JP2022116564A - 永久磁石埋込型モータ及びポンプ装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この永久磁石型モータでは、永久磁石にスキューを確保することで、外乱として作用するコギングトルクの低減を図るものであるが、複数の永久磁石が回転軸の軸線方向に多段に配置されるため、構造が複雑で、部品点数の増加、高コスト化を招く。
この永久磁石埋込型モータでは、複数の補助永久磁石をロータに埋設することでコギングトルクの低減を図るものであるが、主永久磁石の他に複数の補助永久磁石が必要になるため、構造が複雑で、部品点数の増加、高コスト化を招く。
一実施形態に係る永久磁石埋込型モータを備えたポンプ装置は、図1ないし図3に示すように、ハウジング本体1、ポンプカバー2、モータカバー3、基板カバー4、回転軸5、ポンプユニットU、駆動源としての永久磁石埋込型モータM、回路基板CB等を備えている。
永久磁石埋込型モータMは、図5及び図6に示すように、ステータコア20,ボビン30,及びコイル40を含むステータStと、ロータコア50及び永久磁石60を含むロータRtを備え、9つのスロット及び6つの磁極を有する三相のブラシレスモータである。
連通路1cは、永久磁石埋込型モータMの回転中心線Lを中心とする円筒状に形成され、回転軸5を所定の隙間をおいて挿通させる。
環状凹部1dは、リップ型シールLsが嵌め込まれるべく、回転中心線Lを中心とする円環状に形成されている。
環状凹部1eは、リップ型シールLsとの間にワッシャWを介在させて、回転軸5を回動自在に支持する軸受B1が嵌め込まれるべく、回転中心線Lを中心とする円環状に形成されている。
そして、ポンプカバー2は、ポンプユニットUが収容凹部1aに収容された状態で、ハウジング本体1の端面1fに接合されて、ネジb1により締結固定される。
貫通孔3aは、回転軸5の端部に固定された被検出ユニット5bを挿通させるように形成されている。
環状凹部3bは、円筒状の金属製ホルダ3eが嵌合固定されるべく、回転中心線Lを中心とする円環状に形成されている。金属製ホルダ3eは、回転軸5を回動自在に支持する軸受B2を嵌合させて保持する。
そして、モータカバー3は、ハウジング本体1の端面1gに接合され、外側から基板カバー4が接合され、ネジb2により締結されることで両者の間に固定される。
そして、回転軸5は、永久磁石埋込型モータMに含まれるロータコア50の軸孔55に嵌合されると共に連結部5aがポンプユニットUのインナーロータ11に連結され、又、リップ型シールLsにより外周がシールされ、軸受B1,B2により回動自在に支持されて、ロータRtの回転力をインナーロータ11に伝達するようになっている。
そして、被検出ユニット5bは、回転軸5すなわちロータRtの回転角度位置を検出する検出センサC1の検出対象として機能する。
インナーロータ11は、鋼又は焼結鋼等の材料を用いて、ハウジング本体1の収容凹部1aの底壁面とポンプカバー2の内壁面を摺動する端面を画定する略星形状に形成されている。インナーロータ11は、嵌合孔11a、5つの凸部(山)及び5つの凹部(谷)を備えたトロコイド曲線による歯形をもつ外歯車として形成されている。
嵌合孔11aは、回転軸5の連結部5aが嵌合されるように形成されている。
そして、インナーロータ11は、回転軸5により回転中心線Lを回転中心として、図1及び図2中の矢印A方向に回転する。
外周面12aは、収容凹部1aの内周面に接触して回転中心線Lから外れた軸線を中心として回動自在に支持される。
そして、アウターロータ12は、回転中心線Lを中心として回転するインナーロータ11の回転に連動しつつ、インナーロータ11よりも遅い速度で回転する。
インナーロータ11及びアウターロータ12により、流体を吸入口2aからポンプ室内に吸入して加圧しつつ吐出口2bから吐出するようになっている。
検出センサC1は、回転中心線Lを中心とする弧状に配列された3つのホール素子からなる。そして、検出センサC1は、回転軸5すなわちロータRtの回転方向における磁極位置(回転角度位置)を検出するようになっている。
ステータコア20は、磁性材料からなる鋼板を用いてプレス成形した後に積層した積層体として形成され、図6及び図7に示すように、円環状部21、円環状部21から中心(回転中心線L)に向けて突出すると共に周方向において等間隔で配列された突極としての9つのティース22、周方向において等間隔で配列された9つのスロット23を備えている。
9つのティース22は、回転中心線Lを中心として回転対称の同一形状に形成され、それぞれ、円弧面を画定する先端面22aを備えている。
9つの先端面22aは、所定の径寸法をなす円筒面上に配列され、ロータコア50の外周磁極部53の外周面53s)と所定の隙間をおいて対向するように配置される。
9つのスロット23は、回転中心線Lを中心として回転対称の同一形状に形成され、それぞれ、両側のティース22同士の間において、図10に示すように、開口幅寸法Swをなす開口23aを備えている。
コイル40は、ボビン30を介して、9つのティース22の周りにそれぞれ巻回された集中巻構造が採用され、三相に分けて電気的に接続されている。
ロータコア50は、図9に示すように、周方向に等間隔で配列された6つの挿着孔51、周方向に等間隔で配列された6つの溝状凹部52、周方向に等間隔で配列された6つの外周磁極部53、周方向に等間隔で配列された6つの充填孔54、回転軸5を嵌合させる軸孔55、周方向に等間隔で配列された6つの長孔56を備えている。
具体的には、挿着孔51は、垂直方向Pdに平行な2つの平面51a,51bと、垂直方向Pdの両端において溝状凹部52の壁部52aに倣って内側に突出する2つの凸状湾曲面51cを含むように形成されている。
挿着孔51が2つの凸状湾曲面51cを備えることにより、永久磁石60が挿着孔51に挿入された際に、両側に空隙Gを設けつつも、永久磁石60の垂直方向Pdへのずれを抑制ないし防止することができる。
そして、溝状凹部52は、磁力線の漏れ及び短絡を抑制ないし防止するフラックスバリアとして機能すると共に、永久磁石60を挿着孔51に組み付ける際に、ロータコア50を位置決めする治具を挿入する位置決め部の役割もなす。
ここで、壁部52aの肉厚寸法は、機械的強度上の許容範囲内で比較的に薄く形成されているため、隣り合う永久磁石60,60同士で磁力線が短絡するのを抑制ないし防止することができる。
一対のスリット孔53a,53aは、直線DLに対して線対称であり、外周磁極部53の周方向における両端側から中央(直線DL)側に亘って延びるように形成されている。
外周面53sは、外周磁極部53の表面領域であり、外周輪郭50aを画定する円筒状の湾曲面、すなわち、外周輪郭50aの外径寸法をDとするとき、2/Dの曲率をなす湾曲面をなし、ティース22の先端面22aと所定の隙間をおいて対向する。
すなわち、永久磁石60が挿着孔51に挿入された後に、充填孔54に接着剤が充填されることにより、永久磁石60の径方向内側を向く面と挿着孔51の平面51bとが接着される。
長孔56は、軸孔55の径方向外側において、直線DLに対して傾斜した方向に伸長するように形成されている。そして、長孔56は、回転軸5が軸孔55に嵌合される際に、突起55aの周辺領域の弾性変形を許容する。これにより、回転軸5の嵌合作業をスムーズに行うことができる。
また、一つの外周磁極部53に対応して平板状の単純形態をなす一つの永久磁石60が配置されるため、一つの外周磁極部53に対応して湾曲形状をなす永久磁石が配置される構成や、一つの外周磁極部53に対応して複数個の永久磁石が配置される構成に比べて、構造の簡素化、低コスト化を達成することができる。
このように設定されることにより、外周磁極部53を通る磁力線が、外周磁極部53の両側から漏れるのを抑制しつつ、外周磁極部53の中央(直線DL)側に集めることができる。
特に、Pw:Mw=1:1.3~1.7の関係を満たすように設定されるのが好ましい。これにより、コギングトルクを低減しつつ、回転トルクに寄与する有効磁束を増加させることができる。
図11及び図12は、ロータコア50に一対のスリット孔53a,53aを設けない比較例における磁力線分布図であり、図13及び図14は、ロータコア50に一対のスリット孔53a,53aを設けた実施例における磁力線分布図である。
そこで、図11に示す状態から図12に示すように、ロータRtを反時計回りに回転角5°だけ回転させると、左側のティース22を流れる磁力線の数よりも右側のティース22を流れる磁力線の数が少なくなる。
その結果、磁気的に安定な状態に戻ろうとして、ロータRtを時計回りに回転させようとするコギングトルクが生じる。また、比較例においては、図11及び図12に示されるように、外周磁極部53の両端側から中央のティース22を経由して比較的多くの磁力線が隣り合う外周磁極部53,53同士で短絡している。
そこで、図13に示す状態から図14に示すように、ロータRtを反時計回りに回転角5°だけ回転させると、図12に示す比較例に比べて、右側のティース22を流れる磁力線の数が増加し、左側のティース22を流れる磁力線の数に近づく。
その結果、磁気的に安定な状態に戻ろうとして、ロータRtを時計回りに回転させようとするコギングトルクは、比較例に比べて小さくなる。
また、実施例においては、図13及び図14に示されるように、比較例に比べて、外周磁極部53の両端側から中央のティース22を経由して隣り合う外周磁極部53,53同士で短絡する磁力線の数が減少している。その結果、回転トルクに効果的な有効磁束を増加させることができる。
図15に示される結果から明らかなように、一対のスリット孔53a,53aを設けた実施例によれば、スリット孔を設けない比較例のコギングトルクに対して、コギングトルクを1/2程度に低減することができる。
また、上記構成をなす永久磁石埋込型モータMがポンプ装置の駆動源として適用された場合、振動や騒音の少ないポンプ装置を得ることができる。さらに、このようなポンプ装置が、自動車等におけるオイルの供給及び循環のために適用された場合、自動車における振動や騒音を低減することができる。
尚、上記構成をなす永久磁石埋込型モータMの動作については、従来の永久磁石埋込型モータと同様であるため、ここでの説明は省略する。
この実施形態において、ロータコア50は、6つの挿着孔51、6つの溝状凹部52、6つの外周磁極部53、6つの充填孔54、軸孔55、6つの長孔56を備えている。外周磁極部53は、一対のスリット孔153a,153aと、外周面53sを備えている。
すなわち、この実施形態に係る永久磁石埋込型モータMにおいても、構造の簡素化、低コスト化を達成しつつ、コギングトルクを低減することができる。
この実施形態において、ロータコア50は、6つの挿着孔151、6つの溝状凹部152、6つの外周磁極部53、6つの充填孔54、軸孔55、6つの長孔56を備えている。外周磁極部53は、一対のスリット孔53a,53aと、外周面53sを備えている。
具体的には、挿着孔151は、垂直方向Pdに平行な2つの平面151a,151bと、垂直方向Pdの両端において外向きに突出する2つの凹状湾曲面151cを含むように形成されている。
ここで、永久磁石60が挿着孔151に配置された状態で、永久磁石60の垂直方向Pdにおける両側には、前述の空隙Gよりも大きい空隙G1を設けることができ、溝状凹部152と協働して磁力線の短絡や漏れを抑制ないし防止することができる。
そして、溝状凹部152は、前述の溝状凹部52と同様に、磁力線の漏れ及び短絡を抑制ないし防止するフラックスバリアとして機能すると共に、永久磁石60を挿着孔151に組み付ける際に、ロータコア50を位置決めする治具を挿入する位置決め部の役割もなす。ここで、壁部152aの肉厚寸法は、機械的強度上の許容範囲内で比較的に薄く形成されているため、隣り合う永久磁石60,60同士で磁力線が短絡するのを抑制ないし防止することができる。
すなわち、この実施形態に係る永久磁石埋込型モータMにおいても、構造の簡素化、低コスト化を達成しつつ、コギングトルクを低減することができる。
この実施形態において、ロータコア50は、6つの挿着孔151、6つの溝状凹部152、6つの外周磁極部53、6つの充填孔54、軸孔55、6つの長孔56を備えている。外周磁極部53は、一対のスリット孔153a,153aと、外周面53sを備えている。
一対のスリット孔153a,153a、挿着孔151、溝状凹部152は、前述の通りであるため、この実施形態に係る永久磁石埋込型モータMにおいても、構造の簡素化、低コスト化を達成しつつ、コギングトルクを低減することができる。
この実施形態において、ロータコア50は、6つの挿着孔151、6つの溝状凹部152、6つの外周磁極部53、6つの充填孔54、軸孔55、6つの長孔56を備えている。外周磁極部53は、一対のスリット孔253a,253aと、外周面53sを備えている。
また、一対のスリット253a,253aは、挿着孔151に連通しないで閉じているため、その分だけ機械的強度を高めることができ、永久磁石60を堅固に保持することができる。
すなわち、この実施形態に係る永久磁石埋込型モータMにおいても、構造の簡素化、低コスト化を達成しつつ、コギングトルクを低減することができる。
しかしながら、上記構成に限定されるものではなく、ロータの磁極の個数が2n(nは自然数)で、かつ、ステータのティース及びスロットの個数がそれぞれ3n(nは自然数)の条件を満たす他の構成をなす永久磁石埋込型モータにおいても、同様に本発明を適用することができる。
2a 吸入口
2b 吐出口
5 回転軸
11 インナーロータ(トロコイドポンプ)
12 アウターロータ(トロコイドポンプ)
M 永久磁石埋込型モータ(駆動源)
L 回転中心線
St ステータ
20 ステータコア
22 ティース
Tw ティースの先端幅寸法
23 スロット
23a スロットの開口
Sw スロットの開口幅寸法
40 コイル
Rt ロータ
50 ロータコア
50a 外周輪郭
DL 直線(径方向)
Pd ロータの径方向に対して垂直方向
51 挿着孔
51c 凸状湾曲面
52 溝状凹部
53 外周磁極部
53a 一対のスリット孔
54 充填孔
60 永久磁石
G,G1 空隙
151 挿着孔
152 凹状溝部
153a 一対のスリット孔
253a 一対のスリット孔
Claims (12)
- 周方向に配列されたティース及びスロットを有する環状のステータコア,前記ティースの周りに巻回されたコイルを含むステータと、
前記ステータのティースに対向して配置されると共に周方向に配列された挿着孔を有するロータコア,前記挿着孔に挿着された永久磁石を含むロータと、を備え、
前記ロータコアは、前記永久磁石に対応する磁極を生じる外周磁極部を画定するべく周方向において前記挿着孔同士の間に形成された溝状凹部と、前記挿着孔よりも径方向の外側において前記外周磁極部の周方向における両端側から中央側に亘って延びる一対のスリット孔を含む、
ことを特徴とする永久磁石埋込型モータ。 - 前記挿着孔は、前記ロータの径方向に対して垂直方向に長尺な断面形状をなし、
前記永久磁石は、前記垂直方向に長尺な矩形断面をなす平板状であり、前記垂直方向の両端に空隙を設けて前記挿着孔に挿着されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁石埋込型モータ。 - 前記溝状凹部は、半円状断面の空隙をなすように形成され、
前記挿着孔は、前記ロータの径方向に対して垂直方向に長尺な断面形状でかつ前記垂直方向の両端において前記溝状凹部の壁部に倣って内側に突出する凸状湾曲面をなし、
前記永久磁石は、前記垂直方向に長尺な矩形断面をなす平板状であり、前記垂直方向の両端に空隙を設けて前記挿着孔に挿着されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁石埋込型モータ。 - 前記一対のスリット孔の離隔寸法をPw、前記永久磁石の前記垂直方向における幅寸法をMwとするとき、Pw<Mwを満たす、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の永久磁石埋込型モータ。 - 前記一対のスリット孔の離隔寸法をPw、前記永久磁石の前記垂直方向における幅寸法をMwとするとき、
Pw:Mw=1:1.3~1.7の関係を満たす、
ことを特徴とする請求項2ないし4いずれか一つに記載の永久磁石埋込型モータ。 - 前記一対のスリット孔は、前記外周磁極部の周方向における両端側から中央側に向けて進むに連れて挿着孔から徐々に遠ざかるように傾斜して形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか一つに記載の永久磁石埋込型モータ。 - 前記一対のスリット孔は、前記外周磁極部の周方向における両端側において、前記挿着孔に連通するように形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一つに記載の永久磁石埋込型モータ。 - 前記ティースの先端幅寸法をTw、前記スロットの開口幅寸法をSw、前記一対のスリット孔の離隔寸法をPwとするとき、
Tw:Sw:Pw=4.5~6.5:1~3:4.5~6.5の関係を満たす、
ことを特徴とする請求項1ないし7いずれか一つに記載の永久磁石埋込型モータ。 - 前記ロータコアは、前記挿着孔よりも径方向の内側において、前記挿着孔に連通して形成され接着剤を充填する充填孔を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし8いずれか一つに記載の永久磁石埋込型モータ。 - 前記ロータの磁極の個数は、2n(nは自然数)であり、
前記ステータのティース及びスロットの個数は、それぞれ3n(nは自然数)である、
ことを特徴とする請求項1ないし9いずれか一つに記載の永久磁石埋込型モータ。 - 流体の吸入及び吐出を行うポンプユニットと、
前記ポンプユニットに連結された回転軸と、
前記回転軸に駆動力を及ぼす駆動源と、を備えたポンプ装置であって、
前記駆動源は、請求項1ないし10いずれか一つに記載の永久磁石埋込型モータである、
ことを特徴とするポンプ装置。 - 前記ポンプユニットは、前記回転軸が連結されるインナーロータと、前記インナーロータと噛合うアウターロータを含むトロコイドポンプである、
ことを特徴とする請求項11に記載のポンプ装置。
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