JP2022121306A - 抗β2ミクログロブリン抗体およびその使用 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、透析アミロイドーシスの治療、予防、または診断のために、その病因物質であるβ2MGと高い結合活性を有する抗体を提供することである。さらに本発明の目的は、前記を用いた透析アミロイドーシスの検査方法、診断方法、治療方法および予防方法を提供することである。【解決手段】本発明により、β2MGと高い結合活性を有するモノクローナル抗体、または一本鎖抗体、およびそれを用いた分析方法、ならび 疾患の診断方法、治療方法および予防方法が提供される。【選択図】図1
Description
本発明は、β2ミクログロブリンに結合活性を有するモノクローナル抗体、その抗原結合断片、一本鎖抗体または融合タンパク質に関する。
β2-ミクログロブリン(β2MGまたはβ2-m)は、99個のアミノ酸残基からなる分子量約11,800のタンパク質であり、赤血球を除く全身の有核細胞表面に広く分布する。β2MGはリンパ球,単球などには豊富に存在しており免疫応答に関与する。通常、β2MGは腎糸球体基底膜を容易に通過し、尿細管において大部分が再吸収され異化される。血清中のβ2MG値は糸球体濾過値の低下に伴い上昇するので,腎糸球体障害などの指標として用いることができる。また、腎不全では糸球体からの排泄が障害されるために尿中への排泄が増加するので,尿中β2MGの測定は尿細管,とりわけ近位尿細管障害の指標となる。
アミロイドーシスは繊維構造をもつ不溶性タンパク質であるアミロイドが、臓器に沈着し機能障害をおこす疾患の総称であり、全身諸臓器にアミロイドが沈着する全身性アミロイドーシスと、ある臓器に限局した沈着をしめす限局性アミロイドーシスに大別される。透析アミロイドーシスは、全身性アミロイドーシスの一つであり、長期の透析患者に見られる合併症である。β2MGは透析アミロイドーシスの原因となるタンパク質として知られている(非特許文献1)。透析アミロイドーシスの処置方法、診断方法について、いくつかの研究が報告されている(特許文献1~4、非特許文献2および4)。
病因物質を抗原とする抗体は広く用いられており、抗体の製造方法についても多くの研究がされている。例えば、一本鎖抗体をフィブロインタンパク質との融合タンパク質として製造する方法が報告されている(特許文献5および6、および非特許文献3および5)。
Arakawa, M. et al., Internal Medicine Vol. 32, No. 12 (December 1993), 925-927;
Grovender, E.A. et al., Kidney International, Vol. 65 (2004), pp. 310-322;
Sato, M., et al., Sci Rep, 7, 16077 (2017). https://doi.org/10.1038/s41598-017-16277-6;
Kambe, Y., et al., J. Control Release, 2020, Vol.327, pp.8-18;
Sato M, et al., PLoS ONE 7(4): e34632 (2012). doi:10.1371/journal.pone.0034632
透析アミロイドーシスの治療、予防、または診断のために、その病因物質であるβ2MGと高い結合活性を有する抗体を作成することが重要となる。抗β2MG抗体についていくつかの報告がされているが、十分な活性を有する抗体について報告がされていない。本発明の目的は、透析アミロイドーシスの治療、予防、または診断のために、その病因物質であるβ2MGと高い結合活性を有する抗体を提供することである。さらに本発明の目的は、前記を用いた透析アミロイドーシスの検査方法、診断方法、治療方法および予防方法を提供することである。
発明者らは鋭意研究を行って、高い結合活性を有するモノクローナル抗体を作成し、該抗体の重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を有する一本鎖抗体が高い結合活を維持することを見いだし、本発明を完成させた。さらに発明者らは上記抗体が他のタンパク質に連結した融合タンパク質が疾患の治療、予防または診断において有用であることを見いだし、本発明を完成させた。
本発明により、以下の発明が提供される。なお、本明細書において配列番号で示される配列は、表2において示される。
[1]重鎖可変領域の各相補性決定領域(VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3)および軽鎖可変領域の各相補性決定領域(VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3)のアミノ酸配列が、
(a)VH CDR1:配列番号:1に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(b)VH CDR2:配列番号:2に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(c)VH CDR3:配列番号:3に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(d)VL CDR1:配列番号:5に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(e)VL CDR2:配列番号:6に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一
のアミノ酸配列;
(f)VL CDR3:配列番号:7に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列
を含む、ヒトβ2ミクログロブリン(hβ2MG)に結合活性を有するモノクローナル抗体、その抗原結合断片または一本鎖抗体。
[1]重鎖可変領域の各相補性決定領域(VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3)および軽鎖可変領域の各相補性決定領域(VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3)のアミノ酸配列が、
(a)VH CDR1:配列番号:1に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(b)VH CDR2:配列番号:2に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(c)VH CDR3:配列番号:3に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(d)VL CDR1:配列番号:5に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(e)VL CDR2:配列番号:6に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一
のアミノ酸配列;
(f)VL CDR3:配列番号:7に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列
を含む、ヒトβ2ミクログロブリン(hβ2MG)に結合活性を有するモノクローナル抗体、その抗原結合断片または一本鎖抗体。
[2]重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列が、
配列番号:4のアミノ酸配列またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列、および配列番号:8のアミノ酸配列またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
である[1]に記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片または一本鎖抗体。
[3]完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、dsFv、ダイアボディ、sc(Fv)2または一本鎖抗体である、[1]又は[2]に記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片または一本鎖抗体。
[4]VHとVLがリンカーで連結されている、[1]~[3]のいずれかに記載の一本鎖抗体。
[5]リンカーが、10~20個のアミノ酸残基からなるペプチドリンカーである、[4]に記載の一本鎖抗体。
[6]1×10-5M以下の解離定数(Kd値)でhβ2MGと結合する、[1]~[5]のいずれかに記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片または一本鎖抗体。
[7][1]~[6]に記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片または一本鎖抗体が他のタンパク質と連結する、融合タンパク質。
[8]前記他のタンパク質が肝臓に取り込まれる性質を有する、[7]に記載の融合タンパク質。
[9]前記他のタンパク質が低比重リポタンパク質(LDL)のレセプター結合部のペプチドである、[7]または[8]に記載の融合タンパク質。
[10]前記他のタンパク質がアポリポタンパク質E(ApoE)、アポリポタンパク質B(ApoB)または抗LDLレセプター抗体である、[7]または[8]に記載の融合タンパク質。
配列番号:4のアミノ酸配列またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列、および配列番号:8のアミノ酸配列またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
である[1]に記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片または一本鎖抗体。
[3]完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、dsFv、ダイアボディ、sc(Fv)2または一本鎖抗体である、[1]又は[2]に記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片または一本鎖抗体。
[4]VHとVLがリンカーで連結されている、[1]~[3]のいずれかに記載の一本鎖抗体。
[5]リンカーが、10~20個のアミノ酸残基からなるペプチドリンカーである、[4]に記載の一本鎖抗体。
[6]1×10-5M以下の解離定数(Kd値)でhβ2MGと結合する、[1]~[5]のいずれかに記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片または一本鎖抗体。
[7][1]~[6]に記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片または一本鎖抗体が他のタンパク質と連結する、融合タンパク質。
[8]前記他のタンパク質が肝臓に取り込まれる性質を有する、[7]に記載の融合タンパク質。
[9]前記他のタンパク質が低比重リポタンパク質(LDL)のレセプター結合部のペプチドである、[7]または[8]に記載の融合タンパク質。
[10]前記他のタンパク質がアポリポタンパク質E(ApoE)、アポリポタンパク質B(ApoB)または抗LDLレセプター抗体である、[7]または[8]に記載の融合タンパク質。
[11][1]~[10]のいずれかに記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片、一本鎖抗体、または融合タンパク質を含む医薬組成物。
[12]透析アミロイドーシスの診断、治療、または予防に用いるための、[11]に記載の医薬組成物。
[13]前記他のタンパク質がフィブロインである、[7]に記載の融合タンパク質。
[14]前記他のタンパク質がカイコのフィブロインLである、[7]または[13]に記載の融合タンパク質。
[15][1]~[7]、[13]および[14]のいずれかに記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片、一本鎖抗体、または融合タンパク質を含む、ヒトβ2ミクログロブリンの吸着に用いるための組成物。
[16]血液吸着用カラム担体として用いるための、[15]に記載の組成物。
[17]診断薬または検査薬として用いるための、[15]に記載の組成物。
[18][1]~[10]、[13]および[14]のいずれかに記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片、一本鎖抗体、または融合タンパク質をコードする、核酸。
[19][18]に記載の核酸を含む発現ベクター。
[20][19]の発現ベクターを含む宿主細胞。
[21][7]~[10]のいずれかに記載の融合タンパク質を患者に投与することを含む、透析アミロイドーシスの診断方法、治療方法、または予防方法。
[22]患者が人工透析を受けている、[21]に記載の診断方法、治療方法、または予防方法。
[23][15]に記載の組成物を含む血液吸着用カラム担体。
[24][16]に記載の組成物を含む診断薬または検査薬。
[25][23]に記載の血液吸着用カラム担体を用いることを含む、透析アミロイドーシスの診断方法、治療方法、または予防方法。
[26]患者が人工透析を受けている、[25]に記載の診断方法、治療方法、または予防方法。
[27][24]に記載の診断薬または検査薬を用いることを含む、透析アミロイドーシスの診断方法または予防方法。
[28]患者が人工透析を受けている、[27]に記載の診断方法または予防方法。
[12]透析アミロイドーシスの診断、治療、または予防に用いるための、[11]に記載の医薬組成物。
[13]前記他のタンパク質がフィブロインである、[7]に記載の融合タンパク質。
[14]前記他のタンパク質がカイコのフィブロインLである、[7]または[13]に記載の融合タンパク質。
[15][1]~[7]、[13]および[14]のいずれかに記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片、一本鎖抗体、または融合タンパク質を含む、ヒトβ2ミクログロブリンの吸着に用いるための組成物。
[16]血液吸着用カラム担体として用いるための、[15]に記載の組成物。
[17]診断薬または検査薬として用いるための、[15]に記載の組成物。
[18][1]~[10]、[13]および[14]のいずれかに記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片、一本鎖抗体、または融合タンパク質をコードする、核酸。
[19][18]に記載の核酸を含む発現ベクター。
[20][19]の発現ベクターを含む宿主細胞。
[21][7]~[10]のいずれかに記載の融合タンパク質を患者に投与することを含む、透析アミロイドーシスの診断方法、治療方法、または予防方法。
[22]患者が人工透析を受けている、[21]に記載の診断方法、治療方法、または予防方法。
[23][15]に記載の組成物を含む血液吸着用カラム担体。
[24][16]に記載の組成物を含む診断薬または検査薬。
[25][23]に記載の血液吸着用カラム担体を用いることを含む、透析アミロイドーシスの診断方法、治療方法、または予防方法。
[26]患者が人工透析を受けている、[25]に記載の診断方法、治療方法、または予防方法。
[27][24]に記載の診断薬または検査薬を用いることを含む、透析アミロイドーシスの診断方法または予防方法。
[28]患者が人工透析を受けている、[27]に記載の診断方法または予防方法。
本発明により、β2MGとの高い結合活性を有するモノクローナル抗体および一本鎖抗体が提供される。さらに本発明により、疾患の治療、予防または診断に有用である、上記抗体が他のタンパク質に連結した融合タンパク質が提供される。
本発明の1つの側面において、本発明の抗体は単離された抗体である。単離された抗体には、天然に存在して何ら外的操作(人為的操作)が施されていない抗体、即ちある個体の体内で産生され、そこに留まっている状態の抗体は含まれない。本明細書において、抗体は結合活性の向上などのために何らかの改変を含んでいてもよい。医薬として用いるための抗体において、より良い特性を有する抗体を得るための改変は当該技術分野において当業者に知られた方法で行うことができる。本発明の抗体は典型的にはモノクローナル抗体、またはその抗原結合断片である。
アミノ酸配列に関して使用する用語「実質的に同一」とは、比較される二つのアミノ酸配列間で配列上の相違が比較的小さく且つ配列上の相違が抗原に対する特異的結合性に関して実質的な影響を与えないことを意味する。実質的に同一なアミノ酸配列はアミノ酸配列の一部の改変を含んでいてもよく、例えば、アミノ酸配列を構成する1~数個(例えば、1~3個)のアミノ酸の欠失、置換、若しくは1~数個(例えば、1~3個)のアミノ酸の付加、挿入、又はこれらの組合せによりアミノ酸配列が改変されていてもよい。アミノ酸配列の変異の位置は特に限定されず、複数の位置で変異を生じていてもよい。アミノ酸配列において改変されるアミノ酸の数は示された全アミノ酸の例えば10%以内に相当する数であり、好ましくは全アミノ酸の5%以内に相当する数である。さらに好ましくは全アミノ酸の1%以内に相当する数である。
アミノ酸を置換する場合には、置換するアミノ酸の側鎖と類似の生化学的特性を持った側鎖を有するアミノ酸と置換することができる(保存的アミノ酸置換)。1つの態様において、実質的に同一なアミノ酸配列は、例えば、1つもしくは複数の保存的置換を含んでいてもよい。保存的アミノ酸置換は当業者に知られており、例えば以下の表に示す例が挙げられる(例えば、WO2010/146550など)。
1つの態様において、80%以上、85%以上、90%以上または95%以上の同一性を有する2つのアミノ酸配列は、実質的に同一である。別の態様において、80%以上、85%以上、90%以上または95%以上の同一性を有する2つのアミノ酸配列は、置換が上記表に示す保存的置換か例示的置換に示されるアミノ酸を用いて置換されている場合は、実質的に同一である。さらに別の態様において、80%以上、85%以上、90%以上または95%以上の同一性を有する2つのアミノ酸配列は、置換が上記表の保存的置換に示されるアミノ酸を用いて置換されている場合は、実質的に同一である。
また、天然に存在するアミノ酸は、共通の側鎖特性に基づいて以下の群に分類される:
(1)非極性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、
(2)極性、荷電なし:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、
(3)酸性(負荷電):Asp、Glu、
(4)塩基性(正荷電):Lys、Arg、His、
(5)鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro、および
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
(1)非極性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、
(2)極性、荷電なし:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、
(3)酸性(負荷電):Asp、Glu、
(4)塩基性(正荷電):Lys、Arg、His、
(5)鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro、および
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
1つの態様として、置換するアミノ酸と同じ群に属するアミノ酸を用いて置換してもよい。
1つの態様において、80%以上、85%以上、90%以上または95%以上の同一性を有する2つのアミノ酸配列は、実質的に同一である。別の態様において、80%以上、85%以上、90%以上または95%以上の同一性を有する2つのアミノ酸配列は、置換がアミノ酸と上記の群と同じ群に属するアミノ酸を用いて置換されている場合は、実質的に同一である。
二つのアミノ酸配列が実質的に同一であるか否かは、各アミノ酸配列を含む抗体(他の領域の配列は同一)の抗原に対する結合特異性を比較することによって判定できる。例えば、基準となる抗体の生理食塩水環境下での抗原に関する解離定数(Kd値)をAとしたとき、比較対象の抗体のKd値がA×10-1~A×10の範囲であれば実質的な同一性を認定できる。
本発明に係る核酸は、典型的には、単離された核酸であり、例えばcDNA分子など遺伝子組み換え技術によって生産される核酸の場合の「単離された核酸」は好ましくは、細胞成分や培養液などを実質的に含まない状態の核酸をいう。同様に、化学合成によって生産される核酸の場合の「単離された核酸」は好ましくは、dNTPなどの前駆体(原材料)や合成過程で使用される化学物質等を実質的に含まない状態の核酸をいう。
本明細書における用語「核酸」はDNA(cDNAおよびゲノムDNAを含む)、RNA(mRNAを含む)、DNA類似体、およびRNA類似体を含む。本発明の核酸の形態は限定されず、即ち1本鎖および2本鎖のいずれであってもよい。好ましくは2本鎖DNAである。またコドンの縮重も考慮される。即ちタンパク質をコードする核酸の場合には、その発現産物として当該タンパク質が得られる限り任意の塩基配列を有していてよい。
従来の抗体構造ユニットは、典型的には4量体を含む。各4量体は、典型的には、2つの同一のポリペプチチド鎖対からなり、各対は、1つの軽鎖(典型的には約25kDaの分子量を有する)と1つの重鎖(典型的には、約50~70kDaの分子量を有する)を有する。ヒト軽鎖は、κ軽鎖とλ軽鎖に分類される。重鎖は、μ、δ、γ、αまたはεに分類され、それぞれ、IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEとして抗体アイソタイプを定義する。IgGは複数のサブクラスを有し、サブクラスとしては、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4が挙げられるがこれらに限定されない。IgMは、IgM1およびIgM2を含むサブクラスを有するが、これらに限定されない。従って、本明細書で使用される場合、「アイソタイプ」は、その定常領域の化学的および抗原的特徴により定義される免疫グロブリンの任意のサブクラスを意味する。既知のヒト免疫グロブリンアイソタイプは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM1、IgM2、IgDおよびIgEである。治療用抗体には、アイソタイプおよび/またはサブクラスのハイブリッドも含まれ得る。
各鎖には、抗原認識に主に関与する約100~110以上のアミノ酸の可変領域が含まれる。可変領域では3つのループが重鎖および軽鎖の各Vドメインについて集合しており、抗原結合部位を形成する。各ループは、相補性決定領域とも称され(以下、「CDR」とも称する)、この部分におけるアミノ酸配列の変異(variation)が最も顕著である。「可変」とは、可変領域の特定のセグメントが、抗体の配列において広範囲に異なるという事実を意味する。可変領域内の可変性は、均一に分布していない。代わりに、V領域は、それぞれ9~15アミノ酸長以上の「超可変領域」と称される極度に可変性の短い領域により分離される15~30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と称される比較的不変のストレッチからなる。
各VHおよびVLは、3つの超可変領域(「相補性決定領域」、「CDR」)と4つのFRからなり、以下の順序でアミノ末端からカルボキシ末端へ配置される:FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4。
超可変領域は、一般に、軽鎖可変領域における、アミノ酸残基24~34付近(VL CDR1;「VL」は軽鎖の可変領域を意味する)、50~56付近(VL CDR2)および89~97付近(VL CDR3)と重鎖可変領域における、31~35付近(VH CDR1;「VH」は重鎖の可変領域を意味する)、50~65付近(VH CDR2)および95~102付近(VH CDR3)のアミノ酸残基;Kabat et al., SEQUENCES OF PROTEINS OF IMMUNOLOGICAL INTEREST, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md.(1991)、および/または超可変性ループを形成するそれらの残基(例えば、軽鎖可変領域における残基26~32(VL CDR1)、50~52(VL CDR2)および91~96(VL CDR3)と、重鎖可変領域における26~32(VH CDR1)、53~55(VH CDR2)および96~101(VH CDR3);Chothia and Lesk (1987) J. Mol. Biol. 196:901-917を包含する。
本明細書にわたり、可変ドメインの残基(およそ、軽鎖可変領域の残基1~107および重鎖可変領域の残基1~113)について言及する場合には、Fc領域で使用されるEUナンバーシステムとともに、Kabatナンバリングシステムを通常用いる(例えば、Kabat et al., 上記 (1991))。
CDRは、抗原結合の形成に寄与し、より詳細には、抗体のエピトープ結合部位の形成に寄与する。「エピトープ」とは、抗体分子の可変領域における特異的な抗原結合部位(パラトープ)と相互作用する決定基を意味する。エピトープは、アミノ酸や糖側鎖などの分子にグループ分けされ、通常、特異的な構造特性および特異的な電荷特性を有する。
本発明の1つの側面において、以下に特定されるアミノ酸配列を重鎖可変領域および軽鎖可変領域の相補性決定領域に含む抗体、またはその抗原結合断片が提供される:
(a)VH CDR1:配列番号:1に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(b)VH CDR2:配列番号:2に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(c)VH CDR3:配列番号:3に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(d)VL CDR1:配列番号:5に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(e)VL CDR2:配列番号:6に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(f)VL CDR3:配列番号:7に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列。
(a)VH CDR1:配列番号:1に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(b)VH CDR2:配列番号:2に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(c)VH CDR3:配列番号:3に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(d)VL CDR1:配列番号:5に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(e)VL CDR2:配列番号:6に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(f)VL CDR3:配列番号:7に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列。
本発明の1つの側面によれば、重鎖可変領域のアミノ酸配列が、配列番号:4のアミノ酸配列またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列であり、軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号:8のアミノ酸配列またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列であるモノクローナル抗体またはその抗原結合断片が提供される。これらの抗体はマウス由来の抗体であり、上記の配列番号で示される重鎖可変領域と軽鎖可変領域に加えて、マウス抗体の定常領域を有している。なお、上記の配列番号で示される重鎖可変領域または軽鎖可変領域と実質的に同一のアミノ酸配列には、例えば、N末端またはC末端に1~20のアミノ酸、具体的には1~10のアミノ酸が付加された配列が含まれる。また、上記の配列番号で示される重鎖可変領域または軽鎖可変領域と実質的に同一のアミノ酸配列には、N末端またはC末端に1または2のアミノ酸(例えば、天然型アミノ酸から選択されるアミノ酸)、より具体的にはGluおよびGlnから選択される1つのアミノ酸が付加した配列が含まれる。さらに、上記の配列番号で示される重鎖可変領域または軽鎖可変領域と実質的に同一のアミノ酸配列には、他の抗体により認識可能なタグ(エピトープタグ、例えば、HA、His、Myc、V5など)のアミノ酸配列が含まれる。
本発明の1つの側面によれば、上記の重鎖可変領域および軽鎖可変領域またはそれらのCDRで特定される抗体またはその抗原結合断片を参照抗体として、抗原との結合について、参照抗体と交差競合する抗体、その抗原結合断片、または一本鎖抗体が提供される。本発明の抗体は、例えばモノクローナル抗体#26を参照抗体として、標準的な結合アッセイを行うことにより交差競合に関する特性を確認することができる。交差競合の確認は、例えば、フローサイトメトリーや交差競合ELISAアッセイにより確認することができる。
本発明の一つの側面において、β2MGと結合活性を有する一本鎖抗体と、代謝または排泄する能力を有する臓器または細胞に取り込まれるリガンドとを、リンカーを介して又はリンカー介さず直接結合する複合体としての融合タンパク質が提供される。前記病因物質を代謝又は排泄する能力を有する臓器又は細胞としては、肝臓、肝細胞、腎臓、腎細胞、脾臓、肺、尿細管が挙げられる。このうち、肝臓、肝細胞、腎臓、腎細胞等がより好ましく、特に肝臓、肝細胞が特に好ましい。臓器又は細胞に特異的なリガンドとしては、前記臓器又は細胞に存在するレセプターに結合するリガンドが挙げられ、このうち、前記臓器又は細胞に存在するレセプターに結合し、取り込まれる能力を有するリガンドが好ましい。一つの態様において、リガンド自体が、前記臓器又は細胞に結合した後、取り込まれる能力があれば、そのリガンドに結合している病因物質も一緒に取り込まれることが想定される。前記リガンドの例として、ガラクトース、低比重リポタンパク質(LDL)などが挙げられる。本発明の一つの態様において、LDLのレセプター結合部のペプチドとβ2MGと結合活性を有する一本鎖抗体を含む融合タンパク質が提供される。
本発明の一つの側面において、β2MGと結合活性を有する一本鎖抗体と他のタンパク質の融合タンパク質が提供される。他のタンパク質としては特に限定されず、何らかの機能を有するタンパク質が例として挙げられる。融合タンパク質は本発明の属する技術分野において当業者に知られた方法により調製することができる。
他のタンパク質の例としては、フィブロインL鎖、フィブロインH鎖、及びフィブロヘキサメリンなどの絹糸を形成するタンパク質、例えばフィブロインタンパク質が挙げられる。フィブロインタンパク質はフィブロイン複合体を形成し、一本鎖抗体がフィブロイン複合体の表面上に配置され易く、より高い抗原特異性の一本鎖抗体が得られ易くなるという観点から、前記一本鎖抗体と融合させるフィブロインタンパク質は、フィブロインL鎖及びフィブロインH鎖からなる群から選択される少なくとも一のタンパク質であることが好ましい。上記タンパク質は、一本鎖抗体を有する担体として機能し、上記タンパク質を含む融合タンパク質はカイコの繭から調製することが可能となる。
本発明の一つの側面において、β2MGと結合活性を有する一本鎖抗体と担体として機能する他のタンパク質の融合タンパク質が提供される。当該融合タンパク質は、β2MGの吸着剤、カラムの充填剤、診断薬、検査薬などとして使用することができる。検査薬は、例えば、尿中または血清中のβ2MGの検出に用いることができる。尿中β2MGが上昇する疾患としては、例えば、重金属中毒症、Fanconi症候群、Wilson病などが挙げられる。血清β2MGが上昇する疾患としては、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、悪性腫瘍、自己免疫疾患などが挙げられる。β2MGの測定はそれらの疾患の診断、経過および予後判定に応用することができる。
本発明の一つの態様において、融合タンパク質の他のタンパク質はβ2MGを代謝または排泄する能力を有する臓器または細胞に取り込まれるリガンドとして機能するタンパク質が挙げられる。前記病因物質を代謝又は排泄する能力を有する臓器又は細胞としては、肝臓、肝細胞、腎臓、腎細胞、脾臓、肺、尿細管が挙げられる。このうち、肝臓、肝細胞、腎臓、腎細胞等がより好ましく、特に肝臓、肝細胞が特に好ましい。臓器又は細胞に特異的なリガンドとしては、前記臓器又は細胞に存在するレセプターに結合するリガンドが挙げられ、このうち、前記臓器又は細胞に存在するレセプターに結合し、取り込まれる能力を有するリガンドが好ましい。一つの態様において、リガンド自体が、前記臓器又は細胞に結合した後、取り込まれる能力があれば、そのリガンドに結合している病因物質も一緒に取り込まれることが想定される。前記他のタンパク質の例として、LDL、Fas、アルブミン、LDL受容体結合ペプチド、ApoE、ApoBなどが挙げられる。
本発明の一つの側面において、抗β2MG一本鎖抗体を含む融合タンパク質は、生体内のβ2MGを本来の代謝経路とは異なる別の経路へと積極的に誘導し、病因物質としての
β2MGの体内レベルを低下させるために使用される。
β2MGの体内レベルを低下させるために使用される。
本発明の一つの側面において、抗体の抗原結合断片は、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、dsFv、ダイアボディ、またはsc(Fv)2である。本発明の一つの側面において、抗体は、例えば、マウス抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、またはキメラ抗体である。これらの抗体またはその抗原結合断片は、当業者に公知の方法により調製することができる。
本明細書において、一本鎖抗体(scFv)は、抗体分子の抗原と結合するドメイン(Fab)を構成する重鎖(H鎖)及び軽鎖(L鎖)から可変領域(VH及びVL)を取り出して、リンカーを介して結合させた分子を意味する。本発明の一本鎖抗体には、単一のポリペプチド鎖中に複数のVHとVLとを有している抗体も含まれる。一本鎖抗体としては、例えば、二つのVHと二つのVLとを前記リンカー等で結合した一本鎖抗体(sc(FV)2)が挙げられる。このような一本鎖抗体においては、通常複数のリンカーが必要となるが、全て同じリンカーであってもよく、異なるリンカーであってもよい。また、本発明の一本鎖抗体には、リンカーペプチドの長さを短く(例えば5アミノ酸程度)設定して、同一ポリペプチド鎖内でのVHとVLとの結合を抑制することにより形成される二量体(ダイアボディ、diabody)も含まれる。
本発明の一本鎖抗体におけるリンカーは、その両端に連結されたVH及びVLの発現や、VHとVLとの結合を阻害するものでなければ特に制限されない。リンカーペプチドの長さは、通常、1~100アミノ酸、好ましくは1~50アミノ酸、より好ましくは1~30アミノ酸、特に好ましくは12~18アミノ酸(例えば15アミノ酸)である。本発明においては、「(GGGGS)×3」という15アミノ酸からなるポリペプチドをリンカーとして好適に用いることができる(なお、GはグリシンをSはセリンを表わす)。
一本鎖抗体の調製は、例えば、次のようにして行うことができる。まず、目的の抗原と特異的に結合するモノクローナル抗体を発現しているハイブリドーマよりmRNAを単離し、そのmRNAを用いて作製したcDNAライブラリーから、そのモノクローナル抗体のVH及びVLをコードするcDNAをそれぞれ単離する。次いで、VHをコードするcDNAとVLをコードするcDNAの間にリンカーをコードするDNAを挿入し、遺伝子組換え技術により、一本鎖抗体をコードする組換えDNAを構築する。
cDNAライブラリーを作製せずに、mRNAよりRT-PCRを用いて、VH及びVLをコードする遺伝子を直接増幅させ、こうして増幅して得られた断片を用いて、遺伝子組換え技術により、一本鎖抗体をコードするDNAを構築することもできる。
本発明の抗体の抗原結合断片は、例えば、1×10-4M以下、具体的には1×10-5M以下、より具体的には1×10-6M以下、さらに具体的には1×10-7M以下、好ましくは1×10-8M以下の平衡解離定数Kdでβ2MGのエピトープと結合する。抗体のKd値は、当技術分野において十分に確立された方法を用いて決定することができる。抗体のKd値を決定するための好ましい方法は、表面プラズモン共鳴を用いること、好ましくはBiacore(登録商標)システムのようなバイオセンサーシステムを用いることによる。
本発明の1つの側面において、β2MGに対して結合活性を有するモノクローナル抗体、その抗原結合断片、一本鎖抗体または一本鎖抗体を含む融合タンパク質の製造方法が提供される。該方法は、本発明の抗体をコードする核酸がトランスフェクトされた宿主細胞を培養する工程を含み、周知技術に基づいて様々な方法で実施され得る。
本発明の1つの側面において、β2MGに対して結合活性を有するモノクローナル抗体、その抗原結合断片、一本鎖抗体または一本鎖抗体を含む融合タンパク質をコードする核酸が提供される。このようなポリヌクレオチドは、例えば、重鎖および軽鎖それぞれの可変領域および定常領域の両方をコードする。ポリヌクレオチドはRNAの形態であってもDNAの形態であってもよい。ポリペプチドをコードするコーディング配列は、遺伝コードの冗長性または縮重を含んでいてもよい。
いくつかの実施態様において、本発明の抗体をコードする1つ以上の核酸は、発現ベクターに組み込まれ、当該発現ベクターは、導入される宿主細胞の染色体外であるか、またはそのゲノム中にインテグレートされるよう設計され得る。発現ベクターは、任意数の適切な制御配列(転写および翻訳調節配列、プロモーター、リボソーム結合部位、エンハンサー、複製起点などが挙げられるが、これらに限定されない)または他の要素(選択遺伝子など)を含むことができ、これらは全て、当分野でよく知られるように操作可能に連結される。いくつかの場合、2つの核酸を用いて、それぞれを異なる発現ベクターに入れるか(例えば、第一の発現ベクターに重鎖、第二の発現ベクターに軽鎖)、あるいはそれらを同一の発現ベクターにいれることができる。制御配列の選択を含む、1つ以上の発現ベクターの設計は、宿主細胞の選択、所望するタンパク質の発現レベルなどの因子によって決まり得る。
一般に、選択される宿主細胞に適した任意の方法(例えば、トランスフォーメーション、トランスフェクション、エレクトロポレーション、インフェクションなど)を用いて、1つ以上の核酸が1つ以上の発現調節要素に操作可能に連結されるように(例えば、ベクターにおいて、細胞でのプロセスにより作出される構築物において、宿主細胞のゲノムにインテグレートされて)、核酸および/または発現が適した宿主細胞に導入され、組換え宿主細胞が作出される。得られた組換え宿主細胞は、発現に適した条件下(例えば、インデューサーの存在下、適した非ヒト動物中、適した塩、増殖因子、抗生物質、栄養補助剤などを添加した培地など)で維持でき、それによりコードされた1つ以上のポリペプチドが製造される。いくつかの場合において、重鎖が1つの細胞で製造され、軽鎖が別の細胞で製造される。
発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は当分野で既知であり、American Type Culture Collection(ATCC),Manassas,VAから入手可能な多くの不死化細胞株が含まれ、これには、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HEK293細胞、NSO細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝臓がん細胞(例えば、Hep G2)、および多数の他の細胞株が挙げられるが、これらに限定されない。細菌、酵母、昆虫および植物を含む(これらに限定されない)非哺乳動物細胞を用いて、組換え抗体を発現させることもできる。いくつかの実施態様において、抗体は、ウシやニワトリなどのトランスジェニック動物において製造することができる。
免疫は抗体の作成において通常行われる方法を使用することができる。動物はヒト以外の哺乳類、例えばマウス、ラット、ウサギ、イヌ、ブタ、ハムスターなどを使用することができる。
本発明の医薬は、本発明化合物を有効成分とするものであり、この投与形態は、特に限定されず治療目的に応じて適宜選択でき、例えば、注射剤とすることができる。医薬製剤は、薬学的に許容される担体を配合し、当業者に公知慣用の製剤方法により製造できる。
注射剤を調製する場合は、本発明化合物にpH調節剤、安定化剤、等張化剤等を添加し、常法により皮下、筋肉及び静脈内注射剤を製造することができる。そのような添加剤としては、当該分野で一般的に使用されているものでよく、例えばpH調節剤としては、リン酸ナトリウム等が、安定化剤としてはピロ亜硫酸ナトリウム等が、等張化剤としては、塩化ナトリウム、等が例示できる。
本発明の医薬の投与量は年齢、体重、症状、投与形態及び投与回数などによって異なるが、通常は成人に対して本発明化合物として1日1~1000mgを1回又は数回に分けて経口投与又は非経口投与するのが好ましい。
本明細書において「フィブロインタンパク質」とは、フィブロインL鎖、フィブロインH鎖及びフィブロヘキサメリン(P25)からなる群から選択される少なくとも一のタンパク質を意味する。フィブロインタンパク質は、フィブロインL鎖とフィブロインH鎖とがジスルフィド結合し、この結合した分子6個に対し1つの割合でフィブロヘキサメリンが結合し、複合体(フィブロイン複合体)が形成されることが知られている。
本明細書において「フィブロインL鎖」は、分子量が約3万Daのフィブロインタンパク質であり、典型例として、GenBankアクセッションNo.NP_001037488.1で特定されるタンパク質のうちの17~262番目のアミノ酸配列からなるタンパク質(GenBankアクセッションNo.NM_001044023.1で特定されるDNAのうちの90~827番目の塩基配列からなる遺伝子)が挙げられる。また、このタンパク質は、シグナルペプチド(GenBankアクセッションNo.NP_001037488.1で特定されるタンパク質のうちの1~16番目のアミノ酸配列からなるタンパク質)が前駆体より切断、除去されることにより得られる成熟型であるから、本発明の「フィブロインL鎖」としては、例えば、GenBankアクセッションNo.NP_001037488.1で特定されるタンパク質(GenBankアクセッションNo.NM_001044023.1で特定される遺伝子)が挙げられる
本明細書において「フィブロインH鎖」は、分子量が約35万Daのフィブロインタンパク質であり、典型例として、GenBankアクセッションNo.NP_001106733.1で特定されるタンパク質のうちの22~5263番目のアミノ酸配列からなるタンパク質(GenBankアクセッションNo.NM_001113262.1で特定されるDNAのうちの64~15789番目の塩基配列からなる遺伝子)が挙げられる。また、このタンパク質は、シグナルペプチド(GenBankアクセッションNo.NP_001106733.1で特定されるタンパク質のうちの1~21番目のアミノ酸配列からなるタンパク質)が前駆体より切断、除去されることにより得られる成熟型であるから、本発明の「フィブロインL鎖」としては、例えば、GenBankアクセッションNo.NP_001106733.1で特定されるタンパク質(GenBankアクセッションNo.NM_001113262.1で特定される遺伝子)が挙げられる。
本明細書において「フィブロヘキサメリン」は、分子量が約2.5万Daのフィブロインタンパク質であり、「P25」とも称されるフィブロインタンパク質である。その典型例として、GenBankアクセッションNo.NP_001139413.1で特定されるタンパク質のうちの17~220番目のアミノ酸配列からなるタンパク質(GenBankアクセッションNo.NM_001145941.1で特定されるDNAのうちの49~660番目の塩基配列からなる遺伝子)が挙げられる。また、このタンパク質は、シグナルペプチド(GenBankアクセッションNo.NP_001139413.1で特定されるタンパク質のうちの1~16番目のアミノ酸配列からなるタンパク質)が前駆体より切断、除去されることにより得られる成熟型であるから、本発明の「フィブロインL鎖」としては、例えば、GenBankアクセッションNo.NP_001139413.1で特定されるタンパク質(GenBankアクセッションNo.NM_001145941.1で特定される遺伝子)が挙げられる。
本明細書において一本鎖抗体と融合する「フィブロインタンパク質」としては、融合タンパク質が前記フィブロイン複合体の構成要素となりうる限り、変異体であっても、部分的な断片であってもよい。従って、前記「フィブロインL鎖」、「フィブロインH鎖」又は「フィブロヘキサメリン」の変異体や部分的断片も、本発明の「フィブロインタンパク質」に含まれる。
なお、部分的断片としては、例えばフィブロインL鎖-GFP融合タンパク質において、下記部分的断片の有効性が実証されていることから、「フィブロインL鎖」においては、GenBankアクセッションNo.NP_001037488.1で特定されるタンパク質のうちの1(メチオニン残基)~242番目(アラニン残基)のアミノ酸配列からなるタンパク質であることが好ましい。また、「フィブロインH鎖」においては、フィブロインL鎖とヘテロダイマーを形成して(S-S結合を形成して)フィブロインタンパク質として分泌可能なことが確認されたフィブロインH鎖の最小単位であるという観点から、GenBankアクセッションNo.NP_001106733.1で特定されるタンパク質のうちの、1(メチオニン残基)~153番目(アラニン残基)のアミノ酸配列からなるタンパク質及び5205(セリン残基)~5263番目(システイン残基)のアミノ酸配列からなるタンパク質であることが好ましい。
本発明の一つの側面において、一本鎖抗体とフィブロインタンパク質との融合タンパク質が提供される。該融合タンパク質は、例えば、前記一本鎖抗体と、フィブロインL鎖、フィブロインH鎖、及びフィブロヘキサメリンからなる群から選択される少なくとも一のタンパク質とが融合しているタンパク質である。一本鎖抗体が前記フィブロイン複合体の表面上に配置され易く、より高い抗原特異性の一本鎖抗体が得られ易くなるという観点から、前記一本鎖抗体と融合させるフィブロインタンパク質は、フィブロインL鎖及びフィブロインH鎖からなる群から選択される少なくとも一のタンパク質であることが好ましい。
フィブロインタンパク質は、一本鎖抗体のN末側、C末側のいずれに融合させてもよく、またN末側及びC末側の両方に融合させてもよい。さらに、直接的に一本鎖抗体に融合させてもよく、リンカーを介して間接的に融合させてもよい。リンカーペプチドの長さは、通常、1~100アミノ酸、好ましくは1~50アミノ酸、より好ましくは1~30アミノ酸である。
本発明に一つの態様において、一本鎖抗体と他のタンパク質との融合タンパク質は、さらに別の機能性タンパク質が融合されていてもよい。この場合、他の機能性タンパク質は、融合タンパク質のN末側、C末側のどちらか一方若しくは両側、又は一本鎖抗体とフィブロインタンパク質との間に、直接的に又は間接的に融合させることができる。他の機能性タンパク質としては特に制限はなく、本発明の融合タンパク質に付与したい機能に応じて適宜選択される。例えば、融合タンパク質に付与したい機能が該融合タンパク質の精製や検出等であれば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェラーゼタンパク質、Myc-タグ(tag)タンパク質、His-タグタンパク質、ヘマグルチン(HA)-タグタンパク質、FLAG-タグタンパク質(登録商標、Sigma-Aldrich社)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)タンパク質が挙げられる。
前記融合タンパク質の絹糸における発現は、当業者は公知の手法により行うことができる。公知の手法としては、前記融合タンパク質を発現させるためのベクターを構築し、該ベクターをカイコに導入して前記融合タンパク質を発現させる方法が挙げられる。
フィブロインタンパク質を合成・分泌するカイコの後部絹糸腺において、前記融合タンパク質を発現させる場合、前記ベクターにおいて、前記融合タンパク質をコードするDNAは、カイコの後部絹糸腺における発現を保証するプロモーターの下流に連結されている。このようなプロモーターとしては、例えば、フィブロインL鎖遺伝子、フィブロインH鎖遺伝子又はフィブロヘキサメリン(P25)遺伝子のプロモーターを好適に用いることができる。ベクターは、その他の発現制御領域、エンハンサー、ターミネーター、ポリAシグナル、非翻訳領域(5’-UTR、3’-UTR)等を有していてもよい。
また、前記ベクターにおいて、前記融合タンパク質をコードするDNAとその制御領域とを備えた発現カセット以外に、他のタンパク質をコードするDNA及びその発現制御領域を備えていてもよい。他のタンパク質をコードするDNAとしては特に制限はなく、例えば、GFPやDsRed等のレポータータンパク質をコードする遺伝子、薬剤耐性遺伝子が挙げられる。他のタンパク質をコードするDNAの発現制御領域は、配列内リボソーム進入部位(Internal Ribosome Entry Site、IRES)を介して、前記融合タンパク質をコードするDNAのプロモーターやエンハンサーを共有していてもよく、前記融合タンパク質をコードするDNAの発現制御領域とは異なるプロモーター等を備えていてもよい。発現制御領域としては、例えば、3×P3プロモーター、カイコアクチンプロモーター、ショウジョウバエ由来のHSP70プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、ポリAシグナル、非翻訳領域(5’-UTR、3’-UTR)が挙げられる。
前記ベクターにおける発現カセット等をカイコの染色体内に挿入することができるベクターとしては、例えば、トランスポゾンを利用したベクターを好適に用いることができる。トランスポゾンを利用したベクターとしては、例えば、piggyBac、Minos、Mariner等のDNAトランスポゾンを利用したベクターが挙げられる。なお、前記ベクターにおいて、DNAトランスポゾンの一対の末端反復配列(逆位末端反復配列)の間に前記発現カセットを配置することにより、転移酵素によって前記ベクターから該末
端反復配列に挟まれた前記発現カセットが切り出され、カイコの染色体内の特定の配列(例えば、piggyBacを用いた場合には、TTAA配列)を標的としてランダムに挿入されるようになる。
端反復配列に挟まれた前記発現カセットが切り出され、カイコの染色体内の特定の配列(例えば、piggyBacを用いた場合には、TTAA配列)を標的としてランダムに挿入されるようになる。
従って、トランスポゾンを利用したベクターを用いる場合には、各トランスポゾンに対応した転移酵素もカイコに導入する。転移酵素はそのままカイコに導入してもよく、転移酵素をコードするmRNA又は転移酵素をコードするプラスミドベクター(ヘルパープラスミド)を導入してもよい。ヘルパープラスミドにおいて、前記転移酵素を発現させるためのプロモーターとしては、例えば、内在性の転移酵素遺伝子のプロモーター、カイコアクチンプロモーター、ショウジョウバエ由来のHSP70プロモーターが挙げられる。
本発明において、このように構築した前記融合タンパク質を発現させるためのベクターを導入し、該融合タンパク質が発現している絹糸を産生するカイコを調製する方法としては、例えば、該ベクター等をカイコの卵に注入し、該卵から孵化して成育させ得られたF0カイコを同胞交配又は野生型カイコと交配し、得られるF1カイコから前記融合タンパク質を絹糸に発現するカイコを選択する方法が挙げられる。
前記ベクター等のカイコの卵への注入は、当業者に公知の手法を適宜選択して行うことができる。公知の手法としては、例えば、DNA注入用の管を用いてカイコの発生初期卵に直接注入(マイクロインジェクション)する方法や、針やレーザー等を利用して物理的又は化学的に卵殻に穴を空けた後に、該穴から前記ベクター等を注入する方法が挙げられる。また、前記ベクターをカイコの卵の注入する際に、前記転移酵素や前記ヘルパープラスミドを併せて注入してもよい。
F1カイコから前記融合タンパク質を絹糸に発現するカイコを選択する方法としては、例えば、前記発現ベクターとしてGFPやDsRed等の蛍光タンパク質をコードする遺伝子を備えているものを用いた場合には、F1世代の卵や幼虫に励起光を照射することにより卵や幼虫から発せられる蛍光を指標に選択する方法が挙げられる。特に、3×P3プロモーターによって発現が制御されている蛍光タンパク質を利用した場合には、3×P3プロモーターは神経系統(特に眼)での遺伝子発現を促す作用を有するため、F1世代の卵や幼虫の神経系統や眼において蛍光を発する個体を選択することにより、前記融合タンパク質が発現している絹糸を産生するカイコを選択することができる。
このように調製した前記カイコから、一本鎖抗体とフィブロインタンパク質との融合タンパク質を発現させた絹糸を調製する方法としては、例えば、カイコの絹糸腺内腔内に蓄積された絹糸を回収する方法、カイコが吐糸した絹糸を回収する方法、またはカイコが形成した繭を回収する方法が挙げられる。
なお、後部絹糸腺で合成されたフィブロイン繊維は、中部絹糸腺に送られて濃縮され、さらに、ここで合成されているセリシンに包まれることになる。そして、このようにして合成された絹糸(液状絹糸)は吐糸口につながる前部絹糸腺に送られることになる。従って、絹糸腺内腔内に蓄積された絹糸(液状絹)は、絹糸腺をカイコから採取し、回収した絹糸腺から絹糸腺を構成する細胞(絹糸腺細胞)を除去することにより調製することができる。絹糸腺細胞の除去する方法としては、例えば、絹糸腺を純水に浸漬し、絹糸腺細胞をふやけさせた後に該細胞を取り除く方法、抽出した絹糸腺を30~100%エタノールに浸漬し、フィブロイン及びセリシンを固定化した後に、絹糸腺細胞を除去する方法が挙げられる。
こうして調製した、一本鎖抗体とフィブロインタンパク質との融合タンパク質を発現させた絹糸を溶解する。「絹糸」は、カイコの後部絹糸腺で合成・分泌される3種のフィブロインタンパク質からなるフィブロイン繊維と、該繊維とを包むセリシン層とからなる動物繊維である。本発明において溶解する対象となる「絹糸」は、セリシン層が除去(精練)されていないものである。
一本鎖抗体とフィブロインタンパク質との融合タンパク質を発現させた絹糸の溶解においては、分子内又は分子間の水素結合を切断する性質を有する溶液を好適に用いることができる。このような溶液としては、例えば、臭化リチウム水溶液、塩化カルシウム水溶液、塩化エチレンジアミン水溶液、チオシアン酸ナトリウム水溶液、チオシアン酸リチウム水溶液、硝酸マグネシウム水溶液、塩化カルシウム/エタノール、MMNO(N-メチルモルホリン N-オキシド)、塩化リチウム/N,N-DMAc(N,N-ジメチルアセトアミド)、ヘキサフルオロイソプロパノール、硝酸カルシウム/メタノール、又はこれらの混合溶液が挙げられる。これら水溶液の中では、溶解中にタンパク質分子の分解が確認されず、溶解時に加熱の必要がなく、また溶解にかかるコストが低いという観点から、臭化リチウム水溶液を用いることが好ましい。
また、分子内又は分子間の水素結合を切断する性質を有する溶液のpHとしては特に制限はないが、pH2~12の溶液であることが好ましい。さらに、前記絹糸の溶解に用いられる溶液の濃度としては、通常8~10M、好ましくは9~9.3Mである。また、前記絹糸の溶解は、20~100℃で10分~12時間かけて攪拌しながら行うことが好ましく、9M臭化リチウム水溶液を用いて室温(20~55℃)にて1~4時間程度攪拌しながら行うことがより好ましい。
こうして得られた前記融合タンパク質の溶解液を希釈して、前記融合タンパク質を線維化させることなく塩濃度を低下させる。従来法(特許文献5)においては、前記融合タンパク質の溶解液を透析により徐々に脱塩して、融合タンパク質を非変性状態に戻し、前記融合タンパク質中のフィブロインタンパク質を介して、内在性の他のフィブロインタンパク質、及びセリシンとの複合体を形成させ、フィブロインタンパク質を繊維化(ゲル化)し、これにより活性を持つ一本鎖抗体を得ている。一方、本発明においては、繊維化(ゲル化)させることなく、希釈により溶解液の塩濃度を低下させている点で、本質的に異なる。このような簡便な処理により、抗原への優れた結合活性を有する一本鎖抗体を取得できたことは、驚くべきことである。
前記希釈液は、溶解液の塩濃度を低下させうるものであれば、特に制限はなく、例えば、トリス塩酸緩衝液(Tris-HCl)、トリスEDTA緩衝液(Tris-EDTA)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、リン酸緩衝液、炭酸緩衝液、ELISA用コーティングバッファー(例えば、ELISA coating buffer(pH9.5、BioLegend社))、水などが挙げられる。希釈液のpHは、通常、6~10である。
希釈処理は、前記融合タンパク質の変性、分解、凝集等が生じにくいという観点から、4~60℃の条件下で実施することが好ましい。
こうして調製された繊維化していない液状組成物は、担体に作用させることによって、抗原に対して結合活性を有する一本鎖抗体を保持する担体を製造することができる。従って、本発明は、抗原に対して結合活性を有する一本鎖抗体を保持する担体の製造方法であって、一本鎖抗体とフィブロインタンパク質との融合タンパク質を発現させた絹糸を精練せずに溶解する工程(工程(a))と、工程(a)で得られた前記融合タンパク質の溶解液を希釈して、前記融合タンパク質を線維化させることなく塩濃度を低下させる工程(工程(b))と、工程(b)で得られた希釈された溶解液を担体に接触させる工程(工程(c))と、を含む方法を提供する。
担体としては特に限定はないが、例えば、プレート、ビーズ、ゲル、スポンジ、布、繊維、フィルター、マスク、シート等が挙げられる。より具体的には、ELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)などの免疫学的測定法で用いられるウェルプレート、ラテックスビーズ、ポリスチレンビーズ、ガラスビーズ、磁性ビーズ、金属粒子、シリカビーズ、ジルコニアビーズ、セルロースゲル、アガロースゲル、ポリマーゲル、スポンジ用構造物、不織布、繊維等、及び、有害物質・有害微生物の除去等に用いられるフィルター、マスク、拭き取りシート等が挙げられる。一本鎖抗体の抗原への結合活性は、免疫学的手法(例えば、ELISA解析)を実施することにより評価することができる(実施例を参照のこと)。
前記担体への固定化方法としては特に制限はなく、公知の方法を利用することができる。例えば、担体としてウェルプレートを用いる場合には、例えば、希釈された溶解液をウェルプレートに分注し、4~37℃で2~12時間静置すればよく、担体としてポリスチレンビーズを用いる場合には、例えば、希釈された溶解液をポリスチレンビーズと混合し、4~37℃で2~12時間撹拌し、遠心して沈殿物を回収し、さらに2%BSAを含むPBSに懸濁して(ブロッキング)、遠心して沈殿物を回収すればよく、さらに担体としてスポンジや布を用いる場合には、例えば、希釈された溶解液にスポンジや布を4~37℃で1~12時間浸したのち、20~100%エタノールおよびメタノールにさらに浸して固定化すればよい。
[実施例1]モノクローナル抗体の作製
(1)マウスへの免疫
以下に示すモノクローナル抗体作成の操作は日本バイオテスト研究所社に委託しておこなった。免疫抗原として、ヒトβ2ミクログロブリン(hβ2MG、日本バイオテスト研究所社製)をアジュバントを用い、エマルジョンにとして初回免疫用組成物を調製した。BALB/cマウス1匹(6週齢、雌)の背部皮下に初回免疫をした。hβ2MGをアジュバントを用いエマルジョンにとして調製した追加免疫用組成物を用いて初回免疫から14日、および21日後に追加免疫を行った。最終免疫から3日後に細胞融合用に脾臓を摘出した。
(1)マウスへの免疫
以下に示すモノクローナル抗体作成の操作は日本バイオテスト研究所社に委託しておこなった。免疫抗原として、ヒトβ2ミクログロブリン(hβ2MG、日本バイオテスト研究所社製)をアジュバントを用い、エマルジョンにとして初回免疫用組成物を調製した。BALB/cマウス1匹(6週齢、雌)の背部皮下に初回免疫をした。hβ2MGをアジュバントを用いエマルジョンにとして調製した追加免疫用組成物を用いて初回免疫から14日、および21日後に追加免疫を行った。最終免疫から3日後に細胞融合用に脾臓を摘出した。
(2)脾臓細胞の調製と細胞融合
マウスから摘出した脾臓をすりつぶし、脾臓細胞を調製した。ミエローマ細胞であるP3U1を培養により調製した。前記脾臓細胞とP3U1を混ぜ、ポリエチレングリコール法により細胞融合を行った。融合後、細胞を培地で洗浄し、HAT培地に懸濁させ、96ウェル培養プレートの各ウェルに細胞を播きこみ、ハイブリドーマの選択培養を行った。細胞融合7日目にハイブリドーマ培養上清を回収し、培養上清中の抗体価の測定を行った。
マウスから摘出した脾臓をすりつぶし、脾臓細胞を調製した。ミエローマ細胞であるP3U1を培養により調製した。前記脾臓細胞とP3U1を混ぜ、ポリエチレングリコール法により細胞融合を行った。融合後、細胞を培地で洗浄し、HAT培地に懸濁させ、96ウェル培養プレートの各ウェルに細胞を播きこみ、ハイブリドーマの選択培養を行った。細胞融合7日目にハイブリドーマ培養上清を回収し、培養上清中の抗体価の測定を行った。
(3)抗体産生陽性ウェルのスクリーニング
細胞融合後、7日目の培養上清を回収し、抗体産生陽性ウェルのスクリーニングをELISAで行った。hβ2MG(0.01μg/mL、50μL)を96ウェルアッセイプレート(コーニング社より購入)のウェルに添加し、抗原を固相化(4℃、一晩)した。培養上清(50μL)を添加し、インキュベート(室温、1時間)した。HRP標識ヤギ抗マウスIgG+M+A抗体(x2000希釈)を添加し、インキュベート(室温、1時間)後、酵素反応を行い、hβ2MGに陽性である上位30クローンについて選択した。
細胞融合後、7日目の培養上清を回収し、抗体産生陽性ウェルのスクリーニングをELISAで行った。hβ2MG(0.01μg/mL、50μL)を96ウェルアッセイプレート(コーニング社より購入)のウェルに添加し、抗原を固相化(4℃、一晩)した。培養上清(50μL)を添加し、インキュベート(室温、1時間)した。HRP標識ヤギ抗マウスIgG+M+A抗体(x2000希釈)を添加し、インキュベート(室温、1時間)後、酵素反応を行い、hβ2MGに陽性である上位30クローンについて選択した。
(4)抗体産生陽性ウェルの二次スクリーニング
上記一次スクリーニング後の30クローンを24穴培養プレートで培養した。4日目の培養上清を回収し、抗体産生陽性ウェルの二次スクリーニングを一次スクリーニングと同様に行った。hβ2MGに陽性である上位10クローンについて選択した。
上記一次スクリーニング後の30クローンを24穴培養プレートで培養した。4日目の培養上清を回収し、抗体産生陽性ウェルの二次スクリーニングを一次スクリーニングと同様に行った。hβ2MGに陽性である上位10クローンについて選択した。
(5)抗体産生陽性ウェルの三次スクリーニング
hβ2MG(0、0.03、0.06、0.13、0.25、0.5、1、2μg/mL、100μL)を96ウェルアッセイプレート(旭硝子社より購入)のウェルに添加し、抗原を固相化(4℃、一晩)した。上記二次スクリーニング後の10クローンの培養上清を10%マウス(C57Bl/6、雄)血清含有PBSでx40希釈し、ウェルに添加した(100μL)。インキュベート(室温、1.5時間)後、HRP標識ヤギ抗マウスIgG抗体(x2500希釈、MBL社より購入)を添加し、インキュベート(室温、45分)の後、酵素反応を行い、マウス血清含有溶液中でhβ2MGに陽性である2クローンについて選択した。
hβ2MG(0、0.03、0.06、0.13、0.25、0.5、1、2μg/mL、100μL)を96ウェルアッセイプレート(旭硝子社より購入)のウェルに添加し、抗原を固相化(4℃、一晩)した。上記二次スクリーニング後の10クローンの培養上清を10%マウス(C57Bl/6、雄)血清含有PBSでx40希釈し、ウェルに添加した(100μL)。インキュベート(室温、1.5時間)後、HRP標識ヤギ抗マウスIgG抗体(x2500希釈、MBL社より購入)を添加し、インキュベート(室温、45分)の後、酵素反応を行い、マウス血清含有溶液中でhβ2MGに陽性である2クローンについて選択した。
(6)クローニング
日本バイオテスト研究所社に委託した。hβ2MGに対する特異性の高かったクローンを限界希釈法でクローニングを行った。15日後、培養上清がhβ2MGに陽性であることを確認し、クローンを得た。特異性を十分に備えた本発明の抗体として、新規モノクローナル抗体#26の産生細胞(ハイブリドーマ#26)を得た。
日本バイオテスト研究所社に委託した。hβ2MGに対する特異性の高かったクローンを限界希釈法でクローニングを行った。15日後、培養上清がhβ2MGに陽性であることを確認し、クローンを得た。特異性を十分に備えた本発明の抗体として、新規モノクローナル抗体#26の産生細胞(ハイブリドーマ#26)を得た。
[実施例2]抗β2MGモノクローナル抗体のVHおよびVLのクローニング
SV Total RNA Isolation System(プロメガ社より購入)を用いてハイブリドーマ#26からトータルRNAを抽出し精製した。SMART RACE cDNA amplificationキット(クロンテック社より購入)を用いて、トータルRNAからH鎖、L鎖それぞれの可変領域を含むcDNAを調製し、KOD One PCR Master Mix(東洋紡社より購入)増幅させた。増幅産物をプラスミドベクター(pGEM-T Easy vector、プロメガ社より購入)にクローニングし、プラスミドDNAを大腸菌コンピテントセルDH5αに導入し、コロニーPCR(プライマー:M13F/Rを用いた)により目的とするインサートDNAを含む大腸菌を選抜し、Wizard Plus SV Minipreps DNA PurificationSystem(プロメガ社より購入)を用いてプラスミドDNAを精製し、DNAシーケンスを行い、IMGT (international ImMunoGeneTics information system(登録商標)を利用して抗体遺伝子のアライメント解析を行い、VHおよびVLのCDRを含む遺伝子配列とアミノ酸配列を決定した。
SV Total RNA Isolation System(プロメガ社より購入)を用いてハイブリドーマ#26からトータルRNAを抽出し精製した。SMART RACE cDNA amplificationキット(クロンテック社より購入)を用いて、トータルRNAからH鎖、L鎖それぞれの可変領域を含むcDNAを調製し、KOD One PCR Master Mix(東洋紡社より購入)増幅させた。増幅産物をプラスミドベクター(pGEM-T Easy vector、プロメガ社より購入)にクローニングし、プラスミドDNAを大腸菌コンピテントセルDH5αに導入し、コロニーPCR(プライマー:M13F/Rを用いた)により目的とするインサートDNAを含む大腸菌を選抜し、Wizard Plus SV Minipreps DNA PurificationSystem(プロメガ社より購入)を用いてプラスミドDNAを精製し、DNAシーケンスを行い、IMGT (international ImMunoGeneTics information system(登録商標)を利用して抗体遺伝子のアライメント解析を行い、VHおよびVLのCDRを含む遺伝子配列とアミノ酸配列を決定した。
[実施例3]抗β2MG一本鎖抗体の作製
実施例2でクローニングした抗β2MGモノクローナル抗体のVH遺伝子の3’側、VL遺伝子の5’側の遺伝子配列の一部(10塩基程度)にリンカー配列(GGGGGTGGTGGTTCTGGAGGTGGAGGATCAGGTGGAGGAGGTTCT)を付加したプライマーを設計し、PCRによりVH-リンカーのDNAフラグメントとリンカー-VLのDNAフラグメントを増幅し、さらにそれらのDNAフラグメントを混合してPCRを行い、VH-リンカー-VLとなる一本鎖抗体DNAを構築した(図1)。
実施例2でクローニングした抗β2MGモノクローナル抗体のVH遺伝子の3’側、VL遺伝子の5’側の遺伝子配列の一部(10塩基程度)にリンカー配列(GGGGGTGGTGGTTCTGGAGGTGGAGGATCAGGTGGAGGAGGTTCT)を付加したプライマーを設計し、PCRによりVH-リンカーのDNAフラグメントとリンカー-VLのDNAフラグメントを増幅し、さらにそれらのDNAフラグメントを混合してPCRを行い、VH-リンカー-VLとなる一本鎖抗体DNAを構築した(図1)。
[実施例4]融合タンパク質(ApoE NTD-scFv)の作製
実施例7で構築した抗β2MG-scFvのDNAフラグメント(ただし、5’末端部の開始コドンATGを除く)を、PCRで増幅し(プライマー:GGGATCCGGTGGAGGTGGTAGCGAGGTTCAGCTGCおよびGAAGCTTATTACCGTTTGATTTCC)、制限酵素処理により、pET[ApoE NTD-MHC α3]ベクター(非特許文献4)のMHC α3部分に挿入した。得られたpET[ApoE NTD-scFv]ベクターのマルチクローニングサイトの配列をDNAシーケンス解析(ユーロフィンジェノミクス社に受託)により確認した。
実施例7で構築した抗β2MG-scFvのDNAフラグメント(ただし、5’末端部の開始コドンATGを除く)を、PCRで増幅し(プライマー:GGGATCCGGTGGAGGTGGTAGCGAGGTTCAGCTGCおよびGAAGCTTATTACCGTTTGATTTCC)、制限酵素処理により、pET[ApoE NTD-MHC α3]ベクター(非特許文献4)のMHC α3部分に挿入した。得られたpET[ApoE NTD-scFv]ベクターのマルチクローニングサイトの配列をDNAシーケンス解析(ユーロフィンジェノミクス社に受託)により確認した。
大腸菌BL21(DE3)(Novagen社より購入)をpET[ApoE NTD-scFv]ベクターで形質転換し、Overnight Express Instant TB培地(Novagen社より購入)中で培養(30℃、1日)して融合タンパク質を発現させた。大腸菌をタンパク変性可溶化抽出液(8 M尿素、100 mM リン酸二水素ナトリウム、10 mM Tris・Cl)で処理し、発現タンパクを抽出した。Niキレートカラム(GEヘルスケア社より購入)、ゲル濾過カラム(GEヘルスケア社より購入)を用いてApoE NTD-scFvを精製した後、1 mM還元型グルタチオン、0.1 mM酸化型グルタチオン含有PBSおよびPBS中で透析(4℃、4~12時間、4~6回)することにより、ApoE NTD-scFvのリフォールディングを行った。
[実施例5]融合タンパク質(ApoE NTD-scFv)の結合活性の評価
ApoE NTD-scFv、ApoE NTD-MHC α3(非特許文献4)もしくはApoE NTD-UKG(非特許文献4)とhβ2MG(Sigma-Aldrich社より購入)を混合し(それぞれ3.8μM、50μL)、インキュベート(室温、一晩)した。プロテインG固定化磁気ビーズ(0.225 mg)(多摩川精機社より購入)にマウス抗His tag抗体(0.5 mg/mL、20μL)(MBL社より購入)を結合させ、His tag抗体固定化ビーズを調整した。融合タンパク質とhβ2MGの混合溶液にHis tag抗体固定化ビーズ(22.5μg)を加え、振盪(4℃、2時間)した。洗浄後、Laemmliサンプルバッファー(BioRad社より購入)を加え、加熱(99.9℃、5分)し、免疫沈降複合体を解離させ、ポリアクリルアミドゲル(BioRad社より購入)で分離し、PVDFメンブレン(Thermo Fisher Scientific社より購入)に転写した。ウサギ抗hβ2MG抗体(Santa Cruz Biotechnology社より購入)、HRP標識ヤギ抗ウサギIgG(Santa Cruz Biotechnology社より購入)をそれぞれ一次、二次抗体としたウエスタンブロットを行った。
ApoE NTD-scFv、ApoE NTD-MHC α3(非特許文献4)もしくはApoE NTD-UKG(非特許文献4)とhβ2MG(Sigma-Aldrich社より購入)を混合し(それぞれ3.8μM、50μL)、インキュベート(室温、一晩)した。プロテインG固定化磁気ビーズ(0.225 mg)(多摩川精機社より購入)にマウス抗His tag抗体(0.5 mg/mL、20μL)(MBL社より購入)を結合させ、His tag抗体固定化ビーズを調整した。融合タンパク質とhβ2MGの混合溶液にHis tag抗体固定化ビーズ(22.5μg)を加え、振盪(4℃、2時間)した。洗浄後、Laemmliサンプルバッファー(BioRad社より購入)を加え、加熱(99.9℃、5分)し、免疫沈降複合体を解離させ、ポリアクリルアミドゲル(BioRad社より購入)で分離し、PVDFメンブレン(Thermo Fisher Scientific社より購入)に転写した。ウサギ抗hβ2MG抗体(Santa Cruz Biotechnology社より購入)、HRP標識ヤギ抗ウサギIgG(Santa Cruz Biotechnology社より購入)をそれぞれ一次、二次抗体としたウエスタンブロットを行った。
ApoE NTD-scFvもしくはApoE NTD-MHC α3(非特許文献4)(0、1.25、2.5、3.75、5、7.5、10、15、20μM、100μL)を96ウェルプレート(旭硝子社より購入)のウェルに添加し、抗原を固相化(4℃、一晩)した。コーティングした96ウェルプレートをPBS-Tweenで5回洗浄後、ブロッキング液(ELISA Assay Diluent(BioLegend社より購入))を100μLずつ各ウェルに分注し、室温で60分間ブロッキングを行った。PBS-Tweenで5回洗浄後、ブロッキング液もしくは牛胎児血清(FBS)で希釈したhβ2MG(Sigma-Aldrich社より購入)(1μg/mL、100μL)を抗原として分注し、室温で90分間反応させた。PBS-Tweenで5回洗浄後、抗β2MGウサギモノクローナル抗体(Proteintech社より購入)(x1000希釈、100μL)を分注し、室温で60分間反応させた。さらにPBS-Tweenで5回洗浄後、HRP標識ヒツジ抗ウサギIg抗体(Dako社より購入)(x4000希釈、100μL)を分注し、室温で30分間反応させた。PBS-Tweenで5回洗浄後、ELISA発色基質(ELISA POD基質TMB溶液(Popular))(ナカライテスク社より購入)を100μLずつ分注し、発色させた(室温、30分間)。発色確認した後、各ウェルに1mol/L-硫酸を100μLずつ加え、反応を停止し、マイクロプレートリーダー(Varioskan、Thermo Fisher Scientific社より購入)にて、測定波長450nmの吸光度を測定した。
[実施例6]融合タンパク質(ApoE NTD-scFv)の投与によるβ2MGの生体内分布への影響
hβ2MG(Sigma-Aldrich社より購入)を蛍光ラベル化した。hβ2MGの溶媒を0.15 M NaHCO3(pH 8.3)水溶液に置換し、濃度を調整した(2 mg/mL)。Alexa FluorTM 750 NHS ester(ThermoFisher Scientific社より購入)をDMSOに溶解し(10 mg/mL;10 μL)、hβ2MG溶液(125 μL)に加えて遮光状態で反応させた(25℃;1 h)。反応後、PD-10カラム(GE Healthcare社より購入)で蛍光ラベル化Alexa750-β2MGを精製し、溶媒をPBSに置換し、濃度を25μMに調整した。
hβ2MG(Sigma-Aldrich社より購入)を蛍光ラベル化した。hβ2MGの溶媒を0.15 M NaHCO3(pH 8.3)水溶液に置換し、濃度を調整した(2 mg/mL)。Alexa FluorTM 750 NHS ester(ThermoFisher Scientific社より購入)をDMSOに溶解し(10 mg/mL;10 μL)、hβ2MG溶液(125 μL)に加えて遮光状態で反応させた(25℃;1 h)。反応後、PD-10カラム(GE Healthcare社より購入)で蛍光ラベル化Alexa750-β2MGを精製し、溶媒をPBSに置換し、濃度を25μMに調整した。
ApoE NTD-scFvもしくはApoE NTD-MHC α3(非特許文献4)と脂質(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC))(Avanti Polar Lipids社より購入)との複合体を形成した。ApoE NTD-scFvの溶媒をトリスーエチレンジアミントリアセテート(EDTA)-緩衝食塩水(TEBS)(10 mM Tris(pH7.6)、1 mM EDTA、 150 mM NaCl)に置換し、濃度を50μMに調整した。超音波ホモジナイザー(VCX750、Sonics&Materials社製)を用いてDMPCをTEBS中に分散させた(1.6 mg/mL)。ApoE NTD-scFv溶液とDMPC分散液を1:1の体積比で混合し、室温で一晩静置して複合体(ApoE NTD-scFv-DMPC,もしくはApoE NTD-MHC α3-DMPC)を形成させた(ApoE NTD-scFvもしくはApoE NTD-MHC α3:25μM、DMPC:0.8 mg/mL)。
上記のAlexa750-β2MGとApoE NTD-scFv-DMPCもしくはApoE NTD-MHC α3-DMPCとを1:1の体積比で混合し、室温で半日静置した(Alexa750-β2MG:12.5 μM、ApoE NTD-scFvもしくはApoE NTD-MHC α3:12.5μM、DMPC:0.4 mg/mL)。静置後、0.22μmポアを有するフィルター(PALL社より購入)を用いて、混合液をフィルタリング滅菌した。
マウス(C57Bl/6N、7週齢、雄、日本SLC社より購入)を2%イソフルラン(ファイザー製薬社より購入)で導入麻酔し、三種混合麻酔(組成;1 mg/mL ドミトール(塩酸メデトミジン;日本全薬工業社より購入):5 mg/mL ドルミカム注射液(ミダゾラム;アステラス製薬社より購入):5 mg/mLベトルファル(酒石酸ブトルファノール;Meiji seika ファルマ社より購入)=2:2:5)を背部皮下に投与し(10 μL/g)、麻酔を維持した。
上記の滅菌済み混合液を29Gインスリン投与用シリンジ(テルモ社より購入)に充填し、Alexa750-β2MGの血中濃度が約1μMとなるよう、上記の麻酔済みマウスに尾静脈注射した。尾静脈投与から4時間後、膀胱、腎臓よりそれぞれ尿、血液を採取し、10 unit/mLヘパリン(持田製薬社より購入)含有PBS(50mL)をマウスに灌流した。灌流後、臓器(心臓、肺、脾臓、腸、腎臓、肝臓)を採取した。血液を遠心(2000 rpm、4℃、20分)し、血漿を得た。得られた尿、血漿、臓器を並べ、蛍光スペクトルイメージングシステム(Cambridge Research & Instrumentation社より購入)を用いて蛍光画像を撮影(撮影波長範囲;730~950 nm;10 nm毎)し、各臓器、尿、血漿のAlexa750-β2MG由来蛍光輝度を計測することでAlexa750-β2MGの体内分布を得た。結果を図5~8に示す。なお、図8の蛍光輝度の定量には、上記蛍光スペクトルイメージングシステムに附属するMaestro 2.4.0 software (Cambridge Research and Instrumentation製)を用いた。ApoE NTD-scFv-DMPCの投与により、β2MGの分布が腎臓から肝臓へシフトする傾向が認められた。
[実施例7]フィブロインL鎖-抗β2MG-scFv融合タンパク質発現コンストラクトの構築
実施例2および3と同じ手法により、VHおよびVLがフレキシブルなリンカー配列(GGGGS×3)を介して結合した一本鎖抗体(scFv)を構築した(図1)。
実施例2および3と同じ手法により、VHおよびVLがフレキシブルなリンカー配列(GGGGS×3)を介して結合した一本鎖抗体(scFv)を構築した(図1)。
この抗β2MG-scFv DNAフラグメントのC末端にMycタグを付加し、抗β2MG-scFv-Myc DNAフラグメントをpLCベクターへ挿入し、フィブロインL鎖と抗β2MG-scFvの融合タンパク質(FibL-anti-β2MG-scFv-Myc)を発現するDNAコンストラクトを得た。さらに、この発現ユニットを組換えカイコ用ベクターに挿入してpBac[3XP3-DsRed2afm]-FibL-anti-β2MG-scFv-Mycを構築した。このプラスミドDNAとpiggyBacの転移酵素をコードするヘルパープラスミドpHA3PIGのDNAをカイコ受精卵にマイクロインジェクションした。
なお、AscIサイトからFseIサイトまでの塩基配列を配列表の配列番号:9にて示し、また該塩基配列がコードするアミノ酸配列を配列表の配列番号:10にて示す。なお、配列番号:9に記載の塩基配列において、1~8bpはAscIサイトであり、9~662bpはFib-L Pro(フィブロインL鎖遺伝子のプロモーター配列)であり、663~1388bpはFib-L ORF(フィブロインL鎖の1位(メチオニン残基)~242位(アラニン残基)からなるタンパク質をコードする塩基配列)であり、1389~1394bpはBamHIサイトであり、1401~1769bpはVH(抗β2M-scFvのVHをコードする塩基配列)であり、1770~1814bpはlinker(「フレキシブルなリンカー配列(アミノ酸配列:GGGGS×3)」をコードする塩基配列)であり、1815~2138bpはVL(抗β2MG-scFvのVLをコードする塩基配列)であり、2151~2180bpはmyc-tag(Myc-tagをコードする塩基配列)であり、2184~2189bpはSalIサイトであり、2190~2657bpはFib-Lp(A)(フィブロインL鎖遺伝子の3’UTR及びポリAシグナル)であり、2658~2665bpはFseIサイトである。
[実施例8]アフィニティーシルク水溶液の調製
フィブロインL鎖と抗β2ミクログロブリン-scFvの融合タンパク質を発現する組換えカイコS31系統を作出した。またコントロールとしてフィブロインL鎖と抗WASP-scFvの融合タンパク質を発現する組換えカイコS01系統(特許文献6および非特許文献5)を作出した。
フィブロインL鎖と抗β2ミクログロブリン-scFvの融合タンパク質を発現する組換えカイコS31系統を作出した。またコントロールとしてフィブロインL鎖と抗WASP-scFvの融合タンパク質を発現する組換えカイコS01系統(特許文献6および非特許文献5)を作出した。
野生型(W1)及び組換えカイコ(S01,S31)が産生した繭(60mg、繭3個から均等に採取)を2~3mm角程度に切り、一度、70%エタノール(1mL)で洗浄した後、10M臭化リチウム、Tris-HCl(100mM、pH9.0)0.9mlを加え、37℃で1.5時間撹拌させながら完全に溶解させた。最終的にシルク溶液の濃度を10mg/mL(2M臭化リチウム、20mM Tris-HCl(pH9.0)中)に調整した。調製したシルク溶液を一部用いて、シルク水溶液中の組換えタンパク質の発現量について抗フィブロインL鎖抗体を用いたウエスタンブロットで確認した(図2)。
野生型(W1)及び組換えカイコ(S01、S31)が産生した繭を臭化リチウム/Tris-HCl溶液に溶解させ、シルク溶液中の組換えタンパク質の発現量についてSDS-PAGEとクマシー染色により確認した。内在性フィブロインL鎖に対して、S01カイコ産生繭では25%となっていた(非特許文献5)。それとの比較から、S31カイコ産生繭では10~20%程度が組換えタンパク質に置き換わっていると推測された。S31カイコ産生繭は、フィブロインL鎖との融合タンパク質として組換えカイコで発現させた時の平均的な値を上回っている。
[実施例9]アフィニティーシルク水溶液の結合活性の評価
野生型(W1)及び組換えカイコ(S01、S31)について、希釈したシルク溶液と抗Myc-tag mAb標識磁気ビーズとの免疫沈降アッセイを行い、抗体活性(抗原特異性や結合性)を比較した。すなわち、濃度10 mg/mL(2M臭化リチウム、20mM Tris-HCl(pH9.0)中)の各シルク溶液70μLに1mM Tris-HCL (pH 8.0)を1.4 mL加え、シルクの最終濃度を0.5 mg/mLとして、さらに抗Myc-tag mAb標識磁気ビーズ(Anti-Myc-tag mAb-Magnetic Beads、MBL社)を50μL加え、4℃で60分間ローテーターにてインキュベートした。ヒトβ2MGタンパク質(Sigma、M4890) 5 μg加え、4℃で60分間ローテーターにてインキュベートした。磁石に近づけて磁気ビーズを吸着させ、反応液を回収・廃棄し、新たにPBSを加え磁気ビーズを洗浄した。3回洗浄後、2×SDSサンプルバッファーを加えて100℃で10分間加熱した。SDS-PAGEを行い、PVDFメンブレンに転写し、1次抗体に抗β2MG抗体(アブカム社、ab75853)、2次抗体にHRP標識抗ウサギ抗体を用いてウエスタンブロットを行った結果、S31シルク溶液と反応させた磁気ビーズにのみヒトβ2MGタンパク質が結合していることが確かめられた。(図3-1)また1次抗体にビオチン標識抗Myc-tag抗体、2次抗体にアルカリフォスファターゼ標識アビジンを用いたウエスタンブロットにより、S01およびS31における抗Myc-tag mAb標識磁気ビーズへのフィブロインL鎖との融合タンパク質の結合量は同程度であることが確認された(図3-2)。
野生型(W1)及び組換えカイコ(S01、S31)について、希釈したシルク溶液と抗Myc-tag mAb標識磁気ビーズとの免疫沈降アッセイを行い、抗体活性(抗原特異性や結合性)を比較した。すなわち、濃度10 mg/mL(2M臭化リチウム、20mM Tris-HCl(pH9.0)中)の各シルク溶液70μLに1mM Tris-HCL (pH 8.0)を1.4 mL加え、シルクの最終濃度を0.5 mg/mLとして、さらに抗Myc-tag mAb標識磁気ビーズ(Anti-Myc-tag mAb-Magnetic Beads、MBL社)を50μL加え、4℃で60分間ローテーターにてインキュベートした。ヒトβ2MGタンパク質(Sigma、M4890) 5 μg加え、4℃で60分間ローテーターにてインキュベートした。磁石に近づけて磁気ビーズを吸着させ、反応液を回収・廃棄し、新たにPBSを加え磁気ビーズを洗浄した。3回洗浄後、2×SDSサンプルバッファーを加えて100℃で10分間加熱した。SDS-PAGEを行い、PVDFメンブレンに転写し、1次抗体に抗β2MG抗体(アブカム社、ab75853)、2次抗体にHRP標識抗ウサギ抗体を用いてウエスタンブロットを行った結果、S31シルク溶液と反応させた磁気ビーズにのみヒトβ2MGタンパク質が結合していることが確かめられた。(図3-1)また1次抗体にビオチン標識抗Myc-tag抗体、2次抗体にアルカリフォスファターゼ標識アビジンを用いたウエスタンブロットにより、S01およびS31における抗Myc-tag mAb標識磁気ビーズへのフィブロインL鎖との融合タンパク質の結合量は同程度であることが確認された(図3-2)。
図3-1および図3-2に示した結果から明らかなように、実施例9で得られたFibL-anti-β2MG-scFvを含むシルク溶液の抗体活性は、抗Myc-tag mAb標識磁気ビーズを用いた免疫沈降法により確認された。本発明の方法によって調製された一本鎖抗体は、抗原への特異性及び結合性が高く維持されていることが明らかになった。
(2)ELISAによる結合活性の評価
ストックシルクタンパク質溶液(10mg/mL、LiBr(2M)、およびTris-HCl(20mM、pH9.0))をTris-HCl(1mM、pH8.0)で0.25mg/mLまで希釈し、96ウェルプレートにコーティング(100μL)し、4℃で一晩静置した。
ストックシルクタンパク質溶液(10mg/mL、LiBr(2M)、およびTris-HCl(20mM、pH9.0))をTris-HCl(1mM、pH8.0)で0.25mg/mLまで希釈し、96ウェルプレートにコーティング(100μL)し、4℃で一晩静置した。
コーティングした96ウェルプレートをPBS-Tweenで4回洗浄後、ブロッキング液(ELISA Assay Diluent(BioLegend社))を200μLずつ各ウェルに分注し、室温で60分間ブロッキングを行った。PBS-Tweenで4回洗浄後、ブロッキング液で希釈したヒトβ2MGタンパク質(Sigma、M4890)を抗原として分注し、室温で90分間反応させた。PBS-Tweenで4回洗浄後、抗β2MGウサギモノクローナル抗体(アブカム社、ab75853、1/4000希釈したものを100 μL)を分注し、室温で60分間反応させた。さらにPBS-Tweenで4回洗浄後、HRP標識抗ウサギIg抗体(Dako社)(1/2500希釈したものを100μL)を分注し、室温で60分間反応させた。PBS-Tweenで5回洗浄後、ELISA発色基質(ELISA POD基質TMB溶液(Easy)(ナカライテスク社))を100μLずつ分注し、発色させた(室温、30分間)。発色確認した後、各ウェルに1mol/L-硫酸を100μLずつ加え、反応を停止し、マイクロプレートリーダー(iMrakTMMicroplate Reader,Bio-Rad社)にて、測定波長450nmの吸光度を測定した(図4)。
S31(FibL-anti-β2MG-scFv)カイコ由来のシルク溶液において、抗原(ヒトβ2MGタンパク質)の濃度依存的に吸光度の上昇が確認された(図4)。このことから、フィブロインL鎖と抗β2MG-scFvの融合タンパク質を発現している繭に対して、高濃度の臭化リチウム溶液による溶解処理と、低塩濃度の水溶液による希釈処理を行うことのみで、得られた本鎖抗体に、抗原への結合性・特異性を発揮させることに成功した。
Claims (20)
- 重鎖可変領域の各相補性決定領域(VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3)および軽鎖可変領域の各相補性決定領域(VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3)のアミノ酸配列が、
(a)VH CDR1:配列番号:1に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(b)VH CDR2:配列番号:2に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(c)VH CDR3:配列番号:3に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(d)VL CDR1:配列番号:5に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
(e)VL CDR2:配列番号:6に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一
のアミノ酸配列;
(f)VL CDR3:配列番号:7に示すアミノ酸配列、またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列
を含む、ヒトβ2ミクログロブリン(hβ2MG)に結合活性を有するモノクローナル抗体、その抗原結合断片または一本鎖抗体。 - 重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列が、
配列番号:4のアミノ酸配列またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列、および配列番号:8のアミノ酸配列またはそれと実質的に同一のアミノ酸配列;
である請求項1に記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片または一本鎖抗体。 - 完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、dsFv、ダイアボディ、sc(Fv)2または一本鎖抗体である、請求項1又は2に記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片または一本鎖抗体。
- VHとVLがリンカーで連結されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の一本鎖抗体。
- リンカーが、10~20個のアミノ酸残基からなるペプチドリンカーである、請求項4に記載の一本鎖抗体。
- 1×10-5M以下の解離定数(Kd値)でhβ2MGと結合する、請求項1~5のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片または一本鎖抗体。
- 請求項1~6に記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片または一本鎖抗体が他のタンパク質と連結する、融合タンパク質。
- 前記他のタンパク質が肝臓に取り込まれる性質を有する、請求項7に記載の融合タンパク質。
- 前記他のタンパク質が低比重リポタンパク質(LDL)のレセプター結合部のペプチドである、請求項7または8に記載の融合タンパク質。
- 前記他のタンパク質がアポリポタンパク質E(ApoE)、アポリポタンパク質B(ApoB)または抗LDLレセプター抗体である、請求項7または8に記載の融合タンパク質。
- 請求項1~10のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片、一本鎖抗体、または融合タンパク質を含む医薬組成物。
- 透析アミロイドーシスの診断、治療、または予防に用いるための、請求項11に記載の医薬組成物。
- 前記他のタンパク質がフィブロインである、請求項7に記載の融合タンパク質。
- 前記他のタンパク質がカイコのフィブロインLである、請求項7または13に記載の融合タンパク質。
- 請求項1~7,13および14のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片、一本鎖抗体、または融合タンパク質を含む、ヒトβ2ミクログロブリンの吸着に用いるための組成物。
- 血液吸着用カラム担体として用いるための、請求項15に記載の組成物。
- 診断薬または検査薬として用いるための、請求項15に記載の組成物。
- 請求項1~10,13および14のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体、その抗原結合断片、一本鎖抗体、または融合タンパク質をコードする、核酸。
- 請求項18に記載の核酸を含む発現ベクター。
- 請求項19の発現ベクターを含む宿主細胞。
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