JP2022117180A - 固体コンデンサ素子およびそれを含む固体コンデンサ - Google Patents

固体コンデンサ素子およびそれを含む固体コンデンサ Download PDF

Info

Publication number
JP2022117180A
JP2022117180A JP2021013741A JP2021013741A JP2022117180A JP 2022117180 A JP2022117180 A JP 2022117180A JP 2021013741 A JP2021013741 A JP 2021013741A JP 2021013741 A JP2021013741 A JP 2021013741A JP 2022117180 A JP2022117180 A JP 2022117180A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dielectric layer
solid
solid capacitor
anode body
capacitor element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021013741A
Other languages
English (en)
Inventor
昌利 竹下
Masatoshi Takeshita
公平 後藤
Kohei Goto
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority to JP2021013741A priority Critical patent/JP2022117180A/ja
Publication of JP2022117180A publication Critical patent/JP2022117180A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

【課題】固体コンデンサにおいて、ショート不良を低減するとともに、優れた耐熱性を確保する。【解決手段】固体コンデンサ素子は、多孔質部を有する陽極体と、前記多孔質部に入り込んで前記多孔質部の一部を覆うように形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部と、を含む。前記誘電体層は、絶縁性樹脂を含む。前記陰極部は、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う金属層を含む。【選択図】図1

Description

本開示は、固体コンデンサ素子および固体コンデンサに関する。
コンデンサは、コンデンサ素子と、コンデンサ素子を封止する樹脂外装体またはケースと、コンデンサ素子に電気的に接続される外部電極とを備える。コンデンサは、さらに電解液を含む場合がある。コンデンサ素子は、弁作用金属を含む陽極体と、陽極体の表面に形成された誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部とを含む。陰極部が誘電体層の少なくとも一部を覆う導電性高分子成分(共役系高分子、ドーパントなど)を含む固体電解質層を含むコンデンサは、固体電解コンデンサと呼ばれることがある。誘電体層は、一般に、陽極体の表面の弁作用金属を、化成処理などにより陽極酸化することで形成され、弁作用金属の酸化物を含む。誘電体層または固体電解質層は、コンデンサの性能に大きく影響する。
特許文献1は、弁作用金属からなる多孔質焼結体と、上記多孔質焼結体を覆う誘電体層と、上記誘電体層を覆い、かつ導電性ポリマ層を含む固体電解質層と、を備える固体電解コンデンサであって、上記固体電解質層は、上記誘電体層と上記導電性ポリマ層とに挟まれた無機半導体層をさらに備える固体電解コンデンサを提案している。
カップリング剤を用いて誘電体層を形成する方法も提案されている。例えば、特許文献2は、金属からなる陽極体上に誘電体被膜を形成する工程と、前記誘電体被膜上に導電性高分子層を形成する工程と、を有し、前記誘電体被膜を形成する工程は、前記陽極体の表面にカップリング剤を付着させる工程と、前記カップリング剤が付着した前記陽極体を加熱する工程とを、有する固体電解コンデンサの製造方法を提案している。
特開2006-351609号公報 特開2012-89783号公報
弁作用金属の酸化物を含む誘電体層は、厚さが小さいため、大きな静電容量を得る上で有利である。しかし、このような誘電体層は、硬く脆いため、ショート不良が生じ易い。誘電体層を覆うように固体電解質層を形成すれば、ショート不良は軽減できるが、耐熱性は低下する。
本開示の第1側面は、多孔質部を有する陽極体と、前記多孔質部に入り込んで前記多孔質部の一部を覆うように形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部と、を含み、
前記誘電体層は、絶縁性樹脂を含み、
前記陰極部は、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う金属層を含む、固体コンデンサ素子に関する。
本開示の第2側面は、上記の固体コンデンサ素子を少なくとも1つ含む、固体コンデンサに関する。
固体コンデンサにおいて、ショート不良を低減しながら、優れた耐熱性を確保することができる。
本開示の一実施形態に係る固体コンデンサの断面模式図である。 実施例および比較例の固体コンデンサの加速試験における静電容量の変化を示すグラフである。 実施例および比較例の固体コンデンサの加速試験におけるESR(等価直列抵抗)の変化を示すグラフである。
電解液を用いない固体コンデンサのうち、固体電解コンデンサでは、固体電解コンデンサが高温に晒された場合、固体電解質層にクラックが発生し、空気が侵入し易くなる。固体電解コンデンサの内部に空気が侵入すると、空気中に含まれる水分または酸素の作用により、固体電解質層に含まれる導電性高分子成分が劣化する。例えば、共役系高分子が酸化分解されたり、ドーパントが脱ドープされたりする。導電性高分子成分が劣化すると、固体電解質層の導電性が低下する。固体電解コンデンサは、用途によって、高温環境下で用いられることがある。また、固体電解コンデンサは、一般に、高温に晒されるリフロー工程を経て基板に半田接合される。そのため、優れた耐熱性を有する固体コンデンサ素子および固体コンデンサが求められている。固体電解質層を含まない固体コンデンサでは、導電性高分子成分の劣化が起こらないため、高い耐熱性を確保し易い。しかし、弁作用金属の酸化物を含む一般的な誘電体層は硬く脆いため、固体電解質層を含まない固体コンデンサではショート不良が生じやすい。
上記に鑑み、本開示の第1側面の固体コンデンサ素子では、誘電体層が絶縁性樹脂を含むとともに、陰極部が誘電体層の少なくとも一部を覆う金属層を含む。誘電体層を少なくとも一部を覆うように金属層が形成されていることで、固体電解コンデンサの場合のような、高温に晒された場合の導電性高分子成分の劣化に伴う耐熱性の低下が抑制される。よって、本開示では、固体コンデンサ素子および固体コンデンサの優れた耐熱性を確保することができる。優れた耐熱性が得られることで、固体コンデンサ素子および固体コンデンサの信頼性を高めることができる。また、誘電体層が絶縁性樹脂を含むことによって、誘電体層の高い靱性を確保することができる。そのため、固体電解質層ではなく金属層を、誘電体層を覆うように形成しても、ショート不良を低減することができる。
陽極体は、多孔質部において孔および窪みを有する。このような孔および窪みはピットと呼ばれることがある。本開示の固体コンデンサでは、誘電体層は、陽極体の多孔質部(具体的にはピット内)に入り込んで多孔質部の一部(より具体的には、ピット内の表面も含む多孔質部の表面の一部)を覆うように形成されている。一方、誘電体層にプラスチックフィルムを用いたコンデンサとして、フィルムコンデンサが知られている。しかし、従来のフィルムコンデンサでは、電極と誘電体層を構成するプラスチックフィルムとが積層されているだけで、プラスチックフィルムが電極の微細な凹凸内に入り込んでいない。そのため、本開示の固体コンデンサは、誘電体層を構成するプラスチックフィルムが電極の微細な凹凸内に入り込んでいない従来のフィルムコンデンサとは明確に区別される。
以下、必要に応じて図面を参照しながら、本開示の固体コンデンサおよび固体コンデンサ素子についてより具体的に説明する。以下、固体コンデンサ素子を単にコンデンサ素子と称する場合がある。
[固体コンデンサ]
本開示の固体コンデンサは、1つまたは2つ以上のコンデンサ素子を含む。固体コンデンサに含まれるコンデンサ素子の少なくとも1つが、絶縁性樹脂を含む誘電体層および誘電体層の少なくとも一部を覆う金属層を含んでいればよい。固体コンデンサに含まれるコンデンサ素子の個数の50%以上(より好ましくは75%以上)が、上記のような誘電体層および金属層を含むことが好ましく、全てのコンデンサ素子が、上記のような誘電体層および金属層を含むことがさらに好ましい。コンデンサ素子は、例えば、巻回型であってもよく、積層型であってもよい。固体コンデンサが複数のコンデンサ素子を含む場合、各コンデンサ素子は、例えば、巻回型であってもよく、積層型であってもよい。
(コンデンサ素子)
(陽極体)
陽極体は、例えば、弁作用金属、弁作用金属を含む合金、および弁作用金属を含む化合物などを含むことができる。陽極体は、これらの材料を一種含んでいてもよく、二種以上含んでもいてもよい。弁作用金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタンが好ましい。
陽極体は、多孔質部を有する。陽極体は、通常、少なくとも表層に多孔質部を有している。多孔質部によって、陽極体の表面は、微細な凹凸を有する。
表層に多孔質部を有する陽極体は、例えば、エッチングなどにより弁作用金属を含む基材(シート状(例えば、箔状、板状)の基材など)の表面を粗面化することで得られる。粗面化は、例えば、エッチング処理などにより行うことができる。また、陽極体は、弁作用金属を含む粒子の成形体またはその焼結体でもよい。なお、成形体および焼結体のそれぞれは、多孔質構造を有するため、全体が多孔質部に相当する。成形体および焼結体のそれぞれは、シート状の形状であってもよく、直方体、立方体またはこれらに類似の形状などであってもよい。
陽極体は、通常、陽極引出部および陰極形成部を有する。陰極部は、陽極体の陰極形成部に、通常、誘電体層を介して形成される。陽極引出部には、陽極端子が接続される。
(誘電体層)
固体コンデンサにおいて、誘電体層は、陽極体の少なくとも一部の表面を覆うように形成された誘電体として機能する絶縁性の層である。本開示のコンデンサ素子において、誘電体層は、絶縁性樹脂を含むことによって絶縁性を示す。誘電体層は、陽極体の多孔質部の表面に形成されるため、誘電体層の表面は、陽極体の表面形状のように微細な凹凸形状を有する。
誘電体層の20℃における導電率は、例えば、10-6S/m以下であり、10-8S/m以下であってもよい。誘電体層の導電率がこのような範囲であることによって、誘電体層の高い絶縁性を確保することができ、固体コンデンサの高い静電容量が得られる。
誘電体層の導電率は、以下の手順で測定することができる。
コンデンサ素子の誘電体層の断面の任意の複数のエリア(例えば、5つのエリア)について、20℃にて、4端子測定用の抵抗測定計または電流電圧計を用いて導電率を求め、平均化することにより、誘電体層の導電率が求められる。測定には、先端が白金またはタングステンでコーティングされた4本のナノプローブが用いられる。より具体的には、電子顕微鏡下で、測定エリア内において、4本のナノプローブと誘電体層との接点が直線上に並ぶようにナノプローブを触針させる。そのうち、内側の2本のナノプローブ間の距離をg(cm)とする。外側の2本のナノプローブ間に任意値の一定電流I1を印加し、内側の2本のナノプローブ間の電圧V1を測定する。その後、I1と異なる値の電流I2,I3を同様に印加し、それに対応する電圧値V2,V3を測定する。測定したI1,I2,I3に対するV1,V2,V3をプロットし、得られた直線の傾きRを計算する。そして下式を用いて導電率S(S/cm)を算出する。なお、式中のdは測定エリアの深さ方向の厚み(cm)であり、wは測定エリアの幅(cm)である。
S=g/(d・w・R)
誘電体層の導電率の測定には、次のような手順で採取したサンプル(サンプルA)を用いることができる。まず、固体コンデンサを硬化性樹脂に埋め込んで硬化性樹脂を硬化させる。硬化物に研磨処理またはクロスセクションポリッシャー加工を行うことにより、陰極部の厚み方向に平行でコンデンサ素子の長さ方向に垂直な断面を露出させる。このようにして、測定用のサンプル(サンプルA)が得られる。サンプルAの露出した誘電体層の断面において、抵抗率が測定され、抵抗率から導電率が求められる。
絶縁性樹脂は、絶縁性を有する高分子であればよい。絶縁性樹脂としては、例えば、誘電体層の導電率が上記のような範囲となるような導電率を有する材料が選択される。絶縁性樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂および硬化性樹脂のいずれであってもよい。大きな静電容量を確保する観点からは、誘電体層はごく薄い層であることが好ましい。また、誘電体層は、陽極体の多孔質部に入り込んで形成される。そのため、誘電体層は、陽極体の表面(ピットの表面も含む)を重合場とした、その場重合で形成されることが好ましい。よって、絶縁性樹脂としては、その場重合で形成可能な高分子を選択することが好ましい。その場重合の制御が比較的容易である観点から、絶縁性樹脂としては共役系高分子が好ましい。
共役系高分子は、ドーパントをドープすることにより導電性を示す場合がある。しかし、共役系高分子は、ドーパントがドープされていない状態では、通常、絶縁性である。また、共役系高分子にドーパントをドープした後に脱ドープした状態では、脱ドープの程度によって絶縁性にすることができる。そのため、誘電体層は、ドープされていない状態の共役系高分子を含んでもよく、共役系高分子にドーパントをドープした後に脱ドープした状態の共役系高分子を含んでもよい。例えば、脱ドープの程度は、誘電体層の導電率が上記の範囲となるように調節される。
誘電体層は、例えば、共役系高分子の前駆体を含む液状組成物に陽極体の陰極形成部を浸漬した状態で、前駆体を重合することにより形成することができる。液状組成物は、さらにドーパントおよび酸化剤からなる群より選択される少なくとも1つを含んでもよい。共役系高分子の前駆体の重合は、例えば、化学重合、電解重合によって行うことができる。特に、電解重合によって誘電体層を形成することが有利である。電解重合の場合、重合反応を高精度で制御することができ、陽極体の表面の微細で複雑な凹凸形状に追随させて、より均一な誘電体層を形成することができる。
重合に先立って、共役系高分子およびドーパントを含む液状分散体を陽極体の表面にプレコートしてもよい。この場合、陽極体の表面において酸化の進行が妨げられるため、前駆体の重合反応がさらに進行し易くなる。液状分散体に用いる共役系高分子は、重合により形成される共役系高分子と同じ種類であってもよく、異なる種類であってもよい。液状分散体に用いるドーパントは、液状組成物に用いられるドーパントと同じ種類であってもよく、異なる種類であってもよい。
共役系高分子としては、例えば、π共役系高分子が挙げられる。共役系高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフラン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、およびポリチオフェンビニレンを基本骨格とする高分子が挙げられる。上記の高分子は、基本骨格を構成する少なくとも一種のモノマー単位を含んでいればよい。上記の高分子には、単独重合体、二種以上のモノマーの共重合体、およびこれらの誘導体(置換基を有する置換体など)も含まれる。
共役系高分子のうち、ピロール化合物、チオフェン化合物、およびアニリン化合物からなる群より選択される少なくとも一種に対応するモノマー単位を含む共役系高分子が好ましい。ピロール化合物としては、ピロール環を有し、対応するモノマー単位の繰り返し構造を形成可能な化合物が挙げられる。チオフェン化合物としては、チオフェン環を有し、対応するモノマー単位の繰り返し構造を形成可能な化合物が挙げられる。これらの化合物は、ピロール環またはチオフェン環の2位および5位で連結してモノマー単位の繰り返し構造を形成することができる。アニリン化合物としては、ベンゼン環とこのベンゼン環に結合した少なくとも1つ(好ましくは1つ)のアミノ基とを有し、対応するモノマー単位の繰り返し構造を形成可能な化合物が挙げられる。アニリン化合物は、例えば、アミノ基とこのアミノ基に対してp-位のCH基(ベンゼン環を構成するCH基)の部分で連結してモノマー単位の繰り返し構造を形成することができる。
ピロール化合物は、例えば、ピロール環の3位および4位の少なくとも一方に置換基を有していてもよい。チオフェン化合物は、例えば、チオフェン環の3位および4位の少なくとも一方に置換基を有していてもよい。3位の置換基と4位の置換基とは連結してピロール環またはチオフェン環に縮合する環を形成していてもよい。ピロール化合物としては、例えば、3位および4位の少なくとも一方に置換基を有していてもよいピロールが挙げられる。チオフェン化合物としては、例えば、3位および4位の少なくとも一方に置換基を有していてもよいチオフェン、アルキレンジオキシチオフェン化合物(エチレンジオキシチオフェン化合物などのC2-4アルキレンジオキシチオフェン化合物など)が挙げられる。アルキレンジオキシチオフェン化合物には、アルキレン基の部分に置換基を有する化合物も含まれる。アニリン化合物としては、例えば、アミノ基に対して、o-位およびp-位の少なくとも一方に置換基を有していてもよいアニリンが挙げられる。
置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基などのC1-4アルキル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基などのC1-4アルコキシ基など)、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシメチル基などのヒドロキシC1-4アルキル基など)などが好ましいが、これらに限定されない。ピロール化合物、チオフェン化合物、およびアニリン化合物のそれぞれが、2つ以上の置換基を有する場合、それぞれの置換基は同じであってもよく、異なってもよい。
誘電体層は、共役系高分子を一種含んでもよく、二種以上含んでもよい。
共役系高分子の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば1,000以上1,000,000以下である。
なお、本明細書中、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の値である。なお、GPCは、通常は、ポリスチレンゲルカラムと、移動相としての水/メタノール(体積比8/2)とを用いて測定される。
共役系高分子の前駆体としては、共役系高分子の原料モノマー、原料モノマーの複数の分子鎖が連なったオリゴマーおよびプレポリマーなどが挙げられる。前駆体は一種を用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。より均一な皮膜が形成され易い観点から、前駆体としては、モノマーおよびオリゴマーからなる群より選択される少なくとも一種(特に、モノマー)を用いることが好ましい。
ドーパントとしては、例えば、アニオンおよびポリアニオンからなる群より選択される少なくとも一種が使用される。アニオンまたはポリアニオンを生成可能な成分をドーパントとして用いてもよい。
アニオンとしては、例えば、硫酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、硼酸イオン、有機スルホン酸イオン、カルボン酸イオンなどが挙げられるが、特に制限されない。スルホン酸イオンを生成するドーパントとしては、例えば、芳香族スルホン酸(p-トルエンスルホン酸、およびナフタレンスルホン酸など)が挙げられる。
ポリアニオンとしては、ポリマーアニオンなどが挙げられる。ポリマーアニオンとしては、例えば、複数のアニオン性基を有するポリマーが挙げられる。このようなポリマーとしては、アニオン性基を有するモノマー単位を含むポリマーが挙げられる。アニオン性基としては、スルホン酸基が好ましい。スルホン酸基を有するポリマーアニオンの具体例としては、例えば高分子タイプのポリスルホン酸としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸(共重合体および置換基を有する置換体なども含む)、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリエステルスルホン酸(芳香族ポリエステルスルホン酸など)、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂が挙げられる。
脱ドープがスムーズに進行する観点からは、ドーパントとしては、ポリアニオンよりも、上記のアニオン(芳香族スルホン酸など)を用いることが好ましい。アニオンを用いることによって、その場重合で形成される皮膜の厚さを小さく、より均一にすることができる。
液状組成物に含まれるドーパントの量は、共役系高分子の前駆体100質量部に対して、例えば、10~500質量部であり、50~200質量部であってもよい。
液状組成物は、通常、溶媒を含む。溶媒としては、例えば、水、有機溶媒、水と有機溶媒(水溶性有機溶媒など)との混合溶媒が挙げられる。
液状組成物は、必要に応じて、酸化剤を含んでもよい。酸化剤の例は、Fe3+を生成可能な化合物(硫酸第二鉄など)、過硫酸塩(過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなど)、および過酸化水素を含む。酸化剤は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
電解重合において、陽極体に印可される電圧(重合電圧)は、例えば、0.6V以上 2.0V以下であり、1.0V以上1.5V以下であってもよい。なお、重合電圧は、参照電極(銀/塩化銀電極(Ag/Ag))に対する陽極体の電位である。電解重合では、陽極引出部に給電体(給電テープなど)が電気的に接続され、給電体を介して陽極体に電圧が印加される。陽極体の電位とは、陽極体に電気的に接続された給電体の電位である。
電解重合を行う温度は、例えば、5℃以上60℃以下であり、15℃以上35℃以下であってもよい。
電解重合の時間は、例えば、1分以上60分以下であり、より好ましくは1分以上10分以下である。このように短時間の電解重合を行うことで、ごく薄い誘電体層を形成することができ、大きな静電容量を確保し易くなる。
重合によって陽極体の表面に形成される皮膜が、共役系高分子およびドーパントを含む導電性高分子成分を含む場合には、導電性高分子成分を脱ドープすることによって、絶縁性の誘電体層が形成される。このような誘電体層では、導電性高分子成分が脱ドープされており、これにより絶縁性が確保される。脱ドープは、例えば、導電性高分子成分を還元することによって行うことができる。より具体的には、陽極体と陽極体の表面の少なくとも一部を覆う導電性高分子成分を含む皮膜とを、湿潤環境下で加熱して導電性高分子成分を脱ドープすることによって、絶縁性の誘電体層を形成してもよい。この場合、陽極体と導電性高分子成分との間で水を媒介して腐食電池反応が起こる。これによって、導電性高分子成分が還元され、絶縁性の誘電体層が形成される。導電性高分子成分が還元される一方で、陽極体の表面は酸化されるため、陽極体と誘電体層との間には、ごく薄い酸化物(具体的には、弁作用金属の酸化物)の層が形成されてもよい。このような酸化物の層が形成されると、誘電体層と陰極部との間の絶縁性をさらに維持し易くなり、ショート不良を抑制する効果が高まる。
湿潤環境下での加熱は、例えば、30℃以上200℃以下の温度で行われる。湿潤環境の相対湿度は、例えば、45%RH以上であり、90%RH以上であってもよい。
腐食電池反応は、理論的には、皮膜の仕事関数が陽極体の仕事関数と同じになるまで進行する。そのため、腐食電池反応を利用して形成される誘電体層の仕事関数と陽極体の仕事関数との差は小さく、0に近い。例えば、25℃における陽極体および誘電体層のそれぞれの仕事関数をw1およびw2とするとき、差(=w2-w1)は、0.1eV以下であることが好ましく、0.01eV以下であることがより好ましい。
陽極体および誘電体層の仕事関数w1およびw2は、陽極体および誘電体層のそれぞれの断面の紫外光電子分光法(Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy:UPS)による分析を利用して求められる。より具体的には、25℃において、電子顕微鏡下で、サンプルの陽極体の断面に、ナノプローブを接触させ、負の電圧を印加した状態で、UPSにより紫外線を照射して、陽極体の表面から放出された電子の運動エネルギー分布のスペクトル測定を行う。得られたスペクトルにおけるエネルギー幅(eV)を、UPSの紫外線の照射エネルギー(eV)から差し引くことによって、陽極体の仕事関数が得られる。陽極体の断面の複数のエリア(例えば、5つのエリア)について仕事関数を求め、平均化することによって、陽極体の仕事関数w1が求められる。例えば、UPSでHeI線を用いる場合には照射エネルギーは21.22(eV)である。陽極体に印可される電圧は、ゼロ運動エネルギーの電子を検出できるような範囲で決定すればよい。誘電体層の仕事関数w2についても、誘電体層の断面についてUPSによる分析を行う以外は、陽極体の場合に準じて、仕事関数w2が求められる。
仕事関数の測定に用いられるサンプルは、次のような手順で作製される。まず、固体コンデンサを硬化性樹脂に埋め込んで硬化性樹脂を硬化させる。硬化物に研磨処理またはクロスセクションポリッシャー加工を行うことにより、陰極部の厚み方向に平行でコンデンサ素子の長さ方向に垂直な断面を露出させる。このとき、露出面が、表面粗さRa<1μmを充足する平滑面になるまで、研磨処理またはクロスセクションポリッシャー加工を行う。このようにして、測定用のサンプル(サンプルB)が得られる。サンプルBの露出した誘電体および誘電体層の断面において、仕事関数が測定される。
誘電体層の厚さは、例えば、1μm以下であり、100nm以下であってもよい。ショート不良を低減する効果が高まる観点からは、誘電体層の厚さは、10nm以上が好ましい。
(陰極部)
陰極部は、誘電体層の少なくとも一部を覆う金属層を含む。金属層を構成する金属は、金属単体であってもよく、合金であってもよい。金属層を構成する金属の例は、銀、銀合金、ニッケル、ニッケル合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、または銅合金である。また、金属層は、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁作用金属または弁作用金属を含む合金で形成してもよい。
金属層は、例えば、メッキ層、金属箔、および金属の堆積膜(蒸着などの気相法により形成される金属層など)からなる群より選択される少なくとも一種であってもよい。
メッキ層は、例えば、電解めっき法、無電解めっき法によって形成される。
金属箔の表面は、必要に応じて、多孔質であってもよい。表面が多孔質である金属箔は、金属箔を粗面化(例えば、エッチング)することによって得られる。金属箔の表面には、化成皮膜が設けられていてもよい。
陰極部は、金属箔と金属箔の表面に形成された表面層とを有していてもよい。陰極部は、表面層が誘電体層と接触するように構成してもよく、金属箔が誘電体層と接触するように構成してもよい。表面層は、例えば、金属箔とは異なる材料(金属、金属化合物、非金属など)を含んでいる。このような材料としては、例えば、導電性材料が挙げられる。表面層を構成する導電性材料としては、例えば、金属(チタン、ニッケルなど)、チタン化合物などの金属化合物(窒化物、炭化物、炭窒化物、酸化物など)、炭素質材料などが挙げられる。表面層は、これらの材料を一種含んでもよく、二種以上含んでもよい。
表面層は、気相法、焼成法などによって形成され得る。気相法としては、蒸着(真空蒸着、電子ビーム蒸着、アークプラズマ蒸着など)、スパッタリング法、CVD法などが挙げられる。表面層は、金属箔の一方の表面に形成されていてもよく、双方の表面に形成されていてもよい。表面層は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。多層構造の表面層では、各層において、例えば、構成成分および構造(密度など)の少なくとも1つが異なっていてもよい。
表面層の厚みは、金属箔の片面あたり、例えば、0.5μm以上10μm以下であり、
1μm以上5μm以下であってもよい。
金属層の厚みは、例えば、0.1μm以上100μm以下であり、1μm以上50μm以下であってもよい。
(その他)
本開示の固体コンデンサは、基本的には、電解液などの液体(20℃~35℃で液状の化合物または組成物など)を含まない。しかし、本開示では、優れた耐熱性が得られるとともに、ショート不良を低減できる限り、固体コンデンサが少量の液体を含む場合を除外する意図はない。
固体コンデンサは、必要に応じて、コンデンサ素子を支持する基板を含んでもよい。基板としては、例えば、絶縁基板、金属基板、またはプリント基板が挙げられる。
コンデンサ素子において、陰極部(より具体的には金属層)には、陰極端子の一端部が電気的に接続される。陰極端子は、例えば、金属層に導電性接着剤を塗布し、この導電性接着剤を介して金属層に接合される。陽極体には、陽極端子の一端部が電気的に接続される。陽極端子の他端部および陰極端子の他端部は、それぞれ樹脂外装体またはケースから引き出される。樹脂外装体またはケースから露出した各端子の他端部は、固体コンデンサを搭載すべき基板との半田接続などに用いられる。
コンデンサ素子は、外装体(樹脂外装体など)またはケースを用いて封止される。例えば、コンデンサ素子および外装体の材料樹脂(例えば、未硬化の熱硬化性樹脂およびフィラー)を金型に収容し、トランスファー成型法、圧縮成型法等により、コンデンサ素子を樹脂外装体で封止してもよい。このとき、コンデンサ素子から引き出された陽極リードに接続された陽極端子および陰極端子の他端部側の部分を、それぞれ金型から露出させる。また、コンデンサ素子を、陽極端子および陰極端子の他端部側の部分が有底ケースの開口側に位置するように有底ケースに収納し、封止体で有底ケースの開口を封口することにより固体コンデンサを形成してもよい。
固体コンデンサは、巻回型であってもよく、チップ型または積層型のいずれであってもよい。固体コンデンサは、少なくとも1つのコンデンサ素子を含んでいればよく、2つ以上のコンデンサ素子の積層体を含んでもよい。コンデンサ素子の構成は、固体コンデンサのタイプに応じて、選択すればよい。
図1は、本開示の一実施形態に係る固体コンデンサの構造を概略的に示す断面図である。図1に示すように、固体コンデンサ1は、コンデンサ素子2と、コンデンサ素子2を封止する樹脂外装体3と、樹脂外装体3の外部にそれぞれ少なくともその一部が露出する陽極端子4および陰極端子5と、を備えている。陽極端子4および陰極端子5は、例えば銅または銅合金などの金属で構成することができる。樹脂外装体3は、ほぼ直方体の外形を有しており、固体コンデンサ1もほぼ直方体の外形を有している。
コンデンサ素子2は、陽極体6と、陽極体6を覆う誘電体層7と、誘電体層7を覆う金属層とを含む。金属層は、陰極部8を構成する。誘電体層7は、絶縁性樹脂を含む。
陽極体6は、陰極部8と対向する領域と、対向しない領域とを含む。陽極体6の陰極部8と対向しない領域のうち、陰極部8に隣接する部分には、陽極体6の表面を帯状に覆うように絶縁性の分離部13が形成され、陰極部8と陽極体6との接触が規制されている。陽極体6の陰極部8と対向しない領域のうち、他の一部は、陽極端子4と、溶接により電気的に接続されている。陰極端子5は、導電性接着剤により形成される接着層14を介して、陰極部8と電気的に接続している。
[実施例]
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
《固体コンデンサA1》
下記の要領で、図1に示す固体コンデンサ1(固体コンデンサA1)を作製し、その特性を評価した。
(1)陽極体6の準備
基材としてのアルミニウム箔(厚み:100μm)の両方の表面をエッチングにより粗面化することで、陽極体6を作製した。
(2)誘電体層7の形成
陽極体6の陰極部8を形成する領域(陰極形成部)と陰極部8を形成しない領域との間に、絶縁性のレジストテープを貼り付けることにより、分離部13を形成した。分離部13が形成された陽極体6を、共役系高分子としてのポリピロールおよびドーパントとしてのナフタレンスルホン酸を含む液状分散体に浸漬し、取り出して乾燥することにより、プレコート層(図示せず)を形成した。
ピロール(共役系高分子のモノマー)と、ナフタレンスルホン酸(ドーパント)と、水とを含む重合液を調製した。プレコート層を形成した陽極体6の陰極形成部を、重合液に浸漬し、25℃にて、1.0Vの直流電圧(銀/塩化銀参照電極に対する重合電位(重合電圧))を、10分間印加することにより電解重合を行った。このようにして、陽極体6の陰極形成部の表面に導電性高分子成分(具体的には、ポリピロールおよびナフタレンスルホン酸)を含む皮膜を形成した。
次いで、皮膜が形成された陽極体6を、85℃および85%RHの環境下で72時間放置した。このようにして、皮膜に含まれる導電性高分子成分の脱ドープを行うことによって、導電性の皮膜を絶縁性の誘電体層に変換した。誘電体層には、絶縁性樹脂としてのポリピロールが含まれる。なお、25℃における皮膜の初期の仕事関数は、約4.6eVであり、脱ドープが進行するにつれて、陽極体6の25℃における仕事関数4.2eVに近づく。
(3)陰極部8の形成
上記(2)で得られた陽極体6の陰極形成部の表面に、無電解めっきによって、誘電体層7を覆うように銀のメッキ層を形成した。このようにして、銀のメッキ層を陰極部8として含むコンデンサ素子2を作製した。
(4)固体コンデンサの組み立て
上記(3)で得られたコンデンサ素子2の陰極部8と、陰極端子5の一端部とを導電性接着剤の接着層14で接合した。コンデンサ素子2から突出した陽極体6の一端部と、陽極端子4の一端部とをレーザー溶接により接合した。
次いで、モールド成形により、コンデンサ素子2の周囲に、絶縁性樹脂で形成された樹脂外装体3を形成した。このとき、陽極端子4の他端部と、陰極端子5の他端部とは、樹脂外装体3から引き出した状態とした。
このようにして、固体コンデンサ1(A1)を完成させた。上記と同様にして、固体コンデンサA1を合計20個作製した。
《固体コンデンサ(固体電解コンデンサ)B1》
(1)陽極体の準備
基材としてのアルミニウム箔(厚み:100μm)の両方の表面をエッチングにより粗面化することで、陽極体を作製した。
(2)誘電体層の形成
陽極体の他端部側の部分を、化成液に浸漬し、10Vの直流電圧を、20分間印加して、酸化アルミニウムを含む誘電体層を形成した。
(3)固体電解質層の形成
ピロールモノマーとp-トルエンスルホン酸とを含む水溶液を調製した。この水溶液中のモノマー濃度は、0.5mol/Lであり、p-トルエンスルホン酸の濃度は0.3mol/Lとした。
得られた水溶液に、上記(2)で誘電体層7が形成された陽極体6と、対電極とを浸漬し、25℃で、重合電圧1.0V(銀/塩化銀参照電極に対する重合電位)で電解重合を行うことにより、固体電解質層を形成した。
(4)陰極引出層の形成
上記(3)で得られた陽極体を、黒鉛粒子を水に分散した分散液に浸漬し、分散液から取り出し後、乾燥することにより、少なくとも固体電解質層の表面にカーボン層を形成した。乾燥は、130~180℃で10~30分間行った。
次いで、カーボン層の表面に、銀粒子とバインダ樹脂(エポキシ樹脂)とを含む銀ペーストを塗布し、150~200℃で10~60分間加熱することでバインダ樹脂を硬化させ、金属ペースト層を形成した。こうして、カーボン層と金属ペースト層とで構成される陰極引出層を形成し、固体電解質層と陰極引出層とで構成される陰極部を形成した。
上記のようにして、コンデンサ素子を作製した。
(5)固体コンデンサの組み立て
上記(4)で得られたコンデンサ素子を用いたこと以外は、固体コンデンサA1と同様にして、合計20個の固体コンデンサ(固体電解コンデンサ)(B1)を完成させた。
[評価]
固体コンデンサを用いて、下記の評価を行った。
(a)ショート不良
固体コンデンサに、1kΩの抵抗を直列につなぎ、直流電源にて5Vの定格電圧を2分間印加した後の漏れ電流(μA)を測定した。このときの漏れ電流が100μAを超える場合をショート不良と判断した。固体コンデンサA1およびB1のいずれについても、20個の固体コンデンサの全てで漏れ電流が100μA以下であり、ショート不良が抑制されていた。
(b)静電容量およびESR
20℃の環境下で、4端子測定用のLCRメータを用いて、各固体コンデンサの周波数120Hzにおける初期の静電容量(μF)を測定するとともに、周波数100kHzにおける初期のESR(mΩ)を測定した。そして、初期の静電容量および初期のESRのそれぞれについて20個の固体コンデンサにおける平均値を求めた。
次いで、145℃環境下で、固体コンデンサに定格電圧を504時間印加することにより加速試験を行った。加速試験を開始してから24時間後、48時間後、168時間後および504時間後において、静電容量およびESRのそれぞれを、初期の静電容量およびESRの場合と同様の手順で、20℃環境下で測定し、20個の固体コンデンサの平均値を求めた。加速試験における静電容量およびESRは、初期の静電容量およびESRのそれぞれを100%としたときの比率で表した。
加速試験における静電容量およびESRの変化をそれぞれ図2および図3に示す。図2および図3において、A1は実施例1であり、B1は比較例1である。図2に示されるように、B1では、試験時間が長くなるにつれて、静電容量が低下し、168時間後には初期の11%、504時間後には初期の9%にまで低下した。それに対し、A1では、試験時間が長くなっても静電容量の減少量は少なく、504時間後も初期の94%の静電容量を維持していた。図3に示されるように、B1では、試験時間が長くなるにつれて、ESRが増加し、504時間後には、初期の661%にまで増加した。それに対し、A1では、試験時間が長くなっても、ESRは低く抑えられており、504時間後も初期のESRの109%であった。
なお、固体コンデンサA1では、既述の手順により求められる誘電体層の導電率は、10-8S/m以下であった。また、固体コンデンサA1では、既述の手順で求められる25℃における誘電体層の仕事関数w2と陽極体6の仕事関数w1との差(=w2-w1)は、0.01eV以下であった。
本開示によれば、ショート不良が低減されるとともに耐熱性に優れる固体コンデンサおよびそれに用いる固体コンデンサ素子が提供される。よって、固体コンデンサ素子および固体コンデンサは、高い信頼性が求められる様々な用途に用いることができる。
1:固体コンデンサ、2:コンデンサ素子、3:樹脂外装体、4:陽極端子、5:陰極端子、6:陽極体、7:誘電体層、8:陰極部、13:分離部、14:接着層

Claims (8)

  1. 多孔質部を有する陽極体と、前記多孔質部に入り込んで前記多孔質部の一部を覆うように形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部と、を含み、
    前記誘電体層は、絶縁性樹脂を含み、
    前記陰極部は、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う金属層を含む、固体コンデンサ素子。
  2. 25℃における前記陽極体の仕事関数w1と前記誘電体層の仕事関数w2との差(w2-w1)は、0.1eV以下である、請求項1に記載の固体コンデンサ素子。
  3. 前記誘電体層は、共役系高分子を含む、請求項1または2に記載の固体コンデンサ素子。
  4. 前記誘電体層は、脱ドープされた導電性高分子成分を含み、
    脱ドープされる前の前記導電性高分子成分は、共役系高分子およびドーパントを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の固体コンデンサ素子。
  5. 前記共役系高分子は、ピロール化合物、チオフェン化合物、およびアニリン化合物からなる群より選択される少なくとも一種に対応するモノマー単位を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の固体コンデンサ素子。
  6. 前記誘電体層の20℃における導電率は、10-6S/m以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の固体コンデンサ素子。
  7. 前記誘電体層の厚さは、1μm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の固体コンデンサ素子。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の固体コンデンサ素子を少なくとも1つ含む、固体コンデンサ。
JP2021013741A 2021-01-29 2021-01-29 固体コンデンサ素子およびそれを含む固体コンデンサ Pending JP2022117180A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021013741A JP2022117180A (ja) 2021-01-29 2021-01-29 固体コンデンサ素子およびそれを含む固体コンデンサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021013741A JP2022117180A (ja) 2021-01-29 2021-01-29 固体コンデンサ素子およびそれを含む固体コンデンサ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022117180A true JP2022117180A (ja) 2022-08-10

Family

ID=82749519

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021013741A Pending JP2022117180A (ja) 2021-01-29 2021-01-29 固体コンデンサ素子およびそれを含む固体コンデンサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022117180A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI478189B (zh) 固體電解電容器及其製造方法
CN109478466B (zh) 电解电容器及其制造方法
US8482902B2 (en) Solid electrolytic capacitor element and manufacturing method therefor
EP1100097A1 (en) Solid electrolytic capacitor and process for producing the same
US20080310080A1 (en) Solid State Capacitors and Method of Manufacturing Them
WO2020153242A1 (ja) 電解コンデンサおよびその製造方法
JP3202668B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
WO2018221096A1 (ja) 電解コンデンサおよびその製造方法
JP4978827B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
WO2022044939A1 (ja) 固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサ
US11189429B2 (en) Electrolytic capacitor and method for manufacturing same
US20230360859A1 (en) Solid electrolytic capacitor element and solid electrolytic capacitor
US20230245836A1 (en) Solid electrolytic capacitor element and solid electrolytic capacitor
KR20010102031A (ko) 고체전해 콘덴서 및 그 제조방법
WO2023145644A1 (ja) 固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサ
WO2022220235A1 (ja) 電解コンデンサおよびその製造方法
JP7108811B2 (ja) 電解コンデンサおよびその製造方法
JP2022117180A (ja) 固体コンデンサ素子およびそれを含む固体コンデンサ
WO2022158350A1 (ja) 固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサ
US20230178306A1 (en) Solid electrolytic capacitor element and solid electrolytic capacitor
US20230105494A1 (en) Electrolytic capacitor and capacitor element
WO2024203051A1 (ja) 固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサ
WO2024203133A1 (ja) 固体電解コンデンサ素子およびその製造方法、ならびに固体電解コンデンサ
WO2024057931A1 (ja) 有機導電体用の添加剤
WO2024070142A1 (ja) 固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240111

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240910

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240917