JP2022104449A - 光透過板および光学部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた抗微生物性を備え、かつ、優れた光透過性を発揮する光透過板、および、かかる光透過板を備え信頼性に優れた光学部品を提供すること。【解決手段】本発明の光透過板10は、双方の面からの入射光の入射および出射光の出射を許容する光透過性を有するものであり、平板状をなす基板12と、この基板12の前記一方の面側と前記他方の面側との少なくとも片方側に積層された樹脂層11とを備え、樹脂層11は、基板12と反対側の表面から一部が露出し、抗微生物性を有する抗微生物粒子を含み、この樹脂層11を平面視で見たとき、複数の前記抗微生物粒子が前記表面から露出する露出面積の総面積が、500μm×500μmあたり200μm2以上15000μm2以下となっている領域を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、光透過板および光学部品に関する。
近年、ウイルス、細菌のような病原体を媒介とした感染症が急激に流行するパンデミックが社会的に大きな問題となっている。
この感染症の人同士における感染を防止することを目的に、装着者からの飛沫が第三者に向けて拡散・付着すること、または第三者からの飛沫が装着者に拡散・付着することを防止するために、装着者の頭部の前面を覆うフェイスシールド、装着者の口部を覆う透明マスク、装着者の眼部を覆う保護グラス等を装着することや、透明性を有する透明配置具を人同士の間に配置すること等、各種の光学部品を用いて飛沫の拡散・付着を防止することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
これらの光学部品には、光学部品に付着した飛沫に、人が接触することに起因した接触感染を防止または抑制するために、抗ウイルス性や、抗菌性のような抗微生物性を有する抗微生物粒子を、含有させることが考えられる。
しかしながら、抗微生物粒子を、光学部品が備える光透過板に含有させると、優れた光透過性を有することが求められる光透過板において、その光透過性が低下するという問題があった。
特表2009-523890号公報
本発明の目的は、優れた抗微生物性を備え、かつ、優れた光透過性を発揮する光透過板、および、かかる光透過板を備え信頼性に優れた光学部品を提供することにある。
このような目的は、下記(1)~(10)に記載の本発明により達成される。
(1) 双方の面からの入射光の入射および出射光の出射を許容する光透過性を有する光透過板であって、
平板状をなす基板と、該基板の一方の面側と他方の面側との少なくとも片方側に積層された樹脂層とを備え、
前記樹脂層は、前記基板と反対側の表面から一部が露出し、抗微生物性を有する抗微生物粒子を含み、
前記樹脂層は、該樹脂層を平面視で見たとき、複数の前記抗微生物粒子が前記表面から露出する露出面積の総面積が、500μm×500μmあたり200μm以上15000μm以下となっている領域を有することを特徴とする光透過板。
(2) 前記樹脂層は、さらに、前記抗微生物粒子を保持するバインダー樹脂を含む上記(1)に記載の光透過板。
(3) 前記バインダー樹脂は、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂およびアクリル系樹脂のうちの少なくとも1種である上記(2)に記載の光透過板。
(4) 前記抗微生物粒子は、銀、銅、亜鉛および白金のうちの少なくとも1種を含有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の光透過板。
(5) 前記抗微生物粒子は、前記樹脂層において、その含有量が0.4重量%以上7.5重量%以下である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の光透過板。
(6) 前記抗微生物粒子は、その平均粒子径が0.5μm以上8.5μm以下である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の光透過板。
(7) 前記樹脂層は、その平均厚さが1.0μm以上60.0μm以下である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の光透過板。
(8) 前記基板は、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂およびアクリル系樹脂のうちの少なくとも1種を主材料として構成される上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の光透過板。
(9) 当該光透過板は、第1空間と第2空間とを仕切る仕切部材である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の光透過板。
(10) 上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の光透過板を備えることを特徴とする光学部品。
本発明によれば、光透過板を、優れた光透過性を備えるものとしつつ、光透過板に、優れた抗微生物性を発揮させることができる。その結果、この光透過板を備える光学部品は、優れた信頼性を有する。
本発明の光透過板の実施形態を示す縦断面図である。 図1に示す光透過板のA部を拡大して示す部分拡大縦断面図である。 実施例1の光透過板10の平面視において撮像されたSEM画像(図3(a)は原画像、図3(b)は露出する抗微生物粒子の強調画像)である。
以下、本発明の光透過板および光学部品を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の光透過板は、双方の面からの入射光の入射および出射光の出射を許容する光透過性を有するものであり、平板状をなす基板と、該基板の一方の面側と他方の面側との少なくとも片方側に積層された樹脂層とを備え、前記樹脂層は、前記基板と反対側の表面から一部が露出し、抗微生物性を有する抗微生物粒子を含み、該樹脂層を平面視で見たとき、複数の前記抗微生物粒子が前記表面から露出する露出面積の総面積が、500μm×500μmあたり200μm以上15000μm以下となっている領域を有することを特徴とする。
光透過板をかかる構成をなすものとすること、すなわち、前記樹脂層において、抗微生物粒子の一部が樹脂層から露出することで、光透過板を、優れた抗微生物性を備えるものとし得る。そして、前記樹脂層を平面視で見たとき、複数の前記抗微生物粒子が前記表面から露出する露出面積の総面積が、500μm×500μmあたり200μm以上15000μm以下に設定されているため、光透過板に、優れた光透過性を発揮させることができる。その結果、装着者の頭部の前面を覆うフェイスシールド、装着者の口部を覆う透明マスク、装着者の眼部を覆う保護グラスのような人が装着する光学部品や、透明配置具(仕切り板)のような人同士の間に配置される光学部品における、光透過性が求められる透光部に、この光透過板を用いることで、光学部品を、優れた信頼性を有するものとし得る。
<光透過板>
図1は、本発明の光透過板の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1に示す光透過板のA部を拡大して示す部分拡大縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。また、図2では、図を見易くするために、図中における、ハッチングの付与を省略している。
光透過板10は、図1に示すように、本実施形態では、平板状をなす基板12と、この基板12の一方の面側と他方の面側との双方側に積層された樹脂層11とを備えている。以下、光透過板10を構成する各部について、説明する。
基板12は、光透過性を有する平板状をなすものであり、第1空間と第2空間との間に光透過板10が配置されることで、これら空間同士の間を仕切り、これにより、第1空間と第2空間との間における飛沫の拡散を防止する機能を有するものである。
基板12(光透過板10)は、図1に示すように、平板状をなすが、その用途等に応じて、平面形状とされたまま用いられたり、湾曲形状とされた状態で使用される。
この基板12は、特に限定されないが、好ましくは、熱可塑性を有する透明樹脂を主材料として構成されている。これにより、基板12に、前述したような基板12としての機能が付与されている。
この透明樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアセタール系樹脂等の透明性を備える樹脂が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂およびアクリル系樹脂のうちの少なくとも1種であるのが好ましい。これらの樹脂は、比較的、透明性(透光性)や剛性等の機械的強度に富み、さらに耐熱性も高い。そのため、透明樹脂にこれらの樹脂を用いることで、基板12における透明性や基板12の耐衝撃性、耐熱性を比較的容易に向上させることができる。
また、基板12は、必要に応じて、上述した、透明樹脂の他に、さらに、酸化防止剤、フィラー、可塑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、熱線吸収剤、難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
基板12は、光透過板10の用途に応じて、その厚さが適宜設定されるが、基板12の平均厚さは、好ましくは0.05mm以上30.0mm以下程度、より好ましくは0.1mm以上5.0mm以下程度に設定される。基板12の平均厚さがかかる範囲内に設定されることで、光透過板10として用い得る強度を付与して、第1空間と第2空間との間に光透過板10が配置された際に、これらの空間同士における飛沫の拡散を確実に防止することができる。
樹脂層11は、図1に示すように、本実施形態では、基板12の双方の面側にそれぞれ積層され、基板12と反対側の表面から一部が露出する、抗微生物性を有する抗微生物粒子31を含む層である(図2参照)。
この抗微生物粒子31の一部が樹脂層11の基板12とは反対側の表面から露出しており、これにより、樹脂層11(光透過板10)に、抗微生物性を発揮させることができる。
そして、本発明では、樹脂層11は、この樹脂層11を、平面視で見たとき、複数の抗微生物粒子31が前記表面から露出する露出面積の総面積が、500μm×500μmあたり200μm以上15000μm以下となっている領域を有している。前記総面積を、かかる範囲内に設定することにより、樹脂層11に抗微生物粒子31が含まれていたとしても、樹脂層11(光透過板10)に、優れた光透過性を発揮させることができる。
この樹脂層11は、抗微生物粒子31の他に、この抗微生物粒子31を、樹脂層11に保持するバインダー樹脂21を含んでいる。これにより、抗微生物粒子31を含む樹脂層11を、図1および図2に示すように、層状をなすものとして成膜することができる。
このバインダー樹脂21としては、特に限定されないが、例えば、基板12で説明した、透明樹脂を用いることができ、中でも、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂およびアクリル系樹脂のうちの少なくとも1種であるのが好ましい。これらの樹脂は、前述の通り、比較的、透明性(透光性)や剛性等の機械的強度に富み、さらに耐熱性も高い。そのため、バインダー樹脂に、これらの樹脂を用いることで、樹脂層11における透明性や樹脂層11の耐衝撃性、耐熱性を比較的容易に向上させることができる。
また、このバインダー樹脂21は、基板12に含まれる透明樹脂と、同種または同一であることが好ましい。これにより、樹脂層11を、基板12に対して優れた密着性を発揮するものとし得る。また、樹脂層11と基板12との界面において、光透過板10を透過する光が反射されるのを的確に抑制または防止して、この光を、樹脂層11と基板12との間を確実に透過させることができる。
抗微生物粒子31は、その一部が樹脂層11の基板12とは反対側の表面から露出している。これにより、樹脂層11(光透過板10)が、抗微生物性を発揮する。
ここで、本明細書中において、抗微生物性とは、抗菌性、抗ウイルス性および抗カビ性(防カビ性)を含む概念であり、抗微生物粒子31としては、抗菌粒子、抗ウイルス粒子、抗カビ(防カビ)粒子を含み、この抗微生物粒子31は、抗微生物材料としての、抗菌材料、抗ウイルス材料、抗カビ(防カビ)材料を含有しているものを含む。
この抗微生物材料としては、特に限定されないが、例えば、銀、銅、亜鉛および白金のうちの少なくとも1種の金属や、この金属を含む金属酸化物、金属水和物または金属化合物を好ましく用いることができる。これにより、抗微生物粒子31の一部が露出する樹脂層11において、抗微生物性を確実に発揮させることができる。
また、抗微生物材料における、金属化合物としては、金属のカルボン酸塩、金属または金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライトのような無機粒子(担体)、および、銅の錯体等が挙げられ、中でも、イオン交換された無機粒子であることが好ましい。このような無機粒子は、優れた抗微生物性を発揮することから、抗微生物粒子31として、好ましく用いることができる。
なお、抗微生物材料として、金属を用いる場合、抗微生物粒子31には、銀、銅、亜鉛または白金の金属で構成される金属粒子が単独で含まれていてもよいし、2種以上の前記金属粒子が含まれていてもよいし、さらには、2種以上の金属を含む合金で構成される金属粒子が含まれていてもよい。
また、金属酸化物または金属水和物としては、酸化銅(II)、酸化銅(I)(亜酸化銅)、水酸化銅(II)、炭酸銅(II)等が挙げられる。
さらに、金属のカルボン酸塩としては、酢酸銅(II)、酢酸銅(I)、シュウ酸銅(I)、シュウ酸銅(II)、フタル酸銅(II)等が挙げられる。
また、金属または金属酸化物が担持された金属酸化物触媒としては、例えば、白金担持チタニア触媒、銀担持チタニア触媒、白金担持窒素ドープチタニア触媒、白金担持硫黄ドープチタニア触媒、銀担持酸化タングステン触媒等のように、酸化チタンや酸化タングステン等に、白金、銀、銅のような金属を担持させたものが挙げられる。
さらに、金属イオンでイオン交換された無機粒子(担体)としては、例えば、銀イオンおよび銅イオンの少なくとも一方で交換されたゼオライト、銀および銅の少なくとも一方が担持されたアルミナ、銀および銅の少なくとも一方が担持されたシリカ、銀および銅の少なくとも一方が担持された酸化チタン、または酸化タングステン、銀および銅の少なくとも一方が担持されたリン酸カルシウム、またはリン酸ジルコニウム、銀および銅の少なくとも一方が担持されたモリブデン酸等が挙げられる。
また、銅の錯体としては、例えば、アセチルアセトンと銅との錯体、銅(I)(1-ブタンチオレート)、銅(I)(へキサフルオロペンタンジオネートシクロオクタジエン)等が挙げられる。
抗微生物粒子31を、上記のような抗微生物材料を含有するものとし、この抗微生物粒子31の一部が樹脂層11の基板12とは反対側の表面から露出している構成とすることで、樹脂層11すなわち光透過板10に、抗微生物性を発揮させることができる。
この抗微生物粒子31の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上8.5μm以下、より好ましくは1.0μm以上8.0μm以下、さらに好ましくは3.0μm以上8.0μm以下に設定される。抗微生物粒子31の平均粒子径をかかる範囲内に設定することにより、抗微生物粒子31の一部を、樹脂層11の基板12とは反対側の表面から比較的容易に露出させることができる。さらに、前記総面積を500μm×500μmあたり200μm以上15000μm以下の範囲内に比較的容易に設定し得ることから、樹脂層11(光透過板10)に、優れた光透過性を発揮させることができる。
また、抗微生物粒子31の樹脂層11における含有量は、好ましくは0.4重量%以上7.5重量%以下、より好ましくは1.0重量%以上5.5重量%以下、さらに好ましくは3.0重量%以上5.5重量%以下に設定される。前記含有量が前記下限値未満であると、抗微生物粒子31に含まれる抗微生物材料の種類によっては、樹脂層11(光透過板10)に、優れた抗微生物性を発揮させることができなくなるおそれがある。また、前記含有量が前記上限値を超えると、抗微生物粒子31の平均粒子径の大きさによっては、前記総面積が500μm×500μmあたり200μm以上15000μm以下であることを満足させることができず、樹脂層11(光透過板10)に、優れた光透過性を発揮させることができなくなるおそれがある。
上記のようなバインダー樹脂21と抗微生物粒子31とを含む樹脂層11は、樹脂層11の厚さ方向において、抗微生物粒子31が露出する領域を除く、平均厚さTが1.0μm以上60.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以上40.0μm以下であることがより好ましく、5.0μm以上30.0μm以下であることがさらに好ましい。樹脂層11の平均厚さを前記範囲内に設定することにより、前記総面積の大きさを、比較的容易に、500μm×500μmあたり200μm以上15000μm以下の範囲内に設定することができる。
また、樹脂層11は、この樹脂層11を平面視で見たとき、複数の抗微生物粒子31が、樹脂層11の基板12と反対側の表面から露出する露出面積の総面積が、500μm×500μmあたり200μm以上15000μm以下となっている領域を有すればよいが、前記総面積は、400μm以上14000μm以下であることが好ましく、500μm以上7000μm以下であることがより好ましい。前記総面積を前記範囲内に設定することにより、樹脂層11(光透過板10)に、より確実に優れた光透過性を発揮させることができる。
さらに、前記総面積を前記範囲内に設定することで、樹脂層11(光透過板10)を、優れた光透過性を発揮するものとし得るが、具体的には、光透過板10は、JIS K 7136およびJIS K 7361に準拠して測定される、平行光線透過率が15%以上であることが好ましく、60%以上98%以下であることがより好ましい。
また、光透過板10は、JIS K 7136に準拠して測定されたヘイズ値が80%以下となっていることが好ましく、0.1%以上30%以下となっていることがさらに好ましい。
平行光線透過率およびヘイズ値のうちの少なくとも一方が前記範囲内に設定されることにより、光透過板10を優れた光透過性を有するものであると言うことができる。したがって、この光透過板10を介して、優れた視認性をもって視認することが可能となる。
また、光透過板10は、基板12と樹脂層11とを備え、これらを上述したような構成をなすものとすることで、靭性等の機械的強度に富むものとすることが好ましく、具体的には、JIS K 5600-5-3に準拠したデュポン衝撃試験機を用いて、500gの錘を落下させたとき、この光透過板10を貫通しない最大の高さが120cm以上150cm未満であることが好ましく、150cm以上であることがより好ましい。これにより、装着者の頭部の前面を覆うフェイスシールド、装着者の口部を覆う透明マスク、装着者の眼部を覆う保護グラスのような人が装着する光学部品や、透明配置具(仕切り板)のような人同士の間に配置される光学部品における、光透過性が求められる透光部に、この光透過板10を用いることで、光学部品として用いるのに求められる強度(機械的強度)を、光学部品に付与することができる。また、樹脂層11において、バインダー樹脂21により、抗微生物粒子31を、優れた保持性をもって保持することができる。そのため、早期に抗微生物粒子31が不本意に樹脂層11から離脱するのを的確に抑制または防止することができる。
以上のような構成をなす光透過板10が、装着者の頭部の前面を覆うフェイスシールド、装着者の口部を覆う透明マスク、装着者の眼部を覆う保護グラスのような人が装着する光学部品や、透明配置具(仕切り板)のような人同士の間に配置される光学部品における、光透過性が求められる透光部として用いられる。これにより、このような光学部品において、光透過板10は、第1空間と第2空間とを仕切る仕切部材として機能し、第1空間と第2空間との間での飛沫の拡散を確実に防止することができる。また、光透過板10を介して、各空間に位置する物を、優れた視認性をもって視認することができる。
(光透過板10の製造方法)
以上のような構成をなす光透過板10は、例えば、共押出し法を用いて、以下に示すような製造方法により製造することができる。
以下、光透過板10を製造するための各工程について説明する。
[1]まず、基板12を形成するために、主材料としての透明樹脂と、必要に応じて添加剤とを含む樹脂組成物(A)を用意する。また、樹脂層11を形成するために、抗微生物粒子31と、バインダー樹脂21とを含む樹脂組成物(B)を用意する。
[2]次いで、共押出し法を用いて、基板12と、基板12の両面側に、それぞれ、積層された2つの樹脂層11とを備える光透過板10を得る。
この工程[2]では、基板12を形成するための樹脂組成物(A)および樹脂層11を形成するための樹脂組成物(B)を、それぞれ、1軸混錬共押出機が備えるメイン押出機およびサブ押出機に投入し、加熱条件下で混錬することで溶融状態または軟化状態とした後、共押し出しを行うことで、樹脂組成物(B)と樹脂組成物(A)と樹脂組成物(B)とがこの順で積層された溶融状態または軟化状態とした溶融樹脂が、押出装置が備えるTダイの開口部から連続的に押し出される。そして、押出装置が備えるロールで溶融樹脂をシート状に成形後、冷却することで、基板12の両面側に、それぞれ、樹脂層11が積層された積層体で構成される光透過板10を得ることができる。
なお、樹脂組成物(A)、(B)を混錬する際の加熱温度は、特に限定されず、透明樹脂およびバインダー樹脂21の種類によっても若干異なるが、例えば、150℃以上320℃以下であることが好ましく、160℃以上300℃以下であることがより好ましい。これにより、Tダイの開口部からの押し出しにより、溶融状態または軟化状態とされた溶融樹脂を確実に得ることができる。
以上のような工程を経ることで、光透過板10を製造することができる。
なお、本実施形態では、光透過板10は、基板12の双方の表面に、樹脂層11を備える場合について説明したが、この場合に限定されず、光透過板10の用途等に応じて、基板12の少なくとも一方の表面に、樹脂層11を備えるものであってもよい。換言すれば、光透過板10において、樹脂層11は、飛沫が付着する側の表面に、選択的に形成されているものであってもよい。
以上、本発明の光透過板および光学部品について説明したが、本発明は、これに限定されない。
例えば、本発明の光透過板および光学部品において、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。
1.原材料の準備
まず、各実施例および各比較例の光透過板10の製造のために用意した樹脂材料および抗微生物粒子を、原材料として以下に示す。
(樹脂材料A)
樹脂材料Aとして、ポリエチレンテレフタレート(PET、SKケミカル社製、「スカイグリーンK2012」)を用意した。
(樹脂材料B)
樹脂材料Bとして、ポリカーボネート(PC、三菱エンジニアリングプラスチックス社製、「ユーピロンE-2000」)を用意した。
(樹脂材料C)
樹脂材料Cとして、アクリル樹脂(PMMA、旭化成社製、「デルペット80HD」)を用意した。
(抗微生物粒子A)
抗微生物粒子Aとして、ゼオライトAg(シナネンゼオミック社製、「LJ10D」、平均粒子径:8.0μm)を用意した。
(抗微生物粒子B)
抗微生物粒子Bとして、ゼオライトAg(シナネンゼオミック社製、「AC10D」、平均粒子径:3.0μm)を用意した。
(抗微生物粒子C)
抗微生物粒子Cとして、リン酸ジルコニウムAg(東亞合成社製、「IV-1000」、平均粒子径:1.0μm)を用意した。
(抗微生物粒子D)
抗微生物粒子Dとして、モリブデン酸銀(高純度化学研究所製、平均粒子径:3.0μm)を用意した。
2.光透過板10の製造
(実施例1)
<1>透明樹脂として、樹脂材料A(PET)を用意した。また、混合原料として、樹脂材料A(PET)に抗微生物粒子A(LJ10D)の含有量が1重量%になるように調製したものを用意した。
<2>次いで、サブ押出機に混合原料を、メイン押出機に樹脂材料Aをそれぞれ投入した後に、これらの樹脂を240℃で加熱・溶融させ共押出した。
<3>次いで、Tダイより共押出された樹脂、すなわち積層された状態で共押出された混合原料と樹脂材料Aとを冷却ロールで固化することで、平均厚さ3mmの基板12と、この基板12の両面にそれぞれ積層された平均厚さ15μmの樹脂層11とを備える平板状をなす光透過板10を得た。
以上のような工程を経ることで、基板12の上面および下面の双方に樹脂層11が形成された、実施例1の光透過板10を得た。
(実施例2~10)
用いる抗微生物粒子31の種類と、樹脂組成物中における抗微生物粒子31の含有量とのうちの少なくとも一方を、表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2~10の光透過板10を得た。
(実施例11~12、15)
用いる抗微生物粒子31の種類と、樹脂組成物中における抗微生物粒子31の含有量と、樹脂層11の平均厚さとを、表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例11~12、15の光透過板10を得た。
(実施例13~14)
基板12の形成に用いる透明樹脂、および、樹脂層11の形成に用いるバインダー樹脂21の種類を、それぞれ、表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例10と同様にして、実施例13~14の光透過板10を得た。
(比較例1)
<1>混合原料として、樹脂材料A(PET)に抗微生物粒子B(AC10D)の含有量が10重量%になるように調製したものを用意した。
<2>次いで、押出機に混合原料を投入した後に、これらの樹脂を240℃で加熱・溶融させ押出した。
<3>次いで、Tダイより押出された樹脂(混合原料)を冷却ロールで固化することで、平均厚さ3mmの基板12の単層からなる平板状をなす光透過板を得た。
以上のような工程を経ることで、基板12で構成された、比較例1の光透過板を得た。
(比較例2)
用いる抗微生物粒子31の種類と、樹脂組成物中における抗微生物粒子31の含有量とを、表1に示すように変更したこと以外は、前記比較例1と同様にして、比較例2の光透過板10を得た。
3.評価
各実施例および各比較例の光透過板10を、以下の方法で評価した。
1)抗微生物粒子31が露出する露出面積の総面積の測定
各実施例および各比較例の光透過板10について、それぞれ、それらの平面視の500μm×500μmの領域における700倍に拡大した拡大画像を、走査型電子顕微鏡(SEM、キーエンス社製、「製品番号VE-8800」)を用いて取得した。
そして、得られた拡大画像(原画像)において、樹脂層11から露出する抗微生物粒子31の露出部分を色強調することで特定した後に、前記領域における露出部分の総面積(μm)を求めた。
2)平行光線透過率
各実施例および各比較例の光透過板10について、それぞれ、ヘーズメーター(日本電色社製、「NDH4000」)を使用して、その平行光線透過率をJIS K 7136およびJIS K 7361に準拠して測定した。
3)ヘイズ値
各実施例および各比較例の光透過板10について、それぞれ、ヘーズメーター(日本電色社製、「NDH4000」)を使用して、そのヘイズ値をJIS K 7136に準拠して測定した。
4)光透過板10を介した視認性
各実施例および各比較例の光透過板10について、それぞれ、室内において、光透過板10を介して、テレビ画面を、テレビ画面と光透過板10と観察者との離間距離がそれぞれ50cmとなるように離間した状態で、目視にて観察し、その視認性を、以下の基準に従って評価した。
[評価基準]
A:透視の際に詳細まで視認できる
B:詳細まで不明だが、人やモノの判別ができる
C:何かあることを判別できる
D:視認できない
5)光透過板10を介した抗ウイルス性
各実施例および各比較例の光透過板10について、ISO 21702に準拠した試験方法にて、インフルエンザウイルスおよびネコカリシウイルスを、それぞれ以下の基準に従って評価した。
[評価基準]
A:抗ウイルス活性値が2.0以上
B:抗ウイルス活性値が2.0未満
( -:抗菌活性を認めず)
6)光透過板10を介した抗菌性
各実施例および各比較例の光透過板10について、ISO 22196に準拠した試験方法にて、大腸菌を以下の基準に従って評価した。
[評価基準]
A:抗菌活性値が2.0以上
B:抗菌活性値が2.0未満
7)デュポン衝撃試験
JIS K 5600-5-3に準拠して、デュポン衝撃試験機(上島製作所社製、「IM-4530」)を用いて、500gの錘を落下させたとき、各実施例および各比較例の光透過板10を貫通しない最大の高さを測定した。そして、その最大の高さを、以下の基準に従って評価した。
[評価基準]
A:測定された最大高さが150cm以上
B:測定された最大高さが120cm以上150cm未満
C:測定された最大高さが120cm未満
8)光透過板10における樹脂層11の湾曲性
各実施例および比較例の光透過板10について、それぞれ、光透過板10の1辺において曲率半径360mmの支持体に沿わせた後に、元の直線状に戻した。その後、湾曲させられた1辺における基板12からの樹脂層11の剥離の有無、ならびに、樹脂層11の裂けおよび割れの有無を、目視にて観察し、その観察結果を、以下の基準に従って評価した。
[評価基準]
A:基板12からの樹脂層11の剥離、ならびに、
樹脂層11の裂けおよび割れが認められない
B:基板12からの樹脂層11の剥離、ならびに、
樹脂層11の裂けおよび割れのうちの少なくとも一方が認められる
以上のようにして得られた各実施例および各比較例の光透過板10における評価結果を、それぞれ、下記の表1に示す。
また、実施例1の光透過板10の平面視におけるSEM画像を、図3に示す。
Figure 2022104449000002
表1に示したように、各実施例の光透過板10では、前記露出面積の総面積を、500μm×500μmあたり200μm以上15000μm以下に設定することで、光透過板10を、優れた抗微生物性を備えつつ、優れた光透過性を発揮するものとし得ることが明らかとなった。
これに対して、各比較例の光透過板10では、前記露出面積の総面積が500μm×500μmあたり200μm以上15000μm以下であることを満足しておらず、光透過板10に優れた抗微生物性を付与できないか、もしくは、優れた光透過性を発揮させることができない結果を示した。
10 光透過板
11 樹脂層
12 基板
21 バインダー樹脂
31 抗微生物粒子
T 平均厚さ

Claims (10)

  1. 双方の面からの入射光の入射および出射光の出射を許容する光透過性を有する光透過板であって、
    平板状をなす基板と、該基板の一方の面側と他方の面側との少なくとも片方側に積層された樹脂層とを備え、
    前記樹脂層は、前記基板と反対側の表面から一部が露出し、抗微生物性を有する抗微生物粒子を含み、
    前記樹脂層は、該樹脂層を平面視で見たとき、複数の前記抗微生物粒子が前記表面から露出する露出面積の総面積が、500μm×500μmあたり200μm以上15000μm以下となっている領域を有することを特徴とする光透過板。
  2. 前記樹脂層は、さらに、前記抗微生物粒子を保持するバインダー樹脂を含む請求項1に記載の光透過板。
  3. 前記バインダー樹脂は、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂およびアクリル系樹脂のうちの少なくとも1種である請求項2に記載の光透過板。
  4. 前記抗微生物粒子は、銀、銅、亜鉛および白金のうちの少なくとも1種を含有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光透過板。
  5. 前記抗微生物粒子は、前記樹脂層において、その含有量が0.4重量%以上7.5重量%以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光透過板。
  6. 前記抗微生物粒子は、その平均粒子径が0.5μm以上8.5μm以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光透過板。
  7. 前記樹脂層は、その平均厚さが1.0μm以上60.0μm以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光透過板。
  8. 前記基板は、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂およびアクリル系樹脂のうちの少なくとも1種を主材料として構成される請求項1ないし7のいずれか1項に記載の光透過板。
  9. 当該光透過板は、第1空間と第2空間とを仕切る仕切部材である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の光透過板。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の光透過板を備えることを特徴とする光学部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023026955A1 (ja) * 2021-08-27 2023-03-02 積水化学工業株式会社 抗ウイルス性部材

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