JP2022111580A - 電源システム - Google Patents
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Abstract
【課題】負荷に影響を与えることなく平滑コンデンサを放電する。【解決手段】電源システム2は、バッテリ10と、正極線PL1と、負極線NLと、コンバータ50と、コンデンサC2と、SMRBと、ダイオードDと、スイッチング素子Q0とを備える。コンバータ50は、各々がスイッチング素子(Q1またはQ2)を有する上アームおよび下アームと、上アームおよび下アームの接続点と正極線PL1とに電気的に接続されたリアクトルLとを含む。コンデンサC2は、コンバータ50により昇圧された電圧を平滑化する。SMRBは、正極11とリアクトルLとの間を電気的に遮断するように構成されている。ダイオードDは、SMRBに並列に、リアクトルLから正極11に向かう方向が順方向となるように接続されている。スイッチング素子Q0は、ダイオードDとリアクトルLとの間に設けられ、正極線PL1と負極線NLとの間に電気的に接続されている。【選択図】図2
Description
本開示は、電源システムに関し、より特定的には、昇圧チョッパ回路により昇圧された電圧を平滑化する平滑コンデンサを備えた電源システムに関する。
コンバータ、インバータ等の電力変換回路内の平滑コンデンサに蓄えられた電荷を放電する技術が提案されている。たとえば特開2020-5394号公報(特許文献1)はディスチャージ処理を開示する。このディスチャージ処理では、インバータからモータに無効電流を流し、導通損を利用してコンデンサの充電量を所定値以下にする。このとき、トルクがゼロとなるようにインバータが制御される(段落[0054]参照)。
バッテリと、バッテリの電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路と、昇圧チョッパ回路により昇圧された電圧を平滑化する平滑コンデンサとを備える電源システムが広く用いられている。このような電源システムに、昇圧チョッパ回路の負荷として、たとえばインバータおよびモータを接続することが考えられる。昇圧チョッパ回路により昇圧された電圧がインバータによりDC/AC変換されてモータに与えられる。
上記構成において、特許文献1に記載されているように、モータが発生するトルクがゼロになるようにインバータを制御しつつ、導通損を利用して平滑コンデンサを放電させることも考えられる。しかしながら、様々な要因によりモータ電流が乱れた場合など、非ゼロのトルクが発生する可能性を否定できない。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、負荷に影響を与えることなく平滑コンデンサを放電可能な電源システムを提供することである。
本開示のある局面に係る電源システムは、バッテリと、正極線と、負極線と、昇圧チョッパ回路と、平滑コンデンサと、リレーと、ダイオードと、スイッチング素子とを備える。バッテリは、正極および負極を含む。正極線は、正極に電気的に接続されている。負極線は、負極に電気的に接続されている。昇圧チョッパ回路は、正極線と負極線との間の電圧を昇圧する。昇圧チョッパ回路は、各々がスイッチング素子を有する上アームおよび下アームと、上アームおよび下アームの接続点と正極線とに電気的に接続されたリアクトルとを含む。平滑コンデンサは、昇圧チョッパ回路により昇圧された電圧を平滑化する。リレーは、正極とリアクトルとの間を電気的に遮断するように構成されている。ダイオードは、リレーに並列に、リアクトルから正極に向かう方向が順方向となるように接続されている。スイッチング素子は、ダイオードとリアクトルとの間に設けられ、正極線と負極線との間に電気的に接続されている。
詳細は後述するが、上記構成においては、ダイオードにより平滑コンデンサの放電経路が確保される。また、放電途中に平滑コンデンサの電圧がバッテリの電圧を下回った場合には電荷が流れなくなるところ、スイッチング素子を用いてリアクトルを充電することで、電荷をさらに流すことが可能になる。よって、上記構成によれば、負荷に影響を与えることなく平滑コンデンサを放電できる。
本開示によれば、負荷に影響を与えることなく平滑コンデンサを放電できる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
以下の実施の形態では、本開示に係る電源システムが車両に搭載された構成を例に説明する。しかし、本開示に係る電源システムの用途は車両用に限定されず、たとえば定置用であってもよい。
[実施の形態]
<車両構成>
図1は、本開示の実施の形態に係る電源システムが搭載された車両の全体構成を概略的に示す図である。車両1は、この例では電気自動車(EV:Electric Vehicle)である。ただし、車両1の種類は特に限定されない。車両1は、ハイブリッド車(HV:Hybrid Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHV:Plug-in Hybrid Vehicle)、燃料電池車(FCV:Fuel Cell Vehicle)等であってもよい。
<車両構成>
図1は、本開示の実施の形態に係る電源システムが搭載された車両の全体構成を概略的に示す図である。車両1は、この例では電気自動車(EV:Electric Vehicle)である。ただし、車両1の種類は特に限定されない。車両1は、ハイブリッド車(HV:Hybrid Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHV:Plug-in Hybrid Vehicle)、燃料電池車(FCV:Fuel Cell Vehicle)等であってもよい。
車両1は電源システム2を備える。電源システム2は、バッテリ10と、電圧センサ20と、正極線PL1と、負極線NLと、システムメインリレー(SMR:System Main Relay)30と、コンデンサC1と、電圧センサ40と、コンバータ50と、正極線PL2と、コンデンサC2と、電圧センサ60と、ECU(Electronic Control Unit)100とを備える。車両1は、電源システム2に加えて、インバータ70と、モータジェネレータ(MG:Motor Generator)80とをさらに備える。
バッテリ10は、複数のセルを含む組電池である。各セルは、リチウムイオン電池またはニッケル水素電池などの二次電池である。バッテリ10は、正極11と、負極12とを含む。バッテリ10は、車両1の駆動力を発生させるための電力を供給する。また、バッテリ10は、モータジェネレータ80により発電された電力を蓄える。
電圧センサ20は、バッテリ10の電圧を検出し、その検出値をECU100に出力する。以下、この電圧を「バッテリ電圧VB」と記載する。バッテリ電圧VBは、たとえば約200Vである。
正極線PL1は、バッテリ10の正極11に電気的に接続されている。負極線NLは、バッテリ10の負極12に電気的に接続されている。なお、正極線PL1は、本開示に係る「正極線」に相当する。
SMR30は、バッテリ10とコンバータ50との間に電気的に接続されている。SMR30は、ECU100からの指令に従って開放または閉成される。SMR30が開放されている場合、バッテリ10とコンバータ50との間が電気的に遮断される。SMR30が閉成されることで、バッテリ10とコンバータ50との間での電力伝送が可能となる。
本実施の形態において、SMR30は、正極線PL1に電気的に接続されたSMRBと、負極線NLに電気的に接続されたSMRGと、SMRGに並列接続されたSMRPとを含む。SMRPには抵抗Rが直列接続されている。なお、SMRBは、本開示に係る「リレー」に相当する。
コンデンサC1は、正極線PL1と負極線NLとの間に接続されている。コンデンサC1は、正極線PL1と負極線NLとの間の電圧変動の交流成分を平滑化する。
電圧センサ40は、コンデンサC1の電圧VLを検出し、その検出値をECU100に出力する。
コンバータ50は、昇圧チョッパ回路であって、リアクトルLと、電流センサ51と、スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。
リアクトルLは正極線PL1に接続されている。より詳細には、リアクトルLは、バッテリ10の正極11と、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との中間点(接続ノード)との間に電気的に接続されている。
電流センサ51は、リアクトルLを流れる電流を検出し、その検出値をECU100に出力する。以下、この電流を「リアクトル電流IL」と記載する。
スイッチング素子Q1,Q2は、正極線PL2と負極線NLの間に直列接続されている。スイッチング素子Q1,Q2は、ECU100からの駆動信号に従ってスイッチング動作(オン/オフ動作)を行う。スイッチング素子Q1,Q2および後述する各スイッチング素子Q0,Q3~Q8としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。
ダイオードD1,D2は、スイッチング素子Q1,Q2にそれぞれ逆並列に接続されている。なお、スイッチング素子Q1およびダイオードD1は本開示に係る「上アーム」に相当し、スイッチング素子Q2およびダイオードD2は本開示に係る「下アーム」に相当する。
コンバータ50は、各スイッチング周期内で、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2が相補的かつ交互にスイッチング動作するように制御される。コンバータ50は、バッテリ電圧VBを昇圧し、昇圧された電圧(以下、「システム電圧VH」とも記載する)をインバータ70に出力する。この昇圧動作は、スイッチング素子Q2のオン期間にリアクトルLに蓄積される磁気エネルギーを、スイッチング素子Q1およびダイオードD1を介して正極線PL2へ供給することによって実現される。昇圧動作における電圧変換比(VHとVBとの比率)は、スイッチング周期に対するスイッチング素子Q1,Q2のオン期間比(デューティ比)により制御される。
正極線PL2は、コンバータ50の高電位端とインバータ70の高電位端とを電気的に接続する。負極線NLは、コンバータ50の低電位端とインバータ70の低電位端とを電気的に接続する。
コンデンサC2は、正極線PL2と負極線NLとの間に接続されている。コンデンサC2は、コンバータ50により昇圧された直流電圧を平滑化し、平滑化された電圧をインバータ70に供給する。なお、コンデンサC2は、本開示に係る「平滑コンデンサ」に相当する。
電圧センサ60は、コンデンサC2の両端の電圧(システム電圧)VHを検出し、その検出値をECU100に出力する。コンデンサC2の放電前のシステム電圧VHは、たとえば約600Vである。
インバータ70は、U相アーム71と、V相アーム72と、W相アーム73とを含む。U相アーム71とV相アーム72とW相アーム73とは、正極線PL2と負極線NLとの間に並列接続されている。各相アームは、正極線PL2と負極線NLとの間に直列接続された2つのスイッチング素子と、各スイッチング素子に逆並列に接続されたダイオードとを含む。U相アーム71は、スイッチング素子Q3,Q4と、ダイオードD3,D4とを含む。V相アーム72は、スイッチング素子Q5,Q6と、ダイオードD5,D6とを含む。W相アーム73は、スイッチング素子Q7,Q8と、ダイオードD7,D8とを含む。スイッチング素子Q3~Q8は、それぞれ、ECU100からの駆動信号に従ってスイッチング動作を行う。
インバータ70は、スイッチング素子Q3~Q8をスイッチング動作させることでコンバータ50からの直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力をモータジェネレータ80に供給する。インバータ70は、モータジェネレータ80のトルク指令値が正または0である場合には、インバータ70からの交流電力によりモータジェネレータ80が正のトルクを出力するようにモータジェネレータ80を駆動する。一方、車両1の回生制動時には、モータジェネレータ80のトルク指令値が負に設定される。この場合には、インバータ70は、モータジェネレータ80が発電した交流電力を直流電力に変換し、その直流電力をコンバータ50に供給する。
モータジェネレータ80は、代表的には3相の永久磁石型同期電動であって、U相、V相およびW相の3つのコイルの一端が中性点に共通接続されて構成されている。U相、V相およびW相のコイルの他端は、U相アーム71、V相アーム72、W相アーム73の中間点にそれぞれ接続されている。モータジェネレータ80の出力トルクは、動力伝達ギヤを通じて駆動輪(いずれも図示せず)に伝達され、車両1を走行させる。また、モータジェネレータ80は、車両1の回生制動時には駆動輪の回転力によって発電する。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリと、各種信号を入出力するためのI/Oポートとを含む(いずれも図示せず)。ECU100は、各センサから受ける信号ならびにメモリに記憶されたプログラムおよびマップ等に基づいて、車両1の構成機器を制御する。より具体的には、ECU100は、バッテリ10の状態を監視したり、SMR30の開放/閉成を制御したりする。また、ECU100は、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)によりコンバータ50およびインバータ70を制御する。これにより、ECU100は、モータジェネレータ80の駆動状態を制御したり、バッテリ10の充放電を制御したりすることができる。
なお、ECU100は、機能毎に複数のECUに分割されていてもよい。たとえば、バッテリ10を監視するバッテリECUと、コンバータ50およびインバータ70を制御するモータECUとにECU100を分割できる。また、図1には車両1が1モータ式のEVである例が示されている。しかし、車両1がHVまたはPHVである場合、車両1は2モータ式のシステム構成を有していてもよい。
<平滑コンデンサの放電>
以上のように構成された車両1において、モータジェネレータ80が発生するトルクがゼロになるようにインバータ70を制御しつつ、導通損(モータジェネレータ80の巻き線抵抗による損失)を利用して、コンデンサC2に蓄えられた電荷を放電させることも考えられる。しかしながら、様々な要因によりモータ電流が乱れた場合、モータジェネレータ80により非ゼロのトルクが発生する可能性を否定できない。
以上のように構成された車両1において、モータジェネレータ80が発生するトルクがゼロになるようにインバータ70を制御しつつ、導通損(モータジェネレータ80の巻き線抵抗による損失)を利用して、コンデンサC2に蓄えられた電荷を放電させることも考えられる。しかしながら、様々な要因によりモータ電流が乱れた場合、モータジェネレータ80により非ゼロのトルクが発生する可能性を否定できない。
そこで、本実施の形態においては、コンデンサC2に蓄えられた電荷をコンバータ50を介してバッテリ10に流すことでコンデンサC2を放電させる構成を採用する。この放電のための回路構成として、電源システム2は、ダイオードDと、スイッチング素子Q0とをさらに備える。
ダイオードDは、SMR30を構成するSMRBに並列に、リアクトルLからバッテリ10の正極11に向かう方向が順方向となるように接続されている。
スイッチング素子Q0は、コンデンサC1に並列接続されている。スイッチング素子Q0は、たとえば、還流ダイオードD0付きのIGBTである。スイッチング素子Q0も他のスイッチング素子Q1~Q8と同様に、ECU100からの駆動信号に従ってオン/オフされる。
ECU100は、コンデンサC2に蓄えられた電荷を放電させるための「放電制御」を実行するように構成されている。放電制御ではスイッチング素子Q0およびコンバータ50に含まれるスイッチング素子Q1,Q2が3つの動作モード(第1動作モード~第3動作モード)に従って制御される。以下、各動作モードの内容、および、動作モード間の切替について、フローチャートを参照しながら詳細に説明する。
<放電制御フロー>
図2は、本実施の形態に係る放電制御を示すフローチャートである。このフローチャートは、たとえば予め定められた放電条件が成立した場合にメインルーチン(図示せず)から呼び出されて実行される。たとえば、車両1の停車中または駐車中に、インバータ70が停止(スイッチング素子Q3~Q8がいずれもオフ)しており、かつ、システム電圧VHが所定値よりも高い場合に、放電条件が成立する。フローチャート内の各ステップは、ECU100によるソフトウェア処理により実現されるが、ECU100内に配置されたハードウェア(電気回路)により実現されてもよい。以下、ステップをSと略す。
図2は、本実施の形態に係る放電制御を示すフローチャートである。このフローチャートは、たとえば予め定められた放電条件が成立した場合にメインルーチン(図示せず)から呼び出されて実行される。たとえば、車両1の停車中または駐車中に、インバータ70が停止(スイッチング素子Q3~Q8がいずれもオフ)しており、かつ、システム電圧VHが所定値よりも高い場合に、放電条件が成立する。フローチャート内の各ステップは、ECU100によるソフトウェア処理により実現されるが、ECU100内に配置されたハードウェア(電気回路)により実現されてもよい。以下、ステップをSと略す。
S1において、ECU100は、コンデンサC2の電荷がバッテリ10に流入可能な一方で、バッテリ10の電荷が外部に流出しない状態が作り出されるように、SMR30を制御する。具体的には、ECU100は、SMRGを閉成(オン)する一方で、SMRBおよびSMRPを開放(オフ)する。SMRBが開放されることで、コンデンサC2の電荷はバッテリ10がダイオードDを介してバッテリ10に流出し得るようになる。一方で、バッテリ10からの電荷の流出はダイオードDの整流機能により防止される。
続いて、ECU100は、第1放電処理(S2)および第2放電処理(S3)を、この順に実行する。第1放電処理は、第1動作モードと第2動作モードとが繰り返されるようにスイッチング素子Q0~Q2を制御する処理である。
図3は、第1動作モードを説明するための図である。図4は、第2動作モードを説明するための図である。図3および図4ならびに後述する図5では、図面が煩雑になるのを防ぐため、センサ類など一部機器を図示せず、簡略化している。また、理解を容易にするため、電荷が流れる方向を矢印で示すとともに、電荷が流れる経路の線幅を太く図示している。
図3を参照して、第1動作モードにおいては、スイッチング素子Q0~Q2のうちスイッチング素子Q1のみがオンされる。すなわち、スイッチング素子Q0はオフされる。また、スイッチング素子Q1がオンされ、スイッチング素子Q2はオフされる。
上記スイッチングにより、コンデンサC2-スイッチング素子Q1-リアクトルL-ダイオードD-バッテリ10-SMRG-コンデンサC2との経路が形成される。リアクトルLを流れた電荷の一部は、コンデンサC1の電圧VLがバッテリ電圧VBと等しくなるまでコンデンサC1にも蓄えられる。電荷が上記経路を流れることで、コンデンサC2に蓄積された静電エネルギーの一部がバッテリ10に移動する。また、コンデンサC2からの他の一部の静電エネルギーが磁気エネルギーに変換されてリアクトルLに蓄積される。
図4を参照して、第2動作モードにおいては、スイッチング素子Q0~Q2のうちスイッチング素子Q2のみがオンされる。すなわち、スイッチング素子Q0は、第1動作モードと同様にオフされる。そして、スイッチング素子Q1がオンからオフに切り替えられるとともに、スイッチング素子Q2がオフからオンに切り替えられる。
上記スイッチングにより、リアクトルL-ダイオードD-バッテリ10-SMRG-スイッチング素子Q2-リアクトルLとの経路が形成される。これにより、第1動作モードによりリアクトルLに蓄積された磁気エネルギーがバッテリ10に移動する。また、コンデンサC1に蓄えられていた電荷もスイッチング素子Q2がオンすることで放電され、コンデンサC1の電圧VLは0になる。
図2に戻り、ECU100は、まず第1動作モードを開始する(S21)。システム電圧VHがバッテリ電圧VBよりも高い場合(S22においてYES)、ECU100は、リアクトル電流ILが基準値以下に低下するか、第1動作モードの開始時から所定時間が経過するまでは処理をS21に戻し(S23においてNO)、第1動作モードを継続する。
リアクトル電流ILが基準値以下に低下するか、第1動作モードの開始時から所定時間が経過すると(S23においてYES)、ECU100は、第2動作モードを開始する(S24)。ECU100は、コンデンサC1の電圧VLが正電圧である間、第2動作モードを継続し(S25においてYES)する。電圧VLが0Vに達すると(S25においてNO)、ECU100は、処理をS21に戻す。これにより、第1動作モードが再び開始される。
第1動作モードの実行中にシステム電圧VHがバッテリ電圧VBまで低下すると(S22においてNO)、それ以上、コンデンサC2に蓄えられた電荷をバッテリ10に移動させることができなくなる。したがって、ECU100は、第1放電処理(S2)を終了し、第2放電処理(S3)を開始する。第2放電処理は、第2動作モードと第3動作モードとが繰り返されるようにスイッチング素子Q0~Q2を制御する処理である。
図5は、第3動作モードを説明するための図である。第3動作モードにおいては、スイッチング素子Q0~Q2のうち、スイッチング素子Q0とスイッチング素子Q1とがオンされる。スイッチング素子Q2はオフされる。
上記スイッチングにより、コンデンサC2-スイッチング素子Q1-リアクトルL-スイッチング素子Q0-コンデンサC2との経路が形成される。これにより、コンデンサC2に蓄積された静電エネルギーの一部が磁気エネルギーに変換されてリアクトルLに蓄積される。このとき、スイッチング素子Q0をオンすることで、コンデンサC1の電圧VLが0Vになる。そうすると、スイッチング素子Q0がオフされている場合と比べて、リアクトルLの両端間の電位差が大きくなるため、大きな磁気エネルギーをリアクトルLに蓄積できる。その結果、次の第2動作モードへの切り替え時に、電圧VLがバッテリ電圧VBよりも十分に高い状態を作り出すことができる。
図2を再び参照して、ECU100は、第2放電処理における第2動作モードを開始する(S31)。システム電圧VHが正電圧である場合(S32においてNO)、ECU100は、コンデンサC1の電圧VLが0Vに達するまで処理をS31に戻し(S33においてNO)、第2動作モードを継続する。
電圧VLが0Vに達すると(S33においてYES)、ECU100は、第3動作モードを開始する(S34)。電圧VLが0Vに達するまで第3動作モードの開始を待つことで、前述したように必要な磁気エネルギーをリアクトルLに蓄積できるのに加えて、電荷が残っているコンデンサC1の両端がスイッチング素子Q0のオンに伴って短絡することも防止できる。ECU100は、リアクトル電流ILが基準値以下に低下するか、第3動作モードの開始時から所定時間が経過するまで第3動作モードを継続する(S35においてNO)。リアクトル電流ILが基準値以下に低下するか、第3動作モードの開始時から所定時間が経過すると(S35においてYES)、ECU100は、処理をS31に戻す。これにより、第2動作モードが再び開始される。
第2動作モードの実行中にシステム電圧VHが0Vまで低下すると(S32においてNO)、ECU100は、第2放電処理を終了し、コンデンサC2の放電が完了したと判定する(S4)。これにより、放電制御に関する一連の処理が終了する。よって、ECU100は、処理をメインルーチンに戻す。
<放電中の電圧・電流>
図6は、本実施の形態に係る放電制御の実行中の電圧および電流の時間変化の一例を示すタイムチャートである。図6において、横軸は経過時間を表す。上の縦軸は電圧(バッテリ電圧VB、コンデンサC1の電圧VL、システム電圧VH)を表し、下の縦軸はリアクトル電流ILを表す。
図6は、本実施の形態に係る放電制御の実行中の電圧および電流の時間変化の一例を示すタイムチャートである。図6において、横軸は経過時間を表す。上の縦軸は電圧(バッテリ電圧VB、コンデンサC1の電圧VL、システム電圧VH)を表し、下の縦軸はリアクトル電流ILを表す。
図6に示すように、第1放電処理において第1動作モードと第2動作モードとが交互に繰り返されるうちにシステム電圧VHがバッテリ電圧VBまで低下する。これに伴い、放電制御は、第1放電処理から第2放電処理へと移行する。その後、第2動作モードと第3動作モードとが交互に繰り返されることでシステム電圧VHが0Vに達する。
以上のように、本実施の形態においては、電荷の流れを一方向に規制しつつコンデンサC2の放電経路を確保するためのダイオードDが設けられている。それに加えて、リアクトルLを充電して、システム電圧VH>バッテリ電圧VBを実現するためのスイッチング素子Q0が設けられている。このような回路構成を採用した上で、スイッチング素子Q0~Q2の動作を第1動作モード~第3動作モードに従って適宜切り替えることにより、コンデンサC2に蓄えられた電荷をインバータ70およびモータジェネレータ80に代えてバッテリ10へと移動させることができる。よって、本実施の形態によれば、モータジェネレータ80が非ゼロトルクを発生するなど負荷に影響を与えることなく、コンデンサC2を放電できる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、2 電源システム、10 バッテリ、11 正極、12 負極、20 電圧センサ、30 SMR、40 電圧センサ、50 コンバータ、51 電流センサ、60 電圧センサ、70 インバータ、71~73 アーム、80 モータジェネレータ、100 ECU、R 抵抗、C1,C2 コンデンサ、L リアクトル、D,D1~D8 ダイオード、D0 還流ダイオード、Q0,Q1~Q8 スイッチング素子、PL1,PL2 正極線、NL 負極線。
Claims (1)
- 正極および負極を含むバッテリと、
前記正極に電気的に接続された正極線と、
前記負極に電気的に接続された負極線と、
前記正極線と前記負極線との間の電圧を昇圧して負荷に出力する昇圧チョッパ回路とを備え、
前記昇圧チョッパ回路は、
各々がスイッチング素子を有する上アームおよび下アームと、
前記上アームおよび前記下アームの接続点と前記正極線とに電気的に接続されたリアクトルとを含み、さらに、
前記昇圧チョッパ回路により昇圧された電圧を平滑化する平滑コンデンサと、
前記正極と前記リアクトルとの間を電気的に遮断するように構成されたリレーと、
前記リレーに並列に、前記リアクトルから前記正極に向かう方向が順方向となるように接続されたダイオードと、
前記ダイオードと前記リアクトルとの間に設けられ、前記正極線と前記負極線との間に電気的に接続されたスイッチング素子とを備える、電源システム。
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2021
- 2021-01-20 JP JP2021007106A patent/JP2022111580A/ja active Pending
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