JP2022109891A - 安定化された4成分配合点眼剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】スルファメトキサゾールナトリウム、イプシロン-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸二カリウム及びクロルフェニラミンマレイン酸塩の4種類の有効成分が配合された点眼剤において、加熱及び光線照射の条件で保存しても化学的及び物理的変化が生じない安定な点眼剤の提供。【解決手段】スルファメトキサゾールナトリウム、イプシロン-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸二カリウム及びクロルフェニラミンマレイン酸塩の4種類の有効成分が配合された点眼剤において、亜硫酸水素ナトリウムとポリソルベート80を特定量添加し、さらにエデト酸ナトリウム及びホウ砂を加えることで上記課題を解決した。【選択図】なし

Description

本発明は、細菌性の結膜炎や麦粒腫(ものもらい)に起因する諸症状の緩和に効果のある4成分が配合された点眼剤の安定化技術に関する。
結膜炎は細菌が原因で起こることが多く、麦粒腫はまぶたの皮脂腺やまつげの根元に細菌が入り、化膿性の炎症を起こす目の疾患である。結膜炎や麦粒腫になると、まぶたの腫れや目の充血、痛み、かゆみ、目やに、目がゴロゴロする等の不快な症状があらわれる。これらの諸症状に有効とされる抗菌剤、抗炎症剤及び抗アレルギー剤等の複数成分が1つの点眼剤に配合された一般用医薬品の目薬(以下、「一般用点眼剤」と略す)は、多様な効果が期待できるため、使用者の利便性とQOLの改善に大きく貢献する。
一般用点眼剤に配合できる有効成分は、一般用医薬品製造(輸入)承認基準(以下、「承認基準」と略す)に基づく配合ルールにより決められている。この承認基準において、抗菌剤として配合できる成分は、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソキサゾール及びスルフイソミジンナトリウムのサルファ剤4成分である。また、抗炎症剤として配合できる成分はイプシロン-アミノカプロン酸、アラントイン、ベルベリン塩化物水和物、ベルベリン硫酸塩水和物、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、硫酸亜鉛水和物、乳酸亜鉛及びリゾチーム塩化物の7成分であり、抗アレルギー剤として配合できる成分はジフェンヒドラミン塩酸塩とクロルフェニラミンマレイン酸塩の2成分である。また、これら配合成分には各々最大使用量が決められている。
一方、これらの配合成分の中には、他の成分との配合や温度及び光等の影響を受けて、分解、変色及び沈殿・析出等の品質変化を起こすものがあるため、それらを抑制する技術が必要となる。
例えば、抗菌剤のサルファ剤を含有する点眼剤にホウ酸を加えると抗菌作用が増強するものの沈殿が生ずるため、糖アルコールを添加することで沈殿を抑制する技術が知られている(特許文献1)。
また、サルファ剤と抗炎症剤のプラノプロフェンを配合した点眼剤では、保存剤として塩化ベンザルコニウムを添加すると沈殿が生ずる。そこで、パラオキシ安息香酸エステルを保存剤に用いることで沈殿を抑制した技術が知られている(特許文献2)
また、点眼剤に増粘剤のジェランガムを加えると、有効成分の眼粘膜滞留性が向上することで、十分な薬効の発揮や持続性が期待できる。一方、このジェランガムをサルファ剤に適用する場合、サルファ剤が金属塩(例えばスルファメトキサゾールナトリウムやスルフイソミジンナトリウム等)であると化学反応により沈殿物が生じてしまう。そのため,フリー体のサルファ剤(例えばスルファメトキサゾールやスルフイソミジン等)を用いるが、これらは溶解性が低く目的とする点眼剤濃度に調製することができない。そこで、特許文献3ではフリー体のサルファ剤の溶解剤にトロメタノールが適していることを見出し、ジェランガムとの沈殿が生じない点眼剤を完成させている。
また、サルファ剤は光に不安定で着色変化することも知られている(非特許文献1)。そこで、波長450nm以下の光を遮断する成分を含有させた茶褐色の点眼剤容器・包装形態を適用することで、サルファ剤の変色を抑制した技術が知られている(特許文献4)。
また、抗アレルギー剤として用いられるクロルフェニラミンにも、製剤化における種々の安定性の問題があり、その安定化技術が知られている。例えば、クロルフェニラミンマレイン酸塩にフェニルプロパノールアミン塩酸塩を配合した顆粒剤では着色が認められたため、それぞれの成分を含有する顆粒を別々に調製し、これを混合した複合顆粒剤とすることにより、経時的な外観の着色変化を防止した技術がある(特許文献5)。
更には、クロルフェニラミンを含有する固形製剤を加熱溶解法で製造すると含量低下が生ずるため、酸を加えることにより安定化した技術(特許文献6)、クロルフェニラミンマレイン酸塩を含有するフィルム製剤においても、高温条件下に保存すると含量低下が著しいため、抗酸化剤を加えることにより安定性に優れた製剤とする技術等も知られている(特許文献7)。
このように、抗菌剤のサルファ剤や抗アレルギー剤のクロルフェニラミンマレイン酸塩は不安定な有効成分であり、これら成分に他の有効成分を配合した多成分含有点眼剤では、配合時及び保存中に有効成分同士及び有効成分と種々の添加剤との相互作用による化学的・物理的変化が生ずる可能性が高くなる。そのため、多成分含有点眼剤の配合性や保存安定性に優れた点眼剤を開発するには、特段の技術が必要となる。特に、スルファメトキサゾールナトリウムとクロルフェニラミンマレイン酸塩、イプシロン-アミノカプロン酸及びグリチルリチン酸二カリウムが配合された4成分配合点眼剤に関しては、その安定化に関する技術は知られていない。
特開2005-35969 特開2005-247801 特開2009-73828 特開平10-295777 特開2001-64159 特許4226638 特開2013-103917
Chem,Pharm,Bull,26(9)2649-2656(1978)
本発明は、スルファメトキサゾールナトリウム、イプシロン-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸二カリウム及びクロルフェニラミンマレイン酸塩の4種類の有効成分が配合された点眼剤において、加熱及び光線照射の条件で保存しても化学的及び物理的変化が生じにくい安定な4成分配合点眼剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、スルファメトキサゾールナトリウム、イプシロン-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸二カリウム及びクロルフェニラミンマレイン酸塩の4種類の有効成分が配合された4成分配合点眼剤は、光線照射の保存条件で非常に不安定で、有効成分の分解、着色及び析出等の変化が生ずるが、亜硫酸水素ナトリウムとポリソルベート80を特定量添加することでこれらの変化が顕著に抑制でき、さらにはエデト酸ナトリウム及びホウ砂を加えた点眼剤は、驚くことに50℃で4週間及び積算照度120万ルクスの条件で保存しても、4種類の全ての有効成分の含量にほとんど変化は無く、更には点眼剤のpH、浸透圧比、着色、沈殿・析出等の変化もほぼ生じ無い、安定な点眼用組成物ができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)スルファメトキサゾール又はその塩、イプシロン-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸又はその塩及びクロルフェニラミンマレイン酸塩の4種類の有効成分、並びに、亜硫酸水素ナトリウム及びポリソルベート80を含有し、亜硫酸水素ナトリウムの含有量が0.05w/v%以上であることを特徴とする、4成分配合点眼剤。
(2)スルファメトキサゾール又はその塩がスルファメトキサゾールナトリウムであり、グリチルリチン酸又はその塩がグリチルリチン酸二カリウムである(1)に記載の4成分配合点眼剤
(3)有効成分として、4w/v%のスルファメトキサゾールナトリウム、1w/v%のイプシロン-アミノカプロン酸、0.25w/v%のグリチルリチン酸二カリウム及び0.03w/v%のクロルフェニラミンマレイン酸塩を含有する(1)又は(2)に記載の4成分配合点眼剤。
(4)0.03w/v%以上のポリソルベート80を含有する(1)から(3)のいずれか1つに記載の4成分配合点眼剤。
(5)さらにエデト酸ナトリウムとホウ砂を含有する(1)から(4)のいずれか1つに
記載の4成分配合点眼剤。
(6)さらにベンザルコニウム塩化物を含有する(1)から(5)のいずれか1つに記載の4成分配合点眼剤。
(7)点眼剤のpHが8.2から8.7の範囲にある(1)から(6)のいずれか1つに記載の4成分配合点眼剤。
(8)点眼剤の浸透圧比が1.3から1.4の範囲にある(1)から(7)のいずれか1つに記載の4成分配合点眼剤。
(9)有効成分のスルファメトキサゾールナトリウム、イプシロン-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸二カリウム及びクロルフェニラミンマレイン酸塩と、添加物のエデト酸ナトリウム及びホウ砂の6成分を精製水に溶解した液に、水酸化ナトリウム溶液に亜硫酸水素ナトリウムを溶解した液を加えて混和し、この混和液に、更にポリソルベート80とベンザルコニウム塩化物を精製水に溶解した液を加えて混和した後、pHを調整する4成分配合点眼剤の製造方法。
(10)水酸化ナトリウム溶液に亜硫酸水素ナトリウムを溶解した液が、0.5mol/Lの水酸化ナトリウムに亜硫酸水素ナトリウムを6w/v%溶解した液である(9)に記載の4成分配合点眼剤の製造方法。
本発明によれば、細菌性の結膜炎や麦粒腫における不快な諸症状の緩和に有効な4種類の有効成分を含有し、温度や光に対する保存安定性に優れた点眼剤を提供できるようになるため、使用者の利便性とQOLの改善に大きく貢献する。
本発明において、点眼剤中の配合成分が安定化されるとは、例えば、本発明の点眼剤を50℃ で4週間保存後、または積算照度120万ルクス照射後、該点眼剤中の配合成分の残存率が90% 以上であることをいい、特に好ましくは当該残存率が95% 以上であることをいう。
本発明において、点眼剤中の変色が防止されるとは、例えば、本発明の点眼剤を50℃ で4週間保存後、または積算照度120万ルクス照射後に、第十七改正日本薬局方の紫外可視吸光度測定法に従い波長470nmの吸光度で測定したときに、該点眼剤の吸光度が0.004以下であることをいう。
本発明において、点眼剤中の沈殿・析出物の発生が防止されるとは、本発明の点眼剤を50℃ で4週間保存後、または積算照度120万ルクス照射後に、該点眼剤を第十七改正日本薬局方の点眼剤の不溶性異物検査法に従い観察したときに、澄明で、たやすく検出される不溶性異物を認めないことをいう。
本発明において、4成分配合点眼剤に含まれる有効成分は、スルファメトキサゾール又はその塩、イプシロン-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸又はその塩及びクロルフェニラミンマレイン酸塩である。
本発明において、スルファメトキサゾール又はその塩とは、スルファメトキサゾール及びスルファメトキサゾールナトリウムのことであり、結膜炎や麦粒腫等の原因菌であるブドウ球菌に効果のある薬剤である。この中でもスルファメトキサゾールナトリウムが特に好ましく、その配合量は4w/v%が好ましい。
本発明において、イプシロン-アミノカプロン酸は炎症による目の痛みやはれを抑える作用を有し、その配合量は1w/v%が好ましい。
本発明において、グリチルリチン酸又はその塩とは、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウム及びグリチルリチン酸モノアンモニウムのことであり、炎症やアレルギー症状を抑える作用を有する。本発明ではグリチルリチン酸二カリウムが好ましく、その配合量は0.25w/v%が好ましい。
本発明において、クロルフェニラミンマレイン酸塩は、抗アレルギー作用と充血除去作用を有し、その配合量は0.03w/v%が好ましい。
本発明の4成分配合点眼剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、点眼剤に通常用いられる添加物を含有することができる。添加物は、1種又は2種以上を任意の割合で併用して含有しても良い。添加物としては、増粘剤、糖類、抗酸化剤、防腐剤、溶解補助剤、pH調節剤、等張化剤、清涼化剤、緩衝剤、安定化剤などが挙げられる。
「増粘剤」としては、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、マクロゴールなどが挙げられる。
「糖類」としては、グルコース、シクロデキストリン、キシリトール、ソルビトール、
マンニトールなどが挙げられる。
「抗酸化剤」としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、
ヒドロキノン、没食子酸プロピルなどが挙げられる。
「防腐剤」としては、アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩、安息香酸ナトリウム、エタノール、ベンザルコニウム塩化物、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジングルコン酸塩、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。本発明の点眼剤においては、ベンザルコニウム塩化物を用いることが好ましい。
「溶解補助剤」としては、ポリソルベート類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポロキサミン、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体類、アルキルジアミノエチルグリシン、アルキル4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール、イプシロン-アミノカプロン酸及びプロピレングリコールなどが挙げられる。本発明の点眼剤においては、光線照射における析出物の発生を防止するためにポリソルベート80を含有することが必須である。ポリソルベート80の含有量は、0.01w/v%以上が好ましく、0.03w/v%以上がより好ましく、0.05w/v%から0.1w/v%が特に好ましいである。
「pH調節剤」としては、塩酸、リン酸、酢酸、酒石酸、ホウ酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム水和物、リン酸二水素カリウム、ホウ砂、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなどが挙げられる。本発明の点眼剤における「pH調節剤」の種類は特に限定されないが、保存中の点眼剤のpHを安定化させるためにホウ砂を添加することが好ましく、その添加量は0.05w/v%から0.2w/v%が好ましい。また、点眼剤のpHを8.2から8.7の範囲に調整することが好ましい。
「等張化剤」としては、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム水和物、リン酸二水素カリウム、ホウ酸、グリセリン、プロピレングリコールなどが挙げられる。本発明の点眼剤における「等張化剤」の種類は特に限定されないが、点眼時に刺激や不快感が生じない浸透圧比である0.6から1.6に調節することが好ましく、1.3から1.4の範囲に調節するのが更に好ましい。
「清涼化剤」としては、d - カンフル、d l - カンフル、ゲラニオール、d - ボルネオール、l - メントール、リュウノウ、ウイキョウ油、ハッカ水、ハッカ油、ベルガモット油、ユーカリ油などが挙げられる。
「緩衝剤」としては、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、酒石酸塩緩衝剤、アミノ酸などが挙げられる。
「安定化剤」としては、ジブチルヒドロキシトルエン、トロメタモール、トコフェロール、チオ硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウム、エデト酸四ナトリウム、エデト酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂などが挙げられる。本発明の点眼剤においては、光線照射における着色を防止するために亜硫酸水素ナトリウムを添加することが必須である。その添加量は0.05w/v%以上が好ましく、0.05w/v%から0.4w/v%が更に好ましい。光線照射における着色を更に防止するためにはエデト酸ナトリウムを添加することが好ましい。その添加量は0.01w/v%以上が好ましく、0.01w/v%から0.1w/v%が更に好ましい。
本発明の4成分配合点眼剤は、例えば、1回1~3滴、1日3~6回の範囲で点眼することができるが、これに限られず、任意の用法・用量で使用することができる。
本発明の4成分配合点眼剤の効能・効果としては、例えば、結膜炎(はやり目)、麦粒腫(ものもらい)、眼瞼炎(まぶたのただれ)、目のかゆみなどが挙げられる。
本発明の4成分配合点眼剤は、点眼剤の製造方法として公知の方法により製造できる。例えば、蒸留水又は精製水に、有効成分と添加物とを溶解させ、所定の浸透圧比及びpHに調整し、容器に充填することにより製造できる。場合によっては滅菌処理工程を製造工程中に入れることもできる。本発明の点眼剤においては、有効成分のスルファメトキサゾールナトリウム、イプシロン-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸二カリウム及びクロルフェニラミンマレイン酸塩と、添加物のエデト酸ナトリウム及びホウ砂の6成分を精製水に溶解した液に、水酸化ナトリウム溶液に亜硫酸水素ナトリウムを溶解した液を加えて混和し、この混和液に、更にポリソルベート80とベンザルコニウム塩化物を精製水に溶解した液を加えて混和した後、pHを調整するのが好ましい。また、水酸化ナトリウム溶液に亜硫酸水素ナトリウムを溶解する場合は、0.5mol/Lの水酸化ナトリウムに亜硫酸水素ナトリウムを6w/v%溶解するのが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
参考例1
スルファメトキサゾールナトリウム 12g、イプシロン-アミノカプロン酸 3g、グリチルリチン酸二カリウム 750mg、クロルフェニラミンマレイン酸塩 90mg、ホウ砂 210mg、プロピレングリコール 300mg、ポリソルベート80を30mg及びベンザルコニウム塩化物 30mgを精製水 210gに加えて撹拌・溶解し、pHが8.5になるように調整してから、全量を300mLとした。
参考例2
スルファメトキサゾールナトリウム 12g、イプシロン-アミノカプロン酸 3g、グリチルリチン酸二カリウム 750mg、クロルフェニラミンマレイン酸塩 90mg、ホウ砂 360mg、プロピレングリコール 300mg、ポリソルベート80を240mg及びベンザルコニウム塩化物 30mgを精製水 210gに加えて撹拌・溶解し、pHが8.5になるように調整してから、全量を300mLとした。
参考例3
スルファメトキサゾールナトリウム 12g、イプシロン-アミノカプロン酸 3g、グリチルリチン酸二カリウム 750mg、クロルフェニラミンマレイン酸塩 90mg、ホウ砂 210mg、プロピレングリコール 300mg、エデト酸ナトリウム水和物 180mg、ポリソルベート80を240mg及びベンザルコニウム塩化物 30mgを精製水 210gに加えて撹拌・溶解し、pHが8.5になるように調整してから、全量を300mLとした。
参考例4
スルファメトキサゾールナトリウム 12g、イプシロン-アミノカプロン酸 3g、グリチルリチン酸二カリウム 750mg、クロルフェニラミンマレイン酸塩 90mg、ホウ砂 210mg、エデト酸ナトリウム水和物 180mg、ポリソルベート80を30mg及びベンザルコニウム塩化物 30mgを精製水 210gに加えて撹拌・溶解し、pHが8.5になるように調整してから、全量を300mLとした。
参考例5
スルファメトキサゾールナトリウム 12g、イプシロン-アミノカプロン酸 3g、グリチルリチン酸二カリウム 750mg、クロルフェニラミンマレイン酸塩 90mg、ホウ砂 210mg、亜硫酸水素ナトリウム 300mg、エデト酸ナトリウム水和物 180mg、ポリソルベート80を240mg及びベンザルコニウム塩化物 30mgを精製水 210gに加えて撹拌・溶解し、pHが8.5になるように調整してから、全量を300mLとした。
[試験例1]4成分配合点眼剤の加温と光線照射保存下における沈殿・析出及び着色の抑制
以下に参考例1~5の処方内容及び安定性試験の結果を示す。色調として、紫外可視吸光度測定法に従い波長470nmにおける点眼剤の吸光度を測定した。
Figure 2022109891000001
スルファメトキサゾールナトリウム、イプシロン-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸二カリウム及びクロルフェニラミンマレイン酸塩を含有する4成分配合点眼剤を50℃で4週間保存した場合は、添加剤の種類や分量によらず薬液の色調や析出等の性状の変化はなかった。一方、積算照度120万ルクスの保存条件では、点眼剤の色調変化と析出物の発生が認められ、その変化の有無や程度は添加剤の種類や分量により大きく異なった。表1に示すように、参考例1と参考例2よりも参考例3と参考例4の方が色調の変化が若干小さく、エデト酸ナトリウムに着色抑制効果が認められた。更に、亜硫酸水素ナトリウムを添加した参考例5は色調変化が全くなく、亜硫酸水素ナトリウムには4成分配合点眼剤の光線照射に対する顕著な着色防止効果があることを見出した。また、参考例1から参考例5より、光線照射で生じた析出物はポリソルベート80の添加で防止できることを確認し、その添加量が0.01%w/v%であった参考例1と参考例4では析出が認められたが、0.08%添加した参考例2、参考例3及び参考例5は、析出物の発生を完全に防止できることを見出した。
実施例1
スルファメトキサゾールナトリウム 12g、イプシロン-アミノカプロン酸 3g、グリチルリチン酸二カリウム 750mg、クロルフェニラミンマレイン酸塩 90mg、ホウ砂 210mg、亜硫酸水素ナトリウム 240mg、エデト酸ナトリウム水和物 30mg、ポリソルベート80を90mg及びベンザルコニウム塩化物 30mgを精製水 270gに加えて撹拌・溶解し、pHが8.3になるように調整してから、全量を300mLとした。この点眼剤の浸透圧比は1.31であった。
実施例2
スルファメトキサゾールナトリウム 12g、イプシロン-アミノカプロン酸 3g、グリチルリチン酸二カリウム 750mg、クロルフェニラミンマレイン酸塩 90mg、ホウ砂 210mg、亜硫酸水素ナトリウム 300mg、エデト酸ナトリウム水和物 30mg、ポリソルベート80を150mg及びベンザルコニウム塩化物 30mgを精製水 270gに加えて撹拌・溶解し、pHが8.5になるように調整してから、全量を300mLとした。この点眼剤の浸透圧比は1.33であった。
実施例3
スルファメトキサゾールナトリウム 12g、イプシロン-アミノカプロン酸 3g、グリチルリチン酸二カリウム 750mg、クロルフェニラミンマレイン酸塩 90mg、ホウ砂 210mg、亜硫酸水素ナトリウム 240mg、エデト酸ナトリウム水和物 30mg、ポリソルベート80を210mg及びベンザルコニウム塩化物 30mgを精製水 270gに加えて撹拌・溶解し、pHが8.3になるように調整してから、全量を300mLとした。この点眼剤の浸透圧比は1.31であった。
比較例1
スルファメトキサゾールナトリウム 12g、イプシロン-アミノカプロン酸 3g、グリチルリチン酸二カリウム 750mg、クロルフェニラミンマレイン酸塩 90mg、ホウ砂 210mg、エデト酸ナトリウム水和物 30mg、ポリソルベート80を150mg及びベンザルコニウム塩化物 30mgを精製水 270gに加えて撹拌・溶解し、pHが8.5になるように調整してから、全量を300mLとした。この点眼剤の浸透圧比は1.24であった。
比較例2
スルファメトキサゾールナトリウム 12g、イプシロン-アミノカプロン酸 3g、グリチルリチン酸二カリウム 750mg、クロルフェニラミンマレイン酸塩 90mg、ホウ砂 210mg、亜硫酸水素ナトリウム 60mg、エデト酸ナトリウム水和物 30mg、ポリソルベート80を210mg及びベンザルコニウム塩化物 30mgを精製水 270gに加えて撹拌・溶解し、pHが8.7になるように調整してから、全量を300mLとした。この点眼剤の浸透圧比は1.27であった。
比較例3
スルファメトキサゾールナトリウム 12g、イプシロン-アミノカプロン酸 3g、グリチルリチン酸二カリウム 750mg、クロルフェニラミンマレイン酸塩 90mg、ホウ砂 210mg、亜硫酸水素ナトリウム 60mg、エデト酸ナトリウム水和物 30mg、ポリソルベート80を90mg及びベンザルコニウム塩化物 30mgを精製水 270gに加えて撹拌・溶解し、pHが8.7になるように調整してから、全量を300mLとした。この時の浸透圧比は1.27であった。
[試験例2]4成分配合点眼剤の有効成分、変色及び沈殿・析出の安定化
4種類の有効成分が配合された点眼剤に対して、亜硫酸水素ナトリウムとポリソルベート80の配合量並びにpHを変えて調製した実施例1、2及び3と比較例1、2及び3の各々の保存安定性を調べた。その結果を表2に示す。
Figure 2022109891000002
亜硫酸水素ナトリウムを添加しなかった比較例1の点眼剤を光線照射120万ルクスの条件で保存した結果、薬液の着色とクロルフェニラミンマレイン酸塩の含量の低下が著しかった。また、亜硫酸水素ナトリウムを0.02w/v%添加した比較例2及び比較例3の点眼剤を同様に光線照射の条件で保存した結果、薬液の着色変化が大きく、クロルフェニラミンマレイン酸塩の含量も低下傾向にあった。一方、亜硫酸水素ナトリウムを0.08から0.1w/v%添加した実施例1、実施例2及び実施例3の各点眼剤は50℃、4週間または光線照射120万ルクスの条件で保存しても、点眼剤の着色、沈殿・析出の変化は全くなく、更にはクロルフェニラミンマレイン酸塩を含む4成分全ての含量低下も認められず、非常に優れた安定性を示した。また、実施例1、実施例2及び実施例3の点眼剤調製時のpHは、各々8.28、8.49及び8.31で、浸透圧比は各々1.31、1,33及び1.31であり、50℃、4週間または光線照射120万ルクスの条件で保存しても、このpHと浸透圧比にほとんど変動は無く安定であった。
実施例4
スルファメトキサゾールナトリウム 24g、イプシロン-アミノカプロン酸 6g、グリチルリチン酸二カリウム 1500mg、クロルフェニラミンマレイン酸塩 180mg、ホウ砂 420mg、エデト酸ナトリウム水和物 60mgを精製水 420gに加えて撹拌・溶解し、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム6mLに亜硫酸水素ナトリウム 360mgを溶解した液を加えて混和し、ポリソルベート80を300mgとベンザルコニウム塩化物 120mgを精製水6mLに溶解した液を加えて、pHが8.5になるように調整してから、全量を600mLとした。
実施例5
スルファメトキサゾールナトリウム 100g、イプシロン-アミノカプロン酸 25g、グリチルリチン酸二カリウム 6250mg、クロルフェニラミンマレイン酸塩 750mg、ホウ砂 1750mg、亜硫酸水素ナトリウム 1500mg、エデト酸ナトリウム水和物 250mg、ポリソルベート80を1250mg及びベンザルコニウム塩化物 500mgを精製水 1800gに加えて撹拌・溶解し、pHが8.5になるように調整してから、全量を2500mLとした。
[試験例3]4成分配合点眼剤の製造方法による安定化
4種類の有効成分が配合された点眼剤の製造工程において、亜硫酸水素ナトリウムの溶解液を変えて調製した実施例4及び実施例5の各々の保存安定性を調べた、その結果を表3に示す。
Figure 2022109891000003
4種類の有効成分が配合された点眼剤の製造工程における亜硫酸水素ナトリウムの溶解液に関して、精製水を溶解液に用いた実施例5より、0.5mol/Lの水酸化ナトリウムを溶解液に用いた実施例4の方が、50℃で4週間保存後、及び2箇月保存後の着色変化がより抑制されることを見出した。更に、実施例4は実施例5に比べて、スルファメトキザゾールナトリウムとクロルフェニラミンマレイン酸塩の光安定性が向上したことを見出した。
本発明により、スルファメトキサゾールナトリウム、イプシロン-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸二カリウム及びクロルフェニラミンマレイン酸塩を含有する4成分配合点眼剤の保存中における各成分の分解、変色、析出、pH及び浸透圧比等の品質変化が無い品質の良好な点眼剤を提供できる。

Claims (10)

  1. スルファメトキサゾール又はその塩、イプシロン-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸又はその塩及びクロルフェニラミンマレイン酸塩の4種類の有効成分、並びに、亜硫酸水素ナトリウム及びポリソルベート80を含有し、亜硫酸水素ナトリウムの含有量が0.05w/v%以上であることを特徴とする、4成分配合点眼剤。
  2. スルファメトキサゾール又はその塩がスルファメトキサゾールナトリウムであり、グリチルリチン酸又はその塩がグリチルリチン酸二カリウムである請求項1に記載の4成分配合点眼剤。
  3. 有効成分として、4w/v%のスルファメトキサゾールナトリウム、1w/v%のイプシロン-アミノカプロン酸、0.25w/v%のグリチルリチン酸二カリウム及び0.03w/v%のクロルフェニラミンマレイン酸塩を含有する請求項1又は2に記載の4成分配合点眼剤。
  4. 0.03w/v%以上のポリソルベート80を含有する請求項1から3のいずれか1項に記載の4成分配合点眼剤。
  5. さらにエデト酸ナトリウムとホウ砂を含有する請求項1から4のいずれか1項に記載の4成分配合点眼剤。
  6. さらにベンザルコニウム塩化物を含有する請求項1から5のいずれか1項に記載の4成分配合点眼剤。
  7. 点眼剤のpHが8.2から8.7の範囲にある請求項1から6のいずれか1項に記載の4成分配合点眼剤。
  8. 点眼剤の浸透圧比が1.3から1.4の範囲にある請求項1から7のいずれか1項に記載の4成分配合点眼剤。
  9. 有効成分のスルファメトキサゾールナトリウム、イプシロン-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸二カリウム及びクロルフェニラミンマレイン酸塩と、添加物のエデト酸ナトリウム及びホウ砂の6成分を精製水に溶解した液に、水酸化ナトリウム溶液に亜硫酸水素ナトリウムを溶解した液を加えて混和し、この混和液に、更にポリソルベート80とベンザルコニウム塩化物を精製水に溶解した液を加えて混和した後、pHを調整する4成分配合点眼剤の製造方法。
  10. 水酸化ナトリウム溶液に亜硫酸水素ナトリウムを溶解した液が、0.5mol/Lの水酸化ナトリウムに亜硫酸水素ナトリウムを6w/v%溶解した液である請求項9に記載の4成分配合点眼剤の製造方法。
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