以下、車両運動制御装置及び車両運動制御プログラムの一実施形態を図面に従って説明する。
(全体構成)
図1に示すように、車両運動制御装置1が搭載される車両2は、車輪である前輪3F及び後輪3Rを備えている。前輪3Fは、右前輪及び左前輪の2輪を含み、後輪3Rは、右後輪及び左後輪の2輪を含む。図1では、説明の便宜上、右前輪及び右後輪のみを図示している。
車両2は、電動パワーステアリングアクチュエータ(以下、EPSアクチュエータ)11と、伝達比可変アクチュエータ(以下、VGRアクチュエータ)12と、アクティブ後輪転舵アクチュエータ(以下、ARSアクチュエータ)13と、ブレーキアクチュエータ(以下、BRKアクチュエータ)14とを備えている。また、車両は、EPSアクチュエータ11の作動を制御するEPSECU15と、VGRアクチュエータ12の作動を制御するVGRECU16と、ARSアクチュエータ13の作動を制御するARSECU17と、BRKアクチュエータ14の作動を制御するBRKECU18とを備えている。アクチュエータ11~14がそれぞれ車両運動を実現させるためのアクチュエータに相当する。ECU15~18がそれぞれアクチュエータ制御ユニットに相当する。
EPSECU15は、(1)コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、(2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは(3)それらの組み合わせ、を含む処理回路によって構成することができる。プロセッサは、CPU並びに、RAMおよびROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわち非一時的なコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。EPSECU15による各種制御は、所定の演算周期ごとにメモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することによって実行される。VGRECU16、ARSECU17、及びBRKECU18は、それぞれ上記(1)~(3)のいずれかを含む処理回路によって構成することができる。
EPSアクチュエータ11は、図示しない前輪転舵機構にモータトルクを付与することで運転者のステアリング操作をアシストする。一例として、EPSアクチュエータ11には、前輪転舵機構のコラムシャフトにモータトルクを付与する形式のものが採用される。EPSECU15は、EPSアクチュエータ11の駆動源であるモータの回転角を制御することで、前輪3Fの転舵角である前輪転舵角θfを制御する。つまり、EPSアクチュエータ11は、前輪3Fを転舵させる転舵アクチュエータに相当する。前輪転舵角θfは、車両2が直進する中立角度よりも、例えば右側の角度である場合に正の値とし、左側の角度である場合に負の値とする。
EPSECU15には、車両運動制御装置1から後述するEPS前輪転舵角指令値θe*が入力される。EPSECU15は、EPS前輪転舵角θeがEPS前輪転舵角指令値θe*となるように、角度フィードバック制御を実行することにより、EPSアクチュエータ11の作動を制御する。EPS前輪転舵角θeは、前輪転舵角θfのうち、EPSアクチュエータ11によって実現されている転舵角の実際値であり、EPSアクチュエータ11のモータの回転角に基づいて演算可能である。EPSECU15は、EPS前輪転舵角θeを車両運動制御装置1に出力する。
VGRアクチュエータ12は、運転者のステアリング操作に対して駆動源であるモータの回転を上乗せすることで、図示しないステアリングホイールの操舵角と前輪転舵角θfとの間の伝達比を可変とする。VGRECU16は、VGRアクチュエータ12により前輪操舵機構に上乗せする回転角を制御することで、前輪転舵角θfを制御する。つまり、VGRアクチュエータ12は、前輪3Fを転舵させる転舵アクチュエータに相当する。
VGRECU16には、車両運動制御装置1から後述するVGR前輪転舵角指令値θv*が入力される。VGRECU16は、VGR前輪転舵角θvがVGR前輪転舵角指令値θv*となるように、角度フィードバック制御を実行することにより、VGRアクチュエータ12の作動を制御する。VGR前輪転舵角θvは、前輪転舵角θfのうち、VGRアクチュエータ12によって実現されている転舵角の実際値であり、VGRアクチュエータ12のモータの回転角に基づいて演算可能である。VGRECU16は、VGR前輪転舵角θvを車両運動制御装置1に出力する。
ARSアクチュエータ13は、図示しない後輪転舵機構にモータトルクを付与することで後輪3Rを転舵する。ARSECU17は、ARSアクチュエータ13の駆動源であるモータの回転角を制御することで、後輪3Rの転舵角である後輪転舵角θrを制御する。つまり、ARSアクチュエータ13は、後輪3Rを転舵させる転舵アクチュエータに相当する。後輪転舵角θrは、車両2が直進する中立角度よりも、例えば右側の角度である場合に正の値とし、左側の角度である場合に負の値とする。
ARSECU17には、車両運動制御装置1から後述する後輪転舵角指令値θr*が入力される。ARSECU17は、後輪転舵角θrが後輪転舵角指令値θr*となるように、角度フィードバック制御を実行することにより、ARSアクチュエータ13の作動を制御する。実際値である後輪転舵角θrは、ARSアクチュエータ13のモータの回転角に基づいて演算可能である。ARSECU17は、後輪転舵角θrを車両運動制御装置1に出力する。
BRKアクチュエータ14は、前輪3F及び後輪3Rのそれぞれに対して制動力を付与するアクチュエータである。BRKアクチュエータ14は、右前輪、左前輪、右後輪及び左後輪の4輪に対して独立に制動力を付与可能に構成されている。BRKECU18は、4輪に付与する制動力を別個に制御する第1制御モードと、4輪に同一の制動力を付与するように制御する第2制御モードとを有している。BRKECU18は、その制御モードを第1制御モード又は第2制御モードに切り替え可能に構成されている。
BRKECU18には、車両運動制御装置1から後述する前輪3F及び後輪3Rの制動力指令値Bfr*,Bfl*,Brr*,Brl*が入力される。BRKECU18は、前輪3F及び後輪3Rに付与される制動力Bfr,Bfl,Brr,Brlが、制動力指令値Bfr*,Bfl*,Brr*,Brl*となるように、BRKアクチュエータ14の作動を制御する。実際値である制動力Bfr,Bfl,Brr,Brlは、前輪3F及び後輪3Rの各ブレーキシリンダ内の液圧に基づいて演算可能である。BRKECU18は、制動力Bfr,Bfl,Brr,Brlを車両運動制御装置1に出力する。
車両2は、周辺を監視する周辺監視装置21と、車両の各種状態量を取得する複数のセンサ22とをさらに備えている。周辺監視装置21は、カメラ及びレーダを含む。周辺監視装置は、車両2が走行する路面上の白線や進路上の障害物等を監視する。センサ22は、車速Vを検出する車速センサ、車両2のヨーレートγを検出するヨーレートセンサ、及び車両2の横加速度Gyを検出する横加速度センサを含む。
(車両運動制御装置1)
車両運動制御装置1は、上記(1)~(3)のいずれかを含む処理回路によって構成することができる。車両運動制御装置1による各種制御は、所定の演算周期ごとにメモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することによって実行される。プログラムは、車両運動制御を実行するための車両運動制御プログラムを含む。つまり、車両運動制御装置1のCPUがコンピュータに相当する。
車両運動制御装置1は、制御要求ユニット31と、制御プラットフォーム32とを備えている。制御要求ユニット31は、車両運動制御を実行するための制御目標値である車両2のヨーレート目標値γ*を演算する。制御プラットフォーム32は、ヨーレート目標値γ*に基づいて、ECU15~18に出力する指令値を演算する。
EPSECU15に出力する指令値は、EPSアクチュエータ11によって転舵される前輪転舵角θfの目標値を示すEPS前輪転舵角指令値θe*である。VGRECU16に出力する指令値は、VGRアクチュエータ12によって転舵される前輪転舵角θfの目標値を示すVGR前輪転舵角指令値θv*である。ARSECU17に出力する指令値は、後輪転舵角θrの目標値を示す後輪転舵角指令値θr*である。BRKECU18に出力する指令値は、右前輪に付与する制動力の目標値を示す右前輪制動力指令値Bfr*、左前輪に付与する制動力の目標値を示す左前輪制動力指令値Bfl*、右後輪に付与する制動力の目標値を示す右後輪制動力指令値Brr*、及び左後輪に付与する制動力の目標値を示す左後輪制動力指令値Brl*である。
(制御要求ユニット31)
制御要求ユニット31は、種々の車両運動制御を実現するための演算を実行する一又は複数のアプリケーション33を有している。車両運動制御の例としては、レーンキープ制御、緊急回避制御、及び自動駐車制御等が挙げられる。レーンキープ制御は、車両2が走行車線の中央付近からずれないように車両運動を制御するためのものである。緊急回避制御は、車両2の前方に存在する障害物などとの衝突を避けるように車両運動を制御するためのものである。自動駐車制御は、駐車時に想定される移動経路に車両2を導くように車両運動を制御するためのものである。
制御要求ユニット31には、周辺監視装置21により取得された周辺監視情報が入力される。各アプリケーション33は、周辺監視情報に基づいて、対応する車両運動制御を実現するための目標軌跡を演算する。制御要求ユニット31は、この目標軌跡に沿って車両2を運動させるためのヨーレート目標値γ*を演算する。
なお、複数のアプリケーション33から同時に複数の要求が出力される場合、制御要求ユニット31は、各要求に基づく目標軌跡の調停を行い、この調停結果に基づいて制御目標値を演算する。調停の方法としては、例えば優先度の高いアプリケーション33の目標軌跡に基づいてヨーレート目標値γ*を演算する方法、あるいは複数の目標軌跡を足し合わせた軌跡に基づいてヨーレート目標値γ*を演算する方法等を採用できる。
(制御プラットフォーム32)
図2に示すように、制御プラットフォーム32は、所定の演算周期毎に以下の各制御ブロックに示される各演算処理を実行することで、ECU15~18に出力する指令値を演算する。制御プラットフォーム32は、アベイラビリティ演算部41と、指令値演算部42とを備えている。アベイラビリティ演算部41には、ヨーレート目標値γ*、車速V、ヨーレートγ、横加速度Gy、EPS前輪転舵角θe、VGR前輪転舵角θv、後輪転舵角θr及び制動力Bfr,Bfl,Brr,Brlが入力される。また、アベイラビリティ演算部41には、指令値演算部42により演算されるEPS前輪転舵角指令値θe*、VGR前輪転舵角指令値θv*、後輪転舵角指令値θr*及び制動力指令値Bfr*,Bfl*,Brr*,Brl*が入力される。アベイラビリティ演算部41は、これらの状態量に基づいて、アクチュエータ11~14のアベイラビリティ、すなわちEPSアベイラビリティAe、VGRアベイラビリティAv、ARSアベイラビリティAr、及びBRKアベイラビリティAbfr,Abfl,Abrr,Abrlを演算する。つまり、アベイラビリティ演算部41がアベイラビリティ演算処理を実行する。また、アベイラビリティ演算部41は、後述する切り替え信号Sswを生成する。
ここで、アベイラビリティは、演算時点において、アクチュエータ11~14をどの程度作動させることができるかを示す値である。換言すると、アベイラビリティは、アクチュエータ11~14の制御可能範囲を示す値である。
具体的には、EPSアベイラビリティAeは、EPSアクチュエータ11の作動により転舵可能な前輪転舵角θfを示すEPS前輪転舵角アベイラビリティ、及び一演算周期の間に転舵可能な前輪転舵角θfの変化量を示すEPS前輪転舵角変化量アベイラビリティを含む。VGRアベイラビリティAvは、VGRアクチュエータ12の作動により転舵可能な前輪転舵角θfを示すVGR前輪転舵角アベイラビリティ、及び一演算周期の間に転舵可能な前輪転舵角θfの変化量を示すVGR前輪転舵角変化量アベイラビリティを含む。ARSアベイラビリティArは、ARSアクチュエータ13の作動により転舵可能な後輪転舵角θrを示す後輪転舵角アベイラビリティ、及び一演算周期の間に転舵可能な後輪転舵角θrの変化量を示す後輪転舵角変化量アベイラビリティを含む。BRKアベイラビリティAbfr,Abfl,Abrr,Abrlは、BRKアクチュエータ14の作動により前輪3F及び後輪3Rのそれぞれに付与可能な制動力を示す制動力アベイラビリティ、及び一演算周期の間に変化可能な制動力の変化量を示す制動力勾配アベイラビリティを含む。
指令値演算部42には、ヨーレート目標値γ*と、車速Vと、ヨーレートγと、横加速度Gyと、EPSアベイラビリティAeと、VGRアベイラビリティAvと、ARSアベイラビリティArと、BRKアベイラビリティAbfr,Abfl,Abrr,Abrlと、切り替え信号Sswとが入力される。また、指令値演算部42には、EPS前輪転舵角θeと、VGR前輪転舵角θvと、後輪転舵角θrと、制動力Bfr,Bfl,Brr,Brlとが入力される。指令値演算部42は、これらの状態量に基づいてアクチュエータ11~14に対する指令値を演算する。つまり、指令値演算部42が指令値演算処理を実行する。
具体的には、指令値演算部42は、センサ22から入力される状態量に基づいて、ヨーレート目標値γ*を実現するために必要なモーメント目標値を演算し、このモーメント目標値をアクチュエータ11~14に配分する。そして、指令値演算部42は、EPSアクチュエータ11に配分されたモーメントが該EPSアクチュエータ11の作動によって発生するように、EPSアベイラビリティAeの範囲内で、EPS前輪転舵角指令値θe*を演算する。つまり、指令値演算部42は、EPS前輪転舵角指令値θe*の絶対値がEPS前輪転舵角アベイラビリティ以下であり、EPS前輪転舵角指令値θe*とEPS前輪転舵角θeとの差分がEPS前輪転舵角変化量アベイラビリティ以下となるように、EPS前輪転舵角指令値θe*を演算する。
同様に、指令値演算部42は、VGRアクチュエータ12配分されたモーメントが該VGRアクチュエータ12の作動によって発生するように、VGRアベイラビリティAvの範囲内で、VGR前輪転舵角指令値θv*を演算する。指令値演算部42は、ARSアクチュエータ13に配分されたモーメントが該ARSアクチュエータ13の作動によって発生するように、ARSアベイラビリティArの範囲内で、後輪転舵角指令値θr*を演算する。指令値演算部42は、BRKアクチュエータ14に配分されたモーメントが該BRKアクチュエータ14の作動によって発生するように、BRKアベイラビリティAbfr,Abfl,Abrr,Abrlの範囲内で、制動力指令値Bfr*,Bfl*,Brr*,Brl*を演算する。指令値演算部42は、第1制御モードから第2制御モードに切り替える旨の切り替え信号Sswが入力された場合には、制動力指令値Bfr*,Bfl*,Brr*,Brl*の値をすべて同一の値とする。
図3に示すように、アベイラビリティ演算部41は、EPSアベイラビリティ演算部51と、VGRアベイラビリティ演算部52と、ARSアベイラビリティ演算部53と、BRKアベイラビリティ演算部54とを備えている。
EPSアベイラビリティ演算部51には、ヨーレート目標値γ*と、車速Vと、ヨーレートγと、横加速度Gyと、EPS前輪転舵角指令値θe*と、EPS前輪転舵角θeとが入力される。EPSアベイラビリティ演算部51は、これらの状態量に基づいてEPSアベイラビリティAeを演算する。
VGRアベイラビリティ演算部52には、ヨーレート目標値γ*と、車速Vと、ヨーレートγと、横加速度Gyと、VGR前輪転舵角指令値θv*と、VGR前輪転舵角θvとが入力される。VGRアベイラビリティ演算部52は、これらの状態量に基づいてVGRアベイラビリティAvを演算する。
ARSアベイラビリティ演算部53には、ヨーレート目標値γ*と、車速Vと、ヨーレートγと、横加速度Gyと、後輪転舵角指令値θr*と、後輪転舵角θrとが入力される。ARSアベイラビリティ演算部53は、これらの状態量に基づいてARSアベイラビリティArを演算する。
BRKアベイラビリティ演算部54には、ヨーレート目標値γ*と、車速Vと、ヨーレートγと、横加速度Gyと、制動力指令値Bfr*,Bfl*,Brr*,Brl*及び制動力Bfr,Bfl,Brr,Brlとが入力される。BRKアベイラビリティ演算部54は、これらの状態量に基づいて右前輪BRKアベイラビリティAbfr、左前輪BRKアベイラビリティAbfl、右後輪BRKアベイラビリティAbrr、及び左後輪BRKアベイラビリティAbrlを演算する。また、BRKアベイラビリティ演算部54は、これらの状態量に基づいて切り替え信号Sswを生成する。
(EPSアベイラビリティ演算部51)
図4に示すように、EPSアベイラビリティ演算部51は、第1EPS異常判定部61と、第2EPS異常判定部62と、EPS故障確率演算部63と、EPSアベイラビリティゲイン演算部64と、EPSアベイラビリティ基本値演算部65と、乗算器66とを備えている。EPSアベイラビリティ演算部51は、EPSアクチュエータ11の異常に関する異常指標により示されるEPSアクチュエータ11の異常の可能性が高い場合には、EPSアクチュエータ11の異常の可能性が低い場合のEPSアベイラビリティAe以下となるように、EPSアベイラビリティAeを演算する。
詳しくは、第1EPS異常判定部61には、EPS前輪転舵角指令値θe*及びEPS前輪転舵角θeが入力される。第1EPS異常判定部61は、EPS前輪転舵角指令値θe*とEPS前輪転舵角θeとの差分であるEPS角度偏差Δθeを演算する。第1EPS異常判定部61は、EPS角度偏差Δθeと予め設定されたEPS角度偏差閾値Δθethとの大小比較を行う。そして、第1EPS異常判定部61は、EPS角度偏差ΔθeがEPS角度偏差閾値Δθethよりも大きい場合には、第1EPS異常判定ではEPSアクチュエータ11が異常であると判定する。この場合、第1EPS異常判定部61は、第1EPS異常判定フラグFe1の値を「1」にしてEPS故障確率演算部63及びEPSアベイラビリティゲイン演算部64に出力する。一方、第1EPS異常判定部61は、EPS角度偏差ΔθeがEPS角度偏差閾値Δθeth以下である場合には、第1EPS異常判定ではEPSアクチュエータ11が正常であると判定する。この場合、第1EPS異常判定部61は、第1EPS異常判定フラグFe1の値を「0」にしてEPS故障確率演算部63及びEPSアベイラビリティゲイン演算部64に出力する。
第2EPS異常判定部62には、ヨーレート目標値γ*及びヨーレートγが入力される。第2EPS異常判定部62は、ヨーレート目標値γ*とヨーレートγとの差分であるヨーレート偏差Δγを演算する。第2EPS異常判定部62は、ヨーレート偏差Δγと予め設定されたヨーレート偏差閾値Δγthとの大小比較を行う。そして、第2EPS異常判定部62は、ヨーレート偏差Δγがヨーレート偏差閾値Δγthよりも大きい場合には、第2EPS異常判定ではEPSアクチュエータ11が異常であると判定する。この場合、第2EPS異常判定部62は、第2EPS異常判定フラグFe2の値を「1」にしてEPS故障確率演算部63に出力する。一方、第2EPS異常判定部62は、ヨーレート偏差Δγがヨーレート偏差閾値Δγth以下である場合には、第2EPS異常判定ではEPSアクチュエータ11が正常であると判定する。この場合、第2EPS異常判定部62は、第2EPS異常判定フラグFe2の値を「0」にしてEPS故障確率演算部63に出力する。
EPS故障確率演算部63には、第1EPS異常判定フラグFe1及び第2EPS異常判定フラグFe2が入力される。EPS故障確率演算部63は、これらのフラグFe1,Fe2に基づいて、EPSアクチュエータ11が故障している確率であるEPS故障確率Peを演算する。EPS故障確率Peは、EPSアクチュエータ11の異常に関する異常指標である。つまり、EPS故障確率演算部63は、異常指標演算処理を実行する。このように演算されたEPS故障確率Peは、EPSアベイラビリティゲイン演算部64に出力される。
具体的には、EPS故障確率演算部63は、フラグFe1,Fe2の値とEPS故障確率Peとの関係を規定するマップを備えている。EPS故障確率演算部63は、このマップを参照することにより、フラグFe1,Fe2の値に応じたEPS故障確率Peを演算する。マップの一例として、フラグFe1,Fe2の値がすべて「0」の場合にEPS故障確率Peが「0%」と設定され、フラグFe1,Fe2の値がすべて「1」の場合にEPS故障確率Peが「100%」と設定されている。また、一例として、第1EPS異常判定フラグFe1の値が「1」かつ第2EPS異常判定フラグFe2の値が「0」である場合にEPS故障確率Peが「70%」と設定され、第1EPS異常判定フラグFe1の値が「0」かつ第2EPS異常判定フラグFe2の値が「1」である場合にEPS故障確率Peが「60%」と設定されている。
EPSアベイラビリティゲイン演算部64には、EPS前輪転舵角指令値θe*、EPS前輪転舵角θe、第1EPS異常判定フラグFe1及びEPS故障確率Peが入力される。EPSアベイラビリティゲイン演算部64は、これらの状態量に基づいて、EPS故障確率ゲインGpe及びEPS角度比率ゲインGreを演算する。そして、EPSアベイラビリティゲイン演算部64は、EPS故障確率ゲインGpe及びEPS角度比率ゲインGreのうちの小さい方、すなわち最小ゲインをEPSアベイラビリティゲインGaeとして乗算器66に出力する。つまり、EPSアベイラビリティゲイン演算部64は、ゲイン演算処理及び最小ゲイン選択処理を実行する。なお、EPS故障確率ゲインGpe及びEPS角度比率ゲインGreは、それぞれ「0」以上「1」以下の値である。
まず、EPS故障確率ゲインGpeの演算について説明する。
EPSアベイラビリティゲイン演算部64は、EPS故障確率Peに基づいて、EPS故障確率ゲインGpeを演算する。具体的には、EPSアベイラビリティゲイン演算部64は、EPS故障確率Peが「0%」以上かつ正常判定閾値Peth1以下である場合には、EPS故障確率ゲインGpeを「1」と演算する。EPSアベイラビリティゲイン演算部64は、EPS故障確率Peが正常判定閾値Peth1よりも大きくかつ異常判定閾値Peth2以下である場合には、EPS故障確率Peが大きくなるほど、EPS故障確率ゲインGpeが小さくなるように演算する。EPSアベイラビリティゲイン演算部64は、EPS故障確率Peが異常判定閾値Peth2よりも大きくかつ「100%」以下である場合には、EPS故障確率ゲインGpeを「0」と演算する。なお、正常判定閾値Peth1は、EPSアクチュエータ11が正常であるとみなして差し支えない最大の確率であり、例えば「50%」に設定されている。異常判定閾値Peth2は、EPSアクチュエータ11が故障であるとみなして差し支えない最小の確率であり、例えば「80%」に設定されている。
これにより、図5に示すように、EPS故障確率ゲインGpeは、EPS故障確率Peが正常判定閾値Peth1以下の場合は「1」のまま一定である。そして、EPS故障確率ゲインGpeは、EPS故障確率Peが正常判定閾値Peth1よりも大きくなると、EPS故障確率Peが大きくなるほど、小さくなる。
次に、EPS角度比率ゲインGreの演算について説明する。
図4に示すように、EPSアベイラビリティゲイン演算部64は、EPS前輪転舵角θeをEPS前輪転舵角指令値θe*によって除算することにより、EPS角度比率Reを演算する。そのため、EPS角度比率Reは、EPS前輪転舵角指令値θe*に対してEPS前輪転舵角θeがどの程度追従できているかを示し、EPSアクチュエータ11の異常に関する異常指標である。なお、EPS角度比率ReをEPS異常レベル、又は単に異常レベルと参照することがある。つまり、EPSアベイラビリティゲイン演算部64は、異常指標演算処理を実行する。
EPSアベイラビリティゲイン演算部64は、第1EPS異常判定フラグFe1の値が「0」である間は、EPS角度比率Reと関係なく、EPS角度比率ゲインGreを「1」と演算する。そして、EPSアベイラビリティゲイン演算部64は、第1EPS異常判定フラグFe1の値が「1」である間は、EPS角度比率Reに応じて、EPS角度比率ゲインGreを変更する。
具体的には、EPSアベイラビリティゲイン演算部64は、EPS角度比率Reが「1」である場合には、EPS角度比率ゲインGreを「1」と演算する。EPSアベイラビリティゲイン演算部64は、第1EPS異常判定フラグFe1が「1」である場合には、EPS角度比率Reが「1」よりも小さくなるほど、EPS角度比率ゲインGreが小さくなるように演算する。EPSアベイラビリティゲイン演算部64は、EPS角度比率Reが「0」以下である場合には、EPS角度比率ゲインGreを「0」と演算する。また、EPSアベイラビリティゲイン演算部64は、第1EPS異常判定フラグFe1の値が「1」である場合には、EPS角度比率Reが「1」よりも大きくなるほど、EPS角度比率ゲインGreが小さくなるように演算する。EPSアベイラビリティゲイン演算部64は、EPS角度比率Reが「1」とEPS角度比率閾値Rethとの加算値よりも大きい場合には、EPS角度比率ゲインGreを「0」と演算する。
これにより、図6に示すように、EPS角度比率ゲインGreは、「1」を最大値として、EPS角度比率Reが「1」よりも小さくなるほど、線形的に小さくなるように演算される。また、EPS角度比率ゲインGreは、「1」を最大値として、EPS角度比率Reが「1」よりも大きくなるほど、線形的に小さくなるように演算される。つまり、EPSアベイラビリティゲイン演算部64は、EPS角度比率Reの「1」からの乖離が大きくなるほど、EPS角度比率ゲインGreが小さくなるように演算する。
図4に示すように、EPSアベイラビリティ基本値演算部65には、車速V及び横加速度Gyが入力される。EPSアベイラビリティ基本値演算部65は、これらの状態量に基づいて、EPSアベイラビリティ基本値Ae_bを演算する。つまり、EPSアベイラビリティ基本値演算部65は、基本値演算処理を実行する。EPSアベイラビリティ基本値Ae_bは、EPSアクチュエータ11が正常な場合のアベイラビリティであり、車両の運動状態に応じて変化する。具体的には、EPSアベイラビリティ基本値Ae_bは、前輪3Fが路面から受ける反力に応じて変化する。
具体的には、EPSアベイラビリティ基本値演算部65には、EPSアクチュエータ11の性能により決まるEPS性能アベイラビリティAe_nが記憶されている。EPSアベイラビリティ基本値演算部65は、車速V及び横加速度Gy等に基づいて係数Keを演算する。係数Keは、例えば、車速Vが大きいほど、また横加速度Gyが大きいほど、より小さな値となるように演算される。そして、EPSアベイラビリティ基本値演算部65は、EPS性能アベイラビリティAe_nに係数Keを乗算することにより、EPSアベイラビリティ基本値Ae_bを演算する。このように演算されたEPSアベイラビリティ基本値Ae_bは、乗算器66に出力される。
乗算器66には、EPSアベイラビリティゲインGae及びEPSアベイラビリティ基本値Ae_bが入力される。そして、EPSアベイラビリティ演算部51は、乗算器66において、EPSアベイラビリティ基本値Ae_bにEPSアベイラビリティゲインGaeを乗算することにより、EPSアベイラビリティAeを演算する。このように演算されたEPSアベイラビリティAeは、上記のように指令値演算部42に出力される。
(VGRアベイラビリティ演算部52)
図7に示すように、VGRアベイラビリティ演算部52は、第1VGR異常判定部71と、第2VGR異常判定部72と、VGR故障確率演算部73と、VGRアベイラビリティゲイン演算部74と、VGRアベイラビリティ基本値演算部75と、乗算器76とを備えている。VGRアベイラビリティ演算部52は、VGRアクチュエータ12の異常に関する異常指標により示されるVGRアクチュエータ12の異常の可能性が高い場合には、VGRアクチュエータ12の異常の可能性が低い場合のVGRアベイラビリティAv以下となるように、VGRアベイラビリティAvを演算する。
詳しくは、第1VGR異常判定部71には、VGR前輪転舵角指令値θv*及びVGR前輪転舵角θvが入力される。第1VGR異常判定部71は、VGR前輪転舵角指令値θv*とVGR前輪転舵角θvとの偏差であるVGR角度偏差Δθvを演算する。第1VGR異常判定部71は、VGR角度偏差Δθvと予め設定されたVGR角度偏差閾値Δθvthとの大小比較を行う。そして、第1VGR異常判定部71は、VGR角度偏差ΔθvがVGR角度偏差閾値Δθvthよりも大きい場合には、第1VGR異常判定ではVGRアクチュエータ12が異常であると判定する。この場合、第1VGR異常判定部71は、第1VGR異常判定フラグFv1の値を「1」にしてVGR故障確率演算部73及びVGRアベイラビリティゲイン演算部74に出力する。一方、第1VGR異常判定部71は、VGR角度偏差ΔθvがVGR角度偏差閾値Δθvth以下である場合には、第1VGR異常判定ではVGRアクチュエータ12が正常であると判定する。この場合、第1VGR異常判定部71は、第1VGR異常判定フラグFv1の値を「0」にしてVGR故障確率演算部73及びVGRアベイラビリティゲイン演算部74に出力する。
第2VGR異常判定部72には、ヨーレート目標値γ*及びヨーレートγが入力される。第2VGR異常判定部72は、上記第2EPS異常判定部62と同様の異常判定を実行し、その判定結果を示す第2VGR異常判定フラグFv2をVGR故障確率演算部73に出力する。
VGR故障確率演算部73には、第1VGR異常判定フラグFv1及び第2VGR異常判定フラグFv2が入力される。VGR故障確率演算部73は、これらのフラグFv1,Fv2に基づいて、上記EPS故障確率演算部63と同様に、VGRアクチュエータ12が故障している確率であるVGR故障確率Pvを演算する。VGR故障確率Pvは、VGRアクチュエータ12の異常に関する異常指標である。つまり、VGR故障確率演算部73は、異常指標演算処理を実行する。このように演算されたVGR故障確率Pvは、VGRアベイラビリティゲイン演算部74に出力される。
VGRアベイラビリティゲイン演算部74には、VGR前輪転舵角指令値θv*、VGR前輪転舵角θv、第1VGR異常判定フラグFv1及びVGR故障確率Pvが入力される。VGRアベイラビリティゲイン演算部74は、これらの状態量に基づいて、上記EPSアベイラビリティゲイン演算部64と同様に、VGR故障確率ゲインGpv及びVGR角度比率ゲインGrvを演算する。そして、VGRアベイラビリティゲイン演算部74は、VGR故障確率ゲインGpv及びVGR角度比率ゲインGrvのうちの小さい方、すなわち最小ゲインをVGRアベイラビリティゲインGavとして乗算器76に出力する。つまり、VGRアベイラビリティゲイン演算部74は、ゲイン演算処理及び最小ゲイン選択処理を実行する。なお、VGR故障確率ゲインGpv及びVGR角度比率ゲインGrvは、それぞれ「0」以上「1」以下の値である。
VGRアベイラビリティ基本値演算部75には、車速V及び横加速度Gyが入力される。VGRアベイラビリティ基本値演算部75は、これらの状態量に基づいて、EPSアベイラビリティ基本値演算部65と同様に、VGRアベイラビリティ基本値Av_bを演算する。つまり、VGRアベイラビリティ基本値演算部75は、基本値演算処理を実行する。VGRアベイラビリティ基本値Av_bは、VGRアクチュエータ12が正常な場合のアベイラビリティであり、車両の運動状態に応じて変化する。具体的には、VGRアベイラビリティ基本値Av_bは、前輪3Fが路面から受ける反力に応じて変化する。このように演算されたVGRアベイラビリティ基本値Av_bは、乗算器76に出力される。
乗算器76には、VGRアベイラビリティゲインGav及びVGRアベイラビリティ基本値Av_bが入力される。そして、VGRアベイラビリティ演算部52は、乗算器76において、VGRアベイラビリティ基本値Av_bにVGRアベイラビリティゲインGavを乗算することにより、VGRアベイラビリティAvを演算する。このように演算されたVGRアベイラビリティAvは、上記のように指令値演算部42に出力される。
(ARSアベイラビリティ演算部53)
図8に示すように、ARSアベイラビリティ演算部53は、第1ARS異常判定部81と、第2ARS異常判定部82と、ARS故障確率演算部83と、ARSアベイラビリティゲイン演算部84と、ARSアベイラビリティ基本値演算部85と、乗算器86とを備えている。ARSアベイラビリティ演算部53は、ARSアクチュエータ13の異常に関する異常指標により示されるARSアクチュエータ13の異常の可能性が高い場合には、ARSアクチュエータ13の異常の可能性が低い場合のARSアベイラビリティAr以下となるように、ARSアベイラビリティArを演算する。
詳しくは、第1ARS異常判定部81には、後輪転舵角指令値θr*及び後輪転舵角θrが入力される。第1ARS異常判定部81は、後輪転舵角指令値θr*と後輪転舵角θrとの差分であるARS角度偏差Δθrを演算する。第1ARS異常判定部81は、ARS角度偏差Δθrと予め設定されたARS角度偏差閾値Δθrthとの大小比較を行う。そして、第1ARS異常判定部81は、ARS角度偏差ΔθrがARS角度偏差閾値Δθrthよりも大きい場合には、第1ARS異常判定ではARSアクチュエータ13が異常であると判定する。この場合、第1ARS異常判定部81は、第1ARS異常判定フラグFr1の値を「1」にしてARS故障確率演算部83及びARSアベイラビリティゲイン演算部84に出力する。一方、第1ARS異常判定部81は、ARS角度偏差ΔθrがARS角度偏差閾値Δθrth以下である場合には、第1ARS異常判定ではARSアクチュエータ13が正常であると判定する。この場合、第1ARS異常判定部81は、第1ARS異常判定フラグFr1の値を「0」にしてARS故障確率演算部83及びARSアベイラビリティゲイン演算部84に出力する。
第2ARS異常判定部82には、ヨーレート目標値γ*及びヨーレートγが入力される。第2ARS異常判定部82は、上記第2EPS異常判定部62と同様の異常判定を実行し、その判定結果を示す第2ARS異常判定フラグFr2をARS故障確率演算部83に出力する。
ARS故障確率演算部83には、第1ARS異常判定フラグFr1及び第2ARS異常判定フラグFr2が入力される。ARS故障確率演算部83は、これらのフラグFr1,Fr2に基づいて、上記EPS故障確率演算部63と同様に、ARSアクチュエータ13が故障している確率であるARS故障確率Prを演算する。ARS故障確率Prは、ARSアクチュエータ13の異常に関する異常指標である。つまり、ARS故障確率演算部83は、異常指標演算処理を実行する。このように演算されたARS故障確率Prは、ARSアベイラビリティゲイン演算部84に出力される。
ARSアベイラビリティゲイン演算部84には、後輪転舵角指令値θr*、後輪転舵角θr、第1ARS異常判定フラグFr1及びARS故障確率Prが入力される。ARSアベイラビリティゲイン演算部84は、これらの状態量に基づいて、上記EPSアベイラビリティゲイン演算部64と同様に、ARS故障確率ゲインGpr及びARS角度比率ゲインGrrを演算する。そして、ARSアベイラビリティゲイン演算部84は、ARS故障確率ゲインGpr及びARS角度比率ゲインGrrのうちの小さい方、すなわち最小ゲインをARSアベイラビリティゲインGarとして乗算器86に出力する。つまり、ARSアベイラビリティゲイン演算部84は、ゲイン演算処理及び最小ゲイン選択処理を実行する。なお、ARS故障確率ゲインGpr及びARS角度比率ゲインGrrは、それぞれ「0」以上「1」以下の値である。
ARSアベイラビリティ基本値演算部85には、車速V及び横加速度Gyが入力される。ARSアベイラビリティ基本値演算部85は、これらの状態量に基づいて、EPSアベイラビリティ基本値演算部65と同様に、ARSアベイラビリティ基本値Ar_bを演算する。つまり、ARSアベイラビリティ基本値演算部85は、基本値演算処理を実行する。ARSアベイラビリティ基本値Ar_bは、ARSアクチュエータ13が正常な場合のアベイラビリティであり、車両の運動状態に応じて変化する。具体的には、ARSアベイラビリティ基本値Ar_bは、後輪3Rが路面から受ける反力に応じて変化する。このように演算されたARSアベイラビリティ基本値Ar_bは、乗算器86に出力される。
乗算器86には、ARSアベイラビリティゲインGar及びARSアベイラビリティ基本値Ar_bが入力される。そして、ARSアベイラビリティ演算部53は、乗算器86において、ARSアベイラビリティ基本値Ar_bにARSアベイラビリティゲインGarを乗算することにより、ARSアベイラビリティArを演算する。このように演算されたARSアベイラビリティArは、上記のように指令値演算部42に出力される。
(BRKアベイラビリティ演算部54)
図3に示すように、BRKアベイラビリティ演算部54は、右前輪BRKアベイラビリティ演算部54aと、左前輪BRKアベイラビリティ演算部54bと、右後輪BRKアベイラビリティ演算部54cと、左後輪BRKアベイラビリティ演算部54dとを備えている。
右前輪BRKアベイラビリティ演算部54aには、車速Vと、ヨーレートγと、横加速度Gyと、右前輪制動力指令値Bfr*と、右前輪制動力Bfrとが入力される。右前輪BRKアベイラビリティ演算部54aは、これらの状態量に基づいて、右前輪BRKアベイラビリティAbfrを演算するとともに切り替え信号Sswを生成する。
左前輪BRKアベイラビリティ演算部54bには、車速Vと、ヨーレートγと、横加速度Gyと、左前輪制動力指令値Bfl*と、左前輪制動力Bflとが入力される。左前輪BRKアベイラビリティ演算部54bは、これらの状態量に基づいて、左前輪BRKアベイラビリティAbflを演算するとともに切り替え信号Sswを生成する。
右後輪BRKアベイラビリティ演算部54cには、車速Vと、ヨーレートγと、横加速度Gyと、右後輪制動力指令値Brr*と、右後輪制動力Brrとが入力される。右後輪BRKアベイラビリティ演算部54cは、これらの状態量に基づいて、右後輪BRKアベイラビリティAbrrを演算するとともに切り替え信号Sswを生成する。
左後輪BRKアベイラビリティ演算部54dには、車速Vと、ヨーレートγと、横加速度Gyと、左後輪制動力指令値Brl*と、左後輪制動力Brlとが入力される。左後輪BRKアベイラビリティ演算部54dは、これらの状態量に基づいて、左後輪BRKアベイラビリティAbrlを演算するとともに切り替え信号Sswを生成する。
ここで、右前輪BRKアベイラビリティ演算部54a、左前輪BRKアベイラビリティ演算部54b、右後輪BRKアベイラビリティ演算部54c、及び左後輪BRKアベイラビリティ演算部54dによる各演算は、同様の方法で実行される。そのため、右前輪BRKアベイラビリティ演算部54aによる演算についてのみ説明し、左前輪BRKアベイラビリティ演算部54b、右後輪BRKアベイラビリティ演算部54c、及び左後輪BRKアベイラビリティ演算部54dによる各演算については、その説明を省略する。
図9に示すように、右前輪BRKアベイラビリティ演算部54aは、第1BRK異常判定部91と、第2BRK異常判定部92と、BRK故障確率演算部93と、BRKアベイラビリティゲイン演算部94と、BRKアベイラビリティ基本値演算部95と、乗算器96とを備えている。右前輪BRKアベイラビリティ演算部54aは、BRKアクチュエータ14の異常に関する異常指標により示されるBRKアクチュエータ14の異常の可能性が高い場合には、BRKアクチュエータ14の異常の可能性が低い場合のBRKアベイラビリティAbfr以下となるように、BRKアベイラビリティAbfrを演算する。
詳しくは、第1BRK異常判定部91には、右前輪制動力指令値Bfr*及び右前輪制動力Bfrが入力される。第1BRK異常判定部91は、右前輪制動力指令値Bfr*と右前輪制動力Bfrとの差分である制動力偏差ΔBfrを演算する。第1BRK異常判定部91は、制動力偏差ΔBfrと予め設定された制動力偏差閾値ΔBthとの大小比較を行う。そして、第1BRK異常判定部91は、制動力偏差ΔBfrが制動力偏差閾値ΔBthよりも大きい場合には、第1BRK異常判定ではBRKアクチュエータ14が異常であると判定する。この場合、第1BRK異常判定部91は、第1BRK異常判定フラグFbfr1の値を「1」にしてBRK故障確率演算部93及びBRKアベイラビリティゲイン演算部94に出力する。一方、第1BRK異常判定部91は、制動力偏差ΔBfrが制動力偏差閾値ΔBth以下である場合には、第1BRK異常判定ではBRKアクチュエータ14が正常であると判定する。この場合、第1BRK異常判定部91は、第1BRK異常判定フラグFbfr1の値を「0」にしてBRK故障確率演算部93及びBRKアベイラビリティゲイン演算部94に出力する。
第2BRK異常判定部92には、ヨーレート目標値γ*及びヨーレートγが入力される。第2BRK異常判定部92は、上記第2EPS異常判定部62と同様の異常判定を実行し、その判定結果を示す第2BRK異常判定フラグFbfr2をBRK故障確率演算部93に出力する。
BRK故障確率演算部93には、第1BRK異常判定フラグFbfr1及び第2BRK異常判定フラグFbfr2が入力される。BRK故障確率演算部93は、これらのフラグFbfr1,Fbfr2に基づいて、上記EPS故障確率演算部63と同様に、BRKアクチュエータ14が故障している確率であるBRK故障確率Pbfrを演算する。BRK故障確率Pbfrは、BRKアクチュエータ14の異常に関する異常指標である。つまり、BRK故障確率演算部93は、異常指標演算処理を実行する。このように演算されたBRK故障確率Pbfrは、BRKアベイラビリティゲイン演算部94に出力される。
BRKアベイラビリティゲイン演算部94には、右前輪制動力指令値Bfr*、右前輪制動力Bfr、第1BRK異常判定フラグFbfr1及びBRK故障確率Pbfrが入力される。BRKアベイラビリティゲイン演算部94は、これらの状態量に基づいて、BRK故障確率ゲインGpbfr及び制動力比率ゲインGrbfrを演算する。そして、BRKアベイラビリティゲイン演算部94は、BRK故障確率ゲインGpbfr及び制動力比率ゲインGrbfrのうちの小さい方、すなわち最小ゲインをBRKアベイラビリティゲインGabfrとして乗算器96に出力する。つまり、BRKアベイラビリティゲイン演算部94は、ゲイン演算処理及び最小ゲイン選択処理を実行する。なお、BRK故障確率ゲインGpbfr及び制動力比率ゲインGrbfrは、それぞれ「0」以上「1」以下の値である。
まず、BRK故障確率ゲインGpbfrの演算について説明する。
BRKアベイラビリティゲイン演算部94は、BRK故障確率Pbfrに基づいて、BRK故障確率ゲインGpbfrの演算、又は切り替え信号Sswの生成を行う。具体的には、BRKアベイラビリティゲイン演算部94は、BRK故障確率Pbfrに関係なく、BRK故障確率ゲインGpbfrを「1」として演算する。一方、BRKアベイラビリティゲイン演算部94は、BRK故障確率Pbfrが異常判定閾値Pbth2よりも大きくかつ「100%」以下である場合には、切り替え信号Sswを生成する。異常判定閾値Pbth2は、BRKアクチュエータ14が故障であるとみなして差し支えない最小の確率であり、例えば「80%」に設定されている。このように演算されたBRKアベイラビリティゲインGabfrは乗算器96に出力され、切り替え信号Sswは上記指令値演算部42に出力される。
これにより、図10に示すように、BRK故障確率ゲインGpbfrは、BRK故障確率Pbfrに関係なく、「1」のまま一定である。そして、BRK故障確率Pbfrが異常判定閾値Pbth2以下である場合、BRKアクチュエータ14は第1制御モードで制御される。一方、BRK故障確率Pbfrが異常判定閾値Pbth2よりも大きい場合、BRKアクチュエータ14は第2制御モードで制御される。
次に、制動力比率ゲインGrbfrの演算について説明する。
図9に示すように、BRKアベイラビリティゲイン演算部94は、右前輪制動力Bfrを右前輪制動力指令値Bfr*によって除算することにより、制動力比率Rbfrを演算する。そのため、制動力比率Rbfrは、右前輪制動力指令値Bfr*に対して右前輪制動力Bfrがどの程度追従できているかを示し、BRKアクチュエータ14の異常に関する異常指標である。なお、制動力比率RbfrをBRK異常レベル又は単に異常レベルと参照することがある。つまり、BRKアベイラビリティゲイン演算部94は、異常指標演算処理を実行する。
BRKアベイラビリティゲイン演算部94は、第1BRK異常判定フラグFbfr1の値が「0」である間は、制動力比率Rbfrと関係なく、制動力比率ゲインGrbfrを「1」と演算する。そして、BRKアベイラビリティゲイン演算部94は、第1BRK異常判定フラグFbfr1の値が「1」である間は、制動力比率Rbfrに応じて、制動力比率ゲインGrbfrを変更する。
具体的には、BRKアベイラビリティゲイン演算部94は、制動力比率Rbfrが「1」である場合には、制動力比率ゲインGrbfrを「1」と演算する。BRKアベイラビリティゲイン演算部94は、制動力比率Rbfrが「1」よりも小さい場合には、制動力比率Rbfrが「0」以下となっても、制動力比率ゲインGrbfrを「1」と演算する。BRKアベイラビリティゲイン演算部94は、第1BRK異常判定フラグFbfr1の値が「1」である場合には、制動力比率Rbfrが「1」よりも大きくなるほど、制動力比率ゲインGrbfrが小さくなるように演算する。BRKアベイラビリティゲイン演算部94は、制動力比率Rbfrが「1」と制動力比率閾値Rbthとの加算値よりも大きい場合には、制動力比率ゲインGrbfrを「0」と演算する。
これにより、図11に示すように、制動力比率ゲインGrbfrは、制動力比率Rbfrが「1」以下の場合には、「1」のまま一定となる。一方、制動力比率ゲインGrbfrは、制動力比率Rbfrが「1」よりも大きくなるほど、「1」を最大値として、線形的に小さくなるように演算される。
図9に示すように、BRKアベイラビリティ基本値演算部95には、車速V及び横加速度Gyが入力される。BRKアベイラビリティ基本値演算部95は、これらの状態量に基づいてEPSアベイラビリティ基本値演算部65と同様に、BRKアベイラビリティ基本値Abfr_bを演算する。つまり、BRKアベイラビリティ基本値演算部95は、基本値演算処理を実行する。BRKアベイラビリティ基本値Abfr_bは、BRKアクチュエータ14が正常な場合のアベイラビリティであり、車両の運動状態に応じて変化する。具体的には、BRKアベイラビリティ基本値Abfr_bは、右前輪が路面から受ける反力に応じて変化する。このように演算されたBRKアベイラビリティ基本値Abfr_bは、乗算器96に出力される。
乗算器96には、BRKアベイラビリティゲインGabfr及びBRKアベイラビリティ基本値Abfr_bが入力される。そして、右前輪BRKアベイラビリティ演算部54aは、乗算器96において、BRKアベイラビリティ基本値Abfr_bにBRKアベイラビリティゲインGabfrを乗算することにより、右前輪BRKアベイラビリティAbfrを演算する。このように演算された右前輪BRKアベイラビリティAbfrは、上記のように指令値演算部42に出力される。
(動作例)
次に、アクチュエータ11~14の動作例について説明する。
上記のように、VGRアベイラビリティAv及びARSアベイラビリティArは、それぞれEPSアベイラビリティAeと同様に演算される。そのため、VGR前輪転舵角指令値θv*に対するVGR前輪転舵角θvの変化傾向が、EPS前輪転舵角指令値θe*に対するEPS前輪転舵角θeの変化傾向と同じであれば、VGRアクチュエータ12はEPSアクチュエータ11と同様にその作動が制限される。また、後輪転舵角指令値θr*に対する後輪転舵角θrの変化傾向が、EPS前輪転舵角指令値θe*に対するEPS前輪転舵角θeの変化傾向と同じであれば、ARSアクチュエータ13はEPSアクチュエータ11と同様にその作動が制限される。そのため、以下では、VGRアクチュエータ12及びARSアクチュエータ13の動作の説明を省略する。また、図12~図20において、EPS前輪転舵角指令値θe*を実線で示し、EPS前輪転舵角θeを破線で示す。
(動作例1)
例えば図12に示すように、時刻t1まではEPS前輪転舵角指令値θe*に対してEPS前輪転舵角θeがほぼ追従できているものの、時刻t1以降、EPS前輪転舵角指令値θe*の増加に対してEPS前輪転舵角θeの増加が不足し、EPS角度比率Reが徐々に小さくなる場合を想定する。この場合、EPS角度偏差ΔθeがEPS角度偏差閾値Δθethよりも大きくなり、第1EPS異常判定フラグFe1の値が「1」になる時刻t2までは、EPS角度比率ゲインGreが「1」と演算される。また、この場合において、ヨーレート目標値γ*とヨーレートγとの大小比較に基づく第2EPS異常判定にて正常であると判定されれば、EPS故障確率ゲインGpeが「1」と演算される。そのため、EPSアベイラビリティゲインGaeが「1」と演算され、EPSアベイラビリティAeが正常な場合のアベイラビリティであるEPSアベイラビリティ基本値Ae_bとなる。その結果、時刻t2までは、車両運動制御に従う車両運動を実現させるように、EPSアクチュエータ11の作動が通常通りに制御される。
時刻t2以降、EPS角度偏差ΔθeがEPS角度偏差閾値Δθethよりも大きくなると、第1EPS異常判定フラグFe1の値が「1」となる。そして、EPS角度比率Reの減少に応じてEPS角度比率ゲインGreが小さくなるように演算される。また、第1EPS異常判定フラグFe1の値が「1」となることに伴い、EPS故障確率が増加し、EPS故障確率ゲインGpeが小さくなるように演算される。そのため、EPSアベイラビリティゲインGaeが「1」よりも小さくなり、EPSアベイラビリティAeがEPSアベイラビリティ基本値Ae_bよりも小さくなる。その結果、時刻t2以降は、車両運動制御に従う車両運動を実現させるように、EPSアベイラビリティAeに従う制限状態で、EPSアクチュエータ11の作動が制御される。これにより、車両2の異常な挙動の発生が抑制される。
なお、このようにEPSアクチュエータ11の作動を制限する状況は、図12に示すような場合に限らない。例えば図13に示すように、時刻t1以降、EPS前輪転舵角指令値θe*が増加するにも関わらず、EPS前輪転舵角θeが減少する場合でも、同様にEPSアクチュエータ11の作動を制限する状況となる。
次に、BRKアクチュエータ14の動作について説明する。右前輪制動力指令値Bfr*及び右前輪制動力Bfrが、例えば図12又は図13に示すEPS前輪転舵角指令値θe*及びEPS前輪転舵角θeと同様に変化することにより、制動力比率Rbfrが小さくなる場合を想定する。制動力比率Rbfrが小さくなっても、制動力比率ゲインGrbfrは「1」のままである。そのため、第1制御モードから第2制御モードに切り替える旨の切り替え信号Sswが出力されない場合は、車両運動制御に従う車両運動を実現させるように、第1制御モードでBRKアクチュエータ14の作動が通常通り制御される。つまり、各車輪に付与する制動力が独立して制御される。一方、BRK故障確率Pbfrが異常判定閾値Pbth2よりも大きくなると、第2制御モードでBRKアクチュエータ14の作動が制御される。つまり、各車輪に付与する制動力が同一となるように制御される。これにより、車両2を積極的に旋回させるためには、BRKアクチュエータ14の作動が制御されなくなる。
(動作例2)
例えば図14に示すように、時刻t1まではEPS前輪転舵角指令値θe*に対してEPS前輪転舵角θeがほぼ追従できているものの、時刻t1以降、EPS前輪転舵角指令値θe*の増加に対してEPS前輪転舵角θeが過剰に増加し、EPS角度比率Reが徐々に大きくなる場合を想定する。この場合、EPS角度比率ゲインGreは、例えば図12又は図13に示す場合と同様に、時刻t2までは「1」と演算され、時刻t2以降はEPS角度比率Reの増加に応じて小さくなるように演算される。そして、時刻t3においてEPS角度比率Reが「1」とEPS角度比率閾値Rethとの加算値よりも大きくなると、それ以降はEPS角度比率ゲインGreが「0」と演算される。
その結果、時刻t2までは、車両運動制御に従う車両運動を実現させるように、EPSアクチュエータ11の作動が通常通り制御される。時刻t2以降は、車両運動制御に従う車両運動を実現させるように、EPSアベイラビリティAeに従う制限状態で、EPSアクチュエータ11の作動が制御される。時刻t3以降は、車両運動制御の実行のためには、EPSアクチュエータ11の作動が制御されなくなる。
なお、このようにEPSアクチュエータ11の作動を制限する状況は、図14に示すような場合に限らない。例えば図15に示すように、時刻t1以降、EPS前輪転舵角指令値θe*が減少するにも関わらず、EPS前輪転舵角θeが増加する場合でも、同様にEPSアクチュエータ11の作動を制限する状況となる。
次に、BRKアクチュエータ14の動作について説明する。右前輪制動力指令値Bfr*及び右前輪制動力Bfrが、例えば図14又は図15に示すEPS前輪転舵角指令値θe*及びEPS前輪転舵角θeと同様に変化することにより、制動力比率Rbfrが大きくなる場合を想定する。この場合、制動力比率ゲインGrbfrは、制動力偏差ΔBfrが制動力偏差閾値ΔBthよりも大きくなり、第1BRK異常判定フラグFbfr1の値が「1」になる時刻t2までは「1」と演算される。時刻t2以降は、制動力比率Rbfrの増加に応じて制動力比率ゲインGrbfrが小さくなるように演算される。そして、時刻t3において制動力比率Rbfrが「1」と制動力比率閾値Rbthとの加算値よりも大きくなると、それ以降は制動力比率ゲインGrbfrが「0」と演算される。
その結果、時刻t2までは、車両運動制御に従う車両運動を実現させるように、第1制御モードでBRKアクチュエータ14の作動が通常通り制御される。時刻t2以降は、車両運動制御に従う車両運動を実現させるように、BRKアベイラビリティAbfr,Abfl,Abrr,Abrlに従う制限状態で、BRKアクチュエータ14の作動が制御される。時刻t3以降は、車両運動制御の実行のためには、BRKアクチュエータ14の作動が制御されなくなる。また、時刻t3となるまでの間であっても、BRK故障確率Pbfrが異常判定閾値Pbth2よりも大きくなると、車両2を積極的に旋回させるためには、BRKアクチュエータ14の作動が制御されなくなる。
(動作例3)
例えば図16に示すように、時刻t1まではEPS前輪転舵角指令値θe*及びEPS前輪転舵角θeがそれぞれ「0」であり、時刻t1以降、EPS前輪転舵角指令値θe*が「0」のまま一定であるにも関わらず、EPS前輪転舵角θeが増加する場合を想定する。この場合、EPS角度偏差ΔθeがEPS角度偏差閾値Δθethよりも大きくなる時刻t2までは、EPS角度比率ゲインGreが「1」と演算される。時刻t2以降、EPS角度比率Reが無限大となるため、EPS角度比率ゲインGreは「0」と演算される。
その結果、第2EPS異常判定にて異常であると判定されていなければ、時刻t2までは、車両運動制御に従う車両運動を実現させるように、EPSアクチュエータ11の作動が通常通り制御される。時刻t2以降は、車両運動制御の実行のためには、EPSアクチュエータ11の作動が制御されなくなる。
次に、BRKアクチュエータ14の動作について説明する。右前輪制動力指令値Bfr*及び右前輪制動力Bfrが、例えば図16に示すEPS前輪転舵角指令値θe*及びEPS前輪転舵角θeと同様に変化することにより、制動力比率Rbfrが無限大となる場合を想定する。この場合、時刻t2までは、制動力比率ゲインGrbfrが「1」と演算される。時刻t2以降、制動力比率Rbfrが無限大となるため、制動力比率ゲインGrbfrは「0」と演算される。
その結果、時刻t2までは、車両運動制御に従う車両運動を実現させるように、第1制御モードでBRKアクチュエータ14の作動が通常通り制御される。時刻t2以降は、車両運動制御の実行のためには、BRKアクチュエータ14の作動が制御されなくなる。また、時刻t2となるまでの間であっても、BRK故障確率Pbfrが異常判定閾値Pbth2よりも大きくなると、車両2を積極的に旋回させるためには、BRKアクチュエータ14の作動が制御されなくなる。
(動作例4)
例えば図17に示すように、時刻t1まではEPS前輪転舵角指令値θe*及びEPS前輪転舵角θeがそれぞれ「0」であり、時刻t1以降、EPS前輪転舵角指令値θe*が増加しても、EPS前輪転舵角θeが変化せず、EPS角度比率Reが「0」である場合を想定する。この場合、EPS角度偏差ΔθeがEPS角度偏差閾値Δθethよりも大きくなる時刻t2までは、EPS角度比率ゲインGreが「1」と演算される。時刻t2以降、EPS角度比率ゲインGreが「0」と演算される。
その結果、第2EPS異常判定にて異常であると判定されていなければ、時刻t2までは、車両運動制御に従う車両運動を実現させるように、EPSアクチュエータ11の作動が通常通り制御される。時刻t2以降は、車両運動制御の実行のためには、EPSアクチュエータ11の作動が制御されなくなる。
なお、このようにEPSアクチュエータ11の作動を制限する状況は、図17に示すような場合に限らない。例えば図18に示すように、EPS前輪転舵角指令値θe*が正の一定値であるにも関わらず、時刻t1以降、EPS前輪転舵角θeが負の値となるように減少する場合でも、同様にEPSアクチュエータ11の作動を制限する状況となる。
次に、BRKアクチュエータ14の動作について説明する。右前輪制動力指令値Bfr*及び右前輪制動力Bfrが、例えば図17又は図18に示すEPS前輪転舵角指令値θe*及びEPS前輪転舵角θeと同様に変化することにより、制動力比率Rbfrが「0」以下となる場合を想定する。この場合、制動力比率Rbfrが小さくなっても、制動力比率ゲインGrbfrは「1」のままである。そのため、BRK故障確率Pbfrが異常判定閾値Pbth2以下である場合は、車両運動制御に従う車両運動を実現させるように、第1制御モードでBRKアクチュエータ14の作動が通常通り制御される。なお、BRK故障確率Pbfrが異常判定閾値Pbth2よりも大きくなると、車両2を積極的に旋回させるためには、BRKアクチュエータ14の作動が制御されなくなる。
(動作例5)
例えば図19に示すように、EPS前輪転舵角指令値θe*が正の一定値である場合において、時刻t1以降、EPS前輪転舵角θeが僅かに変動する場合を想定する。つまり、EPS角度偏差ΔθeがEPS角度偏差閾値Δθeth以下であり、第1EPS異常判定フラグFe1の値が「0」のまま、EPS前輪転舵角θeがEPS前輪転舵角指令値θe*に追従する場合を想定する。この場合、EPS角度比率ゲインGreは、継続して「1」と演算される。その結果、第2EPS異常判定にて異常であると判定されていなければ、車両運動制御に従う車両運動を実現させるように、EPSアクチュエータ11の作動が通常通り制御される。
次に、BRKアクチュエータ14の動作について説明する。右前輪制動力指令値Bfr*及び右前輪制動力Bfrが、例えば図19に示すEPS前輪転舵角指令値θe*及びEPS前輪転舵角θeと同様に変化する場合を想定する。この場合、制動力偏差ΔBfrが制動力偏差閾値ΔBth以下であり、第1BRK異常判定フラグFbfr1の値が「0」であるため、制動力比率ゲインGrbfrは「1」のままである。そのため、BRK故障確率Pbfrが異常判定閾値Pbth2以下である場合は、車両運動制御に従う車両運動を実現させるように、第1制御モードでBRKアクチュエータ14の作動が通常通り制御される。なお、BRK故障確率Pbfrが異常判定閾値Pbth2よりも大きくなると、車両2を積極的に旋回させるためには、BRKアクチュエータ14の作動が制御されなくなる。
(動作例6)
例えば図20に示すように、EPS前輪転舵角指令値θe*が正の一定値である場合において、時刻t1以降、EPS前輪転舵角θeが大きく変動する場合を想定する。具体的には、時刻t1以降、EPS前輪転舵角θeが減少し、時刻t2でEPS角度偏差ΔθeがEPS角度偏差閾値Δθethよりも大きくなる。その後、EPS前輪転舵角θeが負の値となった後に増大に転じ、時刻t4でEPS角度偏差ΔθeがEPS角度偏差閾値Δθeth以下となる。そして、EPS前輪転舵角θeが継続して増加し、時刻t5でEPS角度偏差ΔθeがEPS角度偏差閾値Δθethよりも大きくなる。
この場合、EPS角度比率ゲインGreは、時刻t2までは「1」と演算される。時刻t2以降、EPS角度比率ゲインGreは徐々に小さくなり、一旦「0」になった後、徐々に増加する。そして、EPS角度比率ゲインGreは、時刻t4で「1」となると、時刻t5までは「1」のままとなる。時刻t5以降、EPS角度比率ゲインGreは徐々に小さくなる。
その結果、第2EPS異常判定にて異常であると判定されていなければ、時刻t2までは、車両運動制御に従う車両運動を実現させるように、EPSアクチュエータ11の作動が通常通り制御される。時刻t2以降は、EPSアベイラビリティAeに従う制限状態でEPSアクチュエータ11の作動が制御され、一旦車両運動制御の実行のためには、EPSアクチュエータ11の作動が制御されなくなる。その後、車両運動制御に従う車両運動を実現させるように、EPSアベイラビリティAeに従う制限状態でEPSアクチュエータ11の作動が再び制御される。時刻t4以降は、EPSアクチュエータ11の作動が通常通り制御される。そして、時刻t5以降は、EPSアベイラビリティAeに従う制限状態でEPSアクチュエータ11の作動が制御される。
次に、BRKアクチュエータ14の動作について説明する。右前輪制動力指令値Bfr*及び右前輪制動力Bfrが、例えば図20に示すEPS前輪転舵角指令値θe*及びEPS前輪転舵角θeと同様に変化する場合を想定する。この場合、制動力比率ゲインGrbfrは、時刻t2以降、時刻t5までは「1」と演算される。時刻t5以降、制動力比率ゲインGrbfrは徐々に小さくなる。
そのため、BRK故障確率Pbfrが異常判定閾値Pbth2以下である場合、時刻t5までは車両運動制御に従う車両運動を実現させるように、第1制御モードでBRKアクチュエータ14の作動が通常通り制御される。時刻t5以降は、車両運動制御に従う車両運動を実現させるように、BRKアベイラビリティAbfr,Abfl,Abrr,Abrlに従う制限状態でBRKアクチュエータ14の作動が制御される。なお、時刻t5となるまでの間であっても、BRK故障確率Pbfrが異常判定閾値Pbth2よりも大きくなると、車両2を積極的に旋回させるためには、BRKアクチュエータ14の作動が制御されなくなる。
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)EPSアベイラビリティ演算部51は、EPS角度比率Re及びEPS故障確率Peを演算する。EPSアベイラビリティ演算部51は、EPS角度比率Re及びEPS故障確率Peにより示されるEPSアクチュエータ11の異常の可能性が高い場合には、EPSアクチュエータ11の異常の可能性が低い場合のEPSアベイラビリティAe以下となるように、EPSアベイラビリティAeを演算する。このようにEPSアベイラビリティ演算部51は、EPS角度比率Re及びEPS故障確率Peを反映させてEPSアベイラビリティAeを演算する。そのため、EPSアクチュエータ11の異常に応じて制限を加えたEPSアベイラビリティAeを適切に演算できる。なお、VGRアベイラビリティAv、ARSアベイラビリティAr及びBRKアベイラビリティAbfr,Abfl,Abrr,Abrlについても、同様のことが言える。
(2)EPSアベイラビリティ演算部51は、EPS角度比率Reに応じたEPS角度比率ゲインGreと、EPS故障確率Peに応じたEPS故障確率ゲインGpeと、EPSアベイラビリティ基本値Ae_bとを演算する。EPSアベイラビリティ演算部51は、EPSアベイラビリティ基本値Ae_bと、EPS角度比率ゲインGre及びEPS故障確率ゲインGpeとに基づいて、EPSアベイラビリティAeを演算する。このようにEPS角度比率Re及びEPS故障確率Peをそれぞれゲインで表すため、EPSアクチュエータ11の異常に応じて制限を加えたEPSアベイラビリティAeを容易に演算できる。なお、VGRアベイラビリティAv、ARSアベイラビリティAr及びBRKアベイラビリティAbfr,Abfl,Abrr,Abrlについても、同様のことが言える。
(3)EPSアベイラビリティ演算部51は、EPS角度比率ゲインGre及びEPS故障確率ゲインGpeのうちの最も小さい最小ゲインを選択し、EPSアベイラビリティ基本値Ae_b及び最小ゲインに基づいて、EPSアベイラビリティAeを演算する。そのため、EPSアクチュエータ11の異常を最も厳格に示す異常指標に基づいて、EPSアベイラビリティAeが小さくなるように演算される。これにより、車両2の異常な挙動の発生を好適に抑制できる。なお、VGRアベイラビリティAv、ARSアベイラビリティAr及びBRKアベイラビリティAbfr,Abfl,Abrr,Abrlについても、同様のことが言える。
(4)EPSアベイラビリティ演算部51は、EPS角度比率Reの「1」からの乖離が大きくなるほど、EPS角度比率ゲインGreが小さくなるように演算する。
EPS角度比率Reが「1」である場合には、EPS前輪転舵角指令値θe*に対して実際値であるEPS前輪転舵角θeが追従できており、EPSアクチュエータ11の異常の可能性が低いと考えられる。一方、EPS角度比率Reが「1」から離れた値である場合には、EPS前輪転舵角指令値θe*とEPS前輪転舵角θeとの乖離が大きくなり、EPSアクチュエータ11の異常の可能性が高いと考えられる。そして、上記構成では、EPS角度比率Reの「1」からの乖離が大きくなるほど、すなわちEPSアクチュエータ11の異常の可能性が高くなるほど、EPS角度比率ゲインGreを小さくなる。これにより、EPSアクチュエータ11の異常に応じてEPSアベイラビリティAeを好適に小さくすることができ、ひいては車両2の異常な挙動の発生を抑制できる。なお、VGRアベイラビリティAv及びARSアベイラビリティArについても、同様のことが言える。
(5)BRKアベイラビリティ演算部54は、制動力比率Rbfrが「1」未満の場合には、制動力比率Rbfrが「1」の場合と同一の値となるように制動力比率ゲインGrbfrを演算する。一方、BRKアベイラビリティ演算部54は、制動力比率Rbfrが「1」よりも大きな場合には、制動力比率Rbfrが大きくなるほど、制動力比率ゲインGrbfrが小さくなるように演算する。
制動力比率Rbfrが「1」未満の場合には、BRKアクチュエータ14により付与される制動力が過小となる異常の可能性が高くなる。この場合、BRKアクチュエータ14が車両2の挙動に十分な影響を与えられなくなる。そのため、BRKアベイラビリティAbfr,Abfl,Abrr,Abrlを小さくしなくても、車両運動が過剰に変化することはない。一方、制動力比率Rbfrが「1」よりも大きな場合には、同制動力が過大となる異常の可能性が高くなる。この場合、BRKアベイラビリティAbfr,Abfl,Abrr,Abrlを小さくしないと、車両運動が過剰に変化するおそれがある。この点を踏まえ、上記構成では、制動力比率Rbfrが「1」よりも大きな場合にのみ、制動力比率Rbfrが大きくなるほど、制動力比率ゲインGrbfrが小さくなる。これにより、BRKアクチュエータ14の異常に応じてBRKアベイラビリティを好適に小さくすることができ、ひいては車両2の異常な挙動の発生を好適に抑制できる。
(6)EPSアベイラビリティ演算部51は、EPS故障確率Peが正常判定閾値Peth1よりも大きい場合、EPS故障確率Peが大きくなるほど、EPS故障確率ゲインGpeが小さくなるように演算する。そのため、EPSアクチュエータ11の故障確率が大きいほど、すなわちEPSアクチュエータ11がEPS前輪転舵角指令値θe*に従って作動しない可能性が高くなるほど、EPS故障確率ゲインGpeが小さくなる。これにより、EPSアクチュエータ11の異常に応じてEPSアベイラビリティAeを好適に小さくすることができ、ひいては車両2の異常な挙動の発生を抑制できる。なお、VGRアベイラビリティAv及びARSアベイラビリティArについても、同様のことが言える。
(7)BRKアベイラビリティ演算部54は、BRK故障確率Pbfrが異常判定閾値Pbth2以上となった場合に、BRKECU18の制御モードを第1制御モードから第2制御モードに切り替えるための切り替え信号Sswを出力する。そのため、BRKアクチュエータ14の故障確率が大きい場合、すなわちBRKアクチュエータ14が制動力指令値Bfr*,Bfl*,Brr*,Brl*に従って作動しない可能性が高い場合には、BRKアクチュエータ14は各車輪に同一の制動力を付与するように制御される。これにより、BRKアクチュエータ14の作動によって車両2を積極的に旋回させなくなるため、車両2の異常な挙動の発生を抑制できる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態において、BRK故障確率Pbfrが異常判定閾値Pbth2以上となった場合に、BRKECU18の制御モードを第1制御モードから第2制御モードに切り替えるための切り替え信号Sswを出力しなくてもよい。
・上記実施形態において、EPS故障確率Peに基づいて演算されるEPS故障確率ゲインGpeの値は適宜変更可能である。例えば、EPS故障確率Peが正常判定閾値Peth1よりも大きくかつ異常判定閾値Peth2以下である場合にEPS故障確率ゲインGpeを「1」と演算してもよい。また、例えばEPS故障確率Peが正常判定閾値Peth1以下である場合にも、EPS故障確率Peが大きくなるほど、EPS故障確率ゲインGpeが小さくなるように演算してもよい。なお、VGR故障確率ゲインGpv及びARS故障確率ゲインGprについても、同様のことが言える。
また、BRK故障確率Pbfrに基づいて演算されるBRK故障確率ゲインGpbfrの値は適宜変更可能である。例えばBRK故障確率Pbfrが正常判定閾値Pbth1以下である場合と、BRK故障確率Pbfrが正常判定閾値Pbth1よりも大きくかつ異常判定閾値Pbth2以下である場合とで、BRK故障確率ゲインGpbfrを異なる値としてもよい。
・上記実施形態では、マップ演算によりEPS故障確率Peを演算したが、これに限らず、例えば関数式を用いた演算等、他の方法によりEPS故障確率Peを演算してもよい。この変形は、VGR故障確率Pv、ARS故障確率Pr及びBRK故障確率Pbfrの演算についても、同様に適用できる。
・上記実施形態において、EPS角度比率Reに基づいて演算されるEPS角度比率ゲインGreの値は適宜変更可能である。上記実施形態では、第1EPS異常判定フラグFe1の値が「0」である間は、EPS角度比率ゲインGreを「1」としたが、これに限らない。例えば第1EPS異常判定フラグFe1の値が「0」である間においても、EPS角度比率Reの「1」からの乖離が大きくなるほど、EPS角度比率ゲインGreが小さくなるように演算してもよい。つまり、EPS角度比率Reの変化に応じてEPS角度比率ゲインGreを直ちに変更してもよい。この変形は、VGR角度比率ゲインGrv及びARS角度比率ゲインGrrの演算についても、同様に適用できる。
また、制動力比率Rbfrに基づいて演算される制動力比率ゲインGrbfrの値は適宜変更可能である。例えば制動力比率Rbfrが「1」と制動力比率閾値Rbthとの加算値よりも大きい場合に、制動力比率ゲインGrbfrが「0」よりも大きい一定の下限値となるように演算してもよい。また、例えば制動力比率Rbfrが「1」未満の場合には、制動力比率Rbfrが小さくなるほど、制動力比率ゲインGrbfrが小さくなるように演算してもよい。さらに、例えば第1BRK異常判定フラグFbfr1の値が「0」である間においても、制動力比率Rbfrが「1」よりも大きくなるほど、制動力比率ゲインGrbfrが小さくなるように演算してもよい。
・上記実施形態では、EPS角度比率ReをEPS異常レベルとして参照したが、これに限らず、例えばEPS角度偏差ΔθeをEPS異常レベルとして参照してもよい。この構成では、EPS角度偏差Δθeが正の値である場合と、EPS角度比率Reが「1」よりも大きい場合とが互いに対応する。また、EPS角度偏差Δθeが負の値である場合と、EPS角度比率Reが「1」よりも小さい場合とが互いに対応する。なお、EPSアベイラビリティゲイン演算部64は、第1EPS異常判定部61が第1EPS異常判定を実行する過程で演算したEPS角度偏差Δθeを用いることができる。この変形は、VGRアベイラビリティゲインGav、ARSアベイラビリティゲインGar及びBRKアベイラビリティゲインGabfrを演算する場合についても、同様に適用できる。
・上記実施形態では、EPSアベイラビリティ基本値演算部65にEPS性能アベイラビリティAe_nが記憶されていたが、これに限らない。例えば、EPSアベイラビリティ基本値演算部65は、EPS性能アベイラビリティAe_nを通信により外部から取得してもよい。また、EPSアベイラビリティ基本値Ae_bの演算方法は、適宜変更可能であり、車速V及び横加速度Gy以外の状態量により係数Keを演算してもよい。さらに、例えば車両2が走行している路面μを取得し、取得した路面μを考慮して、EPSアベイラビリティ基本値Ae_bを算出してもよい。なお、VGRアベイラビリティ基本値Av_b、ARSアベイラビリティ基本値Ar_b及びBRKアベイラビリティ基本値Abfr_bの演算についても同様である。
・上記実施形態では、EPSアベイラビリティ演算部51は、EPSアベイラビリティ基本値演算部65で演算されたEPSアベイラビリティ基本値Ae_bを用いてEPSアベイラビリティAeを演算したが、これに限らない。例えばEPSECU15がEPSアベイラビリティ基本値を演算する構成とし、EPSアベイラビリティ演算部51は、このEPSアベイラビリティ基本値を用いてEPSアベイラビリティAeを演算してもよい。この変形は、VGRアベイラビリティAv、ARSアベイラビリティAr及びBRKアベイラビリティAbfr,Abfl,Abrr,Abrlの演算についても、同様に適用できる。
・上記実施形態では、EPS故障確率ゲインGpe及びEPS角度比率ゲインGreのうちの小さい方をEPSアベイラビリティゲインGaeとした。しかし、これに限らず、例えばEPS故障確率ゲインGpeとEPS角度比率ゲインGreとを乗算することにより得られる値をEPSアベイラビリティゲインGaeとして演算してもよい。また、EPSアベイラビリティゲイン演算部64がEPS故障確率ゲインGpe及びEPS角度比率ゲインGreのいずれか一方のみを演算する構成とし、この一方のゲインをEPSアベイラビリティゲインGaeとしてもよい。これらの変形は、VGRアベイラビリティゲインGav、ARSアベイラビリティゲインGar及びBRKアベイラビリティゲインGabfrについても、同様に適用できる。
・上記実施形態では、EPSアベイラビリティ演算部51は、第1EPS異常判定及び第2EPS異常判定を行ったが、これに限らず、1つのEPS異常判定のみを行ってもよく、また3つ以上のEPS異常判定を行ってもよい。EPS異常判定の方法としては、例えば車両運動制御を実現するための横加速度目標値と実際の横加速度との偏差に基づく異常判定を採用できる。また、例えばEPS角度偏差Δθeに基づく異常判定について、複数のEPS角度偏差閾値を設定してもよい。具体的には、例えば第1EPS角度偏差閾値と、第1EPS角度偏差閾値よりも大きな第2EPS角度偏差閾値とを設定する。そして、EPS角度偏差Δθeと第1EPS角度偏差閾値との大小比較を第1-1EPS異常判定とし、EPS角度偏差Δθeと第2EPS角度偏差閾値との大小比較を第1-2EPS異常判定とする。これらの変形は、VGRアベイラビリティ演算部52、ARSアベイラビリティ演算部53及びBRKアベイラビリティ演算部54についても、同様に適用できる。
・上記実施形態において、アクチュエータ11~14のアベイラビリティが閾値よりも小さくなった場合に、その旨をディスプレイ又はスピーカ等の報知装置を用いて運転者に報知してもよい。
・上記実施形態では、制御要求ユニット31は、周辺監視装置21により取得された周辺監視情報に基づいて、制御目標値であるヨーレート目標値γ*を演算したが、これに限らず、他の情報を考慮して、ヨーレート目標値γ*を演算してもよい。例えば制御要求ユニット31は、周辺監視情報に加え、制御プラットフォーム32が演算するアベイラビリティを考慮して、ヨーレート目標値γ*を演算してもよい。
・上記実施形態では、アベイラビリティ演算部41は、アクチュエータ11~14のアベイラビリティを指令値演算部42に出力したが、これに限らず、例えば車両運動制御装置1の外部に出力してもよい。
・上記実施形態では、制御目標値をヨーレート目標値γ*としたが、これに限らず、制御目標値は、例えば車両2の横加速度目標値、又は車両2のスリップ角目標値であってもよい。また、制御目標値は、車両運動制御に従う車両2の目標軌跡や、アクチュエータ11~14に対する指令値であってもよい。
・上記実施形態において、指令値演算部42によるアクチュエータ11~14に対する指令値の演算方法は、適宜変更可能である。
・上記実施形態では、車両運動制御に従う車両運動を実現させるためのアクチュエータとして、アクチュエータ11~14が車両2に搭載されていたが、これに限らず、アクチュエータ11~14の少なくとも1つが車両に搭載されていればよい。また、アクチュエータ11~14に加えて、又はこれらに代えて、他のアクチュエータが車両に搭載されてもよい。他のアクチュエータとしては、例えばインホイールモータ等の各車輪の駆動力を制御するアクチュエータや、ステアバイワイヤ式のステアリング装置において前輪3Fを転舵させる転舵アクチュエータ等が挙げられる。
・上記実施形態では、車両運動制御装置1が制御要求ユニット31及び制御プラットフォーム32を備える構成としたが、これに限らない。例えば車両運動制御装置1が制御プラットフォーム32のみを備える構成とし、外部に設けられた制御要求ユニットから制御目標値が入力されるようにしてもよい。また、車両運動制御装置1がECU15~18のいずれか1つに組み込まれていてもよい。換言すると、ECU15~18のいずれか1つが車両運動制御装置1の機能を有していてもよい。
・上記実施形態において、アクチュエータ11~14のアベイラビリティを演算せず、BRK故障確率に基づいてBRKECU18の制御モードを第1制御モードから第2制御モードに切り替えるための切り替え信号Sswのみを出力してもよい。
次に、上記実施形態及び変形例から把握できる技術的思想について、その効果とともに以下に追記する。
(イ)車両運動制御に従う車両運動を実現させるためのアクチュエータが搭載される車両を制御対象とし、前記車両運動制御を実行するための制御目標値を出力する制御要求ユニットと、前記アクチュエータの作動を制御するアクチュエータ制御ユニットとの間に設けられる制御プラットフォームを備える車両運動制御装置であって、前記アクチュエータは、前記車両の複数の車輪に制動力を付与するブレーキアクチュエータを含み、前記アクチュエータ制御ユニットは、前記ブレーキアクチュエータの作動を制御するブレーキアクチュエータ制御ユニットを含み、前記ブレーキアクチュエータ制御ユニットは、前記複数の車輪のそれぞれに対して独立に制動力を付与する第1制御モードと、前記複数の車輪に対して同一の制動力を付与する第2制御モードとのいずれか一方に切り替え可能に構成されたものであって、前記制御プラットフォームは、前記ブレーキアクチュエータに対する異常判定の結果に基づいて故障確率を演算する処理と、前記故障確率が異常判定閾値よりも大きい場合に、前記ブレーキアクチュエータを前記第1制御モードから前記第2制御モードに切り替えるための切り替え信号を出力する信号出力処理と、を実行する、車両運動制御装置。
上記構成によれば、ブレーキアクチュエータの故障確率が大きい場合、すなわちブレーキアクチュエータが指令値に従って作動しない可能性が高い場合には、ブレーキアクチュエータが各車輪に同一の制動力を付与するように制御される。これにより、ブレーキアクチュエータの作動によって車両を積極的に旋回させなくなるため、車両の異常な挙動の発生を抑制できる。