JP2022096780A - 皮膚水分蒸散抑制剤及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ナマコに由来する成分の新たな用途を提供する。【解決手段】ナマコのタンパク分解酵素分解物を有効成分とする皮膚水分蒸散抑制剤であって、ナマコのタンパク分解酵素分解物が、水溶性成分であり、かつ波長215nmに吸収を持つ物質を含有し、該物質が、分子量10万以下の割合が35%以上である、該皮膚水分蒸散抑制剤を提供する。【効果】皮膚水分蒸散抑制剤が、経口摂取されることにより、経表皮水分蒸散量(TEWL)が皮膚水分蒸散抑制剤を摂取していない場合よりも抑制され、摂取者の皮膚のバリア機能が改善する。【選択図】なし

Description

本発明は、ヒトの皮膚の水分の蒸散を抑制する皮膚水分蒸散抑制剤及びその製造方法に関する。
従来、美肌用組成物として、ナマコ及び/又はその抽出物を含有するものが特許文献1に開示されている。
また、美肌用組成物として、ホヤ及び/又はその抽出物,ウツボ及び/又はその抽出物,ナマコ及び/又はその抽出物から選択される2種以上を併用して含有するものが特許文献2に開示されている。
一方、皮膚は外界からの異物の侵入を防ぎ、体外への水分蒸散を抑制するバリア機能を有しているが、紫外線や温度・湿度の変化、摩擦や圧迫による刺激 、化学物質などによる外的要因や、様々なストレスや疾患による免疫力の低下、加齢による生理機能の衰えなどの内的要因により、皮膚のバリア機能が低下することが知られている。このような皮膚のバリア機能を反映する指標として、経皮水分蒸散量(Trans Epidermal Water Loss; TEWL )が用いられている。
特開2006-83113号公報 特開2006-89385号公報
特許文献1、2には、美肌用組成物としての用途は記載されているが、皮膚水分蒸散を抑制する効果については何ら記載されていない。また、経皮水分蒸散量の増加を有意に抑制することは、皮膚のバリア機能の低下を抑制することが期待できる。
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、皮膚のバリア機能の低下を抑制することが期待できる、新たな皮膚水分蒸散抑制剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の1つは、ナマコのタンパク分解酵素分解物を有効成分とする皮膚水分蒸散抑制剤を提供するものである。
本発明の皮膚水分蒸散抑制剤において、ナマコのタンパク分解酵素分解物は、水溶性成分であり、かつ波長215nmに吸収を持つ物質を含有し、前記物質は、分子量10万以下の割合が35%以上であることが好ましい。
本発明の皮膚水分蒸散抑制剤は、紫外線を含む光の照射による皮膚のバリア機能の低下に伴う、肌の水分蒸散を抑制する用途に好適である。
本発明の皮膚水分蒸散抑制剤において、経口摂取用であることが好ましい。
本発明の皮膚水分蒸散抑制剤において、前記タンパク分解酵素は、アルカリ性プロテアーゼ又は、中性プロテアーゼであることが好ましいく、特に、前記タンパク分解酵素は、アロアーゼ(登録商標、ヤクルト薬品工業株式会社製)、パパイン、及びパンチダーゼ(登録商標、ヤクルト薬品工業株式会社製)から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
本発明のもう1つは、ナマコを粉砕する粉砕工程と、粉砕物にタンパク分解酵素を添加して酵素分解する酵素分解工程と、酵素分解物を乾燥する乾燥工程とを含む皮膚水分蒸散抑制剤の製造方法を提供するものである。
本発明の皮膚水分蒸散抑制剤の製造方法において、前記タンパク分解酵素は、アルカリ性プロテアーゼ又は中性プロテアーゼである、ことが好ましく、特に、前記タンパク分解酵素は、アロアーゼ(登録商標、ヤクルト薬品工業株式会社製)、パパイン、及びパンチダーゼ(登録商標、ヤクルト薬品工業株式会社製)から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
本発明によれば、皮膚のバリア機能の低下に伴う摂取者の皮膚の水分蒸散を抑制することが可能な皮膚水分蒸散抑制剤を提供することが可能となる。
本発明の皮膚水分蒸散抑制剤によれば、例えば、経口摂取することにより、当該皮膚水分蒸散抑制剤を経口摂取した者の皮膚の水分の蒸散の抑制を図ることができる。その結果、紫外線や温度・湿度の変化、摩擦や圧迫による刺激、化学物質などによる外的要因や、様々なストレスや疾患による免疫力の低下、加齢による生理機能の衰えなどの内的要因により生じる、皮膚のバリア機能が低下を抑制することができる。
皮膚水分蒸散抑制剤の製造方法を示すフローチャートである。 実施例におけるGPCの測定結果を示すグラフである。 実施例におけるTEWLのグラフである。
以下、本発明に係る皮膚水分蒸散抑制剤の一実施形態について説明する。
本発明の皮膚水分蒸散抑制剤は、ナマコのタンパク分解酵素分解物を有効成分として含む。
本発明において用いるナマコとしては、海鼠類に属する動物であればいずれでも良く、例えば、マナマコ(Stichopus japonicus Selenka)、シカクナマコ(Stichopus chloronotus Brandt)、トラフナマコ(Holothuria pervicax Selenka)、フジナマコ(Holothuria monacaria Lesson) 、ニセクロナマコ(Holothuria Leucospilota Brandt)、キンコ(Cucumaria frondosa var. japonica Semper)等が挙げられるが、マナマコ、トラフナマコ、ニセクロナマコが入手可能であるので、これを用いることが好ましい。また、これらの海鼠類動物をそのまま生で用いるか、あるいは細切乾燥したものを用いることが好ましい。
ナマコの使用部位は特に限定されず、全体、若しくは内臓,内臓を除いた部位を用いることができる。
ナマコは、採取されたものがそのまま用いられてもよいが、内臓が取り除かれた生のナマコが用いられることが好ましい。ナマコは、加工のしやすさから、冷凍保存されたものや乾燥させたものが用いられてもよい。また、ナマコは、生のまま又は、冷凍保存されたものや、乾燥させたものを溶媒を用いて抽出したものが用いられてもよい。
ナマコを乾燥する方法としては特に限定されず、天日干し,加熱乾燥などの方法により乾燥することができるが、内容成分を保持したまま乾燥させることのできる凍結乾燥法を用いて乾燥させることができる。
本発明において用いるタンパク質分解酵素としては、各種のプロテアーゼから選ばれた1種類又は2種類以上の酵素を用いることができる。タンパク質分解酵素は、好ましくはアルカリ性プロテアーゼ及び中性プロテアーゼが用いられる。その中でも、アロアーゼ(登録商標)、パパイン、パンチダーゼ(登録商標)が好ましく用いられ、これら3つの酵素を併用することが最も好ましい。
パパインは、パパイアの果実乳液から抽出される蛋白質分解酵素の一種であり、蛋白質の分析用としてあるいは肉の軟化剤などに用いられている。中性前後でよく作用するが,至適pHは6.5~7.0である。
アロアーゼ(登録商標)は、ヤクルト薬品工業株式会社から販売されている中性プロテアーゼである。アロアーゼ(登録商標)としては、例えば、「アロアーゼNP-10」(商品名、ヤクルト薬品工業株式会社製)を用いることができる。
パンチダーゼ(登録商標)は、ヤクルト薬品工業株式会社から販売されている別の中性プロテアーゼである。パンチダーゼ(登録商標)としては、例えば、「パンチダーゼNP-2」(商品名、ヤクルト薬品工業株式会社製)を用いることができる。
タンパク質分解酵素は、例えば、ナマコの全量を100質量部としたとき、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.001~1重量部で添加されるとよい。
タンパク質分解酵素として、アロアーゼ(登録商標)、パンチダーゼ(登録商標)を用いる場合は、ナマコの全量100重量部に対して、アロアーゼ(登録商標)は、0.05~5質量部で添加されるとよく、より好ましくは0.005~2.5質量部、さらに好ましくは0.0005~0.5重量部で添加されるとよい。パンチダーゼ(登録商標)は、0.05~5質量部で添加されるとよく、より好ましくは0.005~2.5質量部、さらに好ましくは0.0005~0.5重量部で添加されるとよい。また、アロアーゼ(登録商標)、パンチダーゼ(登録商標)の質量比は、0.01:100~100:0.01とすることが好ましい。
本発明において用いるナマコのタンパク分解酵素分解物は、下記の方法等により、ナマコをタンパク質分解酵素によって分解処理して得られたものである。
ナマコのタンパク分解酵素分解物は、タンパク分解酵素分解物の水溶性成分であり、かつ波長215nmに吸収帯域を持つ物質を含有し、前記物質は数平均分子量10万以下の割合が10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。また10~100%であることがより好ましい、30%~95%であることがさらに好ましく、50%~90%であることが特に好ましい。
上記波長215nmに吸収帯域を持つ物質における分子量10万以下の割合は、ナマコのタンパク質分解酵素による分解物の水溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分画し、各画分の吸光光度検出器(UV/VIS検出器、測定波長215nm)の応答量を計測し、数平均分子量(Mn)10万以下の部分の上記応答量の積算値を求め、該積算値が全画分の応答量の積算値に占める割合を求めることよって測定することができる。
尚、皮膚水分蒸散抑制剤は、ナマコのタンパク分解酵素分解物以外に、本発明の奏する効果を阻害しない範囲で、他の成分を含むことができる。このような成分としては、例えば、セラミド、プラズマローゲン、オキアミ油、α-リポ酸、コエンザイムQ10、アスタキサンチン、β-カロテン、フコキサンチン、ヒアルロン酸、フコイダン、プロテオグリカン、グルコサミン、コラーゲン、プラセンタ、肝臓末、L-カルニチン、オルニチン、GABA、テアニン、シスチン、ポリアミン、ローヤルゼリー、大豆イソフラボン、レスベラトロール、ヘスペリジン、メロン抽出物、黒胡椒抽出物、ヒハツエキス、高麗人参エキス、アーティチョーク葉エキス、アムラエキス、ドクダミエキス、ショウガエキス、桜の花エキス、カミツレ抽出物、レモンバーム抽出物、エキナケアエキス、ネムノキ樹皮抽出物、ビタミンB群、ビタミンC等を挙げることができる。
皮膚水分蒸散抑制剤は、紫外線を含む光の照射などの要因による皮膚のバリア機能の低下に伴う、肌の水分蒸散を抑制する。皮膚水分蒸散抑制剤の投与方法は、特に限定されず、例えば、経口摂取、経管投与、皮膚への塗布などを採用することができる。好ましい態様として、皮膚水分蒸散抑制剤は、経口摂取用でありうる。経口摂取可能な剤型としては、特に限定されず、例えば、錠剤、チュアブル錠、粉剤、カプセル、顆粒、ドリンク、ゲル、シロップ等の各種形態等を採用することができる。また、皮膚水分蒸散抑制剤は、経管経腸栄養用流動食や、化粧品としても利用できる。
また、皮膚水分蒸散抑制剤は、例えば、健康食品、機能性表示食品、特定保健用飲食品、病者用飲食品等の飲食品、そのための食品添加物、医薬品、サプリメント、家畜、競走馬、鑑賞動物、ペット等のための動物飼料等の形態であってもよい。これらの製品中のナマコのタンパク分解酵素分解物の含有量は、0.001~100質量%が好ましく、0.01~75質量%がより好ましく、0.1~50質量%がさらに好ましく、1~25質量%が特に好ましい。
本発明による皮膚水分蒸散抑制剤の投与量は、適用する個体の種、年齢、性別などに応じて適宜変更することができる。例えば、ヒトを対象とする場合の投与量は、成人1人1日当たり、皮膚水分蒸散抑制剤を0.001~100g摂取できる量が好ましく、0.01~10g摂取できる量がより好ましく、0.1~1g摂取できる量がさらに好ましい。当該1日投与量は、1回で投与されてもよいが、複数回に分けて投与されてもよい。また、経口的に投与されることが、より好ましい。なお、適用対象はヒトに限られず、例えば、犬、猫等の動物に適用することも可能である。
皮膚水分蒸散抑制剤は、例えば、図1に示すような方法で得ることができる。まず、ナマコを粉砕する粉砕工程(ステップS01)を行う。次いで、ステップS01で得られたナマコの粉砕物にタンパク分解酵素を添加して酵素分解する酵素分解工程(ステップS02)を行う。ステップS02で得られた酵素分解物を乾燥する乾燥工程(ステップS03)を行う。
ステップS01においては、生のナマコは、洗浄された後に粉砕される。粉砕されたナマコは、必要に応じて適当量の水で加水された後に殺菌が行われる。
具体的には、ステップS01における粉砕工程で用いられる粉砕機は、特には限定されないが、例えば、ミキサーミル、ローターミル、ボールミル、スイングミル、低温破砕機、凍結破砕機を用いて行われる。粉砕の程度も特に限定されないが、流動性を持つ液状となるまで行うとよい。ナマコをこのような流動性を持つ液状とすることにより、効率的にステップS02で行われるタンパク分解を効率的に行うことができる。
尚、ナマコの粉砕物に対する加水は、例えば、ナマコ:水=1:1~5の質量比となるように加えられるとよい。また、殺菌は、ナマコに由来する酵素が失活するまで行われるとよく、例えば、90℃で10分間行われるとよい。
ステップS02の酵素分解工程で用いられるタンパク分解酵素は、上述のように、アルカリ性プロテアーゼ又は中性プロテアーゼであることが好ましい。酵素分解工程では、これらのタンパク質分解酵素の酵素反応に適したpH及び温度、好ましくはpH3~11、温度40~60℃で、2~6時間反応させて加水分解を行うのがよい。
タンパク質分解酵素による混合液の酵素分解反応を開始させる。この酵素分解反応は、例えば、タンパク質分解酵素にアロアーゼ(登録商標)、パパイン、パンチダーゼ(登録商標)が含まれる場合、pH6~9、45~50℃の温度範囲で2~6時間行うことが好ましい。この酵素分解反応によってナマコのタンパク質が分解される。
次に、酵素分解反応によって得られた混合液に含まれているタンパク質分解酵素を失活させる。タンパク質分解酵素の失活は、例えば、混合液の温度を上昇させ、かつ上昇させた温度を維持することによって行う。例えば、混合液の温度を90℃まで上昇させ、この温度を30分程度維持するとよい。
次いで、混合液を篩過することにより、軟骨等の固形分を混合液から取り除く。篩過に用いられる篩は、混合液の固形分を取り除くことができれば特には限定されないが、例えば、目開き150μm又はそれよりも目開きの小さい篩が好ましく用いられる。
篩過が行われた酵素分解物を含むろ液を乾燥させる。乾燥方法は、特に限定されないが、例えば、噴霧乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、ドラム乾燥、熱風乾燥などで行うことができる。
乾燥によって得られた粉末は、必要に応じて賦形剤を混合できる。例えば、デキストリンやデンプン等を挙げることができる。また、粉末が所望の粒径以下となるように、例えば、目開き53~1000μmの篩に当該粉末を通してもよい。このように、粉末を篩にかけることによって、所定の粒径の粉末を得るとともに、例えば、当該粉末に混在する目的外のものを除去することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を何ら限定するものではない。
[ナマコのタンパク分解酵素分解物の作製]
内臓が取り除かれ、かつ十分洗浄された生のナマコを流動性を持つ液状となるまで粉砕した。このナマコの粉砕物100質量部に対して、水を222質量部添加して混合液を作成した。混合液の温度を90℃まで上昇させて10分間維持することにより、ナマコに由来する酵素を失活させた。
この混合液に、原料とした生のナマコ100質量部に対して、「アロアーゼNP-10」(商品名、ヤクルト薬品工業株式会社製)0.3質量部、「パンチダーゼNP-2」(商品名、ヤクルト薬品工業株式会社製)0.3質量部を添加して、45~50℃の温度で4時間酵素分解処理を行った。次いで、処理液の温度を90℃まで上昇させて30分間維持することにより、酵素を失活させた。
処理液の篩過は、目開き150μmの篩を用いて行った。ろ液は、凍結乾燥によって乾燥させて、ナマコのタンパク分解酵素分解物を得た。
[試験例1](ナマコのタンパク分解酵素分解物のGPC測定)
ナマコのタンパク分解酵素分解物をGPC(Gel Permeation Chromatography)で測定した。測定は、下記の要領で行った。
(1)前処理方法
ナマコのタンパク分解酵素分解物10mgを、10mLの下記移動相(0.1 M リン酸ナトリウム緩衝液)に完全に溶解したものを、測定サンプルとした。また、溶解は、超音波処理を5分間行った後、80℃で30分加温することによって行った。
(2)HPGPC分析条件
カラム:YMC-Pack Diol-120(YMC社製) 500×8.0 mm, S-5 μm, 6 nm
カラム温度:RT(Room Temperature)
移動相:0.1 M リン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0 ± 0.2) 0.2 M NaCl
流速:0.5 mL/min
注入量:20 μL
波長:215nm
検出器:紫外可視検出器 SPD-20A(島津製作所社製)
(3)分子量マーカー
a. γ-グロブリン、ウシ血液由来、分子量 150,000
b. アルブミン、ニワトリ卵白由来、分子量 66,000
c. ミオグロビン、ウシ血液由来、分子量 17,000
d. シアノコバラミン、由来不明、分子量 1,355
図2は、上記方法でナマコのタンパク分解酵素分解物をHPGPCにより分画し、連続的に得られる画分の紫外可視検出器による測定波長215nmの応答量を計測した結果を示している。この結果から、数平均分子量(Mn)10万以下の部分の上記応答量の積算値を求め、該積算値から全画分の応答量の積算値に占める割合を求めると、ナマコのタンパク分解酵素分解物は、分子量10万以下の割合が35%以上であることがわかった。
[試験例2](経表皮水分蒸散量の測定)
紫外線照射により肌を光老化させたヘアレスマウスに対し、ナマコのタンパク分解酵素分解物を経口投与することで紫外線(UV)防御能を確認した。具体的には、パウダー状のナマコのタンパク分解酵素分解物を飼料(商品名:AIN93G、日本クレア株式会社製)と共にヘアレスマウスに投与し、経表皮水分蒸散量(TEWL:Trans Epidermal Water Loss)を測定した。測定は、下記の要領で行った。
(1)試料の摂取条件&UV照射の条件
ナマコ粉末またはナマコのタンパク分解酵素分解物を配合した飼料を自由摂取させた4 群(n=6) のヘアレスマウスに、紫外光を1週間に5回照射し、摂取開始から8週、10週後に皮膚水分蒸散量(TEWL)を確認した。ヘアレスマウスの群分けについては、表1に示す。尚、紫外光は、20J/cm/dayで照射した。
マウスは、Normal、Control、SC、SCHの4種類用意した。Normal、Control、SC、SCHの種別は以下の通りである。
Normal:飼料としてAIN93G(日本クレア株式会社製)のみを与えたマウス
Control:飼料としてAIN93G(日本クレア株式会社製)のみを与え、かつ、紫外光を1週間に5回照射したマウス
SC:飼料としてAIN93G(日本クレア株式会社製)を95%、ナマコのパウダーを5%ブレンドしたものを与え、かつ、紫外光を1週間に5回照射したマウス
SCH:飼料としてAIN93G(日本クレア株式会社製)を95%、ナマコのタンパク分解酵素分解物を5%ブレンドしたものを与え、かつ、紫外光を1週間に5回照射したマウス
Figure 2022096780000001
紫外光は、紫外光源として、2つのUVランプのバンク(bank)(15W、365nmでの最大発光強度、UVP、カリフォルニア、米国)を用いた。ランプからマウスまでの距離を約18cmとし、ファンによって空気を循環させた。紫外光の照射は空調された部屋で行われた。
(2)TEWLの測定方法
UVA照射を開始してから8,10週間後において、マウスをイソフルラン麻酔下にて、Cutometer(R) MPA 580(Courage + Khazaka社製)に測定プローブとしてTewameter(R) TM300(Courage + Khazaka社製)を用いてマウス背部皮膚のTEWL値を測った。表2にその結果を示す。
Figure 2022096780000002
表2に示すように、ナマコのタンパク分解酵素分解物を摂取したヘアレスマウス(SCH)は、飼料のみを摂取したコントロール(Control)及びナマコの粉砕物を摂取したヘアレスマウス(SC)よりもTEWL値が低いことが分かった。特に、10週目において、ナマコのタンパク分解酵素分解物を摂取したヘアレスマウス(SCH)は、紫外光が照射されていないノーマル(Normal)と同等の数値であった。
このように、光老化モデルマウスにおいて、ナマコそのものよりも、ナマコのタンパク分解酵素分解物を摂取することでTEWLが抑制され、皮膚のバリア機能が改善することができる。尚、ナマコのタンパク分解酵素分解物の成分の分子量は、ナマコそのものの成分の分子量よりも小さく、経口摂取による消化管内での吸収性や体内動態、作用機序も異なるため、ナマコのタンパク分解酵素分解物の成分の分子量分布と皮膚バリア機能改善の効果と関係していると考えられる。

Claims (9)

  1. ナマコのタンパク分解酵素分解物を有効成分とする皮膚水分蒸散抑制剤。
  2. 前記ナマコのタンパク分解酵素分解物は、水溶性成分であり、かつ波長215nmに吸収を持つ物質を含有し、
    前記物質は、分子量10万以下の割合が35%以上である、請求項1に記載の皮膚水分蒸散抑制剤。
  3. 紫外線を含む光の照射による肌の水分蒸散を抑制する、請求項1又は2に記載の皮膚水分蒸散抑制剤。
  4. 経口摂取用である、請求項1乃至3のいずれかに記載の皮膚水分蒸散抑制剤。
  5. 前記タンパク分解酵素は、アルカリ性プロテアーゼ又は、中性プロテアーゼである、請求項1乃至4のいずれかに記載の皮膚水分蒸散抑制剤。
  6. 前記タンパク分解酵素は、アロアーゼ(登録商標、ヤクルト薬品工業株式会社製)、パパイン、及びパンチダーゼ(登録商標、ヤクルト薬品工業株式会社製)から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項5に記載の皮膚水分蒸散抑制剤。
  7. ナマコを粉砕する粉砕工程と、粉砕物にタンパク分解酵素を添加して酵素分解する酵素分解工程と、酵素分解物を乾燥する乾燥工程とを含む皮膚水分蒸散抑制剤の製造方法。
  8. 前記タンパク分解酵素は、アルカリ性プロテアーゼ又は中性プロテアーゼである、請求項7の皮膚水分蒸散抑制剤の製造方法。
  9. 前記タンパク分解酵素は、アロアーゼ(登録商標、ヤクルト薬品工業株式会社製)、パパイン、及びパンチダーゼ(登録商標、ヤクルト薬品工業株式会社製)から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項8に記載の皮膚水分蒸散抑制剤の製造方法。
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