JP2022117531A - 加工米並びにその製造方法および炊飯方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 特別な技術を用いることなく、電子レンジ等で簡単に加熱調理するだけで吹きこぼれを起こすことなく、食味に優れた米飯を得ること。【解決手段】 本実施形態の加工米は、常温で水に原料米を浸漬させ、水浸漬した米を高温で加熱し、加熱した米を冷風により冷却する工程を備えることにより、冷却後の含水率を所定以上とすることにより、電子レンジで通常の炊飯方法で炊飯しても吹きこぼれなく炊飯することができる。本実施形態の加工米の一例は図1に示すような製造方法により所定の含水率およびアルファ化率を有することによって、高い保存性を維持しながら電子レンジでの炊飯に特化して、吹きこぼれすることなく簡易に加熱調理することができる。【選択図】 図1
Description
本発明は、加工米並びにその製造方法および炊飯方法に関し、より具体的には、所定の加工を原料米に施すことにより簡便に炊飯することが可能な加工米並びにその製造方法および炊飯方法に関する。
電子レンジにより米飯を加熱調理する手法が様々行われている。すなわち、電子レンジは一般に水分を含む食材にマイクロ波を照射して水分子の熱エネルギーを高めることにより加熱を行うので、ほとんどの食材を加熱することができることから、電子レンジで加熱処理して米飯を得る方法が種々提案されており、例えばパックに充填されたアルファ化米などが提供されている。例えば、米飯の種類に応じ適切な食感をもつレトルト米飯を提供することを目的として、原料米を加圧加熱蒸気処理して米粒の表層部に薄いアルファ化層を形成するとともに中心部を多孔状となし、該米粒を冷却工程を経ることなく直ちに所定量の炊飯液とともに容器に充填して密封し、前記米粒を炊飯液に浸漬・吸水させて当該米粒の吸水状態及び容器内の炊飯液の量を調整し、レトルト殺菌することを特徴とするレトルト米飯の製造方法が提案されており(例えば、特許文献1を参照のこと)、このように生産されたアルファ化米は電子レンジで加熱することにより容易に食に供することができる。
これに加え、近年では、米を洗米後一定時間水に浸漬させて吸水させ、その後所定の水分とともに加熱して一定時間沸騰させて炊飯するという、従来の炊飯方法を電子レンジに応用した炊飯レシピがインターネット等でも公開されている。このような炊飯方法は、例えばガスや電気による専用炊飯器と、加熱するという点では同様であり、特に最近では、無洗米や早炊き米などもあり、電子レンジでの炊飯もより身近なものとなってきている。しかし、例えば加熱方法自体を制御して吹きこぼれが出ないように沸騰状態を抑制するという技術を組み込んだ専用の炊飯器等と異なり、汎用の電子レンジでは、加熱沸騰時の吹きこぼれなどの問題があり、いずれの炊飯レシピでも吹きこぼれを回避する様々な工夫が提案されている。
一方、生の穀類等に様々な加工を施すことによって、事前の水の浸漬なしに、あるいは通常より短期間に炊飯可能な様々な加工米が開発されている。すなわち、通常の炊飯米やおこわなどを製造する際に行われている水洗いや水浸漬などの前処理が不要で、しかも通常の炊飯や蒸しに要する時間より早い時間で炊いたり、蒸したりすることができる加工米の1つとして早炊き米が知られている。従来の早炊き米の製造方法としては、例えば、浸漬処理米を蒸気で蒸煮処理後、真空冷却により25℃程度に急速冷却し、次に1~2日間熟成し、ほぐして単粒化した後、袋詰めする方法、また浸漬処理米を定量フィーダー装着の蒸煮装置を用い生蒸気で蒸煮処理し、得られた蒸煮米を一定量袋に入れた後、真空冷却包装装置で急速冷却するとともに密封し、次に1~2日間熟成した後、ほぐして単粒化する方法などが知られているが、このような従来の加工米製造方法は、炊飯したときの食味が通常の炊飯米に及ばないものであったりしたため、商品価値を損なうことなく効率的に早炊き米を製造することができ、しかも炊飯したときの食味が通常の炊飯米と同程度の食味を有する早炊き米の製造方法が提案されており(例えば、特許文献2を参照のこと)、水浸漬が不要な加工米として使用することができる。
特許文献1の技術は、製造段階で完全に炊飯を行い、でんぷんをアルファ化していることから、容器や殺菌も考慮されており、電子レンジで加熱調理するといってもあくまで米飯を再加熱することとなるため、風味や食感が炊き立ての米飯とは異なるものになるという問題がある。また、特許文献2の技術は、洗米や水浸漬などの時間をかけずに必要な水分とともに加熱すればその場で炊飯することができ、炊き立てに近い風味や食感を得られるが、汎用製品である電子レンジにより炊飯を行う場合は炊飯専用の電気炊飯器等とは異なり、常に沸騰しないよう何回かに分けて加熱したり、特殊な吹きこぼれ防止容器を用いたりしなければ電子レンジの通常の使用方法のみでは吹きこぼれを回避することができないという問題がある。
本発明は上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、原料米に所定の加工を施すことにより、完全にアルファ化することなく電子レンジ内で炊飯しつつ、通常の炊飯方法を行っても吹きこぼれなく炊飯することができる加工米並びにその製造方法および炊飯方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、本願の請求項1に記載の発明は、加工米であって、予め水浸漬して加熱後冷却することにより、水分含有量を35重量%以上とすることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の加工米において、水分含有量が35~40重量%であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の加工米において、電子レンジにより炊飯することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の加工米において、所定のアルファ化率以下であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の加工米において、アルファ化率は84~87%であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、加工米の製造方法において、常温で水に原料米を20~50分間浸漬する水浸漬ステップと、水浸漬ステップで水浸漬した米を70~85℃で1~3分間加熱する加熱ステップと、加熱ステップで加熱した米を冷風により3~10分冷却する冷却ステップとを備えることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の加工米の製造方法において、冷却ステップにおいて冷却後の加工米の水分含有量を35重量%以上とすることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の加工米を加熱することにより炊飯する加工米炊飯方法であって、加工米と所定の量の水とを混合して、所定の容器に充填する充填ステップと、電子レンジにより、加工米と所定の量の水とを所定時間加熱して炊飯する加熱炊飯ステップとを備えることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の加工米炊飯方法において、加熱炊飯ステップは、所定の時間電子レンジにより連続して加熱することを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項8または9に記載の加工米炊飯方法において、所定の容器は、封入された加工食品および水分が加熱され内圧が所定の圧力まで高まると、部分的に開封して内圧が上昇しないようにする開封手段を有する電子レンジ加熱調理用包装手段であることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、加工食品であって、請求項1ないし5のいずれかに記載の加工米と、封入された加工食品および水分が加熱され内圧が所定の圧力まで高まると、部分的に開封して内圧が上昇しないようにする開封手段を有する電子レンジ加熱調理用包装手段とを備えることを特徴とする。
本発明によると、予め水浸漬して加熱後冷却することにより、水分含有量を35重量%以上とするので、電子レンジ等で簡単に加熱調理するだけで通常の炊飯方法を行っても吹きこぼれなく炊飯することができる。
以下、本発明の加工米並びにその製造方法および調理方法について図面を参照して実施形態を説明する。なお、異なる図面でも、同一の処理、構成を示すときは同一の符号を用いる。
[レンジ米およびその特性]
本発明は、原料米に特定の加工を施すことで電子レンジを用いて炊飯するのに適した加工米に関するものであり、本発明の加工米を用いることで特別な技術を用いずに吹きこぼれなく電子レンジにより炊飯し、専用の炊飯器などで炊いた米飯と食味に大きな差がない米飯を取得することが可能な方法を提案するものである。従来の電子レンジによる炊飯に限らず、炊飯する際には通常ある程度加熱が進むと吹きこぼれが発生するが、専用の炊飯器は加熱制御や特殊な容器構造等によりこれを防止している。しかし、専用の炊飯器と異なり電子レンジで調理する場合、何らかの対処を行わなければ吹きこぼれが発生し、電子レンジ内部を汚染するだけでなく、吹きこぼれにより旨味も喪失してしまうため、食味も落ちるという課題がある。このような吹きこぼれに対処すべく従来から多くの技術が提案されているが、本願発明はそのような追加の技術を要することなく、単に水を加えて加熱するだけで吹きこぼれを防止して、電子レンジを用い、通常の容器、通常の加熱で容易に吹きこぼれなく炊飯することを目的とする。ここで、一般に吹きこぼれは水分中に米から溶け出したでんぷんが水分の表面に膜を張る結果、加熱による沸騰から生成される水蒸気が抜けることができずに膜も含めて容器の外にこぼれ出すことによって発生することが以前より知られていたが、本願発明者は様々な試行錯誤の結果、原料米に一定の加工を施して、所定以上の含水率に保つことができるようにすることにより、炊飯時に強固な膜を形成するでんぷんを抑えることができることを発見した。
本発明は、原料米に特定の加工を施すことで電子レンジを用いて炊飯するのに適した加工米に関するものであり、本発明の加工米を用いることで特別な技術を用いずに吹きこぼれなく電子レンジにより炊飯し、専用の炊飯器などで炊いた米飯と食味に大きな差がない米飯を取得することが可能な方法を提案するものである。従来の電子レンジによる炊飯に限らず、炊飯する際には通常ある程度加熱が進むと吹きこぼれが発生するが、専用の炊飯器は加熱制御や特殊な容器構造等によりこれを防止している。しかし、専用の炊飯器と異なり電子レンジで調理する場合、何らかの対処を行わなければ吹きこぼれが発生し、電子レンジ内部を汚染するだけでなく、吹きこぼれにより旨味も喪失してしまうため、食味も落ちるという課題がある。このような吹きこぼれに対処すべく従来から多くの技術が提案されているが、本願発明はそのような追加の技術を要することなく、単に水を加えて加熱するだけで吹きこぼれを防止して、電子レンジを用い、通常の容器、通常の加熱で容易に吹きこぼれなく炊飯することを目的とする。ここで、一般に吹きこぼれは水分中に米から溶け出したでんぷんが水分の表面に膜を張る結果、加熱による沸騰から生成される水蒸気が抜けることができずに膜も含めて容器の外にこぼれ出すことによって発生することが以前より知られていたが、本願発明者は様々な試行錯誤の結果、原料米に一定の加工を施して、所定以上の含水率に保つことができるようにすることにより、炊飯時に強固な膜を形成するでんぷんを抑えることができることを発見した。
所定の含水率となるようにするための加工方法としては、常温で水に原料米を浸漬させ、水浸漬した米を高温で加熱し、加熱した米を冷風により冷却する工程を備える方法があるが、冷却後の含水率は35重量%以上とすることにより電子レンジで通常の炊飯方法で炊飯しても吹きこぼれなく炊飯することが確認できた。また、含水量を35~40重量%とすることにより、より的確に吹きこぼれを押さえることができた。ここで、電子レンジでの通常の炊飯とは、所定の出力と加熱時間を設定して、加熱開始後は途中で加熱を止める等の処理は行わず連続して設定した加熱時間まで加熱を続けることにより炊飯することを言う。炊飯の際に用いる容器も特に吹きこぼれを防止する等の対応がなされているものではなく、通常の耐熱容器であって、電子レンジで使用することができるものであればいずれのものも使用することができる。
さらに、上述のような加工工程においては加熱する工程を備えるため、一定のアルファ化が行われるが、本加熱で完全にアルファ化すると、その後電子レンジで加熱しても風味や食感が炊き立ての米飯とは異なるものとなってしまうことから、冷却後の加工米のアルファ化率は所定の率を超えないようにする。具体的に冷却後のアルファ化率は、90%以下であり、より好ましくは84~87%とすることにより、完全なアルファ化米とは異なる加工米とすることが可能となり、米を一から炊飯した炊き立てのような米飯を得ることができた。本願発明では、アルファ化度の測定方法としては、ジアスターゼ法に準じて測定するものとする。
なお、電子レンジで手軽に炊飯するのに適した加工米としては、吹きこぼれの抑制はもちろん、その他に解決すべき課題がある。まず、一般に炊飯に際して効率よく米を一粒一粒加熱してアルファ化するには、加熱容器内で米粒を対流させることが重要であり、電子レンジで加熱する場合も、使用する容器は水分中を米が対流できるようなスペースを必要とする。また、電子レンジ調理用の加工米と言っても、洗米や事前の水浸漬が必要であるとすると、結局電子レンジを使用して炊飯しても、専用の炊飯器で炊飯しても手間が大きく変わらず、電子レンジによる加熱調理の意義がないという課題もある。本願発明を適用することにより、洗米も事前の水浸漬も不要で、食味も勝るとも劣らない加工米を提供することもできる。また、加熱調理時の対流も、例えば図8に示すような本実施形態の電子レンジ加熱調理包装袋601のように底部にマチを設けて自立性を持たせた包装袋であれば、立てた状態で電子レンジ内にセットして加熱調理することができるので、加熱調理時に十分な対流を期待することができる。さらに、例えば、本実施形態の電子レンジ加熱調理包装袋601のガス解放機構603により加熱時には適度な内圧の下で炊飯することができる。
したがって、本願発明の加工米は、原料米に対して所定の加工を施すことにより、電子レジで加熱調理する際も吹きこぼれを防止するとともに、無洗米としたり、早炊き米としたりすることに加え、電子レンジ加熱調理包装袋または電子レンジ加熱調理用圧力容器と組み合わせることによってより簡便に達成することもできる。
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態の加工米の製造方法の一例を示す図である。本実施形態の加工米の一例は図1に示すような製造方法により所定の含水率およびアルファ化率を有することによって、高い保存性を維持しながら電子レンジでの炊飯に特化して、吹きこぼれすることなく簡易に加熱調理することができる。本実施形態で用いることのできる原料米は、一般に流通している精白米とすることができ、粳米やもち米などの各種品種のものを用いることができる。この原料米を常温流水中で1~5分間洗米し(工程101)、同じく常温で水に20~50分間浸漬し(工程102)水切りを行う。水を浸漬した後に、米の表面に水が多く付着している場合には、次工程の加熱工程(工程103)の前に付着している水を除去するのが好ましい。この水の除去は、例えば、浸漬水から引き上げた米をふるいの上に載せて放置するか、またはふるいを振るなどして水切りするなど、本技術分野で知られたいずれの方法を用いることができる。水浸漬後の原料米は70~85℃以上の熱水、あるいは蒸気により1~3分間加熱を行い(工程103)、十分に吸水させる。この加熱により含水率がより高くなり、アルファ化がある程度進行するとともに、殺菌が可能となるが、さらに加圧することにより加圧加熱殺菌を行うこともできる。
図1は、本発明の一実施形態の加工米の製造方法の一例を示す図である。本実施形態の加工米の一例は図1に示すような製造方法により所定の含水率およびアルファ化率を有することによって、高い保存性を維持しながら電子レンジでの炊飯に特化して、吹きこぼれすることなく簡易に加熱調理することができる。本実施形態で用いることのできる原料米は、一般に流通している精白米とすることができ、粳米やもち米などの各種品種のものを用いることができる。この原料米を常温流水中で1~5分間洗米し(工程101)、同じく常温で水に20~50分間浸漬し(工程102)水切りを行う。水を浸漬した後に、米の表面に水が多く付着している場合には、次工程の加熱工程(工程103)の前に付着している水を除去するのが好ましい。この水の除去は、例えば、浸漬水から引き上げた米をふるいの上に載せて放置するか、またはふるいを振るなどして水切りするなど、本技術分野で知られたいずれの方法を用いることができる。水浸漬後の原料米は70~85℃以上の熱水、あるいは蒸気により1~3分間加熱を行い(工程103)、十分に吸水させる。この加熱により含水率がより高くなり、アルファ化がある程度進行するとともに、殺菌が可能となるが、さらに加圧することにより加圧加熱殺菌を行うこともできる。
このように、加熱された原料米は加熱後直ちに冷風により3~10分冷却する(工程104)ことにより、加工米を常温に戻すとともに、含水率及びアルファ化率を調整して、冷却後の含水率は35重量%以上とする。さらに、好ましくは含水量を35~40重量%とする。また、アルファ化率については、90%以下とし、より好ましくは84~87%とする。以上の工程により、本実施形態の加工米を製造することができるが、これに限られず本実施形態の加工米と同様の含水率、アルファ化率を得られればいずれの製造方法も用いることができる。
[加工米の炊飯方法]
次に、本実施形態の製造方法により製造された加工米を電子レンジで調理する方法を説明する。図2は、本発明の一実施形態で用いる電子レンジ加熱調理用の容器の一例の斜視図であり、図3は本実施形態の加工米を用いた加熱炊飯方法を説明するための図である。図4は、本実施形態の加工米を用いた加熱炊飯時の動作を説明するための図であり、図5は、本実施形態の加工食品の一例の加熱調理方法の一連の流れを示す図である。
次に、本実施形態の製造方法により製造された加工米を電子レンジで調理する方法を説明する。図2は、本発明の一実施形態で用いる電子レンジ加熱調理用の容器の一例の斜視図であり、図3は本実施形態の加工米を用いた加熱炊飯方法を説明するための図である。図4は、本実施形態の加工米を用いた加熱炊飯時の動作を説明するための図であり、図5は、本実施形態の加工食品の一例の加熱調理方法の一連の流れを示す図である。
本実施形態では、図2に示すような通常の逆円錐台形状の樹脂製容器201を用いて本実施形態の製造方法で製造された加工米301を炊飯するが、容器の材料としては、樹脂以外にもガラス、陶磁器など電子レンジにより加熱を行うために使用することが可能なものであればいずれの素材も用いることができる。また、本実施形態の調理容器201は、図2に示すような逆円錐台形状であるが、これに限られず炊飯可能な十分な容量を有していればいずれの形状、サイズの容器も用いることができる。
このような容器を用いて加工米を炊飯するに際して、まず、いずれかの図示しない包装袋に梱包されている加工米301を取り出して包装袋を開封し、加工米301と加工米の量に合わせた所定の量の水302を調理容器201内で混合させ(ステップS501)、図示しない電子レンジ内に載置して加熱を開始する(ステップS502)。このような容器を用いることにより加工米301は、図4に示すように電子レンジ内で安定して加熱されるので、内部で対流が起こり、専用の炊飯器で炊飯したときと同様に米の一粒一粒に効率よく熱を加えることができる。このように加熱され、所定の量の水が加熱されて、米が炊飯される(ステップS503)。
さらに加熱を続けると図4に示すように、容器201では、電子レンジで内容物の水分が加熱されて高温になるとともに、水蒸気401が発生するが容器の上部を開放しておけば容器外に放出され、投入された水分が徐々に減少して炊飯が進むが、本実施形態の加工米は上述の製造方法を用いることにより、通常種類の原料米を用いても吹きこぼれが少ないので、吹きこぼれを回避するために電子レンジの出力を変更したり、加熱を断続的に行ったりする必要はなく、既定の時間までそのまま加熱すれば炊飯を完了することができる。加熱終了後は、蓋をして所定の時間蒸らすなど本技術分野で知られた処理を行って、食に供することができる。なお、炊飯中に溶出したいわゆるおねばは、吹きこぼれなければ米表面に再付着し旨味の元となるほか、本実施形態では吹きこぼれしないので加熱を抑制せず一気に炊き上げることができるので、理想的なアルファ化が達成されて食味も向上することができる。
[第2実施形態]
本実施形態では、上述の第1実施形態で製造された加工米を炊飯するための別の実施形態に関する。したがって、基本的に用いる加工米は第1実施形態で製造したものとなる。図6は、本発明の他の実施形態で用いる電子レンジ加熱調理用包装袋の一例の斜視図であり、図7は、本実施形態で用いる電子レンジ加熱調理用包装袋の一例の側面図である。
本実施形態では、上述の第1実施形態で製造された加工米を炊飯するための別の実施形態に関する。したがって、基本的に用いる加工米は第1実施形態で製造したものとなる。図6は、本発明の他の実施形態で用いる電子レンジ加熱調理用包装袋の一例の斜視図であり、図7は、本実施形態で用いる電子レンジ加熱調理用包装袋の一例の側面図である。
電子レンジ加熱調理用包装袋601は、基本的に加工米301を保存、運搬する際の包装袋とすることもできるが、加熱調理時に加熱調理容器の役割を果たすので、ユーザは特別な容器を用意しなくても電子レンジによる炊飯が可能となる。図6を参照して電子レンジ加熱調理用包装袋601を説明すると、本実施形態の電子レンジ加熱調理用包装袋601は、包装袋上部602は封止されており、開封手段であるガス解放機構603を備える。底部606はマチになっており内容物を充填すると広がって容量を確保するとともに、底部606を下にして安定して自立できる形状となっている。また、電子レンジ加熱調理用包装袋601は、前面部材604と、前面部材604に接合された背面部材605とから構成され袋状に構成されている。すなわち、前面部材604と背面部材605とは、両側端縁部を熱融着でシールし、底部606は内側に折り返してガセット形式で形成される。
前面部材604は、熱融着性を有するシート状の可撓性フィルムで形成され、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート又はこれらを積層したものに酸化アルミニウムや酸化ケイ素等の無機化合物が蒸着された基材層に、ポリプロピレン(PP)等からなる熱融着性層を積層させて形成することができる。もちろん、部材同士が熱融着可能な材料であれば、任意であり、例えば、通常の加熱用袋に用いられるヒートシ一ル性を有するプラスチックフィルムが適用可能であり、例えば熱融着性を有する熱可塑性樹脂からなる単層のフィルム・シート類、熱融着性を有する熱可塑性樹脂を他の熱可塑性樹脂等と積層した多層フィルムなどが使用できるが、これに限られず本技術分野で知られた材料を用いることができる。
図6および7に示すように、本実施形態の電子レンジ加熱調理用包装袋601の前面部材604は、左右の両側端縁部の間に形成されるガス解放機構603を備える。ガス解放機構603は、本技術分野で知られたいずれかの機構を用いることができるが、例えば、両側端縁部の延在方向の中央部よりも上部602側に偏った位置に、両側端縁部の延在方向と直交する方向の全幅にわたって設けることができる。図6および7に示すように、ガス解放機構603は、前面部材604の一部を合掌状に折り込み、かつ、その折り返し部を切断することで形成される。ガス解放機構603は、互いに重なる一対の平面部と、その上辺部側に設けられ、折り返し部を切断して形成される先端で開放され、一対の平面部の下辺部で袋内に連通する。
なお、本実施形態では、図10に示すように、電子レンジ加熱調理用包装袋に加工米を同梱するようにして加工食品とすることもできる。図10は、本発明の一実施形態の加工食品の一例を示す図である。このような加工食品の一例は図10に示すように、水を加えてすぐに炊飯できる本実施形態の加工米1001を電子レンジ加熱調理用包装袋601に組み込んだものである。ここで、加工米はさらに包装袋に入れることができ、その場合本技術分野で知られた、例えば樹脂製の包装袋とすることができ、その材質、寸法等は本技術分野で知られたいずれかの技術を用いることができる。また、このような加工食品に限られず、別々の経路でユーザが入手し、以上を組み合わせて、電子レンジにより炊飯することもできるし、販売の際に電子レンジ加熱調理用包装袋と加工米を組み合わせて販売する等、その他、本技術分野で知られた方法で本発明を実施することができる。
[加工米の炊飯方法]
次に、本実施形態の製造方法により製造された加工米を電子レンジ等で調理する方法を説明する。図8は、本発明の他の実施形態の加工米を用いた加熱炊飯時の動作を説明するための図であり、図9は、本実施形態の加工食品の別の例の加熱調理方法の一連の流れの一例を示す図である。
次に、本実施形態の製造方法により製造された加工米を電子レンジ等で調理する方法を説明する。図8は、本発明の他の実施形態の加工米を用いた加熱炊飯時の動作を説明するための図であり、図9は、本実施形態の加工食品の別の例の加熱調理方法の一連の流れの一例を示す図である。
まず、電子レンジ加熱調理用包装袋601内で、加工米301と加工米の量に合わせた所定の量の水を混合させ(ステップS901)何らかの方法で封止し、電子レンジ内に立位で載置して加熱を開始する(ステップS902)。上述の様に、本実施形態の電子レンジ加熱調理用包装袋601は、底部606にマチがあり内容物が充填されると広がって、安定した自立性を有するので図8のような態様で電子レンジ内で安定して加熱され、内部で対流が起こり、専用の炊飯器で炊飯したときと同様に米の一粒一粒に効率よく熱を加えることができる。このように加熱され、所定の量の水が加熱されて、米が炊飯される(ステップS903)。
さらに、加熱を続けると、米飯および水分への加熱により包装袋内の内圧が上昇して開封手段が開封する。すなわち、図8に示すように、電子レンジ加熱調理用包装袋601では、電子レンジで内容物の水分が加熱されて高温になるとともに、水蒸気が発生して矢印801に示すように内部の圧力が上昇すると本体が膨張し、ガス解放機構603の先端部に力が集中的に加わるようになる。これにより、ガス解放シール部において、先端部を起点に2枚の平面部が剥離し、この剥離したガス解放シール部からの水蒸気802が、ガス解放機構603の内部から外部に排出される。したがって、所定の圧力が袋内で維持されつつ加熱されることとなる。その状態で安定した内圧の下、所定の時間加熱をすると米飯803が炊きあがり、食に供することが可能となる(ステップS904)。この際、本実施形態の加工米は上述のような本実施形態の製造方法で製造された加工米を主原料とするので、強固な膜が形成されず、吹きこぼれることなく最後まで炊き上げることができる。なお、炊飯中に溶出した、いわゆるおねばは、吹きこぼれなければ米表面に再付着し旨味の元となるほか、本実施形態では吹きこぼれしないので加熱を抑制せず一気に炊き上げることができるので、理想的なアルファ化が達成されて食味も向上する。
なお、電子レンジ加熱調理用包装袋601の底部606の底面フィルム折り込み部の高さ、および袋の外形寸法は、収納される内容物の大きさにより適宜決めることができる。ただし、電子レンジ加熱調理用包装袋601の外形寸法は、使用する電子レンジの収納部の大きさや回転トレーの直径などにより大きさが制限されるため、制限に合ったサイズにする必要がある。家庭用の電子レンジの載置皿は、通常、直径280mm程度であるため、袋の幅は280mm以下にすることが好ましいがこれに限られない。
[実施例]
本実施形態の加工米の製造方法の実施例を説明する。
本実施形態の加工米の製造方法の実施例を説明する。
精米済みの粳米(含水量15%)を洗米し、約20℃の水浸漬に約40分後水切りを行う。この段階で、含水率31~33%であった。これを連続式スチーマーにより約80℃、役2分間加熱処理して含水率を約36%とした。連続式スチーマーから排出された蒸米をブラストチラーにより約6分間冷却し、この時点で加工米の含水率は35~39%であった。
[加熱調理試験]
上述の製法で製造された加工米を、所定の量の水ととともに電子レンジ加熱用容器に充填して、蓋なしで500Wの電子レンジで加熱調理した時間とその時の状態を記録した。混合する水分の量は加工米と同量とした。加熱の結果、500Wの電子レンジで加熱から約3分30秒後に電子レンジ加熱容器内の水に気泡が現れ、約4分30秒後に容器内で水が沸騰し加工米の対流が見られたが、さらに加熱を続けると、吹きこぼれることなく約6分後に無事炊飯が完了した。食味もほとんど生米を洗米から調理することにより炊飯した場合と大差はなかった。本実施例では通常の粳米を用いたが、他の種類の原料米を用いても、適切な加工を行うことにより吹きこぼれはなかった。
上述の製法で製造された加工米を、所定の量の水ととともに電子レンジ加熱用容器に充填して、蓋なしで500Wの電子レンジで加熱調理した時間とその時の状態を記録した。混合する水分の量は加工米と同量とした。加熱の結果、500Wの電子レンジで加熱から約3分30秒後に電子レンジ加熱容器内の水に気泡が現れ、約4分30秒後に容器内で水が沸騰し加工米の対流が見られたが、さらに加熱を続けると、吹きこぼれることなく約6分後に無事炊飯が完了した。食味もほとんど生米を洗米から調理することにより炊飯した場合と大差はなかった。本実施例では通常の粳米を用いたが、他の種類の原料米を用いても、適切な加工を行うことにより吹きこぼれはなかった。
また、比較例として、通常の市販されている早炊き米であり、通常の粳米であるあきたこまちを主原料にして電子レンジを用いて通常の容器で調理した結果、先ず500Wで6分ほど加熱するが、4分程度経過して炊飯が進むと吹きこぼれが発生しそうになるので炊飯状況を確認しながら、度々加熱を停止する必要があった。さらに、その後、150~200Wで5分ほど再加熱して余分な水分を除去する必要があった。
[第3実施形態]
本実施形態では、上述の第1実施形態で製造された加工米を炊飯するための別の実施形態に関する。したがって、基本的に用いる加工米は第1実施形態で製造したものとなる。図11は、本発明の他の実施形態で用いる電子レンジ加熱調理用圧力容器の一例の斜視図である。
本実施形態では、上述の第1実施形態で製造された加工米を炊飯するための別の実施形態に関する。したがって、基本的に用いる加工米は第1実施形態で製造したものとなる。図11は、本発明の他の実施形態で用いる電子レンジ加熱調理用圧力容器の一例の斜視図である。
電子レンジ加熱調理用圧力容器1100は、基本的に加工米301を保存、運搬する際の包装袋とすることもできるが、加熱調理時に加熱調理容器の役割を果たすので、ユーザは特別な容器を用意しなくても電子レンジによる炊飯が可能となる。図11を参照して電子レンジ加熱調理用圧力容器1100を説明すると、本実施形態の電子レンジ加熱調理用圧力容器1100は、容器本体1101に圧力蓋部1102を嵌合して使用するようになっており、圧力蓋部1102はガス解放機構1103を備える。また、電子レンジ加熱調理用圧力容器1100は、樹脂製であり、保存、運搬、調理、喫食などの使用シーンを考慮して図11に示すような逆円錐台形の形状とすることもできるが、形状やサイズは使用状況や米飯の量などにより任意のものとすることができる。素材についても、本技術分野で知られたいずれの材料も使用することができる。
加工米炊飯時、電子レンジ加熱調理用圧力容器1100の容器本体1101に水分と加工米を充填し、圧力蓋部1102を嵌合して調理過熱を行うが、圧力蓋部1102は図示しない容器本体1101の突起に嵌合するなど、本技術分野で知られたいずれかの方法で所定の引っ張り力で嵌合して密封することができる。電子レンジ加熱調理用圧力容器1100では、圧力蓋部1102を容器本体1101に嵌合するため、電子レンジで内容物の水分が加熱されて高温になるとともに、水蒸気が発生して容器内部の圧力が上昇し、ガス解放機構1103に力が集中的に加わるようになる。これにより、例えば、図示しないガス解放シール部において一部が剥離し、この剥離したガス解放シール部からの水蒸気が、ガス解放機構1103の内部から外部に排出される。したがって、所定の圧力が圧力容器内で維持されつつ加熱されることとなる。その状態で安定した内圧の下、所定の時間加熱をすると米飯が炊きあがり、食に供することが可能となる。この際、本実施形態の加工米は上述のような本実施形態の製造方法で製造された加工米を主原料とするので、強固な膜が形成されず、吹きこぼれることなく最後まで炊き上げることができる。なお、炊飯中に溶出した、いわゆるおねばは、吹きこぼれなければ米表面に再付着し旨味の元となるほか、本実施形態では吹きこぼれしないので加熱を抑制せず一気に炊き上げることができるので、理想的なアルファ化が達成されて食味も向上する。ここで、ガス解放機構1103は内圧が所定以上となったときに、容器が破損しないようにガスを放出して内圧をそれ以上高めないような機構であれば、本技術分野で知られたいずれの機構も用いることができる。例えば、微細な穴などによりそこを通過するガスに抵抗力が発生するようにして、内圧を一定に保持することができる。
なお、本実施形態では、図12に示すように、電子レンジ加熱調理用圧力容器1100に加工米1001を同梱するようにして加工食品とすることもできる。図12は、本発明の他の実施形態の加工食品の一例を示す図である。このような加工食品の一例は図12に示すように、水を加えてすぐに炊飯できる本実施形態の加工米1001を電子レンジ加熱調理用圧力容器1100に組み込んだものである。ここで、加工米は何らかの包装袋に入れることができ、その場合本技術分野で知られた、例えば樹脂製の包装袋とすることができ、その材質、寸法等は本技術分野で知られたいずれかの技術を用いることができる。また、このような加工食品に限られず、別々の経路でユーザが入手し、以上を組み合わせて、電子レンジにより炊飯することもできるし、販売の際に電子レンジ加熱調理用圧力容器と加工米を組み合わせて販売する等、その他、本技術分野で知られた方法で本発明を実施することができる。
201 加熱容器
301 加工米
302 混合する水
401、802 蒸気
601 電子レンジ加熱調理用包装袋
602 包装袋上部
603、1103 ガス解放機構
604 前面部材
605 背面部材
606 底部
803 米飯
1100 電子レンジ加熱調理用圧力容器
1101 容器本体
1102 圧力蓋部
301 加工米
302 混合する水
401、802 蒸気
601 電子レンジ加熱調理用包装袋
602 包装袋上部
603、1103 ガス解放機構
604 前面部材
605 背面部材
606 底部
803 米飯
1100 電子レンジ加熱調理用圧力容器
1101 容器本体
1102 圧力蓋部
Claims (11)
- 予め水浸漬して加熱後冷却することにより、水分含有量を35重量%以上とすることを特徴とする加工米。
- 前記水分含有量が35~40重量%であることを特徴とする請求項1に記載の加工米。
- 電子レンジにより炊飯することを特徴とする請求項1または2に記載の加工米。
- 所定のアルファ化率以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の加工米。
- 前記アルファ化率は84~87%であることを特徴とする請求項4に記載の加工米。
- 常温で水に原料米を20~50分間浸漬する水浸漬ステップと、
前記水浸漬ステップで水浸漬した米を70~85℃で1~3分間加熱する加熱ステップと、
前記加熱ステップで加熱した米を冷風により3~10分冷却する冷却ステップと
を備えることを特徴とする加工米の製造方法。 - 前記冷却ステップにおいて冷却後の加工米の水分含有量を35重量%以上とすることを特徴とする請求項6に記載の加工米の製造方法。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の加工米を加熱することにより炊飯する加工米炊飯方法であって、
前記加工米と所定の量の水とを混合して、所定の容器に充填する充填ステップと、
電子レンジにより、前記加工米と前記所定の量の水とを所定時間加熱して炊飯する加熱炊飯ステップと
を備えることを特徴とする加工米炊飯方法。 - 前記加熱炊飯ステップは、前記所定の時間電子レンジにより連続して加熱することを特徴とする請求項8に記載の加工米炊飯方法。
- 前記所定の容器は、封入された加工食品および水分が加熱され内圧が所定の圧力まで高まると、部分的に開封して内圧が上昇しないようにする開封手段を有する電子レンジ加熱調理用包装手段であることを特徴とする請求項8または9に記載の加工米炊飯方法。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の加工米と、
封入された加工食品および水分が加熱され内圧が所定の圧力まで高まると、部分的に開封して内圧が上昇しないようにする開封手段を有する電子レンジ加熱調理用包装手段と
を備えることを特徴とする加工食品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021014050A JP2022117531A (ja) | 2021-01-31 | 2021-01-31 | 加工米並びにその製造方法および炊飯方法 |
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2021
- 2021-01-31 JP JP2021014050A patent/JP2022117531A/ja active Pending
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