JP2022121104A - 非水分散型塗料組成物、塗膜および物品 - Google Patents

非水分散型塗料組成物、塗膜および物品 Download PDF

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Abstract

【課題】貯蔵安定性が良好で、塗膜としたときの光沢性を維持しつつ、遮熱性に優れた塗膜が得られる非水分散型塗料組成物を提供すること。【解決手段】疎水化処理された球状無機粒子と非水分散型樹脂粒子とを含む、非水分散型塗料組成物が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、非水分散型塗料組成物、塗膜および物品に関する。より具体的には、非水分散型塗料組成物、その非水分散型塗料組成物により形成された塗膜、およびその塗膜を備える物品に関する。
塗料組成物の1つに、非水分散型塗料組成物(以下、「NAD」と称することもある)がある。非水分散型塗料組成物は、例えば、コアシェル型の(メタ)アクリル系樹脂粒子(以下、コアシェル型粒子とも呼ぶ)が非水媒体に分散した形態の塗料である。一般的にコアシェル型の(メタ)アクリル系樹脂粒子において、高分子からなるコアは、弱溶剤に溶解しないが、コアがシェルで内包されていることにより、コアシェル型粒子は、弱溶剤中で分散する。
非水分散型塗料組成物には、一般的に、1液タイプと2液タイプが存在する。
1液タイプの組成物においては、例えば、コアシェル型粒子のコア側の樹脂が加水分解性シリル基を有し、塗装後、溶剤が揮発した後に架橋反応が進行して塗膜となるものがある。また、1液型の他の例としては、架橋はせずに溶剤が揮発し塗膜となる、ラッカー型の非水分散塗料組成物などが例示できる。
2液タイプの組成物においては、例えば、コアシェル型粒子の主にシェル側に官能基として水酸基を持たせ、一般的に塗装直前に、非水分散型塗料組成物をイソシアネートと混合することによって、シェル側の水酸基とイソシアネート基を反応させて架橋反応を起こすことにより、塗膜を形成する。なお、2液タイプの非水分散型塗料組成物であっても、コア側の樹脂に、水酸基及び/又は加水分解性シリル基を持たせることもある。また、2液型の他の例としては、フッ素樹脂を用いた非水分散塗料や、シリコン樹脂を用いた非水分散塗料などを例示できる。
非水分散型塗料組成物系塗料としては、例えば、特許文献1には、ヒンダードアミノ基を有するビニル系重合体である第1成分と、アルコキシシリル基を有するビニル系重合体である第2成分と、弱溶剤と、を含有し、前記第1成分を少なくとも前記弱溶剤における可溶性成分として含有し、前記第2成分を前記弱溶剤における不溶性成分として含有する、非水分散型硬化性樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献2には、体積平均粒径が0.05μm~5μmであり無機材料から構成される一次粒子からなり、体積平均粒径が1μm~100μmで不揮発分全体の質量を基準として10質量%以上含有する二次粒子顔料を有し、前記二次粒子顔料は、揮発分蒸発後に、前記一次粒子間に形成された空隙のうちの少なくとも一部が気体にて充填されていることを特徴とする光線反射塗料が開示されている。
特開2017-149945号公報 特開2009-242768号公報
非水分散型塗料組成物の用途の1つとして、建材への適用があり、例えば、建材の耐候性を向上させるため、非水分散塗料組成物を塗装することができる。この様な例として、弱溶剤に分散させた非水分散塗料組成物は、現場塗装工において好適に用いることができる。
しかし、本発明者の知見によると、従来の非水分散型塗料組成物では、塗膜とした際の塗膜の遮熱性について改善の余地があった。また、特許文献2に開示される光線反射塗料では、塗膜の遮熱性は得られるものの、貯蔵安定性および塗膜の光沢性について改善の余地があった。以上のように、従来の非水分散塗料組成物や光線反射塗料では、貯蔵安定性、光沢性、遮熱性を鼎立できない問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものである。本発明の目的の1つは、貯蔵安定性が良好で、塗膜としたときの光沢性を維持しつつ、遮熱性に優れた塗膜が得られる非水分散型塗料組成物を提供することである。
本発明者らは、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
すなわち、本発明によれば、疎水化処理された無機粒子と非水分散型樹脂粒子とを含む、非水分散型塗料組成物が提供される。
また、本発明によれば、上記非水分散型塗料組成物を用いて形成した塗膜が提供される。
また、本発明によれば、上記塗膜を備える物品が提供される。
本発明の非水分散型塗料組成物は、貯蔵安定性が良好な非水分散型塗料組成物である。また、本発明の非水分散型塗料組成物を用いて形成した塗膜は、光沢性を維持しつつ、高い遮熱性を示す。
以下に、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
本明細書中、数値範囲の説明における「x~y」との表記は、特に断らない限り、x以上y以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「アクリル」との標記は、特に断らない限り、アクリル、メタクリルの両方を包含するものである。
<非水分散型塗料組成物>
本実施形態の非水分散型塗料組成物は、無機粒子と非水分散型樹脂粒子とを含む。
上記無機粒子は、疎水化処理された無機粒子である。
本発明者らは、非水分散型塗料組成物において、貯蔵安定性が良好で、塗膜としたときの光沢性を維持しつつ、遮熱性に優れる塗膜が得られる非水分散型塗料組成物について、鋭意検討を重ねた。
本発明者らは、まず、非水分散型塗料組成物の遮熱性について検討を行った。具体的には、特許文献2に開示されるような、光線反射塗料に基づいて、非水分散塗料組成物に無機粒子を含むことを検討した。このような非水分散塗料組成物は、無機粒子の赤外線の反射による遮熱効果により、塗膜としたときに、遮熱性に優れたものとなる。しかし、同時に、組成物中における各成分の分散性の低下による貯蔵安定性の低下、および塗膜としたときの光沢性の低下について改善の余地があった。
本発明者らは、さらに検討を重ねたところ、無機粒子が疎水化処理された無機粒子であれば、貯蔵時において貯蔵安定性に優れることを見出した。また、疎水化処理された無機粒子を含む非水分散塗料組成物であれば、塗膜形成時において光沢性を維持しつつ、高い遮熱性が得られることを見出した。この詳細なメカニズムは定かではないが、以下の推定メカニズムが考えられる。
本実施形態に係る非水分散型塗料組成物は、組成物において疎水化処理された無機粒子を含むことにより、貯蔵時において分散性が良好となる。これにより、貯蔵安定性に優れる。また、非水分散型塗料組成物の塗膜形成時において、疎水化処理された無機粒子が非水分散型塗料樹脂より表面へ偏在する。これにより、塗膜として光沢性を維持しつつ、従来の非水分散塗料組成物と比べて、高い遮熱性を有する塗膜が得られる非水分散型塗料組成物となる。
以下、本実施形態に係る非水分散型塗料組成物の構成成分などについてより具体的に説明する。
(非水分散型樹脂粒子)
本実施形態に係る非水分散型塗料組成物は、非水分散型樹脂粒子を含む。非水分散型樹脂粒子は、好ましくは、コアシェル型のアクリル系樹脂粒子である。
以下、コアシェル型のアクリル系樹脂における、コアを構成するポリマー(コア樹脂)と、シェルを構成するポリマー(シェル樹脂)とについて、それぞれ説明する。
・コア樹脂
本実施形態において用いることができるコアシェル型粒子のコア樹脂となるポリマーは、一般に弱溶剤に溶解しない樹脂である。コア樹脂は、例えば、後述するシェル樹脂が溶解した弱溶剤中に、モノマー混合物(目的とするコア樹脂の組成となるように複数のモノマーを配合したもの)を重合開始剤とともに滴下しつつ重合することにより作られる。できたコア樹脂は、弱溶剤中でシェル樹脂に包まれた状態で分散し、すなわちこれが非水分散型樹脂粒子(コアシェル樹脂粒子)となる。
このようなポリマーとして、例えば、(メタ)アクリレートポリマーや、官能基を有する(メタ)アクリレートポリマーが例示できるが、これらに限定されるものではない。以下、これらポリマーを構成するモノマーを例示する。
(メタ)アクリレートポリマーを構成するモノマーとして、例えば、直鎖又は分岐状アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマー、脂環式アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマー等を例示できる。これらモノマーは1種を用いても、2種以上を用いてもよい。
直鎖又は分岐状アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの中でも、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートを好適に用いることができる。
コア樹脂となるポリマー中の、直鎖又は分岐状アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構造単位の比率は、好ましくは10~90質量%、より好ましくは30~80質量%である。
脂環式アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
コア樹脂となるポリマー中の、脂環式アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構造単位の比率は、好ましくは5~40質量%、より好ましくは10~30質量%である。
官能基を有する(メタ)アクリレートポリマーとしては、例えば、上記(メタ)アクリレートポリマーを構成するモノマーに、官能基を導入したポリマーが例示できる。導入可能な官能基としては、例えば、エポキシ基、水酸基、カルボキシ基等が例示できるが、これらに限定されるものではない。このような官能基を有する(メタ)アクリレートポリマーを構成するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が例示できる。
官能基を導入することで、当該官能基に由来する諸機能を非水分散型塗料樹脂粒子に付与することができる。
一実施形態として、例えば、非水分散型塗料樹脂粒子に自己架橋性を持たせる場合には、コア樹脂が加水分解性シリル基を含むことが好ましい。加水分解性シリル基が自己架橋することにより塗料が硬化する。加水分解性シリル基の導入は、例えば、シラン化合物などを用いることができる。
シラン化合物としては、例えば、加水分解性シリル基(アルコキシシリル基など)を有している(メタ)アクリレートモノマーなど、重合性炭素-炭素二重結合を有するシラン化合物を挙げることができる。このようなモノマーを、上記の直鎖又は分岐状アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマー、脂環式アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマー等と共重合することで、コア樹脂に加水分解性シリル基を導入することができる。具体例としては、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ジメトキシメチルシリルスチレン、トリエトキシシリルスチレン、ジエトキシメチルシリルスチレン等を例示できる。
コア樹脂となるポリマー中の、加水分解性シリル基を有する構造単位の比率は、好ましくは0.5~20質量%、より好ましくは1~10質量%である。
コアシェル型樹脂粒子を構成するコア樹脂の重量平均分子量は、特に限定されない。例えば、10,000~1,000,000、好ましくは30,000~500,000である。コア樹脂の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は特に限定されず、例えば1.1~3.0、好ましくは1.3~2.5である。
重量平均分子量や分散度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン換算の値として測定することができる。
・シェル樹脂
コアシェル型樹脂粒子を構成するシェル樹脂は、弱溶剤に溶解するものであれば特に限定されない。シェル樹脂が溶解した弱溶剤中に、モノマー混合物(目的とするコア樹脂の組成となるように複数のモノマーを配合したもの)を重合開始剤とともに滴下しつつ、重合することにより、コア樹脂がシェル樹脂に包まれた状態の樹脂微粒子、すなわち非水分散型樹脂粒子(コアシェル樹脂粒子)が形成される。非水分散型樹脂粒子は、弱溶剤中で分散した状態となっているものである。
このようなシェル樹脂の例としては、(メタ)アクリレートポリマー、ヒンダードアミノ基を有するポリマー等が例示できるが、これらに限定されるものではない。シェル樹脂は、好ましくは、コア樹脂と同一または類似の分子構造のポリマーを含む。
以下、これらシェル樹脂を構成するポリマーの原料となるモノマーについて例示するが、本実施形態はこれらに限定するものではない。
シェル樹脂を構成するポリマーの原料となるモノマーとしては、例えば、直鎖又は分岐状アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマー、脂環式アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマー等の他、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーを例示できる。また、シェル樹脂となるポリマーはヒンダードアミノ基を含有することが好ましい。ヒンダードアミノ基は塗膜の耐候性を向上させるだけでなく、塗膜形成時に加水分解性シリル基による架橋反応の触媒にもなり得る。これらモノマーは1種を用いても、2種以上を用いてもよい。
直鎖又は分岐状アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。弱溶剤への分散性の観点から、シェル樹脂は長鎖アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーを含むことが好ましい。
長鎖アルキル基の炭素原子数は特に限定されないが、例えば、炭素原子数は4~22のアルキル基とすることができる。分散性の観点からは、炭素原子数6~22のアルキル基が好ましく、炭素原子数8~18のアルキル基がより好ましい。
また、直鎖又は分岐状アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーのうち、長鎖アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーではないモノマーが有する直鎖又は分岐状アルキル基の炭素数は、通常、1~6、好ましくは1~4である。
シェル樹脂となるポリマー中の、直鎖又は分岐状アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構造単位の比率は、好ましくは20~80質量%、より好ましくは30~60質量%である。
また、シェル樹脂となるポリマー中の、長鎖アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構造単位の比率は、好ましくは5~30質量%、より好ましくは10~20質量%である。
また、シェル樹脂となるポリマー中の、直鎖又は分岐状アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーのうち、長鎖アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーではないモノマーに由来する構造単位の比率は、好ましくは15~50質量%、より好ましくは25~40質量%である。
脂環式アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
シェル樹脂となるポリマー中の、脂環式アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構造単位の比率は、好ましくは20~80質量%、より好ましくは40~60質量%である。
ヒンダードアミノ基を有するモノマーしては、例えば、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルアクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアクリレート等を挙げることができる。
シェル樹脂となるポリマー中の、ヒンダードアミノ基を有するモノマーに由来する構造単位の比率は、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~5質量%である。
また、非水分散型樹脂粒子は、一形態として、例えば、シェル樹脂に官能基として水酸基を導入できる。これにより、塗装直前にイソシアネート等と混合することにより、シェル樹脂の水酸基とイソシアネート基とを反応させて、架橋反応を起こすことにより塗膜を形成することができる。シェル樹脂に水酸基を持たせるためには、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーを利用することが考えられる。
水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε-カプロラクトン変性体や分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖含有(メタ)アクリレートを挙げることができる。
シェル樹脂となるポリマー中の、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構造単位の比率は、好ましくは1~30質量%、より好ましくは5~20質量%である。
シェル樹脂の重量平均分子量は、特に限定されない。例えば、5,000~100,000、好ましくは7,500~80,000、さらに好ましくは10,000~70,000である。シェル樹脂の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は特に限定されず、例えば1.1~3.0、好ましくは1.3~2.5である。
重量平均分子量や分散度は、上述と同様に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン換算の値として測定することができる。
非水分散型樹脂粒子の平均粒子径は特に限定されない。典型的には、0.1~1.0μmであり、好ましくは0.2~0.8μm、特に好ましくは0.3~0.6μmである。
平均粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。具体的には、非水分散型樹脂粒子を含む組成物を弱溶剤(例えば、スワクリーン150など)にて希釈し、25℃で、Malvern Instruments Ltdの装置「ゼータサイザーナノZS」を用いて、動的光散乱測定を行う。得られる光強度分布よりキュムラント解析(ISO13321)し、得られたZ-Averageの値を平均粒子径とすることができる。
コアシェル型樹脂粒子の合成において重合開始剤は特に限定されないが、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(メチルイソブチレ-ト)、2,2'-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1'-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の過酸化物系重合開始剤、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。開始剤は1種または2種以上を併用して用いることができる。
重合開始剤の使用量は特に限定されないが、上記モノマーに対して、典型的には0.05~5質量%、好ましくは0.5~3質量%とすることができる。
[非水分散型樹脂粒子の製造方法]
本実施形態に係る非水分散型樹脂粒子(コアシェル型樹脂粒子)は、例えば、以下のようにして合成することができる。
{非水分散型樹脂粒子の製造方法}
(1)弱溶剤中でシェル樹脂を合成し、弱溶剤中にシェル樹脂が溶解したものを作製する。
(2)(1)で調製したシェル樹脂が溶解した弱溶剤中に、モノマー混合物(目的とするコア樹脂の組成となるように複数のモノマーを配合したもの)を重合開始剤とともに滴下しつつ、重合することにより、コア樹脂がシェル樹脂に包まれた状態の樹脂微粒子、すなわち非水分散型樹脂粒子(コアシェル樹脂粒子)を形成させる。
より詳細は後述の実施例を参照されたい。
(疎水化処理された無機粒子)
本実施形態に係る無機粒子は、疎水化処理された無機粒子を含む。疎水処理された無機粒子を用いることにより、本実施形態における非水分散型塗料組成物は、分散性が良好で貯蔵安定性が良好となる。また、塗膜形成時において、疎水化処理された無機粒子は、非水分散型樹脂粒子よりも表面に偏在すると考えられる。表面に偏在した無機粒子の遮熱効果により、非水分散型塗料組成物の塗膜は、光沢性を維持しつつ、高い遮熱性を示す。
無機粒子は疎水化処理できる粒子であれば特に限定されない。形状は球状の無機粒子でも、破砕された無機粒子でもよく、基材は無機粒子であれば特に限定されない。このような粒子としては、例えば、シリカやアルミナが挙げられ、好ましくは破砕または球状、より好ましくは球状、さらに好ましくは球状シリカである。無機粒子は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
本実施形態における無機粒子は、球状であることが好ましい。球状とは、以下の方法で測定した円形度係数に基づき、好ましくは0.80以上、好ましくは0.85以上となるものを言う。走査型電子顕微鏡像から、粒子同士が重なり合っていないものを無作為に100個選び出す。粒子の二次元撮影像の面積をSとし、周囲長をLとしたときに、粒子同士の円形度係数を4πS/Lの式から算出し、各粒子の円形度係数の算術平均値を上記円形度係数とする。粒子の二次元投影像が真円の場合、粒子の円形度係数は1となる。無機粒子の円形度係数が高い、すなわち球形に近い粒子であれば、疎水化処理を施しやすく、また、貯蔵安定性と光沢性を維持しつつ、遮熱性をより向上させることができる。
本実施形態において、無機粒子はシリカが好ましく、球状シリカが特に好ましい。シリカであれば、疎水化処理が施しやすい。また、貯蔵時の貯蔵安定性をより一層向上させることができる。さらに、塗工時にシリカが表面に偏在しやすく、塗膜の遮熱性をより一層向上させることができる。球状シリカであれば、これら諸効果がより一層得られるため、より好ましい。
シリカ粒子の市販品としては、例えば、堺化学工業株式会社の「Sciqas(登録商標)」シリーズ、株式会社日本触媒の「シーホスター(登録商標)」シリーズ、東亞合成株式会社の「HPS」シリーズ、デンカ株式会社の「FB」シリーズおよび「FBX」シリーズ、株式会社アドマテックス製の「アドマファイン」シリーズ、株式会社龍森製「ヒューズレックスWX」などが挙げられる。
また、アルミナ粒子の市販品は、デンカ社から購入可能である。
本実施形態に係る無機粒子は、吸油性を有することが好ましい。吸油量は特に限定されないが、典型的には、50mL/100g以下、好ましくは30mL/100g以下である。また、吸油量の下限値は特に限定されないが、例えば、1mL/100g以上とすることができる。無機粒子の吸油量が上記の範囲であれば、光沢性の低下を抑制することができる。
吸油量は、日本工業規格(JIS規格)JIS K 5101-13-1(2004)"顔料試験方法精製あまに油法"を用いて測定できる。当該測定方法では、無機粒子約1gをガラス板上に精秤し、亜麻仁油(和光純薬社製、比重0.93)をピペットで数滴ずつ徐々に加え、パレットナイフで混練する。試料の塊ができるまで滴下-混錬を繰り返し、滑らかなペースト状態かつ表面に光沢が生じた段階を終点とする。これにより、滴下に使用した亜麻仁油の量から吸油量(mL/100g)を算出できる。
[疎水化処理]
無機粒子の疎水化処理は、例えば、無機粒子をシラン化合物と反応させることで得ることができる。シラン化合物としては、例えば、R-Si(OR')で表される化合物を挙げることができる(R、R'は炭素鎖である)。炭素鎖は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。炭素鎖の炭素数は特に限定されないが、直鎖または分岐の炭素数3以上のアルキル基が好ましく、直鎖または分岐の炭素数5以上のアルキル基がさらに好ましい。また、炭素鎖の上限は特に限定されないが、典型的には、直鎖または分岐の炭素数20以下のアルキル基を用いることができ、直鎖または分岐の炭素数18以下のアルキル基がより好ましい。
このような疎水化処理を施された無機粒子を用いることで、無機粒子の分散性はより高まり、貯蔵安定性はより向上する。また、塗工時には、疎水化処理された無機粒子が表面へより偏在しやすくなると考えられる。これにより、光沢性を維持しつつ、より高い遮熱性を有する塗膜が得られる非水分散型塗料組成物とすることができる。
本実施形態で疎水化処理に用いることのできるシラン化合物は、例えば、信越シリコーン社のKBM-3033、KBM-3063、KBE-3083、KBM-3103CなどのKBMシリーズやLS-6970、東京化成工業株式会社のD3383を例示できる。
無機粒子とシラン化合物とを反応させる際、適切な触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレートなどの有機スズ系触媒などを挙げることができる。その他、加水分解性シリル基の反応を促進させることが知られている任意の触媒(反応促進剤)を用いることができる。
反応の条件は特に限定されない。反応条件の一例は後掲の実施例を参照されたい。
粒子表面を疎水化処理処理された無機粒子の平均粒子径は、特に限定されない。平均粒子径の異なる疎水化処理された無機粒子を混合して用いても、単一の平均粒子径の粒子を用いてもよい。表面を疎水化処理された無機粒子の平均粒子径は典型的には、0.01μm以上、好ましくは0.02μm以上である。また、疎水化処理された無機粒子の平均粒子径は典型的には、10μm以下、好ましくは5.0μm以下である。
疎水化処理前後では、平均粒子径の変化は、典型的には誤差の範囲であることが多い。そのため、平均粒子径は、疎水化処理前の無機粒子の値と、疎水化処理した後の無機粒子の値を同一としてもよい。平均粒子径は、用いる無機粒子のカタログ値がある場合には、その値を採用することができる。または、透過電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)などにより、個々の平均粒子径の画像の寸法計測により得られた個数分布から平均値を採用いてもよい。計測は、一般的には凝集していない粒子(一次粒子)の大きさを測定する。計測の際の測定粒子数は、精度上、少なくとも100個以上であることが好ましい。粒子径の測定を効率化するため、ソフトウェアを活用してもよく、例えば、ImageJを用いることができる。
このとき、非水分散型樹脂粒子の平均粒子径rと疎水化処理された無機粒子の平均粒子径rの比であるr/rは、典型的には、0.05~20であり、好ましくは0.1~18である。
平均粒子径rおよび平均粒子径rはそれぞれ、上述の方法で測定することができる。即ち、平均粒子径rは動的散乱法により求めた平均粒子径の値、平均粒子径rは、カタログ値または走査電子顕微鏡(SEM)で求めた平均粒子径の値を用いることができる。
非水分散型樹脂粒子の平均粒子径と疎水化処理された無機粒子の平均粒子径の比が上記範囲にあれば、疎水化処理された無機粒子が表面に偏在しやすくなり、貯蔵安定性、光沢性、遮熱性をバランスよく、より一層向上させることができる。
疎水化処理された無機粒子は、その「表面」のSP値(表面SP値)が18~30(cal/cm0.5の範囲にあることが好ましい。このような疎水化処理された無機粒子を用いることにより、諸性能のバランスがより良好となる傾向がある。具体的には、表面SP値が上記の範囲にある無機粒子は、他成分との相溶性や、塗膜としたときの表面偏在性などが特に優れていると考えられる。
表面SP値は、以下に説明するような「滴定法」により求めることができる。
例えば、水(SP値δ、体積V)面上に、対象となる少量の粒子を浮かべ、マグネチックスターラーでゆっくりと撹拌しながら、アセトンを滴下していく。粒子は、その表面状態によって徐々に水中に分散するため、粒子全体が水中に懸濁したときのアセトンの滴下量(SP値δ、体積δ)をもとに、粒子表面のSP値を次式から求める。なお、水、アセトン以外の溶媒を用いた場合は、それぞれのSP値を用いて算出する。
Figure 2022121104000001
ここで、各種溶媒のSP値(δ、δ等)については、以下に示されるハンセン(Hansen)の数式を用いて算出された値を用いることができる。Hansenの溶解度パラメータは、ヒルデブランド(Hildebrand)によって導入された溶解度パラメータを、分散項δ、極性項δおよび水素結合項δの3成分に分割し、3次元空間に表したものである。ここでのSP値は、下記数式を用いて算出される値である。
SP値[(cal/cm0.5]=(δ +δ +δ 0.5
上記の分散項δd、極性項δpおよび水素結合項δhは、ハンセンやその研究後継者によって多く求められている。例えば、Hansen Solubility Parameters:A User's Handbook(Second Edition)のp. 347~483や、Polymer Handbook(Fourth Edition)のVII-698~711に掲載されている。また、多くの溶剤や樹脂に関するHansenの溶解度パラメータが調べられている。例えば、Industrial Solvents Handbook(Wesley L. Archer著)にも溶解度パラメータが記載されている。
疎水化処理された無機粒子は、典型的には、非水分散型樹脂粒子100質量部に対し5~60質量部、好ましくは10~50質量部、より好ましくは15~40質量部とすることができる。このような範囲の量とすることで、貯蔵安定性、光沢性、遮熱性等の諸特性をより一層向上させることができる。また、耐温水性や塗膜を塗布する基板との密着性の向上も見込める。
(顔料)
本実施形態の非水分散型塗料組成物は、好ましくは、顔料を含む。当該顔料は、上述の疎水化処理された無機粒子とは異なるものである。顔料の使用により、顔料の通常の使用目的である「塗膜に所望の色をつけることができる」「塗膜の艶を調整することができる」といった効果の他、「遮熱性をより一層向上させること」ができる。またさらに、塗膜基本物性の向上を図れる場合もある。「塗膜基本物性」とは、例えば塗膜の可撓性など、塗膜全体の特性のことをいう。
本実施形態の非水分散型塗料組成物が顔料を含む場合、塗膜形成時において、疎水化処理された無機粒子の表面偏在と併せて、顔料のもつ遮熱性が相乗的に効果を奏するため、非水分散型塗料組成物の遮熱効果がより向上すると考えられる。
顔料粒子としては、好ましくは有色顔料を用いることができる。色は特に限定されず、例えば、赤色、黄色、黒色、白色等を例示することができる。
有色顔料としては、例えば、赤色であれば酸化鉄(Fe)等、黄色であればTi/Cr/Sb複合酸化物、黄鉛等、黒色はFe/Cr複合酸化物、Mn/Bi複合酸化物、Fe/Mn複合酸化物、Ca/Ti/Mn複合酸化物等を例示できる。さらに好ましくは白色顔料を用いることができる。白色顔料は、具体的には、酸化チタン(チタン白)、酸化亜鉛(亜鉛華)、鉛白、アルミナ等が挙げられる。これらの中でも、高い遮熱効果を有する酸化チタンが特に好ましい。
顔料粒子は、体質顔料を含んでもよい。使用可能な体質顔料は特に限定されない。例えば、バリタ粉、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、ホワイトカーボン、珪藻土、タルク、炭酸マグネシウム、グロスホワイト、マイカ粉等が挙げられる。
顔料としては、適当な吸油量を有するものを用いることが好ましい。吸油量は特に限定されないが、例えば、1mL/100g以上50mL/100g以下とすることができる。このような吸油量を有する顔料を用いることにより、例えば、塗膜の外観向上や、塗膜形成時のタレ抑制などを図ることができる。
顔料粒子の大きさ(粒子径等)は特に限定されない。大きさは、各種の目的に応じて適宜調整すればよい。顔料粒子の平均粒子径は、好ましくは0.01~20μm、より好ましくは0.05~10μm、さらに好ましくは0.10~5.0μmである。
顔料粒子の平均粒子径は、無機粒子の粒子径と同様に、カタログ値がある場合はその値を採用できる。または、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)などにより、個々の平均粒子径の画像の寸法計測により得られた個数分布からの平均値を採用してもよい。
本実施形態の非水分散型塗料組成物が顔料を含む場合、1種のみの顔料を含んでもよいし、2種以上の顔料を含んでもよい。
本実施形態の非水分散型塗料組成物が顔料を含む場合、その量は特に限定されないが、好ましくは非水分散型樹脂粒子100質量部に対して40~200質量部、より好ましくは60~150質量部、さらに好ましくは80~120質量部である。このようにすれば、非水分散型塗料組成物の諸特性をより一層向上させることができる。
(弱溶剤)
本実施形態の非水分散型塗料組成物は、好ましくは、弱溶剤を含む。弱溶剤とは、一般的には溶解力の弱い溶剤を意味し、具体的には、JIS K 2266で規定されるアニリン点が12~55℃であるものをいう。この弱溶剤は労働安全衛生法の第3種有機溶剤に相当する、高沸点芳香族炭化水素系溶剤を含んでいてもよい脂肪族炭化水素系溶剤であり、ターペンやミネラルスピリット等に代表されるような高引火点、高沸点、低有害性であるものをいう。弱溶剤は、混合溶剤タイプ及び単成分溶剤タイプのどちらでもよい。
非水分散型塗料組成物が弱溶剤を含むことにより、貯蔵安定性がより良好となる。また、塗工時において、取扱い性も優れる。さらに、非水分散型塗料組成物が弱溶剤を含む場合、臭気を抑制できるため安全性にすぐれ、非水分散型塗料組成物を住宅用塗材等として好適に用いることができる。
混合溶剤としては、例えば、ミネラルスピリット、ホワイトスピリット、ミネラルターペン、イソパラフィン、ソルベント灯油、芳香族ナフサ、VM&Pナフサ、ソルベントナフサ等が挙げられる。市販品としては、例えば、丸善石油株式会社製品であるスワクリーン150、スワゾール1000、スワゾール1500、エッソ石油社製品であるソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、コスモ石油社製品であるスワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500や、シェル社製品のソルベッソ150、ソルベッソ200、HAWS、LAWSや、エクソンモービル社製品のアイソパーG,H,L,エクソールD40、D80、ペガゾール、AN45や、出光興産株式会社製のAソルベント、クレンゾル、イプゾール100、リニアレン10、リニアレン12、シェルゾールSや、新日本石油化学株式会社製のミネラルスピリットA、ハイアロム2Sや、新日本理化株式会社製のリカソルブ900、リカソルブ910B、リカソルブ1000などが挙げられる。こうした弱溶剤は、労働安全衛生法の第3種有機溶剤に該当するものが含まれ得る。
単成分弱溶剤としては、n-ブタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、イソノナン、n-デカン、n-ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロブタンなどの脂肪族炭化水素類等が例示できる。
弱溶剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、非水分散型樹脂粒子100質量部に対して、典型的には100質量部以上200質量部以下、好ましくは120質量部以上180質量部以下とすることができる。このようにすれば、非水分散塗料組成物において、優れた貯蔵安定を維持しつつ、塗膜の光沢性をより一層良好にすることができる。
また、本実施形態では、弱溶剤以外の有機溶剤を含有することもできる。この場合、その質量は弱溶剤の質量以下であることが好ましい。弱溶剤以外の有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、n-酢酸ブチル等のエステル溶剤、メチルエチルケトン等のケトン溶剤、n-ブチルアルコール等のアルコール溶剤を例示できる。
(その他成分)
本実施形態の非水分散型塗料組成物は、必要に応じて上記以外の成分を含んでもよい。
一例として、本実施形態の非水分散型塗料組成物は、塗膜表面の平滑性を高める効果がある添加成分(表面調整剤)を含んでもよい。表面調整剤には、塗料分野で公知の可塑剤、シリコーン化合物、ワックス、消泡剤、レベリング剤、ワキ防止剤などが含まれる。
別の例として、本実施形態の非水分散型塗料組成物は、湿潤分散剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、磁性粉、帯電制御剤などの内、1種または2種以上を含んでもよい。
<非水分散型塗料組成物の製造方法>
本実施形態の非水分散型塗料組成物の製造方法は特に限定されない。例えば、以下のような手順で製造することができる。
(1)上述の非水分散型樹脂粒子を調製する。
(2)(1)に疎水化処理をした無機粒子を混合し、混合液を得る。顔料を含む場合は、無機粒子と共に混合することができる。
(3)混合液について、シェイカー等を用いて分散処理を行う。
(4)得られた分散処理後の樹脂組成物に、必要に応じて非水分散型樹脂粒子や弱溶剤を追加したり、その他添加剤を添加するなどして、非水分散型塗料組成物とする。
<塗膜、塗膜を備える物品>
本実施形態の非水分散型塗料組成物を、被塗装物の表面に、公知の方法で塗膜を形成することができる。塗膜を形成する方法は特に限定されず、塗料一般に適用される方法、例えば、エアスプレー法、エアレススプレー法、ロール刷毛による供給等を適宜選択することができる。
2液型の非水分散型塗料組成物を塗装する場合、一般的には、塗装前にイソシアネートを混合した後に塗装する。イソシアネートを混合することでシェル側の水酸基とイソシアネートが架橋反応を起こすことで、硬化膜を形成できる。
イソシアネートとしては、特に限定されないが、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート及び芳香族イソシアネートから適宜選択することができる。反応性の観点から、イソシアネート化合物は、2価以上のイソシアネート化合物を用いることができ、例えば、ジイソシアネート化合物、トリイソシアネート化合物等を用いることができる。
塗膜の膜厚は特に限定されず、塗膜の用途に応じて適宜膜厚を調製することができる。
イソシアネート化合物は、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート及び芳香族ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のイソシアネート化合物であることが好ましい。
脂肪族イソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートが挙げられる。脂肪族ジイソシアネートは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
脂環族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネートが挙げられる。脂環族ジイソシアネートは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
芳香族イソシアネートとしては、特に限定するものではないが、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)などの芳香族イソシアネート類などが挙げられる。芳香族ジイソシアネートは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート及び芳香族イソシアネートは、いずれかを単独で使用してもよいし、脂肪族イソシアネートと脂環族イソシアネートとの2種を併用してもよいし、脂肪族イソシアネートと芳香族イソシアネート上記ジイソシアネートとの2種を併用してもよいし、脂環族イソシアネートと芳香族イソシアネートとの2種を併用してもよい。工業的入手のしやすさ及び分散性、黄変等の観点から、脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートから選択される1種又は2種以上が好適であり、さらには、HDI及びIPDIが好ましく、さらに反応性等の観点から、HDIがより好ましい。
被塗装物の表面に非水分散型塗料組成物を供給後、例えば、室温で数時間~数日放置することで、弱溶剤を留去させることができる。特に加熱炉などを用いて加熱する必要はなく、常温放置によって弱溶剤を留去させることができる。また、加熱炉を用いて加熱し、弱溶剤を留去してもよく、この場合、用いる弱溶剤の種類に応じて、適宜加熱温度を調製することで、短時間で弱溶剤を留去することができる。これにより、塗膜を形成することができる。つまり、塗膜を備えた物品を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に述べたが、これらは本発明の例示である。また、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施態様を、実施例及び比較例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<各成分の作製>
(疎水化処理された無機粒子の作製:球状シリカAの作製)
球状シリカ(堺化学工業株式会社製、Sciqas、球状シリカ、平均粒子径0.4μm、吸油量24mL/100g、比表面積7.4m/g)100質量部と、シラン化合物(信越化学工業株式会社製、n-プロピルトリメトキシシラン(C3単官能シラン)、KBM-3033、分子量164.28、最小被覆面積476.38m/g)1.55質量部と、ジブチル錫ジラウレート(堺化学工業株式会社製、TN-12)0.05質量部とを、200質量部のヘプタンに投入して攪拌混合することで、混合溶液を得た。
ここで、シラン化合物の「最小被覆面積」とは、下記式(1)により算出される値である。式(1)における「13×10-20」は、トリアルコキシシリル構造が加水分解して生成されるSi(O)構造1つ当たりの被覆面積を表す値(m)である。具体的には、Si原子(半径2.10Å)、O原子(半径1.52Å)、Si-Oの結合距離(1.51Å)、四面体角(109.5°)でモデル化したSi(O)構造中の3個のO原子全てが粒子と結合すると仮定して、3個のO原子が被覆することができる粒子表面の面積である。
無機粒子に対するシラン化合物の添加量は、下記式(1)により算出した「最小被表面積」の値を下記式(2)に代入することにより、シラン化合物の添加量を決定した(計算式上では、球状無機粒子表面への被覆率が100%となる)。
Figure 2022121104000002
この混合溶液を80℃で加熱しながら1時間撹拌し、溶液中に含まれる球状シリカとシラン化合物とを反応させた。その後、混合溶液を室温まで冷却し、濾過と洗浄を行い、80℃で乾燥処理した。このようにして、シラン化合物で表面が処理され、表面がプロピル基を含む基で修飾された球状シリカAを得た。
(滴定法による、疎水化処理された無機粒子の表面SP値の測定)
上述の滴定法により、表面SP値を測定した。ただし、測定には、水(SP値δ=23.37[(cal/cm0.5])と、ブチルセロソルブ(SP値δ:10.18[(cal/cm0.5])を用いた。後掲の表中に記載の表面SP値の単位は[(cal/cm0.5]である。
(吸油量の測定法)
日本工業規格(JIS規格)JIS K 5101-13-1(2004)"顔料試験方法精製あまに油法"を用いて吸油量を測定した。測定対象物(無機粒子または顔料)の約1gをガラス板上に精秤し、亜麻仁油(和光純薬社製、比重0.93)をピペットで数滴ずつ徐々に加え、パレットナイフで混練した。試料の塊ができるまで滴下-混錬を繰り返し、滑らかなペースト状態かつ表面に光沢が生じた段階を終点とした。滴下に使用した亜麻仁油の量から吸油量(mL/100g)を算出した。
(疎水化処理された無機粒子の平均粒子径)
疎水化処理された無機粒子について、表面疎水化処理の前後で平均粒子径の変化を走査電子顕微鏡(SEM)で観察した。その結果、表面処理前後で平均粒子径の変化は無視できるレベルであった。つまり、疎水化処理された無機粒子の平均粒子径は、原料である球状無機粒子の平均粒子径と同程度であった。
(合成例1)
<非水分散型樹脂組成物の作製>
(1液型シェル樹脂の合成)
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、スワクリーン150(弱溶剤、丸善石油化学株式会社製、炭素数9のアルキルシクロヘキサンの混合物)を80質量部仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら120℃まで昇温させた。
次にラウリルメタクリレート(LMA)15質量部、ブチルアクリレート(BA)25質量部、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)35部、イソボルニルメタクリレート(IBX)20質量部、メチルメタクリレート(MMA)4質量部、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート(ADEKA社製、LA-82)1質量部、さらに1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)(和光純薬工業株式会社製、V-40、重合開始剤)0.5質量部からなる混合液を2時間かけてフラスコに滴下し、さらにそのまま2時間撹拌して重合反応を行った。
続いて、さらにスワクリーン150を20質量部、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(株式会社日本ファインケム製、ABN-E、重合開始剤)0.5質量部を混合させたものを30分かけて滴下した。滴下後、そのまま120℃で3時間撹拌したのちに室温まで冷却し、アクリル系樹脂(シェル樹脂、重量平均分子量は、58,000)を含む樹脂組成物a(固形分50質量%)を得た。
(1液型コアシェル樹脂の合成)
シェル樹脂を合成したフラスコに、樹脂組成物aを200質量部仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら120℃まで昇温させた。
次に、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)15質量部、イソボルニルメタクリレート(IBX)10質量部、ブチルアクリレート(BA)10質量部、メチルメタクリレート(MMA)55質量部、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO)10質量部、さらに開始剤V-40を0.5質量部からなる混合液を2時間かけて滴下し、さらにそのまま2時間撹拌して重合反応を行った。
続いて、さらにスワクリーン150を50質量部、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.5質量部を混合させたものを30分かけて滴下した。滴下後、そのまま120℃で3時間撹拌した。その後、室温まで冷却し、スワクリーン150を添加して固形分率を50%に調整し、平均粒子径0.2μmの非水分散型樹脂粒子(コアシェル型樹脂粒子)を含む非水分散型樹脂組成物A(シェル樹脂:コア樹脂=1:1/質量比)を得た。
(合成例2)
合成時および固形分率の調整時に使用するスワクリーン150を、スワクリーン150/メチルエチルケトン=90/10の混合溶剤としたこと以外は全て、合成例1と同様にして、平均粒子径0.4μmの非水分散型樹脂粒子(コアシェル型樹脂粒子)を含む、非水分散型樹脂組成物Bを得た。
(合成例3)
合成時および固形分率の調整時に使用するスワクリーン150を、スワクリーン150/メチルエチルケトン=80/20の混合溶剤としたこと以外は全て、合成例1と同様にして、平均粒子径0.6μmの非水分散型樹脂粒子(コアシェル型樹脂粒子)を含む、非水分散型樹脂組成物Cを得た。
<塗料組成物の作製>
(実施例1)
非水分散型樹脂組成物Aを作製する際に合成した樹脂組成物aを200質量部(シェル樹脂100質量部を含む)用意した。これに疎水化処理された球状シリカAを90質量部、酸化チタン(石原産業株式会社製、塩素法酸化チタン(CR-95、ルチル型)、平均粒子径0.28μm、吸油量19mL/100g、真比重4.2g/cm)300質量部、DISPERBYK-2164(湿潤分散剤)1.5質量部を混合した。
得られた樹脂組成物に、さらに合成例1で得られた非水分散型樹脂組成物Aを400質量部(シェル樹脂を100質量部、コア樹脂を100質量部含む)と、スワクリーン150を300質量部と、複合型消泡剤(ディスパロンOX―66FE、楠本化成株式会社製)3質量部を添加し、混合した。これにより、非水分散型塗料組成物(1液硬化型)を作製した。
得られた非水分散型塗料組成物の各種原料の構成比を、非水分散型樹脂粒子の量を100質量部として、表1に示す。
<組成物評価>
(貯蔵安定性)
JIS K 5600-2-7の常温貯蔵安定性の操作に準拠して、非水分散型塗料組成物の貯蔵安定性を評価した。具体的には、作製した各種非水分散型塗料組成物を、容量約50mLの密閉・遮光できるガラス容器に30mL充填し、60℃で7日間静置した。放置前と放置後の組成物の粘度から、増粘率を以下の式に基づいて算出した。粘度は、JIS K 7117-1に準じ、E型粘度計(東機産業製RE-85型粘度計)を用いて100rpmの条件で測定した。
増粘率(%)={(試験後の粘度-試験前の粘度)/(試験前の粘度)}×100
算出した増粘率を用い、以下の基準で評価した。
5:増粘率が25%未満
4:増粘率が25%以上50%未満
3:増粘率が50%以上75%未満
2:増粘率が75%以上100%未満
1:増粘率が100%以上
<塗膜評価>
(試験板の作製)
基材として市販の冷延鋼板(日本テストパネル社製、SPCC-SD:幅75mm×長さ150mm×厚み0.8mm)に、乾燥膜厚が約80μmとなるようにロール刷毛で、非水分散型塗料組成物を塗装した。その後、そのまま室温で7日間静置して塗膜を形成させた。このようにして、塗装された試験板を作製した。得られた試験板を使い、各種試験を行った。
(光沢性)
光沢計(BYK-Gardner GmbH製)を用いて60°光沢値を測定した。この光沢値が高いほど、塗膜外観が良好であることを示す。
5:60%以上
4:55%以上60%未満
3:50%以上55%未満
2:45%以上50%未満
1:40%以上45%未満
(耐温水性)
試験板を40℃の温水に7日間浸漬させた。7日経過後、試験板を温水から引き揚げて、引き揚げ直後の塗膜の状態(白化、膨れ、ブリスターの発生、剥がれ)について目視により確認した。結果を以下の基準で判定した。
5:全く変化が見られない。
4:わずかに青白化するが、膨れ・剥がれは見られない。
3:白化は見られるが、膨れ・剥がれは見られない。
2:著しい白化または膨れ・剥がれが見られる。
1:著しい白化および膨れ・剥がれが見られる。
(密着性)
溶剤除去後の乾燥膜厚が約80μmとなるように、窯業用サイディング板(エナメル塗料塗布済)及び硬質ポリ塩化ビニル板(TP技研株式会社製)に非水分散型塗料組成物をロール刷毛により塗装した。塗装後、そのまま室温で7日間静置して塗膜を形成させた。このようにして、塗装された試験板を作製した。得られた試験板を使い、以下の要領で、密着性の評価を行った。
試験板について、JIS K 5600-5-6(1999)「塗膜の機械的性質―付着性(クロスカット法)」に基づいた試験を行い、基材に対する塗膜の密着性を、以下の基準で評価した。
5:カットのふちが完全に滑らかで、どの格子の目にもハガレがない。
4:カットの交差点における塗膜の小さなハガレがあり、剥離部分の面積が5%未満。
3:剥離部分の面積が5%以上15%未満。
2:剥離部分の面積が15%以上35%未満。
1:剥離部分の面積が35%以上。
<機能評価>
(遮熱性)
赤外線ランプとして、アイR形赤外線電球(岩崎電気株式会社製、形式IR100/110V125WRH)と、試験板の裏面の中心に熱電対(K型、クラス2)を貼り付けたものをそれぞれ用意した。下端が試験板の塗膜表面から25cm上方で、その中心軸が試験板中央に位置するように赤外線ランプを設置した。そして、赤外線の照射を開始した。赤外線照から15分後の到達温度を、熱電対に接続した温度計により測定した。測定は、室温25℃、湿度50%RHで、無風状態の場所にて行った。
5:78℃以下
4:78℃を越え81℃以下。
3:81℃を越え84℃以下。
2:84℃を越え87℃以下。
1:87℃を越える。
組成物評価、塗膜評価、機能評価の結果を表1に併せて示す。
(実施例2~6)
球状シリカAの作製時に用いたシラン化合物(KBM-3033)を、表1に記載の疎水化処理剤としたこと以外は実施例1と同様に非水分散型塗料組成物を調製した。疎水化処理前後で、無機粒子の粒子径の変化は無視できる範囲であった。
得られた塗料組成物を、実施例1と同様に組成物評価、塗膜評価、機能評価を行った。得られた結果を、表1に併せて示す。
Figure 2022121104000003
(実施例7~11)
無機粒子を、表2に記載の無機粒子とした以外は、実施例4と同様に非水分散型塗料組成物を調製した。疎水化処理前後で、無機粒子の粒子径の変化は無視できる範囲であった。
得られた塗料組成物を、実施例1と同様に組成物評価、塗膜評価、機能評価を行った。得られた結果を、表2に示す。
Figure 2022121104000004
(実施例12~実施例17)
合成例2で作製した非水分散型樹脂組成物Bを用い、無機粒子を表3に示す粒子径としたこと以外、実施例4と同様に非水分散塗料組成物を得た。すべての実施例(実施例12~17)において、疎水化処理前後での粒子径の変化は無視できる範囲であった。
また、実施例1と同様な評価(組成物評価、塗膜評価、機能評価)を行った。構成と評価結果を表3に示す。
(実施例18~実施例23)
合成例3で作製した非水分散型樹脂組成物Cを用い、無機粒子を表3に示す粒子径としたこと以外、実施例4と同様に非水分散塗料組成物を得た。すべての実施例(実施例18~23)において、疎水化処理前後での粒子径の変化は無視できる範囲であった。
また、実施例1と同様の評価(組成物評価、塗膜評価、機能評価)を行った。構成と評価結果を表3に併せて示す。
Figure 2022121104000005
(実施例24~実施例27)
無機粒子を表4に示す含有量としたこと以外、実施例4と同様に非水分散塗料組成物を得た。
また、実施例1と同様の評価(組成物評価、塗膜評価、機能評価)を行った。構成と評価結果を表4に示す。
Figure 2022121104000006
(実施例28~実施例31)
酸化チタンを表5に示す含有量としたこと以外、実施例4と同様に非水分散塗料組成物を得た。
また、実施例1と同様の評価(組成物評価、塗膜評価、機能評価)を行った。構成と評価結果を表5に示す。
Figure 2022121104000007
(実施例32)
疎水化処理を施す無機粒子を球状アルミナ(ASFP-20、デンカ株式会社製、平均粒子径0.3μm、比表面積12.5m/g、吸油量19mL/100g)とした以外、実施例4と同様に非水分散塗料組成物を得た。疎水化処理前後での粒子径の変化は無視できる範囲であった。
また、実施例1と同様の評価(組成物評価、塗膜評価、機能評価)を行った。構成と評価結果を表6に示す。
(実施例33)
疎水化処理を施す無機粒子を破砕溶融シリカ(不定形状、ヒューズレックスWX、株式会社龍森製、平均粒子径1.0μm、比表面積13.1m/g、吸油量34mL/100g)としたこと以外、実施例4と同様に非水分散塗料組成物を得た。疎水化処理前後での粒子径の変化は無視できる範囲であった。
また、実施例1と同様の評価(組成物評価、塗膜評価、機能評価)を行った。構成と評価結果を表6に併せて示す。
Figure 2022121104000008
(合成例4)
<非水分散型樹脂組成物の作製>
(2液型シェル樹脂の合成)
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、スワクリーン150(丸善石油化学株式会社製、C9アルキルシクロヘキサンの混合物)を80質量部仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら120℃まで昇温させた。
次に、ラウリルメタクリレート(LMA)34質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)15質量部、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)20質量部、イソボルニルメタクリレート(IBX)30質量部、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート(ADEKA社製、LA-82)1質量部、さらに1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)(和光純薬工業株式会社製、V-40、重合開始剤)0.5質量部からなる混合液を2時間かけてフラスコに滴下し、さらにそのまま2時間撹拌して重合反応を行った。
続いて、さらにスワクリーン150を20質量部、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(株式会社日本ファインケム製、ABN-E、重合開始剤)0.5質量部を混合させたものを30分かけて滴下した。滴下後、そのまま120℃で3時間撹拌したのちに室温まで冷却し、アクリル系樹脂(シェル樹脂、重量平均分子量は、58,000)を含む樹脂組成物d(固形分50質量%)を得た。
(非水分散型樹脂組成物の作製:2液型コアシェル樹脂の合成)
シェル樹脂の合成に用いたフラスコに、先に作製した樹脂組成物dを200質量部仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら120℃まで昇温させた。
次に、アクリル酸(AA)2質量部、メチルメタクリレート(MMA)77質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)20質量部、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート(ADEKA製、LA-82)1質量部さらに開始剤V-40を0.5質量部からなる混合液を2時間かけて滴下し、さらにそのまま2時間撹拌して重合反応を行った。
続いて、さらにスワクリーン150を50質量部、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.5質量部を混合させたものを30分かけて滴下した。滴下後、そのまま120℃で3時間撹拌したのち、室温まで冷却し、スワクリーン150を添加して固形分率を50%に調整し、平均粒子径0.25μmの非水分散型樹脂粒子(コアシェル型樹脂粒子)を含む非水分散型樹脂組成物D(シェル樹脂:コア樹脂=1:1/質量比)を得た。
(実施例34)
非水分散型樹脂組成物Dを作製する際の途中で作製した分散用樹脂組成物dを200質量部(シェル樹脂を100質量部含む)用意し、これに疎水化処理した球状シリカAを112.5質量部、酸化チタン(石原産業株式会社製、塩素法酸化チタン(ルチル型)、平均粒子径0.28μm、吸油量19mL/100g、真比重4.2g/cm)375質量部、DISPERBYK-2164(湿潤分散剤)1.5質量部を混合した。
作製した混合液をチタニアビーズとともにポリエチレン製容器に封入し、ペイントシェイカー(浅田鉄工株式会社製)を用いて2時間分散処理を行った。その後、濾過してチアニアビーズを除去した。得られた樹脂組成物に、さらに非水分散型樹脂組成物Bを400質量部(シェル樹脂を100質量部、コア側樹脂を100質量部含む)と、HDI系ウレタン変成イソシアヌレート型ポリイソシアネート(旭化成株式会社製、TSA-100、固形分100wt%、NCO%20.6)75質量部と、脱水剤(信越化学工業株式会社製、KBM-1003、ビニルトリメトキシシラン)3質量部と、スワクリーン150を400質量部と、複合型消泡剤(ディスパロンOX―66FE、楠本化成株式会社製)3質量部を添加し、混合することで、非水分散型塗料組成物(2液硬化型)を作製した。
得られた非水分散型塗料組成物の各種原料の構成比を、非水分散型樹脂粒子とイソシアネート成分の総量を100質量部として、表7に示す。
得られた塗料組成物を、実施例1と同様に組成物評価、塗膜評価、機能評価を行った。得られた結果を、表7に併せて示す。
(実施例35~36)
合成例4で用いたシラン化合物(KBM-3033)を、表7に示す疎水化処理剤としたとしたこと以外、実施例34と同様に非水分散型塗料組成物を調製した。疎水化処理前後で、無機粒子の粒子径の変化は無視できる範囲であった。
得られた塗料組成物を、実施例1と同様に組成物評価、塗膜評価、機能評価を行った。得られた結果を、表7に併せて示す。
Figure 2022121104000009
実施例1~36において、本実施形態に係る非水分散塗料組成物は、組成物として高い貯蔵安定性を示した。また、光沢性を維持しつつ、高い遮熱性を示す塗膜が得られた。すなわち、本実施態様に係る非水分散塗料組成物は、組成物として貯蔵安定性に優れ、塗膜として光沢性、遮熱性に優れていた。
(比較例1)
無機粒子を添加しないこと以外は、実施例1と同様の構成で非水分散塗料組成物を作製した。作製した塗料組成物を用いて、実施例1と同様に組成物評価、塗膜評価、機能評価を行った。構成と得られた評価結果を、表8に示す。
(比較例2)
無機粒子に疎水化処理を施さないこと以外は、実施例1と同様の構成で非水分散塗料組成物を作製した。作製した塗料組成物を用いて、実施例1と同様に組成物評価、塗膜評価、機能評価を行った。構成と得られた評価結果を、表8に併せて示す。
(比較例3~4)
疎水化処理を施していない無機粒子の添加量を表8としたこと以外は、比較例2と同様の構成で非水分散塗料組成物を作製した。作製した塗料組成物を用いて、実施例1と同様に組成物評価、塗膜評価、機能評価を行った。構成と得られた評価結果を、表8に併せて示す。
(比較例5)
無機粒子をアルミナとしたこと以外は、比較例2と同様の構成で非水分散塗料組成物を作製した。作製した塗料組成物を用いて、実施例1と同様に組成物評価、塗膜評価、機能評価を行った。構成と得られた評価結果を、表8に併せて示す。
(比較例6)
非水分散型樹脂組成物を、合成例4で得られた2液型とし、2液型樹脂粒子80質量部とイソシアネート(TSA-100、ヌレート型ポリイソシアネート)20質量部としたこと以外は、比較例2と同様に非水分散塗料組成物を作製した。作製した塗料組成物を用いて、実施例1と同様に組成物評価、塗膜評価、機能評価を行った。構成と得られた評価結果を、表8に併せて示す。
Figure 2022121104000010
比較例1では、無機粒子を含まないため、組成物としての貯蔵安定性と塗膜の光沢性は優れていたが、塗膜の遮熱性が得られなかった。比較例2~5では、無機粒子を含むが、疎水化処理を施していないため、貯蔵安定性、光沢性、遮熱性を鼎立することができなかった。2液型の例である比較例6も、疎水化処理されていない無機粒子では、貯蔵安定性、光沢性、遮熱性を鼎立することができなかった。
(実施例37~38)
顔料を白色顔料から、表9に記載の有色顔料にした。表9に記載の構成で非水分散塗料組成物を作製した。作製した塗料組成物を用いて、組成物評価、塗膜評価、機能評価を行った。構成と得られた評価結果を、表9に併せて示す。
(比較例7~9)
比較例7,8では、疎水化処理された無機粒子を含まないこと以外、実施例37,38と同様に非水分散塗料組成物を作製した。比較例9では、顔料および疎水化処理された無機粒子を含まないこと以外、実施例37と同様に非水分散塗料組成物を作製した。作製した塗料組成物を用いて、組成物評価、塗膜評価、機能評価を行った。構成と得られた評価結果を、表9に併せて示す。
Figure 2022121104000011
イエロー系の顔料を含む実施例37と比較例7とを比較すると、実施例37は比較例7よりも約10℃温度上昇を抑えることができた。ブラック系の顔料を含む実施例38と比較例8とを比較すると、実施例38は比較例8よりも約5℃温度上昇を抑えることができた。従って、白色顔料以外の顔料を含む非水分散塗料組成物においても、貯蔵安定性、光沢性、遮熱性を鼎立することができた。
顔料と疎水化処理された無機粒子を含まない比較例9では、貯蔵安定性と光沢性は両立できたものの、遮熱性(温度)は比較例8に迫る高さとなってしまった。

Claims (12)

  1. 疎水化処理された無機粒子と非水分散型樹脂粒子とを含む、非水分散型塗料組成物。
  2. 請求項1に記載の非水分散型塗料組成物であって、
    前記疎水化処理された無機粒子が球状無機粒子である、非水分散型塗料組成物。
  3. 請求項1または2に記載の非水分散型塗料組成物であって、
    前記疎水化処理された無機粒子が球状シリカ粒子である、非水分散型塗料組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の非水分散型塗料組成物であって、
    前記疎水化処理された無機粒子は、直鎖または分岐の炭素数3以上のアルキル基で修飾されたものを含む、非水分散型塗料組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の非水分散型塗料組成物であって、
    表面処理された前記無機粒子の平均粒子径が0.02~5.0μmである、非水分散型塗料組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の非水分散型塗料組成物であって、
    顔料をさらに含む、非水分散型塗料組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の非水分散型塗料組成物であって、
    前記無機粒子の吸油量が50mL/100g以下である、非水分散型塗料組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の非水分散型塗料組成物であって、
    前記疎水処理された無機粒子の平均粒子径rと前記非水分散型樹脂粒子の平均粒子径rとの比で表されるr/rの値が0.05以上20以下である、非水分散型塗料組成物。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の非水分散型塗料組成物であって、
    弱溶剤を更に含む、非水分散型塗料組成物。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の非水分散型塗料組成物であって、
    前記非水分散型樹脂粒子100質量部に対し、前記疎水処理された無機粒子が10~50質量部である、非水分散型塗料組成物。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の非水分散型塗料組成物を用いて形成した塗膜。
  12. 請求項11に記載の塗膜を備える物品。
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