JP2023048859A - スカベンジポンプ - Google Patents

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翼 丸川
Tsubasa Marukawa
幸希 安東
Koki Ando
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Subaru Corp
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Abstract

【課題】始動時にハウジング内のシールを簡単に行い、円滑な始動動作が可能なスカベンジポンプを提供する。【解決手段】ハウジング内に回転可能に配設された内歯を有するアウターロータ24と、その内歯と係合する外歯を有しアウターロータ24内側で回転するインナーロータ22と、インナーロータ22を回転駆動する回転駆動軸25と、アウターロータ24とインナーロータ22との歯間に形成される流体収容領域であって、回転駆動によって移動されて流体を吸入・吐出する歯間空間34と、を有するスカベンジングポンプにおいて、アウターロータ24の構成部材内部に形成された空間であって、歯間空間34との間で2つの開閉機構32を介して連通され、流体の受入れと排出の可能なロータ内部空間26と、を有し、開閉機構32は、歯間空間34の圧力により開・閉されることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、スカベンジポンプ、特に、始動の容易なスカベンジポンプに関する。
車両用のオイルポンプとしてスカベンジポンプが知られている(例えば、特許文献1参照)。このポンプは、エンジン各部に送られ潤滑などに使用されたオイルを、オイルパンに戻す動作を行っている。したがって、スカベンジポンプには、エンジン各部を潤滑したオイルが間欠的に戻ってくるために、オイルだけではなく、空気も混入している。
図5は、スカベンジポンプ10の説明図である。このポンプの動作を概略的に説明するために簡易的に示したものである。図5において、スカベンジポンプ10のカバーは外した状態を示している。カバーは、特に、以下で説明するロータ16部分を覆い、ロータ16を収納するハウジングのシール性を確保するために重要なパーツである。
回転するロータ16が中心部にあり、ロータ16の回転により流体(オイル等)が吸入口18から吸入され、吐出口20から吐出される。
図6は、回転するロータ16についての説明図である。ロータ16は、円筒状空間を形成するハウジング14に収納される。ロータ16は、回転自在に配設された内歯を有するアウターロータ24と、この内歯と歯合する外歯を有しアウターロータ24内に配設されるインナーロータ22とを備えている。インナーロータ22は、回転駆動軸25により回転駆動される。
インナーロータ22の中心軸とアウターロータ24の中心軸は変位しており、インナーロータの22歯数はアウターロータ24の歯数よりも1つ少ない。この構成により、インナーロータ22が回転すると、アウターロータ24も回転するが、アウターロータ24とインナーロータ22との間の空間である歯間空間34は、上記回転駆動によって流体収容空間が移動され、これにより、図6に示したように、負圧が掛かる領域と正圧が掛かる領域が発生し、これにより歯間空間34の内部に収められた流体が吸入・吐出される。
特開2019-78190号公報
スカベンジポンプのような容積変化ポンプは、ポンプとしての機能を発揮させる事前準備としてオイルを事前にハウジング内に入れて、ハウジングとロータとの間のシールを行い、スカベンジポンプの容積変化によるポンプ機能を確保する必要が有る。このシールのために、従来、シール用のオイルを導入する部材が必要であり、例えば、オイルジェットによって吐出口からハウジング内にオイルを注入している。このことは、スカベンジポンプの始動の円滑性を阻害している。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、始動時にハウジング内のシールを簡単に行い、円滑な始動動作が可能なスカベンジポンプを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一実施の形態のスカベンジポンプは、
ハウジング内に回転可能に配設された内歯を有するアウターロータと、
前記内歯と係合する外歯を有し前記アウターロータ内側で回転するインナーロータと、
前記インナーロータを回転駆動する回転駆動軸と、
前記アウターロータと前記インナーロータとの歯間に形成される流体収容領域であって、前記回転駆動によって移動されて前記流体を吸入・吐出する歯間空間と、を有するスカベンジングポンプにおいて、
前記アウターロータ又は前記インナーロータの構成部材内部に形成された空間であって、前記歯間空間との間で複数の開閉機構を介して連通され、前記流体の受入れと排出の可能なロータ内部空間と、を有し、
前記開閉機構は、前記歯間空間の圧力により開・閉されることを特徴とする。
本発明のスカベンジポンプによれば、ロータが回転動作を始める始動時に予め形成されているロータ内部空間からハウジング内、すなわち、ハウジングとロータ間の隙間に流体が排出され、自動的にハウジングのシールが達成される。これにより、ハウジングのシールのための流体導入用の部材や作業が不要となり、スカベンジポンプの始動時における円滑性と容易性が確保される。
本発明のスカベンジポンプに係りロータ部分の概略構成図を示す。 図1の開閉機構の拡大図である。 本発明のスカベンジポンプに係り、ロータ部分の始動時の説明図である。 本発明のスカベンジポンプに係り、ロータ部分の稼働状態の説明図である。 スカベンジポンプの動作説明図である。 スカベンジポンプのロータの説明図である。
以下、本発明のスカベンジポンプの一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。本実施の形態では、アウターロータにロータ内空間を設けたスカベンジポンプについて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るスカベンジポンプの、ロータ16部分の概略構成図である。図2は、アウターロータ24に設けられた開閉機構32の拡大図である。本実施の形態に係るスカベンジポンプの特徴は、ロータ16の部分、すなわちアウターロータ24とインナーロータ22の構成にあるので、以下に示す図においては、アウターロータ24とインナーロータ22のみについて示し、動作を説明している。また、本実施の形態におけるスカベンジポンプは、自動車に設置されるポンプを例としており、エンジン内のオイルを吸入・吐出するものである。
本発明の特徴的な構成であるロータ内部空間26は、本実施の形態ではアウターロータ24の構成部材の内部に設けられている。すなわち、ロータ内部空間26は、アウターロータ24内に外周に沿って円環状に設けられている。断面形状に関しては特に規定されない。
そして、このロータ内部空間26内には、例えば、エンジン組み立て時に予めエンジン循環用のオイルが充填される。なお、後述するように、その後はスカベジポンプ10が駆動されることにより充填可能である。
ロータ内部空間26は、歯間空間34と開閉機構32を介して連通している。
本実施の形態では、開閉機構32は、2カ所に設けられており、アウターロータ24の内歯の谷の部分に設けられている。そして、2か所の配置は、アウターロータ24の回転方向で略90度を為す位置にて行われている。
開閉機構32には、アウターロータ24のロータ内部空間26と歯間空間34とを連通し、歯間空間34に向かって直径が小さくなる略円錐形状の連通部28がロータの直径方向に形成されている。この連通部28内には球状体(ボール)30が配置されている。すなわち、開閉機構32は、略円錐形状の連通部28と球状体30により構成されている。
球状体30は、歯間空間34の内部圧力によって移動する質量にて形成されており、連通部28内で、ロータ内部空間26又は歯間空間34側へ容易に移動することが可能な構成となっている。ロータ内部空間26側に移動したときは、球状体30は連通部28の内側面から離間し、ロータ内部空間26と歯間空間34は連通状態となる。歯間空間34側に移動したときは、ロータ内部空間26と歯間空間34は閉塞状態になる。なお、球状体30が、ロータ内部空間26との大きさの関係で、ロータ内部空間26に入り込まないようにストッパを設けても良い。
また、内部に充填されたオイルは、2か所の開閉機構32が共に開状態、すなわち、共に正圧を受けた時に排出される状態となる。そして、これら開閉機構32は、回転方向で90度の配置となっているので、共に正圧を受ける位置にあるときに、それぞれの開閉機構32が受ける圧力差が大きくとることができる。
なお、2か所の開閉機構32の1か所だけが開となる状況も生じるが、その場合は、ロータ内部空間26は密閉空間であるので、ロータ内部空間26からオイルは排出されない。
図3は、本実施の形態のスカジポンプの始動時の説明図である。ここで始動時とは、製造された車両の最初のエンジン始動及びその後のエンジンの始動時の双方を含む概念である。
ロータ内部空間26には、車両製造後の最初の始動にあっては、予めオイルが充填されており、ロータ16が回転することで、上述の様に2つの開閉機構32が開状態となり、ロータ内部空間26内のオイルが排出される。これにより、ロータ16とカバー(図示していない)との隙間にオイルが充填され、ハウジング内のシールが確立される。図3ではこのオイルが排出される様子が矢印で示されている。その結果、ハウジングのシールが確立される。
図4は、本実施の形態に係るスカジポンプの始動後の駆動状態の説明図である。駆動状態では、歯間空間34内にはオイルが充満している。そして、図示されている2つの開閉機構32の位置状態では、それぞれの球状体30には正圧が印加される。この正圧で球状体30がロータ内部空間26側に移動し、然も2つの開閉機構32に印加される圧力には差があるので、ロータ内部空間26にオイルが歯間空間34から注入され、ロータ内部空間26はオイルが貯留される。
したがって、ロータ内部空間26は常にオイルで充填された状態が、スカベンジポンプを停止するまで続けられる。したがって、次にスカベンジポンプを始動するときには、ロータ内部空間26にはオイルが充填された状態になっている。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本実施の形態では、ロータ内部空間26はアウターロータ24内部に設けたが、インナーロータ22内部に設けても良い。この場合、開閉機構32を構成する連通部30は、本実施の形態と同様に、歯間空間34に向かって直径が小さくなる略円錐形状である。
10 スカベンジポンプ
14 ハウジング
16 ロータ
18 吸入口
20 吐出口
22 インナーロータ
24 アウターロータ
25 回転駆動軸
26 ロータ内部空間
28 連通部
30 球状体(ボール)
32 開閉機構
34 歯間空間
A 回転方向

Claims (3)

  1. ハウジング内に回転可能に配設された内歯を有するアウターロータと、
    前記内歯と係合する外歯を有し前記アウターロータ内側で回転するインナーロータと、
    前記インナーロータを回転駆動する回転駆動軸と、
    前記アウターロータと前記インナーロータとの歯間に形成される流体収容領域であって、前記回転駆動によって移動されて前記流体を吸入・吐出する歯間空間と、を有するスカベンジングポンプにおいて、
    前記アウターロータ又は前記インナーロータの構成部材内部に形成された空間であって、前記歯間空間との間で複数の開閉機構を介して連通され、前記流体の受入れと排出の可能なロータ内部空間と、を有し、
    前記開閉機構は、前記歯間空間の圧力により開・閉されることを特徴とするスカベンジポンプ。
  2. 前記開閉機構は2箇所に設けられ、これら開閉機構の配置は、回転方向で略90度異なる位置になされていることを特徴とする請求項1に記載のスカベンジポンプ。
  3. 前記開閉機構は、
    前記ロータ内部空間に配置され、前記ロータ内部空間から前記歯間空間に向かって直径が小さくなる略円錐形状に形成された連通部と、該連通部内に配置された球状体とで構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスカベンジポンプ。
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