JP2022096223A - 内輪分離型アンギュラ玉軸受 - Google Patents

内輪分離型アンギュラ玉軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】外輪アッシーに内輪をスムーズに挿入して、玉の表面や内外輪軌道溝に傷が付きにくくした内輪分離型アンギュラ玉軸受を提供する。【解決手段】外輪アッシーの玉3がその自重によって径方向内側に落ち込んだときの玉3と外輪肩部6との間の接触点Xと玉3の中心Oを通る中心線が玉3の表面と交差する点を交差点Yとし、この交差点Yよりも玉3が落ち込む方向への玉3の中心O周りの回転角βを正、逆方向を負とし、内輪2を下向きに挿入する際に玉3と内輪カウンタボア部9が最初に当接する当接点Zが交差点Yよりも正側にあり、玉3の外接円径Roと外輪軌道溝5の溝底との間の径方向隙間である玉外接側隙間の大きさCと、内輪2を内輪カウンタボア部9側から下向きに挿入する際の玉3の内接円径Riと内輪カウンタボア部9の外径Rcとの差である玉内接側重なりの大きさDとの間に、1.00<C/D≦2.50の関係が成立している構成とする。【選択図】図2

Description

この発明は、外輪、保持器、および、転動体を一体的に保持したものに内輪を挿入する際に、この内輪をスムーズに挿入することができるように構成した内輪分離型アンギュラ玉軸受に関する。
従来、自動車のオートマチックトランスミッションに用いる軸受は、高いラジアル荷重だけでなくアキシアル荷重も負荷されることから、テーパーベアリングを用いた円すいころ軸受が多く使用されていた。しかしながら、近年、自動車の省燃費化のニーズにより、トランスミッションの軸受として、アンギュラ玉軸受を使用することが増えている。アンギュラ玉軸受は、ラジアル荷重とアキシアル荷重の両方を負荷することが可能であり、円すいころ軸受よりも低トルクである。
トランスミッションにアンギュラ玉軸受を使用する場合、トランスミッションの組み立ておよび分解の作業性を確保するため、一般に、分離型アンギュラ玉軸受が採用される。分離型アンギュラ玉軸受は、内輪または外輪を分離させたときにも、玉が保持器のポケットから抜け落ちないように構成されたアンギュラ玉軸受である。
分離型アンギュラ玉軸受として、例えば、下記特許文献1の内輪分離型アンギュラ玉軸受が知られている。特許文献1の内輪分離型アンギュラ玉軸受は、外輪と、外輪の径方向内側に同軸に配置される内輪と、外輪と内輪の間に周方向に間隔をおいて組み込まれる複数の玉と、複数の玉を保持する保持器とを備えている。
外輪の内周には、玉が転がり接触する外輪軌道溝と、外輪軌道溝の軸方向の一方側に隣接する外輪カウンタボア部と、外輪軌道溝の軸方向の他方側に隣接する外輪肩部とが設けられている。また、内輪の外周には、玉が転がり接触する内輪軌道溝と、内輪軌道溝の軸方向の一方側に隣接する内輪カウンタボア部と、内輪軌道溝の軸方向の他方側に隣接する内輪肩部とが設けられている。外輪カウンタボア部は、外輪軌道溝の一部または全部を、内輪カウンタボア部は、内輪軌道溝の溝肩の一部または全部を、それぞれ取り除いた形状の部位である。
特開2008-95929号公報
特許文献1に係る内輪分離型アンギュラ玉軸受においては、例えば図13に示すように、ハウジング穴50に嵌め込まれた外輪51、保持器52、及び、玉53を一体的に保持した保持体(以下、外輪アッシーという。)に内輪54を挿入する際に、自重によって径方向内側に落ち込んだ玉53が、下向きに挿入される内輪54によって下向きにさらに引き込まれて外輪51と玉53と保持器52が分離したり、内輪54の挿入に伴って玉53が外輪51と内輪54との間に噛み込まれたりして、内輪54をスムーズに挿入することができなくなるとともに、玉53の表面や内外輪軌道溝が傷付くおそれがある。
この発明が解決しようとする課題は、外輪アッシーに内輪をスムーズに挿入して、玉の表面や内外輪軌道溝に傷が付きにくくした内輪分離型アンギュラ玉軸受を提供することである。
上記の課題を解決するため、この発明では、以下の構成の内輪分離型アンギュラ玉軸受を提供する。
外輪と、
前記外輪の径方向内側に同軸に配置される内輪と、
前記外輪と前記内輪の間に周方向に間隔をおいて組み込まれる複数の玉と、
前記複数の玉を保持する保持器と、を備え、
前記外輪の内周には、前記玉が転がり接触する外輪軌道溝と、前記外輪軌道溝の軸方向の一方側に隣接する外輪肩部と、前記外輪軌道溝の軸方向の他方側に隣接し前記外輪肩部よりも大きい内径をもつ外輪カウンタボア部とが設けられ、
前記内輪の外周には、前記玉が転がり接触する内輪軌道溝と、前記内輪軌道溝の軸方向の一方側に隣接する内輪カウンタボア部と、前記内輪軌道溝の軸方向の他方側に隣接し前記内輪カウンタボア部よりも大きい外径をもつ内輪肩部とが設けられ、
前記内輪を分離したときに、前記玉が前記保持器に形成されたポケットから径方向内側に脱落しないよう支持される内輪分離型アンギュラ玉軸受において、
前記外輪、前記保持器、及び、前記玉を一体的に保持した状態で、前記玉がその自重によって径方向内側に落ち込んだときの前記玉と前記外輪肩部との間の接触点と前記玉の中心を通る中心線が前記玉の表面と交差する点を交差点とし、この交差点よりも玉が落ち込む方向への前記玉の中心周りの回転角を正、前記交差点から逆方向への回転角を負としたときに、前記内輪を前記内輪カウンタボア部側から下向きに挿入する際に前記玉と前記内輪カウンタボア部が最初に当接する当接点が前記交差点よりも正側にあり、
前記玉がその自重によって径方向内側に落ち込んだときの前記玉の外接円径と前記外輪軌道溝の溝底との間の径方向隙間である玉外接側隙間の大きさCと、前記内輪を前記内輪カウンタボア部側から下向きに挿入する際の前記玉の内接円径と前記内輪カウンタボア部の外径との差である玉内接側重なりの大きさDとの間に、1.00<C/D≦2.50の関係が成立していることを特徴とする内輪分離型アンギュラ玉軸受。
このようにすると、当接点を交差点の正側としたことにより、外輪アッシーに内輪を下向きに挿入する際に、この内輪の内輪カウンタボア部によって玉が下向きに引き込まれないため、その組み込みをスムーズに行うことができる。
また、玉外接側隙間の大きさCと玉内接側重なりの大きさDとの間の大小関係を上記の範囲としたことにより、内輪の挿入に伴って玉が外輪軌道溝に沿うように押し戻されるため、その挿入をスムーズに行うことができる。玉外接側隙間の大きさCよりも玉内接側重なりの大きさDの方が大きいと、内輪の挿入時に玉との間で締め代が生じて玉に圧力が掛かるため、この玉に傷や割れが発生するおそれがある。また、玉外接側隙間の大きさCを玉内接側重なりの大きさDで除した値が2.50よりも大きいと、玉と内外輪軌道溝との間の隙間が大きくなり、想定の接触角とならなかったり、内外輪肩部に玉が乗り上げたりするおそれがある。このため、玉外接側隙間の大きさCと玉内接側重なりの大きさDとの間の大小関係を上記の範囲とする必要がある。
前記内輪カウンタボア部の外径面側に、軸方向の傾斜角αが0°<α≦30°を満たし、前記内輪軌道溝から遠ざかるに従って次第に外径が小さくなるテーパ面が形成されているのが好ましい。
このようにすると、玉が内輪カウンタボア部の面取り部に直接接触した場合と比較して接触面圧を小さくすることができるため、玉の表面に傷が付きにくくなる。また、テーパ面を形成することにより、研削が必要なカウンタ平坦部の長さ(図4中のLcを参照)が短くなるため、製造時のサイクルタイムを短縮することができる。なお、この傾斜角αが30度よりも大きいと、加工で必要な内輪の幅平坦部の長さ(図4中のLwを参照)を確保することが難しくなるため、上記の範囲とするのが好ましい。
前記内輪カウンタボア部の外径面側に固体潤滑被膜が形成されているのが好ましい。
このようにすると、玉と内輪カウンタボア部の外径面との間の摩擦が低減するため、玉の表面を傷付けることなく内輪の挿入をスムーズに行うことができる。
上記の内輪分離型アンギュラ玉軸受は、自動車のトランスミッションの軸受として使用すると特に好適である。
この発明の内輪分離型アンギュラ玉軸受は、外輪アッシーの玉が落ち込んだ状態で、玉の表面に規定される交差点よりも、玉と内輪カウンタボア部の当接点が正側となるようにし、かつ、玉外接側隙間の大きさCと玉内接側重なりの大きさDとの間に、1.00<C/D≦2.50の関係が成立している。これにより、外輪アッシーに内輪を下向きに挿入する際に、この内輪の内輪カウンタボア部によって玉が下向きに引き込まれないため、その挿入をスムーズに行うことができる。しかも、玉外接側隙間の大きさCと玉内接側重なりの大きさDとの間の大小関係を上記の範囲としたことにより、内輪の挿入に伴って玉が外輪と内輪との間に噛み込まれず、玉の表面や内外輪軌道溝に傷が付きにくい。
この発明に係る内輪分離型アンギュラ玉軸受の一実施形態を示す断面図 図1の要部を示す断面図 図2における各部材の寸法関係を示す図 図1に示す内輪分離型アンギュラ玉軸受の内輪の断面図 図1に示す内輪分離型アンギュラ玉軸受の外輪アッシーをハウジング穴に1個取り付けた状態を示す断面図 図5に続いて、外輪アッシーをハウジング穴にさらに1個取り付けた状態を示す断面図 図6に続いて、内輪を1個設けた軸体を挿入した状態を示す断面図 図7に続いて、内輪をさらに1個挿入した状態を示す断面図 内輪を挿入したときに玉に作用する当接力を示す断面図 図1に示す内輪分離型アンギュラ玉軸受の変形例の要部を示す断面図 図1に示す内輪分離型アンギュラ玉軸受の自動車のトランスミッションへの第一使用例を示す断面図 図1に示す内輪分離型アンギュラ玉軸受の自動車のトランスミッションへの第二使用例を示す断面図 従来技術に係る内輪分離型アンギュラ玉軸受における内輪の挿入工程を示す要部の断面図
以下、図面を用いて、この発明に係る内輪分離型アンギュラ玉軸受Aの一実施形態について説明する。図1に示す内輪分離型アンギュラ玉軸受Aは、外輪1と、外輪1の径方向内側に同軸に配置される内輪2と、外輪1と内輪2の間に周方向に間隔をおいて組み込まれる複数の玉3(鋼球)と、複数の玉3を保持する保持器4とを有している。
外輪1の内周には、玉3が転がり接触する外輪軌道溝5と、外輪軌道溝5の軸方向の一方側(図1では左側)に隣接する外輪肩部6と、外輪軌道溝5の軸方向の他方側(図1では右側)に隣接する外輪カウンタボア部7とが設けられている。外輪軌道溝5は、外輪1の内周を周方向に延びる断面円弧状の溝である。外輪1は軸受鋼で形成されている。外輪カウンタボア部7は、外輪軌道溝5の溝肩の一部または全部を取り除いた形状の部位である。外輪カウンタボア部7の内径は、外輪肩部6の内径よりも大きい。
内輪2の外周には、玉3が転がり接触する内輪軌道溝8と、内輪軌道溝8の軸方向の一方側(図1では左側)に隣接する内輪カウンタボア部9と、内輪軌道溝8の軸方向の他方側に隣接する内輪肩部10とが設けられている。内輪軌道溝8は、内輪2の外周を周方向に延びる断面円弧状の溝である。内輪2は軸受鋼で形成されている。内輪カウンタボア部9は、内輪軌道溝8の溝肩の一部または全部を取り除いた形状の部位である。内輪肩部10の外径は、内輪カウンタボア部9の外径よりも大きい。
内輪カウンタボア部9の外周面は、図3および図4に示すように、内輪軌道溝8から遠ざかるに従って次第に外径が小さくなるテーパ面11となっている。このテーパ面11の軸方向の傾斜角αは、0度より大きく30度以下の範囲とされる。内輪軌道溝8とテーパ面11の間には、軸方向にフラットなカウンタ平坦部(図4中のLcの範囲)が形成されている。また、内輪カウンタボア部9の軸方向端面には、フラットな幅平坦部(図4中のLwの範囲)が形成されている。
内輪カウンタボア部9の外周面には、固体潤滑被膜が形成されている。この固体潤滑被膜は、内輪2の挿入時に玉3との摩擦を低減する作用を有し、この挿入の際に玉3の表面が傷付くのを防止することができる。特に、テーパ面11に固体潤滑被膜が形成されていると、内輪2の挿入を一層スムーズに行うことができる。この固体潤滑被膜として、黒染めやダイヤモンドライクカーボン(DLC)等を採用することができる。黒染めは、多孔質の黒色酸化被膜であり、その孔内に潤滑油等を保持させることによって潤滑性が付与される。また、DLCは、ダイヤモンドとグラファイトの中間的な物性を備えた低摩擦性の被膜であり潤滑性を備えている。この他にも、モリブデン系やフッ素系の固体潤滑被膜を採用することもできる。なお、この固体潤滑被膜は必須の構成ではなく、省略できる場合もある。
保持器4は、玉3に対して軸方向の一方側(図1では左側)を周方向に延びるカウンタ側環状部12と、玉3に対して軸方向の他方側(図1では右側)を周方向に延びる反カウンタ側環状部13と、周方向に隣り合う玉3同士の間を通ってカウンタ側環状部12と反カウンタ側環状部13を連結する複数の柱部14とを有する。カウンタ側環状部12と反カウンタ側環状部13と柱部14は、玉3を収容するポケット15を区画している。内輪2を分離したときに、玉3は径方向内側に脱落しないようポケット15によって支持される。カウンタ側環状部12および反カウンタ側環状部13は、玉3に嵌合することで保持器4を位置決めしている。このとき、カウンタ側環状部12および反カウンタ側環状部13のいずれも、外輪1および内輪2と非接触となっている。
保持器4の素材として、樹脂が用いられている。この樹脂として、PA46(ポリアミド46)、PA66(ポリアミド66)、PA9T(ポリノナメチレンテレフタルアミド)等のポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等を採用することができる。
図2に示すように、外輪1、保持器4、及び、玉3を一体的に保持した保持体(以下、外輪アッシーという。)においては、玉3がその自重によって径方向内側に若干落ち込む。このときの玉3と外輪肩部6との間の接触点Xと玉の中心Oを通る中心線が玉3の表面と交差する点を交差点Yとする。そして、この交差点Yよりも玉3が落ち込む方向への玉3の中心O周りの回転角βを正、交差点Yから逆方向への回転角βを負と定義する。このとき、外輪アッシーに対して挿入される内輪2は、その内輪カウンタボア部9が当接点Zで玉3に最初に当接する。この当接点Zが交差点Yよりも正の回転角β側にある場合は、後述するように(図9参照)、内輪2との当接力によって自重で落ち込んだ玉3を外輪軌道溝5に沿うようにスムーズに押し戻すことができる。
また、外輪アッシーにおいて、玉3がその自重で径方向内側に落ち込んだときの、玉3の外接円径Roと外輪軌道溝5の溝底との間の径方向隙間である玉外接側隙間の大きさCと、内輪2を内輪カウンタボア部9側から下向きに挿入する際の玉3の内接円径Riと内輪カウンタボア部の外径Rcとの差である玉内接側重なりの大きさDとの間には、1.00<C/D≦2.50の関係が成立している。このため、自重で落ち込んだ玉3が内輪2(内輪カウンタボア部9)との当接力によって外輪軌道溝5に沿うように押し戻された際に、玉3に圧力が掛かって傷や割れが発生することはない。しかも、玉3と内外輪軌道溝5、8との間の隙間が大きくなり、想定の接触角とならなかったり、内外輪肩部6、10に玉3が乗り上げたりすることもない。
この第1のアンギュラ玉軸受Aと第2のアンギュラ玉軸受Bを対象物に組み付ける作業の一例を説明する。以下の説明において「第1の」の接頭語を付す部材は、第1のアンギュラ玉軸受Aの構成要素であり、「第2の」の接頭語を付す部材は、第2のアンギュラ玉軸受Bの構成要素である。
まず、図5に示すように、対象物に設けられたハウジング穴16に、第2の外輪アッシーB’(外輪1と複数の玉3と保持器4とを一体に保持したもの)を嵌め込む。このとき、第2の外輪アッシーB’は、保持器4の反カウンタ側環状部13が上側、カウンタ側環状部12が下側となる向きでハウジング穴16に挿入する。また、第2の外輪アッシーB’の外輪1は、ハウジング穴16の内周に締め代をもって嵌合させる。
次に、図6に示すように、ハウジング穴16の内周に形成された止め輪溝17に止め輪18を装着する。この止め輪18により、第2の外輪アッシーB’の外輪1の位置が固定される。その後、第1の外輪アッシーA’を、ハウジング穴16の第2の外輪アッシーB’よりも下側の部分に嵌め込む。このとき、第1の外輪アッシーA’は、保持器4のカウンタ側環状部12が上側、反カウンタ側環状部13が下側となる向きでハウジング穴16に挿入する。また、第1の外輪アッシーA’の外輪1は、ハウジング穴16の内周に締め代をもって嵌合させる。
一方、図7に示すように、軸体19の外周に、第1の内輪2を装着する。このとき、第1の内輪2は、内輪カウンタボア部9が上側、内輪肩部10が下側となる向きで、軸体の外周に装着する。また、第1の内輪2は、軸体19の外周に締め代をもって嵌合させる。その後、第1の外輪アッシーA’を、第1の内輪2の外周に上側から装着する。この装着により、第1のアンギュラ玉軸受Aは完成した状態となる。この実施形態においては、玉3の内接円径Riよりも、内輪2の内輪カウンタボア部9の先端の外径Rtの方が小さく設計されているため、第1の外輪アッシーA’を、第1の内輪2の外周にスムーズに装着することができる。
その後、図8に示すように、第2の内輪2を、内輪カウンタボア部9が下側、内輪肩部10が上側となる向きで、第2の外輪アッシーB’に上側から挿入する。このとき、第2の内輪2は、軸体19の外周に締め代をもって嵌合させる。これにより、第2のアンギュラ玉軸受Bは完成した状態となる。
以上のようにして、第1のアンギュラ玉軸受Aと第2のアンギュラ玉軸受Bを対象物に組み付けることが可能である。
図8における内輪2の挿入においては、図9に示すように、玉3と内輪2(内輪カウンタボア部9)との当接点Zにおいて、この玉の中心Oに向かう当接力が生じる。この当接力は、玉3を外輪軌道溝5に向かって押し戻す水平成分Fと、内輪2の挿入方向に沿って玉3を下向きに引き込む垂直成分Fに分解することができる。この当接点Zが交差点Yに対し回転角βの正の位置(玉3が落ち込む方向位置)にあるときは、垂直成分Fに対し水平成分Fが大きくなり、玉3を外輪軌道溝5に向かってスムーズに押し戻すことができる。
これに対し、図13に示すように、当接点Zが交差点Yに対し回転角βの負の位置(玉3が落ち込む方向と逆の方向位置)にあるときは、水平成分F’と垂直成分F’が同程度の大きさ、あるいは、水平成分F’よりも垂直成分F’の方が大きくなり、内輪2の挿入に伴って玉3がその挿入方向に引き込まれたり、内輪2をスムーズに挿入できなかったりするおそれがある。
図1に示す内輪分離型アンギュラ玉軸受Aの変形例の要部を図10に示す。この変形例は、内輪カウンタボア部9にテーパ面11が形成されていない点においてのみ既述の構成と異なっており、外輪アッシーに対して内輪2を挿入する際に、この外輪アッシーの玉3と内輪2(内輪カウンタボア部9)が最初に当接する当接点Zが交差点Yよりも正の回転角β側にある点や、玉外接側隙間の大きさCと玉内接側重なりの大きさDとの間に、1.00<C/D≦2.50の関係が成立している点は共通している。このため、この変形例においても、上記と同様に内輪2の挿入に伴って、玉3を外輪軌道溝5に向かってスムーズに押し戻すことができるとともに、この押し戻しに伴って、玉3に圧力が掛かって傷や割れが発生したり、想定の接触角とならずに内外輪肩部6、10に玉3が乗り上げたりするのを防止することができる。
図11、図12に示すように、上記の内輪分離型アンギュラ玉軸受Aは、自動車のトランスミッションの軸受として使用することができる。
図11に示すトランスミッションは、常時噛み合い式歯車機構であるフルシンクロメッシュ機構のトランスミッションである。このトランスミッションにおいては、入力軸側の歯車30と出力軸31側の歯車32が噛み合った状態で作動する。この入力軸および出力軸31によって回転駆動される軸33は、内輪分離型アンギュラ玉軸受Aによって回転可能に支持されている。この内輪分離型アンギュラ玉軸受Aは、入力軸または出力軸31からラジアル荷重を受けるだけでなく、軸方向分力であるアキシアル荷重も同時に受けている。
図12に示すトランスミッションは、自動車エンジンの回転を変速して出力し、その変速比を無段階で変化させることが可能な無段階トランスミッションである。このトランスミッションは、自動車エンジンのクランクシャフト34に接続されるトルクコンバータ35と、トルクコンバータ35を介して自動車エンジンの回転が入力される入力軸36と、入力軸36と平行に設けられた出力軸37と、入力軸36と一体に回転するように入力軸36の外周に設けられた駆動側V溝プーリ38と、出力軸37と一体に回転するように出力軸37の外周に設けられた従動側V溝プーリ39と、駆動側V溝プーリ38と従動側V溝プーリ39の間に巻き掛けられたVベルト40とを有する。この入力軸36および出力軸37は、内輪分離型アンギュラ玉軸受Aによって回転可能に支持されている。この内輪分離型アンギュラ玉軸受Aは、入力軸36または出力軸37からラジアル荷重を受けるだけでなく、軸方向分力であるアキシアル荷重も同時に受けている。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 外輪
2 内輪
3 玉
4 保持器
5 外輪軌道溝
6 外輪肩部
7 外輪カウンタボア部
8 内輪軌道溝
9 内輪カウンタボア部
10 内輪肩部
11 テーパ面
15 ポケット
A 内輪分離型アンギュラ玉軸受
O 中心
X 接触点
Y 交差点
Z 当接点
α 傾斜角
β 回転角

Claims (4)

  1. 外輪(1)と、
    前記外輪(1)の径方向内側に同軸に配置される内輪(2)と、
    前記外輪(1)と前記内輪(2)の間に周方向に間隔をおいて組み込まれる複数の玉(3)と、
    前記複数の玉(3)を保持する保持器(4)と、を備え、
    前記外輪(1)の内周には、前記玉(3)が転がり接触する外輪軌道溝(5)と、前記外輪軌道溝(5)の軸方向の一方側に隣接する外輪肩部(6)と、前記外輪軌道溝(5)の軸方向の他方側に隣接し前記外輪肩部(6)よりも大きい内径をもつ外輪カウンタボア部(7)とが設けられ、
    前記内輪(2)の外周には、前記玉(3)が転がり接触する内輪軌道溝(8)と、前記内輪軌道溝(8)の軸方向の一方側に隣接する内輪カウンタボア部(9)と、前記内輪軌道溝(8)の軸方向の他方側に隣接し前記内輪カウンタボア部(9)よりも大きい外径をもつ内輪肩部(10)とが設けられ、
    前記内輪(2)を分離したときに、前記玉(3)が前記保持器(4)に形成されたポケット(15)から径方向内側に脱落しないよう支持される内輪分離型アンギュラ玉軸受において、
    前記外輪(1)、前記保持器(4)、及び、前記玉(3)を一体的に保持した状態で、前記玉(3)がその自重によって径方向内側に落ち込んだときの前記玉(3)と前記外輪肩部(6)との間の接触点(X)と前記玉(3)の中心(O)を通る中心線が前記玉(3)の表面と交差する点を交差点(Y)とし、この交差点(Y)よりも玉(3)が落ち込む方向への前記玉(3)の中心(O)周りの回転角(β)を正、前記交差点(Y)から逆方向への回転角(β)を負としたときに、前記内輪(2)を前記内輪カウンタボア部(9)側から下向きに挿入する際に前記玉(3)と前記内輪カウンタボア部(9)が最初に当接する当接点(Z)が前記交差点(Y)よりも正側にあり、
    前記玉(3)がその自重によって径方向内側に落ち込んだときの前記玉(3)の外接円径(Ro)と前記外輪軌道溝(5)の溝底との間の径方向隙間である玉外接側隙間の大きさCと、前記内輪(2)を前記内輪カウンタボア部(9)側から下向きに挿入する際の前記玉(3)の内接円径(Ri)と前記内輪カウンタボア部(9)の外径(Rc)との差である玉内接側重なりの大きさDとの間に、1.00<C/D≦2.50の関係が成立していることを特徴とする内輪分離型アンギュラ玉軸受。
  2. 前記内輪カウンタボア部(9)の外周面側に、軸方向の傾斜角αが0°<α≦30°を満たし、前記内輪軌道溝(8)から遠ざかるに従って次第に外径が小さくなるテーパ面(11)が形成されている請求項1に記載の内輪分離型アンギュラ玉軸受。
  3. 前記内輪カウンタボア部(9)の外周面に固体潤滑被膜が形成されている請求項1又は2に記載の内輪分離型アンギュラ玉軸受。
  4. 自動車のトランスミッションの軸受として使用される請求項1から3のいずれか1項に記載の内輪分離型アンギュラ玉軸受。
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