JP2022101865A - 抗菌シート及びその使用方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】弁当箱等の密閉可能な食品用容器の内部全体に抗菌成分を効率よく拡散させることが可能な抗菌シート及びその使用方法を提供する。【解決手段】抗菌シートは、AITC等の抗菌成分を含む抗菌層と、抗菌成分を徐放させることが可能な第1の表面層と、抗菌成分を徐放させることが可能な第2の表面層とを備え、第1の表面層からの抗菌成分の単位時間当たりの放出量が、第2の表面層からの抗菌成分の単位時間当たりの放出量よりも多くなっている。容器本体に食品が収容され蓋体で密閉される食品用容器において、抗菌シートを第1の表面層が蓋体に面し、第2の表面層が食品に面するように配置する。抗菌シートから離れた領域の食品にも確実に抗菌作用を及ぼすことができるから、抗菌シートを食品の表面全体に接触させなくても、食品全体に抗菌作用を及ぼして衛生状態を保つことが可能である。【選択図】 図2

Description

この発明は抗菌シート及びその使用方法に関し、特に、弁当箱のように密閉可能な食品用容器内で食品の腐敗防止のために用いる抗菌シート及びその使用方法に関するものである。
近年、栄養面や経済性の観点から学校や職場に弁当を持参する人が増えている。弁当を朝準備して昼食時に喫食する場合、食品は、朝に弁当箱のような密閉可能な食品用容器に収容されてから昼食時までに数時間放置されることになる。このため特に夏場のように温度や湿度が高い環境に置かれると、喫食時までに細菌やカビ等が繁殖して食品が傷むおそれのあることは十分考えられる。
このような事情から、従来、容器に常温で保存される食品の衛生面を考慮した技術が提案されている。例えば特許文献1には、抗菌性を有する揮散性薬剤と混練用樹脂との混練物層の一方の面に、ガス非透過性層を設けると共に、他方の面に揮散ガスを制限的に透過させるガス透過規制層を設けた抗菌シートが記載されている。特許文献1の実施例では、抗菌性を有する揮散性薬剤としてカラシの成分であるアリルイソチオシアネートが使用され、ガス非透過性層には二軸延伸ポリエステルフィルムが使用され、ガス透過規制層には二軸延伸ポリプロピレンフィルムが使用されている。この抗菌シートを使用する際には、ガス透過規制層(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)が面するように食品の上に載置することで、食品に接する面のみから抗菌性のガスが徐放するように制御され、これによって食品の傷みを抑制することができるとされている。
特開2003-171208号公報
特許文献1の抗菌シートは、食品と接する部分やその近傍部分に抗菌作用を及ぼすことはできるが、抗菌シートから離れた部分では抗菌成分が十分に行き届かず抗菌性能が劣ってしまう。又、弁当箱のサイズは様々であり、いずれのサイズにも対応可能な汎用性を持たせるには、抗菌シートの寸法をあまり大きくすることができない。このため、特に容積の大きい弁当箱に使用したときに上述の問題が生じ易い。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、弁当箱等の密閉可能な食品用容器の内部全体に抗菌成分を効率よく拡散させることが可能な抗菌シート及びその使用方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための、請求項1記載の発明は、揮発性の抗菌成分を含む抗菌層と、抗菌層の一方の面に設けられ抗菌成分を徐放させることが可能な第1の表面層と、抗菌層の他方の面に設けられ抗菌成分を徐放させることが可能な第2の表面層とを備え、第1の表面層からの抗菌成分の単位時間当たりの放出量が第2の表面層からの抗菌成分の単位時間当たりの放出量よりも多い抗菌シートである。
このように構成すると、抗菌成分は、第1の表面層及び第2の表面層の両方から徐放される。第1の表面層からは、第2の表面層よりも多い放出量で抗菌成分が放出される。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第1の表面層及び第2の表面層が二軸延伸ポリプロピレンで形成され、第1の表面層の厚みが第2の表面層の厚みよりも薄いものである。
このように構成すると、第1の表面層及び第2の表面層がいずれも二軸延伸ポリプロピレンで形成されるので、両方の層から抗菌成分を徐放させることができる。第1の表面層は第2の表面層よりも厚みが薄いので、抗菌成分の単位時間当たりの放出量が第2の表面層よりも多くなる。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、抗菌層は抗菌成分としてアリルイソチオシアネートを200~1000mg/m含有し、第1の表面層の厚みが10μm~30μmであり、第2の表面層の厚みが20μm~60μmであり、第1の表面層と第2の表面層との厚みの比率が1/6~6/7であるものである。
このように構成すると、アリルイソチオシアネートを抗菌成分として200~1000mg/m含有するから、抗菌効果を確実に発揮すると共に、食品の風味を損なうおそれがない。第1の表面層と第2の表面層との厚みの比率が所定の範囲となるので、抗菌成分の単位時間当たりの放出量が第2の表面層よりも多くなる。第1の表面層及び第2の表面層の合計厚みが約30~90μmの範囲の抗菌シートとなる。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、第1の表面層の厚みが15μm~25μmであり、第2の表面層の厚みが30μm~50μmであり、第1の表面層と第2の表面層との厚みの比率が1/3~2/3であるものである。
このように構成すると、第1の表面層と第2の表面層との厚みの比率が所定の範囲となるので、抗菌成分の単位時間当たりの放出量が第2の表面層よりも多くなる。第1の表面層及び第2の表面層の合計厚みが約45~75μmの範囲の抗菌シートとなる。
請求項5記載の発明は、請求項1~4のいずれかに記載の抗菌シートの使用方法であって、容器本体と蓋体とを有し、容器本体に食品が収容され、蓋体によって密閉される食品用容器において、抗菌シートを、第1の表面層が蓋体に面し、第2の表面層が食品に面するように食品用容器内に配置するものである。
このように構成すると、第1の表面層から放出される抗菌成分は、食品の表面と蓋体との間の空間を通って拡散する。第2の表面層から放出される抗菌成分は、抗菌シートの近傍の食品へ直接的に放出される。
請求項6記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の抗菌シートの使用方法であって、容器本体と蓋体とを有し、容器本体に食品が収容され、蓋体によって密閉される食品用容器において、抗菌シートを、第1の表面層が蓋体に面し、第2の表面層が食品に面するように食品用容器内に配置し、食品用容器の単位容量当たりの、第1の表面層の表面積と第2の表面層の表面積との和である抗菌成分放出面積の値を、6~24mm/mLの範囲に設定するものである。
このように構成すると、第1の表面層から放出される抗菌成分は、食品の表面と蓋体との間の空間を通って拡散する。第2の表面層から放出される抗菌成分は、抗菌シートの近傍の食品へ直接的に到達する。好適な抗菌効果を発揮すると共に、食品の風味を損なうおそれがない。食品用容器の単位容量当たりの抗菌成分放出面積が6mm/mL未満であると、好適な抗菌効果が得られなくおそれがある。抗菌成分放出面積が24mm/mLを超えると、抗菌成分の放出量が過剰になり、食品に移行して風味を損なうおそれがある。
請求項1記載の発明は、第1の表面層からの抗菌成分の放出量が多いので、第1の表面層から放出される抗菌成分により抗菌作用が及ぶ範囲を、第2の表面層から放出される抗菌成分により抗菌作用が及ぶ範囲よりも広くすることができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、第1の表面層及び第2の表面層を同一材質としたから、これらの層厚みを制御することによって、抗菌成分の放出量を制御することが可能となる。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、必要な強度を備え、取り扱いが容易で安全性の高い抗菌シートを提供できる。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、取り扱いがより容易な抗菌シートを提供できる。
請求項5記載の発明は、抗菌シートに近い範囲の食品に対しては、第2の表面層から放出される抗菌成分によって直接的に抗菌作用が及ぼされる。抗菌シートから離れた領域の食品に対しては、第1の表面層から放出され拡散する抗菌成分によって抗菌作用が及ぼされる。第1の表面層から放出される抗菌成分の単位時間当たり放出量を適度に大きく設定することにより、抗菌シートから離れた領域の食品にも確実に抗菌作用を及ぼすことができる。これにより、抗菌シートを食品の表面全体に接触させなくても、食品全体に抗菌作用を及ぼして衛生状態を保つことが可能である。その結果、抗菌シートは、大きなサイズにする必要が無いので、異なる内容積の食品用容器に対し高い汎用性を発揮する。
請求項6記載の発明は、抗菌シートに近い範囲の食品に対しては、第2の表面層から放出される抗菌成分によって直接的に抗菌作用が及ぼされる。抗菌シートから離れた領域の食品に対しては、第1の表面層から放出され拡散する抗菌成分によって抗菌作用が及ぼされる。第1の表面層から放出される抗菌成分の単位時間当たり放出量を適度に大きく設定することにより、抗菌シートから離れた領域の食品にも確実に抗菌作用を及ぼすことができる。これにより、抗菌シートを食品の表面全体に接触させなくても、食品全体に抗菌作用を及ぼして衛生状態を保つことが可能である。その結果、抗菌シートは、大きなサイズにする必要が無いので、異なる内容積の食品用容器に対し高い汎用性を発揮する。食品用容器の単位容量当たりの抗菌成分放出面積を6~24mm/mLの範囲に設定するので、抗菌成分により食品の風味が損なわれるのを回避しつつ、確実な抗菌効果を得ることができる。
本発明の実施の形態による抗菌シートを示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図である。 図1の抗菌シートの一部を拡大した断面図である。 本発明の実施の形態による抗菌シートの使用方法を説明する図であって、(A)は容器本体に食品を収容した食品用容器(弁当箱)に抗菌シートを配置する容量を示す断面図、(B)は抗菌シートが密閉した食品容器内で抗菌作用を及ぼす状況を示す断面図である。
図1は、本発明の実施の形態による抗菌シートを示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図であり、図2は、図1の抗菌シートの一部を拡大した断面図であり、図3は、本発明の実施の形態による抗菌シートの使用方法を説明する図であって、(A)は容器本体に食品を収容した食品用容器(弁当箱)に抗菌シートを配置する容量を示す断面図、(B)は抗菌シートが密閉した食品容器内で抗菌作用を及ぼす状況を示す断面図である。
本発明の抗菌シート10は、弁当箱等の密閉可能な食品用容器1に収容した食品5全体に抗菌作用を及ぼして、細菌やカビの繁殖を抑制するために用いられるものである。
本例の抗菌シート10は、抗菌成分を含む抗菌層20と、抗菌層20の一方の面に設けられた第1の表面層11と、抗菌層20の他方の面に設けられた第2の表面層12とを備える3層構造を有する。
抗菌層20は、揮発性の抗菌成分を含む層である。抗菌成分としては、アリルイソチオシアネート(以下「AITC」と表示する)等のイソチオシアン酸エステル類、ユーカリ油、メントール、ローズマリー、ヒノキチオール等が使用できる。特にAITCは、ワサビやからしの成分として知られており、人体に対する毒性は低いと考えらえているので、食品用の抗菌成分として好適である。
抗菌層20は、上記の抗菌成分を混錬した樹脂材料で形成される。混練用の樹脂材料には、抗菌成分と混練可能で、抗菌成分から揮発するガスに対し透過性を有するものがよい。このような樹脂材料として、ロジン、ロジンエステル、又はこれらの変性物、ウレタン樹脂を使用できる。特に、ロジン、ロジンエステル、又はこれらの変性物を用いると、混練物の粘度を低下させることが可能となり、比較的低温で混練できるため、薬剤ロスの低減やコーティングの容易化等の利点が得られる。
抗菌成分としてAITCを使用する場合、その抗菌層20における好適な含有量は、抗菌シート1m当たり30~6000mgの範囲に設定するのが好ましく、200~1000mgの範囲に設定するのがより好ましい。AITCの含有量が30mg/mより少ないと抗菌効果が不十分となる可能性が有る。反対に6000mg/mを超えると、AITCが食品の風味を損なうおそれがある。
抗菌層を形成する樹脂材料には、必要に応じて、抗菌成分の安定性を向上させるための酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)やビタミンC(L-アスコルビン酸)等を使用できる。
第1の表面層11及び第2の表面層12は、いずれも抗菌層20から抗菌成分を徐放させることが可能な性質を有する材料が用いられる。このような材料としては、ポリエチレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下「OPP」と略称する)等があげられる。
上記のような構成の抗菌シート10を製造する手法としては、第1の表面層11(又は第2の表面層12)の片面に、抗菌成分を混錬した樹脂材料をコーティングして抗菌層20を形成し、この抗菌層20の上に第2の表面層12(又は第1の表面層11)を積層したのち、抗菌層20の樹脂成分を硬化させることで全体を一体化させる方法が挙げられる。尚、必要に応じて、印刷層を、第1の表面層11若しくは第2の表面層12と抗菌層20との間、又は第1の表面層11若しくは第2の表面層自体に設けて、文字、図形等の意匠を表示するようにしてもよい。又、抗菌シート10の表面に、粘着剤層や剥離フィルムを設けてもよい。
本例の抗菌シート10は、第1の表面層11からの抗菌成分の単位時間当たりの放出量が、第2の表面層12からの抗菌成分の単位時間当たりの放出量よりも多くなるように構成されている点に特色を有している。このように構成するには、第1の表面層11及び第2の表面層12を異なる材質とするか、あるいは同一の材質で形成する場合は厚みを異ならせることが考えられる。即ち、層厚みを薄くすることにより、抗菌成分の放出量を高めることができる。例えば第1の表面層11及び第2の表面層12をどちらもOPPで形成する場合、第1の表面層11の厚みd1を10μm~30μm、第2の表面層12の厚みd2を20μm~60μmとすると共に、第1の表面層11の厚みd1と第2の表面層の厚みd2との比率d1/d2を1/6~6/7の範囲に設定することが好ましい。より好ましくは、第1の表面層11の厚みd1が15μm~25μm、第2の表面層12の厚みd2が30μm~50μmであり、第1の表面層11と第2の表面層12との厚みの比率d1/d2を1/3~2/3の範囲に設定する。尚、抗菌層20の厚さd3の好ましい範囲は5~30μmであり、より好ましい範囲は10~15μmである。
このように、第1の表面層及び第2の表面層を同一材質で形成する場合、これらの層厚みの比率を調整することによって、抗菌成分の放出量を制御することが可能となる。又、各層の厚みを上記のように設定した場合は、取り扱いやすく且つ必要な強度も備える抗菌シート製品を提供することができる。
次に、図3を参照して、上記抗菌シート10の使用方法について説明する。同図に示すように、蓋体2と容器本体3とを有し、容器本体3に食品5が収容され、蓋体2によって密閉される食品用容器1を想定する。ここで食品用容器1としては、一般的な弁当箱のような、深さと比較して幅寸法が大きい形態のものが推奨される。このような食品用容器1に対し、図3の(A)の通り、抗菌シート10を、第1の表面層11が蓋体2に面し、第2の表面層12が食品5に面するように、食品5の上に載せる。そして、図3の(B)の通り、抗菌シート10を食品5上に載置した状態で蓋体2を閉め、食品用容器1を密閉する。
この状態で放置すると、抗菌層の抗菌成分が、第1の表面層11及び第2の表面層12の両方から放出される。第1の表面層11から放出される抗菌成分は、蓋体2と食品5の表面との間の空間を通って拡散する。第2の表面層12から放出される抗菌成分は、抗菌シート10の近傍の食品5へ直接的に到達する。本例では、第1の表面層11から放出される抗菌成分の単位時間当たり放出量を、第2の表面層12の単位時間当たり放出量に比べて大きくなるように設定したから、第1の表面層11から放出される抗菌成分の到達範囲が広くなり、抗菌シート10から離れた領域の食品5にも確実に抗菌作用を及ぼすことができる。一方、抗菌シート10に近い範囲の食品5に対しては、第2の表面層12から放出される抗菌成分によって直接的に抗菌作用を及ぼすことができるから、第1の表面層11よりも抗菌成分の単位時間当たり放出量が少なくても確実に抗菌作用を及ぼすことができる。このような作用により、本例の抗菌シートは、表面積が小さくても食品全体に抗菌作用を及ぼせるから、細菌やカビの繁殖を抑止して衛生状態を良好に保つことが可能である。そして、その結果、表面積の小さい抗菌シートで大きい内容量の食品用容器に対応できるので、高い汎用性を得ることができる。
ところで、本例の抗菌シート10は、第1の表面層及び第2の表面層の両方から抗菌成分を徐放させるので、比較的小さい寸法でも優れた抗菌効果を発揮するが、抗菌シートの食品用容器内での抗菌効果を効率的に発揮させるには、抗菌シートにおける抗菌成分放出面積と食品用容器の容量との関係を特定の範囲に設定するのがよい。具体的には、抗菌シートの抗菌成分放出面積を、第1の表面層の表面積と第2の表面層の表面積との和として定義すると、食品用容器の単位容量当たりの抗菌成分放出面積の値(抗菌成分放出面積mm/食品用容器容量mL)を、6~24mm/mLの範囲、特に好ましくは10~15mm/mLの範囲とする。上記の値が6mm/mL未満であると好適な抗菌効果が得られなくおそれがある。反対に24mm/mLを超えると抗菌成分の放出量が過剰になり食品の風味を損なうおそれがある。食品用容器の単位容量当たりの抗菌成分放出面積の値を上記の範囲に設定することにより、抗菌シートを、食品用容器に収容した食品の表面全体を覆うサイズとしなくても、食品全体に対し抗菌効果を及ぼすことができ、且つ、食品の風味を損なうおそれも無い。
尚、抗菌シートは未使用時に解放空間中に放置すると、抗菌成分が時間経過に従って空中へ放出されてしまい、使用時には抗菌機能が発揮されなくなるおそれがある。そこで未使用時は、抗菌シートを、例えばアルミ箔と樹脂フィルムとを積層しファスナーやチャック等により開閉可能に密封できるアルミパウチ袋などに収納して、抗菌成分の放出を防ぐように保管するのが望ましい。このように収納すれば、使用時には抗菌シートを簡単に取り出せて、弁当箱等に即座に使用することが可能である。
<抗菌シートの作製>
先ず、抗菌層形成用の樹脂材料として、ロジンエステル系樹脂に、抗菌成分としてAITCと微量の酸化防止剤とを混錬したものを準備した。AITCの含有量は、樹脂材料に対し530mg/mとなるように調整した。次に、厚み20μmのOPPフィルム(第1の表面層)の片面に、この樹脂材料を厚み12μmとなるようにコーティングして抗菌層を形成した。次いで、この抗菌層の表面に、厚み40μmのOPPフィルム(第2の表面層)を積層することにより、中間に抗菌層がラミネートされた抗菌シート原反を作製した。この抗菌シート原反を、45mm×60mm、又は、90mm×60mmのシートサイズとなるように裁断して、目的とする抗菌シートを得た。大きさ45mm×60mmに裁断した抗菌シートを実施例1とし、大きさ90mm×60mmに裁断した抗菌シートを実施例2とする。実施例1の抗菌シートの抗菌成分放出面積は5400mmとなり、実施例2の抗菌シートの抗菌成分放出面積は10800mmとなる。
<抗菌性試験>
(供試体の作製)
実施例1、2の外に、実施例1及び実施例2と抗菌層は同じものを使用し、第1の表面層及び第2の表面層を形成するOPPフィルムの厚みを表1のように変更したものを用いて、実施例1、2と同様の手順で抗菌シート原反を作製し、それらを大きさ45mm×60mmに裁断したものをそれぞれ実施例3~5、及び、参考例1、2の抗菌シートとした。次に、第1の表面層に、OPPフィルムに代えて、厚み25μmのPETフィルムを用い、それ以外は実施例1と同様の方法にて抗菌シート原反を作製し、この抗菌シート原反を大きさ45mm×60mmに裁断したものを、比較例1の抗菌シートとした。
Figure 2022101865000002

(大腸菌培養試験)
培養した大腸菌を採取し滅菌水で懸濁する。この大腸菌懸濁液を、シャーレに充填したXM-G寒天培地(日水製薬株式会社製)に等量塗布したものを複数個準備した。他方、食品用容器として、密閉可能な蓋体と容器本体とを備える容量450mLの弁当箱、及び容量950mLの弁当箱をそれぞれ複数個用意した。
実施例1、実施例3~5、参考例1、2、及び、比較例1の抗菌シートについては、それぞれ容量450mLの弁当箱の蓋体の裏面に取り付けたものを準備した。一方、実施例2の抗菌シートについては、容量900mLの弁当箱の蓋体の裏面に取り付けたものを準備した。抗菌シートの蓋体への取付方法は、いずれも第1の表面層が蓋体側に面するように配置し、第1の表面層の短辺両端に貼り付けた幅5mmの両面テープによって、抗菌シートを蓋体の裏面に取り付けた。又、ブランクとして、蓋体に抗菌シートを取り付けない容量450mL及び900mLの弁当箱をそれぞれ準備した(比較例2、3)。表2に、実施例1~5、比較例1、及び、参考例1、2の各抗菌シートにおける、弁当箱の単位容量あたりの抗菌成分放出面積を示す。
Figure 2022101865000003

(試験方法)
上記の寒天培地に大腸菌の懸濁液を塗布したシャーレを、上述のように準備した各弁当箱の容器本体に収納したのち、それらを蓋体で密閉し、37℃で9時間保持後及び18時間保持後における大腸菌の発生状況を目視にて確認した。XM-G寒天培地は、大腸菌専用培地であり、大腸菌が生育してコロニーが形成されると青色(青~青紫)を呈するものである。従って、目視にてコロニー数及び繁殖状態を確認することにより、抗菌性の評価を行うことが可能である。評価結果を表3に示す。
Figure 2022101865000004

表3に示す試験結果から、本発明の実施例1~5の抗菌シートは、良好な抗菌効果を発揮することが確認できた。比較例1及び参考例1、2も抗菌効果を発揮するが、本発明の実施例と比較すると、長時間経過後ではコロニーの発生状況から、抗菌作用の持続性に差異を有することが分かる。即ち、比較例1の結果から、第1の表面層が抗菌成分の放出機能を持たない場合、抗菌性能が低下することが分かる。参考例1、2との比較から、第1の表面層と第2の表面層との層厚みの比率が所定範囲を逸脱すると、抗菌性能が低下することが分かる。
尚、上記の実施の形態では、抗菌シートの形態を、平面視して長方形状としたが、正方形、円形、楕円形等の任意の形状としてもよい。
第1の表面層及び第2の表面層の一方又は両方に、OPP以外の、例えば無延伸ポリプロピレンフィルム等の抗菌成分に対し徐放性を備える材質のものを使用してもよい。
抗菌層は、抗菌成分を含有させた樹脂材料を用いる以外に、第1の表面層及び第2の表面層のいずれか一方に抗菌剤を直接コーティングして形成してもよい。
使用対象となる食品用容器としては、弁当箱に限定されず、重箱や、食品販売用の蓋付プラスチック容器、食品を収容し蓋体で密閉する構造の容器であれば使用可能である。
抗菌シートの使用方法としては、容器に収容した食品の表面に載置する以外に、蓋体の裏面に貼り付ける方法でもよい。この場合、第1の表面層の表面に予め両面テープを設けておくとよい。
大きい容量の食品用容器に対しては、大きいサイズの抗菌シートを使用してもよいが、小さいサイズの抗菌シートを複数枚使用してもよい。
1…食品用容器
2…蓋体
3…容器本体
5…食品
10…抗菌シート
11…第1の表面層
12…第2の表面層
20…抗菌層
d1…第1の表面層の厚み
d2…第2の表面層の厚み
d3…抗菌層の厚み
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (6)

  1. 揮発性の抗菌成分を含む抗菌層と、
    前記抗菌層の一方の面に設けられ、前記抗菌成分を徐放させることが可能な第1の表面層と、
    前記抗菌層の他方の面に設けられ、前記抗菌成分を徐放させることが可能な第2の表面層とを備え、
    前記第1の表面層からの前記抗菌成分の単位時間当たりの放出量が、前記第2の表面層からの前記抗菌成分の単位時間当たりの放出量よりも多い、
    抗菌シート。
  2. 前記第1の表面層及び前記第2の表面層が二軸延伸ポリプロピレンで形成され、
    前記第1の表面層の厚みが、前記第2の表面層の厚みよりも薄い、
    請求項1記載の抗菌シート。
  3. 前記抗菌層は、抗菌成分としてアリルイソチオシアネートを200~1000mg/m含有し、
    前記第1の表面層の厚みが10μm~30μmであり、
    前記第2の表面層の厚みが20μm~60μmであり、
    前記第1の表面層と前記第2の表面層との厚みの比率が、1/6~6/7である、
    請求項2記載の抗菌シート。
  4. 前記第1の表面層の厚みが15μm~25μmであり、
    前記第2の表面層の厚みが30μm~50μmであり、
    前記第1の表面層と前記第2の表面層との厚みの比率が、1/3~2/3である、
    請求項3記載の抗菌シート。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の抗菌シートの使用方法であって、
    容器本体と蓋体とを有し、前記容器本体に食品が収容され、前記蓋体によって密閉される食品用容器において、
    前記抗菌シートを、前記第1の表面層が前記蓋体に面し、前記第2の表面層が前記食品に面するように前記食品用容器内に配置する、
    抗菌シートの使用方法。
  6. 請求項3又は請求項4に記載の抗菌シートの使用方法であって、
    容器本体と蓋体とを有し、前記容器本体に食品が収容され、前記蓋体によって密閉される食品用容器において、
    前記抗菌シートを、前記第1の表面層が前記蓋体に面し、前記第2の表面層が前記食品に面するように前記食品用容器内に配置し、
    前記食品用容器の単位容量当たりの、前記第1の表面層の表面積と前記第2の表面層の表面積との和である抗菌成分放出面積の値を、6~24mm/mLの範囲に設定する、
    抗菌シートの使用方法。
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