裏面11bと支持体20の上端21aの少なくとも一方に、例えば希土類や有機溶剤等を混合してペースト状にした公知の接合剤を均一に塗布する。接合剤を塗布する際は、裏面11b側に設けられた供給口14a及び排出口14b、並びに上端21a側に設けられた開口部23a1及び開口部23b1をそれぞれ塞がないように、接合剤の塗布箇所が設定される。このよう接合剤が塗布された後、脱脂処理が行われる。次いで、保持体10の裏面11bと支持体20の上端21aとを、冷媒通路14及び壁内通路23(壁内供給路23a、壁内排出路23b)が互いに連通するように重ね合わせ、その状態で、焼成を行うことにより、保持体10と支持体20とを接合する。
保持体10と支持体20との接合の後、緩衝部材32を、支持体20の周壁部21の内側(中空部22)に挿入し、緩衝部材32の上面32aを、受電電極13の下面13aに対して、非活性ろう材(例えば、Ni系、Au系、Ag系のろう材)を用いてろう付け(温度条件:600~1200℃、処理時間:10~30分)することにより、第1接合部33を形成する。次いで、電極端子31を周壁部21の内側(中空部22)に挿入し、電極端子31の上端部31aを、緩衝部材32の下面32bに対して、例えばAg系のろう材を用いてろう付けすることにより、第2接合部34を形成する。以上のような製造方法により、上述した構成の加熱装置100が製造される。
以上説明したように、本実施形態の加熱装置100は、電極埋設部材として保持体10を備えており、その保持体10は、表面11a上に対象物Wを吸着固定した状態で、メインヒータ電極12を発熱させて、対象物Wが所定の温度に加熱される。この加熱の際に、対象物Wの温度(表面11aの温度)が例えば750℃以上に設定されると、裏面11b側に露出した受電電極(外部電極)13付近も高温となり得るが、本実施形態では、受電電極(外部電極)13付近に冷媒通路14が配置されており、その冷媒通路14に冷媒(希ガス)が流されることによって、受電電極13付近の温度上昇が抑制される。
受電電極13付近の熱は、セラミックス部材11内を移動しつつ、冷媒通路14内の冷媒(希ガス)が受け取り、最終的に加熱装置100の外部へ放出される。このように、本実施形態の加熱装置100(保持体10)は、冷媒を通すための冷媒通路14を備えるため、受電電極(外部電極)13付近の温度上昇を抑制することができ、第1接合部33や第2接合部34付近が破損(剥離等)することが抑制される。
また、本実施形態の保持体(電極埋設部材)10は、表面11a側から平面視した際に、環状である環状通路部(第3横通路部)14e3を備えている。平面視した際に、環状通路部14e3の少なくとも内側には、受電電極(外部電極)13の一部が配されている。このような環状通路部14e3は、受電電極(外部電極)13等を均等に冷却し易い。
また、保持体10は、平面視した際に、受電電極(外部電極)13と重なるように配される重畳通路部14fを備えている。重畳通路部14fは、平面視で受電電極13と重なるように配置されることで、受電電極13をより確実に冷却することができる。
また、保持体10の冷媒通路14は、セラミックス部材11の裏面11b側に開口する形で設けられた供給口14aを備えており、その供給口14aを介して、セラミックス部材11の外部から冷媒通路14に冷媒が供給される。また、冷媒通路14は、セラミックス部材11の裏面11b側に開口する形で設けられた排出口14bを備えており、その排出口14bを介して、冷媒通路14からセラミックス部材11の外部へ冷媒が排出される。このように、保持体10には、供給口14a及び排出口14bが設けられているため、冷媒通路14に冷媒を循環させることができる。
また、本実施形態の保持体10では、冷媒通路14が受電電極13近傍に配置されているため、保持体10の表面11aのうち、冷媒通路14が配置された箇所(受電電極13近傍)に対応する部分の表面温度が、その周りの表面温度よりも相対的に低くなり易い。そのため、メインヒータ電極12のみで、保持体10の表面11aを加熱すると、表面11aの温度分布にムラが生じる場合がある。本実施形態の保持体10は、メインヒータ電極12以外に、サブヒータ電極16を備えているため、サブヒータ電極16によって、表面11aのうち、冷媒通路14の影響で温度が相対的に低下し易い範囲を選択的に加熱することができる。したがって、本実施形態の保持体10は、表面11aを均一な温度で加熱し易い。
なお、本実施形態のサブヒータ電極16は、上述したように、略同心円状に延びる線状のパターンを備えており、そのような略同心円状の線状パターンの外縁部分は、冷媒通路14が形成されている範囲(外縁部分)よりも、外側へはみ出すように設定されることが好ましい。セラミックス部材11の内部に冷媒通路14が配置されていると、平面視した際に、冷媒通路14と重畳する範囲よりも広い範囲(冷媒通路14と重畳する範囲を含む広い範囲)が、冷媒通路14の影響で温度が相対的に低下し易い。そこで、本実施形態の保持体10では、平面視した際に、サブヒータ電極16の形成される範囲が、冷媒通路14が形成される範囲よりも大きくなるように、サブヒータ電極16の線状パターンの外縁部分が、冷媒通路14が形成されている範囲(外縁部分)よりも、外側へはみ出すように設定されている。そのため、本実施形態の保持体10では、表面11aのうち、冷媒通路14を通過する冷媒の影響で温度が相対的に低下した範囲を、サブヒータ電極16により確実に加熱することができ、表面11aの温度ムラを抑制し易い。
また、本実施形態の保持体10では、セラミックス部材11が、窒化アルミニウムを主成分としている。窒化アルミニウムは耐熱性、熱伝導性に優れ、セラミックス部材11を構成する材料として好ましい。特に、セラミックス部材11の表面11aに均一に熱を伝え易く、好ましい。ただし、窒化アルミニウムは、水に対して溶解性を示すため、セラミックス部材11が窒化アルミニウムを含む場合、水以外の冷媒(特に、化学的に安定なヘリウム、アルゴン等の希ガス)を使用することが好ましい。
また、本実施形態の加熱装置100は、保持体10と共に、冷媒通路14に接続する壁内通路23(壁内供給路23a、壁内排出路23b)を有する支持体20を備えている。壁内通路23(壁内供給路23a、壁内排出路23b)は、支持体20の周壁部21の内部に形成されているため、冷媒通路14に接続させる専用の通路を、例えば、周壁部21の内側(中空部22)等に別途設ける必要がなく、部品点数の削減や、省スペース化等が図れる。
<実施形態2>
次いで、本発明の実施形態2を、図5及び図6を参照しつつ説明する。図6は、実施形態2に係る加熱装置(半導体製造装置部品の一例)100Aの断面構成を模式的に表した説明図であり、図6は、図5のC-C断面図である。図5には、加熱装置100Aを上下方向に切断した断面が模式的に示されている。また、図6には、保持体(電極埋設部材の一例)10Aの厚み方向(上下方向)において、冷媒通路114の一部と、ビア導体17等が水平方向(上下方向に対して垂直に交わる方向)に切断された断面構成が模式的に示されている。
次いで、本発明の実施形態2を、図5及び図6を参照しつつ説明する。図6は、実施形態2に係る加熱装置(半導体製造装置部品の一例)100Aの断面構成を模式的に表した説明図であり、図6は、図5のC-C断面図である。図5には、加熱装置100Aを上下方向に切断した断面が模式的に示されている。また、図6には、保持体(電極埋設部材の一例)10Aの厚み方向(上下方向)において、冷媒通路114の一部と、ビア導体17等が水平方向(上下方向に対して垂直に交わる方向)に切断された断面構成が模式的に示されている。
本実施形態の加熱装置100Aは、保持体10Aのセラミックス部材11Aの内部に設けられる冷媒通路114の構成のみが、上述した実施形態1と異なっており、それ以外の構成については、実施形態1と同様である。そのため、実施形態1と同じ構成については、実施形態1と同じ符号を付し、詳細説明は省略する。
冷媒通路114は、上下方向に延びる上流側の縦冷媒通路114cと、上下方向に延びる下流側の縦冷媒通路114dと、水平方向に延びつつ縦冷媒通路114cと縦冷媒通路114dとの間を繋ぐ横冷媒通路部114eとに分けられる。縦冷媒通路114cの上流側の端部が供給口114aとなり、縦冷媒通路114dの下流側の端部が排出口114bとなる。縦冷媒通路114c及び縦冷媒通路114dは、互いに平行に配され、かつ共に受電電極13と電極端子31との間の接続箇所の近傍(特に受電電極13の近傍)に配置される。
横冷媒通路114eは、セラミックス部材11の内部(厚み方向)において、実施形態1と同様、受電電極13よりも表面11a側に配置されている。横冷媒通路114eは、収容部11eよりも表面11a側に配置されている。このような横冷媒通路114eは、主に受電電極13を冷却できるように、受電電極(外部電極)13の近傍に配置される。
横冷媒通路114eは、表面11a側から平面視した際に、環状であり、受電電極13(中心位置X)を取り囲むような形をなしている。本実施形態の場合、平面視した際に、環状の横冷媒通路14eは、受電電極13よりも大きく、受電電極13の外側に配置されている。上流側の縦冷媒通路114cから冷媒が横冷媒通路114eへ供給されると、冷媒は二手に分かれ、一方が中心位置Xを基準として時計回りに半円弧状に移動し、他方が中心位置Xを基準として半時計回りに半円弧状に移動する。その後、それらは合流して、縦冷媒通路114dへ移動する。なお、図6において、冷媒通路114(横冷媒通路114e)内に示される矢印の向きは、冷媒が流れる向きを表す。
このような環状の横冷媒通路114eを、特に「環状通路部114e」と称する。環状通路部114eは、受電電極13を取り囲むことで、受電電極13を周囲から万遍なく均等に冷却し易い構造となっている。
本実施形態の冷媒通路114の断面も、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、実施形態1と同様、正方形等の四角形状に設定される。
このように本実施形態の保持体10Aは、平面視で受電電極13の周りを取り囲むような形の冷媒通路114を備えることにより、受電電極13付近を冷却し、受電電極13付近の温度上昇を抑制してもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1~12)
冷媒通路の断面積(mm2)と、受電電極と冷媒通路との距離L(mm)を、それぞれ表1に示される各値に設定しつつ、実施形態1と同様の構成の保持体を備える加熱装置を、12種類作製した。各加熱装置は、冷媒通路の構成(距離L、断面積)が異なること以外は、互いに同じ条件で製造されている。なお、冷媒通路の断面は正方形であり、受電電極と冷媒通路との距離L(mm)は、受電電極と冷媒通路との間の最短距離である。
冷媒通路の断面積(mm2)と、受電電極と冷媒通路との距離L(mm)を、それぞれ表1に示される各値に設定しつつ、実施形態1と同様の構成の保持体を備える加熱装置を、12種類作製した。各加熱装置は、冷媒通路の構成(距離L、断面積)が異なること以外は、互いに同じ条件で製造されている。なお、冷媒通路の断面は正方形であり、受電電極と冷媒通路との距離L(mm)は、受電電極と冷媒通路との間の最短距離である。
(熱サイクル評価)
実施例1~12の加熱装置について、熱サイクル評価を行った。具体的には、冷媒として、アルゴンガスを使用しつつ、100℃と750℃との間の昇降温を複数回繰り返し行った。このような昇降温は、受電電極と電極端子との間の接続箇所(第1接合部、第2接合部)が破損して導通不良が確認されるまで繰り返し行った。昇温とそれに続けて行う降温を1サイクルとし、導通不良が確認されるサイクル数を確認した。結果は、表1に示した。なお、表1では、以下に示される評価基準に従って、熱サイクル評価の結果を示した。
実施例1~12の加熱装置について、熱サイクル評価を行った。具体的には、冷媒として、アルゴンガスを使用しつつ、100℃と750℃との間の昇降温を複数回繰り返し行った。このような昇降温は、受電電極と電極端子との間の接続箇所(第1接合部、第2接合部)が破損して導通不良が確認されるまで繰り返し行った。昇温とそれに続けて行う降温を1サイクルとし、導通不良が確認されるサイクル数を確認した。結果は、表1に示した。なお、表1では、以下に示される評価基準に従って、熱サイクル評価の結果を示した。
<評価基準>
・導通不良が発生したサイクル数が350回以上の場合 ・・・「A」
・導通不良が発生したサイクル数が250回以上349回以下の場合 ・・・「B」
・導通不良が発生したサイクル数が150回以上249回以下の場合 ・・・「C」
・導通不良が発生したサイクル数が149回以下の場合 ・・・「D」
・導通不良が発生したサイクル数が350回以上の場合 ・・・「A」
・導通不良が発生したサイクル数が250回以上349回以下の場合 ・・・「B」
・導通不良が発生したサイクル数が150回以上249回以下の場合 ・・・「C」
・導通不良が発生したサイクル数が149回以下の場合 ・・・「D」
実施例1~12の加熱装置は、冷媒通路を備えており、受電電極近傍を冷却することが可能であるため、表1に示されるように、少なくとも150回の昇降温に耐えられる耐熱性を備えていることが確かめられた。
実施例の中でも、特に、実施例1、実施例2、実施例3、実施例5、実施例6及び実施例9については、350回以上の昇降温に耐えられる耐熱性を備えていることが確かめられた。
表1に示されるように、冷媒通路の断面積は、大きい程、受電電極近傍を効果的に冷却できることが確かめられた。また、受電電極と冷媒通路との距離は、短い程、受電電極近傍を効果的に冷却ができることが確かめられた。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態1,2は、内部電極がメインヒータ電極からなり、外部電極がメインヒータ電極に電気的に接続された受電電極からなり、冷媒通路は、そのようなメインヒータ電極用の受電電極付近を冷却する構成であったが、本発明はこれに限られず、他の実施形態においては、例えば、内部電極がRF電極からなり、外部電極がRF電極に電気的に接続された受電電極からなり、冷媒通路が、そのようなRF電極用の受電電極付近を冷却するように構成されてもよい。
(2)他の実施形態においては、例えば、メインヒータ電極用の受電電極(外部電極)と、RF電極用の受電電極(外部電極)のように、用途の異なる複数種の受電電極を冷却するような冷媒通路を備える電極埋設部材(加熱装置)が提供されてもよい。
(3)更に、他の実施形態では、メインヒータ電極やRF電極以外に、例えば、半導体製造装置部品のセラミックス部材内に形成されるランド電極が、内部電極となるような電極埋設部材(加熱装置)が提供されてもよい。
(4)また、他の実施形態では、加熱装置が備えるメインヒータ電極等のヒータ電極が、セラミックス部材の表面を、複数の区域(ゾーン)に分けて加熱できるように、複数のヒータ電極を備えていてもよい。例えば、セラミックス部材の表面が、4つの区域に分けられる場合、セラミックス部材には、それらの区域に割り当てられる形で、4つのヒータ電極が設けられる。この場合、例えば、4つのヒータ電極にそれぞれ給電するための4つの独立した受電電極と、1つの共通化された受電電極との合計5つの受電電極が必要となる。他の実施形態においては、このような5つの受電電極付近を、それぞれ1つずつ冷却又は複数まとめて冷却できるように、冷媒通路が適宜、設けられてもよい。
(5)上記実施形態1,2では、冷媒として、希ガスを使用したが、本発明はこれに限られず、例えば、希ガス以外の公知のガス(窒素、空気等)や、液体状の公知の冷媒(水、オイル等)が適宜、使用されてもよい。
(6)上記実施形態1において、重畳通路部は、平面視した際、環状をなしていたが、本発明はこれに限られず、例えば、直線、曲線等の他の形状であってもよい。
(7)上記実施形態1,2では、セラミックス部材内に形成される内部電極(メインヒータ電極等)や外部電極(受電電極等)が、導体ペーストを印刷した導体層を焼結してメタライズしたものからなるが、本発明はこれに限られず、他の実施形態においては、内部電極や外部電極等を、例えば、金属箔、金属メッシュ等から形成してもよい。
(8)外部電極と電極端子との間の接続箇所は、半導体製造装置部品(電極埋設部材)自身が備える加熱手段(例えば、メインヒータ電極)により加熱される場合だけでなく、半導体製造装置部品が設置される周囲の環境(例えば、プラズマが生成される環境)等の影響で、加熱される場合もある。そのため、電極埋設部材や半導体製造装置部品としては、それ自身を加熱する加熱手段(例えば、メインヒータ電極)を備えていないものであってもよい。
(9)上記実施形態1,2では、真空吸着によって対象物を保持する機構を備えていたが、対象物を保持する場合の機構はこれに限られず、例えば、チャック電極による静電作用で対象物を保持する機構や、ベルヌーイ力を利用した吸着方法で対象物を保持する機構であってもよい。
(10)他の実施形態においては、対象物を保持しない構成の半導体製造装置部品に、外部電極付近を冷却するための冷媒通路が設けられてもよい。
10,10A…保持体(電極埋設部材)、11,11A…セラミックス部材、12…メインヒータ電極(内部電極)、13…受電電極(外部電極)、14…冷媒通路、14a…供給口、14b…排出口、14e3…第3横通路部(環状通路部)、14f…重畳通路部、15…RF電極、16…サブヒータ電極、20…支持体、21…周壁部、22…中空部、23a…壁内供給路、23b…壁内排出路、30…接合部、31…電極端子、32…緩衝部材(金属材料)、33…第1接合部(金属材料)、34…第2接合部(金属材料)、100,100A…加熱装置(半導体製造装置部品)、114…冷媒通路、114a…供給口、114b…排出口、114e…横冷媒通路(環状通路部)
Claims (7)
- 表面と、前記表面の反対側に配される裏面とを含む板状のセラミックス部材と、
前記セラミックス部材の内部に設けられる内部電極と、
前記内部電極と電気的に接続され、前記セラミックス部材の前記裏面側に露出する外部電極と、
前記外部電極に、金属材料を介して接続される電極端子とを備える電極埋設部材であって、
前記セラミックス部材の内部に形成され、前記外部電極を冷却する冷媒通路を備える電極埋設部材。 - 前記冷媒通路は、前記表面側から平面視した際に、環状である環状通路部を有する請求項1に記載の電極埋設部材。
- 前記冷媒通路は、前記外部電極よりも前記表面側に配され、かつ前記表面側から平面視した際に、前記外部電極と重なるように配される重畳通路部を有する請求項1又は請求項2に記載の電極埋設部材。
- 前記冷媒通路は、前記セラミックス部材の前記裏面側に開口する形で設けられ、前記セラミックス部材の外部から前記冷媒通路に冷媒を供給する供給口と、前記セラミックス部材の前記裏面側に開口する形で設けられ、前記冷媒通路から前記セラミックス部材の外部へ前記冷媒を排出させる排出口とを含む請求項1から請求項3の何れか一項に記載の電極埋設部材。
- 前記内部電極は、前記冷媒通路よりも前記表面側に配され、かつ前記表面を加熱するメインヒータ電極からなり、
前記メインヒータ電極よりも前記表面側に配され、かつ前記表面のうち前記冷媒通路の影響で温度が相対的に低下した範囲を加熱できるように、前記セラミックス部材の内部に設けられるサブヒータ電極とを備える請求項1から請求項4の何れか一項に記載の電極埋設部材。 - 前記セラミックス部材は、窒化アルミニウムを主成分とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の電極埋設部材。
- 請求項1から請求項6の何れか一項に記載の電極埋設部材と、
一端が前記裏面と対向する形で前記セラミックス部材を支持する筒状の周壁部を有する支持体を備え、
前記支持体は、前記供給口と接続するように前記周壁部の内部に形成され、かつ外部より前記冷媒通路に前記冷媒を供給する壁内供給路と、前記排出口と接続するように前記周壁部の内部に形成され、かつ前記冷媒通路から外部へ前記冷媒を排出させる壁内排出路とを有する半導体製造装置部品。
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JP2021021590A JP2022124055A (ja) | 2021-02-15 | 2021-02-15 | 電極埋設部材及び半導体製造装置部品 |
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JP2021021590A JP2022124055A (ja) | 2021-02-15 | 2021-02-15 | 電極埋設部材及び半導体製造装置部品 |
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JP (1) | JP2022124055A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024171391A1 (ja) * | 2023-02-16 | 2024-08-22 | 日本碍子株式会社 | セラミックヒータ |
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2021
- 2021-02-15 JP JP2021021590A patent/JP2022124055A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2024171391A1 (ja) * | 2023-02-16 | 2024-08-22 | 日本碍子株式会社 | セラミックヒータ |
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