JP2022115222A - 波長変換部材及びそれを備える光源装置 - Google Patents

波長変換部材及びそれを備える光源装置 Download PDF

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Shohei Takahisa
慎二 坂
Shinji Saka
弘樹 山内
Hiroki Yamauchi
裕貴 竹内
Hirotaka Takeuchi
洋介 八谷
Yosuke Yatsuya
利之 桜井
Toshiyuki Sakurai
智雄 田中
Tomoo Tanaka
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Abstract

Figure 2022115222000001
【課題】蛍光体の表面に凹部がある場合においても、その表面に成膜した光学膜などの膜が剥離することを抑制する技術を提供する。
【解決手段】
波長変換部材1は、励起光L1によって蛍光を発する蛍光体10であって、第1面11と、第1面11と対向する第2面12とを有し、且つ、内部に分散された複数のポア13を有する蛍光体10と、第3面21と第3面21に対向する第4面22とを有する光学膜20と、を備えている。そして、蛍光体10の第2面12は、光学膜20の第3面と当接する当接部15と、光学膜20の第3面21と当接しておらず第3面21と対向する複数の凹部14と、を備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、波長変換部材及びそれを備える光源装置に関する。
従来、複数の気孔(以下、ポアという)を有する蛍光体と、ポアによって蛍光体の表面に生じた凹部を封孔するように、蛍光体の表面にコーティングされた光学膜とを備える波長変換部材が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2019-164258号公報
本発明者らは、蛍光体表面の凹部を封孔するように光学膜等の膜でコーティングした場合において、後述のように膜に残留する応力の向きが多方向になり、その結果、膜が蛍光体表面から剥離しやすくなることを見出した。
本発明の目的は、蛍光体の表面に凹部がある場合においても、その表面に成膜した光学膜などの膜が剥離しやすくなることを抑制する技術を提供することである。
本発明の態様に従えば、励起光によって蛍光を発する蛍光体であって、第1面と、 前記第1面と対向する第2面とを有し、且つ、内部に分散された複数の空洞を有する蛍光体と、
第3面と前記第3面に対向する第4面とを有する膜と、を備え、
前記蛍光体の前記第2面は、
前記膜の前記第3面と当接する当接部と、
前記膜の前記第3面と当接しておらず前記第3面と対向する複数の第1凹部と、を備えることを特徴とする波長変換部材が提供される。
上記態様において、第1凹部が膜の第3面と当接しておらず、且つ、第1凹部が膜の第3面と対向する場合には、当該第1凹部と膜の第3面との間には空隙が形成されている。このような場合には、膜の内部に残る応力は、膜の面方向を向いている。膜の内部に残る応力が面方向を向くように、第1凹部と膜の第3面との間に空隙を形成することにより、第1凹部が膜によって完全に充填されている場合と比べて、膜の剥離強度を向上させることができる。
図1は、光源装置100の概略図である。 (a)は凹部14に空隙16が形成された状態で光学膜20が成膜されている状態を示す概略図であり、(b)は凹部14が完全に充填された状態で光学膜20が成膜されている状態を示す概略図である。なお、図中に示される矢印は応力の向きを表している。 図3は、波長変換部材1の製造方法を示すフローチャートである。 図4は、実施例1~5及び比較例における評価試験の結果をまとめた表である。
<光源装置100>
本発明の実施形態に係る光源装置100について説明する。なお、以下の説明においては、光源装置100が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向5(本開示の第1方向に対応)が定義される。図1に示されるように、本実施形態に係る光源装置100は、波長変換部材1と、光源2とを備える。光源2は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)又は半導体レーザ(LD:Laser Diode)であり、所定の波長領域の光L1を発する。波長変換部材1は、後述の蛍光体10を含んでいる。蛍光体10は光L1が入射されると、光L1とは別の波長の光を蛍光として放出する。波長変換部材1において、蛍光体10が発する蛍光は、蛍光体10での蛍光の発生に寄与しなかった光L1とともに、光L2として、所定の方向に放射される。本実施形態の光源装置100は、図1に示すように、反射型の光源装置であって、ヘッドランプ、照明、プロジェクタなどの各種光学機器において使用される。
図1に示されるように、波長変換部材1は、蛍光体10と、光学膜20と、接合層30と、放熱部材40とを備える。蛍光体10、光学膜20、接合層30及び放熱部材40は、この順に上下方向に積層される。
蛍光体10は板状のセラミック焼結体であり、蛍光性を有する結晶粒子を含む蛍光相と、透光性を有する結晶粒子を含む透光相とを備えている。以下の説明において、蛍光体10の上面(光学膜20と反対側の面)を第1面11と呼び、蛍光体10の下面(光学膜20と対向する面)を第2面12と呼ぶ。蛍光体10の蛍光相は、第1面11から入射する光L1を吸収し、異なる波長の光を放出する。言い換えると、蛍光体10の蛍光相は、第1面11から入射する光L1を励起光として、励起光と異なる波長の蛍光を発する。
透光相の結晶粒子は、化学式Alで表される組成を有し、蛍光相の結晶粒子は、化学式A12:Ceで表される組成(いわゆる、ガーネット構造)を有することが好ましい。なお、「A12:Ce」とは、A12の中にCeが固溶し、元素Aの一部がCeに置換されていることを示す。
化学式A12:Ce中の元素Aおよび元素Bは、それぞれ下記の元素群から選択される少なくとも1種類の元素から構成されている。
元素A:Sc、Y、Ceを除くランタノイド(ただし、元素AとしてさらにGdを含んでいてもよい)
元素B:Al(ただし、元素BとしてさらにGdを含んでいてもよい)
蛍光体10として、セラミック焼結体を使用することで、蛍光相と透光相との界面で光が散乱し、光の色の角度依存性を減らすことができる。これにより、色の均質性を向上することができる。
図1に示されるように、蛍光体10の内部には、複数の空隙13(以下、ポア13と呼ぶ)が含まれている。さらに、蛍光体10の第1面11及び第2面12には、ポア13が表面に露出することによって生じた凹部14が形成されている。ポア13は、蛍光相と透光相に囲まれて形成された略球形の空隙であり、蛍光体10の内部においてほぼ均一に分散している。また、複数のポア13は、ほぼ均一な直径(以下、ポア径と呼ぶ)を有する。これは、後述する蛍光体10の製造方法において、ポア13のもととなる造孔材の粒径が揃えられていることと、造孔材が原料内で十分に分散されていることに起因する。
ポア13は蛍光相と透光相とに囲まれているので、一定の割合で蛍光相の表面がポア13に露出している。ポア13の屈折率は、透光相の屈折率より小さいので、ポア13の屈折率と蛍光相の屈折率との差は、透光相の屈折率と蛍光相の屈折率との差よりも大きくなる。そのため、蛍光体10の内部を進む光は、ポア13において、ポア13に露出する蛍光相の表面で全反射されやすくなる。そのため、蛍光体10の内部に複数のポア13を分散させることにより、蛍光体10の外部に放射される光量を増やすことができ、光の取り出し効率を向上させることができる。なお、後述のように蛍光体10を製造する際に、ポア13のもととなる造孔材の粒径を適宜に設定することにより、ポア径の平均を適宜の値に調整することができる。発明者らの知見によれば、ポア径の平均を0.1~10μmの範囲に調整することにより、ポア13による可視光の反射率を高めることができる。
図1に示されるように、蛍光体10の第2面12の下方には、光学膜20が積層されている。以下の説明において、光学膜20の、蛍光体10の第2面12と対向する面を第3面21と呼び、第3面21と反対側の面を第4面22と呼ぶ。後述のように、光学膜20は蛍光体10を透過した光、及び蛍光体10で発生した光を反射する反射膜として機能することができる。光学膜20は、例えば、銀、アルミニウムなどの金属膜であってもよく、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化ランタン、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム、酸化タングステン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素などの酸化物膜であってもよい。なお、光学膜20は、上述した材料からなる単層膜であってもよいし、同種または異なる材料からなる多層膜であってもよい。例えば、図1に示されるように、光学膜20は、酸化チタン(TiO)層及び酸化ケイ素(SiO)層の2層の膜を有する酸化物膜23と、酸化物膜23の下方に積層された銀(Ag)の膜である金属膜25とを備えることができる。この場合には、酸化物膜23は、酸化チタン(TiO)層と酸化ケイ素(SiO)層との屈折率の違いによって蛍光体10の内部の光を反射する増反射膜として機能する。また、酸化物膜23を設けることにより、光学膜20の、蛍光体10の第2面12に対する密着性を向上させることができる。つまり、酸化物膜23は密着膜として機能する。金属膜25は、酸化物膜23を透過した蛍光体10の内部の光を反射する反射膜として機能する。
接合層30は、光学膜20と放熱部材40との間に配置され、金(Au)と錫(Sn)を含むAuSn半田から形成されている。接合層30は、蛍光体10と放熱部材40とを接合するとともに、蛍光体10で発生する熱を放熱部材40に伝える。
放熱部材40は、例えば、銅、銅モリブデン合金、銅タングステン合金、アルミニウム、窒化アルミニウムなど、蛍光体10よりも高い熱伝導性を有する材料から形成されている平板状の部材である。放熱部材40は、接合層30を通して伝わる蛍光体10の熱を外部に放熱する。
<蛍光体10と光学膜20との界面について>
次に蛍光体10と光学膜20との界面について説明する。図2(a)に示されるように、蛍光体10の第2面12には、ポア13が第2面12に露出することによって生じた複数の凹部14が形成されている。上述のように、蛍光体10の第2面12には光学膜20が成膜されている。蛍光体10の第2面12の、凹部14が形成されていない部分(以下、当接部15と呼ぶ)は、光学膜20の第3面21と当接している。しかしながら、図2(a)に示されるように、複数の凹部14のうち少なくとも一部の凹部14は、光学膜20によって完全に充填されているわけではない。つまり、蛍光体10の第2面12の複数の凹部14のうち、少なくとも一部の凹部14は光学膜20の第3面21と当接しておらず、当該凹部14と光学膜20の第3面21との間には空隙16が形成されている。
凹部14と光学膜20の第3面21との間に空隙16が形成されている場合には、光学膜20の内部に残る応力は、光学膜20の面方向を向いている(図2(a)参照)。これに対して、複数の凹部14が光学膜20によって完全に充填されている場合には、光学膜20の内部に残る応力が多方向を向くことになる(図2(b)参照)。このように、光学膜20の内部に残る応力が面方向を向くように、凹部14と光学膜20の第3面21との間に空隙16が形成することにより、凹部14が光学膜20によって完全に充填されている場合と比べて、光学膜20の剥離強度を強くすることができる。
<波長変換部材1の製造方法>
波長変換部材1の製造方法について、図3を参照しつつ説明する。まず、蛍光相と透光相が6:4となるように原料を秤量する(S11)。次に、秤量した原料をエタノールとともにボールミルに投入し、16時間粉砕混合を行う(S12)。次に、粉砕混合を行うことによって得られたスラリーを乾燥し、造粒した後、造孔剤と、バインダーと、水とを加える(S13)。次に、せん断力を加えながら混練を行うことで坏土を作製し、これを押出成形機でシート状に成形する(S14)。次に、作製した成形体を大気雰囲気中で1700℃で焼成する(S15)。得られた焼成体を厚さ250μmに切断し、表面に鏡面加工を施すことによって蛍光体10を作製する。
次に、得られた蛍光体10を有機溶剤の中に入れて真空脱泡を行う(S16)。次に、蛍光体10の第2面12に光学膜20(酸化物膜23及び/又は金属膜25)を成膜した。光学膜20の成膜は、成膜分子(又は成膜原子)を蛍光体10の第2面12に衝突させて、第2面12で拡散させることにより行われた。真空脱泡を行った後の蛍光体10においては、第2面12にある凹部14の表面に水分が残存している。残存した水分が成膜分子の吸着を妨げるため、凹部14の表面に成膜分子が吸着することが抑制される。これにより、凹部14に空隙16が形成された状態で、第2面12に光学膜20を成膜することができる。そして、第2面12に光学膜20が成膜された蛍光体10を300℃に加熱する(S17)。
さらに、第2面12に光学膜20が成膜された蛍光体10と放熱部材40との間に、接合層30としてAuSn半田箔を挟んだ状態でリフロー炉に投入し、波長変換部材1と放熱部材40とを接合する(S18)。これにより、蛍光体10と放熱部材40の接合体である波長変換部材1が製造される。
以下、本発明について実施例及び比較例を用いて更に説明する。但し、本発明は、以下に説明する実施例及び比較例に限定されない。
[実施例1]
実施例1では、上述の製造方法で波長変換部材1を製造する際に、造孔剤として粒径約0.08μmのアクリルビーズを用いた。また、光学膜20として、酸化チタン層及び酸化ケイ素層の2層の膜を有する酸化物膜23(厚さ約30nm~50nm)と銀の膜である金属膜25(厚さ約100nm)を成膜した。
<評価項目>
1.断面観察
蛍光体10と放熱部材40の接合体を切断し、断面をSEMで観察した。蛍光体10の第2面12と光学膜20の第3面21との界面において、凹部14に空隙16が形成された状態で、第2面12に酸化物膜23及び金属膜25が成膜されていることを確認した。なお、酸化物膜23及び金属膜25の、上下方向5において凹部14と重なる部分は、上側に向かって(蛍光体10に向かって)凹むように湾曲していた。
さらに、断面のうち、任意に選択した5ヶ所の位置において、視野15μmの範囲にある凹部14の数を計上し、そのうちいくつの凹部14に空隙16が形成されているかを計上した。本実施例では、70%以上の凹部14に空隙16が形成されていることが確認された。また、断面のうち、任意に選択した5ヶ所の位置において、SEMで観察することにより得られた画像からポア径を算出した。ポア径の算出には、画像解析ソフトウェアであるWinROOFを用いた。この際、円相当径としてポア径を算出した。本実施例では、算出されたポア径は約0.08μmであった。
2.剥離強度評価
蛍光体10と放熱部材40との接合体である波長変換部材1について、せん断強度試験を行った。せん断強度試験では、剥離強度を徐々に上げていき、蛍光体10が剥離したときの応力を評価した。本実施例では、応力の相対値が100のときに蛍光体10が剥離した。
3.レーザー照射試験
蛍光体10の発熱に対する波長変換部材1の耐性を調べるために、青色レーザー(波長450nm、最大出力20W)の出力を上げていき、蛍光体10と放熱部材40とが剥がれたときの青色レーザーの出力を評価した。実施例1では、青色レーザーの出力の相対値が100のときに蛍光体10と放熱部材40とが剥がれた。なお、光学膜20(酸化物膜23及び金属膜25)の熱による劣化は認められなかった。
[実施例2]
実施例2では、上述の製造方法で波長変換部材1を作製する際に、造孔剤として粒径約0.1μmのアクリルビーズを用いた。光学膜20は実施例1と同じである。
断面観察において、70%以上の凹部14に空隙16が形成されていることが確認された。実施例1と同様の手順でポア径を算出したところ、ポア径の大きさは約0.1μmであった。また、光学膜20(酸化物膜23及び金属膜25)の、上下方向5において凹部14と重なる部分は、上側に向かって(蛍光体10に向かって)凹むように湾曲していた。剥離強度試験において、応力の相対値が115のときに蛍光体10が剥離した。レーザー照射試験において、青色レーザーの出力の相対値が110のときに蛍光体10と放熱部材40とが剥がれた。なお、光学膜20の熱による劣化は認められなかった。
[実施例3]
実施例3では、上述の製造方法で波長変換部材1を作製する際に、造孔剤として粒径約5μmのアクリルビーズを用いた。光学膜20は実施例1と同じである。
断面観察において、70%以上の凹部14に空隙16が形成されていることが確認された。実施例1と同様の手順でポア径を算出したところ、ポア径の大きさは約5μmであった。また、光学膜20(酸化物膜23及び金属膜25)の、上下方向5において凹部14と重なる部分は、上側に向かって(蛍光体10に向かって)凹むように湾曲していた。剥離強度試験において、応力の相対値が120のときに蛍光体10が剥離した。レーザー照射試験において、青色レーザーの出力の相対値が115のときに蛍光体10と放熱部材40とが剥がれた。なお、光学膜20の熱による劣化は認められなかった。
[実施例4]
実施例4では、上述の製造方法で波長変換部材1を作製する際に、造孔剤として粒径約10μmのアクリルビーズを用いた。光学膜20は実施例1と同じである。
断面観察において、70%以上の凹部14に空隙16が形成されていることが確認された。実施例1と同様の手順でポア径を算出したところ、ポア径の大きさは約10μmであった。また、光学膜20(酸化物膜23及び金属膜25)の、上下方向5において凹部14と重なる部分は、上側に向かって(蛍光体10に向かって)凹むように湾曲していた。剥離強度試験において、応力の相対値が115のときに蛍光体10が剥離した。レーザー照射試験において、青色レーザーの出力の相対値が110のときに蛍光体10と放熱部材40とが剥がれた。なお、光学膜20の熱による劣化は認められなかった。
[実施例5]
実施例5では、上述の製造方法で波長変換部材1を作製する際に、造孔剤として粒径約0.08μmのアクリルビーズを用いた。光学膜20として、銀の膜である金属膜25(厚さ約100nm)を成膜した。
断面観察において、70%以上の凹部14に空隙16が形成されていることが確認された。実施例1と同様の手順でポア径を算出したところ、ポア径の大きさは約0.08μmであった。また、光学膜20(金属膜25)の、上下方向5において凹部14と重なる部分は、上側に向かって(蛍光体10に向かって)凹むように湾曲していた。剥離強度試験において、応力の相対値が105のときに蛍光体10が剥離した。レーザー照射試験において、青色レーザーの出力の相対値が105のときに蛍光体10と放熱部材40とが剥がれた。なお、光学膜20の熱による劣化は認められなかった。
[比較例]
本比較例では、上述の製造方法で波長変換部材1を作製する際に、造孔剤として粒径約0.08μmのアクリルビーズを用いた。光学膜20として、フッ素樹脂膜(厚さ約50nm)と銀の膜である金属膜(厚さ約100nm)を成膜した。
断面観察において、全ての凹部14おいて空隙が形成されておらず、全ての凹部14にフッ素樹脂が完全に充填されていること確認された。剥離強度試験において、応力の相対値が90のときに蛍光体10が剥離した。レーザー照射試験において、青色レーザーの出力の相対値が80のときに蛍光体10と放熱部材40とが剥がれた。また、蛍光体10と放熱部材40とが剥がれたとき、光学膜20のフッ素樹脂膜が熱により劣化していることが確認された。
<実施例及び比較例のまとめ>
図4は、上述の実施例1~5及び比較例における評価試験の結果をまとめた表を示している。実施例1~5と比較例とを比較して分かるように、全ての凹部14が光学膜20によって完全に充填されている場合には、凹部14に空隙16が形成された状態で光学膜20が成膜されている場合と比べて、蛍光体10の(物理的な)剥離強度が低下するだけでなく、波長変換部材1の耐熱性が著しく低下することが分かった。また、実施例1~5のように、光学膜20として酸化物膜23及び/又は金属膜25を用いている場合には、レーザー照射試験の後でも熱による劣化は認められなかった。
<実施形態の作用効果>
上記実施形態において、波長変換部材1は、励起光L1によって蛍光を発する蛍光体10であって、第1面11と、第1面11と対向する第2面12とを有し、且つ、内部に分散された複数のポア13を有する蛍光体10と、第3面21と第3面21に対向する第4面22とを有する光学膜20と、を備えている。そして、蛍光体10の第2面12は、光学膜20の第3面と当接する当接部15と、光学膜20の第3面21と当接しておらず第3面21と対向する複数の凹部14と、を備えている。
凹部14が光学膜20の第3面21と当接しておらず、且つ、凹部14が光学膜20の第3面21と対向している場合には、当該凹部14と光学膜20の第3面21との間には空隙16が形成されている。凹部14と光学膜20の第3面21との間に空隙16が形成されている場合には、光学膜20の内部に残る応力は光学膜20の面方向を向いている(図2(a)参照)。光学膜20の内部に残る応力が面方向を向くように、凹部14と光学膜20の第3面21との間に空隙16を形成することにより、凹部14が光学膜20によって完全に充填されている場合と比べて、光学膜20の剥離強度を向上させることができる。
上記実施形態に係る波長変換部材1において、ポア径の平均を0.1μm~10μmにすることができる。この場合には上述のように、ポア13による光の反射率を高めることができる。また、実施例1と、実施例2~4を比較して分かるように、ポア径の平均が0.1μm~10μmである場合には、ポア径の平均が0.08μmである場合と比べて、蛍光体10の剥離強度と波長変換部材1の耐熱性とをともに向上させることができる。
上記実施形態に係る波長変換部材1において、実施例1~5のように、蛍光体10の第2面12と当接する光学膜20を、酸化物膜23又は金属膜25にすることができる。実施例1~5のように、蛍光体10の第2面12と当接する光学膜20として酸化物膜23又は金属膜25を用いる場合には、レーザー照射試験の後でも熱による劣化は認められず、光学膜20の耐熱性能を向上させることができる。
上記実施形態に係る波長変換部材1において、光学膜20の、上下方向5において凹部14と重なる部分は、上側に向かって(蛍光体10に向かって)凹むように湾曲している(図2(a)参照)。このように光学膜20の、上下方向5において凹部14と重なる部分が湾曲している場合には、上下方向5と垂直な方向に応力が働いて光学膜20が平らになるように引っ張られたとしても、光学膜20の上下方向5において凹部14と重なる部分が応力を緩和する働きをするので、光学膜20に穴が開いて破損することが抑制される。
上記実施形態に係る波長変換部材1において、光学膜20は、蛍光体10の内部の光を反射する反射膜(例えば、金属膜25)を備えることができる。この場合には、図1に示すように、蛍光体10において光L2が放射される方向とは異なる方向に放射される光(例えば、下側に向かって進む光)は、反射膜20によって上側に反射されるため、波長変換部材1から放射される光量を増加することができる。
上記実施形態に係る波長変換部材1は、蛍光体10の熱を外部に放出する放熱部材40を備える。これにより、蛍光体10において、励起光によって蛍光を発するときに発生する熱を効率的に外部に放出することができるため、蛍光体10の温度上昇による消光を抑制することができる。したがって、波長変換部材1から放射される光量の低減を抑制することができる。
上記実施形態において、光源装置100は、蛍光体10に光L1を照射する光源2を備えている。上述のように凹部14と光学膜20の第3面21との間に空隙16を形成することにより、凹部14が光学膜20によって完全に充填されている場合と比べて、光学膜20の剥離強度を向上させることができる。これにより、光学膜20の熱的な耐性を向上させることができるため、蛍光体10に入射する光L1の輝度を上げることが可能となり、光源装置100の発光強度を向上することができる。
<変更形態>
上述の実施形態は、あくまで例示に過ぎず、適宜変更しうる。例えば、蛍光体10及び光学膜20の材料は、上述の材料に限定されず、適宜の材料を用いることができる。接合層30は、金と錫から形成されるAuSn半田に限られず、他の材料から形成される半田であってもよいし、銀や銅(Cu)などの微細粉末を焼結したものであってもよい。放熱部材40は、上述した材料からなる単層構造の部材であってもよいし、同種または異なる材料から形成されている多層構造の部材であってもよい。放熱部材40の表面を金、ニッケルなどでメッキしてもよい。なお、放熱部材40の上面(蛍光体10側の面)に、接合層30との密着性を高める金属膜を配置することができる。
また、ポア13のポア径の平均は、上記実施例に示された範囲内に限られず、適宜調整しうる。また、蛍光体10、光学膜20、接合層30及び放熱部材40の厚さ及び/又は形状は上記の説明に限定されず、任意に設定しうる。
上述の実施形態では、光源装置100は、反射型の光源装置であった。しかしながら、波長変換部材1は、透過型の光源装置に適用されてもよい。
以上、発明の実施形態及びその変更形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることが当業者に明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが請求の範囲の記載からも明らかである。
明細書、及び図面中において示した製造方法における各処理の実行順序は、特段に順序が明記されておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるので無い限り、任意の順序で実行しうる。便宜上、「まず、」「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するわけではない。
1 波長変換部材
10 蛍光体
20 光学膜
23 酸化物膜
25 金属膜
30 接合層
40 放熱部材

Claims (8)

  1. 励起光によって蛍光を発する蛍光体であって、第1面と、 前記第1面と対向する第2面とを有し、且つ、内部に分散された複数の空洞を有する蛍光体と、
    第3面と前記第3面に対向する第4面とを有する膜と、を備え、
    前記蛍光体の前記第2面は、
    前記膜の前記第3面と当接する当接部と、
    前記膜の前記第3面と当接しておらず前記第3面と対向する複数の第1凹部と、を備えることを特徴とする波長変換部材。
  2. 前記複数の空洞の平均径が0.1μm~10μmであることを特徴とする請求項1に記載の波長変換部材。
  3. 前記膜は、酸化物膜又は金属膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の波長変換部材。
  4. 前記膜は、前記第1面と前記第2面とに対向する第1方向において、前記複数の第1凹部と重なる部分は、前記蛍光体に向かって凹むように湾曲していることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の波長変換部材。
  5. 前記蛍光体の前記第2面は、さらに、前記複数の空洞の一部が前記第1面に開口した複数の第2凹部であって、前記膜の前記第3面と当接している複数の第2凹部を備え、
    前記複数の第1凹部の数と前記複数の第2凹部の数の和に対する、前記複数の第1凹部の数の比が70%以上であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の波長変換部材。
  6. さらに、前記膜の、前記第1方向の前記第4面側に配置されて、光を反射する反射膜を備える請求項1~5のいずれか一項に記載の波長変換部材。
  7. さらに、前記膜の、前記第1方向の前記第4面側に配置されて、前記蛍光体の熱を放熱する放熱部材を備える請求項1~6のいずれか一項に記載の波長変換部材。
  8. 光源装置であって、
    請求項7に記載の波長変換部材と、
    前記蛍光体の前記第1面に前記励起光を照射する光源と、を備える光源装置。
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