JP2022109689A - 断熱パネル及びその製造方法、並びに断熱容器 - Google Patents
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【課題】真空断熱材の周縁における擦り傷の発生を抑制する、技術を提供する。【解決手段】断熱パネルは、第1面材と、第2面材と、前記第1面材と前記第2面材の間に配置される真空断熱材と、を備える。一の前記真空断熱材の周縁全体に亘って前記第1面材と前記第2面材との間に空間が形成される。前記断熱パネルは、前記第1面材と前記第2面材とを接着し、一の前記真空断熱材の周縁全体に亘って前記空間を埋める樹脂フォームを更に備える。【選択図】図2
Description
本開示は、断熱パネル及びその製造方法、並びに断熱容器に関する。
特許文献1には、真空断熱材を含む断熱パネルが開示されている。この断熱パネルは、面状に並ぶ複数枚の真空断熱材を含む。隣り合う真空断熱材は、互いに接触している。
特許文献1では、隣り合う真空断熱材が互いに接触している。それゆえ、隣り合う真空断熱材が擦れ、擦り傷が発生することがある。その結果、真空断熱材の外装フィルムが破れ、真空度が低下してしまうことがある。
本開示の一態様は、真空断熱材の周縁における擦り傷の発生を抑制する、技術を提供する。
本開示の一態様に係る断熱パネルは、第1面材と、第2面材と、前記第1面材と前記第2面材の間に配置される真空断熱材と、を備える。一の前記真空断熱材の周縁全体に亘って前記第1面材と前記第2面材との間に空間が形成される。前記断熱パネルは、前記第1面材と前記第2面材とを接着し、一の前記真空断熱材の周縁全体に亘って前記空間を埋める樹脂フォームを更に備える。
本開示の一態様によれば、真空断熱材の周縁全体に亘って樹脂フォームを設けることで、真空断熱材の周縁における擦り傷の発生を抑制できる。特に、隣り合う真空断熱材同士の擦れを抑制でき、擦り傷の発生を抑制できる。
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。明細書中、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
まず、図1を参照して、本実施形態に係る断熱容器1について説明する。断熱容器1は、複数枚の断熱パネル2を備える。複数枚の断熱パネル2は、例えば箱状に組み立てられ、内部に収納空間11を形成する。収納空間11には、食品などの物品と、保冷剤とが収納される。断熱容器1は、収納空間11の温度を、外気の温度よりも低い温度に保つ。
次に、図2及び図3を参照して、本実施形態に係る断熱パネル2について説明する。断熱パネル2は、第1面材21と、第2面材22と、第1面材21と第2面材22の間に配置される真空断熱材23と、を備える。
第1面材21及び第2面材22は、断熱パネル2の最外層を形成する。第1面材21及び第2面材22は、透明でもよいし、不透明でもよい。第1面材21及び第2面材22は、例えば平面視矩形状である。本明細書において、「矩形」は、正方形を含む。平面視にて、第1面材21と第2面材22とは、同じ形状、同じ寸法を有する。
第1面材21及び第2面材22は、特に限定されないが、例えば、プラスチック段ボールである。プラスチック段ボールは、外部衝撃から真空断熱材23を保護する。プラスチック段ボールは、2枚の平らなライナーと、2枚のライナーの間にストライプ状に並ぶ複数のリブとを含む。プラスチック段ボールは、中空構造を有し、軽量性、及び断熱性などに優れている。
なお、第1面材21及び第2面材22は、単なるシートであってもよく、中実構造を有してもよい。
第1面材21と第2面材22との間には、真空断熱材23が一枚のみ配置されるが、複数枚配置されてもよい。真空断熱材23は、第1面材21と第2面材22と同様に、平面視矩形状であってもよい。但し、平面視にて、真空断熱材23は、第1面材21及び第2面材22よりも小さく形成される。そして、一の真空断熱材23の周縁全体に亘って、第1面材21と第2面材22との間に空間S(図6の右側参照)が形成される。
断熱パネル2は、第1面材21と第2面材22とを接着し、一の真空断熱材23の周縁全体に亘って空間Sを埋める樹脂フォーム24を更に備える。図5に示すように真空断熱材23の周縁全体に亘って樹脂フォーム24を設けることで、真空断熱材23の周縁における擦り傷の発生を抑制できる。
樹脂フォーム24は、空間Sを埋めることで、熱の伝達しやすい経路(いわゆる熱橋)の発生を防止する。特に、後述するように真空断熱材23の外装フィルム231の周縁に形成される突起部(図7に示すように2枚の外装フィルム231の周縁同士を溶着した部分)で発生する熱橋を防止する。仮に樹脂フォーム24の代わりに空気が空間Sを占める場合、空気の対流が生じやすく、熱橋が生じてしまう。本実施形態によれば、樹脂フォーム24で空間Sを埋めることで、複数枚の断熱パネル2のつなぎ目における断熱性を向上できる。当該効果は、外装フィルム231が金属膜を含む場合に顕著である。
樹脂フォーム24は、例えば、図6の左側に示すようにノズル3から空間Sに樹脂を充填することで形成される。複数のノズル3を用いて、複数の断熱パネル2を同時に製造でき、作業性が良い。このとき、複数の断熱パネル2は、それぞれ水平に配置され、鉛直方向に積み重ねられる。
作業者又は作業ロボットは、ノズル3を断熱パネル2の周縁に沿って相対的に移動しながら、ノズル3から空間Sに樹脂を充填することで、断熱パネル2を製造する。本実施形態によれば樹脂フォーム24で第1面材21と第2面材22を接着するので、第1面材21と第2面材22とを粘着テープなどで止める場合とは異なり、複数の断熱パネル2を同時に製造でき、作業性が良い。
本実施形態によれば真空断熱材23の周縁のみを樹脂フォーム24で覆うので、真空断熱材23の全体を樹脂フォーム24で覆う場合に比べて、断熱パネル2を簡単に製造でき、コストも低減できる。なお、真空断熱材23の全体を樹脂フォーム24で覆う場合、金型を用意し、金型の内部空間に真空断熱材23をセットし、金型の内部空間に発泡樹脂を流し込み、金型の内部空間で発泡樹脂を発泡させる。
ところで、第1面材21と第2面材22とは、上記の通り、樹脂フォーム24によって接着される。一方、第1面材21及び第2面材22と、真空断熱材23とは、接着されておらず、結合されていない。第1面材21及び第2面材22と、真空断熱材23とは、互いに対向する面同士のずれを許容するように重ねられている。ずれの方向は、対向面に平行な方向である。
第1面材21及び第2面材22と、真空断熱材23とは、異なる材質を有し、異なる熱膨張率を有するので、温度変化によって寸法差を生じる。その寸法差が生じる際に、第1面材21及び第2面材22と、真空断熱材23とは、互いに対向する面同士がずれることで、応力の発生を抑制する。従って、応力が真空断熱材23に作用するのを抑制でき、真空断熱材23の外装フィルム231(図7参照)が破れるのを抑制できる。
断熱パネル2は、図5に示すように、真空断熱材23の周縁全体に亘って、真空断熱材23と樹脂フォーム24との接着を防止する接着防止フィルム25を備えてもよい。接着防止フィルム25としては、例えば、厚み1μm~20μmのラップフィルムなどが用いられる。ラップフィルムは、真空断熱材23の周縁全体に亘って巻かれる。
接着防止フィルム25は、樹脂フォーム24とは接着され、真空断熱材23とは接着されない。それゆえ、第1面材21及び第2面材22と真空断熱材23との熱膨張率の差によって樹脂フォーム24が真空断熱材23から離れる際に、引張応力が真空断熱材23にかからない。従って、真空断熱材23の外装フィルム231が破れるのを抑制できる。
図2に示すように、断熱パネル2は、第1面材21と真空断熱材23との間に配置される第1発泡層26と、第2面材22と真空断熱材23との間に配置される第2発泡層27と、を備えてもよい。第1発泡層26と第2発泡層27とは、第1面材21と第2面材22との間の空間を埋め、断熱性を確保する。
第1発泡層26及び第2発泡層27のそれぞれの厚みは、真空断熱材23の厚みと、第1面材21と第2面材22との間隔に応じて決められる。なお、図4に示すように、真空断熱材23の厚みが第1面材21と第2面材22との間隔と同じ場合、第1発泡層26及び第2発泡層27は無くてもよい。
第1面材21と第2面材22との間隔は、断熱パネル2の断熱性能および剛性に応じて設定され、例えば5mm~100mmであり、好ましくは10mm~80mmである。真空断熱材23の厚みは、断熱パネル2の断熱性能に応じて設定され、例えば3mm~50mmであり、好ましくは3mm~20mmである。第1発泡層26及び第2発泡層27のそれぞれの厚みは、断熱パネル2の断熱性能および厚みに応じて設定され、例えば1mm~20mmであり、好ましくは3mm~20mmである。
第1発泡層26及び第2発泡層27の周縁全体に亘って、樹脂フォーム24が形成されてもよい。接着防止フィルム25は、第1発泡層26及び第2発泡層27と、樹脂フォーム24との接着を防止してもよい。
なお、接着防止フィルム25は、真空断熱材23と樹脂フォーム24との接着を防止すればよい。第1発泡層26及び第2発泡層27と、樹脂フォーム24とは、接着されていてもよい。後述するように、第1発泡層26及び第2発泡層27と、真空断熱材23とが、接着されていなければよい。
第1発泡層26及び第2発泡層27と、真空断熱材23とは、接着されておらず、結合されていない。第1発泡層26及び第2発泡層27と、真空断熱材23とは、互いに対向する面同士のずれを許容するように重ねられている。ずれの方向は、対向面に平行な方向である。
第1発泡層26及び第2発泡層27と、真空断熱材23とは、異なる材質を有し、異なる熱膨張率を有するので、温度変化によって寸法差を生じる。その寸法差が生じる際に、第1発泡層26及び第2発泡層27と、真空断熱材23とは、互いに対向する面同士がずれることで、応力の発生を抑制する。従って、応力が真空断熱材23に作用するのを抑制でき、真空断熱材23の外装フィルム231が破れるのを抑制できる。
第1発泡層26及び第2発泡層27は、例えば、ポリスチレンフォーム、ポリオレフィンフォーム、ポリウレタンフォーム、フェノールフォーム又はポリ塩化ビニルフォームであってもよい。ポリオレフィンフォームは、例えば、ポリエチレンフォーム又はポリプロピレンフォームである。ポリスチレンフォーム、及びポリプロピレンフォームは、コストの観点で優れている。なお、第1発泡層26及び第2発泡層27の材質は、特に限定されない。
このとき、第1発泡層26及び第2発泡層27が硬質フォームであると、真空断熱材23を外部衝撃から保護できるため好ましく、圧縮強度が1N/cm2以上の硬質フォームがより好ましい。
一方、樹脂フォーム24は、例えば、ポリウレタンフォームである。ポリウレタンフォームの材料である樹脂組成物は、ポリイソシアネート、ポリオール、触媒、及び発泡剤を含む。樹脂組成物は、更に添加剤を含んでもよい。樹脂組成物は、通常、ポリイソシアネート以外の原料を含むシステム液と、ポリイソシアネートとを混合して調製する。
ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(通称:クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、これらのポリイソシアネートのプレポリマー変性体、イソシアヌレート変性体、ウレア変性体及びカルボジイミド変性体であるが、これらに限定されない。TDIは2,4-TDI及び2,6-TDIのいずれでもよく、混合物でもよい。MDIは2,2'-MDI、2,4'-MDI及び4,4'-MDIのいずれでもよく、これらのうち2種類又は3種類の混合物でもよい。
ポリオールとしては、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール等を挙げることができる。
発泡剤としては、水を用いることができるが、これに限定されない。水以外の発泡剤としては、低沸点の不活性化合物が好ましい。このような不活性化合物としては、例えば、不活性ガス、及び沸点が70℃以下で、炭素数が8以下の、炭素原子に結合する水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい飽和炭化水素が挙げられる。前記ハロゲン原子は、例えば、塩素原子又はフッ素原子である。飽和炭化水素の例は、ブタン、ペンタン類、ヘキサン、ジクロロメタン(塩化メチレン)、トリクロロエタン及び各種フロン化合物であるが、これらに限定されない。前記ペンタン類の例は、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタンであるが、これらに限定されない。また、発泡剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
触媒としては、アミン系触媒及びスズ系触媒からなる群から選択される少なくとも1種である。触媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。前記アミン系触媒の例は、トリエチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N',N'-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N-ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、N,N-ジメチルアミノ-6-ヘキサノール、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノールに2モルのエチレンオキシドを付加した化合物、及び5-(N,N-ジメチル)アミノ-3-メチル-1-ペンタノールであるが、これらに限定されない。前記スズ系触媒の例は、2-エチルヘキサン酸スズ、ジ-n-ブチルスズオキシド、ジ-n-ブチルスズジラウレート、ジ-n-ブチルスズジアセテート、ジ-n-オクチルスズオキシド、ジ-n-オクチルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロリド、ジ-n-ブチルスズジアルキルメルカプタン及びジ-n-オクチルスズジアルキルメルカプタンであるが、これらに限定されない。
添加剤として、整泡剤を含んでもよい。整泡剤の例として、シリコーン系整泡剤又は含フッ素化合物系整泡剤が挙げられるがこれらに限定されない。整泡剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
添加剤として、架橋剤を含んでもよい。架橋剤としては、水酸基、1級アミノ基及び2級アミノ基から選ばれる活性水素含有基を2個以上有する化合物を選択することができる。架橋剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ビスフェノールA、エチレンジアミン、3,5-ジエチル-2,4-ジアミノトルエン、3,5-ジエチル-2,6-ジアミノトルエン、2-クロロ-p-フェニレンジアミン、3,5-ビス(メチルチオ)-2,4-ジアミノトルエン、3,5-ビス(メチルチオ)-2,6-ジアミノトルエン、1-トリフルオロメチル-3,5-ジアミノベンゼン、1-トリフルオロメチル-4-クロロ-3,5-ジアミノベンゼン、2,4-トルエンジアミン、2,6-トルエンジアミン、ビス(3,5-ジメチル-4-アミノフェニル)メタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、m-キシリレンジアミン、1,4-ジアミノヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及びイソホロンジアミンであるが、これらに限定されない。また、架橋剤として、上述した分子量/水酸基数が500未満のポリオキシアルキレンポリオールも使用できる。架橋剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記以外の添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の老化防止剤、炭酸カルシウム又は硫酸バリウム等の充填剤、可塑剤、着色剤、難燃剤、抗カビ剤及び破泡剤等の公知の各種添加剤及び助剤が挙げられるが、これらに限定されず、従来ポリウレタンフォームに使用されている添加剤を使用できる。
樹脂フォーム24は、アスカーF硬度が70以上であると好ましい。樹脂フォーム24のアスカーF硬度が70以上であることで、断熱パネル2の剛性を確保できる。樹脂フォーム24のアスカーF硬度は80以上であるとより好ましく、90以上であると更に好ましい。
一方、樹脂フォーム24のアスカーC硬度が90以下であると好ましい。樹脂フォーム24のアスカーC硬度が90以下であることで、第1面材21および第2面材22と、樹脂フォーム24との剥離を抑制できる。樹脂フォーム24のアスカーC硬度は80以下であるとより好ましく、70以下であると更に好ましい。
次に、図7を参照して、本実施形態に係る真空断熱材23について説明する。真空断熱材23は、外装フィルム231と、芯材232と、を備える。外装フィルム231は、常圧よりも低い気圧の密閉空間233を内部に形成する。常圧とは、1.013×105Paである。芯材232は、密閉空間233に配置される。
密閉空間233の気圧が低いほど、断熱性が高い。密閉空間233の製造直後の気圧は、例えば1000Pa以下、好ましくは500Pa以下、より好ましくは100Pa以下である。また、密閉空間233の気圧は、低いほど好ましいが、減圧工程の負荷の観点からは例えば1Pa以上、好ましくは3Pa以上である。
外装フィルム231は、芯材232を挟んで両側に配置される。外装フィルム231の4辺のうち3辺は、予め熱溶着される。図7(A)に示すように、外装フィルム231の残りの1辺から外装フィルム231の内部に、芯材232が挿入される。
その後、芯材232と外装フィルム231は、不図示の真空容器の内部に設置される。真空容器の内部を減圧しながら、図7(B)に示すように、一対のヒートシーラー41、42で外装フィルム231の残りの1辺を熱溶着する。その結果、芯材232を外装フィルム231で真空封止することができる。外装フィルム231は、密閉空間233を内部に形成する。
図7(C)に示すように、各外装フィルム231は、例えば、熱溶着膜234と、金属膜235と、樹脂フィルム236とをこの順で有する。なお、外装フィルム231は、少なくとも樹脂フィルム236を有すればよく、図示の積層構造には限定されない。外装フィルム231は、金属膜235の代わりに、金属酸化物膜を有してもよい。また、密閉空間233の片側と反対側とで、積層構造の異なる外装フィルム231が用いられてもよい。
熱溶着膜234は、例えば熱可塑性樹脂で形成される。熱溶着膜234の材料は、例えば、低密度ポリエチレン、鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、無延伸ポリエチレンテレフタレート、エチレン-ビニルアルコール共重合体、又はエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体等である。
金属膜235は、酸素ガス、及び水蒸気などのガスの通過を防止する。金属膜235は、例えば樹脂フィルム236の上に蒸着される。金属箔を樹脂フィルム236に圧着することで金属膜235を形成する場合に比べて、金属膜235の膜厚を薄くできる。金属膜235の材質は、例えばアルミニウムである。
なお、上記の通り、金属膜235の代わりに、金属酸化物膜が形成されてもよい。金属酸化物膜も、ガスの通過を防止できる。金属酸化物膜は、例えばスパッタ法で形成される。スパッタ法では、例えば金属酸化物のターゲットが使用される。
スパッタ法は、反応性スパッタ法でもよい。反応性スパッタ法は、金属のターゲットと、希ガス等の不活性ガスと反応性ガス(例えば酸素ガス)との混合ガスを使用し、金属酸化物膜を樹脂フィルム236の上に形成される。
樹脂フィルム236は、金属膜235の損傷を防止し、密閉空間233の真空度の悪化を抑制する。樹脂フィルム236は、詳しくは後述するが、熱可塑性樹脂で形成される。
樹脂フィルム236の材料は、熱溶着膜234の材料よりもガラス転移温度の高い材料であり、例えば、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,6とナイロン6の共重合体等)、又はポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)である。
芯材232は、例えば無機粒子の集合体である。芯材232は、無機粒子を主成分とする粉体を、圧縮成形したものである。芯材232は、通常、平板状に成形される。芯材232に占める無機粒子の含有率は、例えば50質量%~100質量%、好ましくは70質量%~99質量%、より好ましくは80質量%~98質量%である。無機粒子は、例えばヒュームドシリカを含む。ヒュームドシリカは、アモルファスシリカの微粒子であり、球状で緻密な一次粒子からなる。ヒュームドシリカは、例えば、四塩化ケイ素の燃焼加水分解によって製造される。
ヒュームドシリカは極めて微細な粉末であるため、粒の大きさを表す指標としては通常比表面積が用いられる。ヒュームドシリカの比表面積は、例えば50m2/g~400m2/g、好ましくは100m2/g~350m2/g、より好ましくは200m2/g~300m2/gである。比表面積は、窒素吸着法(BET法)により測定される。
ヒュームドシリカの具体例として、例えば、アエロジル200(比表面積200m2/g、日本アエロジル社製)、アエロジル300(比表面積300m2/g、日本アエロジル社製)、CAB-O-SIL M-5(比表面積200m2/g、キャボットジャパン社製)、CAB-O-SIL H-300(比表面積300m2/g、キャボットジャパン社製)、又はレオロシールQS30(比表面積300m2/g、トクヤマ社製)を例示できる。ヒュームドシリカの種類は、1つでもよいし、複数でもよい。
無機粒子は本実施形態ではヒュームドシリカのみを含むが、本開示の技術はこれに限定されない。
例えば、無機粒子は、ヒュームドシリカに代えて、又はヒュームドシリカに加えて、多孔質シリカ又は湿式シリカを含んでもよい。多孔質シリカの比表面積は、例えば100m2/g~800m2/g、好ましくは200m2/g~750m2/g、より好ましくは300m2/g~700m2/gである。多孔質シリカの気孔率は、例えば60%~90%、好ましくは65%~85%、より好ましくは70%~80%である。気孔率は、窒素吸着法(BET法)により測定される。
また、無機粒子は、シリカに加えて、輻射抑制材を含んでもよい。輻射抑制材は、赤外光を反射するか、又は赤外光を一旦吸収し、等方的に再放射する。これにより、芯材232を厚さ方向に貫通する赤外光の総量を減少でき、輻射伝熱を抑制できる。輻射抑制材は、芯材232中に均一に分散される。輻射抑制材としては、例えば、金属粒子(アルミニウム粒子、銀粒子、金粒子等)、無機粒子(グラファイト、カーボンブラック、炭化ケイ素、酸化チタン、酸化スズ、チタン酸カリウム等)を例示できる。輻射抑制材の種類は、1つでもよいし、複数でもよい。
芯材232は、無機粒子に加えて、更に繊維を含むことが好ましい。繊維は、芯材232の保形性を向上する。芯材232に占める繊維の含有率は、例えば2質量%~30質量%、好ましくは4質量%~20質量%である。繊維としては、無機繊維、有機繊維、又はそれらの混合物を使用できるが、断熱性能とコストの観点から無機繊維が好ましい。無機繊維としては、例えば、アルミナ繊維、ムライト繊維、シリカ繊維、グラスウール、グラスファイバー、ロックウール、スラグウール、炭化ケイ素繊維、カーボン繊維、シリカ・アルミナ繊維、シリカ・アルミナ・マグネシア繊維、シリカ・アルミナ・ジルコニア繊維、シリカ・マグネシア・カルシア繊維が挙げられる。これらの中でも、価格や安全性等の点から、グラスファイバー、ロックウール、又はシリカ・マグネシア・カルシア繊維が好ましい。
繊維の平均繊維長は、1mm~10mmが好ましい。ここで、平均繊維長とは、繊維長D50、すなわち、個数基準で求めた繊維長分布の全個数を100%とした累積個数分布曲線において、累積個数が50%となる点の繊維長を意味する。平均繊維長が下限値以上であることで、真空断熱材の強度を高められる。一方、平均繊維長が上限値以下であることで、無機粒子との混合性が向上し、均一な芯材組成にできる。平均繊維長は、より好ましくは2mm~5mmである。
繊維の繊維長D30は、例えば100μm以上、好ましくは200μm以上、より好ましくは500μm以上である。「繊維長D30」とは、個数基準で求めた繊維長分布の全個数を100%とした累積個数分布曲線において、累積個数が30%となる点の繊維長を意味する。繊維長分布は、光学顕微鏡で観察した写真において無作為に50本以上の繊維の長さを測定して得られる頻度分布及び累積個数分布曲線で求められる。
繊維の繊維長D90は、例えば20mm以下、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。「繊維長D90」とは、個数基準で求めた繊維長分布の全個数を100%とした累積個数分布曲線において、累積個数が90%となる点の繊維長を意味する。
繊維の繊維径(直径)は、例えば20μm以下、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。繊維の繊維径は、例えば1μm以上、好ましくは3μm以上である。
芯材232は本実施形態では無機粒子と繊維のみを含むが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、芯材232は、繊維に代えて、又は繊維に加えて、バインダを含んでもよい。バインダは、無機バインダが好ましい。無機バインダとしては、例えば、ケイ酸ナトリウム、リン酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウムを例示できる。これらの中でも、断熱性に優れる点から、ケイ酸ナトリウムが特に好ましい。無機バインダの種類は、1つでもよいし、複数でもよい。
芯材232は、有機物を含んでもよいが、少なくとも熱硬化性樹脂あるいは低分子のガスを発生する熱可塑性樹脂を含まないことが好ましい。熱硬化性樹脂は、加熱により重合する高分子であるが、未反応の低分子をも僅かに含む。低分子は、経時的にガスを放出し、密閉空間233の真空度を悪化させてしまい、断熱性を低下させてしまうためである。
芯材232の厚みは、例えば2mm~50mmであり、好ましい厚みは用途により選定される。好ましくは3mm~20mmである。芯材232は、主に無機粒子で構成されるので、主にガラス繊維で構成される場合と比較して、厚みのばらつきが小さく、厚みの薄化が容易である。芯材232の厚みが薄ければ、プレス装置による曲げ成形が容易である。
以上、本開示に係る断熱パネル、及び断熱容器について説明したが、本開示は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
2 断熱パネル
21 第1面材
22 第2面材
23 真空断熱材
24 樹脂フォーム
21 第1面材
22 第2面材
23 真空断熱材
24 樹脂フォーム
Claims (11)
- 第1面材と、第2面材と、前記第1面材と前記第2面材の間に配置される真空断熱材と、を備え、一の前記真空断熱材の周縁全体に亘って前記第1面材と前記第2面材との間に空間が形成される、断熱パネルであって、
前記第1面材と前記第2面材とを接着し、一の前記真空断熱材の周縁全体に亘って前記空間を埋める樹脂フォームを更に備える、断熱パネル。 - 前記第1面材及び前記第2面材と、前記真空断熱材とは、互いに対向する面同士のずれを許容するように重ねられている、請求項1に記載の断熱パネル。
- 前記真空断熱材の周縁全体に亘って、前記真空断熱材と前記樹脂フォームとの接着を防止する接着防止フィルムを備える、請求項1又は2に記載の断熱パネル。
- 前記第1面材と前記真空断熱材との間に配置される第1発泡層と、前記第2面材と前記真空断熱材との間に配置される第2発泡層と、を備え、
前記樹脂フォームは、前記第1発泡層及び前記第2発泡層の周縁全体に亘って前記空間を埋める、請求項1~3のいずれか1項に記載の断熱パネル。 - 前記第1発泡層及び前記第2発泡層と、前記真空断熱材とは、互いに対向する面同士のずれを許容するように重ねられている、請求項4に記載の断熱パネル。
- 前記第1発泡層と前記第2発泡層は、硬質フォームである、請求項4又は5に記載の断熱パネル。
- 前記樹脂フォームは、ポリウレタンフォームである、請求項1~6のいずれか1項に記載の断熱パネル。
- 前記真空断熱材は、常圧よりも低い気圧の密閉空間を内部に形成する外装フィルムと、前記密閉空間に配置される芯材と、を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の断熱パネル。
- 前記芯材は、無機粒子の集合体である、請求項8に記載の断熱パネル。
- 第1面材と、第2面材と、前記第1面材と前記第2面材の間に配置される真空断熱材と、を備え、一の前記真空断熱材の周縁全体に亘って前記第1面材と前記第2面材との間に空間が形成される断熱パネルを、鉛直方向に複数枚積み重ねる工程と、
複数のノズルから、前記複数枚の前記断熱パネルの各々の前記空間を埋めるように樹脂を充填する工程と、
前記樹脂を発泡させる工程と、
を含む、断熱パネルの製造方法。 - 請求項1~9のいずれか1項に記載の断熱パネルを複数枚備え、
複数枚の前記断熱パネルは、箱状に組み立てられる、断熱容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021005145A JP2022109689A (ja) | 2021-01-15 | 2021-01-15 | 断熱パネル及びその製造方法、並びに断熱容器 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2021005145A JP2022109689A (ja) | 2021-01-15 | 2021-01-15 | 断熱パネル及びその製造方法、並びに断熱容器 |
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JP2022109689A true JP2022109689A (ja) | 2022-07-28 |
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JP (1) | JP2022109689A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024162348A1 (ja) * | 2023-01-30 | 2024-08-08 | Agc株式会社 | 断熱パネル |
-
2021
- 2021-01-15 JP JP2021005145A patent/JP2022109689A/ja active Pending
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WO2024162348A1 (ja) * | 2023-01-30 | 2024-08-08 | Agc株式会社 | 断熱パネル |
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