JP2022111626A - 外径測定装置及び外径測定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
管の端部に形成されたねじ部の寸法精度が低いと、継手との締結状態が緩み、管同士の連結が解除されて脱落したり、管内部に流れる流体が外部に漏洩するおそれがある。特に油井管の場合には、近年の油井環境の過酷化に伴い、ねじ部の寸法精度や品質保証レベルに対する要求が年々厳格化している。
特許文献1に記載の装置は、油井管17を挟んで対向配置された上下方向に延びる一対の測定装置本体41と、各測定装置本体41の下端が取り付けられて各測定装置本体41を支持し、各測定装置本体41を接近、離隔させるために移動させる一対のXステージ42とを備えている。そして、測定装置本体41は、所定の光学系(レーザ411、ビーム走査器412、レンズ413、集光レンズ414及び受光素子415)を用いた、いわゆる光投影法によって、上下方向から見た油井管17の左右方向のエッジ位置を検出する。特許文献1に記載の装置において、油井管17のねじ径は、スケールを用いて検出したXステージ42の変位(測定装置本体41の位置)と、測定装置本体41によって検出したエッジ位置とに基づき演算される。
特許文献1に記載のような数百mm程度のアッベオフセットを有する装置を用いた場合、温度変動に起因して、測定装置本体41が上下方向から僅かに傾いたとしても、アッベオフセットによって油井管のねじ径測定精度が悪化する。
しかしながら、特許文献2に記載の装置を用いても、エッジ検出センサやスケールを取り付けているフレームの熱膨張の影響、特に、管のエッジ位置を検出する方向についてのフレームの熱膨張の影響を抑制できないため、温度変動に起因して生じる誤差の影響をより一層低減することが望まれている。
熱膨張が生じても位置が変化しない前記第1フレーム上の点を基準位置BPとした場合に、前記基準位置BPの候補として複数の基準位置候補を仮定し、仮定した各基準位置候補について、前記熱膨張係数αP、前記熱膨張係数αF、前記距離LL3(T0)、前記距離LR3(T0)、前記外径D(T0)及び前記外径D’(T1)を用いて、以下の式(1)~式(4)に基づき、変数Xを算出し、前記変数Xが最小となる基準位置候補を前記基準位置BPとして決定し、前記基準位置BPについて、以下の式(3)~式(5)に基づき、補正量CAを算出し、前記温度T2において、前記距離ML及び前記距離MRが変化しないように調整された状態で、前記測定対象である管の左側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記測定対象である管の左側のエッジ検出センサの光軸と前記測定対象である管の左側のエッジ位置との距離dL(T2)と、前記測定対象である管の右側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記測定対象である管の右側のエッジ検出センサの光軸と前記測定対象である管の右側のエッジ位置との距離dR(T2)と、前記補正量CAと、を用いて、前記温度T2における前記測定対象である管の外径D(T2)を算出する、外径測定装置が提供される。
X=D’(T1)+(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL3+ΔLR3)-D(T0)-ΔD ・・・(1)
ΔD=αP・(T1-T0)・D(T0) ・・・(2)
ΔLL3=αF・(T1-T0)・LL3(T0) ・・・(3)
ΔLR3=αF・(T1-T0)・LR3(T0) ・・・(4)
CA=(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL3+ΔLR3) ・・・(5)
なお、前記式(1)におけるΔLL1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の左側の前記基準位置候補と前記管の左側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(1)におけるΔLR1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の右側の前記基準位置候補と前記管の右側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(5)におけるΔLL1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の左側の前記基準位置BPと前記管の左側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(5)におけるΔLR1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の右側の前記基準位置BPと前記管の右側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。
具体的には、上記の読み替えによって、任意の温度T2における任意の測定対象である管の外径D(T2)を測定する外径測定装置であって、管の上下方向に対で設けられ、前記管を上下方向から略環状に囲み、左右方向の略中央部に上下方向に延びる延在部を有する第1フレームと、前記管の上下方向に対で設けられ、前記第1フレームに対して上下方向に移動可能な第2フレームと、前記第2フレームの上下方向の前記管から遠い側の端部に取り付けられた読取装置と、前記第2フレームの上下方向の前記管に近い側の端部に取り付けられ、前記管の上下方向のエッジ位置を検出する光学式のエッジ検出センサと、前記延在部に取り付けられ、上下方向の前記管から遠い側の端部が固定治具で固定された、前記第1フレームよりも熱膨張率が小さいスケールと、前記第1フレーム及び前記第2フレームの熱膨張の影響を補正する演算を行う演算装置と、を備え、前記演算装置は、前記管の熱膨張係数αP及び前記第2フレームの熱膨張係数αFと、熱膨張を考慮しない基準温度T0における、前記管の上側の前記固定治具と前記管の下側の前記固定治具との距離L(T0)と、前記管の上側の前記読取装置と前記管の上側の前記エッジ検出センサの光軸との距離LL3(T0)と、前記管の下側の前記読取装置と前記管の下側の前記エッジ検出センサの光軸との距離LR3(T0)とを予め記憶し、前記演算装置は、前記距離L(T0)、前記距離LL3(T0)及び前記距離LR3(T0)と、前記基準温度T0において、前記管の上側の前記スケールと前記管の上側の前記読取装置とを用いて測定された、前記管の上側の前記固定治具と前記管の上側の前記読取装置との距離MLと、前記管の下側の前記スケールと前記管の下側の前記読取装置とを用いて測定された、前記管の下側の前記固定治具と前記管の下側の前記読取装置との距離MRと、前記管の上側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記管の上側のエッジ検出センサの光軸と前記管の上側のエッジ位置との距離dL(T0)と、前記管の下側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記管の下側のエッジ検出センサの光軸と前記管の下側のエッジ位置との距離dR(T0)と、に基づき、前記基準温度T0における前記管の外径D(T0)を算出し、前記基準温度T0と異なる温度T1において、前記距離ML及び前記距離MRが変化しないように調整された状態で、前記管の上側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記管の上側のエッジ検出センサの光軸と前記管の上側のエッジ位置との距離dL(T1)と、前記管の下側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記管の下側のエッジ検出センサの光軸と前記管の下側のエッジ位置との距離dR(T1)と、記憶された前記距離L(T0)、前記距離ML、前記距離MR、前記距離LL3(T0)及び前記距離LR3(T0)と、に基づき、前記第1フレーム及び前記第2フレームの熱膨張の影響を無視した、温度T1における前記管の見掛け上の外径D’(T1)を算出し、熱膨張が生じても位置が変化しない前記第1フレーム上の点を基準位置BPとした場合に、前記基準位置BPの候補として複数の基準位置候補を仮定し、仮定した各基準位置候補について、前記熱膨張係数αP、前記熱膨張係数αF、前記距離LL3(T0)、前記距離LR3(T0)、前記外径D(T0)及び前記外径D’(T1)を用いて、以下の式(1)~式(4)に基づき、変数Xを算出し、前記変数Xが最小となる基準位置候補を前記基準位置BPとして決定し、前記基準位置BPについて、以下の式(3)~式(5)に基づき、補正量CAを算出し、前記温度T2において、前記距離ML及び前記距離MRが変化しないように調整された状態で、前記測定対象である管の上側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記測定対象である管の上側のエッジ検出センサの光軸と前記測定対象である管の上側のエッジ位置との距離dL(T2)と、前記測定対象である管の下側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記測定対象である管の下側のエッジ検出センサの光軸と前記測定対象である管の下側のエッジ位置との距離dR(T2)と、前記補正量CAと、を用いて、前記温度T2における前記測定対象である管の外径D(T2)を算出する、外径測定装置が提供される。
X=D’(T1)+(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL3+ΔLR3)-D(T0)-ΔD ・・・(1)
ΔD=αP・(T1-T0)・D(T0) ・・・(2)
ΔLL3=αF・(T1-T0)・LL3(T0) ・・・(3)
ΔLR3=αF・(T1-T0)・LR3(T0) ・・・(4)
CA=(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL3+ΔLR3) ・・・(5)
なお、前記式(1)におけるΔLL1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の上側の前記基準位置候補と前記管の上側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(1)におけるΔLR1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の下側の前記基準位置候補と前記管の下側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(5)におけるΔLL1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の上側の前記基準位置BPと前記管の上側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(5)におけるΔLR1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の下側の前記基準位置BPと前記管の下側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。
X=D’(T1)+(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL3+ΔLR3)-D(T0)-ΔD ・・・(1)
ΔD=αP・(T1-T0)・D(T0) ・・・(2)
ΔLL3=αF・(T1-T0)・LL3(T0) ・・・(3)
ΔLR3=αF・(T1-T0)・LR3(T0) ・・・(4)
CA=(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL3+ΔLR3) ・・・(5)
なお、前記式(1)におけるΔLL1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の左側の前記基準位置候補と前記管の左側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(1)におけるΔLR1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の右側の前記基準位置候補と前記管の右側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(5)におけるΔLL1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の左側の前記基準位置BPと前記管の左側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(5)におけるΔLR1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の右側の前記基準位置BPと前記管の右側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。
具体的には、上記の読み替えによって、任意の温度T2における任意の測定対象である管の外径D(T2)を測定する外径測定方法であって、管の上下方向に対で設けられ、前記管を上下方向から略環状に囲み、左右方向の略中央部に上下方向に延びる延在部を有する第1フレームと、前記管の上下方向に対で設けられ、前記第1フレームに対して上下方向に移動可能な第2フレームと、前記第2フレームの上下方向の前記管から遠い側の端部に取り付けられた読取装置と、前記第2フレームの上下方向の前記管に近い側の端部に取り付けられ、前記管の上下方向のエッジ位置を検出する光学式のエッジ検出センサと、前記延在部に取り付けられ、上下方向の前記管から遠い側の端部が固定治具で固定された、前記第1フレームよりも熱膨張率が小さいスケールと、を備える外径測定装置を用い、前記管の熱膨張係数αP及び前記第2フレームの熱膨張係数αFと、熱膨張を考慮しない基準温度T0における、前記管の上側の前記固定治具と前記管の下側の前記固定治具との距離L(T0)と、前記管の上側の前記読取装置と前記管の上側の前記エッジ検出センサの光軸との距離LL3(T0)と、前記管の下側の前記読取装置と前記管の下側の前記エッジ検出センサの光軸との距離LR3(T0)とを予め記憶する記憶ステップと、前記距離L(T0)、前記距離LL3(T0)及び前記距離LR3(T0)と、前記基準温度T0において、前記管の上側の前記スケールと前記管の上側の前記読取装置とを用いて測定された、前記管の上側の前記固定治具と前記管の上側の前記読取装置との距離MLと、前記管の下側の前記スケールと前記管の下側の前記読取装置とを用いて測定された、前記管の下側の前記固定治具と前記管の下側の前記読取装置との距離MRと、前記管の上側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記管の上側のエッジ検出センサの光軸と前記管の上側のエッジ位置との距離dL(T0)と、前記管の下側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記管の下側のエッジ検出センサの光軸と前記管の下側のエッジ位置との距離dR(T0)と、に基づき、前記基準温度T0における前記管の外径D(T0)を算出する第1ステップと、前記基準温度T0と異なる温度T1において、前記距離ML及び前記距離MRが変化しないように調整された状態で、前記管の上側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記管の上側のエッジ検出センサの光軸と前記管の上側のエッジ位置との距離dL(T1)と、前記管の下側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記管の下側のエッジ検出センサの光軸と前記管の下側のエッジ位置との距離dR(T1)と、前記距離L(T0)、前記距離ML、前記距離MR、前記距離LL3(T0)及び前記距離LR3(T0)と、に基づき、前記第1フレーム及び前記第2フレームの熱膨張の影響を無視した、温度T1における前記管の見掛け上の外径D’(T1)を算出する第2ステップと、熱膨張が生じても位置が変化しない前記第1フレーム上の点を基準位置BPとした場合に、前記基準位置BPの候補として複数の基準位置候補を仮定し、仮定した各基準位置候補について、記憶された前記熱膨張係数αP、前記熱膨張係数αF、前記距離LL3(T0)、前記距離LR3(T0)、前記外径D(T0)及び前記外径D’(T1)を用いて、以下の式(1)~式(4)に基づき、変数Xを算出し、前記変数Xが最小となる基準位置候補を前記基準位置BPとして決定し、前記基準位置BPについて、以下の式(3)~式(5)に基づき、補正量CAを算出する第3ステップと、前記温度T2において、前記距離ML及び前記距離MRが変化しないように調整された状態で、前記測定対象である管の上側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記測定対象である管の上側のエッジ検出センサの光軸と前記測定対象である管の上側のエッジ位置との距離dL(T2)と、前記測定対象である管の下側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記測定対象である管の下側のエッジ検出センサの光軸と前記測定対象である管の下側のエッジ位置との距離dR(T2)と、前記補正量CAと、を用いて、前記温度T2における前記測定対象である管の外径D(T2)を算出する第4ステップと、を有する、外径測定方法が提供される。
X=D’(T1)+(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL3+ΔLR3)-D(T0)-ΔD ・・・(1)
ΔD=αP・(T1-T0)・D(T0) ・・・(2)
ΔLL3=αF・(T1-T0)・LL3(T0) ・・・(3)
ΔLR3=αF・(T1-T0)・LR3(T0) ・・・(4)
CA=(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL3+ΔLR3) ・・・(5)
なお、前記式(1)におけるΔLL1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の上側の前記基準位置候補と前記管の上側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(1)におけるΔLR1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の下側の前記基準位置候補と前記管の下側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(5)におけるΔLL1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の上側の前記基準位置BPと前記管の上側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(5)におけるΔLR1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の下側の前記基準位置BPと前記管の下側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。
図1は、本発明の一実施形態に係る外径測定装置の概略構成を模式的に示す図(管の長手方向から見た図)である。図1において、Xは管の長手方向を、Yは左右方向(管の長手方向に直交する水平方向)を、Zは上下方向(管の長手方向に直交する鉛直方向)を示す。
本実施形態に係る外径測定装置100は、任意の温度における任意の管の外径を測定する装置である。図1に示すように、外径測定装置100は、例えば、油井管等のねじ付き管である管P(測定対象である管P’を含む)の左右方向(Y方向)にそれぞれ対で設けられた、第1フレーム1と、第2フレーム21と、光学式のエッジ検出センサ22と、スケール3と、読取装置6と、を備えている。さらに、外径測定装置100は、温度計4と、演算装置5と、基台8と、を備えている。
なお、管Pの左右方向に対で設けられた第1フレーム1のうち、管Pの左側に位置するものを第1フレーム1aと称し、管Pの右側に位置するものを第2フレーム1bと称するように、以下の説明では、管Pの左右方向に対で設けられた構成要素については、必要に応じて、管Pの左側に位置する構成要素の参照符号の末尾にaを付け、管Pの右側に位置する構成要素の参照符号の末尾にbを付けて説明する。
第1フレーム1は、その上下方向の略中央部(管Pの中心Cと略同じ高さの部位)に、管Pの左右方向に対で設けられた、左右方向に延びる延在部11を有する。
第1フレーム1は、金属材料(例えば、アルミニウム)から形成されている。
図1に示すように、第2フレーム21は、第1フレーム部材211と、第2フレーム部材212と、第3フレーム部材213とを構造部材として具備する。第2フレーム21も、第1フレーム1と同様に、金属材料(例えば、アルミニウム)から形成されている。ただし、第1フレーム1と第2フレーム21とが、同じ金属材料から形成されている必要はない。
第1フレーム部材211には、左右方向の管Pから遠い側の端部に、読取装置6が取り付けられている。第1フレーム部材211の左右方向の管Pに近い側の端部には、第2フレーム部材212の左右方向の管Pから遠い側の端部が取り付けられている。
第2フレーム部材212には、左右方向の管Pから遠い側の端部に、第1フレーム部材211が取り付けられている。第2フレーム部材212の左右方向の管Pに近い側の端部には、第3フレーム部材213の左右方向の管Pから遠い側の端部が、上下方向に移動可能に取り付けられている。
第3フレーム部材213には、左右方向の管Pから遠い側の端部に、第3フレーム部材213が第2フレーム部材212に対して上下方向に移動可能になるように、第2フレーム部材212が取り付けられている。第3フレーム部材213の左右方向の管Pに近い側の端部には、エッジ検出センサ22が取り付けられている。
したがって、第3フレーム部材213は、第1フレーム部材211及び第2フレーム部材212と共に、第2フレーム21の一部として左右方向に移動可能(すなわち、第2フレーム21全体として左右方向に移動可能)であるが、それに加えて、第3フレーム部材213(及び、第3フレーム部材213に取り付けられたエッジ検出センサ22)だけが、第2フレーム部材212を基準として、上下方向に移動することが可能である。
なお、以下の説明では、適宜、第2フレーム21とエッジ検出センサ22との組み合わせを測定ヘッド2(図1において、ドット状のハッチングを施した部分)と称する。
スケール3は、第1フレーム1を形成する金属材料よりも熱膨張率が小さい石英ガラス等の材料から形成されており、測定ヘッド2の左右方向の位置を検出するために、例えば、表面に形成された目盛をレーザ光を用いて読み取るタイプの高精度リニアエンコーダ(分解能:0.0156μm)が用いられる。高精度リニアエンコーダとしては、例えば、マグネスケール社製の「Laserscale」が好適に用いられる。スケール3としての高精度リニアエンコーダの目盛りを指示して読み取るための読取装置6の具体的構成は、公知のものと同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
管Pの中心Cと同じ高さにおける管Pの左右方向のエッジ位置をエッジ検出センサ22で検出することで、エッジ検出センサ22と一体的に移動する第2フレーム21の左右方向の位置が決まる。その結果として、第2フレーム21の左右方向の管Pから遠い側の端部に取り付けられた読取装置6の左右方向の位置が決まるので、この読取装置6がスケール3上で指示する目盛を読み取ることで、エッジ検出センサ22の左右方向の位置を検出することができる。
このため、スケール3の固定治具7で固定されていない部分(図1に示す例では、スケール3の中央部及びスケール3の管Pに近い側の端部)は、図示しない支持部によって支持されているだけの構成であるため、温度変化によってスケール3にわずかな熱膨張が生じ、これによりスケール3と第1フレーム1との間の相対位置関係に変化が生じた場合であっても、スケール3の固定治具7で固定されていない方の端部が自由端として機能し、スケール3は固定治具7を起点として管Pの方向に向かって長くなるだけであるため、スケール3が湾曲したり破損したりすることがなく、正確な位置を検出することが可能である。
また、演算装置5は、第1フレーム1及び第2フレーム21の熱膨張の影響を無視した、管Pの見掛け上の外径を算出し、この見掛け上の外径を補正するに当たって必要となる各種のプログラムやパラメータ、演算結果等のデータを記憶する記憶手段としても機能する。演算装置5は、適宜、記憶したデータを読み出して、演算に用いることが可能である。
図2に示すように、外径測定装置100では、記憶ステップS0、第1ステップS1、第2ステップ(ステップS21、ステップS22)、第3ステップ(ステップS31、ステップS32)及び第4ステップ(ステップS41、ステップS42)に示す処理が実行される。以下、各ステップについて順に説明する。
記憶ステップS0では、外径測定装置100の演算装置5に、予め管Pの熱膨張係数αPと、第2フレーム21の熱膨張係数αFとが記憶される。管Pや第2フレーム21の材質は予め把握することができるため、管Pの熱膨張係数αPと第2フレーム21の熱膨張係数αFも把握することが可能である。
また、記憶ステップS0では、公知の距離計を用いて、熱膨張を考慮しない基準温度T0における、管Pの左側の固定治具7と管Pの右側の固定治具7との距離L(T0)と、管Pの左側の読取装置6と管Pの左側のエッジ検出センサ22の光軸との距離LL3(T0)と、管Pの右側の読取装置6と管Pの右側のエッジ検出センサ22の光軸との距離LR3(T0)とを予め測定しておき、測定された距離L(T0)、距離LL3(T0)及び距離LR3(T0)は、演算装置5に記憶される。
基準温度T0は、熱膨張を考慮しない温度であり、本発明における熱膨張は、温度T0からの温度差に基づいて生じる現象であると見なすものとする。すなわち、基準温度T0では、外径測定装置100や管Pには熱膨張は存在せず、基準温度T0と異なる温度T1になれば、温度差(T1-T0)の絶対値に応じた量の熱膨張が生じることになる。
公知の距離計は、距離を測定可能な測定器具であればよく、例えば、ノギス、マイクロゲージ、レーザ距離計のような、一般に知られた測定器具でよい。
第1ステップS1では、基準温度T0において、管Pの左側のスケール3aと管Pの左側の読取装置6とを用いて、管Pの左側の固定治具7と管Pの左側の読取装置6との距離MLを測定する。また、管Pの右側のスケール3bと管Pの右側の読取装置6とを用いて、管Pの右側の固定治具7と管Pの右側の読取装置6との距離MRを測定する。測定された距離ML及び距離MRは、演算装置5に記憶される。
また、第1ステップS1では、基準温度T0において、管Pの左側のエッジ検出センサ22を用いて、管Pの左側のエッジ検出センサ22の光軸と管Pの左側のエッジ位置との距離dL(T0)を測定する。また、管Pの右側のエッジ検出センサ22を用いて、管Pの右側のエッジ検出センサ22の光軸と管Pの右側のエッジ位置との距離dR(T0)を測定する。測定された距離dL(T0)及びdR(T0)は、演算装置5に記憶される。
図3や図4から明らかなように、管Pや外径測定装置100の各構成要素の幾何学的配置の関係から、第1フレーム1及び第2フレーム21の熱膨張の影響を無視した、基準温度T0における管Pの見掛け上の外径D’(T0)は、以下の式(101)で表される。
D’(T0)=L(T0)-(ML+MR)-(LL3(T0)+LR3(T0))-(dL(T0)+dR(T0)) ・・・(101)
基準温度T0は、熱膨張が生じる前の基準となる温度であることから、基準温度T0においては、管Pや外径測定装置100の熱膨張による変形を考慮する必要はない。このため、基準温度T0における管Pの外径D(T0)については、以下の式(102)が成り立つ。
D(T0)=D’(T0) ・・・(102)
したがって、式(101)及び式(102)より、以下の式(103)が成り立つ。
D(T0)=L(T0)-(ML+MR)-(LL3(T0)+LR3(T0))-(dL(T0)+dR(T0)) ・・・(103)
すなわち、演算装置5は、熱膨張を考慮しない基準温度T0において、管Pの左側の固定治具7と管Pの右側の固定治具7との距離L(T0)と、管Pの左側の読取装置6と管Pの左側のエッジ検出センサ22の光軸との距離LL3(T0)と、管Pの右側の読取装置6と管Pの右側のエッジ検出センサ22の光軸との距離LR3(T0)と、管Pの左側のスケール3aと管Pの左側の読取装置6を用いて測定された、管Pの左側の固定治具7と管Pの左側の読取装置6との距離MLと、管Pの右側のスケール3bと管Pの右側の読取装置6とを用いて測定された、管Pの右側の固定治具7と管Pの右側の読取装置6との距離MRと、管Pの左側のエッジ検出センサ22を用いて測定された、管Pの左側のエッジ検出センサ22の光軸と管Pの左側のエッジ位置との距離dL(T0)と、管Pの右側のエッジ検出センサ22を用いて測定された、管Pの右側のエッジ検出センサ22の光軸と管Pの右側のエッジ位置との距離dR(T0)と、に基づき、基準温度T0における管Pの外径D(T0)を算出する。算出されたD(T0)は、演算装置5に記憶される。
<ステップS21>
次に、温度が、基準温度T0から基準温度T0と異なる温度T1に変化したものとする。この場合において、管Pや外径測定装置100の各構成要素の温度は、全て温度T1になったものと仮定する。また、温度が温度T1になったことは、温度計4を用いて第1フレーム1の温度を測定することで知ることができる。
第2ステップのステップS21では、基準温度T0と温度T1とで、スケール3に対する読取装置6の位置が変化しないように(すなわち、距離ML及び距離MRが変化しないように)、第2フレーム21の左右方向の位置を調整する。この調整は、例えば、第2フレーム21の支持機構を、測定された距離ML及び距離MRの値に応じて、その位置を制御可能な構成とし、距離ML及び距離MRが基準温度T0と温度T1とで変化しないように、支持機構の左右方向の位置を制御することで実行すればよい。また、オペレータが手動で支持機構の左右方向の位置を調整することで、第2フレーム21の左右方向の位置を調整してもよい。
ここで、再び、管Pや外径測定装置100に関して成立する数式について検討する。
温度が基準温度T0から温度T1に変化すると、実際には第1フレーム1及び第2フレーム21は熱膨張により変形するが、この熱膨張による変形の影響を無視した値として、温度T1における管Pの見掛け上の外径D’(T1)を定義する。
基準温度T0から温度T1に変化した場合に、第1フレーム1及び第2フレーム21の熱膨張による変形を考慮しなければ、温度T1における管Pの左側の固定治具7と管Pの右側の固定治具7との距離L(T1)、温度T1における管Pの左側の読取装置6と管Pの左側のエッジ検出センサ22の光軸との距離LL3(T1)、温度T1における管Pの右側の読取装置6と管Pの右側のエッジ検出センサ22の光軸との距離LR3(T1)の値は、それぞれ、L(T0)、LL3(T0)、LR3(T0)から変化しない。
また、距離ML及び距離MRが変化しないように調整していることから、ML、MRの値も変化しない。
D’(T1)=L(T1)-(ML+MR)-(LL3(T1)+LR3(T1))-(dL(T1)+dR(T1))=L(T0)-(ML+MR)-(LL3(T0)+LR3(T0))-(dL(T1)+dR(T1)) ・・・(104)
式(104)の右辺の各項の値は、すでに演算装置5に記憶されている。
第2ステップのステップS21では、演算装置5は、記憶している式(104)の右辺の各項の値を読み出す。そして、演算装置5は、それらの値を用いて、式(104)に基づき、温度T1における管Pの見掛け上の外径D’(T1)を算出する。
すなわち、演算装置5は、記憶ステップS0で記憶された、距離L(T0)、距離LL3(T0)及び距離LR3(T0)と、第1ステップS1で記憶された、距離ML及び距離MRと、第2ステップのステップS21で記憶された、距離dL(T1)及び距離dR(T1)と、に基づき、温度T1における管Pの見掛け上の外径D’(T1)を算出する。算出された外径D’(T1)は、演算装置5に記憶される。
第3ステップでは、熱膨張が生じても位置が変化しない第1フレーム1(延在部11)上の点を、基準位置BPと仮定する。基準位置BPは、管Pの左右の延在部11にそれぞれ仮定される。第3ステップのステップS31において、演算装置5は、基準位置BPを決定し、第3ステップのステップS32において、演算装置5は、決定した基準位置BPに基づき、補正量CAを算出する。以下、基準位置BPに関連して成立する数式について検討する。
図4に示すように、基準温度T0における、管Pの左側の基準位置BPと管Pの左側の固定治具7との左右方向の距離をLL1(T0)、基準温度T0における、管Pの左側の基準位置BPと管Pの左側の読取装置6との左右方向の距離をLL2(T0)、温度T1における、管Pの左側の基準位置BPと管Pの左側の固定治具7との左右方向の距離をLL1(T1)、温度T1における、管Pの左側の基準位置BPと管Pの左側の読取装置6との左右方向の距離をLL2(T1)、温度が基準温度T0から温度T1に変化したときの、管Pの左側の、基準位置BPと固定治具7との左右方向の距離の変化量をΔLL1、温度が基準温度T0から温度T1に変化したときの、管Pの左側の、基準位置BPと読取装置6との左右方向の距離の変化量をΔLL2、とすると、第2ステップのステップS21において、基準温度T0と温度T1とで、距離ML及び距離MRが変化しないように(すなわち、スケール3に対する読取装置6の位置が変化しないように)、第2フレーム21の左右方向の位置を調整した結果として、以下の式(105)が成り立つ。
LL1(T0)-LL2(T0)=LL1(T1)-LL2(T0) ・・・(105)
ここで、ΔLL1、ΔLL2は、それぞれ以下の式(106)、式(107)で表されるため、
ΔLL1=LL1(T1)-LL1(T0) ・・・(106)
ΔLL2=LL2(T1)-LL2(T0) ・・・(107)
式(106)及び式(107)から、以下の式(108)が成り立つ。
ΔLL1-ΔLL2=(LL1(T1)-LL2(T1))-(LL1(T0)-LL2(T0)) ・・・(108)
式(105)及び式(108)から、以下の式(109)が成り立つ。
ΔLL1=ΔLL2 ・・・(109)
ΔLR1=LR1(T1)-LR1(T0) ・・・(110)
ΔLR2=LR2(T1)-LR2(T0) ・・・(111)
ΔLR1=ΔLR2 ・・・(112)
また、別の観点からすると、基準位置BPについては、その定義から、基準温度T0から温度T1に温度変化が生じたとしても、その位置が変化することはない。管Pの中心Cについても、左右対称な外径測定装置100が構成する装置系の中心に位置していることから、基準位置BPと同様に、その位置が変化することはない。
このため、図4に示すように、基準温度T0における、管Pの左側の固定治具7と管Pの中心Cとの左右方向の距離をLL0(T0)、温度T1における、管Pの左側の固定治具7と管Pの中心Cとの左右方向の距離をLL0(T1)、基準温度T0から温度T1に変化したときの、管Pの左側の固定治具7と管Pの中心Cとの左右方向の距離の変化量をΔLL0、とすると、以下の式(113)が成り立つ。
LL0(T1)-LL1(T1)=LL0(T0)-LL1(T0) ・・・(113)
また、ΔLL0は、以下の式(114)で表される。
ΔLL0=LL0(T1)-LL0(T0) ・・・(114)
式(106)及び式(114)から、以下の式(115)が成り立ち、結果的に、式(116)が成り立つ。
ΔLL0=LL0(T1)-LL0(T0)=LL1(T1)-LL1(T0)=ΔLL1 ・・・(115)
ΔLL0=ΔLL1 ・・・(116)
ΔLR0=LR0(T1)-LR0(T0) ・・・(117)
ΔLR0=ΔLR1 ・・・(118)
更に別の観点からすると、管Pや外径測定装置100の各構成要素の幾何学的配置の関係から、以下の式(119)が成り立つ。
dL(T0)=LL0(T0)-LL1(T0)+LL2(T0)-LL3(T0)-R(T0) ・・・(119)
式(119)のR(T0)は、基準温度T0における管Pの半径であり、式(103)で表されるD(T0)の1/2の値である。
また、温度T1における管Pの半径をR(T1)とすると、管Pの左側のエッジ検出センサ22を用いて測定した、温度T1における、管Pの左側のエッジ検出センサ22の光軸と管Pの左側のエッジ位置との距離dL(T1)については、以下の式(120)が成り立つ。
dL(T1)=LL0(T1)-LL1(T1)+LL2(T1)-LL3(T1)-R(T1) ・・・(120)
このため、温度が基準温度T0から温度T1に変化したときの、管Pの左側の読取装置6と管Pの左側のエッジ検出センサ22の光軸との距離の変化量をΔLL3、温度が基準温度T0から温度T1に変化したときの管Pの半径の変化量をΔRとすると、ΔR、ΔLL3は、それぞれ以下の式(121)、式(122)で表される。
ΔR=R(T1)-R(T0) ・・・(121)
ΔLL3=LL3(T1)-LL3(T0) ・・・(122)
したがって、基準温度T0から温度T1に変化したときの、管Pの左側のエッジ検出センサ22の光軸と管Pの左側のエッジ位置との距離dLの変化量ΔdLについては、式(119)~(122)から、以下の式(123)が成り立つ。
ΔdL=dL(T1)-dL(T0)=ΔLL0-ΔLL1+ΔLL2-ΔLL3-ΔR ・・・(123)
ΔLR3=LR3(T1)-LR3(T0) ・・・(124)
したがって、基準温度T0から温度T1に変化したときの、管Pの右側のエッジ検出センサ22の光軸と管Pの右側のエッジ位置との距離dRの変化量ΔdRについては、以下の式(125)が成り立つ。
ΔdR=dR(T1)-dR(T0)=ΔLR0-ΔLR1+ΔLR2-ΔLR3-ΔR ・・・(125)
また、更に別の観点からすると、第2ステップのステップS21において、温度が基準温度T0から温度T1に変化した場合に、距離ML及び距離MRが変化しないように(すなわち、スケール3に対する読取装置6の位置が変化しないように)、第2フレーム21の左右方向の位置を調整した結果として、第1フレーム1の熱膨張の分だけ、第2フレーム21(それ自体も熱膨張しつつ)も左右方向に移動するように調整されるが、一方で、管Pの見掛け上の外径D’(T1)は、その定義から、温度が基準温度T0から温度T1に変化しても、第1フレーム1及び第2フレーム21の熱膨張による変形の影響を受けない値である。
このため、式(103)、式(104)に基づいて、以下の式(126)が成り立つ。
D’(T1)+(dL(T1)+dR(T1))=D(T0)+(dL(T0)+dR(T0)) ・・・(126)
このため、式(123)、式(125)、式(126)から、以下の式(127)が成り立つ。
D(T0)=D’(T1)+(ΔdL+ΔdR) ・・・(127)
D(T1)=D(T0)+2・ΔR ・・・(128)
このため、温度T1のときの管Pの外径D(T1)は、式(127)、式(128)から、以下の式(129)で表すことができる。
D(T1)=D(T0)+2・ΔR=D’(T1)+(ΔdL+ΔdR)+2・ΔR=D’(T1)+CA ・・・(129)
式(129)において、CA=(ΔdL+ΔdR)+2・ΔRである。
すなわち、温度T1における管Pの外径D(T1)を求めるためには、管Pの見掛け上の外径D’(T1)に、以下の式(129)で表される補正量CAを付加すればよいことが分かる。
補正量CAは、式(109)、式(112)、式(116)、式(118)、式(123)、式(125)、式(129)より、以下の式(130)で表される。式(130)より、補正量CAは、管Pに依存しない値になることが分かる。
CA=(ΔdL+ΔdR)+2・ΔR
=(ΔLL0-ΔLL1+ΔLL2-ΔLL3-ΔR)+(ΔLR0-ΔLR1+ΔLR2-ΔLR3-ΔR)+2・ΔR
=(ΔLL0+ΔLR0)-(ΔLL1+ΔLR1)+(ΔLL2+ΔLR2)-(ΔLL3+ΔLR3)
=(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL1+ΔLR1)+(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL3+ΔLR3)
=(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL3+ΔLR3) ・・(130)
ここで、ΔLL3、ΔLR3は、第2フレーム21の熱膨張係数αFを用いて、式(122)、式(124)より、それぞれ以下の式(131)、式(132)で表される。
ΔLL3=LL3(T1)-LL3(T0)=αF・(T1-T0)・LL3(T0) ・・・(131)
ΔLR3=LR3(T1)-LR3(T0)=αF・(T1-T0)・LR3(T0) ・・・(132)
この未知である式(130)の第5式の第1項(ΔLL1+ΔLR1)は、基準位置BPに依存する値であるため、基準位置BPの位置が定まれば求めることができる。このため、以下においては、基準位置BPの位置がどこにあるか(すなわち、ΔLL1、ΔLR1の値)を決定する方法について検討する。
D’(T1)+CA=D(T0)+2・ΔR・・・(133)
式(133)は、より詳細には、式(130)の第5式から、以下の式(134)で表すこともできる。
D’(T1)+(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL3+ΔLR3)=D(T0)+2・ΔR ・・・(134)
ここで、式(134)の左辺第1項であるD’(T1)は、式(104)から算出することができる値であり、第2ステップで算出されて演算装置5に記憶されている。
式(134)の左辺第2項である(ΔLL1+ΔLR1)は、基準位置BP(又は後述する基準位置候補)に依存する未知の変数である。
式(134)の左辺第3項である(ΔLL3+ΔLR3)は、式(131)、式(132)から算出することができる値である。
式(134)の右辺第1項であるD(T0)は、式(103)から算出することができる値であり、第1ステップS1で算出されて演算装置5に記憶されている。
式(134)の右辺第2項であるΔRは、記憶ステップS0で記憶された管Pの熱膨張係数αPを用いて、以下の式(135)によって算出することができる値である。
ΔR=R(T1)-R(T0)=αP・(T1-T0)・R(T0) ・・・(135)
このため、式(134)に基づいて、変数Xを用いた以下の式(136)を考えると、変数Xは、以下の式(137)で表される。
D’(T1)+(ΔLL1+ΔLR1)-X-(ΔLL3+ΔLR3)=D(T0)+2・ΔR ・・・(136)
X=D’(T1)+(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL3+ΔLR3)-D(T0)-2・ΔR ・・・(137)
式(134)と式(136)との関係から明らかなように、この変数Xについて、基準位置BPの候補となるいくつかの基準位置候補を設定した場合に、変数Xが最小となる基準位置候補(これにより、ΔLL1、ΔLR1の値が決まる)が、求めるべき基準位置BPに相当すると考えられる。
このため、基準位置BPの候補である基準位置候補を複数仮定し、仮定した各基準位置候補について、それぞれ変数Xを算出し、変数Xが最小となる基準位置候補を、求めるべき基準位置BPであるとみなせば、その位置から、ΔLL1、ΔLR1を算出し、算出したΔLL1、ΔLR1と、記憶ステップS0で測定され記憶されたLL3(T0)、LR3(T0)とから、式(130)に基づいて、補正量CAを算出することができると考えられる。
そこで、第3ステップのステップS31において、演算装置5は、式(137)の右辺の各項に関係する値を読み出す。そして、演算装置5は、基準位置BPの候補として複数の基準位置候補を仮定し、仮定した各基準位置候補について、第1ステップS1で算出したD(T0)と、第2ステップで算出したD’(T1)とを用いて、式(131)、式(132)、式(135)、式(137)に基づき変数Xを算出し、変数Xが最小となる基準位置候補を基準位置BPとして決定する。
そして、第3ステップのステップS32において、上記のようにして決定された基準位置BPから求めた、温度が基準温度T0から温度T1に変化したときの、管Pの左側の基準位置BPと管Pの左側の固定治具7との左右方向の距離の変化量ΔLL1と、温度が基準温度T0から温度T1に変化したときの、管Pの右側の基準位置BPと管Pの右側の固定治具7との左右方向の距離の変化量ΔLR1とを用いて、式(130)に基づき、補正量CAを算出する。
X=D’(T1)+(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL3+ΔLR3)-D(T0)-ΔD ・・・(1)
ΔD=αP・(T1-T0)・D(T0) ・・・(2)
ΔLL3=αF・(T1-T0)・LL3(T0) ・・・(3)
ΔLR3=αF・(T1-T0)・LR3(T0) ・・・(4)
CA=(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL3+ΔLR3) ・・・(5)
前記式(1)におけるΔLL1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の左側の前記基準位置候補と前記管の左側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(1)におけるΔLR1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の右側の前記基準位置候補と前記管の右側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(5)におけるΔLL1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の左側の前記基準位置BPと前記管の左側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(5)におけるΔLR1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の右側の前記基準位置BPと前記管の右側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。
算出された補正量CAは、演算装置5に記憶される。
このため、補正量CAは、温度が、基準温度T0や温度T1ではなく、異なる温度T2になったとしても、また、管Pが外径等の異なる管P’(測定対象である管P’)になったとしても、直接影響を受けない値である。したがって、例えば、温度がT2になった場合には、補正量CAに、温度差の比(すなわち、単純な熱膨張量の比である(T2-T0)/(T1-T0))を掛けることで、温度T0や温度T1とは異なる、任意の温度T2においても、補正量として流用することが可能である。
<ステップS41>
任意の測定対象である管P’(温度T0や温度T1での測定で用いた管Pと同じ管であっても、異なる管であってもよい。以下では、適宜、「被測定管P’」とも称する)の外径を任意の温度で測定しようとする場合、外径測定装置100は、第4ステップのステップS41において、温度計4を用いて、第1フレーム1の温度を測定する。この結果得られた、被測定管P’の外径を測定しようとする際の第1フレーム1の温度を温度T2とする。この場合、第1フレーム1上の温度計4の取り付け位置のみならず、第1フレーム1の他の部位や、第2フレーム21や、被測定管P’といった、各部位や各部材の温度についても、温度T2になっているものと仮定している。測定された温度T2は、演算装置5に記憶される。
また、第4ステップのステップS41では、基準温度T0と温度T2とで、距離ML及び距離MRが変化しないように、第2フレーム21の左右方向の位置を調整する。調整の方法としては、第2ステップのステップS21と同様の方法が用いられる。そして、温度T2において、距離ML及び距離MRが変化しないように調整された状態で、被測定管P’の左側のエッジ検出センサ22を用いて、被測定管P’の左側のエッジ検出センサ22の光軸と被測定管P’の左側のエッジ位置との距離dL(T2)を測定し、被測定管P’の右側のエッジ検出センサ22を用いて、被測定管P’の右側のエッジ検出センサ22の光軸と被測定管P’の右側のエッジ位置との距離dR(T2)を測定する。測定された距離dL(T2)及び距離dR(T2)は、演算装置5に記憶される。
温度T2における被測定管P’の外径D(T2)は、温度が基準温度T0から温度T2に変化すると、第1フレーム1及び第2フレーム21の熱膨張による変形の影響を受ける。
一方、この熱膨張による変形の影響を無視した値として定義された、温度T2における被測定管P’の見掛け上の外径D’(T2)は、式(101)と同様に、以下の式(138)で表すことができる。
D’(T2)=L(T0)-(ML+MR)-(LL3(T0)+LR3(T0))-(dL(T2)+dR(T2)) ・・・(138)
また、温度T2における被測定管P’の外形D(T2)は、式(129)と同様に、補正量CA’を用いた以下の式(139)で表すことができる。
D(T2)=D’(T2)+CA’ ・・・(139)
ここで、補正量CAは、基準温度T0から温度T1に変化した場合の補正量であるが、式(139)における補正量CA’は、基準温度T0から温度T2に変化した場合の補正量であるため、補正量CAとは異なる値となる。
式(130)より、CA=(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL3+ΔLR3)であり、この式の右辺のΔLL1、ΔLR1、ΔLL3、ΔLR3は、それぞれ、基準温度T0から温度T1に変化した場合の、第1フレーム1又は第2フレーム21の熱膨張に関する値であるが、補正量CA’も同様に、第1フレーム1又は第2フレーム21の熱膨張に関する値であるといえる。
このため、基準温度T0から温度T2に変化した場合の補正量CA’は、補正量CAに比べて、温度差の比((T2-T0)と(T1-T0)との比)だけ異なることになり、以下の式(140)が成り立つ。
CA’=CA・(T2-T0)/(T1-T0) ・・・(140)
式(139)及び式(140)より、温度T2における被測定管P’の外径D(T2)は、温度T2における被測定管P’の見掛け上の外径D’(T2)を用いて、以下の式(141)で表すことができる。
D(T2)=D’(T2)+CA’=D’(T2)+CA・(T2-T0)/(T1-T0) ・・・(141)
このため、第4ステップのステップS42において、演算装置5は、ステップS41で測定したdL(T2)、dR(T2)と、ステップS32で算出したCAとを読み出す。そして、演算装置5は、これらの値を用いて、式(138)及び式(141)から、任意の温度T2における任意の被測定管P’の外径D(T2)を算出することができる。つまり、本実施形態に係る外径測定装置100を用いることで、任意の温度T2における任意の被測定管P’の外径を、温度T0と温度T1における管Pの測定結果から得られた補正値CAを用いて、高精度に測定することが可能となる。
また、本実施形態に係る外径測定装置100は、補正量CAを用いることで、任意の温度T2における被測定管P’の外径D(T2)を最終的な測定結果とすることができ、測定対象である管の種類が変わったとしても、管の外径を、温度変動に起因して生じる誤差の影響が低減された状態で、精度良く測定することが可能である。
また、本実施形態に係る外径測定装置100は、スケール3を用いてエッジ検出センサ22の左右方向の位置を検出する高さと、エッジ検出センサ22によって管Pのエッジ位置を検出する高さとが、何れも管Pの中心Cと略同じ高さにあるため、熱膨張が生じた際に誤差要因となるアッベオフセットを十分に抑制できる。
なお、以上の説明では、管Pや被測定管P’の外径を左右のエッジ位置から測定する外径測定装置100を例に挙げて説明をしたが、本発明に係る外径測定装置として、左右のエッジ位置ではなく、上下のエッジ位置から測定する構成を採用することも可能である。この場合には、以上の説明について、左、右をそれぞれ上、下と読み替え、上、下をそれぞれ左、右と読み替えればよい。
図5に示すように、見掛け上の外径D’には、基準温度T0からの温度変動に起因して測定誤差が生じることが分かる。
図6に示すように、本実施形態に係る外径測定装置で演算される補正後の外径Dは、温度変動に関わらず、熱膨張後の真の外径と非常に良く一致しており、温度変動に起因して生じる誤差の影響が低減された状態で、被測定管Pの外径を精度良く測定可能であることが分かる。
2・・・測定ヘッド
3・・・スケール
4・・・温度計
5・・・演算装置
6・・・読取装置
7・・・固定治具
11・・・延在部
21・・・第2フレーム
22・・・エッジ検出センサ
100・・・外径測定装置
211・・・第1フレーム部材
212・・・第2フレーム部材
213・・・第3フレーム部材
221・・・照明手段
222・・・撮像手段
P・・・管
P’・・・被測定管
C・・・管の中心
BP・・・基準位置
Claims (4)
- 任意の温度T2における任意の測定対象である管の外径D(T2)を測定する外径測定装置であって、
管の左右方向に対で設けられ、前記管を左右方向から略環状に囲み、上下方向の略中央部に左右方向に延びる延在部を有する第1フレームと、
前記管の左右方向に対で設けられ、前記第1フレームに対して左右方向に移動可能な第2フレームと、
前記第2フレームの左右方向の前記管から遠い側の端部に取り付けられた読取装置と、
前記第2フレームの左右方向の前記管に近い側の端部に取り付けられ、前記管の左右方向のエッジ位置を検出する光学式のエッジ検出センサと、
前記延在部に取り付けられ、左右方向の前記管から遠い側の端部が固定治具で固定された、前記第1フレームよりも熱膨張率が小さいスケールと、
前記第1フレーム及び前記第2フレームの熱膨張の影響を補正する演算を行う演算装置と、
を備え、
前記演算装置は、前記管の熱膨張係数αP及び前記第2フレームの熱膨張係数αFと、熱膨張を考慮しない基準温度T0における、前記管の左側の前記固定治具と前記管の右側の前記固定治具との距離L(T0)と、前記管の左側の前記読取装置と前記管の左側の前記エッジ検出センサの光軸との距離LL3(T0)と、前記管の右側の前記読取装置と前記管の右側の前記エッジ検出センサの光軸との距離LR3(T0)とを予め記憶し、
前記演算装置は、
前記距離L(T0)、前記距離LL3(T0)及び前記距離LR3(T0)と、前記基準温度T0において、前記管の左側の前記スケールと前記管の左側の前記読取装置とを用いて測定された、前記管の左側の前記固定治具と前記管の左側の前記読取装置との距離MLと、前記管の右側の前記スケールと前記管の右側の前記読取装置とを用いて測定された、前記管の右側の前記固定治具と前記管の右側の前記読取装置との距離MRと、前記管の左側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記管の左側のエッジ検出センサの光軸と前記管の左側のエッジ位置との距離dL(T0)と、前記管の右側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記管の右側のエッジ検出センサの光軸と前記管の右側のエッジ位置との距離dR(T0)と、に基づき、前記基準温度T0における前記管の外径D(T0)を算出し、
前記基準温度T0と異なる温度T1において、前記距離ML及び前記距離MRが変化しないように調整された状態で、前記管の左側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記管の左側のエッジ検出センサの光軸と前記管の左側のエッジ位置との距離dL(T1)と、前記管の右側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記管の右側のエッジ検出センサの光軸と前記管の右側のエッジ位置との距離dR(T1)と、前記距離L(T0)、前記距離ML、前記距離MR、前記距離LL3(T0)及び前記距離LR3(T0)と、に基づき、前記第1フレーム及び前記第2フレームの熱膨張の影響を無視した、温度T1における前記管の見掛け上の外径D’(T1)を算出し、
熱膨張が生じても位置が変化しない前記第1フレーム上の点を基準位置BPとした場合に、前記基準位置BPの候補として複数の基準位置候補を仮定し、仮定した各基準位置候補について、前記熱膨張係数αP、前記熱膨張係数αF、前記距離LL3(T0)、前記距離LR3(T0)、前記外径D(T0)及び前記外径D’(T1)を用いて、以下の式(1)~式(4)に基づき、変数Xを算出し、前記変数Xが最小となる基準位置候補を前記基準位置BPとして決定し、前記基準位置BPについて、以下の式(3)~式(5)に基づき、補正量CAを算出し、
前記温度T2において、前記距離ML及び前記距離MRが変化しないように調整された状態で、前記測定対象である管の左側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記測定対象である管の左側のエッジ検出センサの光軸と前記測定対象である管の左側のエッジ位置との距離dL(T2)と、前記測定対象である管の右側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記測定対象である管の右側のエッジ検出センサの光軸と前記測定対象である管の右側のエッジ位置との距離dR(T2)と、前記補正量CAと、を用いて、前記温度T2における前記測定対象である管の外径D(T2)を算出する、外径測定装置。
X=D’(T1)+(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL3+ΔLR3)-D(T0)-ΔD ・・・(1)
ΔD=αP・(T1-T0)・D(T0) ・・・(2)
ΔLL3=αF・(T1-T0)・LL3(T0) ・・・(3)
ΔLR3=αF・(T1-T0)・LR3(T0) ・・・(4)
CA=(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL3+ΔLR3) ・・・(5)
なお、前記式(1)におけるΔLL1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の左側の前記基準位置候補と前記管の左側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(1)におけるΔLR1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の右側の前記基準位置候補と前記管の右側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(5)におけるΔLL1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の左側の前記基準位置BPと前記管の左側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(5)におけるΔLR1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の右側の前記基準位置BPと前記管の右側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。 - 請求項1に記載の外径測定装置において、左、右をそれぞれ上、下と読み替え、上、下をそれぞれ左、右と読み替えて得られる外径測定装置。
- 任意の温度T2における任意の測定対象である管の外径D(T2)を測定する外径測定方法であって、
管の左右方向に対で設けられ、前記管を左右方向から略環状に囲み、上下方向の略中央部に左右方向に延びる延在部を有する第1フレームと、
前記管の左右方向に対で設けられ、前記第1フレームに対して左右方向に移動可能な第2フレームと、
前記第2フレームの左右方向の前記管から遠い側の端部に取り付けられた読取装置と、
前記第2フレームの左右方向の前記管に近い側の端部に取り付けられ、前記管の左右方向のエッジ位置を検出する光学式のエッジ検出センサと、
前記延在部に取り付けられ、左右方向の前記管から遠い側の端部が固定治具で固定された、前記第1フレームよりも熱膨張率が小さいスケールと、
を備える外径測定装置を用い、
前記管の熱膨張係数αP及び前記第2フレームの熱膨張係数αFと、熱膨張を考慮しない基準温度T0における、前記管の左側の前記固定治具と前記管の右側の前記固定治具との距離L(T0)と、前記管の左側の前記読取装置と前記管の左側の前記エッジ検出センサの光軸との距離LL3(T0)と、前記管の右側の前記読取装置と前記管の右側の前記エッジ検出センサの光軸との距離LR3(T0)とを予め記憶する記憶ステップと、
前記距離L(T0)、前記距離LL3(T0)及び前記距離LR3(T0)と、前記基準温度T0において、前記管の左側の前記スケールと前記管の左側の前記読取装置とを用いて測定された、前記管の左側の前記固定治具と前記管の左側の前記読取装置との距離MLと、前記管の右側の前記スケールと前記管の右側の前記読取装置とを用いて測定された、前記管の右側の前記固定治具と前記管の右側の前記読取装置との距離MRと、前記管の左側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記管の左側のエッジ検出センサの光軸と前記管の左側のエッジ位置との距離dL(T0)と、前記管の右側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記管の右側のエッジ検出センサの光軸と前記管の右側のエッジ位置との距離dR(T0)と、に基づき、前記基準温度T0における前記管の外径D(T0)を算出する第1ステップと、
前記基準温度T0と異なる温度T1において、前記距離ML及び前記距離MRが変化しないように調整された状態で、前記管の左側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記管の左側のエッジ検出センサの光軸と前記管の左側のエッジ位置との距離dL(T1)と、前記管の右側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記管の右側のエッジ検出センサの光軸と前記管の右側のエッジ位置との距離dR(T1)と、前記距離L(T0)、前記距離ML、前記距離MR、前記距離LL3(T0)及び前記距離LR3(T0)と、に基づき、前記第1フレーム及び前記第2フレームの熱膨張の影響を無視した、温度T1における前記管の見掛け上の外径D’(T1)を算出する第2ステップと、
熱膨張が生じても位置が変化しない前記第1フレーム上の点を基準位置BPとした場合に、前記基準位置BPの候補として複数の基準位置候補を仮定し、仮定した各基準位置候補について、前記熱膨張係数αP、前記熱膨張係数αF、前記距離LL3(T0)、前記距離LR3(T0)、前記外径D(T0)及び前記外径D’(T1)を用いて、以下の式(1)~式(4)に基づき、変数Xを算出し、前記変数Xが最小となる基準位置候補を前記基準位置BPとして決定し、前記基準位置BPについて、以下の式(3)~式(5)に基づき、補正量CAを算出する第3ステップと、
前記温度T2において、前記距離ML及び前記距離MRが変化しないように調整された状態で、前記測定対象である管の左側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記測定対象である管の左側のエッジ検出センサの光軸と前記測定対象である管の左側のエッジ位置との距離dL(T2)と、前記測定対象である管の右側の前記エッジ検出センサを用いて測定された、前記測定対象である管の右側のエッジ検出センサの光軸と前記測定対象である管の右側のエッジ位置との距離dR(T2)と、前記補正量CAと、を用いて、前記温度T2における前記測定対象である管の外径D(T2)を算出する第4ステップと、を有する、
外径測定方法。
X=D’(T1)+(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL3+ΔLR3)-D(T0)-ΔD ・・・(1)
ΔD=αP・(T1-T0)・D(T0) ・・・(2)
ΔLL3=αF・(T1-T0)・LL3(T0) ・・・(3)
ΔLR3=αF・(T1-T0)・LR3(T0) ・・・(4)
CA=(ΔLL1+ΔLR1)-(ΔLL3+ΔLR3) ・・・(5)
なお、前記式(1)におけるΔLL1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の左側の前記基準位置候補と前記管の左側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(1)におけるΔLR1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の右側の前記基準位置候補と前記管の右側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(5)におけるΔLL1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の左側の前記基準位置BPと前記管の左側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。前記式(5)におけるΔLR1は、基準温度T0から温度T1に変化したときの、前記管の右側の前記基準位置BPと前記管の右側の前記固定治具との距離の変化量を意味する。 - 請求項3に記載の外径測定方法において、左、右をそれぞれ上、下と読み替え、上、下をそれぞれ左、右と読み替えて得られる外径測定方法。
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JP7080692B2 (ja) | 2018-03-28 | 2022-06-06 | 株式会社東京精密 | 測定ヘッド及びその温度特性を調整する方法 |
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