JP2022105352A - ヘッドレストステーと芯材との結合構造、ヘッドレストおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
一般的なヘッドレストの製造によれば、このヘッドレストステーの上端部を、袋状の表皮の開口より芯材を押し込むように表皮の内部空間に挿入し、この状態のまま、表皮に発泡プラスチック材料を注入してクッション体を成形することにより、ヘッドレストを得ていた。
ヘッドレストが装着される座席を搭載した乗り物の種類は限定されない。例えば、自動車、電車、汽車、飛行機、船舶などを採用することができる。
座席の種類、形状およびサイズも、シートバックにヘッドレストを有するものであれば任意である。
このヘッドレストは、ヘッドレストステーを骨格とした枕部を本体としている。枕部は、外装材となる袋状の表皮内に、ヘッドレストステーのうち、芯材が結合された上端部を挿入して保持し、その後、この表皮の内部空間で、芯材より軟質の発泡合成樹脂材料を充填発泡することにより、クッション体を内部成形したものである。よって、枕部の下端からは、ヘッドレストステーの両脚部が平行に突出している。
ヘッドレストステーの形状(特に、これの先端部の形状)は任意である。例えば、略逆U字形状、略A字形状(穴空き形状)、鳥居形状などを採用することができる。その他、正面視して略逆U字形状で、側面視して逆J字形状のものでもよい。
両脚部は、少なくとも枕部から突出する下部が互いに平行状態であればよい。
芯材の形状は任意である。例えば、平面視して矩形状、台形状などでもよい。
ここでいう"芯材の一面"とは、芯材の露出面であれば任意である。具体的には、ヘッドレストを座席のシートバックに装着した状態を基準として、そのときの芯材の後面でも、芯材の左面または右面でもよい。
嵌挿溝の断面形状は、ヘッドレストステーを嵌入できる大略U字形状である。
"断面大略U字形状"とは、嵌挿溝の長さ方向に直交する断面形状が、U字形状またはそれに類似した形状であることをいう。
このような弾性変形片により、ヘッドレストステーの一対の脚部の上端部が嵌挿溝の奥方へ押し込まれる。すなわち、芯材の嵌挿溝に嵌挿されたヘッドレストステーに対して、弾性力(ばね力)に抗して引張された弾性変形片の一部が上方から被せられ、その弾性変形片の弾性力により、ヘッドレストステーの上端部をこの嵌挿溝の奥深くへと押し込まれる。
弾性変形片は、芯材と同一素材で、この芯材と一体的に成形された発泡プラスチック製の部材である。
弾性変形片の形状は、少なくともその一部が嵌挿溝の開口に対してオーバーハング状態で設けられれば任意である。例えば、フック状(かぎ爪状)などでもよい。
弾性変形片の芯材における形成位置は限定されない。例えば、芯材の嵌挿溝形成壁(奥部形成壁や開口部形成壁など)から突出するように形成してもよい。
右側の脚部嵌挿用溝部とは、ヘッドレストステーの右側の脚部の上端部が嵌挿される、嵌挿溝の右側の直線状の溝部分である。
また、ブリッジ部嵌挿用溝部とは、ヘッドレストステーのブリッジ部が嵌挿される、嵌挿溝の横梁状の溝部分である。
弾性変形片は、左側の脚部嵌挿用溝部の開口付近と、左側の脚部嵌挿用溝部の開口付近と、ブリッジ部嵌挿用溝部の開口付近の少なくとも3箇所にそれぞれ配置されている。
ここでいう"嵌挿溝の開口付近"とは、嵌挿溝の開口部(開口端を含む)だけでなく、この開口端の直上近くの領域を含む。
表皮の素材は任意である。例えば、各種の布帛(織布、不織布、編布)、各種の皮革(天然皮革、合成皮革)などでもよい。
表皮における開口の形成位置は、例えば、表皮の下部(底部)などである。
表皮に形成された開口のサイズは、芯材が結合されたヘッドレストステーの上端部を挿入可能であれば任意である。ただし、この開口サイズは可能な限り小さい方が、例えば、クッション体の発泡成形材料(発砲合成樹脂材料)を表皮内に注入(または射出)し、これを充填発泡させてクッション体を作製する際に、この開口からの充填材料の漏出が少なくなるために好ましい。
クッション体は、例えば、ブリッジ部が配された表皮の内部空間に発泡合成樹脂材料を注入または射出して設けることができる。その他、あらかじめ設けたクッション体を、ブリッジ部が収納された表皮の中に詰め込んでもよい。また、ブリッジ部の外周面へのクッション体の接着、または紐などによるブリッジ部への締結でもよい。
ヘッドレストステーの作製方法は限定されない。例えば、1本の鋼管をベンディングマシンより所定形状に湾曲する方法などでヘッドレストステーが作製される。その他、ヘッドレストステーを複数の部分ステーに分割して作製し、その後、これらを所定の連結方法(例えば、溶接、嵌着など)によって連結してもよい。
芯材の成形方法は限定されない。例えば、射出成形法、注型法、加圧成形法などを採用することができる。この芯材の成形時に、弾性変形片が同一素材で一体的に成形される。
ここでは、芯材の嵌挿溝に、ヘッドレストステーの上端部を、各弾性変形片の先端を押し広げるようにして嵌挿させる。
クッション体の成形時には、表皮内に、芯材が結合されたヘッドレストステーの上端部(芯材の結合構造部)を挿入し、この状態を保持して、表皮内に発泡合成樹脂材料を入れて充填発泡させる。
そのため、芯材の嵌挿溝にヘッドレストステーを嵌挿した際には、弾性力(ばね力)に抗して引張された弾性変形片の一部が、上方からヘッドレストステーの上端部に被せられる。その結果、弾性変形片の弾性力の作用によって、ヘッドレストステーの上端部が嵌挿溝の奥深くへと押し込められる。
なお、従来のヘッドレストステーと芯材との結合構造では、芯材の下端部に配設された左右一対の規制突起(剛体)を介して、各脚部の左右方向への移動を規制するのみであった。そのため、ヘッドレストステーと芯材との前後方向の結合力は小さく、芯材付きのヘッドレストステーの上端部を、この芯材を袋開口に押し込む際には、芯材がヘッドレストステーから離脱するおそれがあったが、本発明はこれを解消するものである。
その結果、ヘッドレストステーの上端部と芯材との嵌挿溝を介した結合力をさらに高めることができる。
これにより、ヘッドレストの製造時に、芯材が結合されたヘッドレストステーの上端部を、支障なく表皮に挿入できるとともに、製造されたヘッドレストの品質の安定化も図ることができる。
その後、この嵌挿溝には、その開口端から、ヘッドレストステーの上端部を、各弾性変形片の先端を押し広げるように嵌挿することで、芯材にヘッドレストステーが結合される。
その結果、ヘッドレストステーの上端部と芯材との前後左右方向の結合力が高められ、このヘッドレストの製造に際して、芯材が結合されたヘッドレストステーの上端部を、支障なく表皮に挿入できるとともに、製造されたヘッドレストの品質の安定化も図ることができる。
ヘッドレスト10は、骨格となる縦長なヘッドレストステー12と、ヘッドレストステー12の上端部に結合される芯材13と、枕部11の外装材を構成して、芯材13が結合されたヘッドレストステー12の上端部が収納される袋状の表皮14と、このヘッドレストステー12の上端部を収納した表皮14内に充填されるクッション体15とを有している。この枕部11の下面からは、ヘッドレストステー12の一部を構成する平行な左右一対の脚部16の下部が、それぞれ突出している。
図1および図3に示すように、ヘッドレストステー12は、1本の長尺な鋼管を、正面視して略逆U字形状で、側面視して略段差状に湾曲させた部材である。
ヘッドレストステー12は、このような形状を実現させるため、長尺で平行な左右一対の脚部16の中間部が、それぞれX1方向へ逆ハの字状に屈曲されている。両脚部16は、図示しない座席のシートバックに内蔵されたフレームに、2本のステー保持具を介して、上下方向にスライド自在に支持されるものである。
さらに、両脚部16の先端同士は、Y1-Y2方向に延びたブリッジ部17によりそれぞれ一体的に連結されている。そのため、ヘッドレストステー12の先端部は、左側の脚部16の先端部と、右側の脚部16の先端部と、ブリッジ部17とを、略逆U字形状に連結したものとなっている。
芯材13の形状は、後面と正対してY1-Y2方向へ長い略矩形状で、かつ側面視して略砲弾形状のものである。
芯材13のX2側(後側)の面には、ヘッドレストステー12の上端部が嵌挿される断面大略U字形状の嵌挿溝18が形成されている。
両脚部嵌挿用溝部19の内側形成壁19aのうち、その長さ方向の中間部と、ブリッジ部嵌挿用溝部20の内側形成壁20aのうち、その長さ方向の中間部とには、対応する溝部の長さ方向へ長い矩形凹部21がそれぞれ形成されている。
各弾性変形片22は、対応する矩形凹部21の奥面からフック状の頭部22aの下端までの長さが、ヘッドレストステー12の直径より短い。これらの弾性変形片22は、先端に向かうほど、徐々に対応する外側形成壁19b、20bの方向へ傾斜している。
クッション体15は、発泡ウレタン(発泡合成樹脂)製の緩衝体である。
あらかじめ、平行な左右一対の脚部16とブリッジ部17とを有したヘッドレストステー12を準備する(ヘッドレストステーの準備工程)。具体的には、1本の鋼管をベンディングマシンにより正面視して略逆U字形状で、側面視して略段差状に湾曲させて、ヘッドレストステー12を作製する。
また、X2側の面に嵌挿溝18が形成された芯材13を準備する(芯材の準備工程)。具体的には、図示しない射出成形金型内に、ビーズ法発泡ポリプロピレン材料(射出成形材料)を射出する。これにより、断面大略U字形状で、かつ芯材13のX2側の面と正対視して略逆U字形状の嵌挿溝18の各辺の中間部に、フック状の弾性変形片22が1つずつ配された芯材13を射出成形する。
各弾性変形片22は、先端に向かうほど、徐々に対応する外側形成壁19b、20bの方向へ傾斜している。そのため、ヘッドレストステー12の上端部を、各弾性変形片22の先端を押し広げるように嵌挿溝18に嵌挿したとき、各弾性変形片22の対応する外側形成壁19b、20b方向への弾性力(ばね力)の作用によって、ヘッドレストステー12の上端部が対応する外側形成壁19b、20bに押圧される。その結果、ヘッドレストステー12の上端部と芯材13との左右方向(ただし、ブリッジ部17側の弾性変形片22の場合には上下方向)の結合力が高められる。
このとき、各矩形凹部21の奥面から各弾性変形片22の頭部22aの下端までの長さが、ヘッドレストステー12の直径より短いため、ヘッドレストステー12の嵌挿時、各弾性変形片22の一部(主に胴部)は、弾性力(ばね力)に抗して引っ張られ、上方からヘッドレストステー12の上端部に被せられる。その結果、各弾性変形片22にはX1方向へ縮もうとする力が作用し、ヘッドレストステー12の上端部は嵌挿溝18の奥方へ押し込まれて、ヘッドレストステー12の上端部と芯材13との、前後方向の結合力が高められる。
以上のことから、実施例1では、ヘッドレストステー12の上端部と芯材13との前後左右方向(全方向)の結合力を高めることができる。
なお、従来のヘッドレストステーの上端部と芯材との結合構造では、芯材の下端部に配設された左右一対の規制突起(剛体)を介して、各脚部の左右方向への移動を規制するのみであった。そのため、ヘッドレストステーと芯材との前後方向の結合力は小さく、芯材付きのヘッドレストステーの上端部を、この芯材を袋開口に押し込む際には、芯材がヘッドレストステーの上端部から離脱するおそれがあったが、実施例1ではこれが解消されている。
以上により、品質が安定し、かつ安全性も高いヘッドレスト10を製造することができる。
こうして製造されたヘッドレスト10は、枕部11の下部から突出した2本の脚部16を、図示しない自動車用座席のシートバックに内蔵されたフレームに、2本のステー保持具を介して、Z1-Z2方向へスライド自在にそれぞれ差し込むことにより使用される。
なお、各弾性変形片22の先端は、嵌挿溝18へのヘッドレストステー12の上端部の嵌挿時に、嵌挿溝18の開口端の位置、または、それよりX1側の近傍位置に配してもよい。その理由は、図7に示すクッション体成形工程において、表皮14内に注入された発泡ウレタン材料aが芯材13のX2側の面に沿って流れ落ちるとき、各弾性変形片22の先端部が発泡ウレタン材料aの流れを阻害する障害物とならず、その結果、得られたクッション体15内に、これを原因としたボイドが発生しないためである。
12 ヘッドレストステー
13 芯材
14 表皮
15 クッション体
16 脚部
17 ブリッジ部
18 嵌挿溝
19 脚部嵌挿用溝部
20 ブリッジ部嵌挿用溝部
22 弾性変形片
23 結合構造部
a 発泡ウレタン材料(発砲合成樹脂材料)
Claims (4)
- 平行な左右一対の脚部を有するヘッドレストステーの上端部に、発泡プラスチック製の芯材が結合されたヘッドレストステーと芯材との結合構造において、
前記芯材の一面に、前記ヘッドレストステーの上端部が嵌挿される断面大略U字形状の嵌挿溝を形成し、
該嵌挿溝の開口に対してオーバーハング状態で弾性変形片が設けられ、
この弾性変形片により前記ヘッドレストステーの一対の脚部の上端部が前記嵌挿溝の奥方へ押し込まれるとともに、前記弾性変形片は、前記芯材と同一素材で一体成形されたものであるヘッドレストステーと芯材との結合構造。 - 前記ヘッドレストステーの上端部は、前記両脚部の上端同士をブリッジ部により連結した略逆U字形状のもので、
前記嵌挿溝は、互いに平行な左右一対の脚部嵌挿用溝部と、これらの脚部嵌挿用溝部の上端同士を連通するブリッジ部嵌挿用溝部とからなる略逆U字形状のもので、
前記弾性変形片は、前記両脚部嵌挿用溝部の開口付近と前記ブリッジ部嵌挿用溝部の開口付近とに配された請求項1に記載のヘッドレストステーと芯材との結合構造。 - 請求項1または請求項2に記載のヘッドレストステーと芯材との結合構造を、袋状の表皮に包含して発泡合成樹脂製のクッション体で包み込み固定することにより、前記表皮から前記ヘッドレストステーの両脚部が平行に突出したヘッドレスト。
- 平行な左右一対の脚部を有するヘッドレストステーを準備する工程と、
該ヘッドレストステーの上端部が嵌挿される断面大略U字形状の嵌挿溝が一面に形成されて、該嵌挿溝の開口に対してオーバーハング状態で、前記ヘッドレストステーの上端部を前記嵌挿溝の奥方へ押し込む弾性変形片が設けられた発泡プラスチック製の前記芯材を準備する工程と、
前記嵌挿溝に、前記ヘッドレストステーの上端部を、前記各弾性変形片の先端を押し広げるように嵌挿させて、前記芯材に前記ヘッドレストステーを結合させる工程と、
前記芯材に前記ヘッドレストステーを結合させた後、この結合構造部を表皮内に保持した状態で、該表皮内で発泡合成樹脂材料を充填発泡させることで、前記表皮内にクッション体を成形する工程とを備え、
前記弾性変形片は、前記芯材と同一素材で一体成形されたものであるヘッドレストの製造方法。
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