JP2022121412A - イリジウム錯体化合物、イリジウム錯体化合物含有組成物、有機電界発光素子とその製造方法、有機el表示装置、及び有機el照明装置 - Google Patents

イリジウム錯体化合物、イリジウム錯体化合物含有組成物、有機電界発光素子とその製造方法、有機el表示装置、及び有機el照明装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、半値幅をできるだけ狭くし、同時に、高い溶媒への溶解性と、高い発光効率を損なわず、有機EL素子で用いられたときの駆動寿命を長くするイリジウム錯体化合物の提供を目的とする。【解決手段】特定のイリジウム錯体化合物による。【選択図】図1

Description

本発明はイリジウム錯体化合物に関し、特に、有機電界発光(以下、「有機EL」と称す場合がある)素子の発光層の材料として有用なイリジウム錯体化合物、該化合物及び溶剤を含有するイリジウム錯体化合物含有組成物、該化合物を含有する有機電界発光素子とその製造方法、並びに、該有機電界発光素子を有する有機EL表示装置及び有機EL照明装置に関する。
有機EL照明や有機ELディスプレイ(表示装置)など、有機EL素子を利用する各種電子デバイスが実用化されている。有機電界発光素子は、印加電圧が低いため消費電力が小さく、三原色発光も可能であるため、大型のディスプレイモニターだけではなく、携帯電話やスマートフォンに代表される中小型ディスプレイへの応用が始まっている。
有機電界発光素子は発光層や電荷注入層、電荷輸送層など複数の層を積層することにより製造される。現在、有機電界発光素子の多くは、有機材料を真空下で蒸着することにより製造されているが、真空蒸着法では、蒸着プロセスが煩雑となり、生産性に劣る。また、真空蒸着法で製造された有機電界発光素子では照明やディスプレイのパネルの大型化が極めて難しい。そのため、近年、大型のディスプレイや照明に用いることのできる有機電界発光素子を効率よく製造するプロセスとして、塗布法である湿式成膜法塗布法が盛んに研究されている。湿式成膜法は、真空蒸着法に比べて安定した層を容易に形成できる利点があるため、ディスプレイや照明装置の量産化や大型デバイスへの適用が期待されている。
有機電界発光素子を湿式成膜法で製造するためには、使用される材料はすべて有機溶剤に溶解してインクとして使用できるものでなくてはならない。仮に使用材料が溶剤溶解性に劣る場合には、長時間加熱するなどの操作を要するため、使用前に材料が劣化してしまう可能性がある。さらに、溶液状態で長時間均一状態を保持することができなければ、溶液から材料の析出が起こり、インクジェット装置などによる成膜が不可能となってしまう。即ち、湿式成膜法に使用される材料には、有機溶剤に速やかに溶解することと、溶解した後析出せず均一状態を保持すること、という2つの意味での溶解性が求められる。
ところで、有機ELディスプレイにおいては、長い駆動寿命、広い色域すなわち高い色再現率に加え、高い発光効率の実現が要求されている。とくに赤色領域は、CIE(国際照明委員会)のXYZ表色系座標においてx座標が0.68~0.71というかなり深い赤色が求められている。深い赤色を発色させるためには、発光材料の発光極大波長をより長波長、例えば615nm以上とする必要がある。加えて、人間の視感度も赤色領域において長波長になるにつれ大きく低下するため、深赤色の領域においては、より大きな発光強度が求められる。
また、有機ELディスプレイの積層構造として、光の取り出す方向が異なる二つの方式がある。製造工程が比較的簡単とされているボトムエミッション方式は、有機分子の光をTFT(薄膜トランジスタ:Thin Film Transistor)基板側の下から取り出す方式であるが、有機分子の光利用効率が低い難点がある。これに対して、トップエミッション方式は画素回路などがない封止ガラスの上から光を取り出すため、発光した光を外部に効率よく取り出すことができる。しかし、トップエミッション方式を用いた場合、特定の波長以外の光は積層構造内で反射、打ち消しあい消光してしまうため、積層構造外に出てこない性質がある。このため発光材料の発光スペクトルの半値幅が大きい場合、特定波長以外の光は積層構造外に出てこず、結果的に発光の効率が下がることになる。従って、発光スペクトルの半値幅を少しでも狭くすることは、ディスプレイをより広色域化かつ高輝度化するために好ましく、非常に重要な技術開発の目標となっている。
上記の通り、赤色発光材料においては、1.溶媒への溶解度が高く、2.発光効率が高く、また、3.発光スペクトルの半値幅が狭い、という性質が求められる。上記1.については、配位子に縮合環を増やすなど、過度に剛直な構造にせず、比較的長鎖のアルキル基を導入する等の技術が知られている。上記2.について、赤色領域ではいわゆる「エネルギーギャップ則」が支配的となるため、波長が長くなるにつれ熱に散逸する割合が増加することから、特定の波長における量子収率には上限がある。これに対して、もともと効率の高い燐光発光材料を利用することや、これらの材料の量子収率を損なうような置換基の排除や構造の対称性を増す、MLCT(Metal to Ligand Charge Transfer)性を増加させ燐光放射速度を大きくする、等の技術が近年明らかになってきている。同時に、有機EL素子としての駆動寿命を長くすることを達成しなければならない。たとえ上述した3要素を実現する材料を創造できたとしても、耐久性が損なわれ駆動寿命が短くなってしまうと、ディスプレイなどの製品として使用することが困難になるためである。
赤色発光材料としては、りん光発光を利用するイリジウム錯体化合物が用いられてきた。特に、特許文献1~5に示すようなフェニル-ピリジンにトリアジン型置換基が導入された配位子を有するイリジウム錯体化合物が知られている。特許文献1には、特定の構造を有するイリジウム錯体化合物の開示がある。同様に特許文献2~4にも、特定の構造を有するイリジウム錯体化合物の開示がある。
国際公開第2015/105014号 米国特許出願公開第2016/359122号明細書 国際公開第2016/015815号 国際公開第2017/103584号 国際公開第2021/019884号
一方で、上記3.の発光スペクトルの半値幅を狭くする課題に対する知見は、まだ十分とは言えない。
例えば、特許文献1には、トリアジンに2つの芳香環が結合した構造を有するイリジウム錯体化合物の開示があるが、半値幅に改善の余地がある。
また、特許文献2に開示された配位子が非対称である、いわゆるヘテロレプチック型イリジウム錯体にも半値幅は広がってしまう課題がある。
特許文献3には、比較的半値幅が狭い赤色発光のイリジウム錯体化合物の開示があるが、まだ改善を要すると考えられる。
特許文献4に開示されているイリジウム錯体化合物は、効率が低く、発光波長が長すぎて赤外領域となっている。
特許文献5には、スピロフルオレン型のイリジウム錯体化合物の開示がある。しかし、このような剛直な骨格とする場合、錯体の溶解性が必ずしも高くないか、あるいは溶解性を高めるために大きい可溶化基を導入せざるを得なくなるため、結果として有機EL素子の特性を大きく低下させる懸念がある。また、フルオレン環のひずみが錯体分子の振動状態を変化させるため、本質的にスペクトルの半値幅が広がってしまう可能性が高い。
本発明は、半値幅をできるだけ狭くし、同時に、高い溶媒への溶解性と、高い発光効率を損なわず、有機EL素子で用いられたときの駆動寿命を長くするイリジウム錯体化合物の提供を目的とする。
上記課題を解決した本発明は例えば下記である。
<1>下記式(1)で表されるイリジウム錯体化合物。
Figure 2022121412000002
[式(1)において、Irはイリジウム原子を表す。R~R12は、それぞれ独立に水素原子、D、F、Cl、Br、I又は置換基を表す。R21およびR22は、それぞれ独立に炭素数1以上30以下の、直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素数3以上30以下の環状アルキル基、炭素数5以上60以下のアラルキル基または炭素数5以上60以下のヘテロアラルキル基を表す。R~R11並びにR21およびR22は互いに隣り合う基同士でさらに結合して環を形成してもよい。ただし、RおよびRのいずれか一つは下記式(2)で表される置換基である。]
Figure 2022121412000003
[式(2)において、破線は式(1)との結合手を表す。R31およびR32は、それぞれ独立に水素原子、D、F、Cl、Br、I又は置換基を表す。Xは、それぞれ独立にCHまたはNを表し、3個のXのうち少なくとも1個はNである。]
<2>前記式(1)が下記式(3)である<1>に記載のイリジウム錯体化合物。
Figure 2022121412000004
[式(3)において、Ir、R~R12、R21およびR22は、前記式(1)における定義と同様である。]
<3>前記式(1)または前記式(3)において、R~R12は下記である、<1>または<2>に記載のイリジウム錯体化合物。
[R~R12は、それぞれ独立に、水素原子、D、F、Cl、Br、I、-N(R’)、-CN、-NO、-OH、-COOR’、-C(=O)R’、-C(=O)NR’、-P(=O)(R’)、-S(=O)R’、-S(=O)R’、-OS(=O)R’、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数3以上30以下の環状アルキル基、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルコキシ基、炭素数2以上30以下の環状アルコキシ基、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキルチオ基、炭素数2以上30以下の環状アルキルチオ基、炭素数2以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルケニル基、炭素数3以上30以下の環状アルケニル基、炭素数2以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキニル基、炭素数3以上30以下の環状アルキニル基、炭素数5以上60以下の芳香族基、炭素数1以上60以下の複素芳香族基、炭素数5以上40以下のアリールオキシ基、炭素数5以上40以下のアリールチオ基、炭素数5以上60以下のアラルキル基、炭素数2以上60以下のヘテロアラルキル基、炭素数10以上40以下のジアリールアミノ基、炭素数10以上40以下のアリールヘテロアリールアミノ基、又は、炭素数10以上40以下のジヘテロアリールアミノ基から選ばれる。
該アルキル基、該アルコキシ基、該アルキルチオ基、該アルケニル基および該アルキニル基は、少なくとも1つ以上の水素原子がさらにR’(ただし水素原子を除く。)で置換されていてもよく、これらの基における1つの-CH-基あるいは2以上の隣接していない-CH-基が、-C(-R’)=C(-R’)-、-C≡C-、-Si(-R’)、-C(=O)-、-NR’-、-O-、-S-、-CONR’-もしくは2価の芳香族基に置き換えられていてもよい。また、これらの基における一つ以上の水素原子が、D、F、Cl、Br、I又は-CNで置換されていてもよい。
該芳香族基、該複素芳香族基、該アリールオキシ基、該アリールチオ基、該アラルキル基、該ヘテロアラルキル基、該ジアリールアミノ基、該アリールヘテロアリールアミノ基および該ジヘテロアリールアミノ基は、それぞれ独立に、少なくとも1つ以上の水素原子がさらにR’(ただし水素原子を除く。)で置換されていてもよい。
R’はそれぞれ独立に、水素原子、D、F、Cl、Br、I、-N(R’’)、-CN、-NO、-Si(R’’)、-B(OR’’)、-C(=O)R’’、-P(=O)(R’’)、-S(=O)R’’、-OSOR’’、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数3以上30以下の環状アルキル基、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルコキシ基、炭素数2以上30以下の環状アルコキシ基、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキルチオ基、炭素数2以上30以下の環状アルキルチオ基、炭素数2以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルケニル基、炭素数3以上30以下の環状アルケニル基、炭素数2以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキニル基、炭素数3以上30以下の環状アルキニル基、炭素数5以上60以下の芳香族基、炭素数1以上60以下の複素芳香族基、炭素数5以上40以下のアリールオキシ基、炭素数5以上40以下のアリールチオ基、炭素数5以上60以下のアラルキル基、炭素数2以上60以下のヘテロアラルキル基、炭素数10以上40以下のジアリールアミノ基、炭素数10以上40以下のアリールヘテロアリールアミノ基又は炭素数10以上40以下のジヘテロアリールアミノ基から選ばれる。
該アルキル基、該アルコキシ基、該アルキルチオ基、該アルケニル基および該アルキニル基は、少なくとも1つ以上の水素原子がさらにR’’(ただし水素原子を除く。)で置換されていてもよく、これらの基における1つの-CH-基あるいは2以上の隣接していない-CH-基が、-C(-R’’)=C(-R’’)-、-C≡C、-Si(-R’’)-、-C(=O)-、-NR’’-、-O-、-S-、-CONR’’-もしくは2価の芳香族基に置き換えられていてもよい。また、これらの基における一つ以上の水素原子が、D、F、Cl、Br、I又は-CNで置換されていてもよい。
該芳香族基、該複素芳香族基、該アリールオキシ基、該アリールチオ基、該アラルキル基、該ヘテロアラルキル基、該ジアリールアミノ基、該アリールヘテロアリールアミノ基および該ジヘテロアリールアミノ基は、それぞれ独立に、少なくとも1つ以上の水素原子がさらにR’’(ただし水素原子を除く。)で置換されていてもよい。2つ以上の隣接するR’が互いに結合して、脂肪族又は芳香族もしくはヘテロ芳香族の、単環もしくは縮合環を形成してもよい。
R’’はそれぞれ独立に、水素原子、D、F、-CN、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、炭素数5以上20以下の芳香族基又は炭素数1以上20以下の複素芳香族基から選ばれる。
2つ以上の隣接するR’’が互いに結合して、脂肪族又は芳香族もしくはヘテロ芳香族の、単環もしくは縮合環を形成してもよい。]
<4>前記式(2)において、3個のXのうち少なくとも2個はNである、<1>~<3>のいずれか1つに記載のイリジウム錯体化合物。
<5>R21およびR22のいずれもが、炭素数1以上30以下の直鎖または分岐アルキル基である、<1>~<4>のいずれか1つに記載のイリジウム錯体化合物。
<6>Rが前記式(2)で表される置換基である、<1>~<5>のいずれか1つに記載のイリジウム錯体化合物。
<7><1>~<6>のいずれか1つに記載のイリジウム錯体化合物と有機溶剤とを含む、イリジウム錯体化合物含有組成物。
<8>前記式(1)で表されるイリジウム錯体化合物よりも最大発光波長が短波長である下記式(4)で表される化合物をさらに含む、<7>に記載のイリジウム錯体化合物含有組成物。
Figure 2022121412000005
[式(4)中、R35は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~40の(ヘテロ)アラルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数3~20の(ヘテロ)アリールオキシ基、炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数6~20のアリールシリル基、炭素数2~20のアルキルカルボニル基、炭素数7~20のアリールカルボニル基、炭素数1~20のアルキルアミノ基、炭素数6~20のアリールアミノ基、または炭素数3~30の(ヘテロ)アリール基である。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。R35が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
cは0~4の整数である。
環Aは、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、アザトリフェニレン環、カルボリン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環のいずれかである。
環Aは、置換基を有していてもよく、前記置換基は、F、Cl、Br、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~40の(ヘテロ)アラルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数3~20の(ヘテロ)アリールオキシ基、炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数6~20のアリールシリル基、炭素数2~20のアルキルカルボニル基、炭素数7~20のアリールカルボニル基、炭素数2~20のアルキルアミノ基、炭素数6~20のアリールアミノ基、または炭素数3~20の(ヘテロ)アリール基である。また、環Aに結合する隣り合う置換基同士が結合してさらに環を形成してもよい。環Aが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
は有機配位子を表し、
nは1~3の整数である。]
<9>下記式(20)で表される化合物をさらに含む、<7>または<8>に記載のイリジウム錯体化合物含有組成物。
Figure 2022121412000006
(式(20)中、
Wは、各々独立に、CH又はNを表し、少なくとも一つのWはNであり、
Xa、Ya、及びZaは、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数6~30の二価の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数3~30の二価の芳香族複素環基を表し、
Xa、Ya及びZaは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数3~30の芳香族複素環基を表し、
g11、h11、及びj11は各々独立に0~6の整数を表し、
g11、h11、及びj11の少なくとも一つは1以上の整数であり、
g11が2以上の場合、複数存在するXaは同一であっても異なっていてもよく、
h11が2以上の場合、複数存在するYaは同一であっても異なっていてもよく、
j11が2以上の場合、複数存在するZaは同一であっても異なっていてもよく、
31は水素原子又は置換基を表し、4個のR31は同一であっても異なっていてもよい。
但し、g11、h11、又はj11が0の場合、それぞれ対応するXa、Ya、又はZaは水素原子ではない。)
<10>基板上に陽極、陰極、及び、前記陽極と前記陰極の間に位置する少なくとも1層の有機層、を有する有機電界発光素子の製造方法であって、
前記有機層のうち少なくとも1層が、<7>~<9>のいずれか1つに記載のイリジウム錯体化合物含有組成物を用いて湿式成膜法にて形成される、有機電界発光素子の製造方法。
<11>基板上に陽極、陰極、及び、前記陽極と前記陰極の間に位置する少なくとも1層の有機層、を有し、
前記有機層のうち少なくとも1層が、<1>~<6>のいずれか1つに記載のイリジウム錯体化合物を含む発光層である、有機電界発光素子。
<12>前記式(1)で表されるイリジウム錯体化合物よりも最大発光波長が短波長である下記式(4)で表される化合物をさらに含む、<11>に記載の有機電界発光素子。
Figure 2022121412000007
[式(4)中、R35は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~40の(ヘテロ)アラルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数3~20の(ヘテロ)アリールオキシ基、炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数6~20のアリールシリル基、炭素数2~20のアルキルカルボニル基、炭素数7~20のアリールカルボニル基、炭素数1~20のアルキルアミノ基、炭素数6~20のアリールアミノ基、または炭素数3~30の(ヘテロ)アリール基である。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。R35が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
cは0~4の整数である。
環Aは、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、アザトリフェニレン環、カルボリン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環のいずれかである。
環Aは、置換基を有していてもよく、前記置換基は、F、Cl、Br、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~40の(ヘテロ)アラルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数3~20の(ヘテロ)アリールオキシ基、炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数6~20のアリールシリル基、炭素数2~20のアルキルカルボニル基、炭素数7~20のアリールカルボニル基、炭素数2~20のアルキルアミノ基、炭素数6~20のアリールアミノ基、または炭素数3~20の(ヘテロ)アリール基である。また、環Aに結合する隣り合う置換基同士が結合してさらに環を形成してもよい。環Aが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
は有機配位子を表し、
nは1~3の整数である。]
<13>前記発光層が下記式(20)で表される化合物をさらに含む、<11>または<12に>記載の有機電界発光素子。
Figure 2022121412000008
(式(20)中、
Wは、各々独立に、CH又はNを表し、少なくとも一つのWはNであり、
Xa、Ya、及びZaは、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数6~30の二価の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数3~30の二価の芳香族複素環基を表し、
Xa、Ya及びZaは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数3~30の芳香族複素環基を表し、
g11、h11、及びj11は各々独立に0~6の整数を表し、
g11、h11、及びj11の少なくとも一つは1以上の整数であり、
g11が2以上の場合、複数存在するXaは同一であっても異なっていてもよく、
h11が2以上の場合、複数存在するYaは同一であっても異なっていてもよく、
j11が2以上の場合、複数存在するZaは同一であっても異なっていてもよく、
31は水素原子又は置換基を表し、4個のR31は同一であっても異なっていてもよい。
但し、g11、h11、又はj11が0の場合、それぞれ対応するXa、Ya、又はZaは水素原子ではない。)
<14><11>~<13>のいずれか1つに記載の有機電界発光素子を含む、有機EL表示装置。
<15><11>~<13>のいずれか1つに記載の有機電界発光素子を含む、有機EL照明装置。
上記構成により、半値幅を狭く、溶媒への溶解度が高く、発光効率も従来と同等以上の性能を有し、かつ有機EL素子の駆動寿命も長くするイリジウム錯体化合物を提供することができる。
図1は、本発明の有機電界発光素子の構造の一例を模式的に示す断面図である。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形して実施することができる。
なお、本明細書において、「芳香環」とは「芳香族炭化水素環」を指し、環構成原子としてヘテロ原子を含む「複素芳香環」とは区別される。同様に、「芳香族基」とは「芳香族炭化水素基」又は「芳香族炭化水素環基」を指し、「複素芳香族基」とは「複素芳香族環基」を指す。
また、「D」とは重水素を指す。置換基のうち、(ヘテロ)アラルキル基とは、ヘテロ原子で置換されていてもよいアラルキル基、即ち、アラルキル基、又はアラルキル基を構成するアリール構造の炭素原子の少なくとも一つがヘテロ原子に置き換わった基を指し、(ヘテロ)アリールオキシ基とは、ヘテロ原子で置換されていてもよいアリールオキシ基、即ち、アリールオキシ基、又はアリールオキシ基を構成するアリール構造の炭素原子の少なくとも一つがヘテロ原子に置き換わった基を指し、(ヘテロ)アリール基とは、ヘテロ原子で置換されていてもよいアリール基、即ち、アリール基又は、アリール構造を構成する炭素原子の少なくとも一つがヘテロ原子に置き換わった基を指す。
構造式中、Meとはメチル基、を、Etとはエチル基を、Buとはターシャリーブチル基を、Phとはフェニル基を、Tfとはトリフルオロメチルスルホニル基を、Acとはアセチル基を、それぞれさす。
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の化学構造を有するイリジウム錯体化合物が、赤色発光材料として従来材料に比べ極めて狭い半値幅を示すと同時に、高い溶解性とPL量子収率とを示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
[イリジウム錯体化合物]
本実施形態に係るイリジウム錯体化合物は、下記式(1)で表される化合物である。
Figure 2022121412000009
[式(1)において、Irはイリジウム原子を表す。R1~R12は、それぞれ独立に水素原子、D、F、Cl、Br、I又は置換基を表す。R21およびR22はそれぞれ独立に炭素数1以上30以下の、直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素数3以上30以下の環状アルキル基、炭素数5以上60以下のアラルキル基または炭素数5以上60以下のヘテロアラルキル基を表す。R~R11並びにR21およびR22は互いに隣り合う基同士でさらに結合して環を形成してもよい。ただし、RおよびRのいずれか一つは下記式(2)で表される置換基である。]
Figure 2022121412000010
[式(2)において、破線は式(1)との結合手を表す。R31およびR32は、それぞれ独立に水素原子、D、F、Cl、Br、I又は置換基を表す。Xは、それぞれ独立にCHまたはNを表し、3個のXのうち少なくとも1個はNである。]
また、式(1)が下記式(3)であることが好ましい。
Figure 2022121412000011
[式(3)において、Ir、R~R12、R21およびR22は、前記式(1)における定義と同様である。]
本実施形態に係るイリジウム錯体化合物が赤色発光材料として従来材料に比べ極めて狭い半値幅を示すと同時に、高い溶解性と溶液PL量子収率を有し、併せて有機EL素子の発光材料として用いられるときにその駆動寿命を長くできる。この理由は以下のように推測される。
特許文献1には、フルオレン-ピリジン配位子にトリアジン環が結合し、さらに該トリアジン環に2つの芳香環が結合した構造を有するイリジウム錯体の開示がある。フルオレン環はビフェニル基を互いのオルト位でメチレン基で架橋されている構造を有している。
メチレン基の電子供与性に加え、2つのベンゼン環の二面角が小さくなり共役構造がより強くなるため、電子を豊富に有し、有機EL素子内で酸化を受けやすくなる。本実施形態ではフルオレンの特定の位置にさらにベンゾ基を縮環させることによって、イリジウム原子とフルオレン部位に分布するHOMOが広がり、酸化されたときにその酸化状態をより安定化することができるため、分解が抑制される。さらに、HOMOが広がることによって、正孔輸送能力が高まるため、素子の発光層においてより広い範囲で再結合を起こすことができるようになる。このことは発光層内で発光に関与できるイリジウム錯体化合物が増加することを意味しており、各イリジウム錯体化合物の負荷が軽減されるため、結果として素子の駆動寿命を長くすることができる。
特許文献4には、ベンゾフルオレンにイソキノリンが置換する構造が示されている。この構造は、イソキノリン環とベンゾフルオレン環の立体障害のためにこれらの結合部分が捻じれるため、錯体の化学的安定性が低くなり、さらに量子収率が低くなる。さらに、イソキノリン環の窒素原子が配位する配位子では発光波長が著しく長く近赤外領域の発光波長を示す。このため、有機ELディスプレイなどの赤色発光材料として用いることができなくなる。本願発明の配位子構造はそれらとは異なり、赤色の発光を示すことができる。
フルオレン環の特定の位置にベンゾ基が縮環することによる好ましい効果は半値幅を狭くすることにも表れる。一つにはフルオレン部分のHOMOの電子密度が増加することにより、イリジウム錯体から配位子へ電子供与される、いわゆるMLCT性が低減し、LC性の発光がより優位になる。もう一つに縮環によりフルオレン環部分の局所的な分子振動が抑制あるいは変調し、そのことが発光スペクトルの長波長側に現れる主ピークとは異なる振動ピークの強度を低減させるために、結果として半値幅が狭くなる。LC性の発光の寄与が大きくなると、スペクトルは幅広くならず、振動構造を伴うものの半値幅が比較的狭い主ピークが強く観測されることになる。
さらに、ベンゾ基が縮環することにより、配位子のベンゼン環の伸縮振動が変調を受け、より高波数で吸収するようになる。イリジウム錯体化合物の発光スペクトルは通常、主ピークと、それより長波長側に、いわゆる振動ピークと呼ばれる発光ピークが現れる。これは、エネルギーが最も高いT1状態から基底状態に遷移するときの発光が起こるとき、そのエネルギーの一部を特定の分子振動に渡し、残りのエネルギーが発光するという現象が一部生ずるためである。この分子振動は主に配位子のベンゼン環の伸縮振動であるとされ、その振動エネルギーの大きさは主ピークと振動ピークの発光極大波長の差と一致する。これら2つのピークの発光極大波長の差が小さいと、主ピークに振動ピークが一部重なるため、結果として主ピークは半値幅が広がることになる。ベンゾ基置換はこの特定の分子振動をより高いエネルギーへと変調を起こさせることにより、これら2つの発光極大波長の差を大きくし、主ピークの半値幅を狭くするという効果を示す。(参照:佐々木陽一、石谷修編著、錯体化学会選書2 金属錯体の光化学、83~98ページ、三共出版(株)2007年)
本実施形態における錯体の配位子構造は、フルオレン-ピリジンの主骨格に対して、式(2)に示すようなアジン環を該ピリジン環の特定の部位に置換させたものである。LUMOはピリジン環上からアジン環上へと分布を広げるか、あるいはアジン環上のみに局在するようになると考えられる。いずれにしろ結果として、ピリジン環と結合するイリジウム原子の関与が低下するために、量子収率も低くなるはずである。しかし、配位子の構造を見ると、フルオレン-ピリジンが直線構造になっていて、HOMOとLUMOとが配位子上で大きく重なりあっているために、イリジウム原子の関与の低下分が補償されることにより、結果として量子収率は低くならない。
特許文献2のような配位子が非対称である、いわゆるヘテロレプチック型イリジウム錯体は、その合成が容易ではない。また、対称性の高いホモレプチック型と比較して多くの振動モードを有し、さらにはHOMOやLUMOの分布も異なる配位子間に広がりを有してしまう、あるいは、発光に関与する主配位子に副配位子が干渉するため、結果として半値幅は広がってしまう。
一方、本実施形態に係る式(1)で表されるイリジウム錯体化合物は、3価のイリジウムに3つすべての配位子が同じものであるホモレプチック錯体(LIr)とすることで半値幅を狭くすることができる。また、イリジウムへの配位子が異なるヘテロレプチック錯体(L Ir、L Ir、あるいはLIr)のように、異なる配位子同士が互いに影響し合うこともないので、この点でも量子収率は良くなる傾向にある。
<ベンゾ基の置換位置>
フルオレン環に縮環するベンゾ基の位置には、フルオレン(ピリジン環が置換する位置が2位であり、イリジウム原子と結合する位置が3位であるとする)の5,6位、6,7位および7,8位の3種類存在する。いずれも半値幅を狭くする効果を有するが、発光波長を必要以上に長くすることなく、また錯体の溶解性を高く保つという観点から、好ましい縮環位置は5,6位である。
<R~R12
1~R12は、それぞれ独立に水素原子、D、F、Cl、Br、I又は置換基を表す。R~R11は互いに隣り合う基同士でさらに結合して環を形成してもよい。一方、R~Rが互いに隣り合う基同士でさらに結合して環を形成すると、該縮環構造が芳香環または複素芳香環である場合には著しい発光波長の長波長化が起こり、また、脂肪族炭化水素環である場合には、LUMOが分布しうる部分を遮蔽してしまうこととなり、有機EL素子で用いられる場合には駆動寿命を損なうおそれがあるため、好ましくない。
1~R12が置換基である場合、その種類に特に限定はなく、目的とする発光波長の精密な制御や用いる溶剤との相性、有機電界発光素子にする場合のホスト化合物との相性などを考慮して最適な置換基を選択することができる。それら最適化の検討に際して、好ましい置換基は以下に記述される範囲である。
~R12はそれぞれ独立に、水素原子、D、F、Cl、Br、I、-N(R’)、-CN、-NO、-OH、-COOR’、-C(=O)R’、-C(=O)NR’、-P(=O)(R’)、-S(=O)R’、-S(=O)R’、-OS(=O)R’、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数3以上30以下の環状アルキル基、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルコキシ基、炭素数2以上30以下の環状アルコキシ基、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキルチオ基、炭素数2以上30以下の環状アルキルチオ基、炭素数2以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルケニル基、炭素数3以上30以下の環状アルケニル基、炭素数2以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキニル基、炭素数3以上30以下の環状アルキニル基、炭素数5以上60以下の芳香族基、炭素数1以上60以下の複素芳香族基、炭素数5以上40以下のアリールオキシ基、炭素数5以上40以下のアリールチオ基、炭素数5以上60以下のアラルキル基、炭素数2以上60以下のヘテロアラルキル基、炭素数10以上40以下のジアリールアミノ基、炭素数10以上40以下のアリールヘテロアリールアミノ基、又は、炭素数10以上40以下のジヘテロアリールアミノ基から選ばれることが好ましい。
該アルキル基、該アルコキシ基、該アルキルチオ基、該アルケニル基および該アルキニル基は、少なくとも1つ以上の水素原子がさらにR’(ただし水素原子を除く。)で置換されていてもよく、これらの基における1つの-CH-基あるいは2以上の隣接していない-CH-基が、-C(-R’)=C(-R’)-、-C≡C-、-Si(-R’)、-C(=O)-、-NR’-、-O-、-S-、-CONR’-もしくは2価の芳香族基に置き換えられていてもよい。また、これらの基における一つ以上の水素原子が、D、F、Cl、Br、I又は-CNで置換されていてもよい。
該芳香族基、該複素芳香族基、該アリールオキシ基、該アリールチオ基、該アラルキル基、該ヘテロアラルキル基、該ジアリールアミノ基、該アリールヘテロアリールアミノ基および該ジヘテロアリールアミノ基は、それぞれ独立に、少なくとも1つ以上の水素原子がさらにR’(ただし水素原子を除く。)で置換されていてもよい。
R’については後述する。
炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキル基、又は、炭素数3以上30以下の環状アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、n-オクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などが挙げられる。アルキル基の場合、炭素数があまりにも多すぎると錯体を高度に遮蔽してしまい耐久性が損なわれるため、炭素数は1以上が好ましく、また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、12以下がさらに好ましい。ただし、分岐アルキル基の場合は、遮蔽効果が直鎖アルキル基や環状アルキル基と比べて大きいため、炭素数は7以下が最も好ましい。環状アルキル基の場合の炭素数は3以上である。
炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルコキシ基、又は、炭素数2以上30以下の環状アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、n-ブトキシ基、n-ヘキシルオキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-エトキシエトキシエトキシ基などが挙げられる。耐久性の観点から、炭素数は1以上が好ましく、また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、12以下が最も好ましい。環状アルコキシ基の場合の炭素数は2以上である。
炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキルチオ基、又は、炭素数2以上30以下の環状アルキルチオ基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、イソプロピルチオ基、シクロヘキシルチオ基、2-メチルブチルチオ基、n-ヘキシルチオ基などが挙げられる。耐久性の観点から、炭素数は1以上が好ましく、また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、12以下が最も好ましい。環状アルキルチオ基の場合の炭素数は2以上である。
炭素数2以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルケニル基、又は、炭素数3以上30以下の環状アルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ヘプテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基などが挙げられる。耐久性の観点から、炭素数は2以上が好ましく、また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、12以下が最も好ましい。環状アルケニル基の場合の炭素数は3以上である。
炭素数2以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキニル基、又は、炭素数3以上30以下の環状アルキニル基の例としては、エチニル基、プロピオニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基などが挙げられる。耐久性の観点から、炭素数は2以上が好ましく、また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、12以下が最も好ましい。環状アルキニル基の場合の炭素数は3以上である。
炭素数5以上60以下の芳香族基及び炭素数1以上60以下の複素芳香族基は、単一の環あるいは縮合環として存在していてもよいし、一つの環にさらに別の種類の芳香族基又は複素芳香族基が結合あるいは縮環してできる基であってもよい。
これらの例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ベンゾアントラセニル基、フェナントレニル基、ベンゾフェナントレニル基、ピレニル基、クリセニル基、フルオランテニル基、ペリレニル基、ベンゾピレニル基、ベンゾフルオランテニル基、ナフタセニル基、ペンタセニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、ジヒドロフェナントレニル基、ジヒドロピレニル基、テトラヒドロピレニル基、インデノフルオレニル基、フリル基、ベンゾフリル基、イソベンゾフリル基、ジベンゾフラニル基、チオフェン基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、ピロリル基、インドリル基、イソインドリル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、インドロカルバゾリル基、インデノカルバゾリル基、ピリジル基、シンノリル基、イソシンノリル基、アクリジル基、フェナンスリジル基、フェノチアジニル基、フェノキサジル基、ピラゾリル基、インダゾリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ナフトイミダゾリル基、フェナンスロイミダゾリル基、ピリジンイミダゾリル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ナフトオキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ピリミジル基、ベンゾピリミジル基、ピリダジニル基、キノキサリニル基、ジアザアントラセニル基、ジアザピレニル基、ピラジニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、ナフチリジニル基、アザカルバゾリル基、ベンゾカルボリニル基、フェナンスロリニル基、トリアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、トリアジニル基、2,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-4-イル基、テトラゾリル基、プリニル基、ベンゾチアジアゾリル基などが挙げられる。
溶解性と耐久性のバランスの観点から、これらの基の炭素数は3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、また、50以下であることが好ましく、40以下であることがより好ましく、30以下であることが最も好ましい。
炭素数5以上40以下のアリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ナフトキシ基、メトキシフェノキシ基などが挙げられる。溶解性と耐久性のバランスの観点から、これらのアリールオキシ基の炭素数は5以上が好ましく、また、30以下が好ましく、25以下がより好ましく、20以下が最も好ましい。
炭素数5以上40以下のアリールチオ基の例としては、フェニルチオ基、メチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基、メトキシフェニルチオ基などが挙げられる。溶解性と耐久性のバランスの観点から、これらのアリールチオ基の炭素数は5以上が好ましく、また、30以下が好ましく、25以下がより好ましく、20以下が最も好ましい。
炭素数5以上60以下のアラルキル基の例としては、1,1-ジメチル-1-フェニルメチル基、1,1-ジ(n-ブチル)-1-フェニルメチル基、1,1-ジ(n-ヘキシル)-1-フェニルメチル基、1,1-ジ(n-オクチル)-1-フェニルメチル基、フェニルメチル基、フェニルエチル基、3-フェニル-1-プロピル基、4-フェニル-1-n-ブチル基、1-メチル-1-フェニルエチル基、5-フェニル-1-n-プロピル基、6-フェニル-1-n-ヘキシル基、6-ナフチル-1-n-ヘキシル基、7-フェニル-1-n-ヘプチル基、8-フェニル-1-n-オクチル基、4-フェニルシクロヘキシル基などが挙げられる。溶解性と耐久性のバランスの観点から、これらのアラルキル基の炭素数は5以上が好ましく、また、40以下であることがより好ましい。
炭素数5以上60以下のヘテロアラルキル基の例としては、1,1-ジメチル-1-(2-ピリジル)メチル基、1,1-ジ(n-ヘキシル)-1-(2-ピリジル)メチル基、(2-ピリジル)メチル基、(2-ピリジル)エチル基、3-(2-ピリジル)-1-プロピル基、4-(2-ピリジル)-1-n-ブチル基、1-メチル-1-(2-ピリジル)エチル基、5-(2-ピリジル)-1-n-プロピル基、6-(2-ピリジル)-1-n-ヘキシル基、6-(2-ピリミジル)-1-n-ヘキシル基、6-(2,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-4-イル)-1-n-ヘキシル基、7-(2-ピリジル)-1-n-ヘプチル基、8-(2-ピリジル)-1-n-オクチル基、4-(2-ピリジル)シクロヘキシル基などが挙げられる。溶解性と耐久性のバランスの観点から、これらのヘテロアラルキル基の炭素数は5以上であることが好ましく、また、50以下であることが好ましく、40以下であることがより好ましく、30以下であることが最も好ましい。
炭素数10以上40以下のジアリールアミノ基の例としては、ジフェニルアミノ基、フェニル(ナフチル)アミノ基、ジ(ビフェニル)アミノ基、ジ(p-ターフェニル)アミノ基などが挙げられる。溶解性と耐久性のバランスの観点から、これらのジアリールアミノ基の炭素数は10以上であることが好ましく、また、36以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましく、25以下であることが最も好ましい。
炭素数10以上40以下のアリールヘテロアリールアミノ基の例としては、フェニル(2-ピリジル)アミノ基、フェニル(2,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-4-イル)アミノ基などが挙げられる。溶解性と耐久性のバランスの観点から、これらのアリールヘテロアリールアミノ基の炭素数は10以上であることが好ましく、また、36以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましく、25以下であることが最も好ましい。
炭素数10以上40以下のジヘテロアリールアミノ基としては、ジ(2-ピリジル)アミノ基、ジ(2,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-4-イル)アミノ基などが挙げられる。溶解性と耐久性のバランスの観点から、これらのジヘテロアリールアミノ基の炭素数は10以上であることが好ましく、また、36以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましく、25以下であることが最も好ましい。
~R12としては特に有機電界発光素子における発光材料としての耐久性を損なわないという観点から、それぞれ独立に、水素原子、D,F、-CN、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数3以上30以下の環状アルキル基、炭素数5以上40以下のアリールオキシ基、炭素数5以上40以下のアリールチオ基、炭素数10以上40以下のジアリールアミノ基、炭素数5以上60以下のアラルキル基、炭素数5以上60以下の芳香族基または炭素数1以上60以下の複素芳香族基が好ましく、水素原子、F、-CN、アルキル基、アラルキル基、芳香族基又は複素芳香族基が特に好ましく、水素原子、F、-CN、アルキル基、芳香族基、複素芳香族基が最も好ましい。
ただし、RおよびR12はそれぞれ水素原子、DまたはFから選ばれることが好ましい。この位置にかさ高い置換基が導入されるとフルオレン-ピリジン間の結合が捻じれるため、HOMOとLUMOの重なりが減ずることになり、結果として量子収率が低下するためである。
<R21およびR22
21およびR22はフルオレンの橋頭位の置換基であるため、適切な置換基の種類を選択することにより、イリジウム錯体化合物の溶解性を向上させることができる。さらに、イリジウム原子およびフルオレン部分に分布するHOMOを適切に遮蔽することにより、スペクトル半値幅を狭く保つことができる。
21およびR22は、それぞれ独立に、炭素数1以上30以下の、直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素数3以上30以下の環状アルキル基、炭素数5以上60以下のアラルキル基または炭素数5以上60以下のヘテロアラルキル基である。さらに、R21およびR22は、それぞれ独立に、少なくとも1つ以上の水素原子がさらに後述のR’(ただし水素原子を除く。)で置換されていてもよい。
21およびR22の炭素数が多すぎると、HOMOを大きく遮蔽してしまい、正孔や電子を受容しにくくなる傾向にある。R21およびR22が水素原子であると、反応性の高い橋頭位が酸化を受け劣化が進みやすくなる。このため、R21およびR22のさらに好ましい種類としては、炭素数1以上20以下の、直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数5以上20以下のアラルキル基または炭素数5以上20以下のヘテロアラルキル基であり、特に好ましくは、炭素数1以上10以下の、直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数5以上12以下のアラルキル基または炭素数5以上12以下のヘテロアラルキル基であり、最も好ましくは、炭素数1以上10以下の直鎖若しくは分岐アルキル基である。この理由は、有機EL素子の発光層として用いられる場合に適度な溶解性が付与され、さらにHOMOが分布するフルオレン部分を適度に遮蔽することにより、層中で隣り合うホスト分子などと相互作用して消光してしまう過程を抑制することができるためである。半値幅を狭く保つという観点から、好ましくは、R21およびR22がともに同じ種類の置換基であることであり、さらに好ましくはR21およびR22が同一であることである。
<R’>
本明細書におけるR’は、水素原子、D、F、Cl、Br、I、-N(R’’)、-CN、-NO、-Si(R’’)、-B(OR’’)、-C(=O)R’’、-P(=O)(R’’)、-S(=O)R’’、-OSOR’’、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数3以上30以下の環状アルキル基、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルコキシ基、炭素数2以上30以下の環状アルコキシ基、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキルチオ基、炭素数2以上30以下の環状アルキルチオ基、炭素数2以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルケニル基、炭素数3以上30以下の環状アルケニル基、炭素数2以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキニル基、炭素数3以上30以下の環状アルキニル基、炭素数5以上60以下の芳香族基、炭素数1以上60以下の複素芳香族基、炭素数5以上40以下のアリールオキシ基、炭素数5以上40以下のアリールチオ基、炭素数5以上60以下のアラルキル基、炭素数2以上60以下のヘテロアラルキル基、炭素数10以上40以下のジアリールアミノ基、炭素数10以上40以下のアリールヘテロアリールアミノ基又は炭素数10以上40以下のジヘテロアリールアミノ基から選ばれる。R’が複数存在する場合は、それらは同一でも異なっていてもよい。
該アルキル基、該アルコキシ基、該アルキルチオ基、該アルケニル基および該アルキニル基は、少なくとも1つ以上の水素原子がさらにR’’(ただし水素原子を除く。)で置換されていてもよく、これらの基における1つの-CH-基あるいは2以上の隣接していない-CH-基が、-C(-R’’)=C(-R’’)-、-C≡C、-Si(-R’’)-、-C(=O)-、-NR’’-、-O-、-S-、-CONR’’-もしくは2価の芳香族基に置き換えられていてもよい。また、これらの基における一つ以上の水素原子が、D、F、Cl、Br、I又は-CNで置換されていてもよい。
また、 該芳香族基、該複素芳香族基、該アリールオキシ基、該アリールチオ基、該アラルキル基、該ヘテロアラルキル基、該ジアリールアミノ基、該アリールヘテロアリールアミノ基および該ジヘテロアリールアミノ基は、それぞれ独立に、少なくとも1つ以上の水素原子がさらにR’’(ただし水素原子を除く。)で置換されていてもよい。2つ以上の隣接するR’が互いに結合して、脂肪族又は芳香族もしくはヘテロ芳香族の、単環もしくは縮合環を形成してもよい。
R’’については後述する。
また、2つ以上の隣接するR’が互いに結合して、脂肪族又は芳香族もしくはヘテロ芳香族の、単環もしくは縮合環を形成してもよい。
上述の基の例はいずれも、R~R12の項の記載と同様である。
<R’’>
R’’はそれぞれ独立に、水素原子、D、F、-CN、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、炭素数5以上20以下の芳香族基又は炭素数1以上20以下の複素芳香族基から選ばれる。
2つ以上の隣接するR’’が互いに結合して、脂肪族又は芳香族もしくはヘテロ芳香族の、単環もしくは縮合環を形成してもよい。R’’が複数存在する場合は、それらは同一でも異なっていてもよい。
<式(2)>
式(1)のRおよびRのいずれか一つは式(2)で表される構造である。式(2)が設けられている箇所は、RまたはRのいずれでもよいが、耐久性及び半値幅をより狭くできるという観点から好ましくは、Rである。また、Rが式(2)である場合、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、DまたはFであることが好ましく、Rが式(2)である場合、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、DまたはFであることが好ましい。立体障害によりピリジン環と式(2)のアジン環の結合が大きく捻じれると、共役構造が切断されるため、結果として量子収率が低下してしまうためである。
<X>
Xは、それぞれ独立にCHまたはNを表すが、3個あるXのうち少なくとも一つはNである。電子求引性を高めてLC発光とし半値幅を狭くするという観点から、3個あるXのうち2個または3個全てがNであることが好ましい。
<R31およびR32
31およびR32の範囲は、R~R12と同一である。しかし、有機EL素子で用いられる場合の式(2)構造の化学的安定性の観点から、好ましくは、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数3以上30以下の環状アルキル基、炭素数5以上60以下のアラルキル基、炭素数5以上60以下のヘテロアラルキル基、炭素数5以上60以下の芳香族基、又は炭素数5以上60以下の複素芳香族基から選ばれる。溶解性と耐久性の観点から特に好ましくは、炭素数1以上30以下の、直鎖又は分岐アルキル基、炭素数5以上60以下の芳香族基または炭素数5以上60以下の複素芳香族基である。
半値幅の観点からは、R31およびR32のいずれか一つがアルキル基であることが好ましく、いずれもアルキル基であることがさらに好ましい。一方、アルキル基が分岐アルキル基の場合、式(2)構造のアジン環への電子接近が妨げられる可能性があることから、耐久性の観点からはR31又はR32の少なくとも一つ、好ましくは両方とも芳香族基であることが好ましい。
<具体例>
以下に、本実施形態に係るイリジウム錯体化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2022121412000012
Figure 2022121412000013
Figure 2022121412000014
Figure 2022121412000015
<最大発光波長>
本発明のイリジウム錯体化合物は、発光波長をより長波長にすることができる。発光波長の長さを示す指標としては、以下に示す手順で測定した最大発光波長が600nm以上であることが好ましく、610nm以上であることがより好ましく、615nm以上であることがさらに好ましい。また、650nm以下が好ましく、640nm以下がより好ましく、635nm以下であることがさらに好ましい。短すぎると発光色が赤ではなく橙色に偏るし、長すぎると、上述のエネルギーギャップ則に従い量子収率が大きく低下してしまうためである。これらの範囲であることで、有機電界発光素子として好適な赤色発光材料の好ましい色を発現できる傾向にある。
(最大発光波長の測定方法)
常温下で、トルエンに、当該イリジウム錯体化合物を濃度1×10-4mol/L以下で溶解した溶液について、分光光度計(浜松ホトニクス社製 有機EL量子収率測定装置C9920-02)で燐光スペクトルを測定する。得られた燐光スペクトル強度の最大値を示す波長を、本発明における最大発光波長とみなす。
<イリジウム錯体化合物の合成方法>
<7H-ベンゾ[c]フルオレン骨格の合成方法>
7H-ベンゾ[c]フルオレン骨格の合成方法については、米国特許2018/0226579明細書には、2-ヨード-5-ブロモ安息香酸メチルと1-ナフチルボロン酸との鈴木カップリング反応と、得られるカップリング体のメチルエステル部位へ2当量のグリニャール試薬を反応させて第三級アルコールを経て閉環反応を起こさせる方法が開示されている。特に、最後の閉環反応を段階的に行わせる改良方法が日本国特開2007-321022号公報に開示されている。類似の方法でフルオレン骨格を合成することは広く行われているために、本発明に好適に用いられる7H-ベンゾ[c]フルオレン骨格の化合物が試薬として市販されている場合もある。
<配位子の合成方法>
本発明のイリジウム錯体化合物の配位子は、既知の方法の組み合わせなどにより合成され得る。
7H-ベンゾ[c]フルオレン環部位はその9-位に臭素や-B(OH)基などを有する化合物を原料として用いることにより容易に導入できる。7H-ベンゾ[c]フルオレン-ピリジン配位子の合成は、これらの原料をさらに、ハロゲン化ピリジン類との鈴木-宮浦カップリング反応により合成することができる。用いるハロゲン化ピリジンを、例えば4-または5-ブロモ-2-ヨードピリジンとすれば、得られる中間物は、ピリジン上に臭素が置換する2-(7H-ベンゾ[c]フルオレン-9-イル)-ピリジンとなり、これをさらにボロン酸エステルへと導くことにより、次の二置換クロロトリアジン化合物との鈴木・宮浦カップリング反応により最終的な配位子を合成することができる。
二置換クロロトリアジン化合物の合成には様々な公知手法がある。トリアジン環に同じ置換基を2つ導入する場合には、例えば日本国特開2016-160180号公報記載の方法のように、2当量のグリニャール試薬を塩化シアヌルと反応させることにより合成することができる。
また、トリアジン環に非対称な置換基を導入する場合には、グリニャール反応と鈴木・宮浦カップリング反応を用いて置換基を段階的に導入する方法が好ましい。これは、例えば、中国特許出願公開第101544613号明細書記載の方法が挙げられる。
Figure 2022121412000016
<イリジウム錯体化合物の合成方法>>
本実施形態に係るイリジウム錯体化合物は、既知の方法の組み合わせなどにより合成され得る。以下に詳しく説明する。
イリジウム錯体化合物の合成方法については、判りやすさのためにフェニルピリジン配位子を例として用いた下記式[A]に示すような塩素架橋イリジウム二核錯体を経由する方法(M.G.Colombo,T.C.Brunold,T.Riedener,H.U.GudelInorg.Chem.,1994,33,545-550)、下記式[B]に示すような二核錯体からさらに塩素架橋をアセチルアセトナートと交換させ単核錯体へ変換したのち目的物を得る方法(S.Lamansky,P.Djurovich,D.Murphy,F.Abdel-Razzaq,R.Kwong,I.Tsyba,M.Borz,B.Mui,R.Bau,M.Thompson,Inorg.Chem.,2001,40,1704-1711)等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
例えば、下記式[A]で表される典型的な反応の条件は以下のとおりである。第一段階として、配位子2当量と塩化イリジウムn水和物1当量の反応により塩素架橋イリジウム二核錯体を合成する。溶媒は通常2-エトキシエタノールと水の混合溶媒が用いられるが、無溶媒あるいは他の溶媒を用いてもよい。配位子を過剰量用いたり、塩基等の添加剤を用いて反応を促進することもできる。塩素に代えて臭素など他の架橋性陰イオン配位子を使用することもできる。
反応温度に特に制限はないが、通常は0℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。また、反応温度は250℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。これらの範囲であることで副生物や分解反応を伴うことなく目的の反応のみが進行し、高い選択性が得られる傾向にある。
Figure 2022121412000017
二段階目は、トリフルオロメタンスルホン酸銀のようなハロゲンイオン捕捉剤を添加し新たに添加された配位子と接触させることにより目的とする錯体を得る。溶媒は通常エトキシエタノール又はジグリムが用いられるが、配位子の種類により無溶媒あるいは他の溶媒を使用することができ、複数の溶媒を混合して使用することもできる。ハロゲンイオン捕捉剤を添加しなくても反応が進行する場合があるので必ずしも必要ではないが、反応収率を高め、より量子収率が高いフェイシャル異性体を選択的に合成するには該捕捉剤の添加が有利である。反応温度に特に制限はないが、通常0℃~250℃の範囲で行われる。
また、下記式[B]で表される典型的な反応条件を説明する。
第一段階の二核錯体は上記式[A]と同様に合成できる。第二段階は、該二核錯体にアセチルアセトンのような1,3-ジカルボニル化合物を1当量以上、及び、炭酸ナトリウムのような該1,3-ジカルボニル化合物の活性水素を引き抜き得る塩基性化合物を1当量以上反応させることにより、1,3-ジケトナト配位子が配位する単核錯体へと変換する。通常原料の二核錯体を溶解しうるエトキシエタノールやジクロロメタンなどの溶媒が使用されるが、配位子が液状である場合無溶媒で実施することも可能である。反応温度に特に制限はないが、通常は0℃~200℃の範囲内で行われる。
Figure 2022121412000018
第三段階は、ジケトナト錯体に対して配位子を通常1当量以上反応させる。溶媒の種類と量は特に制限はなく、配位子が反応温度で液状である場合には無溶媒でもよい。反応温度も特に制限はないが、反応性が若干乏しいため100℃~300℃の比較的高温下で反応させることが多い。そのため、グリセリンなど高沸点の溶媒が好ましく用いられる。
最終反応後は未反応原料や反応副生物及び溶媒を除くために精製を行う。通常の有機合成化学における精製操作を適用することができるが、上記の非特許文献に記載されたように主として順相のシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製が行われる。展開液にはヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、メタノールの単一又は混合液を使用できる。精製は条件を変え複数回行ってもよい。その他のクロマトグラフィー技術、例えば逆相シリカゲルクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィーや、分液洗浄、再沈殿、再結晶、粉体の懸濁洗浄、減圧乾燥などの精製操作を必要に応じて施すことができる。
<イリジウム錯体化合物の用途>
本実施形態に係るイリジウム錯体化合物は、有機電界発光素子に用いられる材料、すなわち有機電界発光素子の赤色発光材料として好適に使用可能であり、有機電界発光素子やその他の発光素子等の発光材料としても好適に使用可能である。
[イリジウム錯体化合物含有組成物]
本実施形態に係るイリジウム錯体化合物は、溶剤溶解性に優れることから、溶剤とともに使用されることが好ましい。以下、本実施形態に係るイリジウム錯体化合物と溶剤とを含有する本実施形態に係る組成物(以下、「イリジウム錯体化合物含有組成物」と称す場合がある。)について説明する。
本実施形態に係るイリジウム錯体化合物含有組成物は、上述のイリジウム錯体化合物および溶剤を含有する。本実施形態に係るイリジウム錯体化合物含有組成物は通常湿式成膜法で層や膜を形成するために用いられ、特に有機電界発光素子の有機層を形成するために用いられることが好ましい。該有機層は、特に発光層であることが好ましい。つまり、イリジウム錯体化合物含有組成物は、有機電界発光素子用組成物であることが好ましく、更に発光層形成用組成物として用いられることが特に好ましい。
該イリジウム錯体化合物含有組成物における本実施形態に係るイリジウム錯体化合物の含有量は、通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上であり、また、通常99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下である。イリジウム錯体化合物含有組成物中のイリジウム錯体化合物の含有量をこの範囲とすることにより、隣接する層、例えば、正孔輸送層や正孔阻止層から発光層へ効率よく、正孔や電子の注入が行われ、駆動電圧を低減することができる。なお、本実施形態に係るイリジウム錯体化合物はイリジウム錯体化合物含有組成物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
本実施形態に係るイリジウム錯体化合物含有組成物を例えば有機電界発光素子に用いる場合には、上述のイリジウム錯体化合物や溶剤の他、有機電界発光素子、特に発光層に用いられる電荷輸送性化合物を含有することができる。
本実施形態に係るイリジウム錯体化合物含有組成物を用いて、有機電界発光素子の発光層を形成する場合には、本実施形態に係るイリジウム錯体化合物を発光材料とし、他の電荷輸送性化合物を電荷輸送ホスト材料として含むことが好ましい。
(溶剤)
本発明のイリジウム錯体化合物含有組成物に含有される溶剤は、湿式成膜によりイリジウム錯体化合物を含む層を形成するために用いる、揮発性を有する液体成分であり、有機溶剤が好ましい。
該溶剤は、溶質である本実施形態に係るイリジウム錯体化合物が高い溶剤溶解性を有するために、むしろ後述の電荷輸送性化合物が良好に溶解する有機溶剤であれば特に限定されない。好ましい溶剤としては、例えば、n-デカン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン、ビシクロヘキサン等のアルカン類;トルエン、キシレン、メシチレン、フェニルシクロヘキサン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2-メトキシトルエン、3-メトキシトルエン、4-メトキシトルエン、2,3-ジメチルアニソール、2,4-ジメチルアニソール、ジフェニルエーテル等の芳香族エーテル類;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n-ブチル等の芳香族エステル類、シクロヘキサノン、シクロオクタノン、フェンコン等の脂環族ケトン類;シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環族アルコール類;メチルエチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン類;ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル類;等が挙げられる。
中でも好ましくは、アルカン類や芳香族炭化水素類であり、特に、フェニルシクロヘキサンは湿式成膜プロセスにおいて好ましい粘度と沸点を有している。
これらの溶剤は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、および比率で用いてもよい。
用いる溶剤の沸点は通常80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、また、通常270℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは沸点230℃以下である。この範囲の下限とすることで、湿式成膜時において、イリジウム錯体化合物含有組成物からの溶剤蒸発による成膜安定性の低下を抑制することができる。
イリジウム錯体化合物含有組成物中における溶剤の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、特に好ましくは50質量%以上、また、好ましくは99.99質量%以下、より好ましくは99.9質量%以下、特に好ましくは99質量%以下である。通常発光層の厚みは3~200nm程度であるが、溶剤の含有量がこの下限以上であることで、組成物の粘性が高くなりすぎて成膜作業性が低下するのを抑制できる。一方、この上限以下であることで、成膜後、溶剤を除去して得られる膜の厚みの観点から、成膜しやすい傾向がある。
本実施形態に係るイリジウム錯体化合物含有組成物が含有し得る他の電荷輸送性化合物としては、従来有機電界発光素子用材料として用いられているものを使用することができる。例えば、ピリジン、カルバゾール、ナフタレン、ペリレン、ピレン、アントラセン、クリセン、ナフタセン、フェナントレン、コロネン、フルオランテン、ベンゾフェナントレン、フルオレン、アセトナフトフルオランテン、クマリン、p-ビス(2-フェニルエテニル)ベンゼンおよびそれらの誘導体、キナクリドン誘導体、DCM(4-(dicyanomethylene)-2-methyl-6-(p-dimethylaminostyryl)-4H-pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン、アリールアミノ基が置換された縮合芳香族環化合物、アリールアミノ基が置換されたスチリル誘導体等が挙げられる。
これらは1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、および比率で用いてもよい。
また、イリジウム錯体化合物含有組成物中の他の電荷輸送性化合物の含有量は、イリジウム錯体化合物含有組成物中の本実施形態に係るイリジウム錯体化合物1質量部に対して、通常1000質量部以下、好ましくは100質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下であり、通常0.01質量部以上、好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上である。
本実施形態に係るイリジウム錯体化合物含有組成物には、必要に応じて、上記の化合物等の他に、更に他の化合物を含有していてもよい。例えば、上記の溶剤の他に、別の溶剤を含有していてもよい。そのような溶剤としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、および比率で用いてもよい。
[アシストドーパント]
本実施形態に係るイリジウム錯体化合物含有組成物は、下記式(4)で表される化合物をさらに含むことが出来る。下記式(4)で表される化合物は、式(1)で表されるイリジウム錯体化合物よりも最大発光波長が短波長である。
式(4)で表される化合物は、有機電界発光素子の発光層中でアシストドーパントとして機能する。式(4)で表される化合物は、前述の発光ドーパントとなる式(1)で表されるイリジウム錯体化合物よりも最大発光波長が短波長である。このため、式(4)で表されるアシストドーパントが励起状態になると、より励起エネルギーの小さい式(1)で表される発光ドーパントへのエネルギー移動が起こって、式(1)で表される発光ドーパントが励起状態となり、式(1)で表される発光ドーパントからの発光が観測される。
式(4)で表される化合物は1種のみが含まれていても、複数種が含まれていてもよい。また、アシストドーパントとなる化合物は式(4)で表される化合物以外のアシストドーパントとなる化合物を含んでいてもよいが、その場合には、アシストドーパントとなる化合物の合計に対して、式(4)で表される化合物の合計の含有量は50質量%以上とすることが好ましく、100質量%がより好ましい。すなわち、アシストドーパントとしては式(4)で表される化合物のみであることがより好ましい。
また、式(1)で表されるイリジウム錯体化合物の組成比を、質量部換算で式(4)で表される化合物の組成比以上とすることが好ましい。これにより、式(4)で表されるアシストドーパントから直接発光されることを抑制することができ、高い効率で式(4)で表されるアシストドーパントから式(1)で表される発光ドーパントへエネルギーが移行される。このため、高い効率で発光ドーパントの発光が得られる。
Figure 2022121412000019
上記式(4)中、R35は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~40の(ヘテロ)アラルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数3~20の(ヘテロ)アリールオキシ基、炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数6~20のアリールシリル基、炭素数2~20のアルキルカルボニル基、炭素数7~20のアリールカルボニル基、炭素数1~20のアルキルアミノ基、炭素数6~20のアリールアミノ基、または炭素数3~30の(ヘテロ)アリール基である。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。R35が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
cは0~4の整数である。
環Aは、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、アザトリフェニレン環、カルボリン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環のいずれかである。
環Aは、置換基を有していてもよい。
かかる置換基は、F、Cl、Br、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~40の(ヘテロ)アラルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数3~20の(ヘテロ)アリールオキシ基、アルキル基の炭素数が1~20であるアルキルシリル基、アリール基の炭素数が6~20であるアリールシリル基、炭素数2~20のアルキルカルボニル基、炭素数7~20のアリールカルボニル基、炭素数2~20のアルキルアミノ基、炭素数6~20のアリールアミノ基、または炭素数3~20の(ヘテロ)アリール基である。また、環Aに結合する隣り合う置換基同士が結合してさらに環を形成してもよい。環Aが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
は有機配位子を表し、nは1~3の整数である。
35がさらに有していてもよい置換基は、後述の置換基群Z1から選択される置換基であることが好ましい。
35は、耐久性の点から、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~40の(ヘテロ)アラルキル基、炭素数6~20のアリールアミノ基、または炭素数3~30の(ヘテロ)アリール基であることがより好ましく、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~40の(ヘテロ)アラルキル基または炭素数3~20の(ヘテロ)アリール基であることがさらに好ましい。
35は、耐久性の点及び溶解性の点から、置換基を有してもよいフェニル基であって、環Aのm-位、イリジウムのp-位に結合することが好ましい。すなわち、下記式(4-1)で表される化合物を含むことが好ましい。フェニル基が有していてもよい置換基は、後述の置換基群Z1から選択される置換基であることが好ましい。
Figure 2022121412000020
[上記式(4-1)中、環A、L2、nは、式(4)における環A、L、nとそれぞれ同義である。
36は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~40の(ヘテロ)アラルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数3~20の(ヘテロ)アリールオキシ基、炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数6~20のアリールシリル基、炭素数2~20のアルキルカルボニル基、炭素数7~20のアリールカルボニル基、炭素数1~20のアルキルアミノ基、炭素数6~20のアリールアミノ基、または炭素数3~30の(ヘテロ)アリール基である。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。R36が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
fは0~5の整数である。]
36がさらに有していてもよい置換基は、後述の置換基群Z1から選択される置換基であることが好ましい。
fは、製造が容易な点からは0であることが好ましく、耐久性の点及び溶解性が高められる点からは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
環Aは、耐久性の点から、ピリジン環、ピリミジン環、またはイミダゾール環であることが好ましく、ピリジン環であることがさらに好ましい。
環A上の水素原子は、耐久性の点及び溶解性が高められる点から、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~40の(ヘテロ)アラルキル基、または炭素数3~20の(ヘテロ)アリール基で置換されていることが好ましい。また、環A上の水素原子は、製造容易な点からは、置換されていないことが好ましい。環A上の水素原子は、有機電界発光素子として用いられたときに励起子が生成しやすくなるため、発光効率が高められる点からは、置換基を有してもよいフェニル基又はナフチル基で置換されていることが好ましい。
環Aとして、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、アザトリフェニレン環、カルボリン環であることが、アシストドーパント上で励起子が生成しやすくなり、発光効率が高められる点で好ましい。中でも、耐久性の点で、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環であることが好ましい。
は有機配位子であり、特に制限は無いが、好ましくは1価の2座配位子であり、より好ましい例は、Lの好ましい例として示したものと同様である。なお、2つの有機配位子Lが存在する場合には、有機配位子Lは互いに異なる構造であってもよい。また、nが3のときは、Lは存在しない。
以下に、実施例に示した以外の本実施形態に係る有機電界発光素子用組成物に含まれるアシストドーパントとなる式(4)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2022121412000021
[置換基群Z1]
置換基としては、アルキル基、アラルキル基、ヘテロアラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルシリル基、アリールシリル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アリール基、又は、ヘテロアリール基を用いることができる。
好ましくは、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~40のアラルキル基、炭素数7~40のヘテロアラルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基、炭素数3~20のヘテロアリールオキシ基、炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数6~20のアリールシリル基、炭素数2~20のアルキルカルボニル基、炭素数7~20のアリールカルボニル基、炭素数1~20のアルキルアミノ基、炭素数6~20のアリールアミノ基、炭素数6~30のアリール基、又は、炭素数3~30のヘテロアリール基であり、より具体的には後述の[置換基の具体例]に記載の置換基である。
さらに好ましくは、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~40のアラルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基、又は炭素数6~30のアリール基である。
[置換基の具体例]
上述の各化合物構造における置換基、及び、前記置換基群Z1における置換基の具体例は以下の通りである。
前記炭素数1~20のアルキル基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基のいずれでもよい。より具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、t-ブチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基等の直鎖の炭素数1~8のアルキル基が好ましい。
前記炭素数7~40の(ヘテロ)アラルキル基は、直鎖のアルキル基、分岐のアルキル基、又は環状のアルキル基を構成する水素原子の一部がアリール基またはヘテロアリール基で置換された基のことを指す。より具体的には、2-フェニル-1-エチル基、クミル基、5-フェニル-1-ペンチル基、6-フェニル-1-ヘキシル基、7-フェニル-1-ヘプチル基、テトラヒドロナフチル基などが挙げられる。中でも、5-フェニル-1-ペンチル基、6-フェニル-1-ヘキシル基、7-フェニル-1-ヘプチル基が好ましい。
前記炭素数1~20のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクタデシルオキシ基等が挙げられる。中でも、ヘキシルオキシ基が好ましい。
前記炭素数3~20の(ヘテロ)アリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、4-メチルフェニルオキシ基等が挙げられる。中でも、フェノキシ基が好ましい。
前記炭素数1~20であるアルキルシリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルフェニル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基等が挙げられる。中でもトリイソプロピル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基が好ましい。
前記炭素数6~20であるアリールシリル基の具体例としては、ジフェニルピリジルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。中でもトリフェニルシリル基が好ましい。
前記炭素数2~20のアルキルカルボニル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、カプロイル基、デカノイル基、シクロヘキシルカルボニル基等が挙げられる。中でもアセチル基、ピバロイル基が好ましい。
前記炭素数7~20のアリールカルボニル基の具体例としては、ベンゾイル基、ナフトイル基、アントライル基等が挙げられる。中でもベンゾイル基が好ましい。
前記炭素数1~20のアルキルアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基等が挙げられる。中でもジメチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基が好ましい。
前記炭素数6~20のアリールアミノ基の具体例としては、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ(4-トリル)アミノ基、ジ(2,6-ジメチルフェニル)アミノ基等が挙げられる。中でもジフェニルアミノ基、ジ(4-トリル)アミノ基が好ましい。
前記炭素数3~30の(ヘテロ)アリール基とは、1個の遊離原子価を有する、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、複数の芳香族炭化水素が連なった連結芳香族炭化水素基、複数の芳香族複素環基が連なった連結芳香族複素環基、又は、芳香族炭化水素及び芳香族複素環がそれぞれ少なくとも1以上任意に連結した基を意味する。
具体例としては、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環、フラン環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キノキサリン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環等の基が挙げられる。複数の芳香族炭化水素が連なった連結芳香族炭化水素基としては、ビフェニル基、テルフェニル基等が挙げられる。
(ヘテロ)アリール基の中でも、耐久性の観点から、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環が好ましく、中でも、1個の遊離原子価を有し、炭素数が1~8のアルキル基で置換されていてもよいベンゼン環、ナフタレン環またはフェナントレン環などの炭素数6~18のアリール基、または、1個の遊離原子価を有し、炭素数が1~4のアルキル基で置換されていてもよいピリジン環がより好ましく、1個の遊離原子価を有し、炭素数が1~8のアルキル基で置換されていてもよいベンゼン環、ナフタレン環またはフェナントレン環などの炭素数6~18のアリール基であることがさらに好ましい。
化合物における基が複数の置換基を有している場合、これら置換基の組み合わせとしては、例えばアリール基とアルキル基との組み合わせ、アリール基とアラルキル基との組み合わせ、または、アリール基とアルキル基、アラルキル基との組み合わせを用いることができるが、これらに限定されない。アリール基とアラルキル基との組み合わせとしては、例えば、ベンゼン、ビフェニル基、テルフェニル基と、5-フェニル-1-ペンチル基、6-フェニル-1-ヘキシル基との組み合わせを用いることができる。
[最大発光波長]
本実施形態におけるイリジウム錯体化合物の最大発光波長の測定方法を以下に示す。
イリジウム錯体化合物の最大発光波長は、材料を有機溶剤に溶解させた溶液のフォトルミネッセンススペクトル、または材料単独の薄膜のフォトルミネッセンススペクトルから求めることができる。
溶液のフォトルミネッセンスの場合は、常温下で、トルエン等の有機溶剤に、化合物を濃度1×10-4mol/L以下、好ましくは濃度1×10-5mol/Lで溶解した溶液について、分光光度計(浜松ホトニクス社製 有機EL量子収率測定装置C9920-02)でフォトルミネッセンススペクトルを測定する。得られたスペクトル強度の最大値を示す波長を、最大発光波長とする。
薄膜のフォトルミネッセンスの場合は、材料を真空蒸着または溶液塗布して薄膜を作製し、上記分光光度計にてフォトルミネッセンスを測定し、得られた発光スペクトル強度の最大値を示す波長を、最大発光波長とする。
発光ドーパントに用いる化合物およびアシストドーパントに用いる化合物の最大発光波長は、同一の手法で求めて比較することが必要である。
本実施形態に係る有機電界発光素子用組成物に含まれるアシストドーパントとなる式(4)で表される化合物は、発光ドーパントとなる式(1)で表されるイリジウム錯体化合物に比べて、最大発光波長が短波である。
発光ドーパントとなる化合物の最大発光波長は、580nm以上が好ましく、590nm以上がより好ましく、600nm以上がさらに好ましく、また、700nm以下が好ましく、680nm以下がより好ましい。最大発光波長がこの範囲であることで、有機電界発光素子として好適な赤色発光材料の好ましい色を発現できる傾向にある。
アシストドーパントとなる化合物の最大発光波長と、発光ドーパントとなる化合物の最大発光波長とは、10nm以上離れていること、また、50nm以下離れていることが効率的なエネルギーの受け渡しができるため好ましく、かかる差は40nm以下がより好ましい。
式(1)で表されるイリジウム錯体化合物は、式(4)で表される化合物と同じか、それよりも多く含まれることが好ましい。すなわち、質量部換算による式(1)で表されるイリジウム錯体化合物の組成比が、式(4)で表される化合物の組成比以上であることが好ましい。式(1)で表されるイリジウム錯体化合物は、質量部換算において、式(4)で表される化合物の1~3倍含有することがさらに好ましい。
素子の発光効率及び長寿命化の点からは、特に好ましくは1~2倍含有することである。より鮮やかな発光が得られる点からは2倍以上含有することがよりさらに好ましい。素子の駆動電圧を低減できる点からは2倍未満含有することがよりさらに好ましい。これにより、アシストドーパントからのエネルギーがさらに効率的に発光ドーパントへ移行されるため高い発光効率が得られ、素子の長寿命化が期待される。
[式(20)で表される化合物]
本実施形態に係るイリジウム錯体化合物含有組成物は、下記式(20)で表される化合物をさらに含有することが好ましい。
Figure 2022121412000022
(式(20)中、
Wは、各々独立に、CH又はNを表し、少なくとも一つのWはNであり、
Xa、Ya、及びZaは、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数6~30の二価の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数3~30の二価の芳香族複素環基を表し、
Xa、Ya及びZaは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数3~30の芳香族複素環基を表し、
g11、h11、及びj11は各々独立に0~6の整数を表し、
g11、h11、及びj11の少なくとも一つは1以上の整数であり、
g11が2以上の場合、複数存在するXaは同一であっても異なっていてもよく、
h11が2以上の場合、複数存在するYaは同一であっても異なっていてもよく、
j11が2以上の場合、複数存在するZaは同一であっても異なっていてもよく、
31は水素原子又は置換基を表し、4個のR31は同一であっても異なっていてもよい。
但し、g11、h11、又はj11が0の場合、それぞれ対応するXa、Ya、又はZaは水素原子ではない。)
上記式(20)で表される化合物は、好ましくは電荷輸送化合物、即ち、電荷輸送ホスト材料であることが好ましい。
<W>
前記式(20)におけるWは、CH又はNを表し、そのうちの少なくとも一つはNであるが、電子輸送性及び電子耐久性の観点から、少なくとも2つがNであることが好ましく、全てNであることがより好ましい。
<Xa、Ya、Za、Xa、Ya、Za
前記式(20)における、Xa、Ya、Zaが置換基を有していてもよい炭素数6~30の二価の芳香族炭化水素基である場合、及び、Xa、Ya、Zaが置換基を有していてもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基である場合の、炭素数6~30の芳香族炭化水素基の芳香族炭化水素環としては、6員環の単環、又は2~5縮合環が好ましい。具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環、インデノフルオレン環等が挙げられる。中でも好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、又はフルオレン環であり、より好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環又はフルオレン環であり、さらに好ましくはベンゼン環、ナフタレン環又はフルオレン環である。
前記式(20)における、Xa、Ya、Zaが置換基を有していてもよい炭素数3~30の二価の芳香族複素環基である場合、及び、Xa、Ya、Zaが置換基を有していてもよい炭素数3~30の芳香族複素環基である場合の、炭素数3~30の芳香族複素環基の芳香族複素環としては、5又は6員環の単環、又は2~5員環の縮合環が好ましい。具体的には、フラン環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、インドロカルバゾール環、インデノカルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、フェナントロリン環等が挙げられる。
中でも好ましくはチオフェン環、ピロール環、イミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、キナゾリン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、インドロカルバゾール環、フェナントロリン環、又はインデノカルバゾール環であり、より好ましくはピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、キナゾリン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環であり、さらに好ましくはカルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環である。
前記式(20)におけるXa、Ya、Za、Xa、Ya、及びZaにおいて、特に好ましい芳香族炭化水素環は、ベンゼン環、ナフタレン環又はフェナントレン環であり、特に好ましい芳香族複素環は、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環である。
<g11、h11、j11>
g11、h11、及びj11は各々独立に0~6の整数を表し、g11、h11、j11の少なくとも一つは1以上の整数である。電荷輸送性及び耐久性の観点から、g11が2以上又は、h11及びj11の内、少なくとも一方が3以上であることが好ましい。
g11が2以上の場合、複数存在するXaは同一であっても異なっていてもよい。h11が2以上の場合、複数存在するYaは同一であっても異なっていてもよい。また、j11が2以上の場合、複数存在するZaは同一であっても異なっていてもよい。
また、g11が0の場合、対応するXaは水素原子ではないとは、g11が0、すなわちXaが存在しない場合、Xaは置換基を有していてもよい炭素数6以上30以下の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数3以上30以下の芳香族複素環基であることを意味する。同様に、h11が0、すなわちYaが存在しない場合、Yaは置換基を有していてもよい炭素数6以上30以下の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数3以上30以下の芳香族複素環基であることを意味する。また、j11が0、すなわちZaが存在しない場合、Zaは置換基を有していてもよい炭素数6以上30以下の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数3以上30以下の芳香族複素環基であることを意味する。
また、前記式(20)で表される化合物は、中心のWを3個有する環も含めて、これらの環を合計で8~18個有することが、電荷輸送性、耐久性及び有機溶剤への溶解性の観点から好ましい。
<R31
置換基である場合のR31としては、好ましくは置換基を有していてもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数3~30の芳香族複素環基である。耐久性向上及び電荷輸送性の観点からは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であることがさらに好ましい。置換基である場合のR31が複数存在する場合は互いに異なっていてもよい。
上述した炭素数6~30の芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基、炭素数3~30の芳香族複素環基が有していてもよい置換基、及び置換基であるR31が有していてもよい置換基としては、下記置換基群Z2から選択することができる。
<置換基群Z2>
置換基群Z2は、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アリールアルキルアミノ基、アシル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シロキシ基、シアノ基、芳香族炭化水素基、及び芳香族複素環基よりなる群である。これらの置換基は直鎖、分岐及び環状のいずれの構造を含んでいてもよい。
置換基群Z2として、より具体的には、以下の構造が挙げられる。
例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、ドデシル基等の、炭素数が通常1以上であり、好ましくは4以上であり、また、通常24以下であり、好ましくは12以下であり、より好ましくは8以下であり、さらに好ましくは6以下である、直鎖、分岐、又は環状のアルキル基;
例えば、メトキシ基、エトキシ基等の、炭素数が通常1以上であり、また、通常24以下であり、好ましくは12以下であるアルコキシ基;
例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基等の、炭素数が通常4以上であり、好ましくは5以上であり、また、通常36以下であり、好ましくは24以下である、アリールオキシ基若しくはヘテロアリールオキシ基;
例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の、炭素数が通常2以上であり、また、通常24以下であり、好ましくは12以下であるアルコキシカルボニル基;
例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の、炭素数が通常2以上であり、また、通常24以下であり、好ましくは12以下であるジアルキルアミノ基;
例えば、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基等の、炭素数が通常10以上であり、好ましくは12以上であり、また、通常36以下であり、好ましくは24以下のジアリールアミノ基;
例えば、フェニルメチルアミノ基等の、炭素数が通常7以上であり、また、通常36以下であり、好ましくは24以下であるアリールアルキルアミノ基;
例えば、アセチル基、ベンゾイル基等の、炭素数が通常2以上であり、また、通常24以下であり、好ましくは12以下であるアシル基;
例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;
例えば、トリフルオロメチル基等の、炭素数が通常1以上であり、また、通常12以下であり、好ましくは6以下であるハロアルキル基;
例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等の、炭素数が通常1以上であり、また、通常24以下であり、好ましくは12以下であるアルキルチオ基;
例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等の、炭素数が通常4以上であり、好ましくは5以上であり、また、通常36以下であり、好ましくは24以下であるアリールチオ基;
例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の、炭素数が通常2以上であり、好ましくは3以上であり、また、通常36以下であり、好ましくは24以下であるシリル基;
例えば、トリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等の、炭素数が通常2以上であり、好ましくは3以上であり、また、通常36以下であり、好ましくは24以下であるシロキシ基;
シアノ基;
例えば、フェニル基、ナフチル基等の、炭素数が通常6以上であり、また、通常36以下であり、好ましくは24以下である芳香族炭化水素基;
例えば、チエニル基、ピリジル基等の、炭素数が通常3以上であり、好ましくは4以上であり、また、通常36以下であり、好ましくは24以下である芳香族複素環基。
上記の置換基群Z2の中でも、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、ジアリールアミノ基、芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基である。電荷輸送性の観点からは、置換基としては芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基が好ましく、より好ましくは芳香族炭化水素基であり、置換基を有さないことがさらに好ましい。溶解性向上の観点からは、置換基としてはアルキル基又はアルコキシ基が好ましい。
また、上記置換基群Z2の各置換基は更に置換基を有していてもよい。それら置換基としては、上記置換基(置換基群Z2)と同じのものが挙げられる。上記置換基群Z2が有してもよい各置換基は、好ましくは、炭素数8以下のアルキル基、炭素数8以下のアルコキシ基、又はフェニル基、より好ましくは炭素数6以下のアルキル基、炭素数6以下のアルコキシ基、又はフェニル基であり、上記置換基群Z2の各置換基は、電荷輸送性の観点からは、さらなる置換基を有さないことがより好ましい。
<分子量>
前記式(20)で表される化合物は低分子材料であり、分子量は3,000以下が好ましく、更に好ましくは2,500以下であり、特に好ましくは2,000以下であり、最も好ましくは1,500以下である。また、分子量の下限は通常300以上、好ましくは350以上、より好ましくは400以上である。
<式(20)で表される化合物の具体例>
式(20)で表される化合物は特に限定されないが、例えば以下のような化合物が挙げられる。
Figure 2022121412000023
Figure 2022121412000024
本実施形態に係るイリジウム錯体化合物含有組成物には、前記式(20)で表される化合物の1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
[有機電界発光素子]
本実施形態に係る有機電界発光素子は、本実施形態に係るイリジウム錯体化合物を含むものである。
本実施形態に係る有機電界発光素子は、好ましくは、基板上に少なくとも陽極、陰極及び前記陽極と前記陰極の間に位置する少なくとも1層の有機層を有するものであって、前記有機層のうち少なくとも1層が本実施形態に係るイリジウム錯体化合物を含む。前記有機層は発光層を含む。
本実施形態に係る有機電界発光素子は、前記発光層に本実施形態に係るイリジウム錯体化合物を含むものである。
本実施形態に係る有機電界発光素子の発光層は、本実施形態に係るイリジウム錯体化合物に加え、前記アシストドーパントを含むことが好ましい。前記アシストドーパントを含むことが好ましい理由は前記の通りである。
本実施形態に係る有機電界発光素子の発光層は、本実施形態に係るイリジウム錯体化合物に加え、前記式(20)で表される化合物をさらに含有することが好ましい。前記式(20)で表される化合物をさらに含有することが好ましい理由は前記の通りである。
本実施形態に係る有機電界発光素子の発光層は、本実施形態に係るイリジウム錯体化合物に加え、前記式(20)で表される化合物及び前記アシストドーパントを含むことが好ましい。
本実施形態に係るイリジウム錯体化合物を含む有機層は、本実施形態に係るイリジウム錯体化合物含有組成物を用いて形成された層であることがより好ましく、湿式成膜法により形成された層であることがさらに好ましい。前記湿式成膜法により形成された層は、該発光層であることが好ましい。
本実施形態において湿式成膜法とは、成膜方法、即ち、塗布方法として、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、ノズルプリンティング法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等、湿式で成膜される方法を採用し、これらの方法で成膜された膜を乾燥して膜形成を行う方法をいう。
図1は本実施形態に係る有機電界発光素子10に好適な構造例を示す断面の模式図であり、図1において、符号1は基板、符号2は陽極、符号3は正孔注入層、符号4は正孔輸送層、符号5は発光層、符号6は正孔阻止層、符号7は電子輸送層、符号8は電子注入層、符号9は陰極を各々表す。
これらの構造に適用する材料は、公知の材料を適用することができ、特に制限はないが、各層に関しての代表的な材料や製法を一例として以下に記載する。また、公報や論文等を引用している場合、該当内容を当業者の常識の範囲で適宜、適用、応用することができるものとする。
<基板1>
基板1は、有機電界発光素子の支持体となるものであり、通常、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。これらのうち、ガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。基板1は、外気による有機電界発光素子の劣化が起こり難いことからガスバリア性の高い材質とすることが好ましい。このため、特に合成樹脂製の基板等のようにガスバリア性の低い材質を用いる場合は、基板1の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を上げることが好ましい。
<陽極2>
陽極2は、発光層側の層に正孔を注入する機能を担う。陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属;インジウム及びスズの少なくとも一方の酸化物等の金属酸化物;ヨウ化銅等のハロゲン化金属;カーボンブラック或いはポリ(3-メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。
陽極2の形成は、通常、スパッタリング法、真空蒸着法等の乾式法により行われることが多い。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いて陽極2を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板上に塗布することにより形成することもできる。また、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板上に薄膜を形成したり、基板上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極2は、通常、単層構造であるが、適宜、積層構造としてもよい。陽極2が積層構造である場合、1層目の陽極上に異なる導電材料を積層してもよい。
陽極2の厚みは、必要とされる透明性と材質等に応じて、決めればよい。特に高い透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率が60%以上となる厚みが好ましく、80%以上となる厚みが更に好ましい。陽極2の厚みは、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下である。一方、透明性が不要な場合は、陽極2の厚みは必要な強度等に応じて任意の厚みとすればよく、この場合、陽極2は基板1と同一の厚みでもよい。
陽極2の表面に成膜を行う場合は、成膜前に、紫外線+オゾン、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ等の処理を施すことにより、陽極上の不純物を除去すると共に、そのイオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させておくことが好ましい。
<正孔注入層3>
陽極2側から発光層5側に正孔を輸送する機能を担う層は、通常、正孔注入輸送層又は正孔輸送層と呼ばれる。そして、陽極2側から発光層5側に正孔を輸送する機能を担う層が2層以上ある場合に、より陽極2側に近い方の層を正孔注入層3と呼ぶことがある。正孔注入層3は、陽極2から発光層5側に正孔を輸送する機能を強化する点で、用いることが好ましい。正孔注入層3を用いる場合、通常、正孔注入層3は、陽極2上に形成される。
正孔注入層3の膜厚は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下である。
正孔注入層3の形成方法は、真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよい。成膜性が優れる点では、湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔注入層3は、正孔輸送性化合物を含むことが好ましく、正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを含むことがより好ましい。更には、正孔注入層3中にカチオンラジカル化合物を含むことが好ましく、カチオンラジカル化合物と正孔輸送性化合物とを含むことが特に好ましい。
(正孔輸送性化合物)
正孔注入層形成用組成物は、通常、正孔注入層3となる正孔輸送性化合物を含有する。
また、湿式成膜法の場合は、通常、更に溶剤も含有する。正孔注入層形成用組成物は、正孔輸送性が高く、注入された正孔を効率よく輸送できることが好ましい。このため、正孔移動度が大きく、トラップとなる不純物が製造時や使用時等に発生し難いことが好ましい。また、安定性に優れ、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光に対する透明性が高いことが好ましい。特に、正孔注入層3が発光層5と接する場合は、発光層5からの発光を消光しないものや発光層5とエキサイプレックスを形成して、発光効率を低下させないものが好ましい。
正孔輸送性化合物としては、陽極2から正孔注入層3への電荷注入障壁の観点から、4.5eV~6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送性化合物の例としては、芳香族アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、オリゴチオフェン系化合物、ポリチオフェン系化合物、ベンジルフェニル系化合物、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン系化合物、シラザン系化合物、キナクリドン系化合物等が挙げられる。
上述の例示化合物のうち、非晶質性及び可視光透過性の点から、芳香族アミン化合物が好ましく、芳香族三級アミン化合物が特に好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は、特に制限されないが、表面平滑化効果により均一な発光を得やすい点から、重量平均分子量が1000以上1000000以下の高分子化合物、すなわち繰り返し単位が連なる重合型化合物を用いることが好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例としては、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物等が挙げられる。
Figure 2022121412000025
(上記式(I)中、Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族基又は置換基を有していてもよい複素芳香族基を表す。Ar~Arは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族基又は置換基を有していてもよい複素芳香族基を表す。Qは、下記の連結基群の中から選ばれる連結基を表す。また、Ar~Arのうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。)
下記に連結基を示す。
Figure 2022121412000026
(上記各式中、Ar~Ar16は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族基又は置換基を有していてもよい複素芳香族基を表す。R~Rは、それぞれ独立して、水素原子又は任意の置換基を表す。) Ar~Ar16の芳香族基及び複素芳香族基としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の基が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環由来の基がさらに好ましい。
式(I)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、国際公開第2005/089024号に記載のもの等が挙げられる。
(電子受容性化合物)
正孔注入層3には、正孔輸送性化合物の酸化により、正孔注入層3の導電率を向上させることができるため、電子受容性化合物を含有していることが好ましい。
電子受容性化合物としては、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、電子親和力が5eV以上である化合物が更に好ましい。
このような電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物等が挙げられる。具体的には、4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基の置換したオニウム塩(国際公開第2005/089024号);塩化鉄(III)(日本国特開平11-251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物;トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(日本国特開2003-31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体及びヨウ素等が挙げられる。
(カチオンラジカル化合物)
カチオンラジカル化合物としては、正孔輸送性化合物から一電子取り除いた化学種であるカチオンラジカルと、対アニオンとからなるイオン化合物が好ましい。但し、カチオンラジカルが正孔輸送性の高分子化合物由来である場合、カチオンラジカルは高分子化合物の繰り返し単位から一電子取り除いた構造となる。
カチオンラジカルとしては、正孔輸送性化合物として前述した化合物から一電子取り除いた化学種であることが好ましい。正孔輸送性化合物として好ましい化合物から一電子取り除いた化学種であることが、非晶質性、可視光の透過率、耐熱性、及び溶解性などの点から好適である。
ここで、カチオンラジカル化合物は、前述の正孔輸送性化合物と電子受容性化合物を混合することにより生成させることができる。即ち、前述の正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを混合することにより、正孔輸送性化合物から電子受容性化合物へと電子移動が起こり、正孔輸送性化合物のカチオンラジカルと対アニオンとからなるカチオンイオン化合物が生成する。
PEDOT/PSS(Adv.Mater.,2000年,12巻,481頁)やエメラルジン塩酸塩(J.Phys.Chem.,1990年,94巻,7716頁)等の高分子化合物由来のカチオンラジカル化合物は、酸化重合、すなわち脱水素重合することによっても生成する。
ここでいう酸化重合は、モノマーを酸性溶液中で、ペルオキソ二硫酸塩等を用いて化学的に、又は、電気化学的に酸化するものである。この酸化重合(脱水素重合)の場合、モノマーが酸化されることにより高分子化されるとともに、酸性溶液由来のアニオンを対アニオンとする、高分子の繰り返し単位から一電子取り除かれたカチオンラジカルが生成する。
(湿式成膜法による正孔注入層3の形成)
湿式成膜法により正孔注入層3を形成する場合、通常、正孔注入層3となる材料を可溶な溶剤、すなわち正孔注入層用溶剤と混合して成膜用の正孔注入層形成用組成物を調製する。この正孔注入層形成用組成物を正孔注入層3の下層に該当する層、通常は、陽極2の上に湿式成膜法により成膜し、乾燥させることにより形成させる。成膜した膜の乾燥は、湿式成膜法による発光層5の形成における乾燥方法と同様に行うことができる。
正孔注入層形成用組成物中における正孔輸送性化合物の濃度は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜厚の均一性の点では、低い方が好ましく、一方、正孔注入層3に欠陥が生じ難い点では、高い方が好ましい。具体的には、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることが更に好ましく、0.5質量%以上であることが特に好ましく、また、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることが更に好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。
溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド系溶剤などが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル及び1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2-メトキシトルエン、3-メトキシトルエン、4-メトキシトルエン、2,3-ジメチルアニソール、2,4-ジメチルアニソール等の芳香族エーテル等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n-ブチル等の芳香族エステル等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3-イソプロピルビフェニル、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン、1,4-ジイソプロピルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
これらの他、ジメチルスルホキシド等も用いることができる。
正孔注入層3の湿式成膜法による形成は、通常、正孔注入層形成用組成物を調製後に、これを、正孔注入層3の下層に該当する層、通常は、陽極2の上に塗布成膜し、乾燥することにより行われる。正孔注入層3は、通常、成膜後に、加熱や減圧乾燥等により塗布膜を乾燥させる。
(真空蒸着法による正孔注入層3の形成)
真空蒸着法により正孔注入層3を形成する場合には、通常、正孔注入層3の構成材料、すなわち、前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等のうち1種類又は2種類以上を真空容器内に設置された坩堝に入れ、真空容器内を真空ポンプで10-4Pa程度まで排気した後、坩堝を加熱して、坩堝内の材料の蒸発量を制御しながら蒸発させ、坩堝に向き合って置かれた基板上の陽極2上に正孔注入層3を形成させる。なお、2種類以上の材料を用いる場合は、正孔注入層3の構成材料を、通常各々を別々の坩堝に入れ、加熱も各々の坩堝に対して行う。さらに蒸発も通常各々独立に蒸発量を制御しながら蒸発させる。一方で、2種類以上の材料を用いる場合も、それらの混合物をひとつの坩堝に入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層3を形成することもできる。
蒸着時の真空度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1×10-6Torr(0.13×10-4Pa)以上であり、また、通常9.0×10-6Torr(12.0×10-4Pa)以下である。蒸着速度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1Å/秒以上であり、また、通常5.0Å/秒以下である。蒸着時の成膜温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは10℃以上であり、また、好ましくは50℃以下で行われる。
<正孔輸送層4>
正孔輸送層4は、陽極2側から発光層5側に正孔を輸送する機能を担う層である。正孔輸送層4は、本発明の有機電界発光素子では、必須の層では無いが、陽極2から発光層5に正孔を輸送する機能を強化する点では、この層を設けることが好ましい。正孔輸送層4を設ける場合、通常、正孔輸送層4は、陽極2と発光層5の間に形成される。また、上述の正孔注入層3がある場合は、正孔注入層3と発光層5の間に形成される。
正孔輸送層4の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
正孔輸送層4の形成方法は、真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよい。成膜性が優れる点では、湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔輸送層4は、通常、正孔輸送層4となる正孔輸送性化合物を含有する。正孔輸送層4に含まれる正孔輸送性化合物としては、特に、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニルで代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(日本国特開平5-234681号公報)、4,4’,4’’-トリス(1-ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(J.Lumin.,72-74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chem.Commun.,2175頁、1996年)、2,2’,7,7’-テトラキス-(ジフェニルアミノ)-9,9’-スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synth.Metals,91巻、209頁、1997年)、4,4’-N,N’-ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール誘導体などが挙げられる。また、例えばポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン(日本国特開平7-53953号公報)、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン(Polym.Adv.Tech.,7巻、33頁、1996年)等も好ましく使用できる。
(湿式成膜法による正孔輸送層4の形成)
湿式成膜法で正孔輸送層4を形成する場合は、通常、上述の正孔注入層3を湿式成膜法で形成する場合と同様にして、正孔注入層形成用組成物の代わりに正孔輸送層形成用組成物を用いて形成させる。
湿式成膜法で正孔輸送層4を形成する場合は、通常、正孔輸送層形成用組成物は、更に溶剤を含有する。正孔輸送層形成用組成物に用いる溶剤は、上述の正孔注入層形成用組成物で用いる溶剤と同様の溶剤を使用することができる。
正孔輸送層形成用組成物中における正孔輸送性化合物の濃度は、正孔注入層形成用組成物中における正孔輸送性化合物の濃度と同様の範囲とすることができる。
正孔輸送層4の湿式成膜法による形成は、前述の正孔注入層3の成膜法と同様に行うことができる。
(真空蒸着法による正孔輸送層4の形成)
真空蒸着法で正孔輸送層4を形成する場合についても、通常、上述の正孔注入層3を真空蒸着法で形成する場合と同様にして、正孔注入層3の構成材料の代わりに正孔輸送層4の構成材料を用いて形成させることができる。蒸着時の真空度、蒸着速度及び温度などの成膜条件などは、前記正孔注入層3の真空蒸着時と同様の条件で成膜することができる。
<発光層5>
発光層5は、一対の電極間に電界が与えられた時に、陽極2から注入される正孔と陰極9から注入される電子が再結合することにより励起され、発光する機能を担う層である。
発光層5は、陽極2と陰極9の間に形成される層であり、発光層5は、陽極2の上に正孔注入層3がある場合は、正孔注入層3と陰極9の間に形成され、陽極2の上に正孔輸送層4がある場合は、正孔輸送層4と陰極9との間に形成される。
発光層5の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜に欠陥が生じ難い点では厚い方が好ましく、また、一方、薄い方が低駆動電圧としやすい点では好ましい。このため、発光層5の膜厚は、3nm以上であることが好ましく、5nm以上であることが更に好ましく、また、通常200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることが更に好ましい。
発光層5は、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、電荷輸送性を有する材料(電荷輸送性材料)とを含有する。発光材料としては、いずれかの発光層に、本実施形態に係るイリジウム錯体化合物が含まれていればよく、適宜他の発光材料を用いてもよい。以下、本実施形態に係るイリジウム錯体化合物以外の他の発光材料について詳述する。
(発光材料)
発光材料は、所望の発光波長で発光し、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、公知の発光材料を適用可能である。発光材料は、蛍光発光材料でも、燐光発光材料でもよいが、発光効率が良好である材料が好ましく、内部量子効率の観点から燐光発光材料が好ましい。
蛍光発光材料としては、例えば、以下の材料が挙げられる。
青色発光を与える蛍光発光材料(青色蛍光発光材料)としては、例えば、ナフタレン、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、クリセン、p-ビス(2-フェニルエテニル)ベンゼン及びそれらの誘導体等が挙げられる。
緑色発光を与える蛍光発光材料(緑色蛍光発光材料)としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、Al(CNO)などのアルミニウム錯体等が挙げられる。
黄色発光を与える蛍光発光材料(黄色蛍光発光材料)としては、例えば、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。
赤色発光を与える蛍光発光材料(赤色蛍光発光材料)としては、例えば、DCM(4-(dicyanomethylene)-2-methyl-6-(p-dimethylaminostyryl)-4H-pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
また、燐光発光材料としては、例えば、長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)の第7~11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体等が挙げられる。周期表の第7~11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。
有機金属錯体の配位子としては、(ヘテロ)アリールピリジン配位子、(ヘテロ)アリールピラゾール配位子などの(ヘテロ)アリール基とピリジン、ピラゾール、フェナントロリンなどが連結した配位子が好ましく、特にフェニルピリジン配位子、フェニルピラゾール配位子が好ましい。ここで、(ヘテロ)アリールとは、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
好ましい燐光発光材料として、具体的には、例えば、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム、トリス(2-フェニルピリジン)ルテニウム、トリス(2-フェニルピリジン)パラジウム、ビス(2-フェニルピリジン)白金、トリス(2-フェニルピリジン)オスミウム、トリス(2-フェニルピリジン)レニウム等のフェニルピリジン錯体及びオクタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポルフィリン等のポルフィリン錯体等が挙げられる。
高分子系の発光材料としては、ポリ(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(4,4’-(N-(4-sec-ブチルフェニル))ジフェニルアミン)]、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(1,4-ベンゾ-2{2,1’-3}-トリアゾール)]などのポリフルオレン系材料、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン]などのポリフェニレンビニレン系材料が挙げられる。
(電荷輸送性材料)
電荷輸送性材料は、正電荷すなわち正孔輸送性、又は負電荷すなわち電子輸送性を有する材料であり、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、公知の材料を適用可能である。
電荷輸送性材料は、従来、有機電界発光素子の発光層5に用いられている化合物等を用いることができ、特に、発光層5のホスト材料として使用されている化合物が好ましい。
電荷輸送性材料としては、具体的には、芳香族アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、オリゴチオフェン系化合物、ポリチオフェン系化合物、ベンジルフェニル系化合物、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン系化合物、シラザン系化合物、シラナミン系化合物、ホスファミン系化合物、キナクリドン系化合物等の正孔注入層3の正孔輸送性化合物として例示した化合物等が挙げられる。また、他に、アントラセン系化合物、ピレン系化合物、カルバゾール系化合物、ピリジン系化合物、フェナントロリン系化合物、オキサジアゾール系化合物、シロール系化合物等の電子輸送性化合物等が挙げられる。
また、例えば、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(日本国特開平5-234681号公報)、4,4’,4’’-トリス(1-ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン系化合物(J.Lumin.,72-74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン系化合物(Chem.Commun.,2175頁、1996年)、2,2’,7,7’-テトラキス-(ジフェニルアミノ)-9,9’-スピロビフルオレン等のフルオレン系化合物(Synth.Metals,91巻、209頁、1997年)、4,4’-N,N’-ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール系化合物等の正孔輸送層4の正孔輸送性化合物として例示した化合物等も好ましく用いることができる。また、この他、2-(4-ビフェニリル)-5-(p-ターシャルブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(tBu-PBD)、2,5-ビス(1-ナフチル)-1,3,4-オキサジアゾール(BND)などのオキサジアゾール系化合物、2,5-ビス(6’-(2’,2”-ビピリジル))-1,1-ジメチル-3,4-ジフェニルシロール(PyPySPyPy)等のシロール系化合物、バソフェナントロリン(BPhen)、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)などのフェナントロリン系化合物等も挙げられる。
(湿式成膜法による発光層5の形成)
発光層5の形成方法は、真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよいが、成膜性に優れることから、湿式成膜法が好ましい。
湿式成膜法により発光層5を形成する場合は、通常、上述の正孔注入層3を湿式成膜法で形成する場合と同様にして、正孔注入層形成用組成物の代わりに、発光層5となる材料を可溶な溶剤、すなわち発光層用溶剤と混合して調製した発光層形成用組成物を用いて形成させる。本実施形態においては、この発光層形成用組成物として、前述の本実施形態に係るイリジウム錯体化合物含有組成物を用いることが好ましい。
溶剤としては、例えば、正孔注入層3の形成について挙げたエーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド系溶剤の他、アルカン系溶剤、ハロゲン化芳香族炭化水系溶剤、脂肪族アルコール系溶剤、脂環族アルコール系溶剤、脂肪族ケトン系溶剤及び脂環族ケトン系溶剤などが挙げられる。用いる溶剤は、本実施形態に係るイリジウム錯体化合物含有組成物の溶剤としても例示した通りであり、以下に溶剤の具体例を挙げるが、本発明の効果を損なわない限り、これらに限定されるものではない。
例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル系溶剤;1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2-メトキシトルエン、3-メトキシトルエン、4-メトキシトルエン、2,3-ジメチルアニソール、2,4-ジメチルアニソール、ジフェニルエーテル等の芳香族エーテル系溶剤;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n-ブチル等の芳香族エステル系溶剤;トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン、3-イソプロピルビフェニル、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン、1,4-ジイソプロピルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;n-デカン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン、ビシクロヘキサン等のアルカン系溶剤;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶剤;ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール系溶剤;シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環族アルコール系溶剤;メチルエチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン系溶剤;シクロヘキサノン、シクロオクタノン、フェンコン等の脂環族ケトン系溶剤等が挙げられる。これらのうち、アルカン系溶剤及び芳香族炭化水素系溶剤が特に好ましい。
また、より均一な膜を得るためには、成膜直後の液膜から溶剤が適当な速度で蒸発することが好ましい。このため、用いる溶剤の沸点は、前述の通り、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上であり、また、通常270℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは沸点230℃以下である。
溶剤の使用量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、発光層形成用組成物、即ちイリジウム錯体化合物含有組成物中の合計含有量は、低粘性なために成膜作業が行いやすい点で多い方が好ましく、また、一方、厚膜で成膜しやすい点では低い方が好ましい。前述の通り、溶剤の含有量は、イリジウム錯体化合物含有組成物において好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、特に好ましくは50質量%以上、また、好ましくは99.99質量%以下、より好ましくは99.9質量%以下、特に好ましくは99質量%以下である。
湿式成膜後の溶剤除去方法としては、加熱又は減圧を用いることができる。加熱方法において使用する加熱手段としては、膜全体に均等に熱を与えることから、クリーンオーブン、ホットプレートが好ましい。
加熱工程における加熱温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、乾燥時間を短くする点では温度が高いほうが好ましく、材料へのダメージが少ない点では低い方が好ましい。加温温度の上限は通常250℃以下であり、好ましくは200℃以下、さらに好ましくは150℃以下である。加温温度の下限は通常30℃以上であり、好ましくは50℃以上であり、さらに好ましくは80℃以上である。上記上限温度とすることで、通常用いられる電荷輸送材料又は燐光発光材料の耐熱性の範囲内となり、分解や結晶化が抑制される点から好ましい。上記下限温度とすることで、溶剤の除去に長時間を要し過ぎない点から好ましい。加熱工程における加熱時間は、発光層形成用組成物中の溶剤の沸点や蒸気圧、材料の耐熱性、および加熱条件によって適切に決定される。
(真空蒸着法による発光層5の形成)
真空蒸着法により発光層5を形成する場合には、通常、発光層5の構成材料、すなわち前述の発光材料、電荷輸送性化合物等のうち1種類又は2種類以上を真空容器内に設置された坩堝に入れ、真空容器内を真空ポンプで10-4Pa程度まで排気した後、坩堝を加熱して、坩堝内の材料の蒸発量を制御しながら蒸発させ、坩堝に向き合って置かれた正孔注入層3又は正孔輸送層4の上に発光層5を形成させる。なお、2種類以上の材料を用いる場合は、発光層5の構成材料を、通常各々を別々の坩堝に入れ、加熱も各々の坩堝に対して行う。さらに蒸発も通常各々独立に蒸発量を制御しながら蒸発させる。一方で、2種類以上の材料を用いる場合も、それらの混合物をひとつの坩堝に入れ、加熱、蒸発させて発光層5を形成することもできる。
蒸着時の真空度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1×10-6Torr(0.13×10-4Pa)以上であり、また、通常9.0×10-6Torr(12.0×10-4Pa)以下である。蒸着速度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1Å/秒以上であり、また、通常5.0Å/秒以下である。蒸着時の成膜温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは10℃以上であり、また、好ましくは50℃以下で行われる。
<正孔阻止層6>
発光層5と後述の電子注入層8との間に、正孔阻止層6を設けてもよい。正孔阻止層6は、発光層5の上に、発光層5の陰極9側の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層6は、陽極2から移動してくる正孔を陰極9に到達するのを阻止する役割と、陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送する役割とを有する。
正孔阻止層6を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ、すなわちHOMOとLUMOとの差が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。
このような条件を満たす正孔阻止層6の材料としては、例えば、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2-メチル-8-キノラト)アルミニウム-μ-オキソ-ビス-(2-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(日本国特開平11-242996号公報)、3-(4-ビフェニルイル)-4-フェニル-5(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール等のトリアゾール誘導体(日本国特開平7-41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(日本国特開平10-79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005/022962号に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層6の材料として好ましい。
正孔阻止層6の形成方法に制限はなく、前述の発光層5の形成方法と同様にして形成することができる。
正孔阻止層6の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上であり、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
<電子輸送層7>
電子輸送層7は素子の電流効率をさらに向上させることを目的として、発光層5又は正孔素子層6と電子注入層8との間に設けられる。
電子輸送層7は、電界を与えられた電極間において陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送することができる化合物より形成される。電子輸送層7に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極9又は電子注入層8からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。
このような条件を満たす電子輸送性化合物としては、具体的には、例えば、8-ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(日本国特開昭59-194393号公報)、10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3-ヒドロキシフラボン金属錯体、5-ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノキサリン化合物(日本国特開平6-207169号公報)、フェナントロリン誘導体(日本国特開平5-331459号公報)、2-t-ブチル-9,10-N,N’-ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層7の膜厚は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上であり、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子輸送層7は、発光層5と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により発光層5又は正孔阻止層6上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
<電子注入層8>
電子注入層8は、陰極9から注入された電子を効率よく、電子輸送層7又は発光層5へ注入する役割を果たす。
電子注入を効率よく行うには、電子注入層8を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられる。
電子注入層8の膜厚は、0.1~5nmが好ましい。
また、陰極9と電子輸送層7との界面に電子注入層8として、LiF、MgF、LiO、CsCO等の極薄絶縁膜を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Appl.Phys.Lett.,70巻,152頁,1997年;特開平10-74586号公報;IEEETrans.Electron.Devices,44巻,1245頁,1997年;SID 04 Digest,154頁)。極薄絶縁膜とは、膜厚0.1~5nm程度の絶縁膜である。
さらに、バソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8-ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送材料に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(日本国特開平10-270171号公報、日本国特開2002-100478号公報、日本国特開2002-100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子注入層8は、発光層5と同様にして湿式成膜法或いは真空蒸着法により、発光層5或いはその上の正孔阻止層6又は電子輸送層7上に積層することにより形成される。
湿式成膜法の場合の詳細は、前述の発光層5の場合と同様である。
<陰極9>
陰極9は、発光層5側の層、すなわち電子注入層8又は発光層5などに電子を注入する役割を果たす。陰極9の材料としては、前記の陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行なう上では、仕事関数の低い金属を用いることが好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の金属又はそれらの合金などが用いられる。具体例としては、例えば、マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、アルミニウム-リチウム合金等の低仕事関数の合金電極などが挙げられる。
素子の安定性の点では、陰極9の上に、仕事関数が高く、大気に対して安定な金属層を積層して、低仕事関数の金属からなる陰極9を保護することが好ましい。積層する金属としては、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が挙げられる。
陰極の膜厚は通常、陽極2と同様である。
<その他の構成層>
以上、図1に示す層構成の素子を中心に説明してきたが、本実施形態に係る有機電界発光素子における陽極2及び陰極9と発光層5との間には、その性能を損なわない限り、上記説明にある層の他にも、任意の層を有していてもよく、また発光層5以外の任意の層を省略してもよい。
例えば、正孔阻止層8と同様の目的で、正孔輸送層4と発光層5の間に電子阻止層を設けることも効果的である。電子阻止層は、発光層5から移動してくる電子が正孔輸送層4に到達することを阻止することで、発光層5内で正孔との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層5内に閉じこめる役割と、正孔輸送層4から注入された正孔を効率よく発光層5の方向に輸送する役割がある。
電子阻止層に求められる特性としては、正孔輸送性が高く、エネルギーギャップ、すなわちHOMOとLUMOの差が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。また、発光層5を湿式成膜法で形成する場合、電子阻止層も湿式成膜法で形成することが、素子製造が容易となるため、好ましい。
このため、電子阻止層も湿式成膜適合性を有することが好ましく、このような電子阻止層に用いられる材料としては、F8-TFBに代表されるジオクチルフルオレンとトリフェニルアミンの共重合体(国際公開第2004/084260号)等が挙げられる。
なお、図1とは逆の構造、即ち、基板1上に陰極9、電子注入層8、電子輸送層7、正孔阻止層6、発光層5、正孔輸送層4、正孔注入層3、陽極2の順に積層することも可能であり、少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設けることも可能である。
さらには、図1に示す層構成を複数段重ねた構造、すなわち発光ユニットを複数積層させた構造とすることも可能である。その際には発光ユニット間となる段間の界面層、例えば、陽極がITO、陰極がAlの場合はその2層の代わりに、例えばV等を電荷発生層として用いると段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
さらには、図1に示す層 本発明は、有機電界発光素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX-Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
[表示装置及び照明装置]
本実施形態に係る有機EL表示装置及び有機EL照明装置は、上述のような本実施形態に係る有機電界発光素子を含むものである。本実施形態に係る有機EL表示装置及び有機EL照明装置の形式や構造については特に制限はなく、本実施形態に係る有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発刊、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本実施形態に係る有機EL表示装置および有機EL照明装置を形成することができる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明はその要旨を逸脱しない限り任意に変更して実施できる。
なお、以下の合成例において、反応はすべて窒素気流下で実施した。反応で用いる溶媒や溶液は、窒素バブリングなどの適切な方法で脱気したものを使用した。
<合成例1:化合物D-1の合成>
Figure 2022121412000027
3L四つ口反応器に、塩化シアヌル(68.0g)、THF(680mL)を入れ溶解させた後、ヨウ化銅(I)(2.1g)を加え、内温-25℃へ冷却した。その後、2M-tert-ブチルマグネシウムブロミド・THF溶液(277mL)を内温-25℃~-9℃以内で30分かけて滴下し、1時間かけて内温16℃まで昇温し、さらに3時間撹拌した。内温-20℃へ冷却後、2M-塩酸(430mL)を内温-20~-5℃以内で15分かけて滴下した後、室温に戻し、酢酸エチル(1L×2回)で抽出し、飽和食塩水(500mL×2回)で洗浄し、油相を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘキサン=1/4~1/2)で精製したところ、2-tert-ブチル-4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンを白色固体として52.7g得た。
Figure 2022121412000028
2L四つ口反応器に、3-ブロモ-3’-(6-フェニル-n-ヘキシル)-1,1’-ビフェニル(38.2g、国際公開第2016/194784号記載の方法で合成した)およびTHF(380mL)を入れ溶解させた後、内温-76℃に冷却して1.6M-n-ブチルリチウム・n-ヘキサン溶液(64mL)を内温-76~-66℃で30分かけて滴下し、さらに1時間撹拌した。別の2L四つ口反応器に、2-tert-ブチル-4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン(20.0g)とTHF(300mL)を入れ、内温―85℃に冷却後、先に調製したリチオ体溶液を内温-85~-80℃で20分かけて移送した。さらに撹拌しながら2時間かけて内温を6℃まで昇温した。水(300mL)を滴下したのち、酢酸エチル(350mL×2回)で抽出後、合わせた油相を水(200mL)、飽和食塩水(100mL)で順次洗浄し、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘキサン=1/4~1/2)で精製したところ、2-tert-ブチル-4-クロロ-6-{3’-(6-フェニル-n-ヘキシル)-1,1’-ビフェニル-3-イル}-1,3,5-トリアジンを無色油状物質として17.9g得た。
Figure 2022121412000029
100mLナスフラスコに、9-ブロモ-7,7-ジメチル-7H-ベンゾ[c]フルオレン(東京化成社製、7.3g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(6.6g)、酢酸カリウム(6.7g)、ジクロロ(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム・ジクロロメタン付加物(0.60g)及びジメチルスルホキシド(55mL)を入れ、90℃で3時間撹拌した。その後室温に冷却し、水(300mL)およびジクロロメタン(200mL)を加えて分液洗浄した。油相を回収し硫酸マグネシウムを添加し乾燥した後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン=15/85)で精製したところ、白色アモルファス固体として2-(7,7-ジメチル-7H-ベンゾ[c]フルオレン-9-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを7.4g得た。
Figure 2022121412000030
1Lナスフラスコに、2-(7,7-ジメチル-7H-ベンゾ[c]フルオレン-9-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(7.4g)、5-ブロモ-2-ヨードピリジン(6.3g)、[テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)](0.80g)、2Mリン酸三カリウム水溶液(30mL)、トルエン(40mL)およびエタノール(20mL)を加え、105℃のオイルバスで17時間撹拌した。室温まで冷却後、水相を除去し、残りの液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン=3/7)で精製したところ、白色固体として5-ブロモ-2-(7,7-ジメチル-7H-ベンゾ[c]フルオレン-9-イル)ピリジンを7.9g得た。
Figure 2022121412000031
1Lナスフラスコに、5-ブロモ-2-(7,7-ジメチル-7H-ベンゾ[c]フルオレン-9-イル)ピリジン(7.9g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(5.9g)、酢酸カリウム(6.8g)、ジクロロ(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム・ジクロロメタン付加物(0.74g)及びジメチルスルホキシド(90mL)を入れ、90℃のオイルバスで10時間撹拌した。いったん室温まで冷却した後、ビス(ピナコラート)ジボロン(1.2g)、ジクロロ(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム・ジクロロメタン付加物(0.22g)を加え再び90℃で5.5時間撹拌した。室温まで冷却後、水(300mL)およびジクロロメタン(100mL)を加えて分液洗浄した。油相を回収し減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン=1/4~4/6)で精製したところ、褐色油状物として、2-(7,7-ジメチル-7H-ベンゾ[c]フルオレン-9-イル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジンを2.8g得た。
Figure 2022121412000032
1Lナスフラスコに、2-(7,7-ジメチル-7H-ベンゾ[c]フルオレン-9-イル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(2.8g)、2-tert-ブチル-4-クロロ-6-{3’-(6-フェニル-n-ヘキシル)-1,1’-ビフェニル-3-イル}-1,3,5-トリアジン(5.0g)、[テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)](0.45g)、2Mリン酸三カリウム水溶液(15mL)、トルエン(30mL)およびエタノール(30mL)を加え、105℃のオイルバスで4時間撹拌した。室温まで冷却後、水相を除去し、残りの液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン=1/1)で精製したところ黄色アモルファス固体として中間体1を2.8g得た。
Figure 2022121412000033
側管付きジムロートを備えた100mLナスフラスコに、中間体1(1.5g)、塩化イリジウム(III)n水和物(0.34g)、2-エトキシエタノール(26mL)、水(6mL)を加え、135~145℃のオイルバスにて蒸留しながら10時間攪拌した。途中3.5時間後に2-エトキシエタノールを20mL追加した。最終的に、蒸留し抜きだされた液量は30mLであった。反応終了後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン=1/1)で精製したところ、赤色固体物として中間体2を1.53g得た。
Figure 2022121412000034
100mLナスフラスコに、中間体2(1.5g)、中間体1(1.2g)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(I)(0.28g)、ジグリム(5mL)を加え、145℃のオイルバスにて2.5時間攪拌した。減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン=2/8)で精製したところ、赤色固体物として化合物D-1を1.4g得た。
<合成例2:化合物D-2の合成>
Figure 2022121412000035
5L4つ口フラスコに、5-ブロモ-2-ヨード安息香酸メチル(56.1g)、1-ナフタレンボロン酸(28.3g)、テトラヒドロフラン(1.0L)、2M炭酸カリウム水溶液(247mL)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(5.8g)を入れ、10時間加熱撹拌した。室温まで冷却した後、酢酸エチル(1L×2回)で抽出し、有機相を水(500mL)および飽和食塩水(500mL)で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後ろ液を減圧下濃縮した得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘキサン=1/5~1/3)で精製したところ、5-ブロモ-2-(1-ナフチル)安息香酸メチルを白色固体として45.6g得た。
Figure 2022121412000036
1L四つ口フラスコに、マグネシウム(削り状、8.68g)、超脱水テトラヒドロフラン(40mL)を入れ、1-ブロモオクタン(75.8g)のうちの2mLを加えた。ヨウ素(顆粒状、1粒)を加え反応を開始させた後、残りの1-ブロモオクタンの超脱水テトラヒドロフラン(230mL)溶液を、内温40℃で1.5時間かけて滴下し、さらに1時間還流撹拌し、グリニャールを調製した。
別の3L四つ口フラスコに、5-ブロモ-2-(1-ナフチル)安息香酸メチル(40.6g)を超脱水テトラヒドロフラン(800mL)に溶解させ、内温-4℃に冷却した。次いで、先に調製したグリニャール試薬溶液を内温-4~+13℃以内で30分間掛けて滴下し、さらに30分間掛けて内温23℃に昇温した。更に、内温55~60℃にて4時間加熱還流した。その後、内温-7℃に冷却し、2N塩酸(0.35L)を内温-7~+13℃以内になるように、10分間かけて滴下した後、室温へ戻しながら30分間撹拌した。酢酸エチル(0.5L×2回)抽出後、飽和食塩水:水=1:1(500mL)で洗浄した油相を、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後得られたろ液を濃縮したところ、目的物である1-ブロモ-3-[9-(9-ヒドロキシヘプタデシル)]-4-(1-ナフチル)ベンゼンと、副生物である1-ブロモ-3-[1-(1-ヒドロキシノニル)]-4-(1-ナフチル)ベンゼンの混合物粗体(液体クロマトグラフ分析による混合比率は約2:7)を褐色油状物として56.3g得た。
Figure 2022121412000037
1L四つ口フラスコに、前反応で得られた混合物粗体(56.3g)、ジクロロメタン(453mL)を入れ、内温-8℃に冷却した後、三塩化ほう素-ジエチルエーテル錯体(22.4mL)を内温-8~-5℃以内になるように、30分間かけて滴下した後、さらに30分間掛けて内温20℃にし、内温20~23℃で4時間撹拌した。その後、内温-8℃に冷却後、2M苛性曹達水(180mL)を内温-8~+10℃以内になるように、5分間かけて滴下した。油相を回収し、水相をジクロロメタン(0.5L)で抽出した。有機相を合わせ、精製水(0.2L)、飽和食塩水(0.1L)で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、ろ液を濃縮したところ、目的物である9-ブロモ-7,7-ジ-(n-オクチル)-7H-ベンゾ[c]フルオレンと、副生物である9-ブロモ-7-n-オクチル-7H-ベンゾ[c]フルオレンの混合物粗体(液体クロマトグラフ分析による混合比率は約2:6)を褐色油状物質として49.3g得た。
Figure 2022121412000038
2L四つ口フラスコに、前反応で得られた粗体(49.3g)、N-メチルピロリドン(0.74L)を入れ、内温6~9℃で、カリウムtert-ブトキシド(14.7g)を分割投入した。9~13℃にて30分間撹拌した後、内温3℃に冷却し、1-ブロモオクタン(25.3g)を内温3~17℃以内にて10分間掛けて滴下し、続いて内温17~22℃にて1 時間撹拌した。更に内温40℃にて2時間加熱撹拌した。
内温4℃に冷却後、精製水(0.8L)を加え、酢酸エチル/ヘキサン=1/2(0.75L×2回)抽出した。2つの有機相を合わせ、水(0.4L)、飽和食塩水(0.2L)で順次洗浄後、硫酸マグネシウム乾燥し、ろ過後、ろ液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサンのみ)で精製したところ、目的物である9-ブロモ-7,7-ジ-(n-オクチル)-7H-ベンゾ[c]フルオレンを白色固体として39.3g得た。
Figure 2022121412000039
2L四つ口フラスコに、9-ブロモ-7,7-ジ-(n-オクチル)-7H-ベンゾ[c]フルオレン(38.0g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(22.3g)、酢酸カリウム(23.0g)、ジクロロ(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム・ジクロロメタン付加物(1.79g)およびトルエン(380mL)を入れ、130分間かけて内温100℃に昇温し、続いて内温100℃で220分間撹拌した。室温まで冷却後、セライトろ過後、ろ液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン=6/4~1/0、その後、酢酸エチル/ジクロロメタン=1/4~1/2)で精製したところ、淡褐色固体として、9-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-7,7-ジ-n-オクチル-7H-ベンゾ[c]フルオレンを30.9g得た。
Figure 2022121412000040
1Lナスフラスコに、9-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-7,7-ジ-n-オクチル-7H-ベンゾ[c]フルオレン(30.5g)、5-ブロモ-2-ヨードピリジン(30.6g)、[テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)](1.90g)、2Mリン酸三カリウム水溶液(67mL)、1,2-ジメトキシエタン(268mL)を加え、内温80~83℃で13時間撹拌した。室温まで冷却後、水相を除去し、残りの液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン=1/5~1/4)で精製したところ白色固体として5-ブロモ-2-(7,7-ジ-n-オクチル-7H-ベンゾ[c]フルオレン-9-イル)ピリジンを26.6g得た。
Figure 2022121412000041
1Lナスフラスコに、5-ブロモ-2-(7,7-ジ-n-オクチル-7H-ベンゾ[c]フルオレン-9-イル)ピリジン(26.6g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(12.8g)、酢酸カリウム(14.0g)、ジクロロ(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム・ジクロロメタン付加物(1.05g)、ジメチルスルホキシド(200mL)および1,4-ジオキサン(40mL)を入れ、85℃のオイルバスで4.5時間撹拌した。室温まで冷却後、水(300mL)およびジクロロメタン(300mL)を加えて分液洗浄した。油相を回収し減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン=6/4~1/0、その後、酢酸エチル/ジクロロメタン=1/9~35/65)で精製したところ、褐色固体として、2-(7,7-ジ-n-オクチル-7H-ベンゾ[c]フルオレン-9-イル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジンを27.4g得た。
Figure 2022121412000042
1Lナスフラスコに、2-(7,7-ジ-n-オクチル-7H-ベンゾ[c]フルオレン-9-イル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(8.1g)、2,4-ジtert-ブチル-6-クロロ-1,3,5-トリアジン(4.2g、公開特許公報2016-160180号記載の方法を援用して合成した)、[テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)](0.54g)、2Mリン酸三カリウム水溶液(22mL)、トルエン(40mL)およびテトラヒドロフラン(20mL)を加え、100~120℃のオイルバスで6.5時間撹拌した。室温まで冷却後、水相を除去し、残りの液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン=1/1)で精製したところ黄色アモルファス固体として中間体3を7.9g得た。
Figure 2022121412000043
側管付きジムロートを備えた300mLナスフラスコに、中間体3(4.4g)、塩化イリジウム(III)n水和物(1.06g)、2-エトキシエタノール(50mL)、水(15mL)を加え、140~145℃のオイルバスにて蒸留しながら5.5時間攪拌した。最終的に、蒸留し抜きだされた液量は約20mLであった。反応終了後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン=1/1)で精製したところ、赤色固体物として中間体4を4.3g得た。
Figure 2022121412000044
100mLナスフラスコに、中間体4(4.3g)、中間体3(3.5g)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(I)(0.68g)、ジグリム(15mL)を加え、145℃のオイルバスにて2.5時間攪拌した。減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン=3/7)で精製したところ、赤色固体物として化合物D-2を3.6g得た。
<合成例3:化合物D-3の合成>
Figure 2022121412000045
200mLナスフラスコに、2-(7,7-ジ-n-オクチル-7H-ベンゾ[c]フルオレン-9-イル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(6.6g)、2,4-ジ(p-tert-ブチルフェニル)-6-クロロ-1,3,5-トリアジン(5.0g、特許文献1記載の方法で合成した)、[テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)](0.47g)、2Mリン酸三カリウム水溶液(20mL)、トルエン(30mL)およびテトラヒドロフラン(30mL)を加え、120℃のオイルバスで5時間撹拌した。室温まで冷却後、水相を除去し、残りの液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン/酢酸エチル=1/1/0.02)で精製したところ薄い緑色アモルファス固体として中間体5を8.1g得た。
Figure 2022121412000046
側管付きジムロートを備えた300mLナスフラスコに、中間体5(4.6g)、塩化イリジウム(III)n水和物(0.91g)、2-エトキシエタノール(55mL)、水(15mL)を加え、140~150℃のオイルバスにて蒸留しながら9.5時間攪拌した。最終的に、蒸留し抜きだされた液量は約60mLであった。反応終了後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン=1/1)で精製したところ、赤色固体物として中間体6を3.0g得た。
Figure 2022121412000047
100mLナスフラスコに、中間体6(3.0g)、中間体5(3.4g)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(I)(0.61g)、ジグリム(15mL)を加え、140~150℃のオイルバスにて2時間攪拌した。減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン=3/7)で精製したところ、赤色固体物として化合物D-3を1.4g得た。
<比較化合物1>
特許文献1記載の方法に従い、下式に示す比較化合物D-C1を合成した。
Figure 2022121412000048
<比較化合物2>
特許文献3記載の方法に従い、下式に示す比較化合物D-C2を合成した。
Figure 2022121412000049
<比較化合物3>
下式に示す比較化合物D-C3を合成した。
Figure 2022121412000050
<比較化合物4>
下式に示す比較化合物D-C4を合成した。
Figure 2022121412000051
[発光極大波長および半値幅の測定]
化合物D-1を、常温下で、トルエン(富士フイルム和光純薬社製、分光分析用)に溶解し、1×10-5mol/Lの溶液を調製した。この溶液をテフロン(登録商標)コック付きの石英セルに入れ、窒素バブリングを20分以上行った後、室温で燐光スペクトルを測定した。得られた燐光スペクトル強度の最大値を示す波長を、最大発光波長とした。
また、最大発光波長の半分のスペクトル強度の幅を半値幅とした。cm-1で表した半値幅は換算高さ1に規格化されたスペクトルのデータから、高さ0.5を超える短い方の波長および高さ0.5を下回る長いほうの波長を読みとり、nmをcm-1に換算してその差をcm-1の半値幅とした。
なお、発光スペクトルの測定には、以下の機器を用いた。
装置:浜松ホトニクス社製 有機EL量子収率測定装置C9920-02
光源:モノクロ光源L9799-01
検出器:マルチチャンネル検出器PMA-11
励起光:380nm
[PL量子収率の測定]
発光効率として、PL量子収率を測定した。PL量子収率は、材料に吸収された光(エネルギー)に対してどの程度の効率で発光が得られるかを示す指標であり、上記と同様、以下の機器を用いて測定した。
装置:浜松ホトニクス社製 有機EL量子収率測定装置C9920-02
光源:モノクロ光源L9799-01
検出器:マルチチャンネル検出器PMA-11
励起光:380nm
化合物D-2、化合物D-3、比較化合物D-C1、比較化合物D-C2、比較化合物D-3および比較化合物D-C4に関しても、同様に半値幅と極大波長およびPL量子収率を測定した。
Figure 2022121412000052
比較化合物に比べ、発光波長は長くなっているため量子収率の値は少し低くなった。しかし、半値幅が極めて狭くなっていることがわかる。従来の赤色発光イリジウム錯体においては、発光極大波長が長くなるほど、半値幅が広がる傾向にあるが、今回は全く逆であり、極めて驚くべき結果である。
[実施例1]
有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
ガラス基板上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を50nmの厚さに堆積したもの(ジオマテック社製、スパッタ成膜品)を通常のフォトリソグラフィー技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。このようにITOをパターン形成した基板を、界面活性剤水溶液による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄、超純水による水洗の順で洗浄後、圧縮空気で乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
正孔注入層形成用組成物として、下記式(P-1)の繰り返し構造を有する正孔輸送性高分子化合物3.0重量%と、酸化剤(HI-1)0.6重量%とを、安息香酸エチルに溶解させた組成物を調製した。
Figure 2022121412000053
この溶液を、大気中で上記基板上にスピンコートし、大気中ホットプレートで240℃、30分乾燥させ、膜厚39nmの均一な薄膜を形成し、正孔注入層とした。
次に、下記の構造式(HT-1)を有する電荷輸送性高分子化合物100質量部を、シクロヘキシルベンゼンに溶解させ、3.0質量%の溶液を調製した。
この溶液を、上記正孔注入層を塗布成膜した基板上に窒素グローブボックス中でスピンコートし、窒素グローブボックス中のホットプレートで230℃、30分間乾燥させ、膜厚42nmの均一な薄膜を形成し、正孔輸送層とした。
Figure 2022121412000054
引続き、発光層の材料として、下記の構造式(H-1)を50質量部、(H-2)を50質量部、(AD-1)を15質量部、(D-1)を15質量部秤量し、シクロヘキシルベンゼンに溶解させ5.0質量%の溶液を調製した。
Figure 2022121412000055
この溶液を、上記正孔輸送層を塗布成膜した基板上に窒素グローブボックス中でスピンコートし、窒素グローブボックス中のホットプレートで120℃、20分間乾燥させ、膜厚60nmの均一な薄膜を形成し、発光層とした。
発光層までを成膜した基板を真空蒸着装置に設置し、装置内を2×10-4Pa以下になるまで排気した。
次に、下記の構造式(ET-1)および8-ヒドロキシキノリノラトリチウムを2:3の膜厚比で、発光層上に真空蒸着法にて共蒸着し、膜厚30nmの正孔阻止層を形成した。
Figure 2022121412000056
続いて、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極のITOストライプとは直交するように基板に密着させて、アルミニウムをモリブデンボートにより加熱して、膜厚80nmのアルミニウム層を形成して陰極を形成した。以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。
(素子の評価)
得られた有機電界発光素子に通電して発光させ、発光スペクトルのピーク波長及び半値幅を測定した。
また、この素子を1000cd/mの輝度で発光させたときの外部量子効率(EQE(%))を求めた。
さらに、素子の駆動寿命評価として、この素子に60mA/cmの電流密度で連続通電し、素子の輝度が初期輝度の95%まで低下する時間(LT95(hr))を測定し、比較例1のLT97を1としたときの実施例1のLT95の寿命を相対寿命として表2に記した。
[比較例1]
発光層の組成を、(D-1)の代わりに(D-C1)とした他は、実施例1と同様にして素子を作製した。
[素子の評価]
表2の結果から、本発明の有機電界発光素子では、発光効率が従来同等であり、半値幅が狭く良好であった。
また、本発明の発光材料を用いた有機電界発光素子は駆動寿命が長く良好であった。
Figure 2022121412000057
[比較例2]
発光層の組成を、(D-1)の代わりに(D-C2)とした他は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
この有機電界発光素子を発光させたときの発光スペクトルのピーク波長及び半値幅はそれぞれ、617nm、61nmであり、半値幅が広く不良であった。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極
10 有機電界発光素子

Claims (15)

  1. 下記式(1)で表されるイリジウム錯体化合物。
    Figure 2022121412000058
    [式(1)において、Irはイリジウム原子を表す。R~R12は、それぞれ独立に水素原子、D、F、Cl、Br、I又は置換基を表す。R21およびR22は、それぞれ独立に炭素数1以上30以下の、直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素数3以上30以下の環状アルキル基、炭素数5以上60以下のアラルキル基または炭素数5以上60以下のヘテロアラルキル基を表す。R~R11並びにR21およびR22は互いに隣り合う基同士でさらに結合して環を形成してもよい。ただし、RおよびRのいずれか一つは下記式(2)で表される置換基である。]
    Figure 2022121412000059
    [式(2)において、破線は式(1)との結合手を表す。R31およびR32は、それぞれ独立に水素原子、D、F、Cl、Br、I又は置換基を表す。Xは、それぞれ独立にCHまたはNを表し、3個のXのうち少なくとも1個はNである。]
  2. 前記式(1)が下記式(3)である請求項1に記載のイリジウム錯体化合物。
    Figure 2022121412000060
    [式(3)において、Ir、R~R12、R21およびR22は、前記式(1)における定義と同様である。]
  3. 前記式(1)または前記式(3)において、R~R12は下記である、請求項1または2に記載のイリジウム錯体化合物。
    [R~R12は、それぞれ独立に、水素原子、D、F、Cl、Br、I、-N(R’)、-CN、-NO、-OH、-COOR’、-C(=O)R’、-C(=O)NR’、-P(=O)(R’)、-S(=O)R’、-S(=O)R’、-OS(=O)R’、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数3以上30以下の環状アルキル基、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルコキシ基、炭素数2以上30以下の環状アルコキシ基、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキルチオ基、炭素数2以上30以下の環状アルキルチオ基、炭素数2以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルケニル基、炭素数3以上30以下の環状アルケニル基、炭素数2以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキニル基、炭素数3以上30以下の環状アルキニル基、炭素数5以上60以下の芳香族基、炭素数1以上60以下の複素芳香族基、炭素数5以上40以下のアリールオキシ基、炭素数5以上40以下のアリールチオ基、炭素数5以上60以下のアラルキル基、炭素数2以上60以下のヘテロアラルキル基、炭素数10以上40以下のジアリールアミノ基、炭素数10以上40以下のアリールヘテロアリールアミノ基、又は、炭素数10以上40以下のジヘテロアリールアミノ基から選ばれる。
    該アルキル基、該アルコキシ基、該アルキルチオ基、該アルケニル基および該アルキニル基は、少なくとも1つ以上の水素原子がさらにR’(ただし水素原子を除く。)で置換されていてもよく、これらの基における1つの-CH-基あるいは2以上の隣接していない-CH-基が、-C(-R’)=C(-R’)-、-C≡C-、-Si(-R’)、-C(=O)-、-NR’-、-O-、-S-、-CONR’-もしくは2価の芳香族基に置き換えられていてもよい。また、これらの基における一つ以上の水素原子が、D、F、Cl、Br、I又は-CNで置換されていてもよい。
    該芳香族基、該複素芳香族基、該アリールオキシ基、該アリールチオ基、該アラルキル基、該ヘテロアラルキル基、該ジアリールアミノ基、該アリールヘテロアリールアミノ基および該ジヘテロアリールアミノ基は、それぞれ独立に、少なくとも1つ以上の水素原子がさらにR’(ただし水素原子を除く。)で置換されていてもよい。
    R’はそれぞれ独立に、水素原子、D、F、Cl、Br、I、-N(R’’)、-CN、-NO、-Si(R’’)、-B(OR’’)、-C(=O)R’’、-P(=O)(R’’)、-S(=O)R’’、-OSOR’’、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数3以上30以下の環状アルキル基、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルコキシ基、炭素数2以上30以下の環状アルコキシ基、炭素数1以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキルチオ基、炭素数2以上30以下の環状アルキルチオ基、炭素数2以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルケニル基、炭素数3以上30以下の環状アルケニル基、炭素数2以上30以下の、直鎖もしくは分岐アルキニル基、炭素数3以上30以下の環状アルキニル基、炭素数5以上60以下の芳香族基、炭素数1以上60以下の複素芳香族基、炭素数5以上40以下のアリールオキシ基、炭素数5以上40以下のアリールチオ基、炭素数5以上60以下のアラルキル基、炭素数2以上60以下のヘテロアラルキル基、炭素数10以上40以下のジアリールアミノ基、炭素数10以上40以下のアリールヘテロアリールアミノ基又は炭素数10以上40以下のジヘテロアリールアミノ基から選ばれる。
    該アルキル基、該アルコキシ基、該アルキルチオ基、該アルケニル基および該アルキニル基は、少なくとも1つ以上の水素原子がさらにR’’(ただし水素原子を除く。)で置換されていてもよく、これらの基における1つの-CH-基あるいは2以上の隣接していない-CH-基が、-C(-R’’)=C(-R’’)-、-C≡C、-Si(-R’’)-、-C(=O)-、-NR’’-、-O-、-S-、-CONR’’-もしくは2価の芳香族基に置き換えられていてもよい。また、これらの基における一つ以上の水素原子が、D、F、Cl、Br、I又は-CNで置換されていてもよい。
    該芳香族基、該複素芳香族基、該アリールオキシ基、該アリールチオ基、該アラルキル基、該ヘテロアラルキル基、該ジアリールアミノ基、該アリールヘテロアリールアミノ基および該ジヘテロアリールアミノ基は、それぞれ独立に、少なくとも1つ以上の水素原子がさらにR’’(ただし水素原子を除く。)で置換されていてもよい。2つ以上の隣接するR’が互いに結合して、脂肪族又は芳香族もしくはヘテロ芳香族の、単環もしくは縮合環を形成してもよい。
    R’’はそれぞれ独立に、水素原子、D、F、-CN、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、炭素数5以上20以下の芳香族基又は炭素数1以上20以下の複素芳香族基から選ばれる。
    2つ以上の隣接するR’’が互いに結合して、脂肪族又は芳香族もしくはヘテロ芳香族の、単環もしくは縮合環を形成してもよい。]
  4. 前記式(2)において、3個のXのうち少なくとも2個はNである、請求項1~3のいずれか1項に記載のイリジウム錯体化合物。
  5. 21およびR22のいずれもが、炭素数1以上30以下の直鎖または分岐アルキル基である、請求項1~4のいずれか1項に記載のイリジウム錯体化合物。
  6. が前記式(2)で表される置換基である、請求項1~5のいずれか1項に記載のイリジウム錯体化合物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載のイリジウム錯体化合物と有機溶剤とを含む、イリジウム錯体化合物含有組成物。
  8. 前記式(1)で表されるイリジウム錯体化合物よりも最大発光波長が短波長である下記式(4)で表される化合物をさらに含む、請求項7に記載のイリジウム錯体化合物含有組成物。
    Figure 2022121412000061
    [式(4)中、R35は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~40の(ヘテロ)アラルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数3~20の(ヘテロ)アリールオキシ基、炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数6~20のアリールシリル基、炭素数2~20のアルキルカルボニル基、炭素数7~20のアリールカルボニル基、炭素数1~20のアルキルアミノ基、炭素数6~20のアリールアミノ基、または炭素数3~30の(ヘテロ)アリール基である。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。R35が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
    cは0~4の整数である。
    環Aは、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、アザトリフェニレン環、カルボリン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環のいずれかである。
    環Aは、置換基を有していてもよく、前記置換基は、F、Cl、Br、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~40の(ヘテロ)アラルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数3~20の(ヘテロ)アリールオキシ基、炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数6~20のアリールシリル基、炭素数2~20のアルキルカルボニル基、炭素数7~20のアリールカルボニル基、炭素数2~20のアルキルアミノ基、炭素数6~20のアリールアミノ基、または炭素数3~20の(ヘテロ)アリール基である。また、環Aに結合する隣り合う置換基同士が結合してさらに環を形成してもよい。環Aが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
    は有機配位子を表し、
    nは1~3の整数である。]
  9. 下記式(20)で表される化合物をさらに含む、請求項7または8に記載のイリジウム錯体化合物含有組成物。
    Figure 2022121412000062
    (式(20)中、
    Wは、各々独立に、CH又はNを表し、少なくとも一つのWはNであり、
    Xa、Ya、及びZaは、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数6~30の二価の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数3~30の二価の芳香族複素環基を表し、
    Xa、Ya及びZaは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数3~30の芳香族複素環基を表し、
    g11、h11、及びj11は各々独立に0~6の整数を表し、
    g11、h11、及びj11の少なくとも一つは1以上の整数であり、
    g11が2以上の場合、複数存在するXaは同一であっても異なっていてもよく、
    h11が2以上の場合、複数存在するYaは同一であっても異なっていてもよく、
    j11が2以上の場合、複数存在するZaは同一であっても異なっていてもよく、
    31は水素原子又は置換基を表し、4個のR31は同一であっても異なっていてもよい。
    但し、g11、h11、又はj11が0の場合、それぞれ対応するXa、Ya、又はZaは水素原子ではない。)
  10. 基板上に陽極、陰極、及び、前記陽極と前記陰極の間に位置する少なくとも1層の有機層、を有する有機電界発光素子の製造方法であって、
    前記有機層のうち少なくとも1層が、請求項7~9のいずれか1項に記載のイリジウム錯体化合物含有組成物を用いて湿式成膜法にて形成される、有機電界発光素子の製造方法。
  11. 基板上に陽極、陰極、及び、前記陽極と前記陰極の間に位置する少なくとも1層の有機層、を有し、
    前記有機層のうち少なくとも1層が、請求項1~6のいずれか1項に記載のイリジウム錯体化合物を含む発光層である、有機電界発光素子。
  12. 前記式(1)で表されるイリジウム錯体化合物よりも最大発光波長が短波長である下記式(4)で表される化合物をさらに含む、請求項11に記載の有機電界発光素子。
    Figure 2022121412000063
    [式(4)中、R35は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~40の(ヘテロ)アラルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数3~20の(ヘテロ)アリールオキシ基、炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数6~20のアリールシリル基、炭素数2~20のアルキルカルボニル基、炭素数7~20のアリールカルボニル基、炭素数1~20のアルキルアミノ基、炭素数6~20のアリールアミノ基、または炭素数3~30の(ヘテロ)アリール基である。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。R35が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
    cは0~4の整数である。
    環Aは、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、アザトリフェニレン環、カルボリン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環のいずれかである。
    環Aは、置換基を有していてもよく、前記置換基は、F、Cl、Br、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~40の(ヘテロ)アラルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数3~20の(ヘテロ)アリールオキシ基、炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数6~20のアリールシリル基、炭素数2~20のアルキルカルボニル基、炭素数7~20のアリールカルボニル基、炭素数2~20のアルキルアミノ基、炭素数6~20のアリールアミノ基、または炭素数3~20の(ヘテロ)アリール基である。また、環Aに結合する隣り合う置換基同士が結合してさらに環を形成してもよい。環Aが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
    は有機配位子を表し、
    nは1~3の整数である。]
  13. 前記発光層が下記式(20)で表される化合物をさらに含む、請求項11または12に記載の有機電界発光素子。
    Figure 2022121412000064
    (式(20)中、
    Wは、各々独立に、CH又はNを表し、少なくとも一つのWはNであり、
    Xa、Ya、及びZaは、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数6~30の二価の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数3~30の二価の芳香族複素環基を表し、
    Xa、Ya及びZaは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数3~30の芳香族複素環基を表し、
    g11、h11、及びj11は各々独立に0~6の整数を表し、
    g11、h11、及びj11の少なくとも一つは1以上の整数であり、
    g11が2以上の場合、複数存在するXaは同一であっても異なっていてもよく、
    h11が2以上の場合、複数存在するYaは同一であっても異なっていてもよく、
    j11が2以上の場合、複数存在するZaは同一であっても異なっていてもよく、
    31は水素原子又は置換基を表し、4個のR31は同一であっても異なっていてもよい。
    但し、g11、h11、又はj11が0の場合、それぞれ対応するXa、Ya、又はZaは水素原子ではない。)
  14. 請求項11~13のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を含む、有機EL表示装置。
  15. 請求項11~13のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を含む、有機EL照明装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023136252A1 (ja) * 2022-01-13 2023-07-20 三菱ケミカル株式会社 イリジウム錯体化合物、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子とその製造方法、及び表示装置

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WO2023136252A1 (ja) * 2022-01-13 2023-07-20 三菱ケミカル株式会社 イリジウム錯体化合物、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子とその製造方法、及び表示装置

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