JP2022102868A - 繊維強化樹脂複合体及び繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シート - Google Patents

繊維強化樹脂複合体及び繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シート Download PDF

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Kohei Yamada
皓平 田積
Kohei Tazumi
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【課題】本発明は、耐熱強度に優れる繊維強化樹脂複合体を提供することを目的とする。【解決手段】シート状の熱可塑性樹脂発泡層5と、熱可塑性樹脂発泡層5の片面又は両面に位置する繊維強化樹脂層7と、を有し、熱可塑性樹脂発泡層5は、ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とを含み、熱可塑性樹脂発泡層5のガラス転移温度Tgが単一である、繊維強化樹脂複合体2。繊維強化樹脂複合体2は、前記ガラス転移温度Tgが80~130℃であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、繊維強化樹脂複合体及び繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シートに関する。
従来、ポリスチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂を発泡させた樹脂発泡シート及びその成形体は、軽量で断熱性が高いという特徴から、食品容器等に用いられている。
コンビニエンスストア、スーパーマーケット等の小売店で調理済食品を購入し、これを家庭等で喫食する中食市場が拡大している。中食市場において、電子レンジでの加熱調理に対応できる食品容器が求められている。加熱調理に対応する食品容器には、電子レンジ等での加熱時に変形しにくいこと(加熱寸法安定性に優れる)、加熱した後に軟弱にならず容易に取り扱えること(耐熱強度に優れる)が求められる。
このような要望に対し、例えば、特許文献1には、低結晶化度の発泡ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに予備加熱を施して発泡PETシートを軟化し、次いで結晶化を促進する温度以上の金型で成形する発泡PETシートの成形方法が提案されている。特許文献1の発明によれば、結晶化を促進する温度以上で発泡PETシートを加熱することで、PETを結晶化して、加熱寸法安定性の向上を図っている。しかし、特許文献1の発明は、結晶化を促進するための工程(ヒートセット工程)を要するため、成形時間が長くなる。また、特許文献1の発明は、結晶化を促進するための温度まで加熱できる装置を要するため、新たな設備投資を要する等の問題を有する。
こうした問題に対して、特許文献2には、結晶性ポリエステル系樹脂と、特定のガラス転移温度Tgの非晶性ポリエステル系樹脂とを特定の割合で含有する熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートが提案されている。特許文献2の発明によれば、ヒートセット工程を要することなく、優れた加熱寸法安定性の容器を得られる。
特開平3-239527号公報 特開2014-28920号公報
しかしながら、特許文献2の発明は、耐熱強度が低い。このため、熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートを加熱して得られる成形体が軟弱になり、取り扱いにくい。
そこで、本発明は、耐熱強度に優れる繊維強化樹脂複合体を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、結晶性ポリエステル系樹脂と非晶性ポリエステル系樹脂との混合物は充分に相溶していないため、2種のポリエステル系樹脂の内の低い方のガラス転移温度に達すると、軟化して変形を生じるとの知見を得た。この知見を基に、相溶性の高い2種の樹脂を含ませることで、耐熱強度を高められることを見出した。これにより、熱可塑性樹脂発泡層と、繊維強化樹脂を含む繊維強化樹脂層とを複合化して繊維強化樹脂複合体とした際、該繊維強化樹脂複合体の耐熱強度も高められることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
[1]シート状の熱可塑性樹脂発泡層と、
前記熱可塑性樹脂発泡層の片面又は両面に位置する繊維強化樹脂層と、を有し、
前記熱可塑性樹脂発泡層は、ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とを含み、
前記熱可塑性樹脂発泡層のガラス転移温度Tgが単一である、繊維強化樹脂複合体。
[2]前記ガラス転移温度Tgが80~130℃である、[1]に記載の繊維強化樹脂複合体。
[3]前記熱可塑性樹脂発泡層は、加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定によって求められる吸熱量と発熱量との差の絶対値が3~35J/gである、[1]又は[2]に記載の繊維強化樹脂複合体。
[4]加熱速度5℃/分、周波数1Hzでの固体粘弾性測定における前記ガラス転移温度Tgと、前記ガラス転移温度Tg+20℃との間の貯蔵弾性率E’の指数近似式の傾きが-0.18~-0.025である、[1]~[3]のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合体。
[5]前記ポリイミド系樹脂がポリエーテルイミド系樹脂である、[1]~[4]のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合体。
[6]前記ポリエステル系樹脂が、植物由来のポリエステル系樹脂を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合体。
[7]前記熱可塑性樹脂発泡層に含まれる熱可塑性樹脂の総質量に対する前記ポリエステル系樹脂の含有割合が40~95質量%であり、
前記熱可塑性樹脂発泡層に含まれる熱可塑性樹脂の総質量に対する前記ポリイミド系樹脂の含有割合が5~60質量%である、[1]~[6]のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合体。
[8]前記熱可塑性樹脂発泡層がリサイクル原料を含む、[1]~[7]のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合体。
[9]シート状の熱可塑性樹脂発泡層と、前記熱可塑性樹脂発泡層の片面又は両面に位置する繊維強化樹脂層とを有する繊維強化樹脂複合体の前記熱可塑性樹脂発泡層の形成に用いられる繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シートであって、
前記熱可塑性樹脂発泡層は、ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とを含み、
前記熱可塑性樹脂発泡層のガラス転移温度Tgが単一である、繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シート。
[10]前記ガラス転移温度Tgが80~130℃である、[9]に記載の繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シート。
[11]加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定によって求められる吸熱量と発熱量との差の絶対値が3~35J/gである、[9]又は[10]に記載の繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シート。
[12]加熱速度5℃/分、周波数1Hzでの固体粘弾性測定における前記ガラス転移温度Tgと、前記ガラス転移温度Tg+20℃との間の貯蔵弾性率E’の指数近似式の傾きが-0.18~-0.025である、[9]~[11]のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シート。
[13]前記ポリイミド系樹脂がポリエーテルイミド系樹脂である、[9]~[12]のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シート。
[14]前記ポリエステル系樹脂が、植物由来のポリエステル系樹脂を含む、[9]~[13]のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シート。
[15]前記熱可塑性樹脂発泡層に含まれる熱可塑性樹脂の総質量に対する前記ポリエステル系樹脂の含有割合が40~95質量%であり、
前記熱可塑性樹脂発泡層に含まれる熱可塑性樹脂の総質量に対する前記ポリイミド系樹脂の含有割合が5~60質量%である、[9]~[14]のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シート。
[16]前記熱可塑性樹脂発泡層がリサイクル原料を含む、[9]~[15]のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シート。
本発明の繊維強化樹脂複合体によれば、耐熱強度に優れる。
本発明の一実施形態に係る繊維強化樹脂複合体の一例を示す断面図である。 植物由来のポリエステル系樹脂の製造工程の一例を示すフロー図である。 植物由来のポリエステル系樹脂の製造工程の一例を示すフロー図である。 植物由来のポリエステル系樹脂の製造工程の一例を示すフロー図である。 本発明の一実施形態に係る熱可塑性樹脂発泡層の製造装置の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る繊維強化樹脂複合体の製造要領を示した模式断面図である。 実施例10の繊維強化樹脂複合体の製造に使用した複合化前の熱可塑性樹脂発泡層の貯蔵弾性率E’の測定結果を示すグラフである。 比較例1の繊維強化樹脂複合体の製造に使用した複合化前の熱可塑性樹脂発泡層の貯蔵弾性率E’の測定結果を示すグラフである。 実施例10の繊維強化樹脂複合体の製造に使用した複合化前の熱可塑性樹脂発泡層のDSC曲線である。
本明細書において、「~」は、その両端の値を下限値及び上限値として含む範囲を表す。
以下に、本発明の好ましい実施の形態について、シート状の熱可塑性樹脂発泡層の両面に位置する繊維強化樹脂層を有する繊維強化樹脂複合体を例にして説明する。繊維強化樹脂複合体は、熱可塑性樹脂発泡層の両面に繊維強化樹脂層が設けられていてもよく、熱可塑性樹脂発泡層の片面に繊維強化樹脂層が設けられていてもよい。繊維強化樹脂複合体の熱可塑性樹脂発泡層は、単層の発泡層で構成されていてもよく、2層以上の発泡層を有していてもよい。
[繊維強化樹脂複合体]
本発明の繊維強化樹脂複合体は、シート状の熱可塑性樹脂発泡層と、熱可塑性樹脂発泡層の片面又は両面に位置する繊維強化樹脂層とを有する。
熱可塑性樹脂発泡層は、ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とを含む。
繊維強化樹脂複合体は、耐熱性及び機械強度に優れており、輸送機器構成用部材として広範囲に用いることができる。加えて、繊維強化樹脂複合体は、建築資材、風車翼、ロボットアーム、ヘルメット用緩衝材、農産箱、保温保冷容器等の輸送容器、産業用ヘリコプターのローターブレード、部品梱包材としても好適に用いることができる。
輸送機器構成部材としては、自動車、航空機、鉄道車両又は船舶等の輸送機器の本体を構成する構造部材等が挙げられる。自動車の本体を構成する構造部材としては、例えば、ドアパネル、ドアインナー、バンパー、フェンダー、フェンダーサポート、エンジンカバー、ルーフパネル、トランクリッド、フロアパネル、センタートンネル、クラッシュボックス、カウル等が挙げられる。例えば、従来、鋼板で作製されていたドアパネルに繊維強化樹脂複合体を用いると、鋼板製ドアパネルと略同一の剛性を有し、かつ大幅に軽量化できるため、自動車の軽量化を図れる。
繊維強化樹脂複合体の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の繊維強化樹脂複合体2の断面図である。繊維強化樹脂複合体2は、シート状の熱可塑性樹脂発泡層5と、熱可塑性樹脂発泡層5の両面に位置する繊維強化樹脂層7とを有する。
繊維強化樹脂複合体2の厚さTは、用途を勘案して決定できる。例えば、繊維強化樹脂複合体2が容器成形用であれば、厚さTは、0.3~5.0mmが好ましく、0.4~3.0mmがより好ましく、0.5~2.5mmがさらに好ましい。厚さTが上記下限値以上であると、容器の耐衝撃性、剛性を高められる。厚さTが上記上限値以下であると、繊維強化樹脂複合体2の成形性を高められる。
厚さTは、例えば、ダイヤルシックネスゲージを用いて測定できる。
≪熱可塑性樹脂発泡層≫
熱可塑性樹脂発泡層(以下、単に「発泡層」ともいう。)5は、シート状の発泡層(発泡シート)である。発泡層5は、熱可塑性樹脂組成物を発泡してなる。
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と発泡剤とを有する。熱可塑性樹脂組成物を発泡してなる発泡層5は、熱可塑性樹脂で形成されたマトリクス内に、2以上の気泡を有する。
発泡層5の熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とを含む。ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂との双方を含むことで、本実施形態の繊維強化樹脂複合体2は、耐熱強度を高められる。
<ポリエステル系樹脂>
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリエチレンフラノエート樹脂(PEF)、ポリブチレンナフタレート樹脂(PBN)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)、テレフタル酸とエチレングリコールとシクロヘキサンジメタノールの共重合体及びこれらの混合物等が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましく、結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂(C-PET)がより好ましい。C-PETは、酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコールであるポリエステル系樹脂である。
ポリエステル系樹脂は、石油化学品由来のポリエステル系樹脂でもよいし、いわゆるバイオPET等の植物由来のポリエステル系樹脂でもよいし、これらの混合物でもよい。
植物由来のポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、植物由来のポリエチレンフラノエート樹脂、植物由来のポリトリメチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
また、ポリエステル系樹脂は、リサイクル原料でもよい。
これらのポリエステル系樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
以下、植物由来のポリエステル系樹脂について説明する。
植物由来のポリエステル系樹脂は、サトウキビ、トウモロコシ等の植物原料を由来とするポリマーである。「植物原料を由来とする」とは、植物原料から合成され又は抽出されたポリマーが挙げられる。また、例えば、「植物原料を由来とする」とは、植物原料から合成され又は抽出されたモノマーが重合されたポリマーが挙げられる。「植物原料から合成され又は抽出されたモノマー」には、植物原料から合成され又は抽出された化合物を原料とし合成されたモノマーが含まれる。植物由来のポリエステル系樹脂は、モノマーの一部が「植物原料を由来とする」ものを含む。
植物由来のポリエステル系樹脂について、PET、PEFを例にして説明する。
PETの合成反応を(I)式に示す。nモルのエチレングリコールとnモルのテレフタル酸(Benzen-1,4-dicarboxylic Acid)との脱水反応によって、PETが合成される。この合成反応における化学量論上の質量比は、エチレングリコール:テレフタル酸=30:70(質量比)である。
Figure 2022102868000002
[(I)式中、nは化学量論係数(重合度)であり、250~1100の数である。]
エチレングリコールは、エチレンを酸化し、水和することで、工業的に製造される。また、テレフタル酸は、パラキシレンを酸化することで、工業的に製造される。
ここで、図2に示すように、植物由来のエタノール(バイオエタノール)の脱水反応によりエチレンを得、このエチレンから合成されたエチレングリコール(バイオエタノール由来のエチレングリコール)と、石油化学品由来のテレフタル酸からPETを合成する場合、製造されるPETは、植物由来30質量%のPETである。
また、図3に示すように、植物由来のイソブタノール(バイオイソブタノール)の脱水反応によりパラキシレンを得、このパラキシレンから合成したテレフタル酸と、バイオエタノール由来のエチレングリコールとからPETを合成する場合、製造されるPETは、植物由来100質量%のPETである。
PEFの合成反応を(II)式に示す。nモルのエチレングリコールと、nモルのフランジカルボン酸(2,5-Furandicarboxylic Acid)との脱水反応によって、PEFが合成される。
Figure 2022102868000003
[(II)式中、nは化学量論係数(重合度)であり、250~1100の数である。]
フランジカルボン酸(FDCA)は、例えば、植物由来のフルクトースやグルコースの脱水反応によってヒドロキシメチルフルフラール(HMF)を得、HMFを酸化して得られる。
図4に示すように、FDCA及びエチレングリコールの双方が植物由来の場合、製造されるPEFは、植物由来100質量%のPEFである。
ポリエステル系樹脂のガラス転移温度Tg1は、50~100℃が好ましく、60~90℃がより好ましく、70~85℃がさらに好ましい。Tg1が上記下限値以上であると、耐熱強度、加熱寸法安定性をより高められる。Tg1が上記上限値以下であると、成形サイクルを短くして生産性を高め、成形性を高められる。なお、「成形性」は、例えば、発泡シートを金型に挟んで熱成形した際に、金型のキャビティに発泡シートが追随して、所望の形状に近づけられることであり、所望の形状に近づくほど、成形性は「良好」である。
ポリエステル系樹脂のガラス転移温度Tg1は、加熱速度10℃/分における2回目昇温過程の熱流束示差走査熱量(DSC)測定で求められる。
ポリエステル系樹脂の融点は、230~270℃が好ましく、240~260℃がより好ましく、245~255℃がさらに好ましい。融点が上記下限値以上であると、耐熱強度、加熱寸法安定性をより高められる。融点が上記上限値以下であると、成形サイクルを短くして生産性を高め、成形性を高められる。
ポリエステル系樹脂の固有粘度(IV値)は、0.5~1.5が好ましく、0.6~1.3がより好ましく、0.7~1.2がさらに好ましい。IV値が上記下限値以上であると、発泡時の破泡が抑制され、連続気泡率をより低められる。IV値が上記上限値以下であると、密度をより低くし、表面をより平滑にして、外観の美麗さを高められる。
IV値は、JIS K7367-5(2000)の方法で測定できる。
ポリエステル系樹脂の数平均分子量Mnは、9,000~26,000が好ましく、15,000~26,000がより好ましく、20,000~25,000がさらに好ましい。
Mnが上記下限値以上であると、耐寒性(即ち、低温での機械的強度)をさらに高められる。Mnが上記上限値以下であると、耐熱性をさらに高められる。
ポリエステル系樹脂のZ平均分子量Mzは、100,000~500,000が好ましく、150,000~450,00がより好ましく、200,000~400,000がさらに好ましい。
Mzが上記数値範囲内であると、耐寒性(即ち、低温での機械的強度)をさらに高められる。
Mn及びMzは、以下の方法で測定できる。
(ポリエステル系樹脂の分子量)
測定対象から試料5mgを取り、これにヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)0.5mL、クロロホルム0.5mLの順に追加して軽く手動で振とうする。これを浸漬時間24±1.0hrで放置する。試料が完全に溶解したことを確認後に、クロロホルムで10mLに希釈して軽く手動で振とうして、混合する。その後、ジーエルサイエンス(株)製の非水系0.45μmのクロマトディスク、又は(株)島津ジーエルシー製の非水系0.45μmシリンジフィルターにて濾過して、測定試料とする。測定試料を次の測定条件にて、クロマトグラフで測定し、予め作成しておいた標準ポリスチレン検量線から試料の数平均分子量Mn及びZ平均分子量Mzを求める。
〔測定装置〕
・測定装置=東ソー(株)製、「HLC-8320GPC EcoSEC」、ゲル浸透クロマトグラフ(RI検出器・UV検出器内蔵)。
〔GPC測定条件〕
・カラム
〈サンプル側〉
ガードカラム=東ソー(株)製 TSK guardcolumn HXL-H(6.0mm×4.0cm)×1本。
測定カラム=東ソー(株)製 TSKgel GMHXL(7.8mmI.D.×30cm)×2本直列。
〈リファレンス側〉
抵抗管(内径0.1mm×2m)×2本直列。
カラム温度=40℃。
移動相=クロロホルム。
〈動相流量〉
サンプル側ポンプ=1.0mL/分。
リファレンス側ポンプ=0.5mL/分。
検出器=UV検出器(254nm)。
注入量=15μL。
測定時間=26分。
サンプリングピッチ=500m秒。
〔検量線用標準ポリスチレン試料〕
検量線用標準ポリスチレン試料は、昭和電工(株)製の製品名「STANDARD SM-105」及び「STANDARD SH-75」から、質量平均分子量Mwが5,620,000、3,120,000、1,250,000、442,000、131,000、54,000、20,000、7,590、3,450、1,320のものを用いる。
上記検量線用標準ポリスチレンをA(5,620,000、1,250,000、131,000、20,000、3,450)及びB(3,120,000、442,000、54,000、7,590、1,320)にグループ分けする。Aを秤量(2mg、3mg、4mg、4mg、4mg)した後、クロロホルム30mLに溶解する。Bを秤量(3mg、4mg、4mg、4mg、4mg)した後、クロロホルム30mLに溶解する。
標準ポリスチレン検量線は、作成した各A及びB溶解液を50μL注入して測定後に得られた保持時間から較正曲線(三次式)を作成することにより得る。その検量線を用いて数平均分子量Mn及びZ平均分子量Mzを算出する。
発泡層5に含まれる熱可塑性樹脂の総質量に対するポリエステル系樹脂の含有割合は、40~95質量%が好ましく、50~90質量%がより好ましく、60~80質量%がさらに好ましい。ポリエステル系樹脂の含有割合が上記下限値以上であると、成形性を高められる。ポリエステル系樹脂の含有割合が上記上限値以下であると、耐熱強度をより高められる。
<ポリイミド系樹脂>
ポリイミド系樹脂としては、特に限定されないが、環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマーであることが好ましく、溶融成形性を有するポリマーであることが好ましい。
ポリイミド系樹脂としては、例えば、米国特許第4141927号明細書、特許第2622678号公報、特許第2606912号公報、特許第2606914号公報、特許第2596565号公報、特許第2596566号公報、特許第2598478号公報などに記載されるポリエーテルイミド、特許第2598536号公報、特許第2599171号公報、特開平9-48852号公報、特許第2565556号公報、特許第2564636号公報、特許第2564637号公報、特許第2563548号公報、特許第2563547号公報、特許第2558341号公報、特許第2558339号公報、特許第2834580号公報に記載のポリマー等が挙げられる。本発明の効果が損なわれない範囲であれば、ポリイミド系樹脂の主鎖に環状イミド以外の構造単位が含まれていてもよい。
環状イミド以外の構造単位としては、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族、脂環族エステル単位、オキシカルボニル単位等が挙げられる。
また、ポリイミド系樹脂は、リサイクル原料でもよい。
これらのポリイミド系樹脂は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
ポリイミド系樹脂は、例えば、下記(III)式で表される化合物が好ましい。
Figure 2022102868000004
[(III)式中、Rは、炭素数6~42の炭素原子の有する芳香族基であり、R’は、炭素数6~30の2価の芳香族基、炭素数2~30の脂肪族基及び炭素数4~30の脂環族基からなる群から選ばれた少なくとも1種の2価の有機基である。pは繰り返し単位を表す数で、5~100である。]
ポリイミド系樹脂としては、ポリエステル系樹脂との相溶性を高める観点から、エーテル結合を有する構造単位を有するポリエーテルイミド系樹脂が好ましい。
ポリイミド系樹脂は、従来公知の製造方法により調製できる。例えば、(III)式中のRを誘導することができる原料であるテトラカルボン酸及びその酸無水物のいずれかもしくは双方と、(III)式中のR’を誘導することができる原料である脂肪族一級ジアミン及び芳香族一級ジアミンよりなる群から選ばれる一種もしくは二種以上の化合物を脱水縮合することにより得られる。ポリイミド系樹脂の製造方法として具体的には、ポリアミド酸を得て、次いで、加熱閉環する方法を例示することができる。または、酸無水物とピリジン、カルボジイミド等の化学閉環剤を用いて化学閉環する方法、上記テトラカルボン酸無水物と上記R’を誘導することのできるジイソシアネートとを加熱して脱炭酸を行って重合する方法等を例示できる。
テトラカルボン酸としては、例えば、ピロメリット酸、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン、1,1’-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン、2,2’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2’-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)スルホン、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸、2,2’-ビス[(2,3-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン及びその酸無水物等が挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、ベンジジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエタン、ジアミノジフェニルプロパン、ジアミノジフェニルブタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルベンゾフェノン、o,m,p-フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン等及びこれらの芳香族一級ジアミンの炭化水素基を構造単位に有する芳香族一級ジアミン、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,8-オクタメチレンジアミン、1,9-ノナメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミン、1,11-ウンデカメチレンジアミン、1,12-ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジメチルアミン、2-メチル-1,3-シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等及びこれらの脂肪族、並びに脂環族一級ジアミンの炭化水素基を構造単位に有する脂肪族及び脂環族一級ジアミン等を例示できる。
ポリイミド系樹脂のガラス転移温度Tg2は、190~240℃が好ましく、200~230℃がより好ましく、210~220℃がさらに好ましい。Tg2が上記下限値以上であると、耐熱強度、加熱寸法安定性をより高められる。Tg2が上記上限値以下であると、成形サイクルを短くして生産性を高め、成形性を高められる。
ポリイミド系樹脂のガラス転移温度Tg2は、ポリエステル系樹脂のガラス転移温度Tg1と同様の方法で求められる。
ポリイミド系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、3~30g/10分が好ましく、5~25g/10分がより好ましく、7~20g/10分がさらに好ましい。MFRが上記下限値以上であると、成形サイクルを短くして生産性を高め、成形性を高められる。MFRが上記上限値以下であると、耐熱強度、加熱寸法安定性をより高められる。
本明細書において、MFRは、337℃、6.6kgfにおける値であり、ASTM D1238に記載の方法に準拠して測定することができる。
ポリイミド系樹脂の数平均分子量は、5,000~50,000が好ましく、6,000~39,000がより好ましく、7,000~27,000がさらに好ましい。ポリイミド系樹脂の数平均分子量が上記下限値以上であると、耐衝撃性をより高められる。ポリイミド系樹脂の数平均分子量が上記上限値以下であると、成形性をより高められる。
ポリイミド系樹脂の数平均分子量は、ポリエチレンオキサイドを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる。
発泡層5に含まれる熱可塑性樹脂の総質量に対するポリイミド系樹脂の含有割合は、5~60質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましく、20~40質量%がさらに好ましい。ポリイミド系樹脂の含有割合が上記下限値以上であると、耐熱強度をより高められる。ポリイミド系樹脂の含有割合が上記上限値以下であると、成形性をより高められる。
発泡層5のポリイミド系樹脂の含有割合を把握することが必要である場合には、例えば、以下に示す方法で、ポリイミド系樹脂の含有割合を測定できる。
発泡層5の厚さ方向に直交する方向(平面方向)に沿って、発泡層5をスライスして薄片試料(例えば、厚さ0.2mmの試料)を作製する。この試料に対してポリイミド系樹脂の含有割合を測定する。以下に、ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂との混合樹脂の総質量に対するポリイミド系樹脂の含有割合について、その測定方法を例示する。下記測定方法では、ポリエステル系樹脂としてポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド系樹脂としてポリエーテルイミド(PEI)を用いる。
(ポリイミド系樹脂の含有割合の測定方法)
発泡層5の表面から厚さ方向に直交する方向(平面方向)に沿って発泡層5を0.2mmにスライスし、測定試料とする。測定試料の表面の赤外分光(IR)分析を下記条件にて実施し、赤外吸収スペクトルを得る。
・測定装置:Thermo SCIENTIFIC社製「Nicolet iS10」フーリエ変換赤外分光光度計及びThermo SCIENTIFIC社製一回反射型水平状ATR Smart-iTR。
・ATRクリスタル:ダイヤモンド貼付KRS-5(角度=42°)。
・測定法:一回反射型ATR法。
・測定波数領域:4000cm-1~400cm-1
・測定深度の波数依存性:補正せず。
・検出器:重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器及びKBrビームスプリッター。
・分解能:4cm-1
・積算回数:16回(バックグランド測定時も同様)。
得られた赤外吸収スペクトルのチャートから、D1410とD1778のピーク高さを求め、標準試料を用いて作成した検量線から得られた以下の式よりポリイミド系樹脂の含有割合を算出する。
ポリイミド系樹脂の含有割合(wt%)=100-{19.00ln(R)+37.95}×100
R=D1410/D1778
D1410とは、ポリエステル系樹脂由来の波数1410cm-1±5cm-1の領域の赤外吸収スペクトル曲線におけるベースラインとの吸光度差(測定された吸光度-ベースラインの吸光度)の最大値を意味する。ベースラインは、赤外吸収スペクトル曲線における波数1400cm-1±5cm-1での最低吸収位置と、赤外吸収スペクトル曲線における波数1420cm-1±5cm-1での最低吸収位置とを結ぶ直線である。
また、D1778とは、ポリイミド系樹脂由来の波数1778cm-1±5cm-1の領域の赤外吸収スペクトル曲線におけるベースラインとの吸光度差(測定された吸光度-ベースラインの吸光度)の最大値を意味する。ベースラインは、赤外吸収スペクトル曲線における波数1760cm-1±5cm-1での最低吸収位置と、赤外吸収スペクトル曲線における波数1800cm-1±5cm-1での最低吸収位置とを結ぶ直線である。
なお、上記標準試料は、以下のようにして作製できる。
(標準試料の作製)
まず、表1に示した配合に従い、ポリエステル系樹脂(PET:遠東新世紀社製、商品名「CH-653」)と、ポリイミド系樹脂(PEI:SABIC Innovative Plastics社製、商品名「Ultem1000」)と、無水ピロメリット酸(PMDA)とを混合して、混合物を用意する。該混合物をラボプラストミル二軸押出機(東洋精機製作所社製、型式:2DC15W、口径15mm、L/D=17)に投入し、350℃で溶融混練して樹脂組成物とする。該樹脂組成物をラボプラストミル二軸押出機前端に取り付けたノズル金型(直径3.0mm)から押出す。押出した樹脂組成物を、直ちに冷却水槽で冷却する。そして、冷却されたストランド状の樹脂組成物を充分に水切りしたのち、ペレタイザーを用いて長さが約2mmで、直径が約3mmの小粒状に切断して標準試料(A~I)を作製する。
標準試料(A~I)の組成を表1に示す。
Figure 2022102868000005
なお、上記検量線は、以下のように作成する。
(検量線の作成)
上記標準試料(A~I)の表面の赤外分光分析を下記条件にて実施し、赤外吸収スペクトルを得る。
・測定装置:Thermo SCIENTIFIC社製「Nicolet iS10」フーリエ変換赤外分光光度計及びThermo SCIENTIFIC社製一回反射型水平状ATR Smart-iTR。
・ATRクリスタル:ダイヤモンド貼付KRS-5(角度=42°)。
・測定法:一回反射型ATR法。
・測定波数領域:4000cm-1~400cm-1
・測定深度の波数依存性:補正せず。
・検出器:重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器及びKBrビームスプリッター。
・分解能:4cm-1
・積算回数:16回(バックグランド測定時も同様)。
・測定回数:10回。
各測定において得られた赤外吸収スペクトルのチャートから、ポリイミド系樹脂の含有割合を求めるときと同様にデータ処理を実施し、D1410とD1778のピーク高さを求め、吸光度比(R=D1410/D1778)を算出する。各標準試料(A~I)の吸光度比に対するポリエステル系樹脂の配合割合をプロットし、前記プロットにおける対数近似式を検量線とする。
発泡層5に含まれる熱可塑性樹脂は、リサイクル原料を含んでいてもよい。ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂の何れか一方にリサイクル原料を含んでいてもよく、ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂の両方にリサイクル原料を含んでいてもよい。ポリエステル系樹脂の一部又は全部がポリエステル系樹脂のリサイクル原料であってもよく、ポリイミド系樹脂の一部又は全部がポリイミド系樹脂のリサイクル原料であってもよい。
リサイクル原料は、例えば、次の原料等が挙げられる。
1)発泡層(発泡体)を粉砕して得られるフレーク状の樹脂を押出機で再溶融させ、ノズル金型よりストランド状に押出し、これを冷却した後ペレタイズした回収ペレット。
2)PETボトルを粉砕して得られるフレーク状の樹脂を押出機で再溶融させ、ノズル金型よりストランド状に押出し、これを冷却した後ペレタイズした再生PET。
<その他の樹脂>
発泡層5は、熱硬化性樹脂を実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、全く含まないか、発泡層5の品質に影響しない程度に含むことをいう。発泡層5に含まれる熱硬化性樹脂の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、5質量部以下が好ましく、2質量部以下がより好ましく、1質量部以下がさらに好ましく、0質量部が最も好ましい。
熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂及びポリイミド系樹脂以外の熱可塑性樹脂(他の熱可塑性樹脂)を含んでもよい。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂の総質量に対して、ポリエステル系樹脂及びポリイミド系樹脂の合計割合は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上がさらに好ましく、100質量%が最も好ましい。ポリエステル系樹脂及びポリイミド系樹脂の合計割合が上記下限値以上であると、発泡層5の耐熱強度をより高められる。
<物性>
発泡層5は、単一のガラス転移温度Tgを示す。ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とが相溶することで、単一のガラス転移温度Tgとなる。発泡層5のガラス転移温度Tgが単一であることで、ポリエステル系樹脂のガラス転移温度Tg1よりも高いガラス転移温度Tgとなり、耐熱強度が高まる。
なお、「ガラス転移温度が単一」であるとは、加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定チャート(DSC曲線)において、2回目昇温過程にみられる結晶化ピークよりも低温側におけるガラス転移温度が単一であると認識できることをいう。但し、2回目昇温過程において結晶化ピークが観測されない場合は、2回目昇温過程の温度範囲(30~300℃)におけるガラス転移温度が単一であると認識できることをいう。
発泡層5におけるガラス転移温度Tgは、例えば、80~130℃が好ましく、85~125℃がより好ましく、90~120℃がさらに好ましい。Tgが上記下限値以上であると、耐熱強度、加熱寸法安定性をより高められる。Tgが上記上限値以下であると、成形サイクルを短くして生産性を高め、成形性を高められる。
発泡層5におけるガラス転移温度Tgは、加熱速度10℃/分における2回目昇温過程のDSC測定で求められる。
なお、発泡層5におけるガラス転移温度Tgは、発泡層5を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgと同一視できる。
発泡層5における吸熱量と発熱量との差の絶対値(吸熱発熱差)は、3~35J/gが好ましく、5~30J/gがより好ましく、7~28J/gがさらに好ましい。吸熱発熱差が上記下限値以上であると、結晶化度が高まり、耐熱強度及び加熱寸法安定性をより高められる。吸熱発熱差が上記上限値以下であると、結晶化度が高まりすぎず、成形性を高められる。
吸熱発熱差は、加熱速度10℃/分における1回目昇温過程のDSC測定によって求められる吸熱量と発熱量との差である。
なお、発泡層5における吸熱発熱差は、発泡層5を構成する熱可塑性樹脂の吸熱発熱差と同一視できる。
発泡層5において、加熱速度5℃/分、周波数1Hzでの固体粘弾性測定における前記ガラス転移温度Tgとガラス転移温度Tg+20℃との間の貯蔵弾性率E’の指数近似式の傾きr(以下、単に「傾きr」ともいう。)は、-0.18~-0.025が好ましく、-0.15~-0.030がより好ましく、-0.10~-0.035がさらに好ましい。傾きrが上記下限値以上であると、温度上昇に伴う貯蔵弾性率E’の変化が小さくなり、耐熱強度をより高められる。傾きrが上記上限値以下であると、温度上昇に伴う貯蔵弾性率E’の変化が小さくなりすぎず、成形性をより高められる。
貯蔵弾性率E’の指数近似式の傾きrは、下記(e)式におけるxの係数rである。
y=p×exp(r×x) ・・・(e)
y:貯蔵弾性率E’(Pa)
x:温度(℃)
p:x=0におけるyの値(Pa)
発泡層5の結晶化度は、2~25%が好ましく、3~21%がより好ましい。発泡層5の結晶化度が上記下限値以上であると、耐熱強度、加熱寸法安定性をより高められる。発泡層5の結晶化度が上記上限値以下であると、成形性が向上し、外観が美麗な繊維強化樹脂複合体2が得られる。
発泡層5の結晶化度は、実施例に記載の方法で求められる。
<発泡剤>
発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテル等のエーテル類、塩化メチル、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1-ジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタン等のフロン、二酸化炭素、窒素等が挙げられ、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素、窒素が好ましい。これらの発泡剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
発泡剤の含有量は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、0.1~12質量部が好ましい。
<任意成分>
本実施形態の発泡層5は、熱可塑性樹脂及び発泡剤以外のその他成分(任意成分)を含有してもよい。
任意成分としては、気泡調整剤、安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、酸化防止剤、結晶化促進剤、滑剤、架橋剤、界面活性剤、収縮防止剤、難燃剤、劣化防止剤等が挙げられる。
気泡調整剤としては、例えば、タルク、シリカ等の無機粉末等の混合物等が挙げられる。これらの気泡調整剤は、発泡層5の独立気泡率を高め、発泡層5を形成しやすい。
気泡調整剤の含有量は熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、0.2~5質量部が好ましい。
安定剤としては、例えば、カルシウム亜鉛系熱安定剤、スズ系熱安定剤、鉛系熱安定剤等が挙げられる。
安定剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、1質量部以下が好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セシウム系紫外線吸収剤、酸化チタン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、1質量部以下が好ましい。
着色剤としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブルー、焼成顔料、メタリック顔料、マイカ、パール顔料、酸化亜鉛、沈降性シリカ、カドミウム赤等が挙げられる。
着色剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、2質量部以下が好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化セリウム/ジルコニア固溶体、水酸化セリウム、カーボン、カーボンナノチューブ、酸化チタン、及びフラーレン等が挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、1質量部以下が好ましい。
結晶化促進剤としては、例えば、ケイ酸塩、炭素、金属酸化物等が挙げられる。ケイ酸塩としては、例えば、含水ケイ酸マグネシウムであるタルクが挙げられる。炭素としては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、活性炭、グラファイト、グラフェン、コークス、メソポーラスカーボン、ガラス状炭素、ハードカーボン、ソフトカーボン等が挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラック等が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン等が挙げられる。
結晶化促進剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、3質量部以下が好ましい。
架橋剤としては、例えば、無水ピロメリット酸等の酸二無水物、多官能エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物等が挙げられる。熱可塑性樹脂組成物に架橋剤を配合することで、発泡時の破泡が抑制され、連続気泡率をより低められる。
架橋剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、0.08~0.8質量部が好ましい。
上述の任意成分は、それぞれ1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
発泡層5に含まれる任意成分の総量は、発泡層5の総質量に対して、0.1~5質量部が好ましく、0.5~3質量部がより好ましい。
発泡層5の連続気泡率は、20%以下が好ましく、18%以下がより好ましく、16%以下がさらに好ましい。発泡層5の連続気泡率が上記上限値以下であると、繊維強化樹脂複合体2の成形体の耐衝撃性をより高め、成形性をより高められる。発泡層5の連続気泡率の下限値は、特に限定されないが、0%が好ましい。
発泡層5の連続気泡率は、JIS K7138:2006「硬質発泡プラスチック-連続気泡率及び独立気泡率の求め方」に記載の方法により求められる。
発泡層5の坪量は、例えば、50~900g/mが好ましく、100~700g/mがより好ましく、150~600g/mがさらに好ましい。発泡層5の坪量が上記下限値以上であると、繊維強化樹脂複合体2の成形体の耐衝撃性をより高められる。発泡層5の坪量が上記上限値以下であると、繊維強化樹脂複合体2をより軽量にできる。加えて、発泡層5の坪量が上記上限値以下であると、加熱成形の際の加熱時間が長くなり過ぎず、繊維強化樹脂複合体2の成形体の生産性をより高められる。
発泡層5の坪量は、以下の方法で測定することができる。
発泡層5の幅方向の両端20mmを除き、幅方向に等間隔に、10cm×10cmの切片5個以上を切り出し、各切片の質量(g)を0.001g単位まで測定する。各切片の質量(g)の平均値を1m当たりの質量に換算した値を、発泡層5の坪量(g/m)とする。
発泡層5の見掛け密度は、例えば、0.050~0.666g/cmが好ましく、0.066~0.500g/cmがより好ましく、0.100~0.400g/cmがさらに好ましい。発泡層5の見掛け密度が上記下限値以上であると、繊維強化樹脂複合体2の成形体の断熱性をより高め、耐衝撃性をより高められる。発泡層5の見掛け密度が上記上限値以下であると、繊維強化樹脂複合体2をより軽量にできる。
発泡層5の発泡倍率は、例えば、2~30倍が好ましく、3~20倍がより好ましく、3.5~15倍がさらに好ましい。発泡層5の発泡倍率が上記下限値以上であると、繊維強化樹脂複合体2の成形体の断熱性をより高め、耐衝撃性をより高められる。発泡層5の発泡倍率が上記上限値以下であると、繊維強化樹脂複合体2の成形性をより高められる。
発泡層5の発泡倍率は、実施例に記載した方法と同様に求めることができる。
発泡層5の平均気泡径は、例えば、80~1000μmが好ましく、150~750μmがより好ましく、200~500μmがさらに好ましい。発泡層5の平均気泡径が上記下限値以上であると、繊維強化樹脂複合体2の耐衝撃性をより高められる。発泡層5の平均気泡径が上記上限値以下であると、繊維強化樹脂複合体2の表面平滑性をより高められる。
発泡層5の平均気泡径は、ASTM D2842-69に記載の方法に準拠して測定できる。
発泡層5の厚さTは、用途を勘案して決定できる。例えば、繊維強化樹脂複合体2が容器成形用であれば、厚さTは、0.3~5.0mmが好ましく、0.4~3.0mmがより好ましく、0.5~2.5mmがさらに好ましい。厚さTが上記下限値以上であると、繊維強化樹脂複合体2の成形体の耐衝撃性、剛性を高められる。厚さTが上記上限値以下であると、繊維強化樹脂複合体2の成形性を高められる。
厚さTは、例えば、ダイヤルシックネスゲージを用いて測定できる。
≪繊維強化樹脂層≫
繊維強化樹脂層7は、発泡層5の両面に設けられた表皮材である。繊維強化樹脂複合体2は、繊維強化樹脂層7を有することで、機械強度により優れる。
繊維強化樹脂層7を構成している繊維としては、特に限定されず、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、金属繊維等が挙げられる。優れた機械強度及び耐熱性を有していることから、繊維強化樹脂層7を構成している繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が好ましく、炭素繊維がより好ましい。
繊維強化樹脂層7の形態としては、特に限定されず、例えば、織物、編物、不織布、繊維を一方向に引き揃えた繊維束(ストランド)をポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の合成樹脂糸又はガラス繊維糸等のステッチ糸で結束(縫合)してなる面材等が挙げられる。織物の織り方としては、平織、綾織、朱子織等が挙げられる。
繊維強化樹脂層7は、(1)織物、編物若しくは不織布同士又はこれらを任意の組み合わせで複数枚、積層してなる多層面材、(2)繊維を一方向に引き揃えた繊維束(ストランド)をポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の合成樹脂糸又はガラス繊維糸等のステッチ糸で結束(縫合)してなる複数枚の面材を繊維束の繊維方向が互いに相違した方向を指向するように重ね合わせ、重ね合わせた面材どうしをポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の合成樹脂糸又はガラス繊維糸等のステッチ糸で一体化(縫合)してなる多層面材であってもよい。
繊維強化樹脂層7に含まれる樹脂としては、未硬化の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、マレイミド系樹脂、ビニルエステル系樹脂、シアン酸エステル系樹脂、マレイミド系樹脂とシアン酸エステル系樹脂とを予備重合した樹脂等が挙げられる。耐熱性、弾性率及び耐薬品性に優れていることから、熱硬化性樹脂としては、エポキシ系樹脂、ビニルエステル系樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂には、硬化剤、硬化促進剤等の添加剤が含有されていてもよい。なお、熱硬化性樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。
繊維強化樹脂層7に含まれる樹脂の含有量は、繊維強化樹脂層7の総質量に対して、20~70質量%が好ましく、30~60質量%がより好ましい。樹脂の含有量が上記下限値以上であると、繊維同士の結合がより高まり、得られる繊維強化樹脂複合体2の機械強度がより高まる。樹脂の含有量が上記上限値以下であると、繊維間に存在する樹脂の量が多くなりすぎず、繊維強化樹脂層7の機械強度がより高まり、得られる繊維強化樹脂複合体2の機械強度がより高まる。
繊維強化樹脂層7に樹脂を含浸させる方法としては、特に限定されず、例えば、(1)繊維を樹脂中に浸漬する方法、(2)繊維に樹脂を塗布する方法等が挙げられる。
本実施形態において、発泡層5の両面に位置する繊維強化樹脂層7の素材は、互いに同じでもよいし、異なってもよい。
繊維強化樹脂層7の厚さTは、例えば、0.1~5mmが好ましく、0.3~3mmがより好ましい。繊維強化樹脂層7の厚さTが上記下限値以上であると、繊維強化樹脂複合体2の機械強度をより高められる。繊維強化樹脂層7の厚さTが上記上限値以下であると、繊維強化樹脂複合体2のさらなる軽量化を図れる。
本実施形態において、発泡層5の両面に位置する繊維強化樹脂層7の厚さTは、互いに同じでもよいし、異なってもよい。
繊維強化樹脂層7の目付は、例えば、50~4000g/mが好ましく、100~1000g/mがより好ましい。繊維強化樹脂層7の目付が上記下限値以上であると、繊維強化樹脂複合体2の機械強度をより高められる。繊維強化樹脂層7の目付が上記上限値以下であると、繊維強化樹脂複合体2のさらなる軽量化を図れる。
[繊維強化樹脂複合体の製造方法]
繊維強化樹脂複合体2は、従来公知の製造方法により製造される。繊維強化樹脂複合体2は、まず、発泡層5を製造し、次いで、発泡層5の表面に繊維強化樹脂層7を設けることにより製造される。
発泡層(発泡シート)5の製造方法としては、例えば、次の方法が挙げられる。
図5の発泡シートの製造装置1は、押出成形(共押出法)により発泡シートを得る装置である。製造装置1は、押出機10と、発泡剤供給源18と、サーキュラーダイ20と、マンドレル30と、2つの巻取機40とを備える。
押出機10は、いわゆるタンデム型押出機である。押出機10は、第一の押出部11と、第一の押出部11に配管16で接続された第二の押出部12とを備える。第一の押出部11はホッパー14を備える。第一の押出部11には、発泡剤供給源18が接続されている。
第二の押出部12には、サーキュラーダイ20が接続されている。サーキュラーダイ20の下流には、カッター32を備えるマンドレル30が設けられている。サーキュラーダイ20とマンドレル30との間には、冷却用送風機(不図示)が設けられている。
なお、製造装置1の押出機10はタンデム型押出機以外の押出機でもよい。例えば、押出機10は、第一の押出部11にサーキュラーダイ20が接続された押出機でもよい。また、製造装置1の押出機10は単軸押出機であってもよいし、二軸押出機等の多軸押出機であってもよい。
発泡層を構成する原料をホッパー14から第一の押出部11に投入する。ホッパー14から投入される原料は、発泡層を構成する樹脂、及び必要に応じて配合される任意成分である。
第一の押出部11では、原料を任意の温度に加熱しながら混合して樹脂溶融物とし、発泡剤供給源18から発泡剤を第一の押出部11に供給し、樹脂溶融物に発泡剤を混合して樹脂組成物とする。
加熱温度は、樹脂の種類等を勘案して、樹脂が溶融しかつ任意成分が変性しない範囲で適宜決定される。
熱可塑性樹脂組成物に配合されるポリエステル系樹脂(原料ポリエステル系樹脂)のガラス転移温度Tg1は、50~100℃が好ましく、60~90℃がより好ましく、70~85℃がさらに好ましい。Tg1が上記下限値以上であると、耐熱強度、加熱寸法安定性をより高められる。Tg1が上記上限値以下であると、成形サイクルを短くして生産性を高め、成形性を高められる。なお、「成形性」は、例えば、発泡シートを金型に挟んで熱成形した際に、金型のキャビティに発泡シートが追随して、所望の形状に近づけられることであり、所望の形状に近づくほど、成形性は「良好」である。
原料ポリエステル系樹脂の融点は、230~270℃が好ましく、240~260℃がより好ましく、245~255℃がさらに好ましい。融点が上記下限値以上であると、耐熱強度、加熱寸法安定性をより高められる。融点が上記上限値以下であると、成形サイクルを短くして生産性を高め、成形性を高められる。
原料ポリエステル系樹脂の固有粘度(IV値)は、0.5~1.5が好ましく、0.6~1.3がより好ましく、0.7~1.2がさらに好ましい。IV値が上記下限値以上であると、発泡時の破泡が抑制されて連続気泡率をより低められる。IV値が上記上限値以下であると、密度をより低くし、表面をより平滑にして、外観の美麗さを高められる。
IV値は、JIS K7367-5(2000)の方法で測定できる。
原料ポリエステル系樹脂の数平均分子量Mnは、9,000~26,000が好ましく、15,000~26,000がより好ましく、20,000~25,000がさらに好ましい。
Mnが上記下限値以上であると、耐寒性(即ち、低温での機械的強度)をさらに高められる。Mnが上記上限値以下であると、耐熱性をさらに高められる。
原料ポリエステル系樹脂のZ平均分子量Mzは、100,000~500,000が好ましく、150,000~450,00がより好ましく、200,000~400,000がさらに好ましい。
Mzが上記数値範囲内であると、耐寒性(即ち、低温での機械的強度)をさらに高められる。
熱可塑性樹脂組成物は、第一の押出部11から配管16を経て第二の押出部12に供給され、さらに混合される。その後、樹脂組成物は、任意の温度に冷却された後、サーキュラーダイ20内の樹脂流路に導かれる。
樹脂流路に導かれた熱可塑性樹脂組成物は、サーキュラーダイ20から押し出され、発泡剤が発泡して円筒状の発泡シート5aとなる。
円筒状の発泡シート5aは、冷却用送風機から送風された冷却用のエアーが吹き付けられつつ、マンドレル30に案内される。円筒状の発泡シート5aは、マンドレル30の外面を通過し、任意の温度に冷却され、カッター32によって2枚に切り裂かれて発泡シート5となる。発泡シート5は、各々ガイドロール42とガイドロール44とに掛け回され、巻取機40に巻き取られて発泡シートロール4となる。
発泡層5の表面に繊維強化樹脂層7を設ける方法としては、特に限定されず、例えば、(1)発泡層5の表面に接着剤を介して繊維強化樹脂層7を積層し、接合する方法、(2)発泡層5の表面に、熱可塑性樹脂が含浸された繊維強化樹脂層7を積層し、熱可塑性樹脂をバインダーとして、発泡層5の表面に繊維強化樹脂層7を接合する方法、(3)発泡層5の表面に、未硬化の熱硬化性樹脂が含浸された繊維強化樹脂層7を積層し、熱硬化性樹脂の硬化物をバインダーとして発泡層5に繊維強化樹脂層7を接合する方法、(4)発泡層5の表面に、加熱されて軟化状態の繊維強化樹脂層7を積層し、発泡層5の表面に繊維強化樹脂層7を押圧することによって、発泡層5に繊維強化樹脂層7を接合する方法等が挙げられる。方法(4)では、繊維強化樹脂層7を発泡層5の表面に沿って変形させることも可能である。ここで、本実施形態の発泡層5は高温環境下における耐荷重性に優れていることから、方法(4)も好適に用いることができる。
これらの方法により、発泡層5の表面に繊維強化樹脂層7を一体的に設けられる。
発泡層5の表面に繊維強化樹脂層7を接合する方法としては、例えば、オートクレーブ法、ハンドレイアップ法、スプレーアップ法、PCM(Prepreg Compress-ion Molding)法、RTM(Resin Transfer Molding)法、VaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding)法等が挙げられる。
発泡層5の表面に繊維強化樹脂層7を接合する方法(以下、「複合化」ともいう。)を、図6を用いて、より具体的に説明する。
図6に示すように、発泡層5の表面に、繊維強化樹脂層7を積層して積層体6を形成する。
さらに、積層体6の繊維強化樹脂層7上にリリースフィルム60を介して、ブリーザークロス70を積層する。図6では積層体6の上面に積層されたブリーザークロス70が積層体6の側面も覆うように積層体6の繊維強化樹脂層7上にリリースフィルム60を介して積層されている。ブリーザークロス70は積層体6の上面に、この積層体6の両側面を覆うように積層することが好ましく、積層体6を全面的に覆うように積層することがより好ましい。このようにブリーザークロス70を積層することによって、発泡層5の両面に積層された繊維強化材7中の余分な熱硬化性樹脂を一枚のブリーザークロス70によって吸収、除去することができる。なお、図6では、一方の繊維強化樹脂層7上にのみリリースフィルム60を介してブリーザークロス70を積層した場合を示したが、両方の繊維強化樹脂層7上にリリースフィルム60を介してブリーザークロス70を積層してもよい。又、ブリーザークロス70は積層体6の側面を必ずしも覆う必要はない。
リリースフィルム60は、繊維強化樹脂層7に対して容易に剥離可能に構成されている。リリースフィルム60は、合成樹脂フィルムから構成されている。繊維強化樹脂層7中に含浸させている余分な熱硬化性樹脂を円滑にブリーザークロス70に吸収させることができることから、リリースフィルム60は、表裏面間に亘って貫通する貫通孔が形成されていることが好ましい。
リリースフィルム60に貫通孔が形成されていない場合、繊維強化樹脂層7中に含浸させている余分な熱硬化性樹脂は、リリースフィルム60の外方を通じてブリーザークロス70に吸収される。
リリースフィルム60にその表裏面間に亘って貫通する貫通孔が多数、形成されている場合、リリースフィルム60の貫通孔を通じて繊維強化樹脂層7中に含浸させていた余分な熱硬化性樹脂をブリーザークロス70に吸収させることができる。リリースフィルム60を構成している合成樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(4フッ化エチレン-エチレン共重合体)等のフッ素系樹脂等が挙げられる。
ブリーザークロス70は、繊維強化樹脂層7中に含侵させていた余分な熱硬化性樹脂を吸収するために用いられる。ブリーザークロス70は、積層体6の加熱、加圧時に変形、変質しないものであればよく、不織布等が挙げられる。不織布としては、例えば、ナイロン繊維等のアミド系樹脂繊維、ポリエステル系樹脂繊維等からなる不織布、ガラスクロス等が挙げられる。
次に、積層体6を型8上に載置し、積層体6上にバギングフィルム50を被せてバギングフィルム50によって積層体6を密封する。なお、積層体6上へのリリースフィルム60及びブリーザークロス70の積層作業は、型8上で行ってもよいし、積層体6を型8上に載置する前に行ってもよい。バギングフィルム50は、積層体6を密封し、積層体6全体を真空引きするためのフィルムである。バギングフィルム50を構成している合成樹脂としては、ナイロン等のアミド系樹脂等が挙げられる。バギングフィルム50の外周縁部の全周と型8との対向間には封止材9を介在させて気密性を確保する。なお、バギングフィルム50内の型8上において、発泡層5の表面に、未硬化の熱硬化性樹脂が含浸され繊維強化樹脂層7、7を積層して積層体6を形成してもよい。型8における積層体6の載置面は、得られた繊維強化樹脂複合体の繊維強化樹脂層を容易に剥離することができるように離型処理81が施されている。
図6では、積層体6を型8上に載置し、積層体6上にバギングフィルム50を被せて積層体6をバギングフィルム50で密封した場合を説明したが、バギングフィルム50を袋状に形成し、袋状のバギングフィルム50内に積層体6を収納してバギングフィルム50によって積層体6を密封してもよい。
しかる後、バギングフィルム50で密封された空間部90内を排気することによって空間部90内を減圧する。空間部90内の真空度は、0.08~0.14MPaが好ましく、0.10~0.12MPaがより好ましい。空間部90内の真空度が上記下限値以上であると、繊維強化樹脂層7中に存在する空気が充分に排出され、繊維強化樹脂層7中のボイドの発生を抑制でき、繊維強化樹脂複合体2の機械強度の低下を抑制できる。空間部90内の真空度が上記上限値以下であると、繊維強化樹脂層7中に含侵させた熱硬化性樹脂が吸引されることを抑制でき、繊維強化樹脂層7の機械強度の低下を抑制できる。その結果、繊維強化樹脂複合体2の機械強度の低下を抑制できる。
次に、バギングフィルム50で密封された空間部90内の減圧後又は減圧の開始と同時に空間部90内の積層体6を加熱して、繊維強化樹脂層7中の熱硬化性樹脂を軟化させる。熱硬化性樹脂が軟化した後、積層体6を加圧すると共に上記加熱を継続する。なお、積層体6の加熱及び加圧中において空間部90内の減圧状態は維持されていることが好ましい。
積層体6を加熱する際の加熱温度は、例えば、70~110℃が好ましく、80~100℃がより好ましい。加熱温度が上記下限値以上であると、繊維強化樹脂層7中の熱硬化性樹脂を充分に軟化できる。加熱温度が上記上限値以下であると、積層体6の劣化を抑制できる。
積層体6の加圧度(加圧圧力)は、0.05~1.5MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。加圧圧力が上記下限値以上であると、繊維強化樹脂層7中に存在する空気が充分に排出され、繊維強化樹脂層7中のボイドの発生を抑制でき、繊維強化樹脂複合体2の機械強度の低下を抑制できる。加えて、加圧圧力が上記下限値以上であると、繊維強化樹脂層7中の熱硬化性樹脂を繊維強化樹脂層7の全体に良好になじませることができ、繊維強化樹脂層7の機械強度の低下を抑制でき、繊維強化樹脂複合体2の機械強度の低下を抑制できる。加圧圧力が上記上限値以下であると、発泡層5の変形を抑制できる。
積層体6の加圧によって、繊維強化樹脂層7中の空気をより確実に排除して、繊維強化樹脂層7中にボイドが生成されるのを防止することができる。加えて、積層体6の加圧によって、繊維同士の密着性を向上させ、さらに、繊維強化樹脂層7を発泡層5の表面に沿って変形させつつ、繊維強化樹脂層7を発泡層5の表面に押圧させて、繊維強化樹脂層7を発泡層5の表面に全面的に密着した状態に積層させることができる。
特に、発泡層5の表面に角部や凹凸部が形成されている場合にも、繊維強化樹脂層7を発泡層5の表面に沿って変形させつつ、繊維強化樹脂層7を発泡層5の表面に押圧させて、繊維強化樹脂層7を発泡層5の表面に全面的に密着した状態に積層させることができる。さらに、繊維強化材7が発泡層5の表面に沿って密着された状態に積層された状態において、繊維強化樹脂層7と発泡層5の表面との界面に存在していた空気は略完全に排除されており、繊維強化樹脂層7は発泡層5の表面に良好に密着した状態となっている。
加えて、積層体6を加圧することによって、繊維強化樹脂層7中に含浸させた熱硬化性樹脂を繊維全体になじませて繊維同士を必要最小限の量の熱硬化性樹脂で確実に結着することができる。このように、必要最小限の量の熱硬化性樹脂によって繊維同士を結着することができるので、繊維間に余分な熱硬化性樹脂が存在することはなく、繊維を高度に配向させた状態とすることができ、繊維強化樹脂層7の機械強度の向上を図ることができると共に、繊維強化樹脂層7の外観も優れたものとなる。
また、繊維強化樹脂層7が多層面材である場合には、加圧によって互いに重ね合わせられている面材同士を強固に一体化することができ、得られる繊維強化樹脂複合体2の機械強度をより高められる。
一方、積層体6を加圧することによって繊維強化樹脂層7中に含浸されている余分な熱硬化性樹脂が繊維強化樹脂層7の表面に浮き出してくることがある。このような場合には、リリースフィルム60の外方を通じて、又は、リリースフィルム60に形成された貫通孔を通じて余分な熱硬化性樹脂がブリーザークロス70に吸収される。このため、得られる繊維強化樹脂複合体2の繊維強化樹脂層7の表面は余分な熱硬化性樹脂は存在せず、優れた外観性を有する。ブリーザークロス70が積層体6の側面を被覆している場合には、積層体6からこの積層体6の側面を被覆しているブリーザークロス70の方向に、バギングフィルム50で密封された空間部90内を排気することによって、発泡層5の両面に積層した繊維強化樹脂層7、7中の余分な熱硬化性樹脂をブリーザークロス70によって確実に吸収、除去することができる。
上述のように積層体6を加圧した状態において積層体6の加熱を継続しており、この加熱によって積層体6の繊維強化樹脂層7中に含浸させている熱硬化性樹脂を硬化させる。なお、熱硬化性樹脂の軟化後において、積層体6の加熱温度は同一であってもよいし変化させてもよいが、熱硬化性樹脂の硬化を促進するために積層体6の加熱温度を上昇させることが好ましい。
上記熱硬化性樹脂の硬化によって繊維強化樹脂層7の繊維同士は結着、固定されると共に繊維強化樹脂層7は発泡層5の表面に沿って変形した状態にて発泡層5の表面に熱硬化性樹脂によって積層一体化されて繊維強化樹脂複合体2を得ることができる。
次に、繊維強化樹脂複合体2を冷却すると共に繊維強化樹脂複合体2に加えている加圧力を解除した後、バックバルブ35を開放して、空間部90内の減圧を解除した上で空間部90を開放して繊維強化樹脂複合体2を取り出せばよい。
得られた繊維強化樹脂複合体2は、図1に示したように、硬化した熱硬化性樹脂によって繊維同士が結着され、かつ、固化された繊維強化樹脂層7が発泡層5の表面に沿って密着した状態に積層一体化されている。
[繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シート]
本発明の繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シートは、シート状の熱可塑性樹脂発泡層と、熱可塑性樹脂発泡層の片面又は両面に位置する繊維強化樹脂層とを有する繊維強化樹脂複合体の熱可塑性樹脂発泡層の形成に用いられる。
熱可塑性樹脂発泡層は、ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とを含み、ガラス転移温度Tgが単一である。
繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シートとしては、上述した熱可塑性樹脂発泡層のみからなる発泡シートが挙げられる。
繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シートの熱可塑性樹脂及び任意成分は、上述した発泡層5と同様である。また、繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シートの融点、結晶化温度、ガラス転移温度、吸熱量(a)、発熱量(b)、結晶化度及び傾きr等の物性は、上述した発泡層5と同様である。
繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シートの物性は、上述した発泡層5と同様にして求めることができる。
[繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シートの製造方法]
繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シートは、上述した発泡層5と同様の方法により製造できる。
本発明の繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シートは、ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とが相溶しており、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgが単一であるため、ポリエステル系樹脂のガラス転移温度Tg1よりも高いガラス転移温度Tgとなり、耐熱強度を高められる。
このため、本発明の熱可塑性樹脂発泡シートは、上述した繊維強化樹脂複合体用の発泡シートとして、好適である。
本実施形態の発泡層5は、ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とが相溶しており、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgが単一であるため、ポリエステル系樹脂のガラス転移温度Tg1よりも高いガラス転移温度Tgとなり、耐熱強度を高められる。このため、発泡層5の表面に繊維強化樹脂層7を積層した繊維強化樹脂複合体2は、耐熱強度に優れる。
また、本実施形態の繊維強化樹脂複合体2は、ヒートセット工程を要することなく、優れた耐熱強度を発揮するため、繊維強化樹脂複合体の成形体の生産性を高められる。本実施形態の繊維強化樹脂複合体2は、結晶化度が20%未満でも、優れた耐熱強度を発揮する。
さらに、本実施形態の繊維強化樹脂複合体2は、ヒートセット工程を経て製造されることで、結晶化度が高まり、加熱寸法安定性がより高まる。
以下、本発明について実施例を示して説明するが、本発明はこれらにより限定されることはない。
(使用原料)
<ポリエステル系樹脂>
・PET(A):遠東新世紀社製、商品名「CH-611」、ガラス転移温度:78℃、融点:251℃、IV値:1.04、バイオマス度:0%。
・PET(B):INDRAMA社製、商品名「RAMAPET N1B」、ガラス転移温度:78℃、融点:247℃、IV値:0.80、バイオマス度:30%。
・PET(C):遠東新世紀社製、商品名「CH-653」、ガラス転移温度:79℃、融点:248℃、IV値:1.01、バイオマス度:27~30%。
・PET(D):遠東石塚グリーンペット社製、商品名「CB-603RJ」、ガラス転移温度:79℃、融点:248℃、IV値:0.80、バイオマス度:0%、PETボトルをリサイクルした再生PET。
<ポリイミド系樹脂>
・PEI(A):ポリエーテルイミド、SABIC Innovative Plastics社製、商品名「Ultem1000」、ガラス転移温度:217℃、MFR:9g/10分。
・PEI(B):ポリエーテルイミド、SABIC Innovative Plastics社製、商品名「Ultem1010」、ガラス転移温度:217℃、MFR:17.8g/10分。
・PEI(C):ポリエーテルイミド、SABIC Innovative Plastics社製、商品名「Ultem MD130」、ガラス転移温度:217℃、MFR:9g/10分。
・回収ペレット:実施例7で得られた発泡シートを粉砕して得られるフレーク状の樹脂を二軸押出機で再溶融させ、ノズル金型よりストランド状に押出し、これを冷却した後ペレタイズしたもの。
<非晶性ポリエステル系樹脂>
・PCT(G):イーストマンケミカル製、商品名「Traitan TX-1001」、芳香族ジカルボン酸成分=テレフタル酸、ジオール成分=1,4-シクロヘキサンジメタノール及び2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、ガラス転移温度:107℃、IV値:0.72。
<タルクマスターバッチ>
・タルクMB:PET=72質量%、タルク=28質量%からなるマスターバッチ。
<架橋剤>
・PMDA:無水ピロメリット酸。
<繊維強化樹脂層>
・(A):繊維強化樹脂層(A)、炭素繊維からなる綾織の織物から形成された繊維強化基材に、熱硬化性樹脂として未硬化のエポキシ樹脂を50質量%含有させた繊維強化材(三菱ケミカル社製、商品名「TR3110-392IMP」、厚さ0.25mm、目付200g/m)。
・(B):繊維強化樹脂層(B)、ガラス繊維(三菱ケミカル社製、商品名「GH2030-392GM」、厚さ0.19mm、目付203g/m)。
(評価方法)
≪厚さ≫
複合化前の発泡シートの幅方向(TD方向)の両端20mmを除いた部分を、幅方向に等間隔9点について、ダイヤルシックネスゲージSM-112(テクロック社製)を使用して厚さを測定し、測定値を相加平均した値を厚さとした。
≪坪量≫
複合化前の発泡シートの幅方向(TD方向)の両端20mmを除き、幅方向に等間隔に、10cm×10cmの切片6個を切り出し、各切片の質量(g)を0.001g単位まで測定した。各切片の質量(g)の平均値を1m当たりの質量に換算した値を、発泡シートの坪量(g/m)とした。
≪見掛け密度≫
複合化前の発泡シートの坪量と厚さから、下記(s1)式にて算出した。
見掛け密度(g/cm)=坪量(g/m)÷厚さ(mm)÷1000・・・(s1)
≪発泡倍率≫
各例の配合割合から熱可塑性樹脂の密度を求め、熱可塑性樹脂の密度を、得られた複合化前の発泡シートの見掛け密度で除した値を発泡倍率とした。なお、各樹脂の密度は以下の値を用いた。
・PET:1.35g/cm
・PEI:1.28g/cm
・PCT:1.18g/cm
≪連続気泡率≫
複合化前の発泡シートから、縦25mm×横25mmのシート状サンプル2枚以上を切り出し、切り出したサンプルを空間があかないよう重ね合わせて厚さ25mmとして試験片を得た。得られた試験片の外寸を、(株)ミツトヨ製「デジマチックキャリパ」ノギスを用いて、1/100mmまで測定し、見掛け上の体積(V1:cm)を求めた。次に、東京サイエンス(株)製「1000型」空気比較式比重計を用いて、1-1/2-1気圧法により試験片の体積(V2:cm)を求めた。下記(s2)式により連続気泡率(%)を計算し、5つの試験片の連続気泡率の平均値を求めた。試験片は予め、JIS K 7100:1999の記号「23/50」(温度23±2℃、相対湿度50±5%)、2級の標準雰囲気下で24時間以上かけて状態調整した後、同じ標準雰囲気下にて測定した。なお、空気比較式比重計は、標準球(大28.96cm、小8.58cm)にて補正を行った。
連続気泡率(%)=(V1-V2)/V1×100・・・(s2)
(V1:ノギスを用いて測定される見掛け上の体積、V2:空気比較式比重計で測定される体積)
≪融点、結晶化温度、ガラス転移温度≫
融点、結晶化温度及びガラス転移温度は、JIS K7121:1987、JIS K7121:2012に記載されている方法で測定した。但し、サンプリング方法及び温度条件に関しては以下の通りとした。
複合化前の発泡シート及び複合化後の発泡シートから切り出した試料をアルミニウム製測定容器の底に、隙間のないように5.5±0.5mg充填後、アルミニウム製の蓋をした。次いで(株)日立ハイテクサイエンス製「DSC7000X、AS-3」示差走査熱量計を用い、示差走査熱量分析を実施した。窒素ガス流量20mL/分のもと、以下のステップ1~4で試料の加熱と冷却とを施して、DSC曲線を得た。
(ステップ1)30℃で2分間保持。
(ステップ2)10℃/分の速度で30℃から300℃まで昇温し(1回目昇温過程)、10分間保持。
(ステップ3)試料を速やかに取出し、25±10℃の環境下にて放冷。
(ステップ4)10℃/分の速度で30℃から300℃まで昇温(2回目昇温過程)。
なお、基準物質としてアルミナを用いた。装置付属の解析ソフトを用いて、図11に示すように2回目昇温過程にみられる融解ピーク及び結晶化ピークのトップの温度を読みとって融点及び結晶化温度とした。ガラス転移温度Tgは2回目昇温過程にみられるDSC曲線より、装置付属の解析ソフトを用いて、中間点ガラス転移温度を算出した。この中間点ガラス転移温度は、JIS K7121:2012に記載の(9.3)より求めた。
なお、ガラス転移温度Tgは、加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定チャート(DSC曲線)において、2回目昇温過程にみられる結晶化ピークよりも低温側におけるガラス転移温度を採用した。但し、2回目昇温過程において結晶化ピークが観測されない場合は、2回目昇温過程の温度範囲(30~300℃)におけるガラス転移温度を採用した。
≪吸熱量(a)、発熱量(b)、結晶化度≫
吸熱量(a)(融解熱量)及び発熱量(b)(結晶化熱量)はJIS K7121:1987、JIS K7121:2012に記載されている方法で測定した。但し、サンプリング方法及び温度条件に関しては以下の通りとした。
複合化前の発泡シート及び複合化後の発泡シートから切り出した試料をアルミニウム製測定容器の底に、隙間のないように5.5±0.5mg充填後、アルミニウム製の蓋をした。次いで(株)日立ハイテクサイエンス製「DSC7000X、AS-3」示差走査熱量計を用い、示差走査熱量分析を実施した。窒素ガス流量20mL/分のもと、以下のステップ1~2で試料の加熱及び冷却を施して、DSC曲線を得た。
(ステップ1)30℃で2分間保持。
(ステップ2)速度10℃/minで30℃から300℃まで昇温(1回目昇温過程)。
この時の基準物質にはアルミナを用いた。吸熱量(a)及び発熱量(b)は、装置付属の解析ソフトを用いて算出した。具体的には、図9に示すように、吸熱量(a)は低温側のベースラインからDSC曲線が離れる点と、そのDSC曲線が再び高温側のベースラインへ戻る点とを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる部分の面積から算出した。発熱量(b)は低温側のベースラインからDSC曲線が離れる点と、そのDSC曲線が再び高温側へ戻る点とを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる部分の面積から算出した。吸熱量(a)、発熱量(b)ともに、1回目昇温過程のDSC曲線から求めた。
各試料の結晶化度は、前記吸熱量(a)と前記発熱量(b)を用いて、下記(s3)式により算出した。
結晶化度(%)={(吸熱量(a)の絶対値(J/g)-発熱量(b)の絶対値(J/g))÷完全結晶化熱量(J/g)}×100・・・(s3)
完全結晶化熱量は、100%結晶化した場合の熱量を表す。なお、上記(s3)式における完全結晶化熱量はPETの完全結晶化熱量である140.1J/gを用いた。
≪固体粘弾性測定≫
固体粘弾性測定は、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製「EXSTRAR DMS6100」粘弾性スペクトロメータを用いた。複合化前の発泡シート及び複合化後の発泡シートから、長さ約40mm、幅約10mm、厚さ約1mmに試料を切り出した。条件は次の通りとした。
・モード:引張制御モード。
・雰囲気:窒素雰囲気。
・周波数:1Hz。
・昇温速度:5℃/分。
・測定温度:30℃~300℃。
・チャック間隔:20mm。
・歪振幅:5μm。
・最小張力:100mN。
・張力ゲイン:1.5。
・力振幅初期値:100mN。
解析は装置付属の解析ソフトを用いた。図7、図8に示すように、ガラス転移温度Tgとガラス転移温度Tg+20℃との間の貯蔵弾性率E’の値を用いて指数近似式から傾きrを算出した。なお、図7は後述する実施例10の繊維強化樹脂複合体の製造に使用した発泡シートの測定結果であり、図8は後述する比較例1の繊維強化樹脂複合体の製造に使用した発泡シートの測定結果である。また、ガラス転移温度Tgは、2回目昇温過程のDSC曲線から求めた値を用いた。
試験片の寸法測定には、Mitutoyo Corporation製「DIGIMATIC」CD-15タイプを用いた。
(評価方法)
<高温曲げ試験:弾性率変化率>
曲げ強さは、JIS K7017:1999に準拠して測定した。曲げ弾性率は、(株)島津製作所製「オートグラフAG-X plus 100kN」万能試験機、(株)島津製作所製「TRAPEZIUM X」万能試験機データ処理を用いて測定した。試験片のサイズは幅15mm×長さ100mmとし、JIS K 7100:1999の記号「23/50」(温度23℃、相対湿度50%)、2級の標準雰囲気下で16時間かけて状態調節した後、測定に用いた。上記条件下にて保管後、試験片を各指定温度条件下の装置付帯恒温槽内治具に素早くセットし、3分後に試験を開始した。試験速度は2.7mm/minとした。加圧くさび及び支点の先端部の半径は5Rとし、支点間距離は80mmとした。得られたグラフより、傾きが最大となる荷重領域を設定し、前記万能試験機データ処理にて見掛けの曲げ弾性率を求めた。
弾性率変化率は、常温(23℃)の見掛けの曲げ弾性率からの変化率(%)として、下記(s4)式から算出した。
弾性率変化率(%)=任意の温度での見掛けの曲げ弾性率(MPa)/23℃での見掛けの曲げ弾性率(MPa)×100・・・(s4)
弾性率変化率から、下記評価基準に基づいて繊維強化樹脂複合体の耐熱強度を評価した。
《評価基準》
○:80℃での弾性率変化率が90%以上、100℃での弾性率変化率が60%以上であり、かつ、120℃での弾性率変化率が20%以上である。
△:80℃での弾性率変化率が80%超90%未満であり120℃での弾性率変化率が20%以上である、又は、100℃での弾性率変化率が40%超60%未満であり120℃での弾性率変化率が20%以上である。
×:80℃での弾性率変化率が80%以下、100℃での弾性率変化率が40%以下、又は、120℃での弾性率変化率が20%未満である。
<外観の評価>
各例の繊維強化樹脂複合体の外観を目視で観察して、下記評価基準に基づいて外観の評価を行った。なお、繊維強化樹脂複合体の繊維強化樹脂層の表面の凹部とは、発泡シートの不均一な収縮によって陥没している部分とした。
《評価基準》
〇:繊維強化樹脂複合体の繊維強化樹脂層の表面に凹部がなく、外観が美麗であった。
△:繊維強化樹脂複合体の繊維強化樹脂層の表面に小数の凹部が確認された。
×:繊維強化樹脂複合体の繊維強化樹脂層の表面に多数の凹部が確認され、外観が悪かった。
≪繊維強化樹脂複合体の総合評価≫
繊維強化樹脂複合体の耐熱強度及び外観の評価の結果から、下記評価基準に基づいて繊維強化樹脂複合体の総合評価を行った。
《評価基準》
○:全ての項目の評価が「○」であった。
△:全ての項目の評価で「×」がなく、かついずれかの項目の評価で「△」が1つ以上であった。
×:いずれかの項目の評価が「×」であった。
≪発泡シートの製造≫
[実施例1]
表2の配合に従い、PET、PEI、タルクMB及び架橋剤をミキサーにて混合して、配合物とした。
直径93mmの円環状スリットで、かつ、スリット幅が0.6mmのサーキュラーダイを単軸押出機(口径65mm、L/D=34)の先端にセットし、このサーキュラーダイの押出方向前方に円筒状の冷却用マンドレル(直径206mm、長さ310mm)を配置した。冷却用マンドレル内に冷却水を循環させた。押出機を所定の温度に設定し、押出機で配合物を混練して溶融混合物とした。押出機バレルの途中から発泡剤(イソブタン:ノルマルブタン=35:65(質量比))を圧入して樹脂溶融物に加え、さらに混練して、熱可塑性樹脂組成物とした。
押出時の樹脂温度を300℃に設定し、サーキュラーダイのダイスリットから溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を吐出量30kg/hにて押出発泡させ、円筒状の発泡体を形成させた。この円筒状の発泡体を冷却用マンドレルによって拡径し、冷却用マンドレルよりもさらに下流側に配した引取機によって引き取らせた。冷却用マンドレルの外周面を発泡体の内周面に沿わせて発泡体を冷却すると共に、冷却用マンドレルの下流側において円筒状発泡体を押出方向に沿って切断した。そして、円筒状発泡体を平坦な帯状にして引取機によりロール状に巻き取った。得られた発泡シートの物性及び評価を表2に示す。
[実施例2~7、9~18、比較例1~4]
表2~8の配合に従い、押出時の樹脂温度と引取機の引取速度を調整した以外は、実施例1と同様にして発泡シートを作製した。得られた発泡シートの物性及び評価を表2~8に示す。
[実施例8]
実施例7で得られた発泡シートを粉砕して得られるフレーク状の樹脂を二軸押出機で再溶融させ、ノズル金型よりストランド状に押出し、これを冷却した後ペレタイズした回収ペレットを作製した。
表4の配合に従った以外は、実施例1と同様にして発泡シートを作製した。得られた発泡シートの特性及び評価を表4に示す。
≪繊維強化樹脂複合体の製造≫
各例で得られた発泡シートを用いて、以下の方法で繊維強化樹脂層を積層し、繊維強化樹脂複合体を作製した。
図6に示す型8として、ステンレス板を用意し、このステンレス板の上面に離型剤(ケムリースジャパン社製、商品名「ケムリース2166」)を塗布して一日放置し、ステンレス板の上面に離型処理81を施した。
繊維強化樹脂層として、表2~8に記載の繊維強化樹脂層(A)又は繊維強化樹脂層(B)を2枚用意し、繊維の向きが同じ向きとなるように2枚の繊維強化樹脂層を重ね合わせ、ステンレス板の離型処理面上に載置した。次いで、各例で得られた発泡シートを繊維強化樹脂層の上に載置した。さらに、表2~8に記載の繊維強化樹脂層(A)又は繊維強化樹脂層(B)を2枚用意し、繊維の向きが同じ向きとなるように2枚の繊維強化樹脂層を重ね合わせ、上記の発泡シートの上に載置し、積層体を作製した。
その後、積層体の上側の繊維強化樹脂層上に、該繊維強化樹脂層を全面的に被覆するように、貫通孔を有するリリースフィルム(AIRTECH社製、商品名「WL5200B-P」)及びブリーザークロス(AIRTECH社製、商品名「AIRWEAVEN 4」)を順に積層した。ブリーザークロスは積層体の両側面(図6における左右側面)も被覆していた。リリースフィルムは、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体フィルムから形成され、両面間に亘って貫通し、かつ、繊維強化樹脂層中の熱硬化性樹脂が通過可能な貫通孔が多数、形成されていた。ブリーザークロスは、ポリエステル系樹脂繊維から構成された不織布で形成されており、熱硬化性樹脂を含浸可能に構成されていた。
積層体上に、バギングフィルム(AIRTECH社製、商品名「WL7400」)を被せ、バギングフィルムの外周縁部とこれに対向するステンレス板との間を封止材としてシーラントテープ(AIRTECH社製、商品名「GS43MR」)を用いて気密的に接合して積層体をバギングフィルムによって密封した。バギングフィルムは、ナイロンフィルムから構成されていた。バギングフィルムの一部にバックバルブ(AIRTECH社製、商品名「VACVALVE402A」)を配置して積層構造体を作製した。
次に、上記積層構造体を加熱硬化試験用オートクレーブ(羽生田鉄工所社製、商品名「DL-2010」)内に供給し、積層構造体のバックバルブを真空ラインと接続し、バギングフィルムで密封された空間部内を積層体からこの積層体の側面を被覆しているブリーザークロスの方向に排気して真空度0.10MPaに減圧した。なお、空間部の減圧はその後も継続して行った。
その後、オートクレーブ内をゲージ圧力0.1MPaに加圧し、オートクレーブ内を昇温速度4℃/分にて90℃となるまで昇温して積層体を加熱し、オートクレーブ内を90℃で20分間に亘って加熱した。この加圧及び加熱により、繊維強化樹脂層中の熱硬化性樹脂を軟化させて繊維強化樹脂層を熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡層の表面に沿って変形させると共に、繊維強化樹脂層中に存在している空気を吸引、除去した。
次に、オートクレーブ内をゲージ圧力0.3MPaに加圧して積層体に押圧力を加えると共に、オートクレーブ内を昇温速度4℃/分にて130℃となるまで昇温して積層体を加熱した。オートクレーブ内を130℃で60分間に亘って加熱して、繊維強化樹脂層中の熱硬化性樹脂を硬化させると共に、繊維強化樹脂層を発泡シートの両面に積層一体化させて繊維強化樹脂複合体を得た。なお、積層体への加圧によって繊維強化樹脂層中の余分な熱硬化性樹脂はリリースフィルムの貫通孔及び外方を通じてブリーザークロスに吸収されていた。
オートクレーブ内を冷却してオートクレーブ内が60℃となった時点で、オートクレーブ内の加圧を解除して大気圧に戻し、繊維強化樹脂複合体を取り出した。この繊維強化樹脂複合体について、上記の外観の評価を行い、合わせて複合化後の発泡シートの物性の評価を行った。結果を表2~8に示す。
Figure 2022102868000006
Figure 2022102868000007
Figure 2022102868000008
Figure 2022102868000009
Figure 2022102868000010
Figure 2022102868000011
Figure 2022102868000012
表2~8に示すように、本発明を適用した実施例1~18は、総合評価が「○」~「△」であった。
一方、発泡シートにポリイミド系樹脂を含まない比較例1~2、ガラス転移温度が単一でない比較例3~4の総合評価は「×」であった。
以上の結果から、本発明を適用することで、繊維強化樹脂複合体の耐熱強度を高められることが確認された。
2 繊維強化樹脂複合体
5 発泡層(発泡シート)
7 繊維強化樹脂層

Claims (16)

  1. シート状の熱可塑性樹脂発泡層と、
    前記熱可塑性樹脂発泡層の片面又は両面に位置する繊維強化樹脂層と、を有し、
    前記熱可塑性樹脂発泡層は、ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とを含み、
    前記熱可塑性樹脂発泡層のガラス転移温度Tgが単一である、繊維強化樹脂複合体。
  2. 前記ガラス転移温度Tgが80~130℃である、請求項1に記載の繊維強化樹脂複合体。
  3. 前記熱可塑性樹脂発泡層は、加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定によって求められる吸熱量と発熱量との差の絶対値が3~35J/gである、請求項1又は2に記載の繊維強化樹脂複合体。
  4. 加熱速度5℃/分、周波数1Hzでの固体粘弾性測定における前記ガラス転移温度Tgと、前記ガラス転移温度Tg+20℃との間の貯蔵弾性率E’の指数近似式の傾きが-0.18~-0.025である、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂複合体。
  5. 前記ポリイミド系樹脂がポリエーテルイミド系樹脂である、請求項1~4のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂複合体。
  6. 前記ポリエステル系樹脂が、植物由来のポリエステル系樹脂を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂複合体。
  7. 前記熱可塑性樹脂発泡層に含まれる熱可塑性樹脂の総質量に対する前記ポリエステル系樹脂の含有割合が40~95質量%であり、
    前記熱可塑性樹脂発泡層に含まれる熱可塑性樹脂の総質量に対する前記ポリイミド系樹脂の含有割合が5~60質量%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂複合体。
  8. 前記熱可塑性樹脂発泡層がリサイクル原料を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂複合体。
  9. シート状の熱可塑性樹脂発泡層と、前記熱可塑性樹脂発泡層の片面又は両面に位置する繊維強化樹脂層とを有する繊維強化樹脂複合体の前記熱可塑性樹脂発泡層の形成に用いられる繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シートであって、
    前記熱可塑性樹脂発泡層は、ポリエステル系樹脂とポリイミド系樹脂とを含み、
    前記熱可塑性樹脂発泡層のガラス転移温度Tgが単一である、繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シート。
  10. 前記ガラス転移温度Tgが80~130℃である、請求項9に記載の繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シート。
  11. 加熱速度10℃/分における熱流束示差走査熱量測定によって求められる吸熱量と発熱量との差の絶対値が3~35J/gである、請求項9又は10に記載の繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シート。
  12. 加熱速度5℃/分、周波数1Hzでの固体粘弾性測定における前記ガラス転移温度Tgと、前記ガラス転移温度Tg+20℃との間の貯蔵弾性率E’の指数近似式の傾きが-0.18~-0.025である、請求項9~11のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シート。
  13. 前記ポリイミド系樹脂がポリエーテルイミド系樹脂である、請求項9~12のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シート。
  14. 前記ポリエステル系樹脂が、植物由来のポリエステル系樹脂を含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シート。
  15. 前記熱可塑性樹脂発泡層に含まれる熱可塑性樹脂の総質量に対する前記ポリエステル系樹脂の含有割合が40~95質量%であり、
    前記熱可塑性樹脂発泡層に含まれる熱可塑性樹脂の総質量に対する前記ポリイミド系樹脂の含有割合が5~60質量%である、請求項9~14のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シート。
  16. 前記熱可塑性樹脂発泡層がリサイクル原料を含む、請求項9~15のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂複合体用の熱可塑性樹脂発泡シート。
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