JP2022114141A - コンクリートのアンモニア発生抑制方法及びアンモニア発生量低減コンクリート - Google Patents

コンクリートのアンモニア発生抑制方法及びアンモニア発生量低減コンクリート Download PDF

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勲 田中
Isao Tanaka
智治 藤田
Tomoharu Fujita
一之 冨岡
Kazuyuki Tomioka
賢吾 冨田
Kengo Tomita
賢 齋藤
Kaname Saitoh
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Sika Technology AG
Shimizu Construction Co Ltd
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Shimizu Construction Co Ltd
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Abstract

【課題】本発明は、アンモニアガスの発生量をより抑制できるコンクリートのアンモニア発生抑制方法及びアンモニア発生量低減コンクリートを目的とする。【解決手段】セメントと水と減水剤とを含有する含セメント組成物を硬化してコンクリートとするにあたり、特定の構造を有する繰り返し単位Aと、繰り返し単位Bとを含むコポリマーCPを含み、かつ、アンモニウムイオン濃度が10mg/L以下である組成物を前記減水剤として用いる、コンクリートのアンモニア発生抑制方法。【選択図】なし

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 1.発行日 2020年 4月21日 発行者 公益社団法人 日本空気清浄協会 刊行物 第37回空気清浄とコンタミネーションコントロール研究大会予稿集 第185頁~第187頁
本発明は、コンクリートのアンモニア発生抑制方法及びアンモニア発生量低減コンクリートに関する。
一般的に、油絵等の美術品は、空気中のアンモニアガスの存在によって変色したりすることが知られている。
特に、美術館等の建設工事においては、微量であるが、打設したコンクリートからの長期にわたるアンモニアガスの発生が大きな問題となっており、こうしたアンモニアガスの低減技術の確立が強く求められている。
美術館、博物館の建設工事では、美術品に対するアンモニアガスの影響が少なくなるように、2年程度の長期の枯らし期間を設けている。この枯らし期間は、コンクリートが充分に乾燥し、アンモニアガスの発生量が充分に低減するまで行われる。
しかし、美術館建設後、所要の枯らし期間を設けることは、建設コストや美術館運営上の観点からも効率的でないことは明らかである。
こうした問題に対し、例えば、特許文献1には、コンクリートから発生するアンモニアガス発生量の許容量を設定し、特定のセメント、特定のAE減水剤あるいは高性能減水剤、特定の細骨材、特定の混和剤を用いることで、コンクリートから発生するアンモニアガス発生量を所定の値以下とすることを特徴とするコンクリート構造物からのアンモニアガス低減方法が提案されている。特許文献1の発明によれば、建築物内のアンモニアガス濃度を所定の値以内にし、工事期間内に要求されるアンモニアガス濃度レベルに低減することが図られている。
特許第3887504号公報
しかしながら、コンクリートには、アンモニアガスの発生量のさらなる低減が求められている。
そこで、本発明は、アンモニアガスの発生量をより抑制できるコンクリートのアンモニア発生抑制方法及びアンモニア発生量低減コンクリートを目的とする。
鋭意検討した結果、本発明者等は、アンモニアガスの発生量に影響しないと考えられていた減水剤が、アンモニアガスの発生量に大きく影響していることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の態様を有する。
[1]セメントと水と減水剤とを含有する含セメント組成物を硬化してコンクリートとするにあたり、下記コポリマーCPを含み、かつ、アンモニウムイオン濃度が10mg/L以下である組成物を前記減水剤として用いる、コンクリートのアンモニア発生抑制方法。
<コポリマーCP>
下記式(I)で表される繰り返し単位Aと、
下記式(II)で表される繰り返し単位Bと、
を含み、
式(I)中、Rは、それぞれ互いに独立して水素原子又はメチル基であり、
は、それぞれ互いに独立して水素原子又はCOOMであり、
Mは、それぞれ互いに独立して水素原子、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、
アスタリスクは、結合部位を示し、
式(II)中、Rは、それぞれ互いに独立して水素原子又はメチル基であり、
は、それぞれ互いに独立して水素原子又はCOOMであり、
Mは、それぞれ互いに独立して水素原子、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、
mは、0、1、2又は3であり、
pは、0又は1であり、
は、それぞれ互いに独立した[YO]-Rであり、
ここでYは、炭素数2~4のアルキレン基であり、
は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、シクロヘキシル基、炭素数1~20のアルキルアリール基であり、
nは、2~350の整数であり、
アスタリスクは、結合部位を示し、
前記繰り返し単位Aと、前記繰り返し単位Bとのモル比A:Bが10:90~90:10である、コポリマー。
Figure 2022114141000001
Figure 2022114141000002
[2]前記セメント100質量部に対して、前記減水剤の含有量を0.5~3.0質量部とする、[1]に記載のコンクリートのアンモニア発生抑制方法。
[3]前記セメント100質量部に対して、前記水の含有量を10~80質量部とする、[1]又は[2]に記載のコンクリートのアンモニア発生抑制方法。
[4]前記セメントとして各種ポルトランドセメント及び高ビーライトセメントから選ばれる1種以上を用いる、[1]~[3]のいずれか一項に記載のコンクリートのアンモニア発生抑制方法。
[5]セメントと水と減水剤とを含有する含セメント組成物を硬化してなり、
前記減水剤は、下記コポリマーCPを含み、かつ、アンモニウムイオン濃度が10mg/L以下であり、
下記試験方法で測定されるアンモニアガスの発生速度が10ng/(g・h)以下である、アンモニア発生量低減コンクリート。
<試験方法>
コンクリートの配合に従い、総体積150mLとしてビーカー中で練り混ぜた後、デシケータ中に静置し、清浄化した空気を1.0L/分で24時間通流させ、通流後の気体を純水中に捕集し、捕集した水中のアンモニウムイオン濃度を測定し、前記含セメント組成物1g当たり、1時間当たりのアンモニウムイオン濃度をアンモニアガスの発生速度ng/(g・h)とする。
<コポリマーCP>
下記式(I)で表される繰り返し単位Aと、
下記式(II)で表される繰り返し単位Bと、
を含み、
式(I)中、Rは、それぞれ互いに独立して水素原子又はメチル基であり、
は、それぞれ互いに独立して水素原子又はCOOMであり、
Mは、それぞれ互いに独立して水素原子、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、
アスタリスクは、結合部位を示し、
式(II)中、Rは、それぞれ互いに独立して水素原子又はメチル基であり、
は、それぞれ互いに独立して水素原子又はCOOMであり、
Mは、それぞれ互いに独立して水素原子、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、
mは、0、1、2又は3であり、
pは、0又は1であり、
は、それぞれ互いに独立した[YO]-Rであり、
ここでYは、炭素数2~4のアルキレン基であり、
は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、シクロヘキシル基、炭素数1~20のアルキルアリール基であり、
nは、2~350の整数であり、
アスタリスクは、結合部位を示し、
前記繰り返し単位Aと、前記繰り返し単位Bとのモル比A:Bが10:90~90:10である、コポリマー。
Figure 2022114141000003
Figure 2022114141000004
本発明のコンクリートのアンモニア発生抑制方法及びアンモニア発生量低減コンクリートによれば、アンモニアガスの発生量をより抑制できる。
含セメント組成物におけるアンモニア総発生量に対する各材料から発生するアンモニアの比率を示すグラフの一例である。 各減水剤のアンモニアガスの発生速度の比較を示すグラフの一例である。 各減水剤に含まれるアンモニウムイオン濃度を示すグラフの一例である。
≪コンクリートのアンモニア発生抑制方法≫
本発明のコンクリートのアンモニア発生抑制方法(以下、単に「アンモニア発生抑制方法」ともいう。)は、セメントと水と減水剤とを含有する含セメント組成物を硬化してコンクリートとするにあたり、後述するコポリマーCPを含み、かつ、アンモニウムイオン濃度が10mg/L以下である組成物を前記減水剤として用いる。
本発明は、このような減水剤を用いることにより、コンクリートから発生するアンモニアガスの量を抑制するものである。
<含セメント組成物>
含セメント組成物は、セメントと水と減水剤とを含有する。
本明細書において、セメントとは、石灰石、粘土、珪石、酸化鉄原料等を主原料とした、水による化学反応で硬化する粉体のことをいう。
本明細書において、コンクリートとは、含セメント組成物の硬化物をいい、セメントと細骨材(砂)と粗骨材(砂利(砕石))とを混合し、水で練ったものをいう。
本明細書において、細骨材とは、直径5mm以下の砂をいう。
本明細書において、粗骨材とは、直径5mm超の砂利(砕石)をいい、粗骨材の直径は、25mm以下が好ましい。
セメントとしては、ポルトランドセメント、混合セメント、エコセメント、特殊セメント等が挙げられる。
ポルトランドセメントとしては、普通、早強、超早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩等の各種ポルトランドセメントが挙げられる。
普通ポルトランドセメントは、工事用又は製品用として最も多く使用される、一般的なセメントである。
早強ポルトランドセメントは、早期に高い強度が得られ、しかも長期にわたって強度増進を示すセメントである。
超早強ポルトランドセメントは、早強ポルトランドセメントよりもさらにエーライト(CS)を多くし、粉末度を細かくしたセメントである。超早強ポルトランドセメントは、早強ポルトランドセメントの3日強度を1日で発現する。
中庸熱ポルトランドセメントは、水和熱を下げるためにCSとアルミネート(CA)を減じビーライト(CS)を多くしてあり、初期強度は小さいが、長期強度が大きいセメントである。
低熱ポルトランドセメントは、水和熱を下げるために、中庸熱ポルトランドセメントよりもさらにCSが多く、CS含有量が40質量%以上のセメントである。低熱ポルトランドセメントは、高強度域での強度発現が良好であり、低水粉体比のコンクリートで高流動性が得られやすいという特徴を有する。
耐硫酸塩ポルトランドセメントは、CAを少なくして硫酸塩との反応性を小さくしてあるセメントである。耐硫酸塩ポルトランドセメントは、硫酸塩を含む土壌地帯での工事に適し、耐海水性にも優れている。
混合セメントとしては、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等が挙げられる。
高炉セメントは、高炉スラグを混合したセメントである。高炉スラグは、鉄鉱石に含まれるシリカ等の鉄以外の成分やコークスの灰分が、副原料の石灰石と結合したものである。高炉スラグは、潜在水硬性があって、ポルトランドセメントの刺激によって次第に硬化する。高炉セメントは、初期強度は小さいが、長期強度は大きい。
シリカセメントは、純度の高い珪石等の粉末を混合したセメントである。シリカセメントは、オートクレーブ養生をする製品に使用される。
フライアッシュセメントは、微粉炭を燃焼したときに生ずるフライアッシュを混合したセメントである。フライアッシュセメントは、長期強度が大きく、耐久性に富んだ構造物を得られる。
エコセメントは、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥等の廃棄物を、製品1tに対して乾燥重量で500kg以上使用して作られるセメントである。エコセメントは、セメント中の塩化物イオンの量に応じて普通エコセメントと、速硬エコセメントとに分類される。
普通エコセメントは、製造過程で脱塩素化させたもので、セメント中の塩化物イオン量が0.1%以下のエコセメントである。普通エコセメントは、凝結時間、モルタル圧縮強さともに、普通ポルトランドセメントに類似する性質を有する。
速硬エコセメントは、セメント中の塩化物イオン量が0.5%以上1.5%以下のエコセメントである。速硬エコセメントは、速硬性を有し、早期強度の発現性を生かしたセメントである。
特殊セメントは、JIS規格外品として製造され、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント、コロイドセメント、油井セメント、低発熱セメント、高ビーライトセメント、セメント系固化材等が挙げられる。
高ビーライトセメントは、低発熱用セメントとして、セメント成分のうち発熱の大きいアルミネート(CA)相をできる限り抑え、水和熱の小さいビーライト(CS)が主成分となるように調整したセメントである。高ビーライトセメントは、水和熱を抑制できるため、流動性の良いコンクリートを作りやすい。高ビーライトセメントは、大型構造物用として好適に用いられる。
本実施形態において、セメントとしては、各種ポルトランドセメント、高ビーライトセメントが好ましく、各種ポルトランドセメントのうち、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメントがより好ましい。
セメントは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
セメントは、下記試験方法で測定されるアンモニアガスの発生速度が10ng/(g・h)以下が好ましく、5.0ng/(g・h)以下がより好ましく、3.0ng/(g・h)以下がさらに好ましい。アンモニアガスの発生速度が上記上限値以下であると、コンクリートからのアンモニアガスの発生量をより抑制できる。アンモニアガスの発生速度の下限値は特に限定されないが、例えば、0.1ng/(g・h)以下である。
<試験方法>
ビーカー中で、セメント20gに0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液20mLを添加し、30秒間攪拌した後、デシケータ中に静置し、清浄化した空気を1.0L/分で24時間通流させる。通流後の気体を純水中に捕集し、捕集した水中のアンモニウムイオン濃度を測定し、セメント1g当たり、1時間当たりのアンモニウムイオン濃度をアンモニアガスの発生速度ng/(g・h)とする。
上記試験方法において、ビーカーとしては、ガラス製のビーカー、樹脂製のビーカー、金属製のビーカー等が挙げられる。ビーカーとしては、強アルカリに腐食されにくいことから、ガラス製のビーカーが好ましく、テフロン(登録商標)加工されたビーカーがより好ましい。ビーカーの容量は、例えば、200~500mLが好ましい。
上記試験方法において、セメントを練り混ぜる時間は、特に限定されないが、10~60秒間が好ましい。
上記試験方法において、デシケータとしては、例えば、ガラス製のデシケータ、樹脂製のデシケータ、金属製のデシケータが挙げられる。容易に入手でき、腐食されにくいことから、デシケータとしては、ガラス製のデシケータが好ましい。
デシケータの内容積は、特に限定されないが、例えば、1~10Lが好ましい。
上記試験方法において、清浄化した空気としては、例えば、活性炭で清浄にした空気、ケミカルフィルタで清浄にした空気、クリーンルーム内の空気等が挙げられる。
空気の流量は、特に限定されないが、例えば、0.1~5.0L/分が好ましい。
空気を通流させる時間は、特に限定されないが、例えば、3~48時間が好ましい。
上記試験方法において、アンモニウムイオン濃度は、例えば、イオンクロマトグラフを使用して分析することにより求められる。
セメントのアンモニアガスの発生速度は、セメントの組成や種類によって調節できる。
細骨材は、下記試験方法で測定されるアンモニアガスの発生速度が5.0ng/(g・h)以下が好ましく、3.0ng/(g・h)以下がより好ましく、1.0ng/(g・h)以下がさらに好ましい。アンモニアガスの発生速度が上記上限値以下であると、コンクリートからのアンモニアガスの発生量をより抑制できる。アンモニアガスの発生速度の下限値は特に限定されないが、例えば、0.1ng/(g・h)以下である。
<試験方法>
ビーカー中で、細骨材20gに0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液20mLを添加し、30秒間攪拌した後、デシケータ中に静置し、清浄化した空気を1.0L/分で24時間通流させる。通流後の気体を純水中に捕集し、捕集した水中のアンモニウムイオン濃度を測定し、細骨材1g当たり、1時間当たりのアンモニウムイオン濃度をアンモニアガスの発生速度ng/(g・h)とする。
上記試験方法において、細骨材と水酸化ナトリウム水溶液とを攪拌する時間は、10~60秒間が好ましい。上記試験方法において、デシケータの種類、デシケータの内容積、空気の流量、空気を通流させる時間、アンモニウムイオン濃度の求め方は、セメントの場合と同様である。
細骨材のアンモニアガスの発生速度は、細骨材の組成や種類によって調節できる。
粗骨材は、下記試験方法で測定されるアンモニアガスの発生速度が10ng/(g・h)以下が好ましく、5.0ng/(g・h)以下がより好ましく、3.0ng/(g・h)以下がさらに好ましい。アンモニアガスの発生速度が上記上限値以下であると、コンクリートからのアンモニアガスの発生量をより抑制できる。アンモニアガスの発生速度の下限値は特に限定されないが、例えば、0.1ng/(g・h)以下である。
<試験方法>
ビーカー中で、粗骨材20gに0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液20mLを添加し、30秒間攪拌した後、デシケータ中に静置し、清浄化した空気を1.0L/分で24時間通流させる。通流後の気体を純水中に捕集し、捕集した水中のアンモニウムイオン濃度を測定し、粗骨材1g当たり、1時間当たりのアンモニウムイオン濃度をアンモニアガスの発生速度ng/(g・h)とする。
上記試験方法において、粗骨材と水酸化ナトリウム水溶液とを攪拌する時間、デシケータの種類、デシケータの内容積、空気の流量、空気を通流させる時間、アンモニウムイオン濃度の求め方は、細骨材の場合と同様である。
粗骨材のアンモニアガスの発生速度は、粗骨材の組成や種類によって調節できる。
コンクリートにおけるセメントと細骨材と粗骨材との混合割合は、コンクリートに求める強度に応じて適宜決定できる。セメントと細骨材と粗骨材との混合割合は、質量比で、例えば、セメント1に対して、細骨材1.5~4、粗骨材2~6が好ましい。
減水剤とは、静電気的な反発作用により含セメント組成物(フレッシュコンクリート)の流動性を増大させる混和剤のことをいう。セメント粒子は、水と接触すると互いに凝集して含セメント組成物中に存在する。減水剤を添加すると、個々のセメント粒子の界面に吸着し、セメント粒子が分散されることにより含セメント組成物の流動性が増大する。
減水剤としては、通常の減水剤のほか、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤等が挙げられる。
AE減水剤は、セメント分散作用と空気連行作用の双方を有する混和剤である。空気連行作用とは、フレッシュコンクリート中に多くの独立した微細な空気泡を一様に連行し、作業性及び耐凍害性を向上させる作用をいう。
高性能減水剤は、JIS A6204:2011「コンクリート用化学混和剤」に定義され、所要のスランプを得るのに必要な単位水量を大幅に減少させるか、又は単位水量を変えることなくスランプを大幅に増加させる混和剤である。高性能減水剤には、通常の減水剤に比べて、より高い品質の性能基準が定められている。
高性能AE減水剤は、空気連行作用を有し、AE減水剤よりも高い減水性能及び良好なスランプ保持性能を有する混和剤である。高性能AE減水剤は、一般の強度のコンクリートから高強度コンクリートや高流動コンクリートまで、幅広く使用されている。
本実施形態において、減水剤を構成する組成物(以下、「減水剤組成物」ともいう。)は、下記コポリマーCPを含み、かつ、アンモニウムイオン濃度が10mg/L以下である。
<コポリマーCP>
下記式(I)で表される繰り返し単位Aと、
下記式(II)で表される繰り返し単位Bと、
を含み、繰り返し単位Aと、繰り返し単位Bとのモル比A:Bが10:90~90:10である、コポリマー。
モル比A:Bは、10:90~90:10であり、20:80~80:20が好ましく、30:70~80:20がより好ましく、35:65~75:25がさらに好ましい。モル比A:Bが上記数値範囲内であると、減水性能及びスランプ保持性能をより高められる。
Figure 2022114141000005
Figure 2022114141000006
式(I)中、Rは、それぞれ互いに独立して水素原子又はメチル基であり、水素原子が好ましい。
は、それぞれ互いに独立して水素原子又はCOOMであり、COOMが好ましい。
Mは、それぞれ互いに独立して水素原子、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン又はカルシウムイオンがより好ましい。
アスタリスクは、結合部位を示す。
式(II)中、Rは、それぞれ互いに独立して水素原子又はメチル基であり、水素原子が好ましい。
は、それぞれ互いに独立して水素原子又はCOOMであり、COOMが好ましい。
Mは、それぞれ互いに独立して水素原子、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン又はカルシウムイオンがより好ましい。
mは、0、1、2又は3であり、1又は2が好ましい。
pは、0又は1であり、1が好ましい。
は、それぞれ互いに独立した[YO]-Rであり、Yは、炭素数2~4のアルキレン基であり、炭素数2~3のアルキレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、シクロヘキシル基、炭素数1~20のアルキルアリール基であり、炭素数1~20のアルキル基が好ましく、炭素数1~10のアルキル基がより好ましく、炭素数1~4のアルキル基がさらに好ましい。
nは、2~350の整数であり、10~250が好ましく、30~200がより好ましく、35~150がさらに好ましく、40~110が特に好ましい。
アスタリスクは、結合部位を示す。
コポリマーCPの数平均分子量Mnは、500~200,000が好ましく、5,000~70,000がより好ましく、15,000~50,000がさらに好ましい。コポリマーCPの数平均分子量Mnが上記数値範囲内であると、含セメント組成物を長期間において加工しやすくできる。
コポリマーCPの数平均分子量Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される。
コポリマーCPとしては、統計コポリマー、非統計コポリマーが挙げられる。統計コポリマーとしては、例えば、ランダムコポリマーが挙げられる。非統計コポリマーとしては、例えば、交互コポリマー、ブロックコポリマー、勾配コポリマー又はこれらの混合物が挙げられる。勾配コポリマーは、分子鎖に沿ってモノマー組成が連続的に変化するポリマーである。
コポリマーCPとしては、非統計コポリマーが好ましく、ブロックコポリマー、勾配コポリマー又はこれらの混合物がより好ましく、勾配コポリマーがさらに好ましい。
コポリマーCPが統計コポリマーの場合、コポリマーCPは、下記式(Ia)で表される少なくとも一つのオレフィン性不飽和カルボン酸モノマーと、
下記式(IIa)で表される少なくとも一つのオレフィン性不飽和マクロモノマーと、
を含む混合物のフリーラジカル重合によって、得ることができる。
Figure 2022114141000007
Figure 2022114141000008
式(Ia)中、R、R、及びMは、式(I)におけるR、R、及びMと同様である。
波線で表される結合は、シス異性体及びトランス異性体の両方又はそれらの混合物が含まれることを意味する。
式(IIa)中、R、R、M、m、p、及びRは、式(II)における、R、R、M、m、p、及びRと同様である。
波線で表される結合は、シス異性体及びトランス異性体の両方又はそれらの混合物が含まれることを意味する。
フリーラジカル重合を実施するための適切な条件は、当業者にそれ自体公知であり、例えば、欧州特許出願公開第1103570号明細書に記載されている。
コポリマーCPが非統計コポリマーの場合、コポリマーCPは、リビングラジカル重合によって製造することが好ましい。リビングラジカル重合は、連鎖移動反応並びに停止反応が存在しない連鎖重合系をいう。リビングラジカル重合では、活性な生長末端の数は少なく、重合中は、生長末端は活性を保っている。リビングラジカル重合としては、例えば、ニトロキシド媒介重合(NMP)、原子移動ラジカル重合(ATRP)、可逆的付加フラグメンテーション連鎖移動(RAFT)重合等が挙げられる。
RAFT重合は、例えば、RAFT剤(活性化剤)及び少量の開始剤を用いることによって達成できる。RAFT重合によれば、生長末端のラジカルが別のポリマー鎖末端へ移動する交換反応がモノマーとの反応による生長反応に比べて迅速に起こるため、全てのポリマー鎖が均一に生長する。
リビングラジカル重合によれば、ブロックコポリマー又は勾配コポリマーを製造することが可能になり、分子量分布の狭いポリマーを得ることができる。これは、従来のフリーラジカル重合や非リビングラジカル重合では不可能である。
コポリマーCPは、ポリマー類似反応によっても製造することができる。ポリマー類似反応としては、例えば、式(I)で表される繰り返し単位Aを含むホモポリマー又はコポリマーと、下記式(III)で表されるポリアルキレングリコールとのエステル化が挙げられる。
HO-R ・・・(III)
式(III)中、Rは、式(II)におけるRと同様である。
エステル化によるコポリマーCPの製造方法としては、例えば、欧州特許出願公開第1138697号明細書に記載の製造方法が挙げられる。
コポリマーCPは、式(Ia)で表される少なくとも一つのオレフィン性不飽和カルボン酸モノマー及び式(IIa)で表される少なくとも一つのオレフィン性不飽和マクロモノマーに加えて、1種又は2種以上のモノマーMをさらに含んでいてもよい。
モノマーMとしては、例えば、スチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリロニトリル、N-ビニルピロリドン、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、マレイミド等が挙げられる。ここで、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの一方又は双方を表し、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドとメタクリルアミドの一方又は双方を表す。
モノマーMは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
モノマーMのモル比率は、コポリマーCPを形成する全てのモノマー100モル%に対して、66モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましく、25モル%以下がさらに好ましく、10モル%以下が特に好ましく、5モル%以下が最も好ましい。モノマーMのモル比率が上記上限値以下であると、減水性能及びスランプ保持性能をより高められる。モノマーMのモル比率は、コポリマーCPを形成する全てのモノマー100モル%に対して、0モル%であってもよい。
コポリマーCPにおける繰り返し単位A及び繰り返し単位Bのモル比率は、コポリマーCPを形成する全てのモノマー100モル%に対して、34モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、75モル%以上がさらに好ましく、90モル%以上が特に好ましく、95モル%以上が最も好ましい。繰り返し単位A及び繰り返し単位Bのモル比率が上記下限値以上であると、減水性能及びスランプ保持性能をより高められる。繰り返し単位A及び繰り返し単位Bのモル比率は、コポリマーCPを形成する全てのモノマー100モル%に対して、100モル%であってもよい。
減水剤組成物におけるコポリマーCPの含有量は、例えば、減水剤組成物の総質量に対して、1~99質量%が好ましく、10~90質量%がより好ましく、20~80質量%がさらに好ましい。コポリマーCPの含有量が上記下限値以上であると、減水性能及びスランプ保持性能をより高められる。コポリマーCPの含有量が上記上限値以下であると、減水剤組成物の粘度を低減でき、取り扱いやすい。
減水剤組成物は、コポリマーCP以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、水、可塑剤、AE混和剤、脱泡剤、消泡剤、遅滞剤、固化促進剤、硬化促進剤、疎水化剤、腐植抑制剤等が挙げられる。
他の成分の含有量は、特に限定されないが、減水剤組成物の総質量に対して、例えば、10~50質量%が好ましい。
減水剤組成物は、下記試験方法で測定されるアンモニアガスの発生速度が10ng/(g・h)以下が好ましく、5.0ng/(g・h)以下がより好ましく、3.0ng/(g・h)以下がさらに好ましい。アンモニアガスの発生速度が上記上限値以下であると、コンクリートからのアンモニアガスの発生量をより抑制できる。アンモニアガスの発生速度の下限値は特に限定されないが、例えば、0.1ng/(g・h)以下である。
<試験方法>
ビーカー中で、減水剤組成物20gに0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液20mLを添加し、30秒間攪拌した後、デシケータ中に静置し、清浄化した空気を1.0L/分で24時間通流させる。通流後の気体を純水中に捕集し、捕集した水中のアンモニウムイオン濃度を測定し、減水剤組成物1g当たり、1時間当たりのアンモニウムイオン濃度をアンモニアガスの発生速度ng/(g・h)とする。
上記試験方法において、減水剤組成物と水酸化ナトリウム水溶液とを攪拌する時間、デシケータの種類、デシケータの内容積、空気の流量、空気を通流させる時間、アンモニウムイオン濃度の求め方は、細骨材の場合と同様である。
減水剤組成物のアンモニアガスの発生速度は、減水剤組成物の組成や種類によって調節できる。
減水剤組成物のアンモニウムイオン濃度は、10mg/L以下であり、5.0mg/L以下が好ましく、1.0mg/L以下がより好ましい。減水剤組成物のアンモニウムイオン濃度が上記上限値以下であると、アンモニアガスの発生量をより抑制できる。
減水剤組成物のアンモニウムイオン濃度の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.1mg/Lである。
減水剤組成物のアンモニウムイオン濃度は、イオンクロマトグラフを用いて分析することにより求められる。
セメント100質量部に対する減水剤の含有量は、0.5~3.0質量部が好ましく、0.6~2.5質量部がより好ましく、0.8~2.0質量部がさらに好ましい。減水剤の含有量が上記下限値以上であると、含セメント組成物の流動性をより増大できる。減水剤の含有量が上記上限値以下であると、アンモニアガスの発生量をより抑制できる。
セメント100質量部に対する水の含有量は、10~80質量部が好ましく、25~60質量部がより好ましく、30~50質量部がさらに好ましい。水の含有量が上記下限値以上であると、含セメント組成物の流動性をより増大できる。水の含有量が上記上限値以下であると、練り混ぜ時の発熱を抑制できる。
ここで、水の含有量には、減水剤組成物に含まれる水は除くものとする。
含セメント組成物は、セメント、水及び減水剤以外の他の成分(以下、「任意成分」ともいう。)を含有してもよい。
任意成分としては、例えば、細骨材、粗骨材、減水剤以外の混和剤等が挙げられる。
減水剤以外の混和剤としては、例えば、硬化促進剤、凝結遅延剤、防水剤、発泡剤、増粘剤等が挙げられる。ただし、減水剤以外の混和剤には、減水剤組成物に含まれる他の成分は含まれないものとする。
含セメント組成物の総質量に対する任意成分の含有量は、特に限定されないが、例えば、10~20質量%が好ましい。
アンモニアは、水溶液の状態でコンクリート中を移動し、コンクリートの表面から発生すると考えられる。アンモニアの発生機構は、次のように考えられる。
コンクリートの細孔中にはセメントの水和反応式((1)~(3))に基づく高pHの水溶液(細孔溶液)が存在する。
CaO+HO ⇒ Ca2++2OH ・・・(1)
NaO+HO ⇒ 2Na+2OH ・・・(2)
O+HO ⇒ 2K+2OH ・・・(3)
この細孔溶液によって、骨材表面やセメント中の含窒素化合物が加水分解され、水溶性のアミン化合物やアンモニウムイオンが発生する。
アンモニウムイオンとアンモニアは、水中で以下の平衡状態にある((4)~(5))。
NH+HO ⇔ NH +OH ・・・(4)
K=[NH ]×[OH]/[NH] ・・・(5)
(5)式において、[NH ]は、アンモニウムイオンの濃度、[OH]は、水酸化物イオンの濃度、[NH]は、アンモニアの濃度を表す。
平衡定数Kは、25℃で1.77×10-5である。細孔溶液の[OH]は、打設後80日でも0.1M程度であり、NHは、NH の約5600倍存在する。このため、容易に気体のアンモニアが発生する。
本実施形態のアンモニア発生抑制方法は、減水剤組成物としてコポリマーCPを含む減水剤を用いる。コポリマーCPは、特定の構造単位を有し、開始剤として、アンモニウムイオンを含む化合物を用いない。このため、本実施形態のアンモニア発生抑制方法は、コンクリートからのアンモニアガスの発生量をより抑制できる。
≪アンモニア発生量低減コンクリート≫
本発明のアンモニア発生量低減コンクリートは、セメントと水と骨材(細骨材、粗骨材)と減水剤とを含有する含セメント組成物を硬化してなる。
減水剤は、上述したコポリマーCPを含み、かつ、アンモニウムイオン濃度が10mg/L以下である。
本発明のアンモニア発生量低減コンクリートは、下記試験方法で測定される含セメント組成物のアンモニアガスの発生速度が10ng/(g・h)以下であり、5.0ng/(g・h)以下が好ましく、1.0ng/(g・h)以下がより好ましい。アンモニアガスの発生速度が上記上限値以下であると、アンモニア発生量低減コンクリートからのアンモニアガスの発生量をより抑制できる。アンモニアガスの発生速度の下限値は特に限定されないが、例えば、0.1ng/(g・h)以下である。
<試験方法>
コンクリートの配合に従い、総体積150mLとしてビーカー中で練り混ぜた後、デシケータ中に静置し、清浄化した空気を1.0L/分で24時間通流させる。通流後の気体を純水中に捕集し、捕集した水中のアンモニウムイオン濃度を測定し、前記含セメント組成物1g当たり、1時間当たりのアンモニウムイオン濃度をアンモニアガスの発生速度ng/(g・h)とする。
上記試験方法において、含セメント組成物を練り混ぜる時間は、10~60秒間が好ましい。上記試験方法において、デシケータの種類、デシケータの内容積、空気の流量、空気を通流させる時間、アンモニウムイオン濃度の求め方は、セメントの場合と同様である。
含セメント組成物のアンモニアガスの発生速度は、含セメント組成物の組成や種類によって調節できる。
減水剤の組成は、上述した減水剤組成物の組成と同様である。
本実施形態のアンモニア発生量低減コンクリートは、上記の減水剤組成物を用いるため、コンクリートからのアンモニアガスの発生量をより抑制できる。
以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
コンクリートの構成材料にアルカリ性水溶液を添加することによってアンモニアガスが発生するという事象を利用して、コンクリートから発生するアンモニア量の比較や配合設計を検討した。
操業中の生コンクリートプラント5箇所(A、B、C、D、E)から、通常使用されるセメントC、細骨材S、粗骨材G、混和剤(減水剤)Adを入手し、使用した。
<コンクリート用材料(含セメント組成物)からのアンモニアガスの発生>
テフロン(登録商標)製ビーカー中に各材料20gを秤量し、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液20mLを添加し、30秒間攪拌した。
上記ビーカーを内容積6Lのガラス製デシケータ中に静置し、クリーンルーム中の空気をさらに活性炭系ケミカルフィルタで清浄化した空気を1.0L/分で通流させた。通流後の空気をインピンジャーに通過させ、発生したアンモニアガスを純水中に捕集した。捕集水中のアンモニウムイオン濃度をイオンクロマトグラフを使用して分析し、アンモニア発生速度(ng/(g・h))を算出した。
<コンクリート試験体からのアンモニアガスの発生>
総体積150mLとして、各プラントの配合に従い、材料を秤量し、テフロン(登録商標)製ビーカー中で練り混ぜた。このビーカーを上記のデシケータ内に静置し、材令を追いながら硬化とともに発生するアンモニア量を求め、発生速度(mg/(m・h))を算出した。
<減水剤の特性評価>
混和剤として、メーカーから入手した5種類の高性能AE減水剤(I、II、III、IV、V)を用いた。各減水剤について、イオンクロマトグラフを使用し、減水剤中のアンモニウムイオン濃度(mg/L)を測定した。
[実験例1~5]
表1に記載の各材料について、水酸化ナトリウム水溶液との混練後に各材料から発生したアンモニア発生速度を経過時間ごとに測定した。結果を表1に示す。表1中、「0~3hr」は、水酸化ナトリウム水溶液を添加して、練り混ぜを開始してから0時間以上3時間以下の間に捕集したアンモニア量から発生速度を算出したことを表す。「3~18hr」は、水酸化ナトリウム水溶液を添加して、練り混ぜを開始してから3時間超18時間以下の間に捕集したアンモニア量から発生速度を算出したことを表す。「18~22hr」は、水酸化ナトリウム水溶液を添加して、練り混ぜを開始してから18時間超22時間以下の間に捕集したアンモニア量から発生速度を算出したことを表す。
Figure 2022114141000009
表1に示すように、アンモニアガスの発生速度にはプラントごとの材料で違いが見られ、特に練り混ぜ直後(0~3hr)の方が、発生速度の差が顕著であった。発生速度の差は、セメント同士では数倍の範囲の差であったが、細骨材や粗骨材では、10倍程度の差も見られた。特に、減水剤では、アンモニアガスの発生量が他の材料の数万倍に及ぶものもあり、発生速度の差は、減水剤同士で10倍以上の差が見られた。
減水剤からは大量のアンモニアガスの発生が認められた。減水剤の添加量はコンクリート全体の0.1~0.2質量%、セメントの0.5~3.0質量%程度とわずかではあるが、アンモニアガスの発生は、セメントの数千倍になる場合もあるという結果であった。
図1に、減水剤から発生するアンモニアの全発生量に対する割合の一例(実験例3)を示す。図1に示すように、練り混ぜ直後の3時間までは特に比率が大きく、90%以上を減水剤から発生するアンモニアが占めることが分かった。
[実験例6]
減水剤の種類の違いによるアンモニアガスの発生速度の違いを確認するために、5種類の高性能AE減水剤(I、II、III、IV、V)を用いて、水酸化ナトリウム水溶液添加によるアンモニアガスの発生量を測定した。減水剤IVは、本発明を適用した減水剤であり、減水剤I~III、Vは、本発明の適用範囲外の減水剤である。
減水剤IVは、以下の方法で得られるコポリマーCP(数平均分子量11500、酸価69mgKOH/g)を40質量%含有する水溶液である。
温度計、スターラー、ガス入口管及び蒸留アセンブリを装備したガラス反応器に、ある程度中和された分子量4000のポリ(アクリル酸)と7.5gの50質量%硫酸の水溶液160gを入れた。その溶液を70℃に加熱し、数平均分子量1000のポリエチレングリコール-モノメチルエーテル400gを添加した。
窒素の定常流下で混合物を加熱し、165℃で4時間攪拌後、サンプルを採取し、90℃に冷却した後、水を添加して減水剤IVを得た。
図2に、各減水剤のアンモニアガスの発生速度の比較を示す。図2に示すように、Iの減水剤からは大量のアンモニアガスの発生が認められた。一方、本発明を適用したIVの減水剤は、アンモニアガスの発生が極めて少なく、0~3hrで、Iの減水剤と比べて10000倍以上の差が見られた。いずれの減水剤も、3時間以降の早期にアンモニアガスの発生は減衰するものの、総発生量は大量になると予想され、アンモニアガスの発生量をより抑制するためには、アンモニアガスの発生が少ない減水剤を選定することが重要であることが確認できた。
[実験例7]
図3に、各減水剤に含まれるアンモニウムイオン濃度を測定した結果を示す。図3に示すように、減水剤I、IIIではアンモニウムイオン濃度が高く、実験例6の結果を裏付ける結果であった。減水剤Vは、アンモニウムイオン濃度が低いものの、実験例6では、アンモニアガスの発生が多く、アンモニウムイオン濃度だけで単純にアンモニアガスの発生量の違いを判断するのは難しいことが確認できた。
このため、アンモニアガスの発生量をより抑制するためには、減水剤に含まれるポリマーの組成、分子量、触媒(開始剤)の種類を調整することが重要であることが確認できた。

Claims (5)

  1. セメントと水と減水剤とを含有する含セメント組成物を硬化してコンクリートとするにあたり、下記コポリマーCPを含み、かつ、アンモニウムイオン濃度が10mg/L以下である組成物を前記減水剤として用いる、コンクリートのアンモニア発生抑制方法。
    <コポリマーCP>
    下記式(I)で表される繰り返し単位Aと、
    Figure 2022114141000010
    下記式(II)で表される繰り返し単位Bと、
    Figure 2022114141000011
    を含み、
    式(I)中、Rは、それぞれ互いに独立して水素原子又はメチル基であり、
    は、それぞれ互いに独立して水素原子又はCOOMであり、
    Mは、それぞれ互いに独立して水素原子、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、
    アスタリスクは、結合部位を示し、
    式(II)中、Rは、それぞれ互いに独立して水素原子又はメチル基であり、
    は、それぞれ互いに独立して水素原子又はCOOMであり、
    Mは、それぞれ互いに独立して水素原子、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、
    mは、0、1、2又は3であり、
    pは、0又は1であり、
    は、それぞれ互いに独立した[YO]-Rであり、
    ここでYは、炭素数2~4のアルキレン基であり、
    は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、シクロヘキシル基、炭素数1~20のアルキルアリール基であり、
    nは、2~350の整数であり、
    アスタリスクは、結合部位を示し、
    前記繰り返し単位Aと、前記繰り返し単位Bとのモル比A:Bが10:90~90:10である、コポリマー。
  2. 前記セメント100質量部に対して、前記減水剤の含有量を0.5~3.0質量部とする、請求項1に記載のコンクリートのアンモニア発生抑制方法。
  3. 前記セメント100質量部に対して、前記水の含有量を10~80質量部とする、請求項1又は2に記載のコンクリートのアンモニア発生抑制方法。
  4. 前記セメントとして各種ポルトランドセメント及び高ビーライトセメントから選ばれる1種以上を用いる、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンクリートのアンモニア発生抑制方法。
  5. セメントと水と減水剤とを含有する含セメント組成物を硬化してなり、
    前記減水剤は、下記コポリマーCPを含み、かつ、アンモニウムイオン濃度が10mg/L以下であり、
    下記試験方法で測定されるアンモニアガスの発生速度が10ng/(g・h)以下である、アンモニア発生量低減コンクリート。
    <試験方法>
    コンクリートの配合に従い、総体積150mLとしてビーカー中で練り混ぜた後、デシケータ中に静置し、清浄化した空気を1.0L/分で24時間通流させ、通流後の気体を純水中に捕集し、捕集した水中のアンモニウムイオン濃度を測定し、前記含セメント組成物1g当たり、1時間当たりのアンモニウムイオン濃度をアンモニアガスの発生速度ng/(g・h)とする。
    <コポリマーCP>
    下記式(I)で表される繰り返し単位Aと、
    Figure 2022114141000012
    下記式(II)で表される繰り返し単位Bと、
    Figure 2022114141000013
    を含み、
    式(I)中、Rは、それぞれ互いに独立して水素原子又はメチル基であり、
    は、それぞれ互いに独立して水素原子又はCOOMであり、
    Mは、それぞれ互いに独立して水素原子、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、
    アスタリスクは、結合部位を示し、
    式(II)中、Rは、それぞれ互いに独立して水素原子又はメチル基であり、
    は、それぞれ互いに独立して水素原子又はCOOMであり、
    Mは、それぞれ互いに独立して水素原子、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、
    mは、0、1、2又は3であり、
    pは、0又は1であり、
    は、それぞれ互いに独立した[YO]-Rであり、
    ここでYは、炭素数2~4のアルキレン基であり、
    は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、シクロヘキシル基、炭素数1~20のアルキルアリール基であり、
    nは、2~350の整数であり、
    アスタリスクは、結合部位を示し、
    前記繰り返し単位Aと、前記繰り返し単位Bとのモル比A:Bが10:90~90:10である、コポリマー。
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