JP2022096884A - スカベンジポンプ - Google Patents
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Abstract
【目的】ポンプハウジングと内部のロータとの合せ面のクリアランスからのエアー浸入を防止するスカベンジポンプを提供する。【構成】ボディ側吸入ポート21とボディ側吐出ポート22とボディ側軸孔部3が設けられたボディハウジングA1と、カバー側吸入ポート41とカバー側吐出ポート42とカバー側軸孔部5を有するカバーハウジングA2と、アウターロータ92と、インナーロータ91とを備え、ボディ側軸孔部3とカバー側軸孔部5の少なくとも何れか一方に周方向に沿うオイル溜り部61,62が設けられる。カバー側吐出ポート42又はボディ側吐出ポート22のいずれか一方の終端部付近にはオイルを流入可能としたオイルジェット給油部7が設けられ、ボディ側吐出ポート22又はカバー側吐出ポート42のいずれか他方の終端部寄りの位置にはオイル溜り部61,62に連通する吐出部81,82が設けられる。【選択図】 図1
Description
本発明は、内接歯車タイプのロータを使用したオイルポンプであって、ポンプハウジングと該ポンプハウジング内に収められたロータとの合せ面に生じるクリアランス(隙間)からのエアー浸入を防止し、良好なポンプ駆動を実現できるスカベンジポンプに関する。
自動車のエンジンにオイルを潤滑させるためのオイルポンプとしてトロコイド状歯形を有するロータを備えた内接歯車タイプのオイルポンプが数多く使用されている。そして、オイルポンプには、オイルパンからオイルを吸入し、そのオイルをエンジン各部に潤滑のために送る役目を果たすフィードポンプと、該フィードポンプと共に使用され、エンジン各部に潤滑などに使用されたオイルを強制的にオイルパンに戻す役目を果たすスカベンジポンプが存在する。
スカベンジポンプは、車両のエンジンに必ず搭載されるものではく、エンジン各部に送られたオイルが自然にオイルパンに戻るエンジン構造のような場合では、前記スカベンジポンプは不要であることが多い。しかし、エンジン各部に送られたオイルが自然にオイルパンに戻り難いタイプのエンジン、例えば水平対向エンジンでは、オイルを強制的に戻すために前記スカベンジポンプを必要としている。
スカベンジポンプの構造は、フィードポンプの構造と類似している点は多いが、その相違点としては、フィードポンプがオイルパンからエンジン各部にオイルを送る役目を果たすのに対し、スカベンジポンプはそのエンジンに送られたオイルをオイルパンに戻すという反対の役割を果たしていることである。
スカベンジポンプは、フィードポンプのように、内接歯車が使用されている例が多く存在する。フィードポンプでは、ストレーナがオイルパンのオイル内に完全に埋没されているために、フィードポンプが運搬する物質は、その大部分がオイルであるのに対し、スカベンジポンプが運搬する物質は、エンジン各部を潤滑したオイルが間欠的に戻ってくるために、スカベンジポンプではオイルだけで無く、エアーも多く運搬されることになる。
そのために、戻りのオイルにはどうしてもエアーが混入しやすくて、スカベンジポンプの駆動時において、エアーが混入したオイルでは、搬送されるオイルの圧力が低く、ポンプハウジングと該ポンプハウジング内に収められたロータとの合せ面に生じるクリアランス(隙間)からのエアーが浸入し易くなる。
そして、スカベンジポンプは、吐出ポートにはほとんど油圧が発生せず、ほぼ大気開放に近い状態でオイルを吐き出すことになる。例えば、内接歯車を構成するインナーロータとカバーの合わせ面となる部分にオイルが入り込む溝を設けても、吸入行程まで上手くオイルが行き渡らず、シール性が不十分となり吸入行程側の隙間からエアーを吸い込んでしまうことが多かった。その結果、スカベンジポンプでは、十分な吸い込み性能が発揮できず、スカベンジポンプ自体の理論吐出量を大きくして吸い込み性能を向上せざるを得ず、ポンプ自体の大型化、価格上昇を招くことになる。
特許文献1に開示されているオイルポンプは、フィードオイルポンプとして、始動時にポート内にオイルを行き渡らせる効果を期待させるものである。しかし、特許文献1におけるオイルポンプは、スカベンジポンプとして使用されるものではない。そして、エンジンの長期間の停止と共にオイルポンプが長時間にわたって停止状態とされた場合、オイルポンプ内のオイルがポンプハウジングの外に垂れて出て行ってしまうため、内部に溜まるオイルがほとんど空の状態になり、エンジンの再始動時においては、オイルポンプはロータを構成するアウターロータの歯と、インナーロータの歯との間、及びロータ室の内面部とアウターロータの側面や外周面との間には、油膜が十分に形成されず、摩耗の進行や摺動抵抗が増加する問題点があった。
以上述べたように、特許文献1のオイルポンプは、そのままスカベンジポンプとして使用することは、極めて困難である。そこで、本発明の目的(技術的課題)は、ポンプ始動時のエアーの吸い込みを防止し、潤滑としてのオイルを素早く取り出して良好なオイル循環ができるスカベンジポンプを提供することにある。
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、ボディ側吸入ポートとボディ側吐出ポートとボディ側軸孔部が設けられたロータ室を有するボディハウジングと、カバー側吸入ポートとカバー側吐出ポートとカバー側軸孔部を有するカバーハウジングと、前記ロータ室に収納される内歯を有するアウターロータと、外歯及び軸支孔部を有するインナーロータとを備え、前記ボディ側軸孔部と前記カバー側軸孔部の少なくとも何れか一方で且つその内方側の開口周縁の少なくとも一部には直径方向外方に延在し且つ周方向に沿うオイル溜り部が設けられ、前記カバー側吐出ポート又は前記ボディ側吐出ポートのいずれか一方の終端付近には外部からオイルを流入可能としたオイルジェット給油部が設けられ、前記ボディ側吐出ポート又は前記カバー側吐出ポートのいずれか他方終端部寄りの位置には前記オイル溜り部に連通する吐出部が設けられてなるスカベンジポンプとしたことにより、上記課題を解決した。
請求項2の発明を、請求項1に記載のスカベンジポンプにおいて、前記ボディハウジングには前記吐出部と、前記オイル溜り部とが設けられ、前記カバーハウジングには前記オイルジェット給油部が設けられる構成としてなるスカベンジポンプとしたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1に記載のスカベンジポンプにおいて、前記カバーハウジングに前記吐出部と、前記オイル溜り部とが設けられ、前記ボディハウジングには前記オイルジェット給油部が設けられてなるスカベンジポンプとしたことにより、上記課題を解決した。
請求項4の発明を、請求項1,2又は3の何れか1項に記載のスカベンジポンプにおいて、前記オイルジェット給油部は、前記ボディハウジングの前記ボディ側吐出ポート又は前記カバーハウジングの前記ボディ側吐出ポートに向かって次第に近接するように前記ボディハウジング又は前記カバーハウジングを貫通している傾斜路であるスカベンジポンプとしたことにより、上記課題を解決した。
請求項5の発明を、請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載のスカベンジポンプにおいて、前記ボディ側吐出ポート又は前記カバー側吐出ポートにおける前記オイルジェット給油部の内方側給油口が形成される位置及びその近傍に前記吐出部が形成されてなるスカベンジポンプとしたことにより、上記課題を解決した。
請求項6の発明を、請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載のスカベンジポンプにおいて、前記オイル溜り部は、前記ボディ側軸孔部又は前記カバー側軸孔部の内方側開口周縁全体に環状として形成されてなるスカベンジポンプとしたことにより、上記課題を解決した。請求項7の発明を、請求項1,2,3,4,5又は6の何れか1項に記載のスカベンジポンプにおいて、前記インナーロータの軸支孔部の周囲には円筒部が形成され、前記ボディ側軸孔部の前記ロータ室側の開口周縁には前記円筒部が挿入又は軸支される段差内周部が形成され、該段差内周部に前記オイル溜り部が設けられてなるスカベンジポンプとしたことにより、上記課題を解決した。
請求項1の発明では、ボディ側軸孔部とカバー側軸孔部の少なくとも何れか一方で且つその内方側の開口周縁の少なくとも一部には直径方向外方に延在し且つ周方向に沿うオイル溜り部が設けられ、カバー側吐出ポートの終端付近には外部からオイルを流入可能としたオイルジェット給油部が設けられ、ボディ側吐出ポート又はカバー側吐出ポートの終端部寄りの位置にはオイル溜り部に連通する吐出部が設けられたものである。
このような構成によってポンプハウジングの外部からオイルジェット給油部を介して強制的に流入したオイルと、インナーロータとアウターロータのセルによって運ばれたオイルがボディ側吐出部或いはカバー側吐出部を流れてオイル溜り部に入り込み、ポンプハウジングとロータとの合せ面に生じるクリアランス(隙間)に油膜を構成する。そして、この油膜によりエアーの吸い込みによる浸入を防止し、良好なポンプ駆動を実現できる。
特に、スカベンジポンプは、通常の状態でもオイルにエアーが混じり易い環境で使用されるものであり、本発明では、ボディ側吐出部或いはカバー側吐出部が、そのままオイル溜り部に連通し、オイルジェット給油部からのオイルがオイル溜り部に集中する構成とし、通常のフィードオイルポンプと同様に安定した動作を行うことができる。
請求項2の発明では、ボディハウジングにはボディ側の吐出部と、オイル溜り部とが設けられ、カバーハウジングにはオイルジェット給油部が設けられる構成としたことにより、ボディハウジングとカバーハウジングのそれぞれの構造を簡単なものとし、耐久性のあるものにできる。請求項3の発明では、カバーハウジングにカバー側の吐出部と、オイル溜り部とが設けられボディハウジングには、オイルジェット給油部が設けられた構成により、ポンプハウジングの構成を簡単なものにできる。
請求項4の発明では、オイルジェット給油部は、前記ボディハウジングの前記ボディ側吐出ポート又は前記カバーハウジングの前記ボディ側吐出ポートに向かって次第に近接するように前記ボディハウジング又は前記カバーハウジングを貫通している傾斜路としたことにより、傾斜路としたオイルジェット給油部の高位置をポンプハウジングの外部側とし、低位置を吐出ポート側とすることで、ポンプハウジングの外部から流入するオイルは、カバー側吐出ポート或いはボディ側吐出ポートに集中し易い構成にできる。
請求項5の発明では、前記ボディ側吐出ポート又は前記カバー側吐出ポートにおける前記オイルジェット給油部の内方側給油口が形成される位置及びその近傍に前記吐出部が形成されてなる構成としたことにより、ボディ側或いはカバー側のそれぞれの吐出部にオイルが集中し易い構成にできる。請求項6の発明では、オイル溜り部は、ボディ側軸孔部又はカバー側軸孔部の内方側開口周縁全体に環状として形成されることにより、ポンプの始動と共にオイルによる油膜が素早く形成される。
請求項7の発明では、インナーロータの軸支孔部の周囲には円筒部が形成され、前記ボディ側軸孔部の前記ロータ室側の開口周縁には前記円筒部が挿入又は軸支される段差内周部が形成され、該段差内周部に前記オイル溜り部が設けられる構成により、ポンプの動作を安定させると共に、油膜を短時間に形成させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明には、第1及び第2の2つの実施形態が存在する。2つの実施形態において共通する主な構成部品は、図1に示すように、ポンプハウジングA、インナーロータ91、アウターロータ92及び駆動軸93であり、これらによって内接歯車式ポンプを構成するものである。ポンプハウジングAは、ボディハウジングA1及びカバーハウジングA2とから構成されている〔図1(A),(B)及び図2等参照〕。
まず、第1実施形態から説明する。ボディハウジングA1は、ポンプハウジングAの主要な部材であり、ロータ室1が形成され、該ロータ室1は、底面部11と内周壁面部12とから構成された凹状の室である。ロータ室1には、後述するアウターロータ92及びインナーロータ91が収納される。ロータ室1の底面部11には、ボディ側吸入ポート21と、ボディ側吐出ポート22と、吐出部が設けられている〔図1(A)参照〕。
ボディ側吸入ポート21とボディ側吐出ポート22とは、略円形状のロータ室1の直径中心Pを径方向に通過する直線によって、線対称となる形状とした。また、ボディ側吸入ポート21及びボディ側吐出ポート22は、対称基準線に対して略線対称とし、相互に多少の形状の相異或いはサイズの相異があってもかまわない。
ボディ側吸入ポート21は、流路状の吸入案内路211と該吸入案内路211内に位置する吸入孔211aとを有している。また、ボディ側吐出ポート22は、内部に補助吐出部221が設けられることもある〔図1(A)参照〕。ロータ室1の底面部11には、ボディ側軸孔部3が設けられる。該ボディ側軸孔部3は、後述するオイル溜り部61,62が設けられている。
ボディ側吸入ポート21とボディ側吐出ポート22の何れについても、インナーロータ91とアウターロータ92の回転方向において、歯(外歯91a及び内歯92a)及び歯と歯の間の空間であるセルSが入ってくる側を、ボディ側吸入ポート21とボディ側吐出ポート22における始端部21s及び始端部22sと称し、歯(外歯91a及び内歯92a)及びセルSが出てゆく側をボディ側吸入ポート21とボディ側吐出ポート22における終端部21t及び終端部22tと称する〔図1(A)参照〕。
そして、ボディ側吸入ポート21の始端部21sと、ボディ側吐出ポート22の終端部22tとの間の底面部11の領域は第1シールランド23aと称され、ボディ側吸入ポート21の終端部21tとボディ側吐出ポート22の始端部22sとの間の底面部11の領域は第2シールランド23bと称される〔図1(A)参照〕。
インナーロータ91とアウターロータ92とは最深噛合いの状態で第1シールランド23a上をボディ側吐出ポート22の終端部からボディ側吸入ポート21の始端部に向かって移動する。また、第2シールランド23bではボディ側吸入ポート21の終端部21tからボディ側吐出ポート22の始端部22sに向かってインナーロータ91の外歯91aと、アウターロータ92の内歯92aとが略最大空間となるセルSが移動する。
次に、カバーハウジングA2について説明する。該カバーハウジングA2は、ボディハウジングA1と略同等の平面形状を有しており、該ボディハウジングA1に設けられているボディ側吸入ポート21,ボディ側吐出ポート22及びボディ側軸孔部3のそれぞれに対応する位置に、カバー側吸入ポート41,カバー側吐出ポート42及びカバー側軸孔部5を有している(が設けられている)〔図1(B)参照〕。カバー側吸入ポート41及びカバー側吐出ポート42は、前述したボディハウジングA1におけるボディ側吸入ポート21及びボディ側吐出ポート22と同等形状或いは略同等形状である。
カバー側吸入ポート41とカバー側吐出ポート42の何れについても、インナーロータ91とアウターロータ92の回転方向において、歯(外歯91a及び内歯92a)及び歯と歯の間の空間であるセルSが入ってくる側を、カバー側吸入ポート41とカバー側吐出ポート42における始端部41s及び始端部42sと称し、歯(外歯91a及び内歯92a )及びセルSが出てゆく側をカバー側吸入ポート41とカバー側吐出ポート42における終端部41t及び終端部42tと称する〔図1(B)参照〕。
そして、カバー側吸入ポート41の始端部41sと、カバー側吐出ポート42の終端部42tとの間の領域は第1シールランド43aと称され、カバー側吸入ポート41の終端部41tとカバー側吐出ポート42の始端部42sとの間の領域は第2シールランド43bと称される。
インナーロータ91とアウターロータ92とは最深噛合いの状態で第1シールランド43a上をカバー側吐出ポート42の終端部からカバー側吸入ポート41の始端部に向かって移動する。また、第2シールランド43bではカバー側吸入ポート41の終端部41tからカバー側吐出ポート42の始端部42sに向かってインナーロータ91の外歯91aと、アウターロータ92の内歯92aとが略最大空間となるセルSが移動する。
カバー側吐出ポート42又はボディ側吐出ポート22のいずれか一方の終端部42t,22t付近にはポンプハウジングAの外部からオイルを流入可能としたオイルジェット給油部7が設けられている〔図1(B),(C),図2,図3等参照〕。該オイルジェット給油部7は、ポンプハウジングAの外部側と、内部側のカバー側吐出ポート42又はボディ側吐出ポート22とを連通及び貫通するオイル流路である〔図2,図3(A),(B),図4(C)等参照〕。オイルジェット給油部7は、カバーハウジングA2の外部から、内部のカバー側吐出ポート42又はボディ側吐出ポート22に向かって次第にそれぞれの内周側に近接する傾斜路とすることもある。
オイルジェット給油部7の内方側給油口71の形成箇所では、カバー側吐出ポート42(又はボディ側吐出ポート22)のそれぞれの終端部42t(又は22t)に略半円状に拡がる膨出部分が形成されている〔図1(B),(C),図3(A)等参照〕。そして、前記ボディ側吐出ポート22又は前記カバー側吐出ポート42のいずれか他方の終端部22t,42t寄りの位置にはボディハウジングA1側のオイル溜り部61又はカバーハウジングA2側のオイル溜り部62に連通する吐出部が設けられている。ここで、吐出部については、ボディハウジングA1側に設けられた吐出部をボディ側吐出部81と称し、カバーハウジングA2側に設けられた吐出部をカバー側吐出部82と称する。
ボディ側吐出部81は、ボディ側吐出ポート22の内周側面側と、ボディハウジングA1側のオイル溜り部61と連通する流路である。また、カバー側吐出部82は、カバー側吐出ポート42の内周側面側とカバーハウジングA2側のオイル溜り部62とを連通する流路である。ボディ側吐出部81及びカバー側吐出部82は共に、溝状流路として形成される(図1,図2参照)。
また、前記ボディ側吐出部81及び前記カバー側吐出部82については、ボディハウジングA1のボディ側吐出ポート22又はカバーハウジングA2のカバー側吐出ポート42におけるオイルジェット給油部7の内方側給油口71の位置及びその近傍に前記ボディ側吐出部81又はカバー側吐出部82が設けられる。前記内方側給油口71の位置にボディ側吐出部81又はカバー側吐出部82が設けられる場合とは、具体的には、ボディ側吐出部81又はカバー側吐出部82の形成位置が、給油口71にポート(ボディ側吐出ポート22又はカバー側吐出ポート42)を介して最短距離となる位置に存在することである(図1参照)、また、内方側給油口71に近傍する位置とは、図示しないが、前記最短距離を除く、内方側給油口71の周辺又は内周側の位置のことである。
そして、カバーハウジングA2側にオイルジェット給油部7が設けられる場合には、ボディハウジングA1側にオイル溜り部61とボディ側吐出部81が設けられる。そして、カバーハウジングA2側のオイルジェット給油口7からカバー側吐出ポート42内に流入したオイルは、インナーロータ91とアウターロータ92によって移動する各セルSを介して、ボディ側吐出ポート22に流入する。次いで、該ボディ側吐出ポート22からボディ側吐出部81を介してボディハウジングA1側のオイル溜り部61にオイルが流入する(図3参照)。このオイル溜り部61のオイルによって、エアーがポンプハウジングA内へ浸入することを防止する。
また、ボディハウジングA1側にオイルジェット給油部7が設けられる場合には、カバーハウジングA2側にオイル溜り部62とカバー側吐出部82が設けられる。そして、ボディハウジングA1側のオイルジェット給油口7からボディ側吐出ポート22内に流入したオイルは、インナーロータ91とアウターロータ92によって移動する各セルSを介して、カバー側吐出ポート42に流入する。次いで、該カバー側吐出ポート42からカバー側吐出部82を介してカバー側吐出部82側のオイル溜り部62にオイルが流入する。このオイル溜り部62のオイルによって、エアーがポンプハウジングA内へ浸入することを防止する。
ボディ側吐出部81又はカバー側吐出部82は、それぞれがオイル溜り部61又はオイル溜り部62に向かって、貫通するように形成されるものであるが、必ずしもそれぞれの吐出部81,82は、オイル溜り部61,62と貫通状態に連通するものではなく、単にオイル溜り部61,62に向かって近接するようにすることもある〔図1(B),(C)参照〕。
オイルジェット給油部7は、ポンプハウジングAの外部から、内部のカバー側吐出ポート42にオイルを強制的に流入させる役目をなす部位であり、そのオイル供給源は、エンジン内の潤滑油としてのオイルの一部が使用される。オイルジェット給油部7からカバー側吐出ポート42内に流入するオイルによって、スカベンジポンプ内のカバー側吐出ポート42及びボディ側吐出ポート22には、常時オイルにより油膜が形成される。
また、オイルジェット給油部7からカバー側吐出ポート42に流入したオイルは、セルSを介してカバー側吐出ポート42の軸方向反対側に位置するボディ側吐出ポート22にも流入し、ボディ側吐出ポート22内にも油膜が形成される。そして、オイルジェット給油部7からカバー側吐出ポート42及びボディ側吐出ポート22に流入したオイルと、セルSにより搬送されるオイルがボディ側吐出部81或いはカバー側吐出部82に流れ、これらを介してボディ側オイル溜り部61或いはカバー側オイル溜り部62にオイルが流れ、油膜を構成される。この油膜によって、ポンプハウジングA内にエアーが吸い込まれるようにして、浸入することを防止する。
ロータについては、インナーロータ91の一方の側面に直径中心を同一とした扁平円筒形状の円筒部91cが形成される。また、前記ボディ側軸孔部3に段差内周部31が形成される。円筒部91cは、段差内周部31によって軸支される。この場合、ボディ側オイル溜り部61は、段差内周部31に形成される。円筒部91cは、インナーロータ91を適正に回転させる回転軸としての役目をなす。段差内周部31は、オイル溜り部61と兼用されることもある。つまり、段差内周部31は、オイル溜り部61の役目を果たすことになる。
段差内周部31は、インナーロータ91の円筒部91cの軸受孔となり、段差内周部31はインナーロータ軸受部と称しても良い。段差内周部(インナーロータ軸受部)31の軸方向端に軸方向に直交する段差面31aを介してさらに小径となる軸貫通孔32が形成されている。前記段差面31aは、インナーロータ91に装着される駆動軸93の軸方向に沿う軸線に対して直交する端面のことである。
段差内周部31は、前記ボディ側軸孔部3を構成する貫通孔であり、該ボディ側軸孔部3のロータ室1側における開口周縁に形成されている。段差内周部31の直径は、駆動軸93の直径よりも大なる直径を有し、具体的には段差内周部31の内周と駆動軸93の外周との間には、所定の間隔を有する隙間が形成される。また、インナーロータ91に円筒部91cが形成されず、且つこのインナーロータ91に対応してボディハウジングA1のボディ側軸孔部3にも段差内周部31が形成されない実施形態も存在する(図6参照)。
カバーハウジングA2のカバー側吐出部82は、インナーロータ91の側面に形成された円周溝91bが形成されている場合には、該円周溝91bと連通するように形成されている。そして、該円周溝91bにオイルを行き渡らせることで、カバーハウジングA2の側でもボディ側吸入ポート21へのエアーの混入を減らす。
本発明では、インナーロータ91及びアウターロータ92の回転方向をロータ回転方向と称し、該ロータ回転方向はボディハウジングA1の開口面より見て、前記ボディ側軸孔部3の直径中心Pを中心として時計回りとする。したがって、インナーロータ91及びアウターロータ92によって構成されるセルSは、ロータ回転方向と同方向に回転し、ボディ側吸入ポート21の始端部21sから終端部21tに沿って移動し、さらに、ボディ側吐出ポート22の始端部22sから終端部22tに沿って、時計回り方向に移動し、ポンプ駆動時は、この動作が連続する〔図1(A),(B)参照〕。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。この第2実施形態では、カバーハウジングA2側にカバー側吐出部82,オイル溜り部62,オイルジェット給油部7が設けられたものである〔図4,図5(A)参照〕。この実施形態においても、ボディハウジングA1にはオイル溜り部61及びボディ側吐出部81が設けられる。また、ボディハウジングA1にはオイル溜り部61及びボディ側吐出部81が設けられないこともある。また、カバーハウジングA2のオイル溜り部62は、カバー側軸孔部5の内周にわたって、全周に設けられたり、或いは略半周に亘って設けられることもある。この場合、負圧になってエアーを吸い込むのはカバー側吸入ポート41であるため、該カバー側吸入ポート41側に沿うようにして、オイル溜り部62が設けられる〔図5(B)参照〕。
次に、本発明におけるスカベンジポンプの動作について説明する。スカベンジポンプが使用される状態は、ポンプハウジングAのボディ側軸孔部3の軸線が水平状となるように使用される。つまり、ロータ室1の底面部11及び該ロータ室1に収納されるインナーロータ91及びアウターロータ92は、それぞれの径方向が垂直面に沿うようにして設置されることが適正となる〔図1(C)参照〕。
ボディ側吐出部81及びカバー側吐出部82は、ボディ側吐出ポート22及びカバー側吐出ポート42の終端部において、インナーロータ91とアウターロータ92によって構成されるセルSが最高圧力付近の箇所であり、セルS内のオイルが周囲に高い圧力で押し出されることになる。
セルSから押し出されたオイルは、ボディ側吐出ポート22及びカバー側吐出ポート42内に流出されると共にその一部はボディ側吐出部81に移動する〔図3(A)参照〕。オイルは、ボディ側吐出部81を移動し、ボディ側軸孔部3或いはカバー側軸孔部5に案内され到達する。そして、ボディ側吐出部81或いはカバー側吐出部82から吐出したオイルが、ポンプハウジングAとインナーロータ91との側面との間に油膜を形成することとなる。
インナーロータ91及びアウターロータ92は、具体的にはトロコイド歯形を有するものであり、複数の外歯91a,91a,…が形成され、前記アウターロータ92には複数の内歯92a,92a,…が形成され、外歯91aと内歯92aとが噛み合いつつインナーロータ91が回転することによってアウターロータ92が回転する。
そして、前記第2シールランド23bにおいては、外歯91aと内歯92aとが閉鎖された空間すなわち、セル(歯間空間)Sを構成して、ボディ側吸入ポート21からボディ側吐出ポート22へオイルを搬送する。インナーロータ91には、その直径中心の位置に軸支孔部91dが形成されている。該軸支孔部91dには、駆動軸93が装着され、該駆動軸93によってインナーロータ91が回転し、同時にアウターロータ92も回転する。
A…ポンプハウジング、A1…ボディハウジング、A2…カバーハウジング、
1…ロータ室、21…ボディ側吸入ポート、22…ボディ側吐出ポート、
3…ボディ側軸孔部、31…段差内周部、41…カバー側吸入ポート、
42…カバー側吐出ポート、5…カバー側軸孔部、61…オイル溜り部、
62…オイル溜り部、7…オイルジェット給油部、81…ボディ側吐出部、
82…カバー側吐出部、91…インナーロータ、92…アウターロータ。
1…ロータ室、21…ボディ側吸入ポート、22…ボディ側吐出ポート、
3…ボディ側軸孔部、31…段差内周部、41…カバー側吸入ポート、
42…カバー側吐出ポート、5…カバー側軸孔部、61…オイル溜り部、
62…オイル溜り部、7…オイルジェット給油部、81…ボディ側吐出部、
82…カバー側吐出部、91…インナーロータ、92…アウターロータ。
Claims (7)
- ボディ側吸入ポートとボディ側吐出ポートとボディ側軸孔部が設けられたロータ室を有するボディハウジングと、カバー側吸入ポートとカバー側吐出ポートとカバー側軸孔部を有するカバーハウジングと、前記ロータ室に収納される内歯を有するアウターロータと、外歯及び軸支孔部を有するインナーロータとを備え、前記ボディ側軸孔部と前記カバー側軸孔部の少なくとも何れか一方で且つその内方側の開口周縁の少なくとも一部には直径方向外方に延在し且つ周方向に沿うオイル溜り部が設けられ、前記カバー側吐出ポート又は前記ボディ側吐出ポートのいずれか一方の終端部付近には外部からオイルを流入可能としたオイルジェット給油部が設けられ、前記ボディ側吐出ポート又は前記カバー側吐出ポートのいずれか他方の終端部寄りの位置には前記オイル溜り部に連通する吐出部が設けられてなることを特徴とするスカベンジポンプ。
- 請求項1に記載のスカベンジポンプにおいて、前記ボディハウジングには前記吐出部と、前記オイル溜り部とが設けられ、前記カバーハウジングには前記オイルジェット給油部が設けられる構成としてなることを特徴とするスカベンジポンプ。
- 請求項1に記載のスカベンジポンプにおいて、前記カバーハウジングに前記吐出部と、前記オイル溜り部とが設けられ、前記ボディハウジングには前記オイルジェット給油部が設けられてなることを特徴とするスカベンジポンプ。
- 請求項1,2又は3の何れか1項に記載のスカベンジポンプにおいて、前記オイルジェット給油部は、前記ボディハウジングの前記ボディ側吐出ポート又は前記カバーハウジングの前記ボディ側吐出ポートに向かって次第に近接するように前記ボディハウジング又は前記カバーハウジングを貫通している傾斜路であることを特徴とするスカベンジポンプ。
- 請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載のスカベンジポンプにおいて、前記ボディ側吐出ポート又は前記カバー側吐出ポートにおける前記オイルジェット給油部の内方側給油口が形成される位置及びその近傍に前記吐出部が形成されてなることを特徴とするスカベンジポンプ。
- 請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載のスカベンジポンプにおいて、前記オイル溜り部は、前記ボディ側軸孔部又は前記カバー側軸孔部の内方側開口周縁全体に環状として形成されてなることを特徴とするスカベンジポンプ。
- 請求項1,2,3,4,5又は6の何れか1項に記載のスカベンジポンプにおいて、前記インナーロータの軸支孔部の周囲には円筒部が形成され、前記ボディ側軸孔部の前記ロータ室側の開口周縁には前記円筒部が挿入又は軸支される段差内周部が形成され、該段差内周部に前記オイル溜り部が設けられてなることを特徴とするスカベンジポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020210131A JP2022096884A (ja) | 2020-12-18 | 2020-12-18 | スカベンジポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2020210131A JP2022096884A (ja) | 2020-12-18 | 2020-12-18 | スカベンジポンプ |
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Publication Number | Publication Date |
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ID=82164952
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2022096884A (ja) |
-
2020
- 2020-12-18 JP JP2020210131A patent/JP2022096884A/ja active Pending
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