JP2022100735A - 搬送ロボット - Google Patents
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Abstract
【課題】各アームの外部にパーティクルが放出されるのを防止し、短時間で搬送室を真空状態から大気圧状態にすることが可能な搬送ロボットを提供する。【解決手段】搬送ロボットB1は、固定ベース1と、昇降ベース2と、昇降ベース2に対し軸線O1周りに回動可能に支持された中空状のアーム3と、軸部44がアーム3に対し軸線O2周りに回動可能に支持された中空状のアーム4と、軸部51がアーム4に対して軸線O3周りに回動可能に支持されたハンド5と、軸部44,51を回動させる駆動機構6と、アーム3と軸部44との間およびアーム4と軸部51との間に配置された防塵シール36,46と、アーム3,4の内部と外部とを通気可能な防塵フィルタ312,412と、アーム3,4に設けられ、内部が外部よりも低圧であり、かつ内部と外部との圧力差が所定値以上のときに開き、それ以外のときに閉じる圧力作動弁7,8と、を備える。【選択図】図2
Description
本発明は、搬送ロボットに関し、より詳細には、半導体製造等においてウエハ等の薄板状のワークを真空環境下で搬送するための搬送ロボットに関する。
半導体製造等の分野において、ウエハ等のワークを搬送する際にワーク搬送用の搬送ロボットが用いられている。ワーク搬送装置は、たとえば、ウエハが収容されたロードポートと、プロセスチャンバとの間でワークの搬送を行うのに用いられる。
このような薄板状のワークを搬送するための搬送ロボットとしては、たとえば下記の特許文献1に開示されたものがある。この搬送ロボットは、固定ベースと、固定ベースに支持されて昇降する昇降ベースと、昇降ベースに対してそれぞれが所定の軸線周りに回動可能に支持された第1アーム、第2アームおよびハンドと、第1アーム、第2アームおよびハンドを回動駆動させる駆動機構と、を備える。搬送ロボットは、たとえばトランスファチャンバなどの搬送室に配置されており、真空環境下でワークの搬送を行う。
第1アームおよび第2アームは中空状とされており、これら第1アームや第2アームの内部には、ベルトなどを用いた駆動部が配置されている。このため、アームの内部においては、上記駆動部の摩耗により塵(パーティクル)が発生する。このアーム内部のパーティクルが外部(搬送室)に放出されるのを防ぐため、アームの回動部には、たとえば磁性流体シールなどの防塵用シールが設けられる。また、搬送室内(アームの外部)が真空状態にあるとき、アームの内部と外部との圧力差によって防塵用シールが破損しないように、たとえばアームに通気口を設けるとともに当該通気口を塞ぐ防塵フィルタが設けられる。これにより、アームの内外間を通気可能としアームの内部と外部との圧力差を無くしつつ、このアーム内部のパーティクルが外部に放出されるのを防止することができる。
上記構成の搬送ロボットが配置された搬送室を真空状態から大気圧状態に解放する際、防塵フィルタを介した通気によりアームの内部も真空状態から大気圧状態になる。その一方、防塵シールは通気量が比較的少量であるので、たとえば短時間で一気に搬送室を真空状態から大気圧状態に解放すると、アームの内部と外部との間で一時的に圧力差が増大する。そして、アームの内部と外部と圧力差が防塵用シールの耐圧性能を超えると、当該防塵シールの防塵性が損なわれるという不具合が生じ得た。
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、各アームの外部にパーティクルが放出されるのを防止し、短時間で搬送室を真空状態から大気圧状態にすることが可能な搬送ロボットを提供することを主たる課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
本発明の第1の側面によって提供される搬送ロボットは、取り付けベースと、一端が前記取り付けベースに対して第1垂直軸線の周りに回動可能に支持された中空状の第1アームと、一端に配置された第1軸部を有し、当該第1軸部が前記第1アームの他端に対して第2垂直軸線の周りに回動可能に支持された中空状の第2アームと、第2軸部を有し、当該第2軸部が前記第2アームの他端に対して第3垂直軸線の周りに回動可能に支持されたハンドと、前記第1軸部および前記第2軸部を回動駆動させる駆動機構と、前記第1アームと前記第1軸部との間、および前記第2アームと前記第2軸部との間の各々に配置された防塵シールと、前記第1アームおよび前記第2アームの各々に設けられ、当該アームの内部空間と外部とを通気可能な防塵フィルタと、前記第1アームおよび前記第2アームに設けられ、前記内部空間が外部よりも低圧であり、かつ前記内部空間と外部との圧力差が所定値以上のときに前記内部空間と外部とが連通するように開き、それ以外のときに閉じる第1圧力作動弁および第2圧力作動弁と、を備える。
好ましい実施の形態においては、前記第1アームおよび前記第2アームには、前記第1圧力作動弁および前記第2圧力作動弁それぞれに対応する第1開口および第2開口が形成されており、前記第1圧力作動弁および前記第2圧力作動弁は、閉じた状態において前記第1開口および前記第2開口を塞ぎ、開いた状態において前記第1アームおよび前記第2アームの内側に変位する第1弁体および第2弁体を有する。
好ましい実施の形態においては、前記第1アームおよび第2アームは、それぞれ、上下方向において対向する上部壁および下部壁と、前記上部壁および下部壁の双方につながる側部壁と、を含み、前記第1開口および前記第2開口は、前記下部壁に形成されている。
好ましい実施の形態においては、前記駆動機構は、前記第1アームの内部に配置され、前記第1軸部を回動させる第1無端ベルトと、前記第2アームの内部に配置され、前記第2軸部を回動させる第2無端ベルトと、を含み、前記第1弁体および前記第2弁体は、平面視において前記第1無端ベルトおよび前記第2無端ベルトの内側に配置されている。
本発明の第2の側面によって提供されるワーク搬送システムは、本発明の第1の側面に係る搬送ロボットと、前記搬送ロボットが配置される搬送室と、当該搬送室に隣接して設けられ、ワークに所定の処理を施す処理室と、前記搬送室を大気圧状態と真空状態とに切り替える切替手段と、を備える。
本発明に係る搬送ロボットにおいて、中空状の第1アームと第1軸部との間、および中空状の第2アームと第2軸部との間には、防塵シールが配置されている。また、第1アームおよび第2アームには、当該アームの内部空間と外部とを通気可能な防塵フィルタが設けられている。第1アームおよび第2アームには、第1圧力作動弁および第2圧力作動弁が設けられている。第1圧力作動弁および第2圧力作動弁は、各アームの内部空間が外部よりも低圧であり、かつ当該内部空間と外部との圧力差が所定値以上のときに、当該アームの内部空間と外部とが連通するように開く。このような構成によれば、搬送ロボットが配置される搬送室が真空状態から大気圧状態に短時間で一気に解放しても、防塵シールの防塵性が損なわれるのを防止することができる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
以下、本発明の好ましい実施形態につき、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1は、本発明に係る搬送ロボットを備えて構成されたワーク搬送システムの一例を示している。本実施形態のワーク搬送システムA1は、搬送室91と、処理室92と、搬送ロボットB1と、を備え、たとえば半導体製造のための円形シリコンウエハを薄板状ワークWとして搬送するように構成されたものである。
搬送室91は、所定の内部空間を有しており、この搬送室91に搬送ロボットB1が配置されている。本実施形態において、ワーク搬送システムA1は2つの搬送室91を備えており、各搬送室91に搬送ロボットB1が配置されている。処理室92は、薄板状ワークWに対して所定の処理を行うためのものであり、たとえば真空環境下で薄板状ワークWに処理を行う真空チャンバにより構成される。処理室92は、上記2つの搬送室91の双方に隣接して設けられている。処理室92と各搬送室91との間には、開閉ドア99が設けられている。処理室92と搬送室91との間にある開閉ドア99が開かれると、処理室92と搬送室91とが連通し、処理室92への搬送ロボットB1による薄板状ワークWの搬出入が可能となる。また、各搬送室91において、処理室92とは反対側に開閉ドア99が設けられている。
図1に示した構成において、ワーク搬送時には、たとえば図中上方の搬送室91に配置された搬送ロボットB1は、図中上端の開閉ドア99を通じて外部から処理前の薄板状ワークWを搬入する。次いで、図中上端の開閉ドア99を閉じ、搬送室91内を真空状態とした上で処理室92と搬送室91との間の開閉ドア99を開き、処理前の薄板状ワークWを処理室92へ搬送する。図中左方の搬送室91に配置された搬送ロボットB1は、処理室92から処理済の薄板状ワークWを搬出する。次いで、処理室92と搬送室91との間の開閉ドア99を閉じ、搬送室91内を真空状態から大気圧状態に切り替えた上で図中左端の開閉ドア99を開き、当該開閉ドア99を通じて処理済の薄板状ワークWを外部に搬送する。図1に示した構成において、図中上方の搬送室91は、ロードロックチャンバとトランスファチャンバの双方の役割を有する。図中左方の搬送室91は、アンロードロックチャンバとトランスファチャンバの双方の役割を有する。
図2に示すように、搬送室91には、2つの配管L1,L2が接続されている。一方の配管L1には、通気バルブ901が設けられている。配管L1の先端は大気中に開放しており、通気バルブ901を開いた状態において、配管L1を介して搬送室91内に大気を導入可能である。他方の配管L2には、真空バルブ902および真空ポンプ903が設けられている。通気バルブ901を閉じ、かつ真空バルブ902を開くと、搬送室91内の空気が配管L2を介して排出される。これにより搬送室91内が減圧され、搬送室91が真空状態となる。通気バルブ901を開き、かつ真空バルブ902を閉じると、配管L1を介して搬送室91内に大気が導入され、搬送室91が大気圧状態となる。このように、搬送室91は、大気圧状態と真空状態とに切り替えることができる。本実施形態において、通気バルブ901、真空バルブ902、真空ポンプ903は、本発明で言う切替手段を構成する。
図2に示すように、搬送ロボットB1は、固定ベース1、昇降ベース2、第1アーム3、第2アーム4、ハンド5、駆動機構6、第1圧力作動弁7および第2圧力作動弁8を備えている。
固定ベース1は、略円柱状の外形を有するハウジングとして構成されており、上端には径方向外方に延出する天井壁11を有する。この天井壁11は、搬送室91の底壁に固定される。昇降ベース2は、固定ベース1に対して昇降可能に支持されている。詳細な図示説明は省略するが、昇降ベース2は、固定ベース1の内部には昇降ベース2を固定ベース1に対して昇降させる昇降機構およびこの昇降機構に動力を与えるための駆動源(モータ等)が配置されており、当該駆動源の駆動により昇降ベース2が昇降させられる。
第1アーム3は、長手方向が水平となる姿勢で昇降ベース2に支持されている。第1アーム3は、上下方向において対向する上部壁31および下部壁32と、これら上部壁31および下部壁32の双方につながる側部壁33と、を含み、上部壁31、下部壁32、および側部壁33で囲まれた内部空間を有する中空状とされている。詳細な図示説明は省略するが、第1アーム3の一端(図2における左端)における下部壁32には開口が形成されており、この開口の周囲から下方に延びる延出部を有する。当該延出部は、第1垂直軸線O1の周りに回動可能である。このような構成により、第1アーム3は、固定ベース1ないし昇降ベース2に対し、第1垂直軸線O1の周りに回動可能に支持されている。詳細な図示説明は省略するが、固定ベース1の内部には、第1アーム3を回動させるための駆動源(モータ等)が配置されており、当該駆動源の駆動により第1アーム3が第1垂直軸線O1の周りに回動させられる。また、下部壁32の上記開口には、昇降ベース2側から上方に延びる回動軸21が挿通している。当該回動軸21は、第1垂直軸線O1の周りに回動可能である。図2に示した例では、下部壁32(第1アーム3)と回動軸21との間に軸受が介装されている。なお、本実施形態では搬送ロボットB1が昇降機構を有する場合について説明したが、昇降機構を有さない構成としてもよい。搬送ロボットB1が昇降機構を有さない場合、第1アーム3は、長手方向が水平となる姿勢で固定ベース1または高さ調整を行うための図示しない台座ベースに回動可能に支持される。ここで、昇降機構を有する搬送ロボットB1の場合における昇降ベース2と、昇降機構を有さない搬送ロボットB1の場合における固定ベース1または台座ベース(図示略)と、を総称して、取り付けベースとする。
第1アーム3の他端(図2における右端)における上部壁31には、開口が形成されている。また、第1アーム3の他端における下部壁32には、固定軸35が設けられており、当該固定軸35は、第2垂直軸線O2を中心軸線とし、上部壁31の上記開口を挿通して上方に延びている。
第2アーム4は、長手方向が水平となる姿勢で第1アーム3に支持されている。第2アーム4は、上下方向において対向する上部壁41および下部壁42と、これら上部壁41および下部壁42の双方につながる側部壁43と、を含み、上部壁41、下部壁42、および側部壁43で囲まれた内部空間を有する中空状とされている。第2アーム4の一端(図2における右端)における下部壁42には開口が形成されており、第2アーム4は、この開口の周囲から下方に延びる円筒状の第1軸部44を有する。当該第1軸部44は、第1アーム3の固定軸35に外嵌されており、固定軸35と第1軸部44との間には図示しない軸受が介装されている。これにより、第1軸部44は、第2垂直軸線O2の周りに回動可能である。このような構成により、第2アーム4の一端は、第1アーム3の他端に対し、第2垂直軸線O2の周りに回動可能に支持されている。なお、第1アーム3の固定軸35は、下部壁42の上記開口を挿通して第2アーム4の内部まで延びている。
第2アーム4の他端(図2における左端)における上部壁41には、開口が形成されている。また、第2アーム4の他端における下部壁42には、固定軸45が設けられており、当該固定軸45は、第3垂直軸線O3を中心軸線とし、上部壁41の上記開口を挿通して上方に延びている。
ハンド5は、図1等に示すように、先端が二股のフォーク状とされており、水平姿勢で第2アーム4に支持されている。ハンド5は、たとえば円形シリコンウエハなどの所定サイズの薄板状ワークWを載置保持するためのものである。図2に示すように、ハンド5は、当該ハンド5の基端から下方に延びる第2軸部51を有する。当該第2軸部51は、第2アーム4の固定軸45に外嵌されており、固定軸45と第2軸部51との間には図示しない軸受が介装されている。これにより、第2軸部51は、第3垂直軸線O3の周りに回動可能である。このような構成により、ハンド5は、第2アーム4の他端に対し、第3垂直軸線O3の周りに回動可能に支持されている。
駆動機構6は、第2アーム4(第1軸部44)およびハンド5(第2軸部51)を回動駆動させるものである。図2に示すように、本実施形態において、駆動機構6は、プーリ61、プーリ62、第1無端ベルト63、プーリ64、プーリ65および第2無端ベルト66を含んで構成される。プーリ61は、回動軸21の上端に連結されており、第1垂直軸線O1を中心として回転可能である。プーリ62は、第1軸部44の下端に連結されるとともに固定軸35に外嵌されており、第2垂直軸線O2を中心として回転可能である。第1無端ベルト63は、プーリ61およびプーリ62に掛け回されている。第1無端ベルト63は、第1アーム3の内部に配置されており、プーリ62およびこれに連結された第1軸部44を回動させる。プーリ64は、固定軸35の上端に連結されている。プーリ65は、第2軸部51の下端に連結されるとともに固定軸45に外嵌されており、第3垂直軸線O3を中心として回転可能である。第2無端ベルト66は、プーリ64およびプーリ65に掛け回されている。第2無端ベルト66は、第2アーム4の内部に配置されており、プーリ62およびこれに連結された第1軸部44を回動させる。プーリ65およびこれに連結された第2軸部51を回動させる。
上記の駆動機構6(プーリ61、プーリ62、第1無端ベルト63、プーリ64、プーリ65および第2無端ベルト66)を具備する構成において、図3に示すように、第1アーム3が第1垂直軸線O1の周りに回動させられると、第2アーム4は、プーリ61,62の外径比に応じて第2垂直軸線O2の周りに回動する。また、第2アーム4の回動に伴い、ハンド5は、プーリ64,65の外径比に応じて第3垂直軸線O3の周りに回動する。本実施形態では、ハンド5は、第1アーム3および第2アーム4の回動にかかわらず常に同じ方向を向いている。これにより、ハンド5が水平方向に直線移動させられ、図1に示した処理室92への薄板状ワークWの搬出入を行うことが可能である。
本実施形態において、第1アーム3(下部壁32)と回動軸21との間、第1アーム3(上部壁31)と第1軸部44との間、および第2アーム4(上部壁41)と第2軸部51との間には、防塵シール34,36,46が配置されている。第1アーム3および第2アーム4の内部において、駆動機構6等の各部の摩耗により塵(パーティクル)が発生する。防塵シール34,36,46は、第1アーム3および第2アーム4の内部で発生したパーティクルが外部(搬送室91内)に放出されるのを防ぐものである。防塵シール34,36,46としては、たとえば磁性流体を備えた磁性流体シールを挙げることができるが、防塵シール34,36,46の種類は特に限定されるものではない。なお、図2に示した例において、防塵シール34については下部壁32と回動軸21との間に介装された軸受が近接している。この軸受によって外部へのパーティクルの放出が防止される場合、防塵シール34は必ずしも設ける必要はない。
本実施形態において、第1アーム3の上部壁31の適所には、通気口311が形成されている。また、上部壁31には、この通気口311を塞ぐ防塵フィルタ312が設けられている。防塵フィルタ312は、たとえばHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)やULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)である。防塵フィルタ312は、第1アーム3の内部空間と外部とを通気可能としつつ、第1アーム3内部の塵(パーティクル)が外部(搬送室91内)に放出されるのを防止する。防塵フィルタ312がHEPAフィルタやULPAフィルタである場合、防塵フィルタ312における通気量は比較的少量である。さらに、本実施形態では、下部壁32の適所には、第1開口321が形成されている。この第1開口321の意義については後述する。
第2アーム4の上部壁41の適所には、通気口411が形成されており、この通気口411を塞ぐ防塵フィルタ412が設けられている。防塵フィルタ312は、たとえばHEPAフィルタやULPAフィルタであり、第2アーム4の内部空間と外部とを通気可能としつつ、第2アーム4内部のパーティクルが外部(搬送室91内)に放出されるのを防止する。防塵フィルタ412がHEPAフィルタやULPAフィルタである場合、防塵フィルタ412における通気量は比較的少量である。さらに、本実施形態では、下部壁42の適所には、第2開口421が形成されている。この第2開口421の意義については後述する。
第1圧力作動弁7は、第1アーム3に設けられており、第1アーム3の内部空間と外部との圧力条件が所定のときに開き動作を行う。図4に示すように、本実施形態において、第1圧力作動弁7は、第1弁体71、シール部材72、回動軸73および付勢部材74を有する。
第1弁体71は、回動軸73周りに回動自在なスイング弁である。図4において、第1弁体71が開いた状態を実線で表し、第1弁体71が閉じた状態を仮想線で表す。第1弁体71は、下部壁32に形成された第1開口321に対応する位置に配置されており、開いた状態において第1アーム3の内側に変位する。第1弁体71が開いた状態において、第1アーム3の内部空間と外部(搬送室91内)とが第1開口321を介して連通する。シール部材72は、第1弁体71の下面外周部付近に配置されている。付勢部材74は、第1弁体71が閉じる方向に付勢力を与えるものであり、たとえば上部壁31と第1弁体71との間に介在する圧縮バネにより構成される。第1弁体71が閉じた状態において、シール部材72は下部壁32における第1開口321の外周部に密着しており、第1開口321が塞がれる。
上記構成の第1圧力作動弁7は、第1アーム3の内部空間の圧力が外部の圧力よりも低圧であり、かつ第1アーム3の内部空間と外部との圧力差が所定値以上のときに開く。ここで、第1アーム3には、当該第1アーム3の外側から内側に向けて押圧力が作用し、第1弁体71の自重および付勢部材74の付勢力に抗して第1弁体71が第1アーム3の内側へ移動する。そして、図4において破線の矢印で示すように、第1アーム3の外部(搬送室91内)の気体が第1開口321を通じて第1アーム3の内部に流入する。上記所定値(第1弁体71が開くときの第1アーム3の内部空間と外部との圧力差)は、防塵シール34,36の耐圧性能よりも少し低い値に設定される。
第2圧力作動弁8は、第2アーム4に設けられており、第2アーム4の内部空間と外部との圧力条件が所定のときに開き動作を行う。図5に示すように、本実施形態において、第2圧力作動弁8は、第2弁体81、シール部材82、円筒部83および付勢部材84を有する。
円筒部83は上下方向を軸線として延びており、第2弁体81は、円筒部83の内部で上下動可能な可動弁である。円筒部83の上下方向における中間には、複数の貫通孔831が形成されている。図5において、第2弁体81が開いた状態を実線で表し、第2弁体81が閉じた状態を仮想線で表す。第2弁体81は、下部壁42に形成された第2開口421に対応する位置に配置されており、開いた状態において第2アーム4の内側に変位する。第2弁体81が開いた状態において、第2アーム4の内部空間と外部(搬送室91内)とは、第1開口321、複数の貫通孔831を介して連通する。シール部材82は、第2弁体81の下面外周部付近に配置されている。付勢部材84は、第2弁体81が閉じる方向に付勢力を与えるものであり、たとえば上部壁41と第2弁体81との間に介在する圧縮バネにより構成される。第2弁体81が閉じた状態において、シール部材82は下部壁42における第2開口421の外周部に密着しており、第2開口421が塞がれる。
上記構成の第2圧力作動弁8は、第2アーム4の内部空間の圧力が外部の圧力よりも低圧であり、かつ第2アーム4の内部空間と外部との圧力差が所定値以上のときに開く。ここで、第2アーム4には、当該第2アーム4の外側から内側に向けて押圧力が作用し、第2弁体81の自重および付勢部材84の付勢力に抗して第2弁体81が第2アーム4の内側へ移動する。そして、図5において破線の矢印で示すように、第2アーム4の外部(搬送室91内)の気体が第2開口421ないし複数の貫通孔831を通じて第2アーム4の内部に流入する。上記所定値(第2弁体81が開くときの第2アーム4の内部空間と外部との圧力差)は、防塵シール46の耐圧性能よりも少し低い値に設定される。
図6に示すように、第1弁体71(第1圧力作動弁7)は、平面視において第1無端ベルト63の内側に配置されている。また、第2弁体81(第2圧力作動弁8)は、平面視において第2無端ベルト66の内側に配置されている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態のワーク搬送システムA1では、処理室92に薄板状ワークWを搬入する搬送室91(図1における上方の搬送室91)においては、搬送室91内を大気圧状態とし、当該搬送室91に配置された搬送ロボットB1により外部から処理前の薄板状ワークWが搬入される。その後、搬送室91内を減圧して真空状態とし、搬送ロボットB1により薄板状ワークWが処理室92に搬送される。次の薄板状ワークWの搬入時には、搬送室91内が真空状態から大気圧状態に切り替えられ、搬送ロボットB1により外部から処理前の薄板状ワークWが搬入される。また、処理室92から薄板状ワークWを搬出する搬送室91(図1における左方の搬送室91)においては、搬送室91内を真空状態とし、当該搬送室91に配置された搬送ロボットB1により処理室92から処理済の薄板状ワークWが搬出される。その後、搬送室91内が真空状態から大気圧状態に切り替えられ、搬送ロボットB1により薄板状ワークWが外部に搬送される。次の薄板状ワークWの搬出時には、搬送室91内を減圧して真空状態とし、搬送ロボットB1により処理室92から処理済の薄板状ワークWが搬出される。
このように、各搬送室91において、薄板状ワークWを処理する度に搬送室91内が大気圧状態と真空状態とに切り替えられ、搬送室91内に配置された搬送ロボットB1については、大気圧環境と真空環境とが頻繁に繰り返されることになる。ここで、薄板状ワークWの処理時間(サイクルタイム)を短縮するために、たとえば短時間で一気に搬送室91を真空状態から大気圧状態に解放する運用が求められる。
本実施形態の搬送ロボットB1において、中空状の第1アーム3と第1軸部44との間、および中空状の第2アーム4と第2軸部51との間には、防塵シール36,46が配置されている。また、第1アーム3および第2アーム4には、当該アームの内部空間と外部とを通気可能な防塵フィルタ312,412が設けられている。搬送室91を真空状態から大気圧状態に短時間で一気に解放すると、防塵フィルタ312,412の通気量が少量である場合、第1アーム3および第2アーム4それぞれの内部空間が大気圧未満であるのに対し、各アーム3,4の外部(搬送室91内)がほぼ大気圧に近い状態になり、各アーム3,4の内部空間が相対的に低圧となることがある。
本実施形態では、第1アーム3および第2アーム4には、第1圧力作動弁7および第2圧力作動弁8が設けられている。第1圧力作動弁7および第2圧力作動弁8は、各アーム3,4の内部空間が外部よりも低圧であり、かつ当該内部空間と外部との圧力差が所定値以上のときに、当該アーム3,4の内部空間と外部とが連通するように開く。ここで、上記所定値(第1圧力作動弁7および第2圧力作動弁8が開くときの各アーム3,4の内部空間と外部との圧力差)を防塵シール36,46の耐圧性能よりも少し低い値に設定すると、アーム3,4の内部空間と外部との圧力差が設定した所定値に達した時点で第1圧力作動弁7および第2圧力作動弁8が開き、外部の空気がアーム3,4の内部に流入する。これにより、アーム3,4の内部空間と外部との圧力差が上記所定値を超えて増大することが防止され、アーム3,4の内部空間と外部との圧力差が防塵シール36,46の耐圧性能を超えることはない。したがって、本実施形態では、短時間で一気に搬送室91を真空状態から大気圧状態に解放しても、防塵シール36,46の防塵性が損なわれることなく、薄板状ワークWの処理時間を短縮することが可能である。なお、第1圧力作動弁7および第2圧力作動弁8が開くときの各アーム3,4の内部空間と外部との圧力差は、防塵シール36,46の耐圧性能に応じて適宜設定することができる。
第1アーム3および第2アーム4には、第1開口321および第2開口421が形成されている。第1開口321および第2開口421は、第1圧力作動弁7および第2圧力作動弁8に対応する位置に形成される。第1圧力作動弁7および第2圧力作動弁8は、第1弁体71および第2弁体81を有する。第1弁体71および第2弁体81は、閉じた状態において第1開口321および第2開口421を塞ぎ、開いた状態において第1アーム3および第2アーム4の内側に変位する。このような構成によれば、第1圧力作動弁7および第2圧力作動弁8を比較的簡単な構造とすることができる。また、第1弁体71および第2弁体81が開いたときに第1アーム3および第2アーム4の内側に変位し、第1アーム3および第2アーム4の外部(搬送室91内)の気体が第1開口321および第2開口421を通じて第1アーム3および第2アーム4の内部に流入する。これにより、第1アーム3および第2アーム4の内部のパーティクルが外部に漏洩するのを防止することができる。
第1アーム3および第2アーム4は、上下方向において対向する上部壁31,41および下部壁32,42と、上部壁31,41および下部壁32,42の双方につながる側部壁33,34と、を含む。第1開口321および第2開口421は、下部壁32,42に形成されている。このような構成によれば、第1開口321および第2開口421をハンド5に支持される薄板状ワークWから遠ざけることができる。したがって、第1アーム3および第2アーム4の内部のパーティクルが外部に僅かに漏洩した場合であっても、薄板状ワークWへのパーティクルの付着が防止される。
駆動機構6は、第1アーム3の内部に配置され、第1軸部44を回動させる第1無端ベルト63と、第2アーム4の内部に配置され、第2軸部51を回動させる第2無端ベルト66と、を含む。第1弁体71および第2弁体81は、平面視において第1無端ベルト63および第2無端ベルト66の内側に配置されている。このような構成によれば、第1弁体71および第2弁体81が開くときに第1アーム3および第2アーム4の内側に変位しても、第1弁体71および第2弁体81の第1無端ベルト63および第2無端ベルト66への接触は回避される。したがって、第1圧力作動弁(第1弁体71)7および第2圧力作動弁8(第2弁体81)を第1アーム3および第2アーム4に効率よく配置することができる。
第1圧力作動弁7および第2圧力作動弁8は、第1弁体71および第2弁体81が閉じる方向に付勢力を与える付勢部材74,84を有する。このような構成によれば、第1弁体71および第2弁体81が開くときの各アーム3,4の内部空間と外部との圧力差(即ち、第1弁体71および第2弁体81が開くときに外部から第1弁体71および第2弁体81に作用する押圧力)について、付勢部材74,84の付勢力を選択することによって容易に調整することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は上記した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した事項の範囲内でのあらゆる変更は、すべて本発明の範囲に包摂される。
上記実施形態において、第1圧力作動弁7の第1弁体71がスイング弁であり、第2圧力作動弁8の第2弁体81が上下動可能な可動弁である場合を例に説明したが、これに代えて、第1弁体71および第2弁体81の双方がスイング弁であってもよい。また、第1弁体71および第2弁体81の双方が上下動可能な可動弁であってもよい。さらに、第1圧力作動弁7および第2圧力作動弁8について、上記したスイング弁や可動弁とは異なる弁構造を採用してもよい。
上記実施形態において、図1に示したワーク搬送システムA1では、搬送室91がロードロックチャンバ(あるいはアンロードロックチャンバ)とトランスファチャンバの双方の機能を有する構成としたが、これとは異なる構成を採用してもよい。図7は、本発明に係る搬送ロボットを備えて構成されたワーク搬送システムの他の例を示している。図7に示したワーク搬送システムA2は、搬送室91と、2つの処理室92と、2つの予備室93,94とを備える。搬送室91はトランスファチャンバであり、この搬送室91に搬送ロボットB1が配置されている。予備室93はロードロックチャンバであり、この予備室93を介して処理前の薄板状ワークWが外部から搬入される。予備室94はアンロードロックチャンバであり、この予備室94を介して処理済の薄板状ワークWが外部に搬送される。予備室93,94は、薄板状ワークWを処理する度に大気圧状態と真空状態とに切り替えられる。搬送室91は、薄板状ワークWの搬送時には真空状態が維持されており、たとえばメンテナンス時に真空状態から大気圧状態に切り替えられる。ワーク搬送システムA2の搬送室91に配置される搬送ロボットB1についても、第1アーム3および第2アーム4に上記した第1圧力作動弁7および第2圧力作動弁8を設けることで、短時間で一気に搬送室91を真空状態から大気圧状態に解放することができる。したがって、メンテナンス等の時間短縮に寄与する。
A1,A2:ワーク搬送システム、B1:搬送ロボット、1:固定ベース、2:昇降ベース(取り付けベース)、3:第1アーム、31:上部壁、312:防塵フィルタ、32:下部壁、321:第1開口、33:側部壁、36:防塵シール、4:第2アーム、41:上部壁、412:防塵フィルタ、42:下部壁、421:第2開口、43:側部壁、44:第1軸部、46:防塵シール、5:ハンド、51:第2軸部、6:駆動機構6、63:第1無端ベルト、66:第2無端ベルト、7:第1圧力作動弁、71:第1弁体、8:第2圧力作動弁、81:第2弁体、91:搬送室、92:処理室、901:通気バルブ(切替手段)、902:真空バルブ(切替手段)、903:真空ポンプ(切替手段)O1:第1垂直軸線、O2:第2垂直軸線、O3:第3垂直軸線、W:薄板状ワーク
Claims (5)
- 取り付けベースと、
一端が前記取り付けベースに対して第1垂直軸線の周りに回動可能に支持された中空状の第1アームと、
一端に配置された第1軸部を有し、当該第1軸部が前記第1アームの他端に対して第2垂直軸線の周りに回動可能に支持された中空状の第2アームと、
第2軸部を有し、当該第2軸部が前記第2アームの他端に対して第3垂直軸線の周りに回動可能に支持されたハンドと、
前記第1軸部および前記第2軸部を回動駆動させる駆動機構と、
前記第1アームと前記第1軸部との間、および前記第2アームと前記第2軸部との間の各々に配置された防塵シールと、
前記第1アームおよび前記第2アームの各々に設けられ、当該アームの内部空間と外部とを通気可能な防塵フィルタと、
前記第1アームおよび前記第2アームに設けられ、前記内部空間が外部よりも低圧であり、かつ前記内部空間と外部との圧力差が所定値以上のときに前記内部空間と外部とが連通するように開き、それ以外のときに閉じる第1圧力作動弁および第2圧力作動弁と、を備える、搬送ロボット。 - 前記第1アームおよび前記第2アームには、前記第1圧力作動弁および前記第2圧力作動弁それぞれに対応する第1開口および第2開口が形成されており、
前記第1圧力作動弁および前記第2圧力作動弁は、閉じた状態において前記第1開口および前記第2開口を塞ぎ、開いた状態において前記第1アームおよび前記第2アームの内側に変位する第1弁体および第2弁体を有する、請求項1に記載の搬送ロボット。 - 前記第1アームおよび第2アームは、それぞれ、上下方向において対向する上部壁および下部壁と、前記上部壁および下部壁の双方につながる側部壁と、を含み、
前記第1開口および前記第2開口は、前記下部壁に形成されている、請求項2に記載の搬送ロボット。 - 前記駆動機構は、前記第1アームの内部に配置され、前記第1軸部を回動させる第1無端ベルトと、前記第2アームの内部に配置され、前記第2軸部を回動させる第2無端ベルトと、を含み、
前記第1弁体および前記第2弁体は、平面視において前記第1無端ベルトおよび前記第2無端ベルトの内側に配置されている、請求項2または3に記載の搬送ロボット。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載の搬送ロボットと、前記搬送ロボットが配置される搬送室と、当該搬送室に隣接して設けられ、ワークに所定の処理を施す処理室と、前記搬送室を大気圧状態と真空状態とに切り替える切替手段と、を備える、ワーク搬送システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020214902A JP2022100735A (ja) | 2020-12-24 | 2020-12-24 | 搬送ロボット |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2020214902A JP2022100735A (ja) | 2020-12-24 | 2020-12-24 | 搬送ロボット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2022100735A true JP2022100735A (ja) | 2022-07-06 |
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ID=82271194
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2020214902A Pending JP2022100735A (ja) | 2020-12-24 | 2020-12-24 | 搬送ロボット |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2022100735A (ja) |
-
2020
- 2020-12-24 JP JP2020214902A patent/JP2022100735A/ja active Pending
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