JP2022119542A - 棒金収納装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】棒金の有無や金種を精度良く検知し得るようにする。【解決手段】現金処理装置1は、棒金収納部9の各収納箇所22と対応する位置に収納コイル24をそれぞれ設け、センサ回路部23により、供給信号を各収納コイル24に供給すると共に各収納コイル24から収納信号を取得する。また現金処理装置1は、各収納コイル24から得られた収納信号を、基準コイル25から得られた基準信号により補正した上で共振周波数FRを検出し、これを基に収納箇所22における棒金の有無を判定すると共に、該棒金の金種が対象金種であるか否かを判定する。これにより現金処理装置1は、棒金収納部9の各収納箇所22における棒金の有無及び設定金種の棒金であるか否かを精度良く判定でき、また得られた判定結果を使用者に通知することができる。【選択図】図6
Description
本発明は棒金収納装置に関し、例えば紙幣、硬貨や棒金を収納して管理する現金処理装置に適用して好適なものである。
従来、比較的大規模の小売店(例えばスーパーマーケット等)では、顧客が精算処理を行う複数の精算所にそれぞれレジスターが設置される他、バックヤードと呼ばれる従業員のみが出入りする場所に、紙幣及び硬貨を管理する現金処理装置が設置される場合がある。また硬貨は、棒金と呼ばれる単位で管理される場合がある。この棒金は、同一金種の所定枚数(例えば50枚)の硬貨が重ねられた状態で包装されており、全体として棒状(すなわち円柱状)に構成されている。
そこで現金処理装置には、棒金を収納すると共に管理する棒金収納部(棒金収納装置とも呼ぶ)が設けられる場合がある。この棒金収納部としては、例えば棒金を1本ごとに収納するための棒金収納空間が複数形成されると共に、各棒金収納空間に棒金の有無を検知するセンサがそれぞれ設けられたものがある(例えば特許文献1参照)。このような現金処理装置では、センサにより各棒金収納空間における棒金の有無を検知し、得られた検知結果を基に、所定の表示部に棒金の本数等を表示することができる。
ところで、上述した棒金収納部では、各棒金収納空間に対し、収納すべき棒金の金種が割り当てられている場合がある。すなわち棒金収納部では、例えば棒金収納空間の直近に金種を表すラベルが設けられることにより、ユーザにより当該金種の棒金が収納されることが想定されている。これにより現金処理装置では、棒金収納部の各棒金収納空間における棒金の有無を検知して得られた検知結果を基に、例えば金種ごとの棒金の本数や合計金額等を表示部に表示することができる。
しかしながら棒金収納部では、ユーザの誤操作により、各棒金収納空間に対し、割り当てられた金種と異なる金種の棒金(すなわち誤った金種の棒金)が収納される場合がある。このとき棒金収納部のセンサは、棒金が収納されていることを検知し得るものの、その金種が誤っていることまでは検知できない。
このため棒金収納部では、棒金収納部に実際に収納されている棒金の金種ごとの本数と、検知した棒金の金種ごとの本数とが相違する場合がある、という問題があった。これに伴い現金処理装置では、表示部に表示する金種ごとの棒金の本数や、合計金額等について、誤った値を表示してしまう恐れがあった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、棒金の有無や金種を精度良く検知し得る棒金収納装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明の棒金収納装置においては、同一金種の硬貨を複数枚集積した状態で包装した棒金を収納する空間を形成する収納箇所と、収納箇所と対応する位置に配置された収納コイルと、収納コイルに高周波成分を含む信号を供給する供給部と、収納コイルにより受信した収納信号を取得する取得部と、取得部により取得した検出信号から共振周波数を検出する検出部と、共振周波数を基に、棒金収納空間に収納された棒金の金種を判定する判定部とを設けるようにした。
本発明は、高周波成分を含む信号を収納コイルに供給するため、収納箇所に棒金が収納されている場合、該棒金において渦電流が発生し、これに起因した高周波成分を含む電磁波を該収納コイルにより受信して収納信号を生成できる。このとき収納信号に含まれる共振周波数は、収納箇所に収納された棒金の材料や大きさ等に応じて異なる。そこで本発明は、収納信号から検出される共振周波数を基に、棒金の有無に加えて、収納箇所に収納された棒金の金種を判定することができる。
本発明によれば、棒金の有無や金種を精度良く検知し得る棒金収納装置を実現できる。
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.現金処理装置の構成]
図1に示すように、本実施の形態による現金処理装置1は、全体として概ね直方体状に構成されており、紙幣や硬貨(すなわち現金)に関する種々の処理を行い、管理し得るようになっている。この現金処理装置1は、例えば金融機関の店舗における職員等が職務を行う区画や大型の商店における事務所内等、一般の顧客が立ち入らないような場所に設置されており、金融機関の職員や商店の従業員等(以下これを使用者と呼ぶ)に使用されることが想定されている。
図1に示すように、本実施の形態による現金処理装置1は、全体として概ね直方体状に構成されており、紙幣や硬貨(すなわち現金)に関する種々の処理を行い、管理し得るようになっている。この現金処理装置1は、例えば金融機関の店舗における職員等が職務を行う区画や大型の商店における事務所内等、一般の顧客が立ち入らないような場所に設置されており、金融機関の職員や商店の従業員等(以下これを使用者と呼ぶ)に使用されることが想定されている。
以下では、現金処理装置1のうち使用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した使用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
現金処理装置1は、前面以外の外側面が筐体2により覆われると共に、その内部が上下方向に関して複数段に分割されており、該筐体2の内部に上側から管理部3、硬貨処理部4、硬貨保留部5、前入出金部6、紙幣保留部7、収納部8及び棒金収納部9が順次配置されている。このうち前入出金部6には、硬貨を出金する硬貨出金部6A、紙幣を入出金する紙幣入出金部6B、及び紙幣を認識する紙幣認識部6C等が設けられている。また収納部8には、硬貨収納庫8A及び紙幣収納庫8Bが設けられている。
現金処理装置1における管理部3を除いた各段は、それぞれ引出状に構成されており、使用者の操作により筐体2内に収納されて外部から遮蔽された遮蔽状態、或いは該筐体2の手前側に引き出されて外部に露出された露出状態に、それぞれ遷移することができる。また筐体2には、引出状の各段が該筐体2に収納されているか否か、すなわち遮蔽状態又は閉塞状態の何れであるかを検知するセンサや、各段の該筐体2からの引き出し、すなわち遮蔽状態から露出状態への遷移を許容又は禁止する電磁ロック(何れも図示せず)等が設けられている。
最上段の管理部3は、他の部分と比較して前後方向に短く構成されると共に後ろ寄りに配置されている。この管理部3は、その内部に全体を統括的に制御する統括制御部11や、種々の情報を記憶する記憶部12等が設けられると共に、その前面に操作表示部13が設けられている。また硬貨処理部4の上面には、硬貨を入金するための硬貨入金部4Aが設けられている。
また現金処理装置1では、図2に示すように、統括制御部11に対し、上述した硬貨処理部4、硬貨入金部4A、硬貨保留部5、硬貨出金部6A、紙幣入出金部6B、紙幣認識部6C、紙幣保留部7、硬貨収納庫8A、紙幣収納庫8B、棒金収納部9、並びに記憶部12及び操作表示部13がそれぞれ接続されている。
統括制御部11は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を有している。この統括制御部11は、CPUによってROMや記憶部12等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、硬貨及び紙幣に関する種々の処理を制御する。記憶部12は、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリ等のような不揮発性の記憶媒体を有しており、各種プログラムや各種設定値等のような種々の情報を記憶する。
通知部としての操作表示部13(図1)は、使用者による操作を検出する操作部としての機能、及び、使用者に対して各種画面を表示する表示部としての機能を有している。具体的に操作表示部13は、例えば液晶パネルやOLED(Organic Light Emitting Diode)パネル等でなる表示パネルと、静電容量方式又は抵抗膜方式等のタッチセンサとを組み合わせたタッチパネルを有している。
操作表示部13は、統括制御部11の制御に従い、各種の操作画面、現金の計数結果、使用者に対して入力操作等を誘導する画面等を表示する。また操作表示部13は、使用者による現金処理装置1に対する各種の入力操作を受け付け、受け付けた内容を統括制御部11に供給する。
硬貨処理部4は、硬貨の真偽、金種等の判別を行う。具体的に硬貨処理部4は、硬貨を認識する所定のセンサ(図示せず)を有しており、硬貨入金部4Aから投入された硬貨の特徴を当該センサにより検出し、検出した特徴に基づいて当該硬貨の真偽、金種等を判別する。また硬貨処理部4は、得られた判別結果に基づいて硬貨を計数し、計数が完了した硬貨を、後述する硬貨保留部5へ引き渡す。さらに硬貨処理部4は、得られた計数結果を管理部3へ出力する。
硬貨保留部5は、その内部に金種ごと数百枚程度の硬貨を収納し得る一時収納庫や、収納された各金種の硬貨の容量を検知して統括制御部11へ通知する容量検知部(何れも図示せず)等が設けられている。この硬貨保留部5は、硬貨処理部4から受け取った硬貨を金種ごとに一時収納庫に収納させ、収納された硬貨が所定の容量に達すると、統括制御部11の制御に基づき、当該硬貨を硬貨収納庫8Aへ送出する。また硬貨保留部5は、使用者により操作表示部13に対して硬貨の出金を指示する操作がなされた場合、指示された金種及び枚数の硬貨を前入出金部6へ送出する。
前入出金部6の硬貨出金部6Aは、硬貨を貯留する硬貨貯留空間や、当該貯留空間を外部に対して閉塞又は開放するシャッタ(何れも図示せず)等を有している。この硬貨出金部6Aは、操作者により操作表示部13に対して硬貨の出金を指示する操作がなされた場合、硬貨保留部5から送出された硬貨を硬貨貯留空間内に貯留し、シャッタを開放することにより、使用者に取り出させる。
前入出金部6の紙幣入出金部6Bは、複数枚の紙幣を集積した状態で収納する紙幣収納空間、当該紙幣収納空間を外部に対して開放又は閉塞するシャッタ、紙幣収納空間内の紙幣を1枚ずつに分離して取り込む分離部、及び搬送されてきた紙幣を紙幣収納空間内へ放出する放出部(何れも図示せず)等を有している。
この紙幣入出金部6Bは、例えば紙幣が入金される場合、シャッタを開放した状態で使用者により紙幣が投入されると、これを1枚ずつに分離して搬送部に引き渡す。また紙幣入出金部6Bは、例えば紙幣を出金する場合、搬送部により紙幣が順次搬送されてくると、これらの紙幣を紙幣収納空間内に順次放出して集積させ、シャッタを開放して使用者に受け取らせる。
紙幣認識部6Cは、複数種類のセンサ等を有しており、このセンサ等により紙幣の真偽や金種等を判別し、得られた判別結果を基に紙幣を計数すると共に、この判別結果を統括制御部11に通知する。例えば紙幣認識部6Cは、紙幣入出金部6Bから受け取った紙幣の真偽、金種等の判別を行い、当該紙幣を紙幣保留部7に引き渡す。また紙幣認識部6Cは、紙幣保留部7から紙幣を受け取った場合、当該紙幣の真偽や金種等を判別し、当該紙幣を紙幣入出金部6Bに引き渡す。
紙幣保留部7は、統括制御部11の指示に基づき、紙幣を一時的に収納(保留)する。例えば紙幣保留部7は、紙幣認識部6Cから受け取った紙幣を一時的に保留し、当該紙幣を繰り出して紙幣収納庫8Bに引き渡す。また紙幣保留部7は、紙幣収納庫8Bから受け取った紙幣を一時的に保留し、当該紙幣を繰り出して紙幣認識部6Cに引き渡す。
収納部8の硬貨収納庫8Aは、着脱可能であり内部に硬貨を収納する硬貨カセットや、該硬貨カセット内に収納された硬貨の容量を検知するセンサ(何れも図示せず)等を有している。この硬貨収納庫8Aは、硬貨保留部5から送出された硬貨を硬貨カセットに収納すると共に、センサにより容量を検知して統括制御部11に通知する。また硬貨収納庫8Aでは、例えば硬貨カセット内に収納された硬貨の容量が所定の最大容量に達した場合や所定の交換時期になった場合に、使用者や所定の警送担当者等により収納部8が筐体2から引き出され、当該硬貨カセットが交換される。
収納部8の紙幣収納庫8Bは、着脱可能であり内部に紙幣を収納する紙幣カセットや、該紙幣カセット内に収納された紙幣の容量を検知するセンサ(何れも図示せず)等を有している。この紙幣収納庫8Bは、紙幣保留部7から送出された紙幣を紙幣カセットに収納すると共に、センサにより容量を検知して統括制御部11に通知する。また紙幣収納庫8Bでは、例えば紙幣カセット内に収納された紙幣の容量が所定の最大容量に達した場合や所定の交換時期になった場合、或いは紙幣を補充する場合等に、使用者や所定の警送担当者等により収納部8が筐体2から引き出され、当該紙幣カセットが交換される。
棒金収納部9は、棒金を1本ずつ収納するための収納箇所や、各棒金収納空間に収納された棒金を検知するためのコイルや回路等が設けられている(詳しくは後述する)。また棒金収納部9における各棒金収納空間の近傍には、収納すべき棒金の金種を表すラベルがそれぞれ設けられており、収納すべき棒金の金種を使用者に容易に認識させ得るようになっている。
この棒金収納部9は、筐体2から引き出された状態において、使用者により各棒金収納空間に棒金が収納され、或いは各棒金収納空間から各棒金が取り出される。その後、棒金収納部9は、筐体2内に収納されると、各棒金収納空間における棒金の収納状態をセンサにより検知し、得られた検知結果を統括制御部11に通知する。
ところで現金処理装置1は、日本国内に設置されることが想定されており、取り扱い得る硬貨の金種が1円、5円、10円、50円、100円及び500円といった6金種となっている。これらの硬貨は、金種ごとに大きさ(直径及び厚さ)や材料等が適宜相違している。また棒金は、同一金種の所定枚数(例えば50枚)の硬貨を、互いの板面どうしを当接させるようにして整然と重ねることにより棒状(すなわち円柱状)とし、これを包装したものである。このため棒金の直径や長さ、及び構成する材料は、金種ごとに相違している。
[2.棒金収納部の構成]
次に、棒金収納部9の構成について説明する。棒金収納部9は、図3に模式的な平面図を示すように、収納トレイ21を中心に構成されている。因みに図3は、棒金収納部9を筐体2(図1)から引き出した状態を表している。
次に、棒金収納部9の構成について説明する。棒金収納部9は、図3に模式的な平面図を示すように、収納トレイ21を中心に構成されている。因みに図3は、棒金収納部9を筐体2(図1)から引き出した状態を表している。
収納トレイ21は、絶縁性を有する樹脂材料により全体として直方体状に形成されており、前後方向及び左右方向と比較して上下方向に短くなっている。この収納トレイ21の上面には、複数の収納箇所22が格子状に、例えば左右方向に8箇所、前後方向に5箇所となるように、整然と形成されている。
各収納箇所22は、上面から下方へ窪んだ丸孔として構成されており、円柱状若しくは円筒状の空間を内部に形成している。また各収納箇所22は、前後方向に沿った一群(以下これを列と呼ぶ)ごとに、収納すべき棒金の金種が割り当てられている。これに合わせて、収納トレイ21における上面の前端近傍には、各列に割り当てられた金種を表す金種ラベル21Lが設けられている。
ところで、現金処理装置1において取り扱う棒金の直径は、上述したように、金種に応じて異なっている。そこで収納トレイ21では、割り当てられた金種ごとに、収納箇所22の直径が相違している。このため収納トレイ21では、直径が比較的小さい収納箇所22には、直径が比較的大きい棒金を収納できない一方、直径が比較的大きい収納箇所22には、直径が比較的小さい棒金を収納できることになる。
このため収納トレイ21は、収納箇所22に対し、対応する金種の棒金であれば正しく収納させることができ、このとき該棒金の中心軸(円柱の中心軸に相当)を収納箇所22における丸孔の中心軸とほぼ一致させることができる。
因みに収納トレイ21における各収納箇所22の深さ、すなわち該収納トレイ21の上面から該収納箇所22の底面までの長さが、収納すべき棒金の長さよりも十分に短く、例えば該棒金の長さの半分程度となっている。このため収納トレイ21では、各収納箇所22に棒金が収納された場合、下側の約半分が該収納箇所22内に位置するものの、上側の約半分が収納トレイ21の上側に突出した状態となる。
これに加えて棒金収納部9には、収納トレイ21の下側等、上側から見た場合に該収納トレイ21によって隠される位置に、センサ回路部23、複数の収納コイル24及び基準コイル25が設けられている。
各収納コイル24は、各収納箇所22と対応する位置に、具体的には収納トレイ21の上面と該収納箇所22の底面との間となる高さにおいて、該収納箇所22の周囲を周回する位置に、それぞれ設けられている。この収納コイル24は、例えば被覆された線材が複数回に渡って円筒状に巻回された構成となっている。因みに各収納箇所22は、割り当てられた金種に応じて直径が相違するものの、各収納コイル24は金種に関わらず同一の形状に、具体的には最も直径が大きい500円硬貨の棒金に対応する収納箇所22と対応する形状に構成されている。
基準コイル25は、各収納箇所22とは異なる位置に設けられている。この基準コイル25は、各収納コイル24と同一の形状に構成されている。
センサ回路部23は、図4に模式図を示すように、各収納コイル24及び基準コイル25とそれぞれ電気的に接続された電気回路であり、その内部に発振回路31、供給回路32、取得回路33、差分演算回路34及び共振周波数検出回路35を有している。
発振回路31は、比較的高い所定の周波数(例えば数[MHz]程度)で発振して高周波信号を生成し、これを供給回路32に供給する。供給回路32は、発振回路31から供給された高周波信号に対し、所定の増幅処理等を施した上で、各収納コイル24及び基準コイル25に供給する。取得回路33は、各収納コイル24及び基準コイル25において生じた電流を取得する。差分演算回路34は、2種類の信号を基に、一方の信号から他方の信号を減算することにより両者の差分を演算する。共振周波数検出回路35は、高周波成分を含む信号から共振周波数を検出して統括制御部11(図2)に通知する。なお、各回路の具体的な動作については後述する。
このように棒金収納部9は、収納トレイ21に設けた複数の収納箇所22に対し、予め割り当てられた金種の棒金を収納し得るようになっており、また各収納箇所22とそれぞれ対応する各収納コイル24、及び何れの収納箇所22とも対応しない基準コイル25が設けられている。
[3.判定処理の基本原理]
次に、現金処理装置1の統括制御部11により、棒金収納部9の収納トレイ21に設けられた各収納箇所22に収納されている棒金に関し、判定処理を行う場合の基本原理について説明する。
次に、現金処理装置1の統括制御部11により、棒金収納部9の収納トレイ21に設けられた各収納箇所22に収納されている棒金に関し、判定処理を行う場合の基本原理について説明する。
棒金収納部9は、センサ回路部23の発振回路31及び供給回路32により、収納コイル24に対して比較的高い周波数でなる交流電流(以下これを供給信号と呼ぶ)を供給した場合、当該収納コイル24をアンテナのように機能させて電磁波を放射することができる。ここで、当該収納コイル24と対応する収納箇所22に棒金が収納されていた場合、この棒金は、この電磁波に起因した渦電流が発生すると共に、この渦電流に起因した電磁波を発生する。そうすると収納コイル24は、この渦電流により発生した電磁波を受信するため、高周波成分を含む受信信号が発生する(以下これを収納信号とも呼ぶ)。
このとき収納コイル24において発生する収納信号には、棒金を構成する硬貨の材料や大きさ等に起因した、すなわち当該棒金の金種に応じた共振周波数の成分が含まれる。従って共振周波数は、棒金の金種ごとに異なる値となる。一方、棒金が収納されていない収納箇所22の収納コイル24から得られた収納信号には、このような高周波成分は含まれていない。また棒金収納部9では、収納コイル24に供給する供給信号の周波数を、各金種の共振周波数よりも十分に低い値に設定している。
そこで現金処理装置1では、供給信号の周波数を各金種の共振周波数よりも低い値に設定すると共に、供給信号の周波数と各金種の共振周波数との間に、閾値となる有無周波数FTを設定し、これを記憶部12に予め記憶させておくようにした。すなわち現金処理装置1は、収納箇所22の収納コイル24から得られた収納信号を基に、センサ回路部23の共振周波数検出回路35により共振周波数FRを検出し、この共振周波数FRが有無周波数FTよりも高ければ、該収納箇所22に棒金が収納されていると判定できる。一方、現金処理装置1は、この共振周波数FRが有無周波数FTよりも低ければ、該収納箇所22に棒金が収納されていないと判定することができる。
また現金処理装置1では、各金種の共振周波数やその誤差範囲等を基に、金種ごとに、共振周波数の範囲を規定する下限周波数FL及び上限周波数FUを設定し、これらを記憶部12に予め記憶させておくようにした。すなわち現金処理装置1は、収納箇所22の収納コイル24から得られた収納信号に含まれる共振周波数FRが、所定の金種における下限周波数FL及び上限周波数FUの範囲内に含まれていれば、該収納箇所22に当該金種の棒金が収納されていると判定できる。一方、現金処理装置1は、この共振周波数FRが下限周波数FL及び上限周波数FUの範囲内に含まれていなければ、該収納箇所22に当該金種とは異なる金種の棒金が収納されていると判定できる。
ところで棒金収納部9では、周囲に存在する種々の電気機器等(図示せず)において発生する種々の電磁波(いわゆるノイズ)に対し、各収納コイル24及び基準コイル25があたかもアンテナとして機能するため、各収納コイル24及び基準コイル25において、種々のノイズ成分を含む信号が発生する場合がある。
この場合、棒金が収納されている収納箇所22の収納コイル24は、供給信号が供給された場合、棒金において発生する渦電流に起因した共振周波数の成分の他に、ノイズ成分が含まれる収納信号を生成する。また棒金が収納されていない収納箇所22の収納コイル24は、主にノイズ成分が含まれる収納信号を生成する。さらに基準コイル25は、主にノイズ成分が含まれる信号(以下これを基準信号と呼ぶ)を生成する。このとき基準コイル25は、収納コイル24と同一の形状であるため、該収納コイル24と同等のノイズ成分を含む信号(基準信号)を生成する。
そこで現金処理装置1では、収納箇所22の収納コイル24から収納信号を取得した場合、センサ回路部23の差分演算回路34において、該収納信号から基準信号を減算することにより該収納信号からノイズ成分を除去し、該収納信号を補正するようにした。以下、このとき生成される信号を補正収納信号と呼ぶ。
このようにして現金処理装置1では、収納箇所22における棒金の有無や金種に応じて共振周波数が相違することや、また基準コイル25により得られる基準信号にノイズ成分が含まれることを利用して、該収納箇所22における棒金の有無や金種を判定するようになっている。
[4.棒金判定処理及び判定結果表示処理]
次に、棒金収納部9に収納されている棒金の有無や金種を判定する棒金判定処理について説明する。管理部3の統括制御部11(図2)は、使用者により操作表示部13に対して所定の操作指示が行われると、図5に示す処理選択画面D1を操作表示部13に表示させる。この処理選択画面D1は、GUI(Graphical User Interface)として構成されており、入金ボタンB1、出金ボタンB2、計数ボタンB3、棒金収納庫開ボタンB4及び戻るボタンB5といった複数の操作ボタンが表示されている。また操作表示部13は、これらの操作ボタンに対する押下操作を待ち受けている。
次に、棒金収納部9に収納されている棒金の有無や金種を判定する棒金判定処理について説明する。管理部3の統括制御部11(図2)は、使用者により操作表示部13に対して所定の操作指示が行われると、図5に示す処理選択画面D1を操作表示部13に表示させる。この処理選択画面D1は、GUI(Graphical User Interface)として構成されており、入金ボタンB1、出金ボタンB2、計数ボタンB3、棒金収納庫開ボタンB4及び戻るボタンB5といった複数の操作ボタンが表示されている。また操作表示部13は、これらの操作ボタンに対する押下操作を待ち受けている。
入金ボタンB1、出金ボタンB2及び計数ボタンB3は、硬貨や紙幣が入金される場合の処理である入金処理、硬貨や紙幣を出金する場合の出金処理、及び収納されている硬貨や紙幣を計数する計数処理を、それぞれ開始するための操作ボタンである。棒金収納庫開ボタンB4は、棒金収納部9の電磁ロックを解除するための操作ボタンである。戻るボタンB5は、直前の表示画面に戻るための操作ボタンである。
この処理選択画面D1において棒金収納庫開ボタンB4が押下操作されると、統括制御部11は、棒金収納部9の電磁ロックを解除する。これに応じて操作者は、筐体2(図1)の前方に該棒金収納部9を引き出して露出状態とし、収納トレイ21(図4)の各収納箇所22から棒金を適宜取り出し、また棒金を適宜収納した後、該棒金収納部9を後方へ押し込んで筐体2内に収納させ、遮蔽状態とする。
ここで統括制御部11は、筐体2に設けられたセンサにより、該棒金収納部9が収納されたことを検知すると、記憶部12(図2)から所定の棒金判定プログラムを読み出して実行することにより、図6に示す棒金判定処理手順RT1を開始し、最初のステップSP1に移る。ステップSP1において統括制御部11は、センサ回路部23(図4)の発振回路31により所定の高周波成分を含む供給信号を生成させ、これを供給回路32により各収納箇所22と対応する各収納コイル24に対してそれぞれ供給させ、次のステップSP2に移る。
ステップSP2において統括制御部11は、センサ回路部23(図4)の取得回路33により、収納コイル24から収納信号をそれぞれ取得させ、次のステップSP3に移る。ステップSP3において統括制御部11は、センサ回路部23(図4)の取得回路33により、基準コイル25から基準信号を取得させ、次のステップSP4に移る。
ステップSP4において統括制御部11は、複数の収納箇所22のうち、現在実行中の棒金判定処理手順RT1において未選択の収納箇所22を1箇所選定して判定対象とし、次のステップSP5に移る。説明の都合上、以下では、判定対象の収納箇所22を対象収納箇所22Tと呼び、該対象収納箇所22Tと対応する収納コイル24を対象収納コイル24Tと呼び、また該対象収納箇所22Tに予め設定された金種を設定金種と呼ぶ。
ステップSP5において統括制御部11は、センサ回路部23(図4)の差分演算回路34により、対象収納コイル24Tから取得した収納信号から基準信号を減算させることにより、該収納信号からノイズ成分が除去された補正収納信号を生成し、次のステップSP6に移る。
ステップSP6において統括制御部11は、センサ回路部23の共振周波数検出回路35により、補正収納信号を基に共振周波数FRを検出させて、次のステップSP7に移る。ステップSP7において統括制御部11は、設定金種の下限周波数FL及び上限周波数FUと、有無周波数FTとを記憶部12から読み出し、次のステップSP8に移る。
ステップSP8において統括制御部11は、共振周波数FRが有無周波数FTよりも高いか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、統括制御部11は次のステップSP9に移り、対象収納箇所22Tに棒金が収納されていない(すなわち未収納である)と判定して、次のステップSP13に移る。
一方、ステップSP8において肯定結果が得られると、このことは対象収納箇所22Tに棒金が収納されていることを表している。このとき統括制御部11は、次のステップSP10に移る。ステップSP10において統括制御部11は、共振周波数FRが、設定金種の下限周波数FLよりも大きく、且つ設定金種の上限周波数FUよりも小さいか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、統括制御部11は、次のステップSP11に移り、対象収納箇所22Tに設定金種の棒金が収納されていると判定し、その次のステップSP13に移る。このとき統括制御部11は、対象収納箇所22Tに関し、金種ラベル21L(図3)により表示された金種(すなわち設定金種)の棒金が正しく収納されている、と判定したことになる。
一方、ステップSP10において否定結果が得られると、統括制御部11は、次のステップSP12に移り、対象収納箇所22Tに設定金種の棒金が収納されていないと判定し、その次のステップSP13に移る。このとき統括制御部11は、対象収納箇所22Tに関し、金種ラベル21L(図3)により表示された金種(すなわち設定金種)と異なる、異金種の棒金が誤って収納されている、と判定したことになる。
ステップSP13において統括制御部11は、収納トレイ21に設けられた全ての収納箇所22について、棒金の有無及び金種について判定する処理を完了したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、統括制御部11は再度ステップSP4に戻り、残りの収納箇所22について、棒金の有無及び金種について判定する処理を繰り返す。一方、ステップSP13において肯定結果が得られると、統括制御部11は、次のステップSP14に移って棒金判定処理手順RT1を終了する。
次に、得られた棒金判定結果を使用者に通知する判定結果表示処理について説明する。統括制御部11は、棒金判定処理手順RT1を終了すると、図7に示す判定結果表示処理手順RT2を開始し、最初のステップSP21に移る。
ステップSP21において統括制御部11は、棒金判定処理手順RT1により得られた判定結果を基に、全ての収納箇所22において棒金が未収納であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、統括制御部11は次のステップSP22に移り、判定結果として、操作表示部13(図1)に棒金未収納画面を表示し、その次のステップSP27に移る。この棒金未収納画面には、例えば「棒金が収納されていません」のようなメッセージや、処理選択画面D1(図5)における戻るボタンB5と同様の戻るボタン等が表示される。
一方、ステップSP21において否定結果が得られると、このことは少なくとも1箇所の収納箇所22に棒金が収納されているため、この棒金に関する情報を表示すべきであることを表している。このとき統括制御部11は、次のステップSP23に移る。
ステップSP23において統括制御部11は、異金種の棒金が収納された収納箇所22が1箇所以上であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは棒金収納部9の収納トレイ21(図3)において、少なくとも一部の棒金が誤った金種の収納箇所22に収納されていることを表している。このとき統括制御部11は、次のステップSP24に移る。
ステップSP24において統括制御部11は、判定結果として、操作表示部13(図1)に棒金再収納案内画面を表示し、その次のステップSP27に移る。この棒金再収納案内画面には、例えば「棒金が正しい位置に収納されていません。もう一度確認して下さい。」のようなメッセージや、処理選択画面D1(図5)における戻るボタンB5と同様の戻るボタン等が表示されている。これにより統括制御部11は、使用者に対し、棒金収納部9において異金種の収納箇所22に収納されている棒金を正しい金種の収納箇所22に収納し直すよう、促すことができる。
一方、ステップSP23において否定結果が得られると、このことは、棒金収納部9において、各収納箇所22に収納されている棒金の金種がそれぞれの設定金種と全て一致しており、全ての棒金が正しい金種の収納箇所22に収納されていることを表している。このとき統括制御部11は、次のステップSP25に移る。
ステップSP25において統括制御部11は、棒金判定処理手順RT1により得られた判定結果を基に、金種ごとに棒金の本数を集計し、次のステップSP26に移る。ステップSP26において統括制御部11は、判定結果として、操作表示部13(図1)に金種別棒金本数画面を表示し、その次のステップSP27に移る。この金種別棒金本数画面には、例えば「500円棒金 5個、100円棒金 3個、…(略)…、1円棒金 2個 が収納されています。」のようなメッセージや、処理選択画面D1(図5)における戻るボタンB5と同様の戻るボタン等が表示されている。
ステップSP27において統括制御部11は、操作表示部13に表示中の各画面において表示を終了する操作指示を受け付けたか否か、具体的には各画面の戻るボタンが押下操作されたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、統括制御部11は現在表示している各画面の表示を継続しながら、戻るボタンの押下操作を待ち受ける。
一方、ステップSP27において肯定結果が得られると、統括制御部11は次のステップSP28に移り、判定結果表示処理手順RT2を終了する。
[5.効果等]
以上の構成において、本実施の形態による現金処理装置1は、棒金収納部9の各収納箇所22と対応する位置に収納コイル24をそれぞれ設けると共に、基準コイル25も設け、各コイルをセンサ回路部23とそれぞれ接続した(図3及び図4)。またセンサ回路部23は、高周波成分を含む供給信号を各コイルに供給すると共に各コイルから収納信号を取得し、共振周波数FRを検出するようにした。
以上の構成において、本実施の形態による現金処理装置1は、棒金収納部9の各収納箇所22と対応する位置に収納コイル24をそれぞれ設けると共に、基準コイル25も設け、各コイルをセンサ回路部23とそれぞれ接続した(図3及び図4)。またセンサ回路部23は、高周波成分を含む供給信号を各コイルに供給すると共に各コイルから収納信号を取得し、共振周波数FRを検出するようにした。
現金処理装置1の統括制御部11は、棒金収納部9が一度引き出されてから再度収納されると、各収納コイル24から得られた収納信号から検出される共振周波数FRを基に、棒金判定処理(図6)を行った上で判定結果表示処理(図7)を行う。
このとき統括制御部11は、検出された共振周波数FRを有無周波数FTと比較することにより、収納箇所22における棒金の有無を判定できる。これに加えて統括制御部11は、該共振周波数FRが設定金種の下限周波数FL及び上限周波数FUの間に含まれるか否かを基に、収納箇所22に収納されている棒金の金種が対象金種であるか否かを判定できる。
すなわち現金処理装置1は、棒金収納部9の各収納箇所22における棒金の有無に加えて、当該棒金が当該収納箇所22に割り当てられた金種と一致するか否かについても、適切に判定でき、これにより得られた判定結果を使用者に通知できる。
換言すれば、現金処理装置1は、棒金収納部9において収納箇所22に設定金種と異なる金種の棒金が収納されていた場合(すなわち誤収納されていた場合)に、当該棒金を設定金種の棒金と誤認識することや、金種ごとの棒金の本数に関して誤った内容を通知することを未然に防止できる。また現金処理装置1は、棒金が誤収納されていた場合に、これを使用者に通知することにより、正しい金種の収納箇所22に入れ直すように促すことができる。この結果、現金処理装置1は、棒金収納部9において各収納箇所22に対し設定金種の棒金が正しく収納された状態に誘導すること、及びこの状態における金種ごとの棒金の本数を正しく認識して通知することができる。
これを他の観点から見れば、現金処理装置1では、各収納箇所22における棒金の有無の判定、及び設定金種であるか否かの判定の何れにおいても、収納コイル24により取得した収納信号から検出された共振周波数FRを利用できる。このため現金処理装置1は、各収納箇所22における棒金の有無の判定、及び設定金種であるか否かの判定に、複数種類のセンサ等を組み合わせて用いる場合と比較して、部品点数を抑えることや回路構成を簡素化すること、及び演算処理を軽減すること等を図ることができる。
さらに他の観点から見れば、一般に、収納箇所における棒金の有無を検出する場合、例えば光学センサや物理的なスイッチ等、様々な動作原理に基づいて棒金の有無を検出する様々な種類のセンサを利用することが考えられる。しかしながら現金処理装置1では、敢えて収納箇所22の近傍にコイルを設けると共に、該コイルに供給信号を供給し、その結果発生する収納信号を取得するようにした。これにより現金処理装置1では、この収納信号から検出される共振周波数FRを基に、収納箇所22における棒金の有無を判定することに加えて、当該棒金の金種についても判定することができる。
さらに現金処理装置1では、各収納コイル24から得られた収納信号をそのまま用いるのではなく、基準コイル25から得られた基準信号を減算することにより補正収納信号とした上で、共振周波数FRを検出するようにした(図6、ステップSP5、SP6)。このため現金処理装置1では、周囲の電子機器等により発生する電磁波等の影響を大幅に軽減でき、共振周波数FRの検出精度を高めることができる。これにより現金処理装置1では、各収納箇所22における棒金の有無及び金種を判定する際の精度も格段に高めることができる。
以上の構成によれば、本実施の形態による現金処理装置1は、棒金収納部9の各収納箇所22と対応する位置に収納コイル24をそれぞれ設け、センサ回路部23により、供給信号を各収納コイル24に供給すると共に各収納コイル24から収納信号を取得する。また現金処理装置1は、各収納コイル24から得られた収納信号を、基準コイル25から得られた基準信号により補正した上で共振周波数FRを検出し、これを基に収納箇所22における棒金の有無を判定すると共に、該棒金の金種が対象金種であるか否かを判定する。これにより現金処理装置1は、棒金収納部9の各収納箇所22における棒金の有無及び設定金種の棒金であるか否かを精度良く判定でき、また得られた判定結果を使用者に通知することができる。
[6.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、棒金収納部9(図3)において、線材が円筒状に巻回された収納コイル24を、収納箇所22の周囲を周回するように配置する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば図8に示すように、所定の回路が形成されたFPC(Flexible Printed Circuits)基板でなる収納コイル224を収納箇所22の周囲に巻き付けるように配置しても良い。この場合、収納コイル224としては、例えば平面状に展開した場合に、図9(A)に示すように全体として1つの平面コイルを形成するような配線パターンを有するものや、図9(B)に示すように平面コイルを周方向に沿って複数(例えば3個)並べるような配線パターンを有するもの等を使用することができる。基準コイル25についても同様である。この場合、線材を巻回させた構成の収納コイル24と比較して、FPC基板でなる収納コイル224の製造コストを低廉に抑えることが可能となる。
なお上述した実施の形態においては、棒金収納部9(図3)において、線材が円筒状に巻回された収納コイル24を、収納箇所22の周囲を周回するように配置する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば図8に示すように、所定の回路が形成されたFPC(Flexible Printed Circuits)基板でなる収納コイル224を収納箇所22の周囲に巻き付けるように配置しても良い。この場合、収納コイル224としては、例えば平面状に展開した場合に、図9(A)に示すように全体として1つの平面コイルを形成するような配線パターンを有するものや、図9(B)に示すように平面コイルを周方向に沿って複数(例えば3個)並べるような配線パターンを有するもの等を使用することができる。基準コイル25についても同様である。この場合、線材を巻回させた構成の収納コイル24と比較して、FPC基板でなる収納コイル224の製造コストを低廉に抑えることが可能となる。
或いは、例えば図10に示すように、複数のコイル基板324Bを接続した構成の収納コイル324を、収納箇所22の周囲を取り囲むような位置に設けても良い。この場合、収納コイル324は、例えば図11に示すように各コイル基板324Bのコイル同士を直列に、或いは並列に接続すれば良い。これにより、収納箇所22内において棒金が何れかの方向に傾くようにして収納された場合に、何れかのコイル基板324Bを当該棒金の近傍に位置させることができ、共振周波数FRの検出精度を高めることができる。
さらには、例えば収納箇所22の周囲を周回する位置ではなく、該収納箇所22の下側等の、種々の箇所に収納コイル24を配置しても良い。要は、収納コイル24等に供給信号を供給した場合に、収納箇所22に収納されている棒金において渦電流を発生させることができ、さらに当該渦電流に起因した電磁波により当該収納コイル24等において電流を発生でき、取得回路33において収納信号を取得できれば良い。
また上述した実施の形態においては、棒金収納部9に1個のセンサ回路部23を設け、これに全ての収納コイル24及び基準コイル25を接続する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば棒金収納部9に複数個のセンサ回路部23及び基準コイル25を設け、各センサ回路部23に対し、収納コイル24を複数個ずつ振り分けて接続させると共に1個の基準コイル25を接続しても良い。この場合、例えば金種ごとにセンサ回路部23及び基準コイル25を設けても良く、或いは収納トレイ21において収納箇所22の列(前後方向に沿って直線状に整列された部分)ごとにセンサ回路部23及び基準コイル25を設けても良い。
さらに上述した実施の形態においては、収納コイル24の他に基準コイル25を設け、該基準コイル25から得られた基準信号を各収納信号から減算することにより補正し、ノイズ成分を除去してから共振周波数を検出する場合について述べた(図4及び図6)。しかし本発明はこれに限らず、例えば筐体2により周囲の電磁波を良好に遮断できる場合等に、基準コイル25や差分演算回路34等を省略し、各収納信号を補正することなく共振周波数を検出しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、判定結果表示処理手順RT2(図7)のステップSP24において、棒金再収納案内画面として「棒金が正しい位置に収納されていません。もう一度確認して下さい。」のようなメッセージを表示する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば異金種の棒金が収納されたと判定した収納箇所22の位置や、当該棒金の移動先とすべき収納箇所22の位置等を表す画像や説明を表示しても良い。これにより、使用者に対し、移動させるべき棒金の位置を容易に把握させることができる。
さらに上述した実施の形態においては、棒金判定処理手順RT1(図6)において、収納箇所22に棒金が収納されている場合に、設定金種の棒金が収納されているか否かのみを判定する場合について述べた(図6、ステップSP9~SP11)。しかし本発明はこれに限らず、例えば共振周波数FRを各金種の下限周波数FL及び上限周波数FUとそれぞれ比較することにより、金種を特定するようにしても良い。さらにこの場合、例えば判定結果表示処理手順RT2(図7)のステップSP24において、誤った金種の収納箇所22に収納されている棒金の金種を表示することや、当該棒金を移動させるべき箇所を画像や説明により表示しても良い。或いは、例えば収納トレイ21において各収納箇所22に金種を割り当てず、任意の収納箇所22に適宜棒金を収納させ、棒金判定処理により各収納箇所22に収納されている棒金の金種をそれぞれ判定し、得られた判定結果を集計して表示しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、判定結果表示処理手順RT2(図7)において、直前に実行された棒金判定処理手順RT1(図6)の判定結果のみを表示する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば過去の判定結果を記憶部12に記憶しておき、この過去の判定結果と最新の判定結果との差異等、例えば金種ごとの棒金の増減数等を表示しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、判定結果表示処理手順RT2(図7)において、操作表示部13(図1)に種々の画面を表示することにより、判定結果を使用者に通知する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば音声合成処理部やスピーカ等を設けて判定結果を音声として出力しても良く、或いは印刷部を設けて判定結果を印字しても良く、さらには通信処理部を設けて電子メール等の通信手段により所定の端末装置等に対して判定結果を通知しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、管理部3の統括制御部11により棒金判定処理手順RT1(図6)を実行する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば棒金収納部9に所定の制御回路を設け、当該制御回路により、又は当該制御回路と統括制御部11との協働により、棒金判定処理手順RT1を実行しても良い。判定結果表示処理手順RT2(図7)についても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、棒金収納部9が筐体2から引き出された露出状態となった後、再び収納されて遮蔽状態に遷移したことを所定のセンサにより検知したことを契機として、統括制御部11により棒金判定処理手順RT1(図6)を開始する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば処理選択画面D1(図5)に「判定開始ボタン」のような操作ボタンを設け、使用者により該判定開始ボタンが押下操作されたこと等、他の種々の事象を契機として、棒金判定処理手順RT1(図6)を開始しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、棒金収納部9を筐体2に対して引出可能な構成とすることにより、遮蔽状態又は露出状態に遷移させる場合について述べた(図1)。しかし本発明はこれに限らず、例えば単体の棒金収納部9に開閉可能なカバーや当該カバーの開閉を検知するセンサを設けた構成とし、使用者により当該カバーが閉塞又は開放されることにより、遮蔽状態又は露出状態に遷移させても良い。この場合、当該カバーの開閉により露出状態から閉塞状態に遷移したことをセンサによって検知したことを契機として、統括制御部11により棒金判定処理手順RT1(図6)を開始することができる。
さらに上述した実施の形態においては、紙幣及び硬貨に関する種々の処理を行うと共に棒金収納部9を有する現金処理装置1に本発明を適用する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば硬貨のみに関する種々の処理を行うと共に棒金収納部9を有する硬貨処理装置等、少なくとも棒金収納部9を有する種々の装置に本発明を適用しても良い。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した実施の形態においては、収納箇所としての収納箇所22と、収納コイルとしての収納コイル24と、供給部としての供給回路32と、取得部としての取得回路33と、検出部としての共振周波数検出回路35と、判定部としての統括制御部11とによって棒金収納装置としての現金処理装置1を構成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる収納箇所と、収納コイルと、供給部と、取得部と、検出部と、判定部とによって棒金収納装置を構成しても良い。
本発明は、例えば棒金を収納する棒金収納庫を有する現金処理装置で利用できる。
1……現金処理装置、2……筐体、3……管理部、9……棒金収納部、11……統括制御部、12……記憶部、13……操作表示部、21……収納トレイ、22……収納箇所、23……センサ回路部、24……収納コイル、25……基準コイル、31……発振回路、32……供給回路、33……取得回路、34……差分演算回路、35……共振周波数検出回路、D1……処理選択画面、FR……共振周波数、FL……下限周波数、FU……上限周波数、FT……有無周波数。
Claims (8)
- 同一金種の硬貨を複数枚集積した状態で包装した棒金を収納する空間を形成する収納箇所と、
前記収納箇所と対応する位置に配置された収納コイルと、
前記収納コイルに高周波成分を含む供給信号を供給する供給部と、
前記収納コイルにより受信した収納信号を取得する取得部と、
前記取得部により取得した前記収納信号から共振周波数を検出する検出部と、
前記共振周波数を基に、前記収納箇所に収納された前記棒金の金種を判定する判定部と
を具えることを特徴とする棒金収納装置。 - 前記判定部は、前記棒金の金種ごとに設定された下限周波数及び上限周波数の間に前記共振周波数が含まれる場合、前記収納箇所に収納された前記棒金の前記金種を当該金種と判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の棒金収納装置。 - 前記判定部は、所定の有無周波数よりも前記共振周波数が高い場合、前記収納箇所に前記棒金が収納されていると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の棒金収納装置。 - 前記収納箇所に設定された前記金種を記憶する記憶部と
を具え、
前記判定部は、前記収納箇所に収納されている前記棒金について判定した前記金種が、当該収納箇所に設定された前記金種と一致するか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の棒金収納装置。 - 前記収納箇所と対応しない箇所に配置された基準コイルと
を設け、
前記取得部は、前記収納コイルにより受信した前記収納信号を取得すると共に、前記基準コイルにより受信した基準信号を取得し、
前記検出部は、前記基準信号を用いて補正した前記収納信号から前記共振周波数を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の棒金収納装置。 - 前記判定部による判定結果を通知する通知部と
を具えることを特徴とする請求項1に記載の棒金収納装置。 - 前記収納箇所は、複数設けられると共に、複数の前記金種のうち何れか1つがそれぞれ対応付けられ、
前記通知部は、複数の前記収納箇所に対する前記判定結果を基に、金種ごとの前記棒金の本数を通知する
ことを特徴とする請求項6に記載の棒金収納装置。 - 前記収納箇所が設けられた収納トレイと、
前記収納トレイを外部に露出させた露出状態又は外部から遮蔽された遮蔽状態に遷移可能な筐体と、
前記露出状態又は前記遮蔽状態を検知するセンサと
を具え、
前記判定部は、前記収納トレイが前記露出状態から前記遮蔽状態に遷移されたことを前記センサにより検知した場合、前記供給部による前記供給信号の供給を開始させる
ことを特徴とする請求項1に記載の棒金収納装置。
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A621 | Written request for application examination |
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