JP2022093862A - 車輪 - Google Patents

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Abstract

【課題】スプリングを用いて構成された車輪において、大きな荷重を支持しつつ、広い接地面積を確保することが可能な車輪を提供する。【解決手段】車輪は、同一軸上に配置された2つの環状のリム部材と、2つのリム部材と回転軸が同一となるように配置され、2つのリム部材の間に配置された環状の1つ以上のフランジ部材と、2つのリム部材と1つ以上のフランジ部材とのうち車輪の幅方向に隣接する部材同士に装着されることにより、2つのリム部材と1つ以上のフランジ部材とのうち、車輪の隣接する部材同士をつなぐことにより、車輪の幅方向に並んで配置される複数の本体スプリングと、車輪の幅方向に並んで配置される複数の本体スプリングの、車輪の径方向外側に突出している頂部を接続するように本体スプリングに連結された複数の外側スプリングと、を備える。【選択図】図7

Description

本発明は、車輪に関する。
従来、コイルばねを用いて構成されたタイヤが知られている。例えば、特許文献1には、複数のコイルばねのそれぞれが、他のコイルばねと組み合わされるとともに、環状リムに固定されることにより、全体としてトロイダル形状に形成されたタイヤが開示されている。
国際公開第2010/138150号
しかしながら、特許文献1に開示されているように、トロイダル形状のタイヤを1つのみ有する車輪では、車輪に係る荷重が大きくなると、荷重を支持しきれなくなる場合がある。特に特許文献1に開示されたタイヤのように、タイヤがコイルばねによって構成されている場合には、コイルばねに一定以上の力がかかると、コイルばねが座屈するなどして、タイヤとしての機能を発揮できなくなる場合がある。
これに対し、複数の車輪を用いることで負荷能力を向上させ、荷重を支えることが考えられる。しかしながら、この場合、各車輪の接地面積が限られているため、路面の環境によっては走行が困難である。例えば軟弱地盤上を走行する場合、車輪の接地面積が小さいため車輪から路面上に強い力がかかり、車輪が路面に埋まり、走行が困難になる場合がある。
本発明は、スプリングを用いて構成された車輪において、大きな荷重を支持しつつ、広い接地面積を確保することが可能な車輪を提供することを目的とする。
(1)本発明の車輪は、車輪であって、同一軸上に配置された2つの環状のリム部材と、前記2つのリム部材と回転軸が同一となるように配置され、前記2つのリム部材の間に配置された環状の1つ以上のフランジ部材と、前記2つのリム部材と前記1つ以上のフランジ部材とのうち前記車輪の幅方向に隣接する部材同士に装着されることにより、前記2つのリム部材と前記1つ以上のフランジ部材とのうち、前記車輪の隣接する部材同士をつなぐことにより、前記車輪の幅方向に並んで配置される複数の本体スプリングと、前記車輪の幅方向に並んで配置される複数の本体スプリングの、前記車輪の径方向外側に突出している頂部を接続するように前記本体スプリングに連結された複数の外側スプリングと、を備える。本発明の車輪により、大きな荷重を支持しつつ、広い接地面積を確保することが可能となる。
(2)本発明の車輪において、前記外側スプリングは、前記複数の本体スプリングのうち前記車輪の周方向に隣接する2本の本体スプリングの相互間の相対変位を規制することが好ましい。この構成によれば、車輪としての機能を維持しやすくなる。
(3)本発明の車輪において、前記車輪の周方向に隣接する2本の本体スプリングのうち、前記外側スプリングと連結されていない箇所における、相互間の相対変位、又は、前記車輪の周方向に隣接する2本の外側スプリングのうち、前記本体スプリングと連結されていない箇所における、相互間の相対変位を規制する、規制部材をさらに備えることが好ましい。この構成によれば、車輪としての機能を維持しやすくなる。
(4)本発明の車輪において、前記規制部材は、スプリングにより構成されていることが好ましい。この構成によれば、車輪をより簡単に製作することができる。
本発明によれば、スプリングを用いて構成された車輪において、大きな荷重を支持しつつ、広い接地面積を確保することが可能な車輪を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る車輪の外観斜視図である。 図1の車輪の骨格部のホイール部の外観斜視図である。 図2のホイール部のリム部材のボルト穴の位置を示す概略図である。 図2の第1部材における座繰り加工を示す概略図である。 図2のリム部材及びフランジ部材に対する本体スプリングの装着態様を示す概略図である。 リム部材の一変形例を示す概略図である。 図1の車輪の骨格部の接地変形部の構成を模式的に示す概略図である。 スプリング同士の連結方法の一例を説明するための図である。 スプリング同士の連結方法の一例を説明するための図である。 トレッド部材の骨格部への装着の状態を示す概略図である。 トレッド部材の一変形例を示す概略図である。 トレッド部材の一変形例を示す概略図である。 トレッド部材の他の一変形例を示す概略図である。 トレッド部材の他の一変形例を示す概略図である。 3つの本体スプリングを備える車輪の骨格部の接地変形部の構成を模式的に示す概略図である。 規制部材の一例を示す概略図である。 図13の規制部材を用いた、本体スプリング同士の結合の例を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して例示説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車輪1の外観斜視図である。車輪1は、骨格部2と、トレッド部3とにより構成されている。具体的には、車輪1は、図1に示されているように、骨格部2が、骨格部2の径方向外側にトレッド部3が装着されていることにより、その車輪1の径方向外側をトレッド部3により覆われるように構成されている。なお、車輪1の径方向とは、車輪1の回転軸と直交する方向をいう。
骨格部2は、ホイール部と、接地変形可能な接地変形部と、により構成されている。図2は、図1の車輪1の骨格部2のホイール部10の外観斜視図である。ホイール部10を構成する部材は、金属製又は樹脂製である。図2に示されているように、本実施形態では、ホイール部10は、2つのリム部材11a及び11bと、1つのフランジ部材12とを備えている。リム部材11a及び11bと、フランジ部材12とは、全て外径が同径の環状に形成されている。リム部材11a及び11bと、フランジ部材12とは、全て、回転軸が同一軸上となるように配置されている。具体的には、リム部材11a及び11bと、フランジ部材12との回転軸は、車輪1の回転軸と一致している。フランジ部材12は、2つのリム部材11a及び11bの間に配置されている。リム部材11a及び11bと、フランジ部材12との外径は、必要とされる車輪1のサイズに応じて適宜決定される。
リム部材11aとフランジ部材12とは、複数の固定部材13により固定されている。また、リム部材11bとフランジ部材12とは、複数の固定部材13により固定されている。図2に示されている例では、リム部材11aとフランジ部材12、及びリム部材11bとフランジ部材12は、それぞれ6本の固定部材13により固定されている。本実施形態では、固定部材13は、棒状の部材であり、車輪1の幅方向に延在するように配置されている。固定部材13により、リム部材11a及び11bと、フランジ部材12とのうち、隣接する部材同士(ここでは、リム部材11aとフランジ部材12、及び、フランジ部材12とリム部材11b)の相対的な位置関係が固定される。これにより、リム部材11a及び11b並びにフランジ部材12全体の相対的位置関係が固定される。
リム部材11a及び11bには、それぞれスポーク部材14a及び14bが取り付けられている。本実施形態のスポーク部材14a及び14bは、図2に示されているように、それぞれ6本のスポーク15を有し、これらの6本のスポーク15が、リム部材11a及び11bに固定されることにより、スポーク部材14a及び14bが、それぞれリム部材11a及び11bに取り付けられている。骨格部2がスポーク部材14a及び14bを備えていることにより、車輪1の強度を向上させることができる。
図2に示されているように、本実施形態では、スポーク部材14a及び14bは、それぞれさらに6本のサブスポーク16を有している。6本のサブスポーク16が、フランジ部材12に固定されることにより、スポーク部材14a及び14bは、フランジ部材12にも取り付けられている。なおスポーク部材14a及び14bは、サブスポーク16を備えていなくてもよい。本実施形態では、スポーク部材14a及び14bは、スポーク15及びサブスポーク16が連結されている環状部をさらに有する。
リム部材11a及び11bには、固定部材13と、スポーク15とを固定するためのボルト穴が設けられている。図3は、リム部材11aのボルト穴の位置を示す概略図であり、リム部材11aを車輪1の幅方向から見た場合の概略図である。ただし、図3では、リム部材11a及び11bにおいて、径方向外側の部分は記載が省略されている。
図3に示されているように、リム部材11aには、6個の固定部材13用の第1ボルト穴17aが設けられている。第1ボルト穴17aは、リム部材11aが有する固定部材13の位置に対応して設けられており、本実施形態では、リム部材11aの周方向に沿って、等間隔に設けられている。本実施形態では、リム部材11aは、6個の第1ボルト穴17aを有するため、中心軸(車輪1の回転軸)の周りに、60度ごとに第1ボルト穴17aが設けられている。固定部材13は、第1ボルト穴17aにおいてボルトを用いてリム部材11aに固定される。
また、リム部材11aには、6本のスポーク15用の第2ボルト穴17bが設けられている。第2ボルト穴17bは、スポーク部材14aが有するスポーク15の位置に対応して設けられており、本実施形態では、リム部材11aの周方向に沿って、等間隔に設けられている。また、本実施形態では、第2ボルト穴17bは、2つの第1ボルト穴17aの中央に設けられている。スポーク15が第2ボルト穴17bにおいてボルトを用いてリム部材11aに固定されることにより、スポーク部材14aがリム部材11aに固定される。
リム部材11bについても、図3を参照して説明したリム部材11aと同一の位置に第1ボルト穴17a及び第2ボルト穴17bを有していてよい。また、フランジ部材12についても、図3を参照して説明したリム部材11aと同様に、第1ボルト穴17a及び第2ボルト穴17bを有し、第1ボルト穴17a及び第2ボルト穴17bにおいて、固定部材13並びにスポーク部材14a及び14bがボルトで固定されてよい。フランジ部材12の第2ボルト穴17bは、スポーク部材14a及び14bのサブスポーク16をボルトで固定するために用いられる。なお、スポーク部材14a及び14bがサブスポーク16を有していない場合、フランジ部材12は、第2ボルト穴17bを有していなくてよい。
本実施形態において、フランジ部材12は、2つの部材を結合することにより形成されている。具体的には、フランジ部材12は、第1部材12aと、第2部材12bとを結合することにより形成されている。第1部材12aと第2部材12bとは、同一形状の部材であり、反対方向に向けて、つまり背中合わせに、固定することにより形成されている。フランジ部材12が2つの部材により構成されている場合、車輪1を組み立てる際に、後述する本体スプリングをフランジ部材12に装着してから、2つの部材を結合させてフランジ部材12を構成させることができるため、作業がしやすくなる。
なおフランジ部材12は、一体の部材により形成されていてもよい。フランジ部材12が一体の部材により構成されている場合には、車輪1を組み立てる際に、フランジ部材12を組み立てる必要がないため、作業工程を減らすことができる。
本実施形態のようにフランジ部材12が2つの部材により形成されている場合、第1部材12a及び第2部材12bにおける、固定部材13用の第1ボルト穴17aには、座繰り18が設けられていてよい。具体的には、図4に第1部材12aについて概略的に示すように、第1部材12aは、第2部材12bとの結合時に第2部材12bと接触する面19に、座繰り18が形成されていてよい。座繰り18の寸法は、固定部材13を固定するために用いられるボルトのサイズに合わせて適宜決定されてよく、当該ボルトが面19から突出しない寸法とすることが好ましい。第2部材12bについても、第1部材12aと同様に構成されていてよい。これにより、第1部材12aと第2部材12bとを結合した際に、結合面(面19)において、固定部材13を固定するボルト同士が干渉しなくなる。
ホイール部10のリム部材11a及び11b並びにフランジ部材12には、本体スプリングが装着される。本体スプリングは、骨格部2の接地変形部を構成する部材の一つである。本体スプリングは、リム部材11a及び11b並びにフランジ部材12のうち、隣接する部材同士に装着されることにより、隣接する部材同士をつなぐ。
ここで、図5を参照しながら、リム部材11a又は11bとフランジ部材12とに対する本体スプリング21の装着態様について説明する。図5は、リム部材11aとフランジ部材12とに対する本体スプリング21の装着態様を示す概略図であり、骨格部2の、本体スプリング21を含む、車輪1の幅方向の概略断面図である。図5では、本体スプリング21と、リム部材11a及び第1部材12aの一部と、が示されている。図5において、本体スプリング21の中央の一部が、簡略化して図示されている。
本実施形態において、本体スプリング21は、図5に概略的に示されているように、リム部材11aと第1部材12aとをつなぐように、取り付けられている。また、本体スプリング21は、図5と同様に、リム部材11bと第2部材12bとをつなぐように、取り付けられている。本実施形態では、リム部材11aと第1部材12aとの間と、リム部材11bと第2部材12bとの間との、本体スプリング21の装着態様は同じであるため、ここでは、リム部材11aと第1部材12aとの間の装着態様について説明する。
本実施形態では、本体スプリング21は、金属製である。本体スプリング21は、弾性変形部22と、係止部23とを有している。
本実施形態では、弾性変形部22は、コイルばねで構成されている。ここで、コイルばねとは、荷重に応じて弾性的に変形するばねであって、軸A(本体スプリング21の軸)のまわりにコイル状(螺旋状)に巻回されてなるばねをいう。弾性変形部22は、所期する車輪1のサイズ及び重量や、要求される接地変形部の性質等に応じて、適宜の材質及び弾性を有する弾性変形部22を使用することができる。
係止部23は、弾性変形部22の両端に設けられている。係止部23は、本体スプリング21をホイール部10に係止する。係止部23は、弾性変形部22とは異なる形状を有している。すなわち、本実施形態では、係止部23は、コイル状とは異なる形状を有している。
本実施形態では、係止部23は、弾性変形部22と一体の部材により構成されている。すなわち、本実施形態では、例えば図5に示されているように、弾性変形部22の両端から、弾性変形部22を構成する材料が延びて、係止部23を構成している。
本実施形態では、例えば図5に示されているように、係止部23は、弾性変形部22の両端に結合された、直線状に形成されたストレート部23aを含む。また、本実施形態では、例えば図5に示されているように、係止部23は、ストレート部23aの先端側に、ストレート部23aに対して屈曲した屈曲部23bを含む。本実施形態では、本体スプリング21の側面視(本体スプリング21の軸Aを含む面内)で屈曲部23bは、ストレート部23aに対して、直交するように屈曲している。
本実施形態において、リム部材11a及び第1部材12aは、これらをつなぐ固定部材13が延在する側において、係止部23の屈曲部23bを挿入可能な係合受部を有する。本実施形態において、係合受部は、係止部23の屈曲部23bを挿入可能な有底の孔として構成されている。屈曲部23bを係合受部としての孔に挿入することにより、本体スプリング21が、両端部において、リム部材11a及び第1部材12aに係合される。図5に示す例では、係合受部の孔は、車輪1の幅方向に延在するように形成されている。係合受部の孔の延在方向の長さ(孔の深さ)は、屈曲部23bの長さと同一かそれよりも長いことが好ましい。これにより、屈曲部23bの全体が係合受部に挿入可能となり、係合状態が安定しやすくなる。なお、係合受部は、無底の孔(貫通孔)として構成されていてもよい。
係合受部の孔の断面形状は、屈曲部23bが入る限り限定されず、例えば、長円形、楕円形、矩形、多角形等であってもよい。弾性変形部22がより確実に係止(固定)されるためには、孔の断面の形状及び大きさは、屈曲部23bの断面の形状及び大きさとほぼ同じであることが好ましい。
本実施形態では、図5に示されているように、本体スプリング21の両端の係止部23は、車輪1の径方向において、同じ位置に配置されている。なお、本体スプリング21の両端の係止部23は、車輪1の径方向において、異なる位置に配置されていてもよい。
図5に示されているように、屈曲部23bが係合受部に係合された状態において、ストレート部23aは、係合受部の位置から、リム部材11a及び第1部材12aの表面に沿って、車輪1の径方向外側に延在するように配置される。このようにして、図5に示されているように、本体スプリング21は、車輪1の幅方向の一部(例えば中央部)がリム部材11a及び第1部材12aよりも車輪1の径方向外側に突出する。これにより、車輪1に対する荷重が本体スプリング21により支持される。
リム部材11a及び第1部材12aには、図5に示されているように、表面にストレート部23aを収容可能な溝20が形成されており、溝20にストレート部23aが収容されていてよい。このように溝20を設けることにより、リム部材11a及び第1部材12aにおけるストレート部23aの取付け状態が安定する。
本実施形態では、図5に示されているように、本体スプリング21は、リム部材11a及び第1部材12aの周縁部から、本体スプリング21の軸Aが車輪1の径方向外側に向かって延びるように、リム部材11a及び第1部材12aの周縁部に取り付けられている。リム部材11a及び第1部材12aの周縁部とは、リム部材11a及び第1部材12aにおける、車輪1の径方向外側の端部をいう。このように、本体スプリング21の軸Aが車輪1の径方向外側に向かうように、リム部材11a及び第1部材12aの周縁部に取り付けられていることにより、車輪1に対する荷重を、本体スプリング21が軸A方向で支持することができる。そのため、本体スプリング21の弾性力を最大限に活用して荷重を支持することができる。
本実施形態では、本体スプリング21の軸Aは、周縁部において、径方向となす角が0°となっている。なお、本体スプリング21の軸Aは、周縁部において、径方向となす角が、必ずしも0°となっていなくてもよい。本体スプリング21の軸Aは、周縁部において、径方向となす角が30°以下であることが好ましい。この場合にも、本体スプリング21の弾性力を活用して、荷重を支持することができる。本体スプリング21の軸Aは、周縁部において、径方向となす角が20°以下であることがさらに好ましく、径方向となす角が10°以下であることがさらに好ましい。本体スプリング21の軸Aは、周縁部において、径方向となす角が0°に近い方が好ましい。0°に近いほど、本体スプリング21の弾性力が活用されるためである。
複数の本体スプリング21は、車輪1の周方向全体にわたって相互間に間隔をおいて設けられている。つまり、本体スプリング21は、ホイール部10の全周にわたって、上述した態様で、係止部23がリム部材11a及び第1部材12aに係合されている。リム部材11a及び第1部材12aに対して係合される本体スプリング21の数量及び間隔は、車輪1のサイズ及び重量や、要求される接地変形部の性質等に応じて、適宜決定されてよい。
なお、ホイール部10には、さらに、係合受部に係合した屈曲部23bの係合状態を、固定部材13が延在する側から補助する、係合補助部材(不図示)が取り付けられていてもよい。係合補助部材は、例えば、板状の部材により構成され、リム部材11a及び第1部材12aに固定されて、屈曲部23bが係合受部としての孔から抜け出さないように支持する。係合補助部材を有する場合には、リム部材11a及び第1部材12aに対する係止部23の係合状態が、より安定する。
なお、リム部材11a及び11b並びに第1部材12a及び第2部材12bにおいて、本体スプリング21の屈曲部23bが係号する係合受部の孔の形態は、図5に示すものに限られない。例えば、図5に示す例では、係合受部の孔は、車輪1の幅方向に沿って(つまり、車輪1の幅方向に対して0°の角度で)延在するように形成されていると説明した。しかしながら、係合受部の孔は、必ずしも車輪1の幅方向に沿って延在するように形成されていなくてもよい。図6は、リム部材11aの一変形例を示す概略図である。図6に一例として示されているように、係合受部の孔は、車輪1の幅方向に対して傾斜する方向に延在するように形成されていてもよい。第1部材12a及び第2部材12b並びにリム部材11bについても、同様に、係合受部の孔が、車輪1の幅方向に対して傾斜する方向に延在するように形成されていてよい。この場合にも、係合受部の孔に屈曲部23bを挿入することによって、本体スプリング21をリム部材11a及び11b並びに第1部材12a及び第2部材12bに係合させることができる。
本実施形態に係る車輪1の骨格部2では、このようにしてホイール部10に係合された複数の本体スプリング21が、外側スプリングと連結されることにより、接地変形部が形成されている。1本の外側スプリングは、車輪1の断面視において車輪1の幅方向に並んだ2箇所の本体スプリング21において、車輪1の周方向に隣接する2本の本体スプリング21と連結される。本実施形態では、外側スプリングは、一部が接地面スプリングと連結される。さらに、本実施形態では、本体スプリング21は、外側スプリングと連結されていない一部が補助スプリングと連結される。すなわち、本実施形態に係る車輪1の骨格部2は、本体スプリング21、外側スプリング、接地面スプリング及び補助スプリングにより、接地変形部が形成されている。
図7は、車輪1の骨格部2の接地変形部の構成を模式的に示す概略図であり、骨格部2の、車輪1の幅方向の概略断面図である。図7では、本体スプリング21、外側スプリング24、接地面スプリング25及び補助スプリング26が、車輪1の幅方向の断面視において延在する範囲が、簡略化されて、それぞれ実線で示されている。すなわち、図7では、本体スプリング21、外側スプリング24、接地面スプリング25及び補助スプリング26それぞれの、スプリングとしての形状(螺旋形状)については図示せず、スプリングを実線により簡略化して示している。
本実施形態では、図7に示すように、骨格部2は、2つの本体スプリング21を備える。2つの本体スプリング21のうち、第1本体スプリング21aは、リム部材11aと第1部材12aとをつなぐように、取り付けられている。具体的には、図5を参照して説明したように、第1本体スプリング21aの一端は、リム部材11aに装着され、他端は、第1部材12aに装着され、中央は、車輪1の径方向外側に突出している。同様に、2つの本体スプリング21のうち、第2本体スプリング21bは、リム部材11bと第2部材12bとをつなぐように、取り付けられている。すなわち、第2本体スプリング21bの一端は、リム部材11bに装着され、他端は、第2部材12bに装着され、中央は、車輪1の径方向外側に突出している。ここで、第1本体スプリング21aにおいて、最も径方向外側に突出している箇所を第1頂部31aとし、第2本体スプリング21bにおいて、最も径方向外側に突出している箇所を第2頂部31bとする。
外側スプリング24は、2つの本体スプリング21(つまり第1本体スプリング21a及び第2本体スプリング21b)と連結される。具体的には、外側スプリング24は、一端側において、第1本体スプリング21aと連結され、他端側において、第2本体スプリング21bと連結される。外側スプリング24は、リム部材11a及び11bに装着された本体スプリング21(本実施形態では第1本体スプリング21a及び第2本体スプリング21b)の、車輪1の幅方向外側の箇所と連結されている。つまり、外側スプリング24は、一端側において、第1本体スプリング21aの第1頂部31aよりも幅方向外側の箇所と連結され、他端側において、第2本体スプリング21bの第2頂部31bよりも幅方向外側の箇所と連結される。なお、本体スプリング21の車輪1の幅方向外側の箇所とは、車輪1の幅方向に並ぶ少なくとも2つの本体スプリング21の、それぞれの頂部又はそれぞれ当該頂部より車輪1の幅方向外側の箇所をいう。本実施形態では、図7に示すように、外側スプリング24は、一端側において、第1本体スプリング21aの第1頂部31aから、リム部材11aに装着されている箇所の手前までの範囲で、第1本体スプリング21aと連結する。同様に、図7に示すように、外側スプリング24は、他端側において、第2本体スプリング21bの第2頂部31bから、リム部材11bに装着されている箇所の手前までの範囲で、第2本体スプリング21bと連結する。
外側スプリング24は、本体スプリング21の相互間の相対変位を規制するように、本体スプリング21に連結される。すなわち、本実施形態では、外側スプリング24が、車輪1の周方向に隣接する本体スプリング21同士の相対変位を規制する規制部材として機能する。外側スプリング24は、具体的には、ホイール部10に係合された、周方向に隣接する2本の本体スプリング21の間に配置され、これら2本の本体スプリング21に組み合わされて本体スプリング21と連結される。
本実施形態では、外側スプリング24は、弾性変形部を有している。弾性変形部は、コイルばねで構成されている。弾性変形部は、所期する車輪1のサイズ及び重量や、要求される接地変形部の性質等に応じて、適宜の材質及び弾性を有する弾性変形部を使用することができる。外側スプリング24の弾性変形部を構成するコイルばねの直径は、本体スプリング21の弾性変形部22を構成するコイルばねの直径に近い方が好ましい。ここで、コイルばねの直径は、コイルばねを軸方向から見たときの、外接円の直径であり、以下同様とする。外側スプリング24の弾性変形部を構成するコイルばねの直径が、本体スプリング21の弾性変形部22を構成するコイルばねの直径に近いほど、本体スプリング21の弾性変形部22を構成するコイルばねと、外側スプリング24の弾性変形部を構成するコイルばねとを、後述するように連結させて接地変形部を形成したときに、均等に力がかかりやすくなる。例えば、本体スプリング21の弾性変形部22を構成するコイルばね、及び、外側スプリング24の弾性変形部を構成するコイルばねの直径は、いずれも15mm~25mm、例えば20mm等とすることができる。
図8A及び図8Bは、スプリング同士の連結方法の一例を説明するための図である。ここでは、図8A及び図8Bを参照しながら、本体スプリング21に対する外側スプリング24の連結方法の一例について説明する。外側スプリング24は、図8Aに示されているように、ホイール部10に係合された本体スプリング21の弾性変形部22に引っ掛けて、車輪1の周方向に隣接する2本の本体スプリング21と組むようにして、これら2本の本体スプリング21と連結していく。具体的には、外側スプリング24は、車輪1の周方向に隣接する2本の本体スプリング21の相互間の相対変位を規制するように本体スプリング21に連結される。このとき、外側スプリング24は、回転しながら前進するように本体スプリング21に差し込まれていくことにより、車輪1の周方向に隣接する2本の本体スプリング21と徐々に組み合わされる。このようにして、図8Bに示されているように、外側スプリング24の全体が2本の本体スプリング21と連結される。
本実施形態では、ホイール部10に係合された全ての本体スプリング21は、車輪1の周方向に隣接する2本の本体スプリング21の間に外側スプリング24が配置されるように、外側スプリング24と連結される。すなわち、本実施形態では、骨格部2の接地変形部の全ての本体スプリング21は、2本の外側スプリング24と連結され、骨格部2の接地変形部の全ての外側スプリング24は、2本の本体スプリング21と連結されている。このように、車輪1の周方向に隣接する2本の本体スプリング21の間に外側スプリング24が連結されていることにより、骨格部2に対して荷重がかかった場合であっても、本体スプリング21同士の距離が広がりすぎず、車輪1としての機能を維持しやすくなる。
図7に示すように、本実施形態において、外側スプリング24は、第1頂部31aと第2頂部31bとの間の区間は、本体スプリング21と連結されない。本実施形態では、第1頂部31aと第2頂部31bとの間の区間に外側スプリング24が位置することにより、走行時に、外側スプリング24の第1頂部31aと第2頂部31bとの間の区間が地表面と接触する。つまり、外側スプリング24の第1頂部31aと第2頂部31bとの間の区間により、車輪1の接地面積を増やすことができる。車輪1は、広い接地面積を確保することにより、路面に埋まりにくくなり、走行性能の低下が抑えられる。
なお、本実施形態では、外側スプリング24の両端は、ホイール部10(リム部材11a及び11b)に固定されていない。つまり、本実施形態では、外側スプリング24は、両端が非固定となっている。ただし、外側スプリング24は、両端のうちの一方の端部又は両端がホイール部10に固定されていてもよい。
図7に示すように、接地面スプリング25は、車輪1の周方向に隣接する2つの外側スプリング24と連結される。接地面スプリング25は、外側スプリング24の相互間の相対変位を規制するように、外側スプリング24に連結される。接地面スプリング25は、外側スプリング24において、本体スプリングと連結されていない箇所に連結される。すなわち、本実施形態では、接地面スプリング25が、車輪1の周方向に隣接する外側スプリング24同士の、本体スプリング21と連結されていない箇所の相対変位を規制する規制部材として機能する。接地面スプリング25は、具体的には、車輪1の周方向に隣接する2本の外側スプリング24の間に配置され、これら2本の外側スプリング24に組み合わされて外側スプリング24と連結される。
本実施形態において、接地面スプリング25は、2つの外側スプリング24のうち、第1頂部31aと第2頂部31bとの間の区間において、外側スプリング24と連結される。外側スプリング24と接地面スプリング25との連結態様は、図8A及び図8Bを参照して説明した態様と同様である。
外側スプリング24に接地面スプリング25が連結されることにより、骨格部2に対して荷重がかかった場合であっても、外側スプリング24同士の距離が広がりすぎず、車輪1としての機能を維持しやすくなる。特に、接地面スプリング25は、外側スプリング24において、走行時に地表面と接触する範囲において、外側スプリング24同士の距離が広がりすぎないように規制できるため、車輪1による荷重支持性能を向上させることができる。また、本実施形態では、第1頂部31aと第2頂部31bとの間の区間に位置する外側スプリング24と、接地面スプリング25とが、走行時に地表面と接触する。そのため、車輪1の接地面積をより増やすことができる。このようにして、より広い接地面積を確保することにより、車輪1が路面により埋まりにくくなり、走行性能の低下がより抑えられる。
図7に示すように、補助スプリング26は、車輪1の周方向に隣接する2つの本体スプリング21と連結される。補助スプリング26は、本体スプリング21の相互間の相対変位を規制するように、本体スプリング21に連結される。補助スプリング26は、本体スプリング21において、外側スプリング24と連結されていない箇所に連結される。例えば、本実施形態では、補助スプリング26が、車輪1の周方向に隣接する本体スプリング21同士の、第1本体スプリング21aの第1頂部31aよりも車輪1の幅方向内側の箇所と連結され、車輪1の周方向に隣接する本体スプリング21の相対変位を規制する規制部材として機能する。補助スプリング26は、具体的には、車輪1の周方向に隣接する2本の本体スプリング21の間に配置され、これら2本の補助スプリング26に組み合わされて補助スプリング26と連結される。
本実施形態では、骨格部2は、第1補助スプリング26a及び第2補助スプリング26bの、2つの補助スプリング26を備える。第1補助スプリング26aは、第1本体スプリング21aの第1頂部31aよりも車輪1の幅方向内側の箇所と連結される。つまり、第1補助スプリング26aは、第1本体スプリング21aが外側スプリング24と連結していない箇所において、第1本体スプリング21aと連結する。具体的には、第1補助スプリング26aは、2つの第1本体スプリング21aの、第1頂部31aよりも車輪1の幅方向内側の箇所と連結される。また、第2補助スプリング26bは、第2本体スプリング21bの第2頂部31bよりも車輪1の幅方向内側の箇所と連結される。つまり、第2補助スプリング26bは、第2本体スプリング21bが外側スプリング24と連結していない箇所において、第2本体スプリング21bと連結する。具体的には、第2補助スプリング26bは、2つの第2本体スプリング21bの、第2頂部31bよりも車輪1の幅方向内側の箇所と連結される。本体スプリング21と補助スプリング26との連結態様は、図8A及び図8Bを参照して説明した態様と同様である。
本体スプリング21に補助スプリング26が連結されることにより、本体スプリング21において、外側スプリング24と連結されていない箇所が連結される。そのため、車輪1としての荷重支持性能を強化することができる。つまり、骨格部2に対して荷重がかかった場合であっても、本体スプリング21同士の距離が広がりすぎず、車輪1としての機能を維持しやすくなる。
なお、本実施形態では、補助スプリング26のフランジ部材12に近い側の端部は、ホイール部10(フランジ部材12)に固定されていない。つまり、本実施形態では、補助スプリング26は、非固定となっている。ただし、補助スプリング26は、一端がホイール部10に固定されていてもよい。
外側スプリング24、接地面スプリング25及び補助スプリング26の長さは、所期する車輪1のサイズ及び重量や、要求される接地変形部の性質等に応じて、適宜決定されてよい。
本実施形態に係る車輪1は、上述した骨格部2の外周に、トレッド部3を形成するトレッド部材が装着されることにより構成されている。トレッド部材は、例えば、図1に示すように、車輪1の幅方向の全体にわたって延在するように、骨格部2に装着される。トレッド部材は、少なくとも、骨格部2の、本体スプリング21、外側スプリング24及び接地面スプリング25により形成される接地領域に装着されている。トレッド部材は、例えば不織布を含んで構成されてよい。不織布は、例えば金属製であってよい。金属製の不織布を使用することにより、温度変化が大きい環境においても、所期する車輪1を使用可能となる。ここでは、トレッド部材が、金属製の不織布を含んで構成されているとして説明する。
トレッド部材は、例えば、本体スプリング21、外側スプリング24及び接地面スプリング25を組み合わせた状態において、骨格部2において車輪1の径方向外側の面に形成される溝に嵌め込まれることにより、骨格部2に対して装着される。具体的には、本実施形態では、本体スプリング21が、ホイール部10において、車輪1の幅方向に沿って(つまり、車輪1の幅方向に対して0°の角度で)延在するように取り付けられている。そのため、本体スプリング21に織り合わされた外側スプリング24、及び外側スプリング24に織り合わされた接地面スプリング25も、ホイール部10において、車輪1の幅方向に沿って延在している。このように、本体スプリング21、外側スプリング24及び接地面スプリング25が車輪1の幅方向に沿って延在している場合、図7Bに破線で示すように、本体スプリング21、外側スプリング24及び接地面スプリング25により(より具体的には、本実施形態では、本体スプリング21と外側スプリング24とにより、及び、外側スプリング24と接地面スプリング25とにより)、骨格部2において車輪1の径方向外側の面から窪んだ溝27が形成される。
本実施形態では、トレッド部材が、本体スプリング21、外側スプリング24及び接地面スプリング25により形成された溝27に装着される。このとき、トレッド部材30は、例えば図9に示されているように、少なくとも一部が溝27に埋め込まれるようにして装着される。トレッド部材30の少なくとも一部が溝27に埋め込まれるようにして装着されることにより、トレッド部材30が、溝27から脱落しにくくなる。本実施形態では、トレッド部材30の一部のみ、すなわち、トレッド部材30における車輪1の径方向内側の部分のみが、溝27に埋め込まれるようにして装着されており、トレッド部材30における車輪1の径方向外側の部分は、溝27から車輪1の径方向外側に露出している。このように装着されていることにより、走行時の振動等が抑制され得る。ただし、トレッド部材30は、その全体が溝27に埋め込まれるようにして装着されていてもよい。この場合、トレッド部材30は、溝27から脱落しにくくなる。本実施形態では、図1に示すように、トレッド部材30は、骨格部2の表面に形成された全ての溝27に埋め込まれている。ただし、トレッド部材30は、全ての溝27に埋め込まれていなくてもよい。例えば、トレッド部材30は、骨格部2に形成された溝27のうち、一部のみに埋め込まれていてもよい。この場合、車輪1の軽量化を図ることができる。
本実施形態において、トレッド部材30は、骨格部2に対して着脱可能に装着されていることが好ましい。トレッド部材30が骨格部2に対して着脱可能に装着されていることにより、トレッド部材30が摩耗した場合等に、トレッド部材30を骨格部2から外して交換することができる。
本実施形態において、トレッド部材30は、例えば図9に模式的に示すように、不織布32により構成されている。トレッド部材30は、延在方向の断面視において、中央部に貫通穴30aを有する棒状に構成することができる。トレッド部材30は、不織布32を、断面がほぼ円形状の、細長い棒状に構成することができる。ここで、ほぼ円形状とは、真円だけでなく、ゆがんだ円形状(例えば図9に模式的に示されているような楕円形状)や、断面の外周部に凹凸を有する形状を含むことをいう。トレッド部材30に設けられた貫通穴30aは、芯材31を通すための穴である。芯材31は、トレッド部材30の延在方向に沿って延在する。芯材31は、例えば、ピッチの密な線径の細いコイルばねにより構成することができる。
なお、トレッド部材30は、図9に示した例に限られない。例えば、トレッド部材30は、図10A及び図10Bに示すように、貫通穴30aに、貫通穴30aを補強するための補強部材33を備えていてよい。補強部材33は、例えばピッチの密なコイルばねにより構成されていてよい。円筒形状の補強部材33の内部には、芯材31が配置されている。補強部材33を設けることにより、補強部材33がない場合と比較して、芯材31の不織布32への食い込みを防ぐことができる。また、補強部材33が芯材31を保護することにより、トレッド部材30の耐久性が向上する。また、補強部材33が、ホイール部10等からの伝達熱とトレッド部材30が発する熱とを蓄熱保持し、極低温環境下におけるトレッド部材30の過冷却を防ぐことができる。
また、トレッド部材30は、例えば図11A及び図11Bに示されているように、断面視においてひょうたん型となる形状であってもよい。この場合、トレッド部材30は、溝27に埋め込まれる固定領域A1と、接地する接地領域A2とを有する。固定領域A1に対して、車輪1の径方向外側に接地領域A2が設けられている。トレッド部材30には、固定領域A1に貫通穴30aが設けられ、貫通穴30aに補強部材33を備える。補強部材33の内部には、芯材31が配置されている。断面において、接地領域A2の幅は、固定領域A1の幅よりも大きい。
本実施形態において、トレッド部材30は、トレッド部材30を骨格部2に固定するための固定部材をさらに備えることが好ましい。これにより、トレッド部材30が、骨格部2からより脱落しにくくなる。固定部材は、トレッド部材30を骨格部2に固定可能な任意の構成とすることができる。
例えば、トレッド部材30は、図9に示す例のように棒状に構成されている場合、当該棒状のトレッド部材30の両端から、当該トレッド部材30の延在方向に延びる固定部材を備えていてよい。例えば、トレッド部材30は、芯材31の延在方向に延びる固定部材を備えていてよい。この場合、芯材31と固定部材とは、一体の部材として構成されていてもよい。具体的には、芯材31と固定部材との機能を有するコイルばねが、貫通穴30aに挿通されるとともに、骨格部2に固定され、これにより、トレッド部材30が骨格部2に固定される。コイルばねは、1つのトレッド部材30に対して、少なくとも1本用いられていればよく、複数本用いられていてもよい。ただし、固定部材の態様は、これに限られない。固定部材は、例えばトレッド部材30とは独立した別体の部材として構成することもできる。
このように、本実施形態に係る車輪1は、少なくとも、骨格部2の外周に配置されたトレッド部材30を備える。そのため、本実施形態に係る車輪1により、例えば砂地等を走行する場合であっても、トレッド部材30により、車輪1の内部側(つまり回転中心側)に砂等の異物が入ることを防ぐことができる。これにより、車輪1の走行性能が低下しにくくなる。特に、本実施形態に係る車輪1では、トレッド部材30が、幅方向に隣接する第1本体スプリング21a及び第2本体スプリング21bの外側に連続して配置されため、走行性能がより低下しにくくなる。
なお、トレッド部材30は、金属製の不織布を含んで構成されていると説明したが、トレッド部材30の材質は、金属製の不織布に限られない。例えば、トレッド部材30の全体は、シリコンゴム又は金属多孔質体により構成されていてもよい。
また、例えば、トレッド部材30は、ゴム製であってもよい。例えば、トレッド部材30は、天然ゴム(NR)及び合成ゴムにより構成されていてよい。合成ゴムとしては、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等が挙げられる。ゴムは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る車輪1は、例えば次のようにして組み立てることができる。すなわち、まず、リム部材11aと第1部材12aとに、図5に示されているように複数の第1本体スプリング21aを取り付ける。リム部材11bと第2部材12bとにも、同様に複数の第2本体スプリング21bを取り付ける。次に、第1本体スプリング21aの、第1頂部31aよりも車輪1の幅方向内側に第1補助スプリング26aを連結させる。また、第2本体スプリング21bの、第2頂部31bよりも車輪1の幅方向内側に第2補助スプリング26bを連結させる。そして、リム部材11aと第1部材12aとを固定部材13で固定することにより、車輪1の幅を固定する。リム部材11bと第2部材12bとを、同様に固定部材13で固定することにより、車輪1の幅を固定する。次に、第1部材12aと第2部材12bとをボルトで結合し、フランジ部材12を構成させる。その後、第1本体スプリング21a及び第2本体スプリング21bに対して、外側スプリング24を連結させる。さらに、外側スプリング24の第1頂部31aと第2頂部31bとの間に、接地面スプリング25を連結させる。そして、スポーク部材14a及び14bを取り付ける。最後に、トレッド部材30を装着させて、車輪1の組立てが完了する。
以上説明したように、本実施形態に係る車輪1は、2つのリム部材11a及び11bとフランジ部材12とのうち、車輪1の周方向に隣接する部材同士をつなぐ複数の本体スプリング21と、車輪1の周方向に複数の本体スプリング21の相互間の相対変位を規制するように本体スプリング21に連結された複数の外側スプリング24と、を備える。この構成により、車輪1は、車輪1の幅方向に並んで配置される複数の本体スプリング21により支持することができるため、大きな荷重を支持しつつ、外側スプリング24の第1頂部31aと第2頂部31bとの間の区間で、車輪1の接地面積を増やすことができる。このように、広い接地面積を確保することにより、車輪1が路面に埋まりにくくなり、走行性能の低下が抑えられる。すなわち、車輪1によれば、大きな荷重を支持しつつ、広い接地面積を確保することが可能である。
上記実施形態では、外側スプリング24は、第1本体スプリング21a及び第2本体スプリング21bの車輪1の幅方向外側の箇所と連結されると説明した。しかしながら、外側スプリング24は、少なくとも第1本体スプリング21aの第1頂部31aと、第2本体スプリング21bの第2頂部31bとを接続するように構成されていればよい。外側スプリング24が第1頂部31aと第2頂部31bとを接続するように構成されることにより、車輪1における接地面積を広く確保することができる。
上記実施形態では、車輪1が、第1本体スプリング21a及び第2本体スプリング21bという、車輪1の幅方向に並ぶ2つの本体スプリング21を備える場合について説明した。しかしながら、車輪1が備える本体スプリング21の数は、2つに限られない。車輪1は、3つ以上の本体スプリング21を備えていてもよい。
図12は、3つの本体スプリング21を備える車輪1の骨格部2の接地変形部の構成を模式的に示す概略図である。具体的には、図12に示す骨格部2は、第1本体スプリング21aと、第2本体スプリング21bと、第3本体スプリング21cとを備える。図12においても、図7と同様に、スプリングが、簡略化されて、それぞれ実線で示されている。
この場合、骨格部2は、2つのリム部材11a及び11bと、2つのフランジ部材28a及び28bとを備えている。2つのフランジ部材28a及び28bは、2つのリム部材11a及び11bと回転軸が同一となるように配置され、2つのリム部材11a及び11bの間に配置されている。本体スプリング21は、2つのリム部材11a及び11bと、2つのフランジ部材28a及び28bとのうち、車輪1の幅方向において隣接する部材同士に装着されることにより、車輪1の幅方向において隣接する部材同士をつなぐように構成されている。具体的には、図12に示す例では、第1本体スプリング21aは、リム部材11aとフランジ部材28aとに取り付けられることにより、これらをつなぐように構成され、第2本体スプリング21bは、フランジ部材28aとフランジ部材28bとに取り付けられることにより、これらをつなぐように構成され、第3本体スプリング21cは、フランジ部材28bとリム部材11bとに取り付けられることにより、これらをつなぐように構成されている。
外側スプリング24は、リム部材11a及び11bに装着された本体スプリング21の、車輪1の幅方向外側の箇所と連結されている。3つの本体スプリング21を備える車輪1において、リム部材11a及び11bに装着された本体スプリング21とは、第1本体スプリング21aと第3本体スプリング21cとをいう。例えば、外側スプリング24は、一端側において、第1本体スプリング21aの第1頂部31aよりも幅方向外側の箇所と連結され、他端側において、第3本体スプリング21cの第3頂部31cよりも幅方向外側の箇所と連結される。第3頂部31cは、第3本体スプリング21cにおいて、最も径方向外側に突出している箇所である。外側スプリング24は、さらに、第2本体スプリング21bの第2頂部31bにおいて、第2本体スプリング21bと連結される。このようにして、外側スプリング24は、3つの本体スプリング21と連結される。
3つの本体スプリング21を備える車輪1は、図12に示すように、第1接地面スプリング25a及び第2接地面スプリング25bという2つの接地面スプリング25を備える。第1接地面スプリング25a及び第2接地面スプリング25bは、それぞれ、車輪1の周方向に互いに隣接する2つの外側スプリング24と連結される。具体的には、第1接地面スプリング25aは、当該2つの外側スプリング24のうち、第1頂部31aと第2頂部31bとの間の区間において、当該外側スプリング24と連結される。第2接地面スプリング25bは、車輪1の周方向に隣接する2つの外側スプリング24のうち、第2頂部31bと第3頂部31cとの間の区間において、当該外側スプリング24と連結される。
3つの本体スプリング21を備える車輪1は、図12に示すように、第1補助スプリング26a、第2補助スプリング26b、第3補助スプリング26c及び第4補助スプリング26dという4つの補助スプリング26を備える。第1補助スプリング26aは、第1本体スプリング21aの第1頂部31aよりも車輪1の幅方向内側の箇所と連結される。第2補助スプリング26b及び第3補助スプリング26cは、第2本体スプリング21bの第2頂部31bよりも、車輪1の幅方向両外側の箇所と、それぞれ連結される。第4補助スプリング26dは、第3本体スプリング21cの第3頂部31cよりも車輪1の幅方向内側の箇所と連結される。
このようにして、車輪1がその幅方向に並んで配置される3つの本体スプリング21を備える場合にも、外側スプリング24によって車輪1の接地面積を広くすることができ、走行性能の低下を抑えることができる。さらに、車輪1が3つの本体スプリング21を備える場合には、2つの本体スプリング21を備える場合と比較して、本体スプリング21が増加した分、荷重支持力が向上する。
本開示に係る車輪1は、幅方向に並んで配置される4つ以上の本体スプリング21を備えていてもよい。この場合においても、図12に示した構造に従い、フランジ部材、接地面スプリング25及び補助スプリング26の数量を増やすことにより、骨格部2を構成することができる。本体スプリング21の本数を増やすほど、車輪1の荷重支持力が向上する。
例えば、車輪1は、幅方向に並んで配置される3つ以上の本体スプリング21を備える場合、少なくとも幅方向に隣接する2つ以上の本体スプリング21を1本の外側スプリング24で接続してもよい。このとき、外側スプリング24は、少なくとも、車輪1の幅方向に並んで配置される2つの本体スプリング21の頂部を接続するように構成されていればよい。幅方向に隣接する2つ以上の本体スプリング21を1本の外側スプリング24で接続することにより、車輪1の接地面積を増やすことができるため、走行性能の低下が抑えられる。
なお、車輪1の骨格部2は、必ずしも接地面スプリング25又は補助スプリング26を備えていなくてもよい。ただし、骨格部2は、接地面スプリング25及び補助スプリング26の少なくともいずれかを備えることにより、外側スプリング24又は本体スプリング21同士の距離が広がりすぎず、車輪1としての機能を維持しやすくなるため、好ましい。
また、車輪1の骨格部2は、接地面スプリング25又は補助スプリング26に代えて、本体スプリング21同士又は外側スプリング24同士の相対変位を制限する規制部材を備えていてもよい。規制部材は、複数の本体スプリング21のうち、外側スプリング24と連結されていない箇所における相互間の相対変位を規制してよい。規制部材は、複数の外側スプリング24のうち、本体スプリング21と連結されていない箇所における相互間の相対変位を規制してもよい。
例えば、車輪1の骨格部2は、図13に示されているような、2つの貫通穴220aを有する規制部材220を有し、当該規制部材220により、隣接する2本の本体スプリング21同士又は外側スプリング24同士の相対変位を制限してもよい。規制部材220の2つの貫通穴220aは、本体スプリング21又は外側スプリング24を通すことができる大きさである。この場合、規制部材220が有する2つの貫通穴220aのうち、一方に、1本の本体スプリング21又は外側スプリング24を通し、他方に、当該1本の本体スプリング21に隣接する1本の本体スプリング21、又は当該1本の外側スプリング24に隣接する1本の外側スプリング24を通す。例えば、図14に示されているように、本体スプリング21の複数の箇所に、規制部材220を通すことにより、隣接する2本の本体スプリング21の相対変位を制限することができる。外側スプリング24についても同様である。なお、図14では、2本の本体スプリング21の相対変位を制限する規制部材220について、貫通穴220aへの本体スプリング21の貫通の様子が分かるように、一部を断面として示している。このように、接地面スプリング25又は補助スプリング26に代えて、規制部材220を用いることによっても、車輪1を構成することができる。ただし、上記実施形態で説明したように、規制部材220をスプリングにより構成した場合、車輪1をより簡単に製作することができるため、好適である。
本開示を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
1:車輪、 10:ホイール部、 11a,11b:リム部材、 12,28a,28b:フランジ部材、 12a:第1部材、 12b:第2部材、 13:固定部材、 14a,14b:スポーク部材、 15:スポーク、 16:サブスポーク、 17a:第1ボルト穴、 17b:第2ボルト穴、 18:座繰り、 19:面、 2:骨格部、 20,27:溝、 21:本体スプリング、 21a:第1本体スプリング、 21b:第2本体スプリング、 21c:第3本体スプリング、 22:弾性変形部、 220:規制部材、 220a:貫通穴、 23:係止部、 23a:ストレート部、 23b:屈曲部、 24:外側スプリング、 25:接地面スプリング、 25a:第1接地面スプリング、 25b:第2接地面スプリング、 26:補助スプリング、 26a:第1補助スプリング、 26b:第2補助スプリング、 26c:第3補助スプリング、 26d:第4補助スプリング、 3:トレッド部、 30:トレッド部材、 30a:貫通穴、 31:芯材、 31a:第1頂部、 31b:第2頂部、 31c:第3頂部、 32:不織布、 33:補強部材、 A:本体スプリングの軸、 A1:固定領域、 A2:接地領域

Claims (4)

  1. 車輪であって、
    同一軸上に配置された2つの環状のリム部材と、
    前記2つのリム部材と回転軸が同一となるように配置され、前記2つのリム部材の間に配置された環状の1つ以上のフランジ部材と、
    前記2つのリム部材と前記1つ以上のフランジ部材とのうち前記車輪の幅方向に隣接する部材同士に装着されることにより、前記2つのリム部材と前記1つ以上のフランジ部材とのうち、前記車輪の隣接する部材同士をつなぐことにより、前記車輪の幅方向に並んで配置される複数の本体スプリングと、
    前記車輪の幅方向に並んで配置される複数の本体スプリングの、前記車輪の径方向外側に突出している頂部を接続するように前記本体スプリングに連結された複数の外側スプリングと、
    を備える車輪。
  2. 前記外側スプリングは、前記複数の本体スプリングのうち前記車輪の周方向に隣接する2本の本体スプリングの相互間の相対変位を規制する、請求項1に記載の車輪。
  3. 前記車輪の周方向に隣接する2本の本体スプリングのうち、前記外側スプリングと連結されていない箇所における、相互間の相対変位、又は、前記車輪の周方向に隣接する2本の外側スプリングのうち、前記本体スプリングと連結されていない箇所における、相互間の相対変位を規制する、規制部材をさらに備える、請求項1又は2に記載の車輪。
  4. 前記規制部材は、スプリングにより構成されている、請求項3に記載の車輪。
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