JP2022123847A - 電子写真用部材及びその製造方法、熱定着装置並びに電子写真画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高熱伝導、低熱容量で耐久性に優れた電子写真用部材が提供される。【解決手段】基体と、該基体上の弾性層とを有し、該弾性層は、シリコーンゴムと、該シリコーンゴム中の金属ケイ素粒子とを含み、該弾性層から、該金属ケイ素粒子を含む2gのサンプルを採取し、該サンプルを、ドデシルベンゼン硫酸を濃度10wt%で含む温度40℃のノルマルプロピルブロマイド液体50mlに浸漬し、40kHzの超音波印加下で60分洗浄し、次いで、温度25℃のトルエン10mlで減圧濾過洗浄を3回行って抽出した該金属ケイ素粉体の熱重量分析における300~500℃の間における質量の減少率が0.05%以上、である電子写真用部材。【選択図】図5
Description
本開示は、電子写真画像形成装置の熱定着装置に用いられる電子写真用部材並びに該電子写真用部材を有する熱定着装置及び電子写真画像形成装置に関する。また、本開示は該電子写真用部材の製造方法に関する。
電子写真画像形成装置の熱定着装置においては、加熱部材と該加熱部材に対向配置された加圧部材とで圧接部が構成されている。未定着トナー像を保持した被記録材が、この圧接部に導入されると、未定着のトナーが加熱・加圧され、該トナーが溶融され、被記録材に当該画像が定着される。加熱部材は、被記録材上の未定着トナー像が接する部材であり、加圧部材は、加熱部材に対向配置される部材である。上記加熱部材や加圧部材の如き電子写真用部材の形状としては、ローラ形状やエンドレスベルト形状を有する回転可能なものがある。これらの電子写真用部材は、金属又は耐熱性樹脂等で形成された基体上に、例えば、架橋シリコーンゴムの如きゴムと、熱伝導性粒子とを含む弾性層を有する場合がある
近年、プリントスピードの高速化や立上げ時間の短縮に伴って、弾性層には高い熱伝導性と低い熱容量とが求められている。特許文献1は、金属ケイ素粉体を含むシリコーンゴム組成物から製造された弾性層を備えた定着ロール及び定着ベルトを開示している。
しかしながら、より一層の高い熱伝導性を達成するために、より多くの金属ケイ素を含むシリコーンゴム組成物を用いて弾性層を形成した場合、得られる弾性層の耐久性が低下する場合があった。
本開示の一態様は、高熱伝導、低熱容量で耐久性に優れた電子写真用部材並びに該電子写真用部材を有する熱定着装置及び電子写真画像形成装置の提供に向けたものである。
本開示の一態様は、高熱伝導、低熱容量で耐久性に優れた電子写真用部材並びに該電子写真用部材を有する熱定着装置及び電子写真画像形成装置の提供に向けたものである。
本開示の一態様によれば、基体と、該基体上の弾性層とを有する電子写真用部材であって、該弾性層は、シリコーンゴムと、該シリコーンゴム中の金属ケイ素粒子を含み、該弾性層から、金属ケイ素粒子を含む2gのサンプルを採取し、該サンプルを、ドデシルベンゼン硫酸を濃度10wt%で含む温度40℃のノルマルプロピルブロマイド液体50mlに浸漬し、40kHzの超音波印加下で60分洗浄し、次いで、温度25℃のトルエン10mlで減圧濾過洗浄を3回行って、該サンプル中から抽出した該金属ケイ素粒子の熱重量分析における300~500℃の間における質量の減少率が0.05%以上、である電子写真用部材が提供される。
本開示の別の態様によれば、加熱部材と、加圧部材とを有し、未定着トナー像を有する記録材を、該加熱部材と該加圧部材とで形成されるニップ部で加熱して未定着トナー像を該記録材に定着する熱定着装置であって、
該加熱部材が、前記の電子写真用部材からなる熱定着装置が提供される。
本開示の別の態様によれば、前記の熱定着装置を有する電子写真画像形成装置が提供される。
該加熱部材が、前記の電子写真用部材からなる熱定着装置が提供される。
本開示の別の態様によれば、前記の熱定着装置を有する電子写真画像形成装置が提供される。
本開示の別の態様によれば、前記の電子写真用部材の製造方法であって、
オルガノポリシロキサンを含むシリコーン成分と金属ケイ素粉体を混合し、得られた混合物を30日以上静置して液状シリコーンゴム組成物を調製する工程と、
基体上に該液状シリコーンゴム組成物を塗工して該組成物の層を形成する工程と、
該組成物の層を硬化させ、弾性層を形成する工程と、
を含む電子写真用部材の製造方法が提供される。
オルガノポリシロキサンを含むシリコーン成分と金属ケイ素粉体を混合し、得られた混合物を30日以上静置して液状シリコーンゴム組成物を調製する工程と、
基体上に該液状シリコーンゴム組成物を塗工して該組成物の層を形成する工程と、
該組成物の層を硬化させ、弾性層を形成する工程と、
を含む電子写真用部材の製造方法が提供される。
本開示の別の態様によれば、前記の電子写真用部材の製造方法であって、
オルガノポリシロキサンを含むシリコーン成分と金属ケイ素粉体を、プラネタリーミキサーを用い、公転速度5~15rpm、混合時間100~300分の条件で混合し、得られた混合物を4日以上静置して液状シリコーンゴム組成物を調製する工程と、
基体上に該液状シリコーンゴム組成物を塗工して該組成物の層を形成する工程と、
該組成物の層を硬化させ、弾性層を形成する工程と、
を含む電子写真用部材の製造方法が提供される。
オルガノポリシロキサンを含むシリコーン成分と金属ケイ素粉体を、プラネタリーミキサーを用い、公転速度5~15rpm、混合時間100~300分の条件で混合し、得られた混合物を4日以上静置して液状シリコーンゴム組成物を調製する工程と、
基体上に該液状シリコーンゴム組成物を塗工して該組成物の層を形成する工程と、
該組成物の層を硬化させ、弾性層を形成する工程と、
を含む電子写真用部材の製造方法が提供される。
本開示の一態様によれば、高い熱伝導性を有し、熱容量が低く、かつ、耐久性にも優れた電子写真用部材を得ることができる。また、本開示の一態様によれば、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する熱定着装置を得ることができる。さらに本開示の他の一態様によれば、高品位な電子写真画像を安定的に形成することができる電子写真画像形成装置を得ることができる。
本明細書中、数値範囲を表す「XX以上YY以下」及び「XX~YY」との記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味している。また、数値範囲が段階的に記載されている場合においては、各数値範囲の上限及び下限の任意に組み合わせを開示しているものである。また、本開示に係る電子写真用部材は、加熱部材及び加圧部材を含む。
前記したように、より多量の金属ケイ素粉体を含有させたシリコーンゴム組成物から形成された弾性層の耐久性が低下する理由は以下のように考えられる。定着部材の弾性層は加熱下で通紙による繰り返し圧縮を受ける。特に弾性層の紙の端部が接する部分は大きな変形を受け、強い圧縮を受ける。弾性層は圧縮を受けたときに変形するが、弾性層中の金属ケイ素粉体の割合が増えるほど相対的にゴムの割合が減るためゴムの変形が大きくなる。ゴム部分の変形が大きくなると、特に金属ケイ素粉体と該金属ケイ素粉体の周囲のゴム部分との界面に応力が集中し、最終的にゴム部分が破壊される。金属ケイ素粉体とゴムとの界面の強度を上げる方法として、シランカップリング剤を用いて熱伝導性粒子の表面処理を行うことが考えらえる。しかしながら、熱伝導性粒子としての金属ケイ素粒子は表面官能基が少なく、シランカップリング剤による表面処理の効果は限定的であると考えられる。
上記の考察に基づき、本発明者らが更に検討を行った結果、金属ケイ素粒子の表面に「バウンドラバー」を形成させることで金属ケイ素粒子とゴム部との界面の強度を上げられること、そして、表面にバウンドラバーを有する金属ケイ素粉体を含む弾性層が優れた耐久性を示すことを見出した。
上記の考察に基づき、本発明者らが更に検討を行った結果、金属ケイ素粒子の表面に「バウンドラバー」を形成させることで金属ケイ素粒子とゴム部との界面の強度を上げられること、そして、表面にバウンドラバーを有する金属ケイ素粉体を含む弾性層が優れた耐久性を示すことを見出した。
バウンドラバーとはタイヤ業界で知られている、カーボンブラックを配合したゴム組成物中の該カーボンブラックにおいて観察されるものである。具体的には、カーボンブラックを含む未加硫ゴム組成物から、当該未加硫ゴムが可溶な溶剤を用いて当該カーボンブラックを抽出した際、当該カーボンブラックと結合し、当該溶剤によって溶出されないゴムが「バウンドラバー」と称されている。(特許文献2参照)。
そして、本発明者らは、金属ケイ素粉体を分散させたシリコーンゴム組成物中において、金属ケイ素粉体の周囲にシリコーンゴムを結合させ得ること、すなわち、シリコーンゴムのバウンドラバーを形成させることができることを見出した。そして、上記したように、表面にバウンドラバーが形成された金属ケイ素粒子を含有する弾性層は、大量の金属ケイ素粒子を弾性層に含有させた場合であっても優れた耐久性を示すことを見出した。本発明者らは、本開示に係る電子写真用部材の弾性層から特定の方法によって抽出した金属ケイ素粒子について、熱重量分析によって金属ケイ素粒子と結合したままのシリコーンゴムの量を算出し、バウンドラバー量と定義した。その結果、弾性層中の金属ケイ素粒子に結合しているバウンドラバー量が多いほど、弾性層の破断エネルギーが大きく、耐久性が優れていることがわかった。従って、本開示に係る電子写真用部材の弾性層中の金属ケイ素粒子にはバウンドラバーとしてシリコーンゴムが多く結合している。その結果、金属ケイ素粒子と当該金属ケイ素粒子が分散されているマトリックスとしてのシリコーンゴムとの親和性が高まり、金属ケイ素粒子とシリコーンゴムとの界面におけるシリコーンゴムの破壊が抑制されたものと考えられる。
そして、本発明者らは、金属ケイ素粉体を分散させたシリコーンゴム組成物中において、金属ケイ素粉体の周囲にシリコーンゴムを結合させ得ること、すなわち、シリコーンゴムのバウンドラバーを形成させることができることを見出した。そして、上記したように、表面にバウンドラバーが形成された金属ケイ素粒子を含有する弾性層は、大量の金属ケイ素粒子を弾性層に含有させた場合であっても優れた耐久性を示すことを見出した。本発明者らは、本開示に係る電子写真用部材の弾性層から特定の方法によって抽出した金属ケイ素粒子について、熱重量分析によって金属ケイ素粒子と結合したままのシリコーンゴムの量を算出し、バウンドラバー量と定義した。その結果、弾性層中の金属ケイ素粒子に結合しているバウンドラバー量が多いほど、弾性層の破断エネルギーが大きく、耐久性が優れていることがわかった。従って、本開示に係る電子写真用部材の弾性層中の金属ケイ素粒子にはバウンドラバーとしてシリコーンゴムが多く結合している。その結果、金属ケイ素粒子と当該金属ケイ素粒子が分散されているマトリックスとしてのシリコーンゴムとの親和性が高まり、金属ケイ素粒子とシリコーンゴムとの界面におけるシリコーンゴムの破壊が抑制されたものと考えられる。
本開示では、このバウンドラバー量を、弾性層(液状シリコーンゴム組成物の硬化物)から特定の方法により抽出した金属ケイ素粒子の熱重量分析における特定の温度範囲の質量減少率で規定した。
即ち、本開示の一態様に係る電子写真用部材は、弾性層に含まれる金属ケイ素粒子のバウンドラバー量として、前記「質量減少率」が0.05%以上である。
金属ケイ素粒子の質量減少率が0.05%以上であることにより、本開示に係る弾性層においては、バウンドラバーとしてのシリコーンゴムが金属ケイ素粒子に多く結合している状態にあると考えられる。その結果として、本開示に係る弾性層を具備する電子写真用部材は、耐久性に優れたものとなる。
即ち、本開示の一態様に係る電子写真用部材は、弾性層に含まれる金属ケイ素粒子のバウンドラバー量として、前記「質量減少率」が0.05%以上である。
金属ケイ素粒子の質量減少率が0.05%以上であることにより、本開示に係る弾性層においては、バウンドラバーとしてのシリコーンゴムが金属ケイ素粒子に多く結合している状態にあると考えられる。その結果として、本開示に係る弾性層を具備する電子写真用部材は、耐久性に優れたものとなる。
本開示の一実施形態に係る電子写真用部材及び熱定着装置について、以下に具体的な構成に基づき詳細に説明する。
(1)電子写真用部材の構成概略
本実施形態の電子写真用部材の詳細について図面を用いて説明する。
本開示の一態様にかかる電子写真用部材は、例えば、ローラ形状やエンドレスベルト形状の如き回転可能な部材(以降、各々、「定着ローラ」、「定着ベルト」ともいう)とすることができる。
図1(a)は、定着ベルトの周方向の断面図であり、図1(b)は、定着ローラの周方向の断面図である。図1(a)及び図1(b)に示すように、電子写真用部材は、基体3と、基体3の外表面上の弾性層4と、該弾性層4の外表面上の表層(離型層)6とを有する。また、弾性層4と表層6との間に、接着層5を有することもでき、この場合、表層6は、弾性層4の外周面に接着層5により固定されている。
本実施形態の電子写真用部材の詳細について図面を用いて説明する。
本開示の一態様にかかる電子写真用部材は、例えば、ローラ形状やエンドレスベルト形状の如き回転可能な部材(以降、各々、「定着ローラ」、「定着ベルト」ともいう)とすることができる。
図1(a)は、定着ベルトの周方向の断面図であり、図1(b)は、定着ローラの周方向の断面図である。図1(a)及び図1(b)に示すように、電子写真用部材は、基体3と、基体3の外表面上の弾性層4と、該弾性層4の外表面上の表層(離型層)6とを有する。また、弾性層4と表層6との間に、接着層5を有することもでき、この場合、表層6は、弾性層4の外周面に接着層5により固定されている。
(2)基体
基体の材質は特に限定されず、電子写真用部材の分野で公知の材料を適宜用いることができる。基体を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅の如き金属やステンレス鋼の如き合金、ポリイミドの如き樹脂が挙げられる。
ここで、熱定着装置が、電子写真用部材の加熱手段として、誘導加熱方式により、基体を加熱する熱定着装置である場合、基体は、ニッケル、銅、鉄、及び、アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成される。これらの金属の中でも、特に、発熱効率の観点から、ニッケルや鉄を主成分とした合金が好適に用いられる。なお、主成分とは、対象物(ここでは基体)を構成する成分のうち、最も多く含まれる成分を意味する。
基体の材質は特に限定されず、電子写真用部材の分野で公知の材料を適宜用いることができる。基体を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅の如き金属やステンレス鋼の如き合金、ポリイミドの如き樹脂が挙げられる。
ここで、熱定着装置が、電子写真用部材の加熱手段として、誘導加熱方式により、基体を加熱する熱定着装置である場合、基体は、ニッケル、銅、鉄、及び、アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属で構成される。これらの金属の中でも、特に、発熱効率の観点から、ニッケルや鉄を主成分とした合金が好適に用いられる。なお、主成分とは、対象物(ここでは基体)を構成する成分のうち、最も多く含まれる成分を意味する。
基体の形状は、電子写真用部材の形状に応じて適宜選択することができ、例えば、エンドレスベルト形状、中空円筒状、中実円柱状、フィルム状等、様々な形状とすることができる。
定着ベルトの場合、基体の厚さは、例えば、15~80μmとすることが好ましい。基体の厚みを、上記の範囲内とすることで、強度及び可撓性を高いレベルで両立させ得る。
また、基体の弾性層に対向する側とは反対側の表面上には、例えば、定着ベルトの内周面が他部材と接する場合における定着ベルトの内周面の摩耗を防ぐための層や、他部材との摺動性を向上させるための層を設けることもできる。
また、基体の弾性層に対向する側とは反対側の表面上には、例えば、定着ベルトの内周面が他部材と接する場合における定着ベルトの内周面の摩耗を防ぐための層や、他部材との摺動性を向上させるための層を設けることもできる。
(3)弾性層
弾性層は、熱定着装置において定着ニップを確保するために電子写真用部材に柔軟性を付与するための層である。なお、電子写真用部材を、紙上のトナーと接する加熱部材として用いる場合には、弾性層は、加熱部材の表面が、紙の凹凸に追従し得るような柔軟性を付与するための層としても機能する。弾性層は、マトリックスとしてのゴムと、該ゴム中に分散された粒子とを含む。より具体的には、弾性層は、ゴムと、熱伝導性粒子とを含み、ゴムの原料(ベースポリマー、架橋剤等)と、熱伝導性粒子とを少なくとも含む組成物を硬化させた硬化物から構成される。
弾性層は、熱定着装置において定着ニップを確保するために電子写真用部材に柔軟性を付与するための層である。なお、電子写真用部材を、紙上のトナーと接する加熱部材として用いる場合には、弾性層は、加熱部材の表面が、紙の凹凸に追従し得るような柔軟性を付与するための層としても機能する。弾性層は、マトリックスとしてのゴムと、該ゴム中に分散された粒子とを含む。より具体的には、弾性層は、ゴムと、熱伝導性粒子とを含み、ゴムの原料(ベースポリマー、架橋剤等)と、熱伝導性粒子とを少なくとも含む組成物を硬化させた硬化物から構成される。
上述した弾性層の機能を発現させる観点から、弾性層は、熱伝導性粒子を含むシリコーンゴム硬化物から構成されることが好ましく、付加硬化型のシリコーンゴム組成物の硬化物から構成されることがより好ましい。シリコーンゴム組成物は、例えば、熱伝導性粒子、ベースポリマー、架橋剤及び触媒、並びに、必要に応じて、添加剤を含むことができる。シリコーンゴム組成物は液状のものが多いため、熱伝導性粒子が分散しやすく、熱伝導性粒子の種類や添加量に応じて、シリコーンゴムの架橋度を調整することで、作製する弾性層の弾性を調整し易いため好ましい。
マトリックスは、弾性層において弾性を発現する機能を担う。マトリックスは、上記した弾性層の機能を発現させる観点から、シリコーンゴムを含むことが好ましい。シリコーンゴムは、非通紙部領域で温度240℃程度の高温になる環境においても柔軟性を保持できる高い耐熱性を有しており、好ましい。当該シリコーンゴムとしては、例えば、後述する付加硬化型の液状シリコーンゴム組成物の硬化物を用いることができる。
液状シリコーンゴム組成物は、通常、下記成分(a)~(d)を含む:
成分(a):不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン;
成分(b):ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン;
成分(c):触媒;
成分(d):金属ケイ素粒子
以下、各成分について説明する。なお、成分(a)~(c)をまとめてシリコーン成分ということがある。
成分(a):不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン;
成分(b):ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン;
成分(c):触媒;
成分(d):金属ケイ素粒子
以下、各成分について説明する。なお、成分(a)~(c)をまとめてシリコーン成分ということがある。
成分(a)
不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンは、ビニル基の如き不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンであり、例えば、下記構造式(1)及び構造式(2)に示すものが挙げられる。
不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンは、ビニル基の如き不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンであり、例えば、下記構造式(1)及び構造式(2)に示すものが挙げられる。
構造式(2)中、n2は正の整数を示し、R3は、各々独立して、不飽和脂肪族基を含まない1価の非置換又は置換炭化水素基を表し、ただし、R3のうちの少なくとも1つはメチル基を表し、R4は、各々独立して、不飽和脂肪族基を表す。
構造式(1)及び構造式(2)において、R1及びR3が表すことのできる、不飽和脂肪族基を含まない1価の非置換又は置換炭化水素基としては、例えば、以下の基を挙げることができる。
・非置換炭化水素基
アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)。
アリール基(例えば、フェニル基)。
・置換炭化水素基
置換アルキル基(例えば、クロロメチル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、3-シアノプロピル基、3-メトキシプロピル基)。
・非置換炭化水素基
アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)。
アリール基(例えば、フェニル基)。
・置換炭化水素基
置換アルキル基(例えば、クロロメチル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、3-シアノプロピル基、3-メトキシプロピル基)。
構造式(1)及び構造式(2)で示されるオルガノポリシロキサンは、通常、鎖構造を形成するケイ素原子に、直接結合したメチル基を少なくとも1つ有する。しかしながら、合成や取扱いが容易であることから、R1及びR3それぞれの50%以上がメチル基であることが好ましく、すべてのR1及びR3がメチル基であることがより好ましい。
また、構造式(1)及び構造式(2)中の、R2及びR4が表すことのできる不飽和脂肪族基としては、例えば、以下の基を挙げることができる。すなわち、不飽和脂肪族基としては、ビニル基、アリル基、3-ブテニル基、4-ペンテニル基、5-ヘキセニル基等を挙げることができる。これらの基の中でも、合成や取扱いが容易かつ安価で、架橋反応も容易に行われることから、R2及びR4はいずれもビニル基であることが好ましい。
成分(a)としては、成形性の観点から、粘度は1000mm2/s以上50000mm2/s以下であることが好ましい。1000mm2/s以上であれば、弾性層に必要な硬度に調整することが容易であり、50000mm2/s以下であれば、組成物の粘度は塗工が容易な粘度となる。粘度(動粘度)は、JIS Z 8803:2011に基づき、毛管粘度計や回転粘度計等を用いて測定することができる。
成分(a)の配合量は、弾性層の形成に用いる液状シリコーンゴム組成物を基準として、耐久性の観点から55体積%以上、伝熱性の観点から65体積%以下とすることが好ましい。
成分(b)
ケイ素に結合した活性水素(Si-H結合)を有するオルガノポリシロキサンは、触媒の作用により、成分(a)の不飽和脂肪族基と反応し、硬化シリコーンゴムを形成する架橋剤として機能する。
成分(b)としては、Si-H結合を有するオルガノポリシロキサンであれば、いずれのものも用いることができる。特に、成分(a)の不飽和脂肪族基との反応性の観点から、1分子中における、ケイ素原子に結合した水素原子(Si-H結合)の数が平均3個以上のものが好適に用いられる。
ケイ素に結合した活性水素(Si-H結合)を有するオルガノポリシロキサンは、触媒の作用により、成分(a)の不飽和脂肪族基と反応し、硬化シリコーンゴムを形成する架橋剤として機能する。
成分(b)としては、Si-H結合を有するオルガノポリシロキサンであれば、いずれのものも用いることができる。特に、成分(a)の不飽和脂肪族基との反応性の観点から、1分子中における、ケイ素原子に結合した水素原子(Si-H結合)の数が平均3個以上のものが好適に用いられる。
成分(b)の具体例としては、例えば、下記構造式(3)に示す直鎖状のオルガノポリシロキサン及び下記構造式(4)に示す環状のオルガノポリシロキサンを挙げることができる。
構造式(3)中、m2は0以上の整数を示し、n3は3以上の整数を示し、R5は、各々独立して、不飽和脂肪族基を含まない1価の非置換又は置換炭化水素基を表す。
構造式(4)中、m3は0以上の整数を示し、n4は3以上の整数を示し、R6は、各々独立して、不飽和脂肪族基を含まない1価の非置換又は置換炭化水素基を表す。
構造式(3)及び構造式(4)中のR5及びR6が表すことのできる不飽和脂肪族基を含まない1価の非置換又は置換炭化水素基としては、例えば、上述した構造式(1)中のR1と同様の基を挙げることができる。これらの中でも、合成や取扱いが容易で、優れた耐熱性が容易に得られることから、R5及びR6それぞれの50%以上がメチル基であることが好ましく、すべてのR5及びR6がメチル基であることがより好ましい。
成分(c)
シリコーンゴムの形成に用いる触媒としては、例えば、硬化反応を促進するためのヒドロシリル化触媒を挙げることができる。ヒドロシリル化触媒としては、例えば、白金化合物やロジウム化合物などの公知の物質を用いることができる。触媒の配合量は適宜設定することができ、特に限定されない。
シリコーンゴムの形成に用いる触媒としては、例えば、硬化反応を促進するためのヒドロシリル化触媒を挙げることができる。ヒドロシリル化触媒としては、例えば、白金化合物やロジウム化合物などの公知の物質を用いることができる。触媒の配合量は適宜設定することができ、特に限定されない。
成分(d)
金属ケイ素粒子は、単位体積あたりの熱容量が約1.7MJ/m3・K程度である。これはシリコーンゴムを含有する弾性層の熱物性向上のために多用されているアルミナの単位体積あたりの熱容量約3.0MJ/m3・Kよりも小さい。また、金属ケイ素の熱伝導率は150W/m・K程度と高い。
金属ケイ素粒子は、単位体積あたりの熱容量が約1.7MJ/m3・K程度である。これはシリコーンゴムを含有する弾性層の熱物性向上のために多用されているアルミナの単位体積あたりの熱容量約3.0MJ/m3・Kよりも小さい。また、金属ケイ素の熱伝導率は150W/m・K程度と高い。
金属ケイ素粒子は体積平均粒子径で1μm~20μmの粒径範囲であることが好ましい。金属ケイ素粒子の体積平均粒子径を上記範囲内とすることで、弾性層中により多くの金属ケイ素粒子を含有させ得ると共に、該金属ケイ素粒子が該弾性層の表面の平滑性に与える影響をより小さくすることができる。金属ケイ素粒子の体積平均粒子径は、例えばレーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて求めることができる。
また金属ケイ素粒子はシリコーンゴム組成物の熱安定性や配合性、耐久性の向上を目的として、適宜表面処理を行ってもよい。具体的には、熱酸化や水洗による酸化で表面酸化膜を形成してもよい。
金属ケイ素粒子の配合量(含有量)は液状シリコーンゴム組成物から得られる硬化物(弾性層)の全体積に対して35体積%以上45体積%以下となるようにすることが好ましい。35体積%以上であると弾性層の高熱伝導化が見込め、45体積%以下であると弾性層としての充分な硬度や強度が得られる。
弾性層における硬化シリコーンゴム及び金属ケイ素粒子の含有量は、熱重量測定装置(TGA)(例えば、商品名:TGA/DSC 3+、メトラートレド社製)を用いることにより確認可能である。弾性層を剃刀等で切り出し、20mg程度を正確に秤量して、装置で使用するアルミナパンに入れる。試料の入ったアルミナパンを装置にセットし、窒素雰囲気下、室温から温度800℃まで20℃毎分の昇温速度で加熱し、さらに温度800℃で1時間定温する。こうして得られた測定前後の重量を比較することにより、弾性層に含まれていた硬化シリコーンゴム成分及び金属ケイ素粒子の質量基準の含有量が測定できる。また、金属ケイ素粒子の質量基準の含有量を金属ケイ素の比重で除し、また、硬化シリコーンゴム成分の質量基準の含有量をシリコーンゴムの比重で除することにより、弾性層中の金属ケイ素粒子の体積基準の含有比率を算出することができる。
また、弾性層の断面をエネルギー分散型X線分析(EDS)(例えば、商品名:X-MAXN80、OXFORD社製)を行い、得られた面積比を体積比に変換することでも、金属ケイ素粒子の含有量を確認することができる。
さらに、このような弾性層中の金属ケイ素粒子の含有量を調整するために、液状シリコーンゴム組成物を調製する際の仕込み比(体積基準)で調整することもできる。この場合、溶媒等の揮発成分を除いたシリコーン成分と金属ケイ素粒子(粉体)との体積比で調整する。
さらに、このような弾性層中の金属ケイ素粒子の含有量を調整するために、液状シリコーンゴム組成物を調製する際の仕込み比(体積基準)で調整することもできる。この場合、溶媒等の揮発成分を除いたシリコーン成分と金属ケイ素粒子(粉体)との体積比で調整する。
前述した液状シリコーンゴム組成物は上記成分に加えて、必要に応じヒュームシリカ、沈降シリカ、溶融シリカ、ゾル-ゲル法の球状シリカ、結晶シリカのような補強性の充填剤を配合することができる。さらに液状シリコーンゴム組成物は、酸化鉄、酸化セリウム等の耐熱向上剤、窒素化合物やアセチレン化合物のような反応制御剤等を配合することもできる。これらの成分は、本開示の効果を損なわない範囲で任意に配合することができる。
金属ケイ素粒子のバウンドラバー量を増加し得る液状シリコーンゴム組成物、即ち、本開示に係る質量減少率の要件を満たす液状シリコーンゴム組成物を調製する方法としては以下のものが挙げられる。なお、本開示において、液状シリコーンゴムと混合する前の金属ケイ素粒子を「金属ケイ素粉体」とも称する場合がある。
(i)オルガノポリシロキサンを含むシリコーン成分と金属ケイ素粉体を混合した後、長期間静置する方法。
(ii)オルガノポリシロキサンを含むシリコーン成分と金属ケイ素粉体を混合する際の条件を低せん断、長時間とする方法。
以下に詳細を記載する。
(i)オルガノポリシロキサンを含むシリコーン成分と金属ケイ素粉体を混合した後、長期間静置する方法。
(ii)オルガノポリシロキサンを含むシリコーン成分と金属ケイ素粉体を混合する際の条件を低せん断、長時間とする方法。
以下に詳細を記載する。
(i)オルガノポリシロキサンを含むシリコーン成分と金属ケイ素粉体を混合した後、長期間静置する方法
オルガノポリシロキサンを含む液状シリコーンゴム成分と金属ケイ素粉体を混合した液状シリコーンゴム組成物を静置しておくと、経時でバウンドラバー量が増加していく。該液状シリコーンゴム組成物を30日以上静置することでバウンドラバーが十分に形成され、その硬化物の強度が向上する。液状シリコーンゴム成分と金属ケイ素粉体との混合方法としては、例えば、プラネタリーミキサーや自公転式ミキサー、ニーダーなどを用いることができる。混合時の温度は常温(例えば、23℃~25℃)でもよいし、高温(例えば、100~200℃)でもよい。また、高温で混合を行う場合は成分(a)と成分(d)を予め混合し、ベースコンパウンドを調製した後にその他の成分を混合してもよい。さらに、該液状シリコーンゴム組成物の静置は、常温(例えば、23℃~25℃)で行ってもよく、高温(例えば、100℃~200℃)で行ってもよい。
オルガノポリシロキサンを含む液状シリコーンゴム成分と金属ケイ素粉体を混合した液状シリコーンゴム組成物を静置しておくと、経時でバウンドラバー量が増加していく。該液状シリコーンゴム組成物を30日以上静置することでバウンドラバーが十分に形成され、その硬化物の強度が向上する。液状シリコーンゴム成分と金属ケイ素粉体との混合方法としては、例えば、プラネタリーミキサーや自公転式ミキサー、ニーダーなどを用いることができる。混合時の温度は常温(例えば、23℃~25℃)でもよいし、高温(例えば、100~200℃)でもよい。また、高温で混合を行う場合は成分(a)と成分(d)を予め混合し、ベースコンパウンドを調製した後にその他の成分を混合してもよい。さらに、該液状シリコーンゴム組成物の静置は、常温(例えば、23℃~25℃)で行ってもよく、高温(例えば、100℃~200℃)で行ってもよい。
タイヤ業界で用いられるゴム種によって形成されるバウンドラバーは通常数時間~数日で形成される。それに対して本開示に係るシリコーンゴム組成物においては、前述の如く、バウンドラバーの形成に長期間要する。その理由としては、タイヤ業界で用いられるゴムに配合される充填剤であるカーボンブラックは粒径が数十nmと小さく、また二次構造を構築しやすく表面積も非常に大きい。そのため比較的短期間でカーボンブラックの表面にバウンドラバーが形成される。一方、本開示で用いられる充填剤である金属ケイ素粉体は粒径がカーボンブラックに比べ大きく、表面積も小さいために十分な量のバウンドラバーが形成されるのにより長い時間がかかるものと考えられる。
(ii)オルガノポリシロキサンを含むシリコーン成分と金属ケイ素粉体を混合する際の条件を低せん断、長時間とする方法
オルガノポリシロキサンを含むシリコーン成分と金属ケイ素粉体を混合する機器としてはプラネタリーミキサーがよく用いられる。ここで言うプラネタリーミキサーは攪拌羽根を一つ若しくは複数持ち、その攪拌羽根が自転、公転してプラネタリー運動によりせん断力を与えて材料を混合する機器のことである。
オルガノポリシロキサンを含むシリコーン成分と金属ケイ素粉体を混合する機器としてはプラネタリーミキサーがよく用いられる。ここで言うプラネタリーミキサーは攪拌羽根を一つ若しくは複数持ち、その攪拌羽根が自転、公転してプラネタリー運動によりせん断力を与えて材料を混合する機器のことである。
液状シリコーンゴム組成物の調製にプラネタリーミキサーを用いる場合、公転速度は40~200rpm、自転速度はその2倍程度、混合時間は5~40分程度とすることが多い。それに対し、本発明者らの検討によると、公転速度を5~15rpm、好ましくは8~12rpm、最も好ましくは10rpmと極めて低速とすることが好ましい。また、混合時間を100~300分とすることが好ましい。こうして、液状シリコーンゴム組成物を調製した後、4日以上、好ましくは4~6日程度静置する。このような工程を経て、金属ケイ素粉体には、十分な量のバウンドラバーが形成される。。この理由については定かではないが、バウンドラバーの形成が金属ケイ素粒子表面の微小な間隙や欠陥にシリコーンポリマーが毛細管現象等で浸透して十分なバウンドラバーが形成されていると予想される。せん断速度が速くなることで金属ケイ素粒子表面へのシリコーンポリマーの濡れが促進されず、毛細管現象が少なくなり、バウンドラバー量に影響を与えたものと考えられる。
上記したように、本開示に係る、質量減少率が、0.05%以上である弾性層を与える液状シリコーンゴム組成物を得る方法としては、オルガノポリシロキサンを含むシリコーン成分と金属ケイ素粉体を混合し、得られた混合物を30日以上静置する工程を含む、液状シリコーンゴム組成物の製造方法、及び、
オルガノポリシロキサンを含むシリコーン成分と金属ケイ素粉体を、プラネタリーミキサーを用い、 公転速度5~15rpm、混合時間100~300分の条件で混合し、得られた混合物を4日以上静置する工程を含む、液状シリコーンゴム組成物の製造方法、が挙げられる。
上記したように、本開示に係る、質量減少率が、0.05%以上である弾性層を与える液状シリコーンゴム組成物を得る方法としては、オルガノポリシロキサンを含むシリコーン成分と金属ケイ素粉体を混合し、得られた混合物を30日以上静置する工程を含む、液状シリコーンゴム組成物の製造方法、及び、
オルガノポリシロキサンを含むシリコーン成分と金属ケイ素粉体を、プラネタリーミキサーを用い、 公転速度5~15rpm、混合時間100~300分の条件で混合し、得られた混合物を4日以上静置する工程を含む、液状シリコーンゴム組成物の製造方法、が挙げられる。
弾性層中の金属ケイ素粒子のバウンドラバー量は熱重量分析(TGA)装置を用いて測定する。弾性層から、金属ケイ素粒子を含むサンプルを2g採取し、ドデシルベンゼン硫酸を濃度10wt%で含む温度40℃のノルマルプロピルブロマイド液体50mlに浸漬する。なお、ノルマルプロピルブロマイド液体としては、「eソルブ21RS」(商品名、カネコ化学社製)を用いた。そして、浸漬したサンプルに40kHzの超音波を60分印加する。この超音波の印加によってサンプル中の硬化シリコーンゴムが溶解し、金属ケイ素粒子を抽出する。次いで、直径40mmの桐山ロートと桐山ロート用ろ紙No.5C(保留粒子1μm)を用いて、温度25℃のトルエン10mlで減圧濾過洗浄を3回行う。ノルマルプロピルブロマイド溶液中に溶出した硬化シリコーンゴムはトルエンに可溶なため、金属ケイ素粒子に強固に吸着せず、付着しているのみのシリコーンゴムは除去される。このようにしてサンプル中から抽出され、洗浄された金属ケイ素粒子を温度120℃で1時間乾燥させた後、50mgを秤量してTGA測定に供する。具体的には、乾燥空気80ml/分下、温度50℃から500℃まで5℃/分で昇温させ、その時の質量変化を測定する。得られた質量変化のデータから温度300~500℃の間における質量の減少率(%)を算出する。温度300℃未満の質量変化のデータは残存した水分やトルエンの影響があるため、温度300~500℃の温度範囲の質量変化を金属ケイ素粉体に強固に吸着したバウンドラバー量とする。温度300~500℃の範囲では金属ケイ素粉体のみではほとんど重量変化しないか、やや酸化され、質量が増加する。それに対し、シリコーンゴムが強固に吸着した金属ケイ素粒子は、シリコーンゴムが温度300℃程から分解するため質量減少が観測される。なお、TGA測定に用いる装置としては、例えば、示差熱 熱重量 同時測定装置(商品名:TGA/DSC 3+、メトラートレド社製)を用いることができる。
弾性層の破断エネルギーについては、弾性層を打ち抜き型(JIS K6251:2004にて規定されるダンベル状8号型)により切り出し、測定箇所である中央付近のゴム厚みを測定する。次に、切り出した弾性層を、引張試験機(装置名:ストログラフEII-L1、株式会社東洋精機製作所製)を用いて、引張り速度500mm/min、室温にてサンプルが破断するまで試験する。破断プロファイルから破断エネルギーを算出する。破断エネルギーは、4サンプルの平均値として算出する。
(4)接着層
接着層は、弾性層と、表層とを接着させるための層である。接着層に用いる接着剤は、既知のものから適宜選択して使用することができ、特に限定されない。しかしながら、扱いやすさの観点から、自己接着成分が配合された付加硬化型シリコーンゴムを用いることが好ましい。この接着剤は、例えば、自己接着成分と、ビニル基に代表される不飽和脂肪族基を分子鎖中に複数有するオルガノポリシロキサンと、ハイドロジェンオルガノポリシロキサンと、架橋触媒としての白金化合物とを含有することができる。弾性層表面に付与された該接着剤を付加反応により硬化することによって、表層を弾性層に接着させる接着層を形成することができる。
接着層は、弾性層と、表層とを接着させるための層である。接着層に用いる接着剤は、既知のものから適宜選択して使用することができ、特に限定されない。しかしながら、扱いやすさの観点から、自己接着成分が配合された付加硬化型シリコーンゴムを用いることが好ましい。この接着剤は、例えば、自己接着成分と、ビニル基に代表される不飽和脂肪族基を分子鎖中に複数有するオルガノポリシロキサンと、ハイドロジェンオルガノポリシロキサンと、架橋触媒としての白金化合物とを含有することができる。弾性層表面に付与された該接着剤を付加反応により硬化することによって、表層を弾性層に接着させる接着層を形成することができる。
なお、上記自己接着成分としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
・ビニル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロキシ基、ヒドロシリル基(SiH基)、エポキシ基、アルコキシシリル基、カルボニル基、及びフェニル基からなる群より選択される少なくとも1種、好ましくは2種以上の官能基を有するシラン。
・ケイ素原子数が2個以上30個以下、好ましくは4個以上20個以下の、環状又は直鎖状のシロキサン等の有機ケイ素化合物。
・分子中に酸素原子を含んでもよい、非ケイ素系(即ち、分子中にケイ素原子を含有しない)有機化合物。ただし、フェニレン構造等の芳香環を1分子中に1個以上4個以下、好ましくは1個以上2個以下含有する。当該フェニレン構造は、1価以上4価以下、好ましくは2価以上4価以下である。さらに、ヒドロシリル化付加反応に寄与し得る官能基(例えば、アルケニル基、(メタ)アクリロキシ基)を1分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上4個以下含有する。
・ビニル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロキシ基、ヒドロシリル基(SiH基)、エポキシ基、アルコキシシリル基、カルボニル基、及びフェニル基からなる群より選択される少なくとも1種、好ましくは2種以上の官能基を有するシラン。
・ケイ素原子数が2個以上30個以下、好ましくは4個以上20個以下の、環状又は直鎖状のシロキサン等の有機ケイ素化合物。
・分子中に酸素原子を含んでもよい、非ケイ素系(即ち、分子中にケイ素原子を含有しない)有機化合物。ただし、フェニレン構造等の芳香環を1分子中に1個以上4個以下、好ましくは1個以上2個以下含有する。当該フェニレン構造は、1価以上4価以下、好ましくは2価以上4価以下である。さらに、ヒドロシリル化付加反応に寄与し得る官能基(例えば、アルケニル基、(メタ)アクリロキシ基)を1分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上4個以下含有する。
上記の自己接着成分は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、接着剤中には、粘度調整や耐熱性確保の観点から、本開示の趣旨に沿う範囲内においてフィラー成分を添加することができる。当該フィラー成分としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
・シリカ、アルミナ、酸化鉄、酸化セリウム、水酸化セリウム、カーボンブラック等。
・シリカ、アルミナ、酸化鉄、酸化セリウム、水酸化セリウム、カーボンブラック等。
接着剤に含有される各成分の配合量は特に限定されず、適宜、設定することができる。
このような付加硬化型シリコーンゴム接着剤は市販もされており、容易に入手することができる。接着層の厚みは20μm以下であることが好ましい。接着層の厚みを20μm以下とすることで、本態様に係る電子写真用部材を加熱ベルトとして熱定着装置に用いた際に、熱抵抗を容易に小さく設定でき、内面側からの熱を効率的に記録媒体に伝え易い。
このような付加硬化型シリコーンゴム接着剤は市販もされており、容易に入手することができる。接着層の厚みは20μm以下であることが好ましい。接着層の厚みを20μm以下とすることで、本態様に係る電子写真用部材を加熱ベルトとして熱定着装置に用いた際に、熱抵抗を容易に小さく設定でき、内面側からの熱を効率的に記録媒体に伝え易い。
(5)表層
表層は、電子写真用部材の外表面へのトナーの付着を防止する離型層としての機能を発現させるうえで、フッ素樹脂を含有させることが好ましい。表層の形成には、例えば、以下に例示する樹脂をチューブ状に成形したものを用いることができる。
・テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等。
上記例示した樹脂材料中、成形性やトナー離型性の観点から、PFAが特に好適に用いられる。
表層は、電子写真用部材の外表面へのトナーの付着を防止する離型層としての機能を発現させるうえで、フッ素樹脂を含有させることが好ましい。表層の形成には、例えば、以下に例示する樹脂をチューブ状に成形したものを用いることができる。
・テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等。
上記例示した樹脂材料中、成形性やトナー離型性の観点から、PFAが特に好適に用いられる。
表層の厚みは、10μm以上50μm以下とすることが好ましい。表層の厚みをこの範囲内とすることで、電子写真用部材の適度な表面硬度を維持し易い。
(6)電子写真用部材の製造方法
本開示に係る電子写真用部材は、例えば、以下の工程を含む製造方法によって製造することができる。
本開示に係る電子写真用部材は、例えば、以下の工程を含む製造方法によって製造することができる。
・基体を用意する工程
上記基体を用意して、必要に応じて形状を保持する治具等に固定する。
基体の弾性層と対向する側の表面は、弾性層との接着性等の機能を付与するために表面処理を施してもよい。表面処理の例としては、例えば、ブラスト処理、ラップ処理、研磨の如き物理的処理や、酸化処理、カップリング剤処理、プライマー処理の如き化学的処理が挙げられる。また、物理的処理及び化学的処理を併用してもよい。
上記基体を用意して、必要に応じて形状を保持する治具等に固定する。
基体の弾性層と対向する側の表面は、弾性層との接着性等の機能を付与するために表面処理を施してもよい。表面処理の例としては、例えば、ブラスト処理、ラップ処理、研磨の如き物理的処理や、酸化処理、カップリング剤処理、プライマー処理の如き化学的処理が挙げられる。また、物理的処理及び化学的処理を併用してもよい。
特に、架橋シリコーンゴムを含む弾性層を用いることから、基体と弾性層の密着性向上のために、基体の外表面をプライマーで処理することが好ましい。プライマーとしては、例えば、有機溶剤中に添加剤を適宜配合し分散された塗料状態のものを用いることができる。このようなプライマーは市販されている。上記添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリコーンポリマー、水素化メチルシロキサン、アルコキシシラン、加水分解・縮合・付加などの反応促進触媒、酸化鉄等の着色剤等を挙げることができる。このプライマーを基体の外表面に塗布し、乾燥や焼成のプロセスを経てプライマー処理が施される。
プライマーは、例えば、基体の材質、弾性層の種類や架橋時の反応形態などによって適宜選択可能である。例えば、弾性層を構成する材料が不飽和脂肪族基を多く含む場合には、該不飽和脂肪族基との反応によって接着性を付与するため、プライマーとしてはヒドロシリル基を含有する材料が好んで用いられる。また、弾性層を構成する材料がヒドロシリル基を多く含む場合には、反対にプライマーとしては不飽和脂肪族基を含有する材料が好んで用いられる。そのほかにも、プライマーとしては、アルコキシ基を含有する材料など、被着体である基体及び弾性層の種類に応じて適宜選択可能である。
・弾性層形成工程
弾性層形成工程は以下の工程を有することができる。
(i)上記の液状シリコーンゴム組成物を調製する工程。
(ii)該組成物を、ブレードコート法、ノズルコート法、リングコート法の如き方法で、基体上に塗工し、該組成物の層を形成する工程。
(iii)該組成物の層を硬化させて、弾性層を形成する工程。
弾性層形成工程は以下の工程を有することができる。
(i)上記の液状シリコーンゴム組成物を調製する工程。
(ii)該組成物を、ブレードコート法、ノズルコート法、リングコート法の如き方法で、基体上に塗工し、該組成物の層を形成する工程。
(iii)該組成物の層を硬化させて、弾性層を形成する工程。
・接着層形成工程
図2は、シリコーンゴムを含む弾性層4上に、付加硬化型シリコーンゴム接着剤を用いて形成した接着層5を介して表層6を積層する工程の一例を示す模式図である。まず、基体3の外周面に形成された弾性層4の表面に、接着剤を塗布する。接着剤、接着剤に含有される各成分の構成、それら配合量は、前述の(4)接着層のところでの説明が適用される。
図2は、シリコーンゴムを含む弾性層4上に、付加硬化型シリコーンゴム接着剤を用いて形成した接着層5を介して表層6を積層する工程の一例を示す模式図である。まず、基体3の外周面に形成された弾性層4の表面に、接着剤を塗布する。接着剤、接着剤に含有される各成分の構成、それら配合量は、前述の(4)接着層のところでの説明が適用される。
弾性層表面に付与された該接着剤を付加反応により硬化することによって、表層を弾性層に接着させる接着層を形成することができる。
接着層の厚みは20μm以下であることが好ましい。接着層の厚みを20μm以下とすることで、本態様に係る電子写真用部材を加熱ベルトとして熱定着装置に用いた際に、熱抵抗を容易に小さく設定でき、内面側からの熱を効率的に記録媒体に伝え易い。
さらにその外表面に、表層6を形成するためのフッ素樹脂チューブを被覆し、積層させる。なお、フッ素樹脂チューブの内面は、予め、ナトリウム処理やエキシマレーザ処理、アンモニア処理等を施すことで、接着性を向上させることができる。フッ素樹脂チューブとしては前述の(5)に例示した材料や厚みが適用できる。
接着層の厚みは20μm以下であることが好ましい。接着層の厚みを20μm以下とすることで、本態様に係る電子写真用部材を加熱ベルトとして熱定着装置に用いた際に、熱抵抗を容易に小さく設定でき、内面側からの熱を効率的に記録媒体に伝え易い。
さらにその外表面に、表層6を形成するためのフッ素樹脂チューブを被覆し、積層させる。なお、フッ素樹脂チューブの内面は、予め、ナトリウム処理やエキシマレーザ処理、アンモニア処理等を施すことで、接着性を向上させることができる。フッ素樹脂チューブとしては前述の(5)に例示した材料や厚みが適用できる。
表層の厚みは、10μm以上50μm以下とすることが好ましい。表層の厚みをこの範囲内とすることで、電子写真用部材の適度な表面硬度を維持し易い。
フッ素樹脂チューブの被覆方法は特に限定されないが、付加硬化型シリコーンゴム接着剤を潤滑材として被覆する方法や、フッ素樹脂チューブを外側から拡張し、被覆する方法などを用いることができる。また、弾性層4とフッ素樹脂チューブからなる表層6との間に残った、余剰の付加硬化型シリコーンゴム接着剤は、不図示の手段を用いて、扱き出すことで除去することもできる。扱き出した後の接着層5の厚みは、伝熱性の観点から20μm以下とすることが好ましい。
次に、電気炉などの加熱手段にて所定の時間加熱して、付加硬化型シリコーンゴム接着剤を硬化・接着させることにより、弾性層4上に、接着層5及び表層6を形成することができる。なお、加熱時間や加熱温度等の条件については、用いた接着剤等に応じて適宜設定することができる。得られた部材の幅方向の両端部を所望の長さに切断することで、電子写真用部材を得ることができる。
本開示の弾性層を有する電子写真用部材を用いて作られる熱定着装置について、以下に具体的な構成に基づき詳細に説明する。
・熱定着装置
本開示に係る熱定着装置は、一対の加熱されたローラとローラ、ベルトとローラ、ベルトとベルト、といった回転体が互いに圧接されるように構成されている。熱定着装置の種類は、熱定着装置が搭載される電子写真画像形成装置全体としてのプロセス速度、大きさ等の条件を勘案して適宜選択される。
本開示に係る熱定着装置は、一対の加熱されたローラとローラ、ベルトとローラ、ベルトとベルト、といった回転体が互いに圧接されるように構成されている。熱定着装置の種類は、熱定着装置が搭載される電子写真画像形成装置全体としてのプロセス速度、大きさ等の条件を勘案して適宜選択される。
熱定着装置においては、加熱された加熱部材と加圧部材を圧接することで定着ニップを形成し、この定着ニップに、未定着トナーによって画像が形成された、被加熱体となる記録媒体を挟持搬送させる。未定着トナーによって形成された画像をトナー像と称する。熱定着装置の定着ニップにより、トナー像を加熱、加圧する。その結果、トナー像は溶融・混色され、その後、冷却されることによって記録媒体上に画像として定着される。
以下、熱定着装置の具体例について、図面を用いて、その構成を説明するが、本開示の範囲及び用途はこれに限定されるものではない。
以下、熱定着装置の具体例について、図面を用いて、その構成を説明するが、本開示の範囲及び用途はこれに限定されるものではない。
・加熱ベルト-加圧ベルト方式の熱定着装置
図3は、一対の加熱ベルト11と加圧ベルト12といった回転体が圧接されている、いわゆるツインベルト方式の熱定着装置であり、加熱部材として加熱ベルトを備えた熱定着装置の一例の断面模式図である。ここで、熱定着装置又はこれを構成している部材について、幅方向とは、図3の紙面に垂直の方向である。熱定着装置について、正面とは、記録媒体Sの導入側の面である。左右とは、装置を正面から見て左又は右である。ベルトの幅とは、装置を正面から見たときの左右方向のベルト寸法である。記録媒体Sの幅とは、搬送方向に直交する方向の記録媒体寸法である。さらに、上流又は下流とは、記録媒体の搬送方向(矢印方向)に関して上流又は下流である。
図3は、一対の加熱ベルト11と加圧ベルト12といった回転体が圧接されている、いわゆるツインベルト方式の熱定着装置であり、加熱部材として加熱ベルトを備えた熱定着装置の一例の断面模式図である。ここで、熱定着装置又はこれを構成している部材について、幅方向とは、図3の紙面に垂直の方向である。熱定着装置について、正面とは、記録媒体Sの導入側の面である。左右とは、装置を正面から見て左又は右である。ベルトの幅とは、装置を正面から見たときの左右方向のベルト寸法である。記録媒体Sの幅とは、搬送方向に直交する方向の記録媒体寸法である。さらに、上流又は下流とは、記録媒体の搬送方向(矢印方向)に関して上流又は下流である。
この熱定着装置は、定着部材としての加熱ベルト11と、加圧ベルト12とを備えている。加熱ベルト11と加圧ベルト12は、図1(a)に示すようなニッケルを主成分とした金属製の可撓性を有する基体を含む加熱ベルトを2つのローラに張架したものである。
加熱ベルト11は、加熱手段として、エネルギー効率の高い電磁誘導加熱により加熱可能な加熱源(誘導加熱部材13、励磁コイル)を採用している。誘導加熱部材13は、誘導コイル13aと、励磁コア13bと、それらを保持するコイルホルダー13cと、から構成される。誘導コイル13aは、長円状に扁平巻きされたリッツ線を用い、誘導コイル13aの中心と両脇に突起した横E型の励磁コア13bの中に配置されている。励磁コア13bは、フェライト、パーマロイといった高透磁率で残留磁束密度の低いものを用いるので、誘導コイル13aや励磁コア13bでの損失を抑えられ、効率的に加熱ベルト11を加熱することができる。
励磁回路14から誘導加熱部材13の誘導コイル13aに高周波電流が流されると、加熱ベルト11の基体が誘導発熱して基体側から加熱ベルト11が加熱される。加熱ベルト11の表面温度がサーミスタ等の温度検知素子15により検知される。この温度検知素子15で検知される加熱ベルト11の温度に関する信号が制御回路部16に送られる。制御回路部16は、温度検知素子15から受信した温度情報が所定の定着温度に維持されるように、励磁回路14から誘導コイル13aに対する供給電力を制御して、加熱ベルト11の温度を所定の定着温度に調節する。
加熱ベルト11は、ベルト回転部材としてのローラ17及び加熱側ローラ18によって張架されている。ローラ17と加熱側ローラ18は、それぞれ装置の不図示の左右の側板間に回転自由に軸受されて支持されている。
ローラ17は、例えば、外径が20mmで、内径が18mmである厚さ1mmの鉄製の中空ローラであり、加熱ベルト11に張りを与えるテンションローラとして機能している。加熱側ローラ18は、例えば、外径が20mmで、内径が18mmである鉄合金製の芯金に、弾性層としてのシリコーンゴム層が設けられた高摺動性の弾性ローラである。
この加熱側ローラ18は、駆動ローラとして駆動源(モータ)Mから不図示の駆動ギア列を介して駆動力が入力されて、矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動される。この加熱側ローラ18に上記のように弾性層を設けることで、加熱側ローラ18に入力された駆動力を加熱ベルト11へ良好に伝達することができるとともに、加熱ベルト11からの記録媒体の分離性を確保するための定着ニップを形成できる。加熱側ローラ18が弾性層を有することによって、加熱側ローラへの熱伝導も少なくなるためウォームアップタイムの短縮にも効果がある。
加熱ベルト11は、加熱側ローラ18が回転駆動されると、加熱側ローラ18の弾性層表面と加熱ベルト11の内面との摩擦によってローラ17と共に回転する。ローラ17及び加熱側ローラ18の配置や大きさは、加熱ベルト11の大きさに合わせて選択される。
例えば上記ローラ17及び加熱側ローラ18の寸法は、未装着時の内径が55mmの加熱ベルト11を張架できるように選択されたものである。
例えば上記ローラ17及び加熱側ローラ18の寸法は、未装着時の内径が55mmの加熱ベルト11を張架できるように選択されたものである。
加圧ベルト12は、ベルト回転部材としてのテンションローラ19と加圧側ローラ20によって張架されている。加圧ベルトの未装着時の内径は、例えば55mmである。テンションローラ19と加圧側ローラ20は、それぞれ装置の不図示の左右の側板間に回転自由に軸受させて支持させている。
テンションローラ19は、例えば、外径が20mmで、内径が16mmである鉄合金製の芯金に、熱伝導率を小さくして加圧ベルト12からの熱伝導を少なくするためにシリコーンスポンジ層を設けてある。加圧側ローラ20は、例えば、外径が20mmで、内径が16mmである厚さ2mmの鉄合金製とされた低摺動性の剛性ローラである。テンションローラ19、加圧側ローラ20の寸法も同様に、加圧ベルト12の寸法に合わせて選択されたものである。
ここで、加熱ベルト11と加圧ベルト12との間にニップ部Nを形成するために、加圧側ローラ20は、回転軸の左右両端側が不図示の加圧機構により、矢印Fの方向に所定の加圧力にて加熱側ローラ18に向けて加圧されている。
また、装置を大型化することなく幅広いニップ部Nを得るために、加圧パッドを採用している。すなわち、加熱ベルト11を加圧ベルト12に向けて加圧する第1の加圧パッドとしての定着パッド21と、加圧ベルト12を加熱ベルト11に向けて加圧する第2の加圧パッドとしての加圧パッド22である。定着パッド21及び加圧パッド22は、装置の不図示の左右の側板間に支持されて配設している。加圧パッド22は、不図示の加圧機構により、矢印Gの方向に所定の加圧力にて定着パッド21に向けて加圧されている。第1の加圧パッドである定着パッド21は、パッド基体とベルトに接する摺動シート(低摩擦シート)23を有する。第2の加圧パッドである加圧パッド22も、パッド基体とベルトに接する摺動シート24を有する。これは、パッドのベルト内周面と摺擦する部分の削れが大きくなるという問題があるためである。ベルトとパッド基体の間に、摺動シート23と24を介在させることで、パッドの削れを防止し、摺動抵抗も低減できるので、良好なベルト走行性、ベルト耐久性を確保できる。
なお、加熱ベルト11には非接触の除電ブラシ(不図示)、加圧ベルトには接触の除電ブラシ(不図示)を各々設けている。
制御回路部16は、少なくとも画像形成実行時にはモータMを駆動する。これにより加熱側ローラ18が回転駆動され、加熱ベルト11が同じ方向に回転駆動される。加圧ベルト12は、加熱ベルト11に従動して回転する。ここで、定着ニップ最下流の部分をローラ対18、20により加熱ベルト11と加圧ベルト12を挟んで搬送する構成とすることで、ベルトのスリップを防止することができる。定着ニップ最下流の部分は、定着ニップでの圧分布(記録媒体搬送方向)が最大となる部分である。
加熱ベルト11が所定の定着温度に立ち上がって維持(温調という)された状態において、加熱ベルト11と加圧ベルト12間のニップ部Nに、未定着トナー画像tを有する記録媒体Sが搬送される(矢印方向)。記録媒体Sは、未定着トナー画像tを担持した面を、加熱ベルト11側に向けて導入される。そして、記録媒体Sの未定着トナー画像tが加熱ベルト11の外周面に密着したまま挟持搬送されていくことにより、加熱ベルト11から熱が付与され、また、加圧力を受けて記録媒体Sの表面に定着される。この際、加熱ベルト11の加熱された基体からの熱は、厚み方向の熱伝導性を高めた弾性層を通じて記録媒体Sに向けて効率よく輸送される。その後、記録媒体Sは、分離部材25によって、加熱ベルトと分離して搬送される(矢印方向)。
・加熱ベルト-加圧ローラ方式の熱定着装置
図4は、加熱体としてセラミックヒータを用いた加熱ベルト-加圧ローラ方式の熱定着装置の例を示す模式図である。図4において、11は、円筒状もしくはエンドレスベルト形状の加熱ベルトであり、本開示に係る定着部材を用いることができる。この加熱ベルト11を保持するための耐熱性・断熱性のベルトガイド30がある。その加熱ベルト11と接触する位置(ベルトガイド30の下面のほぼ中央部)に加熱ベルト11を加熱するセラミックヒータ31が、ガイド長手に沿って形成具備させた溝部に嵌入して固定支持させている。そして、加熱ベルト11は、ベルトガイド30にルーズに外嵌されている。また、加圧用剛性ステイ32は、ベルトガイド30の内側に挿通してある。
図4は、加熱体としてセラミックヒータを用いた加熱ベルト-加圧ローラ方式の熱定着装置の例を示す模式図である。図4において、11は、円筒状もしくはエンドレスベルト形状の加熱ベルトであり、本開示に係る定着部材を用いることができる。この加熱ベルト11を保持するための耐熱性・断熱性のベルトガイド30がある。その加熱ベルト11と接触する位置(ベルトガイド30の下面のほぼ中央部)に加熱ベルト11を加熱するセラミックヒータ31が、ガイド長手に沿って形成具備させた溝部に嵌入して固定支持させている。そして、加熱ベルト11は、ベルトガイド30にルーズに外嵌されている。また、加圧用剛性ステイ32は、ベルトガイド30の内側に挿通してある。
一方、加熱ベルト11に対向するように加圧ローラ33が配設されている。なお加圧ローラ33は、本開示では弾性加圧ローラ、すなわち、芯金33aにシリコーンゴムの弾性層33bを設けて硬度を下げたものである。芯金33aの両端部を装置の不図示の手前側と奥側のシャーシ側板との間に回転自由に軸受け保持させて配設されている。なお、弾性加圧ローラには、表面性を向上させるために、PFA(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルエーテル共重合体)チューブを被覆している。
加圧用剛性ステイ32の両端部と装置シャーシ側のバネ受け部材(不図示)との間にそれぞれ加圧バネ(不図示)を縮設することで、加圧用剛性ステイ32に押し下げ力を作用させている。これにより、耐熱樹脂製のベルトガイド30の下面に配設したセラミックヒータ31の下面と加圧ローラ33の上面とが、加熱ベルト11を挟んで圧接して定着ニップ部Nが形成される。
加圧ローラ33は、不図示の駆動手段により矢印のように反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ33の回転駆動による、加圧ローラ33と加熱ベルト11の外表面との摩擦力で、加熱ベルト11に回転力が作用する。加熱ベルト11は、その内表面が定着ニップ部Nにおいてセラミックヒータ31の下面に密着する。そして、セラミックヒータ31の下面に密着した加熱ベルト11は、密着した状態で摺動しながら、矢印のように時計方向に加圧ローラ33の回転周速度にほぼ対応した周速度で、ベルトガイド30の外回りに回転する(加圧ローラ駆動方式)。
プリントスタート信号に基づいて加圧ローラ33の回転が開始され、また、セラミックヒータ31のヒートアップが開始される。加圧ローラ33の回転による加熱ベルト11の回転周速度が定常化し、セラミックヒータの上面に設けた温度検知素子34の温度が所定温度、例えば180℃に立ち上がる。その瞬間に、定着ニップ部Nの加熱ベルト11と加圧ローラ33との間に被加熱材としての未定着トナー画像tを担持した記録媒体Sがトナー像担持面側を加熱ベルト11側にして矢印方向に導入される。そして、記録媒体Sは、定着ニップ部Nにおいて加熱ベルト11を介してセラミックヒータ31の下面に密着し、加熱ベルト11と一緒に定着ニップ部Nを移動通過していく。その移動通過過程において、加熱ベルト11の熱が記録媒体Sに付与され、トナー画像tが記録媒体S面に加熱定着される。定着ニップ部Nを通過した記録媒体Sは、加熱ベルト11の外表面から分離して搬送される。
加熱体としてのセラミックヒータ31は、加熱ベルト11及び記録媒体Sの移動方向に直交する方向を長手とする低熱容量の横長の線状加熱体である。セラミックヒータ31は、ヒータ基板31aと、該ヒータ基板31aの表面に、その長手に沿って設けた発熱層31bと、さらにその上に設けた保護層31cと、摺動部材31dと、を基本構成とするものが好ましい。ここで、ヒータ基板31aは、チッ化アルミニウム等により構成することができる。発熱層31bは、例えばAg/Pd(銀/パラジウム)等の電気抵抗材料を、約10μm、幅1~5mmにスクリーン印刷等により塗工することで形成することができる。保護層31cは、ガラスやフッ素樹脂等で構成することができる。なお、熱定着装置に用いるセラミックヒータは、上記の構造に限定されるわけではない。
そして、セラミックヒータ31の発熱層31bの両端間に通電されることで、発熱層31bが発熱し、ヒータ31が急速に昇温する。セラミックヒータ31は、ベルトガイド30の下面のほぼ中央部にガイド長手に沿って形成具備させた溝部に、保護層31c側を上向きに嵌入して固定支持させてある。加熱ベルト11と接触する定着ニップ部Nには、セラミックヒータ31の摺動部材31dの面と加熱ベルト11の内表面が相互接触摺動する。
以上のように、加熱ベルト11は、シリコーンゴムを含む弾性層の厚み方向の熱伝導率を高めるとともに硬度も低く抑えている。このような構成により、加熱ベルト11は、未定着トナー像を効率的に加熱でき、かつ低硬度であるため、定着ニップにおいて記録媒体Sに高画質な画像を定着させることができる。
以上のように、本開示の一態様によれば、電子写真用部材が配置された熱定着装置が提供される。したがって、高熱伝導、低熱容量で耐久性に優れた電子写真用部材を配置した熱定着装置を提供することができる。
以下に、実施例を用いて本開示をより詳細に説明する。
[実施例1]
・液状シリコーンゴム組成物の作製
まず、成分(a)として、分子鎖両末端にのみ不飽和脂肪族基であるビニル基を有し、その他不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基としてメチル基を有するシリコーンポリマー(以降、「Vi」と称する)を100質量部準備した。Viとしては、商品名:DMS-V41、Gelest社製、粘度10000mm2/s、を用いた。なお、該シリコーンポリマーは、前記構造式(2)において、R3がいずれもメチル基であり、R4がいずれもビニル基であるポリマーである。
・液状シリコーンゴム組成物の作製
まず、成分(a)として、分子鎖両末端にのみ不飽和脂肪族基であるビニル基を有し、その他不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基としてメチル基を有するシリコーンポリマー(以降、「Vi」と称する)を100質量部準備した。Viとしては、商品名:DMS-V41、Gelest社製、粘度10000mm2/s、を用いた。なお、該シリコーンポリマーは、前記構造式(2)において、R3がいずれもメチル基であり、R4がいずれもビニル基であるポリマーである。
次いで、このViに、成分(d)として、表面を酸化処理した金属ケイ素(商品名:M-Si#350WB、キンセイマテック社製、平均粒子径12μm)をシリコーン成分に対して42体積%となるように配合した。その混合物を自公転ミキサー(シンキー社製、型式ARV-310)にセットし、2000rpmで4分攪拌混合して混合物1を得た。
その後混合物1を180日常温で静置保管した。
その後混合物1を180日常温で静置保管した。
次いで、硬化遅延剤である1-エチニル-1-シクロヘキサノール(東京化成工業社製)90wt%IPA溶液を0.22質量部、成分(c)としてヒドロシリル化触媒(白金触媒:1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、及び2-プロパノールの混合物)0.1質量部、さらに、成分(b)として、シロキサン骨格が直鎖状で、ケイ素に結合した活性水素基を側鎖にのみ有するシリコーンポリマー(商品名:HMS-301、Gelest社製、粘度30mm2/s)を、1.5質量部計量し、混合物1に添加し、自公転ミキサー(シンキー社製、型式ARV-310)にセットし、600rpmで4分減圧攪拌混合して、液状シリコーンゴム組成物を得た。
・サンプルシートの作製
50μm厚のステンレス鋼(SUS)製のフィルム上にフィルムアプリケーター(オールグッド社製)を用い、上記液状シリコーンゴム組成物を膜厚が250μmとなるように10mm/secの速度でコートした。その後160℃で1分間加熱して、該液状シリコーンゴム組成物を一次硬化させた後、温度200℃で30分間加熱して該シリコーンゴム組成物層を二次硬化させて弾性層サンプルシートを作製した。
50μm厚のステンレス鋼(SUS)製のフィルム上にフィルムアプリケーター(オールグッド社製)を用い、上記液状シリコーンゴム組成物を膜厚が250μmとなるように10mm/secの速度でコートした。その後160℃で1分間加熱して、該液状シリコーンゴム組成物を一次硬化させた後、温度200℃で30分間加熱して該シリコーンゴム組成物層を二次硬化させて弾性層サンプルシートを作製した。
・質量減少率の測定
上記弾性層サンプルシートから、2gのサンプルを採取し、ドデシルベンゼン硫酸を濃度10wt%で含む温度40℃のノルマルプロピルブロマイド液体(商品名:eソルブ21RS、カネコ化学社製)50mlに浸漬した。そして、浸漬したサンプルを40kHzの超音波印加下で60分洗浄した。これにより硬化したシリコーンゴムを溶解させ、金属ケイ素粒子を取り出した。次いで、得られた金属ケイ素粒子を直径40mmの桐山ロートと桐山ロート用ろ紙No.5C(保留粒子1μm)を用いて、温度25℃のトルエン10mlで減圧濾過洗浄を3回行った。こうして洗浄した金属ケイ素粒子を温度120℃で1時間乾燥させた。乾燥させた金属ケイ素粒子を50mg秤量してTGA測定に供した。TGA装置は、「TGA/DSC 3+」(商品名、メトラートレド社製)を用い、乾燥空気80ml/分下、温度50℃から温度500℃まで5℃/分で昇温させ、その時の質量変化を測定した。得られた質量変化のデータから300~500℃の間における質量の減少率(%)を算出した。結果を表1に示す。
上記弾性層サンプルシートから、2gのサンプルを採取し、ドデシルベンゼン硫酸を濃度10wt%で含む温度40℃のノルマルプロピルブロマイド液体(商品名:eソルブ21RS、カネコ化学社製)50mlに浸漬した。そして、浸漬したサンプルを40kHzの超音波印加下で60分洗浄した。これにより硬化したシリコーンゴムを溶解させ、金属ケイ素粒子を取り出した。次いで、得られた金属ケイ素粒子を直径40mmの桐山ロートと桐山ロート用ろ紙No.5C(保留粒子1μm)を用いて、温度25℃のトルエン10mlで減圧濾過洗浄を3回行った。こうして洗浄した金属ケイ素粒子を温度120℃で1時間乾燥させた。乾燥させた金属ケイ素粒子を50mg秤量してTGA測定に供した。TGA装置は、「TGA/DSC 3+」(商品名、メトラートレド社製)を用い、乾燥空気80ml/分下、温度50℃から温度500℃まで5℃/分で昇温させ、その時の質量変化を測定した。得られた質量変化のデータから300~500℃の間における質量の減少率(%)を算出した。結果を表1に示す。
・破断エネルギーの測定
上記弾性層サンプルシートから、打ち抜き型(JIS K6251:2004にて規定されるダンベル状8号型)により試験片を切り出し、測定箇所である中央付近のゴム厚みを測定した。次に、該試験片を、引張試験機(装置名:ストログラフEII-L1、株式会社東洋精機製作所製)を用いて、引張り速度500mm/min、室温にてサンプルが破断するまで試験した。破断プロファイルから破断エネルギーを算出した。破断エネルギーは、同じサンプルシートから切り出した4サンプルの平均値として算出した。結果を表1に示す。
上記弾性層サンプルシートから、打ち抜き型(JIS K6251:2004にて規定されるダンベル状8号型)により試験片を切り出し、測定箇所である中央付近のゴム厚みを測定した。次に、該試験片を、引張試験機(装置名:ストログラフEII-L1、株式会社東洋精機製作所製)を用いて、引張り速度500mm/min、室温にてサンプルが破断するまで試験した。破断プロファイルから破断エネルギーを算出した。破断エネルギーは、同じサンプルシートから切り出した4サンプルの平均値として算出した。結果を表1に示す。
[比較例1]
静置保管期間を6日間とした以外は実施例1と同様にしてサンプルシートを作製した。
静置保管期間を6日間とした以外は実施例1と同様にしてサンプルシートを作製した。
[実施例2]
成分(a)を粘度5000mm2/sのもの(商品名:DMS-V35、Gelest社製)とし、成分(d)の金属ケイ素配合量を40体積%、静置保管期間を46日とした以外は実施例1と同様にしてサンプルシートを作製した。
成分(a)を粘度5000mm2/sのもの(商品名:DMS-V35、Gelest社製)とし、成分(d)の金属ケイ素配合量を40体積%、静置保管期間を46日とした以外は実施例1と同様にしてサンプルシートを作製した。
[比較例2]
静置保管期間を3時間とした以外は実施例2と同様にしてサンプルシートを作製した。
静置保管期間を3時間とした以外は実施例2と同様にしてサンプルシートを作製した。
[実施例3]
成分(a)として用いるシリコーンポリマーを、商品名:DMS-V42、Gelest社製、粘度20000mm2/s、に変更した。なお、該シリコーンポリマーは、前記構造式(2)において、R3がいずれもメチル基であり、R4がいずれもビニル基であるポリマーである。
次いで、このViに、成分(d)として、表面を酸化処理した金属ケイ素(商品名:M-Si#350WB、キンセイマテック社製、平均粒子径12μm)をシリコーン成分に対して40体積%となるように配合した。その混合物をプラネタリーミキサー(プライミクス社製、ハイビスミックス2P-01型)にセットし、10rpmで160分攪拌混合して混合物2を得た。その後混合物2を5日常温で静置保管した。
以降の手順は、実施例1と同様にして、サンプルシートを作製した。
成分(a)として用いるシリコーンポリマーを、商品名:DMS-V42、Gelest社製、粘度20000mm2/s、に変更した。なお、該シリコーンポリマーは、前記構造式(2)において、R3がいずれもメチル基であり、R4がいずれもビニル基であるポリマーである。
次いで、このViに、成分(d)として、表面を酸化処理した金属ケイ素(商品名:M-Si#350WB、キンセイマテック社製、平均粒子径12μm)をシリコーン成分に対して40体積%となるように配合した。その混合物をプラネタリーミキサー(プライミクス社製、ハイビスミックス2P-01型)にセットし、10rpmで160分攪拌混合して混合物2を得た。その後混合物2を5日常温で静置保管した。
以降の手順は、実施例1と同様にして、サンプルシートを作製した。
[比較例3]
成分(a)と成分(d)の混合物を実施例1と同様に自公転ミキサー(シンキー社製、型式ARV-310)にセットし、2000rpmで4分攪拌混合した以外は実施例5と同様にしてサンプルシートを作製した。
成分(a)と成分(d)の混合物を実施例1と同様に自公転ミキサー(シンキー社製、型式ARV-310)にセットし、2000rpmで4分攪拌混合した以外は実施例5と同様にしてサンプルシートを作製した。
(評価)
実施例1~3、比較例1~3のサンプルシートについて、上述した方法でTGA減少率と破断エネルギー計測を行った。図5に実施例1と比較例1の破断試験のプロファイル結果を示す。
実施例1~3、比較例1~3のサンプルシートについて、上述した方法でTGA減少率と破断エネルギー計測を行った。図5に実施例1と比較例1の破断試験のプロファイル結果を示す。
表1の結果から、実施例と比較例を比較すると、いずれの配合においてもTGA減少率が大きくてバウンドラバー量が多いものが破断エネルギーも大きくなっていることが分かった。
以上説明したように、本開示は、高熱伝導、低熱容量で耐久性に優れた弾性層を持つ電子写真用部材に利用可能である。
1 定着ベルト
2 定着ローラ
3 基体
4 弾性層
5 接着層
6 表層
2 定着ローラ
3 基体
4 弾性層
5 接着層
6 表層
Claims (8)
- 基体と、該基体上のシリコーンゴムを含有する弾性層とを有する電子写真用部材であって、
該弾性層は、該シリコーンゴムに金属ケイ素粒子を含み、
該弾性層から、金属ケイ素粒子を含む2gのサンプルを採取し、
該サンプルを、ドデシルベンゼン硫酸を濃度10wt%で含む温度40℃のノルマルプロピルブロマイド液体50mlに浸漬し、40kHzの超音波印加下で60分洗浄し、次いで、温度25℃のトルエン10mlで減圧濾過洗浄を3回行って、金属ケイ素粒子を取り出し、該金属ケイ素粒子の熱重量分析における温度300~500℃の間における質量の減少率が0.05%以上、
であることを特徴とする電子写真用部材。 - 前記金属ケイ素粒子の配合量が前記シリコーンゴムを含有する弾性層の全体積に対して35体積%以上45体積%以下である、請求項1に記載の電子写真用部材。
- 前記金属ケイ素粒子が、体積平均粒子径で1μm~20μmの粒径範囲である、請求項1又は2に記載の電子写真用部材。
- エンドレスベルト形状またはローラ形状を有する請求項1または2に記載の電子写真用部材。
- 加熱部材と、加圧部材とを有し、未定着トナー像を有する記録材を、該加熱部材と該加圧部材とで形成されるニップ部で加熱して未定着トナー像を該記録材に定着する熱定着装置であって、
該加熱部材が、請求項1~4のいずれか一項に記載の電子写真用部材であることを特徴とする熱定着装置。 - 請求項5に記載の熱定着装置を有することを特徴とする電子写真画像形成装置。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の電子写真用部材の製造方法であって、
オルガノポリシロキサンを含むシリコーン成分と金属ケイ素粉体を混合し、得られた混合物を30日以上静置して液状シリコーンゴム組成物を調製する工程と、
基体上に該液状シリコーンゴム組成物を塗工して該組成物の層を形成する工程と、
該組成物の層を硬化させ、弾性層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする電子写真用部材の製造方法。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の電子写真用部材の製造方法であって、
オルガノポリシロキサンを含むシリコーン成分と金属ケイ素粉体を、プラネタリーミキサーを用い、公転速度5~15rpm、混合時間100~300分の条件で混合し、得られた混合物を4日以上静置して液状シリコーンゴム組成物を調製する工程と、
基体上に該液状シリコーンゴム組成物を塗工して該組成物の層を形成する工程と、
該組成物の層を硬化させ、弾性層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする電子写真用部材の製造方法。
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