JP2022104447A - ペットフードの製造方法 - Google Patents

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Tsuyoshi Ikeda
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Abstract

【課題】より噛み砕きやすいペットフードを簡易に製造することができるペットフードの製造方法の提供。【解決手段】押出成形機から押し出されたペットフード材料を膨化させ、膨化した生地を得る膨化工程と、前記膨化した生地を多孔質化させ、多孔質化した生地を得る多孔質化工程と、前記多孔質化した生地を切断する切断工程とを有する、ペットフードの製造方法。【選択図】図3

Description

本発明は、ペットフードの製造方法に関する。
ペットフードは、給与目的を機会で分けると主食と間食に分けられる。主食としてのペットフードは「総合栄養食」と言い、当該ペットフードと水を与えていれば必要とされる栄養素が摂取できるように作られる。
一方、「間食」は、ペットのしつけや運動、ご褒美として与えるなど限られた量を与えることが意図されているペットフードである。
目的別による分類は、「総合栄養食」「間食」「療法食」、そのいずれにも該当しない「その他の目的食」に分かれる。
また、水分含有量による分類としては、水分含有量が10%程度(12%以下)であるドライフード、水分含有量が25~35%程度であり、発泡処理されているソフトフード、水分含有量が25~35%程度であり、発泡処理されていないセミモイストフード、及び水分含有量が75%程度であるウエットフードに大別される。これらのうち、ドライタイプのペットフードは、取り扱い易さ、保存性の良さなどの点から、近年その需要がますます増加している。
ドライタイプのペットフードは一般的に固く、他タイプのペットフードより硬いのはもちろん、人間が食べている食品のほとんどのものよりも硬い。イヌ・ネコは元来肉食であり、その歯は主に獲物をくわえるため、又は肉を切り取るために進化したものであって、硬いものを臼歯で砕くのには適していない。そのイヌ・ネコにとって従来の硬いドライタイプのペットフードは食べやすいフードとは言えない。噛み砕きやすい粒は食べやすい粒となり、食べやすいということは嗜好性が高いということにつながる。
図1に、押出成形機を用いた従来の一般的なペットフードの製造方法を説明するための模式図を示す。
押出成形機100を用いた従来の製造方法では、ペットフード材料m10をダイプレート110から排出し、排出直後にペットフード材料m10をカッター120で切断し、ペットフードPF10を製造する。ペットフードPF10は、切断後に膨化(膨張)し、丸みを帯びた粒となる。
ペットフード材料m10の膨化は、押出成形機100内で高温高圧下にあったペットフード材料m10内の水分が、常圧下に排出された時に膨張して水蒸気になることで起こる。このとき、ペットフードPF10の中心部では該水蒸気により、細孔が形成されるが、ペットフードPF10の表面付近では、該水蒸気はペットフードPF10外に逃げていくため、細孔はできにくい。したがって、ペットフードPF10は、ペットフードPF10の中心部は細孔を有するものの、ペットフードPF10の表面付近は細孔を有さず、硬くなるため、噛み砕きにくくなる傾向にある。
ペットフードの外側が硬くなるという課題を解決するため、特許文献1には、エクストルーダー(押出成型機)を用いて製造するペットフードの製造方法において、前記エクストルーダーから排出されたペットフード材料を、当該材料が膨化した後にカットすることを特徴とするペットフードの製造方法が開示されている。
図2に、特許文献1に記載されたペットフードの製造方法を説明するための模式図を示す。
押出成形機200を用いた特許文献1に記載されたペットフードの製造方法では、図2に示す構造のダイプレート210を用いる。ペットフード材料m20をダイプレート210から排出し、排出直後にペットフード材料m20をカッター220で切断する点においては、従来の製造方法と同様であるが、特許文献1に記載されたペットフードの製造方法では、ダイプレート210内で一度押し出された後に、ペットフード材料m20は膨化空間230で膨化し、その後カッター220で切断される。そのため、得られたペットフードPF20は、上述したペットフードPF10よりも膨化し、噛み砕きやすいとされている。
特開2002-238469号公報
近年、例えば、高齢のペット向けのペットフードとして、より噛み砕きやすいペットフードが求められている。
特許文献1に記載されたペットフードの製造方法により得られるペットフードPF20は、従来の製造方法により得られるペットフードPF10よりは、噛み砕きやすいものではあるが、噛み砕きやすさの観点からは、改善の余地がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、より噛み砕きやすいペットフードを簡易に製造することができるペットフードの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために、押出成形機からペットフード材料が押し出されてから、切断されるまでの工程について着目した。
図2に示す、特許文献1に記載されたペットフードの製造方法においてDの長さは18mmであるため、一般的な製造ピッチで算出すると、ダイプレート210内で一度押し出された後に、ペットフード材料m20が膨化空間230で膨化する時間は0.06秒以下である。この膨化時間について、鋭意研究を重ねた結果、押出成形された後のペットフード材料をさらに放置することにより、ペットフード材料がさらに膨化しつつ、冷却により骨格が形成され、より開孔を有する多孔質化状態になることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、ペットフード材料を膨化させる膨化工程と、ペットフード材料を切断する切断工程との間に、さらに、ペットフード材料を多孔質化させる多孔質化工程を有することにより、ペットフードが有する開孔が潰れにくく、より噛み砕きやすいペットフードが製造できることを見出した。より具体的には、本発明は以下のものを採用する。
本発明は以下の態様を有する。
[1]押出成形機から押し出されたペットフード材料を膨化させ、膨化した生地を得る膨化工程と、前記膨化した生地を多孔質化させ、多孔質化した生地を得る多孔質化工程と、前記多孔質化した生地を切断する切断工程とを有する、ペットフードの製造方法。
[2]前記多孔質化工程は、前記膨化した生地を、前記押出成形機による押出圧力より低い圧力下に0.1秒以上置くことを含む、[1]に記載のペットフードの製造方法。
[3]前記多孔質化工程は、前記膨化した生地を、大気圧雰囲気下に置くことを含む、[1]又は[2]に記載のペットフードの製造方法。
[4]前記多孔質化工程において、前記膨化した生地の温度を、70℃以下にすることを含む、[1]~[3]のいずれか一項に記載のペットフードの製造方法。
[5]前記切断工程は、前記多孔質化した生地を、前記押出成型機によるペットフード材料の押し出し方向及び押し出し方向に交差する方向から切断することを含む、[1]~[4]のいずれか一項に記載のペットフードの製造方法。
[6]前記ペットフード材料は、穀類を含有する、[1]~[5]のいずれか一項に記載のペットフードの製造方法。
本発明によれば、より噛み砕きやすいペットフードを簡易に製造することができるペットフードの製造方法を提供できる。
従来のペットフードの製造方法を説明するための模式図である。 従来のペットフードの製造方法を説明するための模式図である。 本発明の第1実施形態に係るペットフードの製造方法を説明するための模式図である。 本発明の第2実施形態に係るペットフードの製造方法を説明するための模式図である。
本明細書において、「ペット」とは人に飼育されている動物をいう。より狭義の意味では、ペットは飼い主に愛玩される動物である。また、「ペットフード」とは、ペット用の飼料をいう。本発明にかかるペットフードを「動物用飼料」又は「動物の餌」として販売することが可能である。
本明細書において「嗜好性」とは、ペットに好まれて食されるか否かの指標であり、食感、食味、におい等に起因する。
本明細書において、水分含有量の値は「乾燥減量法」で得られる値である。
乾燥減量法は、試料を赤外線照射によって加熱乾燥させ、含まれていた水分の蒸発による質量変化から試料中の水分の量を求める方法である。水分含有量は、公知の装置を用いて測定することができる。例えば、水分含有量は、Infrared Moisture Analyzer FD-720(株式会社ケツト科学研究所製)で測定することができる。
本明細書においてペットフードの大きさは、ペットフードの形状が、球状の場合は直径を意味し、ペットフードの形状が、球状以外の場合(円柱状、多角柱状、板状等)は、最長径を意味する。
(ペットフードの製造方法)
本実施形態のペットフードの製造方法は、押出成形機から押し出されたペットフード材料を膨化させ、膨化した生地を得る膨化工程と、前記膨化した生地を多孔質化させ、多孔質化した生地を得る多孔質化工程と、前記多孔質化した生地を切断する切断工程とを有する。
[膨化工程]
膨化工程は、押出成形機から押し出されたペットフード材料を膨化させ、膨化した生地(膨化生地)を得る工程である。
押出成形機としては、特に限定されず、公知の1軸又は2軸エクストルーダー等を用いることができる。
押出成形機でペットフード材料を混練する際のペットフード材料の温度は、例えば、75~140℃が好ましく、80~135℃がより好ましく、85~130℃がさらに好ましい。
・ペットフード材料
ペットフード材料としては、ペットフードの製造において公知の粉体原料、及び液体原料を用いることができ、以下のペットフード材料を1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合させて用いてもよい。
粉体原料及び液体原料として、具体的には、穀類(トウモロコシ、グレインソルガム、小麦、大麦、玄米、えん麦、ライ麦、小麦粉、米粉、コーンフラワー、小麦ふすま、米、小麦胚芽、小麦グルテン、コーングルテンフィード、コーングルテンミール、パン粉等);いも類(さつまいも、馬鈴薯等);豆類(大豆、そら豆、小豆、エンドウ豆、脱脂大豆、大豆ミール、きなこ、ソイフラワー、大豆タンパク、おから等);でん粉類(コーンスターチ、ポテトスターチ、タピオカでん粉、小麦でん粉、米デンプン、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン、サゴデンプン等);肉類(ビーフ、ポーク、ラム、マトン、チキン、ターキー、家禽等の肉類、レバー等の内臓、それらの肉エキスパウダーやリキッド、その加工物のポークミール、チキンミール、ビーフミール、これらの混合ミール等);魚介類(まぐろ、かつお、サーモン、タラ、あじ、いわし等の魚類、えび、かに等の甲殻類、貝類、その加工物のフィッシュミール、魚エキスパウダーやリキッド類、鰹節等);卵類(鶏卵(全卵、乾燥全卵、卵黄、卵白)等;野菜類(にんじん、キャベツ、グリーンピース、かぼちゃ、ビートパルプ等)、種実類;きのこ類;糖類(砂糖、ブドウ糖、果糖、異性化糖、オリゴ糖類、水飴、シロップ、糖蜜、蜂蜜等);乳類(全脂乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエー、チーズ、バター、クリーム等);油脂類(動物性油脂(牛脂、豚脂、鶏脂、魚油等);植物性油脂(大豆油、ごま油、胚芽油、パーム油、コーン油、オリーブ油、ココナッツ油等)、脂肪酸等);乾燥酵母やそのエキスパウダーやリキッド;食物繊維(セルロース等);ハーブ;ビタミン類;ミネラル類;アミノ酸類;甘味料;着色料;保存料;増粘安定剤;加工でん粉;酸化防止剤;pH調整剤;調味料;乳化剤;膨張剤;香料等が挙げられる。
本実施形態のペットフードの製造方法におけるペットフードとしては、上記の中でも、穀類を含有することが好ましく、穀類及び肉類を含有することがより好ましい。
ペットフード材料における穀類の含有量は、ペットフード材料全量に対して、10~90質量%が好ましく、15~80質量%であることがより好ましく、20~70質量%であることがさらに好ましい。
ペットフード材料における肉類の含有量は、ペットフード材料全量に対して、1~40質量%が好ましく、3~30質量%であることがより好ましく、5~20質量%であることがさらに好ましい。
本実施形態におけるペットフードの構成としては、上記の中でも、(a)穀類、(b)豆類、(c)肉類、(d)魚介類、(e)食物繊維、(f)乾燥酵母やそのエキスパウダーやリキッド、(g)野菜類、(h)ビタミン類及びミネラル類、(i)油脂類の混合物が好ましい。該混合物に必要に応じて、着色料;酸化防止剤;調味料が含有されていてもよい。
また、本実施形態におけるペットフードの構成としては、(a)穀類、(b)豆類、(c)肉類、(c)食物繊維、(d)乾燥酵母やそのエキスパウダーやリキッド、(e)野菜類、(g)ビタミン類及びミネラル類、(h)油脂類、(i)魚介類、(j)でん粉類、(k)卵類、(l)糖類、(m)乳類の混合物であってもよい。該混合物に必要に応じて、着色料;保存料;増粘安定剤;酸化防止剤;pH調整剤;調味料;乳化剤;香料が含有されていてもよい。
総合栄養食の場合のペットフード(ドライフード)の配合例を以下に示す。
穀類(10~90質量%)、豆類(0~40質量%)、肉類(0~40質量%)、魚介類(0~40質量%)、食物繊維(0~20質量%)、乾燥酵母やそのエキスパウダーやリキッド(0~10質量%)、野菜類(0~20質量%)、ビタミン類及びミネラル類(0~10質量%)、油脂類(0~20質量%)、着色料(0~5質量%)、酸化防止剤(0~5質量%)、調味料(0~5質量%)となるように調整される。
[多孔質化工程]
多孔質化工程は、膨化生地を多孔質化させ、多孔質化した生地(多孔質生地)を得る工程である。なお、上述した膨化工程は、押出成形機から生地を押し出した瞬間の工程である。一方で、多孔質化工程は、生地の膨化を十分にさせ、かつ、冷却により骨格を形成させることができる工程である。
多孔質生地は、膨化生地よりも開孔を有し、かつ、生地全体に開孔を有するような生地である。
多孔質化工程は、膨化生地を多孔質化することができる工程であれば特に限定されない。
多孔質化工程としては、例えば、膨化生地を押出成形機による押出圧力より低い圧力下に0.1秒以上置く操作(減圧操作);膨化生地を冷却機で冷却する操作(冷却操作)等を含んでもよい。
・減圧操作
膨化生地を押出成形機による押出圧力より低い圧力下に置く場合、0.1秒以上置くことが好ましく、1秒以上置くことがより好ましく、5秒以上置くことがさらに好ましく、10秒以上置くことがさらにより好ましく、1分以上置くことが最も好ましい。
膨化生地を押出成形機による押出圧力より低い圧力下に0.1秒以上置くことにより、膨化生地の膨張が促進し、膨化生地をより多孔質化させることができる。
なお、膨化生地を押出成形機による押出圧力より低い圧力下に置く時間の上限は特に限定されず、例えば、30分以下である。なお、後述するように本操作をバッチ式で行う場合の時間の上限は、例えば、48時間以下である。
押出圧力より低い圧力下として、具体的には、大気圧雰囲気下であることが好ましい。すなわち、従来のペットフードの製造方法においては、ペットフード材料を押出成形機から押し出した直後に切断するが、本実施形態のペットフードの製造方法は、ペットフード材料を押出成形機から押し出し、大気圧雰囲気下に置いた後に切断することが好ましい。
なお、減圧操作は、押出成形機から押し出された膨化生地をベルトコンベアー等の搬送手段で搬送しながら連続式に行ってもよいし、押出成形機から押し出された膨化生地をライン外に移動させてバッチ式に行ってもよい。
・冷却操作
膨化生地を冷却機で冷却する場合、膨化生地を70℃以下に冷却することが好ましい。
膨化生地を70℃以下に冷却することにより、膨化生地の膨張が促進し、膨化生地をより多孔質化させることができる。加えて、後述する切断工程で多孔質生地が潰れにくくなる。
なお、膨化生地を冷却する際の膨化生地温度の下限値は特に限定されず、例えば、10℃以上である。
膨化生地を冷却機で冷却する場合、冷却時間は、0.1秒以上であることが好ましく、0.5秒以上であることがより好ましく、1秒以上であることがさらに好ましく、3秒以上であることが特に好ましく、5秒以上であることが最も好ましい。
膨化生地を冷却機で冷却する場合、冷却時間の上限は特に限定されず、例えば30分以下である。
冷却機としては、特に限定されず、非接触型の冷却機であることが好ましく、例えば、公知のスポットクーラー等を用いることができる。
[切断工程]
切断工程は、多孔質生地を切断する工程である。
多孔質生地の切断方法としては、多孔質生地をカッターで切断する方法、及び特定の形状の打ち抜き型で多孔質生地を打ち抜く方法等が挙げられる。
カッターとして、具体的には、ギロチンカッター、ロータリーカッター、スライサー等が挙げられ、これらを組み合わせて用いても良い。
以下の説明において、「多孔質生地をカッターで切断する方法、及び特定の形状の打ち抜き型で多孔質生地を打ち抜く方法」を「カッター等で切断する方法」ともいう。
カッター等で切断する方法において、多孔質生地をMDから切断してもよく、CDから切断してもよく、MD及びCDのいずれの方向からも切断してもよい。ここで、MD(machine direction)とは多孔質生地の流れる方向(押出成形機から押し出された膨化生地の流れる方向ともいえる)である。CD(cross direction)とは多孔質生地の流れる方向に直交する方向である。
本実施形態のペットフードの製造方法におけるカッター等で切断する方法において、多孔質生地がカッター等で切断された面(ペットフードの切断面)は、カッター等で切断されていない面よりも、より多孔質化された面(開孔を有する面)となる。そのため、より噛み砕きやすいペットフードを製造する観点からは、ペットフードの切断面が多い方が好ましい。そのため、本実施形態における切断工程は、多孔質生地をMD及びCDのいずれの方向からも切断する工程であることが好ましい。
カッター等で切断する方法において、切断する際の多孔質生地の温度は、70℃以下であることが好ましい。
以上説明した方法により、噛み砕きやすいペットフードが得られる。
得られるペットフードの形状は、特に限定されず、例えば、球状、楕円体状(碁石状)、ペレット状、円柱状、多角柱状、六面体状(板状)、クローバー状、ハート状、星状、十字状等が挙げられる。
打ち抜き型で多孔質生地を打ち抜く方法であれば、複雑な形状であっても製造が可能である。
上記の中でも、本発明の効果がより得やすくなる観点から、ペットフードの形状は、円柱状、多角柱状又は六面体状であることが好ましく、六面体状であることがより好ましい。
また、得られるペットフードの大きさも特に限定されず、ペットが一口で頬張れる小粒形状であってもよいし、ペットが複数回にわたってかじり付くことができる大粒形状であってもよい。
例えば、ペットフードの最長径が、1~200mmであることが好ましく、1~150mmであることがより好ましく、3~40mmであることがさらに好ましい。
また、ペットフードの最短径が、1~100mmであることが好ましく、1~50mmであることがより好ましく、3~30mmであることがさらに好ましい。
以上説明したペットフードの製造方法は、図1及び2に示した従来のペットフードの製造方法に比べて、多孔質化工程を有する。そのため、噛み砕きやすいペットフードを簡易に製造することができる。
本実施形態のペットフードの製造方法は、本願発明の効果がより得やすくなる観点から、特に水分含有量が10%程度(好ましくは水分含有量が5~12%であるドライフードの製造に有用な方法である。
また、本実施形態のペットフードの製造方法は、より噛み砕きやすいペットフードの製造が困難であり、本願発明の効果がより得やすくなる観点から、総合栄養食のドライフードの製造に有用な方法である。
以下本実施形態のペットフードの製造方法の具体的な態様として、第1及び第2の実施形態に係るペットフードの製造方法を、図面を用いて詳細に説明する。
(本発明の第1実施形態に係るペットフードの製造方法)
本発明の第1実施形態に係るペットフードの製造方法1について、図3を用いて詳細に説明する。
ペットフードの製造方法1では、まず、押出成形機10で原料混合物を混練し、ペットフード材料m1を得る。次いで、ペットフード材料m1をダイプレート11から排出し、膨化生地sd1を得る(膨化工程)。次いで、得られた膨化生地sd1を大気圧雰囲気下、室温(25℃)下でベルトコンベアー13に流す(多孔質化工程;減圧操作)。ベルトコンベアー13によって流された膨化生地sd1は次第に多孔質化され、多孔質生地pd1となる。次いで、多孔質生地pd1をカッター12で切断し、ペットフードPF1を得る(切断工程)。
ベルトコンベアー13の長さは、膨化生地sd1が大気圧雰囲気下、室温(25℃)下に好ましくは1分以上、より好ましくは1分半以上、さらに好ましくは2分以上置かれるように設定される。
膨化生地sd1を大気圧雰囲気下、室温(25℃)下に1分以上置くことにより、膨化生地sd1の多孔質化がより促進され、より噛み砕きやすいペットフードが得られる。
図3では、多孔質生地pd1がカッター12によりCDにのみ切断されているが、MD及びCDのいずれの方向からも切断されることがより好ましい。
ペットフードの製造方法1は、既存の押出成形機を用いることができ、機械の改造や複雑な制御が不要であるため、簡易であり、かつ、コストがかからない。
なお、ペットフードの製造方法1では、多孔質化工程の減圧操作をベルトコンベアー等の搬送手段で搬送しながら連続式に行う例について説明したが、減圧操作は、押出成形機から押し出された膨化生地をライン外に移動させてバッチ式に行ってもよい。
(本発明の第2実施形態に係るペットフードの製造方法)
本発明の第2実施形態に係るペットフードの製造方法2について、図4を用いて詳細に説明する。
ペットフードの製造方法2では、まず、押出成形機20で原料混合物を混練し、ペットフード材料m2を得る。次いで、ペットフード材料m2をダイプレート21から排出し、膨化生地sd2を得る。次いで、得られた膨化生地sd2を冷却機24で冷却することにより多孔質生地pd2を得る。次いで、多孔質生地pd2をカッター22により切断し、ペットフードPF2を得る。
冷却機24の温度は、膨化生地sd2の温度が、好ましくは70℃以下になるように設定される。
膨化生地sd2の温度が70℃以下になるように制御されると、膨化生地の膨張が促進しつつ、カッター22で切断する際により潰れにくくなるため、より多孔質なペットフードPF2が得られやすくなる。
冷却機24で冷却する時間は、冷却時間は、0.1秒以上であることが好ましく、0.5秒以上であることがより好ましく、1秒以上であることがさらに好ましく、3秒以上であることが特に好ましく、5秒以上であることが最も好ましい。
冷却時間の上限は特に限定されず、例えば30分以下である。
図3では、多孔質生地pd2がカッター22によりCDにのみ切断されているが、MD及びCDのいずれの方向からも切断されることがより好ましい。
ペットフードの製造方法2は、ペットフードの製造方法1に比べて、より狭いスペースでも製造が可能である。
なお、ペットフードの製造方法2では、多孔質化工程の冷却操作をベルトコンベアー等の搬送手段で搬送しながら連続式に行う例について説明したが、冷却操作は、押出成形機から押し出された膨化生地をライン外に移動させてバッチ式に行ってもよい。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(ペットフードの製造)
<実施例1>
表1に示す配合で、ペットフードを構成する原料を混合し、原料混合物を得た。プレコンディショナーで該原料混合物に水を、原料混合物全量100質量部に対して12~25質量部加え、70~100℃で5秒~3分間加熱しながら、混合した。加熱した原料混合物をエクストルーダーに投入し、混練しながら80~125℃で10秒~2分間の加熱処理を施してデンプン成分をアルファ化し、エクストルーダーから吐出させることにより、膨化した生地を得た。得られた生地について、該生地の表面温度が70℃以下となるように、冷却機で10秒間冷却し、多孔質生地を得た。次いで、得られた該多孔質生地を六面体状になるようにMD及びCDからカッターで切断し、実施例1のペットフードを得た。なお、上述した「乾燥減量法」で求められた実施例1のペットフードの水分含有量は、8.4%であった。
Figure 2022104447000002
(ペットフードの準備)
<比較例1~7>
比較例1~7のペットフードとして、7種類の市販品のペットフード(市販品A~G)を準備した。
<開孔面積率の評価>
・表面測定
デジタルマイクロスコープ(商品名「VHX-7000」、株式会社キーエンス製)を用いて、各例のペットフードの表面の画像をそれぞれ撮影し、該画像を用いて、該デジタルマイクロスコープの計測・スケールツール自動面積計測(粒子カウント)で、円相当径50μm未満を除外して、各例のペットフードの開孔面積率を測定した。なお、実施例1のペットフードについては、切断工程で切断された切断面について開孔面積率を測定した。
具体的な方法は以下に示す通りである。
(i)測定台に載置した各例のペットフードの特定の面が全て映り込むようにデジタルマイクロスコープの倍率を20倍に設定した。
(ii)落射照明の設定値は、100~255の間で最も開孔が見える数値を設定した。
(iii)デジタルマイクロスコープの計測・スケールツール自動面積計測(粒子カウント)において、抽出方法は「明るさ(標準)」に設定する。次いで、ペットフードの第1面の抽出領域を設定した。
(iv)円相当径50μm未満を除外して、デジタルマイクロスコープの計測・スケールツール自動面積計測(粒子カウント)により開孔率を計測した。
その結果を「表面開孔面積率(%)」として、表2に示した。
Figure 2022104447000003
表2に示す通り、実施例1のペットフードは、比較例1~7のペットフードに比べて、開孔面積率が高いものであった。したがって、実施例1のペットフードは、比較例1~7のペットフードに比べて、より噛み砕きやすいと推測される。
以上より本実施形態のペットフードの製造方法によれば、より噛み砕きやすいペットフードを簡易に製造できることが確認できた。
1・・・ペットフードの製造方法、10・・・押出成形機、11・・・ダイプレート、12・・・カッター、13・・・ベルトコンベアー、m1・・・ペットフード材料、sd1・・・膨化生地、pd1・・・多孔質生地、PF1・・・ペットフード
2・・・ペットフードの製造方法、20・・・押出成形機、21・・・ダイプレート、22・・・カッター、23・・・ベルトコンベアー、24・・・冷却機、m2・・・ペットフード材料、sd2・・・膨化生地、pd2・・・多孔質生地、PF2・・・ペットフード

Claims (6)

  1. 押出成形機から押し出されたペットフード材料を膨化させ、膨化した生地を得る膨化工程と、
    前記膨化した生地を多孔質化させ、多孔質化した生地を得る多孔質化工程と、
    前記多孔質化した生地を切断する切断工程とを有する、ペットフードの製造方法。
  2. 前記多孔質化工程は、前記膨化した生地を、前記押出成形機による押出圧力より低い圧力下に0.1秒以上置くことを含む、請求項1に記載のペットフードの製造方法。
  3. 前記多孔質化工程は、前記膨化した生地を、大気圧雰囲気下に置くことを含む、請求項1又は2に記載のペットフードの製造方法。
  4. 前記多孔質化工程において、前記膨化した生地の温度を、70℃以下にすることを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のペットフードの製造方法。
  5. 前記切断工程は、前記多孔質化した生地を、前記押出成型機によるペットフード材料の押し出し方向及び押し出し方向に交差する方向から切断することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のペットフードの製造方法。
  6. 前記ペットフード材料は、穀類を含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のペットフードの製造方法。
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