JP2022120669A - モータポンプ及びモータポンプの製造方法 - Google Patents

モータポンプ及びモータポンプの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポンプ効率を低下させることなくポンプの軸方向スラストを低減することができるモータポンプを提供する。【解決手段】軸方向貫通穴を有する回転軸を備えた回転子と、回転子の周囲に配置される固定子と、を含むモータ部と、回転軸に固定された羽根車と、羽根車を回転させることによって取扱液の吸引と吐出とを行うポンプ室を形成するポンプケーシングと、を備えたポンプ部と、で構成されるモータポンプであって、羽根車の主板の背面に設けられる主板リングと、主板リングと径方向に一定の隙間を有し、ポンプケーシングに設けられるライナーリングと、を備え、隙間の内周側に圧力液体室が形成されており、圧力液体室が、回転軸の軸方向貫通穴を介してモータポンプの吸込側に連通する流路を備えた、モータポンプが提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、モータポンプ及びモータポンプの製造方法に関する。
近年、ポンプの取扱液は多様化し、高価な液、反応性の液、または腐食性の液等が使用されている。また、ポンプは、その設置場所が、屋内または装置内である場合がある。このような使用及び/又は設置条件の下では、ポンプの軸封部として、微量の取扱液の漏れを生じる通常のメカニカルシールを使用することは困難である。従って、通常のメカニカルシールに代わる、ポンプの軸封手段が求められている。また、多段ポンプにおいては、使用圧力の高圧化の要求が進んでおり、通常のメカニカルシールとは異なる高価な部材で構成したシール部を採用することが求められている。さらに、省エネルギー化によるポンプの小型化は、ポンプの作動の高速化を伴うので、メカニカルシールの摺動部の周速の高速化による負荷が増加傾向にある。このように、メカニカルシールを用いた軸封対応には限界が見えつつある。
このような状況の中では、メカニカルシールを必要としないキャンドモータを使用した多段ポンプの使用が有利である。キャンドモータポンプの種々の構成が提案されている(特許文献1~8)。特に、特許文献6~8は、キャンドモータを使用した多段ポンプを記載している。
キャンドモータポンプは、モータ部のステータコア(換言すれば、巻線)を金属または樹脂で包み込み、ポンプ部の主軸に固定されたロータを、取扱液中で回転させるように構成されたモータである。取扱液は、ポンプ部の遠心羽根車から吐出された液の一部が、モータ部内を通り、ポンプ部の吸込側に戻されるように構成されている。戻り流路は、モータ部の外側に専用の配管を設けることにより、または、主軸に貫通穴を設けることにより提供される。
キャンドモータポンプは、一般に、例えば、次のような利点を有する。
(1)モータ軸(換言すれば、ロータ)は取扱液中にあるので、軸封装置が必要とされない。従って、取扱液の漏洩の問題を無くすことができる。
(2)モータ内部に通液するので、冷却ファンが必要とされない。従って、ファン音が無く静音化されたモータポンプを実現することができる。
(3)軸受は、液中で使用されるので、すべり軸受が採用される。取扱液によってすべり軸受に液膜を形成することができる。すべり軸受は、一般の玉軸受より高速回転が可能であるので、振動、騒音の問題を低減することができる。
ところで、ポンプの遠心羽根車では、一般に、吐出圧(換言すれば、羽根車の出口圧力)と吸込圧(換言すれば、羽根車の入口圧力)の間の圧力差の影響で、反吸込側から吸込側に作用する荷重(換言すれば、軸方向スラスト)が発生する。軸方向スラストの対応策として、従来、主軸を支持する軸受を荷重に対応可能に構成すること、羽根車を両吸込型(具体的には、2枚の主板を背面合わせにする形態)にすること、羽根車にバランスホールを形成すると共にライナーリングを配置して、羽根車前後の圧力をバランスさせること、または、可変オリフィス構成を用いて羽根車、ロータなどの回転部分を軸方向に移動させてバランスさせること等が行われている。
複数の遠心羽根車が配列される多段ポンプでは、単段のポンプと比較して、さらに過大な軸方向スラスト(換言すれば、合計軸方向スラスト)が発生する。一般に、多段ポンプ
の軸方向スラストを軽減するために、高い軸方向スラストに対応できる軸受を採用すること、複数の羽根車を、半数ずつ背面合わせに配列すること、最終段の羽根車とポンプケーシングとの間にバランスディスクを設け、ポンプの高圧側と低圧側とをバランスさせること、等が行われている。
特公昭49-37922号公報 特公昭50-6042号公報 特公昭55-51469号公報 特開2001-248584号公報 特開昭61-280728号公報 特開2005-344696号公報 特開2008-121424号公報 特開2011-047301号公報
本発明は、ポンプ効率を低下させることなくポンプの軸方向スラストを低減することができるモータポンプを提供することを一つの目的とする。また、本発明の一実施形態は、ポンプ効率を低下させることなくポンプの軸方向スラストを低減することができるモータポンプを製造する方法を提供することを一つの目的とする。
本発明の一実施形態によれば、軸方向貫通穴を有する回転軸を備えた回転子と、回転子の周囲に配置される固定子と、を含むモータ部と、回転軸に固定された羽根車と、羽根車を回転させることによって取扱液の吸引と吐出とを行うポンプ室を形成するポンプケーシングと、を備えたポンプ部と、で構成されるモータポンプであって、羽根車の主板の背面に設けられる主板リングと、主板リングと径方向に一定の隙間を有し、ポンプケーシングに設けられるライナーリングと、を備え、隙間の内周側に圧力液体室が形成されており、圧力液体室が、回転軸の軸方向貫通穴を介してモータポンプの吸込側に連通する流路を備えた、モータポンプが提供される。
また、本発明の一実施形態によれば、モータポンプを製造する方法であって、羽根車を用意する工程であって、羽根車の主板が、主板リングを含む背面を有する、羽根車を用意する工程と、主板リングと径方向に一定の隙間を有して配置されるライナーリングを備えるポンプケーシングを用意する工程と、を含み、主板リング及びライナーリングの径方向位置は、モータポンプの運転中に羽根車の前面側から背面側に作用する軸方向スラストの大きさを調整するように設定される、方法が提供される。
図1は、本発明の一実施形態によるキャンドモータポンプの構造を示す断面図である。 図2は、本発明の一実施形態によるキャンドモータポンプ内の取扱液の流れ方向を説明する図である。 図3は、本発明の一実施形態によるキャンドモータポンプ内の圧力分布を示す図である。 図4は、図1の部分拡大図であり、本発明の一実施形態の要部を示す。 図5は、袋ナットを示す、図1の部分拡大図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明はあくまでも一例を示すものであって、本願発明の技術的範囲を以下の実施形態に限定する趣旨ではない。また、図面では、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。尚、以下の説明において、多段ポンプの複数の羽根車のそれぞれで発生する軸方向スラストを、「羽根車の軸方向スラスト」と称し、複数の羽根車の軸方向スラストを合計したスラストを、「ポンプの軸方向スラスト」または「合計軸方向スラスト」と称する。
図1は、本発明の一実施形態によるモータポンプの一例としてのキャンドモータポンプ100の構造を示す断面図である。図2は、本発明の一実施形態によるキャンドモータポンプ100内の取扱液の流れ方向を説明する図である。本実施形態では、キャンドモータポンプ100は、多段ポンプであり、複数の羽根車を備えている。本実施形態では、一例として、キャンドモータポンプ100は、複数(図示の例では、2つ)の遠心羽根車2a、2bを備えている。しかし、後述するように、本発明は、単段ポンプにも適用可能である。
図1を参照すると、キャンドモータポンプ100は、ポンプ部102とモータ部104を有する。ポンプ部102は、複数(本実施形態では2つ)の遠心羽根車(以下、羽根車)2a、2bを収容するポンプケーシング(符号省略)を備える。図示の例では、ポンプケーシングは、ポンプの吸込口102aを有する吸込ケーシング1a、ポンプの吐出口102bを有する吐出ケーシング1b及びケーシングカバー3によって形成されている。しかし、本実施形態において、ポンプケーシングの具体的構成は、図示の例に限られない。羽根車2a、2bは、スリーブ4a、4bを介して主軸(換言すれば、回転軸)8上に位置決めされる。吸込ケーシング1a内で、羽根車2a、2bは、主軸8の端部に、袋ナット13により固定されている。主軸8は、軸方向貫通穴11を有し、袋ナット13の袋頭部(換言すれば、キャップ部)14は、開口部14aを有している。なお、袋頭部14は、袋ナット13において、主軸8と螺合するナット本体の一端に形成される頭部であり、ナット本体が主軸8にねじ込まれたとき、主軸8の軸方向貫通穴11に対向して位置する部分である。袋ナット13に関しては、ナット15を用いることも可能であるが、本実施形態の効果を更に増加するには袋ナット13を使用することが望ましい。
主軸8は、ケーシングカバー3に挿通され、モータ部104のモータケーシング104a内に延在する。モータケーシング104aの反吸込側端部(換言すれば、吸込ケーシング1aとは反対の側の端部)は、モータカバー12で覆われている。モータケーシング104a内で、主軸8にロータ9が固定されている。ステータ10が、金属または樹脂で包み込まれて、モータケーシング104aに固定されている。主軸8上で、ロータ9の両側にスラスト板7a、7bが配置され、スラスト板7a、7bに隣接してすべり軸受6a、6bが配置される。すべり軸受6aは、ケーシングカバー3に固定され、すべり軸受6bは、モータカバー12に固定されている。主軸8は、軸受スリーブ5a、5bを介して、すべり軸受6a、6bに回転自在に支持されている。主軸8の反吸込側端部は、軸受スリーブ5bに、ナット15により固定されている。後述するように、キャンドモータポンプ100の取扱液の一部は、ロータ9とステータ10との間を通って、キャンドモータポンプ100内を循環する。
ポンプ部102は、一例として、二段の羽根車2a、2bを備える。羽根車2a、2bは、それぞれ、主板12a、12bを有する。主板12a、12bの前面に、羽根車2a、2bの羽根が形成されている。吸込口102aから吸い込まれた取扱液は、昇圧されながら、羽根車2aの羽根間流路の入口から出口へと流れ、次に最終段の羽根車2bの羽根間流路の入口から出口を通過し、吐出口102bから吐出される。最終段の羽根車2bの
主板12bの背面に、主板リング2cが設けられている。主板リング2cは、主板12bの背面の軸線周りに設けられる環状凸部としての形態を有している。主板リング2cは、主板12bと一体成形されていてもよいし、主板12bとは別個の部材として、主板12bに取り付けられていてもよい。また、最終段の羽根車2bの背面側で、ケーシングカバー3にライナーリング3aが設けられている。ライナーリング3aは、ケーシングカバー3と一体成形されていてもよいし、ケーシングカバー3とは別個の部材として、ケーシングカバー3に取り付けられていてもよい。
主板リング2cとライナーリング3aとの間の微小な隙間(後述する流路aを形成する)によって、ポンプ部102からモータ部104内への取扱液の漏れ量が制限される。図1から分かるように、各羽根車2a、2bの主板12a、12bは、羽根車2a、2bの吸込側(換言すれば、前面側)と反吸込側(換言すれば、背面側)を連通させる開口部、すなわちバランスホールを有していない。最終段の羽根車2bでは、主板12bの背面側で主板リング2cの内周側に、圧力液体室としての空間Cが形成されている。尚、図1では主板リング2cはライナーリング3aの内周側に位置しているが、主板リング2cがライナーリング3aの外周側に位置していても同等の効果が得られるため、主板リング2cとライナーリング3aの位置関係に関して制限は無い。
次に、図2を参照して、キャンドモータポンプ100内の取扱液の流れについて説明する。吸込口102aから吸い込まれた取扱液は、昇圧されながら最終段の羽根車2bの出口を通って吐出口102bから排出される(この流れが、図2中、白抜き矢印で示されている)。しかし、羽根車2bの出口を通った高圧の取扱液の一部(図2中、黒い矢印で示される)は、主板12bの背面側で、主板リング2cとライナーリング3aとの間の隙間を形成する流路aを通過し、圧力液体室である空間Cに導かれる。その後、取扱液は、空間Cから、軸受スリーブ5aとすべり軸受6aとの間の隙間を形成する流路b、及び、すべり軸受6aとスラスト板7aとの間の隙間を形成する流路dを流れる。この間、すべり軸受6aのすべり面が取扱液によって潤滑される。一方で、取扱液は、空間Cから、ケーシングカバー3に設けられた流路cにも流れる。これら2つの流れは、空間Dで合流し、ロータ9とステータ10との間の隙間を形成する流路eを流れ、軸受スリーブ5bとすべり軸受6bとの間の隙間を形成する流路fとモータカバー12に設けられた流路gに流れる。これら2つの流れは、空間Fで合流し、その後、主軸8の軸方向貫通穴11に流入する。そして、取扱液は、吸込側の袋ナット13の開口部14aを通って吸込ケーシング1a内に流出する。
図3は、キャンドモータポンプ100内の圧力分布を示す図である。図3における、空間Aの圧力(換言すれば、羽根車2aの出口圧力又は羽根車2bの入口圧力)をPa、空間Bの圧力(換言すれば、羽根車2bの出口圧力又は吐出口102bの圧力)をPb、空間Cの圧力(圧力液体室の圧力)をPc、空間Dの圧力(ロータ9の羽根車側の圧力)をPd、空間Eの圧力(ロータ9のモータ側の圧力)をPe、空間Fの圧力(モータカバー12内の圧力)をPf、およびポンプ部102の吸込圧力(換言すれば、吸込口102aの圧力)をPsで表すと、これら圧力の大小関係は、下記の式:

Pb>Pa>Pc>Pd>Pe>Pf>Ps

で示される。従って、最終段の羽根車2bの主板リング2cの内周側において、背面の空間C(圧力液体室)の圧力Pcが、前段の羽根車2aの出口圧力(又は羽根車2bの入口圧力)Paより低い(Pa>Pc)。本実施形態では、この圧力差を利用して、キャンドモータポンプ100の軸方向スラストを低減することができる。
具体的には、図4に示すように、本実施形態では、ライナーリング3aと主板リング2
cによって、最終段の羽根車2bの背面側に、低圧の圧力液体室Cが形成されている。圧力液体室Cは、ライナーリング3aと主板リング2cの間の流路aから微小な流量の取扱液が流入する、羽根車2bの出口圧力Pbよりかなり低い圧力の領域である。また、羽根車2bの主板12bがバランスホール(換言すれば、羽根車2bの前面と背面をつなげる開口部)を有しないことから、羽根車2bの入口圧力(これは、前段の羽根車2aの出口圧力とほぼ等しい)とも大きな圧力差を有する領域である。そして、圧力液体室Cは、モータ部104の内部及び主軸8の軸方向貫通穴11を介してポンプ部102の吸込側とつながっている。従って、圧力液体室Cの圧力は、キャンドモータポンプ100内で最も低い圧力であるポンプ部102の吸込圧Psに近い圧力である。これにより、最終段の羽根車2bの主板リング2cの内周側(図4では下側)で大きな圧力差(Pa-Pc)を生じさせることができる。なお、図4に示すように、ライナーリング3aと主板リング2cの外周側(図4では上側)では、羽根車2bの前面側の圧力と背面側の圧力はバランスしている。従って、羽根車2bの主板リング2cの内周側における圧力差により、最終段の羽根車2bに、吸込側から反吸込側に(図4の左側から右側に)向かう大きな軸方向スラストF1を発生させることができる。一方、羽根車2bと同様にバランスホールを有しない他の羽根車2aでは、反吸込側から吸込側に(図4の右側から左側に)向けて軸方向スラストが発生する。このように、最終段の羽根車2bに、他の羽根車2aに発生するものと反対の向きに作用する軸方向スラストF1を発生させることができる。従って、キャンドモータポンプ100の軸方向スラスト(換言すれば、合計軸方向スラスト)を低減することができる。
本実施形態では、ライナーリング3aの内径(従って、主板リング2cの外径)を調整することによって、最終段の羽根車2bに発生する軸方向スラストの大きさを調整することができる。すなわち、ライナーリング3aの内径を大きくすると、圧力液体室C内の主板12bの面積(低圧が作用する面積)を大きくすることができ、これにより、吸込側から反吸込側に向かう軸方向スラストを大きくすることができる。ライナーリング3aの内径を小さくすると、圧力液体室C内の主板12bの面積(低圧が作用する面積)を小さくすることができ、これにより、吸込側から反吸込側に向かう軸方向スラストを小さくすることができる。なお、上記したように、主板リング2cがライナーリング3aの外周側に位置する構成もあり得る。その場合には、主板リング2cの内径(従って、ライナーリング3aの外径)を調整することによって軸方向スラストの大きさを調整することができる。また、本実施形態のキャンドモータポンプ100は二段構成であるが、さらに多段化した場合には、最終段羽根車2bの入口圧力は大きくなり、最終段羽根車2bの入口と主板リング2cの内周側の圧力差(Pa-Pc)は大きくなるため、他の羽根車2aに発生するものと反対の向きに作用する軸方向スラストF1は多段化するほど大きくなり、キャンドモータポンプ100の軸方向スラスト(換言すれば、合計軸方向スラスト)を低減することができる。
また、本実施形態の最終段の羽根車2bの構成は、単段のキャンドモータポンプにも適用可能である。この場合、ライナーリング3aの内径又は主板リング2cの外径を、羽根車2bの吸込マウス(図4中の2d)の外径と実質的に同じにすることによって、ライナーリング3aの内周側と外周側の両方において、羽根車2bの前後(すなわち、羽根車2bの吸込側と反吸込側)の圧力をバランスさせることができる。従って、キャンドモータポンプ100の軸方向スラストを低減することができる。
上記したように、また、図示されるように、本実施形態では、各羽根車2a、2bの主板12a、12bにバランスホールを設けないこととしている(仮にバランスホールを設けると、本実施形態で企図される軸方向スラストの低減を実現することができない)。従って、バランスホールによるポンプ効率の低下を防止することができる。また、従来技術のようなバランスディスクが不要であるので、ポンプの構造を単純化することができ、こ
れにより、キャンドモータポンプ100の部品数及び軸方向長さを低減することができる。
また、従来技術のような背面合わせの構造を採用する必要がないので、背面合わせの構造に必要とされる長段間流路が不要であり、また、羽根車を逆回転させる機構も不要である。従って、ポンプの構造を単純化することができる。
また、従来のキャンドモータポンプと異なり、モータ部104の内部に高圧が付与されない。モータ部104の内部は、一方で低圧の圧力液体室Cとつながっており、他方で主軸8の軸方向貫通穴11を介してポンプ部102の吸込側とつながっている。従って、本実施形態のモータ部104は、耐圧構造を必要としない。
また、キャンドモータポンプ100の軸方向スラストが低減されることにより、すべり軸受6a、6b及びスラスト板7a、7bに高価な摺動材を使用する必要がなく、例えば、樹脂軸受等、比較的安価な軸受を使用することができる。
また、従来技術のような可変オリフィス構造を採用する必要が無いため、軸、羽根車、ロータなどを含む回転部分の軸方向移動量を考慮した軸受や、回転部分の移動によって生じるポンプ全体の振動への考慮、対策が不要である。
また、吸込側、反吸込側のどちらか一方向に多少の軸方向スラストが残るような構成とすることで、すべり軸受6a、6b及びスラスト板7a、7bによって、回転部分の移動が抑制出来るため、振動の発生を防ぎ、安定したポンプ運転を維持できる。
また、本実施形態では、袋ナット13の袋頭部14が、開口部14aを有している。従って、主軸8の軸方向貫通穴11の直径が一定であっても、袋ナット13の袋頭部14の開口部14aの直径d1(図5を参照)を調整することにより、キャンドモータポンプ100内を循環する取扱液の流量を調整することが可能である。例えば、ポンプ効率を重視する場合には、開口部14aの直径d1の小さい袋ナット13を使用することによって、循環による流量損失を低減することができる。また、例えば、キャンドモータポンプ100の冷却を重要視する場合には、開口部14aの直径d1の大きい袋ナット13を使用することによって、循環流量を増加させることができる。なお、本実施形態では、袋ナット13はドーム状の袋頭部14を有している。しかし、袋ナット13の袋頭部14の形状は図示のものに限られず、例えば、平坦であってもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。例えば、本発明は、広くモータポンプに適用することができ、具体的には、モータ部のロータを取扱液中で回転させるように構成されたモータポンプに適用することができる。従って、モータポンプは、必ずしもキャンドモータポンプでなくてもよい。また、ポンプ部の羽根車は、遠心羽根車でなくてもよい。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
本発明は、以下の態様を含む。
1.軸方向貫通穴を有する回転軸を備えた回転子と、回転子の周囲に配置される固定子と、を含むモータ部と、
回転軸に固定された羽根車と、羽根車を回転させることによって取扱液の吸引と吐出と
を行うポンプ室を形成するポンプケーシングと、を備えたポンプ部と、
で構成されるモータポンプであって、
羽根車の主板の背面に設けられる主板リングと、
主板リングと径方向に一定の隙間を有し、ポンプケーシングに設けられるライナーリングと、を備え、
隙間の内周側に圧力液体室が形成されており、
圧力液体室が、回転軸の軸方向貫通穴を介してモータポンプの吸込側に連通する流路を備えた、モータポンプ。
2.モータポンプは、複数の羽根車を備える多段ポンプであり、
主板リングは、最終段の羽根車にのみ設けられている、1.に記載のキャンドモータポンプ。
3.羽根車は、遠心羽根車である、1.又は2.に記載のモータポンプ。
4.主板リングは、羽根車の主板と一体成形されている、1.~3.のいずれかに記載のモータポンプ。
5.ライナーリングは、ポンプケーシングと一体成形されている、1.~4.のいずれかに記載のキャンドモータポンプ。
6.回転軸が、羽根車に袋ナットを介して固定されており、
袋ナットの袋頭部が、開口部を有する、1.~5.のいずれかに記載のモータポンプ。7.モータポンプを製造する方法であって、
羽根車を用意する工程であって、羽根車の主板が、主板リングを含む背面を有する、羽根車を用意する工程と、
主板リングと径方向に一定の隙間を有して配置されるライナーリングを備えるポンプケーシングを用意する工程と、
を含み、
主板リング及びライナーリングの径方向位置は、モータポンプの運転中に羽根車の前面側から背面側に作用する軸方向スラストの大きさを調整するように設定される、
方法。
8.主板リングは、ライナーリングの内周側に配置され、
主板リングの外径及びライナーリングの内径が、モータポンプの運転中に羽根車の前面側から背面側に作用する軸方向スラストの大きさを調整するように設定される、
7.に記載の方法。
9.主板リングは、ライナーリングの外周側に配置され、
主板リングの内径及びライナーリングの外径が、モータポンプの運転中に羽根車の前面側から背面側に作用する軸方向スラストの大きさを調整するように設定される、
7.に記載の方法。
10.軸方向貫通穴を有する回転軸を用意する工程と、
回転軸を、袋ナットを介して遠心羽根車に固定する工程と、を含み、
袋ナットの袋頭部が、開口部を有する、
7.~9.のいずれかに記載の方法。
11.モータポンプ内の取扱液の循環流量を決定するように、袋ナットの開口部の直径が調整される、
10.に記載の方法。
本発明は、羽根車を備えるモータポンプに適用される。
A、B、C、D、E、F 空間
F1 軸方向スラスト
a、b、c、d、e、f、g 流路
d1 直径
1a 吸込ケーシング
1b 吐出ケーシング
2a 一段目の羽根車
2b 最終段の羽根車
2c 主板リング
2d 吸込マウス
3 ケーシングカバー
3a ライナーリング
4a、4b スリーブ
5a、5b スリーブ軸受
6a、6b 軸受
7a、7b スラスト板
8 主軸
9 ロータ
10 ステータ
11 軸方向貫通穴
12 モータカバー
12a、12b 主板
13 袋ナット
14 袋頭部
14a 開口部
15 ナット
100 キャンドモータポンプ
102 ポンプ部
102a 吸込口
102b 吐出口
104 モータ部
104a モータケーシング

Claims (11)

  1. 軸方向貫通穴を有する回転軸を備えた回転子と、前記回転子の周囲に配置される固定子と、を含むモータ部と、
    前記回転軸に固定された羽根車と、前記羽根車を回転させることによって取扱液の吸引と吐出とを行うポンプ室を形成するポンプケーシングと、を備えたポンプ部と、
    で構成されるモータポンプであって、
    前記羽根車の主板の背面に設けられる主板リングと、
    前記主板リングと径方向に一定の隙間を有し、前記ポンプケーシングに設けられるライナーリングと、を備え、
    前記隙間の内周側に圧力液体室が形成されており、
    前記圧力液体室が、前記回転軸の軸方向貫通穴を介して前記モータポンプの吸込側に連通する流路を備えた、モータポンプ。
  2. 前記モータポンプは、複数の前記羽根車を備える多段ポンプであり、
    前記主板リングは、最終段の前記羽根車にのみ設けられている、請求項1に記載のキャンドモータポンプ。
  3. 前記羽根車は、遠心羽根車である、請求項1又は2に記載のモータポンプ。
  4. 前記主板リングは、前記羽根車の主板と一体成形されている、請求項1~3のいずれかに記載のモータポンプ。
  5. 前記ライナーリングは、前記ポンプケーシングと一体成形されている、請求項1~4のいずれかに記載のモータポンプ。
  6. 前記回転軸が、前記羽根車に袋ナットを介して固定されており、
    前記袋ナットの袋頭部が、開口部を有する、請求項1~5のいずれかに記載のモータポンプ。
  7. モータポンプを製造する方法であって、
    羽根車を用意する工程であって、前記羽根車の主板が、主板リングを含む背面を有する、羽根車を用意する工程と、
    前記主板リングと径方向に一定の隙間を有して配置されるライナーリングを備えるポンプケーシングを用意する工程と、
    を含み、
    前記主板リング及び前記ライナーリングの径方向位置は、前記モータポンプの運転中に前記羽根車の前面側から背面側に作用する軸方向スラストの大きさを調整するように設定される、
    方法。
  8. 前記主板リングは、前記ライナーリングの内周側に配置され、
    前記主板リングの外径及び前記ライナーリングの内径が、前記モータポンプの運転中に前記羽根車の前面側から背面側に作用する軸方向スラストの大きさを調整するように設定される、
    請求項7に記載の方法。
  9. 前記主板リングは、前記ライナーリングの外周側に配置され、
    前記主板リングの内径及び前記ライナーリングの外径が、前記モータポンプの運転中に前記羽根車の前面側から背面側に作用する軸方向スラストの大きさを調整するように設定される、
    請求項7に記載の方法。
  10. 軸方向貫通穴を有する回転軸を用意する工程と、
    前記回転軸を、袋ナットを介して前記羽根車に固定する工程と、を含み、
    前記袋ナットの袋頭部が、開口部を有する、
    請求項7~9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記モータポンプ内の取扱液の循環流量を決定するように、前記袋ナットの開口部の直径が調整される、
    請求項10に記載の方法。
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