JP2022107010A - ブリオスタチン化合物およびその調製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】市販材料からの、これまでにない少数の収束的合成工程でのブリオスタチン1の多グラム量での調製を提供する。【解決手段】式(XXII)の調製方法。TIFF2022107010000092.tif53128(R4:置換/非置換アルキル。Z2:=CR5R6、=NR7(bが二重結合の場合)、または-OR8、-N(R7)2(bが単結合の場合)、R5~R8:H、アルキルオキシカルボニルなど。P1、P3:H、OH保護基。R11、R12、R16:H、アルキルなど。)【選択図】図1

Description

相互参照
本出願は、2016年10月5日に出願された米国仮特許出願第62/404,687号の利益を主張し、この出願はその全体を参照として本明細書に援用される。
連邦政府支援の研究開発に関する記述
本発明は、国立衛生研究所により付与された契約CA031841およびCA031845の下、政府の支援を受けて行われた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
序論
ブリオスタチン1は、海洋天然物であり、現在、がん、HIV/AIDS、およびアルツハイマー病に関して臨床試験中の強力なプロテインキナーゼC(PKC)モジュレーターである。HIVについては、世界中で3800万人が感染し、年間120万人が死亡している。米国一国だけで540万人のアルツハイマー病患者が存在し、米国内の死因の第3位を占める。
ブリオスタチンは、海洋生物Bugula neritinaから単離する(例えば、0.00014%の収率で)か、生合成によって少量を産生するか、または全化学合成によって少量を調製することができる。これまで、様々な天然ブリオスタチン化合物の化学合成には、約37~90の合成工程が必要であった。臨床候補のブリオスタチン1の唯一の公表された合成は、57工程を必要とし、低い全体収率(例えば、全体の1.1%)で進行する(Keck et al.,J.Am.Chem.Soc.,2011,133(4),pp 744-747(非特許文献1))。
Keck et al.,J.Am.Chem.Soc.,2011,133(4),pp 744-747
概要
様々なブリオスタチン化合物の調製方法を提供する。本発明の方法は、市販材料からの、これまでにない少数の収束的合成工程でのブリオスタチン1のマルチグラム量での調製を提供する。本発明の方法は、低い推定材料費でスケーラブルであり、臨床的要求を満たすのに十分な材料を提供することができる。本発明の方法を介して合成的にアクセス可能である、様々なブリオスタチン類似体化合物、およびそれらのプロドラッグ形態ならびにそれを含む医薬組成物もまた提供する。
[本発明1001]
下記工程を含む、ブリオスタチン化合物の調製方法:
(a)式(I)の出発物質もしくはそのシントンまたはその合成等価体から式(X)の化合物を調製する工程:
Figure 2022107010000002
式中、
1およびP2が、独立して、ヒドロキシル保護基またはその合成等価体であり;
各RおよびR1~R2が、独立して、アルキルまたは置換アルキルであり;
12が、アルキルまたは置換アルキルであり;および
11が、アシル、置換アシル、アルキル、置換アルキル、-CO-アリール、-CO(置換アリール)、-CO-ヘテロアリール、または-CO(置換ヘテロアリール)であり;ならびに
(b)式(XI)の出発物質もしくはそのシントンまたはその合成等価体から式(XX)の化合物を調製する工程:
Figure 2022107010000003
式中、
1が、アルキニル、置換アルキニル、アレニル、置換アレニル、アルキル、または置換アルキル(例えば、炭素鎖中に1個以上のOもしくはN原子を含むか、またはシクロアルキル、置換シクロアルキル、環状アルケニル、置換環状アルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールで置換されている)であり;
12、R13およびR16が、独立して、アルキルまたは置換アルキルであり;および
3が、Hまたはヒドロキシル保護基である。
[本発明1002]
工程(a)が10以下の合成工程を含み、工程(b)が13以下の合成工程を含み、式(XI)の出発物質もしくはそのシントンまたはその合成等価体が以下のうちの1つ
Figure 2022107010000004
から選択される、本発明1001の方法。
[本発明1003]
1が4~10個の炭素を含む、本発明1001~1002のいずれかの方法。
[本発明1004]
1
Figure 2022107010000005
である、本発明1003の方法。
[本発明1005]
(c)式(X)の化合物と式(XX)の化合物とを、エステル化そして大環状化(またはその逆)によりカップリングして大環状化合物を製造する工程;ならびに
(d)該大環状化合物から式(XXII)の化合物を調製する(例えば、オスミル化/ジオール開裂などの酸化的開裂、またはオゾン分解反応を介して)工程をさらに含み、
Figure 2022107010000006
式中、
4が、アルキルまたは置換アルキルであり;
「b」で示す共有結合が二重結合である場合、Z2が=CR56または=NR7であり;
「b」で示す共有結合が単結合である場合、Z2が-OR8または-N(R72であり;および
5、R6、R7、およびR8が、それぞれ独立して、H、アルキルオキシカルボニル、置換アルキルオキシカルボニル、アルキル、または置換アルキルであり;
1およびP3が、独立して、Hまたはヒドロキシル保護基であり;
11が、H、アシル、置換アシル、アルキル、または置換アルキルであり;
12が、H、アルキル、または置換アルキルであり;ならびに
16が、H、アルキル、または置換アルキルである、
本発明1001~1004のいずれかの方法。
[本発明1006]
保護されたヒドロキシ基を脱保護し、遊離ヒドロキシル基を有するブリオスタチン化合物を製造する工程をさらに含む、本発明1005の方法。
[本発明1007]
前記ブリオスタチン化合物のプロドラッグを調製する工程をさらに含む、本発明1006の方法。
[本発明1008]
前記大環状化合物が式(XXI)
Figure 2022107010000007
の化合物である、本発明1005の方法。
[本発明1009]
前記ブリオスタチン化合物が、式(XXIII)の構造を有し、
Figure 2022107010000008
式中、
13が、アルキルまたは置換アルキルであり;および
14が、H、ヒドロキシル保護基、またはプロ部分である、
本発明1005~1008のいずれかの方法。
[本発明1010]
前記ブリオスタチン化合物が、式(XXXII)の構造を有し、
Figure 2022107010000009
式中、
13が、アルキルまたは置換アルキルであり;および
14が、H、ヒドロキシル保護基、またはプロ部分である、
本発明1005~1008のいずれかの方法。
[本発明1011]
工程(a)が、式(III)の化合物から式(X)の化合物を調製する方法を含み、
Figure 2022107010000010
式中、
1およびP2が、独立して、Hまたはヒドロキシル保護基であり;
4が、H、アルキル、または置換アルキルであり;各RおよびR12が、アルキルまたは置換アルキルであり;ならびに
11が、アシル、置換アシル、アルキル、または置換アルキルである、
本発明1001~1010のいずれかの方法。
[本発明1012]
工程(a)が、式(VI)の化合物から式(VII)の化合物を調製することを含み、
Figure 2022107010000011
式中、R3が、H、アルキル、または置換アルキルである、
本発明1001~1011のいずれかの方法。
[本発明1013]
工程(a)が、式(VII)の化合物と式(VIII)の化合物とを反応させて式(IX)の化合物を立体選択的に製造することを含み、
Figure 2022107010000012
式中、
各RおよびR3が、アルキルまたは置換アルキルであり;ならびに
各Xが脱離基である、
本発明1001~1012のいずれかの方法。
[本発明1014]
工程(b)が、式(XII)および(XIII)の化合物から中間体(XIVa)を介して式(XIVb)の化合物を調製すること
Figure 2022107010000013
を含む、本発明1001~1013のいずれかの方法。
[本発明1015]
工程(b)が、メタセシス反応を介して式(XIVb)の化合物から式(XIV)の化合物を調製することを含み、
Figure 2022107010000014
式中、R13が、少なくとも2個の炭素を含むアルキルまたは置換アルキルである、
本発明1001~1013のいずれかの方法。
[本発明1016]
図1~図9に記載のいずれか1つの工程に従った1つまたは複数の工程を含む、ブリオスタチン化合物またはその前駆体の調製方法。
[本発明1017]
前記ブリオスタチン化合物またはその前駆体がブリオスタチン1である、本発明1001~1015のいずれかの方法。
[本発明1018]
式(XXXI)を有し、
Figure 2022107010000015
式中、
4が、アルキルまたは置換アルキルであり;
「b」で示す共有結合が二重結合である場合、Z2がCR56またはNR7であり;
「b」で示す共有結合が単結合である場合、Z2がOR8またはN(R72であり;
5、R6、R7、およびR8が、それぞれ独立して、H、アルキルオキシカルボニル、置換アルキルオキシカルボニル、アルキル、または置換アルキルであり;
11が、アシル、置換アシル、アルキル、または置換アルキルであり;
12が、H、アルキル、または置換アルキルであり;
13が、H、アルキル、または置換アルキルであり;ならびに
14およびR15が、独立して、H、ヒドロキシル保護基、またはプロ部分である、
ブリオスタチン類似体、またはその溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグ形態、および/またはその塩。
[本発明1019]
14がプロ部分である、本発明1018のブリオスタチン類似体。
[本発明1020]
治療有効量の本発明1017~1019のいずれかのブリオスタチン類似体と、薬学的に許容されるビヒクルとを含む、医薬組成物。
本発明は、以下の詳細な説明を添付の図面とあわせて読むことにより、最もよく理解される。本特許または出願書類は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。一般的な慣例に従い、図面の様々な特徴が縮尺通りではないことを強調する。反対に、様々な特徴の寸法を、明確化のために場合により拡大または縮小させる。図面には、以下の図が含まれる。以下に記載する図面は、例示を目的としたものに過ぎないことを理解されたい。図面は、本教示の範囲をいかようにも限定することを意図するものではない。
ブリオスタチン化合物の北半球フラグメントの調製のための例示的反応スキームを示す。 ブリオスタチン化合物の南半球フラグメントの調製のための例示的反応スキームを示す。 北半球および南半球のフラグメントからブリオスタチン化合物を調製するための例示的な反応スキームを示す。 ブリオスタチン化合物のC7エステル類似体を調製するための例示的合成スキームを示す。 ブリオスタチン化合物のC19ケタール類似体を調製するための例示的な合成スキームを示す。 ブリオスタチン化合物のC13置換類似体を調製するための例示的な合成スキームを示す。 ブリオスタチン化合物のC13置換類似体を調製するための例示的な合成スキームを示す。 ブリオスタチン化合物のC13置換類似体、ならびにC12およびC14置換類似体を調製するための例示的な合成スキームを示す。 プロドラッグ化合物を含む、ブリオスタチン化合物のC26エステル類似体を調製するための例示的合成スキームを示す。 ブリオスタチン化合物のC26アルキル類似体を調製するための例示的な合成スキームを示す。 ブリオスタチン化合物のC20エステル類似体を調製するための例示的な合成スキームを示す。 水素結合供与体および受容体の空間配置を有する3つの構造のアラインメントを示し、これはブリオスタチンファーマコフォアを示す。 図11Aは、合成ブリオスタチン1をEエノエート異性体と共に示す。図11Bは、HPLC精製合成ブリオスタチン1のトレースを示す。図11Cは、ブリオスタチン1のNCIサンプルについてのトレースを示す。 図12Aは、ブリオスタチン1の天然試料(1mLのCDCl中に3mg)のH NMRトレースを示す。図12Bは、本発明の方法により調製した合成ブリオスタチン1(1mLのCDCl中に3mg)のH NMRトレースを示す。 本発明の方法によって調製し、X線回折によって決定した合成ブリオスタチン1の結晶構造を示す(明確化のためにプロトン原子は省略されている)。
定義
例示的な実施形態をより詳細に説明する前に、説明に使用する用語の意味および範囲を例示および定義するために、以下の定義を記載する。
他に特段の定めのない限り、本明細書中で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。さらに、明確化および参照を容易にするために、特定の用語を以下に定義する。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される、単数形(a,an,the)は、文脈上、明らかに別段に解される場合を除き、複数の指示対象を含むことに留意されたい。例えば、用語「プライマー(a primer)」は、1つ以上のプライマー、すなわち単一のプライマーおよび複数のプライマーを指す。特許請求の範囲は、任意の要素を除外するように作成し得ることにさらに留意されたい。したがって、本記載は、特許請求の範囲の要素の列挙に関して「単に」、「のみ」などの排他的な専門用語の使用、または「否定的な」制限の使用のための先行する基準として役立つことが意図される。
数値範囲は、その範囲を定義する数を含むものとする。
本明細書に記載する方法は、複数の工程を含む。必要に応じて、各工程は、工程間で所定量の時間が経過した後に実行してもよい。したがって、各工程を実施する間の時間は、1秒以上、10秒以上、30秒以上、60秒以上、または5分以上、10分以上、60分以上であってもよく、さらに5時間以上を含み得る。特定の実施形態では、後続の各工程を、前の工程の完了直後に実行する。他の実施形態では、工程を、前の工程の完了後のインキュベーションまたは待機時間、例えば、数分から一晩の待機時間の後に実行してもよい。特定の場合では、適度な期間保存されている材料(例えば、簡便な方法を用いて前もって調製されている中間材料)を使用して工程を実行してもよい。
「アルキル」とは、1~20個の炭素原子、例えば1~10個の炭素原子、または1~6個、または1~5個、または1~4個、または1~3個の炭素原子を有する一価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指す。本用語には、例として、直鎖および分枝鎖ヒドロカルビル基、例えば、メチル(CH-)、エチル(CHCH-)、n-プロピル(CHCHCH-)、イソプロピル((CHCH-)、n-ブチル(CHCHCHCH-)、イソブチル((CH-)CHCH)、sec-ブチル((CH)(CHCH)CH-)、t-ブチル((CHC-)、n-ペンチル(CHCHCHCHCH-)、およびネオペンチル((CHCCH-)などが含まれる。
用語「置換アルキル」とは、本明細書中に定義するアルキル基を指し、アルキル鎖中の1個以上の炭素原子が、場合により、-O-、-N-、-S-、-S(O)-(式中、nは0~2)、-NR-(式中、Rは水素またはアルキル)などのヘテロ原子で置換されるとともに、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、および-NRからなる群から選択される1~5個の置換基を有し、式中、R’およびR”は同じでも異なっていてもよく、また、水素、任意置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環から選択される。
「アルキレン」とは、1~20個、いくつかの場合では、1~10個、または1~6個、または1~3個の、直鎖または分枝鎖の炭素原子を有し、場合により、-O-、-NR10-、-NR10C(O)-、-C(O)NR10-などから選択される1つ以上の基が介在する二価の脂肪族ヒドロカルビル基を指す。本用語には、例えば、メチレン(-CH-)、エチレン(-CHCH-)、n-プロピレン(-CHCHCH-)、イソプロピレン(-CHCH(CH)-)、(-C(CHCHCH-)、(-C(CHCHC(O)-)、(-C(CHCHC(O)NH-)、(-CH(CH)CH-)などが含まれる。
「置換アルキレン」とは、炭素について、以下の「置換」の定義において記載するような置換基で置換された1~3個の水素を有するアルキレン基を指す。
用語「アルカン」とは、本明細書中に定義するアルキル基およびアルキレン基を指す。
用語「アルキルアミノアルキル」、「アルキルアミノアルケニル」および「アルキルアミノアルキニル」とは、R’NHR”基を指し、式中、R’は本明細書中に定義するアルキル基であり、R”は本明細書中で定義するアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン基である。
用語「アルカリール」または「アラルキル」は、-アルキレン-アリール基および-置換アルキレン-アリール基を指し、アルキレン、置換アルキレンおよびアリールは本明細書中に定義されている。
「アルコキシ」とは、-O-アルキル基を指し、式中、アルキルは本明細書中に定義するとおりである。アルコキシとして、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシなどが挙げられる。用語「アルコキシ」とはまた、アルケニル-O-、シクロアルキル-O-、シクロアルケニル-O-、およびアルキニル-O-基を指し、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびアルキニルは、本明細書中に定義するとおりである。
用語「置換アルコキシ」とは、置換アルキル-O-、置換アルケニル-O-、置換シクロアルキル-O-、置換シクロアルケニル-O-、および置換アルキニル-O-基を指し、置換アルキル、置換アルケニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニルおよび置換アルキニルは、本明細書中に定義するとおりである。
用語「アルコキシアミノ」とは、-NH-アルコキシ基を指し、アルコキシは本明細書中で定義される。
用語「ハロアルコキシ」とは、アルキル基上の1個以上の水素原子がハロ基で置換されたアルキル-O-基を指し、例として、トリフルオロメトキシなどの基などが挙げられる。
用語「ハロアルキル」とは、アルキル基上の1つ以上の水素原子がハロ基で置換された、上記のような置換アルキル基を指す。そのような基の例として、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロエチルなどのフルオロアルキル基が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「アルキルアルコキシ」とは、-アルキレン-O-アルキル、アルキレン-O-置換アルキル、置換アルキレン-O-アルキル、および置換アルキレン-O-置換アルキル基を指し、アルキル、置換アルキル、アルキレンおよび置換アルキレンは、本明細書中に定義するとおりである。
用語「アルキルチオアルコキシ」とは、-アルキレン-S-アルキル、アルキレン-S-置換アルキル、置換アルキレン-S-アルキルおよび置換アルキレン-S-置換アルキル基を指し、アルキル、置換アルキル、アルキレンおよび置換アルキレンは、本明細書中に定義するとおりである。
「アルケニル」とは、2~20個の炭素原子、いくつかの場合では2~10個の炭素原子、例えば2~7個の炭素原子を有し、少なくとも1個、いくつかの場合では1~2個の不飽和二重結合部位を有する、直鎖または分枝鎖ヒドロカルビル基を指す。本用語には、例として、ビビニル、アリル、およびブタ-3-エン-1-イルが含まれる。本用語には、シスおよびトランス異性体またはこれらの異性体の混合物が含まれる。
用語「置換アルケニル」とは、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールから選択される1~5個の置換基、または1~3個の置換基を有する、本明細書中に定義するアルケニル基を指す。
「アレニル」とは、2~20個の炭素原子、いくつかの場合では2~10個の炭素原子、例えば2~7個の炭素原子を有し、その2つの隣接炭素原子のそれぞれに不飽和二重結合を有する炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖ヒドロカルビル基を指す。本用語には、立体異性体またはこれらの異性体の混合物が含まれる。
用語「置換アレニル」とは、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールから選択される1~5個の置換基、または1~3個の置換基を有する、本明細書中に定義するアルケニル基を指す。
「アルキニル」とは、2~20個の炭素原子、いくつかの場合では2~10個の炭素原子、例えば2~7個の炭素原子を有し、少なくとも1個、いくつかの場合では1~2個の不飽和三重結合部位を有する直鎖または分枝鎖の一価ヒドロカルビル基を指す。そのようなアルキニル基の例として、アセチレニル(-C≡CH)、およびプロパルギル(-CHC≡CH)が挙げられる。
用語「置換アルキニル」とは、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールから選択される1~5個の置換基、または1~3個の置換基を有する、本明細書中に定義するアルキニル基を指す。
「アルキニルオキシ」とは、-O-アルキニル基を指し、アルキニルは本明細書中に定義するとおりである。アルキニルオキシとしては、例として、エチニルオキシ、プロピニルオキシなどが挙げられる。
「アシル」とは、H-C(O)-、アルキル-C(O)-、置換アルキル-C(O)-、アルケニル-C(O)-、置換アルケニル-C(O)-、アルキニル-C(O)-、置換アルキニル-C(O)-、シクロアルキル-C(O)-、置換シクロアルキル-C(O)-、シクロアルケニル-C(O)-、置換シクロアルケニル-C(O)-、アリール-C(O)-、置換アリール-C(O)-、ヘテロアリール-C(O)-、置換ヘテロアリール-C(O)-、ヘテロシクリル-C(O)-、および置換ヘテロシクリル-C(O)-基を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、および置換複素環は、本明細書中に定義するとおりである。例えば、アシルは、「アセチル」基CHC(O)-を含む。
「アシルアミノ」とは、-NR20C(O)アルキル、-NR20C(O)置換アルキル、NR20C(O)シクロアルキル、-NR20C(O)置換シクロアルキル、-NR20C(O)シクロアルケニル、-NR20C(O)置換シクロアルケニル、-NR20C(O)アルケニル、-NR20C(O)置換アルケニル、-NR20C(O)アルキニル、-NR20C(O)置換アルキニル、-NR20C(O)アリール、-NR20C(O)置換アリール、-NR20C(O)ヘテロアリール、-NR20C(O)置換ヘテロアリール、-NR20C(O)複素環、および-NR20C(O)置換複素環の基を指し、式中、R20は、水素またはアルキルであり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、および置換複素環は、本明細書中に定義するとおりである。
用語「アミノカルボニル」または「アミノアシル」とは、-C(O)NR2122基を指し、式中、R21およびR22は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、および置換複素環からなる群から選択され、R21およびR22は、場合により、それらに結合した窒素と一緒になって複素環または置換複素環の基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、および置換複素環は、本明細書中に定義するとおりである。
「アミノカルボニルアミノ」とは、-NR21C(O)NR2223基を指し、式中、R21、R22、およびR23は、水素、アルキル、アリールまたはシクロアルキルから独立して選択されるか、または2つのR基が結合してヘテロシクリル基を形成する。
用語「アルコキシカルボニルアミノ」とは、-NRC(O)OR基を指し、式中、各Rは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルは、本明細書中に定義するとおりである。
用語「アシルオキシ」とは、アルキル-C(O)O-、置換アルキル-C(O)O-、シクロアルキル-C(O)O-、置換シクロアルキル-C(O)O-、アリール-C(O)O-、ヘテロアリール-C(O)O-、およびヘテロシクリル-C(O)O-基を指し、式中、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルは、本明細書中に定義するとおりである。
「アミノスルホニル」とは、-SONR2122基を指し、式中、R21およびR22は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環からなる群から選択され、R21およびR22は、場合により、それらに結合した窒素と一緒になって複素環または置換複素環の基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環は、本明細書中に定義するとおりである。
「スルホニルアミノ」とは、-NR21SO22基を指し、式中、R21およびR22は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、および置換複素環からなる群から選択され、R21およびR22は、場合により、それらに結合した原子と一緒になって複素環または置換複素環の基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、および置換複素環は、本明細書中に定義するとおりである。
「アリール」または「Ar」とは、単一環(フェニル基中に存在するような)を有する6~18個の炭素原子の一価芳香族炭素環式基または複数の縮合環を有する環系(そのような芳香環系の例として、ナフチル、アントリルおよびインダニルが挙げられる)を指し、結合点が芳香環の原子を介してさえいれば、縮合環は芳香族であってもなくてもよい。本用語には、例えば、フェニルおよびナフチルが含まれる。アリール置換基についての定義によって特段の制限を受けない限り、そのようなアリール基を、場合により、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリール、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリールおよびトリハロメチルから選択される1~5個の置換基、または1~3個の置換基で置換することができる。
「アリールオキシ」とは、-O-アリール基を指し、アリールは、本明細書中に定義するとおりであり、例として、フェノキシ、ナフトキシなどが挙げられ、場合により、本明細書中に定義する置換アリール基が含まれる。
「アミノ」とは、-NH基を指す。
用語「置換アミノ」とは、-NRR基を指し、式中、各Rは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルからなる群から選択されるが、ただし、少なくとも1つのRは水素ではない。
用語「アジド」は、-N基を指す。
「カルボキシル」、「カルボキシ」または「カルボキシレート」とは、-COHまたはそれらの塩を指す。
「カルボキシルエステル」もしくは「カルボキシエステル」または用語「カルボキシアルキル」もしくは「カルボキシルアルキル」とは、-C(O)O-アルキル、-C(O)O-置換アルキル、-C(O)O-アルケニル、-C(O)O-置換アルケニル、-C(O)O-アルキニル、-C(O)O-置換アルキニル、-C(O)O-アリール、-C(O)O-置換アリール、-C(O)O-シクロアルキル、-C(O)O-置換シクロアルキル、-C(O)O-シクロアルケニル、-C(O)O-置換シクロアルケニル、-C(O)O-ヘテロアリール、-C(O)O-置換ヘテロアリール、-C(O)O-複素環、および-C(O)O-置換複素環の基を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、および置換複素環は、本明細書中に定義するとおりである。
「(カルボキシルエステル)オキシ」または「カーボネート」とは、-O-C(O)O-アルキル、-O-C(O)O-置換アルキル、-O-C(O)O-アルケニル、-O-C(O)O-置換アルケニル、-O-C(O)O-アルキニル、-O-C(O)O-置換アルキニル、-O-C(O)O-アリール、-O-C(O)O-置換アリール、-O-C(O)O-シクロアルキル、-O-C(O)O-置換シクロアルキル、-O-C(O)O-シクロアルケニル、-O-C(O)O-置換シクロアルケニル、-O-C(O)O-ヘテロアリール、-O-C(O)O-置換ヘテロアリール、-O-C(O)O-複素環、および-O-C(O)O-置換複素環の基を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、および置換複素環は、本明細書中に定義するとおりである。
「シアノ」または「ニトリル」は、-CN基を指す。
「シクロアルキル」とは、縮合、架橋、およびスピロ環系を含む、単環式または多環式環を有する、3~10個の炭素原子の環式アルキル基を指す。適切なシクロアルキル基の例として、例えば、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなどが挙げられる。そのようなシクロアルキル基には、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなどの単環構造、またはアダマンタニルなどの多環構造が含まれる。
用語「置換シクロアルキル」とは、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールから選択される、1~5個の置換基、または1~3個の置換基を有するシクロアルキル基を指す。
「シクロアルケニル」とは、単環または多環を有し、少なくとも1つの二重結合、いくつかの場合では1~2個の二重結合を有する、3~10個の炭素原子の非芳香環式アルキル基を指す。
用語「置換シクロアルケニル」とは、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリールから選択される1~5個の置換基、または1~3個の置換基を有するシクロアルケニル基を指す。
「シクロアルキニル」とは、単環または多環を有し、少なくとも1つの三重結合を有する、5~10個の炭素原子の非芳香族シクロアルキル基を指す。
「シクロアルコキシ」とは、-O-シクロアルキルを指す。
「シクロアルケニルオキシ」とは、-O-シクロアルケニルを指す。
「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを指す。
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」とは、-OH基を指す。
「ヘテロアリール」とは、環内に、1~15個の炭素原子、例えば1~10個の炭素原子と、酸素、窒素、および硫黄からなる群から選択される1~10個のヘテロ原子の芳香族基を指す。そのようなヘテロアリール基は、単環(例えば、ピリジニル、イミダゾリルまたはフリル)を有するか、または環系内に複数の縮合環(例えば、インドリジニル、キノリニル、ベンゾフラン、ベンズイミダゾリルまたはベンゾチエニルなどの基におけるように)を有することができ、その場合、結合点が芳香環の原子を介する限りにおいて、環系内の少なくとも1つの環は芳香族であり、環系内の少なくとも1つの環は芳香族である。特定の実施形態では、ヘテロアリール基の窒素および/または硫黄環原子(複数可)は、場合により酸化され、N-オキシド(N→O)、スルフィニル、またはスルホニル部分を提供する。本用語には、例えば、ピリジニル、ピロリル、インドリル、チオフェニル、およびフラニルが含まれる。ヘテロアリール置換基についての定義により特段の制限を受けない限り、そのようなヘテロアリール基を、場合により、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリール、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリールおよび-SO-ヘテロアリール、ならびにトリハロメチルから選択される1~5個の置換基、または1~3個の置換基で置換することができる。
用語「ヘテロアラルキル」とは、-アルキレン-ヘテロアリール基を指し、アルキレンおよびヘテロアリールは、本明細書中に定義するとおりである。本用語には、例えば、ピリジルメチル、ピリジルエチル、インドリルメチルなどが含まれる。
「ヘテロアリールオキシ」とは、-O-ヘテロアリールを指す。
「複素環」、「複素環式」、「ヘテロシクロアルキル」、および「ヘテロシクリル」とは、縮合架橋およびスピロ環系を含む、単環または複数の縮合環を有し、1~10個のヘテロ原子を含む3~20個の環原子を有する飽和または不飽和基を指す。これらの環原子は、窒素、硫黄、または酸素からなる群から選択され、縮合環系では、結合点が非芳香環を介する限りにおいて、1つ以上の環は、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり得る。特定の実施形態では、複素環式基の窒素および/または硫黄原子(複数可)を、場合により酸化させ、N-オキシド、-S(O)-、または-SO-部分を提供する。
複素環およびヘテロアリールの例として、アゼチジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリニル、チオモルホリニル(チアモルホリニルとも呼ばれる)、1,1-ジオキソチオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジン、テトラヒドロフラニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
複素環式置換基についての定義により特段の制限を受けない限り、そのような複素環式基を、場合により、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、および縮合複素環から選択される1~5個、または1~3個の置換基で置換することができる。
「ヘテロシクリルオキシ」とは、-O-ヘテロシクリル基を指す。
用語「ヘテロシクリルチオ」とは、複素環式-S-基を指す。
用語「ヘテロシクレン」とは、本明細書中に定義するヘテロ環から形成されるジラジカル基を指す。
用語「ヒドロキシアミノ」とは、-NHOH基を指す。
「ニトロ」とは、-NO基を指す。
「オキソ」とは、原子(=O)を指す。
「スルホニル」とは、SO-アルキル、SO-置換アルキル、SO-アルケニル、SO-置換アルケニル、SO-シクロアルキル、SO-置換シクロアルキル、SO-シクロアルケニル、SO-置換シクロアルケニル、SO-アリール、SO-置換アリール、SO-ヘテロアリール、SO-置換ヘテロアリール、SO-複素環、およびSO-置換複素環の基を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、および置換複素環は、本明細書中に定義するとおりである。スルホニルには、例えば、メチル-SO-、フェニル-SO-、および4-メチルフェニル-SO-が含まれる。
「スルホニルオキシ」とは、-OSO-アルキル、OSO-置換アルキル、OSO-アルケニル、OSO-置換アルケニル、OSO-シクロアルキル、OSO-置換シクロアルキル、OSO-シクロアルケニル、OSO-置換シクロアルケニル、OSO-アリール、OSO-置換アリール、OSO-ヘテロアリール、OSO-置換ヘテロアリール、OSO-置換複素環、およびOSO-置換複素環の基を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、および置換複素環は、本明細書中に定義するとおりである。
用語「アミノカルボニルオキシ」とは、各Rが、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環である-OC(O)NRR基を指し、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環は、本明細書中に定義するとおりである。
「チオール」とは、-SH基を指す。
用語「チオキソ」または「チオケト」とは、原子(=S)を指す。
用語「アルキルチオ」または「チオアルコキシ」とは、-S-アルキル基を指し、アルキルは本明細書中に定義するとおりである。特定の実施形態では、硫黄を、-S(O)-に酸化させてもよい。スルホキシドを、1つ以上の立体異性体として存在させてもよい。
用語「置換チオアルコキシ」とは、-S-置換アルキル基を指す。
用語「チオアリールオキシ」とは、アリール-S-基を指し、アリール基は、本明細書中に定義するとおりであり、これには任意置換のアリール基が含まれ、これらもまた本明細書中に定義するとおりである。
用語「チオヘテロアリールオキシ」とは、ヘテロアリール-S-基を指し、ヘテロアリール基は、本明細書中に定義するとおりであり、これには任意置換のアリール基が含まれ、これらもまた本明細書中に定義するとおりである。
用語「チオヘテロシクロオキシ」とは、ヘテロシクリル-S-基を指し、ヘテロシクリル基は、本明細書中に定義するとおりであり、これには任意置換のヘテロシクリル基が含まれ、これらもまた本明細書中に定義するとおりである。
本明細書における開示に加えて、用語「置換」は、特定の基またはラジカルを修飾するために使用する場合、特定の基またはラジカルの1つ以上の水素原子を、それぞれ互いに独立して、以下に定義するような同一または異なる置換基で置換することも意味し得る。
本明細書中の個々の用語に関して開示する基に加えて、特定の基またはラジカル中の飽和炭素原子上の1つ以上の水素を置換するための置換基(単一炭素上の任意の2個の水素を、=O、=NR70、=N-OR70、=Nまたは=Sで置換することができる)は、特に明記しない限り、-R60、ハロ、=O、-OR70、-SR70、-NR8080、トリハロメチル、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO、=N、-N、-SO70、-SO、-SOOR70、-OSO70、-OSO、-OSOOR70、-P(O)(O(M、-P(O)(OR70)O、-P(O)(OR70、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-C(O)O、-C(O)OR70、-C(S)OR70、-C(O)NR8080、-C(NR70)NR8080、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OC(O)O、-OC(O)OR70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70CO 、-NR70CO70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)NR8080、-NR70C(NR70)R70および-NR70C(NR70)NR8080であり、式中、R60は、任意置換のアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、各R70は、独立して、水素またはR60であり;各R80は、独立してR70であるか、あるいは2つのR80が、それらが結合している窒素原子と一緒になって5、6または7員ヘテロシクロアルキルを形成し、それは、場合により、O、NおよびSからなる群(そのうちのNは、-HまたはC-Cアルキル置換を有していてもよい)から選択される1~4個の同一または異なる追加のヘテロ原子を有していてもよく;各Mは、正電荷を有する対イオンである。各Mは、独立して、例えば、K、Na、Liなどのアルカリイオン;例えばN(R60などのアンモニウムイオン;または、[Ca2+0.5、[Mg2+0.5、または[Ba2+0.5などのアルカリ土類イオンであってもよい(「下付き文字0.5」は、そのような二価アルカリ土類イオンの対イオンの一方を本発明の化合物のイオン化形態、もう一方を塩化物などの典型的な対イオンとすることができるか、または本明細書に開示する2つのイオン化化合物が、そのような二価アルカリ土類イオンに対する対イオンとして作用することができるか、または本発明の二重イオン化化合物が、そのような二価アルカリ土類イオンに対する対イオンとして作用することができることを意味する)。具体例として、-NR8080は、-NH、-NH-アルキル、N-ピロリジニル、N-ピペラジニル、4N-メチル-ピペラジン-1-イルおよびN-モルホリニルが挙げられることを意味する。
本明細書における開示に加えて、「置換」アルケン、アルキン、アリールおよびヘテロアリール基における不飽和炭素原子上の水素の置換基は、特に明記しない限り、-R60、ハロ、-O、-OR70、-SR70、-S、-NR8080、トリハロメチル、-CF、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO、-N、-SO70、-SO 、-SO70、-OSO70、-OSO 、-OSO70、-PO -2(M、-P(O)(OR70)O、-P(O)(OR70、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-CO 、-CO70、-C(S)OR70、-C(O)NR8080、-C(NR70)NR8080、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OCO 、-OCO70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70CO 、-NR70CO70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)NR8080、-NR70C(NR70)R70および-NR70C(NR70)NR8080であり、式中、R60、R70、R80およびMは、以前に定義したとおりであり、ただし、置換アルケンまたはアルキンの場合、置換基は、-O、-OR70、-SR70、または-Sではない。
本明細書中の個々の用語に関して開示する基に加えて、「置換」ヘテロアルキルおよびシクロヘテロアルキル基中の窒素原子上の水素の置換基は、特に明記しない限り、-R60、-O、-OR70、-SR70、-S、-NR8080、トリハロメチル、-CF、-CN、-NO、-NO、-S(O)70、-S(O)、-S(O)OR70、-OS(O)70、-OS(O)、-OS(O)OR70、-P(O)(O(M、-P(O)(OR70)O、-P(O)(OR70)(OR70)、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-C(O)OR70、-C(S)OR70、-C(O)NR8080、-C(NR70)NR8080、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OC(O)OR70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70C(O)OR70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)NR8080、-NR70C(NR70)R70および-NR70C(NR70)NR8080であり、式中、R60、R70、R80およびMは、以前に定義したとおりである。
本明細書における開示に加えて、特定の実施形態では、置換される基は、1、2、3、もしくは4個の置換基、1、2、もしくは3個の置換基、1もしくは2個の置換基、または1個の置換基を有する。
上記で定義したすべての置換基において、置換基を、それ自体に対するさらなる置換基(例えば、それ自体が置換アリール基で置換され、さらに置換アリール基などで置換される、置換アリール基を置換基として有する置換アリール)で定義することによって到達したポリマーは、本明細書に包含されることを意図しない。そのような場合、そのような置換の最大数は3である。例えば、本明細書で具体的に企図される置換アリール基の連続置換は、置換アリール-(置換アリール)-置換アリールに限定される。
特に明記しない限り、本明細書に明示的に定義していない置換基の命名法は、官能基の末端部分に続いて結合点に向かって隣接する官能基を命名することによって得られる。例えば、置換基「アリールアルキルオキシカルボニル」は、(アリール)-(アルキル)-O-C(O)-基を指す。
1つ以上の置換基を含む本明細書に開示する基のいずれに関しても、当然のことながら、そのような基は立体的に非現実的および/または合成的に実行不可能ないかなる置換または置換パターンも含まないことが理解される。さらに、本発明の化合物は、これらの化合物の置換から生じる全ての立体化学異性体を含む。
用語「合成等価体」または「反応性等価体」とは、所与の「シントン」に対応する化合物(または複数の化合物)への言及として、当業者、特に逆合成分野の当業者によく理解されている(E.J.Corey,Pure App.Chem.,1967,14:30-37)。任意の所与のシントンは、複数の合成等価体を有し得る。用語「シントン」とは、合成手順の基礎とみなされる、合成する標的分子のコア構成部分を含む化合物を指す。例えば、シントンは、可能性のある合成手順に関連する逆合成解析または合成ビルディングブロックによって同定されるフラグメントを指し得る。用語「合成等価体」とは、戦略および手順を実質的に変更することを必要とせずに、合成戦略において標的中間体または出発物質の代わりとして利用することができる化合物を指す。目的の、基礎となる標的骨格のフラグメント上に、官能基もしくはその前駆体、またはそれらの保護処理されたバージョンの同じ配置を含めることによって、合成等価体を標的中間体または出発物質に関連付けることができることが理解される。合成等価体は、類似の化学作用を有する異なる官能基を指し得る。シントンは、逆合成解析、例えば、標的分子の炭素-炭素結合の連絡切断から生じるフラグメントを指し得る。合成等価体は、標的分子への合成手順において使用される実際の基質を指し得る。いくつかの場合では、用語シントンおよび合成等価体は同じ分子を指す。いくつかの場合では、用語シントンとは、複数の合成等価体を可能にする合成フラグメントを指す。合成等価体の定義には、前記化学反応に使用する条件下で不安定または反応性である対象化合物の部分を、前記化学反応後に切断され得る適切な保護基によって保護またはマスキングした化合物が含まれる。いくつかの場合では、定義には、目的の化合物の部分を、化学反応中に切断されてin situで不安定または反応性の基を提供するように設計された保護基で保護またはマスキングした化合物が含まれる。
「プロ部分」とは、保護基を活性薬剤内の官能基をマスキングするために使用する場合に、活性薬剤をプロドラッグに変換する保護基の形態を指す。
用語「薬学的に許容される塩」とは、患者、例えば哺乳類への投与に対して許容可能な塩(所与の投与計画に対して許容可能な哺乳類安全性を有する対イオンとの塩)を意味する。そのような塩は、薬学的に許容される無機または有機塩基、および薬学的に許容される無機または有機酸から誘導することができる。「薬学的に許容される塩」とは、化合物の薬学的に許容される塩を指し、その塩は当技術分野において周知の様々な有機および無機対イオンから誘導され、単なる例に過ぎないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなど;分子が塩基性官能基を含む場合、有機酸または無機酸の塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ギ酸塩、酒石酸塩、ベシル酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩など、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸およびリン酸、ならびにパラ-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸および酢酸などの有機酸、ならびに関連する無機酸および有機酸が挙げられる。したがって、そのような薬学的に許容される塩として、硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-ジオレート、ヘキシン-1,6-ジオレート(例えば、3-ヘキシン-1,6-ジオレート)、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、マンデル酸塩、馬尿酸塩、グルコン酸塩、ラクトビオン酸塩などの塩が挙げられる。特定の具体的な実施形態では、薬学的に許容される酸付加塩には、塩酸および臭化水素酸などの鉱酸で形成された塩、ならびにフマル酸およびマレイン酸などの有機酸で形成された塩が含まれる。
用語「その塩」とは、酸のプロトンを、金属カチオンまたは有機カチオンなどのカチオンによって置換した場合に形成される化合物を意味する。投与可能な場合、塩は薬学的に許容される塩であるが、患者への投与を意図していない中間化合物の塩ではその必要はない。例えば、本発明の化合物の塩には、塩のアニオン性成分としての無機または有機酸の共役塩基を用いて、化合物を無機または有機酸によりプロトン化してカチオンを形成させた塩が含まれる。
「溶媒和物」とは、溶媒分子と溶質の分子またはイオンとの組み合わせによって形成される複合体を指す。溶媒は、有機化合物、無機化合物、または両方の混合物であり得る。溶媒のいくつかの例として、メタノール、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、および水が挙げられるが、これらに限定されない。溶媒が水の場合、形成される溶媒和物は水和物である。
「立体異性体」および「立体異性体(複数可)」とは、同じ原子結合性を有するが空間内で異なる原子配置を有する化合物を指す。立体異性体には、シス-トランス異性体、EおよびZ異性体、エナンチオマー、およびジアステレオマーが含まれる。
「互変異性体」とは、エノール-ケトおよびイミン-エナミン互変異性体などの原子の電子結合および/またはプロトンの位置のみが異なる別の形態の分子、または、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、およびテトラゾールなどの-N=C(H)-NH-環原子配置を含有する互変異性型のヘテロアリール基を指す。当業者であれば、他の互変異性型の環原子配置が可能であることを認識するであろう。
用語「またはその塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体」は、塩、溶媒和物および立体異性体のすべての置換、例えば本発明の化合物の立体異性体の薬学的に許容される塩の溶媒和物を含むことを意図することが理解されよう。
「薬学的有効量」および「治療有効量」とは、特定の障害もしくは疾患またはその1つ以上の症状を治療するために、および/またはその疾患もしくは障害の発生を予防するために十分な化合物の量を指す。腫瘍形成性増殖性障害に関して、薬学的または治療有効量は、とりわけ、腫瘍を縮小させるかまたは腫瘍の増殖速度を低下させるのに十分な量を含む。
「患者」とは、ヒトおよび非ヒトの対象、特に哺乳類の対象を指す。
本明細書中で使用する用語「処置」または「治療」とは、哺乳類(特にヒト)などの患者における疾患または病状の処置または治療を意味し、これには:(a)疾患もしくは病状の発症の予防、例えば、対象の予防的治療;(b)疾患もしくは病状の改善、例えば、患者の疾患もしくは病状の除去もしくは退縮;(c)例えば、患者の疾患もしくは病状の発症を遅延もしくは停止させることによる、疾患もしくは病状の抑制;または(d)患者の疾患もしくは病状の症状の軽減が含まれる。
本明細書を通して、他の用語の定義を記載する場合がある。
詳細な説明
上記に要約したように、様々なブリオスタチン化合物の調製方法を提供する。本発明の方法は、市販材料からの、少数かつこれまでにない収束的合成工程でのブリオスタチン1の多グラム量での調製を提供する。本発明の方法は、低い推定材料費でスケーラブルであり、臨床的要求を満たすのに十分な材料を提供することができる。本発明の方法を介して合成的にアクセス可能な様々なブリオスタチン類似体化合物およびそのプロドラッグ形態、ならびにそれを含む医薬組成物もまた提供する。
様々な実施形態をより詳細に説明する前に、本開示の教示は、記載する特定の実施形態に限定されるものではなく、それ自体当然ながら変化し得ることを理解すべきである。また、本教示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書中で使用する用語は特定の実施形態を説明することを目的としたものに過ぎず、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
本明細書中で使用する節の見出しは編成を目的としたものに過ぎず、記載する主題をいかようにも限定するものとして解釈すべきではない。本教示を様々な実施形態と併せて説明しているが、これは本教示がそのような実施形態に限定されることを意図するものではない。それどころか、本教示は、当業者には理解されるように、様々な代替形態、修正形態、および均等物を包含する。
他に定義されない限り、本明細書中で使用するすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の任意の方法および材料を本教示の実施または試験に使用することもできるが、いくつかの例示的な方法および材料を本明細書に記載する。
任意の刊行物の引用は、出願日前のその開示に対するものであり、本特許請求の範囲が先行発明のためにそのような刊行物に先行する権利がないことの承認として解釈すべきではない。さらに、提供する公開日は、独立して確認することができる実際の公開日とは異なる可能性がある。
本開示を通読すると、当業者には明らかになるように、本明細書に記載および例示する個々の実施形態の各々は、本教示の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離または組み合わせることができる個別の構成要素および特徴を有する。列挙した方法は、列挙した事象の順序で、または論理的に可能な他の任意の順序で実行することができる。
そのような特許および刊行物内に開示されているすべての配列を含む、すべての特許および刊行物は、本明細書に参照として明示的に引用される。
本発明をさらに説明する際に、様々なブリオスタチン化合物を調製するための合成方法を最初により詳細に説明する。次に、目的のブリオスタチン類似体化合物について説明する。次に、ブリオスタチン化合物を使用する目的の方法を概説する。本発明の方法に使用する医薬組成物もまた記載する。
調製方法
上記に要約したように、本開示は、リード治療化合物ブリオスタチン1を含む様々なブリオスタチン化合物の調製方法を提供する。ブリオスタチン1の現在の供給はほぼまたは完全に使い尽くされ、従来のアプローチに基づく将来の供給は不確実である。本発明の方法は、ブリオスタチン1および様々なブリオスタチン類似体化合物のスケーラブルな合成を提供する。本発明の方法で使用する合成アプローチは、ブリオスタチン1の第1グラムおよびマルチグラムの全化学合成、ならびにユニークで治療的に重要な特性および機能を示す様々な類似化合物への合成アクセスを提供する。本発明の方法によって提供されるブリオスタチン1への1つの例示的な合成経路は、従来の合成で必要とされる57工程のおよそ半分の、合計33以下の工程を含む。本発明の方法によって提供されるブリオスタチン1への1つの例示的な収束的合成は29工程を含み、19工程の最長直線工程および4.8%の全収率(1工程あたり>80%の平均収率)を有する。本発明の方法によって提供される合成経路は、概念的に新規な逆合成による結合の切断、ならびに特定の反応中間体の組み合わせ、特定の合成方法、特定の保護基化学および戦略、および/または特定の精製戦略を含み、それらの例を本明細書に詳細に記載する。本発明の方法においてこれらの結合の切断を扱う特定の性質およびユニークな一連の工程は、従来の方法よりも合成工程を劇的に低減する。
本明細書中で使用する場合、用語「ブリオスタチン化合物」とは、基礎となるブリオスタチンファーマコフォアを有する化合物を指し、該化合物は、ブリオスタチン天然物に基づき、いくつかの場合では、埋め込まれた3つの6員環(例えば、A、BおよびC環と称されるテトラヒドロピラン環)を含む大環状ラクトン含有環を特徴とする骨格を有し、また、以下に示すブリオスタチン1構造に例示されているように、付番されたC1~C26の炭素原子の配置を有する。骨格のラクトンは、C1カルボニルとC25ヒドロキシル基の酸素との間の結合によって定義される。
Figure 2022107010000016
ブリオスタチン骨格は、C16とC17の間のアルケン、およびC13とC21の位置に環外アルケンを含み得る。ブリオスタチン骨格は、例えば、C3、C5、C7、C9、C11、C15、C19、C20およびC23、C25および/またはC26において、立体中心の特定の配置を含み得る。様々な置換基および誘導体基(例えば、エステルまたはエーテル基)を本発明のブリオスタチン化合物に含めることができる(例えば、本明細書に記載するように)。海産コケムシから最初に単離された天然のブリオスタチンには、約21の既知化合物のファミリーが含まれる。用語「ブリオスタチン化合物」とは、ブリオスタチン1などの天然ブリオスタチン化合物、ならびに非天然ブリオスタチン類似体および生物学的活性に必要とされる機能を保持する目的の誘導体化合物を含む「ブリオスタチン類似化合物」の両方を含むことを意味する。
用語「ブリオスタチン化合物」とは、同じ基礎となるブリオスタチンファーマコフォアを有する化合物、すなわち、膜との会合およびそれに由来する結合機能を提供する脂質ドメインと共に、結合機能を提供する3つの水素結合供与体および受容体の三次元空間配置を有することを意味する。このブリオスタチンファーマコフォアまたはPKCファーマコフォアモデルは、1986年にWenderのグループによって導入され(例えば、Wender,PNAS,1986,83,4214-4218参照)、1988年にブリオスタチンに拡張され(例えば、Wender,PNAS,1988,85,7197-7201参照)、その結果、第一のブリオスタチン類似体が設計された(例えば、Wender,JACS,1998,120,4534-4535;およびWender,PNAS,1998,95,6624-6629、これらの開示はその全体を参照として本明細書に援用される)。ファーマコフォアモデルは米国特許第8,735,609号に記載されており、その開示はその全体を参照として本明細書に援用される。ブリオスタチン化合物は、本明細書で「認識ドメイン」(またはファーマコフォリック領域)および比較的親油性の「スペーサードメイン」(またはリンカー領域)と呼ばれる2つの主要領域を有すると広く記載することができる。認識ドメインは、C19~C23の原子によって部分的に形成されるC環、および天然のブリオスタチン大環状分子のC1とC25との間のラクトン結合を含む、C17~C26からC1にかけての構造的特徴と類似の構造的特徴を有する。一方、スペーサードメインは、天然ブリオスタチン大環状分子のC1~C17に対応する原子を結合して、C1原子とC17原子との間の相対距離ならびにC1C2結合とC16C17結合の方向性を実質的に維持する。認識ドメインを活性立体配座に維持するその機能に加えて、スペーサードメインは、簡便な合成技術に従って容易に誘導体化できる部分を提供し、生物学的活性を維持する一方でin vivo安定性および薬理学的特性を向上させた類似体を提供する(例えば、副作用特性を調節することによって)。ブリオスタチンファミリーのリンカー領域を有意に変化させ、ブリオスタチン様pan-PKCアイソフォーム結合選択性および親和性を保持する類似体ならびに1つ以上のPKCアイソフォームに対してのみ選択性および親和性を示す他の類似体を提供することができる。したがって、多種多様なリンカーを使用して、ブリオスタチン1のPKC結合活性を保持するか、または相補的PKC選択性を生じさせることができる。そのような選択性は、PKCの転座およびその治療活性、ならびにオフターゲット効果に影響を及ぼす。いくつかの場合では、ブリオスタチン化合物は、リンカー部分Lを含み、これは6~14個の鎖原子の連続鎖を含む直鎖、環状、または多環式リンカー部分であり、その一実施形態は、C25からC1を経由してC17へ至る最短経路を定義する。距離「d」は、約2.5~5.0Å、好ましくは約3.5~4.5Å、最も好ましくは約4.0Å、例えば約3.92Å(例えば、NMR分光法により実験的に決定されるように)であるべきである。かくして、Lは、C1を経由してC17をC25に連結する原子の直鎖のみからなり得るか、あるいはC1を経由してC17をC25に連結するのを補助する1つ以上の環構造を含み得る。特定の例では、リンカー領域は、天然ブリオスタチンに存在するC1ラクトン部分に類似したラクトン基(-C(=O)O-)、またはラクタム基(-C(=O)NH-)を有し、これは認識領域のC25に結合している。さらに、リンカーに、天然ブリオスタチンに認められるC3ヒドロキシルに類似のヒドロキシル基を含めることができ、リンカーのC3ヒドロキシルと認識領域のC19ヒドロキシル基との間の(および場合により天然のB環の酸素との)分子内水素結合の形成を可能にする。いくつかの実施形態では、エステル(または環化されている場合はラクトン)結合を介して認識領域のC25に結合するために、リンカーは-CH(OH)CHC(=O)O-で終結する。ブリオスタチンファーマコフォアを示す例示的構造を、図10およびリンカードメインを図示した以下に示す。
Figure 2022107010000017
本明細書に記載するブリオスタチン化合物およびそれらの合成前駆体のいずれについても、付番スキームを使用して、基礎となるブリオスタチン骨格について上述したような大環状環およびそれに結合した置換基の原子に対応する原子を参照することができると理解されたい。目的のブリオスタチン化合物として、天然ブリオスタチン、例えばブリオスタチン1、ブリオスタチン2およびブリオスタチン3、ならびにブリオスタチン類似体、例えば、その開示内容を参照として本明細書に引用する、米国特許第8,735,609号、米国特許第7,256,286号、米国特許第8,816,122号および米国特許第9,096,550号に記載の類似体のいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。
一般論として、本発明の方法は:
(a)ブリオスタチン骨格のC11立体中心を既存の官能基と両立するように設定するための初めての不斉アリル化反応;
(b)1,5-ケトアルデヒドからキラルピラニルモチーフを合成するための一般的な一段階法;および
(c)既存の官能基と両立する様式で、ブリオスタチン1のC20ジエン酸エステルを含むがこれに限定されない、高感受性の官能基をマスキングするための初めての保護基
を含むがこれらに限定されない、いくつかの重要な方法論的革新を提供する。
本発明の調製方法を用いて、任意の都合のよいブリオスタチン化合物、およびそれらの前駆体または誘導体を合成の標的とすることができる。いくつかの実施形態では、本方法は、式(XXIV)のブリオスタチン化合物の製造方法であり:
Figure 2022107010000018
式中:
は、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アレニル、置換アレニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルキル、置換アルキル、または、酸素もしくは窒素原子、および/またはシクロアルキル、シクロアルケニルなどを含む環および置換環を有する炭素鎖であり(例えば、PEGまたは修飾PEG基);
「b」で示す共有結合が二重結合である場合、Zは=O、=CRまたは=NRであり;
「b」で示す共有結合が単結合である場合、Zは-ORまたは-N(Rであり;
は、HまたはOR11であり;
は、HまたはOR12であり;
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン(例えば、F)、アルキルオキシカルボニル(例えば、-COMe)、置換アルキルオキシカルボニル、アルキルまたは置換アルキルであり;
11は、H、アシル、置換アシル、アルキル、置換アルキル、またはCO-アリール、またはCO-ヘテロアリールおよびそれらの置換型であり;
12は、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
13は、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
14およびR15は、独立して、H、ヒドロキシル保護基またはプロ部分であり;ならびに
16は、H、アルキル、置換アルキル、またはCO-アリール、またはCO-ヘテロアリールおよびそれらの置換型である。
式(XXIV)の特定の実施形態では、「b」で示す共有結合は二重結合であり、Zは、CR(例えば、CHCOMe)またはNRである。特定の例では、ZはCRである。特定の場合では、ZはCHCOR’であり、式中、R’はアルキル(例えばメチル)である。特定の例では、ZはCRである。特定の場合では、ZはCFCOR’であり、式中、R’はアルキル(例えばメチル)である。特定の例では、ZはNRである。特定の例では、ZはNHである。特定の例では、ZはN-アルキルである。特定の場合では、C13は、Zを表す2つの基、例えば2つの-OR基に結合し、式中、Rは、置換または非置換の、アルキル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールである。
式(XXIV)の特定の実施形態では、「b」で示す共有結合は単結合であり、Zは、ORまたはN(Rである。特定の例では、ZはORである。特定の場合では、ZはOHである。特定の場合では、ZはO-アシルまたはO-(置換アシル)である。特定の例では、ZはN(Rである。特定の場合では、ZはNHである。特定の場合では、ZはN(アルキル)である。
式(XXIV)の特定の実施形態では、XはOR11である。式(XXIV)の特定の実施形態では、XはOR11であり、式中、R11は、アシルまたは置換アシルである。いくつかの場合では、R11はアセチルである。式(XXIV)の特定の実施形態では、XはHである。式(XXIV)の特定の実施形態では、YはOR12である。式(XXIV)の特定の実施形態では、YはOR12であり、式中、R12は、アルキルまたは置換アルキルである。特定の例では、R12はメチルである。式(XXIV)の特定の実施形態では、YはHである。式(XXIV)の特定の実施形態では、R16は、アルキルまたは置換アルキルである。式(XXIV)の特定の実施形態では、R16はメチルである。
式(XXIV)の特定の実施形態では、Wは、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルキルまたは置換アルキルである。式(XXIV)の特定の実施形態では、Wは、酸素または窒素原子、および/またはシクロアルキル、シクロアルケニルなどを含む環および置換環を含む炭素鎖である(例えば、PEGまたは修飾PEG基)。式(XXIV)の特定の実施形態では、Wは、アルケニルまたは置換アルケニルである。式(XXIV)の特定の実施形態では、Wは、-CH=CHCH=CHRであり、式中、Rは、アルキルまたは置換アルキルである。特定の例では、Wは-CH=CHCH=CH-Cである。
ブリオスタチン化合物は、北半球フラグメント(例えば図1参照)および南半球フラグメント(例えば図2参照)の並行合成とそれに続くフラグメントカップリング(例えば、図3参照)工程、いくつかの場合ではオゾン分解工程を含む合成戦略によって調製することができる。
本明細書に記載するフラグメント合成方法はまた、示した工程シーケンス中の任意の都合のよい時点、例えば工程2、工程3、工程4、工程5、工程6、工程7、工程8、工程9、工程10、工程11、工程12または工程13(例えば、図1または図2の)で合成に入り、シーケンスの最後まで進行させ、それによって1つ以上の記載する前工程をバイパスすることによっても実施できることを理解されたい。そのような場合、代替の出発物質として中間化合物の1つ、例えば図1または図2に示すような中間化合物(またはその類似体)の1つを調製する際、任意の簡便な代替の従来の方法を利用することができる。本発明の方法は、本発明のブリオスタチン化合物のノーザンフラグメントおよびサザンフラグメントをもたらす本発明の合成工程の任意のシーケンスおよび組み合わせを包含することを意図する。
いくつかの場合では、サザンフラグメントを、図2に示す工程2から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを、工程3から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを、工程4から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを、工程5から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを、工程6から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを、工程7から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを、工程8で始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを、工程9で始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを、工程10で始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを、工程11で始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを、工程12/13で始まる本発明の方法によって調製することができる。
いくつかの場合では、ノーザンフラグメントを、図1に示す工程2から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、ノーザンフラグメントを、工程3から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、ノーザンフラグメントを、工程4から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、ノーザンフラグメントを、工程5から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、ノーザンフラグメントを、工程6から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、ノーザンフラグメントを、工程7から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、ノーザンフラグメントを、工程8から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、ノーザンフラグメントを、工程9から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、ノーザンフラグメントを、工程10から始まる本発明の方法によって調製することができる。
本発明の方法に従って、北半球フラグメントの調製における出発物質として様々な化合物を利用することができる。本明細書に記載する方法および手順を適合させ、出発物質として任意の都合のよい化合物を利用することができることが理解される。本発明の方法は、ノーザンおよび/またはサザンフラグメントの調製方法を含むことを意図しており、本方法では、本明細書に記載の1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)の個々の工程(例えば、図1および2に表される工程のうちの1つ以上)を適合および組み合わせてフラグメントを生成する。いくつかの場合では、この戦略は保護基の変化を許容するが、本発明の方法は、保護工程と官能基の統合を提供し、それによって、例えば、サザンフラグメント合成の工程7におけるC20のアシル化の変化が合成の最終段階で使用される異性化を妨げると考えられ;言い換えれば、合成初期におけるC20基の選択は、合成の終わりおよびその間のすべての工程における反応に影響を与える。かくして、本明細書に記載する中間化合物のいずれか1つを出発物質として利用することができ、また、それを任意の簡便な代替方法によって調製することが可能なノーザンフラグメントおよびサザンフラグメントの調製方法もまた、包含される。いくつかの場合では、北半球フラグメントを、3,3-ジエトキシプロピオン酸エチルおよび酢酸t-ブチルなどの市販の出発物質から調製する。いくつかの場合では、これらの試薬からノーザンフラグメントを完成させるための全合成工程数は15工程以下、例えば14工程以下、13工程以下、12工程以下、11工程以下、10工程以下、9工程以下、またはさらにそれ以下である。いくつかの場合では、これらの試薬からノーザンフラグメントを完成させるための全合成工程数は10工程以下、例えば10工程、9工程などである。
いくつかの実施形態では、本方法は、式(I)の出発物質、またはその合成等価体もしくはシントンから式(Xa)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000019
式中:
およびPは、独立して、Hまたはヒドロキシル保護基であり;
Xは、H、アルキル、置換アルキル(例えば、-CHSiR)、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ(例えば、-NRであり、式中、Rは、アルキル、置換アルキル、またはHである)またはハロゲン(例えば、F、Br、ClまたはI)であり;
~Rは、独立して、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
12は、アルキルまたは置換アルキルであり;ならびに
11は、アシル、置換アシル、アルキルまたは置換アルキルである。いくつかの場合では、式(Xa)の化合物は、式(X)の化合物である。
いくつかの実施形態では、本方法は、式(I)の出発物質から式(X)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000020
式中:
およびPは、独立して、Hまたはヒドロキシル保護基であり;
各RおよびR~Rは、独立して、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
12は、アルキルまたは置換アルキルであり;ならびに
11は、アシル、置換アシル、アルキルまたは置換アルキルである。
式(I)の特定の実施形態では、RおよびRは、それぞれアルキルである。式(I)の特定の例では、各RおよびRはエチルである。式(X)の特定の実施形態では、R11は、アシルまたは置換アシルである。式(X)の特定の場合では、R11はアセチルである。式(X)の特定の場合では、各Rはアルキルである。式(X)の特定の場合では、各Rはメチルである。式(X)の特定の場合では、PおよびPは、それぞれ独立してシリルエーテル保護基である。特定の場合では、Pはt-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)である。特定の場合では、Pはトリエチルシリル(TES)である。
式(I)の出発物質から式(X)の化合物を調製するために、任意の都合の良い数の工程を実施することができる。いくつかの例では、20合成工程または、例えば、15合成工程以下、14合成工程以下、13合成工程以下、12合成工程以下、11合成工程以下、10合成工程以下、もしくはさらにそれ以下を利用する。本明細書中で使用する場合、「合成工程」とは、手順の終わり(例えば、試薬および不純物を除去するための後処理手順の後)に単離される生成物を製造し、さらに場合により精製し(例えばクロマトグラフィーにより)、特徴決定するための、出発物質(複数可)からのワンポット合成手順を指す。特定の例では、単一の合成工程は、それ自体単離されていない中間体のin situでの調製を含み得る。本明細書に記載する合成スキームにおいて、出発物質および生成物を示す矢印は、単一の合成工程または複数の合成工程を指すことができることが理解される。
いくつかの例では、式(X)の化合物は、標的ブリオスタチン化合物の北半球フラグメントと称され得る。図1は、使用可能な1つの可能な一連の工程(例えば、工程1~10)を示す。特定の例では、本方法は、式(I)の出発物質から、図1に例示するタイプの10の合成工程を介して式(X)の化合物を調製することを含む。本開示に基づいて、図面に示す合成戦略、保護基、試薬および反応条件の変形が可能であることが理解される。
いくつかの実施形態では、北半球フラグメントの調製方法は、例えばMeCOとのクライゼン縮合を介して、式(I)の化合物から式(II)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000021
式中、各RおよびRは、独立して、アルキルまたは置換アルキルであり;Rは、H、アルキルまたは置換アルキルである。いくつかの場合では、本方法の工程には、塩基存在下における(I)とMeCOとの交差型クライゼン縮合反応が含まれる。いくつかの場合では、この構造は、従来の手順に使用される2~3の工程とは対照的に、単一の工程でアクセスされる。いくつかの場合では、各Rは、アルキルまたは置換アルキル、例えばエチルである。いくつかの場合では、Rは、アルキルまたは置換アルキル、例えばエチルである。いくつかの場合では、Rは、アルキルまたは置換アルキル、例えばtert-ブチルである。特定の例では、RとRの両方を、エノラート交換の抑制をもたらすように選択する。一般論として、比較的立体的に大きなRおよびR基、例えばエチル、プロピル、イソプロピル、またはtert-ブチルを使用する。本方法の特定の例では、後処理中に、粗生成物の酸洗浄を行い、混入している塩基性不純物を除去する。
いくつかの実施形態では、北半球フラグメントの調製方法は、式(II)の化合物から式(III)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000022
式中、各RおよびRは、独立して、H、アルキルまたは置換アルキルであり、Pはヒドロキシル保護基である。いくつかの場合では、本方法は、低い触媒添加量を用いてC3ケトンを立体選択的にNoyori還元する第1工程と、C3ヒドロキシル保護とそれに続くC5アセタールの酸性加水分解とを含む第2工程とを含む。式(III)の特定の場合では、Pはシリルエーテル保護基である。特定の場合では、Pはt-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)である。いくつかの場合では、各Rは、アルキルまたは置換アルキル、例えばエチルである。いくつかの場合では、Rは、アルキルまたは置換アルキル、例えばメチルまたはtert-ブチルである。アルデヒド(III)は、任意の簡便な代替方法によって調製することができる。
いくつかの実施形態では、本方法は、式(III)の化合物から式(X)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000023
式中:
およびPは、独立して、Hまたはヒドロキシル保護基であり;
各RおよびRは、独立して、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
12は、アルキルまたは置換アルキルであり;ならびに
11は、アシル、置換アシル、アルキルまたは置換アルキルである。
式(III)の特定の場合では、Pはシリルエーテル保護基である。特定の場合では、Pはt-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)である。いくつかの場合では、Rは、アルキルまたは置換アルキル、例えばメチルまたはtert-ブチルである。本発明の方法の特定の実施形態では、式(III)の化合物、または合成前駆体もしくは同等のシントンを、任意の簡便な方法によって(例えば、Tet.Lett.2009,50,2094-2096;J.Nat.Prod.2012,75,181-188;Bulletin of the Chemical Society of Japan 1989,62,3513-3517;Tet.Lett.1998,39,249-252;および/またはJ.Org.Chem.2007,72,9736-9745に記載される方法を適合させることによって)調製し、ノーザンフラグメントの調製のための出発物質として利用することができることが理解される。
いくつかの実施形態では、北半球フラグメントの調製方法は、例えば立体選択的アルドール反応を介して式(III)および(IV)の化合物から式(V)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000024
式中、各RおよびRは、独立して、H、アルキルまたは置換アルキルであり、Pはヒドロキシル保護基である。式(III)および(V)の特定の場合では、Pはシリルエーテル保護基である。特定の場合では、Pはt-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)である。いくつかの場合では、各Rはアルキルまたは置換アルキル、例えばエチルである。いくつかの場合では、Rは、アルキルまたは置換アルキル、例えばメチルまたはtert-ブチルである。いくつかの例では、式(V)の化合物は、C5において少なくとも2:1のジアステレオマー比(dr)、例えばC5において3:1、4:1、5:1、9:1、19:1またはそれを上回るdrで調製することができる。いくつかの例では、式(V)の化合物は、式(III)の化合物から、モル濃度で収率70%以上、例えば80%以上、85%以上、または90%以上を達成するのに十分な条件下で調製することができる。いくつかの例では、式(V)の化合物は、C5において2:1のdrで86%の収率を達成するのに十分な条件下で調製することができる。いくつかの例では、式(V)の化合物は、そのヘミケタール異性体と平衡状態にある。目的の反応条件として、炭化水素溶媒中のジエチルエーテルの混合物(例えば、およそ20%ジエチルエーテル/炭化水素)などの適切な溶媒中で出発物質を試薬EtB-OTf/DIPEA(ジイソプロピルエチルアミン)と接触させることが挙げられるが、これに限定されない。いくつかの例では、反応手順には、試薬を特定の順序で添加すること、例えばまず化合物(IV)にEtB-OTfを加え、およそ10分間の攪拌の後、DIPEAを添加することが含まれる。この後、混合物を攪拌し、化合物(III)を添加することができる。反応は、炭化水素溶媒中のジエチルエーテルの混合物(例えば、およそ20%v/v)を用いて、例えば-78℃または-98℃の低温で実施することができる。いくつかの場合では、MeOHで-60℃以下の温度で反応をクエンチすることができる。いくつかの場合では、反応の進行を、特定の色の変化によって追跡することができる。例えば、EtB-OTfを化合物(IV)に添加した後、反応混合物は淡黄色になり、続いてDIPEAを添加した後、反応混合物は徐々に橙赤色に変化し、化合物(III)を添加した後、反応混合物は濃黄色に変化した。本方法の特定の例では、立体選択的アルドール反応は、従来のPaterson aldolまたはMukaiyama条件ではない反応条件下で行う。いくつかの例では、従来のPatersonアルドール条件は、式(IV)の化合物のC9カルボニル基の還元をもたらした。いくつかの例では、従来のMukaiyamaおよび金属エノラート条件は、低いdrでの複雑な混合物をもたらした。しかしながら、本明細書中に記載する複雑なアルドール反応は、単一工程で大多数のノーザンフラグメントを迅速にまとめ上げ、それにより全体工程数を低減し、マルチグラムスケールでのスループットを可能にする。式(IV)の化合物は、市販の出発物質から任意の簡便な方法により調製することができる。
いくつかの実施形態では、北半球フラグメントの調製方法は、式(V)の化合物から式(VI)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000025
式中、各R、R、RおよびR12は、独立して、H、アルキルまたは置換アルキルであり;Pはヒドロキシル保護基である。この変換は、高度にジアステレオ選択的な(Evans-Saksena)ケトン還元(例えば、アセトン、アセトニトリル、および酢酸などの混合溶媒系中で、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を用いて)と、それに続くブリオスタチンA環へのピラン形成環化によって(例えば、オルトギ酸トリメチルなどの脱水剤を用いて)により、2工程で行うことができる。特定の例では、式(VI)の化合物を、C7において少なくとも15:1のジアステレオマー比(dr)で調製することができる。式(VI)の特定の例では、R12は、アルキルまたは置換アルキル、例えばメチルである。式(V)および(VI)の特定の場合では、Pはシリルエーテル保護基である。特定の場合では、Pはt-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)である。特定の場合では、各Rは、アルキルまたは置換アルキル、例えばエチルである。いくつかの場合では、Rは、アルキルまたは置換アルキル、例えばメチルまたはtert-ブチルである。
いくつかの実施形態では、北半球フラグメントの調製方法は、式(VI)の化合物から式(VII)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000026
式中、Pは、Hまたはヒドロキシル保護基であり;R12は、アルキルまたは置換アルキルであり;R11は、アシル、置換アシル、アルキルまたは置換アルキルであり;各RおよびRは、独立して、H、アルキルまたは置換アルキルである。式(VI)および(VII)の特定の例では、各RおよびRはメチルである。式(VI)および(VII)の特定の場合では、Pはシリルエーテル保護基である。特定の場合では、Pはt-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)である。いくつかの場合では、1フラスコのC7アルコールアセチル化および化学選択的C11アセタール加水分解を介してこの変換を行い、式(VII)の化合物を生成する。特定の場合では、本発明の方法の反応条件は、C9ケタールの存在下で、あまり置換されていないC11アセタールの選択的加水分解を提供する。
式(VI)および(VII)の化合物についてのいくつかの合成等価体が可能であることが理解される。例えば、C11アセタールの合成等価体として、環状アセタール、1,3-ジチアン、1,3-ジチオラン、チアセタール、オキシムおよびイミンが挙げられるが、これらに限定されない。式(VII)中のC11でアルデヒドを保護するように作用する任意の基が可能である。
式(VII)のいくつかの実施形態では、RおよびR12は、独立してアルキルであり、R11はアシルであり、Pはシリルエーテル保護基である。式(VII)のいくつかの実施形態では、RおよびR12はそれぞれメチルであり、R11はアセチルであり、Pはt-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)である。
いくつかの実施形態では、北半球フラグメントの調製方法は、式(VII)の化合物を式(VIII)の化合物と反応させて式(IX)の化合物を立体選択的に製造することを含み:
Figure 2022107010000027
式中、Rはアルキルまたは置換アルキルであり;Rは、H、アルキルまたは置換アルキルであり;各Xは脱離基(例えば、ハロゲン)であり;Pは、Hまたはヒドロキシル保護基であり;R12は、アルキルまたは置換アルキルであり;R11は、アシル、置換アシル、アルキルまたは置換アルキルである。本発明の方法は、単一工程で立体選択的アリル化反応を提供し;いくつかの場合では、キラルジアミノフェノールコントローラを使用する。いくつかの場合では、ジアミノフェノールコントローラは、レイトンのキラルジアミンコントローラである。式(VII)~(IX)の特定の例では、各RおよびRはメチルである。式(VII)~(IX)の特定の場合では、Pはシリルエーテル保護基である。特定の場合では、Pはt-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)である。式(VIII)および(IX)のいくつかの例では、各Xはクロロである。
式(IX)のいくつかの実施形態では、各R、RおよびR12は、独立してアルキルであり、R11はアシルであり、Pはシリルエーテル保護基である。式(IX)のいくつかの実施形態では、各R、RおよびR12はメチルであり、R11はアセチルであり、Pはt-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)である。
本発明の方法を用いて、式(IX)の化合物の(11S)および(11R)-ジアステレオ異性体を9:1以上、例えば、19:1以上、49:1以上、99:1以上、またはさらにそれ以上の比で生成するのに十分な条件下で、式(IX)の化合物を調製することができる。組成物中に存在するジアステレオ異性体の比率を評価するために、H NMR分光法などの任意の簡便な方法を使用することができる。
式(IX)の化合物は、式(VII)の化合物から(モル比で)70%以上の収率、例えば75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、またはさらにそれ以上の収率を得るのに十分な条件下で、本発明の方法を用いて調製することができる。いくつかの例では、式(IX)の化合物は、本発明の方法を用いてC11において84%の収率および10:1のdrを得るのに十分な条件下で調製することができる。式(IX)の化合物は、本発明の方法を使用して:(a)式(VIII)の化合物のオリゴマー化を回避し;(b)C9ケタールのイオン化を回避し;および/または(c)後処理中に新たに形成されたアリルシランのプロト脱シリル化を回避するのに十分な条件下で調製することができる。例えば、例示的な反応条件を、本明細書の実施例の節に記載する。
いくつかの実施形態では、北半球フラグメントの調製方法は、式(IX)の化合物から式(X)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000028
式中:各Rは、アルキルまたは置換アルキルであり;Rは、H、アルキルまたは置換アルキルであり;PおよびPは、独立してヒドロキシル保護基であり;R12は、アルキルまたは置換アルキルであり;R11は、アシル、置換アシル、アルキルまたは置換アルキルである。この変換は、C11ヒドロキシル基保護方法、それに続く化学選択的C1エステル加水分解、またはその逆によって行うことができる。いくつかの例では、C11ヒドロキシル基保護(例えば、シリル化)およびC1エステル加水分解はいずれの順序でも行われる。いくつかの場合では、C11シリル化およびC1エステル加水分解を、1フラスコ工程に短縮する。式(X)の特定の場合では、Pはシリルエーテル保護基である。特定の場合では、Pはトリエチルシリル(TES)である。式(X)の特定の場合では、Pはシリルエーテル保護基である。特定の場合では、Pはt-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)である。いくつかの場合では、式(X)の化合物を、式(I)の化合物から10工程で調製する。いくつかの場合では、式(X)の化合物を、13%以上の全収率、例えば14%以上、例えば15%以上、16%以上、またはさらにそれ以上で式(I)の化合物から調製する。
式(X)の化合物はその合成等価体であり得ることが理解される。例えば、式(X)の化合物中のC1酸は保護誘導体であり得る。いくつかの場合では、C1酸を不安定な保護基で保護し、それにより、その後の式(X)の化合物と式(XX)の化合物とのカップリング中に、C1において遊離酸をin situで生成する。
いくつかの場合では、式(X)の化合物の調製を、特定の反応および/または後処理条件を用いて行う。いくつかの場合では、化合物X(C1カルボン酸を有する)は、酸性条件下ならびにそのまま(すなわち、溶液中ではなく)貯蔵した場合に分解する傾向がある可能性がある。C1エステルの加水分解後、C9メチルケタールは特に加水分解されやすい(すなわち、R12がMeからHに変換される)ことが見出されている。いくつかの例では、この反応の後処理には、例えば緩やかな条件下での中和が含まれる。さらに、緩衝化(例えば、pH7.0)シリカゲルを用いるクロマトグラフィーを実施することができる。特定の条件下で、C7アシル基は特に加水分解を受けやすい(すなわち、R11C(O)Me基がHに変換される)ことが見出されている。いくつかの場合では、水酸化トリメチルスズを用いて反応を実施し、部分的な変換のみを行い、付随するC7アセテートの開裂を最小限に抑える。いくつかの場合では、水酸化トリメチルスズを用いて反応を実施し、C1カルボン酸への完全変換後、アセチル化反応(例えば無水酢酸およびDMAPを用いる)を同じ反応フラスコ中で行ってC7を再エステル化し、式(X)の化合物を得る。
南半球フラグメントは、3,4-ジヒドロ-2H-ピランおよび臭化プレニルなどの市販の出発物質から調製することができる。いくつかの場合では、これらの試薬からサザンフラグメントを完成するための全合成工程数は、20工程以下、例えば19工程以下、18工程以下、17工程以下、16工程以下、15工程以下、14工程以下、13工程以下、またはさらにそれ以下である。いくつかの場合では、これらの試薬からサザンフラグメントを完成させるための全合成工程数は、13工程以下である。いくつかの場合では、これらの試薬からサザンフラグメントを完成させるための全合成工程数は、12工程である。本発明の方法に従って、南半球フラグメントの調製における出発物質として様々な化合物を利用することができる。目的の出発物質として、以下の化合物のうちの1つ、またはその合成前駆体もしくはシントンが挙げられるが、これらに限定されない:
Figure 2022107010000029
式中、Rは、H、または任意の都合のよいヒドロキシル置換基(例えばアルキルまたは置換アルキル)であり、LGは、任意の都合のよい脱離基(すなわち亜硫酸水素塩付加物)である。本明細書に記載する方法および手順は、出発物質のうちのいずれか1つを利用するように適合させることができることが理解される。本発明の方法は、ノーザンおよび/またはサザンフラグメントの調製方法を含むことを意図しており、本方法では、本明細書に記載の1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)の個々の工程(例えば、図1および2に示す工程のうちの1つ以上)を適合および組み合わせてフラグメントを生成する。かくして、本明細書に記載する中間化合物のいずれか1つを出発物質として利用することができ、また、それを任意の簡便な代替方法によって調製することが可能なノーザンフラグメントおよびサザンフラグメントの調製方法もまた、包含される。
いくつかの実施形態では、本方法は、式(XI)の出発物質から式(XX)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000030
式中:
は、アルキニルまたはアレニルであり;
12およびR16は、独立して、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
13は、アルキルまたは置換アルキルであり;ならびに
は、Hまたはヒドロキシル保護基である。
いくつかの実施形態では、本方法は、式(XI)の出発物質から式(XX)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000031
式中:
は、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アレニル、置換アレニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルキル、置換アルキル、または、酸素もしくは窒素原子、および/または、シクロアルキル、シクロアルケニルなどの環および置換環を含む炭素鎖(例えば、PEGまたは修飾PEG基)であり;
12およびR16は、独立して、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
13は、アルキルまたは置換アルキルであり;ならびに
は、Hまたはヒドロキシル保護基である。いくつかの実施形態では、Zは、本明細書で定義するWである。
式(XX)の化合物は、その合成等価体であり得ることが理解される。例えば、式(XX)の化合物中のC25遊離アルコールは保護誘導体であり得る。いくつかの場合では、C25アルコールを不安定な保護基で保護し、それにより、その後の式(XX)の化合物と式(X)の化合物とのカップリングの間にC25において遊離アルコールをin situで生成する。
式(XX)のいくつかの実施形態では、Zはアルキニルである。式(XX)の特定の例では、Zは、α-β-アルキンまたは置換α-β-アルキンである。式(XX)の特定の場合では、Zは、β-γ-アルキンまたは置換β-γ-アルキンである。式(XX)のいくつかの実施形態では、Zはアレニルである。式(XX)の特定の例では、Zは、α-β-γ-アレンまたは置換α-β-γ-アレンである。式(XX)のいくつかの実施形態では、Zは、4~10個の炭素、例えば、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を含む。式(XX)のいくつかの実施形態では、Z
Figure 2022107010000032
である。
式(XX)のいくつかの実施形態では、R12はHである。式(XX)のいくつかの例では、R13はアルキルである。式(XX)のいくつかの場合では、R13はメチルである。式(XX)のいくつかの例では、R16はアルキルである。式(XX)のいくつかの場合では、R16はメチルである。式(XX)の特定の場合では、Pはシリルエーテル保護基である。特定の場合では、Pはt-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)である。特定の場合では、Pはt-ブチルジメチルシリル(TBS)である。
式(XI)の出発物質から式(XX)の化合物を調製するために、任意の都合の良い数の工程を実施することができる。いくつかの例では、20合成工程以下、例えば、15合成工程以下、14合成工程以下、13合成工程以下、12合成工程以下、またはさらにそれ以下を利用することができる。いくつかの例では、式(XX)の化合物は、標的ブリオスタチン化合物の南半球フラグメントと称され得る。図2は、使用可能な1つの可能な一連の工程(例えば、工程1~13)を示す。特定の例では、本方法は、式(XI)の出発物質から、図2に例示するタイプの13の合成工程を介して式(XX)の化合物を調製することを含む。いくつかの場合では、式(XX)の化合物を、式(XI)の化合物から13工程で調製する。いくつかの場合では、式(XX)の化合物を、式(XI)の化合物から、16%以上の全収率、例えば17%以上、例えば18%以上、20%以上、またはさらにそれ以上で調製する。本開示に基づいて、図に示す合成戦略、保護基、試薬および反応条件の変形が可能であることが理解される。
いくつかの実施形態では、南半球フラグメントの調製方法は、式(XI)の化合物から式(XII)の化合物を調製すること:
Figure 2022107010000033
を含む。
いくつかの場合では、本発明の方法は、3,4-ジヒドロ-2H-ピランを臭化プレニルでプレニル化して線状オクテニルジオールを取得し、続いてジオールを二重酸化してオクテニルケト-アルデヒド(XII)を形成することを提供する。いくつかの場合では、本発明の方法は、3,4-ジヒドロ-2H-ピランの(例えば、穏やかなpHでの)加水分解、それに続く、例えば臭化プレニルによるin situプレニル化を提供する。特定の例では、本方法は約3~5の間、例えば約pH3~4の間、または約3.5~4の間の穏やかなpHで実施するプレニル化を含む。特定の例では、得られる反応収率は従来の方法を用いて得られる収率よりも良好であり、この物質は精製することなく次の工程に使用することができる。いくつかの場合では、一級アルコールおよび二級アルコールに対して同等の酸化速度を有する任意の都合の良い酸化剤を二重酸化工程において利用し、酸化的ラクトン化を回避することができる。特定の例では、生成物(XII)をさらなる使用の前に精製する。特定の場合では、25gを超える出発物質に対して二重酸化反応を実施し、80%を超える収率で進行させる。
特定の実施形態では、南半球フラグメントの調製方法は、式(XII)の化合物から式(XIV)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000034
式中、R12は、H、アルキルまたは置換アルキルであり;R13は、アルキル(例えば、少なくとも2個の炭素を有するアルキルとして)または置換アルキルである。特定の例では、R12は、アルキルまたは置換アルキル、例えばメチルである。任意の簡便な方法を利用して、式(XII)から式(XIV)の化合物を調製することができる。いくつかの実施形態では、非選択的直鎖クロチル化、それに続く得られたアルコールの酸化、および式(XIV)の化合物のC23立体中心を設定するための立体選択的還元を含む方法を使用する。いくつかの例では、C23立体中心を、高い化学選択性およびエナンチオ選択性(例えば、98%eeを上回る)で設定する。特定の例では、メタセシス反応を使用して、目的のR13基を組み込むことができる。
特定の実施形態では、南半球フラグメントの調製方法は、式(XII)および(XIII)の化合物から中間体(XIVa)を介して式(XIVb)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000035
式中、R12は、H、アルキルまたは置換アルキルである。特定の例では、R12は、アルキルまたは置換アルキルである。特定の例では、R12はメチルである。式(XIVb)の化合物の調製は、例えば、アルデヒドの立体選択的クロチル化、先の反応と同じ酸および溶媒を用いるピラン形成環化、ならびにエポキシ化/メタノリシスシーケンスによるピランの酸素化を含む多反応シーケンスによって実施することができる。本発明の方法は、単一のフラスコ内でこれらの反応を一緒に組み合わせることを提供し、それによって全体的な工程数を減らし、後処理および移送における材料の無駄および損失を最小限に抑える。特定の例では、式(XIVa)の粗製化合物を式(XIVb)の化合物に酸化させてもよい。いくつかの場合では、穏和な酸化剤、例えばデス-マーチンペルヨージナンを使用してもよい。いくつかの場合では、式(XIV)の化合物を式(XI)の化合物から4工程で調製し、これはクロマトグラフィー精製を必要とするシーケンスの第1の中間体である。
特定の例では、南半球フラグメントの調製方法は、メタセシス反応を介して式(XIVb)の化合物から式(XIV)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000036
式中、R12は、H、アルキルまたは置換アルキルであり;R13は、アルキル(例えば、少なくとも2個の炭素を有するアルキルとして)または置換アルキルである。特定の例では、R12は、アルキルまたは置換アルキル、例えばメチルである。
特定の例では、南半球フラグメントの調製方法は、式(XIV)の化合物から式(XV)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000037
式中、R12は、H、アルキルまたは置換アルキルであり;R13は、アルキル(例えば、メチルまたは少なくとも2個の炭素を有するアルキル)または置換アルキルであり;R16は、H、アルキルまたは置換アルキルである。変換は、グリオキシレート、グリオキシレートのヘミアセタール、および/またはグリオキシル酸アセタールとのアルドール反応によって式(XV)の環外エノエートを導入することによって達成することができる。いくつかの例では、E-異性体が排他的に形成された。本方法のいくつかの例では、アルドール反応において少量のメタノールを使用し、また、グリオキシレートを使用前に新たに蒸留し、ポリマー物質を除去する。式(XIV)および(XV)の特定の例では、R13はメチルである。式(XIV)および(XV)の特定の例では、R13は、少なくとも2個の炭素を有するアルキル、または置換アルキルである。式(XIV)および(XV)の特定の例では、R12は、アルキルまたは置換アルキルである。特定の例では、R12はメチルである。特定の例では、R16は、アルキルまたは置換アルキルである。特定の例では、R16はメチルである。
特定の例では、南半球フラグメントの調製方法は、式(XV)の化合物から式(XVI)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000038
式中、Zは、アルキニルまたはアレニルであり;R12は、アルキルまたは置換アルキルであり;R13は、アルキル(例えば、メチルまたは少なくとも2個の炭素を有するアルキル)または置換アルキルであり;R16は、H、アルキルまたは置換アルキルである。式(XVI)の化合物の調製は、ピラニルケトンのアルコールへの立体選択的ルーシェ還元、それに続く目的のZ無水物による得られたピラニルアルコールのエステル化を介して実施することができる。特定の例では、無水物はオクチル酸無水物である。無水物は反応に利用する前に精製して収率を向上させることができる。いくつかの例では、アルキノエートは、その後の目的の酸化的変換をもたらす「マスクされたジエノエート」である。本明細書中で使用する場合、マスクされたジエノエートとは、ジエノエートの合成前駆体である。マスクされたジエノエートとして任意の都合のよい基を利用することができる。いくつかの場合では、エステル化反応の注意深い温度制御(例えば、-20℃)ならびにDMAP添加速度を利用して、反応性無水物/DMAP付加物の分解を防ぐことができる。式(XV)および(XVI)の特定の例では、R13はメチルである。式(XV)および(XVI)の特定の例では、R13は、少なくとも2個の炭素を有するアルキル、または置換アルキルである。式(XV)および(XVI)の特定の例では、R12は、アルキルまたは置換アルキルである。特定の例では、R12はメチルである。式(XV)および(XVI)の特定の例では、R16は、アルキルまたは置換アルキルである。特定の例では、R16はメチルである。式(XVI)のいくつかの実施形態では、Zはアルキニルである。式(XVI)の特定の例では、Zは、α-β-アルキンまたは置換α-β-アルキンである。式(XVI)の特定の場合では、Zは、β-γ-アルキンまたは置換β-γ-アルキンである。式(XVI)のいくつかの実施形態では、Zはアレニルである。式(XVI)の特定の例では、Zは、α-β-γ-アレンまたは置換α-β-γ-アレンである。式(XVI)のいくつかの実施形態では、Zは、4~10個の炭素、例えば、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を含む。式(XVI)のいくつかの実施形態では、Zは:
Figure 2022107010000039
である。
特定の例では、南半球フラグメントの調製方法は、式(XVI)の化合物から式(XVII)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000040
式中、Zは、アルキニルまたはアレニルであり;R12は、アルキルまたは置換アルキルであり;R13は、アルキル(例えば、メチルまたは少なくとも2個の炭素を有するアルキル)または置換アルキルであり;R16は、H、アルキルまたは置換アルキルである。本発明の方法は、立体選択的、位置選択的、および化学選択的オレフィン(C25~C26)ジヒドロキシル化を介して式(XVI)の化合物の調製を提供し、ジオール中間体を生成し、それは例えばアセトニド(式XVII)として保護される。いくつかの場合では、ジオールはカラム精製を伴わずに利用される。本発明の方法において使用するために様々な保護基を適合させ、ジオール中間体を保護することができることが理解される。本発明の方法の工程は、分子内の4つのπ系のうちの1つの選択的反応を提供し、高いジアステレオマー比(例えば、約11:1以上)で所望の生成物が得られる。
特定の例では、南半球フラグメントの調製方法は、例えばオゾン分解によって式(XVII)の化合物から式(XVIII)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000041
式中、Zは、アルキニルまたはアレニルであり;R12は、アルキルまたは置換アルキルであり;R13は、アルキル(例えば、メチルまたは少なくとも2個の炭素を有するアルキル)または置換アルキルであり;R16は、H、アルキルまたは置換アルキルである。本発明の方法の工程は、分子内の他のπ系に顕著な影響を与えることなく末端アルケンの選択的開裂を伴うオゾン分解を提供する。いくつかの場合では、本発明の方法は、式(XVIII)の化合物のモル濃度で60%以上の収率、例えば、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%またはさらにそれ以上の収率をもたらす。いくつかの場合では、本発明の方法は式(XVIII)の化合物のモル濃度で93%の収率を提供する。
特定の例では、南半球フラグメントの調製方法は、例えばアルデヒド同族体化およびC25/26ジオール脱保護を介して、式(XVIII)の化合物から式(XIX)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000042
式中、Zは、アルキニルまたはアレニルであり;R12は、アルキルまたは置換アルキルであり;R13は、アルキル(例えば、メチル、または少なくとも2個の炭素を有するアルキル)または置換アルキルであり、R16は、H、アルキルまたは置換アルキルである。アルデヒドホモログ化反応は、任意の都合のよい試薬、例えば、EtO-CH=CH-ZnMeLiなどの有機亜鉛試薬、中性ビニル亜鉛試薬または有機セリウム試薬を使用して実施することができる。特定の実施形態では、アルデヒド同族体化反応を、高濃度の試薬を提供する特定の溶媒混合物中で行う。特定の例では、反応を、アルデヒドに対して5当量以上(例えば、6以上、7以上、8以上、または10以上)の亜鉛酸試薬を使用して行う。特定の例では、アルデヒド同族体化およびC25/C26ジオール脱保護を一つのフラスコ中で行う。特定の例では、アルデヒド同族体化およびC25/26ジオール脱保護を、2つの別々の反応フラスコ中で行う。
いくつかの場合では、式(XIX)の化合物を、位置選択的アルコール保護を介して式(XX)の化合物に変換し、例えばC26ヒドロキシル基をシリルエーテル、例えばTBSで保護する。特定の例では、反応生成物の精製を、分解を防ぐために中和シリカを用いて行う。特定の実施形態では、この工程は任意選択であり、立体選択的Prins大環状化(後述)を行う時期に応じて回避することができる。
図3は、任意の都合のよいブリオスタチン化合物の北半球フラグメントと南半球フラグメントを結合するために適用可能な1つの例示的な戦略を図示する。一般論として、フラグメントは、ノーザンフラグメントのC1酸とサザンフラグメントのC25アルコールとの間のYamaguchiエステル化を介してカップリングすることができる。次いで、大環状化合物は立体選択的Prins大環状化によって環化することができる。特定の例では、カップリング戦略を逆にすることができ、例えば、最初にPrins大環状化を行い、続いて大環状ラクトン化を行うことができる。いくつかの例では、本発明の方法は、非常に穏和な特定の大環状化反応条件を含み、それは反応のスケーラビリティを提供する。次いで、得られたB環の環外オレフィンを、化学量論的オゾン分解反応を介してケトンに変換することができ、これはいくつかの場合では、他の2つのπ系の存在下で選択的に進行する。得られたB環の環外オレフィンを、任意の簡便な酸化的開裂反応によってケトンに変換することができる。
Yamaguchiエステル化反応または立体選択的Prins大環状化のための反応条件下で、サザンフラグメントのC25の遊離ヒドロキシルがin situで生成し得ることが理解される。したがって、C25ヒドロキシルは保護されたヒドロキシル基であり得る。Yamaguchiエステル化反応または立体選択的Prins大環化のための反応条件下で、ノーザンフラグメント中のC1酸がin situで生成し得ることもまた理解される。したがって、C1酸は保護された酸、例えばエステルであり得る。いくつかの場合では、保護基は、C25および/またはC1に存在する場合、穏和な反応条件下で容易に除去される不安定な基である。いくつかの実施形態では、本方法はさらに:(c)エステル化および大環状化を介して北半球フラグメントと南半球フラグメントとをカップリングさせて大環状化合物を生成し;ならびに(d)オゾン分解反応により大環状化合物から式(XXIV)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000043
式中:Wは、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルキル、置換アルキルまたは保護基であり;「b」で示す共有結合が二重結合である場合、Zは、=CRまたは=NRであり;「b」で示す共有結合が単結合である場合、Zは、-ORまたは-N(Rであり;Xは、HまたはOR11であり;Yは、HまたはOR12であり;R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン(例えば、F)、アルキルオキシカルボニル(例えば、-COMe)、置換アルキルオキシカルボニル、アルキルまたは置換アルキルであり;R11は、アシル、置換アシル、アルキルまたは置換アルキルであり;R12は、H、アルキルまたは置換アルキルであり;R13は、アルキルまたは置換アルキルであり;R14およびR15は、独立して、H、ヒドロキシル保護基またはプロ部分であり;R16は、H、アルキルまたは置換アルキルである。
式(XXIV)の特定の実施形態では、Wは、アルキニルまたは置換アルキニルである。特定の例では、Wがアルキニルまたは置換アルキニルである場合、本方法はさらに、Wのアルキニル基をジエンに異性化することを含む。任意の簡便な方法および条件を使用して、Wを目的のジエン含有基に異性化することができる(例えば、本明細書に記載するように)。式(XXIV)の特定の実施形態では、Wは保護基であり、目的のW基、例えばアルケニルまたは置換アルケニルエステル、例えばオクタジエノエートなどのジエン含有エステルの導入前にC20ヒドロキシル基から除去することができる。
特定の実施形態では、本方法はさらに:(c)エステル化および大環状化を介して、北半球フラグメント(例えば、式(X)の化合物)と南半球フラグメント(例えば、式(XX)の化合物)とをカップリングさせて大環状化合物を製造し;ならびに(d)オゾン分解反応により、大環状化合物から式(XXII)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000044
式中:
は、アルキルまたは置換アルキルであり;
「b」で示す共有結合が二重結合である場合、Zは、=CRまたは=NRであり;
「b」で示す共有結合が単結合である場合、Zは、-ORまたは-N(Rであり;
およびPは、独立して、Hまたはヒドロキシル保護基であり;
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン(例えば、F)、アルキルオキシカルボニル(例えば、-COMe)、置換アルキルオキシカルボニル、アルキルまたは置換アルキルであり;
11は、H、アシル、置換アシル、アルキルまたは置換アルキルであり;
12は、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
13は、H、アルキルまたは置換アルキルであり;ならびに
16は、H、アルキルまたは置換アルキルである。
式(XXII)の特定の実施形態では、Rは、Cである。式(XXII)の特定の実施形態では、Pはシリルエーテル保護基である。特定の場合では、Pはt-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)である。特定の場合では、PはHである。式(XXII)の特定の実施形態では、Pはシリルエーテル保護基である。特定の場合では、PはTBSである。特定の場合では、PはTESである。特定の場合では、PはHである。式(XXII)の特定の実施形態では、R11は、アシルまたは置換アシルである。式(XXII)の特定の実施形態では、R11はアセチルである。式(XXII)の特定の実施形態では、R12は、アルキルまたは置換アルキルである。式(XXII)の特定の実施形態では、R12はメチルである。式(XXII)の特定の実施形態では、R16は、アルキルまたは置換アルキルである。式(XXII)の特定の実施形態では、R16はメチルである。
図6A~図6Cは、様々なZ置換基を導入するのに適合させることができるいくつかの例示的方法を示す。いくつかの場合では、化合物6と7の間のシーケンスを変えることにより(図6A)、例えばオレフィン化またはイミン形成により、C13位の可変性を容易に達成することができる。いくつかの場合では、C13ケトンをアルコールに還元し、続いてアシル化またはエーテル化することができる。特定の例では、任意の都合のよいアミノ反応体を用いる還元的アミノ化により、C13ケトンを修飾することができる。
式(XXII)の特定の実施形態では、「b」で示す共有結合は二重結合であり、Zは、CR(例えば、CHCOMe)またはNRである。特定の例では、ZはCRである。特定の場合では、ZはCHCOR’であり、式中、R’はアルキル(例えばメチル)である。特定の場合では、ZはCFCOR’であり、式中、R’はアルキル(例えばメチル)である。特定の例では、ZはNRである。特定の例では、ZはNHである。特定の例では、ZはN-アルキルである。
式(XXII)の特定の実施形態では、「b」で示す共有結合は単結合であり、Zは、ORまたはN(Rである。特定の例では、ZはORである。特定の場合では、ZはOHである。特定の場合では、ZはO-アシルまたはO-(置換アシル)である。特定の例では、ZはN(Rである。特定の例では、ZはNHである。特定の場合では、ZはN(アルキル)である。
任意の都合のよい保護および脱保護工程を本発明の方法に含め、目的の官能基、例えばヒドロキシ基またはカルボン酸を一時的に保護することができる。いくつかの例では、本発明の方法はさらに、保護されたヒドロキシ基を脱保護して遊離ヒドロキシル基を有するブリオスタチン化合物を製造することを含んでいた。特定の例では、C26ヒドロキシル基を保護し(例えば、シリルエーテル保護基を用いて)、また、本方法はC26ヒドロキシルの脱保護を含む。
いくつかの例では、本発明の方法はさらに、ブリオスタチン化合物にプロ部分を付加して化合物のプロドラッグ型(例えば、本明細書に記載するような)を製造することを含む。「プロ部分」とは、保護基を活性薬剤内の官能基をマスキングするために使用する場合に、活性薬剤をプロドラッグに変換する保護基の形態を指す。いくつかの場合では、本方法は、ブリオスタチン化合物(または、例えば、本明細書に記載するその前駆体)の任意の都合のよいヒドロキシ基をプロ部分で保護すること(すなわち、-OH→-OP)を含む。特定の例では、-OPはエーテルである。特定の例では、-OPはカーボネートである。特定の例では、-OPはホスフェートである。特定の例では、-OPはアルコキシホスフェートである。特定の例では、-OPはエステルである。特定の実施形態では、Pは、アシルまたは置換アシルである。特定の実施形態では、Pは、-C(O)R10であり、式中、R10、R20およびR30は、それぞれ独立して、水素、非置換または置換C1-6ハロアルキル、非置換または置換C1-6アルキル、非置換または置換C3-6シクロアルキル、非置換または置換C2-6アルケニル、非置換または置換C2-6アルキニル、非置換または置換C6-10アリール、非置換または置換5~10員ヘテロアリール、非置換または置換アリール-C1-4アルキル、非置換または置換アリール-C1-4アルキル、非置換または置換アリールオキシ-C1-4アルキル、非置換または置換ポリエチレングリコールから選択される。特定の場合では、Pは、以下の群:-COCH、-COC、-COC(CH、-COCH(CH、-COCHおよび-COのうちの1つから選択される。特定の場合では、Pは、ポリエチレングリコール基を含む。特定の場合では、Pは、脂肪酸またはコレステロールなどの脂質を含む。いくつかの例では、Pには、ペプチド、酸化還元不安定基、光化学不安定基、酵素的に除去可能な基(すなわち、プロテアーゼ、エステラーゼ、およびホスファターゼから選択される酵素によってin situで除去可能)、または抗体(例えば、抗体-薬物複合体)を含めることができる。
本方法の特定の実施形態では、大環状化合物は、式(XXI):
Figure 2022107010000045
の化合物である。
本方法の特定の実施形態では、大環状化合物は式:
Figure 2022107010000046
の化合物である。
本方法の特定の実施形態では、ブリオスタチン化合物は、式(XXIII)の構造を有し;
Figure 2022107010000047
式中:R13は、アルキルまたは置換アルキルであり;R14は、H、ヒドロキシル保護基またはプロ部分(例えば、本明細書に記載するP)である。
式(I)~(XXIV)のいくつかの例では、R16はメチルである。式(I)~(XXIV)のいくつかの例では、R14は、Hまたはプロ部分である。式(I)~(XXIV)のいくつかの例では、R13はメチルである。式(I)~(XXIV)のいくつかの例では、R12はメチルである。式(I)~(XXIV)のいくつかの例では、R12はHである。式(I)~(XXIV)のいくつかの例では、R11はアセチルである。式(I)~(XXIV)のいくつかの例では、RはCである。式(I)~(XXIV)のいくつかの例では、PはHである。本発明の方法の特定の実施形態では、製造するブリオスタチン化合物はブリオスタチン1である。
ブリオスタチン化合物
本発明の方法を介してアクセス可能な様々な新規ブリオスタチン化合物を本明細書に記載する。いくつかの場合では、本発明のブリオスタチン化合物は、プロテインキナーゼC調節薬としての活性を、in vitroおよびin vivoの両方で有する。いくつかの場合では、ブリオスタチン化合物はPKCアイソフォーム選択性を有する。特定の例では、ブリオスタチン化合物は、PKCのC1ドメインに結合する。特定の例では、本発明のブリオスタチン化合物は、C1ドメインを含むシグナル伝達タンパク質標的の調節薬としての活性を有する。本発明のブリオスタチン化合物による調節のために、任意の都合のよいC1ドメイン含有タンパク質を標的とすることができる。目的の例示的なC1ドメイン含有タンパク質として、PKC、PKD、キメリン、ジアシルグリセロールキナーゼ、Unc-13およびMunc-13、グアニンヌクレオチド交換因子、筋緊張性ジストロフィーキナーゼ関連Cdc42結合キナーゼなどが挙げられるが、これらに限定されない。
目的のブリオスタチン化合物として、C7エステルの変形を特徴とする化合物が挙げられるが、これらに限定されない(例えば、図4参照)。エステル化に使用する無水物を変えるか、または、例えば任意の数のアルキル臭化物もしくは他の都合のよいエーテル化剤を用いてエーテル化を行うことにより、化合物1と2の間のシーケンスを変更することによって(図4)、任意の数のエステルまたはエーテル置換基をC7位に導入することができる。いくつかの場合では、本発明の化合物は、A環官能化を、例えばC7およびC9位置に有し、これはブリオスタチン1などの標的天然ブリオスタチンと同じである。
いくつかの実施形態では、ブリオスタチン化合物は、式(XXIVb)を有し:
Figure 2022107010000048
式中:
は、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルキルまたは置換アルキルであり;
「b」で示す共有結合が二重結合である場合、Zは、=CRまたは=NRであり;「b」で示す共有結合が単結合である場合、Zは、-ORまたは-N(Rであり;
は、HまたはOR11であり;
は、HまたはOR12であり;
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、H、アルキルオキシカルボニル(例えば-COMe)、置換アルキルオキシカルボニル、アルキルまたは置換アルキルであり;
11は、アシル、置換アシル、アルキルまたは置換アルキルであり;
12は、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
13は、アルキルまたは置換アルキルであり;
14およびR15は、独立して、H、またはプロ部分であり;ならびに
16は、H、アルキルまたは置換アルキルである。
式(XXIVb)のいくつかの実施形態では、ブリオスタチン化合物は、式(XXIIb)を有し:
Figure 2022107010000049
式中:
は、アルキルまたは置換アルキルであり;
「b」で示す共有結合が二重結合である場合、Zは、=CRまたは=NRであり;
「b」で示す共有結合が単結合である場合、Zは、-ORまたは-N(Rであり;
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、H、アルキルオキシカルボニル(例えば-COMe)、置換アルキルオキシカルボニル、アルキルまたは置換アルキルであり;
11は、H、アシル、置換アシル、アルキルまたは置換アルキルであり;
12は、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
13は、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
14およびR15は、独立して、H、またはプロ部分であり;ならびに
16は、H、アルキルまたは置換アルキルである。
式(XXIIb)のいくつかの実施形態では、ブリオスタチン化合物は、式(XXIIIb):
Figure 2022107010000050
を有する。
式(XXIIb)および(XXIVb)のいくつかの例では、R16はメチルである。式(XXIIb)、(XXIIIb)および(XXIVb)のいくつかの例では、R14は、Hまたはプロ部分である。式(XXIIb)、(XXIIIb)および(XXIVb)のいくつかの例では、R13はメチルである。式(XXIIb)および(XXIVb)のいくつかの例では、R12はメチルである。式(XXIIb)および(XXIVb)のいくつかの例では、R12はHである。式(XXIIb)、(XXIIIb)および(XXIVb)のいくつかの例では、R11はアセチルである。式(XXIIb)、(XXIIIb)および(XXIVb)のいくつかの例では、R11はHである。式(XXIIb)および(XXIIIb)のいくつかの例では、RはCである。式(XXIIb)、(XXIIIb)および(XXIVb)のいくつかの例では、R15はHである。
いくつかの実施形態では、ブリオスタチン化合物は、式(XXXI)を有する天然ブリオスタチンの類似体であり:
Figure 2022107010000051
式中:
はアルキルまたは置換アルキルであり;
「b」で示す共有結合が二重結合である場合、Zは、CRまたはNRであり;
「b」で示す共有結合が単結合である場合、Zは、ORまたはN(Rであり;
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、アルキルオキシカルボニル、置換アルキルオキシカルボニル、アルキルまたは置換アルキルであり;
11は、アシル、置換アシル、アルキルまたは置換アルキルであり;
12は、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
13は、H、アルキルまたは置換アルキルであり;ならびに
14およびR15は、独立して、H、ヒドロキシル保護基またはプロ部分であり;
またはその溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグ形態および/またはその塩である。
式(XXXI)のいくつかの例では、Rはプロピルである。式(XXXI)のいくつかの例では、R11は、アルキルまたは置換アルキルである。式(XXXI)のいくつかの例では、R11は、アシルまたは置換アシルである。式(XXXI)のいくつかの例では、R12は、アルキルまたは置換アルキルである。
式(XXXI)のいくつかの例では、「b」で示す共有結合は二重結合であり、ZはNRであり、式中、Rは、H、アルキルオキシカルボニル、置換アルキルオキシカルボニル、アルキルまたは置換アルキルである。特定の場合では、ZはCFCOR’であり、式中、R’はアルキル(例えばメチル)である。式(XXXI)のいくつかの例では、「b」で示す共有結合は単結合であり、Zは、ORまたはN(Rであり、式中、RおよびRは、それぞれ独立して、H、アルキルオキシカルボニル(例えば、-COMe)、アルキルオキシカルボニル、アルキルまたは置換アルキルである。
いくつかの例では、R13は少なくとも2個の炭素を有するアルキルまたは置換アルキルである。式(XXXI)のいくつかの例では、Rは置換アルキルである。式(XXXI)のいくつかの例では、R14はプロ部分である。
任意のブリオスタチン類似体化合物、およびその調製方法(例えば、本明細書に記載するような)を、後期(例えば、一連の合成工程の終盤近く)のC-H酸化反応により、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、アジドまたはハロゲン(例えばF、Cl)で置換された主鎖(C1~C26)の脂肪族(sp3混成)炭素を含むように適合させ得ることが理解される。いくつかの例では、本発明の方法はさらに、骨格のC1-C26位置の1つに目的の置換基を導入するための後期C-H酸化反応を含む。
目的のブリオスタチン化合物には、C19ヘミケタールの変形を特徴とする化合物が含まれるが、これらに限定されない(例えば、図5参照)。化合物3と5との間の工程のシーケンスを変更することにより(図5)、例えば、メタノールから任意の都合のよいアルコール溶媒への変換に使用する溶媒を変えることによって、任意の数のケタールを導入することができる。
目的のブリオスタチン化合物には、C13位での変形を特徴とする化合物が含まれるが、これらに限定されない(例えば、図6Aおよび図6B参照)。化合物6と7との間の、または構造6A(図6Aおよび図6B)から始まる一連の工程を変更することにより、例えばオレフィン化またはイミン形成によって、C13位での可変性を容易に達成することができる。いくつかの場合では、C13ケトンをアルコールに還元し、続いてアシル化またはエーテル化することができる。特定の例では、任意の都合のよいアミノ反応体を用いる還元的アミノ化により、C13ケトンを修飾することができる。いくつかの場合では、C13エノエートのE異性体を得ることができる。特定の例では、C13ケトンを修飾してスピロ環を形成する。特定の例では、C13ケトンを修飾して、ホスフェート、ヘテロ基、または有機セレン基を形成する。
いくつかの実施形態では、ブリオスタチン化合物は、式(XXXII):
Figure 2022107010000052
を有する天然ブリオスタチンの類似体である。
C13位置での可変性はまた、構造6BのC13アルケンを変更することによっても得ることができる(図6C)。いくつかの場合では、C13アルケンを、例えばアルキル基またはハロゲン基で置換する。いくつかの場合では、C13アルケンを還元し、場合により、さらに、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基などで置換することができる。いくつかの場合では、C13位のアルケンを修飾し、エポキシ化反応、シクロプロパン化反応、アジリジン形成、チイラン形成、環状付加物形成またはスピロ環形成により、炭素環または複素環を形成することができる。いくつかの例では、炭素環は、3個以上の炭素、例えば4個以上の炭素、例えば5個以上の炭素、例えば6個以上の炭素、またはさらにそれ以上で形成される。いくつかの例では、三員複素環を形成させる。いくつかの例では、より大きな複素環、例えば、四員複素環、五員複素環、六員複素環、またはさらに大きな複素環を形成させる。
図6A、図6Bおよび図6Cにおいて、「X」基として、以下の基および原子:アルキル、置換アルキル、ハロゲン化物、炭素原子、ヘテロ原子(例えば、O、N、Sなど)、ヘテロアルキル基、例えば、アミン、アルコキシ、またはチオ、有機セレン、ホスフェートなどが挙げられるが、これらに限定されない。「Y」基として、以下の基および原子:アミン、アルコキシ、ハロゲン化物、炭素原子、ヘテロ原子(例えば、O、N、Sなど)が挙げられるが、これらに限定されない。R’基として、以下の基:アルキル、置換アルキル、ホスフェート、ヘテロ基などが挙げられるが、これらに限定されない。R”基として、以下の基:アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシル、置換アシル、ハロゲン化物、ヒドロキシル、アルコキシが挙げられるが、これらに限定されない。用語「n」は、例えば、1、2、3、4などの整数として理解される。
いくつかの実施形態では、ブリオスタチン化合物は、式(XXXIII)を有する天然ブリオスタチンの類似体であり:
Figure 2022107010000053
式中:
は、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アレニル、置換アレニル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、複素環、置換複素環、または、酸素もしくは窒素原子、および/またはシクロアルキル、シクロアルケニルなどを含む環および置換環を有する炭素鎖(例えば、PEGまたは修飾PEG基)であり;
は、HまたはOR11であり;
およびXは、独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アミン、置換アミン、アミド、置換アミド、アシル、ヒドロキシル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアルキル、置換ヘテロアリール、ホスフェート、有機セレン、チオ、置換チオから選択されるか、または、XとXが結合して炭素環または複素環、例えば、シクロプロパン、エポキシド、アジリジン、チイラン、4員スピロ環、5員スピロ環または6員スピロ環を形成し;
は、HまたはOR12であり;
12は、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
13は、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
16は、H、アルキルまたは置換アルキルであり;ならびに
14およびR15は、独立して、H、ヒドロキシル保護基またはプロ部分であり;またはその溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグ形態および/またはその塩である。
目的のブリオスタチン化合物として、C12もしくはC14の位置、またはC12とC14の両方の位置における変形を特徴とするものが挙げられるが、これらに限定されない。B環の可変性は、構造6、6Aまたは6BのいずれかにおいてC12もしくはC14炭素、またはC12とC14炭素の両方を変更することによって得ることができる(図6A、図6Bおよび図6C)。いくつかの場合では、C12炭素をアルキル化する。いくつかの場合では、C14炭素をアルキル化する。いくつかの場合では、C12炭素をハロゲンで置換する。いくつかの場合では、C14炭素をハロゲンで置換する。いくつかの場合では、C12またはC14位置を、独立して、置換アルキル、アルコキシ、アミン、置換アミン、アミド、置換アミド、アシル、ヒドロキシル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアルキル、置換ヘテロアリール、ホスフェート、ホスホリル、サルフェート、スルホニル、有機セレン、チオ、置換チオからなる群から選択される基で置換する。
いくつかの実施形態では、ブリオスタチン化合物は、式(XXXIV)を有する天然ブリオスタチンの類似体であり:
Figure 2022107010000054
式中:
は、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アレニル、置換アレニル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、複素環、置換複素環、または、酸素もしくは窒素原子、および/またはシクロアルキル、シクロアルケニルなどの環および置換環を含む炭素鎖(例えば、PEGまたは修飾PEG基)であり;
「b」で示す共有結合が二重結合である場合、Zは、CRまたはNRであり;
「b」で示す共有結合が単結合である場合、Zは、OR、ホスフェート、ホスホリル、チオ基、サルフェート、スルホニル、有機セレン基、またはN(Rであり;
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、アルキルオキシカルボニル、置換アルキルオキシカルボニル、アルキルまたは置換アルキルであり;
は、HまたはOR11であり;
およびXは、独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アミン、置換アミン、アミド、置換アミド、アシル、ヒドロキシル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアルキル、置換ヘテロアリール、ホスフェート、有機セレン、チオ、置換チオから選択され;
は、HまたはOR12であり;
12は、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
13は、H、アルキルまたは置換アルキルであり;ならびに
16は、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
14およびR15は、独立して、H、ヒドロキシル保護基またはプロ部分であり;
またはその溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグ形態および/またはその塩である。
目的のブリオスタチン化合物として、C26位での変形を特徴とする化合物が挙げられるが、これらに限定されない(例えば、図7および8参照)。南半球フラグメントの合成について開示する本発明の方法を変更することにより、C26アルコールにおける変形を導入することができる。本発明のブリオスタチン化合物のいくつかの例では、C26位のヒドロキシ基は化合物活性に必要である。いくつかの場合では、C26位での変形は、目的のブリオスタチン化合物のプロドラッグ形態を提供し、その場合、そのプロドラッグ形態は、in vivoで遊離C26ヒドロキシル基に変換可能である。
いくつかの実施形態では、本発明の化合物をプロドラッグ形態で提供する。「プロドラッグ」とは、活性薬剤を放出するために体内での変換を必要とする活性薬剤の誘導体を指す。特定の実施形態では、変換は酵素的変換である。プロドラッグは、必ずしもそうとは限らないが、多くの場合、活性薬剤に変換されるまで薬理学的に不活性である。「プロ部分」とは、保護基を活性薬剤内の官能基をマスキングするために使用する場合に、活性薬剤をプロドラッグに変換する保護基の形態を指す。いくつかの場合では、プロ部分は、in vivoで酵素的または非酵素的手段によって切断される結合(複数可)を介して薬物に結合するであろう。本発明の化合物の任意の都合のよいプロドラッグ形態は、例えば、Rautio et alによって記載される戦略および方法に従って調製することができる(“Prodrugs:design and clinical applications”,Nature Reviews Drug Discovery 7,255-270(February 2008))。
ブリオスタチン化合物のプロドラッグは、C26に特定のブリオスタチン類似体を有する(例えば、図7、化合物8および9参照)。南半球フラグメントの本発明の合成方法は、例えばエステルを用いたC26-アルコールの誘導体化を提供することができる。いくつかの例では、C26位へのエステル基の導入により、得られるブリオスタチン誘導体を不活性化することができる。特定の実施形態では、C26エステル基を、例えば化学的に(例えば特定のpHで、光化学的手段によって)または生物学的に(例えば内在性エステラーゼの作用によって)切断し、遊離のC26ヒドロキシル基を有するブリオスタチン化合物を遊離させることができる。このプロドラッグ戦略は、目的のブリオスタチン化合物の容易な変更を提供し、化合物投与後に遊離薬物として徐々に放出されるブリオスタチンの活性を維持する一方で、その薬理学的特性、例えば、PK(薬物動態)およびADME(吸収、分布、代謝、および排泄)特性を向上させることができる。
切断可能な結合には、in vivoで、加水分解的、酵素的、または他の方法で切断可能な基が含まれ得る。不活性基の範囲は、アルキル基(例えば、特定の開裂速度を提供するように選択される)からオリゴペプチドまたは脂質(例えば、細胞取り込みを増強するために)まで及び得る。修飾には、エステル、カーボネート、カルバメート、およびエーテルが含まれ得るが、これらに限定されず、また、これらのすべてが、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミン、ヒドロキシル基、グアニジニウム基、炭素環、および複素環を含み得る。
いくつかの実施形態では、ブリオスタチン1を、式(XXXV)の構造を形成するように修飾し:
Figure 2022107010000055
式中、R17は、エステル、カーボネート、カルバメートおよびエーテルから選択され、これらのすべては、場合により、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミン、ヒドロキシル、ジスルフィド、グアニジニウム、炭素環、および複素環から選択される1つ以上の基で置換することができる。いくつかの例では、C7の酢酸基を、H原子、エステル、カーボネート、カルバメートまたはエーテルで置換し、これらのすべては、場合により、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミン、ヒドロキシル、ジスルフィド、グアニジニウム、炭素環、および複素環から選択される1つ以上の基で置換することができる(例えば、図7参照、図7に示す「R」は、R17に関して本明細書中で定義するとおりである)。
目的のブリオスタチン化合物として、C26メチル位置での変形を特徴とする化合物が挙げられるが、これらに限定されない。南半球フラグメントを調製する本発明の方法を適合させ、C26メチル位置に任意の都合の良いC26置換基を有する類似体を調製することができる。図8は、中間体10を中間体11に変換するメタセシス反応を介してC26メチル位置に様々なR基を導入するための例示的な戦略を示す。本発明の方法に使用するために任意の簡便な交差メタセシス手順を適合させ、目的の合成中間体(例えば、図8の中間体10)のC26メチル位置にR基を導入することができる。
目的のブリオスタチン化合物として、C20エステル位置での変形を特徴とする化合物が挙げられるが、これらに限定されない。任意の都合のよいエステル基をC20ヒドロキシル基に導入することができる(例えば、本明細書に記載するように)。図9は、例示的な合成戦略を示す。いくつかの例では、エステル基は、ブリオスタチン1のC20エステル位置に存在するオクタジエノエートのようなオクタジエノエート基のアルキン含有前駆体である。南半球のシーケンスを12から14に変更することにより、多種多様なエステル基による13のエステル化を介して類似体を調製することができる(図9)。いくつかの場合では、本明細書に記載するエステル基のいずれも、C20ヒドロキシルの対応するアシルまたは置換アシル置換基として呼称し得ることが理解される。いくつかの場合では、エステル基は、アルキルまたは置換アルキルエステルである。いくつかの場合では、エステル基は、アリールまたは置換アリールエステルである。いくつかの場合では、エステル基は、アルケニルまたは置換アルケニルである。いくつかの場合では、エステル基は、アルキニルまたは置換アルキニルエステルである。
目的のブリオスタチン化合物として、C21エノエートエステル位置での変形を特徴とする化合物が挙げられるが、これらに限定されない。任意の都合のよいエステル基をC20ヒドロキシル基に導入することができる(例えば、本明細書に記載するように)。例えば、図2の工程5では、メチルグリオキシレートの代わりに様々な反応体を使用して、C21位に様々な基を導入することができる。例えばグリオキシル酸エチルなどのグリオキシル酸アルキルエステルを含むがこれらに限定されない、任意の都合のよいグリオキシル酸エステルを、本発明の方法において使用することができる。
本開示の態様には、ブリオスタチン化合物、その塩(例えば、薬学的に許容される塩)、および/またはその溶媒和物、水和物、および/またはプロドラッグ形態が含まれる。さらに、1つ以上のキラル中心を有する本明細書に記載する任意の化合物において、絶対立体化学が明示的に示されていない場合、各中心は、独立して、R配置もしくはS配置であるか、またはその混合物であり得る。塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグおよび立体異性体のすべての置換は、本開示に包含されることを意味することが理解されよう。
いくつかの実施形態では、本発明のブリオスタチン化合物、またはそのプロドラッグ形態を、薬学的に許容される塩の形態で提供する。アミン、イミンまたは窒素含有基を含有する化合物は、本質的に塩基性である場合があり、したがって、任意の数の無機および有機酸と反応して薬学的に許容される酸付加塩を形成し得る。
いくつかの実施形態では、本発明の化合物、プロドラッグ、立体異性体またはその塩を、溶媒和物(例えば、水和物)の形態で提供する。本明細書中で使用する用語「溶媒和物」とは、溶質、例えば、プロドラッグまたはその薬学的に許容される塩の1つ以上の分子と、溶媒の1つ以上の分子によって形成された錯体または凝集体を指す。そのような溶媒和物は、通常、溶質と溶媒との実質的に固定されたモル比を有する結晶性固体である。代表的な溶媒として、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸などが挙げられる。溶媒が水の場合、形成される溶媒和物は水和物である。
有用性
本明細書に記載するブリオスタチン化合物およびその調製方法は、目的のC1ドメイン含有タンパク質を調節することが望まれる、治療的、診断的および研究的応用を含む様々な応用に用途を見出し得る。
ブリオスタチン1は、HIV/AIDSおよびアルツハイマー病の根絶を含む、有効な治療法がない疾患の治療に利用できる。ブリオスタチン1によるアルツハイマー病の治療のためのA150患者第2B相臨床試験が、最近完了した。本発明の全合成法は、持続可能、拡張可能、再現可能、および経済的な方法を提供し、持続的な臨床使用のためのブリオスタチンの世界的供給を補充する。
具体的には、目的の応用として、限定されないが、以下が挙げられる。
1)HIV/AIDSの根絶のためのクラス初の小分子治療薬としてのブリオスタチンの供給。3,700万人を超える男性、女性、および子供がHIVに感染しており、この疾患の進行を止めるために、生涯にわたって毎日薬を飲まなければならない。根絶は、患者の生活に変革的な影響をもたらし、長期的な化学療法に関連する患者の費用および健康の問題を回避できるようにするであろう。さらに、ほとんどの感染者、特に新興国の人々は、信頼できる医薬品へのアクセスがないか、または準拠していないため、根絶はこの地球規模の問題に対処するための主要な戦略となる。ブリオスタチンは、単剤として、および他の潜伏感染再活性化剤との併用の両方において、感染細胞から潜伏性HIVを洗い流すことが示されている。活動性のウイルスのみを標的とするすべての現在の既知の治療法による、生涯にわたる治療が患者に必要とされるのは、ウイルスの潜伏性の性質が原因である。ブリオスタチンは、慢性感染症の根本的原因であるゲノム上にコードされた潜伏ウイルスを標的とする際のリード化合物である。かくして、ブリオスタチンは、その新規な作用機序により、潜伏ウイルスを排除することができた。これは、現在の高活性抗レトロウイルス剤療法(HAART)との併用における、HIV根絶のための最も有望な戦略の1つである。この活性のために、ブリオスタチンは、最近までHIV潜伏再活性化治療のための第I相臨床試験中であった。
2)過小報告を考慮する場合、現在米国における第3の主要な死因であるアルツハイマー病(AD)の治療のためのクラス初の小分子治療薬としてのブリオスタチンの供給。ブリオスタチンのユニークな活性には、脳内のシナプス形成の誘導、ならびにADに関連するアミロイド斑およびタウのもつれの減少が含まれる。マウスモデルにより、これらの作用が学習および記憶を有意に向上させ、疾患の動物モデルにおいて正常な機能を回復させることが示されている。これらの前臨床試験の結果は、ブリオスタチンを、アルツハイマー病の臨床試験と、それに続くAD治療のための第2B相臨床試験に移行させるのに十分な説得力があった。
3)持続的ながん特異的治療法に向けて急速に発展している、そして変革的アプローチであるがん免疫療法のためのクラス初の小分子としてのブリオスタチンの供給。具体的には、ブリオスタチンはがん細胞をより免疫原性にし、それによって免疫細胞ががん細胞を認識して殺傷する能力を増強する。これは、小さな無毒の分子が、がん細胞を、体内の免疫系の特異性、選択性、および力によって排除され得る細胞に変換するがん治療への変革的アプローチの可能性を保持している。がんは先進国では主な死因であり、他国でも急速に高まっている問題である。がん免疫療法は、この地球規模の問題に取り組むための最も有望なアプローチの1つである。PKC調節薬は、抗原発現および外在化の誘導を介してがん細胞をより免疫原性にすることにより、免疫療法の有効性を増強する可能性を提供する。結果として、これらのがん細胞は、本来の免疫システムやモノクローナル抗体によるクリアランスを受けやすくなる。小分子強化免疫療法は、がん細胞を除去するための非毒性の方法であり得る。PKC調節薬は、ヒトがん細胞株において、および患者由来の細胞においてex vivoで免疫刺激活性を示す。がん細胞を免疫刺激細胞に変換するブリオスタチンのような分子は、免疫療法を向上させ、細胞傷害療法によって多くの場合に劣化してしまう本来の免疫系を、がん細胞のクリアランスのために使用することさえできる。いずれもCD69の誘導を伴うことから、この臨床的機会に関する現在の研究は、HIV根絶研究を補完するものである。
4)ニーマン・ピック病、脆弱X染色体病およびシャルコー-マリー-ツース症候群を含むがこれらに限定されない神経変性性の奇病のためのクラス初の小分子治療薬としてのブリオスタチンの供給。
5)脳卒中は米国における長期障害の主な原因である。唯一の急性治療は血栓溶解薬(すなわち組織プラスミノーゲン活性化因子)であるが、これらの治療は症状の発症から<4.5時間に限定され;その期間が過ぎると、血栓溶解薬は実際に生存率を悪化させる。脳卒中のマウスモデルでは、ブリオスタチンは、虚血事象から最大24時間後まで治療機会を延長させ;具体的には、ブリオスタチンは生存率を向上させ、梗塞体積および萎縮を減少させ、脳卒中の21日後の神経機能を向上させた。ここでも、ブリオスタチンの持続可能な供給は、この重要だが満たされていない医学的要求に対する研究を続けるために重要である。
6)その結合タンパク質、例えば、PKCなどのC1ドメイン含有標的タンパク質(例えば、本明細書に記載するような)が関与する任意の適応症のための治療薬としてのブリオスタチンの供給。ブリオスタチンは、活性剤または阻害剤として最も強力で生物学的に活性なPKC調節薬の1つであるため、そのような適応症のためのリード化合物である。例えば、PKC経路は、奇病シャルコー-マリー-ツースに関与している。例えば、C1ドメイン含有標的タンパク質は、例えばジアシルグリセロール(DAG)シグナル伝達経路のような目的の様々なシグナル伝達プロセスに関与している。例えば、C1ドメイン含有標的タンパク質は、チクングニアウイルスに関与している。
7)ブリオスタチン類似体の最も時間および費用対効果のある合成の提供。天然物は治療上重要であるが、様々なブリオスタチン類似体は、ブリオスタチンの生物学的活性を再現し、さらに改善することさえあり得る。様々な類似体が、毒性特性の改善、PKCアイソフォーム選択性、およびHIV潜伏期間の逆転研究(ヒト化マウスモデルおよびHIV陽性患者から採取したex vivo試料を含むがこれらに限定されない)における、より陽性の読取り結果を示す。そのような類似体とブリオスタチン1との構造的類似性により、本発明の方法は、類似体の迅速でスケーラブルな合成のためのプラットフォームを提供する。いくつかの場合では、本発明のブリオスタチン化合物は特定のPKCアイソフォームに対する選択性を示す。特定の場合では、選択性は従来のPKCアイソフォームに対するものである。特定の場合では、選択性は新規PKCアイソフォームに対するものである。特定の場合では、選択性はαPKCアイソフォームに対するものである。特定の場合では、選択性はβI PKCアイソフォームに対するものである。特定の場合では、選択性はβII PKCアイソフォームに対するものである。特定の場合では、選択性はγPKCアイソフォームに対するものである。いくつかの実施形態では、本発明の化合物のPKCアイソフォーム選択性に影響を及ぼし得る構造的特徴として、ブリオスタチン類似体の北半球における特徴(例えば、ブリオスタチン1のC-1~C-17に存在する領域に対応する)およびC-26メチル基の有無が挙げられる。これらの特徴は、ファーマコフォアモデル(例えば、本明細書に記載するような)と一致し、ここで、C1、C19およびC26での官能性の変形は、PKC結合親和性ならびに目的の異なるPKCアイソフォームに対する選択的親和性に影響を及ぼす。いくつかの場合では、化合物のサザンフラグメント領域がPKCと接触することが提案されているが、ノーザンフラグメントはサザンフラグメント中の結合エレメントを立体配座的に制御するように機能する一方で、同時に細胞膜中のPKC-リガンド複合体の深さおよび配向に影響を与える。
用語「特異的結合」または「選択的結合」とは、異なる非標的タンパク質の均一混合物中に存在する特定の標的タンパク質(例えば、PKCアイソフォーム)に優先的に結合する化合物の能力を指す。一般論として、特異的結合相互作用は、試料中の標的タンパク質と非標的タンパク質とを区別し、通常、約10倍~100倍以上(例えば、約1000倍以上)である。通常、捕捉剤と分析物が捕捉剤/分析物複合体中において特異的に結合している場合の捕捉剤と分析物の間の親和性は、少なくとも10-8M、少なくとも10-9M、いくつかの場合では少なくとも10-10Mである。
8)ブリオスタチンおよびその類似体は、ライフサイエンス研究のための人気の高い研究ツールである。それらは非常に高価であり、従来の供給源からはマイクログラム量でしか入手できない。本発明の方法は、これらの化合物を量的にそして非常に少ない費用で入手可能な研究ツールとして提供する。
使用方法
本発明のブリオスタチン化合物および医薬製剤を用いた治療方法も提供する。異常な細胞増殖、およびPKC関連障害などのC1ドメイン含有タンパク質が関与する他の障害を含む、本明細書に記載する障害のいずれかに罹患している哺乳類、特にヒトを含む宿主は、本明細書に記載する有効量のブリオスタチン化合物、またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、エステル、溶媒和物、水和物および/または塩を、場合により薬学的に許容される担体または希釈剤の存在下で、宿主に投与することによって治療することができる。活性物質は、任意の適切な経路、例えば、経口、非経口、筋肉内、静脈内、皮内、皮下、経皮、気管支内、咽喉頭内、鼻腔内、局所、直腸内、大槽内、膣内、腹腔内、口腔内、くも膜下腔内に、または経口もしくは経鼻スプレーとして投与することができる。
活性化合物は、治療する宿主に深刻な毒性作用を引き起こすことなく、例えばin vivoでの異常な細胞増殖を治療するための治療有効量の化合物を宿主に送達するのに十分な量で薬学的に許容される担体または希釈剤に含まれる。任意の特定の対象について、個々の必要性および組成物を投与するかまたは投与を管理する人の専門的判断に従って、特定の投与計画を経時的に調整することができることを理解されたい。活性成分は一度に投与してもよく、または複数のより小さな用量に分割して様々な時間間隔で投与してもよい。
本明細書中で使用する場合、薬学的に許容されるプロドラッグまたはその塩とは、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずに、ヒトおよび哺乳類などの宿主の組織に接触させて使用するのに適し、合理的なベネフィット/リスク比に見合い、それらの意図する用途にとって有効な、本開示の化合物のプロドラッグを表す。本開示のプロドラッグは、in vivoで、例えば血中での加水分解によって、活性な親化合物に急速に変換され得る。
目的のブリオスタチン化合物は、プロテインキナーゼC(PKC)などの様々なC1ドメイン含有タンパク質の活性および細胞局在化を調節することによって作用すると考えられている。PKCファミリーは3つのサブクラス:従来型(α、βI、βII、γ)、新規型(δ、ε、η、θ)、および非定型アイソザイムに分類される。サブクラスは、それらの活性化に必要な要素に基づいて分類される。PKCα、PKCβI、PKCβII、およびPKCγからなる従来型ファミリーのメンバー(cPKC)は、カルシウムとジアシルグリセロール(DAG)の組み合わせによって活性化される。PKCδ、PKCε、PKCθ、およびPKCθからなる新規型ファミリー(nPKC)は、活性化にカルシウムを必要としないが、DAGに応答する。非定型ファミリー(aPKC)のメンバーは、カルシウムまたはDAGのいずれにも応答しない。これら3つのうち、目的のブリオスタチン化合物は、従来型および新規型サブクラスのC1ドメイン(合計8つのアイソザイム)に結合することができる。
従来型および新規型PKCは、調節ドメインと触媒ドメインの両方を組み込んでいる。調節ドメインは、キナーゼの活性状態を制御することに関与している。触媒ドメインは、ATPおよび基質結合部位を含み、リン酸基の転移を触媒する。PKCが不活性である場合、それは閉じた立体配座で存在し、その内部では偽基質配列が基質結合部位を占有し、下流の標的によるアクセスを妨げる。さらに、不活性型のPKCは、活性型の酵素とは異なる細胞区画に局在しており、関連する標的タンパク質から空間的に取り除かれている。ブリオスタチン化合物は、タンパク質のC1ドメインのうちの1つに結合することによってPKCを活性化すると考えられている。この結合の結果、細胞質ゾルから細胞膜へPKCが移行するとともに、タンパク質の基質結合部位が露出し得る。膜会合および膜移行は、活性型キナーゼとアイソフォーム特異的受容体タンパク質(RACK)との相互作用によってさらに影響を受ける。PKCのATP結合部位を標的とし阻害剤としてのみ機能する分子とは対照的に、C1ドメインを標的とする分子は酵素活性を阻害または活性化するように設計することができる。いくつかの場合では、ブリオスタチン化合物は、これら8つのアイソザイムのうちの1つまたはサブセットを選択的に調節し、選択された調節活性を提供し、多くの種類の治療的介入においてより広い範囲の有効性、およびC1ドメインがキナーゼファミリーのすべてのメンバーに存在するわけではないため、機能におけるより大きな選択性を提供する。
プロテインキナーゼCは、イノシトールリン脂質分解を介して進行するシグナル伝達経路の一方のアームを媒介する。この経路は、増殖因子およびがん遺伝子を含む広範囲の細胞エフェクターの作用に関与しており、サイクリックAMPセカンドメッセンジャー系の経路のような他の形質導入経路に間接的に影響を及ぼす。したがって、本発明のブリオスタチン化合物を用いたPKC活性の調節は、多くの治療分野における薬学的介入のためのアプローチを提供することができる。PKCδは様々なアポトーシス経路において重要な役割を果たしており、がん細胞の転移能に影響を及ぼす可能性があり、またPKCεもまた、がん発症に関与していることが示されている。PKCβ1もまた、アポトーシス経路における必須の関与タンパク質である。特定のクラスのPKCアイソザイムを選択的に調節することができる類似体を本明細書に開示する。
一態様では、本開示の化合物は、哺乳類対象における抗がん剤として利用できる。例えば、本開示の化合物が有用であり得る代表的ながん状態および細胞型として、黒色腫、骨髄腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、結腸直腸癌、腎臓癌、前立腺癌、頭、首、胃、食道、肛門、または子宮頸部のがん、卵巣癌、乳癌、腹膜癌、および非小細胞肺癌が挙げられる。本発明のブリオスタチン化合物は、他の抗がん化合物の機序とは異なる機序によって作用すると考えられるため、他の抗がん剤および治療と併用して相乗的に、多機構アプローチを介してがんを治療することができる。
いくつかの態様では、本開示の化合物を用いて、哺乳類対象の免疫系を強化することができ、その場合、本開示の化合物を、阻害または活性化によるPKC経路の調節を必要とする免疫系の1つ以上の成分を増加させるのに有効な量で対象に投与する。例えば、免疫系の強化は、T細胞、抗体産生細胞、腫瘍壊死因子、インターロイキン、インターフェロンなどのレベルの上昇によって証明することができる。有効用量は、抗がん用途の投与量に匹敵し得、様々な免疫応答アッセイプロトコールを用いて最適化することができる(例えば、米国特許第5,358,711号参照)。本発明の化合物は、例えば抗がん療法を受けようとしている対象に対して予防的に、ならびに例えば、微生物感染症に罹患している対象、熱傷犠牲者、神経内分泌障害、糖尿病、貧血、放射線治療、または抗がん化学療法を有する対象に対して治療的に投与することができる。本開示の化合物の免疫刺激活性は抗がん化合物の中では珍しく、抗がん用途に対して二重の利益を提供する。第一に、免疫賦活活性により、本開示の化合物を、類似の抗がん活性を有するが免疫賦活活性を欠く化合物について可能であるよりも高用量でかつより長期間使用することが可能になる。第二に、本開示の化合物は、併用療法において使用する場合、他の薬物または治療計画の免疫抑制効果を相殺することができる。
いくつかの実施形態では、異常細胞増殖障害は、腫瘍およびがん、乾癬、自己免疫疾患、メサンギウム細胞の異常増殖によって引き起こされる障害(糸球体腎炎、糖尿病性腎症、悪性腎硬化症、血栓性微小血管症、移植拒絶反応、および糸球体症などのヒト腎疾患を含む)、慢性関節リウマチ、ベーチェット症候群、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、虚血性心疾患、透析後症候群、白血病、血管炎、再狭窄、神経障害性疼痛、慢性低酸素性肺高血圧症、脂質性組織球増殖症、急性および慢性腎症、アテローム、動脈再狭窄、自己免疫疾患、または網膜血管増殖を伴う眼疾患(例えば、糖尿病性網膜症)である。
本開示の化合物が有用であり得る他の応用分野として、連想記憶障害が挙げられる。PKCシグナル伝達経路は、アルツハイマー病(AD)の神経変性病態生理における点を調節することが観察されている。ブリオスタチン-1は前臨床的に研究されており、認知の回復および抗うつ効果があることが実証されている。これは、神経毒性アミロイド産生および蓄積の減少、選択されたPKCアイソフォームの活性化、長期記憶に関与するタンパク質の合成の誘導、ならびにストレス誘導によるPKC活性の阻害の回復によるものであり得る。本開示の化合物は、関与する特定のPKCアイソフォームの調節においてより選択的な活性を、および天然物に比べて低い毒性を有し得るとともに、腫瘍促進能力を有し得ず(他のクラスのPKC調節薬化合物とは異なり)、したがって、AD、うつ病ならびに他の認知障害および記憶障害を治療するための治療薬としての有用性を提供する。
エプスタインバーウイルス関連上咽頭癌(NPC)の場合、本開示の化合物は、PKCを活性化して罹患細胞を第2の治療剤、例えば、ガンシクロビルおよび/または放射線による殺傷に対して感受性にすることによる抗ウイルス療法および抗増殖療法において有用であり得る。これはまた、HIVやHSVなどの他のウイルス感染症に対する併用療法に対しても有効なアプローチである。
併用療法
本開示のブリオスタチン化合物を、他の化学療法剤と併用してがんを治療することができる。いくつかの実施形態では、併用は相乗的な治療効果をもたらし得る。相乗作用は、異なる機構的経路を介して作用する2つの治療薬を使用することの効果から生じると考えられている。例えば、タキソールおよびブリオスタチン類似体化合物を一緒に、同じ組成物中でまたは別々に対象に投与する場合、単一の機構的経路を介して作用する単一の薬剤のみを使用するか、または新生物細胞上の1つの部位でのみ結合することにより、腫瘍細胞が容易に耐性を獲得することを妨げ得る。次いで、例えば本発明の化合物と、例えばタキソールとの間の相互作用、またはがんならびに他の増殖性および免疫関連障害を治療するために使用する他のクラスの化学療法剤との相互作用において、相乗作用がもたらされ得る。
本開示の化合物は、誘導化学療法、一次(ネオアジュバント)化学療法、ならびに補助放射線療法および補助化学療法の両方を含む、放射線および化学療法治療と併用してまたは交互に使用することができる。さらに、放射線療法および化学療法は、がんの治療において、外科手術に対するアジュバントとしてしばしばその必要が示される。補助療法の設定における放射線療法および化学療法の目的は、原発腫瘍が抑制された場合に再発のリスクを低減し、無病生存期間を延ばすことである。化学療法は、疾患が転移性である場合に頻繁に、肺癌や乳癌の治療用アジュバントとして利用される。補助放射線療法は、肺癌や乳癌を含むいくつかの疾患においてその必要が示される。本開示の化合物はまた、放射線療法および/または化学療法と併用したがんの治療において、手術後に有用である。本開示の化合物は、同じ組成物中で同時に、または1つ以上のさらなる活性薬剤を投与した後に投与してもよい。
本開示のプロテインキナーゼC調節薬と併用することができる活性薬剤として、アルキル化剤、代謝拮抗薬、ホルモンおよびアンタゴニスト、他のクラスのプロテインキナーゼC調節薬、微小管安定化剤、放射性同位体、抗体、ならびに天然物、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本開示の化合物は、ドキソルビシンおよび他のアントラサイクリン類似体などの抗生物質、シクロホスファミドなどのナイトロジェンマスタード、5-フルオロウラシルなどのピリミジン類似体、シスプラチン、ヒドロキシ尿素などと共に投与することができる。別の例として、腫瘍が性腺刺激ホルモン依存性および性腺刺激ホルモン非依存性細胞を含む乳腺癌のような混合腫瘍の場合、化合物を、ロイプロリドまたはゴセレリン(LH-RHの合成ペプチド類似体)と併用して投与することができる。他の抗悪性腫瘍プロトコールとして、本開示の化合物を、本明細書中で「補助抗悪性腫瘍療法」とも呼ぶ別の治療法、例えば外科手術または放射線療法と共に使用することが挙げられる。
本開示の組成物および方法の両方において、本開示の化合物との併用に有用な活性薬剤のより具体的な例として、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタンミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、およびクロラムブシル)などのアルキル化剤;ニトロ尿素、ブスルファンなどのアルキルスルホネート;ダカルバジン(DTIC)などのトリアジン;代謝拮抗薬;メトトレキサートおよびトリメトレキサートなどの葉酸類似体;5-フルオロウラシル、フルオロデオキシウリジン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシド(AraC、シタラビン)、5-アザシチジン、および2,2’-ジフルオロデオキシシチジンなどのピリミジン類似体;6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、アザチオプリン、2’-デオキシコホルマイシン(ペントスタチン)、エリスロヒドロキシノニルアデニン(EHNA)、フルダラビンホスフェート、および2-クロロデオキシ-アデノシン(クラドリビン、2-CdA)などのプリン類似体;パクリタキセル(タキソール(登録商標))、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン、およびビノレルビン)、タキソテール(登録商標)(ドセタキセル)、カンプトテシン、エストラムスチン、リン酸エストラムスチン、コルヒチン、ブリオスタチン、コンブレタチン(例えば、コンブレタスタチンA-4ホスフェート、コンブレタスタチンA-1およびコンブレタスタチンA-3、ならびにそれらのリン酸塩)、ドラスタチン10~15、ポドフィロトキシン、およびエピポドフィロトキシン(例えば、エトポシドおよびテニポシド)などの天然物;例えば、アクチモマイシンD、ダウノマイシン(ルビドマイシン)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ミトキサントロン、イダルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、およびトブラマイシンなどの抗生物質;L-アスパラギナーゼなどの酵素;HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)、RITUXAN(登録商標)(リツキシマブ)、PANOREX(登録商標)(エドレコロマブ)、ZEVALIN(登録商標)(イブリツモマブ・チウキセタン)、MYLOTARGT(登録商標)(ゲムツズマブ・オゾガマイシン)、およびCAMPATH(登録商標)(アレムツズマブ)などの抗体;インターフェロン-α、IL-2、G-CSF、およびGM-CSFなどの生物学的応答調節薬;分化剤;レチノイン酸誘導体;メトロニダゾール、ミソニダゾール、デスメチルミソニダゾール、ピモニダゾール、エタニダゾール、ニモラゾール、RSU1069、E09、RB6145、SR4233、ニコチンアミド、5-ブロモデオキシウリジン、5-ヨードデオキシウリジン、およびブロモデオキシシチジンなどの放射線増感剤;シスプラチン、カルボプラチンなどの白金配位錯体;アントラセンジオン;ミトキサントロン;ヒドロキシ尿素などの置換尿素;N-メチルヒドラジン(MIH)およびプロカルバジンなどのメチルヒドラジン誘導体;ミトタン(o,p’-DDD)、アミノグルテチミドなどの副腎皮質抑制剤;インターフェロンα、β、およびγ、ならびにインターロイキン2(IL-2)などのサイトカイン;プレドニゾンおよびその等価体、デキサメタゾン、ならびにアミノグルテチミドなどの副腎皮質ステロイド/アンタゴニストを含むホルモンおよびホルモンアンタゴニスト;ヒドロキシプロゲステロン、カプロン酸塩、酢酸メドロキシプロゲステロン、および酢酸メゲステロールなどのプロゲスチン;ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール、およびそれらの等価体などのエストロゲン;タモキシフェンなどの抗エストロゲン剤;プロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロン、ならびにそれらの等価体などのアンドロゲン;フルタミドなどの抗アンドロゲン剤;ロイプロリドなどの性腺刺激ホルモン放出ホルモン類似体;フルタミドなどの非ステロイド系抗アンドロゲン剤、ならびに、ヘマトポルフィリンおよびその誘導体、Photofrin(登録商標)、ベンゾポルフィリンおよびその誘導体、Npe6、スズエチオポルフィリン(SnET2)、フェオボリド(pheoboride)-α、バクテリオクロロフィル-α、ナフタロシアニン、フタロシアニン、および亜鉛フタロシアニンなどの光増感剤が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施形態では、本開示の化合物を、ビンクリスチン、シスプラチン、ara-C、タキサン、エダトレキサート、L-ブチオニンスルホキシド、チアゾフリン、硝酸ガリウム、ドキソルビシン、エトポシド、ポドフィロトキシン、シクロホスファミド、カンプトテシン、ドラスタチン、およびアウリスタチン-PEなどの群から選択される第2の薬剤と併用してまたは交互に投与し、また、放射線療法を併用してもよい。いくつかの実施形態では、併用療法は、ara-C、タキソール、シスプラチンおよびビンクリスチンから選択される薬剤の同時投与を伴う。特定の実施形態では、本開示の化合物を、タキソールと併用してまたは交互に投与する。別の実施形態では、化合物を、シスプラチンと併用してまたは交互に投与する。さらに別の実施形態では、本開示の化合物を、ビンクリスチンと併用してまたは交互に投与する。さらなる実施形態では、本発明の化合物を、ara-Cと併用してまたは交互に投与する。
いくつかの実施形態では、本開示の化合物とは異なる免疫抑制機序を介して治療活性を有する第2の薬剤を、本開示の化合物と併用してまたは交互に投与する。他の実施形態では、免疫抑制機序を介して治療活性を有する第2の薬剤を、本開示の化合物と併用してまたは交互に投与する。いくつかの実施形態では、第2の薬剤の前記投与を、本開示の化合物の投与の前、後、または同時に行う。いくつかの実施形態では、本発明の化合物の投与は、経口、静脈内、動脈内、筋肉内、局所、腹腔内、非経口、経皮、眼球、またはくも膜下腔内の経路を介して行う。いくつかの実施形態では、第2の薬剤を、本開示の化合物と同じ投与経路で投与する。本発明の方法のいくつかの実施形態では、第2の治療薬の投与を、本開示の化合物とは異なる投与経路を介して行う。第2の治療薬の投与は、本開示の化合物の投与の前に、同じ組成物中で一緒に、または投与後に行ってもよい。
プロテインキナーゼC(PKC)-NF-kBシグナル伝達経路を介して作動し、リザーバー細胞の転写活性化を選択的に誘導するHIV/AIDSに関して、ブリオスタチンは、HDACおよびブロモドメイン阻害剤を含むすべての潜伏感染再活性化剤(LRA)((a)Bullen,C.K.;Laird,G.M.;Durand,C.M.;Siliciano,J.D.;Siliciano,R.F.“New ex vivo approaches distinguish effective single agents for reversing HIV-1 latency in vivo”Nature Medicine 2014,20(4),425-429. (b)Archin,N.;Marsh Sung,J.;Garrido,C.;Soriano-Sarabia,N.;Margolis,D.“Eradicating HIV-1 infection:seeking to clear a persistent pathogen.”Nat.Rev.Microbiol.2014,12,750-764. (c)Barouch,D.;Deeks,S.“Immunologic strategies for HIV-1 remission and eradication.”Science 2014,345,169-174;(d)Siliciano,J.;Siliciano,R.“Recent developments in the search for a cure for HIV-1 infection:Targeting the latent reservoir for HIV-1.”J.Allergy Clin Immunol.2014,134,12-19;(e)Chan,C.N.;Dietrich,I.;Hosie,M.;Willet,B.“Recent developments in human immunodeficiency virus-1 latency research.”J.Gen.Virol.2013,94,917-932)のうち、最も有望である。ブリオスタチンはまた、HIV受容体CD4およびCXCR4の発現を下方制御し、新規感染を抑制する。ブリオスタチンは、HDAC阻害剤およびブロモドメイン阻害剤(例えば、ジスルフィラム、JQ1、パノビノスタット、ロミデプシン、ボリノスタット、ブリオスタチン、プロスタチン、アセトリチン)と相乗効果を示し、ex vivoでの潜伏感染再活性化効果を増強することが示されている(Siliciano,J.Clin.Invest.,2015,125,1901,J Clin Invest.2015;125(5):1901-1912. doi:10.1172/JCI80142. Nature Medicine 22,807-811(2016)doi:10.1038/nm.4124)。
医薬製剤
医薬製剤も提供する。医薬製剤は、薬学的に許容されるビヒクル中に存在するブリオスタチン化合物(例えば、単独での、または1つ以上の追加の活性薬剤の存在下での1つ以上の本発明の化合物)を含む組成物である。「薬学的に許容されるビヒクル」は、連邦政府もしくは州政府の規制当局によって承認されるか、またはヒトなどの哺乳類における使用に関して米国薬局方もしくは他の一般に認められている薬局方に記載されるビヒクルであってもよい。用語「ビヒクル」とは、本開示の化合物とともに哺乳類への投与のために製剤化する希釈剤、アジュバント、賦形剤、または担体を指す。そのような医薬用ビヒクルは、液体、例えば、水、および石油性、動物性、植物性または合成由来のものを含む油、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などであり得る。薬学的ビヒクルは、食塩水、アラビアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイドシリカ、尿素などであり得る。さらに、補助剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤および着色剤を使用してもよい。
哺乳類に投与する場合、本開示のブリオスタチン化合物および組成物ならびに薬学的に許容されるビヒクル、賦形剤、または希釈剤は無菌であってもよい。いくつかの例では、本化合物を静脈内投与する場合、水、食塩水、ならびにデキストロース水溶液およびグリセロール溶液などの水性媒体をビヒクルとして使用する。
医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、丸剤、ペレット剤、ロゼンジ剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、エリキシル剤、液剤、懸濁剤、乳剤、坐剤、もしくはその徐放製剤の形態、または哺乳類への投与に適した他の形態をとることができる。いくつかの場合では、医薬組成物を、ヒトへの経口または静脈内投与に適合した医薬組成物として、日常的な手順に従って投与するために製剤化する。適切な薬学的ビヒクルおよびその製剤化方法の例は、参照として本明細書に援用するRemington:The Science and Practice of Pharmacy,Alfonso R.Gennaro ed.,Mack Publishing Co. Easton,Pa.,19th ed.,1995,Chapters 86,87,88,91,および92に記載されている。賦形剤の選択は、部分的には特定の化合物によって、ならびに組成物を投与するために使用する特定の方法によって判定する。したがって、本発明の医薬組成物の多種多様な適切な製剤が存在する。
本発明の化合物の投与は、全身的または局所的であり得る。特定の実施形態では、哺乳類への投与は、本開示のブリオスタチン化合物の全身放出(例えば、血流中への)をもたらすであろう。投与方法は、経口、口腔内、舌下、および直腸などの経腸経路;経皮および皮内などの局所投与;ならびに非経口投与を含み得る。適切な非経口経路として、皮下注射針またはカテーテルを介した注射、例えば静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、動脈内、脳室内、くも膜下腔内および前房内注射、ならびに膣内、直腸、または鼻腔内投与などの非注射経路が挙げられる。特定の実施形態では、本開示のブリオスタチン化合物および組成物を皮下に投与する。特定の実施形態では、本開示のブリオスタチン化合物および組成物を経口投与する。特定の実施形態では、治療を必要とする領域に本開示の1つ以上の化合物を局所的に投与することが望ましい場合がある。これは、例えば、手術中の局所注入によって、例えば手術後の創傷被覆材と組み合わせた局所塗布、注射によって、カテーテルによって、坐剤によって、またはインプラントによって達成することができ、前記インプラントは、シアラスティック膜などの膜、または繊維を含む、多孔質、非多孔質、またはゼラチン状材料のインプラントである。
眼障害の治療のために、本開示の医薬製剤を、例えば点眼剤、結膜下注射、結膜下インプラント、硝子体内注射、硝子体内インプラント、テノン嚢下注射またはテノン嚢下インプラントによって投与してもよい。
ブリオスタチン化合物は、水性または非水性溶媒、例えば、植物性または他の類似の油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエステルまたはプロピレングリコールに;および必要ならば、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤および保存剤などの通常使用されている添加剤と共に、溶解、懸濁または乳化させることによって注射用製剤に製剤化することができる。
本発明のブリオスタチン化合物は、経口投与用に製剤化することもできる。経口医薬製剤の場合、適切な賦形剤として、マンニトール、ラクトース、グルコース、スクロース、デンプン、セルロース、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、および/または炭酸マグネシウムなどの医薬グレードの担体が挙げられる。経口液体製剤に使用するために、組成物を、例えば、食塩水、デキストロース水溶液、グリセロール、またはエタノールなどの水性担体、いくつかの場合では水または生理食塩水中での水和に適した固体または液体の形態で供給される溶液、懸濁液、エマルジョンまたはシロップとして調製してもよい。所望であれば、組成物には、湿潤剤、乳化剤、または緩衝剤などの少量の無毒性補助物質も含ませてよい。いくつかの実施形態では、経口投与に適した製剤は、(a)水または生理食塩水などの希釈剤に溶解した有効量の化合物などの液体溶液;(b)固形剤または顆粒剤としてそれぞれ所定量の有効成分を含有するカプセル剤、サシェ剤または錠剤;(c)適切な液体中の懸濁液;および(d)適切な乳剤を含むことができる。錠剤形態は、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ、ポテトスターチ、微結晶セルロース、アラビアゴム、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、および他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、香味料、および薬理学的に適合する賦形剤の1つ以上を含み得る。ロゼンジ形態は、有効成分を、香味料、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガント中に含ませることができ、ならびに、有効成分を、例えばゼラチンおよびグリセリンなどの不活性基剤中に含むトローチ、または有効成分に加えて、賦形剤を含むスクロースおよびアカシア、エマルジョン、ゲルなどを本明細書に記載する。
いくつかの実施形態では、非経口投与に適した製剤として、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る水性および非水性の等張無菌注射液、ならびに懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および保存剤を含み得る水性および非水性の無菌懸濁液が挙げられる。製剤は、アンプルおよびバイアルなどの単位用量または複数用量の密封容器で提供することができ、注射のために、使用直前に、滅菌液体賦形剤、例えば水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することができる。即時注射溶液および懸濁液は、前述の種類の滅菌散剤、顆粒剤、および錠剤から調製することができる。
局所投与に適した製剤は、活性成分に加えて適切な担体を含有するクリーム、ゲル、ペーストまたはフォームとして提供してもよい。いくつかの実施形態では、局所製剤は、構造化剤、増粘剤またはゲル化剤、および皮膚軟化剤または潤滑剤から選択される1つ以上の成分を含有する。頻繁に使用される構造化剤として、ステアリルアルコールなどの長鎖アルコール、ならびにグリセリルエーテルまたはそのエステルおよびオリゴ(エチレンオキシド)エーテルまたはそのエステルが挙げられる。増粘剤およびゲル化剤として、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸のポリマーおよびそのエステル、ポリアクリルアミド、ならびに寒天、カラギーナン、ゼラチン、およびグアーガムなどの天然の増粘剤が挙げられる。皮膚軟化剤の例として、トリグリセリドエステル、脂肪酸エステルおよびアミド、蜜蝋、鯨蝋、またはカルナウバロウなどのワックス、レシチンなどのリン脂質、ならびにそのステロールおよび脂肪酸エステルが挙げられる。局所製剤は、さらに、他の成分、例えば、収斂剤、芳香剤、色素、皮膚浸透促進剤、日焼け止め(例えば日焼け防止剤)などを含み得る。
シロップ剤、エリキシル剤、および懸濁剤などの経口または直腸投与用の単位剤形を提供してもよく、各剤形単位、例えば、小さじ1杯、大さじ1杯、錠剤または坐剤は、1つ以上の阻害剤を含有する所定量の組成物を含有する。同様に、注射または静脈内投与のための単位剤形は、滅菌水、生理食塩水または別の薬学的に許容される担体中の溶液として組成物中に阻害剤(複数可)を含み得る。
本明細書中で使用する場合、用語「単位剤形」とは、ヒトおよび動物対象に対する単位投与量として適切な物理的に個別の単位を指し、各単位は、薬学的に許容される希釈剤、担体またはビヒクルと組み合わせて所望の効果を生じるのに十分な量で計算される所定量の本開示のブリオスタチン化合物を含む。本開示の新規単位剤形の仕様は、使用する特定の化合物および達成すべき効果、ならびに宿主における各化合物に関連する薬力学に依存する。医薬剤形において、化合物を、遊離塩基、その薬学的に許容される塩の形態で投与してもよく、またはそれらを単独でまたは適切な組み合わせで、ならびに他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて使用してもよい。
用量レベルは、特定のブリオスタチン化合物、送達ビヒクルの性質などの関数として変動し得る。所与の化合物についての所望の用量は、様々な手段によって容易に決定可能である。本開示に関して、動物、特にヒトに投与する用量は、例えば本明細書においてより詳細に記載するように、妥当な期間にわたって動物において予防的または治療的応答をもたらすのに十分であるべきである。用量は、使用する特定の化合物の強度、動物の状態、および動物の体重、ならびに病気の重症度および疾患の段階を含む様々な要因に左右される。用量の大きさはまた、特定の化合物の投与に伴う可能性がある有害な副作用の存在、性質、および程度によっても決定される。
以下の実施例は、当業者に本発明の製造方法および使用方法の完全な開示および説明を提供するために提示するものであり、本発明者らが考える発明の範囲を限定することを意図するものではなく、また、以下の実験が実施した全てまたは唯一の実験であることを表すことを意図するものでもない。使用する数字(例えば、量、温度など)に関して、正確さを確保するための努力を行ってはいるが、いくらかの実験誤差および偏差は考慮されるべきである。
実施例1:合成戦略
ブリオスタチンは、3個の埋め込まれたピラニル環、11個のキラル中心、および5個の二重結合を有する大環状ラクトンである。本明細書中に記載するブリオスタチンの全合成は、ブリオスタチンのB環を同時に形成するエステル化/マクロPrins環化戦略を用いた「ノーザンフラグメント」(ブリオスタチンのA環を含む)と「サザンフラグメント」(ブリオスタチンのC環を含む)を構成する2つの比較的に複雑な前駆体の結合によって達成される。各フラグメントを独立して組み立て、それによって並行的時間節約型の合成を提供する。サザンフラグメントは13以下、例えば12以下の合成操作(工程)で製造し、ノーザンフラグメントは10以下、例えば9以下の工程で製造する。フラグメントカップリングおよび合成の完了にはさらに6工程が含まれる。したがって、最長の線形シーケンスは19工程であり、総合的なエフォートは近代的な工業規模の合成の能力の範囲内に収まるものである。
サザンフラグメントの合成のための化学的出発試薬は、市販の3,4-ジヒドロ-2H-ピランおよび臭化プレニルである。これらの試薬からサザンフラグメントを完成させるための全工程数は13工程である(全体収率約16%)。サザンフラグメントの合成シーケンスは以下のとおりである(以下の工程の記載については図2参照):
工程1)線状オクテニルジオールを得るための3,4-ジヒドロ-2H-ピランの臭化プレニルによるプレニル化。この反応はさまざまな形で報告されているが、最初の加水分解反応のpHを厳密に制御し(3.5~4)、臭化アリルの当量数を最適化し、さらに副生成物を除去するのに役立つ酸性の後処理を行うことにより、副生成物の生成を排除することによって、最高収率を向上させた。重要なことには、この反応シーケンスから製造した粗製物質はさらに精製することなく次の操作に直接使用することができる。
工程2)オクテニルケトアルデヒドを形成するためのジオールの二重酸化。反応条件を開発し、有意な競合ラクトンを形成させることなく、第一級および第二級アルコールの両方の同時酸化を提供した。
工程3)アルデヒドの立体選択的クロチル化、C環を形成するための立体選択的ピラン形成環化(例えば、クロチル化と同じ酸および溶媒を使用した)、およびエポキシ化/メタノリシスシーケンスによるピランの酸素化を含む1フラスコの多反応シーケンス。合成環化/エポキシ化の一般的な順序はいくつかのブリオスタチンファミリー合成において共通であるが、この3つの操作シーケンスでは初めて、これらの反応(特に>99%eeのメントン媒介エナンチオ選択的クロチル化)を単一フラスコ中で一緒に組み合わせ、これにより、全体的な工程数を減らし、後処理や移送の際の材料の無駄や損失を最小限に抑えた。これは天然のブリオスタチンC環の戦略的に官能化された前駆体へのアクセスに関して報告された最短の経路(3段階)である。
工程4)第二級ピラニルアルコールからケトンへの酸化を、両方のC20アルコールジアステレオマーを酸化する穏和な酸化剤の使用を通して首尾よく達成した。
工程5)環外エノエートを導入するためのグリオキシル酸メチルとのアルドール反応。蒸留したばかりのグリオキシル酸エステルを使用する場合に最良の結果が得られる。
工程6)ピラニルケトンからアルコールへの立体選択的ルーシェ還元。
工程7)得られたピラニルアルコールとオクチル酸無水物とのエステル化(2工程でおよそ90%)。C20エステルは高いPKC結合親和性には必要ではないが、アイソフォーム選択性、膜会合、細胞内局在性、および/または他の薬理学的特性において役割を果たすことができるため、これはアナログ構造への多様化のための良い点である。アルキノエートは、「マスクされた」ジエノエートとして機能する重要な中間体を提供し、側鎖に影響を与えることなくその後の酸化反応を可能にする。反応濃度、時間、および温度を、高収率の生成物が得られるように最適化した。従来のエステル化戦略(例えば、カルボジイミド、ウロニウム/ホスホニウム試薬、混合無水物)は、生成物をきれいにまたは効率的に送達しなかった。
工程8)シス-ジオールを得るための立体-、位置-および化学選択的オレフィンジヒドロキシル化。Wenderのグループは、C25およびC26ジオールを導入するための後期シャープレスジヒドロキシル化を行う唯一のグループであり、この特定の基質は、分子内の4つのπ系のうち1つのみが短時間で反応し、検出可能な過酸化生成物を含まない、高いジアステレオマー比(約11:1)の所望の生成物が得られるという点でユニークである。
工程9)得られた粗製ジオールのアセトニド保護。
工程10)オレフィンをアルデヒドに変換するためのオゾン分解。類似のオゾン分解反応が報告されているが、本発明者らの収率は実質的に向上している(>90%対46%)。オゾン分解は、他のπ系に影響を与えることなく、所望の末端アルケンの選択的開裂を伴って進行する。これは、その結果と選択性が予測できなかったいくつかの重要な変換のうちの1つである。
工程11/12)アルデヒド同族体化およびC25/26アセトニド脱保護。本発明者ら以外に、この同族体化戦略に成功したと報告しているグループはない。これはアルデヒド周囲の立体障害のために主要な課題である。反応濃度および亜鉛酸塩の当量数を最適化して高収率を達成した。
工程13)位置選択的アルコール保護。この経路は、最後に1回のカラム精製で工程11~13を実施することができ、これはこれらの中間体が酸不安定であるという事実のために有利であり、最終化合物は中和(pH7緩衝)シリカを用いて精製することができる。最終中間体は、アルデヒドおよびアルコールを含有し、これらをその後の操作に用いてブリオスタチンの全合成を完了させる。
上記の方法は、一連の工程中の任意の都合のよい時点で、例えば工程2、工程3、工程4、工程5、工程6、工程7、工程8、工程9、工程10、工程11、工程12、または工程13で合成に入り、シーケンスの最後まで進み、それにより、記載した最初の工程のうちの1つ以上をバイパスすることによって実施できることを理解されたい。そのような場合、出発物質としての1つの中間化合物、例えば図2に示す1つの中間化合物(またはその類似体)の調製に、任意の都合のよい代替の従来の方法を利用することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを工程2から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを工程3から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを工程4から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを工程5から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを工程6から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを工程7から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを工程8から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを工程9から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを工程10から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを工程11から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、サザンフラグメントを工程12/13から始まる本発明の方法によって調製することができる。
ノーザンフラグメントを合成するための化学的出発試薬は、市販のエチル3,3-ジエトキシプロピオネートおよび酢酸t-ブチルである。これらの試薬からノーザンフラグメントを完成させるための全工程数は10工程である(全体収率約13%)。ノーザンフラグメントの合成シーケンスは以下のとおりである(以下の工程を示す図1参照)。
工程1)ケトエステルを得るためのクライゼン縮合。クライゼン縮合は文献によく記載されているが、2つのエノール化可能なカップリングパートナー間の交差クライゼン縮合は稀である。具体的には、本発明者らは、求電子剤(すなわち3,3-ジエトキシ基)および求核剤(t-ブチル基)の両方の立体的に大きい置換基がエノラート交換を抑制できることを見出した。さらに、過剰のエノラートを使用し、反応混合物を室温に温めることにより、高収率の反応がもたらされた。最後に、本発明者らは、粗製物質の酸洗浄により、その後の接触還元に有害なあらゆる塩基性不純物が除去されることを見出した。いくつかの場合では、代替の従来の方法を利用して、工程1)の生成物を得ることができる。
工程2)C3ケトンの立体選択的Noyori還元。いくつかの場合では、代替の従来の方法を利用して、工程2)の生成物を得ることができる。
工程3)C3アルコールのシリル保護、続いてC5アセタールを加水分解するための酸性後処理。注目すべきことに、このシーケンスの工程1~3は、一週間で一人の化学者によって30g規模で行うことができ、シーケンスの終わりに一回のクロマトグラフィー精製のみを必要とし;このシーケンスもまた、文献で以前に報告されている従来の方法よりも2~4工程短い。
工程4)同等の複雑性を有する2つのフラグメントを結合する立体選択的アルドール反応。本発明者らは、従来のPaterson aldolおよびMukaiyama条件は、所望の1,3-抗生成物を効率的に送達するのに効果がないことを見出した。前者については、C9カルボニルの還元が起こり、後者については、試験した様々なルイス酸が多くとも1:1のd.r.である複雑な混合物をもたらした。他の金属媒介反応(Li、Zn、Sm)は、やはり選択性が乏しいアシル転位をもたらした。したがって、本発明者らは、(a)溶媒組成(炭化水素中約20%のジエチルエーテル)および(b)ホウ素トリフレート上のアルキル置換基(すなわちジエチル)が、高収率の所望のジアステレオマーを得るのに重要である基質制御反応を開発した。この高い複雑性増加反応は、全体の工程数を減らし、単一の工程においてノーザンフラグメントの大部分を組み立てるために重要であった。
工程5)アセトン、アセトニトリル、および酢酸の混合溶媒系における、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを使用した、高度にジアステレオ選択的な(Evans-Saksena)ケトン還元。注目すべきことに、アセトニトリルおよび酢酸の従来の条件を使用しても、中程度の選択性しか得られなかった。共溶媒としてアセトンを添加すると、分子間還元事象が減少し、d.r.が大きく向上した。さらに、本発明者らは、テトラブチルアンモニウムトリアセトキシ水素化ホウ素を、実験安定性が高く安価な代替物であるトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムで代用できることを見出した。したがって、本発明者らが新規開発した反応条件は、構造的に複雑な環状基質上で高いジアステレオ選択性および実用性を達成することにおいて、有意な方法論的進歩を示す。
工程6)ブリオスタチンのA環を形成するためのピラン形成環化。オルトギ酸トリメチルを脱水剤として使用し、環化を完了させた。
工程7)1フラスコでのC7アルコールアセチル化および化学選択的C9アセタール加水分解。C7ケタールの存在下で、あまり置換されないC9アセタールの選択的加水分解を提供するための条件を適用した。
工程8)キラルジアミノフェノール制御剤を用いる高度に立体選択的なアリル化反応。本発明者らは、この困難なアリルシラン部分の導入を単一工程で達成する最初のグループであり;対照的に、従来の方法は、同じ変換を実行するために最大3つの工程を要する。従来のアリル化法(Brown、Keck、Yamamoto)では生成物を生じさせることができなかった。
工程9)C11アルコールのシリル保護。
工程10)C1カルボン酸への化学選択的エステル加水分解。いくつかの場合では、トリメチルスズ水酸化物が、C1エステルとC7エステルとの間のこの化学選択的開裂のための好ましい選択である。ノーザンフラグメントの全収率は10%超(例えば13%)である。最終中間体はアリルシランおよびカルボン酸を含み、これらを、ブリオスタチンを完成させるためのその後の反応において使用する。
上記の方法は、一連の工程中の任意の都合のよい時点で、例えば工程2、工程3、工程4、工程5、工程6、工程7、工程8、工程9、または工程10で合成に入り、シーケンスの最後まで進み、それにより、記載した最初の工程のうちの1つ以上をバイパスすることによって実施できることを理解されたい。そのような場合、出発物質としての1つの中間化合物、例えば図1に示す1つの中間化合物(またはその類似体)の調製に、任意の都合のよい代替の従来の方法を利用することができる。いくつかの場合では、ノーザンフラグメントを工程2から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、ノーザンフラグメントを工程3から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、ノーザンフラグメントを工程4から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、ノーザンフラグメントを工程5から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、ノーザンフラグメントを工程6から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、ノーザンフラグメントを工程7から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、ノーザンフラグメントを工程8から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、ノーザンフラグメントを工程9から始まる本発明の方法によって調製することができる。いくつかの場合では、ノーザンフラグメントを工程10から始まる本発明の方法によって調製することができる。
上記の方法の工程は、工程a、工程b、工程cなどと呼ぶことができ、したがって、工程1、工程2、工程3などと同等であると理解されることを理解されたい。例えば、図1に概説する合成は、工程a~工程jとして示される。工程a~工程jは、図1を参照して上述した工程1~工程10と同等であり、同じ順番であることが理解されよう。
最終段階:
ブリオスタチン1の合成を完了するために、ノーザンおよびサザンフラグメントを、C1酸とC25アルコールとの間のYamaguchiエステル化を介して結合する(図3)。次いで、立体選択的Prins大環状化を介して大環状化合物を形成させる。注目すべきことに、本発明者らのグループはこの変換を実行するための非常に穏やかな条件を開発したが、この条件は、本発明者らの経路の実用性とスケーラビリティを与える。次いで、得られたB環環外オレフィンを、化学量論的オゾン分解反応を介してケトンに変換するが、この変換は他の2つのπ系の存在下で選択的に進行する。
ブリオスタチンのC20オクタジエノエートエステルは、室温で適切な溶媒(例えば、ベンゼン)中でトリフェニルホスフィンおよびフェノールまたは2,4,6-トリメチルフェノールを使用して、容易なオクチノエート異性化反応を介して合成する(図3)。実際には、アルキノエート部分はブリオスタチン合成におけるジエノエート部分の官能性をマスキングするための新規保護基を表しており、さもなければ合成に使用するいくつかの酸化化学反応を妨害していたであろう。次いで、B環の環外メチルエノエートを、Fujiのキラルホスホネートまたはより立体障害のあるキラルBINOLホスホネートを使用して導入し、続いて包括的な脱保護を行ってブリオスタチン1を得る。いくつかの場合では、非置換BINOLホスホネートに比べて有意に高いZ:E比(例えば11:1対3:1 Z:E)を与えた3,3’-ジメチル-BINOLホスホネートを用いてB環の環外メチルエノエートを導入する。
本明細書に概説する工程を、検証し、再現し、いくつかの場合ではマルチグラム量にスケールアップした。最終生成物を逆相HPLCにより精製し、その後の生物学的評価に適した純度>99.5%の物質を得る。さらに、この経路は多様なブリオスタチン類似体化合物ライブラリーの合成に適している。優れた活性を示す多くの単純化された類似体は、この経路により、有意に少ない工程で入手可能である。限定はされないが、例えば、C13(例えば、図6A、図6Bおよび図6C)、C12および/またはC14(図6C)、C20(例えば、図9)、C21、C26(例えば、図7および8)、および/またはC7(例えば、図4)の位置にある非ファーマコフォア要素は、単に本明細書に示す反応の出発試薬を変えることによって容易に変えることができる。最後に、より広い治療範囲を有し、全身毒性の低下したブリオスタチン化合物のプロドラッグ改変体もまた、C26アルコールの単一工程、後期における修飾を用いる本発明の方法を介して容易に入手可能である。要約すると、本発明の方法は、ブリオスタチン1およびブリオスタチンの様々な類似体の、ユニークに短く、費用効果が高く、そして実用的な合成供給を提供する。
実施例1:例示的な合成手順
サザンフラグメント:
1)磁気攪拌棒を備えた一つ口の250mLの丸底フラスコに、飽和NHCl水溶液(23mL)および0.01M HCl(1.2mL)を加え、3.5~4のpHを得た。3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(2.35mL、25.76mmol、1当量)を1分かけてシリンジで添加し、その間に溶液は油性の液滴で不透明になった。最初の1時間は、pHをモニタリングし、調整して3.5~4の間の安定したpHを維持した(全体で0.8mLの0.01M HClを添加した)。3,4-ジヒドロ-2H-ピランから2-ヒドロキシ-テトラヒドロピランへの加水分解をTLCでモニタリングし、18時間後に完了したと判定した(注1)。均質になった反応混合物を氷浴(0℃)で冷却した。THF(20mL)、続いて亜鉛粉末(5.73g、88.2mmol、3.4当量)の単一部分、およびEtO(約2mL)中の臭化プレニル(5.09mL、44.1mmol、1.7当量)の溶液を、約10分かけてシリンジで添加した。5分間激しく攪拌した後、TLC分析により、2-ヒドロキシ-テトラヒドロピランの完全な変換および所望のプレニル化ジオールの形成を確認した。反応混合物をロータリーエバポレーターで直接濃縮してTHFを除去した。得られた水性混合物を10%HCl(100mL)で希釈し、C23-テトラヒドロピラン保護された生成物を加水分解した(注2)。1.5時間後、反応混合物を綿栓(大量の水で洗浄したもの)で濾過して亜鉛を除去した。次に濾液を分液漏斗に移した。水層のTLCが生成物を示さなくなるまで、水層をEtOAc(200mL、次いで10×50mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和水性NaHCOとブライン(100mL)の1:1混合物で洗浄した。この水層を次にEtOAc(8×50mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。この油状物をCHCl(10mL)で希釈し、再濃縮し(EtOAc除去を容易にするために5回繰り返した)、粗製プレニル化ジオール(4.25g、24.4mmol、定量的H-NMRに基づいて94%の収率)を粘性の濁りのある淡黄色の油状物として得た。粗製プレニル化ジオールは、内部標準としてフタル酸ジメチルを使用した定量的H-NMRによる測定で、90~94%の純度であった。実際には、この物質は次のスワーン酸化(工程2)に使用するのに十分清浄であったが;しかしながら、粗製プレニル化ジオールは、2つの方法:(A)純度96%(qNMR)の透明で無色の物質が得られる、蒸留による精製(約1mmHgで沸点85~95℃);(B)純度>99%(qNMR)の物質が得られる、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製のうちの1つを用いて精製してもよい。注1:2-ヒドロキシ-テトラヒドロピランのデータ:TLC R=0.36(50%EtOAc/Hex)、p-アニスアルデヒド中の緑色スポット;H-NMR(400MHz, CDCl)診断ピーク δ 4.90 (t, J = 5.5, 5.5 Hz, 1H), 4.05 - 3.95 (m, 1H), 3.58 - 3.49 (m, 1H)。注2:大規模(250mmol)反応では、本発明者らは少量(通常<3%)のC23-テトラヒドロピラン-保護ジオールを観察した。C23-テトラヒドロピラン-保護ジオールのデータ:50%EtOAc/Hex中のTLC R=0.76;H-NMR(400MHz, CDCl):診断ピーク δ 5.81 (dd, J = 17.5, 10.8 Hz, 1H), 5.10 - 5.01 (m, 2H), 4.59 - 4.55 (m, 1H)。
2)磁気攪拌棒、滴下漏斗、および内部反応温度計を備えた加熱乾燥した3つ口の2Lの丸底フラスコに、CHCl(約800mL、0.2M)および塩化オキサリル(40.5mL、463mmol、3当量)を加えた。反応混合物をドライアイス/アセトン浴(-78℃)で冷却した。CHCl(50mL)中のDMSO(43.85mL、617mmol、4当量)の溶液を、内部温度を-65℃未満に維持する速度(約35分)で滴下漏斗を介して滴下した(注意:ガス発生)。-78℃で25分後、CHCl(100mL)中の工程1のプレニル化ジオール(26.6g、154mmol、1当量)の溶液を、内部温度を-65℃未満に維持する速度(約15分)で滴下漏斗を介して滴下した。この添加の過程で溶液は、不透明、乳白色に変化した。-78℃で2時間激しく攪拌した後、トリエチルアミン(172mL、1.23mol、8当量)を、内部温度を-65℃未満に維持する速度(約25分)で滴下漏斗を介して滴下した。添加が完了したら、反応混合物を氷浴から取り出し、内部温度が-30℃に達するまで(約15分)攪拌した。次いで反応混合物を1M HCl(1.2L)およびペンタン(800mL)を含む分液漏斗に注いだ。層を分離し、水層をペンタン(2×500mL)で抽出した。合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、橙色の油状物を得た(内部標準を用いた定量的H-NMRによる収率87%、注1)。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(25%EtO/ペンタン)により精製し、ケトアルデヒド生成物(20.9g、収率81%)を麦わら色の油状物として得た(注2)。化合物純度をTLC(ワンスポット)分析により確認した。注1:粗製H-NMRの出現にもかかわらず、粗製ケトアルデヒド生成物をクロマトグラフィーにより精製し、H-NMRサイレントな不純物を除去するべきである。注2:粗製ケトアルデヒド生成物は蒸留(約3mmHgで沸点73~75℃)によっても精製することができ、純粋なケトアルデヒド生成物が70%の収率(10.0g規模)で得られる。
3)還流冷却器および磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した3つ口の1Lの丸底フラスコに、工程2のケトアルデヒド(3.03g、18.0mmol、1当量)、クロロホルム(180ml、0.1M)、Nokamiのクロチル転移試薬(7.58g、36.0mmol、2当量)、およびp-TsOH-HO(342mg、1.80mmol、10mol%)を順次加えた。クロチル化反応物を22時間攪拌し、その間に溶液は徐々に濃黄色/橙色になった。22時間後、TLC分析により、ケトアルデヒド出発物質の完全な変換を確認した。4Å粉末モレキュラーシーブ(27g)を2回に分けて加え、続いて追加のp-TsOH-HO(342mg、1.80mmol、10mol%)を加えた。次いでフラスコを70℃の油浴に入れた。5時間還流した後、クロチル化アルコールからジヒドロピラン付加物への脱水環化は、TLC(ジヒドロピラン付加物:100%ペンタン中、TLC R=0.5)による判定により、完了した。反応混合物を氷浴(0℃)で冷却し、固体NaHCO(3.03g、36.0mmol、2当量)を単一部分で加え、続いてメタノール(60mL)を加えた。MMPP-6HO(純度80%、5.02g、8.11mmol、0.45当量)を単一部分で加えた。0℃で40分後、反応混合物をEtO(1L)および飽和NaHCO水溶液(750mL)を含む分液漏斗に注いだ(注:モレキュラーシーブは底部の水層に沈殿する)。層を分離し、水層をEtO(500mL)で抽出した。合わせた有機層を水(500mL)、ブライン(500mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、粗製C20アルコール(C20において約2:1 dr)を黄色/橙色の油状物として得た。C20アルコールは貯蔵時に分解するため、この粗製物質を精製することなく次の工程に直ちに使用した。
4)磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した3つ口の500mLの丸底フラスコに、デス-マーチンペルヨージナン(純度95%、12.12g、27.03mmol、1.5当量)およびCHCl(140mL)を加えた。得られた無色透明の溶液を氷浴(0℃)で冷却した。ピリジン(14.5mL、180mmol、10当量)をシリンジで加え、続いてCHCl中の工程3の粗製C20アルコール(18.0mmol、推定1当量)の溶液(20mL、洗浄2回あり、終濃度約0.1M)を加えた。反応混合物および氷浴を室温に温めた。19.5時間後、TLC分析により、C20アルコールから対応するC20ケトンへの完全な変換を確認した。橙色の溶液を、CHCl(1L)、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(400mL)、およびブライン(200mL)を含む分液漏斗に注いだ。層を分離し、水層をCHCl(500mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO水溶液(500mL)(注意:ガス発生)、1M HCl(500mL)、水(500mL)、およびブライン(500mL)で順次洗浄した。次いで合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(0~10%EtO/石油エーテル)により精製し、4:1のモル比のC20ケトン生成物とイソメントンを得た(注1)。次いで、この混合物を2日間真空下(約1mmHg)に置いてイソメントンを除去し、純粋なC20ケトン生成物の試料(3.12g、C19において20:1のdr、2工程で69%の合計収率)を黄色の油状物として得た。化合物純度をTLC(ワンスポット)分析により確認した。注1:クロチル転移試薬はクロチル化反応の結果としてメントンに変換される。このメントンの一部はイソメントンにエピマー化し、これはC20ケトン生成物とともに部分的に共溶出する。
5)磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した一つ口の100mLの丸底フラスコに、工程4のC20ケトン(1.51g、5.97mmol、1当量)およびTHF(33mL、0.18M)を加えた。炭酸カリウム(4.52g、32.7mmol、5.5当量)を激しく攪拌しながら単一部分で添加した。得られた懸濁液に、グリオキシル酸メチル(2M THF、15mL、30mmol、5当量)をシリンジで添加し(添加時間1分)、続いてメタノール(11mL)をシリンジで添加した(添加時間1分)。最終反応混合物は、約0.1Mの4.4:1のTHF/MeOHの溶液からなっていた。メタノールを添加すると、懸濁液は山吹色に変化し、反応の過程でゆっくり暗色になり橙色になった。1時間後、TLC分析によりC20ケトンの完全な変換を確認した。反応混合物を、飽和NHCl水溶液(250mL)を含む分液漏斗に注いだ。層を分離し、水層を1:1 EtO/ペンタン(3×250mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、粗製の黄色の油状物を得た。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(5%EtOAc/ペンタン)により精製し、C21(E)-エノエート(1.61g、収率84%)をネオンイエローの油状物として得た。化合物純度をTLC(ワンスポット)分析により確認した。
6)磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した一つ口の50mLの丸底フラスコに、工程5のC21(E)-エノエート(400mg、1.24mmol、1当量)およびメタノール(15mL、0.08M)を加えた。反応混合物をアセトニトリル/ドライアイス浴(-50℃)で冷却した。CeCl・7HO(231mg、0.62mmol、0.5当量)を単一部分で加えた。10分後、NaBH(94mg、2.48mmol、2当量)を単一部分で加えた。-50℃でさらに20分後、最初の黄色の溶液は無色になり、TLCによりC20ケトンからC20アルコールへの完全な変換を確認した。氷浴を取り除くことによって反応混合物を室温に温め、EtO(30mL)および飽和NHCl水溶液/ブライン/水の3:2:1混合物(40mL)を含む分液漏斗に注いだ(注意:激しい泡立ち)。層を分離し、水層をEtO(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層を水(30mL)およびブライン(30mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、粗製C20アルコール(400mg)を無色の油状物として得た。
7)磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した8ドラムのバイアルに、工程6の粗製C20アルコール(302mg、0.93mmol、1当量)、CHCl(2.3mL、0.4M)、および無水2-オクチン酸(732mg、2.79mmol、3当量)を加えた。反応混合物を-20℃に冷却した。CHCl(約500μL)中のDMAP(113mg、0.93mmol、1当量)の溶液を約3分かけてシリンジで滴下し、濃橙色の溶液を得た。1.5時間後、冷却浴は自然に0℃に温められ、また、TLCによりC20アルコールの完全な変換およびC20オクチノエートの形成を確認した。0℃で飽和NHCl水溶液(5mL)を加えて反応混合物をクエンチした。層を分離し、水層をEtOAc(3×5mL)で抽出した。合わせた有機層を水(5mL)およびブライン(5mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、橙色の油状物を得た。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(10~20%EtO/ペンタン)により精製し、C20オクチノエート(391mg、C20において>20:1 dr、2工程で収率94%)を粘稠な黄色の油状物として得た(注1)。化合物純度をTLC(ワンスポット)分析により確認した。注1:中和されていないCDClをNMR分析に使用すると、C20-エステルが分解する可能性があることを確認した。したがって、NMRは中和したCDClまたはC中のいずれかで行った。
8)磁気攪拌棒を備えた500mLの丸底フラスコに、KOsO(OH)(20mg、0.054mmol、1mol%)、KFe(CN)(5.37g、16.32mmol、3当量)、KCO(2.26g、16.32mmol、3当量)、MeSONH(518mg、5.44mmol、1当量)、(DHQD)PHAL(212mg、0.27mmol、5mol%)、および1:1 BuOH/HO(110mL、0.05M)を順次チャージした。反応混合物を窒素下で30分間激しく攪拌し、その後攪拌を停止した。別個に、磁気攪拌棒を備えた500mLの丸底フラスコに、工程7のC20オクチノエート(2.43g、5.44mmol、1当量)をチャージし、氷浴(0℃)で冷却した。C20オクチノエートを含むフラスコに、予め混合したオスミウム溶液を注いだ。得られた二相混合物を0℃で激しく攪拌し、TLCによって完了をモニタリングした。100分後、反応混合物を、水(150mL)とEtOAc(150mL)を含む分液漏斗に注ぎ入れた。層を分離し、水層をEtOAc(150mL)で抽出した。合わせた有機層を、硫酸カリウム(100mL)で飽和させた3%硫酸(w/v)(注1参照)、ブライン(200mL)の溶液で洗浄し、MgSOで短時間乾燥させ、濾過し、濃縮し、粗製C25/C26ジオールを、残留オスミウムを含有する紫/褐色の油状物として得た。C25/C26ジオールは貯蔵時に分解するため、この粗製物質を精製することなく次の工程に直ちに使用した。注1:本発明者らは、残留(DHQD)PHALがその後の酸触媒ケタール化工程を阻害することを見出した。したがって、短時間の硫酸/硫酸カリウム洗浄を行い、粗生成物から残留配位子を除去した。しかしながら、本発明者らは、酸に長時間さらされるとC25/C26ジオールが分解することに留意する。
9)磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した100mLの丸底フラスコに、工程8の粗製C25/C26ジオール(5.44mmol、推定1当量)およびCHCl(55mL、0.1M)を加えた。得られた溶液に2,2-ジメトキシプロパン(2.7mL、21.764mmol、4当量)、続いてPPTS(137mg、0.54mmol、10mol%)を加えた。40分後、TLC分析により、C25/C26ジオールの完全な変換およびC25/C26アセトニド生成物の形成を確認した。反応混合物を、飽和NaHCO水溶液(100mL)を含む分液漏斗に注いだ。層を分離し、水層をCHCl(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(15~20%EtO/ペンタン)により精製を行い、2.03g(収率72%)のジアステレオマー的に純粋なC25/C26アセトニドおよび464mgの混合異性体(1.21:1 dr)を取得し、全体で2.49gのC25/C26アセトニド(10.9:1のdr、2工程で合計収率88%)を得た。さらなるクロマトグラフィーにより、ジアステレオマー的に純粋な生成物を得た。C25/C26アセトニドの化合物純度を、TLC(ワンスポット)分析によって確認した。
10)500mLのジャケット付き滴下漏斗および磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した3つ口の2L丸底フラスコに、工程9のC25/C26ジオール(3.65g、7.01mmol、1当量)およびCHCl(70mL、0.1M)を加えた。反応混合物をドライアイス/アセトン浴(-78℃)で冷却した。CHCl(500mL)をジャケット付き滴下漏斗に加え、これもドライアイス/アセトンで冷却した。鮮やかな青色が持続している間(約10分)、滴下漏斗中のCHClを介してオゾン(約4LPM、70Vで調製)を泡立てることにより、飽和オゾン溶液(約0.025MのCHCl)を調製し、その時点で、溶液のヘッドスペースを酸素でパージし、滴下漏斗をセプタムで密封し、残りの反応の間、窒素雰囲気下に維持した。次いで、この新たに調製したオゾン溶液を約2時間かけて反応混合物に滴下した:0.9当量のオゾン添加時にTLCによって反応をモニタリングし、これは不完全であると判定され;次いで、全ての出発物質が消費されるまで追加のオゾンを0.1当量ずつ添加した(約1.8当量、500mL)。続いて、反応混合物をイソプロパノール(500mL)で希釈し、チオ尿素(3.34g、70.1mmol、10当量)を単一部分で添加してクエンチした。ドライアイス浴を取り除くことにより、反応混合物を室温に温めた。16時間後、過酸化物試験片による分析により、オゾニドの完全な還元を確認した。反応混合物をEtO(800mL)およびHO(1.1L)を含む分液漏斗に注いだ。層を分離し、水層をEtO(2×600mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(1L)で洗浄し、合わせた水層をEtO(500mL)で逆抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(10~40%EtO/ペンタン)により精製し、C17アルデヒド生成物(3.42g、収率93%)を無色透明の油状物として得た。化合物純度をTLC(ワンスポット)分析により確認した。
11)磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した8ドラムのバイアルに、シス-1-ブロモ-2-エトキシエチレン(純度95%、257μL、2.30mmol、8当量)およびEtO(957μL、0.3M)をアルゴン下で加えた。反応混合物をドライアイス/アセトン浴(-78℃)で冷却した。t-BuLi(1.55Mペンタン、2.96mL、4.59mmol、16当量)を、バイアルの側面下に1分かけてシリンジで滴下した。無色透明の澄んだ溶液は徐々に白濁した懸濁液になった。-78℃で30分後、MeZn(0.75Mトルエン、3.37mL、2.53mmol、8.8当量)をバイアルの側面下にシリンジで添加した(3分)。懸濁した固形物は徐々に凝集し始めた。-78℃で1時間後、EtO(2.9mL、0.1M)中の前の工程のC17アルデヒド(150mg、0.29mmol、1当量)の溶液を、バイアルの側面下にシリンジで添加した(3分)。溶液は淡黄色になり、白色固体は徐々に溶液になった。-78℃で1.5時間後、1M HCl(18mL、亜鉛酸塩に対して8当量)を5分かけてシリンジで添加して反応混合物をクエンチした。ドライアイス浴を除去することによって反応混合物を約30分かけて室温まで温め、18時間激しく攪拌し、その時点で、TLC分析により、1,2-付加した付加物から所望のエナール生成物への完全な変換を確認した(TLC R=0.25、20%EtOAc/Hex、p-アニスアルデヒド中の紫色のスポット)。層を分離し、水層をEtO(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。pH7の緩衝化シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(30%EtO/Hex)により精製し、エナール生成物(122mg、収率78%)をオフホワイトの泡状物として得た。化合物純度をTLC(ワンスポット)分析により確認した。
12)磁気攪拌棒を備えた8ドラムのバイアルに、工程11のエナール(54mg、0.10mmol、1当量)、4:1 MeCN/HO(5mL、0.02M)、およびp-TsOH-HO(186mg、1.0mmol、10当量)を単一部分で順次加えた。無色の反応混合物を室温で28時間、45℃の油浴中で45分間、次いで室温でさらに18時間攪拌し、この時点で、反応混合物はTLCにより1スポットであった(注1)。0℃で飽和NaHCO水溶液(5mL)をピペットで添加して反応混合物をクエンチし、水層のTLCがもはや生成物を示さなくなるまでEtOAc(4×15mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。pH7の緩衝化シリカゲルクロマトグラフィー(80~100%EtOAc/Hex)により精製を行い、所望のトリオール生成物(42mg、収率88%)を白色の非晶質固体として得た(注2、3)。化合物純度をTLC(ワンスポット)分析により確認した。注1:TLCによると、C25/C26アセトニドは室温で数時間以内に加水分解されるが、C19-OMeはより長い反応時間を必要とする:C19-OMe存在下でのC25/C26アセトニド加水分解生成物TLC R=0.38(80%EtOAc/Hex)、UV活性、p-アニスアルデヒド中の紫色スポット);トリオール生成物TLC R=0.24(80%EtOAc/Hex、UV活性、p-アニスアルデヒド中の紫色スポット)。注2:緩衝化シリカゲルは、10重量%のpH7のリン酸緩衝液をシリカに添加し、約12時間回転させることによって調製した。シリカゲルの長いカラムにさらされると、トリオール生成物は分解する。注3:-20℃のベンゼン中で保存した場合でも、トリオール生成物は数週間から数か月かけてゆっくり重合する。したがって、そのC26アルコールはできるだけ早くシリル保護すべきである。
13)磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した1ドラムのバイアルに、工程12のトリオール生成物(61mg、0.12mmol、1当量)およびDMF(650μL、0.2M)を加えた。イミダゾール(22mg、0.33mmol、2.5当量)を単一部分で加え、続いてTBS-Cl(29mg、0.19mmol、1.5当量)を加えた。反応混合物を1.5時間攪拌し、この時点でTLC分析により出発物質の完全な変換を確認した。反応混合物を飽和NHCl水溶液(10mL)およびEtOAc(15mL)を含む分液漏斗に注いだ。層を分離し、水層をEtOAc(10mL)で抽出した。合わせた有機層を水(2×10mL)およびブライン(10mL)で洗浄した。次いで合わせた水層をEtOAc(2×15mL)で逆抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。pH7の緩衝化シリカゲルクロマトグラフィー(100%ペンタンでTBSシラノールを溶出し、次いで40%EtOAc/ペンタンで生成物を溶出する)により精製し、C26のTBSエーテル生成物(56mg、収率75%)をオフホワイトの泡状物として得た。化合物純度をTLC(ワンスポット)分析により確認した。
ノーザンフラグメント:
1’)滴下漏斗および磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した3つ口の1Lの丸底フラスコに、3,3-ジメチル-2,4-ペンタンジオン(10g、78mmol、1当量)、CHCl(195mL、0.4M)を加えた。反応混合物を氷/アセトン浴(-10℃)で冷却した。トリエチルアミン(25mL、179mmol、2.3当量)を1分かけてシリンジで加え、続いてTMS-OTf(31.1mL、172mmol、2.2当量)を、滴下漏斗を介して15分かけて滴下した。反応混合物および氷浴を2時間かけて室温に温めた。溶液は徐々に濃橙色に変化した。さらに15時間後、アリコートのH-NMRにより、3,3-ジメチル-2,4-ペンタンジオンから対応するビス-エノールシランへの完全な変換を確認した。H-NMR(300MHz, CDCl):診断ピーク、3,3-ジメチル-2,4-ペンタンジオンのモノエノールシラン δ 4.27 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 4.15 (d, J = 2.1 Hz, 1H);3,3-ジメチル-2,4-ペンタンジオンのビス-エノールシラン δ 4.17 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 4.02 (d, J = 1.5 Hz, 1H)。反応混合物をドライアイス/アセトン浴(-78℃)で冷却した。オルトギ酸トリエチル(15.5mL、93.6mmol、1.2当量)をシリンジで1分かけて加え、続いてBF-OEt(11.6mL、1.2当量)をシリンジで5分かけて滴下し;この時点で、溶液はより明るい黄色/橙色に変化した。-78℃で1.5時間後、TLC分析により、ビス-エノールシランの完全な変換およびアセタール付加物の形成を確認した。無水エタノール(50mL)を、5分かけてシリンジで加え、続いて濃HCl(約12M、600μL)を加えた。反応混合物を-78℃で10分間攪拌し、次いで氷/水浴で0℃に温めた。0℃で10分後、TLC分析により、アセタール付加物の完全な変換および所望のβ-ジケトン生成物の形成を確認した。飽和NaHCO水溶液(300mL)を加えて反応混合物をクエンチし、CHCl(2×400mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(300mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、濃橙色の油状物を得た。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(1.5Lの10~20%EtOAc/Hex)により精製し、β-ジケトン生成物(14.03g、収率78%)を淡黄色の油状物として得た。生成物の化合物純度をTLC(ワンスポット)分析により確認した。
1)磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した一つ口の250mLの丸底フラスコに、ジイソプロピルアミン(17.3mL、123mmol、4.1当量)およびTHF(60mL、0.5M)を加えた。反応混合物をドライアイス/アセトン浴(-78℃)で冷却した。n-BuLi(2.5M Hex、48mL、121.5mmol、4当量)を10分かけてシリンジで滴下した。-78℃でさらに15分後、酢酸t-ブチル(17.2mL、121.5mmol、4.05当量)を、フラスコの側面下にシリンジで添加した(10分)。-78℃でさらに45分後、3,3-ジエトキシプロピオン酸エチル(5.8mL、30mmol、1当量)を、フラスコの側面下にシリンジで添加した(10分)。ドライアイス浴を取り除くことにより、反応混合物を室温に温めた。90分後、飽和NHCl水溶液(60mL)を加えて反応混合物を0℃でクエンチし、CHCl(3×60mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物質を50℃の油浴中で12時間減圧下(約1mmHg)に置き、アセト酢酸t-ブチルを除去した。得られた物質(8.6gの粗重量;8:1のモル比の所望のβ-ケトエステル生成物と3°のアルコール副生成物)を次の工程(Noyori)のために2等分した(4.3g)。
2)加熱乾燥した一つ口の50mLの丸底フラスコに、工程1の粗製β-ケトエステル(4.3g、16.4mmol、推定1当量)およびメタノール(16.4mL、1.0M)を加えた。溶液をアルゴンで10分間スパージして脱気し、次いで磁気攪拌棒を備えたParr装置の金属シリンダーにシリンジで直接移した。(R)-BINAP-RuCl(55mg、0.06mmol、0.4mol%)を一部分で加えた。激しく攪拌しながら、Parr装置をHで200psiにチャージし、通気した(5回繰り返した)。次に装置を650psiに加圧し、45℃の油浴に入れた。48時間後、装置を室温に冷却し、減圧した。アリコートのH-NMRにより、β-ケトエステル出発物質の完全な変換を確認した。溶液を、磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した一つ口の50mLの丸底フラスコにシリンジで移した。濃硫酸(66μL、1.2mmol、7.5mol%)を滴下し、反応混合物を60℃の油浴に入れた。10時間後、アリコートのH-NMRによる判定により、メチルエステルへのエステル交換は完了した。飽和NaHCO水溶液(60mL)を加えて反応混合物を0℃でクエンチし、水層のTLCがもはや生成物を示さなくなるまでCHCl(4×60mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、粗製β-ヒドロキシメチルエステルを得た。次いで、この粗製物質(3.3gの粗重量)を次の工程(TBDPS保護)のために2つの部分に分けた。
3)内部反応温度計および磁気攪拌子を備えた加熱乾燥した2つ口の50mLの丸底フラスコに、工程2の粗製β-ヒドロキシメチルエステル(1.0g、5.3mmol、推定1当量)およびCHCl(10.6mL、0.5M)を加えた。イミダゾール(541mg、8.0mmol、1.5当量)を一部分で加え、続いてTBDPS-Cl(1.38mL、5.3mmol、1当量)をシリンジで滴下した。4時間後、TLC分析により出発物質の完全な変換を確認した。反応混合物を氷浴(0℃)で冷却し、内部温度を5℃未満に維持する速度(約1分)で水(5.8mL)、続いてトリフルオロ酢酸(5.8mL)を加えてクエンチした。0℃で3時間後、アリコートのH-NMRにより、C5アセタールの完全な加水分解を確認した。層を分離し、水層をCHCl(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO水溶液(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(5~10%EtOAc/Hexでシラノールを溶出し、次いで10~20%EtOAc/Hexで生成物を溶出する)によって精製し、C5アルデヒドアルデヒド生成物(1.2g)を粘性の無色の油状物として得た。粗製β-ヒドロキシメチルエステルの残り(2.3g)を同様に処理して、追加の2.3gのC5アルデヒド(3.5gの合計重量、3工程で収率55%)を得た(注1)。化合物純度をTLC(ワンスポット)分析により確認した。注1:ベンゼンマトリックスに-20℃で保存した場合でも、C5アルデヒドは緩やかに分解することが確認された。したがって、C5アルデヒドをできるだけ早く次の工程(アルドール)に用いた。
4)ジエチルボロントリフレート(ヘキサン溶液)の調製:磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した一つ口の200mLの丸底フラスコに、トリエチルボラン(1Mのヘキサン、29mL、29mmol、1等量)を、1分かけてシリンジで加えた。トリフリン酸(2.55mL、29mmol、1当量)を、1分かけてガラスシリンジで滴下した。反応混合物を60分間攪拌し、精製せずに直ちに使用した。注1:トリフリン酸はヘキサンに不溶であるが、数分かけてエタンの生成によりガスの発生が認められ、溶液は均一になり、淡黄色になる。注2:アルドールはトリフリン酸とジエチルボロントリフレートの品質に大きく左右される。
アルドール:磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した2つ口の500mLの丸底フラスコに、工程1’のβ-ジケトン(6.8g、29.6mmol、2当量)およびEtO(59mL、0.25M)を加えた。反応混合物をドライアイス/アセトン浴(-78℃)で冷却した。10分後、ジエチルボロントリフレート(新たに調製したヘキサン溶液、29mmol、1.95当量)を、10分かけてシリンジで滴下した。反応混合物は淡黄色に変化した。10分後、ヒューニッヒ塩基(5.16mL、29.6mmol、2当量)を、10分かけてシリンジで滴下した。反応混合物は徐々に橙赤色に変化した。-78℃で40分後、MeODクエンチング実験のH-NMR分析により、定量的エノール化を確認した(注1)。n-ペンタン(120mL)を、フラスコの側面下に30分かけてシリンジで添加し、反応混合物を液体N/MeOH浴(-95℃、注2)で冷却した。10分後、n-ペンタン(20mL)中の工程3のC5アルデヒド(5.7g、14.8mmol、1当量)の溶液を5分かけて滴下した。-95℃で4時間後、アリコートのH-NMRにより、C5アルデヒドの完全な変換を確認した。内部温度を-60℃未満に維持する速度で(この時点で、温度計を溶液中に直接入れることによって内部反応温度をモニタリングした)、メタノール(74mL;5mL MeOH/1mmolアルデヒド)をピペットで添加し(約15分)、反応混合物をクエンチした。冷却浴を取り除くことによって反応混合物を約15分かけて-20℃に温め、次いでEtO(100mL)およびpH7.4の緩衝液(100mL)を含む冷却(0℃)された三角フラスコに注いだ。10分間攪拌した後、層を分離し、水層をEtO(5×200mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。pH7の緩衝化シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(7×13cm)により精製し、30mLの画分を集め、CHCl(1L)、続いて33~50%のEtO/Hex(1.5L)で溶出し、ヒドロキシ-ケトンのアルドール生成物およびそのヘミケタール異性体の混合物(7.8g、C5において2:1のdr、合計収率86%)を得た(注3、4)。開環異性体と閉環異性体のこの混合物は、平衡状態にあるため、分離することなく次の工程で使用した。C5ジアステレオマーは、シーケンス中の後期(C11シリル化後)に分離した。しかしながら、少量の物質をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、特徴決定用のヘミケタール異性体の試料を得た。注1:反応混合物の100μLのアリコートを、MeODを用いて-78℃で急速にクエンチした。得られた混合物を濃縮し、H-NMRにより、CDCl中で分析した。注2:-78℃での反応のジアステレオ選択性は、約1.6~1.8:1のdr(C5において)である。注3:ヒドロキシケトンのアルドール生成物は、-20℃のベンゼンマトリックス中に保存した場合でも、緩やかにそのヘミケタール異性体へ環化する。したがって、このアルドール反応の生成物は通常、平衡異性体の混合物として単離され、そして分離することなく次の工程に使用した。注5:工程1’の未反応β-ジケトンおよびアルドール生成物のヘミケタール異性体は、シリカゲル上で同様の保持係数を有し、クロマトグラフィーによる分離は困難である。しかしながら、β-ジケトンは反応条件下で不活性であるため、混合物を工程5および6で一緒に使用してもよく;その後に化合物は容易に分離可能である。
5)NaBH(OAc)溶液の調製:磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した一つ口の250mLの丸底フラスコに、アセトン(75mL)をシリンジで加え、続いて酢酸(75mL)をシリンジで加えた。反応混合物を氷浴(0℃)で冷却した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(23.8g、112mmol、5当量)を4回に分けて10分かけて加えた。反応混合物を20分間激しく攪拌し、その間に溶液は均質になり、精製せずに直ちに使用した。
還元:磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した一つ口の1Lの丸底フラスコに、工程4のアルドール生成物(13.8g、22.4mmol、1当量、注1)を加えた。フラスコを氷浴(0℃)で冷却した。アセトニトリル(37mL)をシリンジで加え、続いて酢酸(37mL)をシリンジで加えた。20分後、NaBH(OAc)(150mLの新たに調製した溶液)を、窒素陽圧カニューレを介してフラスコの側面下に添加した(20分)。最終反応混合物は、0.1Mの1:2:3 MeCN/アセトン/AcOH溶液からなっていた。反応混合物および氷浴を2時間かけて15℃に温めた。さらに6時間後、反応混合物を氷浴で冷却し、追加のNaBH(OAc)(9.5g、2当量)を、ここでは5分かけて2つの固体部分として加えた。反応混合物を再び2時間かけて15℃に温めた。さらに10時間後(20時間の合計反応時間)、アリコートのH-NMRにより、出発物質の完全な変換を確認した。反応混合物を氷浴(0℃)で冷却し、次いで50%EtO/石油エーテル(400mL)を入れた冷却(0℃)された2Lの三角フラスコに注いだ。飽和ロッシェル塩水溶液(250mL)を15分かけて添加することにより、反応混合物を0℃でクエンチした。10分間激しく攪拌した後、泡立ちが止むまで飽和NaHCO水溶液(500mL)を30分かけて加えた(注意:著しい量の二酸化炭素が発生する)。層を分離し、水層のTLCが残留生成物を示さなくなるまで、水層を80%EtO/石油エーテル(4×250mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、粗製C7アルコールを取得し、これを精製することなく次の工程に使用した(開環異性体と閉環異性体との平衡は、精製およびH-NMR分析を複雑にした)。
6)磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した一つ口の1Lの丸底フラスコに、粗製C7アルコール(推定22.4mmol、1当量)および4:1 MeOH/CH(OMe)(125mL、0.18M)を加えた。フラスコを氷浴(0℃)で冷却し、PPTS(5.6g、6.2mmol、1当量)を一部分で加えた。反応混合物および氷浴を2時間かけて15℃に温めた。さらに22時間後、アリコートのH-NMRにより、出発物質の完全な変換を確認した。反応混合物を氷浴で冷却し、冷却(0℃)された50%EtO/石油エーテル(500mL)で希釈し、次いで飽和NaHCO水溶液(250mL)を15分かけて添加してクエンチした。層を分離し、水層のTLCが残留生成物を示さなくなるまで、水層を80%EtO/石油エーテル(4×250mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(7×15cm)により精製し、30mLの画分を集め、10%EtOAc/石油エーテル(500mL)、15%EtOAc/PE(500mL)、20%EtOAc/PE(500mL)、30%EtOAc/PE(500mL)、40%EtOAc/PE(1L)で溶出し、C11アセタール生成物(11.5g、C7において>15:1のdr、合計収率85%)を粘性の無色の油状物として得た(注1)。注1:この反応シーケンス(工程5/6)は、アルドール工程から得られたジアステレオマーの2:1混合物を用いて行い;ジアステレオマーの完全分離は、C11シリル化後に行った(工程9)。しかしながら、シリカゲルカラムから集めた前部画分は所望のアルドール付加物に富んでいる。したがって、この物質を再精製して、特徴決定用のC11アセタール生成物の試料を得た。
7)磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した一つ口の500mLの丸底フラスコに、工程6のC11アセタール生成物(10.0g、16.6mmol、1当量、注1)、CHCl(166mL、0.1M)、およびDMAP(203mg、1.66mmol、10mol%)を順次加えた。反応混合物をアセトニトリル/ドライアイス浴(-40℃)で冷却した。2,4,6-コリジン(19.7mL、149mmol、9当量)を5分かけてシリンジで添加し、続いて無水酢酸(1.7mL、18.2mmol、1.1当量)をシリンジで添加した(添加時間2分)。-40℃で4時間後、アリコートのH-NMRにより、C7-アルコール24の完全な変換を確認した(診断ピークC-OMe)。TES-OTf(20.6mL、91.2mmol、5.5当量)を、フラスコの側面下にシリンジで滴下した(添加時間5分)。溶液は徐々にピンク/褐色に変化した。-40℃で2時間後、少量の反応アリコートをHOでクエンチし、H-NMRで分析したところ、C11アセタールから対応するアルデヒドへの完全な変換が示された(診断ピークC11H)。したがって、HO(166mL)を10分かけて添加し、残りの反応混合物をクエンチした。凍結した溶液を氷浴(0℃)に入れた。0℃で2時間激しく攪拌した後、アリコートのH-NMRにより、C11アセタールの完全な加水分解を確認した。層を分離し、水層をCHCl(3×250mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、約100mLに濃縮した。この時点で、5%EtOAc/Hex(250mL)を加えてコリジン-トリフレート塩を沈殿させた。得られた懸濁液を約30mLに濃縮した。上清をピペットでスラリー充填シリカゲルカラム(7×18cm)の頂部に移し、数回の徹底的な洗浄(注2)を用い、これを5~40%EtOAc/Hex(2.5L)で溶出し、C11アルデヒド生成物(7.7g、78%収率)を粘稠性の無色の油状物として得た(注1)。注1:この反応はアルドール工程から得られたジアステレオマーの2:1混合物を用いて行った;ジアステレオマーの完全分離は、C11シリル化後に行った(工程9)。しかしながら、少量をジアステレオマー的に濃縮し、特徴決定のためにC11アルデヒドの試料を得た。注2:残りのコリジン-トリフレート塩をCHClに溶解し、TLCにより分析して、全ての粗製物質がシリカゲルカラムに移されたことを確認した。
8)ジアミノフェノールおよびDBU溶液の調製:磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した一つ口の100mLの丸底フラスコに、ジアミノフェノール(6.17g、21.2mmol、1.2当量)およびCHCl(30mL、0.6M)を加えた。反応混合物を氷浴(0℃)で冷却し、DBU(9.53mL、63.7mmol、3.6当量)を5分かけてシリンジで滴下した。反応混合物を5分間攪拌し、直ちに使用した。
アリル化:磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した、一つ口の250mLの丸底フラスコに、トリクロロシランの溶液(40mLのCHCl中に7.4g、28.3mmol、1.6当量)を加えた。反応混合物を氷浴(0℃)で冷却し、新しく調製したジアミノフェノール/DBU溶液をシリンジで滴下した(添加時間5分)。氷浴を取り除くことにより、反応混合物を室温まで温めた。30分後、反応混合物を液体N/MeOH浴(-95℃、注1)で冷却した。CHCl(20mL;最終容量89mLのCHCl、0.2M)中の工程7のC11アルデヒド生成物(10.6g、17.7mmol、1当量、注2)の溶液をフラスコの側面下に添加した(5分)。2時間後、TLC分析により、出発物質の完全な変換を確認した。反応混合物をヘキサン(20mL)で希釈し、TBAF(1M THF、17.7mL、1当量)を(5分)、続けてpH7.4の緩衝液(100mL)を5分かけてシリンジで滴下してクエンチした。冷却浴を取り除くことにより、反応混合物を0℃に温めた。15分後、層を分離し、水層のTLCがもはや生成物を示さなくなるまで水層をCHCl(5×200mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、約30mLまで濃縮した(残留溶媒は、本来粘性である粗製反応混合物を容易に移動できるようにする)。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(7×15cm)により精製し、30mLの画分を集め、10%EtO/石油エーテル(1L)、20%EtO/PE(1L)、30%EtO/PE(1L)、40%EtO/PE(1L)で溶出し、生成物28(10.8g、C11において10:1のdr、合計収率84%)を無色の油状物として得た(注2)。ジアミノフェノールの回収率については、注3参照。注1:-78℃での反応のジアステレオ選択性は約8:1のdr(C11において)である。
注2:この反応(工程8)は、アルドール工程から得られたジアステレオマーの2:1混合物を用いて行い;ジアステレオマーの完全分離は、C11シリル化後に行った(工程9)。しかしながら、少量を精製して、特徴決定用のアリル化生成物の試料を得た。
注3:(a)シリカゲルカラムを80~100%EtOAc/Hexで洗い流し、(b)反応後処理からの水層を0℃において1M NaOHで処理することにより、約50%のジアミノフェノールを回収し、次いでCHClで徹底的に抽出した。合わせた固体を熱ヘキサンから再結晶した。
9)磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した一つ口の250mLの丸底フラスコに、工程8のアリル化生成物(10g、13.8mmol、1当量、注1)およびCHCl(92mL、0.15M)を加えた。反応混合物を氷浴(0℃)で冷却した。イミダゾール(5.6g、82.5mmol、6当量)を一部分で加え、次いでTES-Cl(3.46mL、20.6mmol、1.5当量)を3分かけてシリンジで滴下した。3時間後、TLC分析により、出発物質の完全な変換を確認した。pH7.4の緩衝液(100mL)を10分かけて滴下して反応混合物をクエンチした。層を分離し、水層をCHCl(5×150mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。10~20%EtO/石油エーテル(3L)で溶出するシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(7.5×15cm)により精製し、C11 TESエーテル生成物(11.1g、収率96%)を無色の油状物として得た(注1)。化合物の純度をTLC(ワンスポット)分析により確認した。
注1:この反応(工程9)、ならびに工程4以降の全てのそれ以前の反応は、アルドール工程(工程4)から得られたジアステレオマーの2:1混合物を用いて行った。ジアステレオマーがこの段階で最も容易に分離可能であることが判明したため、ジアステレオマーの完全な分離をC11シリル化後に行った。所望のジアステレオマーの精製は、勾配溶出法(石油エーテル中の5~10~15~20%EtO)を用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより達成した。精製は一般的には9×40cmのカラムを用いて約5gの物質に対して行い、約33%の所望のジアステレオマー、約50%のジアステレオマーの混合物として、および約17%の望ましくないジアステレオマーを得た。>95%の質量回収率が得られ、混合物質を繰り返し精製した。
10)窒素雰囲気下のグローブボックス中で、磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した一つ口の100mLの丸底フラスコに、MeSn-OH(2.15g、11.90mmol、3.5当量)をチャージした。フラスコをグローブボックスから取り出し、アルゴン雰囲気下(バルーン)に置いた。トルエン(30mL、0.11M)中の前の工程のC11のTESエーテル(2.86g、3.40mmol、1当量)の溶液をシリンジで添加し、得られた混合物を85℃の油浴に入れ、濁った溶液を得た。85℃で14時間後、TLCおよびアリコートのH-NMRにより、出発物質の完全な変換およびC1酸生成物の形成を確認した(約30%のC7-des-OAc化合物と共に)。C7デスアセテートを再エステル化するために、反応混合物を室温に冷却させた。DMAP(2.49g、20.4mmol、6当量)を一部分で加え、得られた懸濁液を氷浴(0℃)で冷却した。無水酢酸(1.60mL、17.0mmol、5当量)をシリンジで滴下した。0℃で15分後、飽和NaHCO水溶液(30mL)を加え、得られた二相混合物を、氷浴を取り除くことにより室温まで温めた。4時間激しく攪拌した後、反応混合物を、飽和NHCl水溶液(200mL)を含む分液漏斗に注いだ。層を分離し、水層のTLCがもはや生成物を示さなくなるまで、水層をEtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(2Lの10~50%EtO/ペンタン)により精製し、C1酸生成物(2.48g、収率88%)を白色の泡状物として得た(注1)。化合物の純度をTLC(ワンスポット)分析により確認した。注1:C1酸はC9-OMe加水分解を起こしやすいことが確認された。したがって、化合物を-20℃においてベンゼン中で凍結するか、または次の工程(Yamaguchiエステル化)に直ちに使用した。NMRは、中和したCDClまたはC中のいずれかで行った。
最終段階:
1)加熱乾燥した500mLの丸底フラスコに、無水トルエン(131mL、0.025M)中のノーザンフラグメント(2.72g、3.28mmol、1当量)の溶液を加えた。反応混合物を氷浴(0℃)で冷却した。次いで、トリエチルアミン(2.75mL、19.7mmol、6当量)をシリンジで30秒間かけて滴下し、続いて2,4,6-トリクロロベンゾイルクロリド(924μL、5.91mmol、1.8当量)をシリンジで15秒間かけて滴下した。反応物を窒素下、室温で2時間攪拌し、その後の時点で、反応物は塩で濁った。次いで、反応混合物を0℃に再冷却した。別個に、加熱乾燥した250mLの丸底フラスコに、トルエン(131mL、0.025M)中のサザンフラグメント(2.00g、3.28mmol、1当量)およびDMAP(1.20g、9.85mmol、3当量)の溶液にチャージした。均一性を確実にするためにサザンフラグメントの溶液を超音波処理し、次いでノーザンフラグメントを含むフラスコに10分かけてシリンジで移した。氷浴を取り除くことにより、反応混合物を室温まで温めた。溶液は黄橙色に変化し、そしてさらに濁った。45分後、TLC分析により、サザンフラグメントの完全な変換を確認した。反応混合物を0℃に冷却し、HO(200mL)を5分かけて緩やかに加えてクエンチした。層を分離し、水層を20%EtOAc/Hex(5×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。精製は、pH7.0緩衝化シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(5.5×10cm)、20mLの画分の収集、ならびに5%EtOAc/Hex(500mL)、10%EtOAc/Hex(500mL)、および20%EtOAc/Hex(500mL)での溶出によって達成し、3.82g(82%)の生成物のエステルをオフホワイトの泡状物として得た。
2)磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した一つ口の500mLの丸底フラスコに、工程1の生成物のエステル(3.82g、2.69mmol、1当量)を加え、続いてメタノール(135mL、0.02M)およびオルトギ酸トリメチル(2.69mL、MeOH体積の2%)を加えた。反応混合物を氷浴(0℃)で冷却し、次いでPPTS(203mg、0.81mmol、30mol%)を一部分で加えた。反応物および氷浴を1.5時間かけて攪拌しながら室温まで温めた。さらに20時間後、反応混合物を氷浴(0℃)で冷却し、ヘキサン(100mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(50mL)、続いて水(100mL)でクエンチした。層の抽出および分離後、水層のTLCがもはや生成物を示さなくなるまで、水層を25%EtOAc/Hex(5×100mL)で再抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。次いで、粗製油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5.5×9cm、2Lの10~35%EtOAc/Hex)に供し、2.49g(76%)の生成物のマクロラクトンを白色の泡状物として、およびC26-des-TBS大環状化合物(320mg、11%)を得た。
3)飽和オゾン溶液(約0.03MのCHCl)の調製:磁気攪拌棒を備えた一つ口の500mLの丸底フラスコに、CHCl(約250mL)をチャージし、ドライアイス/アセトン浴(-78℃)で冷却した。鮮やかな青色が持続している間(約15分間)、オゾン(約4LPM、70Vで調製)を溶液に吹き込み、この時点で溶液のヘッドスペースをOでパージし、セプタムで密封した。
オゾン分解:磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した一つ口の500mLの丸底フラスコに、工程2のマクロラクトン生成物(1.26g、1.04mmol、1当量)およびメタノール(83mL、0.0125M)を加えた。5分間攪拌した後、均質反応混合物をドライアイス/アセトン浴(-78℃)で冷却した。溶液は少し濁った。オゾン(約0.03MのCHCl、3mL、0.09当量)をシリンジでフラスコの側面下に緩やかに添加した(添加時間約1分)。5分後、反応をTLCによりモニタリングし、不完全であると判定した(注1)。その後、出発物質がUVで可視化できなくなるまで、追加のオゾンを3mL(0.09当量)ずつ加えた(注2)。添加したオゾン溶液の総量は66mL(約1.9当量)であり;この溶液を添加するのに要した合計時間は約3時間であった。トリフェニルホスフィン(545mg、2.08mmol、2当量)を単一部分として添加して反応混合物をクエンチした。5分後、ドライアイス浴を取り除くことにより、反応混合物を室温に温めた。80分後、TLCおよび過酸化物試験紙の両方により、中間体過酸化物の完全な変換を確認した(注1)。反応混合物を約10mL(注3)に濃縮し、pH7.0緩衝化シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(5.5×11.5cm、2Lの5~40%EtOAc/Hex)により直接精製し、未反応アルケン(141mg)およびC13-ケトン生成物(1.01g、収率80%、90%brsm)を白色の泡状物として得た(注4)。
注1:TLCキャピラリーチューブからの、残留MeOH/CHClを含む25%EtOAc/HexのTLC溶出液
-出発物質:R=0.74(UV活性、p-アニスアルデヒド中の濃い紫色のスポット)
-中間体ペルオキシド:R=0.52(UV活性、p-アニスアルデヒド中の黄色のスポット)
-C13-ケトン生成物:R=0.63(UV活性、p-アニスアルデヒド中の黄色のスポット)
注2:過酸化生成物を最小にするために、この反応は部分的な変換に対してのみ行った。具体的には、マクロラクトン出発物質をUV(TLC)によって可視化することができる場合にのみオゾンを添加した。しかしながら、TLCプレートをp-アニスアルデヒド染色で処理し、加熱した場合、出発物質はまだ存在していた。
注3:この反応は、トリフェニルホスフィンの共役付加から生じる副生成物形成を促進する可能性があるため、粗製反応混合物を完全に濃縮すべきではない。同様に、トリフェニルホスフィンを除去するために、粗製混合物をできるだけ早く精製すべきである。
注4:すべての最終段階の中間体(すなわち、Yamaguchiエステル化後)は、C9-OMe加水分解を起こしやすいことが確認された。したがって、NMRは、中和したCDClまたはC中のいずれかで行った。
4)ベンゼン(16.5mL、0.1M)中に磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した一つ口の100mLの丸底フラスコに、工程3のC13ケトン(2.0g、1.65mmol、1当量)を加えた。フラスコを氷浴(0℃)で冷却した。トリフェニルホスフィン(2.16g、8.23mmol、5当量)および2,4,6-トリメチルフェノール(1.12g、8.23mmol、5当量)を単一部分として順次添加した。反応混合物および氷浴を1時間かけて室温に温めた。室温でさらに18時間攪拌した後、TLC分析により、出発物質の完全な変換を確認した。次いで、全反応混合物を、pH7.0緩衝化シリカゲルカラム(5×8cm、500mLの5%EtOAc/Hexでトリフェニルホスフィンおよび2,4,6-トリメチルフェノールを溶出し、その後、1.5Lの10~35%EtOAc/Hexを加える)に直接ロードし、シス-トランス-ジエノエート(114mg、6%)およびトランス-トランス-ジエノエート(1.8g、90%)の混合物を白色の泡状物として得た(上記の注4)。さらなるクロマトグラフィーにより、異性体的に純粋な生成物を得た。
5)磁気攪拌棒を備えた加熱乾燥した一つ口の250mLの丸底フラスコに、THF(25mL、0.04M)中のキラルホスホネート試薬(6.05g、14mmol、14当量)を加えた。反応混合物を-78℃に冷却した。この溶液に、NaHMDS(13mL、THF中の1Mの溶液、13mmol、13当量)を1分かけてシリンジで滴下した。反応混合物を-78℃で30分間攪拌し、次いでTHF(12mL、最終容量50mLのTHF、0.02M)中の工程4のC13-ケトン(1.22g、1mmol、1当量)の溶液を1分かけてシリンジで滴下した。-78℃で5分後、フラスコを4℃の低温室に移した。溶液は徐々に黄色/橙色に変化した。4℃で70時間後(注5)、4℃で飽和NHCl水溶液(10mL)を加え、EtO(100mL)で希釈して反応混合物をクエンチした。相を分離し、水層をEtO(5×50mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、約15mLに濃縮した(注6)。粗生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(2Lの25~35%EtO/Hexで生成物を溶出し、次いで750mLのEtOAcで未反応のホスホネートを溶出する)で精製し、C13エノエート生成物(1.17g、C13におけるZ:E混合物が11.6:1として、収率92%)および未反応ホスホネート(3.72g、回収率66%)を得た(注7)。さらなるクロマトグラフィーにより、30:1を上回るZ:E比で生成物エノエートが得られる。
注5:キラルホスホネート試薬の当量を増加させることによって、より短い反応時間(例えば36~48時間)を得ることができるが、しかしながら、この変更には、選択性のわずかな低下が伴う(例えば、NaHMDS(15.5当量)およびキラルホスホネート試薬(17当量)を用いると、エノエート生成物が、500mgスケールにおいて8.5:1のZ:Eで、90%の合計収率で得られる)。
注6:残留THFは、未反応ホスホネートの容易な移動を可能にする。さらに、必要であれば、少量のDCMを用いて粗生成物をシリカゲルカラムに完全に移してもよい。あるいは、反応混合物を、(a)粗製ミストをEtOAcに溶解し、その重量の約10倍をシリカゲルに加え;(b)シリカゲルの損失を最小限にするためにバンプトラップ内に綿栓を備えた回転式エバポレーターを介して得られた溶液を濃縮し;そして(c)25%EtO/Hexを含むスラリー充填カラムの頂部に、化合物を吸着したシリカを移すことによって、「ドライロード」してもよい。
注7:いくつかのより大規模な反応では、工程4のC13-ケトンの完全変換は達成されない(一般的には2~3%の未反応出発物質が残る)。これらの場合では、カラムから回収したバック画分は出発物質と生成物の両方を含む。クロマトグラフィーを介してこの混合物を分離するよりもむしろ、いくつかの反応からの試料を一緒にプールし、合わせた混合物を工程5のための反応条件に再度供するほうがより簡便であり得る。
-保持因子;25%EtOAc/HexのTLC溶出液
-工程4のC13ケトン:R=0.29(UV活性、p-アニスアルデヒド中の黄色/褐色のスポット)。
-工程5の(Z)-エノエート生成物:R=0.35(UV活性、p-アニスアルデヒド中の濃紫色のスポット)。
6)磁気攪拌棒を備えた50mLのポリプロピレンファルコンチューブに、THF(7.1mL)中の工程5のC13エノエート(170mg、C13において30:1のZ:E、0.134mmol、1当量)の溶液を加えた。反応混合物を氷浴(0℃)で冷却した。HF・Pyr(3.55mL、30%HF、70%Pyr)を、約1.5分かけてプラスチックのルアーロックシリンジでチューブの側面下に添加し、0.0075Mの1:2:2のHF-pyr/THF/ピリジン混合物の溶液を得た。反応混合物を40℃の油浴に入れた。40℃で19.5時間後、TLC分析により、出発物質の完全な変換を確認した。次いで水(3.55mL)を、チューブの側面下に約1分かけてシリンジで添加した。40℃でさらに2.5時間後(注8)、反応混合物を室温に冷却し、飽和NaHCO水溶液(130mL、使用前に氷上で冷却)およびEtOAc(50mL)を含む分液漏斗中で溶液を直接水層に緩やかに注入してクエンチした。ファルコンチューブを、さらなる飽和NaHCO水溶液(10mL)およびEtOAc(3×10mL)で洗浄した。泡立ちが止んだ後、層を分離し、水層をEtOAc(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を1M HCl(110mL、使用前に氷上で冷却)で洗浄してピリジンを除去し、ブライン(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物質をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM、次いで10~35~45%EtOAc/ペンタンを充填)により精製し、96.2mg(80%)のブリオスタチン1を、依然としてC13におけるZ:E異性体の混合物(18:1のZ:E)として得た。次いでこの混合物を逆相HPLCにより精製してブリオスタチン1を得た。
PFA丸底フラスコ中での手順:磁気攪拌棒を備えた100mLのPFA丸底フラスコ(Chemglase LifeSciences)に、工程5のC13エノエート(552mg、C13において9.2:1のZ:E、0.434mmol、1当量)、THF(23mL)、およびピリジン(23mL)をチャージした。反応混合物を氷浴(0℃)で冷却した。HF-ピリジン(11.5mL)を、プラスチックのLuer Lockシリンジでフラスコの側面下に添加し(添加時間約1.5分)、約0.0075Mの1:2:2のHF-pyr/THF/ピリジンの溶液を得た。反応混合物を40℃の油浴に入れた。40℃で20時間後、TLC分析により、工程5のC13エノエートの完全な変換を確認した。水(11.5mL)をシリンジでフラスコの側面下に添加した(約1分)。40℃でさらに2.5時間後(注8)、反応混合物を室温に冷却し、飽和NaHCO水溶液(410mL、使用前に氷上で冷却)およびEtOAc(150mL)を含む分液漏斗中で溶液を直接水層に緩やかに注入してクエンチした(注意:大量の二酸化炭素が発生する)。フラスコを追加の飽和NaHCO水溶液(30mL)およびEtOAc(3×20mL)で洗浄した。泡立ちが止んだ後、層を分離し、水層をEtOAc(2×150mL)で抽出した。合わせた有機層を1M HCl(340mL、使用前に氷上で冷却)で洗浄してピリジンを除去し、さらに飽和NaHCO水溶液(50mL)、およびブライン(100mL)で洗浄した。次いで合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(10~35~45%EtOAc/ペンタン)により精製し、ブリオスタチン1(304mg、C13において8.7:1のZ:E、合計収率77%)を白色の固形物として得た。
注8:C9-F中間体が最初に形成され、これは40℃で2.5時間、水と共に攪拌すると加水分解される。フラッシュカラムクロマトグラフィーの後の19FNMRでは、C9-F中間体に対応するピークは示されなかった:19F-NMR(377MHz, CDCl3)δ-128.0。
分取HPLC:256nmおよび214nmで検出するように設定したAgilent ProStar325検出器を備えたVarian ProStar210 Solvent Delivery Systemを用いた分取HPLCにより、ブリオスタチン1(C13エノエート異性体の約10:1のZ:E混合物として)をさらに精製した。Grace Alltima C18逆相カラム(粒径10μm、280mm×22mm)を用いて分離を行った。移動相は、30分かけて75%MeCN/HOから95%MeCN/HOまで、それに続く10分間の100%MeCN(流速12mL/分)の勾配溶出であった。試料を2:1のMeCN/MeOH(終濃度50mg/mL)に溶解した。1回の実験につき約50mg(1mL)の物質をカラムにロードし、各実験は、約40mgのブリオスタチン1ならびに分離したC13エノエート異性体を生成した。画分を、最初にロータリーエバポレーションにより、次に凍結乾燥により濃縮し、ブリオスタチン1を純度>99.5%で、白色の軽やかな粉末として得た。代表的なHPLCクロマトグラムを、図11A、図11Bおよび図11Cに示す。これらの図によれば、図11Aは、合成ブリオスタチン1をEエノエート異性体と共に示す。図11Bは、HPLC精製合成ブリオスタチン1についてのトレースを示す。図11Cは、ブリオスタチン1のNCIサンプルについてのトレースを示す。
結晶化およびX線結晶化手順
試料をジクロロメタン(約23mg/ml)に溶解し、溶液の上に等量のメタノールを注意深く重層し、何日もかけて溶媒を緩やかに蒸発させることにより、C476817・MeOH1.55(ブリオスタチン1メタノール溶媒和物)の単結晶を調製した。結晶は非常に壊れやすく、機械的応力に敏感である。母液からの除去時に急速な溶媒損失が観察された。さらに切断することなく適切な針状結晶を選択し、D8Venture回折計のParatoneNに取り付けた。X線ビームは、針の先端に焦点を合わせた。データ収集中、結晶を100.0Kに保った。結晶を除去すると、重度の放射線損傷が見られた。吸収補正にはSADABS-2016/2を使用した。最小透過率と最大透過率との比は0.7333であり、wR2(int)は、補正前が0.1645、補正後が0.0906であり、B値をフレーム数に対する線形依存性により精緻化し、結晶分解を可能にした。Apex3 suite(Bruker-AXS(2016). APEX3. Version 2016.9-0. Madison, Wisconsin)を使用し、構造決定プログラムOlex2(O.V.Dolomanov,L.J.Bourhis,R.J.Gildea,J.A.K.Howard,H.Puschmann,OLEX2:a complete structure solution,refinement and analysis program. J.Appl.Cryst.42,339-341(2009))を用いた‘Intrinsic Phasing’を用いたShelXT(G.Sheldrick,SHELXT-Integrated space-group and crystal-structure determination. Acta Cryst.A71,3-8(2015).)構造決定プログラムで構造を解き、構造を、最小二乗法を用いたXL(G.Sheldrick,A short history of SHELX. Acta Cryst. A64,112-122(2008))精緻化パッケージを用いて精緻化した。3386指数[(I+)-(I-)]/[(I+)+(I-)]を用いてフラックパラメータx=0.11(4)を決定した(S.Parsons,H.D.Flack,T.Wagner,Use of intensity quotients and differences in absolute structure refinement. Acta Cryst. B69,249-259(2013))。プラトン(A.Spek,Structure validation in chemical crystallography. Acta Cryst. D65,148-155(2009))バイフートペア解析を用いて、ホーフト変数(R.W.W.Hooft,L.H.Straver,A.L.Spek,Determination of absolute structure using Bayesian statistics on Bijvoet differences. J.Appl.Cryst.41,96-103(2008))y=0.09(5)を決定した。
NMR、IR、旋光および高分解能質量分析を含む全ての分析的観点において、本明細書に記載する方法によって調製した合成ブリオスタチン1は、NCI(国立がん研究所)によって供給される天然ブリオスタチン1の真正サンプルと同一であった。本発明の方法によって調製した合成ブリオスタチン1と天然ブリオスタチンとを比較するHNMRトレースを図12A(合成)および図12B(天然)に示す。合成ブリオスタチン1のX線結晶構造を図13に示す(明解にするためにプロトンを省略していることに留意されたい)。
実施例2:C13類似体の例示的合成手順
図6A~図6Cは、ブリオスタチン化合物のC13置換類似体の調製のための例示的合成スキームを示す。そのような化合物6B1(式中、
Figure 2022107010000056
)を、以下の手順に従って調製した。
化合物6B1の調製:磁気攪拌棒を備えた15mLのポリプロピレンファルコンチューブに、化合物6B(15mg、0.0124mmol、1当量)および3:1のTHF/HO(1mL)を加えた。ファルコンチューブを4℃の低温室に移した。HF-ピリジン(0.32mL)を添加した(終濃度約0.01M)。96時間後、反応混合物を室温に温めた。さらに64時間後(合計約6.5日)、飽和NaHCO水溶液(20mL)およびEtOAc(20mL)を含む分液漏斗に溶液を緩やかに注入して反応混合物をクエンチした。層を分離し、水層をEtOAc(4×20mL)で抽出した。合わせた有機層を0.5MのHCl(10mL)で洗浄してピリジンを除去し、水層をEtOAc(2×20mL)で逆抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(25~65%EtOAc/Hex)により精製し、類似体6B1(6.6mg、収率63%)を白色の固形物として得た。化合物の純度をTLC(ワンスポット)分析により確認した。
実施例3:PKC結合アッセイプロトコール
ブリオスタチン1ならびに化合物34および35のプロテインキナーゼC(PKC)親和性は、以下に記載するように、H-ホルボール-12,13-ジブチレート(H-PDBu)との競合を介して決定した。
Figure 2022107010000057
この手順は、結合放射性リガンドを測定するためにガラス繊維濾過法を必要とする。PKC-β-IおよびPKC-δを予備評価のために選択した。前者は従来のPKCサブファミリーの一員であり、後者は新規PKCサブファミリーの一員である(A.C.Newton. Protein Kinase C:Structure,Function,and Regulation. J.Biol.Chem.270,28495-28498(1995))。
PKC結合アッセイ緩衝液の調製
50mLのポリプロピレンチューブに、Tris-HCl(pH7.4、1M、1mL)、KCl(1M、2mL)、CaCl(0.1M、30μL)、およびウシ血清アルブミン(40mg、Sigma-Aldrich)を加えた。この混合物を脱イオン水で20mLに希釈し、穏やかに混合した。緩衝液は使用するまで氷上で保存した。これらの成分の終濃度を、以下の表に示す。
PKC結合アッセイ緩衝液の組成
Figure 2022107010000058
ホスファチジルセリン(PS)小胞溶液の調製
2つのアッセイごとに、3.5mgのホスファチジルセリン(Avanti Polar Lipids、ブタ、25mg/mLのCHCl溶液)を、窒素流下でクロロホルムを除去し、続いて減圧することによって濃縮した。超音波処理の間に30秒間の休止時間を設けて30秒間6回、超音波処理することにより、固体PSを、新たに調製したPKC結合アッセイ緩衝液(3.5mL)中に小胞として懸濁させた(Branson Sonifier 250、出力=2、50%デューティサイクル)。得られた乳状の濁った混合物(1mg/mL)を、使用するまで氷上で保存した。
PKCアイソフォーム溶液の調製
アッセイ用のPKCは、指定の組換えヒトPKCアイソフォーム(Invitrogen)の4μgアリコートを11.6mLのPKC結合アッセイ緩衝液(この量は2つのアッセイに十分である)に溶解することによって調製した。希釈したPKCを、即時使用のために氷上に保存した。
3H-PDBu溶液の調製
H-PDBu(American Radiolabeled Chemicals,Inc.;1mCi/mLのアセトン溶液;比放射能:20μCi/mmol)をDMSOで10倍希釈した。得られた500nMストック溶液をさらにDMSOで30nMに希釈した。
類似化合物希釈液の調製
化合物希釈物は、選択した「高」濃度から、3または4の係数で連続希釈することによって調製した。各類似化合物について、7つの濃度を用いて阻害曲線を定義した(すなわち、環外アルケン34については、使用した類似体濃度は、3000nM、750nM、188nM、46.9nM、11.7nM、2.93nM、および0.73nMであった)。
「マスターミックス」溶液
ポリプロピレンチューブに、3.3mLの1mg/mLのPSベシクル溶液、11mLのPKCアイソフォーム溶液、および1.1mLの30nM H-PDBu溶液を加えた。得られた溶液をボルテックスして混合し、氷上で保存した。
PKC結合アッセイプロトコール
材料:
-ガラス繊維フィルター(Whatman GF/B)を、脱イオン水(600mL)中のポリエチレンイミン水溶液(10体積%、18mL)の溶液に1時間以上浸すことによって調製した。
-20mM Tris、pH7.4の「すすぎ緩衝液」500mLを、インキュベーション期間の間、および残りのアッセイのために氷上で冷却した。
各類似体濃度について三連のデータ点を取得した。各データ点について、280μLの「マスターミックス」溶液および特定の濃度の20μLの類似化合物をポリプロピレンチューブに加えた。非特異的H-PDBu結合を、非標識PDBu(75μMストックの20μL、アッセイ濃度:5μM)で類似体化合物を置換することによって三連で評価した。最大H-PDBu結合を、類似体化合物を20μLのDMSOで置換することによって三連で評価した。溶液をボルテックスして混合し、37℃で10分間インキュベートし、濾過前に少なくとも30分間氷上でインキュベートした。ブランデルハーベスターを使用して、各ポリプロピレンチューブのアッセイ内容物を、ポリエチレンイミン浸漬フィルターを通して真空濾過し、すすぎ緩衝液(3×)で洗浄し、最初に真空下で5分間、次いで周囲条件下で2時間以上乾燥させた。得られたフィルターは各データ点について円形の穿孔を有し、それをピンセットで除去し、シンチレーションバイアル中に置いた。シンチレーションバイアルにBio-Safe IIシンチレーション液(5mL)を満たし、Beckman LS 6000SCシンチレーションカウンターを用いて放射能を測定した。1分あたりのカウント数(cpm)を各3回の希釈について平均化した。GraphPad SoftwareのPrism(登録商標)を用いてcpm対log(濃度)のデータをプロットし、そのプログラムに組み込まれた一部位競合最小二乗回帰関数を用いてIC50を決定した。K値は、式:K=IC50/(1+([H-PDBu]/Kd))を用いて計算した。H-PDBuのKdを、同一条件下の飽和結合により測定したところ、PKCβ-Iでは8.8nM、PKCδでは4.5nMであることがわかった。
本方法を使用して、34が、3.9(2.7~5.9)nMのKを有するPKCβ-1および0.76(0.53~1.1)nMのKを有するPKCδに結合することが見出された(注、括弧内に示す誤差範囲は、非線形回帰分析による95%信頼区間を示す)。同様に、35は、12(8.4~17)nMのKでPKCβ-1および1.4(1.0~2.0)nMのKでPKCδと結合することが見出された。対照として、ブリオスタチン1は、1.6(1.1~2.3)nMのKでPKCβ-1と、および2.4(1.5~3.6)nMのKでPKCδと結合することが見出された。
ブリオスタチン1ならびに類似体34および35の結合データを以下の表に示す。
Figure 2022107010000059
上記の発明を、理解を明確にする目的で例示および実施例によってある程度詳細に記載してきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、それらに修正を加え得ることは、本発明の教示に鑑みて容易に明らかである。
したがって、上記は本発明の原理を単に例示したものに過ぎない。当業者であれば、本明細書では明示的に説明または図示していないが、本発明の原理を具体化し、その趣旨および範囲内に含まれる様々な構成を考案することができるであろうことが理解されよう。さらに、本明細書中に列挙したすべての実施例および条件付き言語は、主に、本発明の原理、および本技術を促進するために本発明者らが寄与する概念への読者の理解を支援することを意図したものであり、そのような具体的に列挙した実施例および条件に限定されるものではないと解釈すべきである。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態ならびにその特定の実施例を列挙する本明細書中のすべての記述は、その構造的および機能的均等物の両方を包含することを意図している。さらに、そのような均等物は、現在公知の均等物および将来開発される均等物の両方、すなわち構造にかかわらず同じ機能を実行するように開発された任意の要素を含むことが意図されている。したがって、本発明の範囲は、本明細書に示し、記載した例示的な実施形態に限定されることを意図しない。むしろ、本発明の範囲および趣旨は以下によって具体化される。
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本明細書に記載の開示はまた、以下の条項によっても記載される。
条項1.ブリオスタチン化合物の調製方法であって、前記方法が:
(a)式(I)の出発物質もしくはそのシントンまたはその合成等価体から式(X)の化合物を調製し:
Figure 2022107010000060
式中:
およびPが、独立して、ヒドロキシル保護基またはその合成等価体であり;
各RおよびR~Rが、独立して、アルキルまたは置換アルキルであり;
12が、アルキルまたは置換アルキルであり;および
11が、アシル、置換アシル、アルキル、置換アルキル、-CO-アリール、-CO(置換アリール)、-CO-ヘテロアリール、または-CO(置換ヘテロアリール)であり;ならびに
(b)式(XI)の出発物質もしくはそのシントンまたはその合成等価体から式(XX)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000061
式中:
が、アルキニル、置換アルキニル、アレニル、置換アレニル、アルキルまたは置換アルキル(例えば、炭素鎖中に1個以上のOもしくはN原子を含むか、またはシクロアルキル、置換シクロアルキル、置換シクロアルキル、環状アルケニル、置換環状アルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールで置換されている)であり;
12、R13およびR16が、独立して、アルキルまたは置換アルキルであり;および
が、Hまたはヒドロキシル保護基である、前記調製方法。
条項2.工程(a)が、10以下の合成工程を含む、条項1に記載の方法。
条項3.工程(b)が、13以下の合成工程を含み;前記式(XI)の出発物質もしくはそのシントンまたはその合成等価体が、以下のうちの1つから選択される、条項1~2のいずれか一項に記載の方法:
Figure 2022107010000062
条項4.Zが、4~10個の炭素を含む、条項1~3のいずれか一項に記載の方法。
条項5.Zが:
Figure 2022107010000063
である、条項4に記載の方法。
条項6.さらに:
(c)前記式(X)の化合物と前記式(XX)の化合物とを、エステル化そして大環状化(またはその逆)によりカップリングして大環状化合物を製造し;ならびに
(d)前記大環状化合物から式(XXII)の化合物を調製する(例えば、オスミル化/ジオール開裂などの酸化的開裂、またはオゾン分解反応を介して)ことを含み:
Figure 2022107010000064
式中:
が、アルキルまたは置換アルキルであり;
「b」で示す共有結合が二重結合である場合、Zが=CRまたは=NRであり;
「b」で示す共有結合が単結合である場合、Zが-ORまたは-N(Rであり;および
、R、RおよびRが、それぞれ独立して、H、アルキルオキシカルボニル、置換アルキルオキシカルボニル、アルキルまたは置換アルキルであり;
およびPが、独立して、Hまたはヒドロキシル保護基であり;
11が、H、アシル、置換アシル、アルキルまたは置換アルキルであり;
12が、H、アルキルまたは置換アルキルであり;ならびに
16が、H、アルキルまたは置換アルキルである、条項1~5のいずれか一項に記載の方法。
条項7.保護されたヒドロキシ基を脱保護して遊離ヒドロキシル基を有するブリオスタチン化合物を製造することをさらに含む、条項6に記載の方法。
条項8.前記ブリオスタチン化合物のプロドラッグを調製することをさらに含む、条項7に記載の方法。
条項9.前記大環状化合物が、式(XXI)の化合物である、条項6に記載の方法:
Figure 2022107010000065
条項10.前記ブリオスタチン化合物が、式(XXIII)の構造を有し;
Figure 2022107010000066
式中:
13が、アルキルまたは置換アルキルであり;および
14が、H、ヒドロキシル保護基またはプロ部分である、条項6~9のいずれか一項に記載の方法。
条項11.前記ブリオスタチン化合物が、式(XXXII)の構造を有し:
Figure 2022107010000067
式中:
13が、アルキルまたは置換アルキルであり;および
14が、H、ヒドロキシル保護基またはプロ部分である、条項6~9のいずれか一項に記載の方法。
条項12.工程(a)が、式(III)の化合物から前記式(X)の化合物を調製する方法を含み:
Figure 2022107010000068
式中:
およびPが、独立して、Hまたはヒドロキシル保護基であり;
が、H、アルキルまたは置換アルキルであり;各RおよびR12が、アルキルまたは置換アルキルであり;および
11が、アシル、置換アシル、アルキルまたは置換アルキルである、条項1~10のいずれか一項に記載の方法。
条項13.工程(a)が、式(VI)の化合物から式(VII)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000069
式中、Rが、H、アルキルまたは置換アルキルである、条項1~11のいずれか一項に記載の方法。
条項14.工程(a)が、式(VII)の化合物と式(VIII)の化合物とを反応させて式(IX)の化合物を立体選択的に製造することを含み:
Figure 2022107010000070
式中:
各RおよびRが、アルキルまたは置換アルキルであり;ならびに
各Xが脱離基である、条項1~13のいずれか一項に記載の方法。
条項15.前記式(IX)の化合物の(11S)および(11R)-ジアステレオ異性体を9:1以上の比で生じるのに十分な条件下で、前記式(IX)の化合物を製造する、条項14に記載の方法。
条項16.前記式(IX)の化合物を、前記式(VII)の化合物から70%以上の収率を得るのに十分な条件下で製造する、条項15に記載の方法。
条項17.工程(b)が、式(XII)および(XIII)の化合物から中間体(XIVa)を介して式(XIVb)の化合物を調製することを含む、条項1~16のいずれか一項に記載の方法:
Figure 2022107010000071
条項18.工程(b)が、メタセシス反応を介して式(XIVb)の化合物から式(XIV)の化合物を調製することを含み:
Figure 2022107010000072
式中、R13が、少なくとも2個の炭素を含むアルキルまたは置換アルキルである、条項1~17のいずれか一項に記載の方法。
条項19.図1~図9のいずれか一つに記載のブリオスタチン化合物の調製方法。
条項20.前記ブリオスタチン化合物がブリオスタチン1である、条項1~19のいずれか一項に記載の方法。
条項21.式(XXXI)を有し:
Figure 2022107010000073
式中:
が、アルキルまたは置換アルキルであり;
「b」で示す共有結合が二重結合である場合、ZがCRまたはNRであり;
「b」で示す共有結合が単結合である場合、ZがORまたはN(Rであり;
、R、RおよびRが、それぞれ独立して、H、アルキルオキシカルボニル、置換アルキルオキシカルボニル、アルキルまたは置換アルキルであり;
11が、アシル、置換アシル、アルキルまたは置換アルキルであり;
12が、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
13が、H、アルキルまたは置換アルキルであり;ならびに
14およびR15が、独立して、H、ヒドロキシル保護基またはプロ部分である、ブリオスタチン類似体;
またはその溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグ形態および/またはその塩。
条項22.Rがプロピルである、条項21に記載のブリオスタチン類似体。
条項23.R11が、アシルまたは置換アシルである、条項19~22のいずれか一項に記載のブリオスタチン類似体。
条項24.R12が、アルキルまたは置換アルキルである、条項19~23のいずれか一項に記載のブリオスタチン類似体。
条項25.「b」で示す共有結合が二重結合であり、ZがNRであり、式中、Rが、H、アルキルオキシカルボニル、置換アルキルオキシカルボニル、アルキルまたは置換アルキルである、条項20~24のいずれか一項に記載のブリオスタチン類似体。
条項26.「b」で示す共有結合が単結合であり、ZがORまたはN(Rであり、RおよびRが、それぞれ独立して、H、アルキルオキシカルボニル(例えば、-COMe)、置換アルキルオキシカルボニル、アルキルまたは置換アルキルである、条項20~25のいずれか一項に記載のブリオスタチン類似体。
条項27.R13が、少なくとも2個の炭素を含むアルキル、または置換アルキルである、条項20~26のいずれか一項に記載のブリオスタチン類似体。
条項28.Rが置換アルキルである、条項20~27のいずれか一項に記載のブリオスタチン類似体。
条項29.R14がプロ部分である、条項20~28のいずれか一項に記載のブリオスタチン類似体。
条項30.式(XXXIV)を有し:
Figure 2022107010000074
式中:
が、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アレニル、置換アレニル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、複素環、置換複素環、または、酸素もしくは窒素原子、および/またはシクロアルキル、シクロアルケニルなどを含む環および置換環を含む炭素鎖(例えば、PEGまたは修飾PEG基)であり;
「b」で示す共有結合が二重結合である場合、Zが、CRまたはNRであり;
「b」で示す共有結合が単結合である場合、Zが、OR、ホスフェート、ホスホリル、チオ基、サルフェート、スルホニル、有機セレン基、またはN(R であり;
、R、RおよびRが、それぞれ独立して、H、ハロゲン、アルキルオキシカルボニル、置換アルキルオキシカルボニル、アルキルまたは置換アルキルであり;
が、HまたはOR11であり;
およびXが、独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アミン、置換アミン、アミド、置換アミド、アシル、ヒドロキシル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアルキル、置換ヘテロアリール、ホスフェート、有機セレン、チオ、置換チオから選択され;
が、HまたはOR12であり;
12が、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
13が、H、アルキルまたは置換アルキルであり;ならびに
16が、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
14およびR15が、独立して、H、ヒドロキシル保護基またはプロ部分である、ブリオスタチン類似体;
またはその溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグ形態および/またはその塩。
条項31.前記XXXIVの構造が:
Figure 2022107010000075
である、条項30に記載のブリオスタチン化合物。
条項32.式(XXXIII)を有し:
Figure 2022107010000076
式中:
が、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アレニル、置換アレニル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、複素環、置換複素環、または、酸素もしくは窒素原子、および/またはシクロアルキル、シクロアルケニルなどを含む環および置換環を含む炭素鎖(例えば、PEGまたは修飾PEG基)であり;
が、HまたはOR11であり;
およびXが、独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アミン、置換アミン、アミド、置換アミド、アシル、ヒドロキシル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアルキル、置換ヘテロアリール、ホスフェート、有機セレン、チオ、置換チオから選択されるか、または、XとXが結合して炭素環または複素環、例えば、シクロプロパン、エポキシド、アジリジン、チイラン、4員スピロ環、5員スピロ環または6員スピロ環を形成し;
が、HまたはOR12であり;
12が、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
13が、H、アルキルまたは置換アルキルであり;
16が、H、アルキルまたは置換アルキルであり;ならびに
14およびR15が、独立して、H、ヒドロキシル保護基またはプロ部分である、ブリオスタチン類似体;またはその溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグ形態および/またはその塩。
条項33.式(XXXV)を有し:
Figure 2022107010000077
式中、R17が、エステル、カーボネート、カルバメートおよびエーテルから選択され、R17基が、場合により、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミン、ヒドロキシル基、グアニジニウム基、炭素環、および複素環から選択される基で置換される、条項30に記載のブリオスタチン類似体。
条項34.C7の前記アセテート基を、H原子、エステル、カーボネート、カルバメートおよびエーテル(これらの全ては、場合により、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミン、ヒドロキシル、ジスルフィド、グアニジニウム、炭素環、および複素環から選択される1つ以上の基で置換することができる)から選択される基で置換する、条項33に記載のブリオスタチン類似体。
条項35.治療有効量の条項20~34のいずれか一項に記載のブリオスタチン類似体および薬学的に許容されるビヒクルを含む、医薬組成物。
条項36.治療有効量の条項20~34のいずれか一項に記載のブリオスタチン類似体、薬学的に許容されるビヒクル、ならびに化学療法剤、抗生物質、アルキル化剤、代謝拮抗薬、ホルモン、アンタゴニスト、他のクラスのプロテインキナーゼC調節薬、微小管安定剤、放射性同位体、抗体、他の天然物、HDAC阻害剤、ブロモドメイン阻害剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の薬剤を含む、医薬組成物。
条項37.1つ以上の薬剤が、ara-C、タキソール、シスプラチンおよびビンクリスチンから選択される、条項36に記載の医薬組成物。
条項38.1つ以上の薬剤が、ジスルフィラム、JQ1、パノビノスタット、ロミデプシン、ボリノスタット、ブリオスタチン、プロスタチンおよびアセトリチンから選択される、条項35に記載の医薬組成物。
条項39.治療有効量の条項35~38のいずれか一項に記載の医薬組成物を、それを必要とする個体に投与することを含む、がんの治療方法。
条項40.前記がんが、黒色腫、骨髄腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、結腸直腸癌、腎癌、前立腺癌、頭部癌、頸部癌、胃癌、食道癌、肛門癌、または子宮頸癌、卵巣癌、乳癌、腹膜癌、および非小細胞肺癌からなる群から選択される、条項39に記載の方法。
条項41.治療有効量の条項35~38の医薬組成物を、それを必要とする個体に投与することを含む、免疫系の強化方法。
条項42.治療有効量の条項35~38の医薬組成物を、それを必要とする個体に投与することを含む、連想記憶障害の治療方法。
条項43.前記連想記憶障害が、アルツハイマー病および鬱病からなる群から選択される、条項42に記載の方法。
条項44.治療有効量の条項35~38に記載の医薬組成物を、それを必要とする個体に投与することを含む、ウイルス感染症の治療方法。
条項45.前記ウイルス感染症が、エプスタインバーウイルス、HIVおよびHSVからなる群から選択される、条項44に記載の方法。

Claims (20)

  1. 下記工程を含む、ブリオスタチン化合物の調製方法:
    (a)式(I)の出発物質もしくはそのシントンまたはその合成等価体から式(X)の化合物を調製する工程:
    Figure 2022107010000078
    式中、
    およびPが、独立して、ヒドロキシル保護基またはその合成等価体であり;
    各RおよびR~Rが、独立して、アルキルまたは置換アルキルであり;
    12が、アルキルまたは置換アルキルであり;および
    11が、アシル、置換アシル、アルキル、置換アルキル、-CO-アリール、-CO(置換アリール)、-CO-ヘテロアリール、または-CO(置換ヘテロアリール)であり;ならびに
    (b)式(XI)の出発物質もしくはそのシントンまたはその合成等価体から式(XX)の化合物を調製する工程:
    Figure 2022107010000079
    式中、
    が、アルキニル、置換アルキニル、アレニル、置換アレニル、アルキル、または置換アルキル(例えば、炭素鎖中に1個以上のOもしくはN原子を含むか、またはシクロアルキル、置換シクロアルキル、環状アルケニル、置換環状アルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールで置換されている)であり;
    12、R13およびR16が、独立して、アルキルまたは置換アルキルであり;および
    が、Hまたはヒドロキシル保護基である。
  2. 工程(a)が10以下の合成工程を含み、工程(b)が13以下の合成工程を含み、式(XI)の出発物質もしくはそのシントンまたはその合成等価体が以下のうちの1つ
    Figure 2022107010000080
    から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. が4~10個の炭素を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。

  4. Figure 2022107010000081
    である、請求項3に記載の方法。
  5. (c)式(X)の化合物と式(XX)の化合物とを、エステル化そして大環状化(またはその逆)によりカップリングして大環状化合物を製造する工程;ならびに
    (d)該大環状化合物から式(XXII)の化合物を調製する(例えば、オスミル化/ジオール開裂などの酸化的開裂、またはオゾン分解反応を介して)工程をさらに含み、
    Figure 2022107010000082
    式中、
    が、アルキルまたは置換アルキルであり;
    「b」で示す共有結合が二重結合である場合、Zが=CRまたは=NRであり;
    「b」で示す共有結合が単結合である場合、Zが-ORまたは-N(Rであり;および
    、R、R、およびRが、それぞれ独立して、H、アルキルオキシカルボニル、置換アルキルオキシカルボニル、アルキル、または置換アルキルであり;
    およびPが、独立して、Hまたはヒドロキシル保護基であり;
    11が、H、アシル、置換アシル、アルキル、または置換アルキルであり;
    12が、H、アルキル、または置換アルキルであり;ならびに
    16が、H、アルキル、または置換アルキルである、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 保護されたヒドロキシ基を脱保護し、遊離ヒドロキシル基を有するブリオスタチン化合物を製造する工程をさらに含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記ブリオスタチン化合物のプロドラッグを調製する工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記大環状化合物が式(XXI)
    Figure 2022107010000083
    の化合物である、請求項5に記載の方法。
  9. 前記ブリオスタチン化合物が、式(XXIII)の構造を有し、
    Figure 2022107010000084
    式中、
    13が、アルキルまたは置換アルキルであり;および
    14が、H、ヒドロキシル保護基、またはプロ部分である、
    請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記ブリオスタチン化合物が、式(XXXII)の構造を有し、
    Figure 2022107010000085
    式中、
    13が、アルキルまたは置換アルキルであり;および
    14が、H、ヒドロキシル保護基、またはプロ部分である、
    請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
  11. 工程(a)が、式(III)の化合物から式(X)の化合物を調製する方法を含み、
    Figure 2022107010000086
    式中、
    およびPが、独立して、Hまたはヒドロキシル保護基であり;
    が、H、アルキル、または置換アルキルであり;各RおよびR12が、アルキルまたは置換アルキルであり;ならびに
    11が、アシル、置換アシル、アルキル、または置換アルキルである、
    請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 工程(a)が、式(VI)の化合物から式(VII)の化合物を調製することを含み、
    Figure 2022107010000087
    式中、Rが、H、アルキル、または置換アルキルである、
    請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 工程(a)が、式(VII)の化合物と式(VIII)の化合物とを反応させて式(IX)の化合物を立体選択的に製造することを含み、
    Figure 2022107010000088
    式中、
    各RおよびRが、アルキルまたは置換アルキルであり;ならびに
    各Xが脱離基である、
    請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 工程(b)が、式(XII)および(XIII)の化合物から中間体(XIVa)を介して式(XIVb)の化合物を調製すること
    Figure 2022107010000089
    を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 工程(b)が、メタセシス反応を介して式(XIVb)の化合物から式(XIV)の化合物を調製することを含み、
    Figure 2022107010000090
    式中、R13が、少なくとも2個の炭素を含むアルキルまたは置換アルキルである、
    請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  16. 図1~図9に記載のいずれか1つの工程に従った1つまたは複数の工程を含む、ブリオスタチン化合物またはその前駆体の調製方法。
  17. 前記ブリオスタチン化合物またはその前駆体がブリオスタチン1である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  18. 式(XXXI)を有し、
    Figure 2022107010000091
    式中、
    が、アルキルまたは置換アルキルであり;
    「b」で示す共有結合が二重結合である場合、ZがCRまたはNRであり;
    「b」で示す共有結合が単結合である場合、ZがORまたはN(Rであり;
    、R、R、およびRが、それぞれ独立して、H、アルキルオキシカルボニル、置換アルキルオキシカルボニル、アルキル、または置換アルキルであり;
    11が、アシル、置換アシル、アルキル、または置換アルキルであり;
    12が、H、アルキル、または置換アルキルであり;
    13が、H、アルキル、または置換アルキルであり;ならびに
    14およびR15が、独立して、H、ヒドロキシル保護基、またはプロ部分である、
    ブリオスタチン類似体、またはその溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグ形態、および/またはその塩。
  19. 14がプロ部分である、請求項18に記載のブリオスタチン類似体。
  20. 治療有効量の請求項17~19のいずれか一項に記載のブリオスタチン類似体と、薬学的に許容されるビヒクルとを含む、医薬組成物。
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