JP2022108556A - 毛髪用処理剤 - Google Patents

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健太郎 岡本
Kentaro Okamoto
高志 水谷
Takashi Mizutani
直樹 武鹿
Naoki Takeshika
晃 白石
Akira Shiraishi
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Abstract

【課題】染毛処理や脱色処理による毛髪の強度(ハリ・コシ、切れにくさ、櫛通り)の低下を抑制しつつ、同時に、これらの毛髪処理に起因する毛髪の不快臭の発生を抑制することができる毛髪用処理剤を提供する。【解決手段】カルボン酸またはその塩と、アルカリ剤を含有する毛髪用処理剤であって、カルボン酸が酒石酸及びリンゴ酸の少なくとも一方であり、カルボン酸またはその塩の含有量が、0.001~30質量%である。【選択図】なし

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年1月17日に、毛髪用処理剤が記載されたパンフレットの発送を依頼することにより配付
本発明は、染色処理や脱色処理等の毛髪の処理において使用する毛髪処理剤に関する。
染毛処理、脱色処理、パーマネントウェーブ処理や縮毛矯正処理等の毛髪変形処理は、毛髪を所望の明度と色調に変えることができる一方で、毛髪のツヤやまとまり感を低下させ、毛髪に様々なダメージを与える。
そこで、これらの毛髪のダメージを軽減するための毛髪用処理剤が提案されている。より具体的には、炭酸塩を含むアルカリ剤と、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等の特定のアルカリ性キレート剤を含有する酸化染毛剤が提案されている。そして、このような酸化染毛剤を使用することにより、刺激臭が少なく、低刺激で、毛髪に良好な明度を付与するとともに、十分な染毛力も確保できると記載されている(例えば、特許文献1参照)。
また、アルカリ剤、油性成分、界面活性剤、酸化剤、及びキレート剤を含有し、キレート剤がグルコン酸又はその塩の少なくとも1種を含むとともに、配合量が0.002~0.2質量%未満である毛髪脱色剤及び酸化染毛剤が提案されている。そして、このような毛髪脱色剤及び酸化染毛剤を使用することにより、乳化安定性、脱色力、染毛力及び風合いが良好で、施術時における刺激及び毛髪へのダメージを十分に低減することができると記載されている(例えば、特許文献2参照)。
特許第6196753号公報 特許第5914555号公報
しかし、上記特許文献1~2に記載の酸化染毛剤等においては、上述のキレート剤により染毛及び脱色力を向上させながら、処理時の刺激や毛髪へのダメージを低減させているが、これらのキレート剤により、染毛処理等による毛髪の強度(ハリ・コシ、切れにくさ、櫛通り)が低下するという問題があった。
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、染毛処理や脱色処理による毛髪の強度(ハリ・コシ、切れにくさ、櫛通り)の低下を抑制しつつ、同時に、これらの毛髪処理に起因する毛髪の不快臭の発生を抑制することができる毛髪用処理剤を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の毛髪用処理剤は、カルボン酸またはその塩と、アルカリ剤を含有する毛髪用処理剤であって、カルボン酸が酒石酸及びリンゴ酸の少なくとも一方であり、カルボン酸またはその塩の含有量が、0.001~30質量%であることを特徴とする。
本発明によれば、染毛処理や脱色処理による毛髪の強度(ハリ・コシ、切れにくさ、櫛通り)の低下を抑制しつつ、同時に、これらの毛髪処理に起因する毛髪の不快臭の発生を抑制することができる。
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において、適宜、変更して適用することができる。
本発明の毛髪用処理剤は、酸化染毛剤または脱色剤として使用されるものであり、カルボン酸またはその塩類と、アルカリ剤とを含有する。
(カルボン酸またはその塩類)
カルボン酸又はその塩としては、酒石酸及びリンゴ酸の少なくとも一方のカルボン酸またはその塩が使用される。
これらのカルボン酸またはその塩は、ケラチン繊維のアミノ基との反応性が高いため、毛髪内部へ浸透して、毛髪内部に弾力のある芯を形成し、染毛処理や脱色処理による強度(ハリ・コシ、切れにくさ、櫛通り)の低下を抑制するものである。
また、これらのカルボン酸またはその塩は、酸化染毛剤または脱色剤の酸化反応によって副次的に生じる、毛髪成分であるタンパク質、またはその構成単位のアミノ酸の酸化に由来した刺激性の硫黄酸化化合物に特異的に吸着して、その発生を抑制することができるため、染毛処理や脱色処理に起因する毛髪の不快臭の発生を抑制することができる。
また、本発明においては、毛髪用処理剤の全体に対するカルボン酸又はその塩類の配合量が0.001~30質量%であり、0.1~5質量%が好ましい。
これは、カルボン酸又はその塩類が0.001質量%未満では、上述の強度の低下を十分に抑制できない場合があり、30質量%より多いと、髪への過剰吸着と部分的に強い収斂作用が生じるため、毛髪の立体構造に変化を生じさせてしまい、強度が低下する場合があるためである。また、特に、30質量%より多いと、濃度が高くなることに起因して、製剤の粘度低下と乳化の安定性の低下が生じて、使用時の製剤の不均一性が生じるため、染色力や脱色力が著しく低下するとともに、染色処理中や脱色処理中における反応臭や毛髪処理後の残臭(不快臭)が発生する場合があるためである。
(アルカリ剤)
アルカリ剤としては、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びアミノメチルプロパノール(AMP)が使用される。
これらのアルカリ剤は、酸化剤(例えば、過酸化水素)を活性化させて染色力や脱色力を向上させるためのものである。より具体的には、酸化染毛剤による染毛では、活性化した酸化剤が毛髪由来のメラニン色素を分解することにより、毛髪の脱色が進行するとともに、酸化染料(染料中間体及びカップラー)の酸化重合が進行して色素が形成され、当該色素による毛髪の発色が進行するが、酸化染毛剤による毛髪の脱色と発色とが同時に進行する際に、これらのアルカリ剤により、染色力および脱色力が向上する。
また、このうち、処理後の毛髪への残存量が比較的少なく、施術後に発生する毛髪へのダメージを少なくするとの観点から、揮発性アルカリ剤であるアンモニア(強アンモニア水)を使用することが好ましい。
また、本発明においては、染毛処理による染色力や脱色処理による脱色力の低下を確実に抑制するとの観点から、毛髪用処理剤の全体に対するアルカリ剤の配合量が0.3~26.7質量%が好ましく、3.0~9.7質量%がより好ましい。
(pH緩衝剤)
また、上述のアルカリ剤に起因するpHの上昇を緩和するとともに、脱色力や染色力の低下を抑制するとの観点から、本発明の毛髪用処理剤は、pH緩衝剤を含有してもよい。このpH緩衝剤としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、及び炭酸カリウムなどの炭酸塩が好ましい。
なお、毛髪用処理剤全体に対するpH緩衝剤の配合量については、特に限定されないが、0.01~10質量%であることが好ましい。
(リン酸エステル)
また、本発明の毛髪用処理剤は、リン酸エステルを含有してもよい。アニオン性界面活性剤であるリン酸エステルを含有することにより、毛髪の強度の低下を確実に抑制することができるとともに、染毛処理による染色力や脱色処理による脱色力を確実に向上することができる。
このリン酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸の塩、及びアルキルリン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種が使用される。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸又はその塩類としては、例えば、POEオレイルエーテルリン酸、POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸、POEラウリルエーテルリン酸ナトリウム、POEセチルエーテルリン酸、POEセチルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸、POEステアリルエーテルリン酸ナトリウム、ジPOEラルリルエーテルリン酸ナトリウム、ジオレイルPOEエーテルリン酸ナトリウム、ジPOE(C12-15)アルキルエーテルリン酸、トリPOEラウリルエーテルリン酸、トリPOEセチルエーテルリン酸、トリPOE(C12-15)アルキルエーテルリン酸等のPOEアルキルエーテルリン酸又はその塩等を挙げることができる。また、アルキルリン酸としては、例えば、リン酸セチル、リン酸ジセチル、リン酸トリオレイル、リン酸トリステアリル等を挙げることができる。
また、本発明においては、毛髪用処理剤の全体に対するリン酸エステルの配合量については、特に限定されないが、0.1~10質量%であることが好ましい。
(pH)
本発明の毛髪用処理剤は、上記pH緩衝剤により、pHが8.5~11.5に設定されている。例えば、酸化染毛剤または脱色剤として使用する場合、pHは8.5~11.5に設定される。
(溶媒)
また、本発明の毛髪用処理剤において使用される溶媒(分散媒)は特に限定されず、水(精製水等)が使用されるが、必要に応じて、エタノール、イソプロパノール等の有機溶媒を、人体に接触しても無害な濃度で、水に含有させてもよい。
なお、本発明の毛髪用処理剤の態様は、溶液に限定されず、必要に応じて添加する成分が懸濁ないし乳化されているものであってもよい。
(その他の成分)
本発明の毛髪用処理剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分、例えば、pH調整成分(例えば、クエン酸、乳酸、リン酸等)、油性成分(例えば、スフィンゴ脂質、セラミド類、コレステロール誘導体、フィトステロール誘導体、リン脂質、ラノリン脂肪酸誘導体、パーフルオロポリエーテル等)、植物油(例えば、オリーブ油、シア脂、マカデミアナッツ油等)、ロウ類(例えば、ホホバ種子油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ等)、炭化水素(例えば、軽質流動イソパラフィン、パラフィン、スクワラン、ワセリン、イソドデカン、イソヘキサデカン等)、高級脂肪酸(例えば、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、分岐脂肪酸(C(炭素数)14-28)、ヒドロキシステアリン酸等)、アルコール類(例えば、セタノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、水添ナタネ油アルコール、コレステロール、シトステロール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,2-ヘキサンジオール等)、糖及びその誘導体類(例えば、ブドウ糖、ショ糖、D-ソルビトール、マルトース、トレハロース、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、グリセリルグルコシド等)、エステル類(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、オレイン酸オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセリル、コハク酸ジエトキシエチル、乳酸セチル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル等)、シリコーン類(例えば、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、環状ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ジメチコノール、PCAジメチコン等)、アミノ酸及びその誘導体類(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、セリン、メチオニン、トリメチルグリシン、ポリアスパラギン酸ナトリウム、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、N-ラウロイル-L-リジン等)、PPT及びタンパク類(例えば、加水分解シルク、加水分解コムギ、加水分解ダイズ、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、シリル化加水分解シルク、シリル化加水分解コムギ、カチオン化加水分解シルク、カチオン化加水分解コラーゲン、ケラチン等)、天然高分子類(例えば、アルギン酸塩、マンナン、アラビアゴム、タマリンドガム、キトサン、カラギーナン、ムチン、セラック、ヒアルロン酸塩、カチオン化ヒアルロン酸、キサンタンガム、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース、グァーガム、カチオン化グァーガム、ハチミツ等)、合成高分子(例えば、アニオン性高分子、カチオン性高分子、非イオン性高分子、両性高分子、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル等)、他のアニオン性界面活性剤(例えば、アルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルグルタミン酸、N-アシルメチルタウリン塩、アルキルスルホコハク酸塩、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキルエーテル硫酸塩等)、他のカチオン性界面活性剤(例えば、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩等)、両性界面活性剤(例えば、グリシン型両性界面活性剤、アミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテルおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルグルコシド、新油型モノステアリン酸グリセリル等)、染料(例えば、タール色素、天然色素等)、植物エキス類(例えば、カミツレエキス、コンフリーエキス、セージエキス、ローズマリーエキス、カキタンニン、チャ乾留液、銅クロロフィリンナトリウム等)、ビタミン類(例えば、L-アスコルビン酸、DL-α-トコフェロール、D-パンテノール、天然ビタミンE等)、紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸、サリチル酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、フェルラ酸等)、上記した以外の防腐剤(例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラベン、フェノキシエタノール等)、酸化防止剤(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン等)、上記した以外の金属封鎖剤(例えば、エデト酸塩、ポリリン酸ナトリウム、フィチン酸等)、その他無機化合物(例えば、酸化チタン、銀、白金、塩化鉄、酸化鉄、臭素酸ナトリウム、過酸化水素等)、その他有機化合物(例えば、尿素、ヒドロキシエチル尿素、dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム、グルコン酸銅等)、溶剤(例えば、ベンジルアルコール等)、噴射剤(例えば、LPG(液化石油ガス)、DME(ジメチルエーテル)、窒素ガス、炭酸ガス等)、香料等の公知の化粧品各成分を配合することができる。
本発明の毛髪変形用処理剤は、公知の方法により、液状、ミルク状、クリーム状、泡状(使用時形状)、霧状(使用時形状)等の剤形とすることができ、エアゾール形態とすることもできる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを発明の範囲から除外するものではない。
(実施例1~90及び比較例1~18)
<毛髪用処理剤の製造>
水(精製水)と各原料を配合して、表1~10に示す組成(質量%)を有する実施例1~90及び比較例1~18の毛髪用処理剤を製造した。
<染毛剤:第二剤の調製>
本発明の毛髪用処理剤とは別に、実施例及び比較例の各毛髪用処理剤と組み合わせる第二剤として、リン酸によりpH3.0に調整した過酸化水素水溶液(過酸化水素の濃度:5.8質量%)を調製した。
Figure 2022108556000001
Figure 2022108556000002
Figure 2022108556000003
Figure 2022108556000004
Figure 2022108556000005
Figure 2022108556000006
Figure 2022108556000007
Figure 2022108556000008
Figure 2022108556000009
Figure 2022108556000010
<サンプル用の毛髪の準備>
長さ30cmの直毛の毛髪からなる毛束(5g)を用い、化学的処理として市販のヘアカラーを用いて、2回の染色処理を行い、さらに市販のパーマ液で、パーマネントウェーブ処理を行った。その後、処理を行った毛髪を、50℃に保ったポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム水溶液(5質量%)に一晩浸漬させ、十分に水洗したものをサンプル毛髪とした。
<脱色処理(実施例1~22,45~47,51~61,73~78,85~87、比較例1~8,17)>
次に、準備した毛髪に対して、下記(A)~(C)の脱色処理を行った。
(A)まず、サンプル用の毛髪5gに対して、本発明の毛髪用処理剤10gと第二剤10gを用意し、毛髪用処理剤と第二剤とを混合して、脱色剤を調製した。
(B)次に、調製した脱色剤を毛髪全体に均一に塗布し、25分放置した。
(C)そして、25分の脱色処理後、脱色剤を洗い流し、シャンプーとトリートメントを行い、その後、ドライヤーを用いて毛髪を乾燥させた。
<染色処理(実施例23~44,48~50,62~72,79~84,88~90、比較例9~16,18)>
次に、準備した毛髪に対して、下記(D)~(F)の染色処理を行った。
(D)まず、サンプル用の毛髪5gに対して、本発明の毛髪用処理剤10gと第二剤10gを用意し、毛髪用処理剤と第二剤を混合し、酸化染毛剤を調製した。
(E)次に、調製した酸化染毛剤を毛髪全体に均一に塗布し、25分放置した。
(F)そして、25分の染色処理後、酸化染毛剤を洗い流し、シャンプーとトリートメントをした後、ドライヤーを用いて毛髪を乾燥させた。
<脱色力評価>
上述の脱色処理を行った毛髪に対して、上述の毛髪用処理剤が、脱色処理の仕上がり感に及ぼす効果について、官能評価を行った。具体的には、以下の評価基準に基づいて、専門パネラー10名による評価を行った。
脱色力が非常にある:◎
脱色力がある:〇
脱色力がややない:△
脱色力がない:×
<染色力評価>
上述の染色処理を行った毛髪に対して、上述の毛髪用処理剤が、染色処理の仕上がり感に及ぼす効果について、官能評価を行った。具体的には、以下の評価基準に基づいて、専門パネラー10名による評価を行った。
染色力が非常にある:◎
染色力がある:〇
染色力がややない:△
染色力がない:×
<混合時の刺激臭に関する評価>
上述の脱色剤または酸化染毛剤の調製過程において発生する刺激臭(第二剤との混合時に発生する刺激臭)に対して、上述の毛髪用処理剤が及ぼす効果について、官能評価を行った。具体的には、下記評価基準に従って、専門パネラー10名による評価を行った。
刺激臭がほとんど感じられない:◎
刺激臭を若干感じる:〇
刺激臭を感じる:△
刺激臭を非常に感じる:×
<仕上がり感に関する評価>
次に、上述の脱色処理または染色処理を行った毛髪に対して、上述の毛髪用処理剤が、脱色処理後または染色処理後のドライ後の仕上がり感に及ぼす効果について、官能評価を行った。具体的には、(1)櫛通り、(2)切れにくさ、及び(3)ハリ・コシの3項目について、専門パネラー10名による評価を行った。各評価項目における評価基準を以下に示す。
(1)櫛通り
脱色処理後または染色処理後の最終水洗後に乾燥させた毛束をほぐした時の櫛通り(すべり感)を、下記評価基準に従って評価した。
櫛通りが非常によい:◎
櫛通りがよい:○
櫛通りがやや悪い:△
櫛通りが悪い:×
(2)切れにくさ
脱色処理後または染色処理後のドライ状態における切れにくさを、下記評価基準に従って評価した。
毛髪を一定量引っ張った際、伸びにくく、切れなかった:◎
毛髪を一定量引っ張った際、伸びきったが、切れなかった:○
毛髪を一定量引っ張った際、伸びきって、その後切れた:△
毛髪を一定量引っ張った際、すぐに切れた:×
(3)ハリ・コシ
脱色処理後または染色処理後のドライ状態におけるハリ・コシを、下記評価基準に従って評価した。
ハリ・コシが非常にある:◎
ハリ・コシがある:○
ハリ・コシがややない:△
ハリ・コシがない:×
<残臭に関する評価>
脱色処理または染色処理の最終水洗後に乾燥させた毛束をほぐした後、残臭の有無を下記評価基準に従って評価した。
残臭がない:◎
残臭がほぼない:○
残臭を少し感じる:△
残臭を強く感じる:×
なお、上述の各評価において、「◎」は特に優れていると評価し、「○」は優れていると評価した。また、「△」と「×」は不十分であると評価した。以上の結果を表1~表10に示す。
表1に示すように、酒石酸及びリンゴ酸の少なくとも一方またはその塩を含有する実施例1~8の毛髪用処理剤は、コハク酸等の他の酸を含有する比較例1~7に比し、脱色処理による強度(ハリ・コシ、切れにくさ、櫛通り)の低下を抑制することができるとともに、脱色処理に起因する毛髪の不快臭の発生を抑制することができることが分かる。
また、表1~2に示すように、酒石酸及びリンゴ酸の少なくとも一方またはその塩を0.001~30質量%含有する実施例1~22の毛髪用処理剤は、脱色処理による強度(ハリ・コシ、切れにくさ、櫛通り)の低下を抑制することができるとともに、脱色処理に起因する毛髪の不快臭の発生を抑制することができることが分かる。
特に、酒石酸及びリンゴ酸の少なくとも一方またはその塩を0.1~5質量%含有する実施例1~8,11~13,17~20の毛髪用処理剤は、脱色処理による強度(ハリ・コシ、切れにくさ、櫛通り)の低下を確実に抑制することができるとともに、脱色処理に起因する毛髪の不快臭の発生を確実に抑制することができることが分かる。
一方、酒石酸ナトリウムを40質量%含有する比較例8においては、強度が低下するとともに、脱色力が著しく低下し、さらに脱色処理に起因する毛髪の不快臭が発生していることが分かる。
また、表3に示すように、酒石酸及びリンゴ酸の少なくとも一方またはその塩を含有する実施例23~30の毛髪用処理剤は、コハク酸等の他の酸を含有する比較例9~15に比し、染色処理による強度(ハリ・コシ、切れにくさ、櫛通り)の低下を抑制することができるとともに、染色処理に起因する毛髪の不快臭の発生を抑制することができることが分かる。
また、表3~4に示すように、酒石酸及びリンゴ酸の少なくとも一方またはその塩を0.001~30質量%含有する実施例23~44の毛髪用処理剤は、染色処理による強度(ハリ・コシ、切れにくさ、櫛通り)の低下を抑制することができるとともに、染色処理に起因する毛髪の不快臭の発生を抑制することができることが分かる。
特に、酒石酸及びリンゴ酸の少なくとも一方またはその塩を0.1~5質量%含有する実施例23~30,33~35,39~42の毛髪用処理剤は、染色処理による強度(ハリ・コシ、切れにくさ、櫛通り)の低下を確実に抑制することができるとともに、染色処理に起因する毛髪の不快臭の発生を確実に抑制することができることが分かる。
一方、酒石酸ナトリウムを40質量%含有する比較例16においては、強度が低下するとともに、染色力が著しく低下し、さらに染色処理に起因する毛髪の不快臭が発生していることが分かる。
また、表1~5に示すように、酒石酸及びリンゴ酸の少なくとも一方またはその塩を含有するとともに、アルカリ剤としてアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びアミノメチルプロパノールを含有する実施例1~50の毛髪用処理剤は、水素化ナトリウム等の他のアルカリ剤を含有する比較例17~20に比し、脱色処理による脱色力(または染色処理による染色力)の低下を抑制することができることが分かる。
また、表6に示すように、アルカリ剤の含有量が、0.3~26.7質量%である実施例51~61の毛髪用処理剤は、脱色処理による強度(ハリ・コシ、切れにくさ、櫛通り)の低下を抑制することができるとともに、脱色処理に起因する毛髪の不快臭の発生を抑制することができることが分かる。
また、表7に示すように、アルカリ剤の含有量が、0.3~26.7質量%である実施例62~72の毛髪用処理剤は、染色処理による強度(ハリ・コシ、切れにくさ、櫛通り)の低下を抑制することができるとともに、染色処理に起因する毛髪の不快臭の発生を抑制することができることが分かる。
また、表8に示すように、pH緩衝剤として炭酸塩を含有する実施例73~77においては、脱色処理による脱色力の低下を効果的に抑制できることが分かる。
また、表9に示すように、pH緩衝剤として炭酸塩を含有する実施例79~83においては、染色処理による染色力の低下を効果的に抑制できることが分かる。
また、表10に示すように、リン酸エステルとして、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸以外のポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキル(12~15)エーテルリン酸、及びリン酸ジセチルを含有する実施例85~90においても、他の実施例と同様の効果を得ることができることが分かる。
以上説明したように、本発明は、染色処理や脱色処理等の毛髪の処理において使用する毛髪処理剤として、特に有用である。

Claims (5)

  1. カルボン酸またはその塩と、アルカリ剤を含有する毛髪用処理剤であって、
    前記カルボン酸が酒石酸及びリンゴ酸の少なくとも一方であり、
    前記カルボン酸またはその塩の含有量が、0.001~30質量%であることを特徴とする毛髪用処理剤。
  2. 前記アルカリ剤の含有量が、0.3~26.7質量%であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪用処理剤。
  3. 前記アルカリ剤が、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びアミノメチルプロパノールからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の毛髪用処理剤。
  4. pH緩衝剤をさらに含有することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の毛髪用処理剤。
  5. リン酸エステルをさらに含有することを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の毛髪用処理剤。
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