JP2022108436A - 壁面パネルの取付構造及び補強土壁の構築方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】裏込めコンクリートを打設しなくても溶接不要の機械的な乾式接合で壁面パネルを保持枠に簡単に短時間で接合できる壁面パネルの取付構造及び補強土壁の構築方法を提供する。【解決手段】土砂Sの斜面形状を保持する保持枠2に壁面パネル3を取り付ける壁面パネルの取付構造において、裏面にパネルフックを有する正面視矩形状の壁面パネル3と、保持枠2に固定する枠固定クランプ4と、枠固定クランプ4に壁面パネル3を掛け止める両端に連結フックを有する連結具5と、を備え、枠固定クランプ4は、前記連結フックを掛け止める掛止め片と、保持枠2の枠材に掛け止めるJ字フックとねじ部を有するフックボルトと、保持枠2の枠材を挿通する凹溝と、を有し、前記フックボルトで前記保持枠の一の枠材に掛け止めた状態で、長さ方向の両端部が保持枠2の他の枠材にそれぞれ当接することで、保持枠2に対して三点以上で接触して固定されている。【選択図】図1

Description

本発明は、壁面パネルの取付構造及び補強土壁の構築方法に関する。
従来、ブロック積み擁壁やコンクリート擁壁の代替として、補強土壁工法により補強土壁が構築されている。この補強土壁工法は、補強材や壁面工の種類によって多種の工法が存在するが、例えば、ジオテキスタイル補強土壁を構築する場合は、鋼製枠に土砂(盛土)を詰め、階段状に設置し、その盛土中に補強材として面状の高分子素材からなるジオテキスタイルを敷設することで一般的な安定勾配より急勾配の鉛直に近い壁面からなる土留め構造物を構築する。
このように構築される斜壁タイプの補強土壁は、壁面緑化されることが一般的である。しかし、雑草対策に費用が嵩むなどの維持管理上の制約により、補強土壁の壁面緑化を行わない要請も強い。壁面緑化を行わない場合は、次のような技術で対応することが考えられる。
(1)コンクリートブロックの設置
盛土を詰めた鋼製枠の前面、或いは鋼製枠の代わりにコンクリートブロックを設置することが考えられる。しかし、人力では持ち上げることが困難なコンクリートブロックを揚重する際に、クレーン等の揚重機が必要となり、コストアップや揚重機の設置場所を確保しなければならないという問題がある。また、コンクリートブロック設置時にブロックが転倒・転落するおそれやブロック背面に土を裏込めする際に崩壊するおそれがあり、その対策が必要であるという問題もあった。
(2)コンクリートの打設
盛土を詰めた鋼製枠の前面に残置型枠として壁面パネルを設置し、壁面パネルと鋼製枠との間にコンクリートを打設して硬化させ鋼製枠の前面をコンクリート及び壁面パネルで被覆することが考えられる。このとき、壁面パネルを鋼製枠に連結して固定する手段としてセパ(セパレーター)を介して溶接することが必要である。しかし、鋼製枠に直接セパを溶接することは、補強土壁の構造材である鋼製枠の断面欠損となるため許されていない。
このため、鋼製枠の前面にアンカー鉄筋等の控え材を設置して、アングル材や異形鋼棒などの下地材を別途構築し、その下地材にセパを介して壁面パネルを溶接固定する必要があり、作業工数が増え、工期が長期化して施工費用のコストアップの要因となるという問題があった。また、千鳥配置や乱積配置など壁面パネルの設置の仕方により、下地材の配置が異なり、準備工の施工計画や施工管理に技量が要求され、施工管理者の負担が大きいという問題もあった。
(3)防草シートの設置
植生シートの代わりに防草シートを設置することが考えられる。しかし、防草シートは、鋼製枠内に設置する必要があるため、紫外線等により防草シートが劣化した場合、交換したり補修したりすることが困難であるという問題がある。
(4)壁面パネルの直接接合
壁面パネルを鋼製枠に直接ボルト等で機械的に接合して固定することが考えられる。しかし、ボルト等に雨水が浸透する環境にあり長期耐久性に懸念があるだけでなく、転圧等により盛土及び鋼製枠が外側に膨出して変形し、その変形が壁面パネルに伝達されて壁面パネルが崩壊するおそれがあるという問題がある。つまり、鋼製枠の前面位置は、盛土の変形に追従して変位するため、壁面パネルを鋼製枠に直接接合することは困難であった。
要するに、従来は、壁面パネルを鋼製枠に直接接合するのではなく、(2)コンクリートの打設で述べたように、セパの溶接位置を現場合わせで調節して壁面パネルを鋼製枠に溶接固定することで対応せざるを得なかった。しかし、溶接接合することは、専門性の高い溶接技術を有した作業員が必要であり、コストアップの要因となるだけでなく、火器の管理などの安全管理を厳重に行わないといけないという問題があった。
また、特許文献1には、土壌の法面Sを透水性マット3で被覆し、法面Sにアンカー4を打ち込んで透水性マット3を固定し、基礎部分Bを構築して柱材2を設置し、この柱材2にコンクリート製の残存型枠1を掛け止めて、法面Sと残存型枠1との間に裏込めコンクリートCを打設するもたれ式擁壁(斜壁タイプ)の構築方法が開示されている(特許文献1の明細書の段落[0020]~[0030]、図面の図1,図3等参照)。
しかし、特許文献1に記載のもたれ式擁壁の構築方法は、基礎部分Bを構築して柱材2を設置する必要があり、工数が多くなり工期が長期化するという問題があった。
また、特許文献2には、既存壁41に格子状の鉄筋を固着し、切欠凹部を有する取付金具を用いて、石積み模擬構築用プレキャスト部材を前記格子状の鉄筋に掛け止める石積み模擬構築物の構築方法が開示されている(特許文献2の特許請求の範囲の請求項6、明細書の段落[0031]~[0041]、図面の図1,図3,図4等参照)。
しかし、特許文献2に記載の石積み模擬構築物の構築方法は、既存壁41がコンクリート構造物であるなど変形しないことが前提の技術であり、補強土壁にそのまま適用できるものではなかった。つまり、特許文献2に記載の石積み模擬構築物の構築方法は、補強土壁に適用した場合、(4)壁面パネルの直接接合で述べたように、転圧等により盛土及び鋼製枠が外側に膨出して変形し、その変形が壁面パネルに伝達されて壁面パネルが崩壊するおそれがあるという問題がある。
以上述べたように、斜壁タイプの補強土壁を構築して壁面緑化を行わない場合の従来の技術は、いずれも問題があり、有効な解決策がないのが現状であった。このため、溶接不要の機械的な乾式接合で壁面パネルを鋼製枠からなる保持枠に接合でき、しかも、盛土の変形に追従して変位する鋼製枠(保持枠)の前面位置に対して間隔調整が可能な壁面パネルの取付構造及び補強土壁の構築方法が嘱望されている。
特開2014-189978号公報 特開2008-101452号公報
そこで本発明は、前記問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、裏込めコンクリートを打設しなくても溶接不要の機械的な乾式接合で壁面パネルを保持枠に簡単に短時間で接合できる壁面パネルの取付構造及び補強土壁の構築方法を提供することにある。
請求項1に記載の壁面パネルの取付構造は、土砂の斜面形状を保持する保持枠に壁面パネルを取り付ける壁面パネルの取付構造であって、裏面にパネルフックを有する正面視矩形状の壁面パネルと、前記保持枠に固定する枠固定クランプと、前記枠固定クランプに前記壁面パネルを掛け止める両端に連結フックを有する連結具と、を備え、前記枠固定クランプは、前記連結フックを掛け止める掛止め片と、前記保持枠の枠材に掛け止めるJ字フックとねじ部を有するフックボルトと、前記保持枠の枠材を挿通する凹溝と、を有し、前記フックボルトで前記保持枠の一の枠材に掛け止めた状態で、長さ方向の両端部が前記保持枠の他の枠材にそれぞれ当接することで、前記保持枠に対して三点以上で接触して固定されていることを特徴とする。
請求項2に記載の壁面パネルの取付構造は、請求項1に記載の壁面パネルの取付構造において、前記連結具は、長さ調整自在となっていることを特徴とする。
請求項3に記載の壁面パネルの取付構造は、請求項2に記載の壁面パネルの取付構造において、前記連結具は、前記連結フックとねじ部を有する一対のフックボルトと、前記一対のフックボルトのねじ部同士を保持するクランプ機構と、を有していることを特徴とする。
請求項4に記載の壁面パネルの取付構造は、請求項1ないし3のいずれかに記載の壁面パネルの取付構造において、前記保持枠は、エキスパンドメタル又は溶接金網からなることを特徴とする。
請求項5に記載の補強土壁の構築方法は、枠材から網目状に構成された保持枠に土砂を敷き詰めて補強土壁を構築する補強土壁構築工程と、枠固定クランプを前記保持枠に固定する枠固定クランプ取付工程と、両端に連結フックを有する連結具を用いて、裏面にパネルフックを有する正面視矩形状の壁面パネルを前記枠固定クランプに掛け止めて前記保持枠に対して離間させて壁面パネルを設置する壁面パネル設置工程と、を備え、前記枠固定クランプは、前記連結フックを掛け止める掛止め片と、前記保持枠の枠材に掛け止めるJ字フックとねじ部を有するフックボルトと、前記保持枠の枠材を挿通する凹溝と、を有し、前記枠固定クランプ取付工程では、前記フックボルトにより前記保持枠の枠材に前記J字フックを掛け止めて前記凹溝を前記保持枠の一の枠材に挿通してねじ止め固定するとともに、長さ方向の両端部を前記保持枠の他の枠材にそれぞれ当接させて、前記保持枠に対して三点以上で接触するように固定することを特徴とする。
請求項6に記載の補強土壁の構築方法は、請求項5に記載の補強土壁の構築方法において、前記連結具は、長さ調整自在となっており、前記壁面パネル設置工程では、前記保持枠の変形具合に応じて前記連結具の長さを調整しつつ前記壁面パネルを設置することを特徴とする。
請求項7に記載の補強土壁の構築方法は、請求項6に記載の補強土壁の構築方法において、前記連結具は、前記連結フックとねじ部を有する一対のフックボルトと、前記一対のフックボルトのねじ部同士を保持するクランプ機構と、を有し、前記壁面パネル設置工程では、前記保持枠の変形具合に応じて前記一対のフックボルトのいずれか一方を回転することで前記連結具の長さの微調整を行って前記壁面パネルを設置することを特徴とする。
請求項1~7に係る発明によれば、溶接不要の機械的な乾式接合で壁面パネルを保持枠に簡単に短時間で接合することができ、しかも裏込めコンクリートを打設する必要もない。このため、請求項1~7に係る発明によれば、壁面パネルの設置作業及び補強土壁の構築作業を短期間で行うことができ、労務コストを低減して作業コストを低減することができる。また、請求項1~7に係る発明によれば、保持枠に直接枠固定クランプを取り付けて壁面パネルを設置するため、準備工が不要で千鳥配置や乱積配置など壁面パネルの配置の自由度が高く、施工計画の立案や施工管理が容易で施工管理者の負担を軽減することができる。
特に、請求項2及び請求項6に係る発明によれば、連結具が長さ調整自在となっているので、さらに壁面パネルを設置する作業を容易に短時間で行うことができる。
特に、請求項3及び請求項7に係る発明によれば、連結具がフックボルトのいずれか一方を回転させることで長さの微調整が可能となっているので、フックボルトを片手で回すだけで連結具の長さの正確な微調整を行える。このため、作業員が壁面パネルを片手で支えつつ、もう一方の手で連結具の正確な調整を行うことができ、作業効率が極めて良好となる。
図1は、本発明の実施の形態に係る壁面パネルの取付構造の構成を示す鉛直断面図である。 図2は、各壁面パネルの取付構造を拡大して示す図1のA部拡大図である。 図3は、同上の壁面パネルの取付構造のエキスパンドメタルからなる保持枠を示す写真である。 図4は、同上の保持枠の変形例1に係る溶接金網からなる保持枠を示す写真である。 図5は、同上の保持枠の変形例2に係る溶接金網からなる保持枠を示す図であり、(a)が正面図、(b)が右側面図である。 図6は、本実施形態に係る壁面パネルの取付構造の壁面パネルを示す図であり、(a)が正面図、(b)が右側面図である。 図7は、同上の壁面パネルを示す図であり、(a)が背面図、(b)が平面図である。 図8は、本実施形態に係る壁面パネルの取付構造の枠固定クランプを示す図であり、(a)が正面図、(b)が平面図である。 図9は、同上の枠固定クランプを示す右側面図である。 図10は、本実施形態に係る壁面パネルの取付構造の連結具を示す図であり、(a)が正面図、(b)が平面図である。 図11は、同上の連結具を示す右側面図である。 図12は、本実施形態に係る壁面パネルの取付構造の枠固定クランプ付近を拡大して示す図2の部分拡大図である。
以下、本発明の実施形態に係る壁面パネルの取付構造及び補強土壁の構築方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[壁面パネルの取付構造]
先ず、図1~図12を用いて、本発明の実施の形態に係る壁面パネルの取付構造1について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る壁面パネルの取付構造1の構成を示す鉛直断面図であり、図2は、各壁面パネルの取付構造を拡大して示す図1のA部拡大図である。
図1,図2に示すように、本実施形態に係る壁面パネルの取付構造1は、土砂Sの斜面形状を保持する保持枠2に、その保持枠2を覆う被覆パネルである壁面パネル3を取り付ける壁面パネルの取付構造である。本実施形態に係る壁面パネルの取付構造1は、保持枠2と、壁面パネル3と、保持枠2に固定される枠固定クランプ4と、この枠固定クランプ4に壁面パネル3を掛け止める連結具5と、を備えている。
(保持枠)
次に、図3~図5を用いて、本実施形態に係る壁面パネルの取付構造1の保持枠2ついて説明する。図3は、本実施形態に係る壁面パネルの取付構造1のエキスパンドメタルからなる保持枠2を示す写真であり、図4は、保持枠2の変形例1に係る溶接金網からなる保持枠2’を示す写真である。また、図5は、保持枠2の変形例2に係る溶接金網からなる保持枠2”を示す図であり、(a)が正面図、(b)が右側面図である。
図3に示すように、本実施形態に係る保持枠2は、防錆のためポリエチレンなどの樹脂で被覆されたSPHC(熱間圧延軟鋼板)からなるエキスパンドメタルを基体とする鉛直断面が傾斜したL字状の枠体であり、盛土(土砂S)の斜面形状を保持するための斜面材として用いられる鋼製枠である。この保持枠2は、例えば、直高が0.5m~0.6m×幅が1.2mとなっている。
但し、この保持枠2は、エキスパンドメタルに限られず、図4,図5に示すように、丸鋼が格子状に溶接されて接合された溶接金網からなる変形例1に係る保持枠2’又は変形例2に係る保持枠2”としてもよい。また、保持枠2,2’,2”は、樹脂で被覆されたものに限られず、溶融亜鉛めっきなど防錆のため表面処理が施されていればよい。但し、後述の裏込めコンクリートを打設する場合は、表面処理を行う必要がないことは言うまでもない。その上、保持枠2,2’,2”は、鋼材からなるものに限られず、盛土の斜面形状を保持することができる網目状に組み合わされた所定の強度を有する材料であれば、特に素材は限定されるものではない。
また、図3,図4に示すように、保持枠2,2’の上端には、エキスパンドメタルや溶接金網の鋭利な鋼材の切断端面が露出しないように、安全のため水平方向に長い溝型の条材からなる保護キャップ20が装着されていていることが好ましい。特に、施工時に作業員が鋼材の切断端面に接触して怪我をする事故を防止することができるからである。
なお、図3~図5で示す符号21は、保持枠2の傾斜角度が盛土の変形に伴って押圧されて外側(盛土が無い側)に倒れないように掛け止める斜タイ材である掛止めフック21である。但し、斜タイ材である掛止めフック21は、保持枠2~2”の高さ方向(上下方向)の中間地点等で土砂との摩擦抵抗で枠体が倒れることに対抗する面状補強材である後述のジオテキスタイルG等(図1参照)を追加設置することで省略することも可能である。
<壁面パネル>
次に、図6,図7を用いて、本実施形態に係る壁面パネルの取付構造1の壁面パネル3について説明する。図6は、本実施形態に係る壁面パネルの取付構造1の壁面パネル3を示す図であり、(a)が正面図、(b)が右側面図である。また、図7は、壁面パネル3を示す図であり、(a)が背面図、(b)が平面図である。なお、正面(表面)とは、補強土壁の斜面に向かって見た面を指すものとする(以下同じ。)。
図6に示すように、壁面パネル3は、防草及び景観向上のために保持枠2~2”で保持された補強土壁の前面を覆うように設置される正面視矩形状のパネルであり、背面に裏込めコンクリートが打設される場合は、残置(残存)型枠としても機能する。但し、本実施形態に係る壁面パネルの取付構造1は、原則裏込めコンクリートを打設する必要はない。
本実施形態に係る壁面パネル3は、軽量モルタルなどのセメント系経時硬化材に引張補強材として鋼線が埋設されたプレキャスト製の軽量パネルであり、図6に示すように、幅W1=800mm×高さH1=400mmの長方形状に成形されている。また、この壁面パネル3は、正面から見える表面に石垣を模した図示しない擬岩模様が形成され、背面となる裏面がフラットに形成されている。勿論、壁面パネル3の寸法等は、例示であり、幅900mm×高さ300mmや、半割タイプである幅400mm×高さ400mm、幅450mm×高さ300mm等、適宜設定できることは云うまでもない。
また、壁面パネル3の材質は、セメント系経時硬化材に限られず、樹脂など他の材質から構成しても構わない。但し、壁面パネル3は、作業員が一人で持ち運べる程度以下の重量からなる軽量パネルとすることが好ましい。クレーンなどの揚重機やチェーンブロックなどの揚重装置が不要となるからである。
この壁面パネル3は、図6,図7に示すように、セメント系経時硬化材からなる鉛直断面及び水平断面が台形状のパネル本体30と、このパネル本体30の裏面から保持枠2~2”側に突設された上下三対ずつの計6つのガイドランナー31と、連結具5で掛け止められる上下2段の左右二対の4つのパネルフック32など、から構成されている。
(ガイドランナー)
このガイドランナー31は、壁面パネル3同士を掛け止めるための鋼線からなる側面視コの字状のフックである。連結具5で掛け止められた下段の壁面パネル3に他の上段の壁面パネル3を載置すると、互いのガイドランナー31同士が、他の壁面パネル3に掛け止められることにより、載置した壁面パネル3が自立するように構成されている。このように、載置した壁面パネル3が自立することにより、パネルフック32に連結具5を掛け止める作業が作業員一人でも極めて容易となる。
なお、ガイドランナー31は、図6(a),図7(a),図7(b)に示すように、パネル本体30の上部に設けられたガイドランナー31と、パネル本体30の下部に設けられたガイドランナー31とが、隣接する上下段の他の壁面パネル3のガイドランナー31と干渉しないように、左右にずれて設けられている。
(パネルフック)
パネルフック32は、連結具5で壁面パネル3を掛け止めるための鋼線からなるくの字状のフックであり、図6(b)に示すように、鋼線が途中で一回転したループ部32aが形成されている。このループ部32aに連結具5の連結フックが掛け止められることにより、保持枠2~2”がはらんで壁面パネル3に背面から押圧力が作用した場合でも、後述の連結フック51aがループ部32aから外れて離脱するおそれを低減することができる(図2も参照)。
<枠固定クランプ>
次に、図8,図9を用いて、本実施形態に係る壁面パネルの取付構造1の枠固定クランプ4について説明する。図8は、本実施形態に係る壁面パネルの取付構造1の枠固定クランプ4を示す図であり、(a)が正面図、(b)が平面図である。また、図9は、壁面パネルの取付構造1の枠固定クランプ4を示す右側面図である。
枠固定クランプ4は、図8,図9に示すように、連結具5を介して前述の保持枠2に壁面パネル3を掛け止めるために、保持枠2に固定するためのクランプである。この枠固定クランプ4は、クランプ本体40と、このクランプ本体40にねじ止めされるフックボルト41と、クランプ本体40に接合されたステンレス製の当接板42と、を備えている。
(クランプ本体)
このクランプ本体40は、厚さ3mm程度のステンレス鋼板から切削及び曲げ加工されて形成された部材である。また、図8,図9に示すように、このクランプ本体40には、連結具5の連結フックを掛け止める掛止め片43が形成されているとともに、保持枠2のエキスパンドメタルを構成する枠材を挿通する凹溝44が形成されている。そして、クランプ本体40の中央付近には、フックボルト41を挿通するボルト孔(図示せず)が穿設されている。
この掛止め片43には、連結具5の連結フックを挿通することができる直径8mmの円形の孔かなる掛止め孔43aが形成されている。勿論、掛止め孔43aの径は、連結フックの径に応じて適宜定めればよい。但し、後述のように、連結具5が落下しないように、連結フックの一部を圧壊して拡径するため、連結フックの径よりあまり大きすぎない方が好ましい。
また、凹溝44は、図9に示すように、保持枠2側となる図示下端の幅が広く、奥側となる上端の幅が狭いテーパー状の側辺となっている。
(フックボルト)
フックボルト41は、ステンレス製のボルトであり、先端がJ字状に折れ曲がったJ字フック41aと、M8のねじ山が形成されたねじ部41bと、このねじ部41bと螺合するM8のステンレス製のナット41cなど、から構成されている。勿論、ねじの径は、M8を例示したに過ぎず、大きさに応じて適宜選定すればよいことは云うまでもない(以下同じ)。
(当接板)
当接板42は、厚さ3mm程度のステンレス鋼板であり、クランプ本体40と同様に、中央にフックボルト41を挿通するボルト孔(図示せず)が穿設されている。この当接板42は、中央のボルト孔に挿通されたフックボルト41で保持枠2の枠材に掛け止められたときに、両端部が保持枠2の枠材の他の部分に必ず当接する長さを有している。図示形態では、当接板42の長さは80mmとなっており、フックボルト41で中央が掛け止められた状態で当接板42の両端までの長さを40mm確保することで、エキスパンドメタルの枠材に三点以上で接触することを担保している(図12も参照)。
勿論、この当接板42の長さは、保持枠の枠材の隙間間隔や配置位置に応じて適宜設定されるものであり、図3に示す溶接金網からなる保持枠2’,2”の場合は、枠材である溶接金網の間隔の倍以上の長さとすることが好ましい。
なお、当接板42は、クランプ本体40と溶接接合されている。しかし、当接板42は、枠材に三点以上で接触する長さを有していればよく、クランプ本体40と一体成形されていても構わない。その場合は、当接板42と一体となったクランプ本体40に前述の掛止め片43が溶接されるなどして取り付けられていればよい。
このように枠固定クランプ4は、保持枠2の枠材に凹溝44を押し当てた状態で、フックボルト41のJ字フック41aを保持枠2の枠材に引っ掛けてナット41cで締め付けることにより、保持枠2の枠材が凹溝44の奥の定位置に案内されて確実に掛け止められて固定される。
<連結具>
次に、図2,図10~図12を用いて、本実施形態に係る壁面パネルの取付構造1の連結具5について説明する。図10は、壁面パネルの取付構造1の連結具5を示す図であり、(a)が正面図、(b)が平面図である。また、図11は、連結具5を示す右側面図である。そして、図12は、壁面パネルの取付構造1の枠固定クランプ4付近を拡大して示す図2の部分拡大図である。図2等に示すように、連結具5は、枠固定クランプ4の掛止め片43と、壁面パネル3のパネルフック32とを長さ調整自在に連結する治具である。この連結具5は、一対のフックボルト50,51と、これらの一対のフックボルト50,51同士を保持するクランプ機構52と、を備え、一対のフックボルト50,51のいずれか一方又は両方を回転させることで長さの微調整が可能となっている。
(フックボルト)
フックボルト50は、図2,図10~図12に示すように、掛止め片43の掛止め孔43aに掛け止められるステンレス製の掛止め金具であり、180度以上折り返して曲げられた連結フック50aと、この連結フック50aと連続するM8のねじ山が形成されたねじ部50bと、を有している。
また、このフックボルト50は、掛止め孔43aに掛け止めた後に、連結フック50aとねじ部50bとの境界付近をカシメて押し潰すことで拡径された圧潰部50cが形成されている。このため、フックボルト50の軸方向に押圧力が作用した場合でも、フックボルト50が掛止め孔43aから外れて離脱しないようになっている(図2,図12参照)。
フックボルト51は、図2,図10に示すように、壁面パネル3のパネルフック32に掛け止められるステンレス製の掛止め金具であり、170度程度折り返して曲げられた連結フック51aと、この連結フック50aと連続するM8のねじ山が形成されたねじ部50bと、を有している。
(クランプ機構)
クランプ機構52は、前述の一対のフックボルト50,51のねじ部50b,51bを掛け止めてフックボルト50,51の軸方向に沿った応力に対抗するとともに、これらのフックボルト50,51を重ね合わせて長さを調整したうえ回転自在に保持する機構である。このクランプ機構52は、図10,図11に示すように、開放端が開いた断面コの字状の第1クランプ材53と、この第1クランプ材53内に嵌り込む開放端が開いた断面コの字状の第2クランプ材54と、これらを貫通して保持する連結ボルト55など、から構成されている。
第1クランプ材53は、図示形態では、厚さ3mm程度のステンレス鋼板の両端部が面外方向の上方に折り曲げられるとともに、一対のフックボルト50,51を挿通する欠込み53aが形成されている。この欠込み53aの内端面53bは、切断端面がねじ部51bと螺合する所定の傾斜角度となっており、この内端面53bの角部がねじ部51bのねじ溝に嵌り込むことにより、フックボルト51の軸方向に沿った応力に対抗してフックボルト51が軸方向にずれ動くことを阻止する構成となっている。
また、図10(a)に示すように、この第1クランプ材53の欠込み53aには、返し片53cが形成されており、長さの微調整時においてもフックボルト51がクランプ機構52から脱落するおそれを低減することができる。
第2クランプ材54も、第1クランプ材53と同様に、厚さ3mm程度のステンレス鋼板の両端部が面外方向の下方に折り曲げられるとともに、フックボルト50のみを挿通する円弧状の欠込み54aが形成されている。この欠込み54aの内端面54bは、切断端面がねじ部50bと螺合する所定の傾斜角度となっており、この内端面54bがねじ部51bのねじ溝に嵌り込むことにより、フックボルト51の軸方向に沿った応力に対抗してフックボルト51が軸方向にずれ動くことを阻止する構成となっている。
連結ボルト55は、第1クランプ材53及び第2クランプ材54の中央に穿設された図示しないボルト孔に挿通されるM8サイズのボルトである。この連結ボルト55は、ワッシャー55aを介してナット55bでねじ止めすることにより、フックボルト50,51を挟んだ状態で第1クランプ材53及び第2クランプ材54で挟持する。このため、クランプ機構52は、フックボルト50,51のねじ部50b、51bのねじ山同士が互いに掛け止められた状態で把持し、フックボルト50,51の軸方向に沿った引抜け力及び圧縮力に対抗することができる。
[補強土壁の構築方法]
次に、図1,図2,図12を用いて、本発明の実施形態に係る補強土壁の構築方法について説明する。本実施形態に係る補強土壁の構築方法では、斜壁タイプの補強土壁を構築して壁面緑化を行わず、防草及び景観向上を目的に、補強土壁の土砂Sの斜面形状を保持する保持枠2に、その保持枠2の前面を覆う壁面パネル3を取り付けて前述の壁面パネルの取付構造1を構築する場合を例示して説明する。
(補強土壁構築工程)
本実施形態に係る補強土壁の構築方法では、先ず、図1に示すように、前述の保持枠2に現地土砂や盛土からなる土砂Sを敷き詰めて補強土壁を構築する補強土壁構築工程を行う。
具体的には、図1に示すように、本工程では、土砂Sを敷き詰めて鉛直断面が台形状の斜面を構築して適宜転圧した上、面状補強材であるジオテキスタイルGを敷設し、その斜面の縁沿いに前述の保持枠2を設置して敷設したジオテキスタイルGと連結する。本工程では、それらの工程を繰り返して、層状に敷き詰められた土砂S内にジオテキスタイルGを介装して行き、ジオテキスタイルGの引張り抵抗、土砂Sとの摩擦力やかみ合わせ、及び盛土の圧密促進によって土の強度を高めて盛土全体を安定させ、急勾配の土壁構造物である補強土壁を構築する。
(枠固定クランプ取付工程)
次に、本実施形態に係る補強土壁の構築方法では、前補強土壁構築工程で設置した保持枠2に、壁面パネルの取付構造1の枠固定クランプ4を固定する枠固定クランプ取付工程を行う。
具体的には、図2,図12に示すように、本工程では、エキスパンドメタルからなる保持枠2の枠材に、枠固定クランプ4の凹溝44を押し当て、先端がJ字状に折れ曲がったJ字フック41aで保持枠2の枠材を掛け止めてナット41cを回してねじ止め固定する。このとき、図9に示したように、凹溝44は、保持枠2側となる図示下端の幅が広く、奥側となる上端の幅が狭いテーパー状の側辺となっている。このため、フックボルト41の締め付けにより、凹溝44のテーパー状の側辺に案内されて保持枠2の枠材が凹溝44の底辺に当接する適切な固定位置に枠固定クランプ4が固定される。
また、枠固定クランプ4には、前述のように、エキスパンドメタルからなる保持枠2の枠材間隔に応じた所定の長さを有する当接板42が設けられている。このため、図2,図12に示すように、枠固定クランプ4は、フックボルト41で中央が掛け止められた状態で当接板42の両端部がエキスパンドメタルの他の枠材に当接することとなる。よって、枠固定クランプ4は、保持枠2に対して三点以上で接触することになり、左右それぞれの回転方向に対する反力点を有することとなり、枠固定クランプ4がフックボルト41で掛け止めた枠材を中心に回転することを阻止することができる。この構成より、後工程である壁面パネル設置工程において、枠固定クランプ4の掛止め片43から連結具5が脱落することを防止することができる。また、この構成により、繰り返しの外力や振動に対しても枠固定クランプ4の固定力が飛躍的に向上することとなる。
(壁面パネル設置工程)
次に、本実施形態に係る補強土壁の構築方法では、前枠固定クランプ取付工程で取り付けた枠固定クランプ4に、連結具5で掛け止めて、前述の壁面パネル3を設置する壁面パネル設置工程を行う。
具体的には、図2に示すように、本工程では、前枠固定クランプ取付工程で取り付けた枠固定クランプ4の掛止め片43の掛止め孔43aに連結具5のフックボルト50の連結フック50aを挿通して掛け止める。その後、連結フック50aとねじ部50bとの境界付近をカシメて押し潰すことで拡径された圧潰部50cを形成する(図12も参照)。但し、圧潰部50cを形成する工程は、枠固定クランプ取付工程前に行って、枠固定クランプ4に連結具5が連結された状態で、枠固定クランプ取付工程を行っても構わない。その方が、作業員から見てのぞき込むことが困難な壁面パネル3の裏側での作業が少なくなり、作業効率が向上するからである。
また、本工程では、保持枠2のはらみ出し等の変形具合に応じて前述の一対のフックボルト50,51を必要な長さに重ね合わせてクランプ機構52でクランプして把持し、フックボルト51を壁面パネル3のパネルフック32に掛け止める。その後、クランプ機構52でクランプした状態で一対のフックボルト50,51のいずれか又は両方を回転させることで、連結具5の長さの微調整を行う。このとき、フックボルト50,51を片手で回すだけで連結具5の長さの微調整を行えるため、作業員が壁面パネル3を片手で支えつつ、もう一方の手で連結具5の正確な長さ調整ができ、作業効率が極めて良好となる。その上、連結具5の長さ調整代は、フックボルト50,51のどの位置においてクランプ機構52でクランプするかによるので、極めて幅の広い調整が可能であり、補強土壁の勾配と、壁面パネル3の勾配を変えるなど勾配角度を自由に設定することも可能である。それに加え、主な長さ調整作業は、一対のフックボルト50,51を重ね合わせてクランプ機構52でクランプして把持するだけなので、短時間で調整代の大きな長さ調整が可能であるとともに、フックボルト50,51のいずれかを回転させるだけで正確な微調整も行うことができる。
また、本工程では、連結具5の長さ調整を再度行って、隣接する壁面パネル3同士の角部の突出及び引っ込み具体を微調整し、壁面パネル3同士の平滑具合を担保する。このとき、前述のように、片手で回すだけで連結具5の長さの微調整を行えるため、従来の壁面パネルの設置作業と比べて各段に作業効率が向上する。
なお、最下段の壁面パネル3を設置する場合は、図1に示すように、コンクリートを打設して基礎Fを構築し、アンカーA1でL型アングルからなる掛止め材Lを固定して、この掛止め材Lに壁面パネル3の下方のガイドランナー31を掛け止めて設置する。
また、前述のように、従来の鋼製枠(保持枠2)に壁面パネルを直接固定する方法では、転圧等により盛土及び鋼製枠が外側に膨出して変形し、その変形が壁面パネルに伝達されて壁面パネルが崩壊するおそれがあった。その上、ボルト等に雨水が浸透する環境にあり長期の耐久性に懸念があった。
しかし、本実施形態に係る連結具5は、フックボルト50の連結フック50aが180度以上折り返して曲げられているだけでなく、圧潰部50cが形成されており、繰り返しの外力や振動で外れないようになっている。また、枠固定クランプ4及び連結具5は、ステンレス製であり、雨水が浸透する環境にあっても長期の耐久性に問題がない。
その上、連結具5の欠込み53aには、返し片53cが形成されており、本工程の連結具5の長さ調整時においてもフックボルト51がクランプ機構52から脱落して下段の壁面パネル3内や基礎Fまで落下してしまうことを防止することができる。
一方、壁面パネル3のパネルフック32に掛け止める連結具5のフックボルト51の連結フック51aは、170度程度折り返して曲げられているため、壁面パネル3の背面作業でパネルフック32に掛け止め易くなっているとともに、押圧力が作用した場合でも外れにくくなっている。また、パネルフック32は、鋼線が途中で一回転したループ部32aが形成されているので、その点でも、保持枠2~2”がはらんで壁面パネル3に背面から押圧力が作用した場合でも、連結フック51aがループ部32aから外れて離脱するおそれを低減することができる。
なお、本工程では、壁面パネル3を設置するとともに、その背面側に砕石(例えば、単粒砕石)などの充填材を充填してもよい。排水機能を持った砕石層を構築することで、補強土壁を保護できるだけでなく、流木や岩石の衝突に対する耐衝撃性を確保することができるからである。
以上説明した本発明の実施の形態に係る壁面パネルの取付構造1及び本発明の実施の形態に係る補強土壁の構築方法によれば、溶接不要の機械的な乾式接合で壁面パネル3を保持枠2に簡単に短時間で接合することができる。このため、断面欠損となるため補強土壁の構造材である鋼製枠に溶接できないとう問題を解決することができるとともに、柱材を補強土壁の前面に設置するとう準備工程を省略することができ、壁面パネル3の取付や補強土壁の構築作業の工期を短縮することが可能となる。その上、溶接を行わないため、引火物や火器の管理や点検等が不要となり、労働災害のリスクを低減することができるだけでなく、工期が天候に左右されず、溶接工が不要であり人員確保が容易となる。また、保持枠2に直接枠固定クランプ4を取り付けて壁面パネル3を設置するため、千鳥配置や乱積配置など壁面パネル3の配置の自由度が高く、施工計画の立案や施工管理が容易で施工管理者の負担を軽減することができる。
また、本実施形態に係る壁面パネルの取付構造1及び本実施形態に係る補強土壁の構築方法によれば、裏込めコンクリートを打設しなくてもよくなり、コンクリート打設に伴う作業を省略することが可能となり、その点でも工期を短縮することができる。
その上、本実施形態に係る壁面パネルの取付構造1及び本実施形態に係る補強土壁の構築方法によれば、従来の鋼製枠内に設置される防草シートの設置に代えて、乾式接合で軽量な壁面パネル3を設置するので、壁面パネル3の解体撤去及び交換や補修が容易でランニングコストを低減することができる。また、保持枠2に直接枠固定クランプ4を取り付けて壁面パネル3を設置するため、千鳥配置や乱積配置など壁面パネルの設置の自由度が高く、施工計画の立案や施工管理が容易で施工管理者の負担を軽減することができる。
それに加え、本実施形態に係る壁面パネルの取付構造1及び本実施形態に係る補強土壁の構築方法によれば、連結具5が長さ調整自在となっているので、盛土などの土砂の圧密具合に起因する保持枠2のはらみ出し等の変形具合に合わせて壁面パネル3を設置することが容易となる。また、連結具5の長さ調整代が大きく、保持枠2の変形に追随することが容易であるだけでなく、補強土壁の勾配と壁面パネル3の勾配を異なる勾配とするなど、勾配角度を自由設定することも可能である。
さらに、本実施形態に係る壁面パネルの取付構造1及び本実施形態に係る補強土壁の構築方法によれば、3点接触で回転不能に固定する枠固定クランプ4を介した連結具5と保持枠2との連結が、適度な遊びのある半固定のピン接合となっているので、地震やはらみ出し等による圧縮力にも対抗できるとともに、保持枠2の設置後の経時的な変形にも追随して壁面パネル3の崩壊を防ぐことができる。
以上、本発明の実施の形態に係る及び本発明の実施の形態に係る補強土壁の構築方法ついて詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎない。よって、これらによって本発明に係る技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。特に、本発明の実施形態として示した各構成の素材、寸法、大きさ、径等は、あくまでも例示したに過ぎず、適宜変更可能であることは云うまでもない。
1:壁面パネルの取付構造
2,2’,2”:保持枠
20:保護キャップ
21:掛止めフック(斜タイ材)
3:壁面パネル
30:パネル本体
31:ガイドランナー
32:パネルフック
32a:ループ部
4:枠固定クランプ
40:クランプ本体
41:フックボルト
41a:J字フック
41b:ねじ部
42:当接板
43:掛止め片
43a:掛止め孔
44:凹溝
5:連結具
50,51:フックボルト
50a,51a:連結フック
50b,51b:ねじ部
50c:圧潰部
52:クランプ機構
53:第1クランプ材(クランプ材)
53a:欠込み
53b:内端面(端面)
53c:返し片
54:第2クランプ材(クランプ材)
54a:欠込み
54b:内端面(端面)
55:連結ボルト
55a:ワッシャー
55b:ナット
S:土砂
G:ジオテキスタイル(面状補強材)
F:基礎
L:掛止め材
A1:アンカー

Claims (7)

  1. 土砂の斜面形状を保持する保持枠に壁面パネルを取り付ける壁面パネルの取付構造であって、
    裏面にパネルフックを有する正面視矩形状の壁面パネルと、前記保持枠に固定する枠固定クランプと、前記枠固定クランプに前記壁面パネルを掛け止める両端に連結フックを有する連結具と、を備え、
    前記枠固定クランプは、前記連結フックを掛け止める掛止め片と、前記保持枠の枠材に掛け止めるJ字フックとねじ部を有するフックボルトと、前記保持枠の枠材を挿通する凹溝と、を有し、前記フックボルトで前記保持枠の一の枠材に掛け止めた状態で、長さ方向の両端部が前記保持枠の他の枠材にそれぞれ当接することで、前記保持枠に対して三点以上で接触して固定されていること
    を特徴とする壁面パネルの取付構造。
  2. 前記連結具は、長さ調整自在となっていること
    を特徴とする請求項1に記載の壁面パネルの取付構造。
  3. 前記連結具は、前記連結フックとねじ部を有する一対のフックボルトと、前記一対のフックボルトのねじ部同士を保持するクランプ機構と、を有していること
    を特徴とする請求項2に記載の壁面パネルの取付構造。
  4. 前記保持枠は、エキスパンドメタル又は溶接金網からなること
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の壁面パネルの取付構造。
  5. 枠材から網目状に構成された保持枠に土砂を敷き詰めて補強土壁を構築する補強土壁構築工程と、
    枠固定クランプを前記保持枠に固定する枠固定クランプ取付工程と、
    両端に連結フックを有する連結具を用いて、裏面にパネルフックを有する正面視矩形状の壁面パネルを前記枠固定クランプに掛け止めて前記保持枠に対して離間させて壁面パネルを設置する壁面パネル設置工程と、を備え、
    前記枠固定クランプは、前記連結フックを掛け止める掛止め片と、前記保持枠の枠材に掛け止めるJ字フックとねじ部を有するフックボルトと、前記保持枠の枠材を挿通する凹溝と、を有し、
    前記枠固定クランプ取付工程では、前記フックボルトにより前記保持枠の枠材に前記J字フックを掛け止めて前記凹溝を前記保持枠の一の枠材に挿通してねじ止め固定するとともに、長さ方向の両端部を前記保持枠の他の枠材にそれぞれ当接させて、前記保持枠に対して三点以上で接触するように固定すること
    を特徴とする補強土壁の構築方法。
  6. 前記連結具は、長さ調整自在となっており、
    前記壁面パネル設置工程では、前記保持枠の変形具合に応じて前記連結具の長さを調整しつつ前記壁面パネルを設置すること
    を特徴とする請求項5に記載の補強土壁の構築方法。
  7. 前記連結具は、前記連結フックとねじ部を有する一対のフックボルトと、前記一対のフックボルトのねじ部同士を保持するクランプ機構と、を有し、
    前記壁面パネル設置工程では、前記保持枠の変形具合に応じて前記一対のフックボルトのいずれか一方を回転することで前記連結具の長さの微調整を行って前記壁面パネルを設置すること
    を特徴とする請求項6に記載の補強土壁の構築方法。
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