JP2022102024A - ファンユニットの選定方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022102024000001
【課題】本開示が解決しようとする課題は、厳密な圧力損失計算を必要としないファンユニットを提供することである。
【解決手段】第2ユニット30の選定方法では、第1ユニット20から対象空間100A~100Dまでの全圧力損失値の一部である第1圧力損失値に基づいて第2ユニット30を選定すればよい。その後は、第2ユニット30側にて第2コントローラ52が、ダクト40の実際の圧力損失に対応する前後差圧に基づき第2ファン31の回転数を自動制御する。それゆえ、事前の厳密な圧力損失計算を必要としない。
【選択図】図17B

Description

空気を送風するファンを備えるファンユニットの選定方法に関する。
従来、部屋の空気調和のために送風ファンの回転数を制御する空気調和システムが広く普及している。例えば、特許文献1(特開平10-253132号公報)に記載の空気調和システムでは、熱交換器および空調用ファンを有する空調ユニットと、送風ファンを有する複数の通気ユニットと、空調ユニットから通気ユニットに調和空気を分配するダクトと、ダクトを通過する空気量を調節するシャッタとを備えている。
上記のような空気調和システムでは、各空調対象空間に供給される風量が目標の風量となるように、ダンパの開度を対象空間ごとに調節する。それゆえ、通気ユニットの選定でファンの静圧不足の場合は風量不足となり、静圧過多の場合は、ダンパでの絞りが大きくなることで、動力の無駄や送風音増大の原因になるので、圧力損失計算は厳密に行う必要がある。
それゆえ、厳密な圧力損失計算を必要としないファンユニットを提供する、という課題が存在する。
第1観点に係るファンユニットの選定方法は、空気処理の対象空間と空気処理ユニットとの間を連絡するダクトの途中に配置されたファンユニットが、空気処理ユニットによって所定の処理が行われた空気を対象空間まで搬送する空気処理システムの、ファンユニットの選定方法であって、第1ステップとして、回転数可変のファンと、吸込口および吹出口を有し、ファンを収容するケーシングと、ファンの風量または風量相当値を検出する検出部と、ファンの回転数を制御する制御部とを備え、制御部が、検出部の検出値に基づき吸込口と吹出口との空気の圧力差である前後差圧を決定し、前後差圧に基づきファンの回転数を自動制御する、ファンユニットを選定の候補とする。第2ステップとして、空気処理ユニットから対象空間までの全圧力損失値の一部である第1圧力損失値を計算する。第3ステップとして、風量と前後差圧との関係、対象空間へ供給する風量の目標値である風量目標値、および第1圧力損失値とに基づき、ファンユニットを選定する。
このファンユニットの選定方法では、空気処理ユニットから対象空間までの全圧力損失値の一部である第1圧力損失値に基づいてファンユニットを選定すれば、あとはファンユニット側にて制御部が、ダクトの実際の圧力損失に対応する前後差圧に基づきファンの回転数を自動制御するので、事前の厳密な圧力損失計算を必要としない。
第2観点に係るファンユニットの選定方法は、第1観点に係るファンユニットの選定方法であって、第1圧力損失値を算出する際、空気処理ユニットから対象空間までの構成部材のうち、全圧力損失値に対する比率が所定値未満となる構成部材の圧力損失値を算入しない。
このファンユニットの選定方法では、ファンユニット側にて制御部が、ダクトの実際の圧力損失に対応する前後差圧に基づきファンの回転数を自動制御するので、ファンユニットの選定の際に細かな圧力損失値まで計算する必要がない。
第3観点に係るファンユニットの選定方法は、第1観点または第2観点に係るファンユニットの選定方法であって、第1圧力損失値が、少なくとも空気処理ユニットにおける圧力損失値を含む。
このファンユニットの選定方法では、空気処理ユニットから対象空間までの全圧力損失値のうち概ね50%を占める空気処理ユニットにおける圧力損失を見逃さなければ、ファンユニットの選定方法を誤ることは回避される。
第4観点に係るファンユニットの選定方法は、第1観点から第3観点のいずれか1つに係るファンユニットの選定方法であって、第3ステップにおいて、ファンユニットの数量および能力の少なくとも1つを決定する。
このファンユニットの選定方法では、ファンユニットの機種は、前後差圧に基づきファンの回転数を自動制御するファンユニットであるので、対象空間の必要換気量(風量目標値)に基づき、数量および能力の少なくとも1つを決定するだけでよい。
第5観点に係るファンユニットの選定方法は、第1観点から第3観点のいずれか1つに係るファンユニットの選定方法であって、風量目標値に対する第1圧力損失値の変動幅を示す第1範囲は、ファンユニットが変更可能な前後差圧の第2範囲内である。
圧力損失は通風抵抗であり、ダクトの長さとダクト内の風量に依存するため、通風抵抗の変動を測定することは非常に困難であるが、測定容易な前後差圧の変動で代用することができることは、出願人の研究により明らかになっている。
したがって、このファンユニットの選定方法では、風量目標値に対する第1圧力損失値の変動幅を示す第1範囲が、ファンユニットが変更可能な前後差圧の第2範囲内であれば、ファンユニットの選定方法を誤ることは回避される。
第6観点に係るファンユニットの選定方法は、第5観点に係るファンユニットの選定方法であって、風量目標値が、ファンユニットが変更可能な風量の第3範囲内である。
ファンユニットが変更可能な風量範囲は、大きく設定しすぎると、低位側では信頼性を喪失し、高位側ではファンへの入力との関係で経済的合理性を失うことになる。したがって、このファンユニットの選定方法では、風量目標値が、ファンユニットが変更可能な風量の第3範囲内であれば、信頼性と経済的合理性の両立を図ることができる。
第7観点に係るファンユニットの選定方法は、第5観点に係るファンユニットの選定方法であって、第1範囲が、ファンの回転数毎に測定したファンの風量と前後差圧との関係を示す曲線の極値を通る曲線で表される境界と重ならない。
このファンユニットの選定方法では、「ファンの回転数毎に測定したファンの風量と前後差圧との関係を示す曲線の極値を通る曲線」と重ならないので、サージングの発生を防止することができる。
第8観点に係るファンユニットの選定方法は、第1観点から第7観点のいずれか1つに係るファンユニットの選定方法であって、ダクトが、空気処理ユニットから対象空間に至る複数の経路を有している。ファンユニットは複数の経路それぞれに接続され、複数のファンユニットは、複数の経路のうち圧力損失値が最も大きい経路に接続されるファンユニットで統一される。
このファンユニットの選定方法では、圧力損失値が最も大きい経路に接続されるファンユニットならば、当該経路よりも短い経路に接続されるファンユニットとして兼用することができる。
第9観点に係るファンユニットの選定方法は、第1観点から第7観点のいずれか1つに係るファンユニットの選定方法であって、ダクトが、第1経路と第2経路とを含む。第1経路は、空気処理ユニットに接続される主ダクトと、主ダクトから分岐してファンユニットである第1ファンユニットに接続される第1分岐ダクトとを有している。第2経路は、空気処理ユニットに接続される主ダクトと、主ダクトから分岐してファンユニットである第2ファンユニットに接続される第2分岐ダクトとを有している。第1分岐ダクトにおける圧力損失値が、第2分岐ダクトにおける圧力損失値よりも大きい場合、第2ファンユニットは第1ファンユニットで統一される。
このファンユニットの選定方法では、圧力損失値が大きい方の経路に接続されるファンユニットならば、当該経路よりも短い経路に接続されるファンユニットとして兼用することができる。
第2ユニットが搭載された第1実施形態に係る空気処理システムの構成を示す概念図である。 室外空気と供給空気の流れを説明するための第1ユニットの断面側面図である。 室内空気と排出空気の流れを説明するための第1ユニットの断面側面図である。 全熱交換エレメントの一例を示す斜視図である。 第2ユニットの構成の一例を示す模式図である。 コントローラの構成を説明するためのブロック図である。 ダクト長さをパラメータとして、風量とダクト抵抗との関係を示したグラフである。 ファンモータの回転数を1[r/m]変更したときの風量変化量を、第2ユニットの前後差圧を変えて測定した結果を示すグラフである。 前後差圧をパラメータとして、風量とファンモータの回転数との関係を示したグラフである。 前後差圧をパラメータとして、風量とファンモータの回転数との関係を示したグラフである。 前後差圧をパラメータとして、風速とファンモータ回転数との関係を示したグラフである。 図7から導き出した前後差圧と係数および定数項との関係を示すグラフである。 前後差圧をパラメータとして、風量とファンモータの回転数との関係を示したグラフである。 風速とファンモータの回転数との関係を示すグラフである。 風量制御のフローチャートである。 第2ファンのファンモータの回転数をパラメータとする、流量と前後差圧との関係を表すグラフである。 図12に表された各回転数における極値点を通る曲線を描いたグラフである。 従来の空気処理システムの構成と本実施形態の構成とを比較した構成比較図である。 空気処理システムの設計から運用(管理)に至るまでの工程について、従来システムと本実施形態とを比較した表である。 ダクト圧力損失計算の対象となる構成部材について、従来システムと本実施形態とを比較した表である。 従来システムにおける風量と前後差圧との関係を示すグラフである。 本実施形態における風量と前後差圧との関係を示すグラフである。 第2ユニットが搭載された第2実施形態に係る空気処理システムの構成図である。 コントローラの構成を説明するためのブロック図である。 第2ユニットが搭載された第2実施形態の変形例に係る空気処理システムの構成図である。
<第1実施形態>
(1)全体構成
図1Aは、第2ユニット30が搭載された空気処理システム10の構成図である。図1Aにおいて、空気処理システム10は、建物BLの一フロアの天井裏に配置されており、部屋の換気を行う。
空気処理システム10は、全熱交換器を搭載した第1ユニット20と、給気用のファンユニットまたは排気用のファンユニットとして機能する第2ユニット30A~30Dと、第1ユニット20と空気処理の対象空間100A~100Dとを連絡するダクト40とを備えている。
第2ユニット30Aは、第1の対象空間100Aに対応する第2ユニット30を示している。同様に、第2ユニット30Bは第2の対象空間100Bに対応する第2ユニット30であり、第2ユニット30Cは第3の対象空間100Cに対応する第2ユニット30であり、第2ユニット30Dは第4の対象空間100Dに対応する第2ユニット30である。
ダクト40は、給気ダクト41と、還気ダクト46とを含んでいる。第1ユニット20には、外気ダクト18と、給気ダクト41と、還気ダクト46と、排気ダクト19が接続されている。
外気ダクト18は、建物BLの外へ通じる開口部4から第1ユニット20に繋がる空気流路を構成する。給気ダクト41は、第1ユニット20から各対象空間100A~100Dに設けられた吹出口2に繋がる空気流路を構成する。
還気ダクト46は、各対象空間100A~100Dに設けられた吸込口3から第1ユニット20に繋がる空気流路を構成する。排気ダクト19は、第1ユニット20から建物BLの外へ通じる開口部5に繋がる空気流路を構成する。
給気ダクト41は、分岐チャンバ91により、複数の給気分岐ダクト42A~42Dに枝分かれしている。
還気ダクト46は、分岐チャンバ92により、複数の還気分岐ダクト47A~47Dに枝分かれしている。
第1ユニット20は、ユニット内を通過する空気に対して、空気の中の塵埃を除去、空気の温度の変更、空気の湿度の変更、空気中の所定化学成分および所定病原体の除去を行う。
第2ユニット30には、各給気分岐ダクト42A~42Dに接続されている第2ユニットと、各還気分岐ダクト47A~47Dに接続されている第2ユニットとがある。
各給気分岐ダクト42A~42Dに接続されている第2ユニットと、吹出口2との間は給気連絡ダクト43A~43Dによって連絡されている。
各還気分岐ダクト47A~47Dに接続されている第2ユニットと、吸込口3との間は還気連絡ダクト48A~48Dによって連絡されている。
空気処理システム10では、第1ユニット20がファンを有していないので、第1ユニット20内の空気の流れは、第2ユニット30の稼働によって発生する。
したがって、第2ユニット30の前後差圧の変化は主に他の第2ユニット30のファンの風量変化により生じる。
(2)詳細構成
(2-1)第1ユニット20
図1Bは、室外空気と供給空気の流れを説明するための第1ユニット20の断面側面図である。図1Cは、室内空気と排出空気の流れを説明するための第1ユニットの断面側面図である。図1Dは、全熱交換エレメント12の一例を示す斜視図である。
図1B~図1Dにおいて、第1ユニット20は、全熱交換器ユニットである。第1ユニット20は、ハウジング11、全熱交換エレメント12、第1フィルタ13、第2フィルタ14を有している。
(2-1-1)ハウジング11および全熱交換エレメント12
ハウジング11は、内部に、略四角柱形状の全熱交換エレメント12を収容している。ハウジング11には、外気ダクト18に接続するための開口11a、給気ダクト41に接続するための開口11b、還気ダクト46に接続するための開口11c、及び排気ダクト19に接続するための開口11dが設けられている。
ハウジング11の中の空間は、主に、第1空間SP1、第2空間SP2、第3空間SP3及び第4空間SP4の4つに分割されている。第1空間SP1は、全熱交換エレメント12に対して外気ダクト18の側に設けられている。第2空間SP2は、全熱交換エレメント12に対して給気ダクト41の側に設けられている。第3空間SP3は、全熱交換エレメント12に対して還気ダクト46の側に設けられている。第4空間SP4は、全熱交換エレメント12に対して排気ダクト19の側に設けられている。
したがって、外気ダクト18により、室外と第1空間SP1とが繋がる。給気ダクト41により、室内と第2空間SP2とが繋がる。還気ダクト46により、室内と第3空間SP3とが繋がる。排気ダクト19により、室外と第4空間SP4とが繋がる。
図1Bの側面断面図に示されているように、室外の室外空気OAは、第2ユニット30が稼働することで、外気ダクト18を介して、全熱交換エレメント12に至る。さらに、全熱交換エレメント12を通過した空気は、給気ダクト41を介して、新鮮な供給空気SAとして室内に供給される。
図1Cの側面断面図に示すように、室内の室内空気RAは、第2ユニット30が稼働することで、還気ダクト46を介して、全熱交換エレメント12に至る。さらに、全熱交換エレメント12を通過した空気は、排出空気EAとなって室外に排出される。
この全熱交換エレメント12は、図1Dに示されているように、室内空気RAと室外空気OAとが互いに混ざり合うことがないようにしつつ室内空気RAと室外空気OAとの間で全熱交換を行わせる。言い換えると、全熱交換エレメント12は、室内空気RAと室外空気OAとの間で、潜熱交換と顕熱交換を同時且つ連続的に行わせる。
(2-1-2)第1フィルタ13および第2フィルタ14
第1フィルタ13は、全熱交換エレメント12のうち、第3空間SP3に露出している部分を覆うように配置されている。第2フィルタ14は、全熱交換エレメント12のうち、第1空間SP1に露出している部分を覆うように配置されている。
これにより、室外空気OAおよび室内空気RAのいずれの空気についても、全熱交換エレメント12に供給する前に埃を除去することができ、全熱交換エレメント12内に集塵が流入することを防ぐことができている。
(2-2)第2ユニット30
図1Eは、第2ユニット30の構成の一例を示す模式図である。第2ユニット30は、第2ファン31と、第2ファン31を回転させるファンモータ31bと、第2風量検出手段32とを有している。
各ファンモータ31bは、対応する1つの第2コントローラ52に接続されており、ファンモータ31bから回転数が第2コントローラ52に送られる。各第2風量検出手段32は、対応する1つの第2コントローラ52に接続されている。
第2風量検出手段32には、例えば、風量センサ、風速センサまたは差圧センサを用いることができる。本実施形態では、第2風量検出手段32は、第2ファン31が送風する風量を検出する。
第2風量検出手段32が検出した風量値は、第2コントローラ52に入力される。第2風量検出手段32が検出した風量は、給気連絡ダクト43A~43Dを流れる風量であり、各第2ユニット30から各対象空間100A~100Dに供給される給気風量でもある。
(2-3)リモコン55
各対象空間100A~100Dには、対応する第2ユニット30A~30Dに対して遠隔で風量を設定するリモコン55が設置されている。リモコン55は、後述のコントローラ50を構成する第1コントローラ51および第2コントローラ52のいずれかに接続さる。
リモコン55は、第2ユニット30の風量目標値を入力する入力部550と、第2ユニット30の風量を表示する表示部551とを有している(図2参照)。
第1実施形態では、リモコン55は第2コントローラ52に接続されており、リモコン55から設定された風量は、風量設定値として第2コントローラ52を介して第1コントローラ51に入力される。
説明の便宜上、第2コントローラ52およびリモコン55には、対応する対象空間100A~100Dの末尾のアルファベットを付している。例えば、第1の対象空間100Aに対応する「第2コントローラ52」および「リモコン55」は、第2コントローラ52Aおよびリモコン55Aという。
(2-4)コントローラ50
図2は、コントローラ50の構成を説明するためのブロック図である。図2において、コントローラ50は、第1コントローラ51と複数の第2コントローラ52とを含んでいる。第1コントローラ51と複数の第2コントローラ52とは互いに接続されている。
(2-4-1)第1コントローラ51
第1コントローラ51は、プロセッサ51aと、メモリ51bとを含む。プロセッサ51aは、メモリ51bに記憶されている風量制御プログラムを読み取り、各第2コントローラ52A~52Dに必要な指令を出力する。メモリ51bは、各第2コントローラ52A~52Dから送られてくる風量設定値を随時記憶する。
プロセッサ51aは、メモリ51bに記憶された風量設定値を基に、各対象空間100A~100Dに供給すべき風量目標値を演算する。
上記の記載は、一例であって、上記記載内容に限定されるものではない。
(2-4-2)第2コントローラ52
第2コントローラ52は、プロセッサ52aと、メモリ52bとを含む。プロセッサ52aは、メモリ52bに記憶されている第2ファン31の風量制御プログラムを読み取り、第2ファン31に必要な指令を出力する。
メモリ52bは、第2ファン31の風量制御プログラムの他、第1コントローラ51から出力される風量目標値、第2風量検出手段32の検出値を随時記憶する。
プロセッサ52aは、メモリ52bに記憶された風量目標値および第2風量検出手段32の検出値を読み取り、第2ファン31の回転数目標値を演算する。
上記の記載は、一例であって、上記記載内容に限定されるものではない。
(3)空気処理システム10の動作の概要
各第2コントローラ52A~52Dは、対応するリモコン55A~55Dから入力された各対象空間100A~100Dの風量設定値を受信する。各第2コントローラ52A~52Dは、入力された風量設定値を記憶する。
各第2コントローラ52A~52Dは風量設定値と風量測定値を第1コントローラ51に送信する。第1コントローラ51は、風量設定値と風量測定値に基づき、各第2ユニット30A~30Dの風量目標値を決定する。第1コントローラ51は、風量目標値の値を各第2コントローラ52A~52Dに送信する。
第1コントローラ51は、対象空間100A~100Dに供給すべき風量目標値に応じて、各第2ファン31の風量目標値を決定して各第2コントローラ52A~52Dに送信する。各第2ユニット30A~30Dでは、対応する第2コントローラ52によって第2ファン31の回転数が調整される。複数の第2ファン31の回転数の調整は互いに独立して行われる。
各第2コントローラ52A~52Dは、給気風量を風量目標値に一致させるべく、各第2ファン31の回転数を制御する。複数の第2コントローラ52A~52Dは、互いに独立して、複数の第2ファン31の回転数を制御する。各第2コントローラ52A~52Dは、風量目標値に対して、第2風量検出手段32が検出した風量が小さければ、各第2ファン31の回転数を増加させる。各第2コントローラ52A~52Dは、風量目標値に対して、第2風量検出手段32が検出した風量が大きれば、各第2ファン31の回転数を減少させる。
具体的な風量制御については、「(5)風量制御」の節で述べる。
(4)ダクト抵抗について
(4-1)ダクト抵抗の特性
第1ユニット20と第2ユニット30とを接続するダクト40の長さは、第2ユニット30の吹出口の位置によって異なり、また、第1ユニット20と第2ユニット30とが据え付けられる物件によっても異なる。
ダクト40内を流れる空気とダクト40の内面との間には抵抗(以後、ダクト抵抗という。)があり、ダクト40内を流れる空気の静圧は摩擦により減少する。ダクト40が長いほど、ダクト抵抗は大きくなる。
図3は、ダクト長さをパラメータとして、風量とダクト抵抗との関係を示したグラフである。図3において、ダクト抵抗は、ダクト40内を流れる空気の風量に対して非線形に変化している。したがって、風量はファンの回転数に比例しない。それゆえ、風量目標値を実現する回転数は比例的に計算できない。
(4-2)第2ユニット30の送風特性
第2ユニット30の吹出口における静圧と吸込口における静圧の差を、第2ユニット30の前後差圧という。
図4は、ファンモータ31bの回転数を1[r/m]変更したときの風量変化量を、第2ユニット30の前後差圧を変えて測定した結果を示すグラフである。変更前のファンモータ31bの回転数は100[r/m]である。
図3および図4において、風量を変化させると、ダクト抵抗が変動するので、第2ユニット30の前後差圧が変化する。ファン回転数を1[r/m]変えたときに変化する風量がそのときの状況(前後差圧)によって異なるので、調整が困難である。それゆえ、ダクト抵抗の変化分を考慮してファン回転数を調整しなければ、風量目標値に到達しない可能性がある。
例えば、図5に示すように、風量を10[m/min]から15[m/min]に変更する場合でも、ダクト抵抗が異なれば同じ風量変化量であっても、必要となるファンモータ31bの回転数変更量は異なる。なぜなら、風量変化によってダクト抵抗も変化するからである。したがって、ダクト抵抗の変化を考慮した風量調整機能が必要となる。
また、図1Aのように、給気ダクト41から分岐した給気分岐ダクト42A~42Dそれぞれが第2ユニット30に接続されている場合には、第2ユニット30の前後差圧が、他の第2ユニット30の風量変化の影響を受ける。
また、図6に示すように、他の第2ユニット30の風量が変化して、前後差圧が図6の点線ラインまで増加した場合、ファンモータ31bの回転数を維持しただけでは、風量は10[m/min]から5[m/min]まで低下するので、当初の風量10[m/min]を維持するためには、ファンモータ31bの回転数を増加させなければならない。
一方、前後差圧が図6の2点鎖線ラインまで低下した場合、ファンモータ31bの回転数を維持し続けると、風量は10[m/min]から15[m/min]まで増加するので、当初の風量10[m/min]を維持するためには、ファンモータ31bの回転数を減少させなければならない。
したがって、第2ユニット30は、前後差圧の変化を考慮した風量維持機能も必要となる。
(5)風量制御
上記の通り、第2ユニット30の風量制御には、ダクト抵抗、他の第2ユニット30の風量を考慮した風量維持機能が必要であることは分かった。しかしながら、第1ユニット20および第2ユニット30が据え付けられる物件、または第2ユニット30の据え付け位置によってダクト長さは変わり、そのダクト抵抗もダクト長さ、そのダクト内を流れる空気の風量によって変動する。それゆえ、従来の試運転調整によってファンモータ31bの回転数と風量との関係をデータ化することは困難である。
そこで、出願人は、ダクト抵抗の変化は前後差圧となって現れることに着目し、第2ユニット30の風量、風速または前後差圧の情報を取得して、ファンモータ31bの回転数および風量目標値を加えた変数を用いる関数によって、ファンモータ31bの回転数目標値またはファンモータ31bの回転数変更量を算出することを見出した。
これによって、事前の試験工数が低減され、およびダクト接続時の試運転が不要となる。以下、風量制御ロジックについて説明する。
(5-1)前後差圧△Pの導出
図7は、前後差圧△Pをパラメータとして、風速Vとファンモータ31bの回転数Nとの関係を示すグラフである。図7において、前後差圧△Pが同じ場合、ファンモータ31bの回転数Nは、係数aおよび定数項bを用いて、風速Vの一次式で表すことができる。
N=a×V+b [1]
図7に示す通り、前後差圧一定の場合、少なくとも3点の値を得る試験を実施することにより、[1]式を導き出すことができる。
また、図8は、図7から導き出した前後差圧△Pと係数aおよび定数項bとの関係を示すグラフである。図8において、前後差圧△Pと係数aおよび定数項bとの関係は、以下の式で表すことができる。
a=m×△P+n [2]
b=p×△P+q [3]
上記[1]、[2]および[3]式から、回転数N、風速V、前後差圧△Pの関係は、次式で表される。
N=(m×△P+n)×V+(p×△P+q) [4]
[4]式から、さらに次式が導き出される。
△P=(N-n×V-q)/(m×V+p) [5]
[5]式は、第2ファン31のファンモータ31bが回転数Nで運転したときの風速Vを計測すれば前後差圧△Pを計算することができることを意味している。
したがって、ファンモータ31bの回転数Nと、第2ファン31の風速Vまたは風量Qと、前後差圧△Pとは、それらの内の2つの値から残り1つの値が導き出される関係を有するパラメータである。
(5-2)ダクト抵抗変化を考慮した風量調整機能
上記[5]式とファンの理論式とから、回転数目標値Nyを算出する計算式を導き出すことができる。現在の前後差圧△Px、現在の風量Qx、前後差圧目標値△Pyおよび風量目標値Qyの関係は、ファンの理論式より、
△Py/△Px=(Qy/Qx) [6]
となる。
上記[5]式および[6]式より、
(Ny-n×Vy-q)/(m×Vy+p)=(Qy/Qx)×△Px [7]
となる。また、Vy=(Qy/Qx)×Vxであるので、
Ny=(Qy/Qx)×△Px×{m×(Qy/Qx)×Vx+p}+n×(Qy/Qx)×Vx+q [8]
となる。以下、この[8]式を第1関数とよぶ。
第1関数の技術的意義を、図9を参照しながら説明する。図9は、前後差圧△Pをパラメータとして、風量とファンモータ31bの回転数との関係を示すグラフである。図9において、ダクト抵抗の変化は前後差圧△Pの変化として現れる。
例えば、前後差圧50[Pa]で風量10[m/min]を維持するためのファンモータ31bの回転数は920[r/m]である。仮に、風量に関係なくダクト抵抗が一定であるならば、風量を15[m/min]に変更する場合、単に回転数を1100[r/m]にすればよい。
しかしながら、風量を変化させることによってダクト抵抗が変化する。図9によれば、風量を15[m/min]に変更することによって、ダクト抵抗の変化に起因して前後差圧が109.9[Pa]まで増加する。前後差圧が109.9[Pa]のときに風量15[m/min]を維持するためには、ファンモータ31bの回転数を1348[r/m]に維持する必要がある。
したがって、ダクト抵抗の変化を考慮した風量調整機能が必要であり、第1関数(上記[8]式)の回転数Nyはダクト抵抗の変化を考慮した回転数である。
第2コントローラ52は、第1コントローラ51からの風量指示値である風量目標値Qyが変更されたときは、第1関数を用いて、第2ファン31のファンモータ31bの回転数目標値を計算する。
(5-3)前後差圧の変化を考慮した風量調整機能
ファンモータ31bの回転数が回転数目標値に到達した後も前後差圧△Pが変動しなければ、その回転数が維持されるが、他の第2ユニット30の風量が変化した場合に、前後差圧△Pが変動する。
図10は、風速とファンモータ31bの回転数との関係を示すグラフである。図10において、例えば、前後差圧50[Pa]で風速目標値Vyを維持するために必要なファンモータ31bの回転数は、980[r/m]である。
ここで、前後差圧△Pが図10の点線ラインまで増加した場合、ファンモータ31bの回転数980[r/m]を維持しただけでは、風速Vxまで低下するので風量が不足する。
風量目標値を維持するためには、風速をVxからVyまで戻す必要があり、ファンモータ31bの回転数を200r/m増加させて1180[r/m]にする必要がある。
このファンモータ31bの回転数変更量△Nは、[2]式および[4]式から、
△N=a×(Vy-Vx) [9]
となる。以下、この[9]式を第2関数とよぶ。
第2関数が用いられる場面は、風量目標値Qyに変更がないが、前後差圧△Pの変動でファンモータ31bの回転数の変更が必要なときの回転数変更量を計算するときである。
図11は、風量制御のフローチャートである。以下、図11を参照しながら、風量制御について説明する。
(ステップS1)
先ず、第2コントローラ52は、ステップS1において、第1コントローラ51から風量目標値Qyを受信したか否かを判定する。第2コントローラ52は、風量目標値Qyを受信したときにステップS2へ進む。また、第2コントローラ52は、風量目標値Qyを受信していないときにステップS6へ進む。
(ステップS2)
次に、第2コントローラ52は、ステップS2において、風量目標値Qyを実現する風速目標値Vyを算出する。
(ステップS3)
次に、第2コントローラ52は、ステップS3において、風速目標値VyをステップS2で算出した値に更新する。
(ステップS4)
次に、第2コントローラ52は、ステップS4において、ステップS3で更新された風速目標値Vyを実現するファンモータ31bの回転数目標値Nyを、第1関数を用いて算出する。
(ステップS5)
次に、第2コントローラ52は、ステップS5において、ファンモータ31bの回転数目標値をステップS4で計算された値Nyへ更新する。第2コントローラ52は、回転数目標値をNyへ更新した後、ファンモータ31bの回転数が目標値になるように制御する。
(ステップS6)
次に、第2コントローラ52は、ステップS6において、第2風量検出手段32の検出値を現在の風速Vxとして取得する。
(ステップS7)
次に、第2コントローラ52は、ステップS7において、風速目標値Vyと現在の風速Vxとの差を算出する。
(ステップS8)
次に、第2コントローラ52は、ステップS8において、前後差圧△Pを算出する。
(ステップS9)
次に、第2コントローラ52は、ステップS9において、制御パラメータとしての係数aを算出する。
(ステップS10)
次に、第2コントローラ52は、ステップS10において、ステップS7で算出した風速目標値Vyと現在の風速Vxとの差と、ステップS9で算出した係数aとを第2関数に適用して回転数変更量△Nを算出する。
(ステップS11)
次に、第2コントローラ52は、ステップS11において、ステップS10で算出した回転数変更量△Nに基づき回転数目標値Nyを算出する。
(ステップS12)
次に、第2コントローラ52は、ステップS12において、回転数をステップS11で算出した回転数目標値Nyへ更新する。そして、第2コントローラ52は、ステップS1へ戻る。
上記の通り、第1コントローラ51から風量目標値の指示があるときはステップS1からステップS5までの第1プログラムを実行し、第1コントローラ51から風量目標値の指示がないときはステップS6からステップS12までの第2プログラムを実行する。
第1プログラムは第1関数を用いて回転数目標値を算出するプログラムであり、第2プログラムは第2関数を用いて回転数変更量を算出するプログラムである。
また、第2関数を用いて回転数目標値Nyを算出することもでき、且つ第2コントローラ52は第1プログラムと第2プログラムとを切換可能であるので、第2ユニット30では、新たな風量目標値Qyまたは風速目標値Vyを取得した場合でも、第1関数を用いずに、第2関数で回転数変更量△Nを演算しながら回転数を制御することができる。
(5-4)サージング検知機能
(5-4-1)サージングの発生要因
図12は、第2ファン31のファンモータ31bの回転数Nをパラメータとする、風量Qと前後差圧△Pとの関係を表すグラフである。図12において、横軸が風量Q、縦軸が前後差圧△Pを表している。
図12に示すように、第2ユニット30において、第2ファン31のファンモータ31bの回転数Nを一定に維持した状態で、風量Qが変化すると、前後差圧△Pは上昇から下降に転じる1つの極値を有することがわかる。以後、極値を示す点を極値点という。
この極値点における風量は、第2ユニット30に接続されているダクト40の抵抗に拮抗しているので、そこから風量が下がるとダクト40の抵抗が下がる。そのため、今度は風量が極値点よりも右側に振れ、風量が増える。その結果、ダクト40の抵抗が増加し、空気を押し返す。このように、空気の挙動が繰り返される状態をサージングという。
サージングによって、周期的な圧力変動が起こり、機器に悪影響を及ぼす音、振動を招来する。通常、ファンは、そのような風量およびその風量近傍を避けた使われ方がなされるが、本実施形態に係る空気処理システム10では、第2ユニット30が、第1ユニット20の吐出圧、他の第2ユニット30の風量の増減によって前後差圧が変動するため、図12に示す極値に意図せず到達する可能性がある。
(5-4-2)サージングの判定方法
図13は、図12に表された各回転数における極値点を通る曲線を描いたグラフである。図12において、風量が極値点よりも左側に振れたときにサージングが発生する。したがって、風量と前後差圧との組合せが、図13の縦軸と曲線とで囲まれた領域(以後、サージング発生領域という)の外側にあれば、サージングは発生しない。図13に記載の曲線を式で表すと、
f(Q)=r×Q+s×Q [10]
である。rおよびsは、実験データにより決定することができる。
(5-4-2-1)現在の風量Qxによるサージングの判定
したがって、上記[10]式に現在の風量Qxを代入して算出したf(Qx)は、風量Qxのときにサージングを起こし得る前後差圧に相当する。
仮に、現在の前後差圧△Pxがサージ発生領域にあるならば、△Px-f(Qx)≧0となる。逆に、現在の前後差圧△Pxがサージ発生領域の外側にあるならば、△Px-f(Qx)<0となる。
例えば、第2コントローラ52が、第1コントローラ51から風量目標値Qyの指示信号を受信すると、第2コントローラ52は、[6]式:△Py/△Px=(Qy/Qx) に風量目標値Qy、現在の前後差圧△Pxおよび風量Qxを代入して、前後差圧目標値△Pyを算出する。さらに、上記[10]式に風量目標値Qyを代入してf(Qy)を算出する。
仮に、前後差圧目標値△Pyがサージ発生領域にあるならば、△Py-f(Qy)≧0となる。逆に、前後差圧目標値△Pyがサージ発生領域の外側にあるならば、△Py-f(Qy)<0となる。
したがって、風量目標値Qyがサージングを招来するか否かは、△Py-f(Qy)≧0であるか否かで判断することができる。
(6)第2ユニット30の選定方法
(6-1)従来システムおよび本実施形態の概要
図14は、従来の空気処理システムの構成と本実施形態の構成とを比較した構成比較図である。図14において、上段に従来システムの概略構成を示し、下段に本実施形態の概略構成を示している。
従来システムでは、全熱交換器ユニットのファンの稼働によって送られてくる空気は、ダクトを介して各対象空間A~Dに導かれ、風量が目標値となるように、各対象空間A~Dに対応するダンパの開度が調整される。例えば、対象空間Aに対応するダンパの開度を調節したとき、他の対象空間B,CおよびDに流れる風量が変化するので、各ダンパの開度調整は繰り返し行う必要がある。
一方、本実施形態では、第1ユニット20は全熱交換エレメント12を搭載しているが、ファンを搭載していない。そのため、各対象空間100A~100Dに対応する第2ユニット30A~30Dの第2ファン31が稼働することによって、空気が全熱交換エレメント12を通過する。各対象空間100A~100Dに必要な風量は、各対象空間100A~100Dに対応する第2ユニット30A~30Dによって自動調整される。
(6-2)設計手順における従来システムおよび本実施形態の比較
図15は、空気処理システム10の設計から運用(管理)に至るまでの工程について、従来システムと本実施形態とを比較した表である。図15において、工程は設計、施工、検査および管理の4項目に分けられ、工程項目ごとに作業手順を記載している。
本実施形態の手順(図15の表右欄参照)に沿って説明しながら、必要に応じて、従来システムとの相違点を紹介する。
(設計手順A1b)
ここでは、各対象空間100A~100Dに必要とされる換気量(風量)が算定される。必要換気量(風量目標値)は、対象空間ごとに設定されている最大収容人数に1人当たりの必要換気量を乗じて算出される。
(設計手順A2b)
ここでは、ダクトを介して空気が流通する通風経路が決定される。通風経路は、空調機、照明、火災報知器などの他の機材を考慮しながら検討される。
(設計手順A3b)
ここでは、設備構成部材が選定される。設備構成部材として、ダクトおよびそのサイズ、分岐接手、室内端末および屋外端末が選定される。
(設計手順A4b)
ここでは、通風経路の圧力損失を計算する。本実施形態では、ダクト圧力損失の計算は大まかな計算でよい。それに対し、従来システムでは、複雑な通風経路に対応した細かな計算が必要である。
図16は、ダクト圧力損失計算の対象となる構成部材について、従来システムと本実施形態とを比較した表である。図16において、従来システムでは、圧力損失が全圧力損失の10%にも満たない構成部材もダクト圧力損失の計算対象となる。
それに対して、本実施形態では、圧力損失が全圧力損失の10%にも満たない構成部材はダクト圧力損失の計算対象から除外されている。
第2ユニット30では、風量変動によるダクト抵抗の変動が前後差圧の変化として顕れることを利用して、第2コントローラ52が実測風量と第2ファン31の回転数から前後差圧を算出し、算出された前後差圧において、風量目標値を実現するように第2ファン31の回転数を制御する。
それゆえ、圧力損失が全圧力損失の10%にも満たない構成部材による圧力損失で風量が変動しても、第2ユニット30による第2ファン31の回転数制御によって風量目標値を維持することができる。
したがって、第2ユニット30の運転可能範囲内であれば、据え付け先にて風量の調整が可能となるので、圧力損失の計算は圧力損失全体に対する比率が10%以上の構成部材についてのみ行えばよい。
以後、圧力損失全体に対する比率が10%以上の損失を生じさせる構成部材の総和を「第1圧力損失値」という。
第1圧力損失値は、全ての通風経路について計算する必要はなく、第1ユニット20と各対象空間100A~100Dそれぞれとを連絡する通風経路のうち、圧力損失値が最も大きい通風経路について行えばよい。なぜなら、第2ユニット30の選定において、圧力損失値が最も大きい通風経路に接続される第2ユニット30であるならば、当該通風経路よりも短い通風経路に接続される第2ユニットとして兼用することができるからである。
(設計手順A5b)
ここでは、第2ユニット30の機種が選定される。以下、図17Aおよび図17Bを参照しながら、送風機の選定方法を説明する。
(従来システム)
図17Aは、従来システムにおける風量と前後差圧との関係を示すグラフである。図17Aにおいて、右上がりで描かれた曲線は、風量と通風経路における圧力損失との関係を表している。通風経路を通過する風量が大きくなるほど、ダクト及びその他設備構成部材における抵抗は大きくなり、圧力損失が大きくなる。図17Aの実線の曲線は圧力損失の設計上の値であり、その実線の曲線を挟むように点線で表された2本の曲線は、実際に組み立てられる際に設計値と異なることも見越した、圧力損失のバラツキの上下限を表している。
また、図17Aにおいて、右下がりの一点鎖線で描かれた曲線は、全熱交換器ユニットのファンの前後差圧と風量との関係を表している。その一点鎖線の曲線を挟むように2点鎖線で表された2本の曲線はファン毎の風量のバラツキの上下限を表している。
例えば、風量目標値が500m/hであるとき、従来システムでは、風量が500m/hにおける圧力損失のバラツキと風量のバラツキとが重複する範囲の前後差圧(ダクト静圧に相当)を確保することができるユニットが選定される。
(本実施形態)
図17Bは、本実施形態における風量と前後差圧との関係を示すグラフである。図17Bにおいて、右上がりで描かれた曲線は、風量と通風経路における圧力損失との関係を表している。図17Bの実線の曲線は圧力損失の設計上の値であり、その実線の曲線を挟むように点線で表された2本の曲線は、実際に組み立てられる際に設計値と異なることも見越した、圧力損失のバラツキの上下限を示している。
また、図17Bにおいて、4つの直線および2つの曲線で囲まれた範囲は、第2ユニット30の運転可能範囲Rを表している。
本実施形態では、先ずは、風量目標値Qyが、第2ユニット30が変更可能な風量の範囲である第3範囲R3の中央値またはその近傍となるように第2ユニット30の機種を選定する。それゆえ、従来システムのユニットの機種選定に比べて選定作業が容易である。
(設計手順A6b)
ここでは、第2ユニット30の能力を確認する。具体的には、第2ユニット30に必要な能力が、選定した第2ユニット30の運転可能範囲R内にあるか否かを確認する。
(第2ユニットの運転可能範囲Rの説明)
運転可能範囲Rの第1範囲R1は、風量目標値Qyに対する第1圧力損失値の変動幅を示す。第2範囲R2は、第2ユニット30が変更可能な前後差圧△Pxの範囲である。第1範囲R1は、第2範囲R2の範囲内である。
圧力損失は通風抵抗であり、ダクトの長さとダクト内の風量に依存するため、通風抵抗の変動を測定することは非常に困難であるが、測定容易な前後差圧△Pxの変動で代用することができる。
したがって、風量目標値Qyに対する第1圧力損失値の変動幅を示す第1範囲R1が、第2ユニット30が変更可能な前後差圧△Pxの第2範囲R2内であれば、第2ユニット30の選定方法を誤ることは回避される。
運転可能範囲Rの第3範囲R3は、風量目標値Qyが、第2ユニット30が変更可能な風量の範囲である。第2ユニット30の許容風量範囲は、低位側ではモータの信頼性を考慮して、高位側では第2ファン31への入力との関係で経済的合理性を考慮して設定されている。
第2ユニット30が変更可能な風量範囲を大きく設定しすぎた場合、低位側では信頼性を喪失し、高位側では第2ファン31への入力との関係で経済的合理性を失うことになる。したがって、風量目標値Qyが、第2ユニット30が変更可能な風量の第3範囲内であれば、信頼性と経済的合理性の両立を図ることができる。
また、サージング発生境界R4は、第2ファン31の回転数毎に測定した第2ファン31の風量と前後差圧との関係を示す曲線(図12参照)の極値を通る曲線で表される境界(図13参照)である。第1範囲R1は、サージング発生境界R4と重ならない。それゆえ、サージングの発生を防止することができる。
本実施形態では、例えば、風量目標値Qyが500m/hの場合、風量500m/hは第2ユニット30が変更可能な風量の第3範囲内である。また、風量500m/hにおける第1圧力損失値の変動幅である第1範囲R1は320~440Paであり、第2ユニット30が変更可能な前後差圧△Pxの第2範囲R2(0~580Pa)の範囲内であり、サージング発生境界R4とも重なっていない。以上で、第2ユニット30の能力確認は完了である。
参考として、従来システムでは、P-Q線図による能力確認を行った後、暫定的な風量およびダンパの開度を設定している。
(6-3)施工手順における従来システムおよび本実施形態の比較
(施工手順B1b)
ここでは、第1ユニット20、第2ユニット30およびダクト40の設置を行う。第2ユニット30が複数ある場合は、第2ユニット30毎に風量目標値Qyを入力するだけで、風量の自動制御が可能となる。
これに対して、従来システムの場合は、全熱交換器ユニット、ダンパおよびダクトの設置が完了した後、対象空間毎にダンパ開度の調整が必要である。1つの対象空間に対応するダンパの開度を調整すると、他の対象空間の風量が影響を受けるので、繰り返しダンパ開度の調整が必要となり、作業に手間がかかる。
(6-4)検査手順における従来システムおよび本実施形態の比較
(検査手順C1b)
ここでは、第1ユニット20、第2ユニット30、ダクト40など設備の設置状態を確認する。従来システムでも、設備に差異はあるものの、同様の確認を行う。
(検査手順C2b)
ここでは、設備の性能検査を行う。具体的には、試運転モードでの運転だけで検査は完了する。第2ユニット30は、ダクト抵抗の変動により前後差圧が変化しても、実測風量と第2ファン31の回転数から前後差圧を算出して、算出された前後差圧において、風量目標値Qyを実現するように第2ファン31の回転数を制御する。したがって、作業者による風量調整は不要である。
これに対して、従来システムでは、各対象空間の空気吹出口に風速チャンバを設置して風速を測定し、風量を計算する必要がある。風量が適切でない場合は、ダンパ開度の調整を繰り返す必要があるので、風量調整作業は複雑である。
(6-5)管理手順における従来システムおよび本実施形態の比較
(管理手順D1b)
ここでは、風量の確認を行う。風量測定は、リモコンで実風量を確認する。第2ユニット30には、風速センサである第2風量検出手段32を搭載しているので、作業者はリモコンで実風速を確認することができる。
これに対し、従来システムでは、各対象空間の空気吹出口に風速チャンバを設置して風速を測定し、風量を計算する必要がある。それゆえ、風量が適切でない場合は、ダンパ開度の調整を繰り返す必要があるので、風量調整作業が複雑である。
(7)特徴
(7-1)
第2ユニット30の選定方法では、第1ユニット20から対象空間100A~100Dまでの全圧力損失値の一部である第1圧力損失値に基づいて第2ユニット30を選定すればよい。その後は、第2ユニット30側にて第2コントローラ52が、ダクト40の実際の圧力損失に対応する前後差圧に基づき第2ファン31の回転数を自動制御する。それゆえ、事前の厳密な圧力損失計算を必要としない。
(7-2)
第2ユニット30の選定方法では、第1圧力損失値を算出する際、第1ユニット20から各対象空間100A~100Dまでの構成部材のうち、全圧力損失値に対する比率が所定値未満となる構成部材の圧力損失値を算入しない。第2ユニット30側にて第2コントローラ52が、ダクト40の実際の圧力損失に対応する前後差圧に基づき第2ファン31の回転数を自動制御するので、第2ユニット30の選定の際に細かな圧力損失値まで計算する必要がない。
(7-3)
第2ユニット30の選定方法では、第1圧力損失値が、少なくとも第1ユニット20における圧力損失値を含む。第1ユニットから各対象空間100A~100Dまでの全圧力損失値のうち概ね50%を占める第1ユニット20における圧力損失を見逃さなければ、第2ユニット30の選定方法を誤ることは回避される。
(7-4)
第2ユニット30の選定方法では、第2ユニット30の数量および能力の少なくとも1つを決定する。第2ユニット30は、前後差圧に基づきファンの回転数を自動制御するユニットであるので、対象空間の必要換気量(風量目標値Qy)に基づき、数量および能力の少なくとも1つを決定するだけでよい。
(7-5)
圧力損失は通風抵抗であり、ダクトの長さとダクト内の風量に依存するため、通風抵抗の変動を測定することは非常に困難であるが、測定容易な前後差圧の変動で代用することができる。したがって、第2ユニット30の選定方法では、風量目標値Qyに対する第1圧力損失値の変動幅を示す第1範囲R1が、第2ユニット30が変更可能な前後差圧の第2範囲R2内であれば、第2ユニット30の選定方法を誤ることは回避される。
(7-6)
第2ユニット30が変更可能な風量範囲は、大きく設定しすぎた場合、低位側では信頼性を喪失し、高位側ではファンへの入力との関係で経済的合理性を失うことになる。したがって、第2ユニット30の選定方法では、風量目標値Qyが、第2ユニット30が変更可能な風量の第3範囲R3内であれば、信頼性と経済的合理性の両立を図ることができる。
(7-7)
第2ユニット30の選定方法では、第1範囲R1が、サージング発生境界R4と重ならない。それゆえ、サージングの発生を防止することができる。
(7-8)
第2ユニット30の選定方法では、圧力損失値が最も大きい経路に接続される第2ユニット30であるならば、当該経路よりも短い経路に接続される第2ユニットとして兼用することができる。
(8)第1実施形態の変形例
上記第1実施形態では、排気用の第2ユニット30が複数の還気分岐ダクト47A~47Dそれぞれに設けられる構成であるが、これに限定されるものではない。例えば、変形例として、排気ダクトに1つの排気用の第2ユニット30だけが設けられる構成であってもよい。
<第2実施形態>
上記実施形態の空気処理システムは、第2ユニット30を給気用ファンユニットおよび排気用ファンユニットとして利用することによって、ファンを有しない第1ユニット20の全熱交換エレメント12に空気を流通させることができる換気システムを例に説明した。
ここでは、生成した調和空気を送り出す第1ファン21を有する第1ユニット220と、ダクト40を介して第1ユニット220に接続される第2ユニット30を備えた空気処理システムについても、上記第2ユニット30の選定方法を適用することができる。
以下、具体例を挙げて説明する。
(1)構成
図18は、第2ユニット30が搭載された第2実施形態に係る空気処理システム210の構成図である。図18において、空気処理システム210は、第1ユニット220と、複数の第2ユニット30と、ダクト40と、コントローラ50とを備えている。
(1-1)第1ユニット220
第1ユニット220は、第1ファン21、熱交換器22、第1風量検出手段23、温度センサ24及び水量調整弁25を有している。熱交換器22には、熱源ユニット60から熱媒体として例えば冷水または温水が供給される。熱交換器22に供給される熱媒体は、冷水または温水以外のもの、例えばブラインであってもよい。
第1風量検出手段23には、例えば、風量センサ、風速センサまたは差圧センサを用いることができる。本実施形態では、第1風量検出手段23は、第1ファン21が送風する風量を検出する。第1風量検出手段23は、第1コントローラ51に接続されている。第1風量検出手段23が検出した風量値は、第1風量検出手段23から第1コントローラ51に送信される。第1風量検出手段23が検出した風量は、ダクト40の給気ダクト41を流れる風量であり、複数の第2ユニット30から対象空間100に供給される給気風量の総量でもある。
温度センサ24は、第1ファン21からダクト40に送られる供給空気SAの温度を検出する。温度センサ24は、第1コントローラ51に接続されている。温度センサ24が検出した値は、第1コントローラ51に入力される。
第1ユニット220は、通風路82を介して、対象空間100に繋がっている。通風路82を通って対象空間100から戻ってきた室内空気RAは、第1ファン21により、熱交換器22を通ってダクト40に送り出される。これが供給空気SAとなる。
対象空間100から戻ってきたこの室内空気RAは、対象空間100の中に在った空気である。熱交換器22を通るときに、戻ってきた室内空気RAは、熱交換器22を流れる冷水または温水と熱交換して調和空気になる。
熱交換器22で熱交換をしてダクト40に送り出される供給空気SAに与えられる熱量は、水量調整弁25によって調整される。水量調整弁25の開度は、第1コントローラ51により制御される。水量調整弁25の開度が大きくなれば、熱交換器22に流れる水量が多くなり、熱交換器22と空気との間で単位時間あたりに交換される熱量が多くなる。逆に、水量調整弁25の開度が小さくなれば、熱交換器22に流れる水量が少なくなり、熱交換器22と空気との間の単位時間あたりの熱交換量が少なくなる。
(1-2)第2ユニット30
図18には、複数の第2ユニット30を備える空気処理システム210の代表例として、2つの第2ユニット30を備える空気処理システムが1つの対象空間100に対して配設されている例が示されている。
第2ユニット30の個数は、3以上であってもよく、適宜設定されるものである。第2ユニット30が配設される対象空間100は、2以上であってもよい。
(1-3)ダクト40
ダクト40は、第1ユニット220から第1ファン21により送出される供給空気SAを、複数の第2ユニット30に分配する。ダクト40は、給気ダクト41と、給気ダクト41から分岐した給気分岐ダクト42とを含んでいる。
図18では、給気ダクト41が、第1ユニット220の外に配置されている場合が示されているが、給気ダクト41は、第1ユニット220の中に配置されてもよく、また第1ユニット220の中から第1ユニット220の外まで延びるように配置されてもよい。
給気ダクト41は、第1ユニット220の中に配置されている場合には、第1ユニット220のケーシング26の一部が給気ダクト41として機能する場合も含む。図18では、給気ダクト41の入口41aは、第1ユニット220に接続されている例が示されている。
第1ファン21は、第1ユニット220内に配置されている。ここでは、第1ファン21から吹出される空気は、全てダクト40に流れ込むように構成されている。
ダクト40の給気ダクト41の出口41bは、給気分岐ダクト42の入口42aに接続されている。給気ダクト41から給気分岐ダクト42に分岐させる構成として、分岐チャンバを用いた構成であってもよい。
第2ユニット30のケーシング33は、吸込口33aと吹出口33bとを有し、給気分岐ダクト42の複数の出口42bは、複数の第2ユニット30の吸込口33aに接続されている。
各第2ユニット30と、対象空間100とは、通風路81により繋がっている。通風路81の入口81aが第2ユニット30の吹出口33bに接続されている。各第2ファン31は、第2ユニット30の中で、ダクト40の出口42bから通風路81の入口81aに向う気流を発生させる。したがって、各第2ファン31は、給気分岐ダクト42の出口42bから供給空気SAを吸引している。
(1-4)コントローラ50
図19は、コントローラ50の構成を説明するためのブロック図である。図19において、コントローラ50は、第1コントローラ51と複数の第2コントローラ52とを含んでいる。第1コントローラ51と複数の第2コントローラ52とは互いに接続されている。
対象空間100には、温度センサの機能を有する複数のリモートセンサ70が設置されており、各リモートセンサ70は、対応する第2コントローラ52に、対象空間100の室内空気RAの温度を示すデータを送信する。
(1-4-1)第1コントローラ51
第1コントローラ51は、プロセッサ51aと、メモリ51bとを含む。プロセッサ51aは、メモリ51bに記憶されている第1ファン21の風量制御プログラムを読み取り、第1ファン21、各第2コントローラ52に必要な指令を出力する。
メモリ51bは、第1ファン21の風量制御プログラムの他、第1風量検出手段23および温度センサ24の検出値を随時記憶する。
プロセッサ51aは、メモリ51bに記憶された第1風量検出手段23および温度センサ24の検出値を読み取り、第1ファン21の風量目標値(対象空間100に供給すべき目標風量の総量)を演算する。
上記の記載は、一例であって、上記記載内容に限定されるものではない。
(1-4-2)第2コントローラ52
第2コントローラ52は、プロセッサ52aと、メモリ52bとを含む。プロセッサ52aは、メモリ52bに記憶されている第2ファン31の風量制御プログラムを読み取り、第2ファン31に必要な指令を出力する。
メモリ52bは、第2ファン31の風量制御プログラムの他、第1コントローラ51から出力される風量目標値、第2風量検出手段32の検出値を随時記憶する。
プロセッサ52aは、メモリ52bに記憶された風量目標値および第2風量検出手段32の検出値を読み取り、第2ファン31の回転数目標値を演算する。
上記の記載は、一例であって、上記記載内容に限定されるものではない。
(1-5)動作
各第2ファン31は、モータの回転数を変更することにより各第2ユニット30の吸込口33aと吹出口33bとの空気の圧力差である前後差圧を変更することができる。各第2ファン31は、ダクト40の静圧が一定であるとすると、回転数を大きくすることにより、各第2ユニット30の前後差圧を大きくすることができる。
第2ユニット30の前後差圧が大きくなると、通風路81を流れる供給空気SAの空気量が多くなる。このように流れる空気量が変わることによって、各通風路81の出口81bから対象空間100に吹出される給気風量が変わる。
コントローラ50は、第1コントローラ51と複数の第2コントローラ52とを含んでいる。第1コントローラ51と複数の第2コントローラ52とは互いに接続されている。
第1コントローラ51は、第1ファン21のファンモータ21bの回転数を制御する。第1ファン21の回転数が増加すると、第1ファン21の送風量が多くなる。
1つの第2ユニット30に対して、1つの第2コントローラ52が設けられている。各第2コントローラ52は、対応する第2ファン31の風量を制御する。各第2コントローラ52は、第1コントローラ51から受信する風量目標値を記憶する。
各第2コントローラ52は、風量目標値に対して給気風量が不足していれば第2ファン31の回転数を増加させる。逆に、第2コントローラ52は、風量目標値に対して給気風量が過剰であれば、第2ファン31の回転数を減少させる。
コントローラ50は、複数の第2ファン31により対象空間100に供給される空気の空気量の情報を得る。空気量の情報は、例えば、1秒間当たり、または1分間当たりに対象空間100に供給すべき必要給気風量である。
各第2コントローラ52は、空気量の情報を第1コントローラ51に出力する。第1コントローラ51は、得られた空気量の情報を基に、第1ファン21に要求すべき出力を決定する。
空気処理システム10では、回転数目標値の演算式の変数として「前後差圧」を導入しているので、刻々と変化するダクト抵抗の変化を風量目標値の演算に反映することができ、入力値(回転数)に対する出力値(風量)の応答時間の短縮を図ることができる。
(1-6)第2ユニット30の選定方法
第2実施形態における第2ユニット30の選定には、第1実施形態で説明した第2ユニット30の選定方法が適用される。
また、第1圧力損失値は、全ての通風経路について計算する必要はなく、第1ユニット20と対象空間100とを連絡する2つの経路のうち、圧力損失値が最も大きい通風経路について行えばよい。なぜなら、第2ユニット30の選定において、圧力損失値が最も大きい通風経路に接続される第2ユニット30であるならば、当該通風経路よりも短い通風経路に接続される第2ユニットとして兼用することができるからである。
(2)第2実施形態の変形例
上記第2実施形態では、第1ユニット220が第1ファン21を有しているが、必ずしも第1ユニット220が第1ファン21を必要とするものではない。本開示の第2ユニット30の選定方法は、ファンを有しない第1ユニットにダクトを介して接続される第2ユニットにも適用可能である。
図20は、第2ユニットが搭載された第2実施形態の変形例に係る空気処理システム210の構成図である。図20において、空気処理システム210は、建物の一フロアの天井裏に配置されている。
空気処理システム210と図18の空気処理システムとの相違点は、第1ユニット220が第1ファンを有していないことであり、それ以外の構成は図18の空気処理システムと同じである。それゆえ、図18の空気処理システムと同じ構成には同一符号を付して、説明を省略する。
空気処理システム210では、第1ユニット220がファンを有していないので、第1ユニット220内の空気の流れを、第2ユニット30が発生させる。
したがって、第2ユニット30の前後差圧の変化は主に他の第2ユニット30の第2ファン31の風量変化により生じるが、回転数目標値の演算式の変数として「前後差圧」を導入しているので、刻々と変化するダクト抵抗の変化を風量目標値の演算に反映することができ、入力値(回転数)に対する出力値(風量)の応答時間の短縮を図ることができる。
第2実施形態の変形例における第2ユニット30の選定には、第1実施形態で説明した第2ユニット30の選定方法が適用される。
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
10 空気処理システム
20 第1ユニット(空気処理ユニット)
30 第2ユニット(ファンユニット)
31 第2ファン(ファン)
32 第2風量検知手段(検出部)
33 ケーシング
33a 吸込口
33b 吹出口
40 ダクト
41 主ダクト
42A 第1分岐ダクト
42B 第2分岐ダクト
50 コントローラ(制御部)
51 第1コントローラ(制御部)
52 第2コントローラ(制御部)
100 対象空間
210 空気処理システム
220 第1ユニット(空気処理ユニット)
特開平10-253132号公報

Claims (9)

  1. 空気処理の対象空間(100)と空気処理ユニット(20)との間を連絡するダクト(40)の途中に配置されたファンユニットが、前記空気処理ユニット(20)によって所定の処理が行われた空気を前記対象空間(100)まで搬送する空気処理システムの、
    ファンユニットの選定方法であって、
    第1ステップとして、
    回転数可変のファン(31)と、
    吸込口(33a)および吹出口(33b)を有し、前記ファン(31)を収容するケーシング(33)と、
    前記ファン(31)の風量(Qx)または風量相当値(Vx)を検出する検出部(32)と、
    前記ファン(31)の回転数を制御する制御部(50)と、
    を備え、
    前記制御部(50)が、前記検出部(32)の検出値に基づき前記吸込口(33a)と前記吹出口(33b)との空気の圧力差である前後差圧(△Px)を決定し、前記前後差圧(△Px)に基づき前記ファン(31)の回転数を自動制御する、
    ファンユニット(30)を選定の候補とし、
    第2ステップとして、前記空気処理ユニット(20)から前記対象空間(100)までの全圧力損失値の一部である第1圧力損失値を計算し、
    第3ステップとして、前記風量(Qx)と前記前後差圧(△Px)との関係、前記対象空間へ供給する風量の目標値である風量目標値(Qy)、および前記第1圧力損失値とに基づき、ファンユニット(30)を選定する、
    ファンユニットの選定方法。
  2. 前記第1圧力損失値を算出する際、前記空気処理ユニット(20)から前記対象空間(100)までの構成部材のうち、全圧力損失値に対する比率が所定値未満となる前記構成部材の圧力損失値を算入しない、
    請求項1に記載のファンユニットの選定方法。
  3. 前記第1圧力損失値は、少なくとも空気処理ユニット(20)における圧力損失値を含む、
    請求項1または請求項2に記載のファンユニットの選定方法。
  4. 前記第3ステップにおいて、前記ファンユニット(30)の数量および能力の少なくとも1つを決定する、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のファンユニットの選定方法。
  5. 前記風量目標値(Qy)に対する前記第1圧力損失値の変動幅を示す第1範囲は、前記ファンユニット(30)が変更可能な前記前後差圧(△Px)の第2範囲内である、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のファンユニットの選定方法。
  6. 前記風量目標値(Qy)は、前記ファンユニット(30)が変更可能な風量の第3範囲内である、
    請求項5に記載のファンユニットの選定方法。
  7. 前記第1範囲は、前記ファン(31)の回転数毎に測定した前記ファン(31)の風量と前記前後差圧との関係を示す曲線の極値を通る曲線で表される境界と重ならない、
    請求項5に記載のファンユニットの選定方法。
  8. 前記ダクト(40)は、前記空気処理ユニット(20)から前記対象空間(100)に至る複数の経路を有し、
    前記ファンユニット(30)は複数の前記経路それぞれに接続され、複数の前記ファンユニット(30)は、複数の前記経路のうち圧力損失値が最も大きい経路に接続されるファンユニットで統一される、
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のファンユニットの選定方法。
  9. 前記ダクト(40)は、第1経路と第2経路とを含み、
    前記第1経路は、
    前記空気処理ユニット(20)に接続される主ダクト(41)と、
    前記主ダクト(41)から分岐して前記ファンユニット(30)である第1ファンユニット(30A)に接続される第1分岐ダクト(42A)と、
    を有し、
    前記第2経路は、
    前記空気処理ユニット(20)に接続される主ダクト(41)と、
    前記主ダクト(41)から分岐して前記ファンユニット(30)である第2ファンユニット(30B)に接続される第2分岐ダクト(42B)と、
    を有し、
    前記第1分岐ダクト(42A)における圧力損失値が、前記第2分岐ダクト(42B)における圧力損失値よりも大きい場合、前記第2ファンユニット(30B)は前記第1ファンユニット(30A)で統一される、
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のファンユニットの選定方法。
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